(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】植物ジュースから得られる、二酸化炭素放出システムを含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/18 20060101AFI20221012BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20221012BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221012BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20221012BHJP
A61P 1/10 20060101ALI20221012BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20221012BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20221012BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20221012BHJP
A61K 36/88 20060101ALI20221012BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20221012BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20221012BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20221012BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K36/18
A61K33/00
A61K47/36
A61K9/02
A61P1/10
A61K33/10
A61K36/752
A61K36/73
A61K36/88
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/46
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2019563810
(86)(22)【出願日】2018-05-10
(86)【国際出願番号】 IB2018053255
(87)【国際公開番号】W WO2018211372
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】102017000054380
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515126341
【氏名又は名称】アボカ エッセ.ピ.ア.ソシエタ アグリコラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メルカティ、バレンティノ
(72)【発明者】
【氏名】ランポルディ、ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ペルッキーニ、カロリーヌ
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0194435(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0102336(US,A1)
【文献】特開2012-100601(JP,A)
【文献】特開平04-360670(JP,A)
【文献】特開昭60-224614(JP,A)
【文献】特開昭55-136215(JP,A)
【文献】特表2015-536976(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076639(WO,A1)
【文献】国際公開第99/024043(WO,A1)
【文献】特開2007-210928(JP,A)
【文献】特開昭59-055817(JP,A)
【文献】特開平04-134030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直腸投与後に二酸化炭素を放出するための組成物であって、
a)ガムに担持された酸性植物ジュースと炭酸塩との混合物、
b)アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと炭酸塩との混合物、
c)ガムに担持された酸性植物ジュースと、アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと、炭酸塩との混合物、
から選択される混合物を含む、坐剤の形態の組成物。
【請求項2】
前記アルカリ性物質が、炭酸、クエン酸、リン酸、硫酸、酒石酸、リンゴ酸のナトリウム塩、カリウム塩及びマグネシウム塩、又はそれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記炭酸塩が、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記植物ジュースが、アラビアガム、キサンタンガム、コンニャクガム、タラガム、グアーガム、ガティガム、又はこれらの混合物から選択される天然ガムに担持されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記植物ジュースがフルーツジュースである、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記フルーツジュースが、オレンジジュース、レモンジュース、パイナップルジュース、リンゴジュース、ブラックベリージュース、ブルーベリージュース、グレープフルーツジュース、梨ジュース、又はこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ココアバター、蜂蜜及び/又は蜜蝋をさらに含む、請求項1~
6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
親水性剤を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
天然及び/又は合成脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドからなる親油性部分を含む、請求項1~
8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記混合物が5~50重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
便秘の処置において使用される、請求項1~
10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか1項に記載の組成物の調製方法であって、
i)混合物を調製する工程であって、
a)ガムに担持された酸性植物ジュースと炭酸塩との混合物、
b)アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと炭酸塩との混合物、
c)ガムに担持された酸性植物ジュースと、アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと、炭酸塩との混合物
のうち、1つ以上を調製する工程と、
ii)直腸投与製剤の調製に適した1つ以上の物質を、前記混合物に添加する工程と、
を含む、方法。
【請求項13】
前記混合物を調製する前記工程i)が、
1.前記酸性植物ジュース及び/又は前記部分的に中和した植物ジュース並びに前記ガム担体を含む溶液を調製する工程と、
2.工程1で得られた前記溶液を噴霧乾燥又は凍結乾燥によって乾燥させる工程と、
を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
a.脂質及び/又は溶解した脂質に可溶若しくは分散可能なその他の成分を溶解する工程と、
b.工程a)で得られた溶融塊に、前記混合物、及び直腸投与製剤の調製に適した1つ以上の物質を添加する工程と、
c.工程b)で得られた生成物を好適な型又は容器に注入し、完全に凝固するまで冷却する工程と、
をさらに含む、請求項
12又は
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ガムに担持された酸性植物ジュース及び少なくとも1つの炭酸塩を含み、直腸投与後に二酸化炭素を放出するための組成物に関する。このような組成物は、特に排便を刺激するのに効果をもたらし、特に二酸化炭素の最適な放出動態を示した。
【背景技術】
【0002】
排便障害、特に便秘は、広くまん延している問題である。坐剤による二酸化炭素の放出によって、排便を引き起こす機構が与えられる。
【0003】
二酸化炭素を生成するためには、有機酸及び炭酸のアルカリ塩が、一般に使用される。有機酸及び炭酸のアルカリ塩は、酸性及び中性環境では不安定であり、二酸化炭素を生成することで分解する炭酸を中和反応において生成することができる。
【0004】
このような反応のスキームは、以下のとおりである。
R-COOH + NaHCO3 ------ R-COONa + H2CO3
H2CO3 ----- H2O + CO2
Rは、飽和若しくは不飽和脂肪族鎖、若しくは芳香族系又はそれらの両方の組合せであり得る。
【0005】
現在の技術水準では、この機構を使用する生成物が記載され、商品化されている。そのような生成物は、ポリエチレングリコール(PEG)の誘導体によって形成される、親水性の塊によって構成されている。この親水性の塊においては、有機酸のアルカリ塩及び部分的に中和した有機酸の塩が、二酸化炭素を生成するように分散している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、自然療法の概念の発展により、現在の技術水準で知られた生成物の代わりに、既存の合成成分を含まない調製物の製剤化が要求されている。
【0007】
よって、二酸化炭素の放出により排便を容易にする、合成成分を含まない組成物の開発が関心を集めている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
直腸投与後の二酸化炭素の放出に適した天然混合物を調製するために、有機酸の供給源として、植物ジュース、特にフルーツジュースを、塩基として酸の塩又はアルカリ性物質で部分的に中和した植物ジュース、特にフルーツジュースを、塩基として炭酸塩が使用できる。これらの混合物を調製する上で、本発明者らは第1の技術的課題、すなわち、フルーツジュース又は部分的に中和したフルーツジュースを固体状態で得る、という事実を見出した。これは、植物ジュース、特にフルーツジュースに含まれる糖が、乾燥中に問題を示すからである。糖は吸湿性が強いため、水分を保持する。この水分は、坐剤中に存在する場合、直ちに発泡反応を引き起こすことがある。このことは、実際、予め決められた対象に対して坐剤を使用不可能にすることによる。さらに、実験中、上述の技術的課題とは別に、本発明者らは第2の技術的課題、すなわち、坐剤に挿入された際の発泡反応誘発期間中における、担体の干渉に気づいた。担体という用語に基づくと、本明細書では、液体又はペースト状ジュースから出発して、有効な固体粉末を得ることを可能にする技術的補助剤が意図される。
【0009】
担持されたフルーツジュースを使用した場合、残留水分の問題とは別に、坐剤による二酸化炭素の放出量及び速度の低下が、実際に認められた。さらに、数名の健康なボランティアでの実験では、この様式で調製された坐剤、つまり以下により詳細に記載する、これらの場合に使用される最も一般的な担体に担持されたフルーツジュースを使用して調製された坐剤の排便力の低下、そしていくつかの場合には完全な喪失が見られた。
【0010】
実験では、タルカム、二酸化ケイ素、シリカなどの天然抽出物の凝固を促進するために食品分野で使用される技術的補助剤をも試験したが、それらはほとんど役に立たず、場合によっては、さらに乾燥しづらくなった。デンプン(米、トウモロコシ、ジャガイモ、タピオカデンプン)及びマルトデキストリンなどのデンプン誘導体の使用により、残留水分の観点では許容可能な改善が得られたが、二酸化炭素の放出は不十分であった。
【0011】
炭水化物の種類では、単糖類、二糖類、三糖類が試験され、予想通り、モノマー単位の数が増えるにつれて、つまり単糖類から三糖類の順に、水分が増加し、とりわけ二酸化炭素の放出の困難性が増した。単糖類(フルクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール)、二糖類(スクロース、マルトース、ラクトース)、三糖類(マルトトリオース、ラフィノース、スタキオース)をさらに試験した。モノマー単位の数及び分子の複雑性をさらに増大させることで、二酸化炭素の放出動態の、さらなる大幅な低下が予想された。二酸化炭素の放出動態は、時間単位内に坐剤によって放出されるガスの量として定義される。この推論は、ガムのような炭水化物、例えばアラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、タラガム、コンニャクガム、ローカストビーンガムなどが、水と接触するとゲルを形成しやすくなるという事実からも予想される。実際、これらのガムは、薬物放出の遅延に都合よく利用されている。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、ガムと植物ジュース、特にフルーツジュースとの組合せが、単糖類、二糖類及び三糖類で得られたものよりも、むしろ速い放出動態をもたらすことに気づいた。さらに、フルーツジュース及び部分的に中和したフルーツジュースの両方のみで得られた粉末の残留水分は、非常に少なく、発泡反応が引き起こされるのを防止した。この組合せの使用により、時間的に安定し、目的に適した坐剤が得られた。この有効性は臨床試験でも確認され、この試験では、17人の被験者のうち16人が、正確に、15分未満の時間内に排便した。
【0012】
したがって、本発明は、
直腸投与後に二酸化炭素を放出するための組成物であって、
a)ガムに担持された酸性植物ジュースと炭酸塩との混合物
b)アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと炭酸塩との混合物、
c)ガムに担持された酸性植物ジュースと、アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと、炭酸塩との混合物
から選択される混合物を含む組成物に関する。
【0013】
本明細書に記載の組成物の調製方法は、
i)混合物を調製する工程であって、
a)ガムに担持された酸性植物ジュースと炭酸塩との混合物、
b)アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと炭酸塩との混合物、
c)ガムに担持された酸性植物ジュースと、アルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースと、炭酸塩との混合物
のうち、1つ以上を調製する工程と、
ii)直腸投与製剤の調製に適した1つ以上の物質を、前記混合物に添加する工程と、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、炭酸塩、並びにガムに担持された酸性植物ジュース及び/又はアルカリ性物質で部分的に中和され、その中和生成物もガムに担持された植物ジュースを含む、直腸経路で投与された場合、二酸化炭素の放出に適した組成物に関する。
【0015】
本明細書では、「直腸投与後に二酸化炭素を放出するための組成物」という表現に基づくと、直腸経路で投与されること、及び直腸に投与されるとCO2を放出することに適した任意の組成物、特に坐剤の形態の組成物が意図される。
【0016】
本明細書では、「ガムに担持された植物ジュース又はフルーツジュース」という表現に基づくと、固体状態の物理的混合物が意図される。この混合物は、より多い量で存在する薬剤、すなわちガム担体中に分散したより少ない量で存在する物質、すなわちジュースを含む。
【0017】
本明細書では、「アルカリ性物質で部分的に中和した」という表現に基づくと、アルカリ性物質を添加された後、7より低いpHを示す酸性溶液が意図される。
【0018】
植物ジュースの中和に使用できるアルカリ性物質の例は、炭酸、クエン酸、リン酸、硫酸、酒石酸、リンゴ酸のナトリウム塩、カリウム塩及びマグネシウム塩、又はこれらの混合物である。
【0019】
炭酸塩の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムである。
【0020】
ガムとして、天然ガム、例えばアラビアガム、キサンタンガム、コンニャクガム、タラガム、グアーガム、ガティガム又はこれらの混合物を使用できる。
【0021】
混合物では、植物ジュース、すなわち植物部分から得られるジュース、例えばアロエジュース、特に、例えばオレンジジュース、レモンジュース、パイナップルジュース、リンゴジュース、ブラックベリージュース、ブルーベリージュース、グレープフルーツジュース、梨ジュースなどのフルーツジュース、又はこれらの混合物を使用することができる。
【0022】
6以下のpHを有するジュースは、植物ジュース又は酸性フルーツジュースと定義される。
【0023】
混合物の基本成分は、重量単位を意図する部に基づき、フルーツジュース10部、担体0.1~10部の割合で使用でき、部分的に中和したフルーツジュースを得たい場合は、中和反応の終了時に6を超えるpHの溶液が得られる量のアルカリ性物質を使用できる。
【0024】
1つの実施形態によれば、組成物は、噴霧乾燥機又は凍結乾燥によって乾燥させた、ガムに担持された酸性植物ジュース及び/又はアルカリ性物質で部分的に中和され、ガムに担持された植物ジュースを含む。
【0025】
本発明はさらに、坐剤又は膣坐剤(suppository or ovule)の形態の、上記混合物を含む直腸投与用組成物に関する。坐剤は、親水性剤、特にPEG及び/又はグリセリンで調製でき、さらにそれらは、天然及び/又は合成脂肪酸のモノグリセリド及びトリグリセリドからなる親油性部分で調製できる。
【0026】
1つの実施形態によれば、組成物は、ココアバター、蜂蜜及び/又は蜜蝋をさらに含むことができ、それらは、イタリア特許出願IT102014902243945号に記載のとおりに調製できる。
【0027】
例えば、坐剤は、本発明による混合物を、合計して100部になる量の5~17重量部の蜜蝋、5~25重量部の蜂蜜、及び65~90重量部のココアバターからなる組成物と共に使用することで調製できる。
【0028】
1つの実施形態によれば、組成物は、a)、b)又はc)から選択される混合物を、5~40重量%、好ましくは10~40重量%の範囲の量で含むことができる。ここで重量パーセントとは、組成物100gあたりのグラム割合を意味する。
【0029】
坐剤の形態での実施に適した、本発明の組成物の非限定的な例を以下に示す。
【表1】
【0030】
表に示す量は、組成物100gに対する重量パーセントで表される。
【0031】
本明細書による組成物は、医療機器指令93/42ECに記載される種類のいずれか1つによる医療機器の形態で(これは、用語の機械的な意味の「機器」だけでなく、物質も含む)、又はこのような組成物が製造される国の規制に従った、任意の好適な形態で実施できる。
【0032】
本発明の組成物は、CO2を生成することによって排便を刺激するという、それらの特性のために使用することができる。したがって、本発明は、さらに、便秘の処置に使用される、本明細書に記載され、特許請求される本発明の組成物に関する。
【0033】
本発明は、さらに、本発明による製剤、混合物又は組成物を、該製剤、混合物又は組成物を必要とする患者に投与する、治療的処置に関する。
【0034】
本発明は、さらに、本明細書及び特許請求の範囲で定義された組成物の調製方法であって、
i)ガムに担持された酸性植物ジュースと、少なくとも1つの炭酸塩との混合物を調製する工程と、
ii)直腸投与製剤の調製に適した1つ以上の物質を、前記混合物に添加する工程と、
を含む、方法に関する。
【0035】
CO2を生成するための混合物は、例えば、
a.アルカリ性物質を含む植物ジュース又は酸性フルーツジュースと、炭酸塩との組合せ、
b.植物ジュース又は酸性フルーツジュースと、アルカリ性物質で部分的に中和した植物ジュース又はフルーツジュースと、炭酸塩との組合せ、
c.アルカリ性物質で部分的に中和した植物ジュース又はフルーツジュースと、炭酸塩との組合せ、
の3つの組合せのうちの1つで調製できる。
【0036】
例として、部分的に中和したフルーツジュースの製造を説明する。
a.炭酸水素ナトリウム500グラムを、レモンジュース10kgに添加する。pHが4.5に達するまで、混合物を放置して反応させる。
b.アラビアガム1.5kgを、前の工程で得られた溶液に完全に溶解するまで添加する。
c.前の工程で得られた溶液を、凍結乾燥又は噴霧乾燥機によって固体状態にする。
【0037】
混合物は、以下の方法に従って調製できる。
1.アルカリ性物質を、所望のpHに達するまで植物ジュース又は酸性フルーツジュースに添加する。溶液を、反応の完了に要する時間、所望のpHに達するまで放置して反応させる。
2.工程1で得られた溶液に担体を添加し、完全に溶解するまで攪拌する。
3.工程2で得られた溶液を、噴霧乾燥機又は凍結乾燥によって乾燥状態にする。工程1は任意であり、アルカリ性物質で部分的に中和されていない植物ジュース又はフルーツジュースを得たい場合、中和段階は省略し、直ちに担体を添加する。
【0038】
1つの実施形態によれば、組成物の調製方法は、
a.脂質及び/又は溶解した脂質に可溶若しくは分散可能なその他の成分を溶解する工程と、
b.工程a)で得られた溶融塊に、本明細書に記載の組合せのいずれか1つによる混合物、及び直腸投与製剤の調製に適した1つ以上の物質を添加する工程と、
c.得られた生成物を好適な型に注入し、完全に凝固するまで冷却する工程と、
を含む。
【0039】
1つの実施形態によれば、組成物の調製方法は、
a.70~85℃の範囲の温度で、蜜蝋及びココアバターを溶解する工程と、
b.工程a)で得られた溶融塊に、蜂蜜及び酸性フルーツジュース、特に部分的に中和したレモンジュース及び炭酸水素ナトリウムを加える工程と、
c.好適な型又は容器に注入する工程と、
を含む。
【0040】
本発明の混合物及び組成物の調製の例を以下に提供する。製剤の例は、本発明の可能な実施形態を実証する目的でのみ提供され、限定する目的ではない。
【実施例】
【0041】
<例1.本発明の混合物の調製例>
レモンジュース100kgを溶解機に入れ、室内環境で攪拌を続けた。炭酸水素ナトリウム15kgをレモンジュースに添加し、pHが4.5に達するまで全体を攪拌し続けた。
【0042】
反応が生じた後、アラビアガム15kgを添加し、ガムが完全に溶解するまで全体を攪拌し続けた。溶解が生じた後、混合物を噴霧乾燥(噴霧器での噴霧化)により乾燥状態にした。
【0043】
以下に示す、部分的に中和したジュースのその他の混合物は、上記の方法で実施することができる。
【0044】
【0045】
<例2.本発明の組成物の坐剤形態での調製例>
例1に従って調製された混合物を使用して、以下の手順に従い、坐剤形態の組成物を調製した。
a.70~80℃の温度で蜜蝋及びココアバターを溶解する
b.溶解が生じた後、35~38℃の温度で冷却する
c.蜂蜜、部分的に中和したレモンジュース及び炭酸水素ナトリウムを順番に添加する
d.前の工程で得られた混合物を均質化し、26℃で冷却する
e.33℃で加熱し、型に分配する
【0046】
<例3.坐剤形態の製剤の例>
量は重量%で表示する。
【表3】
【0047】
上記の例は単に指標であり、上記の例から出発し、本発明の教示に従って、当業者が本発明の範囲内で他の製剤及び組成物を実施できることは明らかである。