(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】バッテリー及びバッテリー付き無人機
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221012BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20221012BHJP
B64C 27/04 20060101ALI20221012BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221012BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 302A
H02J1/00 308A
B64C27/04
B64C39/02
B64D27/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020174892
(22)【出願日】2020-10-16
(62)【分割の表示】P 2019021372の分割
【原出願日】2014-02-10
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】201310659214.5
(32)【優先日】2013-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】6F,HKUST SZ IER Bldg.NO.9 Yuexing 1st Rd.Hi-Tech Park(South),Nanshan District Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,タオ
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特許第5192101(JP,B1)
【文献】国際公開第2013/058616(WO,A2)
【文献】特開2012-198883(JP,A)
【文献】特表2013-528042(JP,A)
【文献】特開2011-182592(JP,A)
【文献】特開2002-240765(JP,A)
【文献】PHANTOM 2 User Manual V1.00,日本,2013年11月02日,2013.11.01 Revision,http://download.dji-innovations.com/downloads/phantom-2-vision/en/Phantom_2_Vision_User_Manual_v1.00_en.pdf,https://web.archive.org/web/20131102065523/http://
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00-1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/60
B64G 1/00-99/00
H01M 10/42-10/48
H02J 1/00-1/16
7/00-7/12
7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機に電力を供給するように適応された電源と、
前記電源に接続された電源回路と、
前記電源および前記電源回路を封入するハウジングを有する電源パックと、
を備え、
前記電源は、前記電源回路を通して放電して前記無人航空機の推進装置に電力を供給し、前記電源回路は、単一の入力装置であるキープレススイッチと、前記推進装置に接続されたインタフェースと、表示装置とを備え、
前記電源がオフ状態で前記キープレススイッチが押下されたときに、前記電源の残存電力のレベルを示すように、前記表示装置に含まれるライトの点灯が制御され、その後前記キープレススイッチが一定時間以上を押下された状態になると、前記電源がオンにな
る、前記無人航空機のユーザによる第1の操作モードと、
前記電源に関連する状態情報を外部装置と通信する、前記無人航空機のユーザによる第2の操作モードとを有し、
前記電源パックは、前記無人航空機の中に挿入され、
前記電源パックはカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記電源パックが前記無人航空機の中に挿入される場合に、露呈されたままとなる外部表面を形成し、
前記電源の残存電力のレベルは、前記外部表面に表示される、
ことを特徴とする、電源制御アセンブリ。
【請求項2】
前記電源回路は、電子スイッチをさらに備え、
前記電子スイッチは、前記電源と前記インタフェースとの間の電気的な接続のスイッチオン及びスイッチオフを切り替え可能に設けられる、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項3】
前記キープレススイッチの操作モードは、前記電源に関連付けられた複数の操作モード間で切り替わり、前記複数の操作モードは、少なくとも(i)前記電源の残存電力のレベルを前記表示装置に示すこと、及び(ii)前記電子スイッチのスイッチオン状態またはスイッチオフ状態を制御することを含む、請求項2に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項4】
前記インタフェースは、前記電子スイッチがスイッチオン状態であるときに、前記推進装置に電力を供給する、請求項2に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項5】
前記電源回路は、電力測定装置をさらに備え、
前記電力測定装置は、前記電源に電気的に接続されて前記電源の残存電力のレベルを計算する、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項6】
前記推進装置は、回転自在の羽根付きの1つ以上のロータを含み、
前記電源は、前記ロータを回転させて前記無人航空機の揚力を生じさせる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項7】
前記電力測定装置は、前記電源の放電中に電流を収集する電流サンプリング装置を備え、
前記電力測定装置は、前記電流サンプリング装置によって収集される前記電流を収集し、前記電源の前記残存電力のレベルを計算する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項8】
前記電源の前記残存電力のレベルは、消費されるエネルギーの量に基づいて計算される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項9】
前記電源の前記残存電力のレベルは、前記電源全体の電圧降下に基づいて計算されない、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項10】
前記電子スイッチは、電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の1つを含む、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項11】
前記インタフェースは、前記電源のレベル及び前記電源の電圧にアクセスする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項12】
前記電子スイッチは、固体電子工学を利用してなる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項13】
前記電子スイッチは、可動部品付きの装置を含まない、
ことを特徴とする、請求項2に記載の電源制御アセンブリ。
【請求項14】
無人航空機であって、
推進装置と、
前記推進装置に電力を供給する電源と、
前記電源に接続される電源回路と、を具備し、
前記電源は、前記電源回路を通して放電して前記推進装置に電力を供給し、
前記電源回路は、単一の入力装置であるキープレススイッチと、前記推進装置に接続されたインタフェースと、表示装置とを備え、
前記電源がオフ状態で前記キープレススイッチが押下されたときに、前記電源の残存電力のレベルを示すように、前記表示装置に含まれるライトの点灯が制御され、その後前記キープレススイッチが一定時間以上を押下された状態になると、前記電源がオンにな
る、前記無人航空機のユーザによる第1の操作モードと、
前記電源に関連する状態情報を外部装置と通信する、前記無人航空機のユーザによる第2の操作モードとを有し、
前記電源および前記電源回路を封入するハウジングを有する電源パックが、前記無人航空機の中に挿入され、
前記電源パックはカバー部材を有し、
前記カバー部材は、前記電源パックが前記無人航空機の中に挿入される場合に、露呈されたままとなる外部表面を形成し、
前記電源の残存電力のレベルは、前記外部表面に表示される、
ことを特徴とする、無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2013年12月6日に出願されたCN第201310659214.5号に対する優先権を主張する。本願の開示は参照することによりその全体で本明細書に組み込まれる。
【0002】
無人航空機(UAV)等の無人機は、軍事用途と民間用途の監視タスク、偵察タスク、及び探査タスクを実行するために使用できる。このような無人機は、通常、周囲環境での遠隔制御移動と自律的移動の少なくとも一方の推進システムを含む。例えば、無人機は、推進システム等の無人機の装置に電力を提供する電源を有し得る。
【背景技術】
【0003】
しかし、無人機用のバッテリーまたは出力制御の既存システムは、理想的なものではない可能性がある。例えば、無人航空機で従来使用されているバッテリーは、非常に大きな電流を有すると共に、放電制御機構を欠く可能性がある。また、バッテリーは従来電源レベル用のインジケータも欠いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
改善された放電制御機構を有するバッテリー等の電源に対するニーズがある。上記に説明されたバッテリーは、電気機械スイッチを使用してバッテリーの放電を制御できる。もしくは、放電はバッテリーと電気設備との間のインタフェースを利用して制御できる。しかし、2台の装置間でインタフェースを接続する過程の間、または電気機械スイッチが閉じられると、接触点で火花が発生する可能性がある。
【0005】
火花には少なくとも2つの有害な影響を与える可能性がある。第1に、火花は、多くの場合、バッテリー電圧よりも2~3倍高い、瞬間的に高い電圧を生じさせる。この高い電圧は電気設備に損傷を与える。第2に、火花は接触点を焼損し、腐食させ、接触点での抵抗の増加または接続不良につながる。これは、(例えば、無人航空機等の可動物体の)安全上のリスクとなることがある。さらに、大きな電流と充電または放電保護の欠如により、多くの場合、バッテリーは過充電と過剰放電の少なくとも一方のために損傷を受ける。また、過充電により、バッテリーが爆発または膨張する可能性もある。また、ユーザーは残りのバッテリーパワーを決定するために、電圧の測定値に頼らざるを得ない。そのような測定値は、非常に不正確な場合がある。また、バッテリーの枯渇は(例えば、無人航空機の飛行中)危険となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の理由から、本発明において、電源容量の計算、充電保護、放電保護を実現できる多機能保護ボード付きの電源を提供する。さらに外部より提供される電力の制御を、電子電力部品の制御によって実現できる。
【0007】
本発明は、無人航空機に電力を供給する電源、及び電源に接続された電源回路を備える電源制御アセンブリを対象とする。電源は電源回路を通して放電して装置に電力を供給する。電源回路は電子スイッチと入力装置を含む。電子スイッチは電源に電気的に接続され、電源の電源オンと電源オフを制御する。入力装置は電子スイッチに電気的に接続され、電子スイッチのスイッチオン状態とスイッチオフ状態を制御する。また、他の実施形態においては、電力を供給される装置は無人航空機の推進装置を含む。推進装置は、回転自在の羽根付きの1つ以上のロータを含み得る。電源は羽根を含んだロータの回転を生じさせ、無人航空機の揚力を生じさせる。
【0008】
また、他の実施形態では、電力を供給される装置、装置に電力を供給する電源、及び電源に接続された電源回路を含む無人航空機を対象とし得る。電源は電源回路を通して放電して装置に電力を供給する。電源回路は電子スイッチと入力装置を含む。電子スイッチは電源に電気的に接続され、電源の電源オンと電源オフを制御する。入力装置は電子スイッチに電気的に接続され、電子スイッチのスイッチオン状態とスイッチオフ状態を制御する。電力を供給される装置は、無人航空機の推進装置を含んでよい。推進装置は回転自在の羽根付きの1つ以上のロータを含み得る。電源は羽根を含んだロータの回転を生じさせ、無人航空機の揚力を生じさせる。
【0009】
また、他の実施形態では、電源回路に電力測定装置と表示装置をさらに含めてよい。電力測定装置は、電源に電気的に接続され、電源の電量のレベルを計算する。表示装置は、電力測定装置に電気的に接続され、電源の残りの電量のパーセンテージを示す。電力測定装置は、電源の放電中に電流を収集する電流サンプリング装置を含み得る。電力測定装置は、電流サンプリング装置によって収集される電流を収集し、電源の電量のレベルを計算する。電源の電量のレベルは、消費されるエネルギー量の測定に基づいて計算され得るが、電源全体での電圧降下の測定に基づいて計算されない。また、表示装置に複数のインジケータライトを含めてよく、同時に点灯しているインジケータライトの数が電源の電量のレベルのパーセンテージを示すようにしてもよい。さらに、電源の電量レベルと電源電圧にアクセスするインタフェースを提供してもよい。
【0010】
電子スイッチは固体電子工学を利用し得る。また、ある実施形態では、電子スイッチは可動部品付きの装置を含まない。電子スイッチは電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の内の1つを含んでよい。
【0011】
電源の電量のレベルを、1つ以上のLEDライトを用いて表示し得る。例えば、第1のLEDライトの点灯で、電源に約0%と約25%の間の電力が残っていることを示す。第2のLEDライトの点灯で、電源に約25%と約50%の間の電力が残っていることを示す。第3のLEDライトの点灯で、電源に約50%と約75%の間の電力が残っていることを示す。第4のLEDライトの点灯で、電源に約75%と約100%の電力が残っていることを示す。
【0012】
入力装置はボタンスイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーの1つを含んでよい。また、他の実施形態では、センサーは少なくとも1つのタッチセンサー、フォトセンサー、またはオーディオセンサーを含む。
【0013】
本発明の実施形態に従って、ハウジングを提供してよい。電源ハウジングは第1の端部にある開口部を有する底部部材とカバー部材を含む。カバー部材は底部部材の開口部を密閉し、電源は底部部材に置かれる。電子スイッチ、入力装置、電力測定装置、及び表示装置はすべて回路基板に置かれる。電源はバッテリーまたはバッテリーパックを含んでよい。
【0014】
また、他の実施形態では、電源回路の重量と電源の重量との割合は1:11未満である。結合された電源と電源回路の重量は約400グラム未満にできる。電源は少なくとも約100mAの電流を生じさせ、最大で約40Aの電流を生じさせ得る。無人航空機は、再充電することなく少なくとも約25分間飛行できる。
【0015】
本発明の他の実施形態に従って、電源制御アセンブリが提供され得る。電源制御アセンブリは、無人航空機に電力を供給する電源、及びマイクロコントローラユニット(MCU)を含み得る。MCUは電源に結合され、電源の(i)放電制御、(ii)電量レベルの計算、(iii)短絡保護、(iv)過充電からの保護、(v)過剰放電からの保護、(vi)電源を含んだバッテリー間の電量レベルバランスの確保、(vii)許容範囲外温度での電源の充電防止、または(viii)外部装置との情報通信、少なくとも1つを実行可能である。
【0016】
また、本発明の実施形態では、電力を供給される推進装置、推進装置に電力を供給するための電源、及びマイクロコントローラユニット(MCU)を含む無人航空機を対象とし得る。マイクロコントローラユニットは、(i)電源の放電を制御すること、(ii)電源の電量のレベルを計算すること、(iii)電源を短絡から保護すること、(iv)電源を過充電から保護すること、(v)電源を過剰放電から保護すること、(vi)電源を含んだ1つまたは複数のバッテリーの間で電量のレベルのバランスをとること、(vii)許容温度範囲外の温度での電源の充電を防止すること、または(viii)外部装置と通信することの内の少なくとも1つが可能である。
【0017】
マイクロコントローラユニットは(i)から(viii)の少なくとも2つを実行し得る。マイクロコントローラユニットは少なくとも(i)と(ii)を実行し得る。マイクロコントローラユニットは少なくとも(iv)と(v)を実行し得る。マイクロコントローラユニットの重量を約1グラム未満にし得る。
【0018】
また、外部装置と通信することは、電源と関連付けられた状態情報を外部装置に提供することを含む。外部装置と通信することは、外部装置から情報を受信することをさらに含んでよい。
【0019】
電源には電源回路を接続でき、電源は、電源回路を通して放電して無人航空機に電力を供給する。電源回路は、電子スイッチと入力装置を含み、電子スイッチは、電源に電気的に接続され、電源の電源オンと電源オフを制御する。入力装置は、電子スイッチに電気的に接続され、電子スイッチのスイッチオン状態とスイッチオフ状態を制御する。
【0020】
推進装置は回転自在の羽根付きの1つ以上のローダを含み得る。電源は羽根を含んだロータの回転を生じさせ、無人航空機の揚力を生じさせる。
【0021】
また、電源回路に電力測定装置と表示装置を含めてもよい。電力測定装置は電源に電気的に接続され、電源の電量のレベルを計算する。表示装置は電力測定装置に電気的に接続され、電源の残りの電量のパーセンテージを示す。電力測定装置に電源の放電中に電流を収集する電流サンプリング装置を含めてもよい。電力測定装置は電流サンプリング装置によって収集される電流を収集し、電源の電量のレベルを計算する。電源の電量のレベルは消費されるエネルギーの量に基づいて計算されてよく、電源全体での電圧降下測定に基づいて計算されない。また、表示装置に複数のインジケータライトを備えてもよく、同時に点灯しているインジケータライトの数が電源の電量のレベルのパーセンテージを示すようにしてよい。さらに、電源の電量のレベルと電源電圧へアクセスするインタフェースを提供してもよい。
【0022】
電子スイッチは、固体電子工学を利用し得る。ある実施形態では、電子スイッチは可動部品付きの装置を含まない。電子スイッチは電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の1つを含んでよい。
【0023】
電源の電量のレベルを、1つ以上のLEDライトを用いて表示し得る。第1のLEDライトの点灯で、電源に約0%と約25%の間の電力が残っていることを示す。第2のLEDライトの点灯で、電源に約25%と約50%の間の電力が残っていることを示す。第3のLEDライトの点灯で、電源に約50%と約75%の間の電力が残っていることを示す。第4のLEDライトの点灯で、電源に約75%と約100%の電力が残っていることを示す。
【0024】
入力装置は、ボタンスイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーの少なくとも1つを含んでよい。また、ある実施形態では、センサーはタッチセンサー、フォトセンサー、またはオーディオセンサーの少なくとも1つを含む。
【0025】
本発明の実施形態に従って電源ハウジングを提供し得る。電源ハウジングは第1の端部にある開口部を有する底部部材とカバー部材を含む。カバー部材は底部部材の開口部を密閉し、電源は底部部材に置かれる。電子スイッチ、入力装置、電力測定装置、及び表示装置はすべて回路基板に置かれる。電源はバッテリーまたはバッテリーパックを含んでよい。
【0026】
また、その他の実施形態では、電源回路の重量と電源の重量との割合は1:11未満である。結合された電源と電源回路の重量を約400グラム未満にし得る。電源は少なくとも約100mAの電流を生じさせ、最大で約40Aの電流を生じさせ得る。無人航空機は、再充電することなく少なくとも約25分間飛行できる。
【0027】
また、他の実施形態では、電源制御アセンブリを提供し得る。電源制御アセンブリはユーザー入力を受け取り、電源、及び電源と関連付けられた複数の操作モード間で切り替わる入力装置を含み得る。操作モードは、少なくとも電源の(i)電量レベルの表示、及び(ii)電源と電気通信する電子スイッチをオン・オフして電源をオン・オフすることを含む。電源は無人航空機に電力を供給できる。
【0028】
複数の操作モードは、外部装置と通信することをさらに含み得る。外部装置と通信することは、電源に関連する状態情報を外部装置に提供すること、外部装置から情報を受信することを含む。
【0029】
本発明の実施形態は、本発明の他の実施形態に従う電源管理方法を含み得る。この電源管理方法は、電源のユーザーによって提供される入力信号を受信することを含み得る。また、入力信号に応えて、入力信号と関連付けられた1つ以上の特徴において、少なくとも部分的に基づいて電源と関連付けられた複数の操作モードから操作モードを選択することを含み得る。複数の操作モードは少なくとも、(i)電源の電量レベルを表示すること、(ii)電源と電気的に通信する電子スイッチをオンまたはオフして電源をオンまたはオフすることを含む。
【0030】
電源は、火花を発生させることなくオンまたはオフされ得る。入力信号と関連付けられた1つ以上の特徴は入力信号の時間の長さを含んでよい。また、操作モードの選択は、入力信号を所定の信号パターンと比較することを含んでよい。
【0031】
また、電源回路は電源に接続されて得る。電源は、電源回路を通して放電して無人航空機に電力を供給する。電源回路は電子スイッチを含み、電子スイッチは電源に電気的に接続され、電源の電源オンまたはオフを制御する。
【0032】
また、電源回路は電力測定装置と表示装置をさらに含み得る。電力測定装置は電源に電気的に接続され、電源の電量のレベルを計算する。表示装置は電力測定装置に電気的に接続され、電源の残りの電量のパーセンテージを表示する。電力測定装置に電源の放電中に電流を収集する電流サンプリング装置を含めてもよい。電力測定装置は電流サンプリング装置によって収集される電流を収集し、電源の電量のレベルを計算する。電源の電量のレベルは、消費されるエネルギー量の測定に基づいて計算されてよく、電源の電量のレベルは電源全体での電圧降下測定に基づいて計算されない。また、表示装置に複数のインジケータライトを備えてもよく、同時に点灯しているインジケータライトの数が電源の電量のレベルのパーセンテージを示すようにできる。さらに、電源の電量のレベルと電源の電圧にアクセスを提供するように構成されるインタフェースを提供してもよい。
【0033】
電子スイッチは固体電子工学を利用し得る。ある実施形態では、電子スイッチは可動部品付きの装置を含まない。電子スイッチは電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の内の1つを含んでよい。
【0034】
電源の電量のレベルを1つ以上のLEDライトを用いて表示し得る。第1のLEDライトの点灯で、電源に約0%と約25%の間の電力が残っていることを示す。第2のLEDライトの点灯で、電源に約25%と約50%の間の電力が残っていることを示す。第3のLEDライトの点灯で、電源に約50%と約75%の間の電力が残っていることを示す。第4のLEDライトの点灯で、電源に約75%と約100%の電力が残っていることを示す。
【0035】
入力装置は、ボタンスイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーの内の少なくとも1つを含んでよい。また、他の実施形態では、センサーはタッチセンサー、フォトセンサー、またはオーディオセンサーの少なくとも1つを含み得る。
【0036】
本発明の実施形態に従って電源ハウジングを提供し得る電源ハウジングは第1の端部にある開口部を有する底部部材とカバー部材を含む。カバー部材は底部部材の開口部を密閉し、電源は底部部材に置かれる。電子スイッチ、入力装置、電力測定装置、及び表示装置はすべて回路基板に置かれる。電源はバッテリーまたはバッテリーパックを含んでよい。
【0037】
また、ある実施形態では、電源回路の重量と電源の重量との割合は1:11未満である。結合された電源と電源回路の重量を約400グラム未満にできる。電源は少なくとも約100mAの電流を生じさせ、最大で約40Aの電流を生じさせ得る。無人航空機は、再充電することなく少なくとも約25分間飛行できる。
【0038】
本発明における、異なる実施形態は、個別に、集合的に、または互いと組み合わせて認識できると理解される。本明細書に説明される多様な実施形態は、以下に説明される特定の用途のいずれかに、または任意の他のタイプの可動物体のために適用され得る。本明細書中の航空機または無人航空機のいずれの説明も、任意の輸送機等の任意の可動物体に適用し使用され得る。さらに、航空機の動き(飛行等)との関連で本明細書に開示されるシステム、装置、及び方法を、地上または水上での移動、水中の動き、または宇宙での動き等、他のタイプの動きに関連付けて使用してもよい。
【0039】
本発明に関わる他の物体とその特徴は、明細書、特許請求の範囲、及び添付の図を検討することにより明らかになる。
【0040】
(参照による組込み)
本明細書で言及されるすべての出版物と特許出願は、それぞれの出版物または特許出願が参照により組み込まれるために明確かつ個別に示されるように、参照により同程度まで本明細書に組み込まれる。
【0041】
本発明の新規の特徴は、添付特許請求の範囲における詳細をもって説明される。本発明の特徴と優位点のよりよい理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態の説明、以下の発明を実施するための形態と添付の図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明を適用した輸送機の概略回路図である。
【
図2】本発明を適用した輸送機のバッテリーの概略図である。
【
図3】
図1に示したバッテリーの分解概略図である。
【
図4】本発明を適用したバッテリーの前面図である。
【
図5】本発明を適用したバッテリーの平面図である。
【
図6】本発明を適用した輸送機の概略回路図である。
【
図8】本発明を適用した電源を操作するための方法のステップを示すフローチャー トである。
【
図9】本発明の実施形態に関わる無人航空機を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に関わる支持機構と搭載物を含んだ可動物体を示す図で ある。
【
図11】本発明の実施形態に従って可動物体を制御するためのシステムを示す概略 ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明によるシステム、方法、及び装置が提供する、電源制御アセンブリ付きの電源、電源付きの装置について説明する。いくつかのケースでは、装置は無人航空機等の可動物体である。電源はバッテリーもしくはバッテリーパックであってよく、あるいはそれらを含む構成であってもよい。電源制御アセンブリは電源回路を含んでよい。電源制御は放電制御の欠如に関係する課題を解決できる。電源回路は電源に接続できる。電源は電源回路を通して放電できる。電源回路は電子スイッチと入力装置を含むことがあり、電子スイッチは電源に電気的に接続され電源のオンまたはオフを制御する。入力装置は、電子スイッチに電気的に接続され、電子スイッチのオンまたはオフ状態を制御する。固体電子工学を利用できる電子スイッチを使用することで、電源の充電中または放電中に火花が発生することを防止できる。例えば、電子スイッチは、電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の内の1つを含む。入力装置は、電子スイッチと通信可能である。入力装置は、ボタンスイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーの1つ以上を含み得る。
【0044】
本発明の実施形態によれば、電源制御アセンブリは、装置の電源オンまたは電源オフ時に火花が発生することを防止できる。無人航空機の場合、電流は相対的に高くなる可能性がある。電源からの電流は約10mA、50mA、75mA、100mA、150mA、200mA、300mA、500mA、750mA、1A、2A、5A、10A、15A、20A、30A、または40A以上になり得る。電源から供給される最大電流は、100mA、150mA、200mA、300mA、500mA、750mA、1A、2A、5A、10A、15A、20A、30A、40mA、50A、60A、70A、または100A以下になり得る。電源は、本明細書に説明される値のいずれかまたは本明細書に定められる範囲の最大値または最小値、を有する電流を供給し得る。無人航空機等の可動物体に電力を供給する電源からの電流は、パソコンまたはラップトップ等の別の電子装置に電力を供給するために使用される電流以上となる可能性がある。
【0045】
電源制御アセンブリは、多くの有用な特徴を有し得る。そして、電源制御アセンブリは、多くの有用な特徴を有する無人航空機の一部と相互作用できるように、あるいはその一部に組み込まれるように構成することが可能である。また、コネクタは電源を別の電源へ差込むことを容易にできる。例えば、電源はバッテリーを充電できる外部電源に接続され得る。また、他の実施形態においては、電源レベルチェッカが装置に統合されている。電源レベルチェッカは、マルチメーターまたは別個の電源レベル検出器装置を使用せず、ユーザーが所望するときにいつでも電源の電量レベルを表示できる。例えば、ユーザーからの要求時または連続的に電源レベルを示す視覚インジケータを実現し得る。また、電源を電源制御アセンブリの中に統合することが可能であり、短絡保護と高電流レベルに対する保護の点において、以前よりも安全な設計とすることができる。
【0046】
また、電源制御アセンブリを、電源に残っている電力の量を以前よりも正確に推定できるように設計できる。以前の設計では、多くの場合、単に電圧を測定することでバッテリーレベルを推定する。しかし、無人航空機が飛行中であるとき等、電力を供給される装置が動作中であるとき、モータ旋回時に電圧が大きく降下し、電圧に基づいた測定が不正確なものとなる可能性がある。対照的に、本明細書で開示されている電源システムは、消費される総エネルギーを監視することによって残りのバッテリー電力を測定するため、より正確なバッテリーレベルを表示できる。
【0047】
また、本発明による電源制御アセンブリは、以前の設計よりも容易に再充電することができる。また、平衡回路と保護回路は、電源制御アセンブリ内部で統合される。平衡回路と保護回路を含んだ電源制御アセンブリは、バッテリー等、電源とパッケージ化されてよい。例えば、電源と電源制御アセンブリを部分的にまたは完全にハウジング内に封入してよい。この場合、ユーザーは、電源と電源制御アセンブリを含む電源パッケージに充電器を接続するだけでよい。電源が直列と並列でいくつのセルを有するか、という点に留意する必要性はない。
【0048】
また、本発明によれば、耐久性を改善した電源を実現することができる。本明細書に説明される電源は、保護のために1つ以上のバッテリーセルをフレーム内に設けることができる。従って、電源を落とす際にバッテリーセルに損傷を与えることを無くすることができる。
【0049】
また、本発明に関わる電源は、差し込まれていないままであるとき、その電荷を消耗させない。そして、電源パッケージ内部の低電圧保護回路は、電荷が一定の閾値より低くなった場合、電源と装置の少なくとも一方をオフにする。
【0050】
また、本発明に関わる電源と電源制御アセンブリによって電力を供給される無人航空機は、長時間飛行と長距離飛行の少なくとも一方を実現できる。例えば、無人航空機は少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも35分、少なくとも45分、少なくとも60分、少なくとも90分、少なくとも120分、少なくとも150分、または少なくとも180分の間飛行できる。無人航空機が飛行できるこのような時間は、電源が完全に充電された後の連続飛行の期間を含んでよい。また、無人航空機は少なくとも0.5マイル、少なくとも1マイル、少なくとも2マイル、少なくとも3マイル、少なくとも4マイル、少なくとも5マイル、少なくとも6マイル、少なくとも7マイル、少なくとも8マイル、少なくとも9マイル、少なくとも10マイル、少なくとも12マイル、少なくとも14マイル、少なくとも16マイル、少なくとも18マイル、少なくとも20マイル、または少なくとも30マイルの距離を飛行できる。無人航空機が飛行できるこのような距離は、電源が完全に充電された後の連続飛行の距離を含んでよい。
【0051】
また、他の実施形態では、電源回路は、電力測定装置と表示装置をさらに含む。電力測定装置は、電源に電気的に接続され、電源の残りの容量を計算する。表示装置は、電力測定装置に電気的に接続され、電源の残りの容量のパーセンテージを表示する。
【0052】
電力測定装置は電流サンプリング装置を含み得る。電流サンプリング装置は、電源の放電中に電流を収集する。電力測定装置は、電流サンプリング装置によって収集される電流を収集し、その電流に基づいて電源の残りの容量を計算する。
【0053】
表示装置は複数のインジケータライトを含み得る。電力測定装置は、電源の総容量で電源の残りの容量を除算して、残りの容量のパーセンテージを得る。また、他の実施形態によれば、同時に点灯しているインジケータライトの数が、電源の残りの容量のパーセンテージを示すようにできる。そして、点灯していないインジケータライトは、使用された、あるいは放電された電源のパーセンテージ容量を示すようにできる。
【0054】
電源パックは、残りの容量の情報と電源の電圧情報へのアクセスを提供するインタフェースを含み得る。
【0055】
制御装置は、電源、電子スイッチ、入力装置、及び表示装置に電気的に接続され、電源制御システムの一部として提供され得る。
【0056】
電源パックはハウジングを含んでよい。ハウジングは、一方の端部にある開口部を有する底部部材とカバー部材を含み得る。カバー部材は、底部部材の開口部を密閉し、電源は底部部材に置かれる。電子スイッチ、入力装置、電力測定装置、及び表示装置は、すべて回路基板上に置かれる。
【0057】
本発明による実施形態では、電力供給対象設備(例えば、航空機)とバッテリーを備える航空機(例えば、無人航空機)等の可動物体を含んでよく、電力供給対象設備はバッテリーに電気的に接続される。
【0058】
本発明による電源システムでは、電子スイッチを使用して電力を制御する。従って、電源オン時に火花が発生することを回避することができ、電源を正常な状態で使用し、航空機の安全性を確保することができる。
【0059】
図1には、可動物体100(例えば、無人航空機等の搬送機)等の電力を供給される物体が、本発明の実施形態に従って示されている。
図2、
図3、
図4、及び
図5には、本発明に関わる電源パックの例が示されている。
【0060】
本発明に関わる可動物体と電源パックは、電源電力表示と放電制御を有し得る。
図1は、可動物体、及び、以下に詳細に説明される多様なパーツを有する電源パックのブロック図である。
図1において、電源パックは、バッテリーまたはバッテリーパック21、電流サンプリング抵抗器221a、電力MOSFET電子スイッチ220、ボタン221、4つのLED電力インジケータライト223、マイクロコントローラユニット(MCU)222b、及びバッテリー外部インタフェース10を備えている。
【0061】
電源は、可動物体または可動物体の一部、可動物体の1つ以上の推進装置に電力を供給するために提供され得る。例えば、電源は、無人航空機の1つ以上のロータに電力を供給することができる。ロータは無人航空機に揚力を与え、無人航空機は飛行することができるようになる。電源は、可動物体の1つ以上の通信システム(例えば、遠隔制御装置との通信システム)に電力を供給し得る。電源は、可動物体の一部または可動物体に結合される支持機構に電力を供給し得る。電源は、バッテリーまたはバッテリーパックを含み得る。バッテリーまたはバッテリーパックは1つ以上のバッテリーセルを含んでよい。バッテリーセルは電気化学セルであってよい。バッテリーは、好ましくは二次(再充電可能な)バッテリーであってよい。また、バッテリーは一次(使い捨ての)バッテリーであってもよい。既知の技術または後に開発される任意のバッテリーの化学的性質を有するバッテリーが使用され得る。ある実施形態においては、バッテリーは鉛酸蓄電池、密閉形鉛酸蓄電池(例えば、ゲルバッテリー、吸収ガラスマット電池)、ニッケル‐カドミウム(NiCd)電池、ニッケル‐亜鉛(NiZn)電池、ニッケル水素(NiMH)電池、またはリチウムイオン(Li-ion)電池であってよい。バッテリーセルは直列で、並列で、またはその任意の組合せで接続され得る。バッテリーセルは単一の単位としてまたは複数の単位として互いにパッケージ化され得る。
【0062】
また、MOSFET電力要素220は、バッテリー21の出力を制御するための装置として使用される。他の実施形態では、任意の電子スイッチがバッテリーの出力を制御するために使用され得る。電子スイッチは、バッテリーの充電と放電を制御するために固体電子工学を利用して実現され得る。また、電子スイッチは、可動部品または電気機械装置(例えば、可動部分付きの従来のリレーまたはスイッチ)の少なくとも一方を利用していない。また、電子スイッチの電子回路または他の電荷担体は、ソリッドデバイスに制限されている。また、電子スイッチは、2進状態(スイッチオンまたはスイッチオフ)があってよい。電子スイッチを使用すると、電源パックまたは可動オブジェクトの少なくとも一方を損傷させる可能性がある火花の発生を防ぐのに役立つことがある。電子スイッチは、バッテリーまたはバッテリーパックの、充電または放電の少なくとも一方を制御するために使用され得る。
【0063】
ボタン221は電子スイッチの状態を制御するために使用され得る。任意のタイプの入力装置がボタンの代わりに使用可能である。入力装置は、ボタンスイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーであり得る。入力装置は2進状態(例えば、オンまたはオフ)、または3つ以上の状態であってよい。また、ユーザーは、入力装置に直接入力することも可能である。例えば、ユーザーは、(ボタンを押す、スイッチをオンにする、ノブもしくはダイヤルを回す、タッチスクリーン等のタッチインタフェースに触れる、またはマイクに話すなど)手動で入力装置を操作し得る。また、入力装置はユーザー入力を示す信号を受信し得る。例えば、ユーザーは、入力装置に信号(例えば、有線信号または無線信号)を中継できる遠隔制御装置を操作してよく、入力装置は同様に電子スイッチの状態を制御し得る。例えば、入力装置は電子スイッチと通信して、電子スイッチのスイッチオン状態またはスイッチオフ状態を制御し得る。他の実施形態では、入力装置を、ユーザー入力と電子スイッチ制御との間のインタフェースとして使用し、電源の放電を選択的に生じさせることも可能である。
【0064】
MCU222bは、全体的な機能性を達成する制御装置である。MCU222bは、例えばボタン入力221等の入力装置に接続され、ユーザーが、例えばMOSFET220等の電子スイッチをオンにするつもりなのか、それともオフにするつもりなのかを判断することができる。MOSFET220のオンまたはオフは、MCU222bからの信号によって制御できる。また、他の実施形態では、MCUは入力装置から入力を受け取り、その入力を使用して信号を生成し、電子スイッチの状態を制御してもよい。
【0065】
負放電回路では、電流サンプリング抵抗器222a(例えば、約0.01Ω)を使用して、充電プロセスと放電プロセスの間に電流を取り込むことがある。MCU222bは高周波で電流信号を取り込み、統合プロセスを使用して電源容量を計算できる。バッテリー電流サンプリング周波数が低いとき、計算されるバッテリー容量の精度は低減する可能性がある。一方、バッテリー電流サンプリング周波数が高いとき、計算されるバッテリー容量の精度は向上する可能性がある。ある実施形態では、バッテリー電流サンプリング周波数は約0.3Hz~約‐100kHzであってよい。例えば、バッテリー電流サンプリング周波数は約0.3Hz、0.5Hz、1Hz、2Hz、3Hz、5Hz、7Hz、10Hz、15Hz、20Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、75Hz、100Hz、200Hz、500Hz、1kHz、2kHz、3kHz、5kHZ、10kHz、20kHz、50kHz、75kHz、または100kHz以上であり得る。また、バッテリー電流サンプリング周波数は約10Hz、15Hz、20Hz、25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、75Hz、100Hz、200Hz、500Hz、1kHz、2kHz、3kHz、5kHz、10kHz、20kHz、50kHz、75kHz、100kHz、または200kHz以下であり得る。
【0066】
また、他の実施形態では、電源のレベルは、電源容量のパーセンテージとして示すことが可能である。電源容量のパーセンテージは、残存する電力容量の容量を合計電源容量で除算することによって算出される。また、他の実施形態では、電源容量は、残存連続使用時間(例えば、電源が特定の放電レートで放電を続行できる時間の長さ)等の他の用語で表され得る。放電レートは現在の放電のレート、過去の放電のレート、ある期間にわたる放電の平均レート、または放電の任意の他のレートであり得る。
【0067】
また、電力レベル表示装置が提供されてもよい。例えば、複数のインジケータライトが提供されてよく、点灯しているライトの数が残存している電源容量のパーセンテージを示すようにしてよい。点灯していないライトの数は、使用済みまたは放電された電源容量のパーセンテージを示すようにしてよい。また、任意の数のインジケータライトを使用して、確立できるパーセンテージ範囲の精度を決定できるようにしてよい。例えば、4つの電力インジケータライトを使用し、残存電力レベルが25%範囲内であることを示し得る。5つの電力インジケータライトを使用し、残存電力レベルが20%範囲内であることを示し得る。そして、N個の電力インジケータライトが使用し、残存電力レベルが100/Nパーセント範囲内であることを示すようにしてよい。他の実施形態では、4つのLED電力インジケータライト223は、バッテリー電力の近似パーセンテージを示す。例えば、4つの点灯しているライトは、バッテリーの75%から100%の電力が残っていることを表し、3つの点灯しているライトは、バッテリーの50%から75%の電力が残っていることを表し、2つの点灯しているライトは、バッテリーの25%から50%の電力が残っていることを表し、1つの点灯しているライトは、容量の0%から25%の電力が残っていることを表すことができる。このようにして、ユーザーは現時点でのバッテリー容量を概算できる。他の実施形態では、他のタイプの電力レベルインジケータが提供されてよい。例えば、電力レベルを示す数値を出力してもよい。例えば、電力レベル表示装置は、電力レベルの83%が残っているときに83%という数値を表示し、または範囲(例えば、電力レベルの83%が残っているときに80~90%)を示すこともあり得る。この場合、色、棒、レベル、線グラフ、アイコン等の他のグラフィックインジケータを使用して、電力レベルを視覚的に表示してもよい。
【0068】
バッテリーの外部に通る光ガイド部材を使用してバッテリーインジケータLEDライトを位置決めし、ユーザーフレンドリな操作を実現することが可能となる。バッテリーインジケータLEDライトは順番に番号を付けることができる。光ガイド部材を介してバッテリーの外部にLEDライトを設け、ユーザーの観察を容易にすることができる。
【0069】
電力レベルを連続的に表示させ、ユーザーが任意の瞬間に電力レベルを見ることができるようにしてもよい。また、ユーザーは(電力レベルを点灯させるボタンを押す、ユーザーが電力レベルを表示させる音声コマンドを提供する、運動センサーがユーザーの存在を検出し、電力レベルを表示させるなどにより、)電力レベルを示す信号を見ることにより電力レベルを確認することが可能である。電力レベルは、電源パックまたは電源パックによって電力を供給される物体の外面に表示され得る。例えば、ユーザーは無人航空機の外部部分を見て、無人航空機の電源に残っている電力レベルを確認し得る。ユーザーは、電力レベルを見るために他のどのような外部装置も使用する必要がない。また、ユーザーは無人航空機のいずれの部分も分解することなく電力レベルを確認し得る。電力レベルインジケータは電源パックの内部に内蔵され得る。電力レベルは、電源パックが接続されるかまたは無人航空機に設置されるときに電源パックに表示され得る。また、他の実施形態では、電源パックが無人航空機に接続されていないまたは無人航空機に設置されていないときにも、電力レベルが電源パックに表示されるようにしてもよい。
【0070】
また、装置はデータ通信インタフェースを備えることもある。他の電子装置は、インタフェースを介して、現在のバッテリー容量情報、電圧情報、及び他の情報を入手できる。このような情報はバッテリー保護機能を提供するために使用可能である。
【0071】
図示されるように、放電制御と電力表示のための回路は1つの回路基板の中に形成できる。回路基板は、放電制御並びに電力計算及び電力表示に関連する機能のすべてを備え得る。例えば、MCUは回路基板上に設けられてもよく、回路基板によって支えられてもよい。電源と回路基板は同じハウジング内に置くことができる。入力装置を、例えばボタンとして電源パック表面(例えば、電池またはバッテリーセルの表面)に設けると、ユーザーはそれを操作することができる。
【0072】
図1、
図2、
図3において、可動物体100は電力を供給される装置10と電源パック20を備えている。電力を供給される装置10と電源パック20は、互いに電気的に接続可能である。また、その他の実施形態では、電力を供給される装置10は、入力インタフェース11を備えてよい。電源パック20は、入力インタフェース11に電気的に接続され、装置10に電力を供給することができる。本実施形態において、可動物体100は、無人航空機等の航空機であってよい。
【0073】
電源パック20は、電源21、電源回路22、及びハウジング23を含み得る。電源回路22は、電源21に電気的に接続されてよい。また、他の実施形態では、電源回路は電源に機械的に接続されてもよい。電源21は、電源回路22を介して放電する。電源回路22は、電子スイッチ220、入力装置221、バッテリー試験装置222、表示装置223、インタフェース224、及び制御装置225を含んでよい。
【0074】
電源21は、リチウム電池等の任意のタイプのバッテリー、または本明細書の他の箇所で説明される任意の他のタイプのバッテリーを含み得る。また、他の実施形態では、電源21は、電源パックまたは他のタイプの無人航空機バッテリーの形をとってもよい。電源21は、電極1、2、3、及び4を含んでよい。この場合、電極1と2は正極であり、電極3と4は負極である。電源は1つまたは複数の正極と1つまたは複数の負極を含み得る。また、他の実施形態では、同数の正極と負極が設けられてよい。電極の内の1つ以上は電子スイッチ、マイクロコントローラユニット、電圧調整器、検電器、または分流抵抗器に直接的にまたは間接的に電気的に接続され得る。
【0075】
インタフェース224を使用すると、電源の現在残存する容量または電圧の少なくとも一方の信号を取得できる。本実施形態において、インタフェース224は、電源21の電極1と電極4との間に直列で接続される。他の電子装置は、インタフェース224を介して電源21の現在の容量情報、電圧情報、及び他の情報を入手でき、バッテリーを保護するためにその情報を使用できる。
【0076】
コネクタインタフェース224は、入力インタフェース11と電気的に通信可能である。これは、電力を提供される装置10との電気的な接続または電気的な通信の少なくとも一方を提供し得る。他の実施形態において、電源パックは、可動物体の中に挿入し得る(もしくは取り付け得る)、あるいは、可動物体から取り除き得る自己内蔵型パッケージであってよい。異なる電源パックは交換され得る。可動物体の中に電源パックを挿入した場合、(または可動物体に電源パックを取り付けた場合)に、自動的に電気接続部が互いに接触するように構成すると、電源が可動物体上の電力を供給される装置に電力を供給できる。
【0077】
電子スイッチ220は、電源21に電気的に接続され、電源21のオンまたはオフを制御することができる。本実施形態では、電子スイッチ220は、電力MOSFET、ソリッドステートリレー、電力トランジスタ、及び絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の内の何れかから選択可能である。具体的には、電子スイッチ220は、電源21の電極4とインタフェース224との間に直列で接続される。電子スイッチ220のソース221は、電極4と直列である。電子スイッチ220のドレイン220bは、インタフェース224と直列で接続される。電子スイッチ220のゲートは、マイクロコントローラ220cによって制御される。電力供給対象装置10の入力インタフェース11は、インタフェース224を介して電源21に電気的に接続される。また、その他の実施形態では、電子スイッチ220は、他の形の機械的なリレーまたは非機械的な接点スイッチを使用可能である。
【0078】
入力装置221は、電子スイッチ220に電気的に接続され、電子スイッチ220のスイッチオン状態とスイッチオフ状態を制御できる。入力装置221は、キースイッチ、機械スイッチ、ポテンショメーター、またはセンサーを含み得る。センサーを使用する場合、センサーは、圧力センサー、気圧センサー、近接センサー、静電センサー、容量タッチセンサー、または他の検知装置であり得る。本実施形態では、入力装置221はキープレススイッチを使用する。
【0079】
電力測定装置222は、電源21に電気的に接続され、電源21の電力を計算する。本実施形態では、電力測定装置222は電流サンプリング装置222aを含む。電流サンプリング装置222aは、電源21の放電中に電流を収集するように構成され得る。電力測定装置222は、電流サンプリング装置222aによって収集された電流を取得する。取得された電流は積分され、電源21の現在の残存電力が計算される。特に、電力サンプリング装置222aは0.01Ω抵抗器である場合がある。電流サンプリング装置222aは、電極4とスイッチ220のソース221との間に直列で接続され得る。
【0080】
制御装置225は、電源21、電子スイッチ220、入力装置221、及び表示装置223に電気的に接続できる。本実施形態では、制御装置225はマイクロコントローラであってよく、制御装置225の電力電極VCCと負電極BAT-VCCは、それぞれ電圧調整器9を介して電源21の電極2と3に電気的に接続される。制御装置225のSDAピンとSCLピンは、インタフェース224に電気的に接続され、電源21の収集された現在残存する容量と電圧を表す信号をインタフェース224に送信する。制御装置225のADピンは、フィルタ増幅器8を介して電流サンプリング装置222aと電子スイッチ220のソース221との間で接続され、電流サンプリング装置222aの電流信号を高周波数で収集する。制御装置225のIO4ピンは、MOSドライバ7を介して電子スイッチ220のソース221と直列で接続され得る。制御装置225のIO5ピンは、入力装置221に電気的に接続できる。制御装置225のIO0ピン~IO3ピンは、表示装置223に電気的に接続できる。入力装置221は、制御装置225に信号を送信することによって電子スイッチ220のスイッチオンまたはスイッチオフ状態を制御する。また、他の実施形態では、制御装置225を省略できる。電力供給対象装置10は、電源21と電子スイッチ220に直接的に接続できる。電子スイッチ220のゲート220cは、入力装置221と直列で直接的に接続される。
【0081】
表示装置223は、電力測定装置222に電気的に接続され、電源21の現在残存する電量のパーセンテージを表示する。表示装置223は、複数のインジケータライト(不図示)を含む。また、電力測定装置223は、電源の現在残存する容量を電源の総容量で除算し、現在残存する電量のパーセンテージを取得する。同時に点灯しているインジケータライトの数は、電源の現在残存する容量のパーセンテージを示す。具体的には、本実施形態において、表示手段223はLEDライトである4つの電力インジケータを含む。1つのライトが点灯している場合、残りの電量のパーセンテージが25%であることを示す。電力インジケータライトのすべて4つがオンである場合、バッテリー20には75%~100%の電量が残っていることを意味する。3つのインジケータライトが点灯している場合、バッテリーには50%~75%の電量が残っていることを意味する。2つのインジケータライトが点灯している場合、バッテリーには25%~50%の電量が残っていることを意味する。インジケータライトが1つ点灯している場合、バッテリー20には0%~25%の電量が残っていることを意味する。これによって、ユーザーは、バッテリーにどのくらい多くの電量が残っているのかを大まかに理解できる。
【0082】
本発明の他の実施形態では、表示装置223は、現在の残りの電量をパーセンテージで表示するためのLCDモニタまたは他の表示装置を含む。
【0083】
ハウジング23は、底部ケーシング23aとカバー部材23bを含む。底部ケーシング23aは、2つの半矩形ケーシング23cを接続することにより形成される。矩形ケーシング23dは、通気開口部を有する。電源21は、底部ケーシング23aの底部に置かれる。カバー部材23bは、底部ケーシング23の開口部を密閉する。電子スイッチ220、入力装置221、電力測定装置222、表示装置223、及びインタフェース224は、回路基板5上に固定される。回路基板5は、固定プレート4を介して電源21に接続される。バッテリー20は、表示装置223に光を容易に誘導するために、光ガイドモジュール4をさらに含む。光ガイドモジュール4は、透明なアクリル樹脂材料から作られ、カバー部材23bのスルーホールを通過し、カバー23bに固着され、表示装置223のインジケータライトからの光がカバー23bを通過できるようにする。
【0084】
本発明は、バッテリーの電源オンまたは電源オフを制御するために電子スイッチを使用し、それによって電源オンプロセス中に火花が発生することを回避し、バッテリーの正常な使用と航空機の安全性を保証する。バッテリー20は、入力装置221を容易に操作するために、プッシュボタン3をさらに含む。
【0085】
本明細書に説明されるバッテリーは、バッテリーの現在の容量を計算及び表示し、電池の現在の容量へのアクセスの問題を解決できる。さらに、バッテリーはインタフェースを備えることができ、これによって他の電子設備は、インタフェースを使用してバッテリーの現在のステータスを取得し、(バッテリー保護などの)追加の機能を実現することができる。
【0086】
図2は、本発明の実施形態に係る電源パック20の斜視図を示す。電源パックは、電源または電源回路の少なくとも一方を部分的にまたは完全に封入し得るハウジングを有し得る。電源パックは、無人航空機等の可動物体の一部の中に挿入されるか、可動物体から分離されるか、少なくともどちらか一方を可能にする自己内蔵型パッケージであってよい。底部ケーシング23aは、ハウジングの部分として提供され得る。また、底部ケーシングは、可動物体の中に挿入されてもよく、挿入時に露呈されない。また、その他の実施形態では、電源パックは、カバー部材23bを有し得る。カバー部材23bは、電源パックが可動物体に挿入か接続される場合に、露呈されたままとなり得る外部表面または側面を形成することができる。カバー部材23bは、インジケータライト等の1つ以上の電力レベルインジケータまたはボタン等の入力装置221の少なくとも一方を有し得る。また、その他の実施形態において、電力レベルインジケータは、ユーザーが電源のレベルを容易にチェックできるように可視のままであってよい。入力装置は、ユーザーが電源パックを調整することなく入力装置を操作できるようにアクセス可能なままであり得る。
図3は、電源パックの分解図である。
図4は、電源パックのカバー部材を示す図である。
図5は電源パックの平面図である。
【0087】
また、他の実施形態では、電源パックは低重量であり得る。これは、無人航空機等の可動物体用途に有利であり得る。一例では、電源パックの重量は約1グラム、5グラム、10グラム、15グラム、20グラム、25グラム、30グラム、35グラム、40グラム、45グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、100グラム、120グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、330グラム、340グラム、350グラム、375グラム、400グラム、450グラム、500グラム、600グラム、または700グラム未満であり得る。また、他の実施形態では、電源回路の重量を加えた電源パックのハウジングは、約1グラム、5グラム、10グラム、15グラム、20グラム、25グラム、30グラム、35グラム、40グラム、45グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、または100グラム未満であり得る。また、電源回路を加えた電源の重量は、1グラム、5グラム、10グラム、15グラム、20グラム、25グラム、30グラム、35グラム、40グラム、45グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、100グラム、120グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、330グラム、340グラム、350グラム、375グラム、400グラム、450グラム、または500グラム未満であり得る。電源パックのハウジングの重量は、約1グラム、5グラム、10グラム、12グラム、15グラム、17グラム、20グラム、25グラム、30グラム、35グラム、40グラム、45グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、または100グラム未満であり得る。電源回路を加えた電源パックのハウジングの重量と電源パックの重量の割合は、約1:50、1:40、1:30、1:20、1:15、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、または1:3以下であり得る。電源パックはMCUを含んでよい。MCUの重量は、約0.01グラム、0.05グラム、0.1グラム、0.5グラム、0.7グラム、0.8グラム、0.9グラム、1グラム、2グラム、3グラム、5グラム、7グラム、10グラム、15グラム、または20グラム以下であり得る。
【0088】
また、他の実施形態では、電源パックは可動物体に結合され得る。可動物体は軽量であり得る。例えば、可動物体は無人航空機であってよい。無人航空機は、無人航空機またはバッテリーの少なくとも一方が軽量であれば、そのバッテリー寿命をより長くすることが可能である。可動物体の重量は、人間が片手または両手で運ぶことができる程度であり得る。また、他の実施形態では、無人航空機等の可動物体の重量は約100グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、500グラム、750グラム、1kg、1.1kg、1.2kg、1.3kg、1.4kg、1.5kg、1.7kg、2kg、2.5kg、3kg、4kgまたは5kg未満であり得る。また、他の実施形態では、可動物体の重量は約10グラム、50グラム、100グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、400グラム、500グラム、750グラム、1kg、1.1kg、1.2kg、または1.3kgを超えてよい。可動物体の重量は、電源の重量を含んでも含まなくてもよい。電源の重量は、約1グラム、5グラム、10グラム、15グラム、20グラム、25グラム、30グラム、35グラム、40グラム、45グラム、50グラム、60グラム、70グラム、80グラム、90グラム、100グラム、120グラム、150グラム、200グラム、250グラム、300グラム、330グラム、340グラム、350グラム、375グラム、400グラム、450グラム、または500グラム以下であり得る。電源重量と可動物体重量の割合は、約1:30、1:20、1:15、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、または1:2以下であり得る。電源パック重量と可動物体重量の割合は、約1:30、1:20、1:15、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、または1:2以下であってよい。電源回路を加えた電源ハウジング重量と可動物体重量の割合は、約1:100、1:70、1:50、1:40、1:30、1:20、1:15、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、または1:4以下であり得る。
【0089】
図6において、搬送機(例えば無人航空機)等の可動物体300が、本発明の他の実施形態として示されている。可動物体300は、他の実施形態の可動物体100に類似し得る。また、電力供給対象装置310は、電子スイッチ320と電源321の電極301との間に直接的に接続されてもよい。電子スイッチ320は入力装置321によって直接的にまたは間接的に制御されてよい。
【0090】
本発明に関わる電源パックは、多機能回路基板を備えることができる。回路基板の設計により、多くの特徴を得ることができる。
図7において、システム回路図面の概略図が示されている。左のBATT1 705、BATT2 710、BATT3 715は、3つの別々のバッテリーコア、点線部分は外部充電器720、DR1は電力を供給される電気設備725であってよい。残りの部分は電源パックの多機能回路基板の回路図面であってよい。電源が所与の瞬間に、電気設備または充電器にだけ接続できるように電源パックを設計することができる。例えば、電源パックは所与の瞬間において、可動物体に接続され得るか充電器に接続され得るかのどちらかである。あるいは、電源パックが可動物体に接続される一方で、充電器にも接続され得るように構成してもよい。
【0091】
回路基板は制限なく使用でき、以下に示す9つの機能の中で、任意の1つ以上の機能を実行できる。(a)放電制御、(b)電荷計算、(c)電量パーセンテージの表示、(d)短絡保護、(e)過充電保護、(f)過剰放電保護、(g)コア電圧平衡、(h)他の装置との通信、及び(i)充電温度保護。次に、回路基板の9つの機能のそれぞれについて、追加の説明を示す。ある実施形態において、回路基板は、以下に説明する9つの機能の中で、1つ以上の機能を実行し得るマイクロコントローラユニットを含み得る。また、他の実施形態において、マイクロコントローラユニットは、説明される機能の内の2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、または9つすべてを実行し得る。例えば、マイクロコントローラユニットは、(a)放電制御(b)電荷計算、(d)短絡保護(e)過充電保護、(a)放電制御(c)電量パーセンテージの表示、(a)放電制御(d)短絡保護、(a)放電制御(e)過剰放電保護、または制限されない9つの機能の任意の組合せを実行できる。
【0092】
また、回路基板を使用して放電を制御できる。
図7において、回路基板は、ボタンS1730、プロセッサMCU 735、放電制御MOSFET Q1 740、及び電荷制御MOSFET Q2 745を備えている。オフ状態で、Q1は閉じられ、Q2は開いている。放電制御のプロセスは以下のようになり得る。マイクロコントローラユニットが、キーS1が押されたと検出すると、マイクロコントローラユニットは、S1からの信号に基づいてユーザーがバッテリーをオンにすることを希望しているかどうかを判断する。はいの場合、次にマイクロコントローラユニットはQ1とQ2を制御する。この場合、電池パックの負極は電気設備の負極に接続され、電気設備が作用可能となる。すなわち、バッテリーは外部出力を開始する。逆に、マイクロコントローラユニットが、S1からの信号に基づいて、ユーザーがバッテリーをオフにすることを希望していると判断すると、マイクロコントローラユニットは、バッテリーと電気設備との間の負のワイヤを遮断するためにQ1を閉じ、電気設備はその動作を停止する。
【0093】
また、回路基板を使用して、電荷を計算できる。バッテリー電荷は、バッテリーが出力できる総電荷を示し、多くの場合アンペア-時の単位で表される。電流サンプリング回路を使用して、バッテリー内部の電荷を測定できる。
図7において、抵抗器R10 750はセンサーであり、負の電極線路に沿った電流のサイズをサンプリングする。マイクロコントローラユニットは、アナログ信号をデジタル信号に変換するためのモジュールを含むことがある。AD4 755はアナログ―デジタル変換モジュールの入力ピンである。AD4は、抵抗器の電圧を収集し、電圧と電流との関係性に従って電流を計算できる(つまり、I=V/Rであり、この式でIは電流であり、Vは電圧であり、Rは抵抗である)。電荷と電流の関係性はQ=I
*tである。この式において、Qは電荷、Iは電流、tは時間である。マイクロコントローラユニットは、例えばt時間毎に信号を周期的に収集できる。充電プロセスまたは放電プロセスの間の電荷の変化は、Q
1=ΣI
*tである。元のバッテリー容量がQ0であると仮定すると、電荷はQ=Q
1+Q
0である。バッテリー容量がQ
ALLである場合、電流電荷のパーセンテージはP=Q
ALL/Qである。
【0094】
また、回路基板を使用して、電量パーセンテージを表示できる。多機能保護ボードは、現在残存している電量のパーセンテージを計算できる。ある実施形態において、電量情報はユーザーに表示される。MCU735が、S1 730からの信号に基づいて、ユーザーが電量のチェックを希望していることを検出すると、マイクロコントローラユニットは、LEDライトD1~D4 760のオンとオフの少なくとも一方を制御し、現在の電荷の範囲を示すことができる。例えば、最も左のLEDライトが点灯していると、約25%の電量が残っている。最も左の2つのライトが点灯していると、約50%の電量が残っている等である。したがって、ユーザーはLEDライトのステータスを見ることによって残り電量のパーセンテージを確認できる。
【0095】
また、回路基板を使用して、短絡保護を実現できる。電源出力が短絡すると、電流は約100ampsと200ampsの間になり得る。したがって、電流が約100ampsよりも大きい場合に、短絡が発生する。閾値電流値が提供され得る(例えば、30amps、40amps、50amps、60amps、70amps、80amps、90amps、または100amps)。閾値電流値を超えた場合、電源放電は停止され得る。電子スイッチを使用して、電源放電を停止することができる。電源出力を停止することにより、火災、爆発、またはバッテリー短絡により引き起こされる他の問題の発生を防止することができる。ある実施形態が示されている
図7において、抵抗器R10 750は、負電極線路に沿って電流を収集するために使用され、AD4 755は電流信号を、MCU 735が処理できるようなデジタル信号に変換できる。AD4が、電流が所定の電流を超えていることを検出すると、マイクロコントローラユニットはバッテリーを保護するためにQ1 740を閉じる。
【0096】
また、回路基板を使用して、過充電保護を実現できる。バッテリーは、過充電されると非常に早く劣化することがある。過充電を示す最も直接的な表現の1つは、所与のコアの電圧が同じタイプのバッテリーの最大電圧よりも高いことである。この場合、コアを保護するためにコアの充電は停止される。
図7に示すように、AD1 760、AD2 765、AD3 770は、各それぞれのバッテリーコアの電圧から計算できる。そして、所与のバッテリーコアの電圧が所定の電圧よりも高い場合、MCU 735は、Q2 745を閉じて、充電を停止できる。
【0097】
また、回路基板を使用して、過剰放電保護を実現できる。バッテリーは、一定の電圧以下で放電されると(つまり、過剰放電)、非常に早くに劣化することがある。バッテリーは、バッテリーの電圧が過剰放電電圧に達すると停止できる。
図7に示すように、AD1
760、AD2 765、AD3 770は各セル/コアの電圧を検出できる。そして、所与のバッテリーの電圧が過剰放電電圧に達すると、MCU 735は、Q1 740を閉じて外部バッテリーの出力を遮断し、バッテリーを保護する。
【0098】
また、回路基板を使用して、セル電圧平衡を実現できる。各セルはわずかに異なるパラメーターを有するため、特にその使用が長引いた場合、各セルの電圧は不一致となり得る。この場合、バッテリーは徐々に激しく不均衡となり、バッテリー容量の降下またはバッテリーの総放電電圧の低減の少なくとも一方が発生し、バッテリーの性能に著しく影響を及ぼすことがある。各セルの電圧は妥当な範囲内で制御することで、セル電圧平衡を実現できる。
図7に示すように、ADI 760、AD2 765、及びAD3 770はそれぞれ各セルV1、V2、及びV3の電圧を測定できる。V1、V2、またはV3が一定の値を超えると、所与のセルはその電圧を他のセルの電圧と同様になるように低減させる。そして、他のセルを放電することなく、所与のセルは、バッテリーに接続されたトランジスタと抵抗器を介して放電し、それによってバッテリー間の平衡を実現する。
【0099】
また、回路基板を使用して、他の装置との通信を実現できる。通信インタフェースは、バッテリーパック、SDA 775及びSCL 780のために外部装置と通信するためにセットアップできる。これは、標準的なI2C通信インタフェースのセットであり得る。通信インタフェースは、(例えば、他の装置がリアルタイムでバッテリーの現在の状態を判断できるように)バッテリーの電荷、電力のパーセンテージ、電流、電圧、温度、及び他の情報を他の装置に送信できる。
【0100】
また、回路基板を使用して、充電温度保護を実現できる。バッテリーのための最適充電温度は摂氏0度から摂氏45度に及ぶ。この許容温度範囲外で電池を充電すると、電池にゆっくりと損傷を与えることがある。したがって、
図7に示すように、温度センサーRT1 785は、周囲温度を測定して、電圧変化に応じた温度変化を表す。電圧は、AD5
790によって収集され、MCU 735によって温度に変換される。マイクロコントローラユニットによって検出される温度が許容充電温度範囲外になると、マイクロコントローラユニットは、Q2 745をオフにして充電を停止する。
【0101】
マイクロコントローラユニットは、プレスキー入力信号を収集できる。ユーザーによる誤ったトリガを防止するための仕組みが提供され得る。電池が停止されると、マイクロコントローラユニットは対応するIOピン795を介して電子スイッチ(例えば、MOSFET)のスイッチオフを制御できる。キーが初めて押されると、マイクロコントローラユニットはバッテリー電力を示すためにLEDライトを制御できる。キーが2秒以内に再び押され、少なくとも2秒間押されたままとなると、マイクロコントローラユニットは、ユーザーがバッテリーをオンすることを望んでいると判断できる。したがって、マイクロコントローラユニットはMOSFETに接続された対応するIOピンを介してMOSFETを出力状態に制御できる。それに応じて、バッテリーは放電を開始する。また、これを実施する場合、300グラムのバッテリーに約20グラムが追加される。
【0102】
(
図7に示すように、)バッテリーが装着された電子装置は、バッテリー放電用の制御要素(つまり、ソリッドステートリレーの同等物)としてパワーMOSFET等の電子スイッチを使用できる。ソリッドステートリレーは無接点リレーであるので、オンまたはオフ状態切替えプロセスの間に火花を発生させない。また、電子装置は、ボタン、入力要素、及びコンピュータプロセッサも備える。ユーザーはボタンを使用して操作情報を入力できる。プロセッサによって収集制御される信号は、MOSFETのオンまたはオフを制御するために使用され、バッテリー放電を制御できる。スイッチと他の類似する要素は、MOSFETのオンまたはオフを直接的に制御し、火花を発生させずに電源をオンにできる。
【0103】
このようなバッテリーを用いると、火花によるインタフェース場所の燃焼及び腐食、並びに結果的に生じる抵抗の増加及び接続不良に関連する問題が発生することを防ぎ、システムは安定した電源を提供できる。
【0104】
図8は、電源を操作するための方法を示すフローチャートである。方法は、805で始まり、810では、入力装置(例えば、ボタン)から制御信号が得られる。815では、伝えられた制御信号がオン信号であるのかオフ信号であるのかが判断される。制御信号がオンまたはオフ信号である場合、820で、電子スイッチのオンまたはオフ状態は変更される(例えば、オフからオンへ、またはオンからオフへ)。電子スイッチのオンまたはオフ状態が変更され後、825で、電源のオンまたはオフ状態を変更する。805で入力装置から別の制御信号が得られるまで方法は継続され、830で終了する。制御信号がオンまたはオフ信号ではないと判断されると、次に835において、制御信号がインジケータ信号(例えば、電源の電量レベルを表示することを望む信号)であるかどうかが判断される。制御信号がインジケータ信号ではない場合、方法は830で終了する。制御信号がインジケータ信号である場合、840でバッテリーの残りの電量を測定し、845でユーザーに(例えば、1つ、2つ、3つ、または4つのLEDライトを点灯することによって)残量を示す。
【0105】
電源システムは、1つ以上のモードで操作可能であり、複数の操作モードが電源システムに提示され得る。異なる操作モードは、電源パックによって異なる処置が必要とされる。ユーザーは、入力を提供して、異なる操作モードに切り替えることができる。入力は電源パックの入力装置に提供されてよい。例えば、ユーザーは電源パックのボタンを押下してよい。ボタンを押すと、電源パックの操作モードが切り替わる。入力は、ユーザーによって手動で且つ直接的に提供されてよい。他の例では、ユーザーは、電源パックの入力装置と通信し得る遠隔制御装置に入力を提供してもよい。入力は、入力装置を手動で操作する必要がないユーザーから間接的に提供されてもよい。ユーザー入力は、どの操作モードに切り替えるのかを示してよく、操作モードのシーケンスにおいて、次の操作モードに切り替えるための表示を提供してもよい。
【0106】
一つの実施形態では、複数の操作モードが電源システムで利用され得る。入力装置の押下等のユーザー入力を提供することによって、電源パックは一連の操作モードの次の操作モードへ循環し得る。また、電源パックの電源がオンにされる、あるいは最初に可動物体に接続される時に、デフォルトの操作モードが提供されてもよい。操作モードの所定のシーケンスが提供されてもよい。ユーザーはユーザー入力を提供することによってシーケンスで次の操作モードに進み得る。例えば、所定のシーケンスは、順番に循環してよい操作モードA、操作モードB、操作モードC、及び操作モードDを備え得る。電源システムが現在操作モードBの下で動作している場合、ユーザーからの入力は次の操作モードである操作モードCに進み得る。例えば、ユーザーは次の操作モードに移動するためにボタン入力装置を押下してよい。あるいは、所定のシーケンスが提供される必要がない、つまりユーザーは所望の操作モードを示す入力を提供することによって中間の操作モードを省略できることがある。例えば、ユーザーはオプションのメニュー(例えば、操作モードA、操作モードB、操作モードC、及び操作モードD)を提示され、オプションから所望の操作モードを選択できる。
【0107】
多様な操作モードは、あらゆる機能を含み得るが、例えば次のような機能を提供する。電源の電量レベルを表示させること。電源と電気的に通信する電子スイッチをオンもしくはオフにすることによって電源をオンにするかオフにすること。外部装置と通信し(例えば、外部装置に電源と関連付けられた状態情報を提供し、外部装置から情報を受信し)、入力信号を所定の信号パターンと比較すること。また、その他の実施形態では、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、または6つ以上の操作モードが提供されてよい。
【0108】
電源パックは、入力信号に応じて、異なる操作モード間で切り替わり得る。操作モードは、入力信号に応じて、電源と関連する複数の操作モードから選択され得る。いくつかの実施形態では、操作モードは、入力信号と関連付けられた特徴に基づいて切り替かえられるか、選択されてよい。例えばこの特徴は、入力信号の時間の長さを含み得る。別の実施形態において、この特徴は、入力信号で伝達されるデータを含み得る。また、この特徴は入力信号で提供されるパターンを含み得る。例えば、入力装置がボタンである場合、ボタンを一度迅速に押下することに対して長期間にわたってボタンを長押しすることは、異なる操作モードへの切り替わり、あるいは異なる操作モードの選択、を生じさせる異なる特徴となり得る。例えば、ボタンの迅速な押下により、操作モードは電源オンと電源オフとの間で切り替わるようにすることが可能である。また、長時間のボタンの長押しにより、電源の電量レベルが表示される、または非表示になるようにすることも可能である。
【0109】
本発明に関わるシステム、装置、及び方法は、幅広い可動物体に適用できる。上述したように、無人航空機等の航空機に関する説明を、いかなる可動物体に適用し、いかなる可動物体にも使用することが可能である。本発明による可動物体は、空気中で(例えば、固定翼航空機、回転翼航空機、もしくは固定翼も回転翼も有さない航空機)、水中で(例えば、船舶もしくは潜水艦)、地上で(例えば車、トラック、バス、バン、オートバイ等の自動車、スティック、釣竿等の可動構造もしくはフレーム、または電車)、地中で(例えば、地下鉄)、宇宙で(例えば、宇宙飛行機、衛星、もしくはプローブ)等の任意の適切な環境の中で、またはこれらの環境の任意の組合せの中で移動するように構成できる。可動物体は、本明細書の他の箇所で説明される輸送機等の輸送手段であり得ることがある。ある実施形態においては、人間または動物等の生体に取り付けることができる。その場合、適切な動物は、鳥類、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ウマ科の動物、ウシ科の動物、羊、豚、イルカ、齧歯動物、または昆虫を含み得る。
【0110】
可動物質は6自由度(例えば、並進で3自由度と回転で3自由度)に関する環境内で自由に移動可能であり得る。一方、可動物体の移動は、所定の経路、トラック、または配向によって等、1度または複数度の自由度に関して制約されることがある。移動は、エンジンまたはモータ等の任意の適切な作動機構によって実現できる。可動物体の作動機構は、電気エネルギー、磁気エネルギー、太陽エネルギー、風力エネルギー、重力エネルギー、化学エネルギー、核エネルギー、またはその任意の適切な組合せ等の任意の適切なエネルギー源によって電力を供給され得る。作動機構は、本明細書に説明されるように、電源によって電力を供給され得る。電源は、電源回路に結合されてもよい。また、本明細書の他の箇所に説明されるように、可動物体は、推進システムを使用する自走式であってよく、また、生物によって運ばれてもよい。また、本明細書の他の箇所に説明されるように、推進装置は、電源回路によって制御される電源によって電力を供給されてもよい。
【0111】
ある実施形態では、可動物体は輸送機であり得る。適切な輸送機は、水上輸送機、航空機、宇宙船、または地上車を含み得る。例えば、航空機は固定翼航空機(例えば、飛行機、グライダー)、回転翼航空機(例えば、ヘリコプター、回転翼機)、固定翼と回転翼の両方を有する航空機、またはどちらも有さない航空機(例えば、小型飛行船、熱気球)であり得る。輸送機は、空気を通して、水上でもしくは水中で、宇宙で、または地上でもしくは地下で自走式等、自走式であり得る。自走式輸送機は、1つ以上のエンジン、モータ、車輪、車軸、磁石、ロータ、プロペラ、羽根、ノズル、またはその任意の適切な組合せを含んだ推進システム等の推進システムを利用できる。また、推進システムは、可動物体が表面から離陸する、表面に着陸する、その現在位置または向きの少なくとも一方を維持する(例えば、ホバーリングする)、あるいは、その向きまたは位置の少なくとも一方を変更できるように使用し得る。
【0112】
可動物体は、ユーザーによって遠隔で制御可能、あるいは可動物体中のまたは可動物体上の乗員によって局所的に制御可能である。ある実施形態において、可動物体は無人航空機等の無人可動物体である。無人航空機等の無人可動物体には可動物体に搭乗する乗員がいないことがある。可動物体は、人間によってまたは自律制御システム(例えば、コンピュータ制御システム)、またはその任意の適切な組合せによって制御できる。可動物体は、人工知能で構成されたロボット等の自律ロボットまたは半自律ロボットであることがある。
【0113】
可動物体は任意の適切なサイズまたは寸法の少なくとも一方を有し得る。ある実施形態において、可動物体は、可動物体内部にまたは可動物体上に人間の乗員を備えるためのサイズまたは寸法の少なくとも一方を有し得る。また、可動物体は、可動物体内部にまたは可動物体上に人間の乗員を備えることができるサイズまたは寸法の少なくとも一方より、小さいサイズまたは寸法の少なくとも一方であってよい。可動物体は、人間によって持ち上げられるまたは運ばれるのに適したサイズまたは寸法の少なくとも一方であり得る。また、可動物体は、人間によって持ち上げられるか運ばれるのに適したサイズまたは寸法の少なくとも一方よりも大きいことがある。ある実施例においては、可動物体は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以下の最大寸法(例えば、長さ、幅、高さ、直径、対角線)を有し得る。可動物体の最大寸法は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以上であり得る。例えば、可動物体の対向するロータの軸間距離は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以下であってよい。あるいは、対向するロータの軸間の距離は、約2cm、5cm、10cm、50cm、1m、2m、5m、または10m以上であってよい。
【0114】
ある実施形態において、可動物体は100cm x 100cm x 100cm未満、50cm x 50cm x 30cm未満、または5cm x 5cm x 3cm未満の体積を有し得る。可動物体の総体積は、約1cm3、2cm3、5cm3、10cm3、20cm3、30cm3、40cm3、50cm3、60cm3、70cm3、80cm3、90cm3、100cm3、150cm3、200cm3、300cm3、500cm3、750cm3、1000cm3、5000cm3、10,000cm3、100、000cm3、1m3、または10m3以下であり得る。逆に、可動物体の総体積は、1cm3、2cm3、5cm3、10cm3、20cm3、30cm3、40cm3、50cm3、60cm3、70cm3、80cm3、90cm3、100cm3、150cm3、200cm3、300cm3、500cm3、750cm3、1000cm3、5000cm3、10,000cm3、100、000cm3、1m3、または10m3以上でもあり得る。
【0115】
ある実施形態において、可動物体は、32,000cm2、20,000cm2、10,000cm2、1,000cm2、500cm2、100cm2、50cm2、1cm2、または5cm2以下の設置面積(あるいは可動物体によって包囲される側面方向断面積)を有し得る。逆に、設置面積は約32,000cm2、20,000cm2、10,000cm2、1,000cm2、500cm2、100cm2、50cm2、1cm2、または5cm2の以上であり得る。
【0116】
ある実施形態においては、可動物体の重量はわずか1000kgであり得る。可動物体の重量は、約1000kg、750kg、500kg、200kg、150kg、100kg、80kg、70kg、60kg、50kg、45kg、40kg、35kg、30kg、25kg、20kg、12kg、10kg、9kg、8kg、7kg、6kg、5kg、4kg、3kg、2kg、1kg、0.5kg、0.1kg、0.05kg、または0.01kg以下であり得る。逆に、重量は約1000kg、750kg、500kg、200kg、150kg、100kg、80kg、70kg、60kg、50kg、45kg、40kg、35kg、30kg、25kg、20kg、12kg、10kg、9kg、8kg、7kg、6kg、5kg、4kg、3kg、2kg、1kg、0.5kg、0.1kg、0.05kg、または0.01kg以上であり得る。
【0117】
ある実施形態において、可動物体は可動物体によって運ばれる積載物に比して小さいことがある。積載物は、以下にさらに詳細に説明するように、搭載物または支持機構の少なくとも一方を含んでよい。ある実施例においては、可動物体重量と荷重重量の割合は、約1:1を超えてよい、未満であってよい、または等しくてよい。また、他の実施例においては、可動物体重量と荷重重量の割合は約1:1を超えてよい、未満であってよい、または等しくてよい。また、支持機構重量と荷重重量の割合は、約1:1を超えてよい、未満であってよい、または等しくてよい。所望される場合には、可動物体重量と荷重重量の割合は、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10以下またはさらに少ないことがある。逆に、可動物体重量と荷重重量の割合は、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1以上またはさらに大きいことがある。
【0118】
ある実施形態において、可動物体の消費エネルギーが低いことがある。例えば、可動物体は約5W/時、4W/時、3W/時、2W/時、1W/時未満、または以下のエネルギーを使用し得る。また、他の実施例では、可動物体の支持機構の消費エネルギーが低いことがある。例えば、支持機構は約5W/時、4W/時、3W/時、2W/時、1W/時未満、または以下のエネルギーを使用し得る。また、可動物体の搭載物の消費エネルギーは、約5W/時、4W/時、3W/時、2W/時、1W/時未満、または以下等の低いエネルギーであり得る。可動物体、支持機構または搭載物の少なくとも一つは、本明細書の他の箇所に説明されるように、電源によって電力を供給され得る。
【0119】
図9は、本発明の実施形態に関わる無人航空機900を示す。無人航空機は、本明細書に説明されるように、可動物体の例であり得る。無人航空機900は、4つのロータ902、904、906、及び908を有する推進システムを含み得る。任意の数のロータが提供されてよい(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ以上)。このロータは、本明細書の他の箇所に説明されるように、ひとりでに締まるロータの実施形態であり得る。無人航空機用のロータ、ロータアセンブリ、及び他の推進システムは、無人航空機がホバーリングする、位置を維持する、向きを変更する、または場所を変更することの少なくとも一つを可能であり得る。対抗するロータの軸間の距離は、任意の適切な長さ910であり得る。例えば、長さ910は、2m以下、または5m以下であることがある。ある実施形態において、長さ910は40cmから7m、70cmから2m、または5cmから5mの範囲内にあることがある。無人航空機の本明細書の任意の説明は、異なるタイプの輸送機等の可動物体に適用してよく、逆の場合も同じである。
【0120】
ある実施形態において、可動物体は積載物を運ぶように構成できる。積載物は、乗客、貨物、設備、計器等の内の1つ以上を含み得る。積載物はハウジング内部に備え付けられることがある。ハウジングは可動物体のハウジングとは別個であることもあれば、可動物体のハウジングの一部分であることもある。逆に、積載物はハウジングと共に備えつけられることがあり、その場合可動物体はハウジングを有さない。また、積載物の一部分または積載物全体はハウジングなしで提供できる。積載物は、可動物体に対してしっかりと固定できる。また、積載物は、可動物体に対して可動(例えば、可動物体に対して並進可能または回転可能)であり得る。
【0121】
ある実施形態において、積載物は搭載物を含む。搭載物は任意の動作または機能を実行しないように構成できる。また、搭載物は、機能搭載物としても知られる動作または機能を実行するように構成された搭載物であり得る。例えば、搭載物は、1つ以上の目標物を調査するための1つ以上のセンサーを含むことがある。任意の適切なセンサーは、画像捕捉装置(例えば、カメラ)、音声捕捉装置(例えば、パラボラマイク)、赤外線撮像装置、または超紫外線撮像装置等の搭載物の中に組み込むことができる。センサーは、静的検知データ(例えば、写真)または動的検知データ(例えば、映像)を提供できる。ある実施形態において、センサーは搭載物の目標物に検知データを提供する。また、搭載物は、1つ以上の目標物に信号を提供するための1つ以上のエミッタを組み合わせて含むことがある。照明光源または音源等の適切なエミッタが使用できる。ある実施形態において、搭載物は、可動物体から遠隔のモジュールと通信するための1台以上のトランシーバを含む。また、搭載物は、環境または目標物と相互作用するように構成することも可能である。例えば、搭載物は、ロボットアーム等の物体を操作できるツール、計器、または機構を含み得る。
【0122】
また、積載物は支持機構を含むことも可能である。支持機構は搭載物のために使用され、搭載物は、直接的に(例えば可動物体に直接的に接触する)、あるいは間接的に(例えば可動物体に接触しない)支持機構を介して可動物体に結合され得る。逆に、搭載物は、支持機構を使用せずに可動物体に取り付けることも可能である。搭載物は支持機構と一体的に形成できる。また、搭載物は支持機構に解放自在に結合され得る。ある実施形態において、搭載物は1つ以上の搭載物要素を含むことがあり、搭載物要素の内の1つ以上は、上述したように可動物体または支持機構の少なくとも一方に対して可動であり得る。
【0123】
支持機構は可動物体と一体形成できる。また、支持機構は可動物体に解放自在に結合できる。支持機構は可動物体に直接的にまたは間接的に結合できる。支持機構は搭載物にサポートを提供する(例えば、搭載物の重量の少なくとも一部を運ぶ)ことができる。支持機構は、搭載物の移動を安定させること、または導くことの少なくとも一方が可能な適切な取付け構造(例えば、ジンバルプラットホーム)を含むことがある。また、ある実施形態において、支持機構は可動物体に対する搭載物の状態(例えば、位置または向きの少なくとも一方)を制御するようにできる。例えば、支持機構は、搭載物が可動物体の移動とは関係なく適切な基準フレームに対してその位置または向きの少なくとも一方を維持するように、可動物体に対して(例えば、1自由度、2自由度、または3自由度の並進、または回転の少なくとも一つに関して)移動するように構成できる。基準フレームは固定基準フレーム(例えば、周囲環境)であり得る。一方、基準フレームは可動型の基準フレーム(例えば、可動物体、搭載物対象)であり得る。
【0124】
ある実施形態において、支持機構は、支持機構または可動物体の少なくとも一方に対して搭載物の移動を可能にするように構成できる。移動は、(例えば、1つの軸、2つの軸、もしくは3つの軸に沿った)3自由度までに関する並進、または(1つの軸、2つの軸、もしくは3つの軸の回りの)3自由度までに関する回転、またはその任意の適切な組合せであり得る。
【0125】
ある実施形態においては、支持機構は、支持機構フレームアセンブリと支持機構作動アセンブリを含むことがある。支持機構フレームアセンブリは、搭載物に構造上のサポートを提供できる。支持機構フレームアセンブリは、個々の支持機構フレーム構成要素を含むことがあり、その内のいくつかは互いに対して可動であり得る。支持機構作動アセンブリは、個々の支持機構フレーム構成要素を移動させる1台以上のアクチュエータ(例えば、モータ)を含み得る。アクチュエータは、複数の支持機構フレーム構成要素を同時に移動できる、または、一度に1つだけの支持機構フレーム構成要素の移動できるように構成されてもよい。支持機構フレーム構成要素の移動は、搭載物の対応する動作を生じさせ得る。例えば、支持機構作動アセンブリは、1つ以上の回転軸(例えば、ロール軸、ピッチ軸、またはヨー軸)の回りで1つ以上の支持機構フレーム構成要素を回転させることができる。1つ以上の支持機構フレーム構成要素の回転によって、搭載物は可動物体に対して1つ以上の回転軸の回りで回転できる。あるいは、支持機構作動アセンブリは、1つ以上の並進軸に沿った1つ以上の支持機構フレーム構成要素を並進させ、それにより可動物体に対する1つ以上の対応する軸に沿った搭載物を並進させ得る。
【0126】
ある実施形態において、可動物体、支持機構、及び搭載物の固定基準フレーム(例えば、周囲環境)に対する、または互いに対する少なくとも一方の移動は、端末によって制御できる。端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つから遠い場所にある遠隔制御装置であり得る。端末は、支持プラットフォーム上に置くことができるが、支持プラットフォームに固着することもできる。また、端末はハンドヘルドデバイスまたはウェアラブルデバイスであることがある。例えば、端末は、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、コンピュータ、眼鏡、手袋、ヘルメット、マイク、またはその適切な組合せを含み得る。端末は、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン、またはディスプレイ等のユーザインタフェースを含み得る。任意の適切なユーザー入力は、手動で入力されるコマンド、音声制御、ジェスチャ制御、または(例えば、端末の移動、配置、または傾斜を介した)位置制御等、端末と相互作用するために使用できる。
【0127】
端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つを任意の適切な状態に制御する。例えば、端末は、互いから、または互いへの少なくとも一つの固定基準に対する可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの、位置または向きの少なくとも一方を制御する。また、端末は、支持機構の作動アセンブリ、搭載物のセンサー、または搭載物のエミッタ等の、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの要素を個々に制御する。端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の内の1つ以上と通信できる無線通信装置を含むことがある。
【0128】
また、端末は、電源の任意の状態または電源パックの動作の少なくとも一方を制御することもできる。例えば、端末は電源パックの操作モードを選択または改変できる。端末は、電源を遠隔でオンまたはオフにする、または電源の電量もしくは放電を制御できる。また、端末は、電源の電量レベルを表示させることもできる。また、電源の電量レベルは、電源パック上または端末上の少なくとも一方に表示できる。また、端末は、電源パックと通信できる無線通信装置を含むことがある。
【0129】
端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの情報を表示するための適切な表示部を含むことがある。例えば、端末は、位置、並進速度、並進加速度、向き、角速度、角加速度、またはその任意の適切な組合せに関して可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの情報を表示できる。また、端末は機能搭載物によって提供されるデータ(例えば、カメラまたは他の画像捕捉装置によって記録される画像)等の搭載物によって提供される情報を表示できる。
【0130】
また、同じ端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つから情報を受信する、または表示するかの少なくとも一方だけではなく、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つ、または可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの状態を制御してもよい。例えば、端末は、搭載物によって捕捉される画像データ、または搭載物の位置についての情報を表示する一方で、環境に対する搭載物の位置決めを制御してもよい。また、異なる端末は、異なる機能のために使用されてよい。例えば、第1の端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの移動または状態を制御してよい。一方、第2の端末は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つからの情報を受信、または表示の少なくとも一方を実行し得る。例えば、第1の端末は、環境に対する搭載物の位置決めを制御する。一方、第2の端末は搭載物によって捕捉される画像データを表示する。可動物体と、可動物体の制御とデータの受信の両方を行う、統合型端末または複数の端末との間で、多様な通信モードが利用され得る。例えば、少なくとも2つの異なる通信モードを、可動物体と、可動物体の制御と可動物体からのデータの受信の両方を行う端末との間に形成してもよい。
【0131】
図10は、実施形態に関わる、支持機構1002と搭載物1004を含んだ可動物体1000を示す。可動物体1000は航空機として示されているが、航空機に限らず本明細書に上述されるように任意の適切なタイプの可動物体を使用できる。当業者は、航空機システムとの関連で本明細書に説明される実施形態のいずれかが任意の適切な可動物体(例えば、無人航空機)に適用できることを理解するだろう。また、搭載物1004は、支持機構1002を必要とせず、可動物体1000上に提供され得る。可動物体1000は推進機構1006、検知システム1008、及び通信システム1010を含み得る。
【0132】
推進機構1006は、上述のように、ロータ、プロペラ、羽根、エンジン、モータ、車輪、車軸、磁石、またはノズルの内の1つ以上を含み得る。例えば、推進機構1006は、本明細書の他の箇所に開示される、ひとりでに締まるロータ、ロータアセンブリ、または他の回転式推進装置であってよい。可動物体は、1つ以上の、2つ以上の、3つ以上の、または4つ以上の推進機構を有し得る。推進機構はすべて同じタイプであってよい。また、1つ以上の推進機構は異なるタイプの推進機構であり得る。推進機構1006は、本明細書の他の箇所に説明されるように、支持要素(例えば、ドライブシャフト)等の任意の適切な手段を使用して可動物体1000に取り付けることができる。推進機構1006は、上部、底部、前部、背部、側部、またはその適切な組合せ等の、可動物体1000の任意の適切な部分に取り付けることができる。
【0133】
ある実施形態において、推進機構1006は、可動物体1000が、可動物体1000の水平移動を必要とせずに(例えば、滑走路を下ることなく)表面から垂直に離陸するまたは表面に垂直に着陸することができるようにする。また、推進機構1006は、可動物体1000が指定された位置または向きの少なくとも一方で、空中をホバーリングできるように操作可能でもあり得る。1つ以上の推進機構1000は、他の推進機構とは無関係に制御され得る。また、推進機構1000は、同時に制御されるようにもできる。例えば、可動物体1000は、可動物体に揚力または推力の少なくとも一方を提供できる複数の水平に向けられたロータを有し得る。複数の水平に向けられたロータは、垂直離陸能力、垂直着陸能力、及びホバーリングの能力を可動物体1000に与えるために作動できる。また、水平に向けられたロータの1つまたは複数が右回り方向、または左回り方向で旋回するようにしてもよい。例えば、右回りロータの数は左回りロータの数に等しくてよい。水平に向けられたロータのそれぞれの回転速度は、各ロータによって生じる揚力または推力の少なくとも一方を制御するために、単独に変えることができる。それにより(例えば、最高3自由度の並進と最高3自由度の回転に関して)可動物体1000の空間的な配置、速度、または加速度の少なくとも一つを調整する。
【0134】
検知システム1008は、(例えば、最高3自由度の並進と最高3自由度の回転に関して)可動物体1000の空間配置、速度、または加速度の少なくとも一つを検知し得る1つ以上のセンサーを含み得る。1つ以上のセンサーは、グローバルポジショニングシステム(GPS)センサー、運動センサー、慣性センサー、近接センサー、または画像センサーを含み得る。検知システム1008によって提供される検知データは、(例えば、後述されるように、適切な処理装置または制御モジュールの少なくとも一方を使用して)可動物体1000の空間配置、速度、または向きの少なくとも一つを制御するために使用できる。また、検知システム1008は、気象条件、潜在的な障害物への近接性、地理的特徴の場所、人工構造物の場所等の、可動物体を取り囲む環境に関するデータを提供する。
【0135】
通信システム1010は、通信システム1014を有する端末1012と無線信号1016を介して通信することを可能にする。通信システム1010、1014は、無線通信に適した任意の数の送信機、受信機、またはトランシーバの少なくとも一つを含んでよい。通信は片方向通信であってよく、これによってデータは一方向だけで伝送できる。例えば、片方向通信は、端末1012にデータを送信する可動物体1000だけを含んでよく、逆も同様である。データは通信システム1010の1台以上の送信機から通信システム1012の1台以上の受信機に送信されることができ、逆も同様である。また、通信は双方向通信であってもよく、これによってデータは可動物体1000と端末1012との間の双方向で送信できる。双方向通信は、通信システム810の1台以上の送信機から、通信システム1014の1台以上の受信機に送信することが可能で、逆も同様である。
【0136】
ある実施形態において、端末1012は、可動物体1000、支持機構1002、及び搭載物1004の内の1つ以上の制御データを提供し、可動物体1000、支持機構1002、及び搭載物1004の内の1つ以上から情報(例えば、可動物体、支持機構、または搭載物の位置または動きの少なくとも一方の情報、搭載物カメラによって取り込まれた画像データ等の搭載物によって検知されるデータ)を受信できる。また、端末からの制御データは、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの相対位置、移動、作動、または制御のための指示を含んでよい。例えば、制御データは、(例えば、推進機構1006の制御を介する)可動物体の場所または向きの少なくとも一方の修正、または(例えば、支持機構1002の制御を介した)可動物体に対する搭載物の移動につながることがある。端末からの制御データは、カメラまたは他の画像取込み装置の動作(例えば、静止画または動画を撮影すること、ズームインまたはズームアウトすること、オンまたはオフにすること、撮像モードを切り替えること、画像解像度を変更すること、焦点を変更すること、被写界深度を変更すること、露光時間を変更すること、視野角または視野を変更すること)の制御等の、搭載物の制御につながることがある。また、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つからの通信は、(例えば、検知システム1008の、または搭載物1004の)1台以上のセンサーからの情報を含んでよい。通信は、1つ以上の異なるタイプのセンサー(例えば、GPSセンサー、運動センサー、慣性センサー、近接センサー、または画像センサー)から検知された情報を含み得る。このような情報は、可動物体、支持機構、または搭載物の少なくとも一つの位置(例えば、場所、向き)、移動、または加速度に関するものであり得る。搭載物からのこのような情報は、搭載物によって捕捉されるデータ、または搭載物の検知された状態を含んでよい。端末1012によって提供、伝送される制御データは、可動物体1000、支持機構1002、または搭載物1004の内の1つ以上の状態を制御できる。また、支持機構1002と搭載物1004は、端末1012と通信するように構成された通信モジュールをそれぞれ含むこともある。したがって端末は可動物体1000、支持機構1002、及び搭載物1004のそれぞれと単独で通信し、それぞれを制御できる。
【0137】
ある実施形態において、可動物体1000は、端末1012に加えて、または端末1012の代わりに別の遠隔装置と通信できる。端末1012は、可動物体1000だけではなく別の遠隔装置とも通信できるようにしてもよい。例えば、可動物体1000または端末1012の少なくとも一方は、別の可動物体、または別の可動物体の支持機構もしくは搭載物と通信してよい。必要な場合、遠隔装置は、第2の端末または他のコンピューティング装置(例えば、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、または他のモバイル機器)であってよい。遠隔装置は、可動物体1000にデータを送信し、可動物体1000からデータを受信し、端末1012にデータを伝送するか、または端末1012からデータを受信するかの少なくとも一方が可能である。また、遠隔装置はインターネットまたは他の電気通信ネットワークに接続でき、可動物体1000または端末1012の少なくとも一方から受信されるデータを、ウェブサイトまたはサーバにアップロードできる。
【0138】
図11は、実施形態に従って、可動物体を制御するシステム1100のブロック図である。システム1100は、本明細書に開示されるシステム、装置、及び方法の任意の適切な実施形態と組み合わせて使用できる。システム1100は、検知モジュール1102、処理装置1104、非一過性のコンピュータ可読媒体1106、制御モジュール1108、及び通信モジュール1110を含み得る。
【0139】
検知モジュール1102は、可動物体に関係する情報をさまざまなやり方で収集する異なるタイプのセンサーを利用できる。異なるタイプのセンサーは、異なるタイプの信号または異なるソースからの信号を検知し得る。例えば、センサーは、慣性センサー、GPSセンサー、近接センサー(例えば、ライダー)、または視覚/画像センサー(例えば、カメラ)を含み得る。検知モジュール1102は、複数のプロセッサを有する処理装置1104に動作可能に結合される。また、検知モジュールは、適切な外部装置または外部システムに直接的に検知データを伝送する伝送モジュール1112(例えば、Wi-Fi画像伝送モジュール)に動作可能に結合される。例えば、伝送モジュール1112は、検知モジュール1102のカメラによって取り込まれた画像を遠隔端末へ送信する。
【0140】
処理装置1104は、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央演算処理装置(CPU))等の1台以上のプロセッサを有し得る。処理装置1104は、非一過性のコンピュータ可読媒体1106に動作可能に結合できる。非一過性のコンピュータ可読媒体1106は、1つ以上のステップを実行する処理装置1104によって実行可能な論理、コード、またはプログラム命令の少なくとも一つを記憶できる。非一過性のコンピュータ可読媒体は、1つ以上のメモリ装置(例えば、SDカードもしくはランダムアクセスメモリ(RAM)等のリムーバブルメディアまたは外部記憶)を含み得る。また、検知モジュール1102からのデータは、非一過性のコンピュータ可読媒体1106のメモリ装置に直接的に伝達され、非一過性のコンピュータ可読媒体1106のメモリ装置の中に記憶できる。非一過性のコンピュータ可読媒体1106のメモリ装置は、本明細書に説明される方法の任意の適切な実施形態を実行するために処理装置1104によって実行可能な論理、コード、またはプログラム命令の少なくとも一つを記憶できる。例えば、処理装置1104は、処理装置1104の1台以上のプロセッサに、検知モジュールによって生じる検知データを解析させる命令を実行できる。メモリ装置は、処理装置1104によって処理されるために、検知モジュールからの検知データを記憶できる。また、非一過性のコンピュータ可読媒体1106のメモリ装置は、処理装置1104によって生成された処理結果を記憶できる。
【0141】
また、ある実施形態において、処理装置1104は、可動物体の状態を制御する制御モジュール1108に動作可能に結合できる。例えば、制御モジュール1108は、6自由度に関する可動物体の空間配置、速度、または加速度の少なくとも一つを調整するために可動物体の推進機構を制御できる。また、制御モジュール1108は、支持機構、搭載物、または検知モジュールの状態の内の1つ以上を制御できる。
【0142】
処理装置1104は、1台以上の外部装置(例えば、端末、表示装置、または他のリモートコントローラ)からデータを送信するか受信するかの少なくとも一方を行う通信モジュール1110に動作可能に結合できる。有線通信または無線通信等の任意の適切な通信の手段が使用できる。例えば、通信モジュール1110は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、赤外線ネットワーク、無線ネットワーク、WiFiネットワーク、2地点間(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信等の内の1つ以上を利用できる。また、塔、衛星、または移動局等の中継局を使用することもできる。無線通信は、近接性に依存することもあれば、近接性とは無関係であることもある。また、通信に見通し線が必要とされることもあれば、必要とされないこともある。通信モジュール1110は、検知モジュール1102からの検知データ、処理装置1104によって生成される処理結果、所定の制御データ、端末またはリモートコントローラからのユーザーコマンド等の内の1つ以上を送信または受信の少なくとも一方を実行できる。
【0143】
システム1100の構成要素は、任意の適切な構成で配置できる。例えば、システム1100の構成要素の内の1つ以上は、可動物体、支持機構、搭載物、端末、検知システム、または上記の内の1つ以上と通信する追加の外部装置の上に位置することがある。さらに、
図11は、単一の処理装置1104と非一過性のコンピュータ可読媒体1106を示しているが、当業者はこれが制限的となることを目的としていないこと、及びシステム1100が複数の処理装置または非一過性のコンピュータ可読媒体の少なくとも一方を含むことがあることを理解するだろう。また、複数の処理装置または非一過性のコンピュータ可読媒体の少なくとも一方の内の1つまたは複数は、可動物体、支持機構、搭載物、端末、検知モジュール、上記の内の1つ以上と通信する追加の外部装置、またはその適切な組合せの上等の、異なる場所に位置することがある。これにより、システム1100によって実行される処理機能またはメモリ機能の少なくとも一方の任意の適切な態様は、上述の場所の内の1つ以上で発生することがある。
【0144】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に図示され、説明されているが、このような実施形態は一例として示されているだけであることは当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、及び置換がここで本発明から逸脱することなく当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に説明される本発明の実施形態に対する多様な代替策が本発明を実施する上で利用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定めること、並びにこれらの特許請求の範囲及びその同等物の範囲内の方法及び構造がカバーされることを目的としている。