(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】光劣化が抑制されたビールテイスト飲料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20221012BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20221012BHJP
A23L 2/56 20060101ALI20221012BHJP
C12G 3/04 20190101ALI20221012BHJP
【FI】
A23L2/00 A
A23L2/52
A23L2/56
C12G3/04
(21)【出願番号】P 2020512149
(86)(22)【出願日】2018-04-04
(86)【国際出願番号】 JP2018014393
(87)【国際公開番号】W WO2019193673
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】倉兼 敏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和輝
(72)【発明者】
【氏名】水口 伊玖磨
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000104(JP,A)
【文献】特開2014-138583(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122777(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/168718(WO,A1)
【文献】特開2015-119645(JP,A)
【文献】国際公開第2004/018612(WO,A1)
【文献】米国特許第05439699(US,A)
【文献】国際公開第2016/035764(WO,A1)
【文献】特表2008-543310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0161491(US,A1)
【文献】国際公開第2016/147907(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
C12G
C12C
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/CABA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビールテイスト飲料であって、
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料
(但し、糖アルコールを含む、または、重合カテキン類を0.008~0.1質量%、および非重合体カテキン類を含有し、重合カテキン類と非重合体カテキン類との質量比が1~4.5であるビールテイスト飲料を除く)。
【請求項2】
前記苦味付与剤が、ホップ由来の成分、ニガヨモギ、ナリンジンおよびクワシンからなる群から選択される一種以上の苦味付与剤である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
前記ホップ由来の成分が、イソα酸およびα酸からなる群から選択される一種以上の成分である、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびカテキンから選択される一種以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
前記酸化防止剤の含有量が50mg/L~500mg/Lである、請求項1~4のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
前記苦味付与剤の含有量が4mg/L~40mg/Lである、請求項1~5のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項7】
アルコール度数が0.05~40%である、請求項1~6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項8】
アルコール度数が0.05%未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
無色透明である、請求項1~8のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
pHが2~3である、請求項1~9のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項11】
総エキス量が0.80重量%以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のビールテイスト飲料が透明容器に詰められた、容器詰飲料。
【請求項13】
前記透明容器がビンまたはペットボトルである、請求項12に記載の容器詰飲料。
【請求項14】
前記透明容器が無色透明の容器である、請求項12または13に記載の容器詰飲料。
【請求項15】
ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法
(但し、最終製品中に糖アルコールを含む、または、最終製品中に重合カテキン類を0.008~0.1質量%、および非重合体カテキン類を含有し、重合カテキン類と非重合体カテキン類との質量比が1~4.5であるビールテイスト飲料の製造方法を除く)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光劣化が抑制されたビールテイスト飲料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどのビールテイスト飲料に求められる消費者の要求は多様化している。それに伴い、ビールテイスト飲料の供給方法も多様化している。
従来ビールテイスト飲料は、一般的に缶や有色のビン(例えば褐色のビン)に密封されて供給されていたが、近年では透明なビンやペットボトル等を用いた供給も求められている。しかしながら、このような容器で供給される場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、ビールテイスト飲料が太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。その場合、これらの光によってビールテイスト飲料の香味劣化が起こる虞がある。具体的には、光照射によってビニールやプラスチックが焼けたような異臭が生じる虞がある。そのような香味劣化を抑える一つの手段として、保存料を含むビールテイスト飲料が検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビールテイスト飲料の香味劣化を防止する方策としては、保存料の他に苦味付与剤の量の低減や酸化防止剤の添加が考えられるが、ビールテイスト飲料の味のバランスを崩す虞がある。したがって、ビールテイスト飲料として優れた香味を有し、かつ、光劣化が抑制されたビールテイスト飲料が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、本発明者らが鋭意検討した結果、苦味付与剤と酸化防止剤の濃度を所定の濃度範囲とし、かつ、原料として食物繊維を実質的に使用しないことで、原料として麦由来のタンパク質を使用せずにビールテイスト飲料として優れた香味を有し、かつ、光劣化が抑制されたビールテイスト飲料を得ることができるとの知見を得た。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0006】
本発明には以下の態様の発明が含まれる。
[1]
ビールテイスト飲料であって、
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料。
[2]
前記苦味付与剤が、ホップ由来の成分、ニガヨモギ、ナリンジンおよびクワシンからなる群から選択される一種以上の苦味付与剤である、[1]に記載のビールテイスト飲料。
[3]
前記ホップ由来の成分が、イソα酸およびα酸からなる群から選択される一種以上の成分である、[2]に記載のビールテイスト飲料。
[4]
前記酸化防止剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸およびカテキンから選択される一種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[5]
前記酸化防止剤の含有量が50mg/L~500mg/Lである、[1]~[4]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[6]
前記苦味付与剤の含有量が4mg/L~40mg/Lである、[1]~[5]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[7]
アルコール度数が0.05~40%である、[1]~[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[8]
アルコール度数が0.05%未満である、[1]~[6]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[9]
無色透明である、[1]~[8]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[10]
pHが2~3である、[1]~[9]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[11]
総エキス量が0.80重量%以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のビールテイスト飲料が透明容器に詰められた、容器詰飲料。
[13]
前記透明容器がビンまたはペットボトルである、[12]に記載の容器詰飲料。
[14]
前記透明容器が無色透明の容器である、[12]または[13]に記載の容器詰飲料。
[15]
ビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品中の
酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ
苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、
原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、苦味付与剤と酸化防止剤の濃度を所定の濃度範囲とし、かつ、原料として食物繊維を実質的に使用しないことで、原料として麦由来のタンパク質を使用せずにビールテイスト飲料として優れた香味を有し、かつ、光劣化が抑制されたビールテイスト飲料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1 ビールテイスト飲料
本発明のビールテイスト飲料は、酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、かつ原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない、ビールテイスト飲料である。
【0009】
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の風味をもつアルコール含有またはノンアルコールの炭酸飲料をいう。つまり、本明細書のビールテイスト飲料は、特に断わりがない場合、酵母による発酵工程の有無に拘わらず、ビール風味を有するいずれの炭酸飲料をも包含する。本発明のビールテイスト飲料の種類としては、例えば、アルコール含有のビールテイスト飲料(アルコール度数が0.05~40%のビールテイスト飲料)、ノンアルコールのビールテイスト飲料(アルコール度数が0.05%未満のビールテイスト飲料)、ビールテイストの清涼飲料なども含まれる。
【0010】
本明細書において、「原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まない」とは、ビールテイスト飲料を製造する際に麦由来のタンパク質および食物繊維をいずれも積極的に添加しないことを意味し、ビールテイスト飲料の製造の際に麦由来のタンパク質および食物繊維が不可避的に混入する態様を包含する。なお、ビールテイスト飲料の原材料に麦由来のタンパク質および食物繊維が積極的に添加されているか否かは、食品表示法、食品衛生法、JAS法、景品表示法、健康増進法あるいは業界団体が定めた規約や自主基準などによって定められた原材料表示から確認することができる。例えば、麦由来のタンパク質が含まれている場合、原材料名に「小麦」や「麦芽」のように表記され、食物繊維が含まれている場合は、原材料名に「食物繊維」と表記される。あるいは、麦由来のタンパク質および食物繊維は積極的に添加されていないため、ビールテイスト飲料中のタンパク質の含有量は0.006mg/100mL以下であり、食物繊維の含有量は0.1g/100g(約1000ppm)以下である。ビールテイスト飲料中のタンパク質の含有量は、総窒素含有量(以下、「T-N量」とも称する)を測定することで特定することができる。「総窒素含有量(T-N)」とは、飲料全体に含まれる窒素の総量を意味し、「改訂 BCOJビール分析法 8.9.2 燃焼法(改良デュマ法)、ビール酒造組合国際技術委員会(分析委員会)編 2013年増補改訂、財団法人 日本醸造協会」に記載の方法によって測定することができる。食物繊維の含有量は、高速クロマトグラフィー(HPLC)等の公知の分析の分析装置により分析し、算出することができる。本発明の一態様において、本発明のビールテイスト飲料は、麦由来のタンパク質および食物繊維を原料として添加せずに製造されたビールテイスト飲料である。また、本明細書において「麦由来のタンパク質」は、麦そのものや麦から抽出したタンパク質を意味し、小麦や大麦などを原料として製造したスピリッツなどの蒸留酒や醸造酒は含まないものとする。すなわち、本発明のビールテイスト飲料にアルコールを添加する際に、小麦スピリッツや大麦スピリッツ等を用いてもよい。また、本明細書において原料として実質的に含まれない「食物繊維」とは、穀物等から抽出された食物繊維として流通している単離された食物繊維であり、原材料名に「食物繊維」と表記されるものを意味し、原料の穀物等に含まれる食物繊維は含まないものとする。すなわち、成分表示として「食物繊維」が表記されていても、原材料名に「食物繊維」が表記されていないビールテイスト飲料は、本発明のビールテイスト飲料に含まれる。
【0011】
本明細書において、麦としては、麦芽、ならびに、未発芽の大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、オート麦、ハト麦およびエン麦が挙げられる。また、食物繊維としては、水溶性食物繊維および不溶性食物繊維が挙げられる。水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム分解物、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、ラミナリン、フコイジンおよびカラギーナンが挙げられる。
【0012】
本発明のビールテイスト飲料は、酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、好ましくは15mg/L~600mg/Lであり、より好ましくは50mg/L~500mg/Lである。上記範囲内であれば、異臭を軽減しつつ、ビールテイスト飲料の味への影響や経時的な褐変を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明のビールテイスト飲料は、苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lであり、好ましくは1mg/L~45mg/Lであり、より好ましくは4mg/L~40mg/Lである。上記範囲内であれば、異臭を軽減しつつ、ビールテイスト飲料に適した苦味を付与することができる。
【0014】
本発明のビールテイスト飲料は、ビールや発泡酒のようなアルコール度数が0.05~40(v/v)%のビールテイスト飲料であってもよく、ノンアルコールビールのようなアルコール度数(含有量)が0.05(v/v)%未満のビールテイスト飲料であってもよい。本発明のビールテイスト飲料がアルコールを含む場合は、アルコール度数が0.5~20(v/v)%であることが好ましく、1.0~10(v/v)%であることがさらに好ましい。本発明のビールテイスト飲料がアルコールを含まない場合は、アルコール度数が0.05(v/v)%未満であり、さらに0.00(v/v)%であることが好ましい。なお本明細書において、アルコール度数は体積/体積基準の百分率(v/v%)で示されるものとする。また、飲料のアルコール含有量は、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。
【0015】
本発明のビールテイスト飲料の色は、特に限定されないが、通常のビールのような琥珀色であってもよく、無色透明であってもよい。あるいは着色料などを添加して、所望の色を付けてもよい。ビールテイスト飲料の色は、肉眼でも判別することができるが、全光線透過率や色度等によって規定してもよい。
【0016】
本発明のビールテイスト飲料のpHは特に限定されないが、好ましくは2~4であり、より好ましくは2~3である。pHを上記範囲内とすることでビールテイスト飲料らしいさわやかな後口を付与することができる。
【0017】
本発明のビールテイスト飲料の総エキス量は特に限定されないが、ノンアルコールビールテイスト飲料の場合は、好ましくは1.50重量%以下、より好ましくは1.10重量%以下、さらに好ましくは0.80重量%以下である。アルコールを含むビールテイスト飲料の場合は、好ましくは11重量%以下、より好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは6重量%以下である。総エキス量を上記範囲内とすることで軽快な飲み口を付与することができることができる。本明細書における「総エキス量」は、飲料のアルコール度数が0.005%以上の場合、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15度の時において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が0.005%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「ビール分析法 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(重量%)をいう。
【0018】
本発明のビールテイスト飲料は、光劣化が抑制されている。光劣化の抑制は所望の強度の光をビールテイスト飲料に一定時間照射し、その光照射の前後におけるビールテイスト飲料の香味の変化を測定することで評価することができる。例えば、ビールテイスト飲料に180Wh/m2の光(UV)を2時間20分照射し、その前後での香味の変化を測定することで光劣化の程度を評価することができる。
【0019】
本発明のビールテイスト飲料は、容器詰の態様に適している。容器の例としては、ビン、ペットボトル、缶、または樽が挙げられるが、特にビンやペットボトルでの使用に適している。無色透明のビンやペットボトルを使用する場合、通常の缶や有色のビンでの場合と異なり、太陽光や蛍光灯の光にさらされることになる。その場合、これらの光によってビールテイスト飲料の香味劣化が起こる虞があるが、本発明のビールテイスト飲料は光劣化が抑制されているため、このような香味劣化を効果的に抑制することができる。したがって、本発明のビールテイスト飲料は透明なビンやペットボトルに好適に使用することができる。
【0020】
本発明のビールテイスト飲料に含まれる、酸化防止剤および苦味付与剤、並びに任意の添加原料については、「1.1原材料」において詳述する。
【0021】
1.1 原材料
本発明のビールテイスト飲料の原材料としては酸化防止剤および苦味付与剤が用いられる。その他に一般的なビールテイスト飲料の原材料として用いられる、水、香料、アルコール、穀物および各種添加物等を用いてもよい。
【0022】
酸化防止剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒の添加する酸化防止剤を用いることができる。例えばアスコルビン酸、エリソルビン酸およびカテキンから選択される一種以上を用いることができる。
【0023】
苦味付与剤としては、特に限定されず、通常のビールや発泡酒の原料として用いられる苦味付与剤を用いることができる。例えば、ホップ由来の成分、クワシン、ナリンジン、ニガヨモギ(あるいはニガヨモギ抽出物やニガヨモギ香料)、柑橘抽出物、ニガキ抽出物、コーヒー抽出物、茶抽出物、ゴーヤ抽出物、ハス胚芽抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、レイシ抽出物、ローレル抽出物、セージ抽出物、キャラウェイ抽出物、イソフムロン類および還元型イソフムロン類等が挙げられる。好ましくは、苦味付与剤としてホップ由来の成分、ニガヨモギ、ナリンジンおよびクワシンからなる群から選択される一種以上を含有する。ホップとは、ビールなどの製造に使用される通常のペレットホップ、ベールホップ、ホップエキス、ホップ加工品(イソ化ホップ、ヘキサホップ、テトラホップ)などをいう。ホップ由来の成分としては、イソα酸およびα酸からなる群から選択される一種以上を含むことが好ましく、イソα酸を含むことがより好ましい。
【0024】
香料としては、特に限定されず、一般的なビール香料を用いることができる。ビール香料は、ビール様の風味付けのために用いるものであり、発酵により発生する醸造成分等が含まれる。具体的にはビール香料にはエステルや高級アルコールなどが含まれる。そのようなエステルや高級アルコールとしては、酢酸イソアミル、酸酸エチル、n-プロパノール、イソブタノールおよびアセトアルデヒドなどから選択される1種以上の成分が含まれる。
【0025】
アルコールとしては、一般的なエタノール(エチルアルコール)を用いることができる。エタノールとしては、種々の原料を用いて製造したものを使用することができ、特に限定されない。例えば、スピリッツ、ウイスキー、焼酎などの蒸留酒や、日本酒などの醸造酒を用いてもよい。
【0026】
穀物としては、例えば、米(白米、玄米など)、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、豆(大豆、えんどう豆など)、そば、ソルガム、粟、ひえおよびこれらの抽出物(エキス)などがあげられる。
【0027】
1.2 炭酸ガス
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に含まれる炭酸ガスを利用してもよく、また、炭酸水との混和または炭酸ガスの添加などで溶解させてもよい。
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスは、原材料に発酵液を用いた場合、発酵工程で炭酸ガスが発生するため、当該炭酸ガスをそのまま用いることができる。また、原材料に非発酵液を用いた場合、発酵工程で発生する炭酸ガスを利用できないため、非発酵液と炭酸水との混和、または非発酵液に炭酸ガスの添加によって、容器詰ノンアルコールビールテイスト飲料に炭酸ガスを溶解させることができる。
【0028】
本発明のビールテイスト飲料に含まれる炭酸ガスの量は、飲料の炭酸ガス圧によって表され、これは、本発明の効果を妨げない限り、特に限定されない。典型的には、飲料の炭酸ガス圧の上限は4.0kg/cm2、3.4kg/cm2または2.8kg/cm2であり、下限は0.2kg/cm2、0.9kg/cm2または1.5kg/cm2であり、これらの上限および下限のいずれを組み合わせてもよい。例えば、飲料の炭酸ガス圧は、0.2kg/cm2以上4.0kg/cm2以下、0.2kg/cm2以上3.4kg/cm2以下、0.9kg/cm2以上2.8kg/cm2以下または1.5kg/cm2以上2.8kg/cm2以下であってよい。本明細書におけるガス圧とは、特別な場合を除き、容器内におけるガス圧をいう。圧力の測定は、当業者によく知られた方法、例えば20℃にした試料をガス内圧計に固定した後、一度ガス内圧計の活栓を開いてガスを抜き、再び活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達したときの値を読み取る方法を用いて、または市販のガス圧測定装置を用いて測定することができる。
【0029】
1.3 その他の添加物
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な添加物を添加してもよい。例えば、保存料、甘味料、着色料、泡形成剤、発酵促進剤、酵母エキス、ペプチド含有物などのタンパク質系物質、アミノ酸などの調味料、各種酸味料などを本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。着色料は、飲料にビール様の色を与えるために使用するものであり、カラメル色素などを用いることができる。泡形成剤は、飲料にビール様の泡を形成させるため、あるいは飲料の泡を保持させるために使用するものであり、大豆サポニン、キラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーン、大豆などの植物タンパクおよびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、酵母エキスなどを適宜使用することができる。発酵促進剤は、酵母による発酵を促進させるために使用するものであり、例えば、酵母エキス、米や麦などの糠成分、ビタミン、ミネラル剤などを単独または組み合わせて使用することができる。酸味料としては、ビールテイスト飲料に通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、フィチン酸、酢酸およびコハク酸から選択される1種以上を用いることができる。
【0030】
1.4 容器詰飲料
本発明のビールテイスト飲料は、容器に詰められた容器詰飲料であってもよい。容器詰飲料にはいずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、ビン、缶、樽またはペットボトルが挙げられるが、特にビンやペットボトルが好ましい。また、本発明のビールテイスト飲料は光劣化が抑制されているため、透明容器に詰められた容器詰飲料として好適に使用することができる。透明容器としては、透明または無色透明なビンやペットボトルに好適に使用することができる。容器として、再栓が可能な容器も好適に用いることができ、そのような容器としてはスクリューキャップ付きのビン、ボトル缶またはペットボトル等が挙げられる。本明細書において、「透明」とは、容器の外側から内容物の液面が目視で確認できる状態を意味し、例えば、全光線透過率が45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上または95%以上の状態を意味する。また、「無色透明」とは、透明かつ着色がされていない状態を意味する。
【0031】
2 ビールテイスト飲料の製造方法
ビールテイスト飲料の製造工程として、以下にビールテイスト飲料の製造方法と容器詰め方法について説明する。
【0032】
2.1 ビールテイスト飲料の製造方法
本発明のビールテイスト飲料の製造方法は、最終製品中の酸化防止剤の含有量が5mg/L~700mg/Lであり、かつ苦味付与剤の含有量が0.10mg/L~50mg/Lとなるように酸化防止剤と苦味付与剤を添加する工程を含み、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない、製造方法である。本発明のビールテイスト飲料の製造方法において、最終製品(すなわち、製品として流通・販売するビールテイスト飲料)中の酸化防止剤と苦味付与剤の含有量が上記範囲内となるようにこれらの原料を添加すればよく、添加のタイミングなどは特に限定されない。また、本明細書において「原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を添加しない」とは、ビールテイスト飲料を製造する際に麦由来のタンパク質および食物繊維をいずれも積極的に添加しないことを意味し、ビールテイスト飲料の製造の際に麦由来のタンパク質および食物繊維が不可避的に混入する態様を包含する。また、小麦や大麦などを原料として製造したスピリッツなどの蒸留酒や醸造酒を添加する製造方法は、本発明の製造方法に含まれる。さらに、原料として添加しない「食物繊維」は、穀物等から抽出された食物繊維として流通している単離された食物繊維であり、原材料名に「食物繊維」と表記されるものを意味し、原料の穀物等に含まれる食物繊維は含まないものとする。すなわち、成分表示として「食物繊維」が表記されていても、原材料名に「食物繊維」が表記されていないビールテイスト飲料は、本発明の製造方法で得られたビールテイスト飲料に含まれる。なお、「麦由来のタンパク質」の意味は、「1 ビールテイスト飲料」に記載のとおりである。
具体的なビールテイスト飲料の製造方法は、発酵を行う場合と発酵を行わない場合とに分けて以下に説明する。
【0033】
(1) 発酵を行う場合の製造工程
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられるビールテイスト飲料は、例えば、仕込み工程、発酵工程、貯酒工程およびろ過工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程によって得られる。
具体的には、原料を仕込釜または仕込槽に投入し、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行わせ、ろ過して煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパクなどの固形分を取り除く。その後、さらに酵母を添加して発酵させ、ろ過機などで酵母を取り除き、必要に応じて水や香料、酸味料、色素などの添加剤を加え、ビールテイスト飲料を得る。酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素などは、発酵工程後において所定量添加してもよいが、糊化・糖化工程を含む製造工程中の任意のタイミングで添加してもよく、添加タイミングは限定されない。
【0034】
発酵工程は、大豆ペプチドなどと水を含む原液に酵母を添加し、発酵を行う工程であればよく、発酵温度、および発酵期間などの諸条件は、自由に設定することができる。原液には発酵に必要な栄養源を含む麦以外の穀物(大豆、コーン、えんどうなど)やアミノ酸、ペプチド、糖液などをもちいてもよい。ビールテイスト発酵飲料を製造する場合、通常のビールや発泡酒の製造のための発酵条件である、8~25℃、5~10日間、の条件で発酵させてもよい。発酵期間は最大で14日間である。発酵工程の途中で発酵液の温度(昇温、または降温)または圧力を変化させてもよい。
【0035】
発酵工程で用いる酵母は、製造すべき発酵飲料の種類、目的とする香味や発酵条件などを考慮して選択することができる。例えばWeihenstephan-34株など、市販の酵母を用いることができる。酵母は、酵母懸濁液のまま原液に添加しても良いし、遠心分離あるいは沈降により酵母を濃縮したスラリーを原液に添加しても良い。また、遠心分離の後、完全に上澄みを取り除いたものを添加しても良い。酵母の原液への添加量は適宜設定できるが、例えば、5×106cells/ml~1×108cells/ml程度である。
【0036】
(2) 発酵を行わない場合の製造工程
本発明のビールテイスト飲料の製造方法に用いられるビールテイスト飲料の製造工程は、発酵工程を含まず、大豆ペプチドなどと水を含む原液に、炭酸水または炭酸ガスを混和する混和工程によって得られる。その際、必要に応じてアルコール、香料、酸味料、色素などの添加剤を加えてもよい。原液には麦以外の穀物(大豆、コーン、えんどうなど)やアミノ酸、ペプチド、糖液などを用いてもよい。非発酵液は混和工程の他に、さらに、仕込み工程、糖化工程および貯酒工程などの当業者に周知のビールテイスト飲料の製造工程を含んでもよい。酸化防止剤、苦味付与剤、香料、酸味料、色素などは、混和工程において所定量添加してもよいが、混和工程以外の他の任意の工程において添加してもよく、添加タイミングは限定されない。
【0037】
2.2 ビールテイスト飲料の容器詰め方法
本発明のビールテイスト飲料の容器詰め方法は特に限定されず、当業者に周知の容器詰め方法を用いることができる。容器詰め工程によって、本発明のビールテイスト飲料は容器に充填・密閉される。容器詰め工程には、いずれの形態・材質の容器を用いてもよく、容器の例としては、「1.4 容器詰飲料」に記載の容器が挙げられる。
【0038】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によっては制限されない。
【実施例】
【0039】
[実施例A]苦味付与剤濃度の違いによる効果の検討
各原料を後述の表1に記載の組成となるように水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例1~5および比較例1~2のビールテイスト飲料を調製した。各ビールテイスト飲料のpH値はアスコルビン酸とリン酸の添加量によって調節した。イソα酸としてはISOHOP(Barth-Haas社製)を、アスコルビン酸としてはアスコルビン酸(DSM社製)を、ビール香料としてはビールの醸造成分が含まれている香料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を、リン酸としてはリン酸(日本化学工業製)をそれぞれ用いた。
このようにして得られたビールテイスト飲料の光照射前の香味と光照射による香味の劣化を確認し、光安定性を評価した。各工程の詳細は下記のとおりである。
【0040】
(光照射)
ビールテイスト飲料の光劣化を評価するために、透明容器に充填されたサンプルに180Wh/m2の光(UV)を2時間20分照射した。
【0041】
(香味の評価)
本明細書において、ビールテイスト飲料の香味を、評点法による官能試験によって評価した。良く訓練された官能評価者6名が、パネラーとなって評価を行い、下記の基準に基づいて数値で評価した。いずれの評価も点数が高いほど良い評価である。
(光照射前の香味)
ビールテイスト飲料としての味質を以下の基準で評価した。評点1はビールテイスト飲料として不合格である。
1:不可
2:良
3:優
(光照射後の香味)
ビールテイスト飲料としての味質を以下の基準で評価した。評点1はビールテイスト飲料として不合格である。
1:(劣化が酷く)不可
2:(劣化が抑えられており)良
3:(劣化が抑えられており)優
【0042】
香味の評価は、光照射の前と後にそれぞれ行い、それぞれの段階での香味の評価値を記録した。それぞれの段階での香味の評価値の平均点を算出し、光照射の前と後の両方で香味の評価値の平均点が2以上のものを合格とした。結果を表1に示す。
【表1】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、酸化防止剤の含有量が200mg/Lに固定したビールテイスト飲料において、苦味付与剤(イソα酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、光照射による香味の劣化を抑制することができることが分かった。具体的には、実施例1~5は苦味付与剤(イソα酸)が所定の範囲内であり、それよりも苦味付与剤(イソα酸)の少ない比較例1やそれよりも苦味付与剤(イソα酸)の多い比較例2よりも、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。なお、比較例1は光照射前の香味が悪かったため、光照射を行うことなく不合格とした。
【0043】
[実施例B]酸化防止剤濃度の違いによる効果の検討
酸化防止剤濃度の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表2に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例6~9および比較例3~5のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表2に示す。
【表2】
【0044】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、苦味付与剤(イソα酸)の含有量が10mg/Lに固定したビールテイスト飲料において、酸化防止剤(アスコルビン酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、光照射による香味の劣化を抑制することができることが分かった。具体的には、実施例1および6~9は酸化防止剤(アスコルビン酸)が所定の範囲内であり、それよりも酸化防止剤(アスコルビン酸)の少ない比較例3および4やそれよりも酸化防止剤(アスコルビン酸)の多い比較例5よりも、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。なお、比較例5は光照射前の香味が悪かったため、光照射を行うことなく不合格とした。
【0045】
[実施例C]苦味付与剤および酸化剤両方の濃度の違いによる効果の検討
苦味付与剤および酸化防止剤両方の濃度の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表3に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例10~13および比較例6~9のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表3に示す。
【表3】
【0046】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、苦味付与剤(イソα酸)と酸化防止剤(アスコルビン酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、光照射による香味の劣化を抑制することができることが分かった。具体的には、実施例1および10~13は苦味付与剤(イソα酸)と酸化防止剤(アスコルビン酸)が所定の範囲内であり、それよりも酸化防止剤(アスコルビン酸)の少ない比較例6および8ならびにも酸化防止剤(アスコルビン酸)の多い比較例7および9よりも、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。なお、比較例7および9は光照射前の香味が悪かったため、光照射を行うことなく不合格とした。
【0047】
[実施例D]pHの違いによる効果の検討
pHの違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表4に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例14~15のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。結果を表4に示す。
【表4】
【0048】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、酸化防止剤(アスコルビン酸)と苦味付与剤(イソα酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、pHを2~4の間で変化させても、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。
【0049】
[実施例E]酸味料の違いによる効果の検討
酸味料の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表5に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例16~23のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。酸味料として、クエン酸(扶桑化学工業製)、グルコン酸(扶桑化学工業製)、酒石酸(扶桑化学工業製)、乳酸(扶桑化学工業製)、リンゴ酸(扶桑化学工業製)、フィチン酸(築野食品工業製)、酢酸(日本合成化学製)またはコハク酸(扶桑化学工業製)を使用した。それぞれの酸味料は、アスコルビン酸と合わせてビールテイスト飲料のpHを3に調整するように添加量を調節した。結果を表5に示す。
【表5】
【0050】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、酸化防止剤(アスコルビン酸)と苦味付与剤(イソα酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、酸味料として種々のものを使用しても、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。
【0051】
[実施例F]アルコールの有無による効果の検討
アルコールの有無による効果を検討した。
実施例Aと同様に表6に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例24~26のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。アルコール濃度は小麦スピリッツを添加して調節した。結果を表6に示す。
【表6】
【0052】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、酸化防止剤(アスコルビン酸)と苦味付与剤(イソα酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、アルコール添加の有無に係わらず、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。
【0053】
[実施例G]苦味付与剤の違いによる効果の検討
苦味付与剤の違いによる効果を検討した。
実施例Aと同様に表7に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、実施例27のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。実施例1と比較すると、実施例27では苦味付与剤として10mg/Lのイソα酸の代わりに250mg/Lのニガヨモギ香料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を添加した。結果を表7に示す。
【表7】
【0054】
上記の結果から、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まず、酸化防止剤(アスコルビン酸)と苦味付与剤(イソα酸)の含有量を所定の範囲内に調整することで、苦味付与剤の種類に係わらず、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。
【0055】
[実施例H]食物繊維の原料としての使用による効果の検討
食物繊維の原料としての使用による効果を検討した。
実施例Aと同様に表8に記載の組成となるように各原料を水に添加し、炭酸ガスを添加し、透明容器に充填することで、比較例10のビールテイスト飲料を調製し、実施例Aと同様に光照射および評価を行った。実施例1と比較すると、比較例10では食物繊維(ライテス(ダニスコ社製))を原料として加えた点で異なる。結果を表8に示す。
【表8】
【0056】
上記の結果から、酸化防止剤と苦味付与剤の含有量が所定の範囲内のビールテイスト飲料において、原料として麦由来のタンパク質および食物繊維を実質的に含まないようにすることで、光照射による香味の劣化を抑制することができることが分かった。具体的には、実施例1は原料として食物繊維を含んでいないため、原料として食物繊維を含む比較例10よりも、十分な香味を有しており、光照射による劣化も抑えられていた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ビールテイスト飲料として優れた香味を有し、かつ、光劣化が抑制されたビールテイスト飲料を提供できる。