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特許7157164アルファ溶血素バリアントおよびその使用
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  • 特許-アルファ溶血素バリアントおよびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】アルファ溶血素バリアントおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/31 20060101AFI20221012BHJP
   C07K 14/31 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221012BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221012BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20221012BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20221012BHJP
【FI】
C12N15/31 ZNA
C07K14/31
C12N9/10
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12Q1/6869 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020544811
(86)(22)【出願日】2019-02-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019054792
(87)【国際公開番号】W WO2019166458
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】62/636,704
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ,ティモシー・ケイ
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/167811(WO,A1)
【文献】特表2019-525911(JP,A)
【文献】特表2019-516361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
C12Q
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号14にA1K、N47KおよびE287Rの置換を有するα-溶血素バリアント。
【請求項2】
DNAポリメラーゼに共有結合によって結合している、請求項に記載のα-溶血素バリアントを含む組成物であって、好ましくは、前記バリアントが、DNAポリメラーゼにイソペプチド結合によって結合している、組成物。
【請求項3】
請求項に記載のα-溶血素バリアントを含む七量体ナノポア構築体であって、好ましくは、天然α-溶血素からなるポア複合体に対して、低減された通り抜ける時間(TTT)を有する、七量体ナノポア構築体。
【請求項4】
共有結合によって結合しているDNAポリメラーゼをさらに含む、請求項に記載の七量体ナノポア構築体。
【請求項5】
請求項に記載のα-溶血素バリアントをコードする核酸。
【請求項6】
請求項に記載のα-溶血素バリアントをコードする核酸を含むベクター。
【請求項7】
請求項に記載のベクターを用いて形質転換された宿主細胞。
【請求項8】
α-溶血素バリアントを作製する方法であって、
(a)請求項に記載の宿主細胞を、α-溶血素バリアントを産生するのに好適な条件下、好適な培養培地中で培養するステップ、および
(b)前記産生されたα-溶血素バリアントを得るステップ、
を含む、前記方法。
【請求項9】
標的分子を検出するための方法であって、
(a)検出電極に隣接して、またはその近傍に配置された膜中に、請求項3または4に記載の七量体ナノポア構築体を含むチップを設置するステップ、
(b)核酸分子を前記ナノポア中に通過させるステップであって、前記核酸分子が、リポーター分子と会合され、前記核酸分子が、アドレス領域およびプローブ領域を含み、前記リポーター分子が、前記プローブ領域で前記核酸分子と会合され、前記リポーター分子が、標的分子と連結される前記ステップ、
(c)前記核酸分子が前記ナノポア中を通過させられる間に前記アドレス領域をシーケンシングして、前記アドレス領域の核酸配列を調べるステップ、ならびに
(d)(c)において調べられた前記アドレス領域の核酸配列に基づいて、コンピュータプロセッサーを利用して前記標的分子を同定するステップ、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]黄色ブドウ球菌(Staphylococcal aureaus)アルファ溶血素バリアントに関する組成物および方法を開示する。アルファ溶血素(α-HL)バリアントは、例えば、ポリマー配列情報を調べるためのデバイスにおいてナノポア成分として有用である。本明細書において記載されるナノポア、方法およびシステムは、特徴が改善されたナノポアを用いる単一分子技術を使用して、一本鎖核酸、例えば、DNA、RNAなどの定量的検出を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002]溶血素は、様々な生物によって産生されるタンパク質毒素のファミリーのメンバーである。一部の溶血素、例えば、アルファ溶血素は、膜中に細孔またはチャネルを形成することによって、細胞膜(例えば、宿主細胞膜)の統合性を破壊できる。細孔形成タンパク質によって膜中に形成される細孔またはチャネルを使用して、膜の一方の側からもう一方に特定のポリマー(例えば、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド)を輸送できる。
【0003】
[0003]アルファ溶血素(α-溶血素、α-HL、a-HLまたはアルファ-HLとも呼ばれる)は、宿主細胞の膜中に水性チャネルを形成する自己構築毒素である。α-HLは、ナノポアシーケンシングコミュニティの主成分となった。高い安定性、自己構築および一本鎖DNAを収容するのには十分に広いが二本鎖DNAを収容するには十分に広くない細孔直径を含む、多数の有利な特性を有する(Kasianowiczら、1996)。
【0004】
[0004]a-HL細孔におけるDNA検出に関するこれまでの研究は、DNAが細孔を通って転位置するときにイオン電流性質を解析すること(Kasianowiczら、1996、Akesonら、1999、Mellerら、2001)、転位置速度(100mVで約1nt/μs)およびイオン電流シグナル中の固有のノイズを考えると、極めて困難な課題に集中してきた。より高い特異性が、細孔の内部に恒久的につながれたプローブ分子の組込みによって、ナノポアを用いるセンサーにおいて達成された(Howorkaら、2001aおよびHoworkaら、2001b;Movileanuら、2000)。
【発明の概要】
【0005】
[0005]野生型α-HLは、著しい数の欠失エラー、すなわち、測定されない塩基をもたらす。したがって、特性の改善されたα-HLナノポアが望まれる。
【0006】
[0006]本明細書において記載されるように、通り抜ける時間、例えば、目的の分子の捕獲のための時間を低減するアミノ酸変動を含有する変異体ブドウ球菌アルファ溶血素(本明細書において、α-溶血素、α-HL、a-HLまたはアルファ-HLとも呼ばれる)ポリペプチドを提供する。例えば、開示されるバリアントは、対象の分子、例えば、種々のタグ付きヌクレオチドまたは配列決定されるヌクレオチドの通り抜ける時間を低減する。
【0007】
[0007]特定の例示的態様では、α-溶血素(α-HL)バリアントは、配列番号14(成熟野生型アルファ溶血素配列)の0K、A1K、A1R、D2N、S3K、D4K、D4N、K8R、N47K、E70K、S106K、E111N、127-131G、D128K、K147N、V149K、E287R、M298Aのうちいずれか1つまたはそれらの組合せに対応する位置に置換を含む。α-溶血素の置換はまた、正電荷であり得る。α-溶血素バリアントはまた、配列番号14のH144Aに置換を含み得る。α-溶血素バリアントはまた、特定の態様においては、配列番号14の残基127~131に1個または複数のグリシン残基、例えば、配列番号14の残基127から131の全長に広がる一連のグリシン残基を含み得る。
【0008】
[0008]特定の例示的態様では、α-溶血素バリアントは、本明細書において記載される置換のうち少なくとも1つを有するアミノ酸配列を含み、α-溶血素バリアントの配列は、配列番号14として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、90%、95%、98%またはそれ以上の配列同一性を有する。特定の例示的態様では、α-溶血素バリアントは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号17、配列番号18または配列番号19として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、90%、95%、98%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0009】
[0009]特定の例示的態様では、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のA1K+N47K+E287Rに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のA1K+N47Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のD4K+N47K+E287Rに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のV149K+N47K+E11N+K147N+127-131Gに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のV149K+N47Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のV149K+D4K+N47Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のA1Rに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のD4N+A1Kに対応する位置に置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のD128K+A1Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のK8R+V149Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14の0K+V149Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14の0K+A1Kに対応する置換を含み得る。さらに、またはあるいは、アルファ溶血素バリアントは、配列番号14のS3K+S106Kに対応する置換を含み得る。特定の例示的態様では、任意のこのような置換はまた、配列番号14のH144Aの置換を含み得る。
【0010】
[0010]特定の例示的態様では、本明細書において記載されるアミノ酸置換は、ポリエチレングリコール(PEG)などの異種分子の付加を可能にする。特定の例示的態様では、a-HL変異体は、1つまたは複数の翻訳後修飾を有する。特定の例示的態様では、置換は、pH約5~約8.5で塩基性であり、正電荷を有する非天然アミノ酸である。
【0011】
[0011]特定の例示的態様では、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントは、DNAポリメラーゼに共有結合などによって結合している。例えば、アルファ溶血素バリアントは、DNAポリメラーゼにSpyTag/SpyCatcher連結によって結合している。特定の例示的態様では、アルファ溶血素バリアントは、DNAポリメラーゼにイソペプチド結合によって結合している。
【0012】
[0012]特定の例示的態様では、七量体ナノポア構築体を提供する。構築体は、例えば、少なくとも1つまたは複数の、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントを含む。例えば、七量体ナノポア構築体は、本明細書において記載されるものなどの配列番号14の0K、A1K、A1R、D2N、S3K、D4K、D4N、K8R、N47K、E70K、S106K、E111N、127-131G、D128K、K147N、V149K、E287R、M298Aまたはその組合せに置換を有する1つまたは複数のアルファ溶血素分子を含み得る。
【0013】
[0013]特定の例示的態様では、変異体α-HLポリペプチド(M)を含む七量体細孔構築体、例えば、野生型(WT)ブドウ球菌のα-HLポリペプチドおよび変異体α-HLポリペプチドを含有し、変異体α-HLポリペプチドのアミノ酸バリアント(本明細書において提供される)が細孔構造の膜貫通チャネル中の位置を占める細孔構築体を提供する。例えば、WTおよびバリアントα-HLポリペプチドの割合は、式WT7-n(式中、nは、1、2、3、4、5、6または7である)によって表される。特定の態様では、ヘテロ七量体中のα-HLポリペプチドの割合は、WT7-nである。別の態様では、割合は、WTである。七量体の各サブユニットが変異α-HLポリペプチド(すなわち、n=7)であるホモマー細孔も、本明細書において提供される本開示に包含される。
【0014】
[0014]本明細書において記載されるナノポアタンパク質構築体は、例えば、天然(野生型)アルファ溶血素からなる細孔複合体に対して、変更された通り抜ける時間(TTT)を有し得る。例えば、TTTを、天然(野生型)アルファ溶血素を含む七量体ナノポア構築体と比較して、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上など低減させることができる。
【0015】
[0015]特定の例示的態様では、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントのいずれかをコードする核酸も提供する。例えば、核酸配列は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(配列番号1)に由来し得る。特定の例示的態様では、本明細書において記載される溶血素バリアントのいずれか1種をコードする任意のこのような核酸を含むベクターも提供する。ベクターを用いて形質転換される宿主細胞も提供する。
【0016】
[0016]特定の例示的態様では、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントを作製する方法を提供する。方法は、例えば、ベクターを含む宿主細胞を、アルファ溶血素バリアントを産生するのに好適な条件下、好適な培養培地中で培養するステップを含む。バリアントは、次いで、当技術分野で公知の方法を使用して培養物から得る。
【0017】
[0017]特定の例示的態様では、標的分子を検出する方法を提供する。方法は、例えば、本明細書において記載されるナノポア構築体を含むチップを、検出電極に隣接して、または近接して配置される膜中に提供するステップを含む。次いで、方法は、ヌクレオチド鋳型の相補鎖の合成の間に、ナノポアを使用して改変されたヌクレオチドNanoTagを検出するステップを含む。この方法は、合成によるシーケンシングとして当技術分野では一般に知られている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】[0018]図1は、野生型α-溶血素と比較される、置換A1K+N47K+E287Rを含むα-溶血素バリアントの通り抜ける時間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0019]本発明を、以下の定義および実施例を使用して単に参照によって、以下に詳細に説明する。本明細書において参照されるすべての特許および刊行物は、このような特許および刊行物内で開示されたすべての配列を含めて、参照により明確に組み込まれる。
【0020】
[0020]本明細書において別段の定めがない限り、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY、第2版、John Wiley and Sons、New York(1994)、およびHale&Marham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY、Harper Perennial、NY(1991)により、本発明で使用する用語の多くの一般的な辞書が当業者に与えられる。当技術分野の定義および用語について、実施者らは、Sambrookら、1989年、およびAusubel FMら、1993年を特に参照対象とする。方法、プロトコールおよび試薬は様々であり得るので、本発明は、記載する特定の方法、プロトコールおよび試薬に限定されないことを理解するべきである。
【0021】
[0021]数の範囲は、範囲を定める数を含める。「約」という用語は、本明細書において使用する場合は、値のプラスまたはマイナス10パーセント(10%)を意味するよう使用する。例えば「約100」は、90~110の間の任意の数を指す。
【0022】
[0022]別段に示されていない限り、核酸は5’~3’の方向でそれぞれ左から右に書き、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向でそれぞれ左から右に書く。
[0023]本明細書において示している見出しは、本発明の様々な態様または実施形態を限定するものではなく、本発明は、明細書を全体として参照によって理解され得る。したがって、直下で定義する用語は、明細書を全体として参照によってより充分に定義される。
【0023】
定義
[0024]アルファ溶血素:本明細書において使用する場合、「アルファ溶血素」、「α-溶血素」、「a-HL」および「α-HL」は、互換的に使用され、モノマー、モノマーのコンカテマーまたはモノマーおよびモノマーのコンカテマーの組合せから、七量体の水が満たされた膜貫通チャネルに自己構築する単量体タンパク質を指す(すなわち、ナノポア)。文脈に応じて、この用語はまた、7つの単量体タンパク質によって形成された膜貫通チャネルを指す場合もある。
【0024】
[0025]アミノ酸:本明細書において使用する場合、「アミノ酸」という用語は、広義には、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態においては、アミノ酸は、一般構造HN-C(H)(R)-COOHを有する。一部の実施形態においては、アミノ酸は、天然由来のアミノ酸である。一部の実施形態においては、アミノ酸は合成アミノ酸であり、一部の実施形態においては、アミノ酸はD-アミノ酸であり、一部の実施形態においては、アミノ酸はL-アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然由来のペプチドにおいて一般に見出される20種の標準的なL-アミノ酸のいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、合成により調製されるものであるか天然源から得られるものであるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書において使用する場合、「合成アミノ酸」または「非天然アミノ酸」は化学修飾アミノ酸を包含し、化学修飾アミノ酸としては、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、および/または置換体が含まれるが、これらに限定されない。ペプチドのカルボキシ末端アミノ酸および/またはアミノ末端アミノ酸を含めたアミノ酸は、それらの活性に悪影響を及ぼすことなく、メチル化、アミド化、アセチル化、および/または、他の化学物質での置換によって修飾することができる。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与することができる。「アミノ酸」という用語は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸、および/またはペプチドのアミノ酸残基を指すことができる。その用語が遊離アミノ酸、またはペプチドの残基を指すかは、その用語が使用される文脈から明らかになる。本明細書においては、すべてのアミノ酸残基配列は、左右の方向が、アミノ末端からカルボキシ末端への従来の方向になっている式によって表されていることに留意するべきである。
【0025】
[0026]塩基対(bp):本明細書において使用する場合、塩基対は、2本鎖核酸におけるアデニン(A)とチミン(T)、アデニン(A)とウラシル(U)、またはシトシン(C)とグアニン(G)との結び付きを指す。
【0026】
[0027]相補的:本明細書において使用する場合、「相補的」という用語は、塩基対形成による2本のポリヌクレオチド鎖の領域間、または2つのヌクレオチド間の配列相補性の広範な概念を指す。アデニンヌクレオチドが、チミンまたはウラシルであるヌクレオチドと特異的な水素結合を形成(「塩基対形成」)することができることは公知である。同様に、シトシンヌクレオチドがグアニンヌクレオチドと塩基対形成することができることは公知である。
【0027】
[0028]発現カセット:「発現カセット」または「発現ベクター」は、標的細胞中の個々の核酸の転写を可能にする一連の特定の核酸エレメントを用いて組換えによってまたは合成によって作製された核酸構築物である。組換え発現カセットを、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルスまたは核酸断片中に組み込むことができる。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分は、他の配列の中でも、転写されるべき核酸配列およびプロモーターを含む。
【0028】
[0029]異種:「異種」核酸構築物または配列は、それが発現される細胞にとって天然ではない配列の部分を有する。異種とは、制御配列に関して、天然には、その発現を現在調節している同遺伝子を調節するように機能しない制御配列(すなわち、プロモーターまたはエンハンサー)を指す。一般に、異種核酸配列は、それらが存在する細胞またはゲノムの一部にとって内因性ではなく、感染、トランスフェクション、形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどによって細胞に加えられている。「異種」核酸構築物は、天然細胞において見出される制御配列/DNAコード配列組合せと同一であるか、または異なっている制御配列/DNAコード配列組合せを含有し得る。
【0029】
[0030]宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、ベクターを含有し、発現構築物の複製および/もしくは転写または転写および翻訳(発現)を支持する細胞を意味する。本発明において使用するための宿主細胞は、大腸菌(E.coli)もしくは枯草菌(Bacillus subtilus)などの原核細胞または酵母、植物、昆虫、両生類もしくは哺乳類細胞などの真核細胞であり得る。一般に、宿主細胞は、原核生物、例えば、大腸菌(E.coli)である。
【0030】
[0031]単離された:「単離された」分子は、通常、例えば分子の自然環境で会合している少なくとも1種の他の分子から分離されている核酸分子である。単離された核酸分子としては、その核酸分子を通常発現する細胞に含有された核酸分子が挙げられるが、その核酸分子は、染色体外、またはその自然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0031】
[0032]改変アルファ溶血素:本明細書において使用する場合、「改変アルファ溶血素」という用語は、別の(すなわち、親の)アルファ溶血素から生じ、親アルファ溶血素と比較して1つまたは複数のアミノ酸の変化(例えば、アミノ酸の置換、欠失または挿入)を含有するアルファ溶血素を指す。一部の実施形態において、本発明の改変アルファ溶血素は、天然由来のアルファ溶血素、または野生型アルファ溶血素から生じるか、またはそれから改変されている。一部の実施形態において、本発明の改変アルファ溶血素は、組換えアルファ溶血素または操作されたアルファ溶血素から生じるか、またはそれから改変されており、組換えアルファ溶血素または操作されたアルファ溶血素としては、キメラアルファ溶血素、融合アルファ溶血素、または別の改変アルファ溶血素が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、改変アルファ溶血素は、親アルファ溶血素と比較して変更された表現型を少なくとも1つ有する。
【0032】
[0033]変異:本明細書において使用する場合、「変異」という用語は、親配列に導入された変更を指し、その変更としては、置換、挿入および/または欠失(切り詰めを含める)が挙げられるが、これらに限定されない。変異の結果としては、親配列によってコードされるタンパク質では見出されない新しい特性、特質、機能、表現型、または形質の創造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
[0034]ナノポア:本明細書において使用する場合、「ナノポア」という用語は概して、膜に形成された、または他の方法で膜に与えられたポア、チャネル、または通路を指す。膜は、脂質二重層などの有機膜であっても、ポリマー材料で形成された膜などの合成膜であってもよい。膜はポリマー材料としてもよい。ナノポアは、例えば相補型金属酸化膜半導体(CMOS)回路または電界効果トランジスター(FET)回路などの検出回路、または検出回路に連結された電極に隣接して、またはその近傍に配置してもよい。一部の例においては、ナノポアは、0.1ナノメートル(nm)~約1000nmの桁の特徴的な幅または直径を有する。一部のナノポアはタンパク質である。アルファ溶血素、タンパク質ナノポアの例である。
【0034】
[0035]核酸分子:「核酸分子」という用語は、RNA、DNAおよびcDNA分子を含む。遺伝暗号の縮重の結果として、アルファ溶血素および/またはそのバリアントなどの、所与のタンパク質をコードする多数のヌクレオチド配列が生成され得るということは理解されよう。本発明は、バリアントアルファ溶血素をコードするあらゆるあり得るバリアントヌクレオチド配列を考慮し、それらのすべては、遺伝暗号の縮重を考えると可能性がある。
【0035】
[0036]プロモーター:本明細書において使用する場合、用語「プロモーター」とは、下流の遺伝子の転写を指示するよう機能する核酸配列を指す。プロモーターは、一般に、標的遺伝子が発現されている宿主細胞にとって適当である。プロモーターは、その他の転写および翻訳調節核酸配列(「制御配列」とも呼ばれる)と一緒に、所与の遺伝子を発現するために必要である。一般に、転写および翻訳調節配列としては、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0036】
[0037]精製された:本明細書において使用する場合、「精製された」は、分子が、含有されている試料の少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の濃度で試料中に存在することを意味する。
【0037】
[0038]精製すること:本明細書において使用する場合、「精製すること」という用語は、一般に、トランスジェニック核酸またはタンパク質を含有する細胞を、生化学的精製および/またはカラムクロマトグラフィーに付すことを指す。
【0038】
[0039]タグ:本明細書において使用する場合、「タグ」という用語は、原子もしくは分子、または、原子もしくは分子の集団としてもよい検出可能な部分を指す。タグは、光学的、電気化学的、磁気的、または静電的(例えば、誘導的、容量的)性状を示すことができ、その性質は、ナノポアを利用して検出することができる。典型的には、ヌクレオチドがタグに付けられる場合には、「タグ付きヌクレオチド」と呼ばれる。タグは、リン酸部分を介してヌクレオチドに付けることができる。
【0039】
[0040]通り抜ける時間:「通り抜ける時間」または「TTT」という用語は、ポリメラーゼ-タグ複合体または核酸鎖が、ナノポアのバレル中にタグを通すのにかかる時間を意味する。
【0040】
[0041]バリアント:本明細書において使用する場合、「バリアント」という用語は、親タンパク質と比較した場合に変化した特性、例えば、変化したイオンコンダクタンスを示す改変タンパク質を指す。
【0041】
[0042]バリアント溶血素:「バリアント溶血素遺伝子」または「バリアント溶血素」という用語は、それぞれ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のアルファ溶血素遺伝子の核酸配列が、本明細書において記載される本発明と一致して、コード配列または発現されたタンパク質のアミノ酸配列を除去、付加および/または操作することによって変更されていることを意味する。
【0042】
[0043]ベクター:本明細書において使用する場合、「ベクター」という用語は、異なる宿主細胞間の移動用に設計された核酸構造物を指す。「発現ベクター」は、外来性細胞において異種DNA断片を組み込んで発現する能力を有するベクターを指す。多くの原核生物発現ベクターおよび真核生物発現ベクターが市販されている。適切な発現ベクターの選択は、当業者に知られている。
【0043】
[0044]野生型:本明細書において使用する場合、「野生型」という用語は、天然由来の供給源から単離された際に、その遺伝子または遺伝子産物の特性を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。
【0044】
[0045]相同性%:本明細書においては、「相同性%」という用語は、本明細書の「同一性%」という用語と互換的に使用し、本発明のポリペプチドのいずれか1つをコードする核酸配列、または本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の間での、配列アライメントプログラムを使用して整列させた場合の核酸またはアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。例えば、本明細書において使用する場合、相同性80%は、定義済みのアルゴリズムによって決定される配列同一性80%と同じことを意味し、したがって所与の配列の相同体は、所与の配列の、ある長さにわたって80%超の配列同一性を有する。配列同一性の例示的なレベルとしては、所与の配列、例えば本明細書に記載する本発明のポリペプチドのいずれか1つのコード配列との80、85、90、95、98%以上の配列同一性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
[0046]2つの配列間の同一性を決定するのに使用することができる例示的なコンピュータプログラムとしては、インターネット上で公開されている一連のBLASTプログラム、例えば、BLASTN、BLASTX、およびTBLASTX、BLASTP、およびTBLASTNが挙げられるが、これらに限定されない。Altschulら、1990年、およびAltschulら、1997年、も参照のこと。
【0046】
[0047]配列検索は、GenBankのDNA配列および他の公開データベースの核酸配列と比較して所与の核酸配列を評価する場合には、典型的にはBLASTNプログラムを使用して行う。BLASTXプログラムは、GenBankのタンパク質配列および他の公開データベースのアミノ酸配列に対して、すべての読み枠で翻訳されている核酸配列を検索するために使用され得る。BLASTNとBLASTXの両方は、11.0のオープンギャップペナルティー、および1.0のエクステンディッドギャップペナルティーのデフォルトパラメータを使用し、BLOSUM-62マトリックスを利用して走らせる。(例えば、Altschul,S.F.ら、Nucleic Acids Res.25:3389~3402、1997年を参照のこと。)
【0047】
[0048]2つ以上の配列間での「同一性%」を決定するための、選択された配列のアライメントは、例えば、MacVectorバージョン13.0.7のCLUSTAL-Wプログラムを使用し、10.0のオープンギャップペナルティー、0.1のエクステンディッドギャップペナルティーを含むデフォルトパラメータ、およびBLOSUM30類似度マトリックスを用いて動作させて行ってもよい。
【0048】
命名法
[0049]本明細書および特許請求の範囲において、アミノ酸残基の従来の1文字表記および3文字表記を使用する。
【0049】
[0050]参照を容易にするため、本出願のバリアントは、以下の命名法を使用して記載する:元のアミノ酸(1つまたは複数):位置(1つまたは複数):置換したアミノ酸(1つまたは複数)。この命名法によれば、例えば、位置149におけるリジンによるバリン置換は、以下として示される:
Val149LysまたはV149K
複数の変異は、+記号によって分けられる、例えば、それぞれ、リジンをアラニンと、リジンをアスパラギンと、およびアルギニンをグルタミン酸と置換する位置1、47および287における変異を表す:
Ala1Lys+Asn47Lys+Glu287ArgまたはA1K+N47K+E287R
アミノ酸置換のスパンは、ダッシュによって表される、例えば、残基127~131のグリシン残基のスパンである:127-131Glyまたは127-133G。
【0050】
アルファ溶血素の部位特異的突然変異誘発
[0051]黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)アルファ溶血素野生型配列は、本明細書において示しており(配列番号1、核酸コード配列;配列番号14、最初のメチオニンを含まないタンパク質配列)、他の場所で入手可能である(National Center for BioinformaticsまたはGenBank受入番号M90536およびAAA26598)。
【0051】
[0052]点変異は、当技術分野で公知の任意の方法によって導入することができる。例えば、点突然変異は、QuikChange Lightning 2キット(Stategene/Agilent)を製造業者の説明書に従って使用して行うことができる。
【0052】
[0053]プライマーは、営利会社、例えばIDT DNA(米国、イリノイ州、スコーキー)に注文することができる。
【0053】
アルファ溶血素バリアント
[0054]本明細書において提供されるアルファ溶血素バリアントは、ナノポアベースのシーケンシング反応において通り抜ける時間を改善する特定の置換または1つもしくは複数の置換の組合せを含む。通り抜ける時間を改善することによって、決定された配列に、より少ない欠失しか伴わない、高精度DNAシーケンシングを達成できる。
【0054】
[0055]特定の例示的実施形態では、本明細書において提供されるアルファ溶血素バリアントは、配列番号14として示されるアミノ酸配列の位置のうち1つまたは複数に1つまたは複数の変異を含む。例えば、表1において同定される残基のうち任意の1個またはそれらの組合せを変異させて、アルファ溶血素バリアントを形成できる。特定の例示的実施形態では、表1において同定される配列番号14のアミノ酸のうち1個または複数を変異することから形成されるアルファ溶血素バリアントは、配列番号14として示される配列に対して80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。特定の例示的実施形態では、変異は、正電荷の付加をもたらす。例えば、変異は、表1において同定されるアミノ酸残基の、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギンまたは正電荷を保持し得るその他のアミノ酸への置換をもたらし得る。一部の実施形態においては、アルファ溶血素バリアントは、アルファ溶血素ポリペプチド配列の最初に挿入されたさらなるアミノ酸を含む-このようなバリアントは、位置0に「置換」を有すると呼ばれる。例えば、本明細書において記載されるバリアントは、ポリペプチド配列の最初に挿入されたリジンを有し得る、例えば、置換は、0Kと呼ばれる。
【0055】
[0056]特定の例示的実施形態では、変異は、特定の置換を含む。例えば、バリアントは、配列番号14の0K、A1K、A1R、D2N、S3K、D4K、D4N、K8R、N47K、E70K、S106K、E111N、127-131G、D128K、K147N、V149K、E287R、M298Aのうち任意の1つまたはそれらの組合せのアミノ酸置換を含み得る。その他の例示的実施形態では、バリアントは、1つまたは複数のこれらの同一の置換を含み得るが、全体的な配列は、配列番号14として示されるアミノ酸配列に対して最大80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有し得る。特定の例示的実施形態では、配列番号14の最初の17個のアミノ酸のうち1個または複数が、A、N、Kのいずれかまたはそれらの組合せに変異した。
【0056】
[0057]ナノポア安定性を改善するために、例えば、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントのいずれかはまた、配列番号14のH144Aにアミノ酸置換を含み得る。さらに、またはあるいは、バリアントのいずれかは、配列番号14として示される配列の残基127から残基131に広がる一連のグリシン残基置換を含み得る。
【0057】
【表1】
【0058】
[0058]α-溶血素バリアントは、本明細書において記載される置換の種々の組合せを含み得るが、特定の例示的実施形態では、α-溶血素バリアントは、置換の特定の組合せを含む。例えば、α-溶血素バリアントは、配列番号14として示される配列のアミノ酸置換の以下の組合せを含み得る:
A1K+N47K+E287R、
A1K+N47K、
D4K+N47K+E287R、
V149K+N47K+E11N+K147N+127-131G、
V149K+N47K、
V149K+D4K+N47K、
A1R、
D4N+A1K、
D128K+A1K、
K8R+V149K、
0K+V149K、
0K+A1K、
S3K+S106K。
このような組合せはまた、例えば、配列番号14のH144Aでの置換および/または配列番号14のアミノ酸127~131での一連のグリシン残基を含み得る。特定の例示的実施形態では、α-溶血素バリアントは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号17、配列番号18または配列番号19として示されるアミノ酸配列に対して少なくとも80%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、各配列において同定される、例えば、バリアントにおいて保存されている置換を有する。
【0059】
[0059]一部の実施形態においては、α-溶血素バリアントは、米国特許出願公開第2017/0306397号に記載されるTTT置換をさらに含み得る。例えば、α-溶血素バリアントは、位置H35G、T109K、P151KまたはM113Aのうちいずれかに1つまたは複数の置換を含んでもよい。
【0060】
[0060]バリアントおよびWTアルファ溶血素を操作できるように、特定の例示的実施形態では、配列番号4~14および17~19として示されるものなどの本明細書において記載されるアミノ酸配列のいずれかはまた、C末端に、配列GLSAENLYFQGHHHHHH(配列番号16、これでは、TEV配列に下線が引かれている)を有するリンカー/TEV/HisTAG配列を含み得る。当業者は理解するであろうが、このような配列は、バリアントの精製を可能にする。
【0061】
ナノポア構築および挿入
[0061]本明細書において記載する方法は、ポリメラーゼがナノポアに付いたナノポアを使用することができる。特定の例示的な実施形態においては、(例えば、各ナノポアで1つのみの核酸分子がシーケンシングされるように)ナノポア1つ当たりただ1つのポリメラーゼを有することが望ましい。しかしながら、アルファ溶血素(a-HL)を含めた多くのナノポアは、複数のサブユニット(例えば、a-HLでは7サブユニット)を有する多量体タンパク質であり得る。サブユニットは、同じポリペプチドの同一複製物であり得る。本明細書においては、無改変サブユニット(例えば、a-HL)に対する改変サブユニット(例えば、a-HLバリアント)の規定された比を有する多量体タンパク質(例えば、ナノポア)を提供する。
【0062】
[0062]無改変サブユニットに対する改変サブユニットの規定された比を有する多量体タンパク質(例えば、ナノポアまたはナノポア構築体)を作製する方法も本明細書において提供する。例えば、ナノポア構築体は、本明細書において記載されるアルファ溶血素バリアントのいずれかを含み得る。七量体ナノポア構築体は、例えば、配列番号14の0K、A1K、A1R、D2N、S3K、D4K、D4N、K8R、N47K、E70K、S106K、E111N、127-131G、D128K、K147N、V149K、E287R、M298Aのうちいずれか1つまたはそれらの組合せの置換に対応するアミノ酸配列を有する1つまたは複数のアルファ溶血素サブユニットを含み得る。特定の例示的実施形態では、サブユニットのうち1つまたは複数は、本明細書において記載される置換の特定の組合せを含み得る。ナノポア構築体において、例えば、七量体構築体において使用されるバリアントのいずれかは、配列番号14のH144A置換を含み得る。
【0063】
[0063]WO2014/074727の図27を参照すると、複数のサブユニットを有するタンパク質を構築する方法は、複数の第1のサブユニット2705を用意すること、および複数の第2のサブユニット2710を用意することを含み、第2のサブユニットは第1のサブユニットと比較すると改変されている。一部の場合においては、第1のサブユニットは野生型(例えば、天然源から精製したもの、または組換えで作製したもの)である。第2のサブユニットは、任意の好適な方法で改変することができる。一部の場合においては、第2のサブユニットは、(例えば、融合タンパク質として)付けられたタンパク質(例えば、ポリメラーゼ)を有する。
【0064】
[0064]特定の例示的な実施形態においては、化学反応性部分(例えば、連結の形成に好適なアジド基またはアルキン基)を含むことができる。一部の場合においては、本方法は、反応(例えば、Click化学付加環化)を行って、実在物(例えば、ポリメラーゼ)を化学反応性部分に付けることをさらに含む。
【0065】
[0065]特定の例示的な実施形態においては、第1のサブユニットを第2のサブユニット2715と第1の比で接触させて、第1のサブユニットおよび第2のサブユニットを有する複数のタンパク質2720を形成させることをさらに含むことができる。例えば、ポリメラーゼを付けるのに好適な反応基を有する改変aHLサブユニット1部を、野生型aHLサブユニット6部と混合することができる(すなわち、第1の比は1:6である)。複数のタンパク質は、第2のサブユニットに対する第1のサブユニットの複数の比を有することができる。例えば、混合したサブユニットは、改変サブユニット:無改変サブユニットの化学量論比(例えば、1:6、2:5、3:4)の分布を有するいくつかのナノポアを形成させることができる。
【0066】
[0066]特定の例示的な実施形態においては、タンパク質は、サブユニットを単純に混合することによって形成させる。例えばa-HLナノポアの場合においては、界面活性剤(例えば、デオキシコール酸)は、a-HL単量体が細孔構造をとることを引き起こすことができる。ナノポアは、例えば、脂質(例えば、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPhPC)または1,2-ジ-0-フィタニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DoPhPC))、および中温(例えば、約100℃未満)を用いて形成させることもできる。一部の場合においては、DPhPCを緩衝溶液と混合すると、大きな多重膜ベシクル(LMV)が生じ、この溶液にaHLサブユニットを加えて、混合物を40℃で30分間インキュベートすると、細孔が形成する。
【0067】
[0067]異なる2種類のサブユニット(例えば、天然野生型タンパク質と、単一点変異を含有することができる第2のa-HL単量体)を使用する場合、得られるタンパク質は、(例えば野生型と変異体タンパク質の)混合化学量論比を有することができる。これらのタンパク質の化学量論比は、特定の例示的な実施形態においては、細孔形成反応において使用する2種のタンパク質の濃度比に依存した式に従うことができる。この式は以下のとおりである。
100P=100[n!/m!(n-m)!]・fmut ・fwt n~m、式中
=m個の変異体サブユニットを有する細孔の確率
n=サブユニットの総数(例えば、aHLでは7個)
m=「変異体」サブユニットの数
mut=一緒に混合した変異体サブユニットの割合または比
wt=一緒に混合した野生型サブユニットの割合または比
【0068】
[0068]本方法は、複数のタンパク質を分画して、第2のサブユニット2725に対する第1のサブユニットの第2の比を有するタンパク質を増やすことをさらに含むことができる。例えば、ただ1つの改変サブユニットを有するナノポアタンパク質を単離することができる(例えば、第2の比は1:6)。しかしながら、いずれの第2の比も好適である。第2の比の分布も分画することができ、例えば、1つまたは2つのいずれかの改変サブユニットを有するタンパク質を増やすことができる。WO2014/074727の図27に示されているように、タンパク質を形成するサブユニットの総数は、常に7個であるとは限らない(例えば、異なるナノポアを使用することができ、または6個のサブユニットを有するアルファ溶血素ナノポアが形成し得る)。一部の場合においては、1つのみの改変サブユニットを有するタンパク質を増やす。このような場合においては、第2の比は、第1のサブユニット(n-1)個当たり、第2のサブユニット1個であり、nはタンパク質を構成するサブユニットの数である。
【0069】
[0069]第1の比は、第2の比と同じものとすることができるが、必要とされるものではない。一部の場合においては、変異単量体を有するタンパク質は、変異サブユニットを有しないタンパク質よりも低い効率で形成し得る。この場合は、第1の比は、第2の比よりも大きいものとすることができる(例えば、変異サブユニット1:無変異サブユニット6の第2の比がナノポアで所望される場合、好適な数の1:6タンパク質を形成させるには、1:6よりも大きい比でサブユニットを混合することが必要とされてもよい)。
【0070】
[0070]異なる第2のサブユニット比を有するタンパク質は、分離において、異なる挙動を示す(例えば、異なる保持時間を有する)ことができる。特定の例示的な実施形態においては、タンパク質は、イオン交換クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを使用して分画する。第1および第2のサブユニットは、改変を除いては同一とすることができるので、タンパク質における改変の数は、分離の根拠として役割を果たすことができる。一部の場合においては、第1または第2のサブユニットのいずれかは、分画を可能にするか、または分画の効率を改良するよう、(例えば、改変に加えて)精製タグを有する。一部の場合においては、ポリヒスチジンタグ(HisTag)、ストレプトアビジンタグ(StrepTag)、または他のペプチドタグを使用する。一部の例においては、第1および第2のサブユニットはそれぞれ異なるタグを含み、分画工程では、各タグに基づき分画される。HisTagの場合には、低いpHでタグに電荷を生じさせる(ヒスチジン残基は、側鎖のpKa未満で正に荷電する)。他のものと比較してaHL分子の1つにおいて電荷が有意に異なることにより、イオン交換クロマトグラフィーを使用して、0、1、2、3、4、5、6、または7個の「電荷タグ付き」a-HLサブユニットを有するオリゴマーを分離することができる。原則的に、この電荷タグは、均一電荷を運ぶ任意のアミノ酸が糸状に連なるものとすることができる。図28および図29では、HisTagに基づくナノポアの分画の例が示されている。図28では、280ナノメートルにおける紫外吸光度、260ナノメートルにおける紫外吸光度、および伝導率のプロットが示されている。ピークは、改変サブユニットと無改変サブユニットの様々な比を有するナノポアに一致する。WO2014/074727の図29では、HisTagとStrepTagの両方を使用した、aHLナノポアおよびその変異体の分画が示されている。
【0071】
[0071]特定の例示的な実施形態においては、分画後に、実在物(例えば、ポリメラーゼ)をタンパク質に付ける。タンパク質はナノポアとすることができ、実在物はポリメラーゼとすることができる。一部の例においては、本方法は、第2の比のサブユニットを有するタンパク質を二重層に挿入することをさらに含む。
【0072】
[0072]特定の例示的な実施形態においては、ナノポアは、複数のサブユニットを含むことができる。本明細書において記載されるように、ポリメラーゼは、サブユニットの1つに付けることができ、サブユニットの少なくとも1つかつ全部未満が、第1の精製タグを含む。一部の例示的な実施形態においては、ナノポアはアルファ溶血素またはそのバリアントである。一部の例においては、サブユニットのすべてが第1の精製タグまたは第2の精製タグを含む。第1の精製タグは、例えば、(例えば、ポリメラーゼが付いたサブユニットにおける)ポリヒスチジンタグとすることができる。
【0073】
ナノポアに付けられたポリメラーゼ
[0073]特定の例示的な実施形態においては、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼ)は、ナノポアに付けられ、かつ/または、ナノポアの近傍に配置される。DNA合成反応の間にDNAを合成可能な任意のDNAポリメラーゼを、本明細書において記載される方法および組成物と一致して使用できる。例示的DNAポリメラーゼとして、それだけには限らないが、phi29(バチルスバクテリオファージφ29)、pol6(クロストリジウム(Clostridium)ファージphiCPV4;GenBank:AFH27113.1)またはpol7(アクチノマイセス(Actinomyces)ファージAv-1;GenBank:ABR67671.1)が挙げられる。特定の例示的実施形態では、リガーゼ、ヌクレアーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、トランスフェラーゼまたはトポイソメラーゼなどのDNA操作酵素または修飾酵素をナノポア構築体に付ける。
【0074】
[0074]特定の例示的実施形態では、ポリメラーゼは、ポリメラーゼバリアントである。例えば、ポリメラーゼバリアントは、米国特許出願第15/012,317号(米国特許出願第2016/0222363号として公開される「’317出願」)ならびに米国特許出願第15/151,364号(米国特許出願公開第2016/0333327号として公開される)、同15/443,964号、同15/444,020号(米国特許出願公開第2017/0267983号として公開される)および同15/710,674号において同定されるポリメラーゼバリアントのいずれかを含み得る。このようなバリアントは、例えば、配列番号15のH223A、N224Y/L、Y225L/T/I/F/A、H227P、I295W/F/M/E、Y342L/F、T343N/F、I357G/L/Q/H/W/M/A/E/Y/P、S360G、L361M/W/V、I363V、S365Q/W/M/A/G、S366A/L、Y367L/E/M/P/N、P368G、D417P、E475D、Y476V、F478L、K518Q、H527W/R/L、T529M/F、M531H/Y/A/K/R/W/T/L/V、N535L/Y/M/K/I、G539Y/F、P542E/S、N545K/D/S/L/R、Q546W/F、A547M/Y/W/F/V/S、L549Q/Y/H/G/R、I550A/W/T/G/F/S、N552L/M/S、G553S/T、F558P/T、A596S、G603T、A610T/E、V615A/T、Y622A/M、C623G/S/Y、D624F、I628Y/V/F、Y629W/H/M、R632L/C、N635D、M641L/Y、A643L、I644H/M/Y、T647G/A/E/K/S、I648K/R/V/N/T、T651Y/F/M、I652Q/G/S/N/F/T、K655G/F/E/N、W656E、D657R/P/A、V658L、H660A/Y、F662I/L、L690M、(’317出願の配列番号2に対応する)の1つもしくは複数のアミノ酸置換またはそれらの組合せを含み得る。
【0075】
[0075]特定の例示的実施形態では、ポリメラーゼは、1つまたは複数のこのような置換を含み、配列番号15として示されるアミノ酸配列に対して80%、90%、95%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。‘317出願に記載されるように、ポリメラーゼバリアントは、親ポリメラーゼに対して変更された酵素活性、忠実度、処理能力、伸長速度、シーケンシング精度、長い連続読み取り能力、安定性または溶解度を有する。
【0076】
[0076]ポリメラーゼを、任意の公的な方法でナノポアに付けることができる。ポリメラーゼを、例えば、当技術分野で公知の任意の好適な方法でナノポア構築体に付けることができる。例えば、PCT/US2013/068967(WO2014/074727として公開される;Genia Technologies)、PCT/US2005/009702(WO2006/028508として公開される)およびPCT/US2011/065640(WO2012/083249;コロンビア大学として公開される)を参照のこと。特定の例示的な実施形態においては、ポリメラーゼは、ナノポア(例えば、溶血素)タンパク質単量体に付け、その後、(例えば、ポリメラーゼが付いていないナノポア(例えば、溶血素)単量体6つに対し、ポリメラーゼが付いた単量体1つの比で)全体のナノポア七量体を構築する。次いでナノポア七量体を膜に挿入することができる。
【0077】
[0077]ポリメラーゼをナノポアに付ける別の方法は、溶血素単量体にリンカー分子を付けるか、または溶血素単量体を、取付け部位を有するよう変異させること、ならびに、その後、(例えば、リンカーおよび/または取付け部位を有しない溶血素単量体6つに対し、リンカーおよび/または取付け部位を有する単量体1つの比で)全体のナノポア七量体を構築することを含む。次いでポリメラーゼを、(例えば、膜への挿入前に、大量で)取付け部位または取付けリンカーに付けることができる。ポリメラーゼは、(例えば、七量体の)ナノポアを膜に形成させた後で、取付け部位または取付けリンカーに付けることもできる。一部の場合においては、複数のナノポア-ポリメラーゼペアを、バイオチップの(例えば、ウェルおよび/または電極に配置した)複数の膜に挿入する。一部の例においては、ポリメラーゼのナノポア複合体への取付けは、各電極上のバイオチップにおいて行う。
【0078】
[0078]ポリメラーゼは、任意の好適な化学作用(例えば、共有結合および/またはリンカー)を用いてナノポアに付けることができる。一部の場合においては、ポリメラーゼは、分子ステープル(molecular staple)を用いてナノポアに付ける。一部の例においては、分子ステープルは、3種のアミノ酸配列(リンカーA、B、およびCで示す)を含む。リンカーAは溶血素単量体から延びることができ、リンカーBはポリメラーゼから延びることができ、その場合にリンカーCは、リンカーAとリンカーBを(例えば、リンカーAとリンカーBの両方に巻き付くことによって)つなぐことができ、したがってポリメラーゼをナノポアとつなぐことができる。リンカーCは、リンカーAまたはリンカーBの一部分となるよう構築することもでき、したがってリンカー分子の数は減る。
【0079】
[0079]特定の例示的な実施形態においては、ポリメラーゼは、Solulink(商標)化学を用いてナノポアに連結する。Solulink(商標)は、HyNic(6-ヒドラジノ-ニコチン酸、芳香族ヒドラジン)と4FB(4-ホルミル安息香酸エステル、芳香族アルデヒド)の間の反応とすることができる。一部の例においては、ポリメラーゼは、Click化学(例えば、LifeTechnologies、米国、カリフォルニア州、カールスバッドから入手可能)を用いてナノポアに連結する。一部の場合においては、溶血素分子にジンクフィンガー変異を導入し、次に分子(例えば、DNA中間体分子)を使用してポリメラーゼを溶血素のジンクフィンガー部位に連結する。
【0080】
[0080]さらに、またはあるいは、生理学的条件下で共有結合イソペプチド連結を自発的に形成するSpyTag/SpyCatcherシステムを使用して、アルファ溶血素モノマーをポリメラーゼにつなげることができる。例えば、Liら、J Mol Biol.2014年1月23日;426(2):309~17を参照のこと。例えば、SpyTagドメインを有するアルファ溶血素タンパク質を発現させることができる。さらに、アルファ溶血素につなげられるDNAポリメラーゼを、SpyCatcherドメインを有する融合タンパク質として別個に発現させることができる。アルファ溶血素/SpyTag融合タンパク質をDNAポリメラーゼ/SpyCatcherタンパク質と混合することによって、SpyTagタンパク質とSpyCatcherタンパク質が相互作用して、DNAポリメラーゼに共有結合イソペプチド連結によって連結しているアルファ溶血素モノマーを形成する。
【0081】
[0081]特定の例示的実施形態では、ナノポアモノマーをナノポア構築体中に組み込む前に、ポリメラーゼをナノポアモノマーに付けることができる。例えば、アルファ溶血素/SpyTag融合タンパク質の発現および精製後、精製されたアルファ溶血素/SpyTag融合タンパク質を精製されたポリメラーゼ/SpyCatcher融合タンパク質と混合することにより、SpyTagタンパク質とSpyCatcherタンパク質が互いに結合して、アルファ溶血素/ポリメラーゼモノマーを形成することが可能になる。次いで、七量体構築体を形成するように、モノマーを、本明細書において記載されるナノポア構築体中に組み込むことができる。
【0082】
[0082]特定の例示的実施形態では、ナノポア構築体の形成後、ポリメラーゼをナノポア構築体に付ける。例えば、アルファ溶血素/SpyTag融合タンパク質の発現および精製後、七量体ナノポア構築体を形成するように、融合タンパク質をナノポア構築体中に組み込む。次いで、ポリメラーゼ/SpyCatcher融合タンパク質を七量体構築体と混合することにより、SpyTagタンパク質とSpyCatcherタンパク質が互いに結合して、ポリメラーゼがナノポア構築体に結合することが可能になる。
【0083】
[0083]ナノポアベースのシーケンシング反応の性質のために、当業者ならば、各ナノポア構築体と会合された単一ポリメラーゼのみ(複数のポリメラーゼではなく)を有することは有益であるということは理解するであろう。このような構築体を達成するために、ナノポア構築体は、例えば、単一SpyTagのみを有し、したがって、単一ポリメラーゼ/SpyCatcherの取付けを可能にするように構成されていてもよい。
【0084】
[0084]アルファ溶血素の場合には、例えば、アルファ溶血素/SpyTagタンパク質をさらなるアルファ溶血素タンパク質と混合することにより、0、1、2、3、4、5、6または7つのアルファ溶血素/SpyTagサブユニットを有する七量体が得られる。しかし、各七量体と会合したSpyTag配列の数が異なる(0、1、2、3、4、5、6または7つ)ため、七量体は、種々の電荷を有する。したがって、特定の例示的実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いる溶出などによって、当技術分野で公知の方法によって七量体を分けることができる。次いで、溶出された画分を調べて、どの画分が単一SpyTagを有する構築体を含むかを決定することができる。次いで、単一SpyTagを有する画分を使用して、単一ポリメラーゼを各構築体に付け、それによって、単一ポリメラーゼが付けられたナノポア構築体を作製することができる。
【0085】
[0085]どの七量体画分が単一SpyTagを含有する(したがって、七量体1つ当たり単一のポリメラーゼ/SpyCatcher融合タンパク質のみを結合可能である)かを決定するために、種々の方法が好適であり得るが、特定の例示的実施形態では、種々の七量体画分を、SDS-PAGEなどによって分子量に基づいて分けることができる。次いで、試薬を使用して、各画分と会合したSpyTagの存在を確認できる。例えば、SDS-PAGEによる分離の前にSpyCatcher-GFP(緑色蛍光タンパク質)を画分に添加することができる。
【0086】
[0086]より少ない数のSpyTagを有する七量体は、より多い数のSpyTagを有する七量体よりも小さいので、単一SpyTagを有する画分は、バンドに対応するSDS-PAGEゲルにおいて最も遠いバンド移動およびGFP蛍光の存在によって証明されるように同定できる。例えば、7つのアルファ溶血素モノマーとSpyTagなしの融合タンパク質を含有する画分は、最も遠くに移動するが、SpyCatcher-GFPと混合しても七量体と結合するSpyTagがないことから蛍光を発しない。しかし、単一SpyTagを含有する画分は、その次に遠くに(その他の蛍光バンドと比較して)移動して蛍光を発し、それによって、七量体に結合した単一SpyTagを有する画分の同定を可能にする。七量体に結合した単一SpyTagを有する画分の同定後、次いで、ポリメラーゼ/SpyCatcher融合タンパク質をこの画分に添加し、それによって、ポリメラーゼをナノポア構築体に連結することができる。
【0087】
[0087]本明細書において記載される方法および組成物を使用することによって、単一DNAポリメラーゼにつながれた、本明細書において記載される1つまたは複数のアルファ溶血素バリアントを含む、ナノポア構築体を達成することができる。例えば、七量体ナノポアは、配列番号14の0K、A1K、A1R、D2N、S3K、D4K、D4N、K8R、N47K、E70K、S106K、E111N、127-131G、D128K、K147N、V149K、E287R、M298Aのうちいずれか1つまたはそれらの組合せに対応する置換を有する1つのアルファ溶血素バリアントと、5つの成熟野生型アルファ溶血素モノマーと、ポリメラーゼと融合している7つ目のアルファ溶血素モノマーとを含み得る(七量体の合計7つのサブユニットについて)。特定の例示的実施形態では、ナノポア七量体構築体は、1、2、3、4、5、6または7つの本明細書において記載されるバリアントであって、サブユニットのうち1つが、本明細書において記載されるポリメラーゼに付けられているバリアントを含み得る。
【0088】
装置のセットアップ
[0088]ナノポアは、集積回路などの検出回路の検出電極に隣接して配置された膜に形成するか、または他の方法で埋め込んでもよい。集積回路は、特定用途向け集積回路(ASIC)としてもよい。一部の例においては、集積回路は、電界効果トランジスターまたは相補型金属酸化膜半導体(CMOS)である。検出回路は、ナノポアを有するチップもしくは他のデバイスに位置するか、または、チップもしくはデバイスの外部に、例えばオフチップ配置などで位置することができる。半導体は任意の半導体とすることができ、IV族半導体(例えば、ケイ素)、およびIII-V族半導体(例えば、ヒ化ガリウム)が含まれるが、これらに限定されない。ヌクレオチドまたはタグを検出するための装置およびデバイスのセットアップについては、例えば、WO2013/123450を参照のこと。
【0089】
[0089]細孔を用いたセンサー(例えば、バイオチップ)は、単一分子の電子照合に使用することができる。細孔を用いたセンサーは、検出電極に隣接して、またはその近傍に配置された膜に形成された本開示のナノポアを含むことができる。センサーは対電極を含むことができる。膜は、トランス側(すなわち、検出電極に面する側)およびシス側(すなわち、対電極に面する側)を含む。
【0090】
[0090]特定の例示的実施形態では、本明細書において記載される1つまたは複数のアルファ溶血素バリアントを含むナノポアは、野生型アルファ溶血素を含むナノポア(すなわち、本明細書において記載される置換を全く有さないナノポア)に対して、変更された通り抜ける時間を有する。例えば、細孔を通り抜けるためのタグの時間(通り抜ける時間またはTTT)は、低減することができる。特定の例示的実施形態では、本明細書において記載される1つまたは複数のバリアントを含むナノポアのTTTを、天然アルファ溶血素からなる七量体ナノポア構築体と比較して約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上低減することができる。
【0091】
[0091]この後の実験に関する開示においては、以下の略記が適用される:eq(当量);M(モル濃度);μM(マイクロモル濃度);N(規定);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);kg(キログラム);μg(マイクログラム);L(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏度);h(時間);min(分);sec(秒);msec(ミリ秒)。
【実施例
【0092】
[0092]本発明を以下の実施例においてさらに説明する。実施例は、いかなる方法でも、特許請求する本発明の範囲を限定することを意図するものではない。添付の図は、本発明の明細書および説明の一部をなす部分としてみなされることを意図している。引用されるすべての参考文献は、そこに記載されているすべてが参照によって本明細書に明確に組み込まれる。以下の実施例は、説明するために提供するものであり、特許請求する本発明を限定するために提供するものではない。
【0093】
実施例1
発現および回収
[0093]この実施例は、細菌宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)に由来するタンパク質の発現および回収を例示する。
【0094】
[0094]野生型a-HLをコードするDNAを、商業的供給源から購入した。配列をシーケンシングによって検証した。
【0095】
[0095]プラスミド構築。野生型またはバリアントα-溶血素のいずれかをコードする遺伝子を、pPR-IBA2プラスミド(IBA Life Sciences、Germany)中、T7プロモーターの制御下に挿入した。
【0096】
[0096]形質転換。大腸菌(E.coli)BL21 DE3(Life Technologies製、現在は、Thermo Fisher、米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)細胞を、当技術分野で周知の技術を使用し、野生型またはバリアントα-溶血素をコードするDNAを含む発現ベクターを用いて形質転換した。手短には、細胞を氷上で解凍した(凍結された場合には)。次いで、所望のDNA(好適なベクター/プラスミド中の)を、コンピテント細胞中に直接添加し(コンピテント細胞のものの5%を超えてはならない)、チューブを軽くはじくことによって混合した。チューブを氷上に20分間置いた。次いで、細胞を混合せずに42℃の水浴中に45秒間入れ、続いて、チューブを氷上に2分間置いた。次いで、細胞を、0.9mlのSOC培地(室温に予め加温した)を含有する15mlの滅菌培養チューブに移し、シェーカー中、37℃で1時間培養した。最後に、細胞のアリコートを、適切な抗生物質を含有するLB寒天プレート上に広げ、プレートを37℃で終夜インキュベートした。
【0097】
[0097]タンパク質発現。形質転換後、コロニーを選び取り、小容量(例えば、3ml)の、適切な抗生物質を含有する成長培地(例えば、LB培養液)中に播種し、37℃で終夜振盪した。
【0098】
[0098]翌朝、1mlの終夜培養物を、発現プラスミドを選択するために、新規の100mlの、適切な抗生物質を含有する自己誘導培地、例えば、Magic Media(Life Technologies製、現在は、Thermo Fisher、米国、マサチューセッツ州、ウォルサム)に移した。培養物を振盪しながら25℃でおよそ16時間成長させたが、これは、発現プラスミドに左右された。4℃で20分間、3,000gでの遠心分離によって細胞を回収し、使用するまで-80℃で保存した。
【0099】
[0099]精製。細胞を超音波処理によって溶解した。アルファ溶血素を、アフィニティーカラムクロマトグラフィーによって均一性に精製した。
【0100】
実施例2
アルファ溶血素バリアント
[0100]以下の実施例は、所望の残基での変異の導入を詳述する。
【0101】
[0101]変異。QuikChange Multi部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene、La Jolla、CA)を使用して部位特異的突然変異誘発を実施して、配列番号4に示されるとおりであるが、精製のためのC末端リンカー/TEV/HisTagも含む実施例A1K+N47K+E287Rを調製する。
【0102】
[0102]実施例1におけるように、バリアントを発現させ、精製した。
【0103】
実施例3
バリアントを含むナノポアの構築
[0103]この実施例は、6つのa-HLバリアントサブユニットおよび1つの野生型サブユニットを含むナノポアの構築を説明する。
【0104】
[0104]野生型a-HLを、SpyTagおよびHisTagを用いて実施例1に記載したように発現させ、コバルト溶出バッファー(200mM NaCl、300mMイミダゾール、50mM Tris、pH8)を使用してコバルトアフィニティーカラムで精製した。A1K+N47K+E287R a-HLバリアントを、HisTagを用いて実施例1に記載されたように発現させ、コバルト親和性カラムでコバルト溶出バッファー(200mM NaCl、150mMイミダゾール、50mM tris、pH8)を使用して精製した。次いで、タンパク質を、タンパク質5mgごとに1mgのTEVプロテアーゼとともに4℃で4時間インキュベートした。TEVプロテアーゼとともにインキュベートした後、コバルト親和性カラムで混合物を精製して、TEVプロテアーゼおよび未消化タンパク質を除去する。5日内に使用する場合には、タンパク質を4℃で保存し、そうではない場合は8%トレハロースを添加し、-80℃で保存した。
【0105】
[0105]およそ10mgの総タンパク質を使用して、α-HL/SpyTagを所望のα-HL-バリアントタンパク質溶液に1:9比で一緒に混合して、七量体の混合物を形成した。このような混合物は、変動する比のα-HL/SpyTagおよびα-HL-バリアントタンパク質(0:7、1:6、2:5、3:4など)を含む種々の画分をもたらし、ここで、SpyTag成分は、七量体の0、1、2、3、4、5、6または7つの単量体サブユニットとして存在すると予測される。
【0106】
[0106]ジフィタノイルホスファチジルコリン(DPhPC)脂質を50mM Tris、200mM NaCl、pH8または150mM KCl、30mM HEPES、pH7.5のいずれかの中に、50mg/mlの最終濃度に可溶化し、a-HLモノマーの混合物に、5mg/mlの最終濃度に添加した。α-HLモノマーの混合物を、37℃で少なくとも60分間インキュベートした。その後、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド(βOG)を、5%の最終濃度(重量/容量)に添加して、得られた脂質-タンパク質混合物を可溶化した。サンプルを遠心分離して、タンパク質凝集体および残った脂質複合体を除去し、さらなる精製のために上清を回収した。
【0107】
[0107]次いで、七量体の混合物を陽イオン交換精製に付し、溶出画分を回収した。各画分について、SDS-PAGEのために2サンプルを調製した。第1のサンプルは、15μLのα-HL溶出液単独を含んでおり、第2のサンプルは、3μgのSpyCatcher-GFPと組み合わせた。次いで、サンプルを、室温で1~16時間インキュベートし、光から保護した。インキュベーション後、5μLの4xLaemmli SDS-PAGEバッファー(Bio-Rad(商標))を各サンプルに添加した。次いで、サンプルおよびPrecisionPlus(商標)Stain-Freeタンパク質ラダーを、4~20%Mini-PROTEAN Stain-Freeタンパク質プレキャストゲル(Bio-Rad)にロードした。ゲルを200mVで30分間流した。次いで、Stain-Freeフィルターを使用してゲルを画像処理した。
【0108】
[0108]SpyCatcher-GFPの七量体α-HL/SpyTagへのコンジュゲーションは、SDS-PAGEの際の分子量バンドシフトによって観察できる。単一SpyTagを含有する七量体は、単一SpyCatcher-GFP分子と結合し、したがって、七量体細孔の分子量および単一SpyCatcher-GFPの分子量に対応するシフトを有するが、2つ以上のSpyTagを有する七量体は、相応により大きな分子量シフトを有するはずである。したがって、上記の七量体α-HL精製の際に陽イオン交換カラムから溶出されるピークを、HL/SpyTag対α-HL-バリアントの比について解析することができる。さらに、SpyCatcher-GFP取付けの存在は、SDS-PAGEゲルを画像処理するときにGFP-蛍光フィルターを使用して観察することができる。
【0109】
[0109]理論的根拠に基づいて、分子量シフトがSpyCatcher-GFPの単一付加に対応していた画分を、分子量標準タンパク質ラダーを使用して調べた。Bio-Radのstain-free画像処理システムを使用して、分子量シフトを調べた。GFP蛍光の存在は、青色フィルターを使用して調べた。蛍光の存在を使用して、SpyTagタンパク質の存在を確認した。次いで、1:6比、すなわち、1つのα-HL/SpyTag対6つのα-HL-バリアントに対応する溶出画分をさらなる実験に使用した。
【0110】
実施例4
ポリメラーゼの取付け
[0110]この実施例は、ナノポアへのポリメラーゼの取付けを提供する。
【0111】
[0111]ポリメラーゼは、任意の好適な手段によってナノポアに連結してもよい。例えば、PCT/US2013/068967(WO2014/074727として公開される;Genia Technologies)、PCT/US2005/009702(WO2006/028508として公開される)およびPCT/US2011/065640(WO2012/083249として公開される;Columbia Univ)を参照のこと。
【0112】
[0112]ポリメラーゼ、例えば、phi29 DNAポリメラーゼを、リンカー分子を介してタンパク質ナノポア(例えば、アルファ溶血素)に連結させた。詳細には、生理的条件下で共有結合性イソペプチド連結を自発的に形成するSpyTagおよびSpyCatcherシステムを使用した。例えば、Liら、J Mol Biol.2014年1月23日;426(2):309~17を参照のこと。
【0113】
[0113]手短には、Sticky phi29 SpyCatcher HisTagを実施例1に従って発現させ、コバルトアフィニティーカラムを使用して精製した。SpyCatcherポリメラーゼおよびSpyTagオリゴマー化タンパク質を、3mM SrCl中で、モル比1:1で4℃にて終夜インキュベートした。次に1:6-ポリメラーゼ-鋳型複合体を、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して精製する。
【0114】
実施例5
バリアントの活性
[0114]この実施例は、実施例4(ポリメラーゼが付けられたナノポア)によって提供されるようなナノポアの活性を示す。
【0115】
[0115]野生型およびA1K+N47K+E287Rバリアントナノポアをアッセイして、置換の効果を調べた。より特には、交流電圧、すなわち、方形波を使用して、ナノポアに付けられたDNAポリメラーゼによってタグ付き分子を捕獲するのにかかる時間を測定するためにアッセイを設計した。
【0116】
[0116]二重層を、2014年10月23日に出願されたPCT/US14/61853に記載されたように形成し、細孔を挿入した。分子(および/または配列核酸)を検出するために使用したナノポアデバイス(またはセンサー)は、WO2013/123450に記載したようにセットアップした。
【0117】
[0117]本発明者らのシーケンシング複合体中のDNAポリメラーゼによってタグ付きヌクレオチドを捕獲するのにかかる時間を測定するために、本発明者らは、交流正および負電圧(方形波)を使用して、これがかかる時間の量を調べるアッセイを考案した。本発明者らのシーケンシング複合体は、単一のDNAポリメラーゼに付けられるタンパク質ナノポア(αHL)からなる(実施例4を参照のこと)。タグ付きヌクレオチドは、負に帯電しており、したがって、かけられる電圧が事実上正である場合にナノポアに付けられ、ナノポアシーケンシング複合体にかけられる電圧が負である場合にはじかれる。したがって、本発明者らは、電圧を正と負電位の間で循環させることによってタグが細孔中を通り抜けるのにかかる時間を測定し、タグが通される場合(低減された電流束)に対して、どの程度の時間ナノポアの電流が遮られないか(開口チャネル)を決定することができる。
【0118】
[0118]この「通り抜ける時間」アッセイを実施するために、GeniaシーケンシングチップとともにGeniaシーケンシングデバイスを使用する。PCT/US2013/026514において説明されるように電極を調整し、チップ上にリン脂質二重層を確立する。PCT/US2013/026514(WO2013/123450として刊行された)に記載されるプロトコールに従って、Geniaのシーケンシング複合体を二重層に挿入する。20mM HEPES pH8、300mM KGlu、3μMタグ付きヌクレオチド、3mM Mg2+からなるバッファーシステムを使用し、235mV ピークツーピークの印加電圧を用い、80Hzの負荷サイクルを用いて、通り抜ける時間データを集めた。
【0119】
[0119]データを集めた後、方形波の正部分の最後まで持続したタグ付きヌクレオチドの捕獲(通されたレベル)を示した方形波について解析し、その後の方形波での別のタグ捕獲が続いた。第2の方形波が遮られない開口チャネル電流を報告した期間を調べることによって、通り抜ける時間を測定した。例として、10の連続方形波が、方形波の正部分の最後まで持続するタグ付きヌクレオチド捕獲を示した場合には、通り抜ける時間パラメータは、方形波2~10から算出される(ポリメラーゼは、前の方形波においてポリメラーゼと結合したタグを有さなかったので、第1の方形波は、算出に組み入れない)。実験における細孔のすべてについてこれらの通り抜ける時間数を集め、それらから統計的パラメータを抽出した(例えば、平均、中央値、標準偏差など)。
【0120】
[0120]対照と比較した、A1K+N47K+E287Rバリアントの結果を、図1に示す。
【0121】
配列表フリーテキスト
配列番号1(WT aHL DNA)
ATGGCAGATC TCGATCCCGC GAAATTAATA CGACTCACTA TAGGGAGGCC 50
ACAACGGTTT CCCTCTAGAA ATAATTTTGT TTAACTTTAA GAAGGAGATA 100
TACAAATGGA TTCAGATATT AATATTAAAA CAGGTACAAC AGATATTGGT 150
TCAAATACAA CAGTAAAAAC TGGTGATTTA GTAACTTATG ATAAAGAAAA 200
TGGTATGCAT AAAAAAGTAT TTTATTCTTT TATTGATGAT AAAAATCATA 250
ATAAAAAATT GTTAGTTATT CGTACAAAAG GTACTATTGC AGGTCAATAT 300
AGAGTATATA GTGAAGAAGG TGCTAATAAA AGTGGTTTAG CATGGCCATC 350
TGCTTTTAAA GTTCAATTAC AATTACCTGA TAATGAAGTA GCACAAATTT 400
CAGATTATTA TCCACGTAAT AGTATTGATA CAAAAGAATA TATGTCAACA 450
TTAACTTATG GTTTTAATGG TAATGTAACA GGTGATGATA CTGGTAAAAT 500
TGGTGGTTTA ATTGGTGCTA ATGTTTCAAT TGGTCATACA TTAAAATATG 550
TACAACCAGA TTTTAAAACA ATTTTAGAAA GTCCTACTGA TAAAAAAGTT 600
GGTTGGAAAG TAATTTTTAA TAATATGGTT AATCAAAATT GGGGTCCTTA 650
TGATCGTGAT AGTTGGAATC CTGTATATGG TAATCAATTA TTTATGAAAA 700
CAAGAAATGG TTCTATGAAA GCAGCTGATA ATTTCTTAGA TCCAAATAAA 750
GCATCAAGTT TATTATCTTC AGGTTTTTCT CCTGATTTTG CAACAGTTAT 800
TACTATGGAT AGAAAAGCAT CAAAACAACA AACAAATATT GATGTTATTT 850
ATGAACGTGT AAGAGATGAT TATCAATTAC ATTGGACATC AACTAATTGG 900
AAAGGTACAA ATACTAAAGA TAAATGGACA GATAGAAGTT CAGAAAGATA 950
TAAAATTGAT TGGGAAAAAG AAGAAATGAC AAATGGTCTC AGCGCTTGGA 1000
GCCACCCGCA GTTCGAAAAA TAA 1023
【0122】
配列番号2(Strepタグ(角括弧中)を有する、WT aHLアミノ酸)
MADSDINIKT GTTDIGSNTT VKTGDLVTYD KENGMHKKVF YSFIDDKNHN 50
KKLLVIRTKG TIAGQYRVYS EEGANKSGLA WPSAFKVQLQ LPDNEVAQIS 100
DYYPRNSIDT KEYMSTLTYG FNGNVTGDDT GKIGGLIGAN VSIGHTLKYV 150
QPDFKTILES PTDKKVGWKV IFNNMVNQNW GPYDRDSWNP VYGNQLFMKT 200
RNGSMKAADN FLDPNKASSL LSSGFSPDFA TVITMDRKAS KQQTNIDVIY 250
ERVRDDYQLH WTSTNWKGTN TKDKWTDRSS ERYKIDWEKE EMTN[GLSAWS 300
HPQFEK] 306
【0123】
配列番号3(Strepタグ(角括弧中)を有する、成熟WT aHL)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN[GLSAWSH 300
PQFEK] 305
【0124】
配列番号4(A1K+N47K+E287R)
KDSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWRKEE MTN 293
【0125】
配列番号5(A1K+N47K)
KDSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0126】
配列番号6(D4K+N47K+E287R)
ADSKINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWRKEE MTN 293
【0127】
配列番号7(V149K+N47K+E11N+K147N+127-131G)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK NYMSTLTYGF NGNVTGGGGGGIGGLIGANV SIGHTLNYKQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0128】
配列番号8(V149K+N47K)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYKQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0129】
配列番号9(V149K+D4K+N47K)
ADSKINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKKHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYKQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0130】
配列番号10(A1R)
RDSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0131】
配列番号11(D4N+A1K)
KDSNINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0132】
配列番号12(D128K+A1K)
KDSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDKTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0133】
配列番号13(K8R+V149K)
ADSDINIRTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYKQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0134】
配列番号14(成熟WT aHL;AAA26598)
ADSDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNSIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0135】
配列番号15(Hisタグ付きPol6、タグ部分は下線付き)
MHHHHHHHHS GGSDKHTQYV KEHSFNYDEY KKANFDKIEC LIFDTESCTN 50
YENDNTGARV YGWGLGVTRN HNMIYGQNLN QFWEVCQNIF NDWYHDNKHT 100
IKITKTKKGF PKRKYIKFPI AVHNLGWDVE FLKYSLVENG FNYDKGLLKT 150
VFSKGAPYQT VTDVEEPKTF HIVQNNNIVY GCNVYMDKFF EVENKDGSTT 200
EIGLCLDFFD SYKIITCAES QFHNYVHDVD PMFYKMGEEY DYDTWRSPTH 250
KQTTLELRYQ YNDIYMLREV IEQFYIDGLC GGELPLTGMR TASSIAFNVL 300
KKMTFGEEKT EEGYINYFEL DKKTKFEFLR KRIEMESYTG GYTHANHKAV 350
GKTINKIGCS LDINSSYPSQ MAYKVFPYGK PVRKTWGRKP KTEKNEVYLI 400
EVGFDFVEPK HEEYALDIFK IGAVNSKALS PITGAVSGQE YFCTNIKDGK 450
AIPVYKELKD TKLTTNYNVV LTSVEYEFWI KHFNFGVFKK DEYDCFEVDN 500
LEFTGLKIGS ILYYKAEKGK FKPYVDHFTK MKVENKKLGN KPLTNQAKLI 550
LNGAYGKFGT KQNKEEKDLI MDKNGLLTFT GSVTEYEGKE FYRPYASFVT 600
AYGRLQLWNA IIYAVGVENF LYCDTDSIYC NREVNSLIED MNAIGETIDK 650
TILGKWDVEH VFDKFKVLGQ KKYMYHDCKE DKTDLKCCGL PSDARKIIIG 700
QGFDEFYLGK NVEGKKQRKK VIGGCLLLDT LFTIKKIMF* 739
【0136】
配列番号16(リンカー/TEV/HisTag(TEV部分に下線が引かれている)
GLSAENLYFQGHHHHHH
【0137】
配列番号17(0K+V149K)
KADSDINIKT GTTDIGSNTT VKTGDLVTYD KENGMHKKVF YSFIDDKNHN 50
KKLLVIRTKG TIAGQYRVYS EEGANKSGLA WPSAFKVQLQ LPDNEVAQIS 100
DYYPRNSIDT KEYMSTLTYG FNGNVTGDDT GKIGGLIGAN VSIGHTLKYK 150
QPDFKTILES PTDKKVGWKV IFNNMVNQNW GPYDRDSWNP VYGNQLFMKT 200
RNGSMKAADN FLDPNKASSL LSSGFSPDFA TVITMDRKAS KQQTNIDVIY 250
ERVRDDYQLH WTSTNWKGTN TKDKWTDRSS ERYKIDWEKE EMTN 294
【0138】
配列番号18(0K+A1K)
KADSDINIKT GTTDIGSNTT VKTGDLVTYD KENGMHKKVF YSFIDDKNHN 50
KKLLVIRTKG TIAGQYRVYS EEGANKSGLA WPSAFKVQLQ LPDNEVAQIS 100
DYYPRNSIDT KEYMSTLTYG FNGNVTGDDT GKIGGLIGAN VSIGHTLKYV 150
QPDFKTILES PTDKKVGWKV IFNNMVNQNW GPYDRDSWNP VYGNQLFMKT 200
RNGSMKAADN FLDPNKASSL LSSGFSPDFA TVITMDRKAS KQQTNIDVIY 250
ERVRDDYQLH WTSTNWKGTN TKDKWTDRSS ERYKIDWEKE EMTN 294
【0139】
配列番号19(S3K+S106K)
ADKDINIKTG TTDIGSNTTV KTGDLVTYDK ENGMHKKVFY SFIDDKNHNK 50
KLLVIRTKGT IAGQYRVYSE EGANKSGLAW PSAFKVQLQL PDNEVAQISD 100
YYPRNKIDTK EYMSTLTYGF NGNVTGDDTG KIGGLIGANV SIGHTLKYVQ 150
PDFKTILESP TDKKVGWKVI FNNMVNQNWG PYDRDSWNPV YGNQLFMKTR 200
NGSMKAADNF LDPNKASSLL SSGFSPDFAT VITMDRKASK QQTNIDVIYE 250
RVRDDYQLHW TSTNWKGTNT KDKWTDRSSE RYKIDWEKEE MTN 293
【0140】
引例リスト
特許文献
[1] PCT/US2013/026514 (published as WO2013/123450) entitled “Methods for Creating Bilayers for Use with Nanopore Sensors”
[2] PCT/US2013/068967 (published as WO 2014/074727) entitled “Nucleic Acid Sequencing Using Tags”
[3] PCT/US14/61853 filed 23 October 2014 entitled “Methods for Forming Lipid Bilayers on Biochips”
【0141】
非特許文献
[4] Aksimentiev and Schulten, Imaging a-Hemolysin with Molecular Dynamics: Ionic Conductance, Osmotic Permeability, and the Electrostatic Potential Map, Biophysical Journal (2005) 88: 3745-3761.
[5] Butler et al., Single-molecule DNA detection with an engineered MspA protein nanopore , PNAS (2008) 105(52): 20647-20652.
[6] Korchev et al., Low Conductance States of a Single Ion Channel are not 'Closed', J. Membrane Biol. (1995) 147:233-239.
[7] Krasilnikov and Sabirov, Ion Transport Through Channels Formed in Lipid Bilayers by Staphylococcus aureus Alpha-Toxin, Gen. Physiol. Biophys. (1989) 8:213-222.
[8] Nakane et al., A Nanosensor for Transmembrane Capture and Identification of Single Nucleic Acid Molecules, Biophys. J. (2004) 87:615-621.
[9] Rhee and Burns, Nanopore sequencing technology: nanopore preparations, TRENDS in Biotech. (2007) 25(4):174-181.
[10] Song et al., Structure of Staphylococcal α-Hemolysin, a Heptameric Transmembrane Pore, Science (1996) 274:1859-1866.
[11] Kasianowicz et al., Nanometer-scale pores: potential applications for analyte detection and DNA characterization, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1996) 93:13770-13773.
[12] Akeson et al., Microsecond timescale discrimination among polycytidylic acid, polyadenylic acid, and polyuridylic acid as homopolymers or as segments within single RNA molecules, Biophys. J. (1999) 77:3227-3233.
[13] Meller et al., Voltage-driven DNA translocations through a nanopore, Phys. Rev. Lett., 86 (2001), pp. 3435-3438.
[14] Howorka et al., Sequence-specific detection of individual DNA strands using engineered nanopores, Nat. Biotechnol., 19 (2001a), pp. 636-639.
[15] Howorka et al., Kinetics of duplex formation for individual DNA strands within a single protein nanopore, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98 (2001b), pp. 12996-13001.
[16] Movileanu et al., Detecting protein analytes that modulate transmembrane movement of a polymer chain within a single protein pore, Nat. Biotechnol., 18 (2000), pp. 1091-1095.
【0142】
[0121]本明細書によって本明細書において参照される各特許、特許出願、刊行物、文書、GENBANK配列、ウェブサイトおよびその他の公開された材料の全体は、すべての表、図面および図を含めて参照により組み込まれる。すべての特許および刊行物は、各々が具体的に、個別に、参照により組み込まれると示されるかのように同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。上記の特許、特許出願、刊行物および文書の引例は、上記のもののいずれかが、関連先行技術であるという承認ではなく、これらの刊行物または文書の内容または日付についての何らかの承認を構成しない。本明細書において言及されたすべての特許および刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の技術レベルを示す。
図1
【配列表】
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