(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ケーシングを設置するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E21B 4/14 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
E21B4/14 B
(21)【出願番号】P 2020560601
(86)(22)【出願日】2019-01-21
(86)【国際出願番号】 FI2019050043
(87)【国際公開番号】W WO2019145602
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】520272798
【氏名又は名称】ミンコン ノルディック オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケスキニバ、マルック
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特公昭55-014237(JP,B2)
【文献】特開平10-088952(JP,A)
【文献】国際公開第00/026576(WO,A1)
【文献】特開2000-104475(JP,A)
【文献】特表2009-501856(JP,A)
【文献】米国特許第04509606(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00946678(GB,A)
【文献】特開2013-028936(JP,A)
【文献】米国特許第01897121(US,A)
【文献】米国特許第01993740(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 4/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔内にケーシングを設置するための装置であって、前記装置(100)は、
ケーシング(1)と、
前記ケーシング(1)内に適合され、且つ前記ケーシング(1)の内側で回転するように適合された穿孔パイプ(2)であって、圧縮空気のための流れチャネル(3)を含む穿孔パイプ(2)と、
前記ケーシング(1)内に配置されたフラッシング媒体流れチャネル(4)であって、フラッシング媒体を前記穿孔の底(B)まで導くように配置されたフラッシング媒体流れチャネルと、
パーカッション・ハンマ(5)であって、前記パーカッション・ハンマのシリンダ(9)内に適合された圧縮空気動作式のパーカッション・ピストン(6)を備えるパーカッション・ハンマ(5)と、
前記ケーシング(1)のための穴を掘削するための穴掘削手段(8)と
を備え、
前記穴掘削手段(8)は、
穴を掘削するための部材であるパイロット・クラウン(26)、及びフラッシング媒体を前記パイロット・クラウン(26)を通って前記穿孔の底まで導く掘削手段フラッシング媒体流れチャネル(18)を備え、
前記フラッシング媒体流れチャネル(4)は、前記パーカッション・ピストン(6)を迂回するように適合され、或いは
前記装置において、前記掘削手段(8)は、回転運動を伝えるスプライン(28)を更に備え、前記スプライン(28)は、前記パーカッション・ピストン(6)が使用した圧縮空気を前記スプライン(28)を通じて伝導するように適合され、前記装置において、前記フラッシング媒体流れチャネル(4)は、前記パーカッション・ピストン(6)を通り抜けるように適合されている、装置。
【請求項2】
前記パーカッション・ハンマの前記シリンダ(9)の外側上に、前記シリンダの壁(11)と一緒に、前記パーカッション・ピストン(6)を迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの一部(12)を形成するシェル(10)が適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パーカッション・ピストン(6)を迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの前記一部(12)は、前記パーカッション・ハンマの前記シリンダ(9)の周りに環状に延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シリンダ(9)の外側上に適合された前記シェル(10)は、前記パーカッション・ハンマ(5)の外側表面の一部を形成する、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記パーカッション・ハンマの前記シリンダ(9)の外側上に、前記パーカッション・ピストン(6)を迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの一部(12)を形成する1つ又は複数のパイプ(13)が適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記パーカッション・ピストンを迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの前記一部(12)は、その上端部において、前記フラッシング媒体流れチャネル(4)を前記装置の長手方向中心軸(X)から離すように配置されたアダプタ流れチャネル(15)を有する前記穿孔パイプのアダプタ(14)に接続されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、前記ケーシング(1)又は前記ケーシング(1)に固定されたケーシング・シュー(31)に接続された少なくとも1つのカラー(30)を更に備え、前記パーカッション・ピストン(6)を迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの前記一部(12)は、その下端部により、少なくとも1つのカラー(30)に接続されている、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つのカラー(30)は、前記少なくとも1つのカラー(30)を前記ケーシング(1)又は前記ケーシング・シュー(31)に対してロックするための少なくとも1つのロック部材(32、32b)を更に備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのロック部分(32)は、加圧されたフラッシング媒体によって少なくとも1つのカラー(30)を前記ケーシング又は前記ケーシング・シュー(31)に対してロックするように適合されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのロック部分(32)は、前記少なくとも1つのカラー(30)を前記ケーシング(1)又は前記ケーシング・シュー(31)に対してロックするように適合された圧力ライン(33)を備える、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記パーカッション・ハンマ(5)は、前記パーカッション・ピストンを迂回する前記フラッシング媒体流れチャネルの前記一部(12)に流れ接続するように適合された少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネル(17)を有する下部部材(16)を備え、
前記穴掘削手段(8)は、前記下部部材の前記フラッシング媒体流れチャネル(17)に流れ接続し、前記フラッシング媒体を前記穿孔の底(B)まで導くように適合された少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネル(18)を備える、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記下部部材の前記流れチャネル(17)は、前記下部部材(16)の内側表面上に適合され、前記装置の長手方向中心軸(X)に対して少なくとも実質的に垂直である前記内側表面の平面において循環する円形流れ溝(19)を備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
シール(20)が、前記円形流れ溝(19)の両側上に適合されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記穴掘削手段(8)は、前記フラッシング媒体を前記フラッシング媒体流れチャネル(4)から前記穿孔の底(B)まで導くように適合された少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネル(18)を備え、前記装置において、前記フラッシング媒体流れチャネル(4)は、前記パーカッション・ピストン(6)を通り抜けるように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記パーカッション・ピストン(6)を使用した圧縮空気は、前記穴掘削手段(8)内に中心開口部(22)を備える排気チャネル(21)によって除去され、前記排気チャネル(21)は、前記パーカッション・ハンマの前記シリンダ(9)、及び前記中心開口部(22)から径方向に前記パーカッション・ハンマの前記下部部材(16)を通り抜ける少なくとも1つの空気チャネル(23)に流れ接続し、前記空気チャネルは、前記パーカッション・ハンマ(5)と前記ケーシング(1)との間の空間に流れ接続している、請求項1から13までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記掘削手段(8)は、回転運動を伝えるスプライン(28)を更に含み、前記パーカッション・ピストン(6)を使用した圧縮空気を前記スプライン(28)を通じて伝導するように適合されている、請求項1から14までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記パーカッション・ピストン(6)を駆動させた圧縮空気は、
前記パーカッション・ハンマの前記シリンダ(9)に流れ接続している、前記穴掘削手段(8)を越えて導かれた少なくとも1つの側部排気チャネル(24)、及び
前記少なくとも1つの排気チャネル(24)に流れ接続している空気流れチャネル(25)
を含む前記排気チャネル(21)と、
前記空気流れチャネル(25)から前記パーカッション・ハンマの前記下部部材(16)を径方向に通り抜ける少なくとも1つの空気チャネル(23)であって、このチャネルは、前記パーカッション・ハンマ(5)と前記ケーシング(1)との間の空間に流れ接続している、少なくとも1つの空気チャネル(23)と
によって除去される、請求項1から14まで又は16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置において、前記側部排気チャネル(24)は、前記スプライン(28)の間に形成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記円形空気流れチャネル(25)は、
前記下部部材(16)の内側表面上に適合され、
前記掘削手段(8)に対して適合され、
前記装置の長手方向中心軸Xに対して少なくとも実質的に垂直である平面において前記掘削手段の前記一部を循環する、
請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
ケーシングを設置するための方法であって、前記方法は、ケーシング(1)及び穿孔パイプ(2)、パーカッション・ハンマ(5)、並びに穴を穿孔するための手段(8)を備える装置(100)を利用し、前記方法において、
前記ケーシング(1)の内側で前記穿孔パイプ(2)を回転させ、
圧縮空気により前記パーカッション・ハンマ(5)を駆動させ、
前記パーカッション・ハンマのパーカッション・ピストン(6)を越えて前記穿孔パイプ(2)から前記穴掘削手段(8)まで導かれ、更に
穴を掘削するための部材であるパイロット・クラウン(26)を通る掘削手段フラッシング媒体流れチャネル(18)を介して前記穿孔の底(B)まで導かれるフラッシング媒体により前記穿孔の底をフラッシングし、或いは、
前記パーカッション・ピストン(6)を通じて前記穴掘削手段(8)まで導かれ、更に前記穿孔の底(B)まで導かれるフラッシング媒体により前記穿孔の底(B)をフラッシングし、前記装置において、前記掘削手段(8)は、回転運動を伝えるスプライン(28)を更に含み、それにより、前記パーカッション・ピストン(6)を駆動させた圧縮空気は前記スプライン(28)を通じて導かれる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングを設置するための装置に関する。
【0002】
本発明は、ケーシングを設置するための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
例えばケーシングが部分的に岩に打ち込まれるときに、ケーシング又はポールを硬い地盤に設置するのに効果的な方法は、衝撃掘削(percussive drilling)である。そのような場合、ケーシングが、その内側に穿孔パイプを有し、且つ、穿孔パイプの端部にダウン・ザ・ホール・ハンマ・タイプすなわちDTHハンマなどのパーカッション・ハンマ(percussion hammer)を有する。穿孔パイプが中心開口部を有し、この中心開口部を通じて、DTHハンマによって必要とされる圧縮空気がDTHハンマに供給される。穿孔パイプ、DTHハンマ、パイロット・クラウン(pilot crown)、及び後者に接続されたリーマは、穿孔パイプの上端部における回転機構によって同時に回転される。
【0004】
穴の穿孔は、ハンマによってもたらされるパーカッション機能、及び穿孔パイプの回転によって行われる。リーマの目的は、パイロット・クラウンによって作られた穴を、掘削された穴にケーシングがフィットするほどの大きさに広げることである。ケーシングは、いわゆるケーシング・シューをさらに有してもよく、このケーシング・シューにより、パイロット・クラウンは、それ自体とともにケーシングを掘削された穴内へ引き込む。解放された物質の除去は、DTHハンマの排気によって行われる。ここで、DTHハンマの排気は、パイロット・クラウン内のボアにより、掘削されている穴の底へ導かれ、穴の底からは、解放された物質を伴う空気流れをケーシングの内側へ導き、ケーシングからさらに地表面へ導く試みがなされる。
【0005】
ここでの問題は、典型的には空気流れの一部が必然的に地盤に漏れることである。空気の過度の漏れは、周囲地盤の支持強度を著しく低下させ、その結果、建物の基礎などの周辺の構造に対する危険を生じさせる。
【0006】
パイロット・クラウンの設計により、地盤への空気の漏れを管理することが部分的に可能である。具体的には、穴の底へのフラッシング空気の吹込みがクラウンから排出される前に穴の底に対して平行に向きを変えられるクラウンにより、地盤中への空気の漏れが減少する。
【0007】
はるかに効果的な別の方法は、穿孔のフラッシングが排気によって行われずに水又は別の類似のフラッシング媒体によって行われる、別個のフラッシング回路を使用することである。これは、いわゆるRC掘削システム(可逆循環(Reverse Circulation))の使用を可能にする。RC掘削システムは、そもそもは調査掘削のために開発されたものであり、調査掘削では、掘削によって生じる遊離した物質が、2層ドリル・パイプの中心開口部に沿って穴の底から上方へフラッシングされ、それにより、物質は、後の分析のために保存され得る。
【0008】
RCシステムは、RC穿孔パイプ及びRCハンマで構成される。RC穿孔パイプは、典型的には、外側パイプ及び内側パイプを有し、内側パイプの内側開口部、及び外側パイプと内側パイプとの間の空間が、2つの別個の流れチャネルを形成する。実際のRCハンマの動作は、標準的なDTHハンマの動作と同一である。RCハンマは、ハンマを通り抜けるパイプを有し、ハンマの排気は、解放された物質を運びながら、このパイプに沿ってハンマを通って流れる。ハンマのパーカッション・ピストンは、当該のパイプ及びDTHハンマの動作に必須の空気流れチャネルがパーカッション・ピストンを通り嵌合するように、パイプのための比較的大きな中心開口部を有する
【0009】
RC穿孔システムは、空気が地盤に漏れるのを防ぐことが望ましい場合の地盤穿孔に適用され得る。
【0010】
この場合、RCハンマによって必要とされる動作用圧縮空気及び水などのフラッシング媒体をRCハンマに供給するために、RC穿孔パイプが使用される。フラッシング媒体は、典型的には、内側パイプの内側開口部を通じて供給され、圧縮空気は、パイプ間の空間を通じて供給される。RCハンマの排気は、ケーシングの内側のドリル・クラウンを通じて送られて、そこから地表面に出る。フラッシング媒体は、RCハンマを通り抜けさらにドリル・クラウンを通り抜けるパイプを通じて穴の底へ送られて、解放された物質を穴の底からフラッシングする。その後、フラッシング媒体及び解放された物質は、ケーシングと穴との間の隙間に沿って地表面へ移送される。
【0011】
RC穿孔システムを使用する方法は、地盤への空気の漏れが少しも許容されない穿孔現場に最も適している。しかし、RCハンマを通り抜けるパイプが、比較的大きな中心開口部を有するパーカッション・ハンマを必要とするという問題がある。これは、ピストンの質量、及び、パーカッション・ピストンが前後に動かされる空気圧作業面を、実質的に減少させる。言い換えれば、RCハンマによって生成される穿孔力は、従来のDTHハンマの穿孔力よりも実質的に低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の装置及び方法は、独立請求項において開示されることを特徴とする。本発明の他の実施例は、残りの請求項において開示されることを特徴とする。
【0013】
本発明の実施例はまた、本出願の明細書及び図面において開示される。本出願の発明性のあるコンテンツはまた、以下で提示される特許請求の範囲におけるのとは異なって定義され得る。発明性のあるコンテンツはまた、開示された若しくは暗に含まれたサブタスクに照らして又は得られる利点若しくは利点の群の観点から本発明が検討される場合は特に、いくつかの別々の発明で構成され得る。そのような場合、以下の特許請求の範囲における定義のうちのいくつかは、個々の発明性のある着想に無関係であり得る。本発明の様々な実施例の特徴は、基本的な発明性のある着想の範囲内で、他の実施例に適用され得る。
【0014】
一着想によれば、穿孔内にケーシングを設置するための装置は、ケーシング、及びケーシング内に適合された穿孔パイプを備え、穿孔パイプは、圧縮空気のための流れチャネル及びフラッシング媒体のための流れチャネルを含み、フラッシング媒体流れチャネルは、フラッシング媒体を穿孔の底まで導くように配置されており、装置は、パーカッション・ハンマをさらに備え、このパーカッション・ハンマは、パーカッション・ハンマのシリンダ内に適合された圧縮空気動作式のパーカッション・ピストン、及び、ケーシングのための穴を掘削するための穴掘削手段を含み、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを迂回するように適合される。
【0015】
穿孔内にケーシングを設置するための一実施例による装置は、ケーシング、及びケーシング内に適合された穿孔パイプを備え、穿孔パイプは、圧縮空気のための流れチャネルを含む。装置は、ケーシング内に適合され且つフラッシング媒体を穿孔の底まで導くように配置されたフラッシング媒体のための流れチャネルと、パーカッション・ハンマとをさらに備え、このパーカッション・ハンマは、パーカッション・ハンマのシリンダ内に適合された圧縮空気動作式のパーカッション・ピストン、及び、ケーシングのための穴を掘削するための穴掘削手段を含み、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを迂回するように適合されており、又は、この装置において、掘削手段は、回転運動を伝えるスプラインをさらに含み、且つ、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気をスプラインを通じて伝導するように適合され、また、この装置において、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを通り抜けるように適合される。
【0016】
穿孔内にケーシングを設置するための一実施例による装置は、ケーシング、及びケーシング内に適合された穿孔パイプを備え、穿孔パイプは、圧縮空気のための流れチャネル及びフラッシング媒体のための流れチャネルを含み、フラッシング媒体のための流れチャネルは、ケーシング内に適合され、且つ、フラッシング媒体を穿孔の底まで導くように配置され、装置は、パーカッション・ハンマをさらに備え、このパーカッション・ハンマは、パーカッション・ハンマのシリンダ内に適合された圧縮空気動作式のパーカッション・ピストン、及び、ケーシングのための穴を掘削するための穴掘削手段を含み、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを迂回するように適合されており、又は、この装置において、掘削手段は、回転運動を伝えるスプラインをさらに含み、且つ、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気をスプラインを通じて伝導するように適合され、また、この装置において、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを通り抜けるように適合される。
【0017】
第2の着想によれば、ケーシングを設置するための方法は、ケーシング及び穿孔パイプ、並びにパーカッション・ハンマ及び穴掘削手段を備える装置を利用し、この方法において、穿孔パイプは、ケーシングの内側で回転され、パーカッション・ハンマは、圧縮空気によって使用され、穿孔の底は、パーカッション・ハンマのパーカッション・ピストンを越えて穿孔パイプから穴掘削手段まで導かれさらに穿孔の底まで導かれるフラッシング媒体によってフラッシングされる。
【0018】
一着想によれば、ケーシングを設置するための方法は、ケーシング及び穿孔パイプ、パーカッション・ハンマ、並びに穴を穿孔するための手段を備える装置を利用し、この方法において、穿孔パイプは、ケーシングの内側で回転され、パーカッション・ハンマは、圧縮空気によって使用され、穿孔の底は、パーカッション・ハンマのパーカッション・ピストンを越えて穴掘削手段まで導かれさらに穿孔の底まで導かれるフラッシング媒体によってフラッシングされるか、又は、穿孔の底は、パーカッション・ピストンを通じて穴掘削手段まで導かれさらに穴の底まで導かれるフラッシング媒体によってフラッシングされ、また、この装置において、掘削手段は、回転運動を伝えるスプラインをさらに含み、スプラインにより、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気は、スプラインを通じて伝導される。
【0019】
以下では、本発明のいくつかの実施例が、順不同で提示される。
【0020】
一実施例によれば、パーカッション・ハンマのシリンダの外側上に、シェルが適合され、このシェルは、前記シリンダ壁と一緒に、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分を形成する。
【0021】
一実施例によれば、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分は、パーカッション・ハンマのシリンダの周りに環状に延在する。
【0022】
一実施例によれば、シリンダの外側上に適合されたシェルは、パーカッション・ハンマの外側表面の一部を形成する。
【0023】
一実施例によれば、パーカッション・ハンマのシリンダの外側上に、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分を形成する、1つ又は複数のパイプが適合される。
【0024】
一実施例によれば、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分は、その上端部により、フラッシング媒体流れチャネルを装置の長手方向中心軸から離すように配置されたアダプタ流れチャネルを有する穿孔パイプのアダプタに接続される。
【0025】
一実施例によれば、装置は、ケーシング又はケーシングに固定されたケーシング・シューに接続される少なくとも1つのカラーをさらに備え、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分は、その下端部により、少なくとも1つのカラーに接続される。
【0026】
一実施例によれば、装置における少なくとも1つのカラーは、少なくとも1つのカラーをケーシング又はケーシング・シューに対してロックするための少なくとも1つのロック部材をさらに備える。
【0027】
一実施例によれば、少なくとも1つのロック部材は、加圧されたフラッシング媒体により少なくとも1つのカラーをケーシング又はケーシング・シューに対してロックするように適合される。
【0028】
一実施例によれば、少なくとも1つのロック部分は、少なくとも1つのカラーをケーシング又はケーシング・シューに対してロックするように適合された圧力ラインを備える。
【0029】
一実施例によれば、パーカッション・ハンマは、パーカッション・ピストンを迂回するフラッシング媒体流れチャネルの部分に流れ接続するように適合された少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネルを有する下部部材を備え、穴掘削手段は、下部部材のフラッシング媒体流れチャネルに流れ接続し且つフラッシング媒体を穿孔の底まで導くように適合された少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネルを備える。
【0030】
一実施例によれば、下部部材の流れチャネルは、円形流れ溝を備え、この円形流れ溝は、下部部材の内側表面上に適合され、且つ、装置の長手方向中心軸に対して少なくとも実質的に垂直である前記内側表面の平面において循環する。
【0031】
一実施例によれば、円形流れ溝の幅、つまり装置の長手方向中心軸の方向における寸法は、掘削手段の運動にかかわらずフラッシング媒体流れチャネルが穿孔作業の全持続時間にわたって開いたままでいるように、十分な広さに寸法決めされる。
【0032】
一実施例によれば、円形流れ溝の両側上に適合されたシールが存在する。
【0033】
一実施例によれば、穴掘削手段は、フラッシング媒体をフラッシング媒体流れチャネルから穿孔の底まで導くように適合された、掘削手段の少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネルを備え、また、この装置において、フラッシング媒体流れチャネルは、パーカッション・ピストンを通り抜けるように適合される。
【0034】
一実施例によれば、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気は、穴掘削手段内の中心開口部を含む備える排気チャネルによって除去され、排気チャネルは、パーカッション・ハンマのシリンダ、及びパーカッション・ハンマの下部部材を径方向に通り抜ける少なくとも1つの空気チャネルに流れ接続しており、空気チャネルは、パーカッション・ハンマとケーシングとの間の空間に流れ接続している。
【0035】
一実施例によれば、掘削手段は、回転運動を伝えるスプラインをさらに含み、且つ、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気をスプラインを通じて伝導するように適合される。
【0036】
一実施例によれば、パーカッション・ピストンを使用した圧縮空気は、パーカッション・ハンマのシリンダに流れ接続している、穴掘削手段を越えて導かれた少なくとも1つの側部排気チャネルを含む、排気チャネルと、前記少なくとも1つの排気チャネルに流れ接続している空気流れチャネルと、パーカッション・ハンマの下部部材を径方向に通り抜ける少なくとも1つの空気チャネルとによって除去され、空気チャネルは、パーカッション・ハンマとケーシングとの間の空間に流れ接続している。
【0037】
一実施例によれば、側部排気チャネルは、スプラインの間に形成される。
【0038】
一実施例によれば、下部部材の内側表面上に適合された円形流れ溝は、掘削手段に面し、且つ、装置の長手方向中心軸に対して少なくとも実質的に垂直である前記内側表面の一部の平面において循環する。
【0039】
一実施例によれば、パーカッション・ハンマは、DTHハンマである。
【0040】
本発明は、添付の図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】ケーシングを設置するための装置の側断面概略図である。
【
図2a】ケーシングを設置するための第2の装置の側断面概略図である。
【
図2b】
図2aの装置の断面A-Aを示す図である。
【
図3a】ケーシングを設置するための第3の装置の側断面概略図である。
【
図3b】
図3aの装置の詳細の側断面概略図である。
【
図4a】ケーシングを設置するための装置の側断面概略図である。
【
図4b】
図4aの装置の詳細の側断面概略図である。
【
図5a】
図4a及び
図4bの装置のカラーの代替的な詳細の側断面図である。
【
図5b】
図4a及び
図4bの装置のカラーの代替的な詳細の側断面図である。
【
図5c】
図4a及び
図4bの装置のカラーの代替的な詳細の側断面図である。
【
図7a】ケーシングを設置するための装置の側断面概略図である。
【
図7b】
図7aの装置の詳細の側断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
明瞭さのために、図は、本発明を簡易化して示す。類似の部品は、同じ参照番号により図中に示される。
【0043】
図1は、ケーシングを設置するための装置の側断面概略図である。
【0044】
装置100は、典型的には恒久的に地中に設置される管状部品であるケーシング1を備える。ケーシング1の設置段階において、穿孔パイプ2が、ケーシングの内側で回転されるようにケーシング1の内側に適合されている。装置100は、圧縮空気によって動作されるパーカッション・ハンマ5をさらに備える。そのため、装置100は、圧縮空気3のための流れチャネル3を特徴とする。穿孔の底Xは、流れチャネル4を通じて穿孔の底Bに供給されるフラッシング媒体によってフラッシングされる。
【0045】
フラッシング媒体は、水、穿孔スラッジなどの混合物含有水、又は流動する形態の別の適切な物質であり得る。
【0046】
図5に示されたパーカッション・ハンマ5は、圧縮空気動作式のDTHハンマ(down-the-hole-hammer)である。パーカッション・ハンマ5は、その基本的な着想に関して、DTHハンマ以外のハンマであってもよいことが明らかである。
【0047】
しかし、図面は本発明の観点から必須であるハンマ部品のみを示すことに、留意されたい。図は、パイロット・クラウンの上端部に設置されるフート弁を利用しないDTHハンマの一実施例を示す。本発明による装置は、当然ながらフート弁を備える実施例にも適している。
【0048】
パーカッション・ハンマ5は、前後に移動可能なパーカッション・ハンマのシリンダ9に適合された、圧縮空気動作式のパーカッション・ハンマ6を備える。
【0049】
装置100は、ケーシング1のために地中に穴を穿孔するための穴掘削手段8をさらに備える。図に示された実施例では、掘削手段8は、パイロット・クラウン26及びリーマ27を含む。掘削手段8は、別の態様で形成されてもよく、一実施例では、掘削手段8は、広がる羽根を有するドリル・クラウン、別の言い方をすればいわゆるウィング・リーマを含む。
【0050】
装置では、フラッシング媒体流れチャネル4は、パーカッション・ハンマ5のパーカッション・ピストン6を迂回するように適合される。この装置の利点は、穿孔の底Bのフラッシングが別々のフラッシング回路を使用して効率的に実施され得ると同時に、パーカッション・ピストンの大質量及び大きな空気圧作業範囲によりパーカッション・ピストンの掘削力が高くなることである。一着想によれば、DTHハンマの利点とRCハンマの利点とが組み合わせられていることに留意することができる。
【0051】
図1に示された実施例では、フラッシング媒体流れチャネル4は、パーカッション・ピストン6を迂回し且つパーカッション・ハンマのシリンダ9の周りに環状に延在する、部分12を含む。流れチャネルの前記部分12は、シリンダ9の周りに管状のシェル10を適合させることによって形成される。シェルは、鋼鉄又は類似のもので形成され得る。
図1によれば、シリンダ9の外側に適合されたシェル10は、パーカッション・ハンマ5の外側表面の一部を形成し得るが、これは強制的なことではない。
【0052】
パーカッション・ピストンのフラッシング媒体流れチャネルを迂回する部分12は、その上端部において穿孔パイプのアダプタ14に接続し、アダプタ14は、穿孔パイプ2をパーカッション・ハンマ5に接続する。穿孔パイプ・アダプタ14は、フラッシング媒体流れチャネル4を装置の長手方向中心軸Xから遠くにずらすように配置されたアダプタ流れチャネル15を有し、それにより、流れチャネルの部分12は、流れ技術的な意味において、穿孔パイプ内のフラッシング媒体チャネルに有利に接続され得る。
【0053】
パーカッション・ハンマ5は、下部部材16を備え、この下部部材16は、パーカッション・ピストンを迂回する流れチャネル・フラッシング媒体の部分12に流れ接続するように適合された下部部材の少なくとも1つのフラッシング媒体流れチャネル17を有する。一実施例では、フラッシング媒体流れチャネル17の数は、3つである。下部部材フラッシング媒体流れチャネル17の役割は、フラッシング媒体をパーカッション・ハンマ5の構造から掘削手段8まで導くことである。
【0054】
穴の掘削手段8は、フラッシング媒体を穿孔の底Bまで導く少なくとも1つの掘削手段フラッシング媒体流れチャネル18を備える。一実施例では、掘削手段フラッシング媒体流れチャネル18の数は、3つである。
【0055】
図1の実施例では、流れチャネル18は、穿孔の底Bに対して、中心軸Xにおおよそ平行に開口する。このように、効率的なフラッシングが、穿孔の底Bに対して直接達成される。いくつかの他の実施例では、流れチャネル18は、中心軸に関して実質的に異なる角度で開口し、それにより、穴底の方向への流れが強化され得る。第3の実施例では、互いに異なる方向に向けられた複数の流れチャネル18が存在する。
【0056】
図の実施例では、下部部材の流れチャネル17は、円形流れ溝19を備え、この円形流れ溝19は、下部部材16の円筒形内側表面上に適合され、且つ、装置の長手方向中心軸Xに対して少なくとも実質的に垂直である前記内側表面の平面において循環する。前記円形流れ溝19の幅、つまり、装置の長手方向中心軸Xの方向における寸法は、掘削手段8の運動にかかわらずフラッシング媒体流れチャネル4が穿孔作業の全持続時間にわたって開いたままでいるように、十分な広さに寸法決めされる。穴掘削手段8は、パーカッション・ピストンの衝撃により、中心軸Xの方向において矢印Mによって示されるように移動し、さらに、穴掘削手段8は、中心軸Xの周りで回転する。
【0057】
円形流れ溝19の両側には、有利にはシール20(
図2aに示す)が設置され、その目的は、フラッシング媒体がフラッシング媒体チャネルから漏出するのを防ぐことである。
【0058】
パーカッション・ピストン6は、圧縮空気流れチャネル3からパーカッション・ハンマのシリンダ9に供給される圧縮空気によって動作される。
図1の実施例では、パーカッション・ピストン6を動作させた圧縮空気は、掘削手段8内に中心開口部22を備える排気チャネル21により、シリンダ9から除去される。中心開口部22は、パーカッション・ハンマの下部部材16を径方向に通り抜ける少なくとも1つの空気チャネル23に流れ接続しており、この空気チャネル23は、次にパーカッション・ハンマ5とケーシング1との間の空間に流れ接続している。空気は、ケーシング1の上端部においてこの空間から出る。
【0059】
図2aは、ケーシングを設置するための第2の装置の側断面概略図であり、
図2bは、その断面A-Aである。この実施例では、フラッシング媒体流れチャネルは、
図1の実施例におけるのと同じ態様で実装される。代わりに、圧縮空気の除去の構成において差違がある。ここで、パーカッション・ピストン6を駆動させた圧縮空気は、排気チャネル21によって除去され、この排気チャネル21は、掘削手段8を越えて導かれ且つパーカッション・ハンマのシリンダ9に流れ接続している少なくとも1つの側部排気チャネル24を含む。
【0060】
利点は、排気のためのチャネルを掘削手段8に穴開けするか又は他の方法で機械加工する必要性がないことであり、そのような穴開け又は機械加工は、掘削手段8の堅固さを低下させるであろう。
【0061】
図2bは、掘削手段8に回転運動を伝えるスプライン28の間に側部排気チャネル24が形成されている一実施例を示す。
【0062】
排気チャネル21は、下部部材16の内側表面上に適合された円形空気流れチャネル25をさらに備える。円形空気流れチャネル25は、装置の長手方向中心軸Xに対して少なくとも実質的に垂直な平面において、前記内側表面を循環する。
【0063】
前記円形流れ溝25の幅、つまり装置の長手方向中心軸Xの方向における寸法は、掘削手段8の運動にかかわらず流れチャネル21が穿孔作業の全持続時間にわたって開いたままでいるように、十分な大きさである。
【0064】
円形空気流れチャネル25は、前記少なくとも1つの排気チャネル24、及びパーカッション・ハンマの下部部材16を通り抜ける少なくとも1つの空気チャネル23に流れ接続しており、この空気チャネル23は、次にパーカッション・ハンマ5とケーシング1との間の空間に流れ接続している。空気は、既に説明された態様で前記間隙から出る。
【0065】
図3aは、ケーシングを設置するための第2の装置の側断面概略図であり、
図3bは、側方からのその部分的な詳細である。一着想によれば、パーカッション・ピストン6を迂回する前記部分であるフラッシング媒体流れチャネルの部分12は、パーカッション・ハンマのシリンダ9の外側に適合されたパイプ13を使用して形成される。
図3aの実施例では、1つのパイプ13が存在するが、より多くのパイプ13が存在し得ることは、明らかである。
【0066】
利点は、フラッシング媒体流れチャネル4が非常に単純な方法で実装され得ることである。
【0067】
他の点では、フラッシング媒体流れチャネル4は、
図1の実施例におけるように実装される。
【0068】
排気チャネル21は、掘削手段8内に形成された空気チャネル23と、空気チャネル23から下部部材16に通じてさらに下部部材を貫通するチャネルとを備える。
【0069】
図4aは、ケーシングを設置するための装置の側断面概略図であり、
図4bは、側方からのその部分的な詳細である。この実施例では、フラッシング媒体流れチャネル4は、
図3aにおけるように流れチャネルの部分12によって実装されてもよく、この部分は、有利には、パイプ13又はホースである。
図3aでは、パイプ13は、その上端部により穿孔パイプのアダプタ14に接続され、それにより、パイプ13は、穿孔パイプ2とともに回転する。
図4a及び
図4bの実施例では、パイプ13は、その下端部により、有利には円形である少なくとも1つのカラー30に接続されてもよく、それにより、パイプ13は、穿孔パイプ2とともに回転することができない。カラー30は、スリーブなどの少なくとも1つのロック部分32により、ケーシング1又はケーシング1に接続されたドリル・シュー31に接続又は締結され得る。カラー30の締結又はロックは、対称的に配置されたロック部分32によって実施されてもよい。ロック部分32は、ゴム又は別の適切な可撓性材料で形成され得る。パイプ13は、固定されて回転しない態様でケーシング1に締結されてもよく、それにより、パイプ13は、穿孔パイプ2とともに回転しない。ロック部分32により、カラー30は、ケーシング1に対してロックされると同時に封止され得、それにより、カラー30は、全てのフラッシング媒体を穿孔の底Bまで導くことができる。装置100は、水が他の構造に到達するのを防ぐために、1つ又は複数のシール38をさらに備え得る。
【0070】
フラッシング媒体が非回転パイプ13によりパーカッション・ピストン6を越えて導かれる解決策を使用することにより、専用のものの代わりに標準的なパーカッション・ハンマ5及び穿孔パイプ2が使用され得るので、かなりの節約が達成される。さらに、フラッシング媒体は、通常のパイプ13及びポンプによって供給され得る。パイプ13はまた、いったん穿孔が完了すると、掘削された穴を強固にするために、掘削された穴の底Bにセメント・スラリーを注入するのに使用され得る。
【0071】
図4a及び
図4bによる実施例では、圧縮空気の除去は、
図2aに示された実施例におけるのと同様に構成され得る。パーカッション・ピストン6は、圧縮空気流れチャネル3からパーカッション・ハンマのシリンダ9に供給される圧縮空気によって動作される。パーカッション・ピストン6を駆動させた圧縮空気は、排気チャネル21によって除去され、この排気チャネル21は、掘削手段8を越えて導かれ且つパーカッション・ハンマのシリンダ9に流れ接続している、少なくとも1つの側部排気チャネル24を含む。排気チャネル21は、下部部材16の内側表面上に適合された円形空気流れチャネル25を備える。円形空気流れチャネル25は、前記少なくとも1つの側部排気チャネル24、及びパーカッション・ハンマの下部部材16を通り抜ける少なくとも1つの空気チャネル23に流れ接続しており、この空気チャネル23は、次にパーカッション・ハンマ5とケーシング1との間の空間に流れ接続しており、空気は、パイプの上端部においてその空間から出る。
【0072】
図4a及び
図4bによる実施例では、圧縮空気の除去はまた、
図2bの実施例において説明されたように、掘削手段8に回転運動を伝えるスプライン28の間に側部排気チャネル24が形成されるように、構成され得る。
【0073】
図5aから
図5cは、
図4a及び
図4bの装置のカラー30の代替的な詳細の側断面図である。明瞭さのために、
図5aから
図5cは、排気チャネル21を示さないが、この排気チャネル21は、
図4a及び
図4bに示された詳細に従い得る。
図5aの実施例では、カラー30は、ロック部分32を備え得る。カラー30及びロック部分30は、円形であり、且つケーシング1の内側表面上を循環し得る。カラー30は、ケーシング1又はケーシングに接続されたケーシング・シュー31に接続する。ロック部分32は、ケーシング1に接触してカラー30の外側表面上に位置し、カラー30を締結し且つ封止して、カラー30のパイロット・クラウン26との回転を防ぎ得る。少なくとも1つのロック部分32は、加圧されたフラッシング媒体により少なくとも1つのカラー30をケーシング1又はケーシング・シュー31に対してロックするように適合され得る。ロック部分32は、
図5aに示されるように開口した内側部分35を備えてもよく、又は、内側部分は中実であってもよい。開口した内側部分35は、フラッシング媒体がロック部分32の内側にアクセスすることを可能にする。開口した内側部分35を有するロック部分32を製造することは、より容易であり且つより経済的である。圧力制限弁34により、フラッシング媒体の圧力は、適切になるように、また、カラー30を回転しない様式でケーシング1に対してロックするように、高められ得る。圧力は、有利には4バールである。
図5aにおけるように、加圧されたフラッシング媒体は、パイプ13からロック部分30へ導かれ、ロック部分32は、ケーシングに対して加圧される。一実施例によれば、圧縮空気の除去は、回転運動を伝えるスプライン28を通じて構成され得る。フラッシング媒体の流れは、矢印Fによって示され、圧縮空気の除去は、矢印Rによって示される。
【0074】
図5bに示された一実施例によれば、カラー30のロック及び封止は、ロック部分32によって行われてもよく、その場合、加圧は、ロック部分の別々の圧力ライン33において行われ得る。加圧された物質は、矢印Sに従って圧力ライン33を通じて運ばれて、カラー30をケーシング1に対してロックし且つ封止する。シール20により、カラー30とパイロット・クラウン26との間の漏れ間隙(leakage gap)を封止することができ、ケーシング内側の水のアクセスが防止される。
図5bの実施例では、ロック部分32は、閉じられた内側部分を備えた。
図5cは、ロック部分32が開口した内側部分35を備える、
図5bによる装置を示した。
【0075】
図6は、装置の詳細の側断面概略図である。図を単純にするために、ケーシング1又はケーシング・シュー31は示されていない。
図4a及び
図4bによれば、フラッシング媒体は、ケーシング1又はケーシング・シュー31に対して回転不能にロックされるカラー30まで、パイプ13に沿って運ばれる。装置において、パーカッション・ハンマ5は、フート弁36を含む又はフート弁を含まないパイロット・クラウン26を備える。加圧された排気Rは、パイロット・クラウン26を貫通して配置された中心開口部22を通じて運ばれて、少なくとも1つの空気チャネル23を通じてパーカッション・ハンマ5とケーシング1との間の空間に除去され得る。
【0076】
図8は、装置のカラー30の詳細の側面図である。
図8は、
図5aから
図5bにおけるものに類似した装置を説明するが、カラー30のロックは、代替的な態様で構成される。パイプ13は、その下端部により、少なくとも1つのカラー30に接続され得る。カラー30は、少なくとも1つのロック部分32bにより、ケーシング1又はケーシング1に接続されたケーシング・シュー31に接続又は締結され得る。ロック部分32bは、ケーシング・シュー31とカラー30との間に、
図8の歯車などの機械的ロックを含み得る。一実施例によれば、ロック部分32bは、ケーシング1又はケーシング・シュー30の内側表面上に、例えば、溶接によって固定された少なくとも1つのリブ、突起、又はピンを含み得る。カラー30をケーシング1又はケーシング・シュー31のリブ、突起、又はピンに回転しない態様でロックするために、カラー30の外側表面上に少なくとも1つの溝を形成することが同様に可能である。カラー30の締結又はロックは、対称的に配置されたロック部分32bによって実施されてもよい。
【0077】
図7aは、ケーシングを設置するための装置の側断面概略図である。
図7bは、
図7aの装置の詳細の側断面概略図である。
図1から
図6とは異なり、穿孔の底Bは、中心開口部22内のフラッシング媒体パイプ39に沿ってパーカッション・ピストン6を通じて穴掘削手段8まで導かれてさらに掘削手段のフラッシング媒体流れチャネル18に沿って穿孔の底Bまで導かれるフラッシング媒体によって、フラッシングされ得る。
図7a及び
図7bによる実施例では、圧縮空気の除去は、
図2aによる側部排気チャネル24を通じて構成され得る。一実施例では、側部排気チャネル24は、
図2b、
図4a、
図4b、
図5aから
図5bの実施例において説明されたように、掘削手段8に回転運動を伝えるスプライン28の間に形成される。
【0078】
装置100は、例えば、以下の方法に従って使用され得る:
- ケーシング1の内側で穿孔パイプ2を回転させ、
- 圧縮空気によりパーカッション・ハンマ5を駆動し、
- パーカッション・ハンマのパーカッション・ピストン6を越えて穿孔2から穴掘削手段8まで導かれさらに穿孔の底Bまで導かれるフラッシング媒体により穿孔の底Bをフラッシングすることにより、又は、パーカッション・ピストン6を通じて穴掘削手段8まで導かれさらに穿孔の底Bまで導かれるフラッシング媒体により穿孔の底Bをフラッシングすることにより、解放された物質を除去し、また、装置内の掘削手段8は、回転運動を伝えるスプライン28をさらに含み、スプラインにより、パーカッション・ピストン6を駆動させた圧縮空気は、スプライン28を通して導かれる。
【0079】
場合により、本出願において開示された特徴は、他の特徴にかかわらず、それ自体として使用され得る。他方では、本出願において開示された特徴は、必要な場合、様々な組合せを提供するために組み合わせられ得る。
【0080】
図面及び関連する開示は、単に発明性のある着想を例証するように意図されたものである。本発明はいくつかの実例を通じて本発明が開示されている上述の実施例に制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲において定義された発明性のある着想の中で本発明の様々な修正及び様々な応用が実現可能であることは、当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0081】
1 ケーシング
2 穿孔パイプ
3 圧縮空気流れチャネル
4 フラッシング媒体流れチャネル
5 パーカッション・ハンマ
6 パーカッション・ピストン
8 穴掘削手段
9 パーカッション・ハンマ・シリンダ
10 シェル
11 シリンダ壁
12 流れチャネルの部分
13 パイプ
14 穿孔パイプ・アダプタ
15 アダプタ流れチャネル
16 パーカッション・ハンマの下部部材
17 下部部材フラッシング媒体流れチャネル
18 掘削手段フラッシング媒体流れチャネル
19 円形流れ溝
20 シール
21 排気チャネル
22 中心開口部
23 空気チャネル
24 側部排気チャネル
25 円形空気流れチャネル
26 パイロット・クラウン
27 リーマ
28 スプライン
30 カラー
31 ケーシング・シュー
32、32b ロック部分
33 圧力ライン
34 圧力制限弁
35 開口した内側部分
36 分配弁
37 ダンパー
38 シール
39 フラッシング媒体パイプ
100 装置
B 穿孔の底
F フラッシング媒体
P 圧縮空気
R 排気
X 装置の長手方向中心軸