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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】医薬製剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/68 20170101AFI20221012BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221012BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221012BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221012BHJP
【FI】
A61K47/68 ZNA
A61K39/395 L
A61K31/5517
A61K47/12
A61K47/26
A61K9/08
A61P35/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021075689
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2018527232の分割
【原出願日】2016-11-23
(65)【公開番号】P2021119171
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】62/260,104
(32)【優先日】2015-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/368,156
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】バートレット,エリザベス
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-521591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00
A61K 31/00
A61K 39/00
A61K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性製剤であって、
(a)水、
(b)約2mg/mLの以下の式のコンジュゲート、
【化1】
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース二水和物
を含有し、
ここでAbはCD123に結合し、配列番号1の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR1)配列、配列番号2のVH CDR2配列、および配列番号3のVH CDR3配列、ならびに配列番号4の軽鎖可変領域(VL)CDR1配列、配列番号5のVL CDR2配列、および配列番号6のVL CDR3配列を含む抗体またはその抗原結合性断片であり;
MはH 、Na 、K 、または任意の医薬的に許容可能なカチオンであり;
rは1~10の整数であり;かつ
約4.0~約4.5のpHを有する前記製剤。
【請求項2】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号7と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域、および配列番号9と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む、前記製剤。
【請求項3】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号11と少なくとも約90%同一である重鎖、および配列番号14と少なくとも約90%同一である軽鎖を含む、前記製剤。
【請求項4】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号12と少なくとも約90%同一である重鎖、および配列番号14と少なくとも約90%同一である軽鎖を含む、前記製剤。
【請求項5】
請求項4に記載の製剤であって、更に、0.01%のポリソルベート20を含有する、前記製剤。
【請求項6】
請求項5に記載の製剤であって、前記pHが約4.2である、前記製剤。
【請求項7】
請求項6に記載の製剤であって、更に、約2μM~約200μMの亜硫酸水素ナトリウムを含有する、前記製剤。
【請求項8】
請求項7に記載の製剤であって、更に、約50μMの亜硫酸水素ナトリウムを含有する、前記製剤。
【請求項9】
請求項4に記載の水性製剤であって、更に、約0.005%~約0.1%のポリソルベー20を含有する、前記製剤。
【請求項10】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号7と少なくとも約95%同一である重鎖可変領域、および配列番号9と少なくとも約95%同一である軽鎖可変領域を含む、前記製剤。
【請求項11】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号7の配列を含む重鎖可変領域、および配列番号9の配列を含む軽鎖可変領域を含む、前記製剤。
【請求項12】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号11と少なくとも約95%同一である重鎖アミノ酸配列、および配列番号14と少なくとも約95%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、前記製剤。
【請求項13】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号11の配列を含む重鎖アミノ酸配列、および配列番号14の配列を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、前記製剤。
【請求項14】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号12と少なくとも約95%同一である重鎖アミノ酸配列、および配列番号14と少なくとも約95%同一である軽鎖アミノ酸配列を含む、前記製剤。
【請求項15】
請求項1に記載の水性製剤であって、前記抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号12の配列を含む重鎖アミノ酸配列、および配列番号14の配列を含む軽鎖アミノ酸配列を含む、前記製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<優先権主張>
本出願は、2016年7月28日に出願された米国仮出願番号62/368,156及び2015年11月25日に出願された米国仮出願番号62/260,104の優先権を主張する。これら出願の全体の開示を本明細書の一部として援用する。
【0002】
本開示は医薬品に関する。より具体的には、本開示は、抗体-薬物コンジュゲートのための製剤及び抗体-薬物コンジュゲート組成物に関連した方法に関する。
【背景技術】
【0003】
<背景>
近年、抗体-薬物コンジュゲート(antibody-drug conjutates)(本明細書では「ADC」、「コンジュゲート」または「イムノコンジュゲート」と
称する)の開発により、癌の治療は益々目標として定められるようになった。研究者らは、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原に結合する抗体に基づく薬剤を開発するために、癌細胞によって選択的に発現される、細胞表面受容体及び抗原を同定し、利用してきた。この特異的結合は、前記抗体に結合した細胞傷害性化合物の癌細胞への送達を可能にする。ADCによって与えられる選択性は、正常細胞に対する毒性を最小限に抑え、それにより患者における薬物の耐用性を高める。
【0004】
ADCによって与えられる腫瘍選択性にもかかわらず、臨床的状況でのADCの使用は多くの要因によって制限される。これらの要因の中には、ADCが凝集して可逆的に自己会合する能力が含まれる。ADCは、共有結合及び疎水性相互作用を含む様々なメカニズムにより互いに凝集することができる。ADCはまた、モノマーと高次種との間の平衡を作り出す弱い相互作用を通じて、可逆的に自己会合することもできる。何れの場合も、凝集及び可逆的自己会合は、ADCが標的に対して結合する能力を阻害し、それによってADCの臨床効果を低下させる。従って、研究者等は、ADCの凝集及び可逆的自己会合を制限して、ADCの有効性を高めるためる方法を発見するために研究を続けている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、可逆的自己会合が低減されたADC組成物、そのような組成物を使用して癌を治療する方法、そのような組成物を製剤化する方法、及び可逆的自己会合を低減させる方法に向けられている。一つの態様において、本開示は、(a)少なくとも1つのベンゾジアゼピンを含むADCと、(b)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を含む組成物を提供する。幾つかの実施形態において、前記組成物は約4.0~約4.5のpHを有する。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、インドリノベンゾジアゼピンである。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、表1において以下で述べるD1、D1(a)、D2、D2(a)、
DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。一定の実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)
からなる群から選択され、これらは後述の表2に記載されている。幾つかの実施形態において、前記組成物は水溶液である。
【0006】
幾つかの実施形態において、前記抗体は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体はヒト化CD123抗体である。特定の実施形態において、前記抗体は、米国仮特許出願番号62/186,161、米国特許出願番号15/194,401及びPCT出願PCT/US2016/039797号に記載されており、これらの全体を本明細書の一部として援用する。本明細書中で使用するとき、「AbX」とは、米国仮特許出願番号62/186,161、米国特許出願番号15/194,401、及びPCT出願PCT/US2016/039797に記載されたヒト化CD123抗体を意味する。本明細書中で参照する全ての出願、特許及び他の刊行物を、本明細書の一部として援用する。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書中に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0007】
更なる実施形態において、前記組成物は凍結乾燥組成物である。更なる実施形態において、前記組成物は再構成凍結乾燥組成物である。前記小さな疎水性分子は、凍結乾燥の前に組成物に添加することができるが、低減または阻害低減された可逆的自己会合の利点は、凍結乾燥後に再構成組成物においてもなお実現される。
【0008】
幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はトリメチルグリシンである。一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子はプロリンである。他の実施形態において、前記小さな疎水性分子はロイシンである。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子はイソロイシンである。なお更なる実施形態において、前記組成物中には2以上の小さな疎水性分子を組み合わせて使用する。
【0009】
ADCにおいて、抗体当たりのベンゾジアゼピンの数は変化し得る。幾つかの実施形態において、ADCは少なくとも1つのベンゾジアゼピンを含む。一定の実施形態において、ADCは少なくとも2つのベンゾジアゼピンを含む。更なる実施形態において、ADCは少なくとも3つのベンゾジアゼピンを含む。なお更なる実施形態において、ADCは少なくとも4つのベンゾジアゼピンを含む。他の実施形態において、ADCは、少なくとも5つのベンゾジアゼピンを含む。特定の実施形態において、ADCは少なくとも6つのベンゾジアゼピンを含む。幾つかの実施形態において、ADCは約7個のベンゾジアゼピンを含む。2つ以上のADCを含む組成物では、抗体あたりのベンゾジアゼピンの平均数を測定することができる。この数は、薬物対抗体比または「DAR」と呼ばれる。幾つかの実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、1~約4のDARを有する。幾つかの実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、0~約1のDARを有する。他の実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、約1~約2のDARを有する。更に他の実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、約2~約3のDARを有する。
更なる実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、約3~約4のDARを有する。更に別の実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、約4~約5のDARを有する。なお更なる実施形態において、2以上のADCを含む組成物は、約5~約6のDARを有する。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは部位特異的な様式で、例えば、操作されたシステインまたはセリン残基へのコンジュゲーションを介して、前記抗体にコンジュゲートされる。
【0010】
幾つかの実施形態において、前記組成物は、(a)水と、(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462と、(c)10mMコハク酸ナトリウムと、(d)280mMのベタインを含有する水性製剤であり、前記製剤は約4.2のpHを有する。別の実施形態に
おいて、前記組成物は、(a)水と、(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)280mMのプロリンを含有する水性製剤であり、前記製剤は約4.2のpHを有する。更に別の実施形態において、前記組成物は、(a)水と、(b)AbX-D2と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)280mMのプロリン及び280mMのベタインからなる群から選択される小さな疎水性分子を含有する水性製剤であり、前記製剤は約4.2のpHを有する。1実施形態において、前記組成物は、水と、(a)huMov19-sSPDB-D1と、(b)10mMのコハク酸ナトリウムと、(c)125mMのロイシンを含有する水性製剤であり、前記製剤は約4.2のpHを有する。別の実施形態において、前記組成物は、(a)水と、(b)huMov19-sSPDB-D4と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)125mMのイソロイシンを含有する水性製剤であり、前記製剤は前記約4.2のpHを有する。幾つかの実施形態において、前記組成物は、ここに記載された何れかの水性組成物の凍結乾燥された組成物である。
【0011】
別の態様において、本開示は被験体の癌を治療する方法であって、それを必要とする被験体に対して有効量の組成物を投与することを含み、前記組成物は(i)ベンゾジアゼピンを含むADCと、(ii)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を含有し、ここでの前記ADCは1以上の細胞において細胞傷
害性であり、それによって癌を治療する方法を提供する。幾つかの実施形態において、前記組成物は凍結乾燥された組成物である。一定の実施形態において、前記組成物は再構成凍結乾燥組成物である。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6及びD6(a)からなる群から選択される。一定の実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、前記抗体(Ab)は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体は、ヒト化CD123抗体である。一定の実施形態において、前記抗体はAbXである。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書中に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0012】
前記方法の幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はトリメチルグリシンである。前記方法の更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子はプロリンである。前記方法の幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はロイシンである。前記方法の一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子はイソロイシンである。前記方法のなお更なる実施形態では、前記組成物中に2以上の小さな疎水性分子が使用される。
【0013】
前記方法の幾つかの実施形態において、前記方法で用いられる前記組成物は、上記で述べた特定の水性製剤の1つである。前記方法の一定の実施形態において、前記組成物は、本明細書に開示される水性製剤の1つに由来する再構成凍結乾燥組成物である。
【0014】
更に別の態様において、この開示は組成物を製剤化する方法であって、(a)水溶液中にベンゾジアゼピンを含有するADCを提供することと、(b)前記水溶液に、疎水性側
鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を加えることを含む方法を提供する。幾つかの実施形態において、この方法は更に、前記水溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む。前記方法の幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。前記方法の幾つかの実施液体において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、前記抗体は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体はヒト化CD123抗体である。一定の実施形態において、前記抗体はAbXである。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書中に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0015】
前記方法の幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子は、トリメチルグリシンである。前記方法の他の実施形態において、前記小さな疎水性分子はロイシンである。前記方法の幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はイソロイシンである。前記方法の一定の実施形態において、小さな疎水性分子はプロリンである。前記方法の更に他の実施形態においては、前記小さな疎水性分子の組み合わせが加えられる。
【0016】
前記方法の更なる実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約30%~約40%低減させる。幾つかの実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約40%~約50%低減させる。一定の実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約50%~約60%低下させる。更なる実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約60%~約70%低減させる。更なる実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約70%~約80%低減させる。更なる実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約80%~約90%低減させる。幾つかの実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを約90%~100%低減させる。なお更なる実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、水溶液中のRSAを消失させる。幾つかの実施形態において、RSAの量は、マルチアングル光散乱によって測定される。幾つかの更なる実施形態において、RSAの量は、動的光散乱によって測定される。
【0017】
幾つかの実施形態において、前記方法は更に、水溶液を凍結乾燥し、それによって凍結乾燥組成物を得ることを含む。一定の実施形態において、前記方法は更に、前記凍結乾燥組成物を再構成し、それによって再構成凍結乾燥組成物を作製することを含む。前記方法の更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約30%~約40%低減させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約40%~約50%低減させる。一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約50%~約60%低減させる。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約60%~約70%低減させる。なお更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成された凍結乾燥組成物中のRSAを約70%~約80%低減させる。幾つかの実施形態において、
前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約80%~約90%低減させる。幾つかの実施形態において、小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約90%~100%低減させる。幾つかの実施形態において、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを消失させる。
【0018】
更に別の態様において、本開示は、可逆的自己会合を低減させる方法を提供し、前記方法は、(a)水溶液中にベンゾジアゼピンを含むADCを提供し、ここでのADCは可逆的自己会合を示すことと、(b)前記水溶液に、疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を添加し、前記小さな疎水性分子は可逆的自己会合を低減させることを含む。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はトリメチルグリシンである。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子はプロリンである。一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子はロイシンである。なお更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子はイソロイシンである。
【0019】
一定の実施形態において、前記方法は更に、可逆的自己会合を検出する工程を含む。更なる実施形態において、前記方法は更に、水溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む。
【0020】
前記方法の幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。前記方法の一定の実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、前記抗体は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体はヒト化CD123抗体である。一定の実施形態において、前記抗体はAbXであり、米国仮出願番号62/186,161、米国特許出願番号15/194,401、及びPCT出願PCT/US2016/039797に記載のヒト化CD123抗体を指す。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0021】
前記方法の幾つかの実施形態において、前記可逆的自己会合は約30%~約40%低減される。前記方法の更なる実施形態において、前記可逆的自己会合は約40%~約50%低減される。前記方法のなお更なる実施形態において、前記可逆的自己会合は約50%~約60%低減される。前記方法のなお更なる実施形態において、前記可逆的自己会合は約60%~約70%低減される。前記方法の幾つかの実施形態において、前記可逆的自己会合は約70%~約80%低減される。前記方法の一定の実施形態において、前記可逆的自己会合は約80%~約90%低減される。前記方法の更なる実施形態において、前記可逆的自己会合は約90%~100%低減される。前記方法の一定の実施形態においては、前記可逆的自己会合が消失される。
【0022】
幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記水溶液を凍結乾燥し、それによって凍結乾燥組成物を作製することを含む。更なる実施形態において、前記方法は更に、前記
凍結乾燥組成物を再構成することを含む。
【0023】
ADCを含む組成物は、約4.0~約4.5の範囲のpHの緩衝液(例えば、コハク酸塩緩衝液)を用いて製剤化された場合、可逆的自己会合が低減されることが見出されている。従って、本開示の更に別の態様は、ベンゾジアピンを含むADCであって可逆的自己会合を示すADCと、緩衝剤とを含有する組成物であって、前記組成物は約4.0~約4.5の範囲のpHを有する組成物に向けられる。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。一定の実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、前記抗体は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体はヒト化CD123抗体である。一定の実施形態において、前記抗体はAbXであり、米国仮出願番号62/186,161、米国特許出願番号15/194,401、及びPCT出願PCT/US2016/039797に記載されたヒト化CD123を言う。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記組成物は更に糖を含む。一定の実施形態において、前記糖はトレハロースである。幾つかの実施形態において、前記トレハロースはトレハロース二水和物である。他の実施形態において、前記トレハロースは無水トレハロースである。他の実施形態において、前記糖はスクロースである。幾つかの実施形態において、前記緩衝剤はコハク酸塩である。幾つかの実施形態において、前記組成物は更に亜硫酸水素ナトリウムを含む。幾つかの実施形態において前記、組成物は水性製剤である。他の実施形態において、前記組成物は凍結乾燥組成物である。幾つかの実施形態において、前記組成物は更に増量剤を含む。一定の実施形態において、前記増量剤はグリシンである。他の実施形態において、前記増量剤はマンニトールである。
【0025】
幾つかの実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)huMy9-6-sSPDB・DGN462と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有し、ここで前記製剤は約4.0~約4.5の範囲のpHを有する。一定の実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)AbX・D2またはAbX-D2(a)と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有し、ここで前記製剤は約4.0~約4.5の範囲のpHを有し、任意に2~200μMの亜硫酸水素ナトリウムを含有する。一定の実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)AbX-D5またはAbX-D5(a)と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有し、ここで前記水性製剤は約4.0~約4.5の範囲のpHを有し、任意に2~200μMの亜硫酸水素ナトリウムを含有する。幾つかの実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)2mg/mLのAbX-D5またはAbX-D5(a)と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロース二水和物と、(e)50μMの亜硫酸水素ナトリウム及び0.01%(w/v)のポリソルベート20を含有し、ここでの前記製剤は約4.2のpHを有する。幾つか
の実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)huMov19-sSPDB・D1またはD1(a)と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有し、ここでの前記製剤は約4.0~約4.5の範囲のpHを有する。別の実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)huMov19-sSPDB・D2またはD2(a)と、(c)10mMコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有する。更なる実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)huMov19-sSPDB・D4と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロースを含有し、ここでの前記製剤は約4.0~約4.5の範囲のpHを有する。幾つかの実施形態において、前記組成物は、本明細書に記載の何れかの水性組成物の凍結乾燥組成物である。幾つかの実施形態において、何れかの前記組成物のpHは4.2である。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は本明細書中に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0026】
幾つかの実施形態において、前記組成物は更に界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、前記界面活性剤は0.01%のポリソルベート20である。幾つかの実施形態において、前記組成物は更に亜硫酸水素ナトリウムを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は、2~200μMの亜硫酸水素ナトリウムを含む。他の実施形態において、前記組成物は更に、5~100μMの亜硫酸水素ナトリウムを含む。一定の実施形態において、前記組成物は更に、約50μMの亜硫酸水素ナトリウムを含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、前記組成物のpHは約4.2である。幾つかの実施形態において、前記水性製剤は、(a)水と、(b)2mg/mLのAbX-D5またはAbX-D5(a)と、(c)10mMのコハク酸ナトリウムと、(d)8%のトレハロース二水和物と、(e)50μMの亜硫酸水素ナトリウム及び0.01%(w/v)のポリソルベート20を含み、前記製剤は約4.2のpHを有する。
【0028】
本開示の別の態様は、可逆的自己会合を低減させる方法であって、(a)第1のpHの水溶液中にベンゾジアゼピンを含むADCを提供し、前記ADCは可逆的自己会合を示すことと、(b)前記水溶液のpHを約4.0~約4.5の範囲の第2のpHに調節し、前記第1のpHから前記第2のpHへのpHの調節によって可逆的自己会合を低減することを含む方法に向けられる。幾つかの実施形態において、前記第2のpHは約4.2である。
【0029】
開示される方法の幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。幾つかの実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。
【0030】
幾つかの実施形態において、前記可逆的自己会合は約70%~約80%低減される。更なる実施形態において、前記可逆的自己会合は、約80%~約90%低減される。更に別の実施形態において、可逆的自己会合は約90%~100%低減される。
【0031】
幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記水溶液を凍結乾燥し、それによって凍結乾燥組成物を作製することを含む。なお更なる実施形態において、前記方法はまた、前記凍結乾燥組成物を再構成することも含む。
【0032】
幾つかの実施形態において、前記ADCは、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される抗体を含む。幾つかの実施形態において、前記ADCはヒト化CD123抗体を含む。幾つかの実施形態において、前記ヒト化CD123抗体はAbXである。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示されるCDR配列を含む。幾つかの実施形態において、前記AbX抗体は、本明細書に開示される重鎖可変領域ドメイン配列及び軽鎖可変領域ドメイン配列を含む。
【0033】
本開示の更なる態様は、(a)ベンゾジアゼピンを含むADCと、b)トレハロースを含有する組成物であって、前記組成物は約4.0~約4.5のpH範囲を有する組成物に向けられる。幾つかの実施形態において、組成物は更にコハク酸ナトリウムを含む。幾つかの実施形態において、前記組成物は更に亜硫酸水素ナトリウムを含む。更なる実施形態において、前記組成物は更に界面活性剤を含む。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される。更なる実施形態において、前記ADCは、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】1例として、huM9-6-sSPDB-DGN462を使用する可逆的自己会合系の動的光散乱プロットを示す。
図2】2A及び2Bは、1例としてhuM9-6-sSPDB-DGN462を使用する可逆的自己会合系のSV-AUC分布を示す。
図3】動的光散乱により測定された、薬物対抗体比に対する流体力学的直径の変化を示す。
図4】異なるADC組成物の動的光散乱プロットを示す。
図5】異なるADC組成物のSV-AUC分布を示す。
図6】脱グリコシル化huMOV19-90コンジュゲートについての質量スペクトル分析データを示す。
図7】脱グリコシル化huMov19-sSPDB-107コンジュゲートについての質量スペクトル分析データを示す。
図8】異なるADC組成物の動的光散乱プロットを示す。
図9】異なるADC組成物の動的光散乱プロットを示す。
図10】ある範囲のpHに亘って、コハク酸塩-トレハロース製剤についてのRSAの評価から得られたデータを示す。
図11】10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、0.01%のポリソルベート-20、pH4.0におけるADCのRSAを示す
【発明を実施するための形態】
【0035】
他に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が
関係する当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験においては、本明細書に記載した方法及び材料と類似または均等な方法及び材料を使用できるが、以下では典型的で且つ適切な方法及び材料を記載する。本明細書で言及する全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、その全体を本明細書の一部として援用する。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が支配する。加えて、材料、方法、及び実施例は例示的なものに過ぎず、限定を意図するものではない。
【0036】
<定義>
本明細書で使用するとき、用語「a」または「an」は、これらの用語が他の点でその使用が制限されていない限り、1以上を意味する。
【0037】
本明細書で使用するとき、「約」の用語は、記載された値の±10%を意味する。
本明細書で使用するとき、「被験体」の用語は、ヒトまたは動物を意味する。典型的な動物としては、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、サル、チンパンジー、ヒヒまたはアカゲザルなどの哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用するとき、「医薬製剤」の用語は、有効成分の生物学的活性を有効にしながら被験体に投与できる形態の製剤を指す。
本明細書で使用するとき、「治療有効量」の用語は、疾患または障害を治療するために有効な薬物の量を指す。
【0039】
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療する」または「治療」とは、疾患または障害の軽減、寛解もしくは改善、または疾患もしくは障害の少なくとも1つの症状の軽減、寛解もしくは改善を意味する。
【0040】
本明細書で使用するとき、「不可逆的凝集」の用語は、部分的アンフォールディングに起因した疎水性相互作用から典型的に生じる非共有結合的凝集を指称する。
本明細書で使用する「キメラ抗体」の用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性及び能力を有する哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)の1つの種に由来する抗体の可変領域に対応する一方、定常領域は別の種(通常はヒト)に由来する抗体の配列と相同であり、その種(例えば、ヒト)において免疫応答を誘発する機会を回避または低減する。一定の実施形態において、キメラ抗体には、少なくとも1つのヒト重鎖及び/または軽鎖ポリペプチドを備えた抗体またはその抗原結合性断片、例えば、マウス軽鎖及びヒト重鎖ポリペプチドを備えた抗体が含まれる。
【0041】
本明細書で使用するとき、抗体の「抗原結合性断片」の用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持した抗体の1以上の断片を指す。
本明細書で使用するとき、「ポリクローナル」抗体とは、免疫化された動物の血清に典型的に含まれる抗体の異種集団をいう。
【0042】
本明細書で使用するとき、「モノクローナル」抗体とは、特定の抗原に対して特異的な抗体分子の同種集団をいう。
本明細書で使用するとき、「リンカー」、「連結基」または「連結部分」の用語は、抗体及び細胞傷害性化合物のような2つの基を一緒に連結する部分を指す。
【0043】
本明細書で使用するとき、「癌」及び「癌性」の用語は、哺乳類における生理学的状態であって、その中では細胞の集団が調節されない細胞増殖で特徴付けられる状態を指称し、または記載する。癌には、血液癌または固形腫瘍が含まれ得る。
【0044】
<凝集及び可逆的自己会合>
商業的に実行可能で臨床的に有用なADC組成物の開発は、異なる抗体及びADCの製剤化の際の予測不能な挙動によって複雑になる。抗体及びADCが凝集し且つ可逆的に自己会合する能力は、商業的及び臨床的に多くの望ましくない影響をもたらし得る。凝集及び可逆的自己会合は、効力の低下、安定性の低下、毒性の増加、粘度の増加、溶液の変色及び他の望ましくない影響をもたらす可能性がある。幾つかの状況において、凝集物は免疫系応答を引き起こし、患者の潜在的な安全性の懸念を生じる可能性がある。
【0045】
共有結合凝集体は、少なくとも2つのモノマー間の化学結合の形成によって生じる。例えば、共有結合凝集体は、モノマー上の不対システイン間に形成されるジスルフィド結合、または分子間ジスルフィドスクランブリングの結果として、またはチオエーテル結合を介して生じ得る。
【0046】
一定の場合、凝集は不可逆的である。免疫グロブリンの不可逆的凝集は、製剤中の免疫グロブリンの活性または機能の低下をもたらす。不可逆的凝集体は、尿素、グアニジン、またはドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)などの薬剤によって阻害され得るが、抗体の濃度を低下させることでは阻害され得ない。
【0047】
可逆的自己会合(「RSA」)は、弱い非共有結合的な分子間相互作用を介してオリゴマー種を形成するADCの能力の結果として生じる。溶液中の任意のADCについてのこれら相互作用の量は、抗体自体(例えば、一次及び二次構造)及びpHなどの溶液特性、並びにADC濃度を含む様々な因子に依存する。更に、自己会合の量及び程度は、前記細胞傷害性化合物及び前記抗体の特性に依存して、ADCによって変化することが発見されている。疎水性、不溶性、及び/または複数の芳香環を含む細胞傷害性化合物は、RSAを増大させることができる。従って、より疎水性のADCは、溶液中で可逆的に自己会合する傾向が増加する。ADCは自己会合し、溶液中ではモノマーと高次オリゴマー種との間での平衡が達成される。
【0048】
ADCの可逆的自己会合は、製剤において多数の有害な影響を及ぼす。RSAは、治療上の関係において、ADCの製造、安定性、送達、及び安全性についての問題を引き起こす可能性がある。送達の観点から、RSAは溶液の粘度を上昇させる可能性があり、これは予め充填されたシリンジのプランジャを妨げる可能性がある。安定性及び安全性の観点では、RSAは効力を低下させる可能性があり(オリゴマー種は治療的に機能しないため)、免疫応答を誘発する可能性を高める。
【0049】
研究者は、溶液中のADCモノマーの量を評価するために、幾つかの方法を自由に用いることができる。例えば、溶液中のADCモノマーの量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC及びSEC-MSの両方)及び沈降速度(SV)によって測定することができる。SEC分析の下では、ADC凝集物は、より小さく且つSEC充填材料の細孔に深く入り込むADCモノマーよりも速く溶出する。SECは、凝集体とモノマーとの間の良好な分離を提供することができ、それにより溶液中のモノマー量の良好な評価が提供される。
【0050】
以下の実施例でより詳細に説明するように、SVは、ADCを沈降させるために溶液に角加速度を印加する(一般に遠心分離を介して)ことによって、溶液中のADCの挙動を分析する。一般には、より大きな粒子、例えばADC凝集体または可逆的に自己会合したオリゴマーは、より迅速に沈降する。したがって、SVは、凝集体及びオリゴマーがモノマーよりも速く沈降するため、溶液中のADCモノマーの量を評価するために使用することができる。
【0051】
幾つかの例では、SECまたはSEC-MS及びSVは、同じ抗体に対して異なるモノマーパーセンテージを与える可能性がある。このような不一致は、可逆的に自己会合するモノマーの存在を示すことができる。更に、濃度及び溶液特性の変化は、典型的にはRSAを低減させるが、存在する共有結合的または不可逆的凝集の何れの量にも影響しないであろう。
【0052】
マルチアングル光散乱(「MALS」)は、異なる次数のモノマー及びオリゴマーがどのように光を散乱させるかに基づいて、所与の溶液中の可逆的に会合したオリゴマー量を決定するために使用することができる。溶液中の抗体濃度が増加するにつれて、MALSは、典型的にはモノマーよりも高分子量の種、例えばオリゴマーの増加を検出する。この増加はRSAの増加を示す。
【0053】
動的光散乱(「DLS」)もまた、溶液中のRSAの存在及び程度を決定するために使用することができる。DLSは、溶液中の種により散乱される光の強度の時間依存的変化を測定することを含む。典型的には、DLS測定機器は粒子の流体力学的直径をもたらす。溶液中の抗体の濃度が増加するにつれて、DLS測定装置はより大きな流体力学的直径を有する種、例えばオリゴマーの増大した存在を検出する。この増大は、RSAの増加を示す。DLS測定装置を用いて、溶液中の種の拡散係数を決定することもできる。拡散係数は抗体濃度の増加に伴って減少し、RSAの存在を示す。
【0054】
<ADC>
本開示は、ADC、ADCを含む組成物、治療方法、ADC組成物を製剤化する方法、及びADCにおけるRSAを低減させる方法に向けられる。ADCは、細胞傷害性化合物にコンジュゲートした抗体または抗体断片を含む。幾つかの実施形態において、細胞傷害性化合物は、リンカーを介して抗体にコンジュゲートされる。他の実施形態では、細胞傷害性化合物は抗体に直接結合される。本開示に包含される抗体、リンカー、及び細胞傷害性化合物のタイプを以下に記載する。
【0055】
<抗体>
抗体及びその抗原結合性断片を含む組成物が、本明細書中に開示される。抗体は、可溶型及び膜結合型として存在する大きな糖タンパク質であり、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づいて、5つの天然アイソタイプ、即ち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMを包含する。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造及び3次元立体配置を有する。当業者が理解するように、開示される組成物は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を含むことができる。特定の実施形態において、前記抗体には、二重特異性抗体のような多重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体などの抗体が含まれる。前記組成物はまた、1以上の保存的または非保存的アミノ酸置換を有する抗体を含むことができる。更に、前記組成物は、1以上のアミノ酸残基において、修飾されたグリコシル化を含むことができる。そのような修飾された抗体または結合性断片は、前記修飾された抗体が所望の生物活性を示す限り、本明細書に開示される組成物の範囲内に入る。
【0056】
本明細書中で使用される場合、「ヒト化」抗体は、抗体の抗原結合性ループを形成するマウスモノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)がヒト抗体分子のフレームワーク上に移植されるか、またはマウス抗体のフレームワークの可変ドメインが再表面化(即ち、露出した残基がヒト抗体の対応する位置に存在する残基で置換される)されているものである。例えば、Roguska et.al, Protein Engineering, Vol 9. No. 10, pp. 895-904, 1996を参照されたい。
【0057】
典型的な抗体には、ヒト化モノクローナル抗体が含まれ、その例には、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3が含まれる。典型的な抗体にはヒト化CD123抗体もまた含まれ、その典型的な配列は、米国出願番号15/194,401及びPCT出願番号PCT/US2016/039797に記載されており、本明細書では「AbX」と称する。
【0058】
米国出願番号15/194,401及びPCT出願番号PCT/US2016/039797に記載された、本明細書に記載のAbXの実施形態に含まれるヒト化CD123抗体(AbX)の特定の例は次の通りである。
【0059】
以下の重鎖可変領域CDRアミノ酸配列を含むヒト化CD123抗体:
CDR1:SSIMH(参照配列1)
CDR2:YIKPYNDGTKYNEKFKG(参照配列2)
CDR3:EGGNDYYDTMDY(参照配列3)
以下の軽鎖可変領域CDRアミノ酸配列を含むヒト化CD123抗体:
CDR1:RASQDINSYLS(参照配列4)
CDR2:RVNRLVD(参照配列5)
CDR3:LQYDAFPYT(参照配列6)
以下の重鎖可変領域アミノ酸配列を含むヒト化抗CD123抗体:
AbX
Q(F/V)QLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSS(参照配列7)
AbX
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYGFTSSIMHWVRQAPGQGLEWMGYIKPYNDGTKYNEKFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSS(参照配列8)
以下の軽鎖可変領域アミノ酸配列を含むヒト化抗CD123抗体:
AbX
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKR(参照配列9)
AbX
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLAWFQQKPGKAPKSLIYRVNRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKR(参照配列10)
他の特定の実施形態において、抗CD123抗体またはその抗原結合性断片は、操作されたCys残基(例えば、C442)、QXQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSS(参照配列7)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKR(参照配列9)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。一定の実施形態において、Xaa、即ち、配列番号7のN末端から2番
目の残基はPheである。他の実施形態において、XaaはValである。
【0060】
他の特定の実施形態において、抗CD123抗体またはその抗原結合性断片は、操作されたCys残基(例えば、C442)、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYGFTSSIMHWVRQAPGQGLEWMGYIKPYNDGTKYNEKFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSS(参照配列8)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLAWFQQKPGKAPKSLIYRVNRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKR(参照配列10)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。
【0061】
以下の重鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗CD123抗体:
AbX
Q(F/V)QLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(参照配列11)
AbX1C
Q(F/V)QLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLCLSPG(参照配列12)
AbX
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYGFTSSIMHWVRQAPGQGLEWMGYIKPYNDGTKYNEKFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLN
GKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(参照配列13)
以下の軽鎖アミノ酸配列を含むヒト化抗CD123抗体:
AbX
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(参照配列14)
AbX
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLAWFQQKPGKAPKSLIYRVNRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(参照配列15)
他の特定の実施形態において、前記抗CD123抗体またはその抗原結合性断片は、操作されたLys残基、Q(F/V)QLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(参照配列11)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(参照配列14)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。一定の実施形態において、参照配列11のN末端からの2番目の残基であるXaaはP
heである。他の実施形態において、XaaはValである。
【0062】
他の特定の実施形態において、前記抗CD123抗体またはその抗原結合性断片は、Q(F/V)QLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYIFTSSIMHWVRQAPGQGLEWIGYIKPYNDGTKYNEKFKGRATLTSDRSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPE
LLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLCLSPG(参照配列12)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLSWFQQKPGKAPKTLIYRVNRLVDGVPSRFSGSGSGNDYTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(参照配列14)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。一定の実施形態において、参照配列12のN末端から2番目残基であるXaaはPheである。他の実施形態に
おいて、XaaはValである。
【0063】
他の特定の実施形態において、前記抗CD123抗体またはその抗原結合性断片は、QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYGFTSSIMHWVRQAPGQGLEWMGYIKPYNDGTKYNEKFKGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAREGGNDYYDTMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(参照配列13)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一の免疫グロブリン重鎖可変ドメイン、及びDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINSYLAWFQQKPGKAPKSLIYRVNRLVSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQYDAFPYTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(参照配列15)に対して少なくとも約90%、95%、99%または100%同一のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む。
【0064】
huDS6のための典型的な配列は、米国特許第7,834,155号明細書及び国際特許出願公開番号WO2005/009369及びWO2007/024222に記載されており、それらの全体を本明細書の一部として援用する。huMov19の詳細な配列は、米国特許第8,557,966号及び同第8,709,432号、国際特許出願公開番号WO2011/106528に記載されており、これらの全体を本明細書の一部として援用する。huMy9-6重鎖可変領域部分の典型的な配列は、米国特許公開番号20060177455に記載されており、その全体を本明細書の一部として援用する。huMy9-6軽鎖可変領域部分の例示的な配列は当技術分野において既知であり、米国特許第7,557,189号、同第7,342,110号、同第8,197,787号及び同第8,337,855号に記載されており、それらの全体を本明細書の一部として援用する。huCD37-3の典型的な配列は、米国特許第8,765,917号及び国際特許
出願公開番号WO2011/112978に記載されており、これらの全体を本明細書の一部として援用する。huB4の例示的な配列は、国際特許出願公開番号WO2012/156455に記載されており、その全体を本明細書の一部として援用する。
【0065】
追加の典型的な抗体には、特異的抗原を標的とする抗体が含まれる。例としては、CD33、CD19、CD37、CA6、またはFOLR1を標的とする抗体が挙げられる。更に、CD123を標的とする抗体もまた本明細書に含まれる。
【0066】
一般に、「ヒト化抗体」の用語は、最小の非ヒト(例えばマウス)配列を含む特異的免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリンまたはそれらの断片である非ヒト(例えばネズミ)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体とは、相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、または親和性を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基によって置換された、ヒト免疫グロブリンである。(Jones et al, Nature 321:522-525, 1986; Riechmann et al, Nature 332:323-327, 1988; Verhoeyen et al, Science 239:1534-1536, 1988)。
【0067】
抗体は、CDR移植(EP 0 239 400; WO91/09967;米国特許第5,530,101号及び第5,585,089号)、ベニアリングまたは再表面化(EP 0 592 106; EP 0 519 596; Padlan E. A., 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnicka G. M. et al., 1994, Protein Engineering 7(6):805-814; Roguska M.
A. et al., 1994, PNAS 91:969-973)、及び鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)を含む種々の他の技術を用いてヒト化することができる。ヒト抗体は、ファージディスプレイ法を含む当技術分野で既知の様々な方法によって作製することができる。また、米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、及び国際特許出願公開番号WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、及びWO91/10741を参照されたい(前記参照文献を本明細書の一部として援用する)。
【0068】
幾つかの例において、ヒト免疫グロブリンのFフレームワーク領域(FR)の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種由来の抗体における対応する残基で置換される。このヒト化抗体は、抗体特異性、親和性及び/または能力を改良及び最適化するために、Fフレームワーク領域及び/または置換された非ヒト残基内における追加の残基の置換によって更に修飾することができる。一般に、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域の全部または実質的に全部を含む少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つの可変ドメインの実質的に全てを含み、FR領域の全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリンの定常領域または定常ドメイン(F)、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部を含むことができる。ヒト化抗体を生じさせるために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号及び第5,639,641号、並びにRoguska et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(3):969-973, 1994; 及びRoguska et al, Protein Eng. 9(10):895-904, 1996(全て本明細書の一部として援用する)に記載されている。幾つかの実施形態において、「ヒト化抗体」は再表面化された抗体である。幾つかの実施形態において、「ヒト化抗体」はCDR移植抗体である。
【0069】
加えて、前記抗体はキメラ抗体であることができる。
開示される組成物は、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab)、及びFv断片)または一本鎖Fv(scFv)変異体のような、抗原結合性断片を含み得る。他の実施形態において、前記結合性断片は別個のタンパク質、ペプチド、またはオリゴペプチドに結合して、融合タンパク質を形成する。一定の実施形態において、前記融合タンパク質は、1以上のペプチド、オリゴペプチドまたはポリペプチドに融合された抗体の抗原決定部分を含む。
【0070】
当業者は、適切な抗体の選択が、標的とされる細胞集団に依存することを理解するであろう。これに関して、特定の細胞集団(典型的には罹患細胞集団)において選択的に発現される細胞表面分子(即ち、抗原)のタイプ及び数は、開示される組成物において使用するための適切な抗体の選択を知らせるであろう。細胞表面発現プロファイルは、腫瘍細胞型を含む多種多様な細胞型について既知であり、或いは未知であれば、ルーチンの分子生物学及び組織化学の技術を用いて決定することができる。
【0071】
本明細書で述べるように、前記抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。モノクローナル抗体は、典型的には、Bリンパ球(「B細胞」)の単一クローンによって産生される。モノクローナル抗体は、標準ハイブリドーマ技術(例えば、Koehler and Milstein, Eur. J. Immunol., 5, 511-519 (1976), Harlow and Lane (eds.), Antibodies: A Laboratory Manual, CSH Press (1988), and C.A. Janeway et al. (eds.), Immunobiology, 5th Ed., Garland Publishing, New York, NY (2001)を参照のこと)を含む当業者に既知の様々な技術を用いて得ることができる。簡単に言うと、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ法は、典型的には、任意の適切な動物、典型的にはマウスに抗原(即ち、「免疫原」)を注入することを含む。続いて、この動物を屠殺し、その脾臓から単離したB細胞をヒトミエローマ細胞と融合させる。ハイブリッド細胞(即ち、「ハイブリドーマ」)が産生され、これは無限に増殖して、所望の特異性を有する高力価の抗体をインビトロで連続的に分泌する。当該技術分野で既知の任意の適切な方法を使用して、所望の特異性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定することができる。そのような方法には、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット分析、及びラジオイムノアッセイが含まれる。ハイブリドーマの集団をスクリーニングして、各々が前記抗原に対する単一の抗体を分泌する個々のクローンを単離する。各ハイブリドーマは単一のB細胞との融合に由来するクローンであるため、それが産生する全ての抗体分子は、それらの抗原結合部位及びアイソタイプを含めて構造が同一である。モノクローナル抗体はまた、EBV-ハイブリドーマ技術(例えば、Haskard and Archer, J. Immunol. Methods, 74(2), 361-67 (1984), and Roder et al., Methods Enzymol., 121, 140-67 (1986)参照)、またはバクテリオファージベクター発現系(例えば、Huse et al., Science, 246, 1275-81 (1989)参照)を含む他の適切な技術を用いて作製され得る。モノクローナル抗体断片を調製するために、組換え方法が典型的に用いられる。
【0072】
モノクローナル抗体は、任意の適切な動物から単離でき、または任意の適切な動物において産生することができる。幾つかの実施形態において、前記抗体は哺乳動物において産生される。幾つかの実施形態において、前記哺乳動物はマウスである。幾つかの実施形態において、前記哺乳動物はヒトである。マウスにおいて抗体を産生するための方法は当業者に周知であり、本明細書に記載されている。ヒト抗体に関して、当業者は、ポリクローナル抗体が、適切な抗原でワクチン接種または免疫感作されたヒト被験体の血清から単離
され得ることを理解するであろう。或いは、ヒト抗体は、マウスのような非ヒト動物においてヒト抗体を産生するための既知の技術(例えば、米国特許第5,545,806号、第5,569,825号、及び第5,714,352号、並びに米国特許出願公開番号2002/0197266A1参照)を適応させることによって作製することができる。
【0073】
ヒト抗体、特にヒトモノクローナル抗体は、ヒトの治療用途において有効であるが、典型的にマウスモノクローナル抗体よりも作製が困難である。しかしながら、マウスモノクローナル抗体は、ヒトに投与されたときに迅速な宿主抗体応答を誘導し、ADCの治療上または診断上の可能性を低下させる可能性がある。これらの合併症を回避するために、モノクローナル抗体は、ヒト免疫系によって「外来」として認識されないのが好ましい。この目的のために、ファージディスプレイを用いて抗体を作製することができる。これに関して、抗体の抗原結合性可変(V)ドメインをコードするファージライブラリーが、標準的な分子生物学及び組換えDNA技術を使用して作製され得る(例えば、Sambrook et al. (eds.), Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001)参照)。所望の特異性を備えた可変領域をコードするファージを所望の抗原への特異的結合のために選択し、選択された可変ドメインを含む完全ヒト抗体を再構成する。再構成された抗体をコードする核酸配列は、ハイブリドーマ産生に使用されるミエローマ細胞のような適切な細胞系に導入され、その結果としてモノクローナル抗体の特徴を有するヒト抗体が細胞によって分泌されるようになる(例えば、Janeway et al.,
supra, Huse et al., supra,及び米国特許第6,265,150号参照)。或いは、モノクローナル抗体は、特定のヒト重鎖及び軽鎖免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックであるマウスから作製することができる。そのような方法は当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,545,806号及び同第5,569,825号、並びにJaneway et al., supraに記載されている。幾つかの実施形態において、前記抗体はヒト化抗体である。マウス抗体及びヒト抗体のフレームワークの類似性のために、このアプローチは、前記CDR配列が誘導されたマウスモノクローナル抗体と同じ抗原に結合するが、抗原的にはヒト抗体と同一であるモノクローナル抗体を産生することが、当該技術では受け入れられている。ヒト化抗体を産生するための方法は、当該分野において既知であり、例えば、上記のJaneway et al., supra、米国特許第5,225,539号、第5,585,089号及び第5,693,761号、欧州特許第0239400B1号及び英国特許第2188638号に詳細に記載されている。ヒト化抗体はまた、米国特許第5,639,641号、Pedersen et al., J. Mol. Biol., 235,
959-973 (1994), Roguska et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(3):969-973, 1994;
及びRoguska et al, Protein Eng. 9(10):895-904, 1996に記載された抗体再表面化技術を使用して作製することもできる。
【0074】
少なくとも1つの抗原結合部位を有し、従って標的細胞の表面に存在する少なくとも1つの抗原または受容体を認識して結合する抗体断片もまた、本開示の範囲内である。この点で、インタクトな抗体分子のタンパク質分解切断は、抗原を認識して結合する能力を保持する様々な抗体断片を産生することができる。例えば、パパインプロテアーゼによる抗体分子の限定された消化は、典型的には3つの断片を産生し、そのうちの2つは同一であり、それらは親抗体分子の抗原結合活性を保持するのでFab断片と称される。酵素ペプシンによる抗体分子の切断は、通常2つの抗体断片を産生し、そのうちの1つは抗体分子の抗原結合アームの両方を保持し、従って、F(ab’)断片と称される。合成ペプチドを介して軽鎖抗体のVドメインに連結された抗体重鎖の可変(V)ドメインを備えた短縮Fab断片からなる、一本鎖可変領域断片(sFv)抗体断片は、ルーチンの組換えD
NA技術技術を用いて作製することができる(例えば、Janeway et al.,
supra参照)。同様に、ジスルフィド安定化可変領域断片(dsFv)は、組換えDNA技術によって調製することができる(例えば、Reiter et al., Protein Engineering, 7, 697-704 (1994)参照)。しかし、本開示の抗体断片は、これら典型的なタイプの抗体断片に限定されない。所望の細胞表面レセプターまたは抗原を認識して結合する、任意の適切な抗体断片を使用することができる。抗体-抗原結合は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降、及び競合阻害アッセイのような、当技術分野で既知の任意の適切な方法を用いてアッセイすることができる(例えば、Janeway et al., supra,及び米国特許出願公開番号2002/0197266 A1参照)。
【0075】
<リンカー>
本明細書に開示された組成物の態様には、リンカーに結合した抗体及びその抗原結合性断片が含まれる。リンカーが、抗体のその標的への結合を妨げない限り、または細胞傷害性化合物の細胞傷害性を排除しない限り、任意の適切なリンカーを本開示のADCと共に使用することができる。典型的には、リンカーは2つの基を連結するための条件下において実質的に不活性である。幾つかの実施形態において、リンカー部分は2つの反応基を含む結果として、最初に1つの反応基を細胞傷害性化合物と反応させて、リンカー部分及び第2の反応基を備えた化合物を得、次いでこれを抗体と反応させることができる。或いは、前記リンカー部分の1つの反応基を最初に抗体と反応させて、抗体及びリンカー部分及び第二の反応基を得、次いでこれを細胞傷害性化合物と反応させることができる。
【0076】
典型的なリンカーとしては、ジスルフィドリンカー、チオエーテルリンカー、アミド結合リンカー、ペプチダーゼ不安定性リンカー、酸不安定性リンカー、及びエステラーゼ不安定性リンカーが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、リンカーは開裂可能である。典型的な開裂可能なリンカーには、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(SPDP)、4-(2-ピリジルジチオ)ブタン酸N-スクシンイミジル(SPDB)、4-(2-ピリジルジチオ)ペンタン酸(N-スクシンイミジルSPP)、4-メチル-4-[2-(5-ニトロ-ピリジル)-ジチオ]ペンタン酸N-スクシンイミジル(N-SMNP)が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、前記リンカーは開裂不能である。例示的な開裂不能リンカーとしては、2-イミノチオラン、アセチルコハク酸無水物、及び4-(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボン酸スクシンイミジル(SMCC)が挙げられるが、これらに限定されない。他の典型的なリンカー、例えば、(本明細書の一部として援用する米国特許出願公開番号US20120253021に記載のような)CX1-1及びアセチルコハク酸無水物は、開裂可能または非開裂可能なリンカーとして使用することができる。
【0077】
幾つかの実施形態において、前記連結部分は、特定の部位での細胞傷害性化合物の放出を可能にする化学結合を含む。適切な化学結合は当技術分野で周知であり、ジスルフィド結合、チオエーテル結合、酸不安定性結合、光不安定性結合、ペプチダーゼ不安定性結合及びエステラーゼ不安定性結合が含まれる(例えば、米国特許第5,208,020号、同第5,475,092号、同第6,441,163号、同第6,716,821号、同第6,913,748号、同第7,276,497号、同第7,276,499号、同第7,368,565号、同第7,388,026号、及び同第7,414,073号参照)。他の適切なリンカーには、米国特許公開番号20050169933に詳細に記載されているような非切断性リンカー、または帯電リンカーまたは親水性リンカーが含まれ、それぞれ米国特許出願公開番号2009/0274713、2010/01293140、及び国際公開番号WO2009/134976に記載されており、その各々を明示的に本明細書の一部として援用する。
【0078】
<細胞傷害性化合物>
本開示の態様は、幾つかの細胞傷害性化合物に向けられる。これらの細胞傷害性化合物は、細胞内において細胞傷害性を誘導することができる。上記で述べた抗体の何れかに結合して本開示のADCを形成するときに、これら細胞傷害性化合物は、標的細胞に直接送達されることができる。正常な薬理学的クリアランス機構の結果として、ADCに用いられる抗体は限られた量でのみ標的細胞に接触して結合する。従って、前記コンジュゲートに用いられる細胞傷害剤は、治療効果を引き出すための十分な細胞死滅が起こるように、高度に細胞傷害性でなければならない。
【0079】
本開示の細胞傷害性化合物は、ベンゾジアゼピンが含まれる。幾つかの実施形態において、前記細胞傷害性化合物は、ピローロベンゾジアゼピンである。幾つかの実施形態において、前記細胞傷害性化合物はインドリノベンゾジアゼピンである。幾つかの実施形態において、前記細胞傷害性化合物は表1の化合物である。DGN462は、例えば米国特許第8,765,740号に記載されており、その全体を本明細書の一部として援用する。化合物D3は、例えば、米国特許第8,426,402号、同第8,809,320号及び同第8,802,667号に記載されており、それらの全体を本明細書の一部として援用する。化合物D1、D2及びD4は、例えば米国仮特許出願番号第14/483,604及び第14/483,520号(それらの両者を本明細書の一部として援用する)にそれぞれ記載されており、また、「インドリノ-ベンゾジアゼピンDNA-アルキル化剤の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)」、2015AACR、アブストラクト番号652(これを本明細書の一部として援用する)に記載されている。
表1
【0080】
【表1-1】
【0081】
【表1-2】
【0082】
【表1-3】
【0083】
【表1-4】
【0084】
表1の化合物を含むベンゾジアゼピンは、本明細書に記載のリンカーを用いて抗体及びその抗原結合性断片に連結される。ADCの幾つかの実施形態において、ベンゾジアゼピンはCys結合型であってよい。他の実施形態では、ベンゾジアゼピンはSer結合型であってよい。
【0085】
本開示はまた、表1の化合物の変形、例えばスルホン化による表1の化合物の修飾に関する。表1の化合物の他の変形は、当業者には容易に明らかである。そのような変形は本開示に包含される。
【0086】
<ADCにおける増大したRSA>
ベンゾジアゼピンを含むADCは、本明細書において、増大したRSAを示すことが示されている。増大したRSAは、ベンゾジアゼピンに由来する疎水性相互作用の増大から生じ、さらなる可逆的な分子間相互作用をもたらすと考えられている。以下の実施例で示されるように、薬物負荷(「DAR」または薬物対抗体比)の増加は、RSAの増大をもたらす。より高いDARを有する組成物は、より高い抗体当たりのベンゾジアゼピン量を有する。ベンゾジアゼピンは疎水性で不溶性であり、複数の芳香族環を含む。従って、ベンゾジアゼピンはADCの他の成分と相互作用すると考えられている。これらの付加的な可逆的分子間相互作用は、本明細書で開示されるADCのRSAを増大させる。従って、RSAの量は、薬物負荷が増加するにつれて増大する。その結果として、本開示の疎水性分子(例えば、ベンゾジアゼピンまたはインドリノベンゾジアゼピン)を含むADCのための医薬製剤を開発することは更に困難である。
【0087】
<低下したRSA組成物>
驚くべきことに、特定の小さな疎水性分子が、本開示のADCを含む組成物においてRSAを阻害または低減することが発見された。これらの小分子は、(1)プロリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを含む疎水性側鎖を有するアミノ酸、及び(2)ベタイン、正に帯電したカチオン性官能基及び負に帯電した官能基を有する小さな中性分子の二つの分類に分けられる。カチオン性官能基及び負に帯電した官能基は隣接している必要はない。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウムなどのオニウムイオンが挙げ
られる。負に帯電した官能基には、カルボキシル基、サルファイト基、及びホスファイト基が含まれる。典型的なベタインはトリメチルグリシンである。歴史的には、ベタインの用語はトリメチルグリシンを指す。従って、本明細書で使用される文脈に応じて、「ベタイン」の用語は、一般的にはベタインを、または特定的にはトリメチルグリシンを指すことができる。
【0088】
本開示の1つの態様は、(a)ベンゾジアゼピンを含むADCと、(b)疎水性側鎖を有するベタイン及び/またはアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を含有する組成物に向けられる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子は疎水性側鎖を有するアミノ酸である。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はベタインである。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子はトリメチルグリシンである。幾つかの実施形態において、前記抗体は、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19及びhuCD37-3からなる群から選択される。他の実施形態において、前記抗体はヒト化CD123抗体である。特定の実施形態において、前記抗体はAbXである。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンはインドリノベンゾジアゼピンである。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは表1の化合物である。幾つかの実施形態において、前記ADCは表2におけるADCである。
表2
【0089】
【表2-1】
【0090】
【表2-2】
【0091】
【表2-3】
【0092】
【表2-4】
【0093】
【表2-5】
【0094】
表2において、rは1~10の整数であり、Ab-NHはリジンを介して化合物に共有結合した抗体であり、SerはN末端セリンを介して化合物に結合した抗体を示し、Cysはシステインを介して化合物に結合した抗体を示す。Mは、H、Na、K、または任意の医薬的に許容可能なカチオンである。
【0095】
本開示はまた、表2のADCのリンカーにおける他の変形に向けられており、これは当業者には容易に明らかである。例えば、ADCを得るためにリンカー上に示されたSOM基が「H」で置換され、ここでの抗体AbはSPDBリンカーを介して細胞障害性化合物D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)に結合される。そのような変形及び類似の変形は、本開示に包含される。
【0096】
幾つかの実施形態では、前記開示された組成物においてRSAが消失する。幾つかの実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約90%~100%減少する。一定の実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約80%~約90%減少する。幾つかの実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約70%~約80%減少する。更なる実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約60%~約70%減少する。なお更なる実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約50%~約60%減少する。未だ更なる実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約40%~約50%減少する。幾つかの実施形態において、RSAは前記開示された組成物において約30%~約40%減少する。
【0097】
抗体またはADCの構造及び安定性を維持するために、抗体またはADCのための従来の製剤は、約5~6.5のpHに緩衝されている。驚くべきことに、我々は、pHが溶液中のRSAの量及び程度に影響を及ぼし、具体的には約4~4.5の予想より低いpHがADCのRSAを低下させ得ることを発見した。本開示の別の態様は、ベンゾジアゼピンを含むADCを含有する組成物であって、低pHを有する前記組成物に関する。より低いpHはより高い量のHを可能にし、該イオンは溶液中の抗体と非共有結合的に相互作用して、分子間相互作用によりオリゴマー種を形成する抗体の能力を阻害し、それによってRSAを低減させることができる。幾つかの実施形態において、前記組成物は約4.0~約4.5のpHを有する。本開示の一態様は、約4.0~約4.5のpHを有する組成物であって、ベタイン及びベンゾジアゼピンを含むADCを含有する組成物に関する。幾つかの実施形態において、前記ベタインはトリメチルグリシンである。本開示の別の態様は、pHが4.0~4.5であり、疎水性側鎖を有するアミノ酸及びベンゾジアゼピンを含むADCを含有する組成物に関する。幾つかの実施形態において、前記ベンゾジアゼピンは表1の化合物である。幾つかの実施形態において、前記ADCは表2のADCである。
【0098】
本開示の組成物は、例えば、それを必要とするヒトへの投与のような、医薬用途について許容され得るように製剤化される。幾つかの実施形態において、ADCは、生理学的に許容可能な担体(例えば、賦形剤または希釈剤)を含有する組成物に製剤化される。生理学的に許容可能な担体は周知で且つ容易に入手可能であり、緩衝剤、抗酸化剤、静菌剤、塩、及び当該組成物を患者の血液または他の体液と等張にする溶質、並びに水性及び非水性の滅菌懸濁液であって、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤(例えば、界面活性剤)、及び防腐剤を含有できるものが含まれる。担体の選択は、少なくとも部分的には、標的組織及び/または細胞の位置、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。ADC医薬製剤に使用するのに適した担体及び賦形剤の例は、例えば、国際(PCT)特許出願番号WO00/02587、WO02/060955、及びWO02/092127、並びに Ghetie et al., J. Immunol. Methods, 112, 267-277 (1988)に記載されている。
【0099】
医薬的に許容される緩衝剤は、開示される組成物との関連で使用され得る。幾つかの実施形態においては、コハク酸塩が、開示される組成物との関連で緩衝剤として使用され得る。他の実施形態においては、開示された組成物に関連してクエン酸塩を緩衝剤として使用することができる。幾つかの実施形態では、コハク酸塩またはクエン酸塩に加えて亜硫酸水素ナトリウムを使用することができる。前記開示された組成物と共に使用できる他の典型的な緩衝剤には、酢酸塩及びリン酸塩が含まれる。前記緩衝剤は、所望の条件下で前記組成物の十分な安定性が達成される限り、任意の適切な濃度で本開示の組成物中に存在してよい。この点に関して、前記組成物中の緩衝剤の濃度は、約2mM~約50mM(例えば、約2~10mM、約10~20mM、約20~30mM、約30~40mM、または約40~50mM)である。幾つかの実施形態において、前記組成物中の緩衝剤の濃度は約5~15mM(例えば、約10mM)である。幾つかの実施形態において、前記緩衝剤は、コハク酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムである。幾つかの実施形態において、前記緩衝剤はクエン酸ナトリウムである。前記緩衝剤は、典型的にはpHが所望の範囲内に維持されるように、前記開示された組成物中に存在する。
【0100】
本開示の組成物はまた、任意に界面活性剤を含む。任意の適切な界面活性剤を使用することができる。適切な界面活性剤は、当業者に周知である。幾つかの実施形態において、前記界面活性剤はポリソルベートである。幾つかの実施形態において、前記界面活性剤はポリソルベート20またはポリソルベート80である。前記界面活性剤は、所望の条件下で前記組成物の十分な安定性が達成される限り、任意の適切な濃度で本開示の組成物中に存在し得る。この点に関して、前記組成物中の界面活性剤の濃度は、前記組成物の全容積の約0.002%~約0.1%wt/vol(例えば、約0.002~0.01%、約0
.005~0.02%、または約0.01~0.1%wt/vol)である。幾つか実施形態において、前記組成物中の界面活性剤の濃度は前記組成物の全容積の、約0.005~0.02%wt/vol(例えば、約0.01%wt/vol)である。
【0101】
本開示の組成物は、糖の添加によって更に安定化され得る。幾つかの実施形態において、前記糖はスクロースまたはトレハロースである。幾つかの実施形態において、前記組成物中のスクロースまたはトレハロースの濃度は、前記組成物の全容積の約0.1%~約10%wt/vol(例えば、約0.1~1%、約2~5%、または約7~10%wt/vol)である。前記組成物はまた、更に増量剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、前記増量剤はマンニトールである。他の実施形態において、前記増量剤はグリシンである。
【0102】
本開示の組成物は、凍結乾燥することができる。凍結乾燥とは、真空下での凍結乾燥をいう。凍結乾燥は、典型的には、溶質が溶媒から分離されるように特定の製剤を凍結することによって達成される。次いで、昇華(即ち、一次乾燥)し、次に脱着(即ち、二次乾燥)することによって溶媒を除去する。本開示の組成物を凍結乾燥し、次いで再構成する場合、RSAは依然として低減または阻害される。従って、前記小さな疎水性分子は凍結乾燥の前に組成物に添加することができるが、低減または阻害されたRSAの利点は、凍結乾燥後に再構成される組成物においてなお実現される。
【0103】
凍結及び乾燥の際の組成物の分解を防ぐために、前記凍結乾燥組成物は任意に、更に凍結保護剤を含む。幾つかの実施形態において、前記凍結保護剤は非晶質の凍結防止剤である。本明細書で使用する「凍結保護剤」の用語は、凍結中に不安定な分子を保護する賦形剤を指す。本開示の組成物での使用に適した凍結防止剤は、当業者に知られており、例えばグリセロール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、グルコース、トレハロース及びスクロースが含まれる。幾つかの実施形態において、前記凍結防止剤はスクロースである。前記凍結保護剤は、凍結乾燥組成物中に任意の適切な量で存在し得る。幾つかの実施形態において、前記凍結乾燥組成物は、前記コンジュゲートのmg当たり約0.5mg~約5mg(例えば約0.5mg~約2mg)の凍結保護剤(例えば1mgの前記コンジュゲート当たり約0.8mgの凍結保護剤)を含有する。幾つかの実施形態において、前記凍結乾燥組成物は、1mgのコンジュゲート当たり約2mgの凍結保護剤を含有する。幾つかの実施形態において、前記凍結乾燥組成物は、1mgのコンジュゲート当たり約4mgの凍結保護剤を含有する。幾つかの実施形態において、前記凍結保護剤はスクロースであり、1mgの前記コンジュゲート当たり約0.5mg~約2mg(例えば約1mg)のスクロースを含有する。
【0104】
凍結乾燥方法は当該技術分野で周知であり、例えば、Wang, W., Int. J. Pharm., 203, 1-60 (2000)に記載されている。例えば、本開示の凍結乾燥組成物は、以下の工程を含む凍結サイクルを使用して製造することができる:(1)棚温度4℃及び周囲室内圧力で2.5時間の予備冷却、(2)-50℃の棚温度及び周囲室内圧力で14時間の凍結、(3)-20℃の棚温度及び周囲室内圧力で6時間のグリシン再結晶化、(4)-50℃の棚温度及び周囲室内圧力で16時間の再凍結、(5)-13℃の棚温度及び100mTorrの圧力で24時間の一次乾燥、(6)24℃の棚温度及び100mTorrの圧力で10時間の二次乾燥10時間、及び(7)24℃の棚温度及び周囲室内圧力での停止段階。しかし、本開示の凍結乾燥組成物は、上記の方法により製造された組成物に限定されない。実際、任意の適切な凍結乾燥方法を用いて、本開示の凍結乾燥組成物を生成することができ、選択された凍結乾燥パラメータ(例えば、乾燥時間)は、凍結乾燥すべき溶液の容積を含む種々の因子に応じて変化することが当業者には明らかであろう。
【0105】
本開示の組成物は、多くの理由で、先行技術の製剤よりも有利である。モノマーの量の増加は、効力の増加した組成物をもたらす。各組成物が1用量当たりでより大きな治療効果をもたらすので、効力が増加する。これは、被験体が必要とする投与の回数を低減させるので有利である。
【0106】
効力の増加に加えて、本開示の組成物はまた毒性を減少させ、それにより患者の安全性を改善する。本開示の組成物は、低下したRSAによって、標的部位により多くの細胞傷害性化合物を送達し、それにより非標的部位と相互作用する細胞傷害性化合物の量を低減させる。更に、RSAの低下は溶液の粘度を低下させ、それにより開示された組成物がシリンジのプランジャを詰まらせたり妨げたりする可能性が低いので、幾つかの投与様式の有効性が改善される。
【0107】
<治療の方法>
本開示はまた、被験体において癌を処置する方法であって、前記被験体に対して、(a)ベンゾジアゼピンを含む有効量のADCと、(b)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を含有する組成物を投与することを含み、前記ADCは1以上の細胞において細胞傷害性であり、それにより癌を治療する前記方法に向けられる。幾つかの実施形態において、前記組成物は約4.0~約4.5のpHを有する。ベンゾジアゼピン、小さな疎水性分子、賦形剤(例えば、緩衝剤、界面活性剤、糖類など)、及び本明細書に記載の他の成分を含む前記ADCの記載はまた、本治療方法に使用される組成物にも適用可能である。
【0108】
被験体に前記組成物を投与する任意の適切な手段を用いることができるが、幾つかの実施形態では、前記開示された組成物を注射によりヒトに投与する。幾つかの実施形態において、開示された組成物は輸液を介してヒトに投与される。本明細書で使用するとき、「注射」の用語は、開示された組成物をヒトの標的組織に強制的に導入することを言う。本明細書で使用するとき、用語「輸液」の用語は、ヒトの組織、例えば静脈内への開示された前記組成物の導入を指す。前記組成物は、任意の適切な経路によってヒトに投与することができる。幾つかの実施形態では、前記組成物をヒトの静脈内または腹腔内投与する。幾つかの実施形態において、前記投与は腫瘍内である。前記組成物が注射によって投与されるときは、任意の適切な注射装置を使用して組成物を投与することができる。例えば、一般的な医療用注射器は、組成物を皮下腫瘍に直接注射するために使用できる。或いは、開示された液体組成物中に腫瘍を浸すことによって、前記腫瘍に局所的に前記組成物を適用できる。同様に、任意の適切な送達装置(例えば、カテーテル)を使用して、開示された組成物を一定期間に亘って前記腫瘍に灌流することができる。前記組成物をヒトに送達するために、他の投与経路を使用できる。幾つかの経路は、他の経路よりも更に迅速かつ効果的な反応を提供できる。幾つかの実施形態において、前記組成物は、皮膚及び粘膜表面の群、並びにそれらの組み合わせの群から選択される被験体の表面に投与される。例えば、前記開示される組成物は、体腔内に適用または注入され、皮膚を介して吸収され、吸入され、または例えば筋肉内または動脈内投与を介して非経口的に投与されることができる。幾つかの実施形態において、ヒトに非経口投与された前記開示された組成物は、特定の細胞、例えば癌細胞に特異的にターゲッティングされる。
【0109】
<製剤化の方法>
本開示はまた、製剤化の方法であって、水溶液中にベンゾジアゼピンを含むADCを与えることと、前記ADCを含む水溶液に、疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を添加することを含む前記方法に向けられる。幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記水溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む。幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記溶液を凍結乾燥する工程を含む。幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記凍結乾燥された組成物
を再構成することを含む。
【0110】
前記方法の更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約30%~約40%低減させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約40%~約50%低減させる。一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約50%~約60%低減させる。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約60%~約70%低減させる。なお更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約70%~約80%低減させる。未だ更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約80%~約90%低減させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを約90%~100%低減させる。なお更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記水溶液中のRSAを消失させる。幾つかの実施形態において、前記RSAの量はマルチアングル光散乱によって測定される。幾つかの更なる実施形態において、前記RSAの量は動的光散乱によって測定される。
【0111】
幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記水溶液を凍結乾燥し、それにより凍結乾燥組成物を得ることを含む。特定の実施形態において、前記方法は、前記凍結乾燥組成物を再構成し、それにより再構成凍結乾燥組成物を作製することを含む。前記方法の更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約30%~約40%低減させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約40%~約50%低減させる。一定の実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約50%~約60%低減させる。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約60%~約70%低減させる。なお更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約60%~約70%低減させる。更なる実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約70%~約80%低下させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを約80%~約90%低減させる。特定の実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成された凍結乾燥組成物中のRSAを約90%~100%低減させる。幾つかの実施形態において、前記小さな疎水性分子の添加は、前記再構成凍結乾燥組成物中のRSAを消失させる。
【0112】
ベンゾジアゼピン、前記小さい疎水性分子、賦形剤(例えば、緩衝剤、界面活性剤、糖類など)、及び本明細書に記載の他の成分を含むADCの記載はまた、前記治療法に使用される組成物にも適用可能である。
【0113】
<RSAを低減させる方法>
本開示はまた、ベンゾジアゼピンを含むADCにおいてRSAを低下させる方法にも向けられる。一つの態様は、ベンゾジアゼピンを含むADCにおいてRSAを低減させる方法であって、ベンゾジアゼピンを含むADCを水溶液中に提供し、ここでの前記ADCはRSAを示すことと、前記水溶液に疎水性側鎖を有するベタイン及び及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を加え、ここでの前記小さな疎水性分子はRSAを低減または阻害することとを含む、前記方法に向けられる。幾つかの実施形態において、前記方法は更に、可逆的自己会合を検出することを含む。一定の実施形態において、前記方法は更に、前記水溶液を凍結乾燥することを含む。更なる実施形態において、前記方法は更に、前記凍結乾燥組成物を再構成することを含む。
【0114】
幾つかの実施形態では、前記開示された組成物においてRSAが消失される。幾つかの
実施形態では、開示される組成物においてRSAは約90%~100%減少する。一定の実施形態では、開示される組成物においてRSAは約80%~約90%減少する。幾つかの実施形態では、開示される組成物においてRSAは約70%~約80%減少する。更なる実施形態では、開示される組成物においてRSAは約60%~約70%減少する。更に別の実施形態では、開示される組成物においてRSAは約50%~約60%減少する。更に別の実施形態では、開示される組成物においてRSAは約40%~約50%減少する。幾つかの実施形態では、開示される組成物においてRSAは約30%~約40%減少する。幾つかの実施形態において、前記方法は更に、前記溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む。
【0115】
ベンゾジアゼピン、小さな疎水性分子、賦形剤(例えば、緩衝剤、界面活性剤、糖類など)、及び本明細書に記載される他の成分を含むADCの記載はまた、RSAを低減する方法において使用される組成物にも適用可能である。
【実施例
【0116】
実施例1:RSAの検査
この実施例は、インドリノベンゾジアゼピンADC、huMy9-6-DGN462における可逆的自己会合の程度を評価するための技術として、動的光散乱及び沈降速度分析用超遠心分離の使用を実証する。
【0117】
動的光散乱は、一定の散乱角で溶液中のタンパク質または抗体から散乱される光の強度の時間依存的変動を測定する。タンパク質または抗体またはADC分子がブラウン運動を起こすに伴って、それらの相対位置は時間と共に変化する。急速に拡散する小分子は、急速に変動するシグナルを生成するが、より大きなタンパク質及び抗体は、より遅いシグナル変動を生じる。並進拡散係数Dは、強度における時間依存的変動の強度自己相関関数に関係する。流体力学的直径は、ストークス・アインシュタインの関係を用いて決定することができる[d=Κτ/3πηD、ここでのdhは流体力学的直径であり、KTはボルツマン定数であり、ηは粘度であり、Dは並進拡散係数でである]。散乱強度データは、DLS機器ソフトウェアを用いて処理されて、散乱分子、即ち、タンパク質または抗体検体の並進拡散係数及びサイズ分布の値が決定される。
【0118】
全てのタンパク質は、天然状態と非天然状態との間の変動で生じる部分的アンフォールディングに由来する疎水性パッチの露出の結果として、静止保存中にある程度凝集する。これらの凝集体は、pHまたは希釈度の変化に伴って解離することはなく、解離させるためにはグアニジンまたは尿素等のカオトロープ剤の導入を必要とする。動的光散乱技術によって調べると、少量の凝集タンパク質を含有する溶液は、純粋な単量体タンパク質の溶液と実質的に異なっては見えない。即ち、流体力学的直径及び拡散係数は、濃度のような溶液特性にかかわらず比較的一定のままである。
【0119】
しかしながら、希釈などの溶液特性の変化が会合状態の変化をもたらし得る(即ち、自己会合を崩壊させる)可逆的自己会合の場合、DLSを使用して、所定の濃度についての独特な拡散係数を測定することができる。タンパク質または抗体濃度に対する並進拡散係数のプロットは、傾きm及びy切片bを有する最良適合線をもたらす。傾きmが正の線は、タンパク質または抗体の正味の反発相互作用を示し、負の傾きは正味の引力相互作用を示す。これは図1に見ることができる。
【0120】
沈降速度分析用超遠心分離(SV-AUC)は、遠心分離機内で発生する遠心力に応答して溶液中の分子が移動する速度を測定する。SV-AUCでは、試料を非常に高速で回転させ(42~60krpm)、濃度勾配の発生をUV吸収光学系によってモニターする。高い遠心力は、タンパク質または抗体をロータの中心から急速に枯渇させ、経時的にロ
ータの外側に向けて移動する境界を形成する。この境界が移動する速度は沈降係数の尺度であり、一般に式s=m/6πηrで表される分子量及び分子形状に関係し、ここでのmは分子量、ηは粘度、rは粒子の半径である。これらのデータから、サンプル中の様々な大きさの成分の分布を測定することができる。
【0121】
境界が移動する速度は、分子の沈降の反対方向に作用する拡散力及び摩擦力にも依存する。沈降境界の最小幅は拡散係数に関連している。類似した沈降係数を有する幾つかの種が存在すると、境界が予想よりも広くなる。
【0122】
可逆的に自己会合する分子の場合、沈降境界は、沈降の時間スケールに亘って安定なより高次のオリゴマーの存在に起因して予想よりも広い。これは、測定された沈降係数の分子について予想されるよりも、遥かに速い拡散として現れる。これを説明するために、摩擦比f/f[ここで、fはタンパク質または抗体の摩擦係数であり、fは半径rの硬い球体の摩擦係数である]から推測される分子の形状は、より球形になるように計算される。球形よりも伸長された可逆的に自己会合する抗体の場合、摩擦比は非会合抗体(約1.5)よりもかなり小さい(約1)。
【0123】
可逆的に自己会合する分子の場合、試料中の成分分布の濃度依存的尺度も存在する。SV-AUCでは、連続的に希釈された一組のサンプルのセットが実行されると、成分の相対的な比率及び測定された沈降係数が変化する。溶液がより希釈されるにつれて、沈降係数は期待値に近づき始める。抗体の場合、これは約6.5sである。これは、図2A及び図2Bに見ることができる。
【0124】
実施例2a:RSAに対する薬物負荷の影響
この実施例は、インドリノベンゾジアゼピンADCにおける可逆的自己会合の程度に対する薬物負荷(DAR)の影響を実証する。DARは、抗体に結合したインドリノベンゾジアゼピン分子の平均を表す。
【0125】
4-(2-ピリジニルジチオ)-2-スルホ-,1-(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)ブタン酸エステル(sSPDB)リンカーを介してインドリノベンゾジアゼピンDGN462と化学的に結合したhuMy-9-6モノクローナル抗体を含むコンジュゲート(このADCは「huMy9-6-sSPDB-DGN462」と呼ばれる)は、本明細書に記載され且つ当該技術で既知の方法を使用して調製され(本明細書の一部として援用する、例えば米国特許第8,889,669号を参照されたい)、1.8、2.4及び2.8の薬物対抗体比(DAR)を生じさせた。薬物負荷は異なるが、同じ抗体濃度(約2mg/mL)を有するhuMy9-6-sSPDB-DGN462コンジュゲートを、20mMヒスチジン、8%トレハロース、0.02%ポリソルベート20、pH6.1中において製剤化した。
【0126】
図3から分かるように、より低い薬物負荷を有する組成物は、より高い薬物負荷を有する組成物よりも小さい流体力学的直径を有し、各抗体に結合したインドリノベンゾジアゼピン部分の間に分子間相互作用があることを示唆する。
【0127】
実施例2b:RSAが減少した組成物
この実施例は、インドリのベンゾジアゼピン(DGN462)に化学的に結合された抗体、緩衝剤、界面活性剤、疎水性アミノ酸、糖、及び水を含有した、可逆的自己会合を低減または阻害する組成物の製造を実証するものである。
【0128】
4-(2-ピリジニルジチオ)-2-スルホ-,1-(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)ブタン酸エステル(sSPDB)リンカーを介して、インドリノベンゾジアゼピ
ンDGN462と化学的に結合されたhuMy-9-6モノクローナル抗体を含むコンジュゲート(ADCは「huMy9-6-sSPDB-DGN462」と呼ばれる)を、本明細書に記載の方法及び当技術分野で既知の方法(例えば、米国特許第8,889,669号参照)を用いて調製した。huMy9-6-sSPDB-DGN462コンジュゲートを、次のようにして製剤化した:(a)0.2mg/mLのADC、20mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH6.1、(b)0.2mg/mLのADC、10mMのコハク酸塩、8%のトレハロース、pH4.2、(c)0.5mg/mLのADC、10mMのコハク酸ナトリウム、280mMのベタイン、pH4.2、(d)0.5mg/mLのADC、10mMのコハク酸ナトリウム、280mMのプロリン、pH4.2。可逆的自己会合に対する製剤のpH及び賦形剤の効果を実証する、動的光散乱の分析結果を図4に示す。図4に示すように、プロリン及びベタインを含む製剤は最も小さい負の傾きを有し、他の製剤と比較したときに、正味の引力相互作用の量がより少ないことを示す。10mMのコハク酸塩、280mMのプロリン製剤についてのSV-AUCの結果を図5に示す。この結果は、コハク酸/プロリンまたはコハク酸/ベタイン製剤が、RSAを低下させるために、トレハロース/ヒスチジンpH6.1製剤より優れていることを示している。
【0129】
これらの実験は、本開示の前記組成物における驚くほど減少したRSAを示している。
実施例3a:RSAが減少した製剤:プロリンとのAbX-D2コンジュゲート
この実施例は、インドリノベンゾジアゼピンD2に化学的に結合した抗体を含むコンジュゲート、緩衝剤、界面活性剤、疎水性アミノ酸、糖及び水を含有する、可逆的自己会合を減少または消失させるための組成物の製造を示す。
【0130】
インドリノベンゾジアゼピンD2に化学的に結合したモノクローナル抗体AbXを含むコンジュゲート(本明細書では「AbX-D2」と称する)は、本明細書及び米国特許出願番号14/843,520(その全部を本明細書の一部として援用する)に記載の方法を用いて調製される。AbX-D2コンジュゲートを含む組成物は、以下のように処方される:(a)20mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH6.1、(b)10mMの酢酸塩、8%のトレハロース、pH4.2、(c)10mMのコハク酸ナトリウム、280mMのプロリンまたは280mMのベタイン、pH4.2、(d)10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、及び場合により0.02%のポリソルベート、pH4.2。各組成物について、2~200μMの亜硫酸水素塩もまた含まれてよい。
【0131】
実施例3b:RSAが減少した製剤:ロイシンを用いたhuMoyl9-sSPDB-D1コンジュゲート
この実施例は、インドリノベンゾジアゼピンD3に化学的に結合された抗体を含むコンジュゲート、緩衝剤、界面活性剤、疎水性アミノ酸、糖、及び水を含有した、可逆的自己会合を減少または消失させるための組成物の製造を示す。
【0132】
インドリノベンゾジアゼピンD1に化学的に結合されたhuMov19モノクローナル抗体を含むコンジュゲート(本明細書では「huMov19-sSPDB-D1」と称する)は、本明細書に記載の方法を用いて調製される(例えば、米国特許出願番号14/843,604参照)。huMov19-sSPDB-D1コンジュゲートを含む組成物は、以下のように処方される:(a)20mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH6.1、(b)10mMの酢酸塩、8%のトレハロース、pH4.2、(c)10mMのコハク酸ナトリウム、125mMのロイシン、pH4.2、(d)10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、及び場合により0.02%のポリソルベート、pH4.2。
【0133】
実施例3c:RSAが減少した製剤:イソロイシンを用いたhuMoyl9-sSPDB-D4コンジュゲート
この実施例は、インドリノベンゾジアゼピンD4に化学的に結合した抗体を含むコンジュゲート、緩衝剤、界面活性剤、疎水性アミノ酸、糖及び水を含有した、可逆的自己会合を減少または消失させるための組成物の製造を示す。
【0134】
インドリノベンゾジアゼピンD4に化学的に結合したhuMov19モノクローナル抗体を含むコンジュゲート(本明細書では「huMov19-sSPDB-D4」と称する)は、本明細書に記載の方法を用いて調製される(例えば、米国特許出願番号14/843520参照)。huMov19-sSPDB-D4コンジュゲートを含有する組成物は、以下のように処方される:(a)20mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH6.1、(b)10mMの酢酸塩、8%のトレハロース、pH4.2、(c)10mMのコハク酸ナトリウム、125mMのイソロイシン、pH4.2、(d)10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、及び場合により0.02%のポリソルベート(pH4.2)。
【0135】
実施例4:D1を製造する方法
【0136】
【化1】
【0137】
化合物1a:無水ジメチルホルムアミド(16.48mL)及び無水テトラヒドロフラン(16.48mL)中の(5-アミノ-1,3-フェニレン)ジメタノール(1.01g、6.59mmol)の撹拌溶液に、4-メチル-4-(メチルジスルファニル)ペンタン酸(1.281g、6.59mmol)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.53g、13.19mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.081g、0.659mmol)を加えた。得られた混合物を室温で18時間撹拌した。反応物を飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。この有機抽出物を水及びブラインで洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。この溶液を濾過し、減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、化合物Iaを白色固体として得た(0.70g、収率32%)。H NMR(400MHz,DMSO-d6:δ9.
90(s, 1H), 7.43(s, 2H), 6.93(s, 1H), 5.16(t, 2H, J=5.7Hz), 4.44(d, 4H, J=5.7Hz), 2.43(s, 3H), 2.41-2.38(m, 2H), 1.92-1.88(m, 2H)
, 1.29(s, 6H).MS(m/z), 実測値330.0(M+1)
【0138】
【化2】
【0139】
化合物1b:無水ジクロロメタン(6.65mL)中の化合物Ia(219mg、0.665mmol)の冷却(-10℃)溶液に、トリエチルアミン(463μL、3.32mmol)を加え、続いて無水メタンスルホン酸(298mg、1.662mmol)を滴加した。この混合物を-10℃で2時間撹拌し、次いで混合物を氷水でクエンチし、冷酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。この有機抽出物を氷水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗製ジメシレートを得た。
【0140】
前記粗製ジメシレート(227mg、0.467mmol)及びIGNモノマーA(303mg、1.028mmol)を、無水DMF(3.11mL)中に溶解した。炭酸カリウム(161mg、1.169mmol)を加え、混合物を室温で18時間撹拌した。脱イオン水を加え、得られた沈殿物を濾過し、水で濯いだ。固体をジクロロメタンに再溶解し、水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール/ジクロロメタン)で精製して、化合物1b(227mg、収率36%)を得た。MS(m/z)、実測値882.5(M+1)
【0141】
【化3】
【0142】
化合物1c:化合物1b(227mg、0.167mmol)の無水1,2-ジクロロエタン(3.346mL)中の懸濁液に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(STAB)(37.3mg、0.167mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチした。この混合物をジクロロメタンで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製残渣をRP-HPLC(C18、水/アセトニトリル)により精製した。所望の生成物を含む画分をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物1cを得た(35mg、19%収率)。MS(m/z)、実測値884.3(M+1)
【0143】
【化4】
【0144】
化合物1d:アセトニトリル(921μL)及びメタノール(658μL)中の化合物1c(18mg、0.017mmol)の溶液に、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)(17.51mg、0.060mmol)を加え、リン酸ナトリウム緩衝液(132μL、0.75M、pH6.5)中の飽和炭酸水素ナトリウム溶液(0.2mL)で中和した。この混合物を室温で3.5時間撹拌し、次いで、ジクロロメタン及び脱イオン水で希釈した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗製チオールを得た。MS(m/z)、実測値838.3(M+1)
【0145】
工程5からの粗製チオール(15.5mg、0.018mmol)を、2-プロパノール(1.23mL)に溶解した。脱イオン水(617μL)及び亜硫酸水素ナトリウム(5.77mg、0.055mmol)を加え、混合物を室温で5時間撹拌した。反応物をアセトン/ドライアイス浴中で凍結し、凍結乾燥させ、RP-HPLC(C18、脱イオン水/アセトニトリル)によって精製した。所望の生成物を含有する画分を凍結し、凍結乾燥して、化合物(12S,12aS)-9-((3-(4-メルカプト-4-メチルペンタンアミド)-5-((((R)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)ベンジル)オキシ)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-12-スルホン酸(化合物1d、本明細書ではD1とも称する)を得た(6.6mg、収率39%)。MS(m/z)、実測値918.2(M-1)
【0146】
実施例5:huMOV19-スルホ-SPDB-1dの調製
50mMのHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)pH8.5緩衝液、及び15%v/vのDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)共溶媒中に、リンカーによる2.0mg/mLのhuMOV19抗体及び6モル当量のスルホ-SSPDB-1dのインサイチュー混合物を含有する反応物を、25℃で6時間コンジュゲートさせた。前記インサイチュー混合物は、10mMのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下に、1.5mMのスルホ-SPDBリンカーを100%DMA中の1.95mMの化合物1dと4時間反応させることにより調製した。次いで、3倍過剰量のマレイミド-プロピオン酸を添加することにより、遊離のチオールをキャップした。
【0147】
反応後、コンジュゲートを精製し、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G-25 DNA Grade, GE Healthcare)を用いて、緩衝液を、100mMのアルギニン、20mMのヒスチジン、2%のスクロース、0.01%のTween-20,50μMの亜硫酸水素ナトリウム処方の緩衝液pH6.1に交換した。透析はSlide-a-Lyzer透析カセット(ThermoScientific 20,000 MWCO)を用い、4℃で20時間、同じ緩衝液中で行った。
【0148】
前記精製されたコンジュゲートは、抗体当たり平均2.5分子の結合された化合物1d(モル吸光係数は、化合物1dについてはε330nm=15,280cm-1-1及びε280nm=30,115cm-1-1、並びにhuMOV19抗体についてはε280nm=201,400cm-1-1を使用したUV-Visによる)、95%モノマー(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、<0.1%の非コンジュゲート化合物1d(アセトン沈殿、逆相HPLC分析による)、及び1.8mg/mLの最終タンパク質濃度を有することが分かった。前記コンジュゲートされた抗体は、>80%完全な形であることがゲルチップ分析により判明した。
【0149】
実施例6:D2を製造する方法
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 6-(((S)-1-(((S)-1-((3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((R)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキサノエート(化合物90、本明細書ではD2とも呼ぶ)の合成
【0150】
【化5】
【0151】
工程1:(S)-2-(((ベンジルオキシ)カルボニル)アミノ)プロパン酸(5g、22.40mmol)及び(S)-tert-ブチル 2-アミノプロパノエート塩酸塩(4.48g、24.64mmol)を、無水DMF(44.8mL)中に溶解した。EDC・HCl(4.72g, 24.64mmol)、HOBt(3.43g、22.
40mmol)、及びDIPEA(9.75mL、56.0mmol)を加えた。この反応物を、アルゴン下において、室温で一晩攪拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで飽和塩化アンモニウム、飽和炭酸水素ナトリウム、水及びブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗製油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して化合物81を得た(6.7g、収率85%)。H NMR(400MHz, CDCl):δ 7.38-7.31(m, 5H), 6.53-6.42(m, 1H), 5.42-5.33(m, 1H), 5.14
(s, 2H), 4.48-4.41(m, 1H), 4.32-4.20(m, 1H
), 1.49(s, 9H), 1.42(d, 3H, J=6.8Hz), 1.38(d, 3H, J=7.2Hz).
【0152】
【化6】
【0153】
工程2:化合物81(6.7g、19.12mmol)をメタノール(60.7mL)及び水(3.03mL)中に溶解した。溶液をアルゴンで5分間パージした。炭素上のパラジウム(湿潤、10%)(1.017g、0.956mmol)を徐々に加えた。反応物を水素雰囲気下で一晩撹拌した。この溶液を、セライトを通して濾過し、メタノールで
濯ぎ、濃縮した。それをメタノール及びアセトニトリルと共沸させ、得られた油状物を高真空下に直接置いて化合物82(4.02g、収率97%)を得、これを次の工程で直接使用した。H NMR(400MHz, CDCl):δ 7.78-7.63(m, 1H), 4.49-4.42(m, 1H), 3.55-3.50(m, 1H), 1
.73(s, 2H), 1.48(s, 9H), 1.39(d, 3H, J=7.2Hz), 1.36(d, 3H, J=6.8Hz).
【0154】
【化7】
【0155】
工程3:化合物82(4.02g、18.59mmol)及びアジピン酸モノメチル(3.03mL、20.45mmol)を、無水DMF(62.0mL)中に溶解した。EDC・HCl(3.92g、20.45mmol)、HOBt(2.85g、18.59mmol)及びDIPEA(6.49mL、37.2mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をジクロロメタン/メタノール(150mL、5:1)で希釈し、飽和塩化アンモニウム、飽和炭酸水素ナトリウム及びブラインで洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ストリッピングした。この化合物をアセトニトリル(5×)と共沸させ、次いで35℃で高真空下にポンプ輸送して、化合物83を得た(6.66g、収率100%)。この粗製物質を精製することなく次の工程に用いた。
NMR(400MHz, CDCl):δ 6.75(d, 1H, J=6.8Hz)
, 6.44(d, 1H, J=6.8Hz), 4.52-4.44(m, 1H), 4.43-4.36(m, 1H), 3.65(s, 3H), 2.35-2.29(m,
2H), 2.25-2.18(m, 2H), 1.71-1.60(m, 4H), 1.45(s, 9H), 1.36(t, 6H, J=6.0Hz).
【0156】
【化8】
【0157】
工程4:化合物83(5.91g、16.5mmol)を、TFA(28.6mL、372mmol)及び脱イオン水(1.5mL)中において室温で3時間攪拌した。反応混合物をアセトニトリルで濃縮し、高真空下に置いて、粗製化合物84を粘着性固体として得た(5.88g、収率100%)。H NMR(400MHz, CDCl):δ
7.21(d, 1H, J=6.8Hz), 6.81(d, 1H, J=7.6Hz)
, 4.69-4.60(m, 1H), 4.59-4.51(m, 1H), 3.69
(s, 3H), 2.40-2.33(m, 2H), 2.31-2.24(m, 2H
), 1.72-1.63(m, 4H), 1.51-1.45(m, 3H), 1.4
2-1.37(m, 3H).
【0158】
【化9】
【0159】
工程5:化合物84(5.6g、18.52mmol)を無水ジクロロメタン(118mL)及び無水メタノール(58.8mL)中に溶解した。(5-アミノ-1,3-フェニレン)ジメタノール(2.70g、17.64mmol)及びEEDQ(8.72g、35.3mmol)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、酢酸エチルを加えた。得られたスラリーを濾過し、酢酸エチルで洗浄し、真空/N下で乾燥して化合物85を得た(2.79g、収率36%)。H NMR(400MHz, DMSO-d6):δ 9.82(s, 1H), 8.05(d, 1H, J=9.2Hz), 8.01(d, 1H, J=7.2Hz), 7.46(s, 2H), 6.95(3, 1H), 5.21-5.12(m, 2H), 4.47-4.42(m, 4H), 4.40
-4.33(m, 1H), 4.33-4.24(m, 1H), 3.58(s, 3H
), 2.33-2.26(m, 2H), 2.16-2.09(m, 2H), 1.5
4-1.46(m, 4H), 1.30(d, 3H, J=7.2Hz), 1.22(
d, 3H, J=4.4Hz).
【0160】
【化10】
【0161】
工程6:化合物85(0.52g、1.189mmol)及び四臭化炭素(1.183g、3.57mmol)を、無水DMF(11.89mL)中に溶解した。トリフェニルホスフィン(PPH3)(0.935g、3.57mmol)を加え、反応物をアルゴン下で4時間撹拌した。この反応混合物をDCM/MeOH(10:1)で希釈し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。この粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)により精製し、化合物86を得た(262mg、収率39%)。H NMR(400MHz, DMSO-d6):δ 10.0
1(s, 1H), 8.11(d, 1H, J=6.8Hz), 8.03(d, 1H,
J=6.8Hz), 7.67(s, 2H), 7.21(s, 1H), 4.70-4.64(m, 4H), 4.40-4.32(m, 1H), 4.31-4.23(m,
1H), 3.58(s, 3H), 2.34-2.26(m, 2H), 2.18-2.10(m, 2H), 1.55-1.45(m, 4H), 1.31(d, 3H, J=7.2Hz), 1.21(d, 3H, J=7.2Hz).
【0162】
【化11】
【0163】
工程7:二臭化物化合物86及びIGNモノマー化合物10を、DMF(1.84mL)中に溶解した。炭酸カリウムを加え、室温で一晩撹拌した。水を反応混合物に加えて生成物を沈殿させた。スラリーを室温で撹拌し、次いで濾過し、真空/N下で乾燥させた。この粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)で精製して、化合物87(336mg、収率74%)を得た。LCMS=5.91分(15分法)。MS(m/z):990.6(M+1)
【0164】
【化12】
【0165】
工程8:ジイミン化合物87を、1,2-ジクロロエタン中に溶解した。NaBH(OAc)(STAB)を反応混合物に加え、室温で1時間撹拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和水性NHCl溶液でクエンチした。層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗製物質をRPHPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)で精製して、化合物88を得た(85.5mg、収率25%)。LCMS=6.64分(15分法)。MS(m/z):992.6(M+1)
【0166】
【化13】
【0167】
工程9:メチルエステル化合物88を、1,2-ジクロロエタン中に溶解した。トリメチルスタンナノールを反応混合物に加え、80℃で一晩加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈した。水層を1MのHClでpHを約4に酸性化した。混合物をCHCl/MeOH(10:1,3×20mL)で抽出した。合せた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮した。粗製物質をシリカプラグに通して、化合物89を得た(48.8mg、収率80%)。LCMS=5.89分(15分法)。MS(m/z):978.6(M+1)
【0168】
【化14】
【0169】
工程10:CHCl中の酸化合物89及びN-ヒドロキシスクシンアミドの撹拌溶液に、室温でEDC・HClを添加した。反応混合物を2時間撹拌した。この反応混合物をCHClで希釈し、水及びブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ
、濾過し、濃縮した。粗製物質をRPHPLC(C18カラム、アセトニトリル/水)により精製して、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル6-(((S)-1-(((S)-1-((3-((((S)-8-メトキシ-6-オキソ-11,12,12a,13-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)-5-((((R)-8-メトキシ-6-オキソ-12a,13-ジヒドロ-6H-ベンゾ[5,6][1,4]ジアゼピノ[1,2-a]インドール-9-イル)オキシ)メチル)フェニル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-6-オキソヘキサノエート、化合物90を得た(8.2mg、収率30%)。LCMS=6.64分(15分法)。MS(m/z):1075.4(M+1)
【0170】
実施例7:huMOV19-90の調製
2.0mg/mLのhuMOV19抗体及び3.9モル当量の化合物90を含む反応物(95:5DMA:50mMコハク酸塩pH5.5中において25℃で4時間、5倍過剰の亜硫酸水素ナトリウムで前処理したもの)を、15mMのHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)pH8.5の緩衝液及び15%v/vのDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)共溶媒中において、25℃で4時間インキュベートした。反応後、前記コンジュゲートを精製し、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G-25 DNA Grade, GE Healthcare)を用いて、10mMのコハク酸塩、50mMの塩化ナトリウム、8.5%w/vのスクロース、0.01%のTween-20、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、pH6.2処方の緩衝液に交換した。透析は、同じ緩衝液中において、室温で4時間、次にSlide-a-Lyzer透析カセット(ThermoScientific 30,000MWCO)を用いて4℃で一晩行った。
【0171】
精製されたコンジュゲートは、1.8mg/mLの最終タンパク質濃度、並びに抗体当たり平均2.7分子の結合した化合物90(モル吸光係数は、化合物90についてε330nm=15,280cm-1-1及びε280nm=30,115cm-1-1、並びにhuMOV19抗体についてε280nm=201,400cm-1-1を使用するUV-Visによる)、98.3%のモノマー(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、及び<1.1%の非コンジュゲート化合物90(アセトン沈殿、逆相HPLC分析による)を有することが分かった。MSスペクトル分析データは図6に示されている。DAR0は、非コンジュゲート抗体、即ち、ベンゾジアゼピンがそれにコンジュゲートしていない抗体を表す。DAR6は、6個のベンゾジアゼピンがそれに結合した抗体を表す。中央におけるピークは、左から右に、DAR1、DAR2、DAR3、DAR4、及びDAR5に対応する。
【0172】
実施例8.本明細書でD4とも呼ばれる化合物107の合成
【0173】
【化15】
【0174】
工程1:化合物82(500mg、2.31mmol)、4-メチル-4-(メチルジスルファニル)ペンタン酸(449mg、2.31mmol)、EDC・HCl(465mg、2.43mmol)、HOBt(354mg、2.31mmol)及びDIPEA(0.81mL、4.62mmol)をDMF(7.7mL)中に溶解し、反応が完了するまで一晩攪拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム、飽和塩化
アンモニウムで洗浄し、水で2回洗浄した。有機物を乾燥させ、真空中で濃縮して化合物100(875mg、収率96%)を得、これを次の工程で直接使用した。H NMR
(400MHz, DMSO):δ 8.15(d, 1H, J=6.8Hz), 8.0
2(d, 1H, J=6.8Hz), 4.26-4.33(m, 1H), 4.03-
4.12(m, 1H), 2.41(s, 3H), 2.18-2.22(m, 2H)
, 1.76-1.80(m, 2H), 1.39(s, 9H), 1.24(s, 6H), 1.24(d, 3H, J=7.2Hz), 1.19(d, 3H, J=7.2Hz).
【0175】
【化16】
【0176】
工程2:無溶媒の化合物100(875mg、2.23mmol)にTFA(2.6ml)及び水(0.17ml)を加え、室温で反応が完了するまで撹拌した。反応物を希釈し、アセトニトリルと共沸させて粘着性油状物を得た。次いで、これをアセトニトリル及び水で希釈し、凍結及び凍結乾燥して、化合物101(1g、収率100%)を灰白色固体として得、これを更に精製することなく使用した。LCMS=3.99分(8分法)。MS(m/z):337.0(M+1)
【0177】
【化17】
【0178】
工程3:化合物101(923mg、1.65mmol)及び(5-アミノ-1,3-フェニレン)ジメタノール(240mg、1.57mmol)を、DMF(5.2ml)に溶解した。EDC・HCl(601mg、3.13mmol)及びDMAP(96mg、0.78mmol)を室温で加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応物を酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄した。有機層を乾燥させ、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH)で精製して、化合物102(150mg、収率20%)を得た。LCMS=3.91分(8分法)。MS(m/z):472.2(M+1)H NMR(400MHz, MeOD):δ 9.69(s, 1H), 8.21(d
, 1H, J=6.8Hz), 8.18(d, 1H, J=6.8Hz), 7.52(s, 2H), 7.12(s, 1H), 4.58(s, 4H), 4.44-4.48(m, 1H), 4.29-4.32(m, 1H), 3.34(s, 2H), 2.38(s, 3H), 2.34-2.40(m, 2H), 1.90-1.95(m, 2
H), 1.43(d, 3H, J=7.2Hz), 1.36(d, 3H, J=7.2Hz), 1.30(s, 6H).
【0179】
【化18】
【0180】
工程4:化合物102を無水DCMに懸濁させた。溶液が均質になるまで無水DMFを加えた。この溶液をアセトン/ドライアイス浴中で-10℃に冷却した。トリエチルアミンを加え、続いて無水メタンスルホン酸を加えた。この混合物を-10℃で1時間撹拌した。反応物を氷水でクエンチし、冷酢酸エチル/メタノール(20:1)で抽出した。有機層を氷水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗製物質を高真空下で乾燥させて化合物103(174mg、収率101%)を得、これを更に精製することなく次の工程で直接使用した。LCMS=4.95分(8分法)。
【0181】
【化19】
【0182】
工程5:ジメシレート化合物103(435mg、1.11mmol)をDMFに溶解した。IGN単量体化合物10を添加し、続いてKCOを添加し、Ar下に室温で一晩撹拌した。水を加えて生成物を沈殿させた。スラリーを5分間撹拌し、濾過し、真空/N下で乾燥させた。粗製の固体は化合物104(203mg、収率44%、純度60%)を含み、それ以上精製することなく使用した。LCMS=5.68分(8分法)。MS(m/z):1024.3(M+1)
【0183】
【化20】
【0184】
工程6:ジイミン化合物104を1,2-ジクロロエタン中に溶解した。NaBH(OAc)を反応混合物に加え、室温で撹拌した。反応物をCHClで希釈し、飽和NHCl水溶液(15mL)でクエンチした。層を分離し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗製残渣をRPHPLC(C18カラム、CHCN/HO、勾配、50%~65%)により精製して、モノイミン化合物105を固体として得た(22mg、収率16%、純度90%)。LCMS=6.00分(8分法)。MS(m/z):1027.3(M+1)
【0185】
【化21】
【0186】
工程7:化合物106を、THF(0.5mL)及びACN(0.23mL)中に室温で溶解した。次いで、それを実施例9の化合物98と同様にして調製した。混合物を完了するまで撹拌し、次いでDCM及び脱イオン水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、
乾燥させ、濾過した。濾液を濃縮して粗製チオール化合物106(21mg、100%収率)を得、これを次の反応に直接使用した。LCMS=5.67分(8分法)。MS(m/z):980.4(M+1)
【0187】
【化22】
【0188】
工程8:化合物106(21mg、0.021mmol)を、2-プロパノール(1428μl)及び水(714μl)中に懸濁させた。メタ亜硫酸水素ナトリウム(22.30mg、0.214mmol)を加え、反応が完結するまで室温で撹拌した。この反応混合物をアセトニトリル/水で希釈し、凍結し、凍結乾燥した。得られた白色粉末を
RPHPLC(C18カラム、CHCN/HO、勾配、20%~40%)で精製し、所望の画分を集め、凍結乾燥して化合物107を得た(5.3mg、収率23%)。LCMS=5.67分(8分法)。MS(m/z):1060.2(M-1)
【0189】
実施例9.huMOV19-スルホ-SPDB-107(またはhuMOV19-107)コンジュゲート
コハク酸緩衝液(pH5):DMA(30:70)中に、1.95mMの化合物107及び1.5mMのスルホ-SPDBリンカーの最終濃度を含有するインサイチュー混合物を6時間インキュベートした後、15mMのHEPES、pH8.5(87:13、水:DMA)中に4mg/mLのhuMOV19抗体を含む反応物に、7倍過剰量の107-スルホ-SPDB-NHSを添加した。溶液を25℃で一晩コンジュゲートさせた。
【0190】
反応後、NAP脱塩カラム(Illustra Sephadex G-25、DNA等級、GEヘルスケア)を用いてコンジュゲートを精製し、緩衝液を10mMのTris、80mMのNaCl、50μMの銃亜硫酸塩、3.5%のスクロース、0.01%Tween-20処方の緩衝液pH7.6に交換した。透析は、Slide-a-Lyzer透析カセット(ThermoScientific 10,000MWCO)を用い、同じ緩衝液中において4℃で一晩行った。
【0191】
精製されたコンジュゲートは、抗体当たり平均2.7分子の結合した化合物107(化合物107についてはε330nm=15,484cm-1-1及びε280nm=30,115cm-1-1、並びにhuMOV19抗体についてはε280nm=201,400cm-1-1のモル吸光係数を使用したUV-Vis及びSECによる)、95%モノマー(サイズ排除クロマトグラフィーによる)、及び1.1mg/mLの最終タンパク質濃度を有することが分かった。MSスペクトル分析データは図7に示されている。DAR0は、非コンジュゲート抗体、即ち、ベンゾジアゼピンがそれにコンジュゲートしていない抗体を表す。DAR5は、5個のベンゾジアゼピンがそれに結合した抗体を表す。中央におけるピークは、左から右に、DAR1、DAR2、DAR3、及びDAR4に対応する。
【0192】
実施例10.低pHのコハク酸緩衝液によるRSAの減少
この実施例は、可逆的自己会合を低減、阻害または消失させる組成物の製造であって、前記組成物は、インドリノベンゾジアゼピンに化学的に結合された操作されたシステイン(例えば、非システインアミノ酸の代わりに抗体重鎖または軽鎖に導入された非天然シス
テイン)を備えた抗体を含むコンジュゲート、緩衝液、界面活性剤、砂糖、及び水を含有する前記組成物の製造を実証する。
【0193】
操作されたシステインを介してインドリノベンゾジアゼピンD2(a)に化学的に結合された、AbXモノクローナル抗体を含むコンジュゲートを製造した。前記コンジュゲートは、(a)10mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.01%のポリソルベート20、pH5.5、または(b)10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、0.01%のポリソルベート20、pH4.2として処方された。
【0194】
図8に示すように、pH4.2におけるコハク酸塩及びトレハロースの組み合わせ(処方(b))は、ヒスチジン及びトレハロースの組み合わせ(処方(a))と比較した時に、DLSにより測定される可逆的自己会合のより大きな減少を示した。
【0195】
これらの結果は、pH4.2のようなより低いpH範囲において、可逆的自己会合を低減、阻害または消失させる本明細書に開示した組成物の能力を実証している。
実施例11.コハク酸緩衝液によるRSAの減少
この実施例は、可逆的自己会合を低減、阻害、または消失させる組成物の製造であって、インドリノベンゾジアゼピンに化学的に結合した抗体を含むコンジュゲート、コハク酸塩ベースの緩衝剤、界面活性剤、砂糖及び水を含有する前記組成物の製造を実証する。
【0196】
4-(2-ピリジニルジチオ)-2-スルホ-,1-(2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル)ブタン酸エステル(sSPDB)リンカーを介してインドリノベンゾジアゼピンDGN462に化学的に結合したhuMy-9-6モノクローナル抗体を含むコンジュゲート(「huMy-9-6-sSPDB-DGN462」)は、本明細書に記載された当該分野で既知の方法を用いて調製された(例えば、米国特許第6,441,163号参照)。huMy-9-6-sSPDB-DGN462コンジュゲートを以下のように処方した:(a)20mMのヒスチジン、8%のトレハロース、0.02%のポリソルベート20、pH6.1、(b)10mMの酢酸塩、8%のトレハロース、pH4.2、(c)10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、pH4.2。
【0197】
製剤のpH及び緩衝剤の可逆的自己会合に対する効果を示す、動的光散乱による分析の結果を図9に示す。これらの結果は、緩衝剤としてのコハク酸塩(処方(c))が、4.0~4.5のpH範囲において、可逆的自己会合を低減させる上で酢酸塩(処方(b))よりも有効であり、また両者ともpH6.1においてヒスチジン(処方(a))よりも有効であることを示している。
【0198】
図9に示すように、コハク酸とトレハロースの組み合わせ(処方(c))は、酢酸とトレハロースの組み合わせ(処方(b))よりも、pH4.2において可逆的自己会合を低減させることにおいて効果的である。
【0199】
更に、図10に示すデータは、pH4.2~pH5.7の範囲に亘って、コハク酸-トレハロースの組み合わせについての可逆的自己会合の評価から生じる。その結果は、ここではコハク酸緩衝液の使用で示されるように、pHが低下するにつれて可逆的自己会合の減少の程度が増大することを示している。
【0200】
実施例12.低pHコハク酸緩衝液によるRSAの低下
この実施例は、可逆的自己会合を低減、阻害、または消失させる組成物の製造を実証しており、ここでの前記組成物は、インドリノベンゾジアゼピンに化学的に結合された操作されたシステイン(例えば、他の非システインアミノ酸の代わりに抗体重鎖または軽鎖に導入された非天然システイン)を備えた抗体を含むコンジュゲート、緩衝液、界面活性剤
、糖、及び水を含んでいる。
【0201】
操作されたシステインを介してインドリノベンゾジアゼピンD2(a)に化学的に結合した、AbXモノクローナル抗体を含むコンジュゲートを製造した。前記コンジュゲートを、10mMのコハク酸ナトリウム、8%のトレハロース、0.01%のポリソルベート20、pH4.0として製剤化した。
【0202】
図11に示すように、pH4.0におけるコハク酸塩及びトレハロースの組み合わせは、pH4.2におけるコハク酸塩/トレハロースの製剤と比較したとき、DLSで測定されるように可逆的自己会合の同等以上の低下を示した。
【0203】
部位特異的コンジュゲートを用いることにより、この実施例は、より低いDARとのコンジュゲートにおいてさえもRSAの減少を示す。これらの結果は、例えばDARが2.0である部位特異的コンジュゲートの場合でさえも、特にpH4.0~4.5のようなより低いpH範囲において、可逆的自己会合を低減、阻害または消失させるという本明細書に開示した組成物の能力を更に実証する。
【0204】
均等物
前述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、日常的な実験のみを用いて、本開示で具体的に記載された特定の実施形態に対する多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような均等物、及び他の態様、利点及び改変は、添付の特許請求の範囲内のものである。
非限定的に、本発明は以下の態様を含む。
[態様1]
(a)ベンゾジアゼピンを含むADC、及び
(b)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子
を含有する組成物。
[態様2]
態様1に記載の組成物であって、約4.0~約4.5のpHを有する前記組成物。
[態様3]
態様1に記載の組成物であって、前記ベンゾジアゼピンがインドリノベンゾジアゼピンである前記組成物。
[態様4]
態様1~3の何れか1項に記載の組成物であって、前記ベンゾジアゼピンが、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される前記組成物。
[態様5]
態様1~3の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCが、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される前記組成物。
[態様6]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記小さな疎水性分子がトリメチルグリシンである前記組成物。
[態様7]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記小さな疎水性分子がプロリンである前記組成物。
[態様8]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記小さな疎水性分子がイソロイシンである前記組成物。
[態様9]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記小さな疎水性分子がロイシンである前記組成物。
[態様10]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記組成物が約1~約4のDARを有する前記組成物。
[態様11]
態様1~5の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCが1~4個のベンゾジアゼピンを含む前記組成物。
[態様12]
態様1~11の何れか1項に記載の組成物であって、前記組成物が水溶液である前記組成物。
[態様13]
態様1~11の何れか1項に記載の組成物であって、前記組成物が凍結乾燥組成物である前記組成物。
[態様14]
態様1~11の何れか1項に記載の組成物であって、前記組成物が再構成された凍結乾
燥組成物である前記組成物。
[態様15]
態様1~14の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCがhuMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される抗体を含む前記組成物。
[態様16]
態様1~14の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCがヒト化CD123抗体を含む前記組成物。
[態様17]
態様16に記載の組成物であって、前記ヒト化CD123抗体がAbXである前記組成物。
[態様18]
態様1~17の何れか1項に記載の組成物であって、更に亜硫酸水素ナトリウムを含有する前記組成物。
[態様19]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)280mMのベタイン
を含有し、約4.2のpHを有する前記製剤。
[態様20]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)280mMのプロリン
を含有し、約4.2のpHを有する前記製剤。
[態様21]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)AbX-D2、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)280mMのプロリン及び280mMのベタインからなる群から選択される小さな疎水性分子
を含有し、約4.2のpHを有する前記製剤。
[態様22]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMov19-sSPDB-D1、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)125mMのロイシン
を含有し、約4.2のpHを有する前記製剤。
[態様23]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMov19-sSPDB-D4、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)125mMのイソロイシン
を含有し、約4.2のpHを有する前記製剤。
[態様24]
態様19~23の何れか1項に記載の組成物であって、更に、亜硫酸水素ナトリウムを含有する前記組成物。
[態様25]
可逆的自己会合を低減させる方法であって、
(a)水溶液中にベンゾジアゼピンを含むADCを提供し、前記ADCは可逆的自己会合を示すことと、
(b)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水性分子を前記水溶液に添加することとを含み、
前記小さな疎水性分子が可逆的自己会合を低減させる前記方法。
[態様26]
態様25に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がトリメチルグリシンである前記方法。
[態様27]
態様25に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がプロリンである前記方法。
[態様28]
態様25に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がイソロイシンである前記方法。
[態様29]
態様25に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がロイシンである前記方法。
[態様30]
態様25に記載の方法であって、更に、前記可逆的自己会合を検出することを含む前記方法。
[態様31]
態様25に記載の方法であって、更に、前記水溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む前記方法。
[態様32]
態様25~31の何れか1項に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンがD1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様33]
態様25~31の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様34]
態様25~33の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約70%~約80%低減される前記方法。
[態様35]
態様25~33の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約80%~約90%低減される前記方法。
[態様36]
態様25~33の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約90%~約100%低減される前記方法。
[態様37]
態様25~36の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記水溶液を凍結乾燥し、それによって凍結乾燥組成物を作製することを含む前記方法。
[態様38]
態様37に記載の方法であって、更に、前記凍結乾燥組成物を再構成することを含む前記方法。
[態様39]
態様25~38の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される抗体を含む前記方法。
[態様40]
態様25~38の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCがヒト化CD123抗体を含む前記方法。
[態様41]
態様40に記載の方法であって、前記ヒト化CD123抗体がAbXである前記方法。[態様42]
態様41に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様43]
態様42に記載の方法であって、AbXが、重鎖可変領域CDR配列の参照配列1、参照配列2及び参照配列3、並びに軽鎖可変領域CDR配列の参照配列4、参照配列5及び参照配列6を含む前記方法。
[態様44]
態様42に記載の方法であって、AbXが、参照配列7と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列9と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様45]
態様42に記載の方法であって、AbXが、参照配列11と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様46]
態様42に記載の方法であって、AbXが、参照配列12と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様47]
態様40に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様48]
態様47に記載の方法であって、AbXが、参照配列8と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列10と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様49]
態様47に記載の方法であって、AbXが、参照配列13と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列15と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様50]
態様40~49の何れか1項に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンがD5またはD5(a)である方法。
[態様51]
製剤化する方法であって、
(a)ベンゾジアゼピンを含むADCを水溶液中に提供することと、
(b)疎水性側鎖を有するベタイン及びアミノ酸からなる群から選択される小さな疎水
性分子を水溶液に添加することを含む前記方法。
[態様52]
態様51に記載の方法であって、更に、前記水溶液のpHを約4.0~約4.5に調節することを含む前記方法。
[態様53]
態様51に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンが、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様54]
態様51~52の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様55]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がトリメチルグリシンである前記方法。
[態様56]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がプロリンである前記方法。
[態様57]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がイソロイシンである前記方法。
[態様58]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子がロイシンである前記方法。
[態様59]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子の添加が、水溶液中のRSAを約70%~約80%低減させる前記方法。
[態様60]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子の添加が、水溶液中のRSAを約80%~約90%低減させる前記方法。
[態様61]
態様51に記載の方法であって、前記小さな疎水性分子の添加が、水溶液中のRSAを約90%~約100%低減させる前記方法。
[態様62]
態様51~61の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記水溶液を凍結乾燥し、それによって凍結乾燥組成物を得ることを含む前記方法。
[態様63]
態様62に記載の方法であって、更に、前記凍結乾燥組成物を再構成することを含む前記方法。
[態様64]
態様51~63の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される抗体を含む前記方法。
[態様65]
態様51~63の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCがヒト化CD123抗体を含む前記方法。
[態様66]
態様65に記載の方法であって、ヒト化CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様67]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)280mMのベタイン
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様68]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMy9-6-sSPDB-DGN462、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様69]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)AbX-D2、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様70]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMov19-sSPDB-D1、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様71]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)huMov19-sSPDB-D4、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様72]
水性製剤であって、
(a)水、
(b)2mg/mLのAbX-D5またはAbX-D5(a)、
(c)10mMのコハク酸ナトリウム、及び
(d)8%のトレハロース二水和物
を含有し、約4.0~約4.5の範囲のpHを有する前記製剤。
[態様73]
態様72に記載の水性製剤であって、AbXが、重鎖可変領域CDR配列の参照配列1、参照配列2及び参照配列3、及び軽鎖可変領域CDR配列の参照配列4、参照配列5、及び参照配列6を含む前記製剤。
[態様74]
態様72に記載の水性製剤であって、AbXが、参照配列7と少なくとも約90%同
一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列9と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記製剤。
[態様75]
態様72に記載の水性製剤であって、AbXが、参照配列11と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記製剤。
[態様76]
態様72に記載の水性製剤であって、AbXが、参照配列12と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記製剤。
[態様77]
態様67~76の何れか1項に記載の製剤であって、更に、0.01%のポリソルベート20を含有する前記製剤。
[態様78]
態様67~77の何れか1項に記載の製剤であって、前記pHが約4.2である前記製剤。
[態様79]
態様67~78の何れか1項に記載の製剤であって、更に、亜硫酸水素ナトリウムを含有する前記製剤。
[態様80]
態様79に記載の製剤であって、前記亜硫酸水素ナトリウムが50μMの濃度を有する前記製剤。
[態様81]
可逆的自己会合を低減させる方法であって、
(a)第1のpHで水溶液中にベンゾジアゼピンを含むADCを提供し、ADCが可逆的自己会合を示ことと、
(b)前記水溶液のpHを第2のpHに調節し、前記第2のpHは約4.0~約4.5の範囲であることとを含み、
前記第1のpHから前記第2のpHへのpHの調節が可逆的自己会合を低減させる方法。
[態様82]
態様81に記載の方法であって、前記第2のpHが約4.2である方法。
[態様83]
態様81~82の何れか1項に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンが、D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様84]
態様81~82の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、Ab-sSPDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される前記方法。
[態様85]
態様81~84の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約70%~約80%低減される前記方法。
[態様86]
態様81~84の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約80%~約90%低減される前記方法。
[態様87]
態様81~84の何れか1項に記載の方法であって、前記可逆的自己会合が約90%~約100%低減される前記方法。
[態様88]
態様81~87の何れか1項に記載の方法であって、更に、前記水溶液を凍結乾燥することを含み、それによって凍結乾燥組成物を生成する前記方法。
[態様89]
態様88に記載の方法であって、更に、前記凍結乾燥組成物を再構成することを含む前記方法。
[態様90]
態様81~89の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCが、huMy9-6、huB4、huDS6、huMov19、及びhuCD37-3からなる群から選択される抗体を含む前記方法。
[態様91]
態様81~89の何れか1項に記載の方法であって、前記ADCがヒト化CD123抗体を含む前記方法。
[態様92]
態様91に記載の方法であって、前記ヒト化CD123抗体がAbXである前記方法。[態様93]
態様92に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様94]
態様93に記載の方法であって、前記AbXが、重鎖可変領域CDR配列の参照配列1、参照配列2及び参照配列3、並びに軽鎖可変領域CDR配列の参照配列4、参照配列5及び参照配列6を含む前記方法。
[態様95]
態様93に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列7と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列9と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様96]
態様93に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列11と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様97]
態様93に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列12と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様98]
態様92に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様99]
態様98に記載の方法であって、AbXが、参照配列8と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列10と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様100]
態様98に記載の方法であって、AbX2が、参照配列13と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列15と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様101]
態様91~100の何れか1項に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンがD5またはD5(a)である前記方法。
[態様102]
(a)ベンゾジアゼピンを含むADC、及び
(b)トレハロース
を含有する組成物であって、約4.0~約4.5のpH範囲を有する前記組成物。
[態様103]
態様102に記載の組成物であって、更に、コハク酸ナトリウムを含有する前記組成物。
[態様104]
態様103に記載の組成物であって、更に、硫酸水素ナトリウムを含有する前記組成物。
[態様105]
態様102~104の何れか1項に記載の組成物であって、更に、界面活性剤を含有する前記組成物。
[態様106]
態様102~105の何れか1項に記載の組成物であって、前記ベンゾジアゼピンが、
D1、D1(a)、D2、D2(a)、DGN462、DGN462(a)、D3、D3(a)、D4、D4(a)、D5、D5(a)、D6、及びD6(a)からなる群から選択される前記組成物。
[態様107]
態様102~106の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCが、Ab-sS
PDB-D1、Ab-sSPDB-D1(a)、Ab-D2、Ab-D2(a)、Ab-sSPDB-DGN462、Ab-sSPDB-DGN462(a)、Ab-D3、Ab-D3(a)、Ab-sSPDB-D4、Ab-sSPDB-D4(a)、Ab-Cys-D1、Ab-Cys-D1(a)、Ab-Ser-D1、Ab-Ser-D1(a)、Ab-Cys-DGN462、Ab-Cys-DGN462(a)、Ab-Ser-DGN462、Ab-Ser-DGN462(a)、Ab-Cys-D5、Ab-Cys-D5(a)、Ab-Ser-D6、及びAb-Ser-D6(a)からなる群から選択される前記組成物。
[態様108]
態様102~107の何れか1項に記載の組成物であって、前記ADCが、ヒト化CD
123抗体を含む前記組成物。
[態様109]
態様108に記載の方法であって、前記ヒト化CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様110]
態様109に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様111]
態様110に記載の方法であって、前記AbXが、重鎖可変領域CDR配列の参照配列1、参照配列2及び参照配列3、並びに軽鎖可変領域CDR配列の参照配列4、参照配列5及び参照配列6を含む前記方法。
[態様112]
態様110に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列7と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列9と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様113]
態様110に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列11と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様114]
態様110に記載の方法であって、前記AbXが、参照配列12と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列14と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様115]
態様109に記載の方法であって、前記CD123抗体がAbXである前記方法。
[態様116]
態様115に記載の方法であって、AbXが、参照配列8と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列10と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様117]
態様115に記載の方法であって、AbXが、参照配列13と少なくとも約90%同一である重鎖可変領域ドメイン、及び参照配列15と少なくとも約90%同一である軽鎖可変領域を含む前記方法。
[態様118]
態様108~117の何れか1項に記載の方法であって、前記ベンゾジアゼピンがD5またはD5(a)である前記方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11