(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】距離測定装置および距離測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
G01B21/00 H
(21)【出願番号】P 2021530642
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025796
(87)【国際公開番号】W WO2021006142
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2019127660
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西口 俊哉
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097934(JP,A)
【文献】特開平09-053918(JP,A)
【文献】特開2000-148730(JP,A)
【文献】特開2012-239943(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 1/00-21/00
B01J 8/00- 8/46
G01D 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の前記反応管のうちの少なくとも一部分の前記反応管について、前記反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、前記反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定する距離測定装置であって、
測長器を保持した測定部材と、
前記測定部材が移動可能に配置される少なくとも1つのベース部材と、
を有し、
前記ベース部材に配置された前記測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、前記反応管の軸長方向と平行をなす直線と前記基準線とが同一平面上において成す角度は、前記基準線に沿って並んだ複数の前記反応管について一定であり、
前記測長器の測定方向は、前記測定部材が前記ベース部材に配置された状態において前記反応管の軸長方向と平行をなし、
前記測定部材は、一の前記反応管の前記距離を測定した位置から、他の前記反応管の前記距離を測定する位置に順次移動可能に前記ベース部材に配置される、距離測定装置。
【請求項2】
前記測定部材は、スライド移動可能である、請求項1に記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、レール形状またはプレート形状を有する、請求項1または請求項2に記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記ベース部材を支持し、前記ベース部材を前記管板の上に着脱自在に取り付ける支持脚をさらに有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記ベース部材は、前記反応管の前記開口に挿入される前記支持脚を介して、前記反応管に取り付けられる、請求項4に記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記測定部材は、前記ベース部材に配置される3本以上の脚部材を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記測定部材は、前記ベース部材に配置されるプレート部材を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記測定部材は、前記ベース部材に配置されるスライダーを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記測定部材は、前記ベース部材に配置され自走可能な走行台車を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の距離測定装置。
【請求項10】
互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の前記反応管のうちの少なくとも一部分の前記反応管について、前記反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、前記反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定する距離測定方法であって、
測長器を保持した測定部材を移動可能にベース部材に配置し、
前記ベース部材に配置された前記測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、前記反応管の軸長方向と平行をなす直線と前記基準線とが同一平面上において成す角度は、前記基準線に沿って並んだ複数の前記反応管について一定であり、
前記測長器の測定方向は、前記測定部材が前記ベース部材に配置された状態において前記反応管の軸長方向と平行をなし、
前記測定部材を、一の前記反応管の前記距離を測定した位置から、他の前記反応管の前記距離を測定する位置に順次移動して、前記距離を順次測定する、距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離測定装置および距離測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学工業の分野において、多管式反応器を用いた炭化水素類の分解反応、改質反応、酸化反応、アンモ酸化反応、還元反応等の接触反応は数多く実施されている。これらの反応に使用する反応器には数千から数万本もの反応管が備えられ、反応管内には各々の接触反応に適した触媒や不活性物質等の粒状の固形物が充填される(以下、反応管内部に充填された触媒等の粒状固形物を単に「固形物」または「充填物」と言うこともある)。例えば、特許文献1には、前段反応用触媒を充填した層と後段反応用触媒を充填した層との間に不活性物質の充填層を設け、一つの熱交換型多管式反応器を用いて二段階の接触気相酸化反応によりプロピレンからアクリル酸を製造する方法が開示されている。
【0003】
上記のような多管式反応器を用いて好ましい状態で反応を行うためには、充填物の充填高さを一定の管理範囲に収めることが重要である。反応管ごとの触媒の充填高さが一定でない場合は、反応管ごとの反応にバラツキが生じ、全体として反応率の低下や収率の低下を招くおそれや、一部の反応管において反応が暴走してしまうおそれがある。例えば、特許文献2には、各反応管の充填高さと、それら充填高さの平均値との差が、充填高さの平均値の±20%以内となるようにして、各反応管に触媒を充填することを特徴とする触媒の充填方法が開示されている。そのため、通常、触媒充填作業時には各反応管に充填された充填物の充填高さを測定する作業が行われる。
【0004】
充填物の充填高さの測定は、反応管の開口から充填物までの距離(以下、「空間長」ともいう)を測定することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-130722号公報
【文献】特開2003-340267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、多管式反応器の反応管上端部は、多孔板のそれぞれの孔に反応管が差し込まれ、多孔板と反応管との接続部が溶接接合された構造となっている。反応管が接合される多孔板は管板と称され、管板の表面は管板面と称されている。反応管を溶接接合する前の多孔板自体の表面は平滑である。しかしながら、反応管を溶接接合した後の管板面は、溶接ビードやスパッタ等の溶接痕によって凹凸が生じ、平滑ではない部分が生じている。
【0007】
測長器として、例えば、通常の三脚に取り付けたレーザー距離計を用いて、反応器の上部管板の上方から空間長を測定しようとした場合、三脚の脚のいずれか一つ、もしくは複数が溶接痕の上に置かれたり、あるいは反応管の開口の直上に来たりすることがある。このため、複数の反応管について空間長を測定する場合、レーザー距離計の測定方向を常に反応管の軸長方向と平行にできず、任意の一の反応管については空間長を測定できたとしても、他の反応管については測定できなくなることがあり、その都度測定方向を調整しなければならないという問題がある。
【0008】
発明者は、管板上にレール等のベース部材を設置し、このベース部材上にレーザー距離計等の測長器を取り付けた三脚等の測定部材を配置することで、溶接痕による凹凸の影響を受けずに、いずれの反応管に対しても安定して空間長を測定できることを見出した。さらに、この手法では三脚をレールに沿ってスライドさせることで複数の反応管の空間長を連続的に測定できることも見出した。
【0009】
このように、発明者は、測長器を保持した測定部材をベース部材の上で移動自在とすることにより、空間長を安定的かつ迅速に非接触で測定可能なことを確認し、本発明を発明するに至った。
【0010】
そこで、本発明は、反応管の開口から、反応管の内部に充填された粒状の固形物までの距離を簡易かつ迅速に測定できる距離測定装置および距離測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の形態の距離測定装置は、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の前記反応管のうちの少なくとも一部分の前記反応管について、前記反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、前記反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定する装置である。この距離測定装置は、測長器を保持した測定部材と、前記測定部材が移動可能に配置される少なくとも1つのベース部材と、を有する。前記ベース部材に配置された前記測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、前記反応管の軸長方向と平行をなす直線と前記基準線とが同一平面上において成す角度は、前記基準線に沿って並んだ複数の前記反応管について一定である。前記測長器の測定方向は、前記測定部材が前記ベース部材に配置された状態において前記反応管の軸長方向と平行をなし、前記測定部材は、一の前記反応管の前記距離を測定した位置から、他の前記反応管の前記距離を測定する位置に順次移動可能に前記ベース部材に配置される。
【0012】
本発明の他の形態の距離測定方法は、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の前記反応管のうちの少なくとも一部分の前記反応管について、前記反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、前記反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定する方法である。この距離測定方法において、測長器を保持した測定部材を移動可能にベース部材に配置し、前記ベース部材に配置された前記測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、前記反応管の軸長方向と平行をなす直線と前記基準線とが同一平面上において成す角度は、前記基準線に沿って並んだ複数の前記反応管について一定であり、前記測長器の測定方向は、前記測定部材が前記ベース部材に配置された状態において前記反応管の軸長方向と平行をなし、前記測定部材を、一の前記反応管の前記距離を測定した位置から、他の前記反応管の前記距離を測定する位置に順次移動して、前記距離を順次測定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測長器によって測定する測定方向を反応管の軸長方向と平行にする調整作業を繰り返す必要がなく、測定部材をベース部材に沿って順次移動させることで、複数の反応管について、反応管の開口から反応管の内部に充填された粒状の固形物までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。そのため、充填物の充填/交換作業時の工期を短縮できることで作業に伴う費用を削減でき、プラントの稼働率向上にも寄与できる。
【0014】
また、反応器が好ましい状態で反応を行うためには、反応管内の充填物を破損させることなく、充填物の充填高さを一定の管理範囲に収めることが重要である。本発明によれば、脆弱な触媒等の充填物を破損させることなく迅速に距離を測定できるため、充填物の充填高さを速やかに一定の管理範囲に収めることができ、長期間にわたって安定に反応を行なわせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(A)は、第1実施形態の距離測定装置を模式的に示す斜視図、
図1(B)は、
図1(A)の1B-1B線に沿う断面図である。
【
図2】反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を距離測定装置によって非接触に順次測定している様子を模式的に示す図である。
【
図3A】ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線とした場合に、反応管の軸長方向と平行をなす直線と基準線とが同一平面上において成す角度を説明するための模式図である。
【
図3B】
図3B(A)は、ベース部材の接触面と反応管の軸長方向との関係を示す斜視図、
図3B(B)は、
図3B(A)の2点鎖線によって囲まれた3Bの部分を拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、複数の反応管が接合された管板を示す断面図、
図4(B)は、管板を示す
図4(A)の上面図である。
【
図5】複数の反応管を備える反応器を簡略的に示すとともに、反応管の開口から固形物までの距離を測定している様子を模式的に示す図である。
【
図6】第2実施形態の距離測定装置を模式的に示す斜視図である。
【
図8】第3実施形態の距離測定装置を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9(A)は、
図8の9A-9A線に沿う断面図、
図9(B)は、
図9(A)の2点鎖線によって囲まれた9Bの部分を拡大して示す断面図である。
【
図11】
図11(A)は、第4実施形態の距離測定装置を示す
図9(A)に相当する断面図、
図11(B)は、
図11(A)の2点鎖線によって囲まれた11Bの部分を拡大して示す断面図である。
【
図12】第5実施形態の距離測定装置を模式的に示す斜視図である。
【
図13】第6実施形態の距離測定装置を示す
図1(B)に相当する断面図である。
【
図14】第7実施形態の距離測定装置を示す
図2に相当する断面図である。
【
図15】第8実施形態の距離測定装置を示す
図2に相当する断面図である。
【
図16】距離測定方法の参考例1を具現化した様子を模式的に示す斜視図である。
【
図17】距離測定方法の参考例2を具現化した様子を模式的に示す図である。
【
図18】
図18(A)は、複数の反応管が接合された管板を示す断面図、
図18(B)は、管板を示す
図18(A)の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の距離測定装置は、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定できる。距離の測定は、反応器に含まれる反応管の一部分についてのみ行うこともでき、反応器に含まれるすべての反応管について行うこともできる。すなわち、距離の測定は、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管について行うことができる。距離測定装置は、測長器を保持した測定部材と、測定部材が移動可能に配置される少なくとも1つのベース部材と、を有する。ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、反応管の軸長方向と平行をなす直線と基準線とが同一平面上において成す角度は、基準線に沿って並んだ複数の反応管について一定である。測長器の測定方向は、測定部材がベース部材に配置された状態において反応管の軸長方向と平行をなし、測定部材は、一の反応管の距離を測定した位置から、他の反応管の距離を測定する位置に順次移動可能にベース部材に配置される。本明細書において「ベース部材」は、測定部材を移動可能に配置できる部材と定義され、測定部材を移動できる限りにおいて具体的な構造は限定されない。また、「測定部材」は、測長器を含み、さらにベース部材に配置するために用いられる部材を含んだものと定義する。なお、本明細書において「ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線」とは、管板を上方から平面視したときの投影面上において、測定部材が移動する方向(ベクトル)と平行をなす直線を意味するものである。また、「反応管の軸長方向と平行をなす直線」とは、上記の管板を上方から平面視した投影面に対して垂直となる2つの平面を投影面としたときに、その2つのいずれの投影面上においても反応管の軸長方向(ベクトル)と平行をなす直線を意味するものである。
【0017】
ベース部材に配置された測定部材は、スライド移動可能である。ベース部材は、例えば、レール形状またはプレート形状を有している。なお、本明細書において「スライド移動」は、測定部材がベース部材に配置された状態で基準線に沿って滑らかに移動することを意味し、測定部材またはベース部材に備えられたベアリングやローラー等が回転することによって測定部材が移動する形態をも含むものである。
【0018】
ベース部材は、当然ながら、反応管の軸長方向と平行にならず、反応管の軸長方向と交わる方向に向けられている。距離測定装置は、ベース部材を支持し、ベース部材を管板の上に着脱自在に取り付ける支持脚をさらに有することができる。ベース部材は、支持脚を介して、管板の上に配置できる。高さ(長さ)が固定された支持脚、または高さ(長さ)が調整可能な支持脚のいずれをも使用できる。支持脚の高さ(長さ)によって、ベース部材の管板からの高さを定めることができる。また、ベース部材は、反応管の開口に挿入される支持脚を介して、反応管に取り付けることができる。
【0019】
上述した定義のとおり、「測定部材」はベース部材に配置するために用いられる部材を含んでいる。測定部材をベース部材に配置するために用いられる部材は、種々変更できる。例えば、測定部材は、ベース部材に配置される3本以上の脚部材、ベース部材に配置されるプレート部材、あるいは、ベース部材に配置されるスライダーを有することができる。さらにまた、測定部材は、手動によって移動する態様に限定されず、ベース部材に配置され自走可能な走行台車を有することができる。
【0020】
なお、本明細書において、「配置」という語句は、「ある部材を他の部材に接触させるように置くこと」を意味するものとする。例えば、「ベース部材に配置される測定部材」とは、「ベース部材に接触させるように置くことができる測定部材」を意味し、「測定部材がベース部材に配置された状態」とは、「測定部材がベース部材に接触されて置かれた状態」を意味し、「ベース部材は、管板の上に配置される」とは、「ベース部材を管板の上に接触させるように置くことができること」を意味する。また、「接触」という語句は、「ある部材が他の部材に対して現に接していること」を意味するものとする。
【0021】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態および種々の変形例を説明する。以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において示す範囲「X~Y」は「X以上、Y以下」を意味する。
【0022】
<距離測定装置10(第1実施形態)>
まず、第1実施形態の距離測定装置10について説明する。
【0023】
図1(A)は、第1実施形態の距離測定装置10を模式的に示す斜視図、
図1(B)は、
図1(A)の1B-1B線に沿う断面図である。
図2は、反応管910の軸長方向D2の端部に形成された開口911から、反応管910の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物920までの距離を距離測定装置10によって非接触に順次測定している様子を模式的に示す図である。
図3Aは、ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線L0とした場合に、反応管910の軸長方向と平行をなす直線L1と基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αを説明するための模式図である。
図3B(A)は、ベース部材200の接触面220と反応管910の軸長方向D2との関係を示す斜視図、
図3B(B)は、
図3B(A)の2点鎖線によって囲まれた3Bの部分を拡大して示す斜視図である。
図3C(A)、
図3C(B)、
図3C(C)、および
図3C(D)は、ベース部材と測定部材とが接触する種々の態様を模式的に示す断面図である。
図4(A)は、複数の反応管910が接合された管板916を示す断面図、
図4(B)は、管板916を示す上面図である。また、
図5は、複数の反応管910を備える反応器900を簡略的に示すとともに、反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定している様子を模式的に示す図である。なお、
図1(A)に二点鎖線によって示される直線Lmは、測定部材300を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列を示している。
図2に示す符号P1、P2、P3は、測長器100によって空間長を測定する位置を模式的に示している。反応管910の軸長方向D2は、
図2および
図5における上下方向である。
【0024】
図1(A)、
図2、および
図5を参照して、距離測定装置10は、概説すると、互いに平行に配列された複数の反応管910が管板916に接合された反応器900において、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管910について、反応管910の軸長方向D2の端部に形成された開口911から、反応管910の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物920までの距離を非接触に測定するために使用される。距離測定装置10は、測長器100を保持した測定部材300と、測定部材300が移動可能に配置される少なくとも1つのレール部材200(ベース部材に相当する)と、を有することができる。
図3Aに示すように、レール部材200に配置された測定部材300が移動する方向と平行をなす直線を基準線L0として、反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L1と基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αは、基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。
図2に示すように、測長器100の測定方向D1は、測定部材300がレール部材200に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。そして、測定部材300は、一の反応管910の距離を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次移動可能にレール部材200に配置できる。
【0025】
図2、
図4(A)、
図4(B)、および
図5に示すように、反応器900は、互いに平行に配列された複数の反応管910を有する。反応器900内の複数の反応管910は、通常、隣接する反応管同士の距離がなるべく等しくなるように、三角錯列や四角直列、四角錯列等の形式で配列されている。例えば、三角錯列で配列されている場合、複数の反応管910は、所定のピッチpaで配列されている(
図4(B)を参照)。複数の反応管910の上端部は、管板916に溶接によって接合されている。管板面は、溶接ビードやスパッタ等の溶接痕によって凹凸が生じ、平滑ではない部分が生じている。ただし、溶接痕は反応管910の外周部に集中している。このため、一の反応管910とそれに隣接する他の反応管910との間の中間部には溶接痕が無く、管板916は平滑面930を有することができる。管板916の平滑面930と反応管910の軸長方向D2との角度は一定であり、通常は反応管910の軸長方向D2は管板916の平滑面930に垂直である。
【0026】
図1(A)および
図2に示すように、測定部材300は、レール部材200の接触面220に配置することができる。レール部材200の接触面220は、平滑な連続する平面とすることができる。この場合、測定部材300は、接触面220に配置された状態のまま、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行になる状態を保ったまま、スライド移動可能である。距離測定装置10は、複数個のレール部材200を有することができる。管板916を上方から平面視したとき、複数個(例えば、2個)のレール部材200は、平行をなして配列できる。
【0027】
図1(B)に示すように、レール部材200は、断面がレール形状を有する部材から構成できる。測定部材300の後述する脚部材303は、尖った形状(スパイク状)の先端部を有することができる。レール部材200は、脚部材303の先端部を外れないようにガイドするガイド溝221を有することができる。
【0028】
距離測定装置10は、レール部材200を支持し、レール部材200を管板916の上に着脱自在に取り付ける支持脚201をさらに有することができる。支持脚201は、レール部材200の下面に取り付けることができる。レール部材200は、支持脚201を介して管板916の平滑面930の上に配置できる。支持脚201は必ずしも管板916の平滑面930の上に配置されていなくてもよく、レール部材200がぐらつくことなく安定して配置されていればよい。レール部材200は、取り付け位置を調整した後、図示しないクランプ治具等によって、反応器900の外周壁や反応管910等に固定できる。なお、支持脚は、レール部材200を支持し、レール部材200を管板916の上に着脱自在に取り付けることができる限りにおいて、形状や構造は限定されない。例えば、細長い棒形状、中空のパイプ形状、または板形状を有することができる。
【0029】
図3Aに示される直線L0は、ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線を示している。この直線を「基準線L0」とする。直線L1は、反応管910の軸長方向と平行をなす直線を示している。複数の反応管910は互いに平行である。このため、直線L1と基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αは、基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。なお、管板916を上方から平面視したとき、基準線L0は、
図1(A)および
図3B(A)に付された直線Lm(測定部材300を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列)と平行である。ここで、複数の反応管910は直線Lmに沿って並んでいることから、本明細書においては、便宜上、「基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910」ともいうこととする。
【0030】
図3B(A)および
図3B(B)に示されるX軸およびY軸はレール部材200の接触面220上の2つの直線を示し、X軸およびY軸は直交している。Z軸は、X軸およびY軸の2つの直線と垂直な直線を示し、接触面220に垂直である。
図3B(B)は、XYZ座標の原点を、反応管910の軸長方向D2が接触面220を通る点に一致させている。また、直線Lmは、測定部材300を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列を示している。図示するように、レール部材200を反応器900に取り付けたとき、反応管910の軸長方向D2が、必ずしもレール部材200の接触面220に垂直でなくてもよい。
図3B(B)は、反応管910の軸長方向D2が、Z軸の上を通らず、XYZ座標の点(x0,y0、z0)を通るように傾斜している様子を示している。上述したように、反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L1と基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αは、基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。このため、接触面220を通るすべての軸長方向D2は同じように傾斜する。反応管910の軸長方向D2がレール部材200の接触面220に垂直でない場合であっても、測定部材300がレール部材200に配置された状態において測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなすことによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。
【0031】
ベース部材と測定部材とが接触する種々の態様について説明する。ベース部材と測定部材とが接触する形状(構造)は、ベース部材に測定部材を配置したときに、測定部材を真っ直ぐにスライドすることが可能な形状(構造)であればよい。例えば、
図3C(A)に示すように、ベース部材341の接触面341aを平滑な連続する平面とし、測定部材342の接触面342aを平滑な連続する平面とし、ベース部材341と測定部材342とを「面」で接触させることができる。
図3C(B)に示すように、ベース部材343の接触面343aを三角形状に突出する凹凸面とし、測定部材344の接触面344aを平滑な連続する平面とし、ベース部材343と測定部材344とを「線」で接触させることができる。
図3C(B)において測定部材344がスライド移動する方向は紙面に直交する方向である。
図3C(C)に示すように、ベース部材345の接触面345aを平滑な連続する平面とし、測定部材346の接触面346aをベアリング等の球面とし、ベース部材345と測定部材346とを「点」で接触させることができる。また、
図3C(D)に示すように、ベース部材347の接触面347aを曲面とし、測定部材348の接触面348aをベアリング等の球面とし、ベース部材347と測定部材348とを「点」で接触させることができる。
図3C(D)においてベース部材347の接触面347aはパイプを切った内面のような形状を有することができ、測定部材348がスライド移動する方向(紙面に直交する方向)には平滑な直線となり、測定部材348がスライド移動する方向に対して直交する方向(紙面の方向)には下に凸の曲線面となる。上記の説明から明らかなように、ベース部材の接触面が平滑な連続する平面でない場合であっても、測定部材は、ベース部材に配置された状態のまま、スライド移動可能である。
【0032】
測長器100は、非接触に距離を測定する限りにおいて型式は限定されない。測長器100は、例えば、レーザー、音波またはマイクロ波を利用して、非接触に距離を測定する公知の機器を使用でき、レーザー式測長器が特に好ましい。
【0033】
レーザー式測長器の原理としては大きく分けて、三角測距式、タイムオブフライト式、位相差方式のものがあるが特に限定されない。レーザーの種類は特に限定されないが、波長635nmのものが一般的である。レーザー式測長器の機種としては、例えば、ボッシュ(株)製のレーザー距離計(型番GLM50C、型番GLM150C等)や、ライカ ジオシステムズ(株)製のレーザー距離計(Leica DISTO(登録商標) D1、Leica DISTO(登録商標) D810、Leica DISTO(登録商標) X3等)等のハンディータイプの機種が販売されている。レーザー式測長器には本体の傾きを表示する傾斜測定機能が付属するものも販売されており、照射方向の校正時の指標として利用できるため好ましい。また、ハンディータイプでなく、PCや装置に組み込んで使用する竹中電子工業(株)製のレーザー式距離センサ(LDS-7A等)等のモジュールタイプの機種も販売されており、これらいずれの測長器も本発明に適用できる。
【0034】
図1(A)および
図1(B)に示すように、測定部材300は、測長器100を保持するアダプター301と、レール部材200の接触面220に配置される3本以上(図示では3本)の脚部材303と、を有することができる。3本の脚部材303は、例えば、三脚から構成できる。脚部材303のそれぞれは、伸縮自在な構成を有し、長さを調整できる。測定部材300は、脚部材303のすべての先端部が接触面220に配置できる。3本の脚部材303のうち2本は、平行に配列された2個のレール部材の一方のレール部材200の接触面220に配置でき、残り1本は他方のレール部材200の接触面220に配置できる。なお、測定部材300は、レール部材200の接触面220に配置される4本以上の脚部材303を有することができる。4本の脚部材303は、例えば四脚から構成できる。
【0035】
アダプター301は、測長器100の測定方向D1の向きを調整する調整機構(図示せず)を有することができる。調整機構は、自由雲台や複数の蝶ネジ式固定具等を有し、測長器100の測定方向D1を自由に調整できる。測長器100の測定方向D1は、すべての脚部材303が接触面220に接触した状態(測定部材300が接触面220に配置された状態)において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。
【0036】
測長器100の測定方向D1の調整は例えば以下のように行う。まず、測定部材300の脚部材303のすべての先端部を接触面220に接触させるように、測定部材300をレール部材200の接触面220に配置する。測定部材300をスライド移動させて空間長を測定する反応管910の列(
図1(A)の直線Lm)から、まず、任意の1本の反応管910についてメジャー等で空間長を測定する。次に、その空間長が測定されるように、自由雲台の固定ネジを緩め、測長器100のレーザーの照射方向と角度を調整する。調整後に自由雲台の固定ネジを締め、測長器100を固定する。管壁との距離を測定している場合は短い距離が表示されるので、測長器100の角度を再調整する。なお、調整の目安としては、メジャー等によって測定した空間長の±1%の範囲にレーザー距離計の測定値が納まっていれば、適切な角度に調整されていると判断できる。
【0037】
実際に測長器100によって測定される距離は、測長器100の先端から固形物920までの距離である。
図1(A)に示されるように、測長器100や測定部材300の具体的な構造や形状によっては、測定時に、測長器100の先端が反応管910の上端(開口911の水平面上)よりも上方に位置するために、測長結果のオフセット操作が必要になる場合があり得る。このような場合には、測長器100の先端と反応管910の上端との間のオフセット寸法を予め測定し、測長器100に補正データとして記憶させておくことができる。測定時には、測長器100によって実際に測定された距離を、オフセット寸法に基づいて補正できる。これによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定できる。
【0038】
上述したように、反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L1と基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αは、基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910について一定である(
図3Aを参照)。さらに、測長器100の測定方向D1は、測定部材300がレール部材200に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。したがって、測定部材300をレール部材200の接触面220に沿ってスライド移動しても、測長器100の測定方向D1は、空間長を測定するいずれの反応管910の軸長方向D2とも平行をなす。このため、異なる反応管の空間長を測定する際に、測長器100の角度を調整することなく、複数の反応管910の空間長を測定することが可能となる。
【0039】
なお、レール部材200の取付位置を変更した場合には、上述した測長器100の角度調整を再度行う必要がある。ただし、レール部材200を載置する管板916の平滑面930は、通常、反応管910の軸長方向D2と成す角度が一定となっている場合が多いことから、測長器100の測定方向D1の調整作業は微調整で足りる場合が多い。
【0040】
上記の測長器100の角度調整によって、測長器100の測定方向D1が軸長方向D2に向く。ここに「向く」とは、測長器100によって測定する測定方向D1、すなわち距離測定用の照射波(例えばレーザー式測長器100のレーザー光等)の照射方向が下向きに、かつ、軸長方向D2とほぼ平行になることを意味する。
【0041】
本明細書において、「測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなす」とは、厳密に平行な場合のみならず、測長器100の測定方向D1が、開口911から固形物920までの距離を測定できる範囲内で、反応管910の軸長方向D2から微小角度ずれる場合も含まれると理解されなければならない。
【0042】
図2に示すように、まず、測定部材300は、位置P1にスライド移動され、測長器100は、位置P1において反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。その後、測定部材300は、位置P1から位置P2にスライド移動され、測長器100は、位置P2において反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定できる。その後、測定部材300は、位置P2から位置P3にスライド移動され、測長器100は、位置P3において反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定できる。このように、測定部材300は、一の反応管910の距離を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次スライド移動可能にレール部材200の接触面220に配置できる。
【0043】
距離測定装置10は、測定した空間長が許容範囲内であるか否かの合否を表示する機構を有していても良い。合否の表示は画面に表示される形式でも良いし、あるいは、必要に応じて音が鳴る仕組みを備えていても良い。
【0044】
距離測定装置10は、測定結果をBluetooth(登録商標)等によってパーソナルコンピュータや携帯端末等に転送し、データを集積する機構を有していても良い。
【0045】
図5を再び参照して、複数の反応管910を備える反応器900について説明する。
【0046】
反応管910は、例えば、石油化学工業の分野の化学プラントに設置された多管式反応器900に組み込まれることができる。反応管910は、一つの反応器900に数千から数万本組み込まれることができる。反応管910は、例えば、粒状の触媒、粒状のセラミックス(例えば、シリカ、アルミナ、またはジルコニアの球状体やリング状体等)、粒状の金属製ラシヒリング等が充填されることができる。反応管910の高さ方向の下端には、反応管910の外部と連通する下端開口部913を形成できる。反応管910は、目的とする接触反応にもよるが、例えば、内径が10mm~60mmで、高さが1000mm~15000mmの直管状に形成できる。
【0047】
反応管910の内部には、同一種の固形物のみが充填されていてもよいし、例えば、
図5に示すように異なる種類の固形物M1、M2により構成された複数の層914、915が、反応管910の高さ方向の異なる位置に充填されていてもよい。反応管910の内部に異なる種類の固形物が充填されている場合、第1の層914は、粒状の固形物M1で構成できる。第2の層915は、粒状の固形物M2で構成できる。固形物M1は、例えば、外径が1mm~15mmに成型された球形の接触反応用の触媒を用いることができる。固形物M2は、例えば、リング形状(円筒状)に成型された金属製のラシヒリングを用いることができる。図示は省略するが、反応管910の内部において、第2の層915よりも下端側には、さらに、固形物M1又は固形物M2と同種あるいは異種の粒状の固形物により他の層が形成されていてもよい。
【0048】
各固形物M1、M2の種類は例示したものに限定されることはない。また、各固形物M1、M2の形状や大きさも限定されることはない。また、各固形物M1、M2が反応管910の内部に充填される形態(層の数、各層の高さ等)も限定されることはない。
【0049】
<距離測定装置11(第2実施形態)>
図6は、第2実施形態の距離測定装置11を模式的に示す斜視図、
図7は、
図6の7-7線に沿う断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
図6に二点鎖線によって示される直線Lm1、Lm2は、2個の測定部材305、306を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列を示している。
図6に示す符号P1、P2、P3は、測長器100によって空間長を測定する位置を模式的に示している。
【0050】
ベース部材は、第1実施形態のように管板916の近くに位置させる場合に限定されず、管板916の上方位置に位置させる形態に適宜改変できる。この形態において、管板916とベース部材との間の空間を、測定部材305、306の移動空間として利用できる。
【0051】
図6および
図7に示すように、第2実施形態の距離測定装置11は、測長器100を保持した測定部材305、306と、測定部材305、306が移動可能に配置されるレール部材202(ベース部材に相当する)と、を有することができる。距離測定装置11は、複数の(図示では2個の)測定部材305、306を有することができ、複数の(図示では2個の)測長器100を有することができる。第2実施形態の場合においては、
図6に示すように、レール部材202に配置された2個の測定部材305、306が移動する方向と平行をなす2本の直線を基準線L01、L02とする。管板916を上方から平面視したとき、基準線L01、L02は、
図6に付された直線Lm1、Lm2(2個の測定部材305、306を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列)と平行である。
図3Aにおいて説明したのと同様に、反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L11と基準線L01とが同一平面上において成す角度は、基準線L01に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L12と基準線L02とが同一平面上において成す角度は、基準線L02に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。測長器100の測定方向D1は、測定部材305、306がレール部材202に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。そして、測定部材305、306は、一の反応管910の距離を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次移動可能にレール部材202に配置できる。
【0052】
図7に示すように、測定部材305、306は、レール部材202の接触面222、223に配置することができる。レール部材202の接触面222、223は、平滑な連続する平面とすることができる。この場合、測定部材305、306は、接触面222、223に配置された状態のまま、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行になる状態を保ったまま、スライド移動可能である。レール部材202を上方から平面視したとき、2個の接触面222、223は、平行をなして配列できる。一方の測定部材305は一方の接触面222に配置でき、他方の測定部材306は他方の接触面223に配置できる。
【0053】
図7に示すように、レール部材202は、断面がレール形状を有する部材から構成できる。第2実施形態のレール部材202は、例えば、下ケーシング203と、下ケーシング203に被せられる上ケーシング204とから形成できる。この場合、レール部材202は、測定部材305、306が備える後述のスライダー307、308が嵌まり込むスライド溝205、206を有することができる。スライド溝205、206の下面が接触面222、223となる。測定部材305、306は、スライダー307、308の下面がスライド溝205、206の接触面222、223に接触して、レール部材202から垂下できる。
【0054】
距離測定装置11は、レール部材202を支持し、レール部材202を管板916の上に着脱自在に取り付ける支持脚401をさらに有することができる。レール部材202は、支持脚401を介して管板916の平滑面930の上に配置できる。支持脚401は必ずしも管板916の平滑面930の上に配置されていなくてもよく、レール部材202がぐらつくことなく安定して配置されていればよい。
【0055】
支持脚401は、レール部材202を管板916の上方位置に位置させることができる。支持脚401の構造は、測定部材305、306を移動させる際に邪魔にならない限り特に限定されないが、例えば、三脚や四脚から構成できる(図示例では三脚)。それぞれの支持脚401は、伸縮自在な構成を有し、管板916からのレール部材202の高さを調整できる。管板916とレール部材202との間の空間は、測定部材305、306の移動空間として利用できる。
【0056】
図3B(A)および
図3B(B)において説明したのと同様に、レール部材202を反応器900に取り付けたとき、反応管910の軸長方向D2が必ずしもレール部材202の接触面222、223に垂直でなくてもよい。反応管910の軸長方向D2がレール部材202の接触面222、223に垂直でない場合であっても、測定部材305、306がレール部材202に配置された状態において測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなすことによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。
【0057】
測定部材305、306は、測長器100を保持するアダプター310、311と、レール部材202の接触面222、223に配置されるスライダー307、308と、を有することができる。スライダー307、308は、アダプター310、311の上部に有することができる。スライダー307、308を備えることにより、測定部材305、306をレール部材202に沿わせて円滑にスライド移動させることができる。
【0058】
アダプター310、311は、測長器100の測定方向D1の向きを調整する調整機構を有することができる。調整機構は、上述した第1実施形態のアダプター301と同様に、自由雲台や複数の蝶ネジ式固定具等を有し、測長器100の測定方向D1を自由に調整できる。測長器100の測定方向D1は、スライダー307、308が接触面222、223に接触した状態(測定部材305、306がレール部材202に配置された状態)において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。測長器100の測定方向D1の調整は上述した第1実施形態において説明したのと同様の方法で行えばよい。
図6および
図7に例示した第2実施形態の場合においては2個の測長器100を有するので、2個の測長器100の測定方向D1を調整する。
【0059】
第2実施形態においては、2個の接触面222、223を有するレール部材202を例示したが、1個の接触面のみを有するレール部材や、3個以上の接触面を有するレール部材に改変できる。
【0060】
<距離測定装置12(第3実施形態)>
図8は、第3実施形態の距離測定装置12を模式的に示す斜視図、
図9(A)は、
図8の9A-9A線に沿う断面図、
図9(B)は、
図9(A)の2点鎖線によって囲まれた9Bの部分を拡大して示す断面図である。
図10は、
図8の10-10線に沿う断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
図8に二点鎖線によって示される直線Lm1、Lm2、Lm3、Lm4は、測定部材315を順次移動させて複数の測長器100によって空間長を測定する反応管910の列を示している。
図8に示す符号P1、P2、P3は、一の測長器100によって空間長を測定する位置を模式的に示している。
【0061】
第3実施形態は、ベース部材を管板916の上方位置に位置させる点において第2実施形態と共通するが、ベース部材および測定部材の具体的な形状の点において第2実施形態と相違する。
【0062】
図8、
図9(A)、
図9(B)、および
図10に示すように、第3実施形態の距離測定装置12は、測長器100を垂下した状態で保持した測定部材315と、測定部材315が移動可能に配置されるレール部材207(ベース部材に相当する)と、を有することができる。測定部材315は、複数の(図示では4個の)測長器100を有することができる。複数の測長器100は、反応管910のピッチpaに合わせて配列できる。第3実施形態の場合においては、
図8に示すように、レール部材207に配置された測定部材315が移動する方向と平行をなす4本の直線を基準線L01、L02、L03、L04とする。管板916を上方から平面視したとき、基準線L01、L02、L03、L04は、
図8に付された直線Lm1、Lm2、Lm3、Lm4(測定部材315を順次移動させて複数の測長器100によって空間長を測定する反応管910の列)と平行である。
図3Aにおいて説明したのと同様に、反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L11と基準線L01とが同一平面上において成す角度は、基準線L01に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L12と基準線L02とが同一平面上において成す角度は、基準線L02に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L13と基準線L03とが同一平面上において成す角度は、基準線L03に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L14と基準線L04とが同一平面上において成す角度は、基準線L04に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。測長器100の測定方向D1は、測定部材315がレール部材207に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。そして、測定部材315は、一の反応管910の距離を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次移動可能にレール部材207に配置できる。
【0063】
測定部材315は、レール部材207に配置された状態のまま、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行になる状態を保ったまま、スライド移動可能である。距離測定装置12は、複数個のレール部材207を有することができる。管板916を上方から平面視したとき、複数個(例えば、2個)のレール部材207は、平行をなして配列できる。
【0064】
図9(A)および
図9(B)に示すように、レール部材207は、断面がレール形状を有する部材から構成できる。第3実施形態のレール部材207は、例えば、リニアガイド236のレールから構成することができる。この場合、レール部材207に嵌り合うリニアガイド236の可動ブロック230は、測定部材315が備える後述のスライダー317に備えることができる。リニアガイド236の可動ブロック230は、周知のように、ベアリングが内蔵され、ベアリングの転がり運動によってレール部材207に沿って真っ直ぐスライド移動することができる。リニアガイドにおけるレールと可動ブロックとは、通常、レール側の曲面とベアリングの球面との点接触となる。測定部材315は、スライダー317の可動ブロック230がレール部材207に嵌り合って、レール部材207から垂下できる。
【0065】
距離測定装置12は、レール部材207を支持し、レール部材207を管板916の上に着脱自在に取り付ける支持脚406をさらに有することができる。レール部材207は、支持脚406を介して管板916の平滑面930の上に配置できる。支持脚406は必ずしも管板916の平滑面930の上に配置されていなくてもよく、レール部材207がぐらつくことなく安定して配置されていればよい。
【0066】
支持脚406は、レール部材207を管板916の上方位置に位置させることができる。支持脚406の構造は、測定部材315を移動させる際に邪魔にならない限り特に限定されない。支持脚406は、例えば、アングル材を使用できる。それぞれの支持脚406は、伸縮自在な構成を有し、管板916からのレール部材207の高さを調整できる。管板916とレール部材207との間の空間は、測定部材315の移動空間として利用できる。
【0067】
支持脚406は、レール部材207が設置されたフレーム体231を介して、レール部材207を支持できる。フレーム体231は、平板鋼から形成することができる。なお、支持脚406は、フレーム体231を介することなく、レール部材207を直接支持して、管板916の上に着脱自在に取り付けることができる。
【0068】
距離測定装置12は、レール部材207に沿って測定部材315をスライド移動させる駆動部232を有することができる。駆動部232の構造は限定されないが、例えば、
図8、
図9(A)、および
図10に示すように、駆動部232は、フレーム体231に回転自在に支持されたボールねじ233と、ボールねじ233を回転駆動するモーター234と、ボールねじ233が挿通される作動プレート235と、を有することができる。モーター234は、フレーム体231に取り付けることができる。作動プレート235は、測定部材315のスライダー317に取り付けることができる。ボールねじ233は、作動プレート235のねじ穴に嵌り合うことができる。このような構造を有する駆動部232の場合は、スタートボタンを押してモーター234によってボールねじ233を回転駆動すると、作動プレート235は、ボールねじ233が嵌り合っているためボールねじ233の軸方向に移動する。これによって、測定部材315は、
図8に白抜き矢印によって示される方向に前進移動できる。モーター234によってボールねじ233を逆方向に回転駆動すると、測定部材315は、逆の方向に後退移動できる。
【0069】
リニアガイド236はレール部材207に嵌り合う可動ブロック230が真っ直ぐスライド移動する。リニアガイド236をレール部材207として用いる第3実施形態おいては、説明の便宜上、可動ブロック230の上面を、レール部材207のスライド面225と称する。
図3B(A)および
図3B(B)において説明したのと同様に、レール部材207を反応器900に取り付けたとき、反応管910の軸長方向D2が必ずしもレール部材207のスライド面225に垂直でなくてもよい。反応管910の軸長方向D2がレール部材207のスライド面225に垂直でない場合であっても、測定部材315がレール部材207に配置された状態において測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなすことによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。
【0070】
測定部材315は、測長器100を垂下した状態で保持するアダプター316と、レール部材207に配置されるスライダー317と、を有することができる。1個のスライダー317の下面に、複数個(例えば、図示例では4個)のアダプター316を配置することができる。スライダー317を備えることにより、測定部材315をレール部材207に沿わせて円滑にスライド移動させることができる。スライダー317におけるアダプター316を保持する面は、レール部材207のスライド面225と平行である。
【0071】
アダプター316は、測長器100の測定方向D1の向きを調整する調整機構を有することができる。調整機構は、上述した第1実施形態のアダプター301と同様に、自由雲台や複数の蝶ネジ式固定具等を有し、測長器100の測定方向D1を自由に調整できる。測長器100の測定方向D1は、測定部材315がレール部材207に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。測長器100の測定方向D1の調整は上述した第1実施形態において説明したのと同様の方法で行えばよい。第3実施形態は4個の測長器100を有するので、4個の測長器100の測定方向D1を調整する。
【0072】
第3実施形態においては、4個の測長器100を有する場合を例示したが、1~3個の測長器100や、5個以上の測長器100を有することができる。
【0073】
<距離測定装置13(第4実施形態)>
図11(A)は、第4実施形態の距離測定装置を示す
図9(A)に相当する断面図、
図11(B)は、
図11(A)の2点鎖線によって囲まれた11Bの部分を拡大して示す断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0074】
第4実施形態は、ベース部材の具体的な形状の点において第3実施形態と相違し、その他の点において第3実施形態と共通する。
【0075】
図11(A)および
図11(B)に示すように、第4実施形態の距離測定装置13は、測長器100を垂下した状態で保持した測定部材242と、測定部材242が移動可能に配置されるレール部材240(ベース部材に相当する)と、を有することができる。
【0076】
図11(A)および
図11(B)に示すように、レール部材240は、断面がレール形状を有する部材から構成できる。第4実施形態のレール部材240は、断面が凹形状の凹部243を有することができる。この場合、レール部材240の凹部243に嵌り合うブロック244は、測定部材242のスライダー246に備えることができる。ブロック244の凸部245とレール部材240の凹部243との滑り運動によって、スライダー246のブロック244は、レール部材240に沿って案内される。レール部材240の凹部243の底面が接触面241となる。
【0077】
距離測定装置13は、レール部材240に沿って測定部材242をスライド移動させる駆動部232を有することができる。駆動部232は、第3実施形態と同様に構成できる。
【0078】
<距離測定装置14(第5実施形態)>
図12は、第5実施形態の距離測定装置14を模式的に示す斜視図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
図12に二点鎖線によって示される直線Lmは、測定部材320を順次移動させて空間長を測定する反応管910の列を示している。
【0079】
図12に示すように、第5実施形態の測定部材320は、測長器100を保持するアダプター301と、レール部材200の接触面220に配置されるプレート部材321を有することができる。一対のプレート部材321は、天板322に接続され、略ボックス形状を形成できる。アダプター301は、天板322に取り付けられている。測定部材320は、プレート部材321の下端面が接触面220に面接触して配置できる。プレート部材321が面接触することにより、測定部材320を接触面220に安定して配置できる。
【0080】
<距離測定装置15(第6実施形態)>
図13は、第6実施形態の距離測定装置15を示す
図1(B)に相当する断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0081】
図13に示すように、第6実施形態の測定部材300は、レール部材200の接触面220に配置されるスライダー325を有することができる。スライダー325は、ボールジョイント326を介して脚部材303の先端部に接続できる。スライダー325は、脚部材303の姿勢に拘わらず、レール部材200の接触面220に配置できる。スライダー325を備えることにより、測定部材300をレール部材200に沿わせて円滑にスライド移動させることができる。
【0082】
<距離測定装置16(第7実施形態)>
図14は、第7実施形態の距離測定装置16を示す
図2に相当する断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0083】
ベース部材は、管板916の上に取り付けられる場合に限定されるものではなく、適宜改変できる。
【0084】
図14に示すように、第7実施形態の距離測定装置16は、測定部材300が移動可能に配置されるレール部材200(ベース部材に相当する)を有することができる。距離測定装置16は、レール部材200を支持し、レール部材200を管板916の上に着脱自在に取り付ける支持脚210をさらに有することができる。支持脚210は、レール部材200の下面に取り付けることができる。第7実施形態の支持脚210は、下端側の先端が先細りに形成されたテーパ形状を有することができる。支持脚210の先端は、反応管910の開口911を越えて反応管910の内部に入り込むことができる。支持脚210の上端側の基端は、反応管910の開口911の内径寸法よりも大きい外径寸法を有することができる。そして、レール部材200は、反応管910の開口911に挿入された支持脚210を介して、反応管910に取り付けられる。
【0085】
第7実施形態によれば、ベース部材を安定させて配置できる部位が管板916に無い場合であっても、ベース部材としてのレール部材200を敷設できる。このように敷設したレール部材200は、
図3B(A)および
図3B(B)において説明したように、反応管910の軸長方向D2に対して接触面220が必ずしも垂直でなくてもよい。反応管910の軸長方向D2が接触面220に垂直でない場合であっても、測定部材300が接触面220に配置された状態において測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなすことによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。
【0086】
<距離測定装置17(第8実施形態)>
図15は、第8実施形態の距離測定装置17を示す
図2に相当する断面図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
図15に示す符号P1、P2、P3は、測長器100によって空間長を測定する位置を模式的に示している。
【0087】
ベース部材は、レール形状を有する場合に限定されるものではなく、適宜改変できる。さらに、測定部材は、測定者の手動によって移動する態様に限定されるものではなく、適宜改変できる。
【0088】
図15に示すように、第8実施形態の距離測定装置17は、測長器100を保持した測定部材330と、測定部材330が移動可能に配置されるプレート部材215(ベース部材に相当する)と、を有することができる。第8実施形態の測定部材330は、プレート部材215に配置され自走可能な走行台車333を有することができる。測長器100の測定方向D1は、走行台車333がプレート部材215に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。そして、走行台車333は、一の反応管910の距離を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次移動可能にプレート部材215に配置できる。
【0089】
プレート部材215の接触面227は、平滑な連続する平面とすることができる。走行台車333は、プレート部材215に配置された状態のまま、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行になる状態を保ったまま、スライド移動可能である。
【0090】
プレート部材215は、プレート形状を有する部材から構成できる。プレート部材215は、貫通孔217が複数形成された多孔プレートから形成できる。貫通孔217は、開口911とほぼ同じ大きさ、ないしは、開口911よりも若干広い大きさを有することができる。複数の貫通孔217は、反応管910のピッチpaに合わせて形成できる。プレート部材215は、貫通孔217と開口911とがほぼ重なるように、反応器900に取り付けることができる。
【0091】
距離測定装置17は、プレート部材215を支持し、プレート部材215を管板916の上に着脱自在に取り付ける支持脚201をさらに有することができる。支持脚201は、プレート部材215の下面に取り付けることができる。プレート部材215は、支持脚201を介して管板916の平滑面930の上に配置できる。支持脚201は必ずしも管板916の平滑面930の上に配置されていなくてもよく、プレート部材215がぐらつくことなく安定して配置されていればよい。プレート部材215は、取り付け位置を調整した後、図示しないクランプ治具等によって、反応器900の外周壁や反応管910等に固定できる。
【0092】
図3B(A)および
図3B(B)において説明したように、プレート部材215を反応器900に取り付けたとき、必ずしも反応管910の軸長方向D2が接触面227に垂直になっていなくてもよい。反応管910の軸長方向D2が接触面227に垂直でない場合であっても、走行台車333がプレート部材215に配置された状態において測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなすことによって、反応管910の開口911から固形物920までの距離(空間長)を測定できる。
【0093】
走行台車333は、測長器100を保持するアダプター331を有し、プレート部材215の接触面227の上を自走できる。走行台車333は、モーター等によって回転駆動される車輪、モーターの駆動や測長器100の測定動作を制御するコントローラ、制御プログラムやデータを記憶するメモリ、バッテリー等を有することができる。走行台車333は、Bluetooth(登録商標)等によって外部のパーソナルコンピュータや携帯端末等に接続でき、外部機器との間でデータや制御信号を送受信できる。走行台車333は、プレート部材215の接触面227に貼られた光学反射板や磁気テープ等の誘導板によって誘導されることができる。走行台車333は、誘導板を検出する光学式センサーや磁気センサー等のセンサー332を有することができる。走行台車333は、予め定められたルートで走行したり、予め定められた位置に停止したりできる。測長器100は、プレート部材215の貫通孔217を通して、レーザーを反応管910の内部に照射できる。走行台車333は、停止した位置において、測長器100によって反応管910の空間長を測定できる。プレート部材215の貫通孔217のそれぞれは、反応管910のそれぞれに対応して形成できる。走行台車333が停止した位置に基づいて、その位置に存在する反応管910が設計データ上のどの反応管910であるかを特定できる。空間長の測定値は、設計データ上の反応管910の番号と関連付けて記憶できる。
【0094】
走行台車333は、誘導走行によって決められたルートを自走する場合に限定されない。走行台車333は、自律走行によって不定形のルートを自走できる。走行台車333は、自律走行のために、走行距離を測定するセンサー、走行の方位を検出するジャイロセンサー、貫通孔217を検出するセンサー等を有することができる。
【0095】
なお、第8実施形態の走行台車333を、上述した第1実施形態の距離測定装置10や第7実施形態の距離測定装置16等に適用することもできる。この場合、走行台車333は、レール部材200の接触面220の上を自走できる。
【0096】
第8実施形態における距離測定は、走行台車333を自走させて空間長を測定する反応管910について、測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、走行台車333を平滑な接触面227に沿って順次移動させ、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。さらに、走行台車333が自走して反応管910の空間長を測定するため、データの収集がより簡単になる。
【0097】
以上述べたような本発明の距離測定装置において、測定部材をスライド移動させるための手段は特に限定されず、手動によって移動させてもよいし、別途駆動装置を取り付けて遠隔操作によって該駆動装置を作動および停止させることで移動させてもよい。
【0098】
<距離測定装置10(第1実施形態)による距離測定方法>
次に、上述した第1実施形態の距離測定装置10を用いて、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に測定する方法について説明する。
【0099】
本発明における距離測定方法は、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管について、反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離を非接触に測定する距離測定方法であって、測長器を保持した測定部材を移動可能にベース部材に配置し、ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線を基準線として、反応管の軸長方向と平行をなす直線と基準線とが同一平面上において成す角度は、基準線に沿って並んだ複数の反応管について一定であり、測長器の測定方向は、測定部材がベース部材に配置された状態において反応管の軸長方向と平行をなし、測定部材を、一の反応管の距離を測定した位置から、他の反応管の距離を測定する位置に順次移動して、距離を順次測定する方法である。
【0100】
すなわち、本発明における距離測定方法の一つは、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管について、反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離(空間長)を非接触に測定する距離測定方法であって、本発明の第1実施形態の距離測定装置10を用いて、測長器100によって距離を非接触に測定する方法である。
【0101】
第1実施形態の距離測定装置10を用いた距離測定方法は、
図1(A)および
図2に示すように、まず、レール部材200(ベース部材に相当する)を、支持脚201を介して管板916の上に配置する。レール部材200の接触面220は、平滑な連続する平面とすることができる。測長器100を保持した測定部材300を、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなして接触面220に配置する。なお、この際、必要に応じて、測長器100について、上述したようなオフセット寸法に基づく補正を行っておくことが好ましい。
【0102】
次いで、
図2に示すように、測定者は、測定部材300を位置P1にスライド移動し、位置P1において測長器100によって反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定する。その後、測定者は、測定部材300を位置P1から位置P2にスライド移動し、位置P2において測長器100によって反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定する。その後、測定者は、測定部材300を位置P2から位置P3にスライド移動し、位置P3において測長器100によって反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定する。このように、測定部材300を、一の反応管910の空間長を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の空間長を測定する位置P2(P3)に順次スライド移動して、空間長を順次測定する。
【0103】
なお、一つの反応管910の開口911から固形物920までの距離を測定する際に、例えば、位置P1について唯一つの位置のみで測定し、すなわち、一つの反応管910について1点だけの測定を行なって、そのデータを測定結果としてもよいが、開口911の範囲内において測定部材を位置P1からわずかにスライドさせながら複数の位置で測定を行ない、それらのデータの算術平均を求めて測定結果としてもよい。一つの反応管910の開口911から固形物920までの距離について、複数の位置で測定したデータに基づいた結果を採用することにより、測定誤差が小さくなるため好ましい。
【0104】
反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L1とレール部材200に配置された測定部材300が移動する方向と平行をなす直線である基準線L0とが同一平面Nの上において成す角度αは、基準線L0に沿って並んだ複数の反応管910について一定である(
図3Aを参照)。さらに、測長器100の測定方向D1は、測定部材300がレール部材200に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。したがって、測定部材300をレール部材200に沿ってスライド移動しても、測長器100の測定方向D1は、空間長を測定するいずれの反応管910の軸長方向D2とも平行をなす。このため、測定部材300をレール部材200に沿ってスライド移動させることにより、複数の反応管910の空間長を順次測定することが可能となる。測定部材300をスライド移動させて空間長を測定する反応管910の列(
図1(A)の直線Lm)について、測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、測定部材300をレール部材200に沿って順次移動させ、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。
【0105】
充填物の充填高さの測定時間が短縮されることを通して、充填物の充填/交換作業時の工期を短縮でき、作業に伴う費用を削減でき、プラントの稼働率向上にも寄与できる。また、多管式反応器900の反応管910に充填される触媒等の充填高さのバラツキを効率的に抑えることができるため、好ましい状態で接触反応を行なわせることができる。
【0106】
本発明の測定方法では、第1実施形態の距離測定装置10だけでなく、第5実施形態(
図12)、第6実施形態(
図13)、第7実施形態(
図14)、および第8実施形態(
図15)の距離測定装置14、15、16、17も、同様に使用できる。
【0107】
<距離測定装置11(第2実施形態)による距離測定方法>
次に、上述した第2実施形態の距離測定装置11を用いて、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に測定する方法について説明する。
【0108】
すなわち、本発明における距離測定方法の一つは、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管について、反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離(空間長)を非接触に測定する距離測定方法であって、本発明の第2実施形態の距離測定装置11を用いて、測長器100によって距離を非接触に測定する方法である。
【0109】
第2実施形態の距離測定方法は、
図6および
図7に示すように、まず、レール部材202(ベース部材に相当する)を、支持脚401を介して管板916の上に配置する。レール部材202の接触面222、223は、平滑な連続する平面とすることができる。支持脚401は、レール部材202を管板916の上方位置に位置させることができる。測長器100を保持した測定部材305、306を、スライダー307、308が接触面222、223に接触し、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなしてレール部材202に配置する。
【0110】
次いで、
図6に示すように、測定者は、測定部材305、306を位置P1にスライド移動し、位置P1において測長器100によって反応管910の空間長を測定する。その後、測定者は、測定部材305、306を位置P1から位置P2にスライド移動し、位置P2において測長器100によって反応管910の空間長を測定する。その後、測定者は、測定部材305、306を位置P2から位置P3にスライド移動し、位置P3において測長器100によって反応管910の空間長を測定する。このように、測定部材305、306を、一の反応管910の空間長を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の空間長を測定する位置P2(P3)に順次スライド移動して、空間長を順次測定する。
【0111】
次いで、測定者は、他方の測定部材305、306についても上記の手順と同様に、一の反応管910の空間長を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の空間長を測定する位置P2(P3)に順次スライド移動して、空間長を順次測定する。なお、上述したように、測定位置を少しずつずらしながら、一つの反応管910について複数点で測定してもよい。
【0112】
反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L11、L12とレール部材202に配置された測定部材305、306が移動する方向と平行をなす直線である基準線L01、L02とが同一平面上において成す角度は、基準線L01、L02に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。さらに、測長器100の測定方向D1は、測定部材305、306がレール部材202に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。したがって、測定部材305、306をレール部材202に沿ってスライド移動しても、測長器100の測定方向D1は、空間長を測定するいずれの反応管910の軸長方向D2とも平行をなす。このため、測定部材305、306をレール部材202に沿ってスライド移動させることにより、複数の反応管910の空間長を順次測定することが可能となる。測定部材305、306をスライド移動させて空間長を測定する反応管910の列(
図6の直線Lm1、Lm2)について、測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、測定部材305、306をレール部材202に沿って順次移動させ、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。
【0113】
<距離測定装置12(第3実施形態)による距離測定方法>
次に、上述した第3実施形態の距離測定装置12を用いて、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に測定する方法について説明する。
【0114】
すなわち、本発明における距離測定方法の一つは、互いに平行に配列された複数の反応管が管板に接合された反応器において、複数の反応管のうちの少なくとも一部分の反応管について、反応管の軸長方向の端部に形成された開口から、反応管の内部に充填された触媒および/または不活性物質の粒状の固形物までの距離(空間長)を非接触に測定する距離測定方法であって、本発明の第3実施形態の距離測定装置12を用いて、測長器100によって距離を非接触に測定する方法である。
【0115】
第3実施形態の距離測定方法は、
図8に示すように、まず、レール部材207(ベース部材に相当する)を、支持脚406を介して管板916の上に配置する。支持脚406は、レール部材207を管板916の上方位置に位置させることができる。測長器100を保持した測定部材315を、スライダー317の可動ブロック230がレール部材207に嵌り合い、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなしてレール部材207に配置する。
【0116】
次いで、
図8に示すように、測定者は、測定部材315を位置P1にスライド移動し、位置P1において4個の測長器100によって4本の反応管910の空間長を測定する。その後、測定者は、測定部材315を位置P1から位置P2にスライド移動し、位置P2において4個の測長器100によって4本の反応管910の空間長を測定する。その後、測定者は、測定部材315を位置P2から位置P3にスライド移動し、位置P3において4個の測長器100によって4本の反応管910の空間長を測定する。このように、測定部材315を、一の反応管910の空間長を測定した位置P1(P2)から、他の反応管910の距離を測定する位置P2(P3)に順次スライド移動して、空間長を順次測定する。なお、上述したように、測定位置を少しずつずらしながら、一つの反応管910について複数点で測定してもよい。
【0117】
反応管910の軸長方向D2と平行をなす直線L11、L12、L13、L14とレール部材207に配置された測定部材315が移動する方向と平行をなす直線である基準線L01、L02、L03、L04とが同一平面上において成す角度は、基準線L01、L02、L03、L04に沿って並んだ複数の反応管910について一定である。さらに、測長器100の測定方向D1は、測定部材315がレール部材207に配置された状態において反応管910の軸長方向D2と平行をなしている。したがって、測定部材315をレール部材207に沿ってスライド移動しても、測長器100の測定方向D1は、空間長を測定するいずれの反応管910の軸長方向D2とも平行をなす。このため、複数の反応管910の空間長を測定することが可能となる。測定部材315をスライド移動させて空間長を測定する反応管910の列(
図8の直線Lm1、Lm2、Lm3、Lm4)について、測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、測定部材315をレール部材207に沿って順次移動させ、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。
【0118】
本発明の測定方法では、第3実施形態の距離測定装置12だけでなく、第4実施形態(
図11(A)および
図11(B))の距離測定装置13も、同様に使用できる。
【0119】
<距離測定方法の参考例1>
次に、距離測定方法の参考例1として、管板916が連続した平滑面930を有している場合において、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に測定する方法について説明する。
【0120】
図16は、距離測定方法の参考例1を具現化した様子を模式的に示す斜視図である。なお、上述した実施形態と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0121】
図4(A)および
図4(B)に示したように、管板面は、溶接ビードやスパッタ等の溶接痕によって凹凸が生じ、平滑ではない部分が生じている。ただし、溶接痕は反応管910の外周部に集中しているため、一の反応管910とそれに隣接する他の反応管910との間の中間部には溶接痕が無く、管板916は、途切れのない連続した平滑面930を有している場合がある。このような場合、管板916の平滑面930は、通常、反応管910の軸長方向D2と成す角度が一定となっているため、測定部材300を管板916上の平滑面930に接触した状態のままスライド移動できる。
【0122】
測定部材300は、上述した第1実施形態の測定部材300と同様に形成できる。測定部材300は、測長器100を保持するアダプター301と、管板916の平滑面930に配置される3本以上(図示では3本)の脚部材303と、を有することができる。3本の脚部材303は、例えば、三脚から構成できる。脚部材303のそれぞれは、伸縮自在な構成を有し、長さを調整できる。測定部材300は、脚部材303の先端部が平滑面930に接触して管板916に配置できる。測長器100を保持するアダプター301は、一つの三脚に1個のみ接続されてもよいし、複数個接続されていてもよい。脚部材303(三脚)に複数個の測長器100を保持可能とすることによって、同時に複数の反応管910の空間長を測定できる。
【0123】
距離測定方法の参考例1は、
図16に示すように、まず、測長器100を保持した測定部材300を、管板916の平滑面930に接触させ、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなして管板916に配置する。
【0124】
次いで、測定者は、測定部材300を、管板916の平滑面930に接触させた状態のまま順次スライド移動させ、空間長を順次測定する。
【0125】
複数の反応管910は互いに平行である。したがって、管板916が連続した平滑面930を有している場合には、測定部材300を管板916の平滑面930に沿ってスライド移動しても、測長器100の測定方向D1は、空間長を測定するいずれの反応管910の軸長方向D2とも平行をなす。このため、このような場合は、測定部材300を管板916の平滑面930に沿ってスライド移動させることにより、複数の反応管910の空間長を順次測定することが可能となる。測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、測定部材300を管板916の平滑面930に沿って順次移動させ、適切な位置に再配置することで、複数の反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。
【0126】
<距離測定方法の参考例2>
次に、距離測定方法の参考例2として、管板916が連続しない平滑面930を有している場合において、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に測定する方法について説明する。
【0127】
図17は、距離測定方法の参考例2を具現化した様子を模式的に示す図である。
図18(A)は、複数の反応管910が接合された管板916を示す断面図、
図18(B)は、管板916を示す
図18(A)の上面図である。なお、上述した実施形態および距離測定方法の参考例1と共通する部材には同一の符号を付して、その説明は一部省略する。
【0128】
図18(A)および
図18(B)に示すように、管板面は、溶接ビードやスパッタ等の溶接痕によって凹凸が生じることで、平滑ではない部分が生じ、反応管910のピッチpbによっては、管板916の平滑面930は、凸部931によって周囲が囲まれ、かつ、規則的に、または、不規則的に連続していない場合がある。管板916の平滑面930は、通常、反応管910の軸長方向D2と成す角度が一定となっているが、このような場合、平滑面930が連続しないため、距離測定方法の参考例1のように測定部材300を管板916の平滑面930に沿って順次スライド移動させることができない。したがって、測定部材300は、管板916から離間させた状態、つまり持ち上げた状態で移動させることになる。凸部931は、例えば、反応管910を管板916に溶接接合するときの溶接ビードである。凸部931によって周囲が囲まれた平滑面930の相対位置にほとんどズレが無い状態である場合において、測定部材300を持ち上げて移動することで、脚部材303の位置や長さをその都度調整することなく、複数の反応管910の開口911から固形物920までの距離を順次測定できる。
【0129】
距離測定方法の参考例2は、
図17に示すように、まず、測長器100を保持した測定部材300を、凸部931によって周囲が囲まれた平滑面930に接触させ、かつ、測長器100の測定方向D1が反応管910の軸長方向D2と平行をなして管板916に配置する。
【0130】
次いで、測定者は、測定部材300を、管板916の平滑面930から離間させた状態で順次移動させ、別の平滑面930に接触して管板916に配置することにより、空間長を順次測定する。
【0131】
管板916の平滑面930は、通常、反応管910の軸長方向D2と成す角度が一定となっており、かつ、複数の反応管910は互いに平行である。このため、凸部931によって周囲が囲まれた平滑面930の相対位置にほとんどズレが無い状態である場合において、測定部材300を管板916の平滑面930から持ち上げて移動しても、測定部材300は適切な位置に配置される。また、その場合、測長器100の測定方向D1は、複数の反応管910の軸長方向D2と平行をなしているため、測定者は、測長器100によって測定する測定方向D1を反応管910の軸長方向D2と平行にする調整作業を繰り返す必要がない。したがって、測定部材300を管板916の平滑面930に沿って順次移動させ、反応管910の開口911から固形物920までの距離を非接触に簡易かつ迅速に測定できる。なお、測長器100を保持するアダプター301は、一つの三脚に1個のみ接続されてもよいし、複数個接続されていてもよい。脚部材303(三脚)に複数個の測長器100を保持可能とすることによって、同時に複数の反応管910の空間長を測定できる。
【0132】
以上、種々の実施形態および変形例を通じて本発明の距離測定装置および距離測定方法を説明したが、本発明は明細書において説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更できる。
【0133】
例えば、第1実施形態(
図1(A)、
図2)、第2実施形態(
図7)、第3実施形態(
図8、
図9(A))、第4実施形態(
図11(A))、第5実施形態(
図12)、第6実施形態(
図13)、第7実施形態(
図14)、および距離測定方法の参考例1(
図16)において、測定部材は、接触面と接触する端部に、転動自在なコロやキャスター等を有することができる。測定部材は、接触面上でより滑らかに移動できる。
【符号の説明】
【0134】
10、11、12、13、14、15、16、17 距離測定装置
100 測長器
200 レール部材(ベース部材)
201 支持脚
202 レール部材(ベース部材)
203 下ケーシング
204 上ケーシング
205、206 スライド溝
207 レール部材(ベース部材)
210 支持脚
215 プレート部材(ベース部材)
217 貫通孔
220 接触面
221 ガイド溝
222、223 接触面
225 スライド面
227 接触面
230 可動ブロック
231 フレーム体
232 駆動部
233 ボールねじ
234 モーター
235 作動プレート
236 リニアガイド
240 レール部材
241 接触面
242 測定部材
243 凹部
244 ブロック
245 凸部
246 スライダー
300 測定部材
301 アダプター
303 脚部材
305、306 測定部材
307、308 スライダー
310、311 アダプター
315 測定部材
316 アダプター
317 スライダー
320 測定部材
321 プレート部材
322 天板
325 スライダー
326 ボールジョイント
330 測定部材
331 アダプター
332 センサー
333 走行台車
341 ベース部材
341a 接触面
342 測定部材
342a 接触面
343 ベース部材
343a 接触面
344 測定部材
344a 接触面
345 ベース部材
345a 接触面
346 測定部材
346a 接触面
347 ベース部材
347a 接触面
348 測定部材
348a 接触面
401 支持脚
406 支持脚
900 反応器
910 反応管
911 開口
913 下端開口部
914 第1の層
915 第2の層
916 管板
920 固形物
930 平滑面
931 凸部
D1 測定方向
D2 軸長方向
L0、L01、L02、L03、L04 基準線(ベース部材に配置された測定部材が移動する方向と平行をなす直線)
L1、L11、L12、L13、L14 反応管の軸長方向と平行をなす直線
Lm、Lm1、Lm2、Lm3、Lm4 測定部材を順次移動させて空間長を測定する反応管の列
M1 固形物
M2 固形物
N 平面
P1、P2、P3 測長器によって空間長を測定する位置
pa、pb ピッチ
α 反応管の軸長方向と平行をなす直線と基準線とが同一平面上において成す角度