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特許7157254互いに分離された複数の放熱体を備えた電気装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】互いに分離された複数の放熱体を備えた電気装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20221012BHJP
【FI】
H02K11/33
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021533434
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2019083174
(87)【国際公開番号】W WO2020120178
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102018221762.9
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ヘスラー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ハンス-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】メスナー,イェルク
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2016/132474(JP,A1)
【文献】特開2018-122665(JP,A)
【文献】特開2014-068496(JP,A)
【文献】特開2013-201804(JP,A)
【文献】再公表特許第2015/186455(JP,A1)
【文献】特開2016-208766(JP,A)
【文献】特開2018-196193(JP,A)
【文献】特開2018-082514(JP,A)
【文献】特開2015-089215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(4)と、前記ハウジング(4)内に収容された制御器とを備えた電気装置(1)、特に電子整流式電動機であって、
前記制御器が、回転磁場を生成するために前記装置(1)を制御するように構成されており、
前記ハウジング(4)が、中空空間(7)を包囲しているハウジングカップ(5)とハウジングカバー(6)とを有しており、
前記装置(1)が軸受台(11)を備え、前記軸受台(11)が、前記ハウジングカップ(5)に収容されるとともに前記ハウジングカップ(5)と熱伝導結合しており、
前記装置(1)が、前記ハウジングカップ(5)と、および第1の回路基板(14)を含む制御ユニットのうちの少なくとも1つのコンポーネントまたは複数のコンポーネントと、熱伝導結合する冷却板(13)を備えており、
前記装置(1)が、半導体スイッチ(16、17、36、37)が結合された第2の回路基板(12)を含むインバータを備え、かつ前記第2の回路基板(12)が前記軸受台(11)と熱伝導結合しており、前記第2の回路基板(12)は前記第1の回路基板(14)とは異なり、
前記軸受台(11)と前記冷却板(13)とが、互いの間に前記中空空間(7)の一部(9)を挟み込み、かつ前記中空空間(7)の前記一部(9、35)に前記制御ユニットおよび前記インバータが収容されている、
ことを特徴とする電気装置(1)。
【請求項2】
前記制御ユニットと前記インバータとが、特に各相に対して、少なくとも1つの差込コンタクト(19、20)により相互に電気的に結合していることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記冷却板(13)が前記ハウジングカップ(5)内に焼嵌めされており、このように形成されたプレス結合により、前記冷却板(13)の端面(22)が前記ハウジングカップのハウジングカップ壁と熱伝導結合していることを特徴とする請求項1または2の記載の装置(1)。
【請求項4】
前記ハウジングカバー(6)が、前記冷却板(13)と差込結合部(21、33)によって差込結合し、かつ/または、係合結合部によって係合結合していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記冷却板(13)が前記端面(22)に突起部を有し、かつ前記突起部で前記ハウジングカップ(5)の前記壁と押圧接触していることを特徴とする請求項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記ハウジングカバー(6)と前記冷却板(13)と前記制御ユニットとが、相互に結合し、かつ一緒にアセンブリを形成しており、前記アセンブリが、前記ハウジングカップ(5)と分離可能に結合していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記インバータが、前記制御ユニットおよび/または前記冷却板(13)と機械的および電気的に結合し、かつ前記アセンブリの構成要素であることを特徴とする請求項6に記載の装置(1)。
【請求項8】
電気装置(1)の製造方法であって、
前記装置が、ハウジングカップ(5)と、前記ハウジングカップのハウジング開口部を閉じるように形成されたハウジングカバー(6)とを備え、
1つのステップで、軸受台(11)が、前記ハウジングカップ(5)に嵌め込まれ、かつ前記ハウジングカップ(5)と形状結合および/または摩擦結合により結合かつ熱伝導結合し、
さらなるステップでは、冷却板(13)と、第1の回路基板(14)を含む制御ユニットと、半導体スイッチ(16、17、36、37)が結合された第2の回路基板(12)を含むインバータとが、前記ハウジングカップ(5)内に、前記制御ユニットのうちの少なくとも1つのコンポーネントまたは複数のコンポーネントが前記冷却板(13)と熱伝導結合し、前記インバータの前記第2の回路基板(12)が前記軸受台(11)と熱伝導結合されるように嵌め込まれ、前記第2の回路基板(12)は前記第1の回路基板(14)とは異なり、
前記冷却板(13)が、前記軸受台(11)に対して平行に延在するように、前記ハウジングカップ(5)と摩擦結合および/または形状結合によって熱伝導結合される、方法。
【請求項9】
前記制御ユニット、前記冷却板(13)および前記インバータが、前記ハウジングカバーと特に固く結合したアセンブリ(32)を構成することにより、前記ハウジングカップ(5)に前記アセンブリ(32)を嵌め込むと前記ハウジング開口部(8)が閉じられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却板(13)が、前記ハウジングカップ(5)に前記アセンブリ(32)を嵌め込む際に、前記ハウジングカップ(5)と圧入または焼嵌め(29)により摩擦結合によって結合されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気装置、特に電子整流式装置に関する。この装置は、ハウジングと、ハウジング内に収容された制御器とを備えている。制御器は、回転磁場を生成するために装置を制御するように構成されている。
【発明の概要】
【0002】
本発明によれば、ハウジングは、中空空間を包囲しているハウジングカップと、ハウジングカバーとを有している。この装置は、ハウジングカップに収容された軸受台を備えており、この軸受台はハウジングカップと熱伝導結合している。装置は冷却板も備えており、冷却板は、ハウジングカップおよび制御ユニットの少なくとも1つのコンポーネントまたは複数のコンポーネントと熱伝導結合している。この装置は、半導体スイッチを含むインバータを備えており、この半導体スイッチは軸受台と熱伝導結合している。軸受台と冷却板が、中空空間の一部を互いの間に挟み込んでおり、中空空間のこの一部に、制御ユニットおよびインバータが収容されている。制御ユニットのコンポーネント、特に電子コンポーネント、例えば集積回路、コンデンサまたは抵抗は、冷却板と軸受台の間に形成された中空空間内に突出していることが好ましい。インバータの半導体スイッチも、こうして形成された中空空間内に突出しており、したがってこの装置は、非常に単純に、かつコンパクトに構成され得る。こうして、制御ユニットのコンポーネントとインバータの半導体スイッチとが互いに独立して冷却され得ることが有利な点である。そうして、互いに異なる複数の放熱体で互いに異なる温度レベルが生成され得ることが有利な点であり、これにより、制御ユニットの半導体およびインバータの半導体に共通の単一の放熱体の場合と比べると、他の放熱体より低い温度のコンポーネントからの損失熱が妨げられることなく放出され得る。
【0003】
好ましい一実施形態では、制御ユニットとインバータとが、特に各相ごとに、それぞれ少なくとも1つの差込コンタクトにより、相互に電気的に結合している。こうして、例えばプリント基板を含む制御ユニットを、冷却板と一緒にコンパクトなアセンブリとしてハウジングカップに嵌め込むことができ、かつ差込コンタクトによりインバータと結合できることが有利な点である。差込コンタクトはそれぞれ圧接コンタクトとして形成されることが好ましい。こうして冷間溶接結合が生成され得ることが有利な点である。
【0004】
好ましい一実施形態では、冷却板がハウジングカップ内に焼嵌めされており、このように形成されたプレス結合により、冷却板の端面とハウジングカップのハウジングカップ壁とが熱伝導結合している。こうして冷却板とハウジングカップ壁との間の摩擦結合による結合が形成され得ることが有利な点である。こうして装置が簡単に製造され得る。このために例えば、ハウジングカップを、冷却板とハウジングカップとを結合すべき領域で、ハウジングカップ縁まで加熱することができ、これによりハウジングカップの直径が加熱によって拡張される。このハウジングカップの拡張された状態で、好ましくは既に制御ユニット、特に制御ユニットを含む回路基板を備えている冷却板を、ハウジングカップの中空空間に嵌め込むことができる。ハウジングカップを冷却することで、ハウジングカップ壁が冷却板の端面へと収縮し、これにより冷却板は、そのように形成されたプレスフィットにより、ハウジングカップと摩擦結合によって固く結合する。
【0005】
好ましい一実施形態では、ハウジングカバーが、冷却板と差込結合部によって差込結合し、かつ/または、係合結合部によって係合結合している。こうして制御ユニットが、ハウジングカバーと一緒に予め組み立てられたアセンブリとして、ハウジング開口部を閉じる際に中空空間に挿入され得ることが有利な点である。ハウジングカップ開口部が閉じられる最中に制御ユニットが嵌め込まれるときに、制御ユニットがインバータと電気的に結合され得ることがさらに好ましい。
【0006】
ハウジングカバーは、ハウジングカップとの係合結合のため、例えば係合突起を有することができ、この係合突起は、ハウジングカップの対応する空隙内に形状結合で噛み合ってそこで係合するように形成されている。
【0007】
好ましい一実施形態では、ハウジングカバーが、外側に向いた差込端部を備えており、この差込端部の差込コンタクトが制御ユニットと電気的に結合している。ハウジングカバーと、冷却板を備えた制御ユニットとを含む上述のアセンブリのコンポーネントを、相互の差し込み合わせ、ネジ固定またははんだ付けすることにより、組み立て済みのアセンブリとすることができる。
【0008】
好ましい一実施形態では、冷却板が端面に突起部を有し、この突起部でハウジングカップ壁と特に押圧接触する。冷却板が、この実施形態ではハウジングカップに圧入され得ることが有利な点である。つまり冷却板は、前述のように、ハウジングカップ内に焼嵌めされる必要がなく、したがってハウジングカップ内への冷却板の容易な圧入により、制御ユニットが容易にハウジングカップと結合され得ることが有利な点である。
【0009】
好ましい一実施形態では、ハウジングカバーと冷却板と制御ユニットとが、相互に特に固く結合し、かつ一緒にアセンブリを形成しており、このアセンブリは、ハウジングカップと特に分離可能に結合され得る。こうして装置は非常に簡単に、ハウジングカップ内へのアセンブリの差込または圧入によって提供され得る。
【0010】
好ましい一実施形態では、インバータが、制御ユニットおよび/または冷却板と機械的および電気的に結合しており、かつアセンブリの構成要素である。こうしてインバータ、特にインバータの半導体スイッチも、制御ユニットと一緒にハウジングカップと結合し得ることが有利な点である。電気端子、特にインバータの出力端子、例えばインバータのうち、装置の固定子の固定子コイルと結合する相端子は、ハウジングカップにアセンブリを嵌め込む際に、差込結合部によって固定子コイルの端子と結合され得る。
【0011】
インバータの半導体スイッチは、装置の軸受台との熱伝導結合を形成するために、熱伝導手段と、例えばディスペンシングによって結合でき、これに関してはアセンブリを中空空間に入れることで、インバータの半導体スイッチが軸受台に押し付けられ、これにより、熱伝導手段で形成された熱伝導層が、軸受台と半導体スイッチとの間に形成される。熱伝導手段は、例えば熱伝導ペーストまたは粒子充填樹脂である。粒子が充填された、特にセラミック粒子が充填された樹脂は、装置のコンポーネントをつなぎ合わせた後、例えば紫外線を使って硬化させ得る。このためにハウジングカップは例えば、紫外線源を中空空間内の熱伝導結合の領域に挿入し得る開口部を有することができる。
【0012】
本発明は電気装置の製造方法にも関し、この装置は、ハウジングカップと、ハウジングカップのハウジング開口部を閉じるよう形成されたハウジングカバーとを備えている。この方法では1つのステップで、軸受台が、ハウジングカップに嵌め込まれ、かつハウジングカップと形状結合および/または摩擦結合によって結合しかつ熱伝導結合する。
【0013】
さらなるステップでは、冷却板が、ハウジングカップ内で、制御ユニットおよび制御ユニットと結合したインバータと共に、インバータの半導体スイッチが軸受台と熱伝導結合するように嵌め込まれる。その際にまたはさらなるステップで、冷却板が、ハウジングカップ内で軸受台に対して平行に延在するように、摩擦結合および/または形状結合によって熱伝導結合する。この熱伝導結合は、プレスフィットによって形成されることが好ましい。
【0014】
この方法の好ましい一変形形態では、制御ユニット、冷却板およびインバータが、ハウジングカバーと特に固く結合したアセンブリを構成し、このとき、ハウジングカップにこのアセンブリを嵌め込むと、ハウジング開口部が閉じられる。こうして装置が簡単に提供され得ることが有利な点である。
【0015】
冷却板が、ハウジングカップにアセンブリを嵌め込む際に、ハウジングカップと、圧入または焼嵌めにより摩擦結合によって結合されることが好ましい。それにより、冷却板からハウジングカップへの良好な熱伝導が生成され得ることが有利な点である。
【0016】
以下では、図およびさらなる例示的実施形態に基づいて本発明を説明する。さらなる有利な変形形態は、従属請求項および図において説明されている特徴の組合せから明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電気装置に関する1つの例示的実施形態を示す図であり、この電気装置の電気コンポーネントはコンパクトにアセンブリ内にまとめられており、これに関し、制御ユニットを冷却するための冷却板は軸受台に平行に延在しており、かつ制御ユニットの電気コンポーネントは冷却板と軸受台の間の中空空間に配置されている。
図2】装置の製造方法に関する1つの例示的実施形態を示す図であり、この方法では装置の電気コンポーネントが、装置のハウジングカップに嵌め込まれる前に差し込み合わされ、その後、コンパクトなアセンブリとしてハウジングカップに挿入され、それによりハウジングカップが閉じられ得る。
図3】装置の製造方法に関する1つの例示的実施形態を示す図であり、この方法では、ハウジングカバーと制御ユニットとインバータとを含む予め組み立てられたアセンブリがハウジングカップと結合され、その際にハウジングカップの開口部が閉じられる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、装置1に関する1つの例示的実施形態を示している。装置1は、回転子2、特に永久磁石で形成された回転子と、固定子コイルを含む固定子3とを備えている。装置1は、ハウジングカップ5およびハウジングカバー6を含むハウジング4も備えている。ハウジングカップ5は中空空間7を包囲しており、中空空間7には、回転子2、固定子3、および固定子を通電させるためのインバータ、ならびにインバータを制御するための制御ユニットが収容されている。インバータは、この例示的実施形態では、パワー半導体16,17、特に、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチが結合された回路基板12を含んでいる。制御ユニットは、この例示的実施形態では、回路基板14であって、装置1を電気的に制御するための処理ユニット15、特にマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサが結合された回路基板14を含んでいる。
【0019】
装置1は軸受台11も含んでおり、軸受台11は、中空空間7に収容されており、かつハウジングカップ5内に焼嵌めされている。装置1は冷却板13も含んでおり、冷却板13は、中空空間7に収容されており、かつハウジングカップ5内に焼嵌めされている。こうして軸受台11も冷却板13も、冷却板13の端面22または軸受台11の端面25を介して、ハウジングカップ5と熱伝導結合している。
【0020】
制御ユニット、特に制御ユニットのうち損失熱を生成するコンポーネント、例えば処理ユニット15は、冷却板13と熱伝導結合し、かつ、回路基板14を通して、損失熱を冷却板13に伝導し得る。
【0021】
インバータは、この例示的実施形態では、軸受台11と熱伝導結合している回路基板12、例えばセラミック回路基板を含んでいる。こうして半導体スイッチ16,17は回路基板12を通して、特にスラグダウン(Slug-Down)配置で、軸受台11に損失熱を伝導することができ、そこから損失熱40は軸受台11の端面25を介してハウジングカップ5に放出され得る。
【0022】
軸受台11は、この例示的実施形態では、回転子軸受38のための凹部を有しており、この凹部内に回転子軸受38が配置されている。回転子2は、この例示的実施形態では、回転子シャフト41を含んでおり、回転子シャフト41は、軸受台11における貫通孔を介して、および回路基板12における貫通孔を介して突出している。この例示的実施形態では、制御ユニットの回路基板14とインバータの回路基板12とは、互いの間に、中空空間7のうち装置1の長手方向軸10に沿った長手区間9に広がっている一部35を挟み込んでいる。長手方向軸10は、この例示的実施形態では、回転子シャフト41の長手方向に同軸で延びている。制御ユニットは、この例示的実施形態では、回転子位置センサ18、特にホールセンサ、AMRセンサ(AMR=Anisotrope-Magneto-Resistive)、またはGMRセンサ(GMR=Giant-Magneto-Resistive)を備えており、回転子位置センサ18は、回路基板14と結合し、かつ回転子シャフト41の一方の端部に向かい合っており、こうして回転子2の回転子位置を検出し得る。
【0023】
回路基板14,12と結合している電気コンポーネント、特に電気部品は、中空空間7のうちの長手区間9に形成された一部35の内部へと延在している。つまり、インバータの回路基板12に結合している電気コンポーネントと、制御ユニットの回路基板14に結合している電気コンポーネントとは、特に長手方向軸10に沿って、互いに向かって突出している。回路基板12,14は、この例示的実施形態では、ウェブ材状の結合要素によって相互に機械的に結合しており、この結合要素のうち例示的に1つの結合要素34に符号が付けられている。制御ユニット、特に制御ユニットの回路基板14は、電気結合線により、回路基板12と、したがってインバータと電気的に結合している。こうしてインバータは電気結合線を介し、制御ユニットから、特に処理ユニット15から制御信号を受信し得る。この電気結合線のうち例示的に1本の結合線20に符号が付けられている。結合線20は、回路基板12と電気的に結合しているソケット19に通じている。こうして回路基板14は、冷却板13と一緒に、インバータとの結合のために差し込み合わされ得る。
【0024】
このために結合要素34は、差込要素としても形成されている。こうして制御ユニットとインバータとは、予め組み立てられた、特に差し込み合わされたアセンブリとして、ハウジングカップ開口部8を介してハウジングカップ5の中空空間7に嵌め込まれ得る。
【0025】
制御ユニット、特に回路基板14は、この例示的実施形態では、ハウジングカバー6に向いた差込結合部、特にソケット21および23を備えており、この差込結合部はそれぞれ、ハウジングカバー6によって包囲された中空空間内に突出している。ハウジングカバー6は、この例示的実施形態では、ハウジングカバー6に付加成形された差込結合部26を有しており、差込結合部26は差込コンタクトを含んでおり、この差込コンタクトのうち例示的に1つの差込コンタクト27に符号が付けられている。差込コンタクト27は、ハウジングカバー6を介して、ハウジングカバー6で包囲された中空空間内に導かれ、かつそこで差込結合部21に挿入され得る。冷却板13は、この例示的実施形態では、特に分離可能で機械的な差込結合部33により、ハウジングカバー6と結合している。こうしてハウジングカバー6は容易に、回路基板14および冷却板13と電気的にも機械的にも差込結合され得る。この例示的実施形態では、差込結合部33と、回路基板25、特にEMCフィルタ(EMC=Electro-Magnetic-Compatibility)が電気的および機械的に結合している。
【0026】
こうしてハウジングカバー6は、冷却板13および制御ユニットの回路基板14との差込結合により、ならびに制御ユニット、特に回路基板14とインバータの回路基板12のさらなる差込結合により、予め組み立てられたアセンブリとして、ハウジングカップ5の中空空間7にハウジングカップ開口部8を介して挿入され得る。
【0027】
図2は、図1に示した軸受台11をハウジングカップ5と結合するためのプロセスステップを示している。このためにハウジングカップ5は、軸受台11とハウジングカップ5の結合箇所からハウジングカップ5のハウジングカップ縁まで長手方向軸10に沿って延在している長手区間28において、熱線29によって加熱される。するとハウジングカップ5は、長手区間28に沿ったこの領域で膨張するので、ハウジングカップ5の直径が加熱によって拡大する。このときに、軸受台11が長手区間28の領域のハウジングカップ5内に摩擦なく挿入され得る。長手区間28におけるハウジングカップ5を冷ますことで、ハウジングカップ5、特にハウジングカップ壁が、軸受台11上で収縮し、かつ軸受台11の端面をプレスし、これによりプレスフィットが生成され得る。
【0028】
図3は、図1に示した装置1を製造するためのプロセスステップに関する1つの例示的実施形態を示している。図3は、予め組み立てられたアセンブリ32であって、ハウジングカバー6と、このハウジングカバー6と一緒に差し込まれて回路基板14を含む制御ユニットと、冷却板13と、制御ユニットと差込結合された回路基板12を含むインバータとを含む、予め組み立てられたアセンブリ32を示している。この例示的実施形態では、インバータの回路基板12と、パワー半導体、特に半導体スイッチ36,37とが、はんだ付けされており、半導体スイッチ36,37は、図1とは対照的に、回路基板12,14の間の長手区間9に形成された中空空間内に突出するのではなく、インバータの回路基板12から軸受台11に向かって延在している。つまり半導体スイッチ36,37は、スラグアップ(Slug-Up)技術により、軸受台11と熱伝導結合している。
【0029】
図2に示した軸受台11は、図3ではハウジングカップ5内に焼嵌めされた軸受台11’として図示されている。軸受台11上には、熱伝導手段30、特に熱伝導ペーストまたは熱伝導接着剤が、特に半導体スイッチ36,37と対向するように塗布されている。こうしてアセンブリ32は、ハウジングカップ開口部8を通り、半導体スイッチ36,37が軸受台11に載るまでハウジングカップ5に嵌め込まれ得る。このときに、ハウジングカップ5はハウジングカバー6で閉じられる。
【0030】
ハウジングカップ5は、アセンブリ32とつなぎ合わせる前に、冷却板13の結合箇所からハウジングカップ縁まで長手方向軸10に沿って延在する長手区間31において、熱線29によって加熱され得る。こうして冷却板13は、ハウジングカップ5の中空空間7に嵌め込まれた後、ハウジングカップ5を冷ますことでハウジングカップ5内に焼嵌めされ得る。図3とは対照的に、冷却板13はハウジングカップ5に圧入され得る。
図1
図2
図3