(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-11
(45)【発行日】2022-10-19
(54)【発明の名称】ゲートウェイ、センサ処理サーバ、ゲートウェイ制御プログラム及びゲートウェイ制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20221012BHJP
【FI】
H02J13/00 301B
(21)【出願番号】P 2022095107
(22)【出願日】2022-06-13
【審査請求日】2022-06-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592184278
【氏名又は名称】一般財団法人東北電気保安協会
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】相原 正仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】福士 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇敏
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176582(JP,A)
【文献】特開2016-1425(JP,A)
【文献】特開2011-128915(JP,A)
【文献】特開2021-100355(JP,A)
【文献】特開2000-66718(JP,A)
【文献】特開2015-172971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信する第一受信部と、
前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信する第一送信部と、
前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信する第二受信部と、
所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成する加工済センサデータ生成手段と、
前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信する第二送信部と、
を備えるゲートウェイ。
【請求項2】
前記所定の条件は、複数の、前記センサデータの加工のタイミングを含む加工方法と前記加工済センサデータの蓄積時間との組からなる
請求項1に記載のゲートウェイ。
【請求項3】
前記第一受信部はさらに、前記漏電データとともに前記漏電データを検知した時刻情報を受信し、
前記第二受信部はさらに、前記センサデータとともに前記センサデータを検知した時刻情報を受信し、
前記第二送信部は、前記加工済センサデータ、前記管理データとともに、センサデータ検知に関する時刻情報を送信する
請求項2に記載のゲートウェイ。
【請求項4】
前記加工済センサデータ生成手段は、さらに、前記漏電データを加工して前記加工済センサデータを生成する
請求項2に記載のゲートウェイ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のゲートウェイから、前記加工済センサデータを取得し、表示部に表示させる表示情報を生成するセンサ処理サーバであって、
前記ゲートウェイから取得した前記加工済センサデータを、前記所定の条件に基づいて蓄積する、
センサ処理サーバ。
【請求項6】
コンピュータに、
キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信することと、
前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信することと、
前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信することと、
所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成することと、
前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信することと、
を実行させるためのゲートウェイ制御プログラム。
【請求項7】
キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信し、
前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信し、
前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信し、
所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成し、
前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信する、
ゲートウェイ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲートウェイ、センサ処理サーバ、ゲートウェイ制御プログラム及びゲートウェイ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からビル等の電気設備の保安を目的として、キュービクルに搭載されている漏電検出装置により出力されるデータを活用して当該キュービクルを監視する業務が遂行されている。例えば、電気設備を管理している者は、漏電検出装置を使用してキュービクルの内部で漏電が発生しているか否かを監視し、法律で制定されている水準を超える漏電が発生した場合、電気保安技術者を当該キュービクルに出動させる。このような業務は、例えば、非特許文献1に記載されている要領に従って実施されている。またその他にも、月間点検、年間点検などのタイミングで、点検業務を行うことになっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】経済産業省 主任技術者制度の解釈及び運用(内規) 改正:令和3年4月1日
【0004】
しかし、上述した業務に使用されるシステムは、キュービクルから電力が供給される範囲で漏電等の不具合が発生しても、電気保安技術者に当該不具合が発生したことを示す情報しか提示することができない。また、キュービクル内の状況を確認するために種々センサを設置したシステムのも考案されているが、常時、センサデータを遠隔のサーバにアップロードし解析するとなると、通信量も大量になり、サーバの処理負荷も増大する。そのため、センサにより検出されたセンサデータの単なる蓄積や、外部への定期的な送信といった処理に終わるものが多く、必要なときに必要な形の情報を電気保安技術者に提示するには至っていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、電気保安技術者にキュービクルの状態に関する多様な情報を適切な形式で提供して活用させることができるゲートウェイ、センサ処理サーバ、ゲートウェイ制御プログラム及びゲートウェイ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るゲートウェイは、キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信する第一受信部と、前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信する第一送信部と、前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信する第二受信部と、所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成する加工済センサデータ生成手段と、前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信する第二送信部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係るゲートウェイにおいて、前記所定の条件は、複数の、前記センサデータの加工のタイミングを含む加工方法と前記加工済センサデータの蓄積時間との組からなる。
【0008】
また、本発明の一態様に係るゲートウェイにおいて、前記第一受信部はさらに、前記漏電データとともに前記漏電データを検知した時刻情報を受信し、前記第二受信部はさらに、前記センサデータとともに前記センサデータを検知した時刻情報を受信し、前記第二送信部は、前記加工済センサデータ、前記管理データとともに、センサデータ検知に関する時刻情報を送信する。
【0009】
また、本発明の一態様に係るゲートウェイにおいて、前記加工済センサデータ生成手段は、さらに、前記漏電データを加工して前記加工済センサデータを生成する。
【0010】
また、本発明の一態様に係るセンサ処理サーバは、上述のいずれかに記載のゲートウェイから、前記加工済センサデータを取得し、表示部に表示させる表示情報を生成するセンサ処理サーバであって、前記ゲートウェイから取得した前記加工済センサデータを、前記所定の条件に基づいて蓄積する、センサ処理サーバである。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るゲートウェイ制御プログラムは、コンピュータに、キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信することと、前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信することと、前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信することと、所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成することと、前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信することと、を実行させる。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るゲートウェイ制御方法は、キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信し、前記漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信し、前記キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信し、所定の条件に従って前記センサデータを加工して、加工済センサデータを生成し、前記管理データを対応付けた前記加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電気保安技術者にキュービクルの状態に関する多様な情報を適切な形式で提供して活用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る電気設備保安システムの一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るゲートウェイのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るゲートウェイのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る加工済センサデータの加工条件の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る第二送信部による送信条件の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るゲートウェイによるセンサデータの受信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係るゲートウェイによる加工済センサデータの送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係る加工済データの利用形態の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る直前情報の利用形態の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る年間情報の利用形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る電気設備保安システムの一例を示す図である。
図1に示した電気設備保安システム1は、主にビル等の受変電設備の保安監視を目的として使用されるシステムである。電気設備保安システム1は、キュービクル10と、警報処理サーバ21と、センサ処理サーバ22とを備える。
【0016】
キュービクル10は、変電所等からビル等に供給される電力の電圧をビル等で一般的に使用される電圧まで下げる設備である。
図1に示すように、キュービクル10は、漏洩電流センサ11と、センサ12-1、…及びセンサ12-k(k:1以上の整数)と、インターフェイスボックス13と、ゲートウェイ14とを備える。
【0017】
漏洩電流センサ11は、キュービクル10に搭載されており、キュービクル10の内部で漏電データを計測する装置である。また、漏洩電流センサ11は、漏電データに時刻情報を付与してゲートウェイ14に送信する。また、漏洩電流センサ11は、漏電データに関して不具合などを検知した場合、不具合に関する警報データをゲートウェイ14に送信する。
【0018】
センサ12-1、…及びセンサ12-kは、キュービクル10に設置されており、電流、電圧、温度、湿度、オゾンの濃度、臭い、超音波及び音波等の少なくとも一つを計測するセンサである。センサ12-1、…及びセンサ12-kは、いずれも自身が検出した結果に基づく情報を示すセンサデータをインターフェイスボックス13に送信する。
【0019】
インターフェイスボックス13は、センサ12-1、…及びセンサ12-kから受け取ったデータをデジタル化し、デジタル化したデータに時刻情報を付与したうえで、ゲートウェイ14に送信する。
【0020】
図2は、実施形態に係るゲートウェイのハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、ゲートウェイ14は、プロセッサ141と、主記憶装置142と、通信インターフェース143と、補助記憶装置144と、バス145と、クロック146とを備える。
【0021】
プロセッサ141は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、ゲートウェイ制御プログラムを読み出して実行し、ゲートウェイ14が有する各機能を実現させる。また、プロセッサ141は、ゲートウェイ制御プログラム以外のプログラムを読み出して実行し、ゲートウェイ14が有する各機能を実現させる上で必要な機能を実現させてもよい。
【0022】
主記憶装置142は、例えば、RAM(Random Access Memory)であり、プロセッサ141により読み出されて実行されるゲートウェイ制御プログラムその他のプログラムを予め記憶している。
【0023】
通信インターフェース143は、ネットワークを介して他の機器と通信を実行するためのインターフェース回路である。また、ネットワークは、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、インターネット、イントラネットである。
【0024】
補助記憶装置144は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0025】
バス145は、プロセッサ141、主記憶装置142、通信インターフェース143、補助記憶装置144及びクロック146を互いにデータの送受信が可能なように接続している。
クロック146は、センサ処理サーバ22が備えるクロック(不図示)と時刻同期されている。プロセッサ141は、クロック146から時刻を読み出すことにより、センサ処理サーバ22が備えるクロックと同期した時刻のタイムスタンプを、種々の情報に付与することができる。
【0026】
次に、
図3を参照しながらゲートウェイ14のソフトウェア構成について説明する。
図3は、実施形態に係るゲートウェイ14のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、ゲートウェイ14は、第一受信部1411と、第二受信部1412と、加工済センサデータ生成部1413と、データ格納部1414と、判定部1415と、第一送信部1416と、第二送信部1417とを備える。第一受信部1411、第二受信部1412、加工済センサデータ生成部1413、データ格納部1414、判定部1415、第一送信部1416及び第二送信部1417は、いずれもプロセッサ141が主記憶装置142に格納されているゲートウェイ制御プログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0027】
第一受信部1411は、漏洩電流センサ11から漏電データを受信する。この漏洩電流データには、時刻情報が付与されている。すなわち、第一受信部1411は、漏洩電流センサ11から漏洩電流データと時刻情報とを受信する。
なお、第一受信部1411は、漏洩電流センサ11からの漏洩電流データの受信に応じて、クロック146から時刻情報を受信するように構成されていてもよい。ゲートウェイ14が、受信した漏電データやセンサデータを加工する場合がある。クロック146から受信した時刻情報は、例えば、漏電データやセンサデータの加工日時に利用される。また、クロック146から受信した時刻情報は、ゲートウェイ14が加工データを送信した日時を示すタイムスタンプとして利用されてもよい。
【0028】
第二受信部1412は、インターフェイスボックス13を介してセンサ12-1、…及びセンサ12-kからセンサデータと時刻情報とを受信する。
【0029】
加工済センサデータ生成部1413は、漏電データを含むセンサデータにより示されている情報に基づいて加工済センサデータを生成する。
【0030】
図4は、実施形態に係る加工済センサデータの加工条件の一例を示す図である。
加工データ名称「直前情報」には、加工方法「センサデータの所定秒毎の最大値」と、蓄積時間「A時間」(Aは任意の数値)と、粒度「秒」とが対応づけられている。一例として、所定秒とは1秒であり、A時間とは1時間あるいは2時間である。
加工データ名称「中期情報」には、加工方法「センサデータの所定分毎の最大値」と、蓄積時間「B日」(Bは任意の数値)と、粒度「分」とが対応づけられている。一例として、所定分とは1分であり、B日とは7日あるいは10日である。
加工データ名称「日間情報」には、加工方法「毎日負荷電流の最大/最小となる時間の、センサデータ」と、蓄積時間「C日」(Cは任意の数値)と、粒度「日」とが対応づけられている。一例として、C日とは7日あるいは10日である。
なお、加工データ名称「日間情報」には、加工方法「センサデータの1日平均」が対応づけられていてもよい。
加工済センサデータ生成部1413は、これらの加工条件に基づいて、センサデータを加工して加工済センサデータを生成する。
この結果、加工済センサデータのデータ量は、ゲートウェイ14がインターフェイスボックス13から取得したセンサデータ(つまり、加工前のセンサデータ)のデータ量に比べて十分に小さいものとなる。
【0031】
図3に戻り、データ格納部1414は、第一受信部1411が受信した漏電データおよび時刻情報と、第二受信部1412が受信したセンサデータおよび時刻情報とを必要に応じて一定期間、記憶媒体に格納する。また、データ格納部1414は、加工済センサデータを記憶媒体に格納してもよい。
【0032】
判定部1415は、漏電データにより示されている警報が所定の条件を満たしているか否かを判定する。ここで言う所定の条件は、例えば、ビル等の電気設備の保安に関する法令により制定されている条件である。
【0033】
また、判定部1415は、漏電データを含むセンサデータにより示されている情報が所定の条件を満たしているか否かを判定する。ここで言う所定の条件は、例えば、一定以上の知見や技術を有する電気保安技術者により決定されている条件である。
【0034】
第一送信部1416は、警報データ及び時刻情報にゲートウェイ14を識別する管理データを付与して、警報処理サーバ21に送信する。警報処理サーバ21は、キュービクル10の内部で漏電等の不具合が発生したことを示す警報を受信し、電気保安技術者及びビル等の管理者の少なくとも一方に当該警報を提示するために使用されるサーバである。また、第一送信部1416は、警報データにより示されている警報が所定の条件を満たしていると判定部1415により判定された場合に、警報データ及び時刻情報に、ゲートウェイ14を識別する管理データを付与して、警報処理サーバ21に送信してもよい。その後、警報データにより示されている情報は、警報処理サーバ21により電気保安技術者、キュービクル10を管理している者等に提示される。
【0035】
なお、管理データは、複数のゲートウェイの中から特定のゲートウェイを識別する情報である。管理データは、警報処理サーバ21やセンサ処理サーバ22において、契約情報等と関連付けられている情報である。警報処理サーバ21及びセンサ処理サーバ22は、管理データをもとにキュービクルを識別することができる。
【0036】
第二送信部1417は、加工済センサデータ及び時刻情報に、ゲートウェイ14を識別する管理データを付与して、センサ処理サーバ22に送信する。センサ処理サーバ22は、キュービクル10に搭載されているセンサにより検出された結果に基づく情報を受信し、電気保安技術者及びビル等の管理者の少なくとも一方に当該情報を提示するために使用されるサーバである。また、第二送信部1417は、センサデータにより示されている情報が所定の条件を満たしていると判定された場合に、センサデータ及び時刻情報に管理データを付与して、センサ処理サーバに送信してもよい。その後、センサデータにより示されている情報は、センサ処理サーバ22により電気保安技術者、キュービクル10を管理している者等に提示される。
【0037】
図5は、実施形態に係る第二送信部1417による送信条件の一例を示す図である。
加工データ名称(送信データ種別)「直前情報」には、送信条件「特定の警報発報時、センサ処理サーバからの要求」と、送信対象データ「要求受信からA時間分」(Aは任意の数値)とが対応づけられている。一例として、A時間とは1時間あるいは2時間である。
加工データ名称(送信データ種別)「中期情報」には、送信条件「センサ処理サーバからの要求(任意タイミング)」と、送信対象データ「要求受信からB日分」(Bは任意の数値)とが対応づけられている。一例として、B日とは7日あるいは10日である。
加工データ名称(送信データ種別)「日間情報」には、送信条件「センサ処理サーバからの要求(1日1回の定期)」と、送信対象データ「要求受信から1日分」とが対応づけられている。
第二送信部1417は、これらの送信条件に基づいて、加工済センサデータを送信する。
【0038】
次に、
図6及び
図7を参照しながらゲートウェイ14により実行される処理の一例を説明する。
図6は、実施形態に係るゲートウェイによるセンサデータの受信処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図6に示した各ステップは、可能な範囲で順序を変更して実行されてもよいし、適宜省略されてもよい。
【0039】
ステップS110において、ゲートウェイ14の第二受信部1412は、インターフェイスボックス13との通信接続処理を行う。
ステップS120において、第二受信部1412は、インターフェイスボックス13に対して、データ送信開始要求を送信する。この結果、インターフェイスボックス13は、ゲートウェイ14に対して、データ送信開始応答を送信する。
ステップS130において、第二受信部1412は、インターフェイスボックス13からデータ送信開始応答を受信する。
【0040】
ステップS140において、第二受信部1412は、センサデータと時刻情報とを取得する。一例として、第二受信部1412は、0.1秒ごとにセンサデータを取得する。第二受信部1412は、取得したセンサデータと時刻情報とを、データ格納部1414に一時記憶させる。
ステップS150において、加工済センサデータ生成部1413は、加工タイミングが到来したか否かを判定する。加工済センサデータ生成部1413は、加工タイミングが到来したと判定した場合(ステップS150;Yes)には、処理をステップS160に進める。加工済センサデータ生成部1413は、加工タイミングが到来していないと判定した場合(ステップS150;No)には、処理をステップS180に進める。
【0041】
ステップS160において、加工済センサデータ生成部1413は、漏電データを含むセンサデータにより示されている情報に基づいて加工済センサデータを生成する。
ステップS170において、加工済センサデータ生成部1413は、生成した加工済センサデータを、時刻情報とともにデータ格納部1414に一時記憶させる。
【0042】
ステップS180において、第二受信部1412は、センサデータの送信停止か否かを判定する。第二受信部1412は、センサデータの送信停止と判定した場合(ステップS180;Yes)には、処理を終了する。第二受信部1412は、センサデータの送信停止でないと判定した場合(ステップS180;No)には、処理をステップS140に戻して、処理を継続する。
【0043】
図7は、実施形態に係るゲートウェイによる加工済センサデータの送信処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図7に示した各ステップは、可能な範囲で順序を変更して実行されてもよいし、適宜省略されてもよい。
【0044】
ステップS210において、ゲートウェイ14の第二送信部1417は、センサ処理サーバ22との間において通信接続処理を行う。
ステップS220において、ゲートウェイ14は、センサ処理サーバ22からの送信命令を受信したか否かを判定する。ゲートウェイ14は、センサ処理サーバ22からの送信命令を受信したと判定した場合(ステップS220;Yes)には、処理をステップS230に進める。ゲートウェイ14は、センサ処理サーバ22からの送信命令を受信していないと判定した場合(ステップS220;No)には、処理をステップS220に戻して、送信命令の受信判定を継続する。
【0045】
ステップS230において、ゲートウェイ14は、センサ処理サーバ22からの送信命令を解読する。一例として、ゲートウェイ14は、
図5に示した送信条件と、受信した送信命令とを対比することで、送信命令を解読する。
ステップS240において、ゲートウェイ14は、送信命令に応じた加工済データと時刻情報とを、データ格納部1414から読み出す。
ステップS250において、ゲートウェイ14の第二送信部1417は、読みだした加工済データと時刻情報とに、管理データを付与して、センサ処理サーバ22に送信する。
【0046】
以上、実施形態に係るゲートウェイ14について説明した。ゲートウェイ14は、第一受信部1411と、第二受信部1412と、加工済センサデータ生成部1413と、第一送信部1416と、第二送信部1417とを備える。
【0047】
第一受信部1411は、漏洩電流センサ11漏から漏電データと時刻情報とを受信する。第二受信部1412は、センサ12-1、12-2、…12-kからのセンサデータと、時刻情報とを受信する。
【0048】
加工済センサデータ生成部1413は、加工済センサデータをセンサデータに基づいて生成する。第一送信部1416は、警報データ及び時刻情報にゲートウェイを識別する管理データを付与し、警報処理サーバ21に送信する。第二送信部14171は、加工済センサデータ及び時刻情報にゲートウェイを識別する管理データをセンサ処理サーバ22に送信する。これにより、ゲートウェイ14は、電気保安技術者にキュービクルの状態に関する多様な情報を適切な形式で提供して活用させることができる。
【0049】
図8は、実施形態に係る加工済データの利用形態の一例を示す図である。
加工データ名称「直前情報」は、ゲートウェイ14において生成され、警報発報時、異常事態などの際に、発生時状況を確認する際に利用される。
加工データ名称「中期情報」は、ゲートウェイ14において生成され、警報発報時、異常事態、点検時などの際に、実態をより詳しく確認するために利用(例えば、突発的か、予兆があったのか、等の判定に)利用される。
加工データ名称「日間情報」「月間情報」及び「年間情報」は、いずれも中長期的な変動、経年劣化などを確認するために利用される。ここで、「日間情報」は、上述したようにゲートウェイ14において生成される。一方、「月間情報」及び「年間情報」は、ゲートウェイ14から送信される「日間情報」に基づいて、センサ処理サーバ22において生成される。
すなわち、利用目的に応じた複数の種類の加工データを、ゲートウェイ14と、センサ処理サーバ22とが分担して生成する。
【0050】
図9は、実施形態に係る直前情報の利用形態の一例を示す図である。同図には、直前一時間情報表示の一例として、管理データと、グラフの種類とを指定して検索したセンサデータの検索結果を示す。上述した直前情報を利用することにより、漏れ電流や、負荷電流(Tr電流)、負荷電圧(Tr電圧)などの各センサデータについての、警報発報直前の推移をグラフ化して示すことができる。
図10は、実施形態に係る年間情報の利用形態の一例を示す図である。同図には、年次表示の一例として、管理データと、検索対象の年と、グラフの種類とを指定して検索したセンサデータの検索結果を示す。上述した年間情報を利用することにより、漏れ電流や、負荷電流(Tr電流)、負荷電圧(Tr電圧)などの各センサデータについての、年単位の推移をグラフ化して示すことができる。
【0051】
上述したように加工データの加工場所を分けることで、ゲートウェイ14がすべて加工・保持する必要はなく、ゲートウェイ14の処理・作業負荷の低減と、ゲートウェイ14・センサ処理サーバ22間の通信負荷の軽減も図られる。
仮に、「月間情報」をゲートウェイ14が生成するとすれば、ゲートウェイ14側のメモリ容量の確保が必要となること、1回の送信に時間がかかること、などの課題が生じる。また、「中期情報」をセンサ処理サーバ22が作るとすると、分単位でセンサ処理サーバ22とゲートウェイ14とが通信しなくてはならない。そのため日間情報までをゲートウェイ14が生成し、「月間情報」及び「年間情報」をセンサ処理サーバ22が生成するように分担することで、ゲートウェイ14にもセンサ処理サーバ22にも負荷が少ない、適切なシステム構成とすることができる。
【0052】
なお、加工済みデータ生成部が、センサデータを加工して生成する例を説明してきたが、センサデータの他、漏洩電流センサから取得した漏電データを含めて加工済みデータを生成するようにしてもよい。漏電データも、時刻情報とともに送信されてくるため、センサデータと同様に取り扱うことが可能であり、従って、他のセンサデータと同じように加工することができる。
【0053】
また、
図3に示したゲートウェイ14が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。或いは、
図3に示したゲートウェイ14が有する機能の少なくとも一部は、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現されてもよい。また、これらのハードウェアは、一つに統合されていてもよいし、複数に分かれていてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、ゲートウェイ、ゲートウェイ制御プログラム及びゲートウェイ制御方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。
【0055】
また、上述した本発明の実施形態の効果は、一例として説明した効果である。したがって、本発明の実施形態は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【符号の説明】
【0056】
1…電気設備保安システム、10…キュービクル、11…漏洩電流センサ、12-1,…,12-k…センサ、13…インターフェイスボックス、14…ゲートウェイ、141…プロセッサ、142…主記憶装置、143…通信インターフェース、144…補助記憶装置、145…バス、1411…第一受信部、1412…第二受信部、1413…加工済センサデータ生成部、1414…データ格納部、1415…判定部、1416…第一送信部、1417…第二送信部、21…警報処理サーバ、22…センサ処理サーバ
【要約】
【課題】電気保安技術者にキュービクルの状態に関する多様な情報を適切な形式で提供して活用させること。
【解決手段】ゲートウェイは、キュービクルに搭載された漏洩電流センサから、漏電データを受信する第一受信部と、漏電データに基づき生成した警報データに、自装置を特定する管理データを対応付けて警報処理サーバに送信する第一送信部と、キュービクルに搭載されているセンサにより検出されたセンサデータを受信する第二受信部と、所定の条件に従ってセンサデータを加工して、加工済センサデータを生成する加工済センサデータ生成手段と、管理データを対応付けた加工済センサデータを、外部からの送信要求に基づいてセンサ処理サーバに送信する第二送信部と、を備える。
【選択図】
図3