(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】無線中継装置、送受信器及び無線通信ボード
(51)【国際特許分類】
H04W 88/04 20090101AFI20221013BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20221013BHJP
【FI】
H04W88/04
H04W84/10 110
(21)【出願番号】P 2021112851
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2021-07-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522305715
【氏名又は名称】L.S.T.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】永田 修一
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114005(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043207(WO,A1)
【文献】特開2018-056815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 88/04
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、
前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によ
りデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、
前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作するシングルボードコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作するワンボードマイコンである無線中継装置であって、
前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記シングルボードコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、
前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、
前記第1の電源電圧にて動作し、前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、
前記ワンボードマイコンから前記接続部品B2を介して供給された前記第2の電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する電源回路と、
前記ワンボードマイコンと前記無線通信モジュールとの間で送受信される信号の電圧レベルを変換するレベル変換回路と、を有し、
前記シングルボードコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線中継装置において、
前記無線通信ボードが、電源を供給するための給電用ソケットを更に備え、
前記電源回路が、前記給電用ソケットに供給された電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する無線中継装置。
【請求項3】
通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、
前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によ
りデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、
前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作する第1のコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作する第2のコンピュータである無線中継装置であって、
前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記第1のコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、
前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、
前記第1の電源電圧にて動作し、前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、
前記第2のコンピュータから前記接続部品B2を介して供給された前記第2の電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する電源回路と、
前記第2のコンピュータと前記無線通信モジュールとの間で送受信される信号の電圧レベルを変換するレベル変換回路と、を有し、
前記第1のコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置。
【請求項4】
通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、
前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によ
りデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、
前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作する第1のコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作する第2のコンピュータである無線中継装置であって、
前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記第1のコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、
前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、
前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、を有し、
前記第1のコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線中継装置が備える第1の送受信器。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線中継装置が備える無線通信ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置、送受信器及び無線通信ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、異種無線間通信を中継するための無線中継器が記載されている。この無線中継器は、イーサネットまたはIEEE802.11x上に構築されたIP通信網に対してデータを送受信するIP接続部と、短距離無線に対してデータを送受信する短距離無線接続部と、短距離無線における無線機器のデバイスIDと当該無線機器のIP通信におけるIPアドレスとを対応づけたテーブルとを備え、IP通信網上のIP機器から短距離無線における無線機器に割り当てられたIPアドレスを指定して通信の要求があったとき、IP機器から受信したデータを無線機器に送信し、無線機器から受信したデータをIP機器に送信することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、近距離無線通信の通信距離を伸ばすことができる無線中継装置、送受信器及び無線通信ボードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によりデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作するシングルボードコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作するワンボードマイコンである無線中継装置であって、前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記シングルボードコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、前記第1の電源電圧にて動作し、前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、前記ワンボードマイコンから前記接続部品B2を介して供給された前記第2の電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する電源回路と、前記ワンボードマイコンと前記無線通信モジュールとの間で送受信される信号の電圧レベルを変換するレベル変換回路と、を有し、前記シングルボードコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の無線中継装置において、前記無線通信ボードが、電源を供給するための給電用ソケットを更に備え、前記電源回路が、前記給電用ソケットに供給された電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する。
【0007】
請求項3に記載の発明は、通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によりデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作する第1のコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作する第2のコンピュータである無線中継装置であって、前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記第1のコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、前記第1の電源電圧にて動作し、前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、前記第2のコンピュータから前記接続部品B2を介して供給された前記第2の電源電圧から前記第1の電源電圧を出力する電源回路と、前記第2のコンピュータと前記無線通信モジュールとの間で送受信される信号の電圧レベルを変換するレベル変換回路と、を有し、前記第1のコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、通信対象に対し近距離無線通信により通信するコンピュータ及び前記コンピュータに重ねて接続される無線通信ボードを有する第1の送受信器と、前記第1の送受信器に対し長距離無線通信によりデータを送受信し、コンピュータデバイスに対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器と、を備え、前記コンピュータが、外部入出力用の接続部品A1が設けられ第1の電源電圧にて動作する第1のコンピュータ又は間隔を空けて配置された外部入出力用の接続部品B1及び接続部品C1が設けられ前記第1の電源電圧とは異なる第2の電源電圧にて動作する第2のコンピュータである無線中継装置であって、前記無線通信ボードが、前記接続部品A1に接続され、前記第1のコンピュータから供給された前記第1の電源電圧を出力する接続部品A2と、前記接続部品B1及び前記接続部品C1にそれぞれ接続される接続部品B2及び接続部品C2と、前記第2の送受信器に対して、前記接続部品A2、接続部品B2又は前記接続部品C2を介して送受信されたデータを前記長距離無線通信により送受信する無線通信モジュールと、を有し、前記第1のコンピュータを固定するための孔が形成されている無線中継装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の無線中継装置が備える第1の送受信器である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の無線中継装置が備える無線通信ボードである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、近距離無線通信の通信距離を伸ばすことができる無線中継装置、送受信器及び無線通信ボードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る無線中継装置の構成を示す説明図である。
【
図2】(A1)、(A2)は、それぞれ、同無線中継装置が備える送受信器のコンピュータとして適用される第1のコンピュータ及び第2のコンピュータの説明図であり、(B1)、(B2)は、それぞれ、第1のコンピュータに重ねて接続された無線通信ボード及び第2のコンピュータに重ねて接続された無線通信ボードの説明図である。
【
図3】同無線中継装置が備える送受信器の無線通信ボードの表面側を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0014】
本発明の一実施の形態に係る無線中継装置10(
図1参照)は、Bluetooth(登録商標)により通信する既存の通信システムの通信距離を伸ばすことができる。
ここで、既存の通信システムは、センサ20及びコンピュータデバイス30を備え、センサ20とコンピュータデバイス30とが、Bluetoothにより通信を行うシステムである。
センサ(通信対象の一例)20は、例えば、Bluetooth対応の温度計である。センサ20は、温度計に限定されるものではなく、他の具体例として、風向風速計、湿度計、照度計、位置情報を出力するGPSセンサ、及び二酸化炭素濃度測定器等が挙げられる。また、通信対象は、センサ20に限定されるものではなく、Bluetooth対応機器であれば任意でよい。
コンピュータデバイス(通信対象の一例)30は、例えば、インターネットに接続されたスマートフォン等の携帯端末であり、センサ20に対応するアプリケーションプログラムが動作することで、センサ20の測定データを確認したり、センサ20を制御したりすることができる。ただし、コンピュータデバイス30は、スマートフォンに限定されるものではない。
【0015】
無線中継装置10は、互いに対応する第1の送受信器10a及び第2の送受信器10bを備えている。
【0016】
第1の送受信器10aは、センサ20に対しBluetooth(近距離無線通信の一例)によりデータを送受信できる。
第1の送受信器10aは、後述するコンピュータ及び無線通信ボード14(
図3参照)を有している。
【0017】
第2の送受信器10bは、第1の送受信器10aに対し920MHz帯の無線通信(長距離無線通信の一例)によりデータを送受信し、コンピュータデバイス30に対しBluetoothによりデータを送受信できる。
第2の送受信器10bは、第1の送受信器10bと通信対象が相違するだけであり、実質的に同様の構成となっている。すなわち、第2の送受信器10bは、第1の送受信器10aと同様、コンピュータ及び無線通信ボード14を有している。
【0018】
次に、第1の送受信器10a及び対応する第2の送受信器10bが有するコンピュータ及び無線通信ボード14について説明する。
コンピュータは、
図2(A1)及び
図2(A2)に示すように、第1のコンピュータ12a又は第1のコンピュータ12aとは異なる種類の第2のコンピュータ12bであり、いずれもBluetoothによる通信機能を有している。
ただし、いずれのコンピュータも、必ずしもCPUが搭載されたメインボード1枚のみで構成されていなくてもよい。すなわち、第1のコンピュータ12a及び第2のコンピュータ12bが、それぞれCPUが搭載されたメインボードであり、Bluetoothの通信モジュールが外付けされることにより、Bluetoothによる通信機能を有していてもよい。
【0019】
第1のコンピュータ12aは、無線通信ボード14と共通の電源電圧(例えば3.3V)の電源電圧にて動作するシングルボートコンピュータであり、
図2(A1)に示すように、4つの取り付け用の孔Haが設けられたプリント配線基板122aの上に、CPU124a及び外部入出力用のピンヘッダ(接続部品の一例)126aが実装されている。
なお、ピンヘッダ126aに代えて、コネクタ等の接続部品であってもよい。
第1のコンピュータ12aの具体例として、Raspberry Pi財団が開発するRaspberry Pi 4 model B(「RASPBERRY PI」は登録商標)が挙げられる。
【0020】
第2のコンピュータ12bは、無線通信ボード14よりも高い電源電圧(例えば5V)にて動作するワンボードマイコンであり、
図2(A2)に示すように、4つの取り付け用の孔Hbが設けられたプリント配線基板122bの上に、CPU124b及び外部入出力用のピンソケット126b(第3の接続部品の一例)及び外部入出力用のピンソケット128b(第4の接続部品の一例)が実装されている。
なお、孔Hbの位置は、第1のコンピュータ12aの孔Haの位置とは異なっている。
また、外部入出力用のピンソケット126b、128bは、それぞれ一方向に延び、予め決められた間隔を空けて配置されている。ピンソケット126b、128bは、それぞれ、同じ高さであり、ピン数のみが異なる。ただし、それぞれ同じ高さであれば、ピンソケット126b、128bに代えて、コネクタ等の接続部品であってもよい。
第2のコンピュータ12bの具体例として、Bluetoothの通信モジュールが外部に追加され機能拡張されたArduino社製のArduino UNO R3(「ARDUINO」は登録商標)が挙げられる。付言すると、この通信モジュールは、無線通信ボード14に取り付けられ、無線通信ボード14を介して電気的にArduino UNO R3に接続される。
【0021】
無線通信ボード14は、
図2(B1)及び
図2(B2)に示すように、第1のコンピュータ12a及び第2のコンピュータ12bのいずれにも重ねて接続でき、第1のコンピュータ12aが、Raspberry Piである場合には、そのHAT(Hardware Attached on Top)であることが好ましい。
ただし、無線通信ボード14は、コンピュータに重ねずに使用することも可能である。すなわち、無線通信ボード14がコンピュータと離れて配置され、コネクタ付きフラットケーブルや汎用の配線ケーブルを介して互いに接続されてもよい。
【0022】
無線通信ボード14は、第1のコンピュータ12a又は第2のコンピュータ12bから電源電圧が供給され、
図3に示すように、プリント配線基板142、ピンソケット144、ピンヘッダ146a、146b、無線通信モジュール148、電源回路(不図示)及びレベル変換回路(不図示)を有している。
【0023】
プリント配線基板142は、各角部に、それぞれ取り付け用の孔Hcが設けられている。これらの孔Hcのピッチは、第1のコンピュータ12aの孔Haのピッチと同じになるように設定されている。
【0024】
ピンソケット144(第1の接続部の一例)は、裏面に実装され、第1のコンピュータ12aのピンヘッダ126a(
図2(A1)参照)に対応する接続部品である。このピンソケット144を介して、第1のコンピュータ12a対してデータとしての信号や各種の制御信号が送受信される。また、無線通信モジュール148の電源(3.3V)もこのピンソケット144を介して第1のコンピュータ12aから供給される。
【0025】
ピンヘッダ146a(第1の接続部品の一例)及びピンヘッダ146b(第2の接続部品の一例)は、それぞれ、裏面に実装され、第2のコンピュータ12bのピンソケット126b及びピンソケット128b(
図2(A2)参照)に対応する接続部品であり、無線通信モジュール148を第2のコンピュータ12bに重ねた場合に、ピンソケット126b及びピンソケット128bに対応する位置に配置されている。すなわち、ピンヘッダ146bは、ピンヘッダ146aと予め決められた間隔を空けて配置されている。
ピンヘッダ146aを介して、第2のコンピュータ12bから無線通信モジュール148の電源が供給される。また、ピンヘッダ146bを介して、第2のコンピュータ12bに対しデータの信号や各種の制御用信号が送受信される。
なお、ピンヘッダ146a、146bは、第2の接続部の一例である。
【0026】
無線通信モジュール148は、第1のコンピュータ12aと共通の電源電圧(例えば3.3V)にて動作し、コンピュータに対してピンソケット144又はピンヘッダ146bを介してデータを送受信するとともに、このデータを長距離無線通信により外部の対応する無線通信モジュールに対して送受信できる。無線通信モジュール148の無線に関する仕様を例示すると、準拠規格がIEEE 802.15.4g及びARIB STD-T108、送信周波数が920MHz帯(922.3~928.1MHz)、送信出力が1~20mW、データ転送速度が100kbps、変調方式がGFSKである。
無線通信モジュール148は、無線通信ボード14に接続されたコンピュータから送信されるコマンドに基づいて制御される。
なお、無線通信モジュール148は、ピンヘッダ及びピンソケットその他の接続部品を介してプリント配線基板142に実装されてもよい。
【0027】
電源回路(不図示)は、無線通信ボード14が第2のコンピュータ12bに接続された場合に、ピンヘッダ146aを介して第2のコンピュータ12bから供給された電源電圧(例えば5V)を降圧して無線通信モジュール148に供給する電源電圧(例えば3.3V)を出力できる。
従って、無線通信ボード14に第1のコンピュータ12a及び第2のコンピュータ12bのうちいずれが接続された場合であっても、無線通信モジュール148には、所定の電源電圧(例えば3.3V)が供給される。
なお、第1のコンピュータ12a又は第2のコンピュータ12bから電源を供給することに代えて、給電用のソケット(不図示)に接続された外部電源から、無線通信モジュール148の電源電圧以上の電源電圧(例えば3.3~5V)を供給することも可能である。外部電源から電源電圧が供給される場合も、この電源回路により所定の電源電圧(例えば3.3V)が供給される。
【0028】
レベル変換回路(不図示)は、例えばMOSFETにより構成され、第2のコンピュータ12bと無線通信モジュール148との間で送受信されるデータ信号の電圧レベルを変換できる。
【0029】
無線通信ボード14は、更に、機能拡張用の接続部品であるピンヘッダ150a、150b、150c、150d、ピンヘッダ152a、152b並びにコネクタ160、162、164及びピンヘッダ170を有している。
ピンヘッダ150a、150b、150c、150dは、無線通信モジュール148とは異なる無線通信モジュールを接続するための接続部品である。従って、無線通信ボード14には、2種類の異なる無線通信モジュールのいずれかを適用することが可能である。
ピンヘッダ152a、152bは、ジャンパピンが挿入され、使用する無線通信モジュール(無線通信モジュール148又はこれと異なる無線通信モジュール)が選択される。
コネクタ160、162、164ピンヘッダ170は、Bluetoothによる通信機能を有する第3のコンピュータ(不図示)を接続するために使用される接続部品である。第3のコンピュータは、第1のコンピュータ12a及び第2のコンピュータ12bとは異なるコンピュータであり、その具体例として、M5STACK(登録商標)が挙げられる。
従って、無線通信ボード14は、3種類のコンピュータのうちいずれかを接続すること
が可能である。
【0030】
ここで、無線通信ボード14とコンピュータとの接続方法について説明する。
無線通信ボード14を第1のコンピュータ12aに重ねて接続する場合には、ピンヘッダ126aとピンソケット144とを互いに接続するとともに、孔Haと孔Hcとを例えば基板スペーサ(不図示)を挟んでねじSCにより締結することで、互いに固定される。
すなわち、第1のコンピュータ12aに実装された外部入出力用の接続部品が1つだけであるため、孔Ha、Hcと基板スペーサ等の固定部品を併用することにより安定して固定される。
【0031】
一方、無線通信ボード14を第2のコンピュータ12bに重ねて接続する場合には、対応するピンソケット126b、128bとピンヘッダ146a、146bを接続するだけで、互いに固定される。
すなわち、一方向に延びるピンソケット126b、128bが、予め決められた距離だけ間隔を空けて配置されているため、孔Hb、Hcと基板スペーサ等を使用しなくても、接続部品(ピンソケット126b、128b及びピンヘッダ146a、146b)のみで安定して互いに固定される。
【0032】
このように、無線通信ボード14は、第1のコンピュータ12a及び第2のコンピュータ12bのいずれにも重ねて接続でき、無線中継装置10の設計者が、必要な仕様に応じてコンピュータを選択できる。
【0033】
次に、無線中継装置10の動作について説明する。
まず、センサ20(
図1参照)から測定データがBluetoothを介して送受信器10aに送信される。送受信器10aが受信した測定データは、コンピュータ(第1のコンピュータ12a又は第2のコンピュータ12b)を介して無線通信ボード14に伝送され、更に無線通信モジュール148により920MHz帯の無線通信により送信される。
次に、送受信器10bの無線通信ボード14に実装されている無線通信モジュール148は、送受信器10aから測定データを受信し、受信した測定データがコンピュータ(第1のコンピュータ12a又は第2のコンピュータ12b)に伝送される。伝送された測定データは、コンピュータからコンピュータデバイス30にBluetoothを介して送信される。
最後に、コンピュータデバイス30にて受信された測定データは、センサ20に対応するアプリケーションプログラムにより処理され、必要に応じてインターネットを経由して所定の別のコンピュータデバイスに送信される。
【0034】
コンピュータデバイス30から送受信器10b及び送受信器10aを介してセンサ20に対して制御信号としてのデータを送信することも可能である。ただし、その動作は、センサ20からコンピュータデバイス30に測定データを送信する場合とデータの流れが反対になるだけであり、実質的に同一であるため、その詳細については割愛する。
【0035】
このようにBluetoothによる近距離無線通信が、920MHz帯による長距離無線通信により中継されるので、一般的に見通し距離で30~100m程度であるBluetoothによる通信距離が、見通し距離で1km以上に伸びることになる。
なお、無線通信ボード14に、より高い無線出力を有する無線通信モジュール148を実装することで、見通し距離で100km以上の通信距離を実現することや衛星通信に対応することも可能である。
すなわち、無線中継装置10によれば、Bluetoothにより通信する既存の通信システムのハードウェア資産及びソフトウェア資産をそのまま活用して通信距離を伸ばすことができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
なお、Bluetoothは、近距離無線通信の一例であり、これに限定されるものではない。近距離無線通信の他の例として、ウルトラワイドバンド(Ultra Wide Band、UWB)、Wi-Fi、Bluetooth Low Energy、BLE、ZigBee(登録商標)、赤外線通信(Infrared Data Association、IrDA)及びEnOcean(登録商標)が挙げられ、専用の通信規格であってもよい。
また、920MHz帯による無線通信は、近距離無線通信よりも通信距離が長い長距離無線通信の一例であり、これに限定されるものではない。長距離無線通信の他の例として、衛星通信、光空間通信及びXバンドやKaバンドを使用した無線通信が挙げられ、専用の通信規格であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 無線中継装置
10a 第1の送受信器
10b 第2の送受信器
12a 第1のコンピュータ
12b 第2のコンピュータ
14 無線通信ボード
20 センサ
30 コンピュータデバイス
122a、122b プリント配線基板
124a、124b CPU
126a ピンヘッダ
126b、128b ピンソケット
142 プリント配線基板
144 ピンソケット
146a、146b ピンヘッダ
148 無線通信モジュール
150a~150d ピンヘッダ
152a、152b ピンヘッダ
160、162、164 コネクタ
170 ピンヘッダ
Ha、Hb、Hc 孔
SC ねじ
【要約】
【課題】近距離無線通信の通信距離を伸ばすことができる無線中継装置、送受信器及び無線通信ボードを提供する。
【解決手段】無線中継装置10は、通信対象20に対し近距離無線通信によりデータを送受信する第1の送受信器10aと、第1の送受信器10aに対し長距離無線通信によりデータを送受信し、コンピュータデバイス30に対し該データを近距離無線通信により送受信する第2の送受信器10bと、を備え、長距無線通信による通信距離が、見通し距離で1km以上である。
【選択図】
図1