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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】袋折り装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 18/22 20180101AFI20221013BHJP
   A01G 18/30 20180101ALI20221013BHJP
【FI】
A01G18/22
A01G18/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022107719
(22)【出願日】2022-07-04
【審査請求日】2022-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000176888
【氏名又は名称】三富産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】清水 容弘
(72)【発明者】
【氏名】遠山 富二夫
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-22478(JP,A)
【文献】国際公開第2021/075582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 18/00-18/80
B65B 7/00- 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地が充填される充填部と先端側の部分が前記充填部の一方の側面部に沿う状態で折り畳まれる先端側折り部として設けられる折り代部とを有する栽培用袋を搬送する搬送機構を備えた袋折り装置であって、
前記搬送機構には前記栽培用袋を保持する積み込み位置と保持した前記栽培用袋を積み下ろす積み下ろし位置との間で移動可能なクランプが設けられ、
前記クランプは前記一方の側面部に離接する方向へ各別に移動可能な第1の可動部及び第2の可動部と前記栽培用袋の側面部に離接する方向へ移動不能な固定部とが設けられ、
前記第1の可動部は前記第2の可動部に離接するベース面部と前記ベース面部に対して折り曲げられ前記栽培用袋の底面部を下方から支える支持板部とを有し、
前記第2の可動部が前記ベース面部と前記固定部の間に位置され、
前記栽培用袋は前記第2の可動部と前記固定部によってそれぞれ一対の前記側面部が押さえられると共に前記底面部が前記支持板部によって支えられることにより保持され、
前記クランプは前記先端側折り部が前記第2の可動部に押さえられ前記支持板部が前記第2の可動部より外側に位置された状態において前記積み下ろし位置から前記積み込み位置へ向かって移動される
袋折り装置。
【請求項2】
前記第1の可動部と前記第2の可動部に駆動力を付与し前記第1の可動部と前記第2の可動部を前記一方の側面部に離接する方向へ一体に移動させる第1の駆動部と、
前記第2の可動部に駆動力を付与し前記第2の可動部を前記一方の側面部に離接する方向へ移動させる第2の駆動部とが設けられ、
前記第2の駆動部から前記第2の可動部に付与される駆動力が前記第1の駆動部から前記第2の可動部に付与される駆動力より小さくされた
請求項1に記載の袋折り装置。
【請求項3】
前記第2の駆動部が前記クランプによって保持された前記栽培用袋の上側に位置される
請求項2に記載の袋折り装置。
【請求項4】
前記固定部と前記第2の可動部によって前記栽培用袋の両側の側面部の全体がそれぞれ押さえられる
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の袋折り装置。
【請求項5】
前記固定部の下端部が下方へ行くに従って前記第1の可動部に近づく方向に傾斜された傾斜部として設けられた
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の袋折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地が充填される栽培用袋の袋折り装置についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
シイタケ等のキノコの栽培方法として、従来は原木に種菌を接種して栽培する原木栽培が主流であったが、近年では、栽培用袋に充填された培地(菌床)に種菌を接種して栽培する菌床栽培が広く行われている。
【0003】
一般に、菌床栽培には種菌を接種する前に培地の殺菌を行う殺菌工程が含まれ、殺菌工程において、例えば、高圧蒸気等によって培地が充填された栽培用袋ごと加熱殺菌を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に示されるように栽培用袋ごと培地の殺菌が行われる場合においては、栽培用袋の先端側の部分(先端側折り部)が側面部に沿うように折り畳まれた状態で栽培用袋が搬送されるものがある。
【0004】
このように栽培用袋の先端側折り部が側面部に沿うようにされることにより、殺菌工程における蒸気の通路を確保した上で搬送時等における袋内への雑菌や埃等の侵入が防止される。また、種菌の接種時に先端側折り部を元に戻す状態に開くことが容易であるため、種菌の接種工程における効率化を図ることもできる。
【0005】
また、上記のような菌床栽培においては、栽培用袋を効率的に搬送するために、先端側折り部が形成された栽培用袋を複数個ずつコンテナに収容して搬送するものがある(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、栽培用袋(菌床ブロック)を挟持してコンテナへ搬送するクランプを備えた菌床ブロック充填装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5166768号公報
【文献】特開平9-28182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、栽培用袋は樹脂製のフィルム等によって形成されているため、先端側折り部が押さえられていない状態において、先端側折り部が側面部から離れてしまうことがある。したがって、コンテナに搬送された栽培用袋からクランプが離れる際に、側面部から離れた先端側折り部にクランプの一部が引っかかり栽培用袋の折り畳まれた部分が捲れ上がってしまうおそれがある。折り畳まれた部分が捲れ上がってしまった場合には、人の手によって捲れ上がった部分を直す手間が必要になり、折り畳まれた部分が捲れあがったままにされると、殺菌工程において栽培用袋の内部に入る蒸気の量に過不足が生じ、培地の殺菌状態に不具合を来すおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、簡素な構成で培地が充填された栽培用袋の搬送時における栽培用袋の捲れを防止して培地の良好な殺菌状態を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る袋折り装置は、培地が充填される充填部と先端側の部分が前記充填部の一方の側面部に沿う状態で折り畳まれる先端側折り部として設けられる折り代部とを有する栽培用袋を搬送する搬送機構を備えた袋折り装置であって、前記搬送機構には前記栽培用袋を保持する積み込み位置と保持した前記栽培用袋を積み下ろす積み下ろし位置との間で移動可能なクランプが設けられ、前記クランプは前記一方の側面部に離接する方向へ各別に移動可能な第1の可動部及び第2の可動部と前記栽培用袋の側面部に離接する方向へ移動不能な固定部とが設けられ、前記第1の可動部は前記第2の可動部に離接するベース面部と前記ベース面部に対して折り曲げられ前記栽培用袋の底面部を下方から支える支持板部とを有し、前記第2の可動部が前記ベース面部と前記固定部の間に位置され、前記栽培用袋は前記第2の可動部と前記固定部によってそれぞれ一対の前記側面部が押さえられると共に前記底面部が前記支持板部によって支えられることにより保持され、前記クランプは前記先端側折り部が前記第2の可動部に押さえられ前記支持板部が前記第2の可動部より外側に位置された状態において前記積み下ろし位置から前記積み込み位置へ向かって移動されるものである。
【0010】
これにより、先端側折り部が第2の可動部によって押さえられた状態で栽培用袋が搬送機構によって搬送される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、先端側折り部が第2の可動部によって押さえられた状態で栽培用袋が搬送機構によって搬送されるため、簡素な構成で培地が充填された栽培用袋の搬送時における捲れを防止して培地の良好な殺菌状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態の袋折り装置の構成を示す概略図である。
図2】クランプの側面図である。
図3】培地が充填された栽培用袋の斜視図である。
図4】培地側折り部が設けられた栽培用袋の斜視図である。
図5】先端側折り部が設けられた栽培用袋の斜視図である。
図6】栽培用袋がクランプに保持された状態を示す図である。
図7】栽培用袋が積み下ろされた状態を示す図である。
図8】支持板部が第2の可動部より外側に位置された状態において先端側折り部が第2の可動部に押さえられた状態を示す図である。
図9】クランプが積み下ろし位置から積み込み位置へ移動する途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の袋折り装置を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0014】
<袋折り装置の概略構成>
まず、袋折り装置の概略構成について説明する(図1参照)。
【0015】
袋折り装置1は、栽培用袋100に培地50を充填する培地充填機構2と、培地50が充填された栽培用袋100を所定の状態に折り畳む折畳機構3と、折り畳まれた栽培用袋100をコンテナ60に収容するために搬送する搬送機構4とを有している。培地充填機構2と折畳機構3の間にはベルトコンベア5が配置され、折畳機構3と搬送機構4は隣接して位置されている。
【0016】
培地充填機構2にはミキサー6が連結されている。ミキサー6によって、例えば、オガ粉に栄養体と水等が混合された培地50が生成され、生成された培地50が培地充填機構2によって栽培用袋100に充填される。培地50が充填された栽培用袋100はベルトコンベア5によって折畳機構3に運ばれる。
【0017】
折畳機構3には栽培用袋100を折り畳むための図示しない各部が設けられ、栽培用袋100は折畳機構3によって所定の状態に折り畳まれる。
【0018】
搬送機構4には、コンテナ60を回転させるターンテーブル7と栽培用袋100を保持するクランプ8とが設けられている。クランプ8は栽培用袋100を保持する積み込み位置と保持した栽培用袋100をコンテナ60に積み下ろす積み下ろし位置との間で上下に移動可能にされている。ターンテーブル7とクランプ8によって、例えば、一つのコンテナ60に四つの栽培用袋100が、それぞれ所定の向きで収容される。
【0019】
搬送機構4の下流には搬出用ベルトコンベア9が配置され、コンテナ60に収容された栽培用袋100が所定の位置まで搬出される。搬出用ベルトコンベア9によって搬出された栽培用袋100は、例えば、コンテナ60ごと図示しないラック等に積載されて殺菌工程が行われる場所まで運ばれる。殺菌工程においては、例えば、高圧蒸気によって栽培用袋100ごと培地50の殺菌が行われる。
【0020】
<クランプの構成>
次に、搬送機構4に設けられたクランプ8の構成について説明する(図2参照)。
【0021】
なお、クランプ8は固定部と固定部に離接する方向に移動可能にされた第1の可動部及び第2の可動部とを有している。以下の説明においては、固定部に対する第1の可動部及び第2の可動部の移動方向を左右方向とし、上下左右の方向を示すものとする。また、第1の可動部及び第2の可動部が固定部から離隔する方向を第1の方向D1とし、第1の可動部及び第2の可動部が固定部に接近する方向を第2の方向D2として示す。ただし、以下に示す方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0022】
クランプ8は固定側アーム10と可動側アーム11とを有している。
【0023】
固定側アーム10は第1の天板部12と第1の取付部13と固定部14と第1の駆動部15とを有している。第1の天板部12は上下方向を向く板状に形成され、第2の方向D2側の端部に第1の取付部13が結合されている。
【0024】
第1の取付部13は左右方向を向く板状に形成された側板部13aと側板部13aから第2の方向D2に突出されたシリンダ取付部13bとを有し、側板部13aの上端部が第1の天板部12に結合されている。
【0025】
固定部14は側板部13aの下側の略半分の部分に薄板状の固定部14が取り付けられ、左右方向を向く平面部16と平面部16の下端部に連続され下方へ行くに従って第1の方向D1に変位する傾斜部17とから成る。固定部14は平面部16の上端側の部分が側板部13aに結合されている。
【0026】
第1の駆動部15はシリンダ取付部13bに取り付けられている。第1の駆動部15は軸方向が左右方向にされた第1のシリンダ18と第1のシリンダ18から第1の方向D1に突出された第1の軸部19とを有し、第1の軸部19が第1のシリンダ18に対して左右に移動される。第1の駆動部15は、第1の軸部19が第1の取付部13に形成された図示しない貫通孔に挿通され第1の軸部19の先端部19aが第1の天板部12の下側に位置された状態で第1のシリンダ18がシリンダ取付部13bに取り付けられている。第1の軸部19の先端部19aには可動側アーム11が連結されている。
【0027】
可動側アーム11は、第2の天板部20と第2の取付部21と第1の可動部22と第2の可動部23と第2の駆動部24とを有している。
【0028】
第2の天板部20は第1の天板部12の下側に位置され、第1の方向D1側の端部に第2の取付部21が結合され、第2の方向D2側の端部に第1の駆動部15における第1の軸部19が連結されている。
【0029】
第2の取付部21は左右方向を向く板状に形成され、上端部が第2の天板部20に結合されている。
【0030】
第1の可動部22は第2の取付部21に取り付けられている。第1の可動部22は左右方向を向くベース面部25とベース面部25の下端に連続されベース面部25に対して固定部14に近づく方向へ略直角に折り曲げられた支持板部26とを有している。第1の可動部22はベース面部25の上端部が第2の取付部21に取り付けられている。
【0031】
第2の可動部23は左右方向を向く薄板状にされ、例えば、厚みが第1の可動部22より薄くされている。第2の可動部23は固定部14とベース面部25との間に位置され、略全体が第1の可動部22のベース面部25と対向した状態で配置されている。
【0032】
第2の駆動部24は第2の天板部20の下面に取り付けられている。第2の駆動部24は軸方向が左右方向にされた第2のシリンダ27と第2のシリンダ27から第1の方向D1に突出された第2の軸部28とを有し、第2の軸部28が第2のシリンダ27に対して左右に移動される。第2の軸部28の先端部28aには二つの結合用部材29、30を介して第2の可動部23が結合されている。第2の駆動部24は、第1の天板部12の下側において第1の取付部13と第2の取付部21の間に位置されている。
【0033】
クランプ8においては、第1の駆動部15の第1の軸部19が第1のシリンダ18に対して移動されることにより可動側アーム11が固定側アーム10に対して左右に移動される。したがって、第1の駆動部15の駆動力により第1の可動部22と第2の可動部23が一体になって固定部14に離接する方向へ移動される。また、クランプ8においては、第2の駆動部24の第2の軸部28が第2のシリンダ27に対して移動されることにより第2の可動部23が左右に移動される。したがって、第2の駆動部24の駆動力により第2の可動部23が固定部14と第1の可動部22のベース面部25とにそれぞれ離接する方向へ移動される。
【0034】
クランプ8において第2の駆動部24から第2の可動部23に付与される駆動力は、第1の駆動部15から第2の可動部23(可動側アーム11)に付与される駆動力より小さくされている。
【0035】
クランプ8は図示しない昇降機構によって上下に移動可能にされ、移動範囲における上端が積み込み位置とされ、下端が積み下ろし位置とされている。
【0036】
<栽培用袋の折り畳み状態>
次に、栽培用袋100の折り畳み状態について説明する(図3乃至図5参照)。
【0037】
栽培用袋100は、例えば、樹脂製のフィルムによって形成されている。栽培用袋100は、例えば、長辺と短辺を有する矩形状にされた底面部101と、底面部101の長辺における外周部に連続された一対の第1の面部102、102と、底面部101の短辺における外周部に連続された一対の第2の面部103、103とを有している(図3参照)。第1の面部102と第2の面部103に囲まれた先端の開口は袋口104として形成されている。
【0038】
栽培用袋100の一部には培地充填機構2によって培地50が充填される。栽培用袋100は培地50が充填された部分が充填部105として形成され、培地50が充填されない部分が折り代部106として形成される。第1の面部102、102のうち充填部105に相当する部分は、それぞれ固定部14と第2の可動部23が押し付けられる側面部107、107とされている。
【0039】
栽培用袋100は、袋口104が上方に開口された状態(図3参照)で培地充填機構2から折畳機構3に送られる。
【0040】
折畳機構3に送られた栽培用袋100は、まず、折り代部106における第2の面部103、103が内側に折り込まれるように第1の面部102、102が中央へ向かって折り畳まれた、所謂、ガゼット折り状に折り畳まれる(図4参照)。このとき、折り代部106における充填部105側の部分が培地50の上面に沿って折り畳まれた培地側折り部108、108とされる。なお、栽培用袋100は、ガゼット折りに代えて、折り代部106における第2の面部103の少なくとも一方が外側に張り出すように折り畳まれてもよい。
【0041】
次に、折り代部106が一方の培地側折り部108に重なるように折られ、続いて先端側の部分が充填部105の一方の側面部107に沿うように折り畳まれる(図5参照)。折り代部106における側面部107に沿うように折り畳まれた部分は先端側折り部109とされ、培地50は充填部105に充填された状態で培地側折り部108によって上側から覆われる。先端側折り部109には栽培用袋100の弾性力によって折り目が開く方向に力が作用するため、先端側折り部109と側面部107は密着されず、先端側折り部109は側面部107から僅かに浮いた状態にされている。
【0042】
栽培用袋100は上記のように折り畳まれた状態で折畳機構3から搬送機構4に送られる。
【0043】
<クランプの動作>
次に、搬送機構4におけるクランプ8の動作について説明する(図1図2図6乃至図9参照)。
【0044】
上記したように、クランプ8は積み込み位置と積み下ろし位置との間で上下に移動可能にされている。
【0045】
クランプ8は積み込み位置において、第1の可動部22と第2の可動部23が移動範囲における第1の方向D1側の移動端に移動され、第2の可動部23がベース面部25と接した状態にされている。この状態において、図示しない挿入機構によって固定部14と第2の可動部23の間に側方から栽培用袋100が挿入される。挿入された栽培用袋100は先端側折り部109が第2の可動部23と側面部107の間に位置される(図2参照)。
【0046】
固定部14と第2の可動部23の間に栽培用袋100が挿入されると、第1の駆動部15から可動側アーム11に駆動力が付与されて第1の可動部22と第2の可動部23が一体になって第2の方向D2へ移動され、固定部14と第1の可動部22及び第2の可動部23によって第1の面部102が両側から挟まれた状態で栽培用袋100が保持される(図6参照)。このとき、栽培用袋100は固定部14の平面部16と第2の可動部23によって側面部107、107の全体がそれぞれ押さえられると共に、固定部14の支持板部26によって底面部101が下方から支持されている。また、栽培用袋100は培地50を挟んで支持板部26と反対側に位置される角の部分が固定部14の傾斜部17によって支えられている。
【0047】
クランプ8は栽培用袋100を保持した状態で積み込み位置から積み下ろし位置へ向けて移動される。
【0048】
クランプ8が積み下ろし位置まで移動されると、第1の駆動部15から可動側アーム11に駆動力が付与されて第1の可動部22と第2の可動部23が一体になって第1の方向D1へ移動され、第1の可動部22と第2の可動部23が移動範囲における第1の方向D1側の移動端まで移動される。第1の可動部22と第2の可動部23が第1の方向D1へ移動されることにより、固定部14と第2の可動部23がそれぞれ両側の側面部107から離隔されると共に支持板部26が栽培用袋100から離隔されて底面部101の支持が解除され、栽培用袋100がコンテナ60に積み下ろされる(図7参照)。栽培用袋100から第2の可動部23と支持板部26が離隔されると、栽培用袋100は固定部14の傾斜部17に沿って滑り落ちるようにしてコンテナ60に積み下ろされる。
【0049】
栽培用袋100がコンテナ60に積み下ろされると、第2の駆動部24から駆動力が付与されて第2の可動部23が再び第2の方向D2へ移動される(図8参照)。第2の可動部23は第1の可動部22の支持板部26より固定部14側まで移動され、栽培用袋100は先端側折り部109が第2の可動部23によって押さえられ先端側折り部109が側面部107に接した状態にされる。したがって、支持板部26が第2の可動部23より外側に位置された状態で先端側折り部109が第2の可動部23に押さえられる。
【0050】
続いて、第2の可動部23によって先端側折り部109が押さえられた状態のままクランプ8が積み下ろし位置から積み込み位置へ向かって移動される(図9参照)。このとき、第1の可動部22は移動範囲における第1の方向D1側の移動端に位置され、支持板部26が第2の可動部23より外側に位置された状態が維持されている。
【0051】
クランプ8が積み込み位置まで移動されると、第2の駆動部24の駆動力によって第2の可動部23が第1の方向D1に移動され、第2の可動部23は移動範囲における第1の方向D1側の移動端まで移動されてベース面部25と接した状態に戻る。
【0052】
なお、搬送機構4においては、クランプ8の積み下ろしに合わせてターンテーブル7によってコンテナ60が回転される。コンテナ60はターンテーブル7によって栽培用袋100が積み下ろされるごとに、例えば、90度回転され、先端側折り部109がそれぞれ内側に位置された状態で一つのコンテナ60に四つの栽培用袋100が収容される(図1参照)。先端側折り部109がそれぞれ内側に位置されることにより、それぞれ隣り合う栽培用袋100によって先端側折り部109の過度の開きが抑制されるため、コンテナ60に収容された栽培用袋100への雑菌や埃等の侵入を防止することができる。
【0053】
<まとめ>
上記のように、袋折り装置1においてクランプ8は、栽培用袋100の先端側折り部109が第2の可動部23に押さえられ支持板部26が第2の可動部23より外側に位置された状態において積み下ろし位置から積み込み位置へ向かって移動される。
【0054】
これにより、先端側折り部109が第2の可動部23によって押さえられた状態で栽培用袋100が搬送機構4によって搬送される。
【0055】
したがって、搬送時に先端側折り部109が支持板部26と接触し難くされるため、簡素な構成で培地50が充填された栽培用袋100の搬送時における捲れが防止され、殺菌工程において栽培用袋100の内部へ入る蒸気の量に過不足が生じ難く、培地50の良好な殺菌状態を確保することができる。また、人の手によって捲れを直す手間が不要になるため、栽培用袋100の搬送時に人が行う作業を軽減することができる。
【0056】
さらに、先端側折り部109が第2の可動部23によって押さえられた状態にされることにより折り代部106が折り畳まれた状態が維持されるため、栽培用袋100への雑菌や埃等の侵入を防止することができる。
【0057】
加えて、第2の可動部23が第1の可動部22のベース面部25に対向する薄い板状に形成されているため、第2の可動部23が設けられることによる第1の可動部22の移動距離の増加量が大きくなり難く、袋折り装置1の大型化を来すことなく栽培用袋100の捲れを防止することができる。
【0058】
また、第1の可動部22と第2の可動部23に駆動力を付与する第1の駆動部15と、第2の可動部23に駆動力を付与する第2の駆動部24とが設けられ、第2の駆動部24から第2の可動部23に付与される駆動力が第1の駆動部15から第2の可動部23に付与される駆動力より小さくされている。
【0059】
これにより、支持板部26が第2の可動部23より外側に位置された状態において第2の可動部23が先端側折り部109を押さえる力が、固定部14と第2の可動部23によって栽培用袋100が両側から挟まれて保持された状態において第2の可動部23が一方の側面部107を押さえる力より小さくなる。
【0060】
したがって、側面部107が固定部14から離隔され支持板部26が第2の可動部23より外側に位置された状態において培地50に第2の可動部23から過度な押圧力が付与されないため、培地50の形崩れによる不良品の発生を防止することができる。また、第1の駆動部15から第1の可動部22と第2の可動部23に駆動力が付与され固定部14と第2の可動部23によって両側から挟まれた状態において、栽培用袋100を安定して保持することができる。
【0061】
さらに、第2の駆動部24がクランプ8によって保持された栽培用袋100の上側に位置されている。
【0062】
したがって、栽培用袋100の上側の空間が第2の駆動部24の配置スペースにされ、栽培用袋100がクランプ8の外側に位置されないため、袋折り装置1の小型化を図ることができる。
【0063】
さらにまた、クランプ8によって栽培用袋100が保持された状態において、固定部14と第2の可動部23によって栽培用袋100の両側の側面部107の全体がそれぞれ押さえられる。
【0064】
したがって、固定部14と第2の可動部23によって栽培用袋100が安定して挟持されると共に、先端側折り部109の大きさに拘わらず第2の可動部23によって先端側折り部109が一方の側面部107に沿って押さえられるため、栽培用袋100の安定した保持状態を確保した上で、先端側折り部109の捲れを防止することができる。
【0065】
加えて、固定部14の下端部が下方へ行くに従って第1の可動部22に近づく方向に傾斜された傾斜部17として設けられている。
【0066】
これにより、固定部14と第2の可動部23に保持された状態において、栽培用袋100の培地50を挟んで支持板部26と反対側に位置される角の部分が傾斜部17によって支えられる。したがって、栽培用袋100が下方へズレ難くされるため、支持板部26の大きさを小さくすることが可能となり、第1の可動部22の移動距離が小さくなり第1の可動部22の移動方向において袋折り装置1の小型化を図ることができる。また、栽培用袋100が傾斜部17に沿って滑り落ちるようにしてコンテナ60に積み下ろされることにより、積み下ろし時に栽培用袋100に付与される衝撃が緩和されるため、培地50の型崩れを防止することができる。さらに、栽培用袋100が固定部14から離れ易くなるため、栽培用袋100を円滑に積み下ろすことができる。
【符号の説明】
【0067】
100 栽培用袋
105 充填部
106 折り代部
107 側面部
109 先端側折り部
50 培地
60 コンテナ
1 袋折り装置
4 搬送機構
8 クランプ
14 固定部
15 第1の駆動部
17 傾斜部
22 第1の可動部
23 第2の可動部
24 第2の駆動部
25 ベース面部
26 支持板部
【要約】
【課題】簡素な構成で培地が充填された栽培用袋の搬送時における捲れを防止して栽培用袋の品質の向上を図る。
【解決手段】栽培用袋を保持する積み込み位置と保持した栽培用袋を積み下ろす積み下ろし位置との間で移動可能なクランプが設けられ、クランプは一方の側面部に離接する方向へ各別に移動可能な第1の可動部及び第2の可動部と栽培用袋の側面部に離接する方向へ移動不能な固定部とが設けられ、第1の可動部は第2の可動部に離接するベース面部とベース面部に対して折り曲げられ栽培用袋の底面部を下方から支える支持板部とを有し、第2の可動部がベース面部と固定部の間に位置され、栽培用袋は第2の可動部と固定部によってそれぞれ一対の側面部が押さえられると共に底面部が支持板部によって支えられることにより保持され、クランプは先端側折り部が第2の可動部に押さえられ支持板部が第2の可動部より外側に位置された状態において積み下ろし位置から積み込み位置へ向かって移動される。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9