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  • 特許-積雪重量計及び積雪重量計ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】積雪重量計及び積雪重量計ユニット
(51)【国際特許分類】
   G01G 17/04 20060101AFI20221013BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20221013BHJP
   G01G 3/14 20060101ALI20221013BHJP
   G01W 1/14 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01G17/04 F
G01G23/00 F
G01G3/14
G01W1/14 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018144635
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2020020666
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人科学技術振興機構 イノベーションハブ構築支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501138231
【氏名又は名称】国立研究開発法人防災科学技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】503368166
【氏名又は名称】株式会社クローネ
(74)【代理人】
【識別番号】100195970
【弁理士】
【氏名又は名称】本夛 伸介
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 研吾
(72)【発明者】
【氏名】藤原 透
(72)【発明者】
【氏名】岩脇 健
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06295868(US,B1)
【文献】特開昭63-091588(JP,A)
【文献】特公昭38-010449(JP,B1)
【文献】実公昭39-030439(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
G01W 1/00-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積雪を受ける測定板と、
前記測定板に加わる荷重に応じた荷重信号を生成する荷重センサーと、
前記測定板の周囲に設置され、前記荷重センサーによる前記測定板の周囲近傍の積雪に起因する影響を軽減する周囲機構と、
を有し、
前記周囲機構は、前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板と略同一平面の上面を有する枠体である ことを特徴とする積雪重量計。
【請求項2】
前記周囲機構は、
前記枠体と、前記枠体の周囲を取り囲み、前記測定板よりも上方に突設するフェンス体と、の組み合わせであることを特徴とする請求項1記載の積雪重量計。
【請求項3】
前記枠体と前記測定板とは、所定の空隙をもって配置されていることを特徴とする請求項又は記載の積雪重量計。
【請求項4】
前記荷重センサーはロードセルにより生成された荷重信号に基づき荷重データを計測し、
前記荷重データを、電気通信回線を通じて送信する通信機構を有することを特徴とする請求項1からのいずれか記載の積雪重量計。
【請求項5】
前記測定板の面積は30cm×30cm以上であることを特徴とする請求項1からのいずれか記載の積雪重量計。
【請求項6】
前記枠体を含む内面積は41cm×41cm以上であることを特徴とする請求項からのいずれか記載の積雪重量計。
【請求項7】
最外周に位置する基台と、
積雪を受ける測定板と、
前記測定板に加わる荷重に応じた荷重信号を生成する荷重センサーと、
前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板と略同一平面の上面を有する枠体と、
を有し、
前記枠体の上面に、通信用アンテナを取り付け可能な取付穴が設けられていることを特徴とする積雪重量計ユニット。
【請求項8】
積雪深計取付けアタッチメントを設置可能にしたことを特徴とする請求項記載の積雪重量計ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺環境に積雪する積雪重量を計測する積雪重量計及び積雪重量計ユニットであって、歪ゲージにより積雪重量を計測するものに関する。
【背景技術】
【0002】
積雪重量は、山間部での雪崩発生や、屋根雪による家屋倒壊や、道路通行及び吹雪通行の情報提供等の雪氷災害の軽減に役立つものとされている。積雪重量(積雪密度)は、雪質により変化するため、積雪深からでは判断することができず、積雪重量を自動計測できる積雪重量計が求められている。
【0003】
従来この種の積雪重量計としては、例えば図9に示すように、内部に不凍液を充填したステンレス薄板製の偏平状の密閉容器1を、地面2にコンクリート打設により形成した水平設置部3上に四個並置しており、密閉容器1の不凍液の圧力を受けて内圧を計測するゲージボックス5内に収納された半導体圧力ゲージ4を各密閉容器1に接続管6により配管接続し、密閉容器1上に積もった積雪重量による半導体圧力ゲージ4の圧力変化を検出して積雪重量を計測しようとする構造のものがある(特許文献1)。
【0004】
このようなメタルウェファー式の積雪重量計は、米国カリフォルニア州の資源局(Resources Agency)において1974年に開発され、1983年日本において電気的な記録ができるように改良され、北陸地方の積雪に対して実用性が確かめられている。
【0005】
また、屋根における積雪重量の荷重分布を正確に測定する積雪測定システムがある(特許文献2)。これは、荷重センサーに加わる荷重を示す荷重データ信号を生成するもので、荷重センサーの一例としてロードセルを用いる例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平5-25385号公報(図1
【文献】特開2008-82941号公報(段落[0015]等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された構造の場合、密閉容器内に不凍液を充填する際の空気の混入は避けられず、また不凍液内にも空気は混入していることから完全な脱気状態にすることは著しく困難である。さらに、圧力ゲージは不凍液の圧力のみならず空気圧をも検出することとなるが、空気の温度膨張は水に比べて大きいことから、測定誤差の要因となりやすく、例えば一冬期間における積雪重量の計測を終了した際、密閉容器上に積雪がないにもかかわらず積雪があるようなデータとなって信頼性を低下させることがある。
【0008】
また、ステンレス薄板と密閉容器(メタルウェファー)の組み合わせ、不凍液、圧力ゲージ、ホース等を有しており、装置は大きく、計測部と圧力ゲージの2ユニットに分かれており、重量があり、高価で扱い難いものであった。さらに、天秤式のものを流用する場合には、秤(高さ)を薄くしたり、積雪は秤の周辺に一様に降るため積雪の一部を切り出して天秤にかけたりする必要があり、そのための工夫が必要であった。
【0009】
一方で、特許文献1及び特許文献2は、メタルウェファーや荷重センサーの周囲近傍の積雪の影響を全く考慮しておらず、積雪重量の計測誤差が発生するという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、荷重センサーとして歪ゲージを用いた簡易な構成の積雪重量計であり、小型で安価で扱い易く、荷重センサーの周囲近傍の積雪の影響を軽減して、積雪重量を精度よく計測することが可能な積雪重量計及び積雪重量計ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0012】
(1) 積雪を受ける測定板と、前記測定板に加わる荷重に応じた荷重信号を生成する荷重センサーと、前記測定板の周囲に設置され、前記荷重センサーによる前記測定板の周囲近傍の積雪に起因する影響を軽減する周囲機構と、を有することを特徴とする積雪重量計。
【0013】
本発明によれば、測定板と荷重センサーと周囲機構とを有し、周囲機構は荷重センサーによる測定板の周囲近傍の積雪に起因する影響を軽減する機能を果たすことから、精度の高い積雪重量の計測が可能となる。また、本発明の積雪重量計は、従来のメタルウェファー式の積雪重量計とは異なり、密閉容器内に液体等を有しない構造であり、それゆえに液体の温度特性による補正を必要としない。さらに、密閉容器内の空気の影響がなく、空気の温度膨張による計測誤差が生じない。
【0014】
荷重センサーは、上下可動式の二次元的や上下左右可動の三次元的なものでよく、後者の三次元的なものでは、左右方向のブレによって測定板の周囲近傍の影響が大きく、計測誤差を生じる可能性がある。このような影響を軽減する周囲機構は、精度の高い積雪重量の計測に資することとなる。
【0015】
(2) 前記周囲機構は、前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板と略同一平面の上面を有する枠体であることを特徴とする積雪重量計。
【0016】
本発明によれば、周囲機構は、測定板の周囲を取り囲み、測定板と略同一平面の上面を有する枠体であることから、測定板とほぼ同じ高さの枠体によって、測定板近傍の左右方向のブレを軽減することができる。
【0017】
(3) 前記周囲機構は、前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板よりも上方に突設するフェンス体であることを特徴とする積雪重量計。
【0018】
本発明によれば、周囲機構は、測定板の周囲を取り囲み、前記測定板よりも上方に突設するフェンス体であることから、測定板への積雪をフェンス体によって上方から誘導して、スポット的に積雪を一様にならすことができる。
【0019】
(4) 前記周囲機構は、前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板と略同一平面に位置する枠体と、前記枠体の周囲を取り囲み、前記測定板よりも上方に突設するフェンス体と、の組み合わせであることを特徴とする積雪重量計。
【0020】
本発明によれば、測定板近傍の左右方向のブレを軽減する枠体と、測定板への積雪を誘導するフェンス体と、の組み合わせによって、より精度の高い積雪重量の計測に資することとなる。
【0021】
(5) 前記枠体と前記測定板とは、所定の空隙をもって配置されていることを特徴とする積雪重量計。
【0022】
本発明によれば、枠体と測定板とは、所定の空隙をもって配置されていることから、測定板の可動を所定の範囲内で自由にしている。
【0023】
(6) 前記荷重センサーはロードセルにより生成された荷重信号に基づき荷重データを計測し、前記荷重データを、電気通信回線を通じて送信する通信機構を有することを特徴とする積雪重量計。
【0024】
本発明によれば、荷重センサーをロードセルとして荷重データを送信することから、センサーとインターネット接続に対応したIoTセンサーを構成することができる。また、ロードセルは温度特性が良いことから、主に寒い時期や寒冷地で使用する本発明の積雪重量計として適している。
【0025】
(7) 前記測定板の面積は30cm×30cm以上であることを特徴とする積雪重量計。
(8) 前記枠体を含む内面積は41cm×41cm以上であることを特徴とする積雪重量計。
【0026】
本発明によれば、従来は2m×3m程度の大型な積雪重量計に比べて、測定板の面積は少なくとも30cm×30cm、枠体を含む内面積は少なくとも41cm×41cmと小型であり、設置に要する工事負担も低減することができる。また、荷重センサーとしてロードセルを使用することで、積雪重量計全体の小型化に資することができる。
【0027】
(9) 最外周に位置する基台と、積雪を受ける測定板と、前記測定板に加わる荷重に応じた荷重信号を生成する荷重センサーと、前記測定板の周囲を取り囲み、前記測定板と略同一平面の上面を有する枠体と、を有し、前記枠体の上面に、通信用アンテナを取り付け可能な取付穴が設けられていることを特徴とする積雪重量計ユニット。
【0028】
本発明によれば、積雪重量計ユニットは、基台と測定板と荷重センサーと枠体とが組み立てられ、通信用アンテナが別体として同封されており、通信用アンテナを取り付ける取付穴が設けられる。高さのある通信用アンテナを後付けする構成とすることで、積雪重量計ユニットの送付時のサイズを小さくすることができる。同じく、高さのあるその他の部品を後付け構成とすることも可能である。
【0029】
(10) 積雪深計取付けアタッチメントを設置可能にしたことを特徴とする積雪重量計ユニット。
【0030】
本発明によれば、高さのある積雪深計を後付けする構成とすることで、積雪重量計ユニットの送付時のサイズを小さくすることができる。積雪深計を後付けするための積雪深計取付けアタッチメントを設置可能にしている。
【発明の効果】
【0031】
本発明の積雪重量計及び積雪重量計ユニットは、積雪重量により測定板の撓みを歪ゲージである荷重センサーが検出して積雪重量を計測することができ、また、測定板の周囲近傍の積雪状態による計測誤差の影響を軽減する周囲機構により精度の高い積雪重量の計測を可能にするという効果がある。さらに、積雪重量計の構造が簡単で小型で安価な装置を実現することができ、IoTセンサーとして外部に情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態に係る第1の積雪重量計の概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る第2の積雪重量計の概略構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係る積雪重量計の断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る積雪重量計の電気的構成図である。
図5】積雪の様子を示す図。
図6】各積雪状態における積雪終了後の積雪重量の関係を示す図。
図7】各積雪状態における積雪中の積雪重量の関係を示す図。
図8】本発明の実施の形態に係る積雪重量計ユニットの概略構成図である。
図9】従来のメタルウェファー式の積雪重量計の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る第1の積雪重量計10の概略構成図である。積雪重量計10は、最外周に位置する基台11の周側に枠体12が固設され、枠体12に離間して囲まれるように測定板13が配設され、枠体12からは通信用アンテナ14が突設されている。基台11は、地面や屋根や屋上などに対して地平と水平に設置され、必要に応じて傾斜のある設置場所に対して水平方向に設置するための可変アングルが取り付けられる。このような基台11により設置負担が軽減できる。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係る第2の積雪重量計20の概略構成図である。積雪重量計10と同一の構成には同じ符号を用いており、積雪重量計10と異なる点は、枠体12の垂直面12bに沿うフェンス体12’を立設していることである。なお、図示しないが、フェンス体12’は、測定板13を離間して取り囲むように設置していればよく、例えば、枠体12を設けずに基台13の外縁を取り囲むように立設してもよい。
【0036】
枠体12は、測定板13の周囲に一定幅のギャップG(例えば5mm幅)をもって設置され、枠体12の干渉を受けずに測定板13が三次元的に自由自在に動けるようになっている。図1及び図2に示す枠体12は、水平面12a及び垂直面12bを有する断面L状を呈している。なお、水平面12aは平滑状の平板となっている。
【0037】
また、枠体12は、測定板13及び荷重センサー15を保護するほか、荷重センサー15による測定板13の周囲近傍の積雪に起因する影響を軽減する周囲機構としても機能し、周囲機構の一例として図1に示すように、測定板13の周囲を取り囲み、測定板13と略同一平面の上面(水平面12a)を有する平たい枠体となっている。この水平面12aにより、積雪の沈降による重量変化を抑えている。
【0038】
また、枠体12による周囲機構の例として図2に示すように、測定板13の周囲を取り囲み、測定板13よりも上方に突設する尖ったフェンス体12’となっている。図2ではフェンス体12’と枠体12とを別体として構成しているが、フェンス体と枠体とを一体に構成して、断面L字形の枠体や断面T字形の枠体としてもよい。この場合、フェンス状のL形アングル又はT形アングルを枠体として配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0039】
測定板13は、積雪を受ける矩形のステンレス薄板である。測定板13の上面は、荷重センサー15との接続部15aを有しており、測定板12の下方には荷重センサー15が設けられる(図3参照)。接続部15aは荷重センサー15と物理的に接続されていて熱伝導性が良い場合には、融雪を防ぐための断熱部材を接続部15a上面に貼付してもよい。
【0040】
測定板13の面積の一例としては30cm×30cmであり、単位面積当たりの重量(kg/m)で換算する場合は、得られた重量に11.11倍する。また、測定板13で計測可能な積雪深は面積によることから、30cm×30cm以上の測定板13を用いて積雪重量を計測することとしてもよい。測定板13の形状及びサイズは、従来の積雪重量計と同じ計測値を示すように規定しておく必要がある。
【0041】
枠体12を含む内面積の一例としては41cm×41cmであり、具体的には、測定板13の面積が30cm×30cm、中空の枠体自体の面積が41cm×41cm-30cm×30cmである。なお、測定板13で計測可能な積雪深を拡張するためにも、30cm×30cm以上の測定板13を用いて積雪重量を計測する場合には、41cm×41cm以上の内面積となる。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態に係る積雪重量計10,20の電気的構成図であり、通信用アンテナ14及び荷重センサー15は前述した通りである。なお、荷重センサー15は測定板13の裏面側に備えられており、測定板13が積雪により撓むと歪センサーに撓みが伝わる構造となっており、歪みが電気変換されて積雪重量に基づく重量値が出力される。
【0043】
積雪重量計10,20の内部には、防水BOX16内に電源供給部16a,電源部16b,無線部16c,基板部16d,アナログ処理部16eが設けられる。なお、外部とのデータ通信を行う場合には、通信用アンテナ14から一旦図示しない中継器を介在させて、中継器から外部にデータを送信することができる。中継器を用いることで、防水BOX16内の電源供給部16aの容量を抑え、中継器内に大型の大容量バッテリーを搭載することができ、電力消費量の大きいwi-fi通信によって遠距離との通信が可能となる。
【0044】
電源供給部16aは、積雪重量計1,2に電源を供給する供給源であり、乾電池,蓄電池,AC/DC電源などを用いることができる。この電源供給部16aから供給された電力は電源部16bにて電力変換され、適切な電力値を各部に供給する。
【0045】
無線部16cは、無線モジュールを用いて基板部16dのマイコンからの通信データを送信制御して、通信用アンテナ14から送信する。無線モジュールは、IEEEに準拠したZigBee通信を行って中継器にデータを送るか、電力供給源16aからの電力が十分な場合には、wi-fi通信を行って外部に直接データを送る。
【0046】
基板部16dは、積雪重量計10,20の総合的な制御指令を司るマイコンを有しており、アナログ処理部16eと接続又は機能的一体とされている。荷重センサー15からの重量データは、アナログ処理部16eで必要に応じて信号増幅されてアナログ/デジタル変換された後、マイコンにて処理される。マイコンでは、電圧から重量への変換処理(スケーリング処理)を行い、重量データとして出力する。
【0047】
図5は、積雪重量計の断面と積雪の様子を示す図である。図5(A)は、測定板13の周囲を何も取り囲んでおらず、測定板13の周囲に緩やかに積雪している状態である。図5(B)は、測定板13の周囲を略同一平面を有する枠体12が取り囲んでおり、枠体12の周囲に緩やかに積雪している状態である。図5(C)は、測定板13の周囲を枠体12及びフェンス体12’が取り囲んでおり、フェンス体によって一様に積雪している状態である。
【0048】
図6は、各積雪状態(図5(A),(B),(C))における積雪終了後の積雪重量の関係を示す図、図7は、各積雪状態(図5(A),(B),(C))における積雪中の積雪重量の関係を示す図である。なお、図7では、電子天秤を用いて積雪重量を計測した基準線も示している。
【0049】
図6は、実際に積雪して計測した積雪重量と測定板13の大きさに積雪を切り出して計測した積雪重量とを比較している、図6において、(A)の状態で切り出すと積雪重量が減少する結果を示していることから、沈降力による影響を受けて積雪重量が過大計測されていることが分かる。一方、(B)及び(C)の状態で切り出しても積雪重量の変化はあまり見られないことから、枠体やフェンス体によって沈降力による影響が軽減されていることが分かる。
【0050】
図6及び図7によれば、(A)の状態よりも、(B)及び/又は(C)の状態が基準曲線に近く、良好な相関が得られていることが分かる。すなわち、(A)の状態では測定板13に対して、図5矢印に示すようなその外側に働く力(沈降力)が作用することから、実際の重量に比して計測誤差を生じることがある。これに比べて(B)や(C)では、沈降力による影響を軽減することができる。
【0051】
図8は、本発明の実施の形態に係る積雪重量計ユニット100の概略構成図である。積雪重量計ユニット100は、基台11と、測定板13と、荷重センサー15と、枠体12と、枠体12の上面側の水平面12aに設けられた取付穴12cと、を有しており、取付穴12cには通信用アンテナ14が取り付けられる。なお、積雪重量計ユニット100において、通信用アンテナ14は通信可能なように基板部16dと接続線で接続されている。通信用アンテナ14を取付穴12cに取り付けてネジ等で固定する。
【0052】
積雪重量計ユニット100は、測定板13に積雪する積雪深を計測するための積雪深計を取付部19に取付可能であり、積雪深計取付けアタッチメントが設置されている。取付部19は、枠体12の外周壁に設置されており、プレート固定用スタット19aが取付けられている。積雪深計を取付けることで、積雪重量計及び積雪深計として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明に係る積雪重量計及び積雪重量計ユニットは、周辺環境に積雪する積雪重量を計測する際の沈降力の影響を軽減し、積雪重量を精度よく計測することができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0054】
10,20 積雪重量計
11 基台
12 枠体(12a:水平面、12b:垂直面、12c:取付穴)
12’ フェンス体
13 測定板
14 通信用アンテナ
15 荷重センサー(15a:接続部)
16 防水BOX(16a:電源供給部、16b:電源部、16c:無線部、16d:基板部、16e:アナログ処理部)
G ギャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9