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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】センサ出力変換回路およびシート
(51)【国際特許分類】
   G01D 3/024 20060101AFI20221013BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20221013BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01D3/024
G01L5/00 101Z
G01L1/22 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018145717
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020020704
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
(72)【発明者】
【氏名】杉田 達弥
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-032598(JP,U)
【文献】特表2003-508779(JP,A)
【文献】特開平08-146053(JP,A)
【文献】特開2016-220104(JP,A)
【文献】特開2014-072065(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0176110(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 3/00- 3/10
G01L 1/22
G01L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに内蔵され、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗と、
電源とグラウンドの間で、前記センサ側抵抗に直列接続される第1抵抗と、
前記センサ側抵抗と前記第1抵抗の間の配線が非反転入力端子に接続されるオペアンプと、
前記オペアンプの出力端子と反転入力端子とを繋ぐ負帰還回路と、を備えるセンサ出力変換回路であって、
前記第1抵抗は、
並列接続された 複数の調整用抵抗と、
当該複数の調整用抵抗の接続状態を切り替えるスイッチであって、前記複数の調整用抵抗のそれぞれに設けられるスイッチとからなり、
複数の調整用抵抗は、それぞれ、スイッチを介してグラウンドに接続され、
前記スイッチは、制御装置からの信号に基づいて切り替え可能となっていることを特徴とするセンサ出力変換回路。
【請求項2】
センサに内蔵され、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗と、
電源とグラウンドの間で、前記センサ側抵抗に直列接続される第1抵抗と、
前記センサ側抵抗と前記第1抵抗の間の配線が非反転入力端子に接続されるオペアンプと、
前記オペアンプの出力端子と反転入力端子とを繋ぐ負帰還回路と、を備えるセンサ出力変換回路であって、
前記第1抵抗は、
直列接続された 複数の調整用抵抗と、
当該複数の調整用抵抗の接続状態を切り替えるスイッチであって、各調整用抵抗の間に一端が接続された複数のスイッチとからなり、
各スイッチの他端は、グラウンドに接続され、
前記スイッチは、制御装置からの信号に基づいて切り替え可能となっていることを特徴とするセンサ出力変換回路。
【請求項3】
前記スイッチは、トランジスタであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセンサ出力変換回路。
【請求項4】
前記複数の調整用抵抗は、それぞれ抵抗値が異なることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のセンサ出力変換回路。
【請求項5】
前記調整用抵抗の数をnとした場合、n個の調整用抵抗のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値は、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値であることを特徴とする請求項に記載のセンサ出力変換回路。
【請求項6】
前記調整用抵抗の数は、4つであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ出力変換回路。
【請求項7】
4つの前記調整用抵抗の抵抗値は、200Ω、400Ω、800Ω、1600Ωであることを特徴とする請求項に記載のセンサ出力変換回路。
【請求項8】
着座者を支持する座面を有するシート本体と、前記シート本体の前記座面側に配置されたンサと、センサ出力変換回路と、制御装置と、を備えたシートであって、
前記センサ出力変換回路は、
前記センサに内蔵され、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗と、
電源とグラウンドの間で、前記センサ側抵抗に直列接続される第1抵抗と、
前記センサ側抵抗と前記第1抵抗の間の配線が非反転入力端子に接続されるオペアンプと、
前記オペアンプの出力端子と反転入力端子とを繋ぐ負帰還回路と、を備え、
前記第1抵抗は、
複数の調整用抵抗と、
当該複数の調整用抵抗の接続状態を切り替えるスイッチであって、前記制御装置からの信号に基づいて切り替え可能なスイッチとからなり、
前記制御装置は、
前記センサからの情報に基づいて着座者の体重が所定値以下であるかを判定し、
着座者の体重が所定値以下であると判定した場合には、前記スイッチを制御して前記第1抵抗の抵抗値を第1抵抗値に設定し、
着座者の体重が所定値以下でないと判定した場合には、前記スイッチを制御して前記第1抵抗の抵抗値を前記第1抵抗値よりも小さな第2抵抗値に設定することを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサの出力を変換するセンサ出力変換回路と、センサ出力変換回路を備えたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着座者が座るシートに圧力センサを搭載して、着座者の着座姿勢を推定する装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-064131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、圧力センサの出力特性を変更する回路が設けられていないことから、圧力センサの出力特性が一定であるため、体重の異なる様々な着座者がシートに座った場合には、圧力センサに加わる圧力が着座者ごとに大きく変わり、圧力センサにおいて圧力を精度良く検出することができなくなるおそれがある。具体的には、例えば、圧力センサが、圧力が小さいときに応答性が高く、圧力が大きくなるに従って応答性が低くなるような出力特性を持つ場合には、大きな体重の着座者がシートに座った際における圧力センサでの圧力の検出の精度が悪くなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、センサの出力特性を変更可能とすることで、センサでの物理量の検出精度の悪化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係るセンサ出力変換回路は、センサに内蔵され、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗と、電源とグラウンドの間で、前記センサ側抵抗に直列接続される第1抵抗と、前記センサ側抵抗と前記第1抵抗の間の配線が非反転入力端子に接続されるオペアンプと、前記オペアンプの出力端子と反転入力端子とを繋ぐ負帰還回路と、を備える。
前記第1抵抗は、複数の調整用抵抗と、当該複数の調整用抵抗の接続状態を切り替えるスイッチとからなり、前記スイッチは、制御装置からの信号に基づいて切り替え可能となっている。
【0007】
この構成によれば、制御装置からスイッチに信号を送って、スイッチを切り替え、複数の調整用抵抗の接続状態を切り替えることで、オペアンプから出力される出力値を変更することができるので、センサの出力特性を変更することができ、センサでの物理量の検出精度の悪化を抑制することができる。
【0008】
また、前記スイッチは、前記複数の調整用抵抗のそれぞれに設けられていてもよい。
【0009】
これによれば、例えばスイッチの数が調整用抵抗の数よりも少ない構成に比べ、第1抵抗の抵抗値、つまり複数の調整用抵抗の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0010】
また、前記スイッチは、トランジスタであってもよい。
【0011】
これによれば、制御装置からの信号によってスイッチを良好に切り替えることができる。
【0012】
また、前記第1抵抗は、グラウンドに接続されていてもよい。
【0013】
また、前記複数の調整用抵抗は、それぞれ抵抗値が異なっていてもよい。
【0014】
これによれば、例えば複数の調整用抵抗が同じ抵抗値である構成に比べ、第1抵抗の抵抗値、つまり複数の調整用抵抗の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0015】
また、前記調整用抵抗の数をnとした場合、n個の調整用抵抗のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値は、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値であってもよい。
【0016】
これによれば、複数の調整用抵抗の抵抗値が、最も小さな抵抗値から順に2倍ずつずれていくので、第1抵抗の抵抗値を適切な範囲で変更することができる。
【0017】
また、前記複数の調整用抵抗は、並列接続されていてもよい。
【0018】
これによれば、例えばスイッチがトランジスタである場合には、複数の調整用抵抗を直列接続する形態に比べ、出力ポートの数が少なくても、第1抵抗の抵抗値、つまり複数の調整用抵抗の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0019】
また、前記調整用抵抗の数は、4つであってもよい。
【0020】
また、前記4つの調整用抵抗の抵抗値は、200Ω、400Ω、800Ω、1600Ωであってもよい。
【0021】
これによれば、第1抵抗の抵抗値を106~1600Ωの範囲で変更することができる。
【0022】
また、本発明に係るシートは、前記センサ出力変換回路を備えたシートであって、着座者を支持する座面を有するシート本体を備える。
前記センサは、前記シート本体の前記座面側に配置された圧力センサである。
【0023】
これによれば、シート本体に設けた圧力センサの出力特性を変更することが可能になるので、着座者の体重の違いによる圧力センサでの圧力の検出精度の悪化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、センサの出力特性を変更することが可能になるので、センサでの物理量の検出精度の悪化を抑制することができる。
【0025】
また、スイッチを複数の調整用抵抗のそれぞれに設けることで、例えばスイッチの数が調整用抵抗の数よりも少ない構成に比べ、第1抵抗の抵抗値、つまり複数の調整用抵抗の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0026】
また、スイッチをトランジスタとすることで、制御装置からの信号によってスイッチを良好に切り替えることができる。
【0027】
また、複数の調整用抵抗の抵抗値をそれぞれ異なる値にすることで、例えば複数の調整用抵抗が同じ抵抗値である構成に比べ、第1抵抗の抵抗値、つまり複数の調整用抵抗の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0028】
また、n個の調整用抵抗のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値を、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値とすることで、複数の調整用抵抗の抵抗値が、最も小さな抵抗値から順に2倍ずつずれていくので、第1抵抗の抵抗値を適切な範囲で変更することができる。
【0029】
また、4つの調整用抵抗の抵抗値を、200Ω、400Ω、800Ω、1600Ωとすることで、第1抵抗の抵抗値を106~1600Ωの範囲で変更することができる。
【0030】
また、センサ出力変換回路をシートに設けた圧力センサに適用することで、着座者の体重の違いによる圧力センサでの圧力の検出精度の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態に係るシートの構成を説明する図である。
図2】センサ出力変換回路を示す回路図である。
図3】圧力センサに加わる圧力と出力電圧と第1抵抗の抵抗値との関係を示すグラフである。
図4】複数の調整用抵抗を直列接続した形態を示す回路図である。
図5】直列接続の形態における、出力ポートの出力状態と合成抵抗値との関係を示す表である。
図6】並列接続の形態における、出力ポートの出力状態と合成抵抗値との関係を示す表である。
図7】並列接続の形態における、実際の合成抵抗値とパターン(出力ポートの出力状態)との関係を示すグラフである。
図8】直列接続の形態における、実際の合成抵抗値とパターン(出力ポートの出力状態)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態の乗物用シートSは、シートの一例であり、例えば、車両に設置される車両用シートとして構成される。乗物用シートSは、シート本体S0と、制御装置100と、センサ出力変換回路40(図2参照)とを備えている。
【0033】
シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1およびシートバックS2は、クッションパッド20と、クッションパッド20を被覆する表皮10とを備えている。クッションパッド20は、ウレタンフォームなどからなり、図示せぬフレームによって支持されている。表皮10は、合成皮革や布地などからなっている。表皮10の外面は、着座者を支持する座面となっている。
【0034】
シートクッションS1とシートバックS2には、表皮10の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に座っている着座者の動作を特定するための測定値を取得するセンサである。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者に対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者からの圧力値を取得する。
【0035】
各圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0の座面側に配置されている。詳しくは、各圧力センサPS1~PS6は、クッションパッド20と表皮10との間に配置されている。各圧力センサPS1~PS6は、乗物用シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、シートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者の臀部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、着座者の臀部からの圧力を測定する第1クッションセンサSC1を構成している。圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されている。なお、第1クッションセンサSC1は、圧力センサPS1および圧力センサPS2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0036】
圧力センサPS3は、着座者の大腿の下に位置している。圧力センサPS3は、着座者の大腿からの圧力値を測定する第2クッションセンサSC2を構成している。圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。
【0037】
シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者の腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されている。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者の腰からの圧力を測定する第1バックセンサSB1を構成している。なお、第1バックセンサSB1は、圧力センサPS4および圧力センサPS5のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0038】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部に対応して位置している。圧力センサPS6は、着座者の背中の上部からの圧力値を測定する第2バックセンサSB2を構成している。
【0039】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。圧力センサPS1~PS6としては、例えば、入力される圧力が大きくなるほど一対の電極同士の接触面積が大きくなって抵抗値が小さくなる感圧センサや、入力される圧力が大きくなるほど抵抗の歪が大きくなって抵抗値が大きくなる歪ゲージなどを利用することができる。ただし、感圧センサは、歪ゲージよりも、圧力変化に対する抵抗値の変化量が大きいため、感圧センサを用いるのが望ましい。
【0040】
各圧力センサPS1~PS6は、後述するセンサ出力変換回路40(図2参照)に組み込まれ、このセンサ出力変換回路40を介して制御装置100に接続されている。なお、センサ出力変換回路40は、シート本体S0に設けられた複数の圧力センサPS1~PS6のそれぞれに対して1つずつ設けられている。
【0041】
表皮10の外面における各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、位置表示部となる塗料31が塗布されている。塗料31は、表皮10の外面10Aに塗布されることで、表皮10の外側に露出している。塗料31の色は、表皮10の外面10Aとは異なる色となっている。具体的には、例えば表皮10の外面10Aが黒色である場合には、塗料31の色は、黄色などの黒色に対して目立つ色とすることができる。
【0042】
このような塗料31は、着座者が乗物用シートSに着座する前に、シート本体S0の外側から各圧力センサPS1~PS6の位置を視認可能に表示している。
【0043】
制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6で検出した情報を、対象機器、例えばスマートフォンSPに送信可能となっている。
【0044】
制御装置100およびスマートフォンSPは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPをさらに備えている。
【0045】
制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能であり、スマートフォンSPにインストールされたアプリと連携してスマートフォンSPに所定の画面や音声を提供するとともに、スマートフォンSPで入力されたデータを取得することができるようになっている。
【0046】
このようなシート本体S0、制御装置100およびスマートフォンSPからなるシステムでは、例えば、スマートフォンSP上で、100m走のゲームを提供することができる。この場合、制御装置100は、シート本体S0上で着座者が左右の脚を交互に上下させることで、ディスプレイDSP上に表示されたゲーム内のキャラクタを走らせる操作をする信号を出力する。
【0047】
このようなゲームを行う場合において、着座者は、シート本体S0に着座する前に、シート本体S0に塗布された塗料31の位置を視認することができるので、各圧力センサPS1~PS6の位置を容易に確認することができる。これにより、着座者は、自分の左右の大腿を左右の圧力センサPS3の上に適切にセットすることができるため、各圧力センサPS3を有効に利用して、ゲームを楽しむことができる。
【0048】
図2に示すように、センサ出力変換回路40は、センサ側抵抗Rfsrと、第1抵抗Rmと、オペアンプOPと、負帰還回路41と、を備える。センサ側抵抗Rfsrは、圧力センサPS1に内蔵され、測定対象の物理量としての圧力の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗である。なお、以下の説明では、圧力センサPS1に対応したセンサ出力変換回路40を代表して説明し、その他の圧力センサPS2~PS6に対応した各センサ出力変換回路40については、同様の構造であるため、説明を省略する。
【0049】
第1抵抗Rmは、電源EPとグラウンドGNDの間で、センサ側抵抗Rfsrに直列接続されている。詳しくは、第1抵抗Rmのセンサ側抵抗Rfsrとは反対側の端部が、グラウンドGNDに接続され、センサ側抵抗Rfsrの第1抵抗Rmとは反対側の端部が、電源EPに接続されている。
【0050】
第1抵抗Rmは、4つの調整用抵抗R1~R4と、これらの調整用抵抗R1~R4の接続状態を切り替える4つのスイッチSW1~SW4とからなっている。4つの調整用抵抗R1~R4は、並列接続され、それぞれ抵抗値が異なっている。具体的には、4つの調整用抵抗R1~R4のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値は、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値となっている。本実施形態では、各調整用抵抗R1~R4を抵抗値が小さいものから順に並べた場合、R1、R2、R3、R4の順になることとする。そのため、本実施形態では、第1調整用抵抗R1の抵抗値が最も小さな値となり、第2調整用抵抗R2の抵抗値がR1の2倍、第3調整用抵抗R3の抵抗値がR1の4倍、第4調整用抵抗R4の抵抗値がR1の8倍となっている。具体的に、本実施形態では、第1調整用抵抗R1の抵抗値は、200Ω、第2調整用抵抗R2の抵抗値は、400Ω、第3調整用抵抗R3の抵抗値は、800Ω、第4調整用抵抗R4の抵抗値は、1600Ωとなっている。
【0051】
スイッチSW1~SW4は、トランジスタであり、制御装置100の出力ポートp1~p4からの信号に基づいて切り替え可能となっている。スイッチSW1~SW4は、4つの調整用抵抗R1~R4のそれぞれに設けられている。詳しくは、第1スイッチSW1は、第1調整用抵抗R1に直列接続され、グラウンドGNDに接続されている。同様に、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3および第4スイッチSW4は、それぞれ対応する第2調整用抵抗R2、第3調整用抵抗R3および第4調整用抵抗R4に直列接続され、それぞれグラウンドGNDに接続されている。
【0052】
オペアンプOPは、非反転入力端子(+)と反転入力端子(-)と、1つの出力端子を備えた増幅器である。非反転入力端子(+)は、センサ側抵抗Rfsrと第1抵抗Rmの間の配線Wに接続されている。出力端子から出力される出力電圧Voutは、負帰還回路41を介して反転入力端子(-)にフィードバックされるとともに、制御装置100に出力される。
【0053】
負帰還回路41は、オペアンプOPの出力端子と反転入力端子(-)とを繋ぐ回路である。なお、本実施形態では、負帰還回路41を配線のみで構成しているが、本発明はこれに限定されず、負帰還回路41に抵抗を設けてもよい。つまり、オペアンプOPの出力端子を、抵抗を介して反転入力端子(-)に接続してもよい。
【0054】
このセンサ出力変換回路40では、制御装置100が、電源EPを制御して、直列接続されたセンサ側抵抗Rfsrおよび第1抵抗Rmに電圧Vppを印加すると、電圧Vppが、センサ側抵抗Rfsrと第1抵抗Rmとで分圧される。これにより、センサ側抵抗Rfsrと第1抵抗Rm間の電位、つまり第1抵抗Rmにかかる電圧Vinは、以下の式(1)で表される。
Vin={Rm/(Rfsr+Rm)}・Vpp ・・・(1)
【0055】
そして、この電圧VinがオペアンプOPの非反転入力端子(+)に入力されると、オペアンプOPの出力端子から出力電圧Voutが制御装置100に出力される。ここで、負帰還回路41が配線のみからなることから、出力電圧Voutは、以下の式(2)で表される。
Vout=Vin={Rm/(Rfsr+Rm)}・Vpp ・・・(2)
【0056】
ここで、第1抵抗Rmの抵抗値は、スイッチSW1~SW4の切り替えによって、様々な値に変化する。第1抵抗Rmの抵抗値は、以下の式(3)で表される。
Rm=1/(p/R1+p/R2+p/R3+p/R4) ・・・(3)
~p:0または1
【0057】
ここで、p~pは、出力ポートp1~p4からスイッチSW1~SW4へ出力する信号の出力状態(HIGH・LOW)を示す値であり、各スイッチSW1~SW4のON・OFFに対応している。なお、この回路では、出力ポートp1~p4の出力をHIGHにすると、スイッチSW1~SW4がONになって調整用抵抗R1~R4がグラウンドGNDに接続される。また、出力ポートp1~p4の出力をLOWにすると、スイッチSW1~SW4がOFFになって調整用抵抗R1~R4とグラウンドGNDとの接続が切られる。そして、式(3)において、p~pには、スイッチSW1~SW4がOFFのときには0が代入され、ONのときには1が代入される。
【0058】
本実施形態では、各調整用抵抗R1~R4を200Ω、400Ω、800Ω、1600Ωとしたので、調整用抵抗R1~R4の合成抵抗値、つまり第1抵抗Rmの抵抗値を、106~1600Ωの範囲で切り替えることができる。
【0059】
このように第1抵抗Rmの抵抗値を切り替えることで、圧力センサPS1の出力値である出力電圧Voutの特性を、図3に示すように切り替えることができる。図3は、横軸を圧力センサPS1に加わる圧力とし、縦軸を出力電圧Voutとしたグラフである。
【0060】
図3のグラフより、圧力センサPS1に加わる圧力が0~F1といった小さな値となる範囲においては、第1抵抗Rmの抵抗値が大きいほど、出力電圧Voutの傾きが大きくなって、応答性や分解能が高くなる。また、圧力センサPS1に加わる圧力がF1~F2といった中程度の値となる範囲においては、第1抵抗Rmの抵抗値に関わらず、出力電圧Voutの傾きは略一定となる。そして、圧力センサPS1に加わる圧力がF2~F3といった大きな値となる範囲においては、第1抵抗Rmの抵抗値が小さいほど、出力電圧Voutの傾きが大きくなって、応答性や分解能が高くなる。
【0061】
そのため、例えば着座者の体重が小さい場合には、制御装置100が、第4スイッチSW4をONにし、その他のスイッチSW1~SW3をOFFにすることで、第1抵抗Rmの抵抗値を1600Ωにして、圧力センサPS1の応答性を高くすることができる。また、例えば着座者の体重が大きい場合には、制御装置100が、すべてのスイッチSW1~SW4をONにすることで、第1抵抗Rmの抵抗値を106Ωにして、圧力センサPS1の応答性を高くすることができる。
【0062】
以上、本実施形態のセンサ出力変換回路40によれば、次の各効果を奏することができる。
スイッチSW1~SW4によって4つの調整用抵抗R1~R4の接続状態を切り替えることで、オペアンプOPから出力される圧力センサPS1の出力値を変更することができるので、圧力センサPS1の出力特性を変更することができ、圧力センサPS1での圧力の検出精度の悪化を抑制することができる。
【0063】
特に本実施形態では、スマートフォンSP上に表示されたゲーム内のキャラクタを操作するためのコントローラとして使用されるシート本体S0に設けた圧力センサPS1~PS6の出力特性を変更することが可能になる。そのため、着座者の体重の違いによる圧力センサPS1~PS6での圧力の検出精度の悪化を抑制することができ、体重の異なる様々な着座者に対して同等の操作性を提供することができる。
【0064】
スイッチSW1~SW4を4つの調整用抵抗R1~R4のそれぞれに設けたので、例えばスイッチの数が調整用抵抗の数よりも少ない構成に比べ、第1抵抗Rmの抵抗値、つまり4つの調整用抵抗R1~R4の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0065】
スイッチSW1~SW4をトランジスタとしたので、制御装置100からの信号によってスイッチSW1~SW4を良好に切り替えることができる。
【0066】
4つの調整用抵抗R1~R4の抵抗値をそれぞれ異なる値にすることで、例えば4つの調整用抵抗が同じ抵抗値である構成に比べ、第1抵抗Rmの抵抗値、つまり4つの調整用抵抗R1~R4の合成抵抗値のパターンを多くすることができる。
【0067】
4つの調整用抵抗R1~R4のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値を、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値とすることで、4つの調整用抵抗R1~R4の抵抗値が、最も小さな抵抗値から順に2倍ずつずれていくので、第1抵抗の抵抗値を適切な範囲で変更することができる。
【0068】
4つの調整用抵抗R1~R4の抵抗値を、200Ω、400Ω、800Ω、1600Ωとしたので、第1抵抗Rmの抵抗値を106~1600Ωの範囲で変更することができる。
【0069】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。以下の説明において、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0070】
前記実施形態では、複数の調整用抵抗R1~R4を並列接続したが、本発明はこれに限定されず、直列接続してもよい。例えば、図4に示すように、5つの調整用抵抗R11~R15を直列接続してもよい。
【0071】
詳しくは、図4の形態において、第1抵抗Rmは、5つの調整用抵抗R11~R15と、これらの調整用抵抗R11~R15の接続状態を切り替える4つのスイッチSW1~SW4とからなっている。5つの調整用抵抗R11~R15は、直列接続され、それぞれ抵抗値が同じ値、例えば200Ωとなっている。詳しくは、第1調整用抵抗R11は、センサ側抵抗Rfsrに直列接続され、第2調整用抵抗R12は、第1調整用抵抗R11に直列接続され、第3調整用抵抗R13は、第2調整用抵抗R12に直列接続されている。第4調整用抵抗R14は、第3調整用抵抗R13に直列接続され、第5調整用抵抗R15は、第4調整用抵抗R14に直列接続されるとともに、グラウンドGNDに接続されている。
【0072】
スイッチSW1~SW4は、トランジスタであり、制御装置100の出力ポートp1~p4からの信号に基づいて切り替え可能となっている。第1スイッチSW1は、第1調整用抵抗R11と第2調整用抵抗R12との間の配線に接続されるとともに、グラウンドGNDに接続されている。第2スイッチSW2は、第2調整用抵抗R12と第3調整用抵抗R13との間の配線に接続されるとともに、グラウンドGNDに接続されている。
【0073】
第3スイッチSW3は、第3調整用抵抗R13と第4調整用抵抗R14との間の配線に接続されるとともに、グラウンドGNDに接続されている。第4スイッチSW4は、第4調整用抵抗R14と第5調整用抵抗R15との間の配線に接続されるとともに、グラウンドGNDに接続されている。
【0074】
この形態では、第1抵抗Rmの抵抗値は、以下の式(4)で表される。
Rm=R11+p・[R12+p・{R13+p・(R14+p・R15)}] ・・・(4)
~p:0または1
【0075】
なお、式(4)において、p~pに代入される数値は、前記実施形態とは逆になっている。つまり、式(4)において、p~pには、スイッチSW1~SW4がONのときには0が代入され、OFFのときには1が代入される。この形態によれば、図5に示すように、各出力ポートp1~p4の信号の出力状態(HIGH・LOW)、つまり各スイッチSW1~SW4のON・OFFに応じて、第1抵抗Rmの抵抗値(合成抵抗値)を、200Ω、400Ω、600Ω、800Ω、1000Ωというように比例的に変化させることができる。
【0076】
なお、直列接続の形態では、4つの出力ポートp1~p4に対して、第1抵抗Rmの抵抗値(合成抵抗値)を5パターンしか作ることができない。また、調整用抵抗の数も5つにする必要がある。
【0077】
これに対し、並列接続の形態では、図6に示すように、4つの出力ポートp1~p4に対して、合成抵抗値を16パターン作ることができる。詳しくは、並列接続の形態では、出力ポートの数をnとしたときに、合成抵抗値のパターンを、2パターンも作ることができるので、直列接続の形態よりも、合成抵抗値のパターンを多くすることができる。さらに、並列接続の形態では、調整用抵抗の数も4つで済み、低コスト化を図ることができる。なお、図6の形態では、前記実施形態とは、調整用抵抗R1~R4の抵抗値を異なる抵抗値としており、合成抵抗値の範囲は、66.7~1kΩとなっている。
【0078】
ただし、並列接続の形態では、例えば図6に示すパターン9,10の合成抵抗値125Ω、111Ωのように、近い値となる合成抵抗値が存在する。そのため、図7に示すように、調整用抵抗R1~R4の製造誤差によっては、合成抵抗値の大小関係が逆転してしまうパターンが生じるおそれがある。ここで、図7において、実線で示すグラフは、製造誤差が略0であるときのグラフであり、破線で示すグラフは、製造誤差があるときのグラフである。
【0079】
これに対し、直列接続の形態では、図5に示すように、各パターンでの合成抵抗値を大きくずらしておく、例えば200Ωずつずらしておくことで、図8に示すように、調整用抵抗R11~R15に製造誤差が生じても、合成抵抗値の大小関係が逆転してしまうことはない。ここで、図8において、実線で示すグラフは、製造誤差が略0であるときのグラフであり、破線で示すグラフは、製造誤差があるときのグラフである。
【0080】
前記実施形態では、シートとして、自動車などの乗物で使用される乗物用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他のシート、例えば、家屋などの室内で使用される座椅子や椅子などであってもよい。
【0081】
前記実施形態では、センサ側抵抗Rfsrを電源EPに接続し、第1抵抗RmをグラウンドGNDに接続したが、本発明はこれに限定されず、第1抵抗Rmとセンサ側抵抗Rfsrの配置を入れ替え、第1抵抗Rmを電源EPに接続し、センサ側抵抗RfsrをグラウンドGNDに接続してもよい。
【0082】
前記実施形態では、センサとして圧力センサPS1~PS6を例示したが、本発明はこれに限定されず、センサは、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗を有するセンサであればどのようなセンサであってもよい。例えば、センサは、温度の変化に応じて抵抗値が変化するセンサ側抵抗を有する温度センサなどであってもよい。
【0083】
前記実施形態では、調整用抵抗R1~R4の数を4つとしたが、本発明はこれに限定されず、例えば2つ、または、3つであってもよく、また、5つ以上であってもよい。また、スイッチの数は、調整用抵抗の数に応じて適宜変更すればよい。また、調整用抵抗R1~R4の抵抗値等も任意に設定することができる。なお、調整用抵抗の数をnとした場合、n個の調整用抵抗のうちk番目の調整用抵抗の抵抗値を、最も小さな抵抗値に2k-1を掛けた値にしてもよい。ここで、k:1~nである。
【0084】
また、複数の調整用抵抗は、直列に接続してもよいし、直列と並列の組み合わせで接続してもよい。
【0085】
前記実施形態では、スイッチSW1~SW4をトランジスタで構成したが、本発明はこれに限定されず、制御装置からの信号に基づいて切り替え可能なスイッチであればどのように構成してもよい。例えば、スイッチとして、リレー・FET・デジタル回路(AND回路、OR回路、XOR回路)のICを使ってもよい。
【0086】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0087】
40 センサ出力変換回路
41 負帰還回路
100 制御装置
EP 電源
GND グラウンド
OP オペアンプ
PS1~PS6 圧力センサ
R1~R4 調整用抵抗
Rfsr センサ側抵抗
Rm 第1抵抗
SW1~SW4 スイッチ
図1
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図8