(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】データ設定システムおよびデータ設定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/182 20190101AFI20221013BHJP
H04M 3/00 20060101ALI20221013BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G06F16/182 100
H04M3/00 E
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2018160722
(22)【出願日】2018-08-29
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 晃
(72)【発明者】
【氏名】冨田 卓司
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086415(WO,A1)
【文献】特開2002-064488(JP,A)
【文献】特開2008-244570(JP,A)
【文献】特開2010-067115(JP,A)
【文献】特開2016-066303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/182
H04M 3/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、
ネットワークを介して前記サーバシステムの各サーバと通信する設定装置、
前記設定装置に、前記サーバシステムにアップロードすべきデータを入力する設定用端末、
を有するデータ設定システムであって、
前記設定装置は、前記設定用端末から前記データのアップロードが指示されると、前記第1メインサーバに状態確認要求を送信し、
前記第1メインサーバは、前記状態確認要求を受信すると、前記サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば前記設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には前記設定装置に異常応答を返信し、
前記設定装置は、前記第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、前記メインサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードし、前記第1メインサーバから異常応答を受信した場合、または、前記第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、前記サブサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする
データ設定システム。
【請求項2】
前記メインサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする場合、前記設定装置は、前記第1メインサーバに対して全データをアップロードし、前記第1メインサーバが、前記メインサーバシステムの他のサーバに前記全データの一部または全部を転送し、
前記サブサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする場合、前記設定装置は、前記第1サブサーバに対して全データをアップロードし、前記第1サブサーバが、前記サブサーバシステムの他のサーバに前記全データの一部または全部を転送する
請求項1に記載のデータ設定システム。
【請求項3】
前記サブサーバシステムは、前記メインサーバシステムの各サーバに各々対応するサーバを有し、
前記メインサーバシステムの各サーバは、前記設定装置からデータがアップロードされたとき、前記ネットワークを介して、前記サブサーバシステムの対応するサーバに該データを送信して、データを同期させ、
前記サブサーバシステムの各サーバは、前記設定装置からデータがアップロードされたとき、前記ネットワークを介して、前記メインサーバシステムの対応するサーバに該データを送信して、データを同期させる
請求項1に記載のデータ設定システム。
【請求項4】
前記設定装置が前記第1メインサーバに対して全データをアップロードした場合、前記第1メインサーバが、前記第1サブサーバに該アップロードされたデータを転送してデータを同期させ、
前記設定装置が前記第1サブサーバに対して全データをアップロードした場合、前記第1サブサーバが、前記第1メインサーバに該アップロードされたデータを転送してデータを同期させる
請求項2に記載のデータ設定システム。
【請求項5】
第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、
ネットワークを介して前記サーバシステムの各サーバと通信する設定装置、
前記設定装置に、前記サーバシステムからデータを取得して更新する設定用端末、
を有するデータ設定システムであって、
前記設定装置は、前記設定用端末から前記データのダウンロードが指示されると、前記第1メインサーバに状態確認要求を送信し、
前記第1メインサーバは、前記状態確認要求を受信すると、前記サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば前記設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には前記設定装置に異常応答を返信し、
前記設定装置は、前記第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、前記メインサーバシステムのサーバから前記データをダウンロードし、前記第1メインサーバから異常応答を受信した場合、または、前記第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、前記サブサーバシステムのサーバから前記データをダウンロードする
データ設定システム。
【請求項6】
前記第1メインサーバは、前記サーバシステムの全サーバが正常に動作している場合、前記メインサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付と前記サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付を比較し、サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付のほうが新しい場合、前記設定装置に、異常応答を返信する請求項5に記載のデータ設定システム。
【請求項7】
第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、
ネットワークを介して前記サーバシステムの各サーバと通信する設定装置、
前記設定装置に、前記サーバシステムにアップロードすべきデータを入力する設定用端末、
を有するシステムにおいて、
前記設定装置が、前記設定用端末から前記データのアップロードが指示されると、前記第1メインサーバに状態確認要求を送信し、
前記状態確認要求を受信した前記第1メインサーバが、前記サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば前記設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には前記設定装置に異常応答を返信し、
前記設定装置が、前記第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、前記メインサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードし、前記第1メインサーバから異常応答を受信した場合、または、前記第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、前記サブサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする
データ設定方法。
【請求項8】
前記メインサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする場合、前記設定装置は、前記第1メインサーバに対して全データをアップロードし、前記第1メインサーバが、前記メインサーバシステムの他のサーバに前記全データの一部または全部を転送し、
前記サブサーバシステムの各サーバに対して前記データをアップロードする場合、前記設定装置は、前記第1サブサーバに対して全データをアップロードし、前記第1サブサーバが、前記サブサーバシステムの他のサーバに前記全データの一部または全部を転送する
請求項
7に記載のデータ設定方法。
【請求項9】
前記サブサーバシステムは、前記メインサーバシステムの各サーバに各々対応するサーバを有するシステムであって、
前記メインサーバシステムの各サーバは、前記設定装置からデータがアップロードされたとき、前記ネットワークを介して、前記サブサーバシステムの対応するサーバに該データを送信して、データを同期させ、
前記サブサーバシステムの各サーバは、前記設定装置からデータがアップロードされたとき、前記ネットワークを介して、前記メインサーバシステムの対応するサーバに該データを送信して、データを同期させる
請求項7に記載のデータ設定方法。
【請求項10】
前記設定装置が前記第1メインサーバに対して全データをアップロードした場合、前記第1メインサーバが、前記第1サブサーバに該アップロードされたデータを転送してデータを同期させ、
前記設定装置が前記第1サブサーバに対して全データをアップロードした場合、前記第1サブサーバが、前記第1メインサーバに該アップロードされたデータを転送してデータを同期させる
請求項8に記載のデータ設定方法。
【請求項11】
第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、
ネットワークを介して前記サーバシステムの各サーバと通信する設定装置、
前記設定装置に、前記サーバシステムからデータを取得して更新する設定用端末、
を有するシステムにおいて、
前記設定装置は、前記設定用端末から前記データのダウンロードが指示されると、前記第1メインサーバに状態確認要求を送信し、
前記第1メインサーバは、前記状態確認要求を受信すると、前記サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば前記設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には前記設定装置に異常応答を返信し、
前記設定装置は、前記第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、前記メインサーバシステムのサーバから前記データをダウンロードし、前記第1メインサーバから異常応答を受信した場合、または、前記第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、前記サブサーバシステムのサーバから前記データをダウンロードする
データ設定方法。
【請求項12】
前記第1メインサーバは、前記サーバシステムの全サーバが正常に動作している場合、前記メインサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付と前記サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付を比較し、サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付のほうが新しい場合、前記設定装置に、異常応答を返信する請求項11に記載のデータ設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冗長化された複数のサーバのデータを更新するデータ設定システムおよびデータ設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク上にサーバ(呼制御サーバ)を設置し、このサーバを介して音声通信を行う音声通信システムが実用化されている(たとえば特許文献1、特許文献2)。この音声通信システムでは、トランシーバ形状の通信端末が用いられる。通信端末が音声通信を実行できるようにするためには、プロビジョニングデータを読み込んで機能を設定する必要がある。このため、ネットワーク上にプロビジョニングサーバを設置し、通信端末がネットワークを介してプロビジョニングサーバにアクセスすることで、プロビジョニングデータをダウンロードできるようにしている。
【0003】
プロビジョニングデータには、複数の通信端末で共通のデータ、および、各通信端末でそれぞれ個別のデータがある。これらを別々に通信端末に設定するため、ネットワーク上に複数のプロビジョニングデータが設けられている。各プロビジョニングサーバへのプロビジョニングデータのアップロードは、システムのオペレータによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のシステムでは、複数のサーバにバックアップがなく、いずれかのサーバがダウンするとシステムがダウンしてしまう。そこでシステムを冗長化(たとえば2重化)することが考えられる。システムのオペレータが冗長化された複数のサーバをメンテナンスすることは面倒であり、冗長化されたサーバ間の同期を確認することも面倒である。
【0007】
この発明は、オペレータが面倒な作業を行うことなく、冗長化された複数のサーバのデータを更新することができるデータ設定システムおよびデータ設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ設定システムは、第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、ネットワークを介してサーバシステムの各サーバと通信する設定装置、サーバシステムにアップロードすべきデータを設定装置に入力する設定用端末を有する。設定装置は、設定用端末からデータのアップロードが指示されると、第1メインサーバに状態確認要求を送信する。第1メインサーバは、状態確認要求を受信すると、サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には設定装置に異常応答(システム切換要求)を返信する。設定装置は、第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、メインサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードし、第1メインサーバから異常応答を受信した場合または第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、サブサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードする。
【0009】
本発明のデータ設定方法は、第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、ネットワークを介してサーバシステムの各サーバと通信する設定装置、サーバシステムにアップロードすべきデータを設定装置に入力する設定用端末を有するシステムにおいて、以下の手順が実行される。設定装置は、設定用端末からデータのアップロードが指示されると、第1メインサーバに状態確認要求を送信する。第1メインサーバは、状態確認要求を受信すると、サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には設定装置に異常応答(システム切換要求)を返信する。設定装置は、第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、メインサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードし、第1メインサーバから異常応答を受信した場合または第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、サブサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードする。
【0010】
上記発明において、メインサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードする場合、設定装置が第1メインサーバに対して全データをアップロードし、第1メインサーバがメインサーバシステムの他のサーバに全データの一部または全部を転送してもよい。また、サブサーバシステムの各サーバに対してデータをアップロードする場合、設定装置が第1サブサーバに対して全データをアップロードし、第1サブサーバがサブサーバシステムの他のサーバに全データの一部または全部を転送してもよい。
【0011】
上記発明において、メインサーバシステムの各サーバは、設定装置からデータがアップロードされたとき、ネットワークを介してサブサーバシステムの対応するサーバにこのデータを送信して、データを同期させてもよい。また、サブサーバシステムの各サーバは、設定装置からデータがアップロードされたとき、ネットワークを介してメインサーバシステムの対応するサーバにこのデータを送信して、データを同期させてもよい。
【0012】
上記発明において、設定装置が前記第1メインサーバに対して全データをアップロードした場合、第1メインサーバが第1サブサーバにアップロードされたデータを転送してデータを同期させてもよい。また、設定装置が第1サブサーバに対して全データをアップロードした場合、第1サブサーバが第1メインサーバにアップロードされたデータを転送してデータを同期させてもよい。
【0013】
本発明のデータ設定システムは、第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、ネットワークを介してサーバシステムの各サーバと通信する設定装置、設定装置を介してサーバシステムからデータを取得して更新する設定用端末を有する。設定装置は、設定用端末からデータのダウンロードが指示されると、第1メインサーバに状態確認要求を送信する。第1メインサーバは、状態確認要求を受信すると、サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には設定装置に異常応答(システム切換要求)を返信する。設定装置は、第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、メインサーバシステムのサーバ(少なくとも第1メインサーバ)からデータをダウンロードし、第1メインサーバから異常応答を受信した場合または第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、サブサーバシステムのサーバ(少なくとも第1サブサーバ)からデータをダウンロードする。
【0014】
本発明のデータ設定方法は、第1メインサーバを含む複数のサーバを有するメインサーバシステム、および、第1サブサーバを含む複数のサーバを有するサブサーバシステムを有するサーバシステム、ネットワークを介してサーバシステムの各サーバと通信する設定装置、設定装置を介してサーバシステムからデータを取得して更新する設定用端末を有するシステムにおいて、以下の手順が実行される。設定装置は、設定用端末からデータのダウンロードが指示されると、第1メインサーバに状態確認要求を送信する。第1メインサーバは、状態確認要求を受信すると、サーバシステムの全サーバの動作状態を確認し、少なくともメインサーバシステムの全サーバが正常に動作していれば設定装置に対して正常応答を返信し、メインサーバシステムのサーバに正常に動作していないものがある場合には設定装置に異常応答(システム切換要求)を返信する。設定装置は、第1メインサーバから正常応答を受信した場合には、メインサーバシステムのサーバ(少なくとも第1メインサーバ)からデータをダウンロードし、第1メインサーバから異常応答を受信した場合または第1メインサーバから応答を受信しなかった場合には、サブサーバシステムのサーバ(少なくとも第1サブサーバ)からデータをダウンロードする。
【0015】
上記発明において、前記サーバシステムの全サーバが正常に動作している場合、第1メインサーバが、前記メインサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付と前記サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付を比較し、サブサーバシステムの各サーバに記憶されているデータの日付のほうが新しい場合、設定装置に異常応答を返信してもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、複数のサーバを有するサーバシステムが冗長化されていても、データの設定を行うオペレータがそれを意識することなく、アップロード/ダウンロードするサーバシステムの選択やデータの同期を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施形態である音声通信システムの呼制御システムの構成図である。
【
図2】音声通信システムの端末設定システムの構成図である。
【
図4】音声通信システムのサーバのブロック図である。
【
図6】通信端末に設定されるプロビジョニングデータを示す図である。
【
図7】通信端末のプロビジョニングデータがどのサーバから書き込まれるかを示す図である。
【
図8】プロビジョニングサーバおよび呼制御サーバに設けられるテーブルを示す図である。
【
図9】遠隔設定装置からサーバシステムへデータをアップロードする場合のシーケンスを示す図である。
【
図10】データアップロード時の遠隔設定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】データアップロード時の第1サーバ(呼制御サーバ)の動作を示すフローチャートである。
【
図12】データダウンロード時の遠隔設定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】データダウンロード時の第1サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図14】第1メインサーバと第1サブサーバの連携動作を示すフローチャートである。
【
図15】通信端末のデータ設定の手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面を参照してこの発明の音声通信システムについて説明する。
図1は、この発明が適用される音声通信システム1の呼制御システム2の構成図である。また、
図2は、音声通信システム1の端末設定システム3の構成図である。
【0019】
図1において、呼制御システム2では、通信端末11-1~5が、呼制御サーバ(以下の説明では第1サーバとも呼ぶ)14を介して相互に音声通信をする。呼制御サーバ14は、複数の通信端末11相互間の音声通信を中継する。各通信端末11と呼制御サーバ14とは通信基盤(communication infrastructure)で接続される。通信基盤としては、携帯電話の通信ネットワークであるLTEネットワーク10が用いられる。LTEネットワーク10は、無線通信拠点である基地局10Aを有している。通信端末11は、基地局10Aと通信することでLTEネットワーク10にアクセスする。なお、本発明において、通信基盤はLTEネットワークに限定されない。ただし、
図2に示す各種サーバ14~16は、外部の端末装置から自由なアクセスが不可能な閉域網に設置されている。
【0020】
通信端末11は、
図6に示すようなプロビジョニングデータを記憶部41(
図5参照)に書き込むことによって使用可能になる。プロビジョニング処理において、通信端末11に書き込むプロビジョニングデータの設定は、
図2に示す端末設定システム3によって行われる。
【0021】
図2において、端末設定システム3は、2つのサーバシステム4(メインサーバシステム4M、サブサーバシステム4S)を有している。すなわち、サーバシステム4は、メインサーバシステム4Mおよびサブサーバシステム4Sの2つのシステムにより二重化(冗長化)されている。なお、
図1は、稼働している一方の呼制御サーバ14のみを表示している。
【0022】
なお、以下の説明で、音声通信システム1を運営し、クライアントに貸し出して使用させる者をプロバイダ(システムプロバイダ)、音声通信システムをプロバイダから借り受けて使用する者(企業)をクライアント、クライアントの構成員で通信端末11を使用して音声通信を行う者をユーザ、クライアントの構成員で設定用端末18を使用して通信端末11のためのプロビジョニングデータをサーバシステム4にアップロードする者をオペレータと呼ぶ。
【0023】
各サーバシステム4(4M,4S)には、上述の第1(呼制御)サーバ14(14M,14S)に加えて第2サーバ15(15M,15S)および第3サーバ16(16M,16S)が設置されている。各サーバは、それぞれLTEネットワーク10に接続されている。音声通信システム1の運用時には、メインサーバシステム4M、サブサーバシステム4Sのうち何れか一方が稼働して、通信端末11の音声通信を中継する。第1サーバ14、第2サーバ15、第3サーバ16は、LTEネットワーク10に直接接続されてもよいが、ローカル・エリア・ネットワーク5およびゲートウェイ(不図示)を介してLTEネットワーク10に接続されていてもよい。
【0024】
第2、第3サーバ15、16は、通信端末11をセットアップするためのプロビジョニングデータ(
図6参照)を記憶し、通信端末11のアクセスに応じてその通信端末11にプロビジョニングデータを送信する。通信端末11は、このプロビジョニングデータを記憶部41に記憶して自身をセットアップすることにより通信が可能になる。
【0025】
LTEネットワーク10には、遠隔設定装置17も接続されている。遠隔設定装置17は、基地局10Aを介してLTEネットワーク10に接続され、設定用端末18から入力されたプロビジョニングデータ(
図6参照)を第1サーバ14にアップロードしたり、第1サーバ14に記憶されているデータをダウンロードして設定用端末18に取得させる動作などを行う。遠隔設定装置17が本発明の設定装置に対応する。
【0026】
第1サーバ14、第2サーバ15および第3サーバ16には、
図8に示すようなテーブルが記憶される。複数のユーザがそれぞれ所持する通信端末11は、電源オン時に第2サーバ15、第3サーバ16および第1サーバ14にこの順で順次アクセスすることにより音声通信が可能になる。クライアントのオペレータは、遠隔設定装置17を用いることにより、各通信端末11に記憶させるプロビジョニングデータを更新し、第1サーバ14、第2サーバ15および第3サーバ16にアップロードする。クライアントのオペレータは、設定用端末18を用いて遠隔設定装置17に更新データを入力する。遠隔設定装置17は
図3に示す構成をしており、設定用端末18は例えばパーソナルコンピュータで構成される。
【0027】
各サーバへの、プロビジョニングデータの登録は、オペレータが設定用端末18にデータ入力することによって行われる。設定用端末18に入力されたデータは遠隔設定装置17によってメインサーバシステム4M、サブサーバシステム4Sのいずれか一方に送信される。データがどちらのシステムに送信されるかについては後述する。
【0028】
図3は、遠隔設定装置17のブロック図である。遠隔設定装置17は、オペレータによる設定用端末18の操作に応じて、サーバシステム4にプロビジョニングデータをアップロードし、サーバシステム4からプロビジョニングデータをダウンロードする。遠隔設定装置17は、設定用端末18と通信するLANインタフェース112、LTEネットワーク10を介して各サーバと通信するLTEインタフェース114、R/W制御部110および設定ファイル記憶部111を有している。
【0029】
LANインタフェース112は、設定用端末18と通信するためのプロトコルスタック113を有している。このプロトコルスタック113は、一般的なLAN規格に準拠したプロトコルを実行するためのものでよい。また、LTEインタフェース114は、LTEネットワーク10を介してサーバシステム4の各サーバと通信するためのプロトコルスタック115を有している。このプロトコルスタック115は、LTEネットワーク10の規格に準拠したものである。設定ファイル記憶部111は、各サーバのプロビジョニングデータを更新するための更新データを記憶する。R/W制御部110は、設定ファイル記憶部111へのリード/ライトを制御する。
【0030】
このように、LANインタフェース112側とLTEインタフェース114側は設定ファイル記憶部111を共有するが、通信を中継しない構成であり、設定用端末18がLTEネットワーク10側に認証を行ったのちでなければ直接コマンドを送信することができないようになっている。また逆に、LTEネットワーク10側から設定用端末18が見えない構成であるため、LTEネットワーク10から設定用端末18にアクセスされることがない。
【0031】
図4は、各サーバ14、15、16のブロック図である。サーバは、制御部30、記憶部31およびネットワーク通信部32を有している。記憶部31は、たとえばハードディスクやRAMなどで構成され、
図8に示すようなテーブルを記憶する。ネットワーク通信部32は、LTEネットワーク10を介して通信端末11や遠隔設定装置17と通信する。制御部30は、LTEネットワーク10を介した通信により、遠隔設定装置17からプロビジョニングデータを取得して記憶部31に記憶する。また、制御部30は、LTEネットワーク10を介してアクセスしてきた通信端末11に対して記憶部31に記憶しているプロビジョニングデータを送信する。
【0032】
図5は、通信端末11のブロック図である。通信端末11は、
図1に示したように、ハンディトランシーバの外観を有しているが、機能的にはLTEネットワーク10の基地局10Aを介して音声信号を送受信する無線ネットワーク機器である。装置の動作を制御する制御部40はマイクロプロセッサで構成される。制御部40は、各種のデータが記憶される記憶部41を有している。記憶部41は、プロビジョニングデータ記憶エリア41Aを有し、このプロビジョニングデータ記憶エリア41Aには、
図6に示すようなプロビジョニングデータが記憶される。制御部40には、操作部42、表示部43、オーディオ回路44、LTE通信部45およびカードスロット46が接続されている。操作部42は、PTTスイッチ220などのキースイッチを含み、ユーザの操作を受け付けてその操作信号を制御部40に入力する。表示部43は液晶ディスプレイを含む。液晶ディスプレイには、ユーザの操作によって選択された通信相手の識別番号や着信した通信相手の識別番号などが表示される。
【0033】
オーディオ回路44は、マイク240およびスピーカ241を有している。制御部40は、受信した音声信号をデコードしてオーディオ回路44に入力する。オーディオ回路は、このデコードされたオーディオ信号をアナログ信号に変換してスピーカ241から出力する。オーディオ回路44は、また、マイク240から入力された音声信号をデジタル信号に変換して制御部40に入力する。制御部40は、このデジタルオーディオ信号を音声パケット化してLTE通信部45に入力する。LTE通信部45は、LTE通信方式で無線通信を行う回路を有し、制御部40から入力されたパケットを基地局10Aに向けて送信するとともに、基地局10Aから受信したパケットを制御部40に入力する。なお、オーディオ回路44にはイヤホンコネクタ242が設けられている。イヤホンコネクタ242にイヤホンマイク(不図示)が接続されると、通信端末11本体に設けられているマイク240およびスピーカ241は機能を停止し、イヤホンマイクのマイクおよびスピーカ(イヤホン)が有効になる。カードスロット46には、端末識別情報が記憶されたICカード(SIMカード)47がセットされる。このSIMカード47に記憶されている端末識別情報(ICCID)が各通信端末11の識別情報として用いられる。なお、SIMカード47に代えて、端末識別情報(ICCID)が書き込まれたモジュールを組み込んでもよい。
【0034】
以上の構成の通信端末11において、ユーザがPTTスイッチ220を押しながらマイク240に向けて音声を入力すると、通信端末11は、この音声信号を音声パケットに編集して基地局10Aを介して呼制御サーバ16に送信する。
【0035】
図6は記憶部41のプロビジョニングデータ記憶エリア41Aの構成、および、プロビジョニングデータ記憶エリア41Aに記憶されるデータを示す図である。プロビジョニングデータ記憶エリア41Aには、以下のようなプロビジョニングデータが記憶される。なお、この実施形態では、以下のデータのうち第2メインサーバアドレスおよび第2サブサーバアドレスは、通信端末11の出荷時に不揮発に書き込まれる。
【0036】
第2/3メインサーバアドレス:第2メインサーバ15Mまたは第3メインサーバ16MのIPアドレス
第2/3サブサーバアドレス:第2サブサーバ15Sまたは第3サブサーバ16SのIPアドレス
第1メインサーバアドレス:第1メインサーバ(メイン呼制御サーバ)14MのIPアドレス
第1サブサーバアドレス:第1サブサーバ(サブ呼制御サーバ)14SのIPアドレス
送受信ポート番号:第1サーバ14(14M、14S)と通信する際の第1サーバ14の送受信ポート番号
呼出ID:通信端末11の自身の呼出ID
通知音設定:着信等の通知音の選択情報
オプションボタン設定:操作部42に設けられているオプションボタンに対する機能の割当情報
イヤホン設定:イヤホンマイクが接続された場合にフル・デュプレックス通信を行うか否かの設定情報
アドレス帳:呼出可能な通信端末11の呼出IDリスト
音量設定:通話音の音量設定情報
【0037】
以上のデータのうち、第2/3メインサーバ
アドレス、第2/3サブサーバ
アドレス、第1メインサーバ
アドレスおよび第1サブサーバ
アドレスが、各通信端末11(11-1~5)に共通のデータ412である。通信端末11にメインサーバシステム4Mおよびサブサーバシステム4Sの両方のサーバアドレスを記憶させるのは、メインサーバシステム4Mがダウンしたときサブサーバシステム4Sに乗り換えさせるためである。呼出ID、送受信ポート番号、通知音設定、オプションボタン設定、イヤホン設定、アドレス帳および音量設定が、各通信端末11ごとに個別に設定される個別データ413である。このうち、呼出IDおよび送受信ポート番号は各通信端末11ごとにユニークであり且つ通信端末11から変更することができない個別固定データ413Aである。それ以外のプロビジョニングデータである通知音設定、オプションボタン設定、イヤホン設定、アドレス帳および音量設定は、ユーザが通信端末11を操作することによって、または、通信端末11に接続されたクローニング端末20(
図2参照)によって変更することが可能な個別可変データ413Bである。なお、共通データ412、個別固定データ413A、個別可変データ413Bの種類および数はこの実施形態に限定されない。
【0038】
図7は、第1サーバ14および第2サーバ15の各サーバにより、通信端末11(プロビジョニングデータ記憶エリア41A)にどのデータが書き込まれるかを説明する図である。初期状態(初期化時)には、第2メインサーバアドレスおよび第2サブサーバアドレスが書き込まれている。通信端末11が、稼働中の第2サーバ15(通常は第2メインサーバ15M)にアクセスすると、プロビジョニングデータが全て書き込まれるとともに、第2/第3メインサーバアドレス、第2/第3サブサーバアドレスの欄が、それぞれ第3メインサーバ16Mおよび第3サブサーバ16Sのアドレスに書き換えられる。この状態で通信端末11は設定済となる。そして、運用を開始するために再起動フラグがセットされる。
【0039】
設定済の通信端末11が電源オン(再起動)されると、稼働中の第3サーバ16(通常は第3メインサーバ16M)にアクセスする。第3サーバ16は、通信端末11に対してプロビジョニングデータのうち共通データ412および個別固定データ413Aを書き込む。個別可変データは413Bは、ユーザによって変更されている可能性があるため上書きしない。なお、個別可変データ413Bは、設定済となったのち、通信端末11の操作またはクローニング端末20からの設定によって書き換えることが可能である。
【0040】
図8(A)、(B)、(C)は、それぞれ、第2サーバ15、第3サーバ16および第1サーバ(呼制御サーバ)14の記憶部31に設けられるテーブルの例を示す図である。これらのデータはメインサーバシステム4Mおよびサブサーバシステム4Sの各サーバに共通に記憶される。
【0041】
図8(A)は、第2サーバ15の記憶部31に設けられるプロビジョニングデータテーブルを示す図である。自己の音声通信システム1に所属する通信端末11のそれぞれに対応して、その端末装置11に設定すべき全てのプロビジョニングデータが記憶される。プロビジョニングデータは、上述したように共通データ412と個別データ413からなるが、このテーブルには全てのプロビジョニングデータが記憶されている。
【0042】
図8(B)は、第3サーバ16の記憶部31に設けられるプロビジョニングデータテーブルを示す図である。このプロビジョニングデータテーブルには、各通信端末11の共通データ412および個別データ413のうち個別固定データ413Aが記憶されているが、個別可変データ413Bが記憶されていない。第2サーバ15は、設定済の通信端末11に対してプロビジョニングを行うが、このときユーザによって更新された個別可変データ413Bを上書きしないように、個別データ413のうち個別固定データ413Aのみプロビジョニングするようにしている。
【0043】
図8(C)は、第1サーバ14の端末テーブルを示す図である。端末テーブルには、この音声通信システム1に所属する通信端末11の一覧と各通信端末11のアクティブフラグが記憶されている。通信端末11が第1サーバ14にアクセスしてレジストを要求すると、その通信端末11に対応するアクティブフラグをセットしてその通信端末11が稼働中である旨を記憶する。これによってこの通信端末11と音声信号の送受信を可能にする。
【0044】
これらテーブル(記憶エリア)の設定、全データのプリセットはシステムプロバイダによって行われる。そして、プロビジョニングデータのう、第2/第3メインサーバアドレス、第2/第3サブサーバアドレス、第1メインサーバアドレス、第1サブサーバアドレス、ポート番号を除くデータは、クライアント(オペレータ)により遠隔設定装置17を用いて設定可能である。また、個別可変データ413Bは、ユーザが通信端末11を操作する等により、通信端末11の記憶部41A内で変更可能である。
【0045】
以下、設定システム3におけるプロビジョニングデータのアップロード、ダウンロードの手順について説明する。
図9は、メインサーバシステム4Mの各サーバ14,15,16にプロビジョニングデータをアップロードするシーケンスを示す図である。遠隔設定装置17は、データをアップロードするまえに、メインサーバシステム4Mが正常に機能しているかを確認する。このシーケンス図は、メインサーバシステム4Mが正常に機能している場合の通信手順を示している。
【0046】
遠隔設定装置(RSB)17は、設定用端末(PC)18から入力されるコマンドやデータによって動作する。設定用端末18のオペレータは、設定用端末18を操作して遠隔設定装置17に記憶されているプロビジョニングデータやレジストデータ(以下、単にプロビジョニングデータと呼ぶ)を更新する(S101)。オペレータは、プロビジョニングデータの更新が終了すると、設定用端末18を操作して、遠隔設定装置17に対してプロビジョニングデータのアップロード要求のメッセージを送信する(S102)。以上の処理は、設定用端末18と遠隔設定装置17のLANインタフェース112側で行われる。
【0047】
遠隔設定装置17は、設定用端末18からアップロード要求を受信すると、LTEインタフェース114側の動作により、メインサーバシステム4Mの第1メインサーバ14Mに状態確認要求を送信する(S103)。遠隔設定装置17は、第1メインサーバ14Mに状態確認要求を送信することによってメインサーバシステム4M、サブサーバシステム4Sの各サーバが正常に動作しているかを確認する。
【0048】
状態確認要求を受信した第1メインサーバ14Mは、他のサーバ、すなわちメインサーバシステム4Mの第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16M、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14S、第2サブサーバ15Sおよび第3サブサーバ16Sに対して状態確認要求を送信して、各サーバが正常に動作しているか否かの返信を要求する(S104)。この状態確認要求に対して各サーバから正常に動作している旨の応答(正常応答)が返信されてくる(S105)。第1メインサーバ14Mは、自身を含めて全てのサーバが正常に動作している旨の正常応答を遠隔設定装置17に返信する(S106)。
【0049】
第1メインサーバ14Mから正常応答を受信した遠隔設定装置17は、メインサーバシステム4Mの各サーバ(第1メインサーバ14M、第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16M)に対して、必要なデータをそれぞれ送信する(S107)。データを受信した第1メインサーバ14M、第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16Mは、サブサーバシステム4Sの対応するサーバ(第1サーバ14S、第2サーバ15S、第3サーバ16S)にそれぞれデータを転送してメインサーバシステム4M、サブサーバシステム4Sのデータを同期させる(S108)。これにより、サブサーバシステム4Sも稼働可能になる。
【0050】
第1メインサーバ14Mは、メインサーバシステム4Mが正常に稼働している間、その旨を示す「生存通知」メッセージを定期的にサブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sに送信する。サブサーバシステム4Sは、メインサーバシステム4Mから生存通知を受信している間、待機状態となる。
【0051】
図10は、遠隔設定装置17のデータアップロード時の動作を示すフローチャートである。設定用端末18からアップロード要求のメッセージを受信するとこの処理が開始される。まず、メインサーバシステム4Mの第1メインサーバ14Mに対して状態確認要求を送信する(S10)。これに対する返信を受信し、その返信が正常応答であるか否かを判断する(S11)。正常応答の場合には(S11でYES)、第1メインサーバ14M、第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16Mに対して必要なデータをそれぞれ送信して(S12)、処理を終了する。
【0052】
一方、第1メインサーバ14Mからの返信が異常応答であった場合には(S11でNO)、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sに対して状態確認の要求を送信する(S13)。これに対する返信を受信し、その返信が正常応答であるか否かを判断する(S14)。正常応答の場合には(S14でYES)、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14S、第2サブサーバ15S、第3サブサーバ16Sに対して必要なデータをそれぞれ送信して(S15)、処理を終了する。サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sからの返信も異常応答であった場合には(S14でNO)、サーバシステムのダウンと判断してそのまま処理を終了する。
【0053】
図11は、第1サーバ14の動作を示すフローチャートである。ここではメインサーバシステム4Mの第1メインサーバ14Mの動作について説明するが、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sの動作も「メイン」と「サブ」を入れ換えるだけで同じである。
【0054】
S20で遠隔設定装置17から状態確認要求を受信すると、第1メインサーバ14Mは、他の全てのサーバ(第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16M、第1サブサーバ14S、第2サブサーバ15S、第3サブサーバ16S)宛に状態確認要求のメッセージを送信する(S21)。第1メインサーバ14Mは、各サーバから返信を受信し、少なくともメインサーバシステム4Mの第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16Mが正常であるかを判断する(S22)。第1メインサーバ14Mは、自装置を含むメインサーバシステム4Mが正常に動作していれば(S22でYES)、遠隔設定装置17宛に正常応答の返信を送信する(S23)。こののち、遠隔設定装置17からデータを受信し、これを所定の記憶エリアに記憶する(S24)。第1メインサーバ14Mは、受信したデータをサブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sに転送してメインサーバシステム4M、サブサーバシステム4Sのデータを同期させる(S25)。
【0055】
S22で、メインサーバシステム4Mのサーバのうち少なくとも一つから正常返信を受信しなかった場合(S22でNO)、遠隔設定装置17に対して異常応答(システム切換要求)を返信する(S27)。
【0056】
なお、S24、S25の遠隔設定装置17からデータを受信して記憶エリアに記憶する処理(S24)、および、受信したデータをサブサーバシステム4S側の対応するサーバに転送してデータを同期する処理(S25)は、メインサーバシステム4Mの第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16Mでも並行して実行されている。
【0057】
図12、
図13は、遠隔設定装置17がサーバからデータをダウンロードする場合の手順を示すフローチャートである。なお、ダウンロード時の処理動作は、アップロード時の処理動作とほぼ同じである。
【0058】
図12は、遠隔設定装置17のデータダウンロード時の動作を示すフローチャートである。設定用端末18からダウンロード要求を受信するとこの処理が開始される。まず、メインサーバシステム4Mの第1メインサーバ14Mに対して状態確認要求を送信する(S30)。これに対する返信を受信し、その返信が正常応答であるか否かを判断する(S31)。正常応答の場合には(S31でYES)、第1メインサーバ14Mに対してデータのダウンロード要求を送信し(S32)、第1メインサーバ14Mから送信されたデータを受信する(S33)。
【0059】
一方、第1メインサーバ14Mからの返信が異常応答であった場合には(S31でNO)、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sに対して状態確認の要求を送信する(S34)。これに対する返信を受信し、その返信が正常応答であるか否かを判断する(S35)。正常応答の場合には(S35でYES)、第1サブサーバ14Sに対してデータのダウンロード要求を送信し(S36)、第1サブサーバ14Sから送信されたデータを受信する(S37)。サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sからの返信も異常応答であった場合には(S35でNO)、サーバシステムのダウンと判断してそのまま処理を終了する。
【0060】
図13は、第1サーバ14のダウンロード時の動作を示すフローチャートである。ここではメインサーバシステム4Mの第1メインサーバ14Mの動作について説明するが、サブサーバシステム4Sの第1サブサーバ14Sの動作も「メイン」と「サブ」を入れ換えるだけで同じである。
【0061】
S40で遠隔設定装置17から状態確認要求を受信すると、第1メインサーバ14Mは、他の全てのサーバ(第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16M、第1サブサーバ14S、第2サブサーバ15S、第3サブサーバ16S)宛に状態確認要求のメッセージを送信する(S41)。第1メインサーバ14Mは、各サーバから返信を受信し、全てのサーバから正常応答を受信したか否かを判断する(S42)。全てのサーバから正常応答を受信した場合には(S42でYES)、メインサーバシステム4Mの各サーバに記憶されているデータとサブサーバシステム4Sの各サーバに記憶されているデータの日付を比較する(S44)。メインサーバシステム4M側のデータ日付が新しい(古くない)場合(S45でYES)、遠隔設定装置17宛に正常応答を返信する(S46)。こののち、遠隔設定装置17からのダウンロード要求に応じて、第1メインサーバ14Mが記憶しているデータを遠隔設定装置17に送信する(S47)。
【0062】
S42で全てのサーバから正常応答を受信できなかった場合でも(S42でNO)、少なくともメインサーバシステム4Mの第2メインサーバ15M、第3メインサーバ16Mが正常であるかを判断する(S43)。自装置を含むメインサーバシステム4Mが正常に動作していれば(S42でYES)、第1メインサーバ14Mは、遠隔設定装置17宛に正常応答の返信を送信する(S46)。
【0063】
一方、S45でサブサーバシステム4S側のデータのほうが新しいと判断された場合(S45でNO)、または、S43で、メインサーバシステム4Mのサーバのうち少なくとも一つから正常返信を受信しなかった場合には、(S43でNO)、遠隔設定装置17に対して異常応答(システム切換要求)を返信する(S48)。
【0064】
図14は、メインサーバシステム4Mとサブサーバシステム4Sの連携動作を示すフローチャートである。
図14(A)において、第1メインサーバ14Mが呼制御サーバ14として稼働している間は、定期的(例えば1秒毎)に第1サブサーバ14Sに対して生存通知を送信する(S50)。
図14(B)において、第1サブサーバ14Sは、第1メインサーバ14Mから送られてくる生存通知を受信すると(S51でYES)、ウォッチドッグタイマをリセットし(S53)、呼制御サーバとしての動作せずに待機する(S54)。ウォッチドッグタイマがタイムアップするまでに(S52でNO)次の生存通知を受信している間は、この待機状態を継続する。
【0065】
第1メインサーバ14Mがダウンすると生存通知が送信されなくなるため、ウォッチドッグタイマがタイムアップし(S52でYES)、第1サブサーバ14Sは呼制御サーバ14として稼働する(S55)。ただし、稼働中もメイン呼制御サーバ14Mから生存通知が送られてくるか否かを監視しており(S51)、生存通知を受信した場合はウォッチドッグタイマをリセットして(S53)、呼制御サーバとしての動作を停止する(S54)。
【0066】
なお、通信に障害が発生して第1メインサーバ14Mが送信した生存通知を第1サブサーバ14Sが受信できない場合は、第1メインサーバ14M、第1サブサーバ14Sの両方が呼制御サーバ14として稼働する。
【0067】
以下、通信端末11が、データアップロードが完了したサーバシステムにアクセスして機能を設定する手順を説明する。音声通信を行う通信端末11は、初期状態では、第2サーバ15、第3サーバ16に順次アクセスしてプロビジョニングデータを取得し、音声通信システム1で音声通信に使用できるようにセットアップされる。一旦セットアップされると、次回の電源オンからは第3サーバ16にアクセスすることで使用可能になる。
【0068】
図7に示したように、第2サーバ15は、初期状態の通信端末11に対して全てのプロビジョニングデータを送信する。第3サーバ16は、設定済の通信端末11に対してプロビジョニングデータのうち固定データのみ再設定する。プロビジョニングデータを取得した通信端末11は、第1サーバ(呼制御サーバ)14にアクセスしてレジストを要求し、レジストされることで
図1に示した呼制御システム2に所属する通信端末11として他の通信端末11と通信することが可能になる。
【0069】
図15は、通信端末11の初期状態からの設定手順を示す図である。通信端末装置11は、電源がオンされると、まず、第2メインサーバ15Mにアクセスしてプロビジョニングを要求する(S60)。これに対して第2メインサーバ15Mが応答した場合(S61でNO)、第2メインサーバ15Mから全てのプロビジョニングデータを取得する(S63)。一方、第2メインサーバ15Mへのプロビジョニング要求がタイムアウトした場合、または、第2メインサーバ15Mからサーバ切換要求が送られてきた場合(S61でYES)、第2サブサーバ15Sにアクセスして、第2サブサーバ15Sから全てのプロビジョニングデータを取得する(S63)。第2メインサーバ15Mからプロビジョニングデータを受信した場合、以後の処理は全てメインサーバシステム4Mに対して行われる。一方、第2サブサーバ15Sからプロビジョニングデータを受信した場合、以後の処理は全てサブサーバシステム4Sに対して行われる。
【0070】
第2サーバ15(15Mまたは15S)から受信したデータのなかには第3メイン/サブサーバ16(16M、16S)のアドレスも含まれている。通信端末11は、再起動して、第3サーバ16にアクセスする(S64)。第3サーバ16は、通信端末11に対して、共通データ412、個別固定データ413Aのみ再設定する(S65)。これでプロビジョニングが完了し、通信端末11は、呼制御サーバである第1サーバ14(14Mまたは14S)にアクセスしてレジストを要求する(S66)。第1サーバ14(14Mまたは14S)からレジスト完了の通知が来ると(S67)、通信端末11は、音声通信のための端末として使用可能になる。
【0071】
なお、サブサーバシステム4Sでの運用中にメインサーバシステム4Mが復旧した場合、メインサーバシステム4Mは再び、サブサーバシステム4Sに対して生存通知を送信する。メインサーバ4Mからの生存通知を受信するとサーバシステム4Sは、通信端末11のレジスト要求に対し、自分がサブサーバシステム4Sであることを通知する。この通知を受信した通信端末11は、メインサーバシステム4Mにレジスト要求を行う。
【0072】
一度電源がオフされた通信端末11または再起動された通信端末11は、S64から動作を開始し、第3サーバ16にアクセスする。ここで、共通データ412および個別固定データ413Aが再設定される。これにより、電源オン前に遠隔設定装置17によってプロビジョニングデータが変更された場合でもそれを通信端末11の設定に反映させることができる。また、この場合でも、ユーザが個別に通信端末11の設定を変更している場合もあるため、個別可変データ413Bは上書きしない。
【0073】
本発明において、メインサーバシステム4Mが不調の場合(第1メインサーバ14Mから異常応答の返信があった場合)、サブサーバシステム4Sの状況を確認することなく、サブサーバシステム4S側にデータをアップロードするようにしてもよい。本発明において、各サーバシステム4M,Sに含まれるサーバの数は3に限定されない。音声通信システム1に所属する通信端末11の数に制限はない。
【0074】
上記実施形態では、遠隔設定装置17が、第1サーバ14、第2サーバ15、第3サーバ16のそれぞれに対してデータをアップロードしているが、遠隔設定装置17が、第1サーバ14に対してデータをアップロードし、第1サーバ14が第2サーバ15、第3サーバ16にデータを転送するようにしてもよい。サーバシステムからのデータダウンロードについても、第1サーバ14、第2サーバ15、第3サーバ16のそれぞれからデータをダウンロードするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 音声通信システム
2 呼制御システム
3 端末設定システム
4 サーバシステム
4M メインサーバシステム
4S サブサーバシステム
10 LTEネットワーク
11 通信端末
12 初期設定サーバ
14(14M,14S) 第1(メイン/サブ)サーバ(呼制御サーバ)
15(15M,15S) 第2(メイン/サブ)サーバ(第1プロビジョニングサーバ)
16(16M,16S) 第3(メイン/サブ)サーバ(第2プロビジョニングサーバ)
17 遠隔設定装置
18 設定用端末
41A プロビジョニングデータ記憶エリア