(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】半導体集積回路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/82 20060101AFI20221013BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20221013BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H01L21/82 B
H01L27/04 D
(21)【出願番号】P 2020565071
(86)(22)【出願日】2019-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2019000367
(87)【国際公開番号】W WO2020144767
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】落合 広宣
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/090389(WO,A1)
【文献】特開2008-277788(JP,A)
【文献】特開2001-148464(JP,A)
【文献】特開2007-234857(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132841(WO,A1)
【文献】特開2016-130919(JP,A)
【文献】特開2002-110798(JP,A)
【文献】特開2005-142226(JP,A)
【文献】特開2001-358221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/82
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる複数の電源配線と、
前記第1方向に並ぶ複数のスタンダードセルをそれぞれ備え、前記電源配線同士の間にそれぞれ配置された、複数のセル列と、
前記複数のセル列の上方において、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、前記第1方向において離間して隣り合う、同一電源電圧を供給する第1および第2ストラップ電源配線とを備え、
前記複数の電源配線は、第1電源電圧を供給する第1電源配線、および、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線を含み、前記第1電源配線と前記第2電源配線とは、前記第2方向において交互に配置されており、
前記複数のセル列は、前記第1ストラップ電源配線と前記第2ストラップ電源配線との間の第1領域において、容量セルおよび修正用セルのうち容量セルのみが配置された第1セル列と、前記第1領域において容量セルおよび修正用セルのうち修正用セルのみが配置された第2セル列とを含み、前記第1セル列と前記第2セル列とは、前記第2方向において交互に配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記複数のセル列の上方において前記第2方向に延びており、前記第1方向において前記第2ストラップ電源配線と、前記第1ストラップ電源配線と反対側に、離間して隣り合う、前記第1および第2ストラップ電源配線と同一電源電圧を供給する第3ストラップ電源配線を備え、
前記第2ストラップ電源配線と前記第3ストラップ電源配線との間の領域において、前記第1セル列は、容量セルおよび修正用セルのうち容量セルのみが配置されており、前記第2セル列は、容量セルおよび修正用セルのうち修正用セルのみが配置されていることを特徴とする半導体集積回路装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置において、
前記複数のセル列の上方において前記第2方向に延びており、前記第1方向において前記第2ストラップ電源配線と、前記第1ストラップ電源配線と反対側に、離間して隣り合う、前記第1および第2ストラップ電源配線と同一電源電圧を供給する第3ストラップ電源配線を備え、
前記第2ストラップ電源配線と前記第3ストラップ電源配線との間の領域において、前記第1セル列は、容量セルおよび修正用セルのうち修正用セルのみが配置されており、前記第2セル列は、容量セルおよび修正用セルのうち容量セルのみが配置されている
ことを特徴とする半導体集積回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スタンダードセルを備えた半導体集積回路装置、特にスタンダードセルとしてデカップリング容量セルおよび修正用セルを備えた半導体集積回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に半導体集積回路を形成する方法として、スタンダードセル方式が知られている。スタンダードセル方式とは、特定の論理機能を有する基本的単位(例えば、インバータ,ラッチ,フリップフロップ,全加算器など)をスタンダードセルとして予め用意しておき、半導体基板上に複数のスタンダードセルを配置して、それらのスタンダードセルを配線で接続することによって、LSIチップを設計する方式のことである。
【0003】
また、近年、LSIの大規模化、高速化、低電圧化に伴い、電源電圧降下や電源ノイズの影響が大きくなってきており、これらを抑制するためのスタンダードセルとしてデカップリング容量セルが半導体集積回路装置内に配置される。
【0004】
また、半導体集積回路装置の設計後に動作不具合や機能追加への対応をより少ないマスクの修正(たとえば一部のメタル配線層のマスクの修正)によって可能とするためのスタンダードセルとして、修正用セルが半導体集積回路装置内に配置される。
【0005】
特許文献1では、複数のスタンダードセル列で構成された半導体集積回路装置において、デカップリング容量セル(以下、適宜、単に容量セルともいう)と修正用セルとが複数のセル列に配置された半導体集積回路装置およびその設計方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1では、デカップリング容量セルおよび修正用セルの配置順については開示されているが、デカップリング容量セルおよび修正用セルの配置パターンについては開示されていない。
【0008】
スタンダードセルで構成された半導体集積回路装置において、各スタンダードセル列に含まれる電源配線に生じる電源電圧降下や電源ノイズを抑制するために、電源配線ごとにデカップリング容量セルを備える方が好ましい。また、修正用セルに対する配線による配線遅延を抑制するために、動作不具合や機能追加を行いたい部分の近傍に修正用セルを備える方が好ましい。しかし、これらを満たすためには、多数のデカップリング容量セルおよび修正用セルを半導体集積回路装置に備える必要があり、半導体集積回路装置の面積が大きくなる。
【0009】
本開示は、これらの課題を解決する、修正用セルおよびデカップリング容量セルを用いた半導体集積回路装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示では、第1方向に延びる複数の電源配線と、前記第1方向に並ぶ複数のスタンダードセルをそれぞれ備え、前記電源配線同士の間にそれぞれ配置された、複数のセル列と、前記複数のセル列の上方において、前記第1方向と垂直をなす第2方向に延びており、前記第1方向において離間して隣り合う、同一電源電圧を供給する第1および第2ストラップ電源配線とを備え、前記複数の電源配線は、第1電源電圧を供給する第1電源配線、および、前記第1電源電圧と異なる第2電源電圧を供給する第2電源配線を含み、前記第1電源配線と前記第2電源配線とは、前記第2方向において交互に配置されており、前記複数のセル列は、前記第1ストラップ電源配線と前記第2ストラップ電源配線との間の第1領域において、容量セルおよび修正用セルのうち容量セルのみが配置された第1セル列と、前記第1領域において容量セルおよび修正用セルのうち修正用セルのみが配置された第2セル列とを含み、前記第1セル列と前記第2セル列とは、前記第2方向において交互に配置されている。
【0011】
この態様によると、複数のセル列は、第1ストラップ電源配線と第2ストラップ電源配線との間の第1領域において、容量セルおよび修正用セルのうち容量セルのみが配置された第1セル列と、第1領域において容量セルおよび修正用セルのうち修正用セルのみが配置された第2セル列とを含む。第1セル列と第2セル列とは、第2方向において、交互に配置される。すなわち、容量セルおよび修正用セルは、第2方向に並んで配置されたセル列において、交互に配置される。これにより、半導体集積回路装置に配置される容量セルおよび修正用セルの数を抑えつつ、容量セルおよび修正用セルを半導体集積回路装置に確実に配置することができる。
【0012】
また、容量セルが配置された第1セル列は、第2方向において、一列おきに配置される。これにより、いずれの電源配線も容量セルと接続されるため、回路ブロック内の局所的な電源電圧降下や電源ノイズの発生を抑制することができる。
【0013】
また、修正用セルが配置された第2セル列は、第2方向において、一列おきに配置される。これにより、動作不具合や機能追加を行いたい部分の近傍に修正用セルが配置される可能性が高くなり、修正用セルに対する配線による配線遅延を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によると、半導体集積回路装置の面積を抑えつつ、電源配線に生じる電源効果や電源ノイズを抑制し、かつ、修正用セルに対する配線遅延を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】デカップリング容量セルの一例を示す回路図。
【
図2】(a),(b)は、修正用セルの一例を示す回路図。
【
図3】第1実施形態に係る半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【
図4】半導体集積回路装置の設計手順を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態におけるステップS2実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【
図6】第1実施形態におけるステップS3実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【
図7】第1実施形態におけるステップS5実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【
図8】第2実施形態に係る半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【
図9】第2実施形態におけるステップS5実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態では、半導体集積回路装置は複数のスタンダードセル(以下、適宜、単にセルともいう)を備える。
【0017】
まず、デカップリング容量セル(以下、適宜、単に容量セルともいう)および修正用セルについて説明する。
図1はデカップリング容量セルの構成例を示す回路図であり、
図2(a),(b)は修正用セルの構成例を示す回路図である。なお、
図1および
図2では、構成を回路記号によって図示しているが、実際には、拡散領域やゲート配線、メタル配線等からなるレイアウトが形成される。
【0018】
「デカップリング容量セル」は、半導体集積回路装置内の電源電圧降下や電源ノイズを抑制するために設けられるスタンダードセルである。デカップリング容量セルは、P型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(PMOS)およびN型MOSトランジスタ(NMOS)を用いて構成される。P型およびN型MOSトランジスタ(以下、単にP型およびN型トランジスタという)は、それぞれのドレインおよびソースに電源VDD,VSSのいずれか一方が接続され、ゲートに逆極性の電源が印加されるように構成される。なお、本明細書において、VDD,VSSは、電源および電源から供給される電圧を示すものとする。
【0019】
図1に示すように、デカップリング容量セルには、デカップリング容量セル回路21が構成されている。デカップリング容量セル回路21は、固定値出力部22と、デカップリング容量部23とを備える。
【0020】
固定値出力部22は、P型トランジスタP1と、N型トランジスタN1とを備える。デカップリング容量部23は、P型トランジスタP2と、N型トランジスタN2とを備える。P型トランジスタP1は、ソースが電源VDDに、ゲートがP型トランジスタP2のゲートおよびN型トランジスタN1のドレインに、ドレインがN型トランジスタN1のゲートおよびN型トランジスタN2のゲートにそれぞれ接続されている。N型トランジスタN1は、ソースが電源VSSに接続されている。P型トランジスタP2は、ソースおよびドレインがそれぞれ電源VDDに接続されている。N型トランジスタN2は、ドレインおよびソースがそれぞれ電源VSSに接続されている。また、固定値出力部22により、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲートには、それぞれ、電圧VSS,VDDが常に印加される。これにより、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2が常にオン状態となり、P型トランジスタP2およびN型トランジスタN2のゲート酸化膜部分が容量として機能する。
【0021】
なお、デカップリング容量セル回路21に固定値出力部22が設けられていなくてもよい。この場合、P型トランジスタP2のゲート、および、N型トランジスタN2のゲートが、それぞれ、電源VSS,VDDに直接接続される。また、デカップリング容量セルは、トランジスタを用いずに、配線間容量を利用した構成であってもよい。
【0022】
「修正用セル」は、論理ブロックにおけるセル配置配線が実施された後、動作不具合や機能追加が発生した場合に使用されるスタンダードセルである。
【0023】
図2(a)に示すように、修正用セルには、修正用セル回路31が構成されている。修正用セル回路31は、P型トランジスタP3と、N型トランジスタN3とを備える。
【0024】
P型トランジスタP3は、ソースが電源VDDに、ゲートが入力端子AおよびN型トランジスタN3のゲートに、ドレインが出力端子YおよびN型トランジスタN3のドレインに、それぞれ接続されている。N型トランジスタN3は、ソースが電源VSSに接続されている。すなわち、修正用セル回路31は、入力端子Aに入力された信号を反転して出力端子Yから出力するインバータ回路である。
【0025】
図2(a)に示すように、修正用セル回路31では、予め、入力端子Aに電源VSSを接続しておき、出力端子Yを未接続にしておく。そして、半導体集積回路装置の修正時に、インバータ回路の追加が必要となるとき、入力端子Aから電源VSSを切り離して、入力端子Aおよび出力端子Yを他の回路に接続する。これにより、半導体集積回路装置を所望の回路に修正することができる。
【0026】
また、修正用セルに構成される論理回路は、インバータ回路として機能する修正用セル回路31以外の論理回路であってもよいし、特定の機能を持った論理回路でなくてもよい。例えば、
図2(b)に示すように、修正用セルにP型トランジスタP4およびN型トランジスタN4を備える修正用セル回路32を構成してもよい。P型トランジスタP4は、ゲートが端子A1に、ソースが端子Y1に、ドレインが端子Y2にそれぞれ接続されている。N型トランジスタN4は、ゲートが端子A2に、ソースが端子Y3に、ドレインが端子Y4にそれぞれ接続されている。修正用セル回路32では、予め、端子A1,A2,Y1~Y4を未接続にしておき、半導体集積回路装置を修正するときに、端子A1,A2,Y1~Y4を所望の回路を構成するように接続することで修正を実現する。
【0027】
(第1実施形態)
次に、第1実施形態に係る半導体集積回路装置の構造を説明する。
【0028】
図3は第1実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示す平面図であり、容量セルおよび修正用セルが配置された回路ブロックにおけるレイアウトパターンを簡略化して図示している(以降の平面図も同様)。
図3に示す半導体集積回路装置10は、基板に、複数のスタンダードセル1が配置されている。また、X方向(図面横方向、第1方向)に並べて配置された複数のスタンダードセル1を備えたスタンダードセル列CRが、Y方向(図面縦方向、第1方向と垂直をなす第2方向)に複数列(
図3では、6列)配置されている。スタンダードセル1は、例えばインバータや論理回路等の機能を有する基本回路素子であり、スタンダードセルを組み合わせて配置配線することによって、所定の機能を実現する半導体集積回路装置を設計・製造することができる。
【0029】
スタンダードセル列CRは、図面下部から図面上部にかけて、スタンダードセル列CR1~CR6の順で配置されている。なお、
図3等において、図面下部から数えて奇数番目に配置されたスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)を奇数列のスタンダードセル列CRとし、図面下部から数えて偶数番目に配置されたスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)を偶数列のスタンダードセル列CRとする。
【0030】
スタンダードセル列CR同士の間に、スタンダードセル1に電源電位VDDを供給する電源配線6(右横にVDDと記す)と、スタンダードセル1に電源電位VSSを供給する電源配線7(右横にVSSと記す)とが、交互に、配置されている。電源配線6,7はともに、X方向に延びるように配置されている。電源配線6は、そのY方向両側のスタンダードセル列CRに電源電位VDDを供給する。また、電源配線7は、そのY方向両側のスタンダードセル列CRに電源電位VSSを供給する。
【0031】
半導体集積回路装置10には、電源配線6,7の上層に、Y方向に延びるように配置されたストラップ電源配線8,9が設けられている。ストラップ電源配線8は、コンタクトを介して電源配線6と接続されており、その下方に配置されたスタンダードセル1に電源電位VDDを供給する。また、ストラップ電源配線9は、コンタクトを介して電源配線7と接続されており、その下方に配置されたスタンダードセル1に電源電位VSSを供給する。なお、
図3では、電源配線6とストラップ電源配線8とのコンタクト、および、電源配線7とストラップ電源配線9とのコンタクトについては、省略して図示している。
【0032】
図3に示すように、ストラップ電源配線8,9は、X方向において、交互に、配置されている。例えば、ストラップ電源配線8(8a,8b,8c)は、等ピッチで離間して配置されており、ストラップ電源配線9(9a,9b,9c)は、等ピッチで離間して配置されている。
【0033】
また、
図3では、ストラップ電源配線8a,9a、ストラップ電源配線8b,9b、および、ストラップ電源配線8c,9cは、それぞれ、互いに隣接して配置されている。ただし、電源電位VDDを供給するストラップ電源配線と、電源電位VSSを供給するストラップ電源配線とは、隣接して配置されなくてもよい。
【0034】
また、スタンダードセル列CRに配置されるスタンダードセル1には、容量セル2と、修正用セル3と、論理セル4と、フィラーセル5とが含まれる。
【0035】
容量セル2は、上述したとおり、半導体集積回路装置10内の電源電圧降下や電源ノイズを抑制するために設けられるスタンダードセルである。
図3に示すように、容量セル2には、X方向の寸法が異なる複数種類の容量セルが含まれる。
【0036】
修正用セル3は、上述したとおり、論理ブロックにおけるセル配置配線が実施された後、動作不具合や機能追加が発生した場合に使用されるスタンダードセルである。
図3に示すように、修正用セル3には、X方向の寸法が異なる複数種類の修正用セルが含まれる。各修正用セル3は、それぞれの内部に含まれる論理回路によって、X方向の寸法が異なる。
【0037】
論理セル4は、所望の回路を実現するために基板上に配置されるスタンダードセルである。論理セル4は、例えば、P型トランジスタやN型トランジスタ等で構成され、それぞれが所定の論理機能を有する。
【0038】
フィラーセル5は、論理機能を有しておらず、回路ブロックの論理機能に寄与せず、論理セル、容量セル、修正用セルの間に生じた隙間を埋めるために配置されたスタンダードセルである。フィラーセル5は、論理機能を有さないトランジスタ(ダミートランジスタ)が含まれることがある。
【0039】
次に、
図3~
図7を参照しながら、第1実施形態に係る半導体集積回路装置の設計方法を説明する。
【0040】
図4は半導体集積回路装置の設計方法を示すフローチャートである。
図5~
図7は、それぞれ、
図4のフローにおけるステップS2、ステップS3およびステップS5実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造を示す平面図である。
【0041】
半導体集積回路装置の設計には、入力されたネットリストデータに基づき、所望の回路を実現する半導体集積回路装置のレイアウトデータを出力する装置、例えば、半導体集積回路装置の設計用コンピュータが用いられる。
【0042】
具体的には、ステップS1において、所望の回路を構成する論理セル4と、論理セル4間の接続とを記載したネットリストデータを設計用コンピュータに入力する。
【0043】
ステップS2において、レイアウトデータの基板上に電源配線6,7が配置される。
図5に示すように、X方向に延びる電源配線6,7が、Y方向において、交互に配置される。電源配線6,7は、それぞれ、Y方向に隣接する電源配線6,7との間にスタンダードセル列CRが配置可能な間隔を空けて配置される。
【0044】
また、電源配線6,7の上層には、Y方向に延びるストラップ電源配線8,9がX方向に交互に配置される。
図5に示すように、図面左側にストラップ電源配線8a,9aが、図面中央にストラップ電源配線8b,9bが、図面右側にストラップ電源配線8c,9cが、それぞれ、配置される。また、図示は省略するが、ストラップ電源配線8a~8cは、それぞれ、コンタクトを介して電源配線6と接続され、ストラップ電源配線9a~9cは、それぞれ、コンタクトを介して電源配線7と接続される。
【0045】
ステップS3において、ネットリストデータに基づいて、基板上に論理セル4が配置される。
図6に示すように、論理セル4は、ネットリストデータに含まれる所望の回路構成を実現するように、スタンダードセル列CR1~CR6に配置される。
【0046】
ステップS4において、ネットリストデータに基づいて、信号配線が行われる。図示は省略するが、ネットリストデータに基づき、基板上に配置された論理セル4間の信号配線が行われる。
【0047】
ステップS5において、容量セル2が配置される。
図6に示すように、スタンダードセル列CRには、論理セル4が配置されていない空き領域(スタンダードセル列CR1~CR6における白色部分)が存在する。この空き領域に容量セル2が配置される。
図7に示すように、容量セル2は、奇数列のスタンダードセル列CRであるスタンダードセル列CR1,CR3,CR5の空き領域にのみ配置される。すなわち、容量セル2は、Y方向に並べて配置されたスタンダードセル列CRにおいて、一列おきに配置される。なお、容量セル2は、奇数列のスタンダードセル列CRの空き領域に可能な限り配置される。
【0048】
ステップS6において、修正用セル3が配置される。
図7に示すように、スタンダードセル列CRには、容量セル2および論理セル4が配置されていない空き領域(スタンダードセル列CR1~CR6における白色部分)が存在する。この空き領域に修正用セル3が配置される。具体的には、修正用セル3は、偶数列のスタンダードセル列CRであるスタンダードセル列CR2,CR4,CR6の、論理セル4が配置されていない空き領域に配置される。すなわち、修正用セル3は、容量セル2が配置されていない偶数列のスタンダードセル列CR2,CR4,CR6にのみ配置される。このため、修正用セル3は、Y方向に並べて配置されたスタンダードセル列CRにおいて、一列おきに配置される。なお、修正用セル3は、偶数列のスタンダードセル列CRの空き領域に可能な限り配置される。
【0049】
ステップS7において、フィラーセル5が配置される。容量セル2、修正用セル3、論理セル4およびフィラーセル5が基板上に配置されると、
図3のようなレイアウト構造となる。フィラーセル5は、容量セル2、修正用セル3および論理セル4のいずれも配置されていないスタンダードセル列CRの空き領域に配置される。フィラーセル5は、容量セル2、修正用セル3および論理セル4のいずれも配置できないようなスタンダードセル列CRの極小の空き領域に配置される。
【0050】
ステップS8において、設計用コンピュータから、容量セル2、修正用セル3、論理セル4およびフィラーセル5が配置された半導体集積回路装置10のレイアウトデータが出力される。
【0051】
以上の構成により、X方向に隣り合う、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間、および、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、容量セル2は奇数列のスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)に配置され、修正用セル3は偶数列のスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)に配置される。すなわち、容量セル2および修正用セル3のうち容量セル2のみが配置されたスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)と、容量セル2および修正用セル3のうち容量セル2のみが配置されたスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)とが、Y方向において、交互に配置される。これにより、容量セル2および修正用セル3が、Y方向に並べて配置されたスタンダードセル列CRにおいて、交互に配置されるため、半導体集積回路装置10に配置される容量セル2および修正用セル3の数を抑えつつ、容量セル2および修正用セル3を確実に半導体集積回路装置10内に配置することができる。
【0052】
また、容量セル2は、隣接する電源配線6,7の間に配置され、その電源配線6,7に接続される。また、容量セル2は、Y方向に並べて配置されたスタンダードセル列CRにおいて、一列おきに配置される。すなわち、いずれの電源配線6,7も容量セル2と接続されることになる。これにより、回路ブロック内の局所的な電源電圧降下や電源ノイズの発生を抑制することができる。
【0053】
また、修正用セル3は、Y方向に並べて配置されたスタンダードセル列CRにおいて、一列おきに配置される。これにより、動作不具合や機能追加を行いたい部分の近傍に修正用セルが配置される可能性が高くなり、修正用セルに対する配線による配線遅延を抑制することができる。
【0054】
なお、容量セル2が奇数列のスタンダードセル列CRに配置され、修正用セル3が偶数列のスタンダードセル列CRに配置されているが、これに限られない。容量セル2が偶数列のスタンダードセル列CRに配置され、修正用セル3が奇数列のスタンダードセル列CRに配置されてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
図8は第2実施形態に係る半導体集積回路装置の構成を示す平面図である。スタンダードセル列CR1~CR6、電源配線6,7、ストラップ電源配線8,9、および、論理セル4の配置に関しては、
図3と同様であるので、説明を省略する。
【0056】
図3では、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間、および、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、容量セル2は奇数列のスタンダードセル列CRに配置され、修正用セル3は偶数列のスタンダードセル列CRに配置されている。すなわち、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、容量セル2および修正用セル3は、それぞれ、同じ配置方法で配置される。
【0057】
これに対して、
図8では、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、容量セル2および修正用セル3は、それぞれ、異なる配置方法で配置される。
【0058】
具体的には、容量セル2は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間においては、奇数列のスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)に配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間においては、偶数列のスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)に配置される。
【0059】
また、修正用セル3は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間において、偶数列のスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)に配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、奇数列のスタンダードセル列CRに配置される。
【0060】
次に、
図4、
図6、
図8および
図9を参照しながら、第2実施形態に係る半導体集積回路装置の設計方法について説明する。
図9はステップS5実行後の半導体集積回路装置のレイアウト構造である。
図4において、ステップS1~S4,S7,S8は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
ステップS5において、容量セル2が配置される。
図6および
図9に示すように、容量セル2は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間においては、奇数列のスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)の空き領域に配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間においては、偶数列のスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)の空き領域に配置される。すなわち、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8c,9cとの間において、電源配線6,7それぞれのY方向両側には、容量セル2が配置される。
【0062】
ステップS6において、修正用セル3が配置される。
図8および
図9に示すように、修正用セル3は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間において、偶数列のスタンダードセル列CR(CR2,CR4,CR6)の空き領域に配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間において、奇数列のスタンダードセル列CR(CR1,CR3,CR5)の空き領域に配置される。
【0063】
図9の構成によって、
図3と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、例えば、スタンダードセル列CR3,CR4の間に配置された電源配線6において電源ノイズが発生した場合、電源配線6に接続された容量セル2を介して、電源配線6の両隣に配置された電源配線7(スタンダードセル列CR2,CR3の間に配置された電源配線7、および、スタンダードセル列CR4,CR5の間に配置された電源配線7)に電源ノイズが伝搬する。すなわち、電源配線6,7のいずれかで電源ノイズが発生した場合に、容量セル2を介して、両隣に配置された電源配線6,7に電源ノイズが伝搬する。これにより、電源配線6,7において発生した電源ノイズが分散されるので、電源ノイズの影響を低減することができる。
【0065】
なお、容量セル2と修正用セル3とを逆に配置してもよい。この場合、容量セル2は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間においては、奇数列のスタンダードセル列CRに配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間においては、偶数列のスタンダードセル列CRに配置される。また、修正用セル3は、ストラップ電源配線8a,9aとストラップ電源配線8b,9bとの間においては、偶数列のスタンダードセル列CRに配置され、ストラップ電源配線8b,9bとストラップ電源配線8c,9cとの間においては、奇数列のスタンダードセル列CRに配置される。
【0066】
なお、上記各実施形態では、容量セル2が配置された後、修正用セル3が配置されるとしたが、これに限られず、修正用セル3が配置された後、容量セル2が配置されてもよい。
【0067】
また、上記各実施形態では、Y方向に並べて配置されるスタンダードセル列は6列としたが、これに限られず、スタンダードセル列は2列以上であればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示では、スタンダードセルを備えた半導体集積回路装置について、デカップリング容量セルおよび修正用セルを、半導体集積回路装置の面積を抑えつつ、配置することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 スタンダードセル
2 デカップリング容量セル
3 修正用セル
6,7 電源配線
8,9(8a~8c,9a~9c) ストラップ電源配線
CR(CR1~CR6) スタンダードセル列