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特許7157385走査型の光学系及びレーザーレーダー装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】走査型の光学系及びレーザーレーダー装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20221013BHJP
   G01S 7/484 20060101ALI20221013BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S7/484
G02B26/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018567535
(86)(22)【出願日】2018-02-09
(86)【国際出願番号】 JP2018004754
(87)【国際公開番号】W WO2018147453
(87)【国際公開日】2018-08-16
【審査請求日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2017022646
(32)【優先日】2017-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲 鷹彦
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮太
(72)【発明者】
【氏名】井手 義憲
(72)【発明者】
【氏名】長澤 光
(72)【発明者】
【氏名】影山 将史
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-170962(JP,A)
【文献】特開2003-004850(JP,A)
【文献】国際公開第2004/100331(WO,A1)
【文献】特開2010-091763(JP,A)
【文献】国際公開第2014/168137(WO,A1)
【文献】特開2013-068582(JP,A)
【文献】特開2018-059898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
G01C 3/06- 3/08
G01B11/00-11/30
G02B26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、前記光源からの光をそれぞれ入射させるコリメーター部とを有する投光系と、
前記投光系からの光を投光ビームとして反射し、主走査方向に走査させる走査用ミラーと、
前記走査用ミラーからの戻り光が入射する受光レンズと、
前記受光レンズを経た戻り光が入射する受光素子と、
を備え、
前記複数の光源は、前記主走査方向に直交する副走査方向に対応する方向に異なる位置に配置され、
前記受光素子は、前記複数の光源に対応する前記戻り光を検出可能に配置され、前記副走査方向に対応する方向に2画素以上を有し、
前記投光ビームは、各光源による投光視野の副走査方向の位置が異なるように出射され、
前記走査用ミラーの同一反射面で反射された互いに隣り合う前記光源からの前記投光ビームの走査領域は、副走査方向において互いに隣接しており、
接する前記走査領域に対応する前記光源は、なるタイミングで発光する、走査型の光学系。
【請求項2】
前記受光素子は、各光源の投光視野に対応する光検出領域で前記戻り光を受光し、
隣接する前記光検出領域は、異なるタイミングで前記戻り光を受光する、請求項1に記載の走査型の光学系。
【請求項3】
前記複数の光源の発光面は、前記主走査方向に対応する方向よりも前記副走査方向に対応する方向に長い、請求項1及び2のいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項4】
前記受光素子で検出される前記戻り光を信号処理する処理回路をさらに備え、
前記受光素子と前記処理回路との間に前記受光素子の光検出領域を選択するスイッチング部を有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項5】
前記光源は前記主走査方向に対応する方向にスタック構造を有し、隣接する前記光源に対し、前記スタック構造の各層の発光タイミングがずれるようなタイミングで発光させる、請求項1から4までのいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項6】
M個の前記光源の発光周期はM個の点灯を順次可能にするものであり、
前記光源は前記走査用ミラーのn回転目と前記走査用ミラーのn+1回転目との切り替えの際に、発光タイミングを1画素分ずらし、
値Mは2以上の自然数であり、値nは1以上の自然数である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項7】
前記投光系から前記走査用ミラーに向かう射出光軸と、前記走査用ミラーから前記受光レンズに向かう入射光軸とは、前記走査用ミラーに隣接する区間で略一致して配置され、
前記走査用ミラーと前記受光レンズとの間の光路上に配置されて、前記射出光軸が通る開口を有する光路折曲ミラーを備える、請求項1から6までのいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項8】
前記複数の光源は2つであり、前記投光系は、前記2つの光源から出射した光を前記副走査方向に対応する方向に関して交差させることにより反転させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の走査型の光学系。
【請求項9】
請求項1からまでのいずれか一項に記載の走査型の光学系を備え、前記戻り光に基づいて対象物を検出する、レーザーレーダー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光ビームを走査しつつ対象物からの戻り光を検出するための走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を2次元的に走査しつつ照射し、走査範囲内に存在する物体から戻ってきた反射光を検出することで、物体までの距離を検出する距離測定装置が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の距離測定装置では、複数の光源からのレーザー出力を一点に集めてハイパワーを得ている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の装置では、光源の発光タイミングが不明であり、また、複数の光源が直列に接続されているため、各光源が同時に発光することしかできない。そのため、各光源に対応する投光視野に重複する部分があると、当該重複部分のエネルギー密度が高くなりClass1のアイセーフを満たさなくなるという問題が生じうる。なお、戻り光を受光素子全体で同時に受光すると、戻り光のビームが対応する光検出領域からはみ出して入射した場合、クロストークにより受光素子の隣接する光検出領域で誤検知が生じうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-292156号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、アイセーフ等に関する問題を解決しつつ、遠距離での検知も可能な走査型の光学系及びレーザーレーダー装置を提供することを目的とする。
【0006】
上記した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した走査型の光学系は、複数の光源と、光源からの光をそれぞれ入射させるコリメーター部とを有する投光系と、投光系からの光を投光ビームとして反射し、主走査方向に走査させる走査用ミラーと、走査用ミラーからの戻り光が入射する受光レンズと、受光レンズを経た戻り光が入射する受光素子と、を備え、複数の光源は、主走査方向に直交する副走査方向に対応する方向に異なる位置に配置され、受光素子は、複数の光源に対応する戻り光を検出可能に配置され、副走査方向に対応する方向に2画素以上を有し、投光ビームは、各光源による投光視野の副走査方向の位置が異なるように出射され、走査用ミラーの同一反射面で反射された互いに隣り合う光源からの投光ビームの走査領域は、副走査方向において互いに隣接しており、隣接する走査領域に対応する光源は、なるタイミングで発光する。ここで、投光視野とは、光源から出射されるビームの走査領域上の範囲であり、複数の光源が発光する場合、各光源に対応するビームの範囲をひとまとまりの投光視野としている。
【0007】
上記した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映したレーザーレーダー装置は、上述した走査型の光学系を備え、戻り光に基づいて対象物を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係るレーザーレーダー装置の構造を説明する概略図である。
図2図2A及び2Bは、走査型の光学系の構造を説明する側面図及び平面図である。
図3図1のレーザーレーダー装置のうちインターフェース回路及びその周辺を説明する概念図である。
図4図4A及び4Bは、図2A及び2Bに対応し、投光系及び受光系を拡大した側面図及び平面図である。
図5図5A~5Cは、第1の光源の発光面周辺の正面図、側面図、及び平面図であり、図5D~5Fは、第2の光源の発光面周辺の正面図、側面図、及び平面図である。
図6図6Aは、投光ビームの遠方への投射状態を説明する図であり、図6Bは、投光ビームの交差や上下の反転等経路を説明する概念図である。
図7】受光素子の状態を説明する図である。
図8図8Aは光源の第1発光タイミングを説明する図であり、図8Bは光源の第2発光タイミングを説明する図である。
図9】第2実施形態におけるレーザーレーダー装置の光源の発光タイミングを説明する図である。
図10図10Aは、第3実施形態におけるレーザーレーダー装置の光源の投影パターンを説明する図であり、図10Bは、光源の発光タイミングを説明する図である。
図11図11A~11Cは、図10Aのレーザーレーダー装置の投光視野及び光源の発光タイミングを説明する図である。
図12図12A及び12Bは、第4実施形態における走査型の光学系の構造を説明する側面図及び平面図である。
図13図13A及び13Bは、第5実施形態における走査型の光学系の構造を説明する側面図及び平面図である。
図14】第6実施形態に係るレーザーレーダー装置を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照しつつ、第1実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。
【0010】
図1に示すレーザーレーダー装置100は、例えば屋内外監視用途や車載用途の物体検出装置であり、検出対象の存在や当該検出対象までの距離を検出する。レーザーレーダー装置100は、投光系10と、受光系20と、回転反射部30と、駆動制御部40と、主制御部50と、外装部品60とを備える。これらのうち、投光系10と、受光系20と、回転反射部30とは、走査型の光学系101を構成している。
【0011】
レーザーレーダー装置100又は走査型の光学系101のうち、投光系10は、後述する回転反射部30の走査用ミラー31に対して投光ビームの元になるレーザー光L1を投射する。投光系10の詳細な構造については後述する。
【0012】
受光系20は、外装部品60の光学窓63を介して入射する検出対象OBからの反射光すなわち戻り光L2であって、回転反射部30の走査用ミラー31で反射された戻り光L2を受光する。より詳細には、検出領域内に物体等の検出対象OBがあると、レーザーレーダー装置100から射出されたレーザー光(投光ビーム)L1が検出対象OBで反射等され、検出対象OBで反射等された光の一部が戻り光L2としてレーザーレーダー装置100における走査用ミラー31を介して受光系20に入射する。受光系20の詳細な構造については後述する。
【0013】
回転反射部30は、走査用ミラー31と回転駆動部32とを有する。走査用ミラー31は、2回反射型のポリゴンミラーであり、光路折り曲げ用の第1反射部31aと第2反射部31bとを有する。第1及び第2反射部31a,31bは、Z方向に平行に延びる回転軸RXに沿って上下にそれぞれ配置されている。第1及び第2反射部31a,31bは角錐状の形状を有している(具体的には図2A等参照)。第1及び第2反射部31a,31bの反射面の傾斜角は、走査用ミラー31の回転位置(図示の例では90°単位で4方位を向く位置)に伴って徐々に変化するものになっている(第1及び第2反射部31a,31bの具体的な形状については、国際公開第2014/168137号参照)。つまり、走査用ミラー31において、第1及び第2反射部31a,31bの鏡面は、Z軸に対してそれぞれ傾斜しており、対となる第1及び第2反射部31a,31bの複数の組み合わせにおいて、それぞれ交差角が異なるものとなっている。これにより、回転軸RXに平行な±Z方向(後述する副走査方向)の走査範囲が広くなる。第1反射部31aの反射面は、紙面上で左方向である+X方向から入射したレーザー光(投光ビーム)L1を略直交する方向に反射し、紙面上で上方向の第2反射部31bの鏡面に導く。第2反射部31bの鏡面は、紙面上で下方向である-Z方向から入射したレーザー光L1を略直交する方向に反射し、紙面上で左方向の検出対象OB側へ導く。検出対象OBで反射された一部の戻り光L2は、レーザー光L1の経路と逆の経路をたどり、受光系20で検出される。つまり、走査用ミラー31は、検出対象OBで反射された戻り光L2を、第2反射部31bの鏡面で再度反射させ、第1反射部31aの鏡面に導く。続いて、戻り光L2を第1反射部31aの鏡面で再度反射させ、受光系20側へ導く。走査用ミラー31が回転すると、Z軸方向に直交する平面(つまり、XY面)内において、レーザー光L1の進行方向が変化する。つまり、レーザー光L1は、走査用ミラー31の回転に伴って、Z軸のまわりに又はY軸方向に沿って走査される。レーザー光L1によって走査される角度領域が検出領域となる。投光用のレーザー光L1の進行方向である+X軸方向に対する傾斜角の範囲が投光角度であり、走査開始点でのレーザー光L1の進行方向と走査終了点でのレーザー光L1の進行方向とのなす角度が照射角度であるとする。投光角度と照射角度とによって投光視野が形成される。以上において、レーザー光(投光ビーム)L1が走査する方向(本実施形態では回転軸RXに垂直な±Y方向)を主走査方向、レーザー光(投光ビーム)L1が走査する方向及びレーザー光(投光ビーム)L1の進行方向に直交する方向(本実施形態では回転軸RXに平行な±Z方向)を副走査方向と呼ぶ。なお、投光視野の縦方向又はZ方向に関する投光ビームの中心角度は、上述のように、走査用ミラー31の回転位置に応じて徐々に変化し、走査用ミラー31の1回転(360°回転)に伴って例えば4段階移動する副走査が達成される。
【0014】
駆動制御部40は、発光タイミング制御部41と、受光タイミング制御部42とを有する。発光タイミング制御部41は、投光系10のうち後述する複数の光源11a,11bの動作を制御する。発光タイミング制御部41は、DSPや電源等を含む駆動回路を有する。複数の光源11a,11bは、予め設定された発光タイミングによって発光するように駆動制御される。受光タイミング制御部42は、受光系20のうち後述する受光素子24の動作を制御する。図3に示すように、受光タイミング制御部42は、複数のスイッチング部43や複数の処理回路44等を含むインターフェース回路45を有する。前者のスイッチング部43は、受光素子24と処理回路44との間に設けられている。これにより、部品点数を削減及び部品を共通化するため、コストダウンを図ることができる。また、回路規模を縮小することにより光学系101を小型化することができる。スイッチング部43は、受光素子24の光検出面24aを構成する複数の画素24p(図7参照)に対応するように接続されており、光検出領域DA1,DA2の切り替え又は選択が可能となっている。具体的には、図7に示すように、受光素子24が6つの画素24pを有し光検出領域を図面の上下すなわちZ方向に2分割する場合、上下に跨る3つのスイッチング部43が設けられており、上側の3つの画素24pと下側の3つの画素24pとが所定の受光タイミングで切り替わるようになっている。上側又は下側の光検出領域DA2,DA1(つまり、3つの画素24p)で検出された光は、各スイッチング部43の出力側に設けた処理回路44で信号処理される。処理回路44は、DSPやA/D変換部を含み、受光素子24で検出される光の信号処理を行う。なお、インターフェース回路45には、アンプが設けられてもよく、この場合、アンプは例えば受光素子24とスイッチング部43との間や、スイッチング部43と処理回路44との間に設けられる。
【0015】
主制御部50は、投光系10の光源11a,11b(図2A等参照)、受光系20の受光素子24(図2A等参照)、回転反射部30の回転駆動部32等の動作を制御する。また、主制御部50は、受光系20の受光素子24に入射した戻り光L2の変換によって得た電気信号から検出対象OBの物体情報を得る。具体的には、受光素子24における出力信号が所定の閾値以上である場合、主制御部50において、受光素子24が検出対象OBからの戻り光L2を受光したと判断される。この場合、光源11a,11bでの発光タイミングと受光素子24での受光タイミングとの差から、検出対象OBまでの距離が求められる。また、受光素子24への戻り光L2の副走査方向に関する受光位置及び走査用ミラー31の主走査方向に相当する回転角に基づいて、検出対象OBの位置、大きさ、形状等の物体情報を求めることができる。
【0016】
外装部品60は、レーザーレーダー装置100の内蔵部品を覆い、保護するためのものである。外装部品60は、蓋状の主外装部61と、円筒容器状の副外装部62とを有する。主外装部61と副外装部62とは、これらの縁部において、外装部品60の内部の機密性を保った状態でボルト等の留め具で着脱可能に固定されている。
【0017】
図2A及び2B又は図4A及び4Bに示すように、投光系10は、複数の光源11a,11bと、複数の光源11a,11bからの光SB1,SB2を個別に入射させる複数のコリメーターレンズ12a,12bと、光路合成用のミラー13とを有する。一方の光源11aと一方のコリメーターレンズ12aとによって第1光源要素14aが構成され、他方の光源11bと他方のコリメーターレンズ12bとによって第2光源要素14bが構成される。また、コリメーターレンズ12a,12bと光路合成用のミラー13とを合わせたものがコリメーター部18となっている。第2光源要素14b及びミラー13は、第1光源要素14aよりも上側すなわち+Z方向にシフトした位置に配置されている。
【0018】
第1の光源の11aの発光面16a並びに第2の光源11bの発光面16bは、主走査方向に対応する方向よりも副走査方向に対応する方向に長い。すなわち、図5A~5Cに概念的に示すように、第1の光源11aの発光面16aの縦寸法であるZ幅は、発光面16aの横寸法であるY幅よりも数倍以上大きくなっている。また、図5D~5Fに概念的に示すように、第2の光源11bの発光面16bの縦寸法であるZ幅は、発光面16bの横寸法であるX幅よりも数倍以上大きくなっている。以上のように、複数の光源11a,11bの発光面16a,16bが主走査方向に対応する方向よりも副走査方向に対応する方向に長いことにより、少ない光源11a,11bであっても投光視野を副走査方向に広くすることが容易になる。
【0019】
図4A及び4Bに戻って、第1光源要素14aの光軸である光源光軸SX1(すなわち、コリメーターレンズ12aの光軸)は、X軸に平行に延びている。一方、第2光源要素14bの光軸である光源光軸SX2(すなわちコリメーターレンズ12bの光軸)は、ミラー13よりも光路上流の前段領域A1でY軸に平行に延び、ミラー13よりも光路下流の後段領域A2でX軸に平行に延びている。つまり、第1の光源11a側における光源光軸SX1は、第2の光源11b側における光源光軸SX2の前段領域A1と直交しており、両領域A1,A2は、異なる角度方向に設定されている。さらに、コリメーターレンズ12a側における光源光軸SX1とコリメーターレンズ12b側における光源光軸SX2の後段領域A2とは互いに平行に隣接して配置されており、Z方向又は副走査方向に光源11a,11bの幅程度離間している。つまり、複数の光源11a,11bは、副走査方向に対応するZ方向に異なる位置に配置されており、主走査方向に対応するY方向には後段側で平面視で同じ位置に重なって見えるように配置されている。
【0020】
図5A~5C等に示すように、第1の光源11aの発光面16aは、光源光軸SX1の近傍から副走査方向に対応する-Z方向に偏って配置されている。つまり、発光面16aの中心C1は、-Z方向に偏っており、コリメーター部18を構成するコリメーターレンズ12aに対して副走査方向に対応する-Z方向に関して軸外し状態で配置されている。また、図5D~5F等に示すように、第2の光源11bの発光面16bは、光源光軸SX2の近傍から副走査方向に対応する+Z方向に偏って配置されている。つまり、発光面16bの中心C2は、+Z方向に偏っており、コリメーター部18を構成するコリメーターレンズ12bに対して副走査方向に対応する+Z方向に関して軸外し状態で配置されている。
【0021】
図4A及び4B等に示すように、投光系10の射出光軸AX1は、投光系10から走査用ミラー31に向かう光路上にあって、第1光源要素14aの光源光軸SX1と第2光源要素14bの光源光軸SX2の後段領域A2との中間に配置されている。ミラー13による光路の折り曲げがないとして光路を展開すると、第1の光源11aと第2の光源11bとは、射出光軸AX1の方向に沿って若干のずれはあるが射出光軸AX1に対して概ね対称的に配置されているということができる。第1光源要素14aの光源11aの発光面16aから射出された光SB1は、横方向であるY方向に比較的広い発散角を示し、縦方向であるZ方向に比較的狭い発散角を示す(図5B及び5C参照)。一方で、光源11aの発光面16aが縦方向に長いことから、光SB1の拡がり角は、当初横のY方向に広いものの、第1反射部31aの光路下流側(具体的には、光源11aから数100mm後、すなわち光学窓63の前方50mm程度)で縦横のアスペクト比が1:1となり、その後、横のY方向よりも副走査方向に対応する縦のZ方向に広くなる。同様に、第2光源要素14bの光源11bの発光面16bから射出された光SB2は、横方向であるX方向に比較的広い発散角を示し、縦方向であるZ方向に比較的狭い発散角を示す(図5E及び5F参照)。一方で、光源11bの発光面16bが縦方向に長いことから、光SB2の拡がり角は、当初横のX方向に広いものの、第1反射部31aの光路下流側で縦横のアスペクト比が1:1となり、その後、横のY方向よりも副走査方向に対応する縦のZ方向に広くなる。
【0022】
図6Aに示すように、下側に配置された第1光源要素14aの光源11aから射出された光SB1は、走査用ミラー31を経た遠方において相対的に下側に投影されて下側領域を照明し、副走査方向に関して上側に配置された第2光源要素14bの光源11bから射出された光SB2は、走査用ミラー31を経た遠方において相対的に上側に投影されて上側領域を照明する。
【0023】
図6Bに概念的に示すように、一対の光源11a,11bからの光SB1,SB2は、走査用ミラー31に入射する前後で、副走査方向に関して射出光軸AX1を挟んで交差するような光路をとる。ただし、走査用ミラー31での2回の反転によって上下が反転するので、投光される光SB1,SB2は、コリメーター部18による上下反転と、走査用ミラー31による上下反転とを受けて、図6Aに示すように結果的に元の上下関係が維持される。両光源11a,11bからの光SB1,SB2をコリメーター部18によって副走査方向に対応する上下方向に関して交差させる構成とすることで、投光系10を副走査方向に比較的小型化することができる。
【0024】
図6Aに示すように、走査用ミラー31の回転に伴って一対の光源11a,11bによる走査領域AR1,AR2は、光SB1,SB2を主走査方向であるY方向に移動させた軌跡を形成し、Y方向に細長く投影されている。より詳細には、光SB1,SB2からなるレーザー光(投光ビーム)L1は、物体側においてZ方向又は副走査方向に細長く延びて投光角度の範囲をカバーしている。また、光SB1,SB2からなるレーザー光(投光ビーム)L1は、走査用ミラー31の回転に伴って照射角度の範囲でY方向又は主走査方向に移動する。レーザー光(投光ビーム)L1は、各光源11a,11bによる投光視野の副走査方向の位置が異なるように出射され、投光視野のうち隣接する投光視野に対応する光源11a,11bは、異なるタイミングで発光する(非同時発光)。
【0025】
図4A及び4B等に戻って、受光系20は、穴あきミラー21と、受光レンズ22と、ミラー23と、受光素子24とを備える。
【0026】
穴あきミラー21は、走査用ミラー31と受光レンズ22との間の光路上に配置される光路折曲ミラーである。穴あきミラー21の開口21aは、穴あきミラー21の中央又はその周辺の適所に形成されている。射出光軸AX1と入射光軸AX2とは、走査用ミラー31に隣接する区間で略一致して配置されている。つまり、開口21aの略中心を投光系10の射出光軸AX1及び入射光軸AX2が通っており、開口21aを通る射出光軸AX1又は入射光軸AX2の周辺において、光源11a,11bからの光SB1,SB2は、副走査方向に対応する上下のZ方向に関して絞られており、主走査方向に対応する左右のY方向に関してコリメーターレンズ12a,12bによって拡がりが抑えられている。結果的に、光SB1,SB2は、開口21aを無駄なく通過する。穴あきミラー21を用いることで、投光系10及び受光系20のサイズを副走査方向に関して小さく収めることができるとともに、受光光量を大きくすることができる。
【0027】
走査用ミラー31の第2反射部31bを経て第1反射部31aで反射された戻り光L2は、穴あきミラー(光路折曲ミラー)21の反射面21bで反射されて光路を直交方向に折り曲げられる。この際、開口21aによって戻り光L2の一部が光路外に漏れて損失となるが、第1反射部31aに対する開口21aの面積的な割合が比較的小さければ検出精度の低下には繋がらない。
【0028】
受光レンズ22は、戻り光L2のビーム径を絞り込む役割を有し、ミラー23は、受光レンズ22を経た戻り光L2を受光素子24に導く役割を有する。受光素子24とミラー23との間には、戻り光L2すなわちレーザー光L1の波長以外の可視光線等を遮断するバンドパスタイプのフィルター26が配置されている。これらの受光レンズ22やミラー23は、入射光軸AX2に沿って配列されている。
【0029】
受光素子24は、受光レンズ22及びミラー23を経た戻り光L2を検出する。受光素子24は、例えばCMOS、CCDその他の半導体デバイスであり、戻り光L2の強度を検出するとともに、副走査方向に対応する上下のZ方向に位置分解能を有する。つまり、受光素子24は、副走査方向に2画素以上を有する。受光素子24は、分割した投光視野に対応する光検出領域DA1,DA2で戻り光L2を受光し、隣接する光検出領域DA1,DA2は、異なるタイミングで戻り光L2を受光する(非同時受光)。
【0030】
図7を参照して、受光素子24の光検出面24aの具体例について説明する。光検出面24aは、その長手方向が副走査方向となっている。光検出面24aは、6つの画素24pで構成され、6つの画素24pは、副走査方向に対応する上下のZ方向に配列されている。つまり、光検出面24aは、副走査方向に対応するZ方向に関して6画素の構成であり、主走査方向に対応する左右のY方向に関して1画素の構成である。受光素子24の光検出面24aは、上下のZ方向や左右のY方向に関してレーザー光L1の投光角度の範囲内にある検出対象OBによって逆行する方向に反射された戻り光L2を取り込める幅を有する。参考のため、戻り光L2のうち光源11aからの光SB1に起因する検出光L21と、光源11bからの光SB2に起因する検出光L22とを光検出面24a上に概念的に示す。
【0031】
レーザーレーダー装置100又は走査型の光学系101の動作の概要につていて説明すると、主制御部50の制御下で受光系20の一対の光源11a,11bを周期的に発光させることで、コリメーター部18で合成されたレーザー光(投光ビーム)L1が穴あきミラー(光路折曲ミラー)21の開口21aを通過し、走査用ミラー31を経た上下の副走査方向に長いレーザー光L1は、横の主走査方向に主走査される。これと同期させて受光系20の受光素子24を動作させることで、検出対象OBからの戻り光L2を検出して、検出対象OBまでの距離や配置等を計測することができる。
【0032】
既述のように、隣接する投光視野に対応する光源11a,11bは、異なるタイミング(具体的には、第1発光タイミング及び第2発光タイミング)で発光する。図8Aに示すように、第1発光タイミングにおいて、主制御部50は、発光タイミング制御部41を動作させ、複数の11a,11bのうち光源11bのみを発光させる。この際、主制御部50は、受光タイミング制御部42を動作させ、受光側の受光素子24において、スイッチング部43により上側の光検出領域DA2(つまり、3つの画素24p)で検出された検出光L22を処理回路44で信号処理させる。よって、図示のように、下側の光検出領域DA1に戻り光L2が入射しても下側では光を検知しないようになっている。また、図8Bに示すように、第1発光タイミングとは異なる第2発光タイミングにおいて、主制御部50は、発光タイミング制御部41を動作させ、複数の11a,11bのうち光源11aのみを発光させる。この際、主制御部50は、受光タイミング制御部42を動作させ、受光側の受光素子24において、スイッチング部43により下側の光検出領域DA1(つまり、3つの画素24p)で検出された検出光L21を処理回路44で信号処理させる。よって、図示のように、上側の光検出領域DA2に戻り光L2が入射しても上側では光を検知しないようになっている。
【0033】
以上説明した走査型の光学系では、複数の光源11a,11bによるレーザー光(投光ビーム)L1を投光視野の副走査方向の位置が異なるように出射させ、隣接する投光視野に対応する光源11a,11bを異なるタイミングで発光させる。これにより、遠距離でのエネルギー密度が増加するため、より遠距離の対象物である検出対象OBを検知することができる。ここで、遠距離では、光源11a,11bのサイズと光学系101の焦点距離との関係が、光源11a,11bから出射されるビーム径に対し支配的に影響する。一方、近距離でのエネルギー密度は減少するため、アイセーフによいものとできる。ここで、近距離では、光源11a,11bからのビームの拡がりと光学系101の焦点距離とが、ビーム径に対し支配的に影響する。また、隣接する投光視野に対応する光源11a,11bを異なるタイミングで発光させることにより、隣接する投光視野が互いに重複しないため、比較的安全性の高いClass1のアイセーフを満たすことができる。また、隣接する光検出領域DA1,DA2における異なるタイミングでの受光、すなわち検出可能な光検出領域DA1,DA2の切り替えにより、戻り光L2のビームが対応する光検出領域DA1,DA2から多少はみ出して入射してもクロストークによる誤検知を防止することができ、位置合わせの精度を高める必要がなく、コストを抑えることができる。
【0034】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。なお、第2実施形態に係る走査型の光学系等は、第1実施形態の走査型の光学系等を一部変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態と同様である。
【0035】
図9を参照して、本実施形態の場合、光源11a,11bはそれぞれ主走査方向に対応する方向(図面横方向)にスタックされた構造を有する。隣接する光源11a,11bは、スタック構造の各層の発光タイミングがずれるようなタイミングで発光させている。光源11a,11bの幅Wは、各スタック要素SCの発光域の幅d1と発光域間の幅d2とをスタック数X個分合わせたものである。ここで、幅d1及び幅d2を合計した幅(d1+d2)は、投光の空間周期となっている。また、幅Wは、各光源11a,11bについて合成した空間周期を達成するように調整されている。発光域の幅d1に対応する時間分ずれたタイミングで光源11a,11bを発光させることにより、対象物である検出対象OBを漏れなく、かつ隙間なく検知することができる。図9の例では、光源11a,11bはそれぞれ3つのスタック要素SCで構成されている。図面では、上下の光源11a,11bが横方向にズレて表示されているが、実際は横方向に空間的に一致して配置されており、発光タイミングにズレを生じさせることで投影空間でも横方向のズレが生じている。第1発光タイミング(図中の発光1)において発光した光源11bに対して、第2発光タイミング(図中の発光2)において発光した光源11aは発光域の幅d1に対応する時間分ずらして発光させている。レーザーレーダー装置100の動作中、光源11a,11bは、これらの発光タイミングを繰り返す。図9の例で説明すると、次の第1発光タイミング(図中の発光3)において、光源11bは、直前の第2発光タイミング(図中の発光2)において発光した光源11aに対して発光域の幅d1に対応する時間分ずらして発光させる。また、次の第2発光タイミング(図中の発光4)において、光源11aは、直前の第1発光タイミング(図中の発光3)において発光した光源11bに対して発光域の幅d1に対応する時間分ずらして発光させる。
【0036】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。なお、第3実施形態に係る走査型の光学系等は、第1実施形態等の走査型の光学系等を一部変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態等と同様である。
【0037】
本実施形態において、M個の光源の発光周期はM個の点灯を順次可能にするものであり、光源は走査用ミラー31のn回転目と走査用ミラー31のn+1回転目との切り替えの際に、発光タイミングを1画素ΔP分ずらしている。ここで、値Mは2以上の自然数であり、値nは1以上の自然数である。これにより、発光タイミングをずらしながらも副走査方向、すなわち縦方向の画素ずれが低減することになり、対象物である検出対象OBの形状を正確に認識することができる。図10Aの例では、3個の光源LD1,LD2,LD3で構成されており、図10Bに示すように、各光源LD1,LD2,LD3は、発光周期Tの間隔でそれぞれ発光し、各光源LD1,LD2,LD3の第1~第3発光タイミングは、T/M(この場合、M=3)の間隔で異なっている。なお、図10Aに示す光源LD1,LD2,LD3の配置は、説明の便宜上、光路の折り曲げ等を無くした仮想的な配置となっている。図11A、11B、及び11Cは、例示として1回転目、2回転目、及び3回転目の投光状態又は投光視野をそれぞれ示している。既述のように、図2A等に示す走査用ミラー31の場合、レーザー光L1が縦方向に4段階に副走査されており、図11A~11Cは、1段階の走査中の投光視野の一部の特定面QAを示している。各図の上段は光源LD1の像Q1からなる投影パターンP1を示し、中段は光源LD2の像Q2からなる投影パターンP2を示し、下段は光源LD3の像Q3からなる投影パターンP2を示す。図11A~11Cにおいて、3個の光源LD1,LD2,LD3の発光周期Tは3個の点灯を順次可能にするもの(個別の発光周期に対応する間隔又は空間周期T1~T3(発光周期Tに相当))となっている。また、走査用ミラー31の1回転目と2回転目との切り替え、及び2回転目と3回転目との切り替えの際に、光源LD1,LD2,LD3は、発光周期に対応する間隔又は空間周期T1~T3の発光タイミングを1画素ΔPに相当するT/3ずらしている。4回転目以降も同様の発光タイミングでレーザーレーダー装置100を動作させる。なお、走査用ミラー31の3回転分の投光を積算した空間周期は、T/3となる。
【0038】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。なお、第4実施形態に係る走査型の光学系等は、第1実施形態等の走査型の光学系等を一部変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態等と同様である。
【0039】
図12A及び12Bに示すように、第4実施形態の場合、投光系10と受光系20とが簡易に分離されており、投光系10と受光系20とが副走査方向又はZ方向に関して異なる位置に配置されている。つまり、投光系10の射出光軸AX1と入射光軸AX2とは、ミラー23と走査用ミラー31との間の区間において、互いに平行に隣接して配置されており、Z方向又は副走査方向に離間している。つまり、走査用ミラー31に隣接する位置で、射出光軸AX1と入射光軸AX2とは、副走査方向に対応するZ方向に異なる位置に配置されており、主走査方向に対応するY方向に関しては平面視で同じ位置に重なって見えるように配置されている。本実施形態の場合、投光系10と受光系20とを簡易に分離した構成となっている。
【0040】
受光系20は、受光レンズ22と、ミラー23と、受光素子24とを備える。この場合、射出光軸AX1と入射光軸AX2とを副走査方向に関して位置ずれさせて配置しているので、穴あきミラーは不要である。受光素子24の光検出面24aは、ミラー23による光路折り曲げにより、第1実施形態の場合と異なり、X方向に延びているが、X方向は副走査方向に対応する。
【0041】
〔第5実施形態〕
以下、第5実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。なお、第5実施形態に係る走査型の光学系等は、第1実施形態等の走査型の光学系等を一部変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態等と同様である。
【0042】
図13A及び13Bに示すように、第5実施形態の場合、投光系10において、第1光源要素14aと第2光源要素14bとが射出光軸AX1を挟んで上下の副走査方向に鏡像配置されている。つまり、第1の光源11aと第2の光源11bとは、射出光軸AX1に対して厳密に対称に配置されている。この場合、一対のコリメーターレンズ12a,12bを合わせたものがコリメーター部18となっており、光路合成用のミラーが不要となっている。また、第1光源要素14aにおいて光源11aは、コリメーター部18を構成するコリメーターレンズ12aに対して副走査方向に非対称的となるように軸外し状態で配置されており、第1光源要素14bにおいて光源11bは、コリメーター部18を構成するコリメーターレンズ12bに対して副走査方向に非対称的となるように軸外し状態で配置されている。
【0043】
図13A及び13Bに示す例では、受光系20が第1実施形態に示すものと同様であったが、受光系20を第4実施形態に示すものと同様として、投光用の光路と受光用の光路とを完全に分けることもできる。
【0044】
〔第6実施形態〕
以下、第6実施形態に係る走査型の光学系及びこれを組み込んだレーザーレーダー装置について説明する。なお、第6実施形態に係る走査型の光学系等は、第1実施形態等の走査型の光学系等を一部変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態等と同様である。
【0045】
図14に示すように、レーザーレーダー装置100は、第1実施形態と同様に、投光系10と、受光系20と、回転反射部30と、主制御部50と、外装部品60とを備える。本実施形態の回転反射部30の走査用ミラー31は、1回反射型のポリゴンミラーであり、光路折り曲げ用の第1反射部31aのみを有する。走査用ミラー31において、第1反射部31aの鏡面は、Z軸に対して傾斜しており、紙面上で下方向である-Z方向から入射したレーザー光L1を略直交する方向に反射し、紙面上で左方向の検出対象OB側へ導く。検出対象OBで反射された一部の戻り光L2は、レーザー光L1の経路と逆の経路をたどり、受光系20で検出される。この場合、図1の場合と異なり、走査用ミラー31の回転軸RXに垂直な紙面左右のX方向が副走査方向となっており、回転軸RXに垂直な紙面垂直なY方向が主走査方向となっている。
【0046】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。例えば、受光素子24の光検出面24aを構成する画素24pは、6つに限らず、検出分解能に応じて適宜の数とできる。
【0047】
また、投光系10や受光系20を構成する光学素子は、図2A等に例示されるものに限らず、用途や仕様に応じて光路折り曲げ用のミラーを増やすこと、レンズを増やすこと等、様々な変更が可能である。
【0048】
また、上記実施形態において、受光素子24は、隣接する光検出領域DA1,DA2で異なるタイミングで戻り光L2を受光したが、フィルター等により、戻り光L2が分割した投光視野に対応する光検出領域DA1,DA2に略正確に入射するように制限すれば、戻り光L2を同じタイミングで受光してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14