(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】積層チューブ
(51)【国際特許分類】
F16L 11/04 20060101AFI20221013BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20221013BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20221013BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20221013BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20221013BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20221013BHJP
C08G 69/26 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
F16L11/04
B32B1/08 B
B32B27/18 J
B32B27/34
C08L77/00
C08L23/26
C08G69/26
(21)【出願番号】P 2021168895
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2017101577の分割
【原出願日】2017-05-23
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000206
【氏名又は名称】UBE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154405
【氏名又は名称】前島 大吾
(74)【代理人】
【識別番号】100079005
【氏名又は名称】宇高 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100201341
【氏名又は名称】畠山 順一
(72)【発明者】
【氏名】安部 武尊
(72)【発明者】
【氏名】中村 孝治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 広昭
(72)【発明者】
【氏名】福田 竜
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-130273(JP,A)
【文献】特開2012-224085(JP,A)
【文献】国際公開第2016/039445(WO,A1)
【文献】特開2016-138256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0214343(US,A1)
【文献】国際公開第2015/033982(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 11/04
B32B 1/08
B32B 27/18
B32B 27/34
C08L 77/00
C08L 23/26
C08G 69/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)層、(b)層、及び(c)層を含む3層以上の積層チューブであって、
エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物を含む層を含まず
、
少なくとも1組の前記(a)層と前記(b)層と、少なくとも1組の前記(b)層と前記(c)層は、隣接して配置され、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、ポリアミド組成物(B)を含み、
前記(c)層は、半芳香族ポリアミド組成物(C)を含み、
前記脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比が10.0以上の脂肪族ポリアミド(A1)を含み、
前記ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、
前記ポリアミド(B1)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比が7.5以上9.5以下であり、ポリアミド組成物(B)中に、70質量%以上95質量%以下含まれ、前記エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有し、ポリアミド組成物(B)中に、5質量%以上30質量%以下含まれ、
前記半芳香族ポリアミド組成物(C)は、半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)を含み、
前記半芳香族ポリアミド(C1)は、前記半芳香族ポリアミド(C1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位及び/又ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含み、
前記半芳香族ポリアミド(C2)は、前記半芳香族ポリアミド(C2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(C2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む積層チューブ。
【請求項2】
前記脂肪族ポリアミド(A1)が、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体である請求項1に記載の積層チューブ。
【請求項3】
前記ポリアミド(B1)が、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、及びポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体及び/又は共重合体である請求項1又は2のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項4】
前記半芳香族ポリアミド組成物(C)が、前記エラストマー重合体(B2)を含む請求項1から3のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項5】
前記(c)層が、前記(b)層に対して内側に隣接して配置される請求項1から4のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項6】
更に(d)層を含み、
少なくとも1組の前記(c)層と前記(d)層が隣接して配置され、
前記(d)層は、アミノ基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(D)を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項7】
前記(d)層が、前記(c)層に対して内側に配置される請求項6に記載の積層チューブ。
【請求項8】
最内層が、導電性フィラーを含有させた熱可塑性樹脂組成物を含む導電層である請求項1から7のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項9】
共押出成形により製造される請求項1から8のいずれか1項に記載の積層チューブ。
【請求項10】
燃料チューブとして使用される請求項1から9のいずれか1項に記載の積層チューブ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車配管用チューブにおいては、古くは道路の凍結防止剤による発錆の問題や、地球温暖化防止、省エネルギー化の要請を受けて、その主要素材は、金属から、防錆性に優れ軽量な樹脂への代替が進みつつある。通常、配管用チューブとして使用される樹脂は、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等が挙げられるが、これらを使用した単層チューブの場合、耐熱性、耐薬品性等が不十分なことから、適用可能な範囲が限定されていた。
【0003】
また、自動車配管用チューブは、ガソリンの消費節約、高性能化の観点から、メタノール、エタノール等の沸点の低いアルコール類、あるいはエチル-t-ブチルエーテル(ETBE)等のエーテル類をブレンドした含酸素ガソリン等が移送される。更に、環境汚染防止の観点から、配管用チューブ隔壁を通じての揮発性炭化水素等の拡散による大気中への漏洩防止を含めた厳しい排ガス規制が実施されている。かかる厳しい規制に対して、従来から使用されている、ポリアミド系樹脂、特に、強度、靭性、耐薬品性、柔軟性等に優れるポリアミド11又はポリアミド12を単独で使用した単層チューブは、前記の薬液に対するバリア性は十分でなく、特に含アルコールガソリンバリア性に対する改良が求められている。
【0004】
この問題を解決する方法として、薬液バリア性の良好な樹脂、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/HFP/VDF/PAVE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/PAVE,PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(TFE/HFP/PAVE)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CTFE/PAVE/TFE,CPT)が配置された積層チューブが提案されてきた(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
更に、従来から使用されている、ポリアミド系樹脂、特に強度、靭性、耐薬品性、柔軟性に優れるナイロン11又はナイロン12を最内層で使用した成形品は、前記の燃料との接触によりモノマーやオリゴマー等低分子量成分が徐々に燃料中へ溶出・析出してくることが確認されており、インジェクターや燃料タンクバルブの可動部への付着によりエンジン始動不能が発生したり、燃料タンクの内圧制御上問題となる可能性が指摘されている。薬液バリア性やモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れ、低比重、低コストのチューブ構成部材として、ポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)が注目を集めている。本発明者らは、脂肪族ポリアミドからなる層、全ジアミン単位に対して、1,9-ノナンジアミン単位及び/又は2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位を60モル%以上含むジアミン単位と、全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位及び/又ナフタレンジカルボン酸単位を60モル%以上含むジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミドからなる層を有する、少なくとも2層からなることを特徴とする積層構造体を提案している(特許文献2から5参照)。
【0006】
脂肪族ポリアミドからなる層とポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)からなる層の層間接着性を改良するため、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミドからなる層、薬液バリア性に優れたポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)等の半芳香族ポリアミドに、特定の有機酸塩(炭素原子数10以上24以下の有機酸塩)を含む半芳香族ポリアミド組成物からなる層を有する積層チューブが提案されている(特許文献6参照)。
また、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸及び炭素原子数8以上19未満の脂肪族ジカルボン酸よりなる特定のポリアミド共重合体からなる層とm-及び/又はp-キシリレンジアミンと炭素原子数4以上12未満の脂肪族ジカルボン酸よりなる半芳香族ポリアミドからなる層を有する積層構造体やヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸及び炭素原子数8以上19未満の脂肪族ジカルボン酸よりなる特定のポリアミド共重合体からなる層とテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジアミンよりなる半芳香族ポリアミドからなる層を有する積層構造体が提案されている(特許文献7,8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第5554425号明細書
【文献】特開2004-203012号公報
【文献】国際公開番号2005-58600号公報
【文献】国際公開番号2005-102681号公報
【文献】国際公開番号2005-102694号公報
【文献】特開2011-214592号公報
【文献】特開2016-172445号公報
【文献】特開2016-172449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献2から5に記載の積層チューブは、脂肪族ポリアミドからなる層とポリノナメチレンテレフタラミド(PA9T)からなる層の間に接着層を設ける必要がなく、初期の層間接着性は十分である。しかしながら、長時間燃料に接触・浸漬した後や熱処理後等において、層間接着性の耐久性については改善の余地を残すところである。また、特許文献6に記載の積層チューブについても、前記技術と同様に層間接着性の耐久性についてはさらなる改善が望まれている。
更に、特許文献7の実施例において、m-及び/又はp-キシリレンジアミンと炭素原子数4以上12未満の脂肪族ジカルボン酸よりなる半芳香族ポリアミドとして、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)が挙げられており、層間接着性に関するデータの開示はあるが、キシリレンジアミン及び/又はナフタレンジメチルアミン単位を含むジアミン単位と、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミドとの層間接着性やその耐久性に関する具体的な技術データの開示や技術的示唆は無く、後記に示す通り、同チューブは、塩化カルシウムや塩化亜鉛に対する長期耐性(耐薬品性)に劣り、更なる改良が望まれる。特許文献8の実施例においても、芳香族ジカルボン酸よりなる半芳香族ポリアミド共重合体として、内外層材料と同一で、衝撃改良材を含有しないポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体が挙げられており、層間接着性に関するデータの開示はあるが、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジアミンと、テレフタル酸単位及び/又ナフタレンジカルボン酸単位よりなる半芳香族ポリアミドとの層間接着性やその耐久性に関する具体的な技術データの開示や技術的示唆は無く、後記に示す通り、同チューブは、塩化カルシウムや塩化亜鉛に対する長期耐性(耐薬品性)に劣り、更なる改良が望まれる。
本発明の目的は、前記問題点を解決し、薬液バリア性、低温耐衝撃性、モノマー、オリゴマーの耐溶出性といった諸特性を維持しつつ、高温時の破壊圧力、耐薬品性、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層チューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、特定の脂肪族ポリアミド組成物を含む層、特定のポリアミド組成物を含む層、及び特定の構造を有する半芳香族ポリアミドを含む半芳香族ポリアミド組成物を含む層を有し、該各層が隣接する積層チューブにおいて、前記脂肪族ポリアミド組成物が、炭素原子数と窒素原子数の比が特定の値以上の脂肪族ポリアミドを含み、前記ポリアミド組成物が炭素原子数と窒素原子数の比が特定の範囲内のポリアミド、及びカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有するエラストマー重合体を特定量含むことにより、薬液バリア性、低温耐衝撃性、モノマー、オリゴマーの耐溶出性といった諸特性を維持しつつ、高温時の破壊圧力、耐薬品性、層間接着性、及びその耐久性に優れる積層チューブが得られることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、
(a)層、(b)層、及び(c)層を含む3層以上の積層チューブであって、
少なくとも1組の前記(a)層と前記(b)層と、少なくとも1組の前記(b)層と前記(c)層は、隣接して配置され、
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含み、
前記(b)層は、ポリアミド組成物(B)を含み、
前記(c)層は、半芳香族ポリアミド組成物(C)を含み、
前記脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比が10.0以上の脂肪族ポリアミド(A1)を含み、
前記ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、
前記ポリアミド(B1)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比が7.5以上9.5以下であり、ポリアミド組成物(B)中に、70質量%以上95質量%以下含まれ、前記エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有し、ポリアミド組成物(B)中に、5質量%以上30質量%以下含まれ、
前記半芳香族ポリアミド組成物(C)は、半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)を含み、
前記半芳香族ポリアミド(C1)は、前記半芳香族ポリアミド(C1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位及び/又ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含み、
前記半芳香族ポリアミド(C2)は、前記半芳香族ポリアミド(C2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、前記半芳香族ポリアミド(C2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数9及び/又は10の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む積層チューブである。
【0011】
積層チューブの好ましい態様を以下に示す。好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]前記脂肪族ポリアミド(A1)が、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体である積層チューブ。
[2]前記ポリアミド(B1)が、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、及びポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体及び/又は共重合体である積層チューブ。
[3]前記半芳香族ポリアミド組成物(C)が、前記エラストマー重合体(B2)を含む積層チューブ。
[4]前記(c)層が、前記(b)層に対して内側に隣接して配置される積層チューブ。
[5]更に(d)層を含み、少なくとも1組の前記(c)層と前記(d)層が隣接して配置され、前記(d)層は、アミノ基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(D)を含む積層チューブ。
[6]前記(d)層が、前記(c)層に対して内側に配置される積層チューブ。
[7]最内層が、導電性フィラーを含有させた熱可塑性樹脂組成物を含む導電層である積層チューブ。
[8]共押出成形により製造される積層チューブ。
[9]燃料チューブとして使用される積層チューブ。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、薬液バリア性、低温耐衝撃性、モノマー、オリゴマーの耐溶出性といった諸特性を維持しつつ、高温時の破壊圧力、耐薬品性、層間接着性、及びその耐久性に優れた積層チューブを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.(a)層
積層チューブの(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む。
【0014】
[脂肪族ポリアミド組成物(A)]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比が10.0以上の脂肪族ポリアミド(A1)を含む。
【0015】
[脂肪族ポリアミド(A1)]
脂肪族ポリアミド(A1)は、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有し、ラクタム、脂肪族アミノカルボン酸、又は脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸を原料単量体(構成繰り返し単位)として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られ、同ポリアミド中の炭素原子数([C])と窒素原子数([N])の比[C]/[N](以下、炭素原子数と窒素原子数の比を[C]/[N]と称する場合がある。)が10.0以上である(以下、脂肪族ポリアミド(A1)と称する場合がある。)。
炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上の脂肪族ポリアミド(A1)としては、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11):[C]/[N]=11.0、ポリドデカンアミド(ポリアミド12):[C]/[N]=12.0、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614):[C]/[N]=10.0、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616):[C]/[N]=11.0、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618):[C]/[N]=12.0、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912):[C]/[N]=10.5、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010):[C]/[N]=10.0、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012):[C]/[N]=11.0、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128):[C]/[N]=10.0、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129):[C]/[N]=10.5、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210):[C]/[N]=11.0、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212):[C]/[N]=12.0等が挙げられる。これら、脂肪族ポリアミド(A1)は前記の少なくとも1種の単独重合体のみならず、これらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体も挙げられる。
【0016】
例えば、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)とポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0である。
また、ポリ(ドデカンアミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12/1010)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は10.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ドデカンアミド単位/デカメチレンセバカミド単位が80:20(モル比)の場合、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、12.0×0.80+10.0×0.20=11.6となる。デカメチレンセバカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は減少するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は10.0を下回ることはない。即ち、ポリ(ドデカンアミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12/1212)やポリ(ドデカンアミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12/1010)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は10.0以上となり、本願の脂肪族ポリアミド(A1)に包含される。
【0017】
一方、脂肪族ポリアミド(A1)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、以下の通りの炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を共重合することも可能で、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上である限り、本願の脂肪族ポリアミド(A1)に包含される。
ポリアミド中の炭素原子数数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0未満の脂肪族ポリアミドとしては、ポリカプロアミド(ポリアミド6):[C]/[N]=6.0、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26):[C]/[N]=4.0、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44):[C]/[N]=4.0、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45):[C]/[N]=4.5、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46):[C]/[N]=5.0、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48):[C]/[N]=6.0、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49):[C]/[N]=6.5、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410):[C]/[N]=7.0、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412):[C]/[N]=8.0、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54):[C]/[N]=4.5、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55):[C]/[N]=5.0、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56):[C]/[N]=5.5、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58):[C]/[N]=6.5、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59):[C]/[N]=7.0、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510):[C]/[N]=7.5、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512):[C]/[N]=8.5、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64):[C]/[N]=5.0、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65):[C]/[N]=5.5、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66):[C]/[N]=6.0、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68):[C]/[N]=7.0、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69):[C]/[N]=7.5、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610):[C]/[N]=8.0、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612):[C]/[N]=9.0、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96):[C]/[N]=7.5、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98):[C]/[N]=8.5、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99):[C]/[N]=9.0、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910):[C]/[N]=9.5、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106):[C]/[N]=8.0、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108):[C]/[N]=9.0、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109):[C]/[N]=9.5、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126):[C]/[N]=9.0等が挙げられる。
【0018】
例えば、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、ポリカプロアミド(ポリアミド6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は6.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位のモル比が67.0:33.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上であるため、本願の脂肪族ポリアミド(A1)に包含される。
このように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0未満の脂肪族ポリアミドを形成する原料単量体(繰り返し単位)を数種用いた共重合体における炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比と炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]により計算可能で、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が10.0以上を満たす該共重合体は本願の脂肪族ポリアミド(A1)に包含される。
【0019】
これらの中でも、得られる積層チューブの機械的特性、耐熱性や耐薬品性等の諸物性を十分に確保し、経済性、入手の容易さの観点から、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)やこれらを形成する原料を数種用いた共重合体等が好ましく、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、及びポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体が好ましく、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体が更に好ましい。
【0020】
脂肪族ポリアミド(A1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
【0021】
また、JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した脂肪族ポリアミド(A1)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.5以下であることがより好ましい。
【0022】
脂肪族ポリアミド(A1)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A]>[B]+5であることが好ましく、[A]>[B]+10であることがより好ましく、[A]>[B]+15であることが更に好ましい.更に、脂肪族ポリアミド(A1)の溶融安定性やゲル状物発生抑制の観点から、[A]>20であることが好ましく、30<[A]<120であることがより好ましい。
【0023】
尚、末端アミノ基濃度[A](μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0024】
脂肪族ポリアミド(A1)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
前記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加してもよい。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加してもよい。また、下記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β-フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N-メチル-N-エチルアミン、N-メチル-N-ブチルアミン、N-メチル-N-ドデシルアミン、N-メチル-N-オクタデシルアミン、N-エチル-N-ヘキサデシルアミン、N-エチル-N-オクタデシルアミン、N-プロピル-N-ヘキサデシルアミン、N-プロピル-N-ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0026】
添加するジアミンの具体例としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0027】
添加するトリアミンの具体例としては、1,2,3-トリアミノプロパン、1,2,3-トリアミノ-2-メチルプロパン、1,2,4-トリアミノブタン、1,2,3,4-テトラミノブタン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4-トリアミノシクロヘキサン、1,2,3-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4,5-テトラミノシクロヘキサン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、1,2,3-トリアミノベンゼン、1,2,4,5-テトラミノベンゼン、1,2,4-トリアミノナフタレン、2,5,7-トリアミノナフタレン、2,4,6-トリアミノピリジン、1,2,7,8-テトラミノナフタレン等、1,4,5,8-テトラミノナフタレン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
添加するポリアミンは、一級アミノ基(-NH2)及び/又は二級アミノ基(-NH-)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
【0029】
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミンやプロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N-ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N-ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
【0030】
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等の炭素原子数2以上8以下のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン、及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
【0031】
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4以上3,000であることが好ましく、8以上1,500以下であることがより好ましく、11以上500以下であることが更に好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100以上20,000以下であることが好ましく、200以上10,000以下であることがより好ましく、500以上8,000以下であることが更に好ましい。
【0032】
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m-キシリレンジカルボン酸、p-キシリレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ペンタントリカルボン酸、1,2,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
添加されるアミン類の使用量は、製造しようとする脂肪族ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい(アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
【0034】
脂肪族ポリアミド(A1)においては、前記例示のアミン類のうち、末端基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアルキレンイミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【0035】
また、脂肪族ポリアミド(A1)は、前記末端基濃度を満たす限りにおいては、末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミドの混合物でも構わない。この場合、脂肪族ポリアミド混合物の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度は、混合物を構成する脂肪族ポリアミドの末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及びその配合割合により決まる。
【0036】
また、脂肪族ポリアミド(A1)の柔軟性を改良するために、可塑剤を添加することが好ましい。可塑剤としては、ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類、トルエンスルホン酸アルキルアミド類、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類等が挙げられる。
【0037】
ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2-エチルヘキシルアミド等が挙げられる。トルエンスルホン酸アルキルアミド類としては、N-エチル-o-トルエンスルホン酸ブチルアミド、N-エチル-p-トルエンスルホン酸ブチルアミド、N-エチル-o-トルエンスルホン酸2-エチルヘキシルアミド、N-エチル-p-トルエンスルホン酸2-エチルヘキシルアミド等が挙げられる。ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類としては、o-ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p-ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、o-ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、o-ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、p-ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、o-ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、o-ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、o-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、o-ヒドロキシ安息香酸ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸ブチル、o-ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、o-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、o-ヒドロキシ安息香酸デシル、p-ヒドロキシ安息香酸デシル、o-ヒドロキシ安息香酸ドデシル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2-エチルヘキシルアミド等のベンゼンスルホン酸アルキルアミド類;N-エチル-p-トルエンスルホン酸ブチルアミド、N-エチル-p-トルエンスルホン酸2-エチルヘキシルアミド等のトルエンスルホン酸アルキルアミド類:p-ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、p-ヒドロキシ安息香酸エチルデシル等のヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類が好ましく、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシルがより好ましい。
【0038】
可塑剤の含有量は、積層チューブの柔軟性や低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、脂肪族ポリアミド(A1)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、2質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
【0039】
また、脂肪族ポリアミド(A1)の低温耐衝撃性を改良するために、衝撃改良材を添加することが好ましく、特に後記のポリアミド組成物(B)中に記載する、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有するエラストマー重合体(B2)を添加することがより好ましい。カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有していないと、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
衝撃改良材の含有量は、積層チューブの機械的強度や低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、脂肪族ポリアミド(A1)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
【0040】
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、前記の単独重合体の混合物、前記の共重合体の混合物、単独重合体と共重合体の混合物であってもよいし、あるいは他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。混合物中の脂肪族ポリアミド組成物(A)の含有量は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0041】
他のポリアミド系樹脂としては、ポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4)、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4)、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンスベラミド(ポリアミドPXD8)、ポリパラキシリレンドデカミド(ポリアミドPXD12)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6-BAN6)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,6-BAN8)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,6-BAN9)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,6-BAN10)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,6-BAN12)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT(H))、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3-BAC6)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3-BAC8)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3-BAC9)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3-BAC10)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3-BAC12)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3-BACI)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT(H))、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3-BACN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4-BAC6)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4-BAC8)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4-BAC9)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4-BAC10)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4-BAC12)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4-BACI)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT(H))、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4-BACN)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2-メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレンナフタラミド(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2-メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)やこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0042】
また、混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂;カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられ、場合により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)等のフッ素系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
更に、脂肪族ポリアミド組成物(A)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等を添加してもよい。
【0044】
2.(b)層
積層チューブの(b)層は、ポリアミド組成物(B)を含む。
【0045】
[ポリアミド組成物(B)]
ポリアミド組成物(B)は、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)を含み、前記ポリアミド(B1)は、炭素原子数と窒素原子数の比が7.5以上9.5以下のポリアミドであり、ポリアミド組成物(B)中に、70質量%以上95質量%以下含まれ、前記エラストマー重合体(B2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有し、ポリアミド組成物(B)中に、5質量%以上30質量%以下含む。
【0046】
[ポリアミド(B1)]
ポリアミド(B1)は、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有し、ポリアミド中の炭素原子数([C])と窒素原子数([N])の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である(以下、ポリアミド(B1)と称する場合がある。)。
ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)としては(以下、脂肪族ポリアミド(B1X)と称する場合がある。)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412):[C]/[N]=8.0、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510):[C]/[N]=7.5、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512):[C]/[N]=8.5、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69):[C]/[N]=7.5、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610):[C]/[N]=8.0、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612):[C]/[N]=9.0、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96):[C]/[N]=7.5、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98):[C]/[N]=8.5、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99):[C]/[N]=9.0、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910):[C]/[N]=9.5、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106):[C]/[N]=8.0、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108):[C]/[N]=9.0、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109):[C]/[N]=9.5、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126):[C]/[N]=9.0等が挙げられる。脂肪族ポリアミド(B1X)としては、前記の少なくとも1種の単独重合体のみならず、これらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体も挙げられる。
【0047】
例えば、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド610/612)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)のポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)のポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ヘキサメチレンセバカミド単位/ヘキサメチレンドデカミド単位が80:20(モル比)の場合、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、8.0×0.80+9.0×0.20=8.2となる。ヘキサメチレンセバカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は減少するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0を下回ることはない。一方、ヘキサメチレンドデカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は増加するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0を上回ることはない。
即ち、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド610/612)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.5以上9.5以下となり、本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0048】
また、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の半芳香族ポリアミド(B1Y)としては(以下、半芳香族ポリアミド(B1Y)と称する場合がある。)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T):[C]/[N]=8.5、ポリ(2-メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T):[C]/[N]=8.5、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT):[C]/[N]=8.5、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T):[C]/[N]=9.0、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9):[C]/[N]=8.5、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10):[C]/[N]=9.0、ポリパラキシリレンアゼラミド(ポリアミドPXD9):[C]/[N]=8.5、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10):[C]/[N]=9.0等が挙げられる。
【0049】
例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であり、前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であることから、構成繰り返し単位のモル比にかかわらず、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0である。
即ち、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/6T)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)と炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.5以上9.5以下となり、本願のポリアミド(B1)に包含される。
後記の半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)と明確に区別すべく、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/10T)のヘキサメチレンドデカミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が51.0:49.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が本願のポリアミド(B1)に包含されるものとする。
例えば、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ヘキサメチレンセバカミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位が80:20(モル比)の場合、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、8.0×0.80+9.0×0.20=8.2となる。ヘキサメチレンセバカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は減少するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0を下回ることはない。一方、デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は増加するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0を上回ることはない。
即ち、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/10T)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)と炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.5以上9.5以下となり、本願のポリアミド(B1)に包含される。
後記の半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)と明確に区別すべく、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/10T)のヘキサメチレンドデカミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が51.0:49.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が本願のポリアミド(B1)に包含されるものとする。
【0050】
例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であり、前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ヘキサメチレンドデカミド単位/ノナメチレンテレフタラミド単位が80:20(モル比)の場合、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、9.0×0.80+8.5×0.20=8.9となる。ノナメチレンテレフタラミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は減少するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5を下回ることはない。一方、ヘキサメチレンドデカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は増加するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0を上回ることはない。
即ち、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/9T)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)と炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.5以上9.5以下となり、本願のポリアミド(B1)に包含される。
後記の半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)と明確に区別すべく、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/9T)のヘキサメチレンドデカミド単位/ノナメチレンテレフタラミド単位のモル比が51.0:49.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が本願のポリアミド(B1)に包含されるものとする。
例えば、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ヘキサメチレンセバカミド単位/ヘキサメチレンドデカミド単位が80:20(モル比)の場合、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、8.0×0.80+8.5×0.20=8.1となる。ヘキサメチレンセバカミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は減少するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0を下回ることはない。一方、ノナメチレンテレフタラミド単位のモル比が増加すれば、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は増加するが、少なくとも炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5を上回ることはない。
即ち、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/9T)のように、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の脂肪族ポリアミド(B1X)と炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を数種用いた共重合体は、構成繰り返し単位のモル比によらず、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.5以上9.5以下となり、本願のポリアミド(B1)に包含される。
後記の半芳香族ポリアミド(C1)又は半芳香族ポリアミド(C2)と明確に区別すべく、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/9T)のヘキサメチレンセバカミド単位/ノナメチレンテレフタラミド単位のモル比が51.0:49.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が本願のポリアミド(B1)に包含されるものとする。
このように、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下を満たす前記脂肪族ポリアミド(B1X)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を主成分(炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である前記脂肪族ポリアミド(B1X)を構成する単量体単位の含有量が、ポリアミド(B1)を構成する全単量体単位100モル%に対して、51.0モル%以上である。)とし、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下を満たす前記半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体を数種用いた共重合体もポリアミド(B1)に包含されるものとする。
【0051】
一方、ポリアミド(B1)は、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下であればよく、
(1)前記脂肪族ポリアミド(A1)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、前記脂肪族ポリアミド(B1X)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(2)前記脂肪族ポリアミド(A1)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、前記半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(3)前記脂肪族ポリアミド(A1)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の後記脂肪族ポリアミド(B1XX)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(4)前記脂肪族ポリアミド(A1)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の後記半芳香族ポリアミドや脂環式ポリアミド(B1YY)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(5)前記脂肪族ポリアミド(B1X)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の後記脂肪族ポリアミド(B1XX)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(6)前記脂肪族ポリアミド(B1X)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の後記半芳香族ポリアミドや脂環式ポリアミド(B1YY)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体、
(7)前記半芳香族ポリアミド(B1Y)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を一成分とし、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の後記脂肪族ポリアミド(B1XX)を形成する原料単量体(構成繰り返し単位)を用いた共重合体等が挙げられる。
【0052】
炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の脂肪族ポリアミド(B1XX)としては、ポリカプロアミド(ポリアミド6):[C]/[N]=5.0、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26):[C]/[N]=4.0、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44):[C]/[N]=4.0、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45):[C]/[N]=4.5、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46):[C]/[N]=5.0、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48):[C]/[N]=6.0、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49):[C]/[N]=6.5、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410):[C]/[N]=7.0、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54):[C]/[N]=4.5、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55):[C]/[N]=5.0、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56):[C]/[N]=5.5、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58):[C]/[N]=6.5、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59):[C]/[N]=7.0、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64):[C]/[N]=5.0、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65):[C]/[N]=5.5、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66):[C]/[N]=6.0、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68):[C]/[N]=7.0等が挙げられる。
【0053】
また、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の半芳香族ポリアミドや脂環式ポリアミド(B1YY)としては(以下、半芳香族ポリアミド(B1YY)、脂環式ポリアミド(B1YY)と称する場合がある。)、ポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4):[C]/[N]=6.0、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5):[C]/[N]=6.5、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6):[C]/[N]=7.0、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4):[C]/[N]=6.0、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5):[C]/[N]=6.5、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6):[C]/[N]=7.0、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T):[C]/[N]=6.0、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I):[C]/[N]=6.0、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H)):[C]/[N]=6.0、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T):[C]/[N]=6.5、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I):[C]/[N]=6.5、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H)):[C]/[N]=6.5、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T):[C]/[N]=7.0、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I):[C]/[N]=7.0、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H)):[C]/[N]=7.0、ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T):[C]/[N]=7.0、ポリ(2-メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I):[C]/[N]=7.0、ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H)):[C]/[N]=7.0等が挙げられる。
【0054】
(1)の場合、例えば、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12/610)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12/610)のドデカンアミド単位/ヘキサメチレンセバカミド単位のモル比が1.0:99.0モル%以上37.5:62.5モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0055】
(2)の場合、例えば、ポリ(ドデカンアミド/ノナメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド12/9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド12/9T)のドデカンアミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が1.0:99.0モル%以上28.6:71.4モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下であるが、後記の半芳香族ポリアミド(C1)に包含される。
例えば、ポリ(ウンデカンアミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド11/10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリウンデカンアミド(ポリアミド11)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は11.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ウンデカンアミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド11/10T)のウンデカンアミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が1.0:99.0モル%以上25.0:75.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下であるが、後記の半芳香族ポリアミド(C1)に包含される。
例えば、ポリ(デカメチレンセバカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド1010/10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は10.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下の前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(デカメチレンセバカミド/デカメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド1010/10T)のデカメチレンセバカミド単位/デカメチレンテレフタラミド単位のモル比が1.0:99.0モル%以上50.0:50.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下であるが、後記の半芳香族ポリアミド(C1)に包含される。
【0056】
(3)の場合、例えば、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記脂肪族ポリアミド(B1XX)であるポリカプロアミド(ポリアミド6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は6.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド12/6)のドデカンアミド単位/カプロアミド単位のモル比が25.0:75.0モル%以上58.4:41.6モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0057】
(4)の場合、例えば、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド12/6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(A1)であるポリドデカンアミド(ポリアミド12)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記半芳香族ポリアミド(B1YY)であるポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ドデカンアミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド12/6T)のドデカンアミド単位/ヘキサメチレンテレフタラミド単位のモル比が10.0:90.0モル%以上50.0:50.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0058】
(5)の場合、例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド612/6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記脂肪族ポリアミド(B1XX)であるポリカプロアミド(ポリアミド6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は6.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド612/6)のヘキサメチレンドデカミド単位/カプロアミド単位のモル比が50.0:50.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0059】
(6)の場合、例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記半芳香族ポリアミド(B1YY)であるポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/6T)のヘキサメチレンドデカミド単位/ヘキサメチレンテレフタラミド単位のモル比が25.0:75.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
例えば、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記脂肪族ポリアミド(B1X)であるポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記半芳香族ポリアミド(B1YY)であるポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/6T)のヘキサメチレンセバカミド単位/ヘキサメチレンテレフタラミド単位のモル比が50.0:50.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下である本願のポリアミド(B1)に包含される。
【0060】
(7)の場合、例えば、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド9T/6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は、構成繰り返し単位のモル比により変わる。前記半芳香族ポリアミド(B1Y)であるポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5であり、炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5未満の前記脂肪族ポリアミド(B1XX)であるポリカプロアミド(ポリアミド6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は6.0であることから、構成繰り返し単位のモル比が分かれば、算出可能で、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド9T/6)のノナメチレンテレフタラミド単位/カプロアミド単位のモル比が60.0:40.0モル%以上99.0:1.0モル%以下であるポリアミド共重合体が、ポリアミド中の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]が7.5以上9.5以下であるが、後記の半芳香族ポリアミド(C1)に包含される。
【0061】
入手の容易さや経済性、及び得られる積層チューブの機械的特性、耐薬品性、及び柔軟性等の諸物性を十分に確保することと、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)や後記半芳香族ポリアミド組成物(C)との層間接着性及びその耐久性を十分に得る観点から、ポリアミド(B1)は、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、及びポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体、あるいは、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)を形成する原料単量体を一成分とし、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、及びポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)からなる群より選ばれる少なくとも1種を形成する原料単量体を数種用いた共重合体であることが好ましい。
これらの中でも、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、及びポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体及び/又は共重合体がより好ましく、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、及びポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体及び/又は共重合体が更に好ましく、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド610/6T)、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/ヘキサメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド612/6T)、ポリ(ヘキサメチレンセバカミド/メタキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミド610/MXD6)、ポリ(ヘキサメチレンドデカミド/メタキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミド612/MXD6)が特に好ましい。
【0062】
ポリアミド(B1)の製造装置としては、前記脂肪族ポリアミド(A1)の説明で記載した公知のポリアミド製造装置が挙げられる。ポリアミド(B1)の製造方法としては、前記脂肪族ポリアミド(A1)の説明で記載した公知の方法が挙げられる。
【0063】
また、JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定したポリアミド(B1)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、1.8以上4.5以下であることがより好ましい。
【0064】
ポリアミド(B1)の1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A]>[B]+5であることが好ましく、[A]>[B]+10であることがより好ましく、[A]>[B]+15であることが更に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性やゲル状物発生抑制の観点から、[A]>20であることが好ましく、30<[A]<120であることがより好ましい。
【0065】
ポリアミド(B1)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。前記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加してもよい。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加してもよい。また、これら、アミン類、カルボン酸類としては、前記脂肪族ポリアミド(A1)の説明で記載したものが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0066】
なお、末端アミノ基濃度[A](μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0067】
ポリアミド(B1)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。前記アミン類としてはモノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加してもよい。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加してもよい。また、これら、アミン類、カルボン酸類としては、前記脂肪族ポリアミド(A1)の説明で記載したものが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0068】
ポリアミド組成物(B)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有するエラストマー重合体(B2)を含有する(エラストマー重合体(B2)と称する場合がある。)。カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有していないと、衝撃改良効果が不十分となる。
【0069】
エラストマー重合体(B2)としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0070】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα-オレフィンを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0071】
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0072】
また、前記芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体が用いられる。また、前記のブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
【0073】
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、1,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる単位を有していてもよい。
【0074】
共役ジエン化合物系重合体ブロックは、1,3-ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系化合物の1種又は2種以上から形成された重合体ブロックであり、水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部又は全部が水素添加により飽和結合になっている。
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及びその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。これらの中でも、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物系重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック-共役ジエン化合物系重合体ブロック-芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体、及びそれらの水素添加物の1種又は2種以上が好ましく用いられ、未水添又は水添スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0075】
エラストマー重合体(B2)におけるカルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩等のα,β-不飽和カルボン酸が挙げられる。酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のα,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
【0076】
エラストマー重合体(B2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、低温耐衝撃性の改良効果や前記脂肪族ポリアミド組成物(A)や後記半芳香族ポリアミド組成物(C)との層間接着性及びその耐久性を十分に得るとともに、得られるポリアミド組成物(B)の流動性の観点から、25μeq/g以上200μeq/g以下であることが好ましく、50μeq/g以上150μeq/g以下であることがより好ましい。
【0077】
なお、エラストマー重合体(B2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、該エラストマー重合体をトルエン溶液に溶解し、更にエタノールを加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定して測定することができる。
【0078】
ポリアミド組成物(B)中のポリアミド(B1)の含有量は、ポリアミド組成物(B)100質量%に対して、70質量%以上95質量%以下であり、72質量%以上90質量%以下であることが好ましく、75質量%以上85質量%以下であることがより好ましい。ポリアミド(B1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの高温時の破壊圧力が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性が劣る。
【0079】
ポリアミド組成物(B)中のエラストマー重合体(B2)の含有量は、ポリアミド組成物(B)100質量%に対して、5質量%以上30質量%以下であり、10質量%以上28質量%以下であることが好ましく、15質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。エラストマー重合体(B2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性や層間接着性及びその耐久性が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの高温時の破壊圧力や得られるポリアミド組成物(B)の流動性が劣る。
【0080】
ポリアミド(B1)とエラストマー重合体(B2)を混合する方法は特に制限されず、必要に応じて各種添加剤を配合し、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、両者をタンブラーやミキサーを用いて、ポリアミド(B1)及びエラストマー重合体(B2)のペレット同士を前記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、両者を必要に応じて添加される他の成分と共に、成形時に使用する濃度で予めドライブレンドし、溶融混練する方法等により製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。
【0081】
また、ポリアミド組成物(B)は、長時間燃料に接触・浸漬した後や熱処理後等における層間接着性の耐久性の観点から可塑剤を含有しないほうが好ましい。
【0082】
ポリアミド組成物(B)は、他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。混合物中のポリアミド組成物(B)の含有量は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0083】
更に、ポリアミド組成物(B)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤、潤滑剤等を添加してもよい。
【0084】
3.(c)層
積層チューブの(c)層は、半芳香族ポリアミド組成物(C)を含む。
【0085】
[半芳香族ポリアミド組成物(C)]
半芳香族ポリアミド組成物(C)は、半芳香族ポリアミド(C1)を含み(以下、半芳香族ポリアミド組成物(B1)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(C1)は、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数9又は10の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位及び/又ナフタレンジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する(以下、半芳香族ポリアミド(C1)と称する場合がある。)。
【0086】
半芳香族ポリアミド(C1)中の炭素原子数9又は10の脂肪族ジアミン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
【0087】
炭素原子数9又は10の脂肪族ジアミン単位としては、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0088】
前記炭素原子数9又は10の脂肪族ジアミン単位の中でも、入手の容易さや経済性の観点から、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミンから誘導される単位が好ましい。更に、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンを併用する場合、1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、30:70モル%以上98:2モル%以下であることが好ましく、40:60モル%以上95:5モル%以下であることがより好ましい。
【0089】
半芳香族ポリアミド(C1)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数9又は10の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-へプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7-ビス(アミノメチル)ナフタレン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジアミン単位に対して、50モル%以下であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
【0090】
また、半芳香族ポリアミド(C1)中のテレフタル酸単位及び/又はナフタレンジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
【0091】
ナフタレンジカルボン酸単位としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ナフタレンジカルボン酸単位の中でも、経済性、入手の容易さを考慮して、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。
【0092】
半芳香族ポリアミド(C1)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、テレフタル酸単位及び/又はナフタレンジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;フタル酸、イソフタル酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルプロパン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以下であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
【0093】
半芳香族ポリアミド(C1)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等のラクタムから誘導される単位;6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸;p-アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸のアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C1)の全単量体単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
【0094】
更に、半芳香族ポリアミド(C1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
【0095】
半芳香族ポリアミド(C1)を製造する際、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステル等を添加することができる。リン酸、亜リン酸、次亜リン酸の塩又はエステルとしては、例えば、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のアンモニウム塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、へキシルエステル、イソデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0096】
半芳香族ポリアミド組成物(C)は、半芳香族ポリアミド(C2)を含み(以下、半芳香族ポリアミド(C2)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(C2)は、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する(以下、半芳香族ポリアミド(C2)と称する場合がある。)。
【0097】
半芳香族ポリアミド(C2)中のキシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
【0098】
キシリレンジアミン単位としては、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記キシリレンジアミン単位の中でも、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンから誘導される単位が好ましい。
【0099】
ビス(アミノメチル)ナフタレン単位としては、1,4-ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7-ビス(アミノメチル)ナフタレン等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ビス(アミノメチル)ナフタレン単位の中でも、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレンから誘導される単位が好ましい。
【0100】
半芳香族ポリアミド(C2)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,19-ノナデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジアミンから誘導される単位が好ましい。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジアミン単位に対して、50モル%以下であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
【0101】
炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸単位としては、アゼライン酸、セバシン酸等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸等の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸単位の中でも、入手の容易さや経済性の観点から、セバシン酸から誘導される単位が好ましい。
【0102】
また、半芳香族ポリアミド(C2)中の炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
【0103】
半芳香族ポリアミド(C2)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、2-メチルアジピン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2-ブチルスベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルプロパン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以下であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
【0104】
半芳香族ポリアミド(C2)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等のラクタムから誘導される単位;6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸;p-アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸のアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(C2)の全単量体単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
【0105】
半芳香族ポリアミド(C2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。半芳香族ポリアミド(C2)の製造方法としては、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法があり、これらの方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して半芳香族ポリアミド(C2)を製造することができる。これらの製造方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができ、これらの中でも、溶融重合法が好ましい。例えば、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンと炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸からなるナイロン塩を水の存在下で、加圧、昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを溶融状態の炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを炭素原子数9又は10の脂肪族ジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応系の温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上になるように反応系を昇温しつつ、重合が進められる。また、半芳香族ポリアミド(C2)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行ってもよい。
【0106】
半芳香族ポリアミド(C2)には、触媒として、あるいは溶融成形時の加工安定性を高めるためや着色を防止するためにリン原子含有化合物を添加することができる。リン化合物としては、次亜リン酸のアルカリ土類金属塩、亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、ピロリン酸のアルカリ金属塩、ピロリン酸のアルカリ土類金属塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、及びメタリン酸のアルカリ土類金属塩が挙げられる。
リン原子含有化合物としては、ホスフィン酸(次亜リン酸)、次亜リン酸エチル、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸リチウム、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、ピロ亜リン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸リチウム、亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウムが好ましく、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムがより好ましい。なお、これらのリン化合物は水和物であってもよい。
【0107】
リン化合物の含有量は、重合時の触媒効果や着色防止効果を十分に確保し、ゲルの発生を抑制する観点から、半芳香族ポリアミド(C2)100質量部に対して、リン原子濃度換算で0.030質量部以上0.30質量部以下であることが好ましく、0.050質量部以上0.20質量部以下であることがより好ましく、0.070質量部以上0.15質量部以下であることが更に好ましい。
これらのリン化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(C2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミンもしくはジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(C2)中に均一に分散させることが可能であれば、いかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
【0108】
半芳香族ポリアミド(C2)には、リン化合物と併用して、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加することができる。重縮合中のポリアミドの着色を防止するためにはリン化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によってはポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにもアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酢酸塩、及びアルカリ土類金属酢酸塩が挙げられ、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属酢酸塩が好ましい。
【0109】
アルカリ金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド等のアルカリ金属/アルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。
【0110】
半芳香族ポリアミド(C2)の重縮合系内にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数を前記リン化合物のリン原子換算モル数で除した値は、アミド化反応の促進と抑制のバランスの観点から、0.30以上2.0以下であることが好ましく、0.40以上1.9以下であることがより好ましく、0.50以上1.8以下であることが更に好ましい。
これらのアルカリ金属化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(C2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミンもしくはジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(C2)中に均一に分散させることが可能であればいかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
【0111】
JISK-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上4.0以下であることが好ましく、1.9以上3.5以下であることがより好ましく、2.0以上3.0以下であることが更に好ましい。
【0112】
なお、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン等の脂環式ジアミン;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミンや酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
【0113】
溶融安定性を考慮すると、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)の分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の10%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の20%以上が封止されていることが更に好ましい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性、封止末端の安定性等の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等も使用できる。
【0114】
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記の脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記の脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等を考慮して、適宜選択することができる。重合度の調整の観点から、原料成分であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して0.1モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
【0115】
半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)の低温耐衝撃性を改良するために、衝撃改良材を添加することが好ましく、特に前記ポリアミド組成物(B)中に記載した、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物を含有するエラストマー重合体(B2)を添加することがより好ましい。カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有していないと、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
衝撃改良材の含有量は、積層チューブの機械的強度や低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
【0116】
半芳香族ポリアミド組成物(C)には、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)とともに、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。更に、脂肪族ポリアミド(A1)やポリアミド(B1)との混合物であっても構わない。混合物中の半芳香族ポリアミド組成物(C)の含有量は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0117】
更に、半芳香族ポリアミド組成物(C)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機質充填材、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、可塑剤、着色剤、潤滑剤、衝撃改良材等を添加してもよい。
【0118】
3.(d)層
積層チューブの(d)層は、アミノ基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(D)(以下、含フッ素系重合体(D)と称する場合がある。)を含む。
【0119】
[含フッ素系重合体(D)]
含フッ素系重合体(D)は、アミノ基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体である。
含フッ素系重合体(D)は、少なくとも1種の含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体(単独重合体又は共重合体)である。熱溶融加工可能な含フッ素系重合体であれば特に限定されるものではない。
ここで含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、CF2=CF-OCH2-Rf2(ここで、Rf2は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキレン基を表す。)、CF2=CF(CF2)pOCF=CF2(ここで、pは1又は2である。)、CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0120】
前記一般式CF2=CFORf1の具体例としては、CF2=CFOCF2(パーフルオロ(メチルビニルエーテル):PMVE)、CF2=CFOCF2CF3(パーフルオロ(エチルビニルエーテル):PEVE)、CF2=CFOCF2CF2CF3(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル):PPVE)、CF2=CFOCF2CF2CF2CF3(パーフルオロ(ブチルビニルエーテル):PBVE)やCF2=CFO(CF2)8F(パーフルオロ(オクチルビニルエーテル):POVE)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEと称する場合がある。)が挙げられる。これらの中でも、CF2=CFOCF2、CF2=CFOCF2CF2CF3が好ましい。
【0121】
また、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)で表される化合物中のnは、含フッ素系重合体の改質(例えば、共重合体の成形時や成形品のクラック発生の抑制)効果に確保し、十分な重合反応性を得る観点から、2以上10以下の整数である。具体的には、CH2=CF(CF2)2F、CH2=CF(CF2)3F、CH2=CF(CF2)4F、CH2=CF(CF2)5F、CH2=CF(CF2)8F、CH2=CF(CF2)2H、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4H、CH2=CF(CF2)5H、CH2=CF(CF2)8H、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CH(CF2)5F、CH2=CH(CF2)8F、CH2=CH(CF2)2H、CH2=CH(CF2)3H、CH2=CH(CF2)4H、CH2=CH(CF2)5H、CH2=CH(CF2)8H等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、含フッ素系重合体(D)の薬液バリア性と耐環境応力亀裂性のバランスの観点から、CH2=CH(CF2)nF又はCH2=CF(CF2)nHで表される化合物が好ましく、式中のnは2以上4以下であることがより好ましい。
【0122】
含フッ素系重合体(D)は、前記含フッ素単量体に加えて、更に非フッ素含有単量体に基づく重合単位を含有してもよい。非フッ素含有単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、クロトン酸メチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)、イソブチルビニルエーテル(IBVE)、シクロへキシルビニルエーテル(CHVE)、グリシジルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0123】
含フッ素系重合体(D)の中でも、耐熱性、耐薬品性、及び薬液バリア性の観点から、少なくとも、フッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる共重合体(D1)、少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(D2)、少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)及び/又は前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(D3D4)、少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(D5)であることが好ましい。
【0124】
少なくとも、フッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる共重合体(D1)(以下、VDF共重合体(D1)と称する場合がある。)としては、例えば、フッ化ビニリデン単独重合体(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))(D1-1)、
VDF単位とTFE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が30モル%以上99モル%以下、及びTFE単位の含有量が1モル%以上70モル%以下である共重合体(D1-2)、
VDF単位とTFE単位、及びトリクロロフルオロエチレン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びトリクロロフルオロエチレン単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(D1-3)、
VDF単位とTFE単位、及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びHFP単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(D1-4)等が挙げられる。
【0125】
前記共重合体(D1-4)において、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量は15モル%以上84モル%以下、TFE単位の含有量は15モル%以上84モル%以下、及びHFP単位の含有量は0モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
【0126】
少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(D2)としては(以下、TFE共重合体(D2)と称する場合がある。)、例えば、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上である重合体が挙げられ、更には、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上60モル%以下である共重合体等が挙げられる。
【0127】
前記共重合可能な単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0128】
TFE共重合体(D2)としては、例えば、
TFE単位とE単位、及び前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CH2=CX3(CF2)nX4(ここで、X3及びX4は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(D2-1)、
TFE単位とE単位とHFP単位、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、HFP単位の含有量が1モル%以上30モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(D2-2)、
TFE単位とE単位、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(D2-3)等が挙げられる。
【0129】
少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)とヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)及び/又は前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(D3)(以下、TFE共重合体(D3)と称する場合がある。)としては、例えば、
TFE単位及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下であり、好ましくは85モル%以上93モル%以下であり、HFP単位の含有量が5モル%以上30モル%以下であり、好ましくは7モル%以上15モル%以下である共重合体(D3-1)、
TFE単位及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(D3-2)、
TFE単位とHFP単位、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、HFP単位と前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の合計含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(D3-3)等が挙げられる。
【0130】
少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)からなる共重合体とは、CTFE単位[-CFCl-CF2-]を有し、エチレン単位(E単位)及び/又は含フッ素単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体(D4)である(以下、CTFE共重合体(D4)と称する場合がある。)。
前記CTFE共重合体(D4)における含フッ素単量体としては、CTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0131】
CTFE共重合体(D4)としては特に限定されず、例えば、CTFE/PAVE共重合体、CTFE/VDF共重合体、CTFE/HFP共重合体、CTFE/E共重合体、CTFE/PAVE/E共重合体、CTFE/VDF/E共重合体、CTFE/HFP/E共重合体等が挙げられる。
【0132】
CTFE共重合体(D4)におけるCTFE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、15モル%以上70モル%以下であることが好ましく、18モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。一方、E単位及び/又は含フッ素単量体単位の含有量は、30モル%以上85モル%以下であることが好ましく、35モル%以上82モル%以下であることがより好ましい。
【0133】
少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(D5)は、CTFE単位[-CFCl-CF2-]及びTFE単位[-CF2-CF2-]、並びにCTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体である(以下、CTFE/TFE共重合体(D5)と称する場合がある。)。
【0134】
前記CTFE/TFE共重合体(D5)における共重合可能な単量体としては、CTFE及びTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等の含フッ素単量体やエチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)等のビニルエーテル等の非フッ素含有単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEであることが好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロビルビニルエーテル)(PPVE)がより好ましく、耐熱性の観点からPPVEが更に好ましい。
【0135】
CTFE/TFE共重合体(D5)としては特に限定されず、例えば、CTFE/TFE共重合体、CTFE/TFE/HFP共重合体、CTFE/TFE/VDF共重合体、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/E共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体、CTFE/TFE/VDF/PAVE共重合体等が挙げられ、これらの中でも、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体が好ましい。
【0136】
CTFE/TFE共重合体(D5)中におけるCTFE単位及びTFE単位の合計含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、薬液バリア性、耐熱性、及び機械特性を確保する観点から、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、90.0モル%以上99.9モル%以下であることが好ましく、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位の含有量は、0.10モル%以上10.0モル%以下であることが好ましい。
【0137】
CTFE/TFE共重合体(D5)中のおけるCTFE単位の含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、及び薬液バリア性を確保する観点から、前記CTFE単位とTFE単位の合計量100モル%に対して、15モル%以上80モル%以下であることが好ましく、17モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、19モル%以上65モル%以下であることが更に好ましい。
【0138】
CTFE/TFE共重合体(D5)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がPAVEである場合、PAVE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
【0139】
CTFE/TFE共重合体(D5)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がHFPとPAVEである場合、HFP単位とPAVE単位の合計含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
【0140】
TFE共重合体(D3)、CTFE共重合体(D4)、CTFE/TFE共重合体(D5)は、薬液バリア性、特に含アルコールガソリンに対するバリア性に卓越して優れる。含アルコールガソリン透過係数は、イソオクタン、トルエン、及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。TFE共重合体(D3)、CTFE共重合体(D4)やCTFE/TFE共重合体(D5)の前記含アルコールガソリン透過係数は、1.5g・mm/(m2・day)以下であることが好ましく、0.010g・mm/(m2・day)以上1.0g・mm/(m2・day)以下であることがより好ましく、0.020g・mm/(m2・day)以上0.80g・mm/(m2・day)以下であることが更に好ましい。
【0141】
含フッ素系重合体(D)は、重合体を構成する単量体を従来からの重合方法で(共)重合することによって得ることができる。その中でも主としてラジカル重合による方法が用いられる。即ち、重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、例えば、有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光あるいは電離放射線等によって開始される。
【0142】
含フッ素系重合体(D)の製造方法は特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を用いる重合方法が用いられる。重合方法としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合等、公知の方法を採用できる。
また、重合は、一槽ないし多槽式の攪拌型重合装置、管型重合装置を使用して、回分式又は連続式操作として実施することができる。
【0143】
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である分解温度が0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’-アゾビス(4-シアノペンテン酸)等のアゾ化合物;過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の非フッ素系ジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;(Z(CF2)pCOO)2(ここで、Zは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、pは1以上10以下の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0144】
また、含フッ素系重合体(D)の製造に際しては、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤を使用することも好ましい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のクロロハイドロカーボンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0145】
重合条件については特に限定されず、重合温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。重合体中のエチレン-エチレン連鎖生成による耐熱性の低下を避けるためには、一般に低温が好ましい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量、蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、0.1MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以上3MPa以下であることがより好ましい。重合時間は1時間以上30時間以下であることが好ましい。
【0146】
また、含フッ素系重合体(D)の分子量は特に限定されないが、室温で固体の重合体であり、それ自体、熱可塑性樹脂、エラストマー等として使用できるものが好ましい。また、分子量は、重合に用いる単量体の濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制御される。
【0147】
含フッ素系重合体(D)を、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、ポリアミド組成物(B)、半芳香族ポリアミド組成物(C)等と共押出する場合、これらの著しい劣化を伴わない混練温度及び成形温度範囲で、充分な溶融流動性を確保するためには、含フッ素系重合体(D)の融点より50℃高い温度、及び5kg荷重におけるメルトフローレートは、0.5g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましい。
【0148】
また、含フッ素系重合体(D)は、含フッ素単量体及びその他の単量体の種類、組成比等を選ぶ事によって、重合体の融点、ガラス転移点を調節することができる。含フッ素系重合体(D)の融点は、目的、用途、使用方法により適宜選択されるが、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、ポリアミド組成物(B)、半芳香族ポリアミド組成物(C)等と共押出する場合、当該樹脂の成形温度に近いことが好ましい。そのため、前記含フッ素単量体、その他の単量体と後記の官能基含有単量体の割合を適宜調節し、含フッ素系重合体(D)の融点を最適化することが好ましい。
ここで、融点とは、示差走査熱量測定装置を用いて、試料を予想される融点以上の温度に加熱し、次に、この試料を1分間あたり10℃の速度で降温し、30℃まで冷却、そのまま約1分間放置したのち1分間あたり10℃の速度で昇温することにより測定される融解曲線のピーク値の温度を融点と定義するものとする。
【0149】
含フッ素系重合体(D)は、アミノ基に対して反応性を有する官能基を分子構造内に有しており、官能基は、含フッ素系重合体(D)の分子末端又は側鎖又は主鎖のいずれに含有されていても構わない。また、官能基は、含フッ素系重合体(D)中に単独、又は2種類以上のものが併用されていてもよい。その官能基の種類、含有量は、含フッ素系重合体(D)に積層される相手材の種類、形状、用途、要求される層間接着性、接着方法、官能基導入方法等により適宜決定される。
【0150】
アミノ基に対して反応性を有する官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基もしくはカルボン酸塩、スルホ基もしくはスルホン酸塩、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、及びハロホルミル基から群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、酸無水物基もしくはカルボン酸塩、エポキシ基、カーボネート基、及びハロホルミル基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0151】
含フッ素系重合体(D)に反応性を有する官能基を導入する方法としては、(i)含フッ素系重合体(D)の重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、(ii)重合開始剤、連鎖移動剤等により、重合時に含フッ素系重合体(D)の分子末端に官能基を導入する方法、(iii)反応性を有する官能基をグラフト化が可能な官能基とを有する化合物(グラフト化合物)を含フッ素系重合体にグラフトさせる方法等が挙げられる。これらの導入方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。積層チューブにおける層間接着性を考慮した場合、前記(i)、(ii)から製造される含フッ素系重合体(D)が好ましい。(iii)については、特開平7-18035号公報、特開平7-25952号公報、特開平7-25954号公報、特開平7-173230号公報、特開平7-173446号公報、特開平7-173447号公報、特表平10-503236号公報による製造法を参照されたい。以下、(i)含フッ素系重合体の重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、(ii)重合開始剤等により含フッ素系重合体の分子末端に官能基を導入する方法について説明する。
【0152】
(i)含フッ素系重合体(D)の製造時、官能基を有する共重合可能な単量体(以下、官能基含有単量体と略記する場合がある。)を共重合する方法において、カルボキシル基、酸無水物基もしくはカルボン酸塩、ヒドロキシル基、スルホ基もしくはスルホン酸塩、エポキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の官能基含有単量体を重合単量体して用いる。官能基含有単量体としては、官能基含有非フッ素単量体、官能基含有含フッ素単量体等が挙げられる。
【0153】
官能基含有非フッ素単量体としては、アクリル酸、ハロゲン化アクリル酸(但し、フッ素は除く)、メタクリル酸、ハロゲン化メタクリル酸(但し、フッ素は除く)、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸(但し、フッ素は除く)、フマル酸、ハロゲン化フマル酸(但し、フッ素は除く)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸やそのエステル等誘導体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のカルボキシル基含有単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。官能基含有非フッ素単量体は使用する含フッ素単量体との共重合反応性を考慮して決定される。適当な官能基含有非フッ素単量体を選択することにより、重合が良好に進行し、官能基含有非フッ素単量体の主鎖中に均一に導入しやすく、結果として未反応モノマーが少なくなり、不純物を減らすことができるという利点がある。
【0154】
官能基含有含フッ素単量体としては、一般式CX3=CX4-(R7)n-Y(ここで、Yは、-COOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、カルボキシル基由来基、-SO3M(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、スルホン酸由来基、エポキシ基、及び-CNからなる群より選択される官能基を表し、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子若しくはフッ素原子を表し(但し、X3及びX4が同一に水素原子の場合、n=1であり、R7にフッ素原子を含む。)、R7は、炭素原子数1以上40以下のアルキレン基、炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基を表し、nは0又は1である。)で表される不飽和化合物等が挙げられる。
前記一般式におけるYであるカルボキシル基由来基としては、例えば、一般式-C(=O)Q1(式中、Q1は、-OR8、-NH2、F、Cl、Br又はIを表し、R8は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基又は炭素原子数6以上22以下のアリール基を表す。)で表される基等が挙げられる。
前記一般式におけるYであるスルホン酸由来基としては、例えば、一般式-SO2Q2(式中Q2は、-OR9、-NH2、F、Cl、Br又はIを表し、R9は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基又は炭素原子数6以上22以下のアリール基を表す。)で表される基等が挙げられる。
前記Yは、-COOH、-SO3H、-SO3Na、-SO2F又は-CNが好ましい。
【0155】
官能基含有含フッ素単量体としては、例えば、カルボニル基を有する官能基である場合、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1-フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1-トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0156】
含フッ素系重合体(D)中の官能基含有単量体の含有量は、十分な層間接着性を確保し、使用環境条件により、層間接着性の低下を招かず、耐熱性を十分に確保し、高温での加工時、接着不良や着色や発泡、高温での使用時、分解による剥離や着色・発泡、溶出等の発生を防止する観点から、全重合単位に対して、0.05モル%以上20モル%以下であることが好ましく、0.05モル%以上10モル%以下であることがより好ましく、0.1モル%以上5モル%以下であることが更に好ましい。官能基含有単量体の含有量が前記範囲にあると、製造時の重合速度が低下せず、かつ含フッ素系重合体(D)は積層される相手材との接着性に優れたものとなる。官能基含有単量体の添加法は特に限定されず、重合開始時に一括添加してもよいし、重合中に連続添加してもよい。添加方法は、重合開始剤の分解反応性と重合温度により適宜選択されるが、重合中に、官能基含有単量体が重合で消費されるに従って、消費された量を連続的又は断続的に重合槽内に供給し、当該官能基含有単量体の濃度をこの範囲に維持することが好ましい。
また、前記含有量を満たす限りにおいて、官能基が導入された含フッ素系重合体と、官能基が導入されていない含フッ素系重合体の混合物であって構わない。
【0157】
(ii)重合開始剤等により含フッ素系重合体の分子末端に官能基を導入する方法において、官能基は、含フッ素系重合体の分子鎖の片末端又は両末端に導入される。末端に導入される官能基としては、カーボネート基、ハロホルミル基が好ましい。
【0158】
含フッ素系重合体(D)の末端基として導入されるカーボネート基は、一般に-OC(=O)O-の結合を有する基であり、具体的には、-OC(=O)O-R10基[R10は水素原子、有機基(例えば、炭素原子数1以上20以下アルキル基、エーテル結合を有する炭素原子数2以上20以下アルキル基等)、又はI、II、VII族元素である。]の構造のもので、-OC(=O)OCH3、-OC(=O)OC3H7、-OC(=O)OC8H17、-OC(=O)OCH2CH2OCH2CH3等が挙げられる。ハロホルミル基は、具体的には-COZ[Zはハロゲン元素である。]の構造のもので、-COF、-COCl等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0159】
また、重合体の分子末端にカーボネート基を導入するためには、重合開始剤や連鎖移動剤を使用した種々の方法を採用できるが、パーオキサイド、特にパーオキシカーボネートやパーオキシエステルを重合開始剤として用いる方法が、経済性や耐熱性、耐薬品性等の性能の観点から好ましく採用できる。この方法によれば、パーオキサイドに由来するカルボニル基、例えば、パーオキシカーボネートに由来するカーボネート基、パーオキシエステルに由来するエステル基、又は、これらの官能基を変換してなるハロホルミル基等重合体末端に導入することができる。これらの重合開始剤のうち、パーオキシカーボネートを用いることが、重合温度を低くすることができ、開始反応に副反応を伴わないことからより好ましい。
【0160】
重合体の分子末端にハロホルミル基を導入するためには、種々の方法を採用できるが、例えば、前述のカーボネート基を末端に有する含フッ素系重合体のカーボネート基を加熱させ熱分解(脱炭酸)させることにより得ることができる。
【0161】
パーオキシカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0162】
パーオキシカーボネートの使用量は、目的とする重合体の種類(組成等)、分子量、重合条件、使用する開始剤の種類によって異なるが、重合速度を適正に制御し、十分な重合速度を確保する観点から、重合によって得られる全重合体100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。重合体の分子末端のカーボネート基含有量は、重合条件を調整することによって制御できる。重合開始剤の添加法は特に限定されず、重合開始時に一括添加してもよいし、重合中に連続添加してもよい。添加方法は、重合開始剤の分解反応性と重合温度により適宜選択される。
【0163】
含フッ素系重合体(D)中の主鎖炭素原子数106個に対する末端官能基数は、十分な層間接着性を確保し、使用環境条件により、層間接着性の低下を招かず、耐熱性を十分に確保し、高温での加工時、接着不良や着色や発泡、高温での使用時、分解による剥離や着色・発泡、溶出等の発生を防止する観点から、150個以上3,000個以下であることが好ましく、200個以上2,000個以下であることがより好ましく、300個以上1,000個以下であることが更に好ましい。また、前記官能基数を満たす限りにおいて、官能基が導入された含フッ素系重合体と、官能基が導入されていない含フッ素系重合体の混合物であって構わない。
尚、含フッ素共重合体(E)中の主鎖炭素原子数106個に対する末端官能基数150個は、含フッ素系重合体(E)中の官能基含有単量体の含有量としては、全重合単位に対して、0.015モル%に相当する。また、含フッ素共重合体(E)中の主鎖炭素原子数106個に対する末端官能基数3,000個は、含フッ素系重合体(E)中の官能基含有単量体の含有量としては、全重合単位に対して、0.3モル%に相当する。
【0164】
以上のように含フッ素系重合体(D)は、アミノ基に対して反応性を有する官能基が導入された含フッ素系重合体である。上述の通り、官能基が導入された含フッ素系重合体(D)は、それ自体、含フッ素系重合体特有の耐熱性、耐水性、低摩擦性、耐薬品性、耐候性、防汚性、薬液バリア性等の優れた特性を維持することが可能であり、生産性やコストの面で有利である。
【0165】
更に、アミノ基に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に含有されることにより、積層チューブにおいて、層間接着性が不充分又は不可能であった種々の材料に対し、表面処理等特別な処理や接着性樹脂の被覆等を行なわず、直接、他の基材との優れた層間接着性を付与することができる。
【0166】
含フッ素系重合体(D)は、目的や用途に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、あるいはカーボン等の種々の充填剤を添加できる。また、充填剤以外に、顔料、紫外線吸収剤、その他任意の添加剤を混合できる。添加剤以外にまた他のフッ素系樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂、合成ゴム等を添加することもでき、機械特性の改善、耐候性の改善、意匠性の付与、静電防止、成形性改善等が可能となる。
【0167】
[積層チューブ]
積層チューブの第一態様は、(a)層、(b)層及び(c)層の少なくとも3層を含み、少なくとも1組の前記(a)層と前記(b)層と、少なくとも1組の前記(b)層と前記(c)層は、隣接して配置される。
【0168】
第一態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層、(b)層と(c)層が隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
【0169】
好ましい実施態様としては、(c)層は、(b)層に対して内側に配置される。より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性や柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
【0170】
更に好ましい実施態様としては、(c)層は、積層チューブの最内層に配置される。(c)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマーやオリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。即ち、(a)層が最外層、(b)層が中間層、(c)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
【0171】
また、第一態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた半芳香族ポリアミド組成物(C)を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない半芳香族ポリアミドを含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
【0172】
導電性とは、例えば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体に連続的に接触した場合、静電気が蓄積して引火する可能性があるが、この静電気が蓄積しない程度の電気特性を有することを言う。これにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気による爆発防止が可能となる。
導電性フィラーは、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填材が包含され、粒状、フレーク状、及び繊維状フィラー等が挙げられる。
【0173】
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が挙げられる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが好ましい。
【0174】
カーボンナノチューブは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、該フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、前記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、前記中空領域の直径が2nm以上20nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、樹脂中への十分な分散性や、得られる樹脂成形体の良好な導電性を付与する観点から、3.5nm以上70nm以下であることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比をいう)は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
【0175】
カーボンブラックは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラックや、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等のファーネスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックがより好ましい。
【0176】
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は耐衝撃性の観点から好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は500nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることが更に好ましく、また、表面積(BET法)は10m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以上であることがより好ましく、50m2/g以上であることが更に好ましく、更に、DBP(ジブチルフタレート)吸油量は50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100gであることがより好ましく、150ml/100g以上であることが更に好ましい。また、灰分は0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D-2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックの揮発分含量は1質量%未満であることが好ましい。
これら、導電性フィラーはチタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。また溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
【0177】
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)100質量部に対して、一般に3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0178】
第一態様の積層チューブでは、各層の厚みは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、及び(c)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上30%以下であることが更に好ましい。
【0179】
また、第一態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、及び(c)層を有する、少なくとも3層である限り、特に限定されない。更に、第一態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、及び(c)層の3層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第一態様の積層チューブの層数は3層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、3層以上7層以下であることがより好ましい。
【0180】
積層チューブの第二態様は、第一態様に更に(d)層を有する、少なくとも4層を含み、少なくとも1組の(c)層と(d)層が隣接して配置される。
【0181】
第二態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。また、(d)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性や高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(c)層と(d)層が隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
【0182】
好ましい実施態様としては、(d)層は、(c)層に対して内側に配置される。また、(c)層は、(b)層と(d)層の間に配置される。より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性や柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。更に好ましい実施態様としては、(d)層が最内層に配置される。(d)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマーやオリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。即ち、(a)層が最外層、(b)層が外層、(c)層が中間層、(d)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
【0183】
また、第二態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた含フッ素系重合体組成物を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない含フッ素系重合体を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。更に、ここでいう、含フッ素系重合体は、分子鎖中に官能基を有する含フッ素系重合体(D)も包含し、後記の官能基を有さない含フッ素系重合体も指す。
【0184】
導電性及び導電性フィラーの詳細は第一態様の積層チューブと同様である。
【0185】
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、含フッ素系重合体100質量部に対して、一般に3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
【0186】
第二態様の積層チューブでは、各層の厚みは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層及び(d)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上30%以下であることが更に好ましい。
【0187】
また、第二態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層を有する、少なくとも4層である限り、特に限定されない。更に、第二態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層の4層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第二態様の積層チューブの層数は4層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、4層以上7層以下であることがより好ましい。
【0188】
第一態様及び第二態様の積層チューブにおける他の熱可塑性樹脂としては、脂肪族ポリアミド(A1)、ポリアミド(B1)、半芳香族ポリアミド(C1)や半芳香族ポリアミド(C2)以外の、ポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4)、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4)、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンスベラミド(ポリアミドPXD8)、ポリパラキシリレンドデカミド(ポリアミドPXD12)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6-BAN6)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT(H))、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3-BAC6)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3-BAC8)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3-BAC9)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3-BAC10)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3-BAC12)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3-BACI)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT(H))、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3-BACN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4-BAC6)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4-BAC8)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4-BAC9)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4-BAD10)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4-BAD12)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4-BACI)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT(H))、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4-BACN)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2-メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレンナフタラミド(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2-メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)やこれらポリアミドの原料単量体及び/又は前記脂肪族ポリアミド(A1)やポリアミド(B1)の原料単量体を数種用いた共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。
【0189】
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のアミノ基に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体が挙げられる。
積層チューブが、(d)層を有する場合、(d)層に対して、官能基を含有しないフッ素系重合体を含む層が内側に配置されることにより、低温耐衝撃性、薬液バリア性、及び耐環境応力亀裂性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
【0190】
更に、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等のカルボキシル基、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等の酸無水物基;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。
【0191】
尚、第一態様の積層チューブにおいては、溶融安定性や成形安定性の観点から、前記例示の熱可塑性樹脂のうち、融点が290℃以下のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びフッ素系重合体を使用することが好ましい。
また、第二態様の積層チューブにおいては、溶融安定性や成形安定性の観点から、前記例示の熱可塑性樹脂のうち、融点が290℃以下のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び官能基を含有しないフッ素系重合体を使用することが好ましい。
【0192】
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物、及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。
【0193】
積層チューブ製造法としては、層の数もしくは材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において同時に積層する方法(共押出成形法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、前記の方法により製造された積層チューブを予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。積層チューブは、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)して一段階で積層構造のチューブを製造する共押出成形法により製造されることが好ましい。即ち、積層チューブの製造方法は、共押出成形することを含むことが好ましい。
【0194】
また、得られる積層チューブが複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して成形品とする場合は、成形品の残留歪みを除去するために、前記の積層チューブを形成した後、前記チューブを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して目的の成形品を得る事も可能である。
【0195】
積層チューブにおいては、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、積層チューブ全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。波形領域は、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。更に、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工したりすることによりL字、U字の形状等にすることが可能である。
【0196】
このように成形した積層チューブの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材又は積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に積層チューブを後で挿入したり、あるいは積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強することも可能である。
【0197】
積層チューブの外径は、薬液(例えば含アルコールガソリン等の燃料)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過性が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。外径は4mm以上300mm以下、内径は3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0198】
本実施形態の積層チューブは、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
【0199】
また、積層チューブは、薬液バリア性に優れるため、薬液搬送チューブとして好適である。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール;フェノール溶媒;ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、二塩化エチレン、パークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼン等のハロゲン溶媒;セトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン溶媒;ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、含アルコールガソリン、エチル-t-ブチルエーテルブレンド含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。積層チューブは、前記薬液を搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、ブレーキチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、エンジン冷却液(LLC)チューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、冷却水、冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、ヒーターチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブが挙げられる。特に、燃料チューブとして好適である。即ち、本発明は前記積層チューブの燃料チューブとしての使用を包含する。
【実施例】
【0200】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0201】
なお、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、及び実施例及び比較例に用いた材料を示す。
【0202】
ポリアミド系樹脂の特性は、以下の方法で測定した。
[相対粘度]
JIS K-6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
【0203】
また、含フッ素系重合体の特性は、以下の方法で測定した。
[含フッ素系重合体の組成]
溶融NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトルにより測定した。
【0204】
含フッ素系重合体中の末端カーボネート基数は、赤外吸収スペクトル分析により、カーボネート基(-OC(=O)O-)のカルボニル基が帰属するピークが1810~18cm-1の吸収波長に現われ、吸収ピークの吸光度を測定し、次式によって含フッ素系重合体中の主鎖炭素原子数106個に対するカーボネート基の個数を算出した。
[含フッ素系重合体中の主鎖炭素原子数106個に対するカーボネート基の個数]=500AW/εdf
A:カーボネート基(-OC(=O)O-)のピークの吸光度
ε:カーボネート基(-OC(=O)O-)のモル吸光度係数[cm-1・mol-1]。モデル化合物よりε=170とした。
W:モノマー組成から計算される組成平均分子量
d:フィルムの密度[g/cm3]
f:フィルムの厚み[mm]
【0205】
また、積層チューブの各物性は、以下の方法で測定した。
[高温時の破壊圧力]
SAE J-2260 7.1に記載の方法で、115℃にて破壊圧力を評価した。同温度における破壊圧力が2.0MPa以上の場合、高温時の破壊圧力に優れていると判断した。
【0206】
[低温衝撃性]
SAE J-2260 7.5に記載の方法で、-40℃にて衝撃試験を実施した。試験後のサンプル外観を観察し、割れの有無を確認後、SAE J-2260 7.1に記載の方法で、23℃にて破壊圧力を評価し、微小クラックの有無について確認した。
【0207】
[耐薬品性(耐塩化亜鉛性)]
チューブ端部にポリアミド12製継手を圧入し、予め40mmの曲げ半径で湾曲したチューブを使用して、SAE J-2260 7.12に記載の方法で、塩化亜鉛50%水溶液に60℃、200時間浸漬した。その後、サンプルを取り出し、クラック発生有無を確認した。その後、SAE J-2260 7.5に記載の方法で、-40℃にて衝撃試験を実施した。
【0208】
[層間接着性]
200mmにカットしたチューブを更に縦方向に半分にカットし、テストピースを作成した。万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTMIII-200)を用い、50mm/minの引張速度にて90°剥離試験を実施した。S-Sカーブの極大点から剥離強度を読み取り、層間接着性を評価した。
【0209】
[層間接着性の耐久性]
200mmにカットしたチューブを160℃のオーブンに入れ、12分処理した。取り出したチューブの層間接着性を前記の方法に従い評価した。熱処理後の剥離強度が3.0N/mm以上の場合、層間接着性の耐久性に優れていると判断した。
【0210】
[薬液(含アルコールガソリン)バリア性]
200mmにカットしたチューブの片端を密栓し、内部にFuelC(イソオクタン/トルエン=50/50体積比)とエタノールを90/10体積比に混合した含アルコールガソリンを入れ、残りの端部も密栓した。その後、全体の質量を測定し、次いで試験チューブを60℃のオーブンに入れ、一日毎に質量変化を測定した。一日当たりの質量変化を、チューブ内層表面積で除して含アルコールガソリン透過量(g/m2・day)を算出した。
【0211】
[実施例及び比較例で用いた材料]
脂肪族ポリアミド(A1)
ポリアミド12(A1-1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、ドデカンラクタム19.7kg(100.0モル)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン45.0g(0.26モル)、及び蒸留水0.5Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.20のポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A1-1)という。)。ポリアミド12(A1-1)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は12.0であり、10.0以上を満たす。
【0212】
ポリアミド1010(A1-2)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)、セバシン酸6.07kg(30.0モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物11.5g(原料に対して0.1質量%)、及び蒸留水5.0Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、220℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで、重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を1.7MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において4時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.22のポリアミド1010を得た(以下、このポリアミド1010を(A1-2)という。)。ポリアミド1010(A1-2)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は10.0であり、10.0以上を満たす。
【0213】
ポリアミド(B1)
ポリアミド612(B1-1)の製造
ポリアミド1010(A1-2)の製造において、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)、セバシン酸6.07kg(30.0モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、ドデカン二酸6.91kg(30.0モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(A1-2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.48のポリアミド612を得た(以下、このポリアミド612を(B1-1)という。)。ポリアミド612(B1-1)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は9.0であり、7.5以上9.5以下である。
【0214】
ポリアミド610(B1-2)の製造 ポリアミド1010(A1-2)の製造において、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(A1-2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.58のポリアミド610を得た(以下、このポリアミド610を(B1-2)という。)。ポリアミド610(B1-2)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、7.5以上9.5以下である。
【0215】
ポリアミド612/6T(B1-3)の製造
ポリアミド1010(A1-2)の製造において、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)、セバシン酸6.07kg(30.0モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、ドデカン二酸5.18kg(22.5モル)、テレフタル酸1.25kg(7.5モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(A1-2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.42のポリアミド612/6T=75/25モル%を得た(以下、このポリアミド612/6Tを(B1-3)という。)。ポリアミド612/6T(B1-3)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.5であり、7.5以上9.5以下である。
【0216】
ポリアミド610/6T(B1-4)の製造
ポリアミド612/6T(B1-3)の製造において、ドデカン二酸5.18kg(22.5モル)をセバシン酸4.55kg(22.5モル)に変更した以外は、ポリアミド612/6T(B1-3)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.53のポリアミド610/6T=75/25モル%を得た(以下、このポリアミド610/6Tを(B1-4)という。)。ポリアミド610/6T(B1-4)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.8であり、7.5以上9.5以下である。
【0217】
ポリアミド610/6T(B1-5)の製造
1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、セバシン酸1.21kg(6.0モル)、テレフタル酸3.99kg(24.0モル)、酢酸10.8g(0.18モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物8.8g(原料に対して0.1質量部)、及び蒸留水5.0Lをオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温度を190℃に昇温した。この時、オートクレーブは2.0MPaまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後250℃に昇温し、その後2時間、250℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.0MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し、230℃、0.013kPa下にて、8時間固相重合し、相対粘度2.15のポリアミド610/6T=20/80モル%を得た(以下、このポリアミド610/6Tを(B1-5)という。)。ポリアミド610/6T(B1-5)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.2であり、7.5未満である。
【0218】
ポリアミド612/6T(B1-6)の製造
ポリアミド610/6T(B1-5)の製造において、セバシン酸1.21kg(6.0モル)、テレフタル酸3.99kg(24.0モル)をドデカン二酸3.45kg(15.0モル)、テレフタル酸2.49kg(15.0モル)に変更した以外は、ポリアミド610/6T(B1-5)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.15のポリアミド612/6T=50/50モル%を得た(以下、このポリアミド612/6Tを(B1-6)という。)。ポリアミド612/6T(B1-6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は8.0であり、であり、7.5以上9.5以下である。
【0219】
ポリアミド6T/6I(B1-7)の製造
ポリアミド610/6T(B1-5)の製造において、セバシン酸1.21kg(6.0モル)、テレフタル酸3.99kg(24.0モル)をイソフタル酸1.50kg(9.0モル)、テレフタル酸3.49kg(21.0モル)に変更した以外は、ポリアミド610/6T(B1-5)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.08のポリアミド6T/6I=70/30モル%を得た(以下、このポリアミド6T/6Iを(B1-7)という。)。ポリアミド6T/6I(B1-6)の炭素原子数と窒素原子数の比[C]/[N]は7.0であり、7.5未満である。
【0220】
エラストマー重合体(B2)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(B2-1)(三井化学(株)製、タフマーMH5020)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(B2-2)(三井化学(株)製、タフマーMH5010)
【0221】
半芳香族ポリアミド(C1)
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造
1,9-ノナンジアミン2.37kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.37kg(15.0モル)、テレフタル酸4.94kg(29.7モル)、安息香酸65.9g(0.54モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.8g(原料に対して0.1質量%)、及び蒸留水6.0Lをオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温度を190℃に昇温した。この時、オートクレーブは2.0MPaまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.0MPaに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し、210℃、0.013kPa下にて、8時間固相重合し、融点265℃、相対粘度2.38の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=50/50モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-1)という。)。
【0222】
半芳香族ポリアミド(C1-2)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.37kg(15.0モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.37kg(15.0モル)を1,9-ノナンジアミン4.04kg(25.5モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン0.712kg(4.5モル)に変え、固相重合温度を210から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造と同様の方法にて、融点305℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=85/15モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-2)という。)。
【0223】
半芳香族ポリアミド(C1-3)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造において、テレフタル酸4.94kg(29.7モル)を2,6-ナフタレンジカルボン酸6.43kg(29.7モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造と同様の方法にて、融点275℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9N/M8N=50/50モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-3)という。)。
【0224】
半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.37kg(15.0モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.37kg(15.0モル)を1,10-デカンジアミン5.17kg(30.0モル)に変え、固相重合温度を230℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造と同様の方法にて、融点315℃、相対粘度2.33の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-4)という。)。
【0225】
半芳香族ポリアミド(C1-5)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造において、1,10-デカンジアミン5.17kg(30.0モル)とテレフタル酸4.98kg(30.0モル)を1,10-デカンジアミン3.10kg(18.0モル)、テレフタル酸2.99kg(18.0モル)、及び11-アミノウンデカン酸2.42kg(12.0モル)に変え、固相重合温度を260℃から200℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造と同様の方法にて、融点255℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/11=60/40モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-5)という。)。
【0226】
半芳香族ポリアミド(C1-6)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造において、テレフタル酸4.98kg(30.0モル)をテレフタル酸3.32kg(20.0モル)とセバシン酸2.02kg(10.0モル)に変え、固相重合温度を260℃から220℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造と同様の方法にて、融点279℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/1010=67/33モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-6)という。)。
【0227】
半芳香族ポリアミド(C1-7)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造において、1,10-デカンジアミン5.17kg(30.0モル)とテレフタル酸4.98kg(30.0モル)を1,10-デカンジアミンとテレフタル酸の等モル塩7.26kg(24.0モル)、1,6-ヘキサンジアミンとドデカン二酸の等モル塩1.86kg(6.0モル)に変え、固相重合温度を260℃から210℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-4)の製造と同様の方法にて、融点261℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/612=80/20モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-7)という。)。
【0228】
半芳香族ポリアミド(C1-8)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造において、固相重合時間を8時間から4時間に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造と同様の方法にて、融点265℃、相対粘度2.08の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=50/50モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-8)という。)。
【0229】
半芳香族ポリアミド(C1-9)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造において、テレフタル酸4.94kg(29.7モル)、1,9-ノナンジアミン2.37kg(15.0モル)、及び2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.37kg(15.0モル)をテレフタル酸2.74kg(16.5モル)、イソフタル酸0.997kg(6.0モル)、アジピン酸1.10kg(7.5モル)、及び1,6-ヘキサンジアミン3.60kg(31.0モル)に変え、重合温度を250℃、固相重合温度を230℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C1-1)の製造と同様の方法にて、融点302℃、相対粘度2.28の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/66=55/20/25モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C1-9)という。)。
【0230】
半芳香族ポリアミド(C2)
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造
攪拌機、温度計、トルクメータ、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調整装置、及びポリマー放出口を備えた内容積が70リットルの圧力容器に、セバシン酸6.07kg(30.0モル)、次亜リン酸カルシウム8.5g(0.049モル)、及び酢酸ナトリウム2.2g(0.025モル)を仕込み、圧力容器の内部の純度が99.9999%の窒素ガスで0.3MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。更に少量の窒素気流下で、190℃まで昇温した後、m-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)を撹拌下で160分を要して滴下した。この間、反応系内圧は0.5MPaに制御し、内温を連続的に295℃まで昇温させた。また、m-キシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。m-キシリレンジアミン滴下終了後、60分間かけて常圧まで降圧し、この間に、容器内の温度を250℃に保持して10分間反応を継続した。その後、反応系内圧を79kPaまで減圧し、40分間溶融重合反応を継続した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で0.2MPaに加圧して重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重縮合物は直ちに冷却し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化し、その後、減圧乾燥を行い融点191℃、相対粘度2.46の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-1)という。)。
【0231】
半芳香族ポリアミド(C2-2)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)をm-キシリレンジアミンとp-キシリレンジアミンの7:3の混合ジアミン4.09kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点215℃、相対粘度2.40の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=70/30モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-2)という。)。
【0232】
半芳香族ポリアミド(C2-3)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)をm-キシリレンジアミンとp-キシリレンジアミンの6:4の混合ジアミン4.09kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から270℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点224℃、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=60/40モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-3)という。)。
【0233】
半芳香族ポリアミド(C2-4)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)をp-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点281、291℃(融点を2つ有する)、相対粘度2.43の半芳香族ポリアミド(ポリアミドPXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-4)という。)。
【0234】
半芳香族ポリアミド(C2-5)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、セバシン酸6.07kg(30.0モル)をアゼライン酸5.65kg(30.0モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点194℃、相対粘度2.45の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD9=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-5)という。)。
【0235】
半芳香族ポリアミド(C2-6)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.09kg(30.0モル)を2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン5.59kg(30.0モル)に変え、重合温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点286℃、相対粘度2.33の半芳香族ポリアミド(ポリアミド2,6-BAN10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-6)という。)。
【0236】
半芳香族ポリアミド(C2-7)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点191℃、相対粘度2.15の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-7)という。)。
【0237】
半芳香族ポリアミド(C2-8)の製造
半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造において、セバシン酸6.07kg(30.0モル)をアジピン酸4.38kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から275℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(C2-1)の製造と同様の方法にて、融点243℃、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6=100モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(C2-8)という。)。
【0238】
脂肪族ポリアミド組成物(A)
ポリアミド12組成物(A-1)の製造
ポリアミド12(A1-1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(B2-1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給しする一方、該二軸溶融混練機のシリンダの途中から、可塑剤としてベンゼンスルホン酸ブチルアミドを定量ポンプにより注入し、シリンダ温度180℃から270℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12(A1-1)85.0質量%、衝撃改良材10.0質量%、可塑剤5.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-1)という。)。
【0239】
ポリアミド1010組成物(A-2)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド1010(A1-2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド1010(A1-2)85.0質量%、衝撃改良材10.0質量%、可塑剤5.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド1010組成物を(A-2)という。)。
【0240】
ポリアミド組成物(B)
ポリアミド612組成物(B-1)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド612(B1-1)、無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(B2-1)を(B2-2)に変え、可塑剤を使用しないこと以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612(B1-1)85.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)15.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612組成物を(B-1)という。)。
【0241】
ポリアミド610組成物(B-2)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド610(B1-2)に変え、可塑剤を使用しないこと以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド610(B1-2)85.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)15.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド610組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド610組成物を(B-2)という。)。
【0242】
ポリアミド612/6T組成物(B-3)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド612/6T(B1-3)に変え、可塑剤を使用しないこと以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612/6T(B1-3)80.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)20.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612/6T組成物を(B-3)という。)。
【0243】
ポリアミド610/6T組成物(B-4)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド610/6T(B1-4)に変え、可塑剤を使用しないこと以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド610/6T(B1-4)80.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)20.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド610/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド610/6T組成物を(B-4)という。)。
【0244】
ポリアミド610/6T組成物(B-5)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド610/6T(B1-5)に変え、可塑剤を使用せず、シリンダ温度を270℃から340℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド610/6T(B1-5)80.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)20.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド610/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド610/6T組成物を(B-5)という。)。
【0245】
ポリアミド612/6T組成物(B-6)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド612/6T(B1-6)に変え、可塑剤を使用せず、シリンダ温度を270℃から310℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612/6T(B1-6)80.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)20.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612/6T組成物を(B-6)という。)。
【0246】
ポリアミド6T/6I組成物(B-7)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド6T/6I(B1-7)に変え、可塑剤を使用せず、シリンダ温度を270℃から340℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド6T/6I(B1-7)80.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)20.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド6T/6I組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド6T/6I組成物を(B-7)という。)。
【0247】
ポリアミド612/6T組成物(B-8)の製造
ポリアミド612/6T組成物(B-3)の製造において、エラストマー重合体(B2-2)を使用しないこと以外は、ポリアミド612/6T組成物(B-3)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612/6T(B1-3)100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612/6T組成物を(B-8)という。)。
【0248】
ポリアミド612/6T組成物(B-9)の製造
ポリアミド612/6T組成物(B-3)の製造において、エラストマー重合体(B2-2)の添加量を変更した以外は、ポリアミド612/6T組成物(B-3)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612/6T(B1-3)51.0質量%、エラストマー重合体(B2-2)49.0質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612/6T組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612/6T組成物を(B-9)という。)。
【0249】
半芳香族ポリアミド組成物(C)
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(B2-2)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度220℃から300℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド(C1-1)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-1)という。)。
【0250】
半芳香族ポリアミド組成物(C-2)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-2)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-2)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-2)という。)。
【0251】
半芳香族ポリアミド組成物(C-3)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-3)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-3)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-3)という。)。
【0252】
半芳香族ポリアミド組成物(C-4)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-4)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-4)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-4)という。)。
【0253】
半芳香族ポリアミド組成物(C-5)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-5)に変え、シリンダ温度を300℃から290℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-5)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-5)という。)。
【0254】
半芳香族ポリアミド組成物(C-6)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-6)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-6)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-6)という。)。
【0255】
半芳香族ポリアミド組成物(C-7)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C1-7)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C1-7)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-7)という。)。
【0256】
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-1)を(C2-1)に変え、シリンダ温度を300℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-1)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-8)という。)。
【0257】
半芳香族ポリアミド組成物(C-9)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造において、半芳香族ポリアミド(C2-1)を(C2-2)に変え、シリンダ温度を240℃から250℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-2)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-9)という。)。
【0258】
半芳香族ポリアミド組成物(C-10)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造において、半芳香族ポリアミド(C2-1)を(C2-3)に変え、シリンダ温度を240℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-3)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-10)という。)。
【0259】
半芳香族ポリアミド組成物(C-11)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造において、半芳香族ポリアミド(C2-1)を(C2-4)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-4)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-11)という。)。
【0260】
半芳香族ポリアミド組成物(C-12)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造において、半芳香族ポリアミド(C2-1)を(C2-5)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-5)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-12)という。)。
【0261】
半芳香族ポリアミド組成物(C-13)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造において、半芳香族ポリアミド(C2-1)を(C2-6)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(C-8)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-6)90質量%、衝撃改良材10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(C-13)という。)。
【0262】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)の製造
半芳香族ポリアミド(C1-8)に、衝撃改良材としてエラストマー重合体(B2-2)とエチレン/1-ブテン共重合体(三井化学(株)製、タフマーA-0550)、導電性フィラーとしてカーボンブラック(ライオン(株)製、ケッチェンブラックEC600JD)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度240℃から320℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド(C1-8)68質量%、衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C-14)という。)。
【0263】
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-15)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)の製造において、半芳香族ポリアミド(C1-8)を(C2-7)に変え、シリンダ温度を320℃から270℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(C2-7)68質量%、衝撃改良材25質量%、導電性フィラー7質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(C-15)という。)。
【0264】
含フッ素系重合体(D)
含フッ素系重合体(D-1)の製造
内容積が100Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの92.1kg、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン16.3kg、(パーフルオロエチル)エチレンCH2=CH(CF2)2F73g、無水イタコン酸(IAH)10.1gを仕込み、テトラフルオロエチレン(TFE)9.6kg、エチレン(E)0.7kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてt-ブチルペルオキシピバレート1質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液の433cm3を仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/E:60/40(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して2.0モル%に相当する量の(パーフルオロエチル)エチレンと0.5モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始5.5時間後、モノマー混合ガス8.0kg、IAHの63gを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温し、パージして圧力を常圧とした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体を、水75.0kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、8.3kgの含フッ素系重合体が得られた。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)2Fに基づく重合単位/IAHに基づく重合単位=58.5/39.0/2.0/0.5(モル%)であり、融点は240℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、280℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-1)という。)。
【0265】
導電性含フッ素系重合体(D-2)の製造
含フッ素系重合体(D-1)100質量部、及びカーボンブラック(電気化学(株)製)13質量部をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機(東芝機械(株)製、型式:TEM-48S)に供給し、シリンダ温度240℃から300℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、吐出したストランドを水冷し、ペレタイザーでストランドを切断し、水分除去のために120℃の乾燥機で10時間乾燥し、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(D-2)という。)。
【0266】
含フッ素系重合体(D-3)の製造
含フッ素系重合体(D-1)の製造において、無水イタコン酸(IAH)を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(D-1)の製造と同様の方法にて、7.6kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)2Fに基づく重合単位/IAHに基づく重合単位=58.8/39.2/2.0(モル%)であり、融点は242℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、280℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-3)という。)。
【0267】
導電性含フッ素系重合体(C-4)の製造
導電性含フッ素系重合体(D-2)の製造において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-3)に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体(D-2)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(D-4)という。)。
【0268】
含フッ素系重合体(D-5)の製造
内容積が100Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン42.5kg、CF2=CFOCF2CF2CF3(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル):PPVE)、1,1,2,4,4,5,5,6,6,6-デカフルオロ-3-オキサヘックス-1-エン)2.13kg、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)51.0kgを仕込んだ。ついで重合槽内を50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)の4.25kgを仕込んで圧力を1.0MPa/Gまで昇圧した。重合開始剤溶液として(ペルフルオロブチリル)ペルオキシド0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液の340cm3を仕込み、重合を開始させ、以後10分毎に当該重合開始剤溶液の340cm3を仕込んだ。重合中、圧力が1.0MPa/Gを保持するようにTFEを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEのモル数に対して0.1モル%に相当する量の5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(NAH)0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液を連続的に仕込んだ。重合開始5時間後、TFE8.5kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体を、水75.0kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、7.5kgの含フッ素系重合体の造粒物が得られた。
【0269】
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/NAHに基づく重合単位=91.2/1.5/7.2/0.1(モル%)であり、融点は262℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、300℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-5)という。)。
【0270】
含フッ素系重合体(D-6)の製造
含フッ素系重合体(D-5)の製造において、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(NAH)0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(D-5)の製造と同様の方法にて、7.6kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位=91.5/1.5/7.0(モル%)であり、融点は257℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、300℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-6)という。)。
【0271】
導電性含フッ素系重合体(D-7)の製造
導電性含フッ素系重合体(D-2)の製造において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-6)、カーボンブラック13質量部を11質量部に変え、シリンダ温度を300℃から320℃に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体(D-2)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(D-7)という。)。
【0272】
含フッ素系重合体(D-8)の製造
水174kgを収容できるジャケット付攪拌式重合槽に、脱ミネラルした純水51.5kgを仕込み、内部空間を純窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスを真空で排除した。次いでオクタフルオロシクロブタン40.6kg、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)1.6kg、テトラフルオロエチレン(TFE)4.5kg、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)2.8kgを圧入した。連鎖移動剤としてn-プロピルアルコール0.090kgを添加して、温度を35℃に調節し、攪拌を開始した。ここへ重合開始剤としてジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート50質量%メタノール溶液を0.44kg添加して重合を開始した。重合中には、所望の共重合体組成と同組成に調製した混合モノマーを、槽内圧力が0.66MPaを維持するように追加仕込みしながら重合した後、槽内の残存ガスを排気して生成したポリマーを取り出し、脱ミネラルした純水で洗浄し、乾燥させて30.5kgの粒状粉末の含フッ素系重合体を得た。
当該フッ素系重合体の組成は、CTFEに基づく重合単位/TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位のモル比で24.4/73.1/2.5であり、フッ素系重合体の重合開始剤に由来するカーボネート末端基の数は170個であった。また、融点は241℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、290℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-8)という。)。
【0273】
含フッ素系重合体(D-9)の製造
含フッ素系重合体(D-8)の製造において、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート50質量%メタノール溶液を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(D-9)の製造と同様の方法にて、29.8kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、CTFEに基づく重合単位/TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位のモル比で24.4/73.1/2.5であり、融点は241℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、290℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(D-9)という。)。
【0274】
導電性含フッ素系重合体(D-10)の製造
導電性含フッ素系重合体(D-7)の製造において、含フッ素系重合体(D-6)を(D-9)に変え、シリンダ温度を320℃から300℃に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体(D-7)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体を(D-10)という。)。
【0275】
実施例1
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド612組成物(B-1)、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)3層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度270℃、(C-1)を押出温度300℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(中間層)、(C-1)からなる(c)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)=0.50/0.25/0.25mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0276】
実施例2
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド1010組成物(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0277】
実施例3
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド610組成物(B-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0278】
実施例4
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T組成物(B-3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0279】
実施例5
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド610/6T組成物(B-4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0280】
実施例6
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-2)に変え、(C-2)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0281】
実施例7
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-3)に変え、(C-3)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0282】
実施例8
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-4)に変え、(C-4)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0283】
実施例9
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-5)に変え、(C-5)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0284】
実施例10
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-6)に変え、(C-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0285】
実施例11
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-7)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0286】
実施例12
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-8)に変え、(C-8)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0287】
実施例13
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-9)に変え、(C-9)の押出温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0288】
実施例14
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-10)に変え、(C-10)の押出温度を260℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0289】
実施例15
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-11)に変え、(C-11)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0290】
実施例16
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-12)に変え、(C-12)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0291】
実施例17
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-13)に変え、(C-13)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0292】
実施例18
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)に変え、(C-14)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0293】
実施例19
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-15)に変え、(C-15)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0294】
実施例20
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド612組成物(B-1)、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)4層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度270℃、(C-1)を押出温度300℃、(C-14)を押出温度320℃にて別々に溶融させにて、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(中間層)、(C-1)からなる(c)層(内層)、(C-14)からなる(c’)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(c’)=0.50/0.25/0.15/0.10mmで内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0295】
実施例21
実施例20において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-8)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(C-14)を(C-15)に変え、(C-8)の押出温度を240℃、(C-15)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例20と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0296】
実施例22
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド612組成物(B-1)、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)、含フッ素系重合体(D-1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)4層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度270℃、(C-1)を押出温度300℃、(D-1)を押出温度290℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、管状に成形し、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる層を(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(外層)、(C-1)からなる層を(c)層(中間層)、(D-1)からなる層を(d)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(d)=0.50/0.25/0.15/0.10mm、内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0297】
実施例23
実施例22において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-8)に変え、(C-8)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0298】
実施例24
実施例22において、含フッ素系重合体(D-1)を導電性含フッ素系重合体(D-2)に変え、(D-2)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0299】
実施例25
実施例22において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-5)に変え、(D-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0300】
実施例26
実施例22において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-8)に変え、(D-8)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0301】
実施例27
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、ポリアミド612組成物(B-1)、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)、含フッ素系重合体(D-1)、導電性含フッ素系重合体(D-2)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度250℃、(B-1)を押出温度270℃、(C-1)を押出温度300℃、(D-1)を押出温度290℃、(D-2)を押出温度310℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、管状に成形し、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる層を(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(外層)、(C-1)からなる層を(c)層(中間層)、(D-1)からなる層を(d)層(内層)、(D-2)からなる層を(d’)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(d)/(d’)=0.50/0.20/0.10/0.10/0.10mm、内径6mm、外径8mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0302】
実施例28
実施例27において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を(C-8)に変え、(C-8)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0303】
実施例29
実施例27において、導電性含フッ素系重合体(D-2)を含フッ素系重合体(D-3)に変え、(D-3)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0304】
実施例30
実施例27において、導電性含フッ素系重合体(D-2)を(D-4)に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0305】
実施例31
実施例27において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-5)、導電性含フッ素系重合体(D-2)を含フッ素系重合体(D-6)に変え、(D-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0306】
実施例32
実施例27において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-5)、導電性含フッ素系重合体(D-2)を(D-7)に変え、(D-5)の押出温度を310℃、(D-7)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0307】
実施例33
実施例27において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-8)、導電性含フッ素系重合体(D-2)を含フッ素系重合体(D-9)に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0308】
実施例34
実施例27において、含フッ素系重合体(D-1)を(D-8)、導電性含フッ素系重合体(D-2)を(D-10)に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
【0309】
比較例1
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0310】
比較例2
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)を使用せず、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T(B1-6)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(B1-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0311】
比較例3
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0312】
比較例4
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド610/6T組成物(B-5)に変え、(B-5)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0313】
比較例5
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド6T/6I組成物(B-7)に変え、(B-7)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0314】
比較例6
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T組成物(B-8)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0315】
比較例7
実施例1において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T組成物(B-9)に変え、(B-9)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0316】
比較例8
実施例1において、半芳香族ポリアミド組成物(C-1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0317】
比較例9
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド(C1-9)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(C1-9)の押出温度を350℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0318】
比較例10
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド(C2-8)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(C2-8)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0319】
比較例11
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T(B1-6)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(B1-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0320】
比較例12
実施例22において、ポリアミド12組成物(A-1)を使用しない以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0321】
比較例13
実施例22において、ポリアミド612組成物(B-1)を使用しない以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0322】
比較例14
実施例22において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド610/6T組成物(B-5)に変え、(B-5)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0323】
比較例15
実施例22において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド6T/6I組成物(B-7)に変え、(B-7)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0324】
比較例16
実施例22において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド(C1-9)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(C1-0)の押出温度を350℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0325】
比較例17
実施例22において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド(C2-8)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、半芳香族ポリアミド組成物(C2-8)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0326】
比較例18
実施例22において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T(B1-6)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(B1-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例22と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0327】
比較例19
実施例27において、ポリアミド12組成物(A-1)を使用しない以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0328】
比較例20
実施例27において、ポリアミド612組成物(B-1)を使用しない以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0329】
比較例21
実施例27において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド610/6T組成物(B-5)に変え、(B-5)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0330】
比較例22
実施例27において、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド6T/6I組成物(B-7)に変え、(B-7)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0331】
比較例23
実施例27において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド(C1-9)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(C1-9)の押出温度を350℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0332】
比較例24
実施例27において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)を半芳香族ポリアミド組成物(C2-8)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、半芳香族ポリアミド組成物(C2-8)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0333】
比較例25
実施例27において、ポリアミド12組成物(A-1)と半芳香族ポリアミド組成物(C-1)をポリアミド612/6T組成物(B-6)、ポリアミド612組成物(B-1)をポリアミド612/6T(B1-6)に変え、(B-6)の押出温度を310℃、(B1-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例27と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
【0334】
【0335】
表1および表2の比較から明らかなように、本発明に規定の脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む層を有していない比較例1、12や19の積層チューブは、耐薬品性に劣っていた。本発明に規定の脂肪族ポリアミド組成物(A)や半芳香族ポリアミド組成物(C)を含む層を有していない比較例2の積層チューブは、低温衝撃性、耐薬品性に劣っていた。本発明に規定のポリアミド組成物(B)を含む層を有していない比較例3、13や20の積層チューブは、層間接着性の耐久性に劣っていた。本発明に規定範囲外のポリアミド組成物(B)を含む層を有する比較例4や5、14や15、21や22の積層チューブは、層間接着性やその耐久性に劣っていた。エラストマー重合体(B2)の含有量が本発明の規定範囲未満であるポリアミド組成物(B)を含む層を有する比較例6の積層チューブは、低温衝撃性に劣っていた。エラストマー重合体(B2)の含有量が本発明の規定範囲を超えるポリアミド組成物(B)を含む層を有する比較例7の積層チューブは、高温時の破壊圧力に劣っていた。本発明に規定の半芳香族ポリアミド組成物(C)を含む層を有していない比較例8の積層チューブは、含アルコールガソリンバリア性に劣っていた。本発明に規定の脂肪族ポリアミド組成物(A)や半芳香族ポリアミド組成物(C)を含む層を有していない比較例9から11、16から18や23から25の積層チューブは、耐薬品性に劣っていた。
一方、本発明に規定されている実施例1から34の積層チューブは、高温時の破壊圧力、低温耐衝撃性、耐薬品性、層間接着性及びその耐久性や含アルコールガソリンバリア性等の諸特性が良好であることは明らかである。