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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】トンネル鋼製支保工に用いる連結具
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20221013BHJP
   E21D 11/18 20060101ALI20221013BHJP
   E21D 11/40 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
E21D11/04 A
E21D11/18
E21D11/40 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018207239
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020070679
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000144016
【氏名又は名称】株式会社三ツ知
(73)【特許権者】
【識別番号】505356491
【氏名又は名称】株式会社マシノ
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】村越 康幸
(72)【発明者】
【氏名】椙山 晃
(72)【発明者】
【氏名】土永 直毅
(72)【発明者】
【氏名】西原 直哉
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6374050(JP,B1)
【文献】実開平05-017217(JP,U)
【文献】実開昭62-006521(JP,U)
【文献】特開2018-112199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/04
E21D 11/18
E21D 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状に形成されたトンネル鋼製支保工同士の連結に用いるトンネル鋼製支保工に用い、雌型連結部材と雄型連結部材を有し
業員により、建設現場において前記雌型連結部材と、前記雄型連結部材の連結作業を行う連結具であって、
前記雌型連結部材は、ケーシング内に、その軸方向の両端が開口する収納室を設け、該収納室内に、軸方向の一方側が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に、雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、前記雄型連結部材の係止部と係合する係止部を設け、
前記雌型係止部材を前記一方側へ付勢し、かつ、樽状に形成したコイルバネを設け、
前記ケーシングの一方側の開口部を開口したままとし 、前記ケーシングの方側の開口部を、樹脂の閉塞部材により閉塞し、
前記閉塞部材には、その中心部に設けた十字の第1切り込みと、該第1切り込みの外周部に前記ケーシングの軸芯を中心とする放射方向に設け、かつ、前記第1切り込みと連通しない第2切れ込みを形成し、
前記閉塞部材により閉塞された開口部は、一方側の開口部より前記雄型連結部材を挿入にすることにより開口し、前記ケーシングの他方の側から外側に突出することを特徴とするトンネル鋼製支保工に用いる連結具。
【請求項2】
前記ケーシング内面には、摺動案内突条を周方向に複数形成し、隣接する摺動案内突条間に、前記雌型係止部材を設けたことを特徴とする請求項記載のトンネル鋼製支保工に用いる連結具。
【請求項3】
前記雌型係止部材の係止部を、螺旋状の係止山及び係止溝で形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル鋼製支保工に用いる連結具。
【請求項4】
前記雌型係止部材の係止部を、周方向に環状に形成され、かつ、相互に平行な係止山と平行な係止溝で形成したことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載のトンネル鋼製支保工に用いる連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル鋼製支保工に用いる連結具関する。
【背景技術】
【0002】

従来、山岳トンネルを構築する方法として、NATM工法(New Austrian Tunnelling Method)が知られている。NATM工法は、吹付けコンクリート、ロックボルト、鋼製の支保工などを用いて行われる。
【0003】
この鋼製の支保工は、円弧状に形成された複数の部材で構成されるとともに、隣接する支保工同士は、夫々の支保工の端部に設けられた接続板同士を、ボルトとナットを用いて連結して接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-131865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記支保工の接続部は、トンネルの天頂付近に位置することが多い。そのため、作業者が天頂付近まで移動して、手作業により支保工の端部に設けられた接続板同士を、ボルトとナットを用いて連結することとなり、連結作業に時間がかかるという問題があった。
【0006】
また、連結作業時に、石等がナットの内部に侵入すると、ボルトとナットの連結の際に不具合が生じる虞がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決したトンネル鋼製支保工に用いる連結を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、円弧状に形成されたトンネル鋼製支保工同士の連結に用いるトンネル鋼製支保工に用い、雌型連結部材と雄型連結部材を有し
業員により、建設現場において前記雌型連結部材と、前記雄型連結部材の連結作業を行う連結具であって、
前記雌型連結部材は、ケーシング内に、その軸方向の両端が開口する収納室を設け、該収納室内に、軸方向の一方側が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、該テーパ穴内に、雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、前記雄型連結部材の係止部と係合する係止部を設け、
前記雌型係止部材を前記一方側へ付勢し、かつ、樽状に形成したコイルバネを設け、
前記ケーシングの一方側の開口部を開口したままとし、前記ケーシングの方側の開口部を、樹脂の閉塞部材により閉塞し、
前記閉塞部材には、その中心部に設けた十字の第1切り込みと、該第1切り込みの外周部に前記ケーシングの軸芯を中心とする放射方向に設け、かつ、前記第1切り込みと連通しない第2切れ込みを形成し、
前記閉塞部材により閉塞された開口部は、一方側の開口部より前記雄型連結部材を挿入にすることにより開口し、前記ケーシングの他方の側から外側に突出することを特徴とするトンネル鋼製支保工に用いる連結具である。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記ケーシング内面には、摺動案内突条を周方向に複数形成し、隣接する摺動案内突条間に、前記雌型係止部材を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記雌型係止部材の係止部を、螺旋状の係止山及び係止溝で形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至の何れか1項に記載の発明において、前記雌型係止部材の係止部を、周方向に環状に形成され、かつ、相互に平行な係止山と平行な係止溝で形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ケーシング内に、その軸方向の両端が開口する収納室を設け、該収納室内に、軸方向の一方側が縮径するテーパ面を有するテーパ穴を形成し、テーパ穴内に、雌型係止部材を軸方向に摺動可能に配置するとともに、雌型係止部材の内面に複数の係止山からなる係止部を刻設し、雌型係止部材を前記一方側へ付勢する付勢部材を設けたことにより、収納室内に、雌型係止部材と係合する雄型連結部材を、相対的に回転することなく挿入するだけで、支保工同士を連結することができ、作業時間を短縮できる。
【0017】
また、ケーシングの他方側端に、収納室の他端側開口部を閉塞し、かつ、支保工同士の連結時に少なくとも一部が開口する閉塞部材を設けたことにより、連結作業時に、石等が雌型係止部材のケーシング内に侵入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1における雌型連結部材の半面を断面とした部分断面図。
図2図1の左から見た図。
図3図1の右から見た図。
図4】本発明の実施例1における連結具を用いて支保工同士を連結した状態を示す模式図。
図5】本発明の実施例1における連結具を支保工に取付けるとともに、支保工同士が非連結の状態を示す拡大部分断面図。
図6図1の雌型連結部材と雄型連結部材との連結を説明するための部分断面図。
図7】本発明の実施例1における付勢部材の変形例を示す一例の断面図。
図8】本発明の実施例1における付勢部材の変形例を示す他例の断面図。
図9】本発明の実施例1における閉塞部材の変形例を示す一例の後面図。
図10】本発明の実施例1における閉塞部材の変形例を示す他例の後面図。
図11】本発明の実施例3における雌型連結部材の一例の部分断面図。
図12】本発明の実施例3における雌型連結部材の他例の部分断面図。
図13】本発明の実施例4における雌型連結部材の一例の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る雌型連結部材1の半面を断面とした部分断面図を示し、図2はその左側からみた図、図3はその右側から見た図を示すものである。
【0021】
雌型連結部材1は、ケーシング3を有し、その軸芯X-Xと直交する縦断面の外形は、図2に示すように、ナット状の六角形に形成され、その内部には、軸芯X-X方向の両端が開口する収納室4が形成されている。なお、ケーシング3の外形は六角形状以外にも、円形状や多角形状など任意の形状に形成することができる。
【0022】
収納室4の先部の内周面は、後述する雄型連結部材2の挿入側(一方側)4aから奥部側(他方側)4bにかけて内径が徐々に拡大するテーパ面にしてなる円錐状のテーパ穴5に形成され、収納室4の後部は円筒状に形成されている。ケーシング3の後端部には、中央部に挿通穴8aが形成された止め部材8がカシメ等により固設されている。止め部材8は、板状部材で鍔状に形成されている。
【0023】
収納室4の挿入側4a部には円筒状の挿入部9が形成され、挿入部9の挿入側4aは開口部4eが形成されている。
【0024】
テーパ穴5の内面には、ケーシング3の軸芯X-X方向に沿った摺動案内突条(図示せず)が、テーパ穴5の周方向に、適宜間隔を有して複数形成されている。また、テーパ穴5内には、周方向に複数に分割してなる楔状の雌型係止部材12が、摺動案内突条の相互間においてケーシング3の軸芯X-X方向に摺動可能に配設されている。雌型係止部材12の数を、本実施例においては、図2に示すように3個としたが、その数は、1個でも複数でも良く任意に設定することができる。また、雌型係止部材12を円筒状に形成し、挿入側4a端から奥部4b側への切れ込みと、奥部4b側端から挿入側4a側への切れ込みを、周方向において交互に複数形成することにより、一体に形成された雌型係止部材12の後述する雌ねじ穴12cが、拡径したり、縮径したりできるようにしてもよい。なお、以下において、雌型係止部材12を楔ナット12ともいう。
【0025】
更に、楔状の雌型係止部材12の外面は、前記テーパ穴5のテーパ面に沿った、すなわち、挿入側4a側から奥部4bにかけて外径が徐々に拡大するテーパ面12aに形成されている。更に、各雌型係止部材12の内周面には、螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雌ねじ)12bが、ケーシング3の軸芯X-Xを中心とする円弧でかつ軸芯X-Xに沿った方向に刻設されている。この螺旋状の係止部12bは、螺旋状に形成されていれば、その断面形状としては任意の形状のねじ山を用いることができ、その軸方向断面が、二等辺三角形状、直角三角形状、不等辺三角形状等の任意の形状に形成することができる。また、係止山間の間隔(ピッチ)の寸法は、任意に設定することができる。
【0026】
上記により、複数個の楔ナット12により、図1図2図6に示すように、係止穴(雌ねじ穴)12cが形成され、各楔ナット12がテーパ穴5に沿って奥部4b側へ後退することにより、その雌ねじ穴12cが拡径され、挿入側4aへ移動することにより、その雌ねじ穴12cが縮径するようになっている。
【0027】
なお、摺動案内突条は、任意に形成することができ、例えば、螺旋状に形成し、雌型係合部材12が奥部4bに移動するほど、雌型係止部材12の雌ねじ12bと雄側連結部材2に形成した後述する雄ねじ2aとの締結が緩むようにしてもよい。また、摺動案内突条を設けなくてもよいが、摺動案内突条を設けた場合には、雌型連結部材1と雄型連結部材2の連結状態において、雄型連結部材2を雌型連結部材1に対して回動させやすく、増し締めや、連結状態の解除が容易に行える。
【0028】
楔ナット12の奥側の収納室4内には、移動部材14が軸芯X-X方向に移動可能に設けられている。移動部材14は、各楔ナット12に共通して係合するとともに、中央部に貫通穴14aが形成された鍔部14bと、鍔部14bの内周端から奥部側に向かって固設された円筒状の案内部14cで構成されている。案内部14cの奥側端は、図1に示すように、雌型連結部材1と雄型連結部材2が非連結状態において、止め部材8よりも挿入側4aに位置するように形成されている。
【0029】
貫通穴14aと案内部14cの内径は、雄型連結部材2の外径よりも大きく設定されている。また、案内部14cの外径は、止め部材8の挿通穴8aの内径よりも小さく設定されている。
【0030】
なお、案内部14cは、本実施例においては、軸芯X-X方向全体において略同じ内径で形成された円筒状に構成したが、挿入側4aに至る程縮径するように形成してもよいし、挿入側4aに至る程拡径するように形成してもよい。なお、このように案内部14cを形成した場合、その最外径は、止め部材8の挿通穴8aの内径よりも小さく設定されている。
【0031】
収納室4内における鍔部14bと止め部材8の間には付勢部材15が介在されている。付勢部材15は、コイルバネ、ゴム、樹脂、ウレタンなどの弾性部材で形成される。本実施例1では、図1に示すように、円錐状に形成されたコイルバネを使用して圧縮状態で収納されている。この付勢部材15の付勢力により各楔ナット12と移動部材14は、挿入側4a方向へ常時付勢されている。
【0032】
前記ケーシングの奥部4b側(他方側)端部には、図1図3に示すように、前記収納室4における奥部4b側の開口部4dを閉塞し、かつ、後述する雄型連結部材2の挿入により、破れて、その少なくとも一部が開口する閉塞部材16が設けられている。
【0033】
閉塞部材16は、雄型連結部材2の挿入により、破れやすくするために、図3に示すように、中心部に十字の第1切れ込み17aと、第1切れ込み17aの外周部に、ケーシング3の軸芯X-Xを中心とする放射方向に第2切れ込み17bが、周方向に複数本適宜間隔を有して形成されている。第1切れ込み17aと第2切れ込み17bは連通していない。
【0034】
閉塞部材16は、雄型連結部材2が、収納室4を貫通して挿入されることにより、切込み17a,17bを中心として破れるものであれば任意の部材で形成することができ、例えば、紙、樹脂、フエルト、セロハン、ゴム等で形成することができ、本実施例では伸縮性及び可撓性を有する樹脂で形成した。
【0035】
雄型連結部材2は、図5図6に示すように、棒状に形成され、その外周面には、軸芯X-Xを中心とする螺旋状の係止山及び係止溝からなる係止部(雄ねじ)2aが、ケーシング3の軸芯X-Xに沿った方向に刻設されている。この螺旋状の係止部2aは、螺旋状に形成され、各雌型係止部材12の係止部12bと係合できれば、その断面形状としては任意の形状のねじ山を用いることができ、その軸方向断面が、二等辺三角形状、直角三角形状、不等辺三角形状等の任意の形状に形成することができる。
【0036】
雄型連結部材2の奥端部には、係止部2aよりの最外径より大径の抜け止め部23が形成されている。
【0037】
雌型連結部材1と雄型連結部材2で連結具20が構成されている。
【0038】
次に、雌型連結部材1と雄型連結部材2からなる連結具20を用いたトンネル鋼製支保工(以下、支保工という)21,22の連結方法について説明する。
【0039】
図4図5に示すように、鋼製で、円弧状に形成された支保工21,22は、その接続側端部に、夫々、接続板21a,22aが形成されている。接続板21a,22aには、夫々、挿通穴21b,22bが形成されている。各接続板21a,22aに形成する挿通孔21a,21b数は任意に設定することができる。
【0040】
先ず、図5に示すように、任意の手段により、連結すべき一方の支保工21の接続板21aと、連結すべき他方の支保工22の接続板22aを近接させる。
【0041】
次に、作業員により、一方の支保工21の挿通穴21bに、他方の支保工22側と反対側から、雄型連結部材2の先端側から挿通するとともに、他方の支保工22の挿通穴22bに挿通させる。
【0042】
次に、雄型連結部材2の先部を、雌型連結部材1の収納室4内へ、相互に回転することなく挿入する。この雄型連結部材2の挿入により、各楔ナット12が奥部4b側へ押され、楔ナット12と移動部材14が付勢部材15の付勢力に抗して後退する。雄型連結部材2は、各楔ナット12で形成されるねじ穴12cを拡径させ、各楔ナット12の係止部12bの係止山を乗り越えつつ、ねじ穴12c内に挿入される。
【0043】
図6に示すように、閉塞部材16は、雄型連結部材2の挿入により破れ、閉塞部材16の中央部は奥側に、雄型連結部材2の外周面に沿うように曲折されるとともに、雄型連結部材2の先部は、ケーシング3の奥側端から外側に突出する。
【0044】
雌型連結部材1と雄型連結部材2の連結時において、図6に示すように、雌型連結部材1の軸芯X-Xに対して、雄型連結部材2の軸芯Y-Yが所定以上傾いた状態であっても、図6に示すように、雄型連結部材2の係止部2aが、移動部材14の案内部14cの内周面に当接し、雌型連結部材1の軸芯X-X側に案内され、雄型連結部材2の係止部2aが、止め部材8に係合することが抑制され、雄型連結部材2が所定の位置まで挿入される。
【0045】
その後、各楔ナット12と移動部材14は、付勢部材15の付勢力によって

4aへ押し戻され、テーパ穴5によって各楔ナット12で形成されるねじ穴12cの径が縮径し、各楔ナット12の係止部12bが雄型連結部材2の係止部2aに噛合し、雌型連結部材1と雄型連結部材2は連結され、支保工21と22は連結される。また、必要に応じて、増し締めを行う。
【0046】
このように、本発明の雌型連結部材1と雄型連結部材2は、相互に回転させることなく、雄型連結部材2の先部を、雌型連結部材1の収納室4内へ挿入することで連結することができる。この相互の挿入の際における、雄型連結部材2と雌型連結部材1の位置合わせが容易であり、通常のボルトをナットの孔に挿入する作業よりもが容易で迅速に行える。また、係止部2aの外周部に打痕等があっても、雌型連結部材1と雄型連結部材2の連結作業への影響を少なく抑えることができる。
【0047】
また、雌型連結部材1の奥側(他方側)端部に、収納室4の他端側開口部4dを閉塞する閉塞部材16を設けたにより、雌型連結部材1の一方側は開口し、他方側は閉塞部材16により閉塞していることから、一目で、雌型連結部材1の一方と他方側とを識別でき、雌型連結部材1を、連結すべき他方の支保工22の端部に設けられた接続板22aへの取付方向を誤ることを防止できる。
【0048】
また、雌型連結部材1の奥側(他方側)端部に、閉塞部材16を設けたにより、一方の支保工21と他方の支保工22の連結時に、収納室4内への石や埃等が混入して、楔ナット12の係止部12bに付着することを抑制でき、雌型連結部材1と雄型連結部材2を確実に締結させることができる。
【0049】
また、一方の支保工21と他方の支保工22の連結後に、ケーシング3の他方側から突出した雄型連結部材2において、少なくともケーシング3側の外周部は、曲折した閉塞部材16で覆われることにより、水等がケーシング3内に侵入することを抑制し、雌型連結部材1の内部が錆びること等を抑制できる。
【0050】
また、付勢部材15を、図1に示すように、円錐状に形成されたコイルバネを使用した場合には、コイルバネを円筒状に形成した場合と比較して、付勢部材15(コイルバネ)の圧縮時の軸方向の長さを短くでき、雌型連結部材1の軸方向X-Xの長さを短くし、小型化することができる。
【0051】
また、テーパ穴5内に、ケーシング3の軸芯X-X方向に沿った摺動案内突条を、周方向に複数形成し、摺動案内突条間に雌型係止部材12を摺動可能に設けたことにより、一方の支保工21と他方の支保工22を連結させた後にも、雌型連結部材1と雄型連結部材2の何れかを回転させることにより、楔ナット12が供回りすることなく、雌型連結部材1と雄型連結部材2の連結を解除することができる。
【0052】
なお、上記実施例においては、雌型係止部材12の内周面に係止部(雌ねじ)12bを形成したが、雌型係止部材12の少なくとも内周面を、雄型連結部材2の係止部2bより柔らかい素材で構成することで、係止部12bを設けなくてもよい。雌型係止部材12の少なくとも内周面を、雄型連結部材2の係止部2bより柔らかい素材で構成したとで、雌型係止部材12の内側に雄型連結部材2の係止部2bが挿入された際に、雌型係止部材12の内周面が、係止部2bの外周面に喰いこむことで、相互が係合するようにしてもよい。
【0053】
また、付勢部材15を、コイルバネで構成するとともに、図7に示すような鼓状に形成した場合や、図8に示すような樽状に形成した場合にも、付勢部材15を円錐状に形成したコイルバネで構成した場合と同様の効果を奏することができる。
【0054】
また、閉塞部材16に形成された切れ込み17a,17bは、図3に示す形状に限定されず、雄型連結部材2の挿入により、閉塞部材16が破れて、その少なくとも一部が開口することを補助するものであればよく、任意の形状に形成することができるとともに、閉塞部材16に切れ込みを形成しなくてもよい。切れ込み17a,17bを形成する場合には、少なくともケーシング3の軸芯X-Xとする中心部に形成することが好ましい。例えば、図9図10に示すような形状に形成することができる。
【0055】
また、移動部材14における案内部14cの形状は、上記形状以外にも任意に形成することができる。また、案内部14cを、移動部材14には設けずに、止め部材8の内側部に設けてもよいし、案内部14cを設けなくてもよい。
【0056】
[実施例2]
上記実施例1においては、雄型連結部材2の係止部2a及び雌型係止部材12の係止部12bを螺旋状の係止山及び係止溝で形成したが、この係止部2a,12bを、夫々の軸心Y-Y、X-Xに対して直交する環状に形成された複数の係止山及び係止溝を、多数、相互に平行して、その軸心方向に連続配置したものとしてもよい。
【0057】
この環状の係止部は、前記実施例1の螺旋状の係止部と同様に、その断面形状としては任意の形状を用いることができ、その軸方向断面が、二等辺三角形状、直角三角形状、不等辺三角形状等の任意の形状に形成することができる。また、係止山間の間隔(ピッチ)の寸法は、任意に設定することができる。
【0058】
その他の部材については、前記実施例1と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0059】
また、本実施例2においても、前記実施例1と略同様の作用、効果を奏する。
【0060】
また、本発明の実施例2においては、雄型連結部材2の係止部2a及び雌型係止部材12の係止部12bを、夫々の軸心Y-Y、X-Xに対して直交する環状に形成された複数の係止山及び係止溝を、多数、相互に平行して、その軸心方向に連続配置して形成したことにより、雌型連結部材1と雄型連結部材2の連結後に、何らかの作用により、その相互の連結が解除され、雌型連結部材1や雄型連結部材2が脱落することを抑制できる。
【0061】
[実施例3]
上記実施例1,2においては、閉塞部材16により、ケーシング3の奥部4b側の開口部4dを閉塞するようにしたが、図11に示すように、閉塞部材16を、ケーシングの挿入側4a端部に設けて、ケーシング3の挿入側4aの開口部4eを閉塞するようにして
もよいし、図12に示すように、閉塞部材16により、ケーシング3の挿入側4aの開口部4e及び奥部4b側の開口部4dを閉塞するようにしてもよい。
【0062】
閉塞部材16を、ケーシング3の挿入側4aと奥部4b側に設ける場合には、夫々の色を変えるなどして、ケーシング3の挿入側4aと奥部4b側を容易に見分けることができるようにすることが好ましい。
【0063】
その他の部材については、前記実施例1,2と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0064】
また、本実施例3においても、前記実施例1,2と同様の作用、効果を奏する。
【0065】
[実施例4]
上記実施例1~3においては、閉塞部材16により、ケーシングの挿入側4aの開口部4e又は/及び奥部4b側の開口部4dを閉塞するようにしたが、図13に示すように、軸方向に長尺の閉塞部材30を、ケーシング3内の挿入側4aの開口部4eから奥部4b側の開口部4dに亘って挿入することで、ケーシングの挿入側4aの開口部4e及び奥部4b側の開口部4dを閉塞するようにしてもよい。
【0066】
閉塞部材30として、スポンジ、段ボール、木材、寸切ボルトなど任意の部材で構成するとともに、閉塞部材30により、挿入側4aの開口部4e及び奥部4b側の開口部4dを閉塞するとともに、その軸方向に移動することができれば、図13に示す形状以外にも任意の形状に形成することができる。
【0067】
なお、閉塞部材30により、ケーシングの挿入側4aの開口部4eと、奥部4b側の開口部4dの何れか一方のみを閉塞するようにしてもよい。
【0068】
閉塞部材30は、雄型連結部材2をケーシング3の挿入側4aの開口部4eから挿入すると、閉塞部材30は雄型連結部材2により奥部側に押されて移動、又は奥部側に圧縮されることで、閉塞部材30により閉塞された挿入側4aの開口部4e又は/及び奥部4b側の開口部4dは開口する。
【0069】
その他の部材については、前記実施例1~3と同様の構造を有するため、その説明を省略する。
【0070】
また、本実施例4においても、前記実施例1~3と同様の作用、効果を奏する。
【0071】
[その他の実施例]
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1 雌型連結部材
2 雄型連結部材
3 ケーシング
4 収納室
5 テーパ穴
12 雌型係止部材
12b 係止部
15 付勢部材
16,30 閉塞部材
20 連結具
21,22 トンネル鋼製支保工
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13