(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/08 20060101AFI20221013BHJP
A01B 73/04 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
A01B33/08 L
A01B73/04
(21)【出願番号】P 2018065026
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-02-05
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河原 文雄
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-133102(JP,U)
【文献】特開2001-352807(JP,A)
【文献】特開2014-200187(JP,A)
【文献】特開2003-304710(JP,A)
【文献】実開昭47-037504(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0332543(US,A1)
【文献】実開昭53-115802(JP,U)
【文献】実公昭37-007704(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00 - 33/16
A01B 51/00 - 61/04
A01B 63/14 - 67/00
A01B 71/00 - 79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に連結される中央作業体と、
前記中央作業体の側方に設けられる側方作業体と、を備える作業機であって、
前記作業機は、収納状態及び展開状態に変化可能であり、
前記中央作業体及び前記側方作業体は、それぞれ、回転自在に軸支された回転軸と、前記回転軸上に配置された複数の耕耘爪とを有する耕耘ロータを備え、
前記側方作業体の内端側板には、前記回転軸を支持する軸受ハウジングの一部が直接接し、
前記軸受ハウジングは、前記展開状態時に圃場の土を移動させる残耕処理部を有し、
前記残耕処理部は、前記軸受ハウジングと一体に構成され、
前記展開状態において、前記側方作業体側から前記中央作業体側に向かって屈曲すると共に延在し、
前記残耕処理部の先端は、前記展開状態の平面視において、前記中央作業体に重畳している、
作業機。
【請求項2】
走行機体の後部に連結される中央作業体と、
前記中央作業体の側方に設けられる側方作業体と、を備える作業機であって、
前記作業機は、収納状態及び展開状態に変化可能であり、
前記中央作業体及び前記側方作業体は、それぞれ、回転自在に軸支された回転軸と、前記回転軸上に配置された複数の耕耘爪とを有する耕耘ロータを備え、
前記側方作業体の内端側板には、前記回転軸を支持する軸受ハウジングの一部が直接接し、
前記軸受ハウジングは、前記展開状態時に圃場の土を移動させる残耕処理部を有し、
前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記側方作業体側から前記中央作業体側に向かって屈曲すると共に延在し、
前記残耕処理部と前記軸受ハウジングとは互いに向かい合う面が直接接し、
前記残耕処理部の先端は、前記展開状態の平面視において、前記中央作業体に重畳している、
作業機。
【請求項3】
前記軸受ハウジングは、前記内端側板に着脱可能に固定するためのフランジ部を有し、前記残耕処理部は、前記フランジ部に着脱可能に固定される、請求項1
又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記軸受ハウジングは、前記内端側板に着脱可能に固定するためのフランジ部を有し、前記残耕処理部は、前記フランジ部と一体形成される、請求項1
又は2に記載の作業機。
【請求項5】
前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記中央作業体の複数の耕耘爪のうち、前記回転軸方向に隣接する耕耘爪と同じ方向に屈曲している、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の作業機。
【請求項6】
前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記側方作業体の複数の耕耘爪のうち、前記回転軸方向に隣接する耕耘爪と反対方向に屈曲している、請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の作業機。
【請求項7】
前記残耕処理部は、前記回転軸の軸方向視において前記複数の耕耘爪の回転軌跡内に配置される、請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耕耘機能を備える作業機に関する。具体的には、残耕処理機能を備える農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリー作業機や代かき機などの耕耘機能を備える農作業機において、トラクタ等の走行機体の後方に連結される中央作業部の側方に、中央作業部の上方に折り畳み可能な左右の作業部を備える折り畳み式の作業機が知られている。このような折り畳み式の作業機において、左右側方の作業部を展開して左右側方に作業領域を延長する場合、中央作業部と左右側方の作業部との間の耕耘爪が配置されない部分に対応する圃場領域に、耕耘作業が行われない残耕部が生じる場合がある。
【0003】
このような残耕部を耕耘するために、例えば特許文献1には、左右の延長機体の内端部に、耕耘軸の前方に位置する残耕処理刃を固設する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術の場合、残耕処理刃を固設するための補強板などの取付部材を、耕耘軸のボス部材とは別途に設ける必要があるため、部品点数が増加するという問題があった。また、特許文献1に記載された技術の場合、残耕処理刃を耕耘軸上に配置することができないため、折り畳み状態において左右の延長機体の内端部に固設された残耕処理刃部分が張り出すことにより、作業機全体のサイズが大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、既存の部材を利用して残耕処理機能を実現する作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における作業機は、走行機体の後部に連結される中央作業体と、前記中央作業体の側方に設けられる側方作業体と、を備える作業機であって、前記作業機は、収納状態及び展開状態に変化可能であり、前記中央作業体及び前記側方作業体は、それぞれ、回転自在に軸支された回転軸と、前記回転軸上に配置された複数の耕耘爪とを有する耕耘ロータを備え、前記側方作業体の内端側板には、前記回転軸を支持する軸受ハウジングが設けられ、前記軸受ハウジングは、圃場の土を移動させる残耕処理部を有する。
【0008】
また、前記軸受ハウジングは、前記内端側板に着脱可能に固定するためのフランジ部を有し、前記残耕処理部は、前記フランジ部に着脱可能に固定されてもよい。
【0009】
また、前記軸受ハウジングは、前記内端側板に着脱可能に固定するためのフランジ部を有し、前記残耕処理部は、前記フランジ部と一体形成されてもよい。
【0010】
また、前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記中央作業体側に屈曲していてもよい。
【0011】
また、前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記中央作業体の複数の耕耘爪のうち、前記回転軸方向に隣接する耕耘爪と同じ方向に屈曲していてもよい。
【0012】
また、前記残耕処理部は、前記展開状態において、前記側方作業体の複数の耕耘爪のうち、前記回転軸方向に隣接する耕耘爪と反対方向に屈曲していてもよい。
【0013】
また、前記残耕処理部は、前記回転軸の軸方向矢視において前記複数の耕耘爪の回転軌跡内に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、既存の部材を利用することで部品点数の増加を抑え、コンパクトな構成で実現可能な残耕処理機能を備える作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態における作業機の展開状態における構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態における作業機において左側作業体を折り畳んだ状態の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態における作業機の収納状態の構成を示す右側側面斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態における作業機に備わる残耕処理部を有する軸受ハウジングの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態における作業機の展開状態における全体構成を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態における作業機の展開状態における左側作業体付近の構成を示す部分正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態における作業機の展開状態における右側作業体付近の構成を示す部分正面図である。
【
図8】本発明の一実施形態における作業機に備わる残耕処理部を有する軸受ハウジングの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の作業機の実施形態について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0017】
なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の記号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。例えば、本発明の作業機が中央作業体、左側作業体及び右側作業体の3つの作業体で構成される場合、それぞれの作業体が有する部分であることを示すために、数字の後に「C」、「L」及び「R」を付すことがある。
【0018】
本願の明細書及び特許請求の範囲において、「上」は圃場から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は圃場に向かって垂直に近づく方向を示す。また、「前」は作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、「後」は前とは180°反対の方向を示す。また、「左」は作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左を示し、「右」は左とは180°反対の方向を示す。
【0019】
〈第1実施形態〉
[作業機10の構成]
以下、第1実施形態による作業機10の構成について、
図1及び
図2を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における作業機の構成を示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態における作業機が左側作業体を折り畳んだときの構成を示す斜視図である。なお、
図2は、
図1に対して左側作業体10Lの位置が変化しただけの図であるため、説明の便宜上、
図1において既出の符号のいくつかは省略されている。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態による作業機10は、中央作業体10C、左側作業体10L及び右側作業体10Rを備え、3つに分割された構造となっている。中央作業体10Cは、作業機10の中央部に配置され、作業機本体として機能する。左側作業体10L及び右側作業体10Rは、中央作業体10Cの左右両端部に上下方向に回動可能に取り付けられている。作業機10は、これら左側作業体10L及び右側作業体10Rを斜め上方に回動させることにより中央作業体10Cに重ねて折り畳むことができ、斜め下方に回動させることにより
図1に示すように展開することができる。
【0021】
ここで、左側作業体10L及び右側作業体10Rを中央作業体10Cに重ねて折り畳んだ状態を収納状態と呼ぶ。収納状態とは、作業機10が走行機体の進行方向に対して直交する方向の幅を縮小された状態である。また、左側作業体10L、右側作業体10R及び中央作業体10Cが横に並んだ状態を展開状態と呼ぶ。展開状態とは、作業機10が走行機体の進行方向に対して直交する方向に延長された状態である。
【0022】
次に、中央作業体10Cについて説明する。中央作業体10Cは、トラクタ等の走行機体との連結部として機能するトップマスト12及びロアーリンク連結部14、走行機体から動力が伝達される入力軸16、左右方向に延び中央作業体10Cを支持する支持フレーム18、伝動フレーム(チェーンケース)20C、ギヤボックス22、中央シールドカバー24C、耕耘ロータ(図示せず)、第1中央整地体28C、第2中央整地体30C、エプロン制御機構31a及び31b、並びに中央レベラ制御機構32Cを備えている。
【0023】
トップマスト12は、中央作業体10Cの前方中央部に設けられ、ロアーリンク連結部14は、中央作業体10Cの前方左右二箇所に設けられている。トップマスト12及び左右2箇所に設けられたロアーリンク連結部14は、図示しない走行機体のトップリンク及び左右二箇所に設けられたロアーリンク(3点リンクヒッチ機構)にそれぞれ連結され、作業機10は走行機体の後部に昇降可能に装着される。なお、作業機10と走行機体との連結は、走行機体の3点リンクヒッチ機構に装着されるオートヒッチフレームを介してもよい。
【0024】
入力軸16は、中央作業体10Cの前方中央部に設けられたギヤボックス22に設けられ、走行機体から伝達された動力を作業機10に入力する。入力軸16は走行機体のPTO軸に連結され、PTO軸からユニバーサルジョイント等を介して動力が伝達される。
【0025】
支持フレーム18は、中央作業体10Cの本体フレームを兼ねており、ギヤボックス22の左右両側に走行機体の進行方向に対して左右方向に延設されている。ここで、ギヤボックス22と伝動フレーム20Cとの間に配置された支持フレーム18内には、伝動シャフト(図示せず)が内装されている。この伝動シャフトにより、ギヤボックス22から伝動フレーム20Cに対して耕耘ロータを回転させるための動力が伝達される。
【0026】
中央シールドカバー24Cは、支持フレーム18に沿って設けられ、耕耘ロータの上方を覆うように配置される。耕耘ロータで砕かれた土は、中央シールドカバー24Cの内壁に当たってさらに砕土されるとともに、落下して再び圃場に戻る。このように、中央シールドカバー24Cは、耕耘ロータによって巻き上げられた土の飛散防止機能と砕土機能とを兼ね備えている。
【0027】
中央作業体10Cが有する耕耘ロータは、中央シールドカバー24Cの下方に回転自在に軸支された回転軸(図示せず)に対して、フランジ又はホルダを用いて複数の耕耘爪を取り付けた構成を有する。入力軸16から入力された動力は、ギヤボックス22内で変速され、支持フレーム18内の伝動シャフト、伝動フレーム20C等を経由して伝達され、耕耘ロータの回転運動へと変換される。
【0028】
第1中央整地体28Cは、中央シールドカバー24Cに対し、回動可能に取り付けられており、通常、エプロンと呼ばれる。第2中央整地体30Cは、第1中央整地体28Cに対し、上下方向へ回動可能に取り付けられており、通常、レベラと呼ばれる。第1中央整地体28Cは、中央作業体10Cの耕耘ロータの回転によって飛散した泥や土を圃場に戻すカバーとしての役割と、第2中央整地体30Cを圃場に押し付けて整地作業を行う整地部材としての役割を担う。第2中央整地体30Cは、直接圃場に接することにより、圃場表面の整地を行う整地部材としての役割を担う。
【0029】
エプロン制御機構31a及び31bは、中央シールドカバー24Cと第1中央整地体28Cとの間に架設され、第1中央整地体28Cの上下方向への回動を制御する手段として機能する。エプロン制御機構31a及び31bは、第1中央整地体28Cの上方向への回動を妨げる加圧モードと、第1中央整地体28Cの上方向への回動を妨げない非加圧モードとを切り替え可能であり、加圧モードでは、第1中央整地体28Cに対して上方向への回動を妨げる付勢力を働かせる。この付勢力は、エプロン制御機構31a及び31bを構成するリンクロッドに配置されたスプリングの反力によって実現される。エプロン制御機構31a及び31bを加圧モードとすることにより、第1中央整地体28Cによる砕土性能や整地性能を高めることができ、より効率良く圃場を仕上げることができる。
【0030】
中央レベラ制御機構32Cは、中央シールドカバー24Cと第2中央整地体30Cとの間に架設され、第2中央整地体30Cの上下方向への回動を制御する手段として機能する。中央レベラ制御機構32Cは、第2中央整地体30Cを下方に向けた状態(土寄せ状態)に固定する土寄せモードと、第2中央整地体30Cの上下方向への回動を妨げない整地モードとを切り替え可能である。モードの切り替えは、中央レベラ制御機構32Cを構成するリンクロッドの動作の規制又は解除によって実現される。
【0031】
次に、左側作業体10Lについて説明する。左側作業体10Lは、左側シールドカバー24L、左側シールドカバー24Lの下方に配置された耕耘ロータ26L(
図2参照)、伝動フレーム(チェーンケース)20L、第1左側整地体28L、第2左側整地体30L、左側レベラ制御機構32L、及び左側延長整地体回動機構34Lを備えている。左側シールドカバー24L、伝動フレーム20L、第1左側整地体28L、第2左側整地体30L、及び左側レベラ制御機構32Lの担う役割については、それぞれ前述の中央作業体10Cにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0032】
ここで、
図2に示されるように、耕耘ロータ26Lは、回転軸26La及びその回転軸26Laの周囲にホルダを介して配置された複数の耕耘爪26Lbを備える。伝動フレーム20Lを介して伝達された動力により回転軸26Laが回転すると、その周囲に配置された耕耘爪26Lbが一斉に回転し、圃場の土を砕土及び攪拌する。耕耘爪26Lbが回転軸26Laを中心として回転する際に、耕耘爪26Lbによって描かれる最も大きな軌跡を回転軌跡という。なお、図示は省略しているが、中央作業体10C及び右側作業体10Rが有する耕耘ロータも耕耘ロータ26Lと同様の構成を有している。
【0033】
図1に戻って、左側延長整地体回動機構34Lは、左側作業体10Lの第2左側整地体30Lに対し、回動可能に連結された左側延長整地体36Lを回動させるための機構である。左側延長整地体36Lは、左側作業体10Lの端部から作業機10の左方向に延長して設けられ、左側作業体10Lの外側の領域の整地作業を担う。第2左側整地体30Lと左側延長整地体36Lとは、延長整地体連結部38Lによって回動可能に連結されており、左側延長整地体36Lが第2左側整地体30Lに向かって折り畳まれるように回動可能となっている。
【0034】
ここで、本実施形態において、左側延長整地体回動機構34Lは、駆動モータ部34La、回動アーム34Lb、及び連結ワイヤ34Lcを含む。回動アーム34Lbは、一端が駆動モータ部34Laに接続され、他端が連結ワイヤ34Lcに接続されている。また、連結ワイヤ34Lcは、一端が回動アーム34Lbに接続され、他端が左側延長整地体36Lに接続されている。
【0035】
駆動モータ部34Laが動作すると、回転駆動力が発生して、回動アーム34Lbが略水平方向に回動する。この回動アーム34Lbの回動動作に連動して、連結ワイヤ34Lcに引っ張られた左側延長整地体36Lが延長整地体連結部38Lを介して回動する。これにより、左側延長整地体36Lの収納及び展開が可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、左側延長整地体回動機構34Lを、駆動モータ部34La、回動アーム34Lb、及び連結ワイヤ34Lcで構成する例を示したが、延長整地体連結部38Lを介して左側延長整地体36Lを回動可能とする機構であれば、他の機構を用いてもよい。
【0037】
次に、右側作業体10Rについて説明する。右側作業体10Rは、右側シールドカバー24R、右側シールドカバー24Rの下方に配置された耕耘ロータ(図示せず)、伝動フレーム(チェーンケース)20R、第1右側整地体28R、第2右側整地体30R、右側レベラ制御機構32R、及び右側延長整地体回動機構34Rを備えている。ここで、右側シールドカバー24R、伝動フレーム20R、第1右側整地体28R、第2右側整地体30R、右側レベラ制御機構32R、及び右側延長整地体回動機構34Rの担う役割については、それぞれ前述の左側作業体10Lにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。また、右側延長整地体36R及び延長整地体連結部38Rについても、前述の左側延長整地体36L及び延長整地体連結部38Lと同様である。
【0038】
さらに、本実施形態による作業機10は、中央作業体10C、左側作業体10L、及び右側作業体10Rに、それぞれ中央土寄せ板40Ca及び40Cb、左側土寄せ板40L、並びに右側土寄せ板40Rを備えている。これらは、代掻き作業時に発生する水流(実際には、土を含む水の流れ)をコントロールするための板であり、これら土寄せ板を設けることにより、圃場表面の仕上がりを向上させることができる。
【0039】
例えば、中央土寄せ板40Ca及び40Cbは、作業機10の前方を走行する走行機体のタイヤ等の轍に土を戻す位置に設けられ、轍によって生じた圃場の起伏の平坦化に寄与する。また、左側土寄せ板40L及び右側土寄せ板40Rは、土を内側に寄せるとともに、各土寄せ板の裏側にその周辺の水流を引き込む。その結果、左側作業体10L及び右側作業体10Rの端部よりも外側に藁などが浮遊していたとしても、水流によってそれぞれの耕耘ロータ内に引き込み、圃場表面の仕上がりの向上に寄与する。
【0040】
また、本実施形態による作業機10は、左側作業体10L及び右側作業体10Rに、それぞれ左側レベラ制御機構32L、右側レベラ制御機構32Rを備えている。これら左側レベラ制御機構32L及び右側レベラ制御機構32Rは、中央レベラ制御機構32Cと同様に、それぞれ第2左側整地体30L、第2右側整地体30Rの上下方向への回動を規制又は解除する手段として機能する。
【0041】
以上説明した左側作業体10L及び右側作業体10Rは、中央作業体10Cの両端部に設けられた作業体回動機構44a及び44bを介して回動用シリンダ46a及び46bの作用により回動し、前述の収納状態又は展開状態となる。その際、第1中央整地体28Cと第1左側整地体28L、及び、第1中央整地体28Cと第1右側整地体28Rとは、それぞれ第1連結部48a及び48bとによって連結される。また、第2中央整地体30Cと第2左側整地体30L、及び、第2中央整地体30Cと第2右側整地体30Rとは、それぞれ第2連結部50a及び50bとによって連結される。
【0042】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、左側作業体10L及び右側作業体10Rを合わせた総称を「側方作業体」と呼ぶことがある。また、第1左側整地体28L及び第1右側整地体28Rを合わせた総称を「第1側方整地体」と呼んだり、第2左側整地体30L及び第2右側整地体30Rを合わせた総称を「第2側方整地体」と呼んだりすることがある。
【0043】
[残耕処理部の構成]
図3は本発明の一実施形態における作業機10において、収納状態の構成を示す右側側面斜視図である。
図3に示すように、中央作業体10Cの側端部には、耕耘ロータ26Cの回転軸26Ca(図示せず)を支持する軸受ハウジング90Cが設けられている。軸受ハウジング90Cは、中央作業体10Cの側端部に設けられた側板(サイドプレート)70Cにボルト(皿ボルト65)で固定されている。本実施形態では、作業機10は中央作業体10C、左側作業体10L、及び右側作業体10Rに三分割されており、各作業体は、各々耕耘ロータを備えており、各作業体の耕耘ロータの回転軸を支持するための軸受ハウジングを含む伝動フレーム又は軸受ハウジングを左右の側端部に各々有している。本実施形態における作業機10は、左右の側方作業体を展開することによって、左右の側方作業体の耕耘ロータと中央作業体10Cの耕耘ロータとが直線的に接続されることにより、側方に延長された幅員において作業を行うことができる。
【0044】
図3に示すように、右側作業体10Rの内側(中央作業体10C側)の端部に位置する側板(内端側板)70Rには、耕耘ロータ26Rの回転軸26Raを支持する軸受ハウジング60Rが設けられる。軸受ハウジング60Rは、
図3及び
図4に示すように、回転軸26Raの端部を支持する円筒部62Rと、円筒部62Rの端部周縁に延在し、右側作業体10Rの内端側板70Rに固定するためのフランジ部61Rと、フランジ部61Rの外端部に延在する残耕処理部63Rとを有する。
【0045】
残耕処理部を備える軸受ハウジングは、右側作業体10Rの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング60Rのみではなく、左側作業体10Lの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング60Lも、残耕処理部63Lを有してもよい。
【0046】
すなわち、左側作業体10Lの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング60Lは、軸受ハウジング60Rと同様の構成を有してもよく、軸受ハウジング60Lは、回転軸26Laの端部を支持する円筒部62Lと、円筒部62Lの端部周縁に延在し、左側作業体10Lの内端側板70Lに固定するためのフランジ部61Lと、フランジ部61Lの外端部に延在する残耕処理部63Lとを有するものでもよい。
【0047】
図4は本発明の一実施形態における作業機に備わる残耕処理部を有する軸受ハウジングの構成を示す分解斜視図である。本実施形態における右側作業体10Rの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング60Rと左側作業体10Lの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング60Lとは同じ構成を有する。以下では、特に言及しない限り右側作業体10Rの軸受ハウジング60Rについて説明する。
【0048】
図4に示すように、フランジ部61Rは、軸受ハウジング60Rを右側作業体10Rの内端側板70Rにボルトで取付けるための複数の第1締結孔64を一方の端部に有している。また、本実施形態では、フランジ部61Rは、残耕処理部63Rをボルトで取り付けるための複数の第1締結孔64を他方の端部に有している。
【0049】
軸受ハウジング60Rのフランジ部61Rは、展開状態において中央作業体10Cの内端側板70Cに設けられた軸受ハウジング90Cに近接して対向するため、フランジ部61Rの第1締結孔64には、ボルト頭部の突出高さの低い皿ボルト65が固定される。また、皿ボルト65の頭部を埋没させるために、フランジ部61Rの第1締結孔64には、ボルト頭部側に向かって開口径が大きくなるザグリ(座ぐり)加工が施されている。
【0050】
残耕処理部63Rは、展開状態において、耕耘ロータ26Rの回転軸26Raに直交する方向に延長し、残耕処理部63Rの先端は、中央作業体10C側に屈曲している。残耕処理部63Rは、展開状態で作業する際に圃場に食い込み、走行機体の移動に伴って圃場の土を動かすことによって圃場の耕耘ムラを解消する。残耕処理部63Rが右側作業体10Rの内端側板70Rに設けられることにより、展開状態において中央作業体10Cの耕耘爪26Cbと右側作業体10Rの耕耘爪26Rbとの間に位置する圃場部分を耕耘することができる。これにより、耕耘ムラが少なくなり、均一に砕土することができる。
【0051】
仮に残耕処理部63Rがない場合には、展開状態において中央作業体10Cの耕耘爪26Cbと右側作業体10Rの耕耘爪26Rbとの間に位置する圃場部分が、未耕耘のままとなり、耕耘ムラが生じたり、作業体のつなぎ目が筋状に残ったりするという問題がある。
【0052】
残耕処理部63Rは、耕耘爪26Cb、26Rbと異なり、回転軸26Ra,26Caの回転に伴って回転するものではないが、耕耘爪26Cb、26Rbと同様に、回転軸26Ra,26Caに直交する方向に延長し、圃場を耕耘する機能を有する点で、耕耘爪に類似する部材であり、耕耘爪を配置することができない中央作業体10Cと左右の側方作業体10L、10Rとの間の圃場領域を耕耘する残耕処理機能を有する部材である。
【0053】
残耕処理部63Rは圃場を耕耘する部材であるため、長期間使用することにより摩耗したり、石等の障害物に接触して損傷したりするおそれがある。本実施形態における残耕処理部63Rは、軸受ハウジング60Rのフランジ部61Rと別体として構成されているため、残耕処理部63Rが摩耗、損傷等した場合には、残耕処理部63Rのみをフランジ部61Rから取り外し、新しい残耕処理部63Rと容易に交換することができる。
図4に示すように、軸受ハウジング60Rのフランジ部61Rと残耕処理部63Rとは、フランジ部61Rに形成された第1締結孔64と残耕処理部63Rに形成された第2締結孔67とを重ね合わせ、フランジ部61R側から皿ボルト65を挿入して、残耕処理部63R側からナット68と座金69を用いて締結してもよい。
【0054】
また、
図3に示すようにフランジ部61R側から皿ボルト65を挿入する場合は、残耕処理部63Rに形成される第2締結孔67にザグリ加工を施す必要はない。第2締結孔67にザグリ加工を施すか否かは、フランジ部61Rに形成された第1締結孔64と残耕処理部63Rに形成された第2締結孔67との重ね合わせの上下関係に応じて適宜変更可能である。
【0055】
このように、軸受ハウジング60Rのフランジ部61Rと残耕処理部63Rとが別体として形成され、ボルトとナット等によって着脱可能に固定されるという構成を有することにより、残耕処理部63Rが耕耘作業により摩耗したり損傷したりして使用に耐えられなくなった場合でも、残耕処理部63Rのみを容易に交換することができ、軸受ハウジング60Rごと部材を交換する必要がない点で、メンテナンスが容易である。
【0056】
以上では、特に
図3に示す右側作業体10Rの内端側板70Rに設けられる軸受ハウジング60Rについて説明したが、左側作業体10Lの内端側板70Lに設けられる軸受ハウジング60Lについても同様の説明が妥当する。
【0057】
[耕耘爪と残耕処理部との配置構造]
図5~
図7に本発明の一実施形態における作業機の展開状態における正面図を示す。
図5は本発明の一実施形態における作業機の展開状態における全体構成を示す正面図である。
図6は本発明の一実施形態における作業機の展開状態における左側作業体付近の構成を示す部分正面図である。
図7は本発明の一実施形態における作業機の展開状態における右側作業体付近の構成を示す部分正面図である。
【0058】
図5~
図7に示すように、軸受ハウジング60L、60Rは、それぞれ左右の側方作業体の中央作業体10Cに隣接する内端側板70L、70Rに配置される。軸受ハウジング60L、60Rは、それぞれ残耕処理部63L、63Rを備え、残耕処理部63Lは左側作業体10Lと中央作業体10Cとの間に配置され、残耕処理部63Rは右側作業体10Rと中央作業体10Cとの間に配置される。
【0059】
また、
図5~
図7に示すように、残耕処理部63L、63Rは、各作業体10C、10L、10Rの回転軸26Ca、26La、26Ra上に配置された複数の耕耘爪26Cb、26Lb、26Rbと並んで配列される。
【0060】
残耕処理部63R、63Lは、隣接する耕耘爪、すなわち、中央作業体10C及び左右の側方作業体の最も端に配置される耕耘爪の構成に対応する位置に構成されてもよい。
図5に示すように、本実施形態では、残耕処理部63R、63Lは、中央作業体10Cの左右の最も端に配置される耕耘爪と、左右の側方作業体の最も内端(中央作業体側)に配置される耕耘爪との中間に配置される。
【0061】
また、
図5~
図7に示すように、残耕処理部63Rが回転軸に対して直交する方向に延在する長さは、他の耕耘爪と比較して相対的にやや短くなっている。具体的には、残耕処理部63Rは、回転軸26Raの軸方向矢視において、中央作業体10C又は右側作業体10Rの複数の耕耘爪26Cb、26Rbの回転軌跡内に配置される。また、残耕処理部63Rの端部が屈曲する方向は、中央作業体10Cの複数の耕耘爪26Cbのうち、中央作業体10Cの右側の最端部に配置される耕耘爪26Cbであって、残耕処理部63Rに隣接する耕耘爪26Cbと同じ方向に屈曲している。
【0062】
また、残耕処理部63Rの端部が屈曲する方向は、左右の側方作業体の複数の耕耘爪のうち、中央作業体10C側の最端部に配置され、残耕処理部63Rに隣接する耕耘爪と反対方向に屈曲している。残耕処理部63Rの屈曲角度は、圃場の土を移動させるために適切な角度で形成されていればよく、隣接する左右の側方作業体の耕耘爪の構成に応じて適宜設計可能である。
【0063】
図6に示すように、左側作業体10Lは、作業体10の外側の側端部に左側伝動フレーム20Lを備え、中央作業体10C側の側端部には、内端側板70Lに設けられた軸受ハウジング60Lを備える。軸受ハウジング60Lは、展開状態で作業する際に圃場に接する残耕処理部63Lを有している。内端側板70Lに近接して隣接する中央作業体10Cの左側端部には、中央伝動フレーム20Cが設けられている。このように、中央作業体10Cと左側作業体10Lとの間には中央伝動フレーム20Cが配置されるため、この中央伝動フレーム20Cの幅に対応する圃場領域は、左側作業体10Lの耕耘爪26Lb又は中央作業体10Cの耕耘爪26Cbによっては耕耘されない領域である。
【0064】
本実施形態における左側作業体10Lは、中央作業体10C側の内端側板70Lに、残耕処理部63Lを有する軸受ハウジング60Lを備えており、かつ、残耕処理部63Lは、中央作業体10C側、すなわち中央伝動フレーム20C側に端部が屈曲している。このような構成を有することにより、中央伝動フレーム20Cの幅に対応する圃場領域を、残耕処理部63Lによって耕耘し、土を動かすことによって耕耘ムラを少なくすることができる。
【0065】
なお、本実施形態では、左側作業体10Lの中央作業体10C側の内端側板70Lに、残耕処理部63Lを有する軸受ハウジング60Lを備えているが、これと異なり、中央作業体10Cの左側作業体10L側の内端側板70Cに設けられる軸受ハウジング90Cに、残耕処理部を設けてもよい。ただし、本実施形態のように、中央作業体10Cの側端部には中央伝動フレーム20Cが配置されることがあるため、中央作業体10Cの軸受ハウジングに残耕処理部を設けるよりも、左右の側方作業体の軸受ハウジングに残耕処理部を設ける方が、設計の自由度が高い。
【0066】
また、
図6に示すように、残耕処理部63Lの端部は、中央作業体10Cの耕耘爪26Cbのうち、左側作業体10Lに最も近い、残耕処理部63Lに隣接する耕耘爪26Cbと同じ方向に屈曲する。また、残耕処理部63Lの端部は、左側作業体10Lの耕耘爪26Lbのうち、最も中央作業体10Cに近い、残耕処理部63Lに隣接する耕耘爪26Lbと反対方向に屈曲する。ただし、残耕処理部63L及びこれに隣接する耕耘爪の屈曲方向は、これに限定されるものではない。
【0067】
図7に示すように、右側作業体10Rは、作業体10の外側の側端部に右側伝動フレーム20Rを備え、中央作業体10C側の側端部には、内端側板70Rに設けられた軸受ハウジング60Rを備える。軸受ハウジング60Rは、展開状態で作業する際に圃場に接する残耕処理部63Rを有している。
【0068】
本実施形態において、中央作業体10Cと右側作業体10Rとの間には伝動フレームは配置されていないが、中央作業体10Cと右側作業体10Rとの間には、中央作業体10Cの右側側板70Cに設けられる軸受ハウジング90C(
図3参照)と、右側作業体10Rの内端側板70Rに設けられる軸受ハウジング60Rとが配置されるため、対応する圃場領域は、右側作業体10Rの耕耘爪26Rb又は中央作業体10Cの耕耘爪26Cbによっては耕耘されない領域である。
【0069】
本実施形態における右側作業体10Rは、中央作業体10C側の内端側板70Rに、残耕処理部63Rを有する軸受ハウジング60Rを備えており、かつ、残耕処理部63Rは、中央作業体10C側に端部が屈曲している。このような構成を有することにより、中央作業体10Cと右側作業体10Rとの間に対応する圃場領域の土を、残耕処理部63Rによって動かし、耕耘ムラを解消することができる。
【0070】
また、
図7に示すように、残耕処理部63Rの端部は、中央作業体10Cの耕耘爪26Cbのうち、右側作業体10Rに最も近い、残耕処理部63Rに隣接する耕耘爪26Cbと同じ方向に屈曲する。また、残耕処理部63Rの端部は、右側作業体10Rの耕耘爪26Rbのうち、最も中央作業体10Cに近い、残耕処理部63Rに隣接する耕耘爪26Rbと反対方向に屈曲する。ただし、残耕処理部63R及びこれに隣接する耕耘爪の屈曲方向は、これに限定されるものではない。
【0071】
本実施形態では、残耕処理部63L、63Rを有する軸受ハウジング60L、60Rを、左右の側方作業体のうち、中央作業体10Cに隣接する内端側板70L、70Rに配置したため、左右の側方作業体と中央作業体10Cとの間に対応する圃場領域を耕耘することができる。
【0072】
〈第2実施形態〉
[残耕処理部の構成]
図8は、第2実施形態にかかる軸受ハウジング80L、80Rの構成を示す図である。本実施形態にかかる作業機10は、残耕処理部83L、83Rを有する軸受ハウジング80L、80Rを、左右の側方作業体のうち、中央作業体10Cに隣接する内端側板70L、70Rに配置している。本実施形態に係る軸受ハウジング80L、80Rは、残耘処理部83L、83Rが、フランジ部81L、81Rと一体形成されている点で第1実施形態と異なるが、その他の構成は同じである。以下、第1実施形態と重複する説明は省略する。
【0073】
図8は本発明の一実施形態における作業機に備わる残耕処理部を有する軸受ハウジングの構成を示す分解斜視図である。本実施形態における右側作業体10Rの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング80Rと左側作業体10Lの内端部(中央作業体10C側)に設けられる軸受ハウジング80Lとは同じ構成を有する。以下では、特に言及しない限り右側作業体10Rの軸受ハウジング80Rについて説明する。
【0074】
図8に示すように、フランジ部81Rは、一方の端部に軸受ハウジング80Rを右側作業体10Rにボルトで取付けるための複数の第1締結孔84を有している。軸受ハウジング80Rのフランジ部81Rは、展開状態において中央作業体10Cの内端側板70Cに設けられた軸受ハウジング90Cに近接して対向するため、フランジ部81Rの第1締結孔84には、ボルト頭部の突出高さの低い皿ボルト65(
図4参照)が固定される。また、皿ボルト65の頭部を埋没させるために、フランジ部81Rの第1締結孔84には、ボルト側に向かって開口径が大きくなるザグリ(座ぐり)加工が施されている。
【0075】
残耕処理部83Rは、展開状態において、耕耘ロータ26Rの回転軸26Raに直交する方向に延長し、残耕処理部83Rの先端は、中央作業体10C側に屈曲している。残耕処理部83Rは、展開状態で作業する際に圃場に食い込み、走行機体の移動に伴って圃場の土を動かすことによって耕耘ムラを解消する。残耕処理部83Rが右側作業体10Rの内端側板70Rに設けられることにより、展開状態において中央作業体10Cの耕耘爪26Cbと右側作業体10Rの耕耘爪26Rbとの間に位置する圃場部分を耕耘することができる。
【0076】
本実施形態において、残耕処理部83Rは、フランジ部81Rと一体的に形成されている。残耕処理部83Rとフランジ部81Rとの間に締結部材を用いる必要がないため、部品点数をより削減することができる。また、耕耘爪と残耕処理部との配置構造については第1実施形態と同様である。
【0077】
本実施形態によると、軸受ハウジングという既存の部材を利用することにより、折り畳み式作業機の中央作業体と側方作業体との間に対応する圃場領域を耕耘することができるので、耕耘ムラを少なくし、砕土を均一にすることができる。また、部品点数の増加を抑えてシンプルな構成により残耕処理機能を実現することができる。
【0078】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態の耕耘爪及びその摩耗判定方法を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0079】
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0080】
10:作業機、 10C:中央作業体、 10L:左側作業体、 10R:右側作業体、 20C:中央伝動フレーム、 20L:左側伝動フレーム、 20R:右側伝動フレーム、 26C、26L、26R:耕耘ロータ、 26Ca、26La、26Ra:回転軸、 26Cb、26Lb、26Rb:耕耘爪、 60L、60R:軸受ハウジング、 61L、61R:フランジ部、 62L、62R:円筒部、 63L、63R:残耕処理部、 64、84:第1締結孔、 65:皿ボルト、 67:第2締結孔、 80L、80R:軸受ハウジング、 81L、81R:フランジ部、 82L、82R:円筒部、 83L、83R:残耕処理部、 70L、70R:側板