(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】ゴム組成物および加工方法、並びにそれを用いたゴムホースおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 11/08 20060101AFI20221013BHJP
C08L 23/16 20060101ALI20221013BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221013BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20221013BHJP
C08K 3/06 20060101ALI20221013BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20221013BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20221013BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20221013BHJP
B29C 48/09 20190101ALI20221013BHJP
B29C 48/151 20190101ALI20221013BHJP
B29C 48/32 20190101ALI20221013BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20221013BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20221013BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
F16L11/08 A
C08L23/16
C08K3/013
C08K3/01
C08K3/06
C08K5/14
C08J3/20 D CES
C08J3/24
B29C48/09
B29C48/151
B29C48/32
C08K3/22
C08L71/02
C08L23/06
(21)【出願番号】P 2019559147
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2018072374
(87)【国際公開番号】W WO2018130199
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-12
(31)【優先権主張番号】201810020852.5
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710024697.X
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519253823
【氏名又は名称】ハンジョウ シングル テクノロジーズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU XINGLU TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Patent Department,Room 102,BuildingNo.17,No.1,Jiaogong Road,Xihu District,Hangzhou,Zhejiang 310012,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】シュー,タオ
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジー シェン
(72)【発明者】
【氏名】ウ,アン ヤン
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103980596(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105017658(CN,A)
【文献】特表2020-505499(JP,A)
【文献】特表2020-506282(JP,A)
【文献】特開2013-194232(JP,A)
【文献】特開2001-247731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00 - 101/16
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、
分岐ポリエチレンの含有量a:0<a≦100部であり、
EPMとEPDMの含有量b:0≦b<100部であるゴムマトリックス
(a+b=100)と、
ゴムマトリックス100重量部に対して、架橋剤1.5~8部、補強充填剤50~200部、可塑剤10~100部を含む必須成分と、を含むゴム組成物であって、前記分岐ポリエチレンは、エチレンホモポリマーを含み、分岐度が
80~105分岐/1000炭素
、重量平均分子量が
25.0万~40.0万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が2以上であることを特徴とする
ゴムホースを製造するためのゴム組成物。
【請求項2】
ゴムマトリックス100重量部のうち、分岐ポリエチレンの含有量a:10≦a≦100重量部であり、EPMとEPDMの含有量b:0≦b≦90部であり、分岐ポリエチレンは、エチレンホモポリマーであって、分岐度が
82~
102分岐/1000炭
素であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記架橋剤は、硫黄または過酸化物架橋剤の少なくとも一つを含み、前記過酸化物架橋剤は、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ-tert-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネートの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記補強充填剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、タルク粉、珪藻土の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記可塑剤は、ステアリン酸、パインタール油、モーター油、ナフテン油、パラフィン油、クマロン
、パラフィン、液体ポリイソブチレン、ジオクチルセバケートの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項6】
ゴムマトリックス100重量部に対して、重量部で、架橋助剤0.2~8部、金属酸化物2~15部、安定剤1~3部、ポリエチレングリコール1~5部、加硫促進剤0~3部を含む補助成分をさらに含み、
前記架橋助剤は、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルトリメリテート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド
、ビスフルフリリデンアセトン、1,2-ポリブタジエン、不飽和カルボン酸金属塩および硫黄の少なくとも一つを含み、
前記金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの少なくとも一つを含み、
前記安定剤は、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー(RD)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(AW)、2-メルカプトベンズイミダゾール(MB)の少なくとも一つを含み、
前記ポリエチレングリコールは、2000、3400、
または4000の分子量を有するポリエチレングリコールの少なくとも一つを含み、
前記加硫促進剤は、2-チオールベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、ビスマレイミド、エチレンチオ尿素の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項7】
(1)密閉式混練機の温度と回転子の回転数を設定し、用いられるゴム組成物中の架橋系以外の成分を順次に密閉式混練機に投入して混練した後、架橋系を添加し、混練後にゴムを排出させる工程であって、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよい工程と、
(2)工程(1)で得られた混練ゴムをオープンロールで薄通ししてシートとして取り出し、放置する工程と、
(3)金型のキャビティ内に混練ゴムを充填し、プレス加硫機で加熱加圧加硫した後、離型することで加硫ゴムが得られる工程と、
を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物の加工方法。
【請求項8】
使用されるゴム混合物が請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物からなることを特徴とするゴムホース。
【請求項9】
(1)まず、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し
、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
(2)コールドフィード押出機を用いて、マンドレル上にゴム層を押し出してホースブランクを得て、蒸気加硫を行ってから冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫してゴムホースを得る押出と成形工程と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載のゴムホースの製造方法。
【請求項10】
内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物からなることを特徴とする自動車用ラジエータゴムホース。
【請求項11】
(1)密閉式混練機の温度および回転子の回転数を適切に設定し、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し
、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
(2)コールドフィード押出機を用いて、内側ゴム層を押し出した後、内側ゴム層に繊維強化層を編み、さらに、外側ゴム層を押し出してホースブランクを得て、加硫のためにホースブランクを切断する押出と成形工程と、
(3)マンドレルをホースブランクに挿入し、蒸気加硫を行ってから冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫して自動車用ラジエータゴムホースを得る加硫工程と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の自動車用ラジエータゴムホースの製造方法。
【請求項12】
内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物からなることを特徴とする空調ゴムホース。
【請求項13】
(1)密閉式混練機の温度および回転子の回転数を適切に設定し、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し
、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
(2)マンドレルを用意し、マンドレル上にナイロンアロイライニングを押し出し、内側ゴム層を押し出して、繊維強化層を編み、次いで外側ゴム層を押し出す押出と成形工程と、
(3)テープ巻付加硫を行い、テープの巻付を解き、マンドレルから取り外して切断することで空調ゴムホースを得る加硫工程と、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の空調ゴムホースの製造方法。
【請求項14】
内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが請求項1~6のいずれか一項に記載のゴム組成物からなることを特徴とするゴムホース組立体。
【請求項15】
(1)オープンロールまたは密閉式混練機を用いて、前記内側ゴム層および外側ゴム層の原料をそれぞれ内層混練ゴムおよび外層混練ゴムに加工し、検出に合格してから、不純物を濾過によって除去するゴム混練工程と、
(2)コールドフィード押出機を用いて内側ゴム層を押し出し、さらに、内側ゴム層の外面にアラミド繊維層を編み、最後に、外側ゴム層押出機により外層混練ゴムを押し出し、前記アラミド繊維層の外面を被覆してホースブランクを形成するホースブランクの成形工程と、
(3)前記ホースブランクをホースモールドのマンドレル上に装着し、蒸気加硫缶に置き、蒸気で0.9MPaに加圧し、175℃に加温し、25分間加硫して加硫ゴムホースを得る加硫工程と、
(4)前記加硫ゴムホースを洗浄して裁断した後、各ホースの両端にプレオープンしたクランプフープを接着してゴムホース組立体を得るクランプフープの装着工程と、
を含むことを特徴とする請求項14に記載のゴムホース組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムの技術分野に関し、具体的には、ゴム組成物および該ゴム組成物を得る加工方法に関し、さらに該ゴム組成物を用いたゴムホース、および製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エチレンプロピレンゴム(EPR)は、ゴムホースの分野において広く応用されており、一部のゴムホースの応用分野(例えば、自動車用ラジエータゴムホース、ブレーキゴムホース)において耐熱性、圧縮永久歪み耐性に対する要求がますます高くなるに伴い、ゴムホース加硫プロセスでは、より良好な耐熱性、圧縮永久歪み耐性を得るために、元々採用された硫黄加硫から徐々に過酸化物加硫を採用する傾向にある。しかしながら、過酸化物加硫を採用すると、硫黄加硫よりもゴムの引裂強さが低く、ゴムホースの製造過程においてより多くの廃棄物を生じさせ、製造効率を低下させ、製造コストを増大させてしまう。
【0003】
EPRは、飽和主鎖を持つ合成ゴムで、エチレン-プロピレン共重合体(EPM)とエチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)の2つに分類でき、どちらも老化防止性に優れている。EPR製品のうち、EPDMが通常使用されているが、EPDMは第三モノマーを含み、分子鎖が二重結合を含み、それに対して、EPMは、分子鎖が完全に飽和しているので、EPMはより優れた老化防止性を有する。従って、老化防止性が高く要求される場合には、EPMを併用することによってEPDMの老化防止性を改善することが一般的な技術方案である。しかしながら、EPMは、機械的強度が低いので、全体的な物理的・機械的性質に影響を与える。
【0004】
EPMはエチレンとプロピレンの共重合体で、エチレンとα-オレフィンの共重合体に属する。エチレンとα-オレフィンの共重合体は、炭素/水素元素のみを含み、分子鎖が飽和しているポリマーであり、このような共重合体における通常の炭素原子のタイプは、一般に、第一級、第二級および第三級炭素に分類できる。第三級炭素原子は、最も水素が引き抜かれてラジカルを形成しやすいので、全炭素原子に占める第三級炭素原子の割合は、一般には、エチレンとα-オレフィンの共重合体の老化防止性に影響を及ぼす主な要因であると考えられる。この割合が低いほど、老化防止性が良くなる。この割合は、分岐度で表すことができ、例えば、プロピレン含有量が60重量%のEPMは、炭素数1000個あたりプロピレン単位を200個含有し、すなわち第三級炭素数200個またはメチル分岐鎖200個を含有すると計算することができるので、その分岐度は200分岐/1000炭素である。EPMは、一般的に、エチレン含有量が40~65重量%または40~60重量%のであるので、その分岐度は一般に117~200分岐/1000炭素または133~200分岐/1000炭素の範囲にある。この分岐度は、他の一般的なエチレンとα-オレフィンの共重合体よりも高いと考えられる。
【0005】
従来技術において、一般的なエチレンとα-オレフィンの共重合体におけるα-オレフィンは、プロピレンに加えて、炭素原子数が4以上のα-オレフィンを選択してもよく、C4-C20のα-オレフィンから選択されてもよく、通常、1-ブチレン、1-ヘキセンおよび1-オクテンから選択される。エチレンとα-オレフィンの共重合体は、分岐度が低すぎると、融点および結晶化度が高すぎてゴム成分としての使用に適しない一方、分岐度が高すぎると、α-オレフィンの含有量が多くなることによって、加工困難性および原材料費が高くなり、操作性および経済性が低くなる。従来技術において、エチレンと1-ブテンまたはエチレンと1-オクテンとを共重合して得られるポリオレフィンは、結晶化度および融点によってポリオレフィンプラストマーまたはポリオレフィンエラストマーと呼ばれることがある。ポリオレフィンエラストマーの一部の品番は、適度な結晶化度と融点を持つことから、EPRと良好に併用でき、しかも、分岐度が低いので、EPRの老化防止性を改善するのに望ましい材料と考えられ、ある程度でEPRの代わりに使用されることが可能である。エチレンと1-オクテンの共重合体は、エチレンと1-ブテンの共重合体と比べて、分子鎖が柔らかく、ゴム弾性と良好な物理・機械的性質を有するので、現在、一般的に、ゴム製品に通常に使用されるポリオレフィンエラストマーは、エチレンと1-オクテンの共重合体である。そのオクテンは一般に45重量%以下で、より一般的には40重量%以下であり、対応する分岐度は、一般に56分岐/1000炭素以下であり、より一般的に50分岐/1000炭素以下であり、EPMの分岐度よりもはるかに低い。したがって、エチレンと1-オクテンの共重合体は、非常に優れた老化防止性を備えるとともに、良好な物理・機械的性質を有する。
【0006】
一般的には、ゴムは、使用する前に架橋することが必要であり、EPRに通常に使用される架橋方式のうちエチレンとα-オレフィンの共重合体に適するものは、過酸化物架橋または放射線架橋であってもよく、それらの両方は、主に第三級炭素の水素原子が引き抜かれることによって、第三級炭素ラジカルを形成してから、ラジカル結合により炭素-炭素架橋を形成するが、エチレンと1-オクテンの共重合体(以下、単にPOEという)は第三級炭素原子が少なく、第三級炭素原子に結合している分岐鎖が長く、立体障害が大きく、ラジカル反応が起こりにくいことにより、架橋が困難となり、加工効率および製品性能に影響を及ぼし、例えば、圧縮永久歪み耐性が要求を満たし難いものである。
【0007】
このように、現在、EPRの老化防止性を改善することができるとともに、良好な物理・機械的性質および架橋性能を備えることができ、ゴム製品に必要な特定の機能的指標(例えば、圧縮永久歪み耐性など)に対し良好な性能を発揮する見込みがあるようなより好適な技術方案が必要である。
【発明の概要】
【0008】
従来技術における課題に対して、本発明は、EPRを分岐度が50分岐/1000炭素以上の分岐ポリエチレンで一部または全部置換し、過酸化物架橋を用いたゴム組成物、並びにゴム組成物のゴムホースへの応用および製造方法を提供する。新しいゴム組成物は、ゴムホースの内側ゴム層および/または外側ゴム層に用いられるゴム混合物として用いられてもよく、全ゴムホースに用いられるゴム混合物として用いられてもよい。
【0009】
本発明のゴム組成物のゴムマトリックスは、完全に分岐ポリエチレンで構成されてもよく、分岐ポリエチレンとEPMから構成されてもよく、分岐ポリエチレンとEPDMから構成されてもよく、分岐ポリエチレン、EPMおよびEPDMから構成されてもよい。分岐ポリエチレンとEPMとの組合せは、EPMの機械的性質と加工性を改善でき、分岐ポリエチレンとEPDMとの組合せは、EPDMの耐熱老化性および機械的性質を改善でき、EPDMにおける少量のジエンは、過酸化物加硫において既存の架橋助剤と同じ役割を果たす。
【0010】
前記目的を達成するために、本発明で採用される技術方案は、重量部で、分岐ポリエチレンの含有量a:0<a≦100部であり、EPMとEPDMの合計含有量b:0≦b<100部であるゴムマトリックスと、ゴムマトリックス100重量部に対して、架橋剤1.5~8部、補強充填剤50~200部、可塑剤10~100部を含む必須成分と、を含むゴム組成物であって、分岐ポリエチレンは、分岐度が50分岐/1000炭素以上、重量平均分子量が5万以上、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が2以上であるゴム組成物に関する。
【0011】
「分岐ポリエチレン」は、先行技術において、分岐鎖を有するエチレンホモポリマーに加えて、分岐鎖を有する飽和ビニル共重合体を指すこともでき、エチレン-α-オレフィン共重合体などが一般的に使われ、POEであってもよい。POEは物理・機械的性質および老化防止性において良好に機能するが、架橋性能は乏しいので、本発明に記載される分岐ポリエチレンは、分岐エチレンホモポリマーおよびPOEの両方を同時に含むことができるが、分岐ポリエチレンが分岐エチレンホモポリマーを高い割合で含有し、又は分岐エチレンホモポリマーのみを含有することは好ましい選択である。本発明の好ましい技術方案は、分岐ポリエチレンが分岐エチレンホモポリマーのみを含有することである。
【0012】
本発明の技術方案についてのさらなる説明において、使用される分岐ポリエチレンは、特に断りがない限り、分岐エチレンホモポリマーである。
【0013】
本発明に用いられる分岐ポリエチレンは、分岐度が50分岐/1000炭素以上であるエチレンホモポリマーの一種であり、分岐ポリエチレン(Branched Polyethylene)または分岐PE(Branched PE)と呼ばれることができ、現在では、後期遷移金属触媒が、「チェーンウォーキングメカニズム」に基づいてエチレンの単独重合を触媒することで得ることは、その主な合成方法である。好ましい後期遷移金属触媒は(α-ジイミン)ニッケル/パラジウム触媒の1つであってもよい。そのチェーンウォーキングメカニズムは、後期遷移金属触媒、例えば、(α-ジイミン)ニッケル/パラジウム触媒は、オレフィンの重合を触媒する過程でβ-水素脱離反応および再挿入反応を起こしやすく、それによって分岐鎖が生じることを本質とする。このような分岐ポリエチレンの主鎖に基づく分岐鎖は、異なる炭素原子数、具体的には1~6個以上の炭素原子を有することができる。
【0014】
(α-ジイミン)ニッケル触媒は、(α-ジイミン)パラジウム触媒よりも製造コストが著しく低く、(α-ジイミン)ニッケル触媒は、エチレンの重合を触媒する速度が速く、活性が高く、工業的用途により適している。従って、本発明においては、(α-ジイミン)ニッケル触媒によりエチレンの重合を触媒して調製した分岐ポリエチレンが好ましい。
【0015】
本発明に用いられる分岐ポリエチレンは、分岐度が50~130分岐/1000炭素が好ましく、60~130分岐/1000炭素がより好ましく、60~116分岐/1000炭素がさらに好ましく、分岐度がPOEとEPMとの間にあることにより、従来技術とは異なる新しい技術方案を提供し、優れた老化防止性および良好な架橋性能を両立させることができる。
【0016】
架橋性能は、架橋密度および架橋速度などの要因を含み、加工過程におけるゴムマトリックスの架橋能力を具体的に表すものである。
【0017】
本発明に用いられる分岐ポリエチレンは、メチル基分岐含有量が40%以上または50%以上であり、EPMの構造とある程度の類似性を有することが好ましい。架橋能力に関しては、分岐度(第三級炭素原子の含有量)および第三級炭素原子の周辺の立体障害が、飽和ポリオレフィンの架橋能力に影響を及ぼす2つの主な要因である。本発明に用いられる分岐ポリエチレンは、EPMに対して分岐度が低く、また、分岐ポリエチレンは、炭素数が2以上の分岐鎖を有することから、本発明に用いられる分岐ポリエチレンの第三級炭素原子の周辺の立体障害が、理論的にはEPMよりも大きい。2つの要因を総合してみれば、本発明に用いられる分岐ポリエチレンの架橋能力はEPMよりも弱く、EPDMよりも一層弱いと判断できる。しかしながら、本発明に用いられる一部の分岐ポリエチレンの実際の架橋能力は、EPDMに近く、ひいてはEPDMと同等またはそれよりも優れるようになることができる。これは、本発明のゴム組成物は良好な老化防止性を得ることができるとともに、架橋能力を弱めることがなく、ひいては優れた架橋性能を有し、予想外の有益な効果を達成することができることを意味する。
【0018】
これは、たぶん、本発明の好ましい技術方案に用いられる分岐ポリエチレンに適当な数の二次分岐鎖構造が存在し得ると解釈されることができる。二次分岐鎖構造とは、分岐鎖にさらに分岐鎖が存在する構造をいう。この構造は、チェーンウォーキング中に「branch-on-branch」とも呼ばれ、二次分岐鎖の第三級炭素原子の周辺の立体障害が小さいため、架橋反応が一層起こりやすくなる。二次分岐鎖構造を有することは、本発明の好ましい技術方案で使用される分岐ポリエチレンと従来技術のEPMまたは通常のエチレン-α-オレフィン共重合体との目立った差異である。
【0019】
立体障害の小さい二次分岐鎖構造を使用することによって飽和ポリオレフィンエラストマーの架橋能力を改善することは、新しい技術方案である。本発明の技術方案では、ゴムマトリックスに二次分岐鎖構造を有するビニル共重合体または他の飽和炭化水素ポリマーが含まれる場合も、本発明の技術的保護の範囲内にあると考えられる。前記ビニル共重合体とは、エチレンと分岐鎖を有するα-オレフィンとの共重合体をいい、二次分岐鎖構造を有する。分岐鎖を有するα-オレフィンは、イソブチレン、3-メチル-1-ブチレン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、2-メチル-1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘプテン、4-メチル-1-ヘプテン、5-メチル-1-ヘプテン、6-メチル-1-ヘプテンなどから選択でき、コモノマーは、通常の直鎖状α-オレフィンをさらに同時に含んでもよい。
【0020】
従来技術において、(α-ジイミン)ニッケル触媒によって調製された分岐ポリエチレンは、二次分岐鎖構造を持ち難く、少なくとも十分に識別されることが困難であると一般的に考えられる。本発明の技術方案は、分岐ポリエチレンの構造分析に新しいアイデアも提供する。
【0021】
EPRと比較すると、分岐ポリエチレンが適切な数の二次分岐鎖構造を有する場合、分岐ポリエチレンの架橋点は、過酸化物の架橋過程において主鎖の第三級炭素に生成してもよく、二次構造の分岐鎖の第三級炭素に生成してもよい。そのため、分岐ポリエチレンは、過酸化物の架橋によって形成されるゴム網状構造がEPRと比べて、主鎖間に豊富なC-C結合セグメントを有することによって、応力集中を効果的に回避でき、引裂強さを含むより良好な機械的性質を得るのに寄与する。したがって、本発明の技術方案は、良好な耐熱性と引裂強さとの両方を有するゴム混合物およびゴムホースを提供することができる。
【0022】
さらなる技術方案では、ゴムマトリックス100重量部のうち、分岐ポリエチレンの含有量a:10≦a≦100部であり、EPMとEPDMの含有量b:0≦b≦90部であり、分岐ポリエチレンは、エチレンホモポリマーであって、分岐度が60~130分岐/1000炭素、重量平均分子量が6.6万~51.8万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が6~102である。
【0023】
分岐ポリエチレンについて、さらに好ましい技術方案では、分岐度が70~116分岐/1000炭素、重量平均分子量が20.1万~43.6万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が23~101である。
【0024】
分岐ポリエチレンについて、さらに好ましい技術方案では、分岐度が80~105分岐/1000炭素、重量平均分子量が25.0万~40.0万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が40~95である。
【0025】
分岐ポリエチレンについて、さらに好ましい技術方案では、分岐度が80~105分岐/1000炭素、重量平均分子量が26.8万~35.6万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が42~80である。
【0026】
さらなる技術方案では、前記EPDMの第三モノマーは、好ましくはジエン系モノマーであり、具体的には、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ペンタジエン、2-メチル-1,4-ペンタジエン、3-メチル-1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,9-デカジエン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-ペンチレン-2-ノルボルネン、1,5-シクロオクタジエン、1,4-シクロオクタジエンなどから選択できる。特殊的には、EPRは、ジエン系モノマーを2種以上同時に含有し、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネンを同時に含有してもよい。ジエン系モノマーの官能基は、過酸化物加硫において既存の架橋助剤と同じ役割を果たし、架橋効率を向上させることができる。これは、必要とされる架橋剤と架橋助剤の使用量および残存量ならびにそれらの添加にかかるコストを減らすのに役立つ。EPRに占めるジエン系モノマーの割合は、1~14重量%が好ましく、3~10重量%がより好ましく、4~7重量%がさらに好ましい。
【0027】
さらなる技術方案では、架橋剤は、過酸化物架橋剤および硫黄の少なくとも一つを含み、前記過酸化物架橋剤は、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、1,1-ジ-tert-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネートの少なくとも一つを含む。より好ましくは架橋剤が2~6重量部である。
【0028】
さらなる技術方案では、補強充填剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、焼成クレー、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、タルク粉、珪藻土の少なくとも一つを含み、好ましくはゴムマトリックス100重量部に対して、カーボンブラック40~150重量部をさらに含み、カーボンブラックは、ゴム補強剤としてゴム混合物の機械的強度を大幅に向上させることができる。ここで、タルク粉は、ビニルシランカップリング剤で処理されたタルク粉がさらに好ましい。
【0029】
さらなる技術方案では、可塑剤は、ステアリン酸、パインタール油、モーター油、ナフテン油、パラフィン油、クマロン、RX-80、パラフィン、液体ポリイソブチレン、ジオクチルセバケートの少なくとも一つを含む。そのうち、ステアリン酸は、硫黄加硫ベースを主とするシステムにおいて活性剤として機能することもでき、いくつかの金属酸化物と可溶性塩を形成し、促進剤に対する金属酸化物の活性機能を増大させ得る。可塑剤を合理的に使用することにより、ゴム混合物の弾性およびプロセス操作に適した可塑性を高めることができる。粘性を上げるために、さらに、パインタール油、クマロン、RX-80、液体ポリイソブチレン等の増粘機能を有する助剤を好ましく用いることもできる。
【0030】
さらなる技術方案では、ゴム組成物は、ゴムマトリックス100重量部に対して、架橋助剤0.2~8部、金属酸化物2~15部、安定剤1~3部、ポリエチレングリコール1~5部、加硫促進剤0~3部を含む補助成分をさらに含む。
【0031】
さらなる技術方案では、架橋助剤は、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリアリルトリメリテート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-ビスフルフリリデンアセトン、1,2-ポリブタジエン、不飽和カルボン酸金属塩、および硫黄の少なくとも一つを含み、前記不飽和カルボン酸金属塩は、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、およびメタクリル酸アルミニウムの少なくとも一つを含む。
【0032】
さらなる技術方案では、金属酸化物は、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウムの少なくとも一つを含む。
【0033】
さらなる技術方案では、安定剤は、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー(RD)、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(AW)、2-メルカプトベンズイミダゾール(MB)の少なくとも一つを含む。
【0034】
さらなる技術方案では、前記ポリエチレングリコールは、2000、3400、4000の分子量を有するポリエチレングリコールの少なくとも一つを含む。
【0035】
さらなる技術方案では、前記加硫促進剤は、2-チオールベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾールジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジ-n-ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、ビスマレイミド、エチレンチオ尿素の少なくとも一つを含む。
【0036】
本発明の実施形態では、ゴム混合物の粘性を改善するために、ゴム組成物は増粘剤をさらに含んでもよく、前記可塑剤のうちのパインタール油、クマロン樹脂、RX-80、および液体ポリイソブチレンは、増粘剤の機能を同時に有し、液体クマロン樹脂が固体クマロン樹脂よりも優れた増粘効果を有し、増粘剤は、さらに、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、水添ロジン、テルペン樹脂、アルキルフェノール樹脂、変性アルキルフェノール樹脂、アルキルフェノール-アセチレン樹脂等の通常使用される増粘剤から選択されてもよい。増粘剤の使用量は、ゴムマトリックス100重量部に対して、通常30重量部以下であり、より好ましくは10重量部以下であり、さらに好ましくは5重量部以下である。
【0037】
本発明により提供されるゴム組成物に係る架橋剤、架橋助剤および加硫促進剤はすべて架橋系に属する。
【0038】
本発明のゴム組成物は、未架橋の混練ゴムの形態で存在してもよく、さらに架橋反応した後に、加硫したゴムの形態で存在してもよい。加硫したゴムは単に加硫ゴムと呼ぶこともできる。
【0039】
本発明は、
【0040】
(1)密閉式混練機の温度と回転子の回転数を設定し、用いられるゴム組成物中の架橋系以外の成分を順次に密閉式混練機に投入して混練した後、架橋系を添加し、混練後にゴムを排出させ、得られた混練ゴムをオープンロールで薄通ししてシートとして取り出し、放置する工程であって、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
【0041】
(2)金型のキャビティ内に混練ゴムを充填し、プレス加硫機で加熱加圧加硫した後、離型することで加硫ゴムが得られる工程であって、加硫ゴムの機械的強度および圧縮永久歪み耐性を改善するために、さらに二段階加硫プロセスを用いて加硫を行ってもよい加硫工程と、
【0042】
を含む前記ゴム組成物の加工方法をさらに提供する。
【0043】
本発明は、使用されるゴム混合物が前記ゴム組成物からなる全ゴムホースをさらに提供する。
【0044】
(1)まず、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し、加硫するために放置する工程であって、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
【0045】
(2)コールドフィード押出機を用いて、マンドレル上にゴム層を押し出してホースブランクを得て、蒸気加硫を行ってから冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫してゴムホースを得る押出と成形工程と、
【0046】
を含む前記全ゴムホースの製造方法。
【0047】
本発明は、内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが前記ゴム組成物からなる自動車用ラジエータゴムホースをさらに提供する。
【0048】
本発明は、
【0049】
(1)密閉式混練機の温度および回転子の回転数を適切に設定し、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し、加硫するために放置する工程であって、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
【0050】
(2)コールドフィード押出機を用いて、内側ゴム層を押し出した後、内側ゴム層に繊維強化層を編み、さらに、外側ゴム層を押し出してホースブランクを得て、加硫のためにホースブランクを切断する押出と成形工程と、
【0051】
(3)マンドレルをホースブランクに挿入し、蒸気加硫を行ってから冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫して自動車用ラジエータゴムホースを得る加硫工程と、
【0052】
を含む自動車用ラジエータゴムホースの製造方法をさらに提供する。
【0053】
本発明は、内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが前記ゴム組成物からなる空調ゴムホースをさらに提供する。
【0054】
本発明は、
【0055】
(1)密閉式混練機の温度および回転子の回転数を適切に設定し、架橋系以外のゴム組成物の成分を重量部に応じて順次に密閉式混練機に添加して混練した後、架橋系を添加し均一に混練してから排出させ、混練ゴムを得て、混練ゴムをオープンロールで薄通ししてからシートとして取り出し、加硫するために放置する工程であって、架橋系は架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよいゴム混練工程と、
【0056】
(2)マンドレルを用意し、マンドレル上にナイロンアロイライニングを押し出し、内側ゴム層を押し出して、繊維強化層を編み、次いで外側ゴム層を押し出す押出と成形工程と、
【0057】
(3)テープ巻付加硫を行い、テープの巻付を解き、マンドレルから取り外して切断することで空調ゴムホースを得る加硫工程と、
【0058】
を含む空調ゴムホースの製造方法をさらに提供する。
【0059】
さらなる技術方案では、前記ラジエータゴムホースまたは空調ゴムホースの外側ゴム層に用いられるゴム混合物は、繊維強化層との粘着性を向上させるために粘着剤をさらに含んでもよい。粘着剤の成分は、ポリイソシアネート塩であってもよく、使用量は1~3重量部が好ましい。
【0060】
本発明は、内側ゴム層および外側ゴム層の少なくとも一つが前記ゴム組成物からなるゴムホース組立体をさらに提供する。
【0061】
本発明は、
【0062】
(1)オープンロールまたは密閉式混練機を用いて、前記内側ゴム層および外側ゴム層の原料をそれぞれ内層混練ゴムおよび外層混練ゴムに加工し、検出に合格してから、不純物を濾過によって除去するゴム混練工程と、
【0063】
(2)コールドフィード押出機を用いて内側ゴム層を押し出し、さらに、内側ゴム層の外面にアラミド繊維層を編み、最後に、外側ゴム層押出機により外層混練ゴムを押し出し、前記アラミド繊維層の外面を被覆してホースブランクを形成するホースブランクの成形工程と、
【0064】
(3)前記ホースブランクをホースモールドのマンドレル上に装着し、蒸気加硫缶に置き、蒸気で0.9MPaに加圧し、175℃に加温し、25分間加硫して加硫ゴムホースを得る加硫工程と、
【0065】
(4)前記加硫ゴムホースを洗浄して裁断した後、各ホースの両端にプレオープンしたクランプフープを接着してゴムホース組立体を得るクランプフープの装着工程と、
【0066】
を含むゴムホース組立体の製造方法をさらに提供する。
【0067】
従来技術と比較して、本発明の有益な効果は、他の配合成分が同一または類似する条件で、分岐ポリエチレンを含むゴム組成物は、より高い引張強さおよび引裂特性を有することである。このようなゴム組成物を原料としてゴムホースを製造することにより、製造および使用過程においてゴムホースが引裂する確率を著しく低下させることができる。また、このようなゴム組成物は、150℃熱空気老化防止性がEPRを単独で用いたゴム組成物と同じレベルに維持されることができ、あるいは、やや優位にあり、現在同じタイプの自動車用ラジエータゴムホースおよび空調ゴムホースに対する高温耐性という使用要求を満たすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、実施例により本発明に係るゴム組成物とゴムホースについてさらに説明する。以下の実施例は、単に技術方案を説明するためのものであり、本発明の内容を制限することを意図するものではない。実施例では、特に断りがない限り、重量部である。
【0069】
本発明の実施形態をより明確に説明するために、本発明に係る材料を以下に定義する。
【0070】
架橋系は、架橋剤を含み、架橋助剤および加硫促進剤の少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0071】
本発明において、ゴムマトリックスに用いられるEPMは、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が20~50であることが好ましく、エチレンの含有量が45~60%であることが好ましい。使用されるEPDMのムーニー粘度ML(1+4)125℃は、20~100が好ましく、40~80がより好ましく、エチレンの含有量は、55~75%が好ましく、第三モノマーは、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネンまたはジシクロペンタジエンであり、第三モノマーの含有量は1%~7%である。
【0072】
使用される分岐ポリエチレンは、(α-ジイミン)ニッケル触媒で触媒助剤の作用下でエチレンの単独重合を触媒することによって得られる。使用される(α-ジイミン)ニッケル触媒の構造、合成方法およびそれによる分岐ポリエチレンの調製方法は、先行技術に開示されており、CN102827312A、CN101812145A、CN101531725A、CN104926962A、US6103658、US6660677に記載される技術を使用することができるが、これらに限定されない。
【0073】
用いられる分岐ポリエチレンは、分岐度が60~130分岐/1000炭素、重量平均分子量が6.6万~51.8万、ムーニー粘度ML(1+4)125℃が6~102であることを特徴とする。ここで、分岐度は1H-NMRにより測定され、各分岐モル%は13C-NMRにより測定された。
【0074】
【0075】
具体的な実施形態および関連実験に係るゴム性能試験方法:
【0076】
1、硬さ試験:中国国家標準GB/T531.1-2008に従って、硬さ試験機で試験を行い、試験温度を室温とした。
【0077】
2、引張強さ、切断時伸び性能試験:中国国家標準GB/T528-2009に従って、電子引張試験機で試験を行い、引張速度を500mm/分、試験温度を23±2℃、サンプルを2型ダンベル状サンプルとした。
【0078】
3、引裂性能試験:中国国家標準GB/T529-2008に従って、電子引張試験機で試験を行い、引張速度を500mm/分、試験温度を23±2℃、サンプルを直角形のサンプルとした。
【0079】
4、ムーニー粘度試験:中国国家標準GB/T1232.1-2000に従って、ムーニー粘度計で試験を行い、試験温度を125℃とし、1分間予熱し、4分間試験を行った。
【0080】
5、熱空気老化加速試験:中国国家標準GB/T3512-2001に従って、熱老化試験チャンバーで行い、試験条件を150℃×72hとした。
【0081】
6、最適加硫時間Tc90試験:中国国家標準GB/T16584-1996に従って、ローターレス加硫機で行い、試験温度を170℃とした。
【0082】
以下、実施例1~12および比較例1、2の加硫条件は、同様に、温度:170℃、圧力:16MPa、時間Tc90+1minとした。
【0083】
実施例1:
【0084】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-7であった。
【0085】
加工工程は次のとおりである。
【0086】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を100℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 90部および分岐ポリエチレン10部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部をを添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0087】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0088】
実施例2:
【0089】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-6であった。
【0090】
加工工程は次のとおりである。
【0091】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 85部および分岐ポリエチレン15部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0092】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0093】
実施例3:
【0094】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-4であった。
【0095】
加工工程は次のとおりである。
【0096】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を70℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 70部および分岐ポリエチレン30部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部をを添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0097】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0098】
実施例4:
【0099】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-5であった。
【0100】
加工工程は次のとおりである。
【0101】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 50部および分岐ポリエチレン50部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0102】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0103】
実施例5:
【0104】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-5であった。
【0105】
加工工程は次のとおりである。
【0106】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPM 20部、EPDM 30部および分岐ポリエチレン50部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 100部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0107】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0108】
実施例6:
【0109】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-5であった。
【0110】
加工工程は次のとおりである。
【0111】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 30部および分岐ポリエチレン70部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 2部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 170部、パラフィン油SUNPAR2280 100部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)8部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)3部をを添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0112】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0113】
実施例7:
【0114】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-5であった。
【0115】
加工工程は次のとおりである。
【0116】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、分岐ポリエチレン100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0117】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0118】
比較例1:
【0119】
加工工程は次のとおりである。
【0120】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部およびパラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部をを添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0121】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【表2】
【0122】
実施例8:
【0123】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-3およびPER-5であった。
【0124】
加工工程は次のとおりである。
【0125】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、PER-3 30部およびPER-5 70部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 100部、炭酸カルシウム100部およびパラフィン油SUNPAR2280 80部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)4部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)2部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0126】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0127】
実施例9:
【0128】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-4であった。
【0129】
加工工程は次のとおりである。
【0130】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を60℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 30部および分岐ポリエチレン70部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 30部、カーボンブラックN774 50部、パラフィン油SUNPAR2280 15部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部および架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0131】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0132】
実施例10:
【0133】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-5であった。
【0134】
加工工程は次のとおりである。
【0135】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 70部および分岐ポリエチレン30部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛3部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 50部、パラフィン油SUNPAR2280 10部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)1部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)0.3部、架橋剤である硫黄0.5部、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CZ)1部およびテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)0.8部をを添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0136】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0137】
実施例11:
【0138】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-2およびPER-5であった。
【0139】
加工工程は次のとおりである。
【0140】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、PER-2 20部およびPER-5 80部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛10部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 40部、カーボンブラック774 60部、パラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤である1,2-ポリブタジエン8部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0141】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0142】
実施例12:
【0143】
用いられた分岐ポリエチレンの番号はPER-1およびPER-5であった。
【0144】
加工工程は次のとおりである。
【0145】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、PER-1 10部およびPER-5 90部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化マグネシウム5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 100部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)5部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)2部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0146】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【0147】
比較例2:
【0148】
加工工程は次のとおりである。
【0149】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を60℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 30部、カーボンブラックN774 50部、パラフィン油SUNPAR2280 30部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した。
【0150】
(2)加硫後、16時間放置してから、各試験を行った。
【表3】
【0151】
実施例13:
【0152】
自動車用ラジエータゴムホースは、その内側ゴム層に用いられたゴム組成物が実施例7に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは以下のとおりである。
【0153】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、分岐ポリエチレン100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをオープンロールで薄通ししてから、シートとして取り出し、加硫のために放置した。
【0154】
(2)押出と成形:コールドフィード押出機を用いて、内側ゴム層を押し出した後、内側ゴム層に繊維強化層を編み、さらに、外側ゴム層を押し出してホースブランクを得て、加硫のためにホースブランクを切断した。
【0155】
(3)加硫:マンドレルをホースブランクに挿入し、高温蒸気加硫を採用し、温度が165℃、蒸気圧が1MPaになると、25分間加硫してから、冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫して自動車用ラジエータゴムホースを得た。内側ゴム層に用いられたゴム組成物は、実施例7に用いられたゴム組成物であった。
【0156】
実施例14:
【0157】
自動車用ラジエータゴムホースは、その外側ゴム層に用いられたゴム組成物が実施例7に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは実施例13と同じであった。
【0158】
実施例15:
【0159】
自動車用ラジエータゴムホースは、その内側ゴム層および外側ゴム層に用いられたゴム組成物がすべて実施例7に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは実施例13と同じであった。
【0160】
実施例16:
【0161】
空調ゴムホースは、内側ゴム層に用いられたゴム組成物が実施例9に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは以下のとおりである。
【0162】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を60℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、EPDM 30部および分岐ポリエチレン70部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤RD 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 30部、カーボンブラックN774 50部、パラフィン油SUNPAR2280 15部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、1部の架橋助剤であるN,N’-m-フェニレンビスマレイミド(HVA-2)、架橋助剤である硫黄0.3部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをオープンロールで薄通ししてから、シートとして取り出し、加硫のために放置した。
【0163】
(2)押出と成形:マンドレルを用意し、マンドレル上にナイロンアロイライニングを押し出し、内側ゴム層を押し出して、繊維強化層を編み、次いで外側ゴム層を押し出した。
【0164】
(3)加硫:テープ巻付加硫プロセスを利用し、温度165℃、蒸気圧1MPa、加硫時間25分間とし、次いで、テープの巻付を解き、マンドレルから取り外して切断した。空調ゴムホースを得た。
【0165】
実施例17:
【0166】
空調ゴムホースは、その外側ゴム層に用いられたゴム組成物が実施例9に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは実施例16と同じであった。
【0167】
実施例18:
【0168】
空調ゴムホースは、内側ゴム層および外側ゴム層に用いられたゴム組成物がすべて実施例9に用いられたゴム組成物である。その製造プロセスは実施例16と同じであった。
【0169】
実施例19:
【0170】
ゴムホース組立体は、製造プロセスが次のとおりである。
【0171】
(1)ゴム混練:内側ゴム層に用いられたゴム組成物の成分および含有量として、分岐ポリエチレンPER-4 100部、老化防止剤RD 1部、カーボンブラックN550 80部、炭酸カルシウム20部、パラフィン油SUNPAR2280 40部、ジクミルパーオキサイド(DCP)3部およびN,N’-m-フェニレンビスマレイミド1部であった。外側ゴム層に用いられたゴム組成物の成分および含有量として、分岐ポリエチレンPER-4 100部、老化防止剤RD 1部、カーボンブラックN550 80部、炭酸カルシウム20部、パラフィン油SUNPAR2280 50部、ジクミルパーオキサイド3部およびN,N’-m-フェニレンビスマレイミド1部であった。
【0172】
オープンロールまたは密閉式混練機を用いて、前記内側ゴム層および外側ゴム層の原料をそれぞれ内層混練ゴムおよび外層混練ゴムに加工し、検出に合格してから、不純物を濾過によって除去した。
【0173】
(2)ホースブランクの成形:コールドフィード押出機を用いて内側ゴム層を押し出し、さらに、内側ゴム層の外面にアラミド繊維層を編み、最後に、外側ゴム層押出機により外層混練ゴムを押し出し、前記アラミド繊維層の外面を被覆してホースブランクを形成した。
【0174】
(3)加硫:前記ホースブランクをホースモールドのマンドレル上に装着し、蒸気加硫缶に置き、蒸気で0.9MPaに加圧し、175℃に加温し、25分間加硫して加硫ゴムホースを得た。
【0175】
(4)クランプフープの装着:前記加硫ゴムホースを洗浄して裁断した後、各ホースの両端にプレオープンしたクランプフープを接着してゴムホース組立体を得た。
【0176】
実施例20
【0177】
空調ゴムホースは、内側ゴム層および外側ゴム層に用いられたゴム組成物が同一のゴム組成物である。その製造プロセスは以下のとおりである。
【0178】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を60℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、分岐ポリエチレンPER-10 100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部、PEG4000 2部、老化防止剤MB 1部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 30部、カーボンブラックN774 50部、パラフィン油SUNPAR2280 15部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるN,N’-m-フェニレンビスマレイミド(HVA-2)1部、架橋助剤である硫黄0.3部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをオープンロールで薄通ししてから、シートとして取り出し、加硫のために放置した。
【0179】
(2)押出と成形:マンドレルを用意し、マンドレル上にナイロンアロイライニングを押し出し、内側ゴム層を押し出して、繊維強化層を編み、次いで外側ゴム層を押し出した。
【0180】
(3)加硫:テープ巻付加硫プロセスを利用し、温度165℃、蒸気圧1MPa、加硫時間25分間とし、次いで、テープの巻付を解き、マンドレルから取り外して切断した。空調ゴムホースを得た。
【0181】
本実施例のゴム組成物の混練ゴムをモールドプレスすることで試験サンプルを作製し、試験性能は以下のとおりであった。
【0182】
硬さ:68、引張強さ:26.3MPa、切断時伸び:468%、引裂強さ:60N/mm。
【0183】
実施例21
【0184】
自動車用ラジエータゴムホースは、内側ゴム層および外側ゴム層に用いられたゴム組成物が同一のゴム組成物である。その製造プロセスは以下のとおりである。
【0185】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、分岐ポリエチレンPER-11 100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤MB 1部、老化防止剤RD 1部、固体クマロン3部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 70部、パラフィン油SUNPAR2280 15部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをオープンロールで薄通ししてから、シートとして取り出し、加硫のために放置した。
【0186】
(2)押出と成形:コールドフィード押出機を用いて、内側ゴム層を押し出した後、内側ゴム層に繊維強化層を編み、さらに、外側ゴム層を押し出してホースブランクを得て、加硫のためにホースブランクを切断した。
【0187】
(3)加硫:マンドレルをホースブランクに挿入し、高温蒸気加硫を採用し、温度が165℃、蒸気圧が1MPaになると、25分間加硫してから、冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫して自動車用ラジエータゴムホースを得た。
【0188】
本実施例のゴム組成物の混練ゴムをモールドプレスすることで試験サンプルを作製し、試験性能は以下のとおりであった。
【0189】
硬さ:66、引張強さ:27.8MPa、切断時伸び:532%、引裂強さ:62N/mm。
【0190】
実施例22
【0191】
自動車用ラジエータゴムホースは、内側ゴム層および外側ゴム層に用いられたゴム組成物が同一のゴム組成物である。その製造プロセスは以下のとおりである。
【0192】
(1)ゴム混練:密閉式混練機の温度を90℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、分岐ポリエチレンPER-12 100部を添加して90秒間予備加圧して混練し、PEG4000 2部、老化防止剤MB 1部、固体クマロン2部、変性アルキルフェノール樹脂TKM-M 3部を添加して30秒間混練した。次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、パラフィン油SUNPAR2280 20部を添加して3分間混練した。最後に、架橋剤であるジクミルパーオキサイド(DCP)3部、架橋助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。混練ゴムをオープンロールで薄通ししてから、シートとして取り出し、加硫のために放置した。
【0193】
(2)押出と成形:コールドフィード押出機を用いて、内側ゴム層を押し出した後、内側ゴム層に繊維強化層を編み、さらに、外側ゴム層を押し出してホースブランクを得て、加硫のためにホースブランクを切断した。
【0194】
(3)加硫:マンドレルをホースブランクに挿入し、高温蒸気加硫を採用し、温度が165℃、蒸気圧が1MPaになると、25分間加硫してから、冷却し、マンドレルから取り外し、トリミングし、検査し、入庫して自動車用ラジエータゴムホースを得た。
【0195】
本実施例のゴム組成物の混練ゴムをモールドプレスすることで試験サンプルを作製し、試験性能は以下のとおりであった。
【0196】
硬さ:65、引張強さ:25.4MPa、切断時伸び:482%、引裂強さ:58N/mm。
【0197】
前記実施例と比較例との性能比較から、他の配合成分が同一または類似する条件で、分岐ポリエチレンを含むゴム組成物は、より高い引張強さおよび引裂特性を有することが分かる。このようなゴム組成物を原料としてゴムホースを製造することにより、製造および使用過程においてゴムホースが引裂する確率を著しく低下させることができる。また、このようなゴム組成物は、150℃熱空気老化耐性がEPRを単独で用いたゴム組成物と同じレベルに維持されることができ、現在同じタイプの自動車用ラジエータゴムホースおよび空調ゴムホースに対する高温耐性という使用要求を満たすことができる。
【0198】
以下、実施例23、24と比較例3との架橋性能試験の比較により、架橋性能における分岐ポリエチレンのメリットを説明する。
【0199】
実施例23に用いられたゴムマトリックスは、PER-9 100部であり、実施例24に用いられたゴムマトリックスは、PER-9 50部およびEPDM 50部(ML(1+4)125℃が80で、エチレンの含有量が55%で、ENBの含有量が5.5%である)であり、比較例3に用いられたゴムマトリックスは、実施例24に用いられたEPDM 100部であった。残りの配合成分は一致する。
【0200】
3つのゴム組成物の加工工程は以下のとおりである。
【0201】
(1)混練:密閉式混練機の温度を80℃、回転子の回転数を50rpmに設定し、ゴムマトリックスを添加して90秒間予備加圧して混練し、酸化亜鉛5部、ステアリン酸1部を添加して、1分間混練した。
【0202】
(2)次いでゴム混合物にカーボンブラックN550 80部、炭酸カルシウム10部、パラフィン油60部を添加して、3分間混練した。
【0203】
(3)最後に、架橋剤であるBIPB 3部および架橋助剤であるTAIC 1部を添加して、2分間混練した後にゴムを排出させた。
【0204】
(4)混練ゴムをロール温度60℃のオープンロールで薄通しして、厚さが2.5mm程度のシートを得て20時間放置した後に加硫特性を試験した。
【0205】
試験条件は175℃、30分間とし、試験結果は以下のとおりであった。
【表4】
【0206】
実施例23のゴム組成物は、Tc90が最も短く、比較例3よりもMH-ML値が高いことから、本実施例に用いられた分岐ポリエチレンは、通常のEPDMよりも架橋能力がやや優れるようになることができることが分かる。実施例24は、Tc90が実施例23と比較例3との間にあり、MH-MLが実施例23と比較例3よりも大きい。両者を併用することにより、全体の架橋密度を向上させる見込みがあることを示す。
【0207】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に記載したが、これらの実施形態は、単なる例示として提供される。本明細書に記載の本発明の実施形態の変形例は、本発明を実施するためにも使用できることを理解すべきである。当業者であれば、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められ、これらの特許請求の範囲における方法と構造およびその等価方法と構造は、すべて特許請求の範囲に含まれることを理解すべきである。