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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20221013BHJP
   B65D 6/04 20060101ALI20221013BHJP
   F16B 21/06 20060101ALI20221013BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B65D81/02 100
B65D6/04 Z
F16B21/06 Z
F16B5/07 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020015411
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123343
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390032056
【氏名又は名称】ヒロホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】小早川 昌士
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-172368(JP,A)
【文献】特開2005-106072(JP,A)
【文献】特開2018-034883(JP,A)
【文献】特開2013-040671(JP,A)
【文献】実開昭64-055390(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0329815(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
B65D 6/04
F16B 21/06
F16B 5/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品当接面と、前記製品当接面の両側に接する平坦でかつ互いに平行な一対の面と、前記一対の面の間を貫通して切除された空隙と、前記製品当接面に対向する固定面とを有する短冊状の受け材と、
前記一対の面の間の距離に対応した間隔を開けて穿孔された一対の取付孔を有する搬送容器と、
基部と、前記基部から突出した一対の壁部とを有する第1係合片と、
桁部に一対の並列孔が設けられた第2係合片とを備え、
前記第2係合片が前記受け材の空隙に挿入されて前記一対の並列孔が夫々一対の面の外側に夫々に現れているように設定され、前記一対の壁部の夫々が前記一対の取付孔及び前記一対の並列孔に夫々この順序で挿入され、前記第1係合片と第2係合片とが接合されているとともに、
前記受け材の前記空隙は前記固定面に到る前記一対の面の間を貫通して切除された縦空隙箇所が設けられ、
前記搬送容器の前記一対の取付孔の間に中央孔が設けられ、
前記第1係合片には前記基部から突出し、複数の円弧柱からなり、長さ途中の円弧内側に嵌合部を有する筒部が設けられ、
前記第2係合片には前記桁部から突出し、桁部側の首部と先端の膨大部とを有し、前記筒部に挿入されて前記膨大部を乗り越えた嵌合部が首部を包囲してロックする突出部が設けられ、
前記受け材の縦空隙箇所に前記突出部が挿入され、前記筒部が前記中央孔及び前記縦空隙箇所に夫々この順序で挿入され、前記筒部と突出部とが互いにロックされていることを特徴とする固定構造。
【請求項2】
製品当接面と、前記製品当接面の両側に接する平坦でかつ互いに平行な一対の面と、前記一対の面の間を貫通して切除された空隙と、前記製品当接面に対向する固定面とを有する短冊状の受け材と、
前記一対の面の間の距離に対応した間隔を開けて穿孔された一対の取付孔を有する搬送容器と、
基部と、前記基部から突出した一対の壁部とを有する第1係合片と、
桁部に一対の並列孔が設けられた第2係合片とを備え、
前記第2係合片が前記受け材の空隙に挿入されて前記一対の並列孔が夫々一対の面の外側に夫々に現れているように設定され、前記一対の壁部の夫々が前記一対の取付孔及び前記一対の並列孔に夫々この順序で挿入され、前記第1係合片と第2係合片とが接合されているとともに、
前記一対の壁部は、凹部が設けられているとともに、前記第2係合片の並列孔には前記凹部に引っかかるフックが設けられていることを特徴とする固定構造
【請求項3】
前記中央孔は、十字状若しくは星状のスリットであることを特徴とする請求項1に記載の固定構造
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックシートを真空成形により作成した搬送容器のような、比較的薄いかつコシの弱い板材によって形成された容器の面に対して、緩衝材を取り付けて固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
真空成形では、搬送容器は、プラスチックシートを熱で軟化させて、型の上に乗せて空気を吸引して型に張り付かせ、冷却した後に抜き型刃で不要部分を抜いて形成される。このような搬送容器は、生産設備費が低廉で、生産性が良く、また、大型の容器の成形が比較的容易にでき、新製品の試作・設定に時間がかからないため、広く利用されている。
【0003】
このような搬送容器に梱包物を収容する場合、梱包物の保護のために、搬送容器の面に緩衝材として受け材を固定することがある。図6には、搬送容器10(例えば蓋部)がプラスチックシートから真空成形により作成されており、これに受け材20を固定している例を示している。受け材20の固定は、両面テープ30(若しくは接着剤)が利用されているが、表面が平坦な真空成型品は両面テープ30による接着とは相性が悪い。また、型からの剥離性を良くするためにプラスチックシート表面にシリコン樹脂が塗布されていると、接着力はさらに弱まる。搬送容器10に対して捻りF1などの力が加わると、比較的容易に受け材20が脱落する。また、加えて、両面テープ30(若しくは、接着剤)の粘着剤に対して異物が付着しやすく、搬送容器10内に収容された梱包物に伝搬する恐れがある。
【0004】
さらに、両面テープや接着剤を用いて受け材を固定すると、搬送容器を破棄する際には、プラスチックシートから両面テープや接着剤を取り除く必要があり、プラスチックのリサイクルの妨げになり易い。
【0005】
受け材をダンボール紙からなる台座若しくはプラスチックのような硬質材料からなる台座に接着剤を用いることなく固定する方法としては、例えば特許文献1のような、弾性体部材固定構造により受け材を前記台座に固定する方法が知られている。この弾性体部材固定構造は、台座と弾性体部材に、互いに連通する挿入部を設け、第1の固定部材の一対の突起部をこれらの挿入部に台座の裏側から挿入し、第2の固定部材をこれらの挿入部に弾性体側から挿入する。第2の固定部材が、一対の突起部の間に嵌合して、これらの間隔を押し広げることで、一対の突起部が弾性体部材の挿入部側面に押し付けられて固定される。
【0006】
また、他の固定方法として、自動車パネルの表裏から装飾部材を取り付ける嵌め合い構造に関しては、特許文献2に開示されるものがある。また、板状材をとじる、止める、挟む事を目的としたスナップ鋲に関しては、特許文献3に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-163930号公報
【文献】実開平3-28052号公報
【文献】実開昭56-135527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
受け材を射出成形により形成する場合には受け材を望むような形にすることができるが、少量多品種の受け材を作るためには、発泡樹脂やダンボール等の一般的な板材から受け材を、一回のプレス切断により短冊状に切り出して製作する。そのため、切り出された短冊状の受け材は、元の板材の表面であった箇所は平坦な面であり、周囲の側面はプレスの型抜き刃(トムソン刃)により押し抜かれた形状に形成されている。
【0009】
特許文献1の弾性体部材固定構造によれば、台座と弾性体部材に、互いに連通する挿入部を設ける必要がある。一回の打ち抜きプレス切断により短冊状に切り出す場合には、弾性体部材側の挿入部は、弾性体部材の一方の面から他方の面に連なる溝のような形状としか得ることが出来ず、固定に利用するには不可能である。また、挿入部を設けるために、二回目のプレス切断を行うことは、工数の大幅な増加が避けられない。
【0010】
本発明は、接着剤を用いることなく、一回のプレス切断により短冊状に抜かれた受け材を搬送容器に固定することができる弾性体部材固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の固定構造は、製品当接面と、前記製品当接面の両側に接する平坦でかつ互いに平行な一対の面と、前記一対の面の間を貫通して切除された空隙と、前記製品当接面に対向する固定面とを有する短冊状の受け材と、
前記一対の面の間の距離に対応した間隔を開けて穿孔された一対の取付孔を有する搬送容器と、
基部と、前記基部から突出した一対の壁部とを有する第1係合片と、
桁部に一対の並列孔が設けられた第2係合片とを備え、
前記第2係合片が前記受け材の空隙に挿入されて前記一対の並列孔が夫々一対の面の外側に夫々に現れているように設定され、前記一対の壁部の夫々が前記一対の取付孔及び前記一対の並列孔に夫々この順序で挿入され、前記第1係合片と第2係合片とが接合されているとともに、
前記受け材の前記空隙は前記固定面に到る前記一対の面の間を貫通して切除された縦空隙箇所が設けられ、
前記搬送容器の前記一対の取付孔の間に中央孔が設けられ、
前記第1係合片には前記基部から突出し、複数の円弧柱からなり、長さ途中の円弧内側に嵌合部を有する筒部が設けられ、
前記第2係合片には前記桁部から突出し、桁部側の首部と先端の膨大部とを有し、前記筒部に挿入されて前記膨大部を乗り越えた嵌合部が首部を包囲してロックする突出部が設けられ、
前記受け材の縦空隙箇所に前記突出部が挿入され、前記筒部が前記中央孔及び前記縦空隙箇所に夫々この順序で挿入され、前記筒部と突出部とが互いにロックされていることを特徴とする。
また、本発明の固定構造は、製品当接面と、前記製品当接面の両側に接する平坦でかつ互いに平行な一対の面と、前記一対の面の間を貫通して切除された空隙と、前記製品当接面に対向する固定面とを有する短冊状の受け材と、
前記一対の面の間の距離に対応した間隔を開けて穿孔された一対の取付孔を有する搬送容器と、
基部と、前記基部から突出した一対の壁部とを有する第1係合片と、
桁部に一対の並列孔が設けられた第2係合片とを備え、
前記第2係合片が前記受け材の空隙に挿入されて前記一対の並列孔が夫々一対の面の外側に夫々に現れているように設定され、前記一対の壁部の夫々が前記一対の取付孔及び前記一対の並列孔に夫々この順序で挿入され、前記第1係合片と第2係合片とが接合されているとともに、
前記一対の壁部は、凹部が設けられているとともに、前記第2係合片の並列孔には前記凹部に引っかかるフックが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2係合片の桁部と搬送容器に設けた一対の並列孔を一対の壁部が貫通することにより、第1係合片と第2係合片が搬送容器に対して揺動回転することが防止され、そして、一対の壁部が受け材を厚さ方向に挟み、かつ桁部が受け材の横空隙箇所に収容されることにより搬送容器と受け材が分離するのを制止している。このような固定構造であるため、コシの無い真空成形品である搬送容器に対して、受け材が外れにくく、接着剤等を利用することなく、受け材を搬送容器に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例に係る留め具を示す図であり、図1Aは第1、第2係合片の斜視図であり、図1Bは第1、第2係合片が向き合っている状態の図であり、図1Cは第1、第2係合片が嵌合している状態の斜視図であり、図1Dは嵌合状態の断面図である。
図2】搬送容器の組立て図であり、図2Aは第1係合片を受け材に取り付ける状態を示す図、図2Bは第2係合片を搬送容器に取り付ける状態を示す図、図2Cは断面図、図2Dは留め具が受け材の転倒を防止する様子を示す図である。
図3】搬送容器の裏側から見た第2係合片と第1係合片の嵌合状態を示す図である。
図4】搬送容器に設ける挿入部の形状と、作用を示す図である。
図5】他の実施例を示す図で有り、
図6】従来の搬送容器を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を、図を参照して説明する。
本実施例の固定構造は、第1、第2係合片からなる留め具1により、受け材の作成に対する工程を増加させることなく、また、真空成形された搬送容器に対する工程を新たに増加させることなく、真空成形された搬送容器に対して受け材を固定する際に好適に用いることができるものである。
【0015】
まず、図を用いて留め具1について説明する。図1A図1Bにおいて、留め具1は、第1係合片100及び第2係合片200からなっている。これらは、例えばプラスチックを射出成形したものである。第1係合片100は、平坦な板状の基部110と、この基部110の上面から突出する筒部120と、筒部120の左右対称位置に基部110の上面に突出した一対の壁部130とを有している。筒部120は、4つの円弧柱120a-120dを備え、これらが筒部120に対して十字に唐竹を割ったような外観を与えている。筒部120の中心に存在する筒部120の長さの方向dに延びる空洞112は、基部110の下面に貫通して貫通孔111を形成している。各円弧柱120a-120dの長さ途中の円弧内側には空洞112の中心に向かって突き出た嵌合部121a-121dが設けられている。一対の壁部130の突起部側の面131は、互いに間隔W1を隔てて互いに平行である。
【0016】
各円弧柱120a-120dの嵌合部121a-121dは、方向dにおける同一位置に互いに対向するように配置されている。嵌合部121a-121dは、筒部120の先端側では基部110との付け根側に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜したテーパ面122a-122dを有している。一方で、基部110との付け根側では嵌合部121a-121dは、互いに急峻に離れるような面123a-123d(ほぼ突起部を半径方向に輪切りにするような面)になっている。
【0017】
第2係合片200は、平坦な板状の桁部210と、桁部210の上面から突出する突起部220と、突起部220の左右対称位置に平坦な板状の桁部210に設けられた一対の並列孔211とを有している。突起部220は、筒部120の空洞112に嵌合するように形成されている。すなわち、突起部220の先端側に設けられた膨大部221と、膨大部221と桁部210との間に設けられた首部223とを備え、膨大部221は先端222が先細となる角錐台状になっており、膨大部221と首部223とのさかいが、ほぼ突起部220を半径方向に輪切りにするような半径方向の面224になっている。また、突起部220が筒部120の空洞112に嵌合した際に、一対の並列孔211は、壁部130が貫通可能なように、その大きさが決められ、間隔W2は間隔W1と等しい。壁部130が並列孔211を貫通することにより、壁部130を倒れ込ませるような力が働いた場合には、桁部210がこれを支える。
【0018】
図1Bにおいて、膨大部221はテーパ面122a-122dと当接して、各円弧柱120a-120dを外側に容易に押し広げることができるようになっている。図1Cは第1係合片100と第2係合片200が互いに嵌合した状態を示している。壁部130が桁部210の並列孔211を貫通して、桁部210の下面(図1Cにおいては上側)に突出している。一方、図1Dにおいて、膨大部221は嵌合部121a-121dを乗り越えて、基部110の下面側にその先端222が覗いている。各円弧柱120a-120dの囲みに突起部220が挿入される過程において、膨大部221が嵌合部121a-121dを乗り越えている最中に各円弧柱120a-120dが外周側に湾曲し、膨大部221が嵌合部121a-121dを乗り越えた後に各円弧柱120a-120dは元の形状に復元する。膨大部221が嵌合部121a-121dを乗り越えた後は、首部223が嵌合部121a-121dにより包囲された状態になり、第1係合片100と第2係合片200の嵌め込みは完了する。
【0019】
図2に留め具1により受け材20を搬送容器10へ取り付ける様子を示す。図2Aにおいて、受け材20は、例えば、発泡樹脂、又はエラストマー等といった弾性体材料や、ダンボールやその他の素材からなる。受け材20は、このような素材の板材から一回のプレス切断により短冊状に切り出して製作される。そのため、切り出された受け材20は、元の板材の表面であった箇所は平坦でかつ互いに平行な一対の面21(図面では一方の面21は裏側になる)であり、周囲の側面はプレスの型抜き刃により押し抜かれた形状に形成されている。嵌め込み部24は、同様にプレスの型抜き刃により切除された一対の面21の間を貫通する空隙であり、第2係合片200を取り付けために設けられる。嵌め込み部24は、第2係合片200の一対の並列孔211が互いに重なる方向Sから投影したときにおける桁部210に対応する形状を有する横空隙箇所24aと、同じく方向Sから投影したときにおける筒部120に対応する形状を有する縦空隙箇所24bとからなる。本実施例の嵌め込み部24は、桁部210の投影形状が両端に向けて下がっている形状である。これには、図面の下方へ第2係合片200を引き下ろす力に対して、桁部210の引っ掛かりを良くする為である。製品当接面22(図中、上側の周側面)には、梱包品を保護するために必要な形状が施されている。一方、製品当接面22に対向する固定面23(図中、下側の周側面)は、大部分において平坦な面であるが、嵌め込み部24の縦空隙箇所24bが固定面23に到りこれを分断している。
【0020】
第2係合片200の桁部210を横空隙箇所24aに挿入すると、突起部220は縦空隙箇所24bに位置付けられる。一対の並列孔211の内側の間隔W1は受け材20の厚さ(元の弾性体材料板材の厚さ、一対の面21の間の距離)に対応しており、受け材20を挟んで、一対の並列孔211が一対の面21の外側に夫々に現れているように設定する。嵌め込み部24は、1つの受け材20に対して、適当な間隔で複数個が設けられている。
【0021】
図2Bにおいて、搬送容器10は、真空成形により成形されている。真空成形では、プラスチックシートを熱で軟化させて、型の上に乗せて空気を吸引して型に張り付かせ、冷却した後に抜き型刃で不要部分を抜いて形成される。この場合において、この抜き型刃(図示せず)には、一対の壁部130が挿入される取付孔12と、その間に第1係合片100の筒部120が挿入される中央孔11とを穿孔する刃部が設けられている。刃部は、中央孔11と一対の取付孔12を1つのセットとして受け材20側の嵌め込み部24の個数に応じて多数設けられる。このため、抜き型刃による一度のプレス切断により、搬送容器10は、プラスチックシートから切り出されるのみで無く、中央孔11と取付孔12も一度に設けられる。
【0022】
第1係合片100を、搬送容器10のおもて側(図2Bにおいては下向きで見えない)から、取り付ける。第1係合片100の筒部120を中央孔11に、一対の壁部130を取付孔12に挿入して、搬送容器10に設定する。そして、壁部130を桁部210から貫通させる。基部110は、1つの中央孔11と一対の壁部130とを覆う。そして、膨大部221が嵌合部121a-121dを乗り越えることにより、突起部220は筒部120内にロックされる。このように、受け材20は留め具1により搬送容器10へ取り付けられる。
【0023】
図2Cにおいて、本実施例による固定構造をさらに説明する。まず、突起部の膨大部は筒部の嵌合部によりとらえられ、第2係合片を図面上側に引き上げることができない。一対の壁部130は桁部210を貫通し、一対の壁部130の間が広がることを防止する。また、搬送容器10に設けた一対の取付孔12を一対の壁部130が貫通することにより、第1係合片100と第2係合片200が中央孔11を中心に揺動回転することが防止される。そして、一対の壁部130が受け材20を厚さ方向に挟み、かつ桁部210が受け材20の横空隙箇所24aに収容されることにより搬送容器10と受け材20が分離するのを制止している。このような固定構造であるため、コシの無い真空成形品である搬送容器に対して、受け材が外れにくくなっている。
【0024】
また、壁部130が受け材20の一対の面21を両側から支え、基部110と桁部210で搬送容器10と受け材20を上下から挟む構造であるため、例えば、図2Dのように受け材に図面横向きの力F2が加わったとしても、力を受ける一方の壁部130が単独で対抗するのでは無く、桁部210により一対の壁部130が連結しているため、桁部210を介して他方の壁部130に力を伝搬させ、基部110を介して一周することにより、第1係合片100と第2係合片200の全体で横向きの力F2に対抗することができる。
【0025】
図3は、第1係合片100、第2係合片200が互いに嵌合する際に搬送容器10のおもて側から見た状態を示している。図3Aは嵌合する前、図3Bは嵌合した後の状態である。第1係合片100、第2係合片200が嵌合すると、膨大部221の先端222が所定の高さを持って第1係合片100の貫通孔111から現れる。もし、先端222が観察出来ない図3Cの状態であれば、第1係合片100と第2係合片200の嵌合が正常に行われていないことになる。このように、搬送容器10のおもて側から第1係合片100と第2係合片200の嵌め込みの確認をすることが出来る。また、第1係合片100と第2係合片200がキチンと嵌め込まれることにより、貫通孔111が塞がれて、搬送容器10の内部への異物の侵入が抑止される。
【0026】
一方、嵌合している留め具1を分離するときには、図3Dに示すように搬送容器10のおもて側からボールペン等の治具JGで膨大部221の先端222を押す。すると、第1係合片100、第2係合片200が分離する。老朽化した受け材20の交換や搬送容器10の廃棄時の分別処理を行いやすく、環境に優しい。
【0027】
図4は、搬送容器10に設けられる中央孔11、取付孔12を示している。図4Aの中央孔11、取付孔12は、上記実施例において示したものであり、中央孔11は円孔、取付孔12は夫々長方形孔になっている。夫々は、筒部120、壁部130の断面形状と必ずしも同一で無くても良く、筒部120、壁部130が通過出来ればよい。しかし、大きく寸法が異なると、搬送容器10に安定して固定されなくなる。
【0028】
図4B及び図4Cは、中央孔11及び取付孔12の他の例を示している。図4B図4Cにおいて、中央孔11及び取付孔12を描く実線11a、11b、12aは、真空成形後に抜き型刃の『刃』により切断される箇所を示し、点線11c、12bは当該抜き型刃に『罫』により折り目が付与される箇所を示している。図4Bでは中央孔11の形成には十字の『刃』が用いられ、図4Cでは星の字の『刃』が用いられて、十字のスリット若しくは星の字のスリットが穿孔される。十字のスリット若しくは星の字のスリットは、筒部120の断面形状に対応した長さを有している。そして、スリットの周囲をぐるりと囲む円状若しくは多角形状の折り目がつけられる。一方、取付孔12は、コ字状の『刃』と、コ字状の開放されている一辺になる直線状の『罫』により、長方形に形成される。『罫』は、中央孔11から離れた側の長方形孔の一辺である。筒部120及び壁部130を中央孔11と取付孔12の夫々に挿入すると切り残された部分がめくり上がる。この折り罫の反発力により、筒部120が突起部220を包囲して保持する力が強化される。また、壁部130の倒れを抑止する力が強化される。尚、抜き型刃に『罫』を設けておけば筒部120を挿入しやすくなるが、抜き型刃に『罫』を設けることは必須では無い。
【0029】
図5は、本発明の他の変形例を示している。
上記実施例においては、筒部120が突起部220をロックすることにより第1係合片100と第2係合片200とを互いに接合する例であった。図5A、5Bに示す例においては、第1係合片100と第2係合片200とを互いに接合する機構を壁部130と桁部210側に設け、筒部120と突起部220が省略されている。桁部210に設けられた並列孔211にはフック212が設けられ、かたや壁部130には、フック212が引っかかる凹部132(孔でも溝でも良い)が設けられている。この例によれば、受け材20側の縦空隙箇所24bも必要が無い。この他、第1係合片100と第2係合片200を接合する手段として、第1係合片100側に突起部220を、第2係合片200側に筒部120を設けても良い。
【0030】
また、図5Cの実施例においては、壁部130の外側にリブ14を設けている。リブ133を設けることにより、壁部130が補強され、壁部130を第2係合片200の並列孔211に挿入する段階で、壁部130が外側に倒れて挿入を失敗する恐れが低減される。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、留め具1は、真空成形されたプラスチックシートの搬送容器10以外にも、例えば、ダンボール紙等の搬送容器に対して用いてもよい。また、留め具1は、実施例における射出成形されたプラスチックのほかに、パルプモールド品、木材等、重量を増やさない軽量な素材で形成されるのが望ましい。
【符号の説明】
【0032】
1 留め具
10 搬送容器
11 中央孔
12 取付孔
14 リブ
20 受け材
21 面
22 製品当接面
23 固定面
24 嵌め込み部
24a 横空隙箇所
24b 縦空隙箇所
30 両面テープ
100 第1係合片
110 基部
111 貫通孔
112 空洞
120 筒部
120a-120d 円弧柱
121a-121d 嵌合部
122a-122d テーパ面
123a-123d 面
130 壁部
131 面
132 凹部
133 リブ
200 第2係合片
210 桁部
211 並列孔
212 フック
220 突起部
221 膨大部
222 先端
223 首部
224 面
図1
図2
図3
図4
図5
図6