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特許7157504工事管理プログラム、及び、工事管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】工事管理プログラム、及び、工事管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20221013BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022133324
(22)【出願日】2022-08-24
【審査請求日】2022-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522337428
【氏名又は名称】株式会社RAKUNY
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】金光 正義
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-233646(JP,A)
【文献】特開2005-31824(JP,A)
【文献】特開2007-4497(JP,A)
【文献】特開2005-227913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、道路使用工事を管理する工事管理手段として機能させるための工事管理プログラムであって、
コンピュータを、
受注した工事を登録する工事登録手段と、
案件登録手段で登録された工事の予定期間、進捗状況及び道路使用許可期間を含む工事関連情報を工事ごとに入力する工事関連情報入力手段と、
道路使用許可の期間内に工事の予定期間が納まらない工事を抽出して、アラートを出力するアラート出力手段と
として機能させることを特徴とする工事管理プログラム。
【請求項2】
工事関連情報に、道路使用許可の申請の進捗状況が含まれる請求項1記載の工事管理プログラム。
【請求項3】
工事関連情報に、道路使用許可申請を行う警察署が含まれる請求項2記載の工事管理プログラム。
【請求項4】
工事関連情報に、工事の発注元と、着工前事務の進捗状況とが含まれ、
関連情報入力手段で着工前事務の進捗状況を入力する際に表示される工程メニューが、案件の発注元に応じて切り替わる
請求項3記載の工事管理プログラム。
【請求項5】
関連情報入力手段で着工後作業の進捗状況を入力する際に表示される工程メニューが、工事の発注元に応じて切り替わる請求項4記載の工事管理プログラム。
【請求項6】
請求項1記載の工事管理プログラムがインストールされたメインコンピュータと、
メインコンピュータに無線又は有線で接続されたユーザ端末と
を備え、
メインコンピュータへの受注工事の登録、及び/又は、メインコンピュータに登録された受注工事ごとの工事関連情報の確認をユーザ端末で行えるようにした工事管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路使用工事を管理するための工事管理プログラムと、その工事管理プログラムを用いた工事管理システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事や建築工事等を行う企業には、それらの工事を効率的に管理するための工事管理システムを導入しているところが多い。特許文献1には、このような工事管理システムの一例が記載されている。
【0003】
特許文献1の工事管理システム(土木工事施工管理システム)は、主に、工事現場装置1(例えばノートパソコン)と、工事会社装置2(例えばデスクトップパソコン)と、管理サーバ5とで構成される(同文献の図4及び10参照)。工事現場装置1は、工事現場で日報等を作成するためのものである。工事会社装置2は、その日報等に基づいて施工進捗表(同文献の図16参照)を自動的に作成する。これらの日報や施工進捗表等は、管理サーバ5に記憶され、遠隔からいつでも確認できるようになっている。特許文献1の工事管理システムを利用することで、リアルタイムに効率よく工事を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-288272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、公道における道路掘削工事や道路舗装工事等は、警察による道路使用許可を受けなければ行うことができない。このため、道路使用許可が必要な工事(以下、「道路使用工事」と呼ぶことがある。)では、道路使用許可期間に留意しながら工事を進める必要がある。この点、特許文献1の工事管理システムでは、工事自体の進捗状況等を管理できるものの、道路使用許可期間を管理できるようにはなっていない。このため、道路使用工事では、特許文献1の工事管理システムを使用したとしても、工事を適切に管理できないおそれがある。例えば、天候不順が続いて工期が予想以上に延びた場合には、道路使用許可の延長を申請する必要があるところ、特許文献1の工事管理システムでは、その延長の必要性を把握することができない。このため、工事が完了する前に道路使用許可期間が過ぎてしまうことがありうる。また、道路使用許可に係る申請態様は、工事によって様々(例えば、ある工事では、工事を受注した企業又はその下請け業者が道路使用許可申請を行い、別の工事では、工事の発注元が道路使用許可申請を行う等)であるところ、自社で行うべき道路使用許可申請を他社が行うものと勘違いして、道路使用許可申請が行われないまま着工予定日を迎えてしまうこともありうる。
【0006】
本発明は、前述課題を解決するために為されたものであり、道路使用許可の状況を確認しながら、道路使用工事を管理することができる工事管理プログラムを提供するものである。また、この工事管理プログラムがインストールされたメインコンピュータを含む工事管理システムを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述課題は、
コンピュータを、道路使用工事を管理する管理手段として機能させるための工事管理プログラムであって、
コンピュータを、
受注した工事を登録する工事登録手段と、
工事登録手段で登録された工事の予定期間、進捗状況及び道路使用許可期間を含む工事関連情報を工事ごとに入力する工事関連情報入力手段と、
道路使用許可の期間内に工事の予定期間が納まらない工事を抽出して、アラートを出力するアラート出力手段と
として機能させることを特徴とする工事管理プログラム
を提供することによって解決される。
【0008】
本発明の工事管理プログラムを用いることによって、道路使用許可の期間内に工事の予定期間が納まりそうにない工事を把握することができる。このため、道路使用許可の期間の更新(延長)申請を忘れずに行うことが可能となる。また、その更新申請をしない場合でも、工事のペースを上げる(例えば、1日の作業時間を長くする)等、進捗が遅れている工事に、余裕をもって対処することができる。
【0009】
ただし、前述のアラート出力手段を採用しただけでは、道路使用許可の期間を管理できるものの、工事前における道路使用許可の申請の進捗を把握することができない。このため、本発明の工事管理プログラムにおいては、道路使用許可の申請の進捗を把握できるようにすることが好ましい。道路使用許可の申請の進捗の把握は、前述の工事関連情報に、道路使用許可申請の進捗状況を含めることで実現することができる。これにより、道路使用許可の申請の漏れや進捗遅れ等があった場合には、早い段階でそのことに気付いて対処することが可能となる。
【0010】
本発明の工事管理プログラムにおいては、道路使用許可の申請を行う警察署を、工事関連情報に含めることが好ましい。道路使用許可の申請は、工事現場を管轄する警察署に対して行うところ、その警察署をすぐに把握できるようにすることで、道路使用許可の期間の更新申請や、道路使用許可に関する問い合せ等を円滑に行うことが可能となる。
【0011】
ところで、道路使用工事を行うにあたっては、警察による道路使用許可の他に、その道路を管理する自治体の許可も必要になることがある。このような場合には、道路使用許可の申請に係る工程が複雑になる。加えて、警察に対する申請は自社で行い、自治体に対する申請は発注元が行う等、各申請の主体が異なることがある。このため、申請漏れや進捗遅れ等が生じやすくなる。この点、各種申請の申請態様は、発注元によって決まっていることが多い。したがって、発注元に応じて、道路使用許可に係る申請態様が容易に把握できるようにすることが好ましい。これは、例えば、前述の工事関連情報に、工事の発注元名と着工前事務(前述の各種申請に係る事務)の進捗状況とを含め、関連情報入力手段で着工前事務の進捗状況を入力する際に表示される工程メニュー(以下、「事務メニュー」と呼ぶことがある。)を、工事の受注先に応じて切り替えることで実現することができる。
【0012】
また、道路使用工事の内容(着工後作業)も、その工事の発注元によって決まっていることが多い。例えば、ある発注元からは、本支管工事(公道に沿って比較的太いガス管を埋設する工事)、及び、供給管工事(本支管から分岐する比較的細いガス管を埋設する工事)の両方の依頼があるものの、他の発注元からは、本支管工事の依頼はなく、供給管工事の依頼のみであるといったことがある。このため、本発明の工事管理プログラムにおいては、関連情報入力手段で着工後作業の進捗状況を入力する際に表示される工程メニュー(以下、「作業メニュー」と呼ぶことがある。)を、工事の発注元に応じて切り替えることが好ましい。これにより、着工後作業の進捗状況の入力ミスを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によって、道路使用許可の状況を確認しながら、道路使用工事を管理することができる工事管理プログラムを提供することが可能となる。また、この工事管理プログラムがインストールされたメインコンピュータを含む工事管理システムを提供することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の工事管理システムの全体像を示した図である。
図2図1のユーザ端末から管理サーバにアクセスした際に、ユーザ端末に表示されるログイン画面の一例を示した図である。
図3図2のログイン画面から移行した後に表示される各種操作画面の一例を示した図である。
図4図3の各種操画面で、項目表示部の「案件登録」ボタンを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。
図5】業務日報テンプレートの一例を示した図である。
図6】業務日報テンプレートの業務選択部で「着工後作業」を選択した後の画面を示した図である。
図7】業務日報テンプレートの業務選択部で「着工前事務」を選択した後の画面を示した図である。
図8】新たな業務日報テンプレートを作成した後に、項目表示部の「カレンダー」ボタンを押下して、内容表示部にカレンダーを表示させた際の画面を示した図である。
図9】カレンダーに表示された業務日報テンプレートのタイトルを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。
図10】登録済み工事案件の一覧表の中から所望の案件を選択した後に表示される画面の一例を示した図である。
図11】項目表示部の要確認ボタンを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。
図12】本発明の工事管理プログラムのブロック図である。
図13】要更新案件を抽出する流れの一例を示したフローチャートである。
図14】要取得案件を抽出する流れの一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の工事管理プログラム及びそのプログラムを用いた工事管理システムについて、図面を用いてより具体的に説明する。しかし、以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態であり、本発明の工事管理プログラム及び工事管理システムの技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明の工事管理プログラム及び工事管理システムには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0016】
1.工事管理システムの概要
図1は、本発明の工事管理システムの全体像を示した図である。この工事管理システム1は、道路使用工事の管理を効率的に行うためのものである。前述したように、「道路使用工事」とは、警察や自治体等による道路使用許可が必要な工事を言う。ここでは、道路を掘削してガス管等を埋設する工事を想定する。この工事管理システム1では、道路使用許可の状況(その申請の進捗や期間等)を確認しながら、道路使用工事の予定期間や進捗等を管理することができる。このため、工事が完了する前に道路使用許可の期間が過ぎてしまうことや、道路使用許可を受ける前に着工予定日を迎えてしまうこと等を防ぐことができる。
【0017】
工事管理システム1は、管理サーバ(メインコンピュータ)10とユーザ端末20とで構成される。管理サーバ10には、例えば、一般的なサーバ用コンピュータを利用することができる。また、ユーザ端末20には、例えば、パソコンやスマートフォンやタブレット端末等の情報端末を利用することができる。ユーザ端末20は、通常、複数台用意される。本実施形態では、説明の便宜上、3台のユーザ端末20(事務員用端末21、現場責任者用端末22及び作業者用端末23)を用いる場合を例に挙げて説明しているが、ユーザ端末20は、4台以上用意されていてもよい。
【0018】
管理サーバ10には、本発明の工事管理プログラムがインストールされている。これにより、管理サーバ10を、道路使用工事を管理するための工事管理手段として機能させることができる。工事管理手段としての管理サーバ10は、主として、道路使用工事に関連する情報(以下、「工事関連情報」と呼ぶことがある。)をその工事ごとに記憶するためのものである。管理サーバ10の具体的な動作については後で詳しく説明する。
【0019】
ユーザ端末20には、管理サーバ10に接続するための端末用アプリケーションが搭載されている。これにより、ユーザ端末20から、その端末用アプリケーションを通して、管理サーバ10に接続し、新規に受注した工事を管理サーバ10に登録することや、管理サーバ10に記憶された工事関連情報を読み出したり、更新したりすること等を行うことができる。工事管理システム1のユーザは、ユーザ端末20におけるその端末用アプリケーションを使って、管理サーバ10に対する前述の操作を、遠隔からいつでも行うことができる。
【0020】
端末用アプリケーションの構成は、特に限定されず、例えば、管理サーバ10に接続するための専用のアプリケーションとしてもよい。しかし、専用のアプリケーションを独自に開発する場合には、多額の費用がかかるおそれがある。このため、本実施形態では、市販の情報端末(パソコンやスマートフォン等)に搭載されている一般的なウェブブラウザを、端末用アプリケーションとして利用している。既存のウェブブラウザを利用することによって、工事管理プログラム及びそれを用いた工事管理システム1の開発にかかる費用を抑えることができる。
【0021】
2.管理サーバの動作
以下、ユーザ端末20から管理サーバ10に接続した際に、ユーザ端末20(そのウェブブラウザ)に表示される各種の画面を参照しながら、本実施形態における管理サーバ10の動作について説明する。ただし、以下に説明する管理サーバ10の動作は、一例に過ぎず、管理サーバ10の動作及びその動作を規定する工事管理プログラムの構成を限定するものではない。以下では、(1)管理サーバ10に接続する手順、(2)受注した工事を案件登録する手順、(3)当該工事及びその関連業務の業務日報テンプレートを作成する手順、(4)それらの業務日報テンプレートに所定の情報を入力して業務日報テンプレートを更新する(業務日報を完成させる)手順、(5)当該工事に関する進捗状況を読み出す手順、(6)道路使用許可に関して注意すべき工事(以下、「アラート対象案件」と呼ぶことがある。)を読み出す手順について順番に説明する。
【0022】
2.1 管理サーバ10への接続(ログイン)
まず、ユーザ端末20から管理サーバ10に接続する手順について説明する。管理サーバ10への接続に先立って、工事責任者や作業者や事務員等の工事関係者には、それぞれ個別のユーザ名及びパスワードが割り当てられている。それらのユーザ名及びパスワードは、管理サーバ10に予め登録されている。
【0023】
図2は、ユーザ端末20から管理サーバ10にアクセスした際に、ユーザ端末20に表示されるログイン画面の一例を示した図である。ログイン画面には、主に、ユーザ名入力部201と、パスワード入力部202と、「ログイン」ボタン203とが配されている。工事関係者は、自分に割り当てられているユーザ名及びパスワードを、それぞれユーザ名入力部201及びパスワード入力部202に入力し、「ログイン」ボタン203をクリック又はタップする(以下、単に「押下する」と言うこととする)。これにより、ログイン画面から、管理サーバ10に対して書き込み操作や読み出し操作等を行える画面(以下、「各種操作画面」と呼ぶことがある。)に移行することができる。
【0024】
管理サーバ10に登録されていないユーザ名を入力した場合や、ユーザ名に対して誤ったパスワードを入力した場合等には、各種操作画面に移行せず、例えば、適切なユーザ名及びパスワードの入力を求めるメッセージ(図示省略)が表示される。これにより、工事関係者以外の部外者が、管理サーバ10に接続して、管理サーバ10に記憶されている情報を書き換える等、イタズラ行為をすることを防ぐことができる。
【0025】
ところで、管理サーバ10に対する操作は、操作する者の担当業務や役職等に応じて制限されることが好ましい。というのも、その操作に不慣れな者や工事に対して的確な判断ができない者等によって、工事関連情報が不適切に変更されると、道路使用工事に混乱をきたすおそれがあるからである。このため、本実施形態では、管理権限を有する事務員及び工事責任者に割り当てられたユーザ名で管理サーバ10に接続した場合には、管理サーバ10に対して行う操作に制限を設けないが、一般の事務員及び作業者に割り当てられたユーザ名で管理サーバ10に接続した場合には、工事関連情報の読み出しのみ行えるようにしている。
【0026】
図3は、ログイン画面から移行した後に表示される各種操作画面の一例を示した図である。ログイン画面で適切なユーザ名及びパスワードを入力すると、各種操作画面に移行する。各種操作画面は、上段に項目表示部αが配され、下段に内容表示部βが配された構成になっている。
【0027】
項目表示部αには、「カレンダー」ボタンBと、「案件登録」ボタンBと、「案件一覧」ボタンBと、「要確認」ボタンBとが配されている。それぞれのボタンB,B,B,Bを押下すると、その押下したボタンに応じて、内容表示部βの表示が切り替わる。具体的には、「カレンダー」ボタンBを押下すると内容表示部βにカレンダー(図3及び図8参照)が表示され、「案件登録」ボタンBを押下すると内容表示部βに案件登録フォーム(図4参照)が表示され、「案件一覧」ボタンBを押下すると内容表示部βに受注案件の一覧表が表示され、「要確認」ボタンBを押下すると内容表示部βにアラート対象案件の一覧表(図11参照)が表示されるようになっている。ログイン画面から各種操作画面に移行した直後、内容表示部βには、図3に示すように、当月のカレンダー(ここでは、2022年8月のカレンダー)が表示される。
【0028】
カレンダーにおける各日付部分の直下には、その日に登録されている業務日報のタイトルが表記されている。本実施形態では、業務日報のタイトルとして、発注元の略称と、施工会社の略称と、工事場所と、工事の進捗とを組み合わせたものを使用している。例えば、発注元がガス供給会社Aであり、施工会社が自社であり、工事場所が特許太郎邸(東京都千代田霞が関xxx)であり、既に工事に取り掛かっているものである案件の場合には、「ガA,自,特許太郎邸,工事中」と表示される。これにより、当月の業務日程や各工事案件の進捗状況等を迅速に把握することができる。
【0029】
カレンダーの右側上方には、「前月」ボタン301と、「当月」ボタン302と、「次月」ボタン303とが配されている。それぞれのボタン301,302,303を押下すると、カレンダーが、そのボタンに対応した月のものに切り替わるようになっている。ただし、当月以外の月のカレンダーを参照する方法は、これに限定されない。例えば、年月入力部を設け、そこに入力された年及び月のカレンダーに切り替わるようにすることも可能である。これにより、「前月」ボタン301や「次月」ボタン303の操作を繰り返すことなく、目的の月のカレンダーを表示させることができる。
【0030】
また、カレンダーの中央上方には、発注元別日報抽出部311と、進捗別日報抽出部312とが配されている。発注元別日報抽出部311を押下すると、複数の発注元が列記されたメニューが現れ、いずれかの発注元を選択すると、その発注元に係る案件の業務日報のみが、カレンダーに表示されるようになっている。同様に、進捗別日報抽出部312を押下すると、進捗フェーズ(「未着工」や、「工事中」や、「竣工済」等)が列挙されたメニューが現れ、いずれかの進捗フェーズを選択すると、その進捗フェーズの業務日報のみが、カレンダーに表示されるようになっている。これにより、目的の業務日報にたどり着きやすくなり、業務日報を探す手間を軽減することができる。
【0031】
2.2 受注した工事の案件登録
続いて、受注した工事の案件登録について説明する。ここでは、2022年8月1日に、ガス供給会社Aから、東京都千代田霞が関xxxにある特許太郎邸にガス管を引き込む工事を受注した場合を想定する。この種の工事には、本支管工事(公道に沿って比較的太いガス管を埋設する工事)や、供給管工事(本支管から分岐する比較的細いガス管を埋設する工事)や、内管工事(私有地内でガス管を埋設する工事)等が含まれる。受注した工事は、2022年8月30日に着工して供給管工事に係る作業Cを行い、翌31日に供給管工事に係る作業Cを行って竣工するものとする。
【0032】
図4は、項目表示部αの「案件登録」ボタンBを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。受注した工事の案件登録は、項目表示部αの「案件登録」ボタンBを押下し、内容表示部βに現れる案件登録フォームに必要事項を入力することによって行われる。この案件登録フォームは、図4に示すように、内容表示部βの一段目(上段)に基本情報入力部410が配され、二段目(中段)に工事担当者入力部420が配され、三段目(下段)に工事種類入力部430が配され、最下部に案件登録決定ボタン440が配された構成になっている。
【0033】
基本情報入力部410は、案件登録を行う工事の基本的な情報を入力又は登録するための箇所である。本実施形態では、基本情報入力部410が、発注元入力部411と、施工会社入力部412と、工事案件名入力部413と、工事場所入力部414と、受注日入力部415と、資料登録部416とで構成されている。
【0034】
発注元入力部411は、発注元の名称を入力する箇所となっている。本実施形態では、発注元入力部411を押下すると、「ガス供給会社A」と「ガス供給会社A」とが列記されたプルダウンメニューが現れ、そこで選択した発注元が発注元入力部411に入力されるようになっている。ここでは、「ガス供給会社A」を選択する。
【0035】
施工会社入力部412は、工事を実際に行う会社(施工会社)を入力する箇所となっている。本実施形態では、施工会社入力部412を押下すると、「自社」と「下請け会社」とが列記されたプルダウンメニューが現れ、そこで選択した施工会社が施工会社入力部412に入力されるようになっている。ここでは、「自社」を選択する。
【0036】
工事案件名入力部413は、工事の案件名を入力する箇所となっている。工事案件入力部413の入力形式としては、例えば、フリーテキスト入力を採用することができる。案件名は、工事の概要を理解できるものとする。ここでは、「特許太郎邸ガス供給管工事」と入力する。以下では、本案件を、単に「特許太郎邸」案件と呼ぶことがある。
【0037】
工事場所入力部414は、工事現場の住所を入力する箇所となっている。工事場所入力部414の入力形式としては、例えば、フリーテキスト入力を採用することができる。ここでは、「東京都千代田区霞が関xxx」と入力する。なお、工事場所入力部414を押下できるようにし、そこを押下すると、工事現場周辺の地図が表示されるようにしてもよい。
【0038】
受注日入力部415は、工事を受注した日付を入力する箇所である。本実施形態では、受注日入力部415を押下するとカレンダーが表示され、所望の日付を押下すると、その日付が受注日入力部415に入力されるようになっている。ここでは、「2022/8/1」を入力する。
【0039】
工事担当者入力部420は、本案件を担当する者の氏名を入力する箇所である。本実施形態では、複数の氏名に対応してチェックボックスが配されおり、そこにチェックマークが付された氏名の者が工事担当者として入力されるようになっている。
【0040】
ところで、工事担当者入力部420は、上記の施工会社入力部412で入力された会社に応じて切り替わるようになっている。というのも、例えば、施工会社入力部412で「自社」を入力したにもかからず、工事担当者入力部420に下請け会社の社員の氏名が含まれていると、実際には工事を担当しない下請け会社の社員を工事担当者として誤入力してしまうおそれがあるからである。このため、本実施形態では、施工会社入力部412で「自社」を入力した場合には、工事担当者入力部420に自社の社員等(自社で雇っているアルバイト等を含む。)の氏名が現れ、施工会社入力部412で「下請け会社」を入力した場合には、工事担当者入力部420に下請け会社の社員等の氏名が現れるようになっている。これにより、担当しえない者を工事担当者として入力することができないようになっている。
【0041】
工事種類入力部430は、受注した工事の種類を入力する箇所である。本実施形態では、工事の種類(ここでは、「本支管工事」、「供給管工事」及び「内管工事」)に対応してチェックボックスが配されており、そこにチェックマークが付された工事の種類が、実際に受注した工事として入力されるようになっている。ここでは、「供給管工事」を選択する。なお、本実施形態では、工事の種類に関連付けて、費用関連の情報や参照工事番号等を、フリーテキスト形式で入力できるようになっている。
【0042】
ところで、受注する工事の種類は、発注元によって決まっていることが多い。例えば、ガス供給会社Aからは、本支管工事と供給管工事と内管工事とを受注することがあるものの、ガス供給会社Aからは、本支管工事を受注することはなく、供給管工事と内管工事とを受注することがある、といった状況がありうる。このような状況で、ガス供給会社Bから工事を新規に受注した場合、工事種類入力部430に本支管工事が含まれていると、受注しえない本支管工事を誤入力してしまうおそれがある。このため、工事種類入力部430には、受注する可能性がある工事の種類のみ表示されることが好ましい。本実施形態では、上記の発注元入力部411で選択した発注元に応じて、工事種類入力部430で表示される工事の種類が切り替わるようになっている。具体的には、発注元入力部411で「ガス供給会社A」を選択した場合には、工事種類入力部430に「本支管工事」と「供給管工事」と「内管工事」とが表示され、発注元入力部411で「ガス供給会社A」を選択した場合には、工事種類入力部430に「供給管工事」と「内管工事」とが表示されるようになっている。これにより、受注しえない工事の種類を入力することができないようにしている。
【0043】
案件登録フォームへの入力を終えたら、案件登録決定ボタン440を押下する。これにより、受注した工事が、管理サーバ10に案件登録される。また、案件登録フォームで入力した各種の情報が、この工事案件の工事関連情報として、管理サーバ10に記憶される。
【0044】
2.3 業務日報テンプレートの作成
次に、受注した工事等の業務日報テンプレートを作成する手順について説明する。業務日報テンプレートは、所定の日に行った工事等の内容を記録するための定型書式である。ここでは、管理権限を有する事務員及び工事責任者が、業務日報テンプレートを作成できるようになっている。
【0045】
本実施形態では、この業務日報テンプレートの作成状況やそこに記録された情報に基づいて、各工事案件の管理を行うようになっている。例えば、「特許太郎邸」案件では、8月30日に着工して供給管工事に係る作業Cを行い、翌31日に供給管工事に係る作業Cを行って竣工する予定になっているところ、工事日程が決まった際に、それらの工事に係る8月30日及び31日の業務日報テンプレートを作成する。業務日報テンプレートが作成されたことは、本システムのユーザに分かるようになっている(後述するように図3に示したカレンダーに表記される)ところ、その業務日報テンプレートを参照することによって、工事の予定を把握することができる。また、それらの工事を実際に行った後には、作成した業務日報テンプレートに、実働時間等、必要事項を追記して、業務日報テンプレートを更新する(業務日報を完成させる)。これらの業務日報を参照することによって、予定の工事が実際に行われたか否かを把握することができる。
【0046】
はじめに、8月30日分の業務日報テンプレートを作成する手順について説明する。業務日報テンプレートを作成する際には、まず、どの日の業務日報テンプレートを作成するのかを決定する。そのために、項目表示部αの「カレンダー」ボタンBを押下して、内容表示部βに当月(2022年8月)のカレンダーを表示させる(図3参照)。カレンダーの各日付部分は押下できるようになっているところ、所望の日付部分を押下する。これにより、どの日の業務日報テンプレートを作成するのかが決定される。ここでは、8月30日分の業務日報テンプレートを作成しようとしているため、カレンダーの「30日」の日付部分を押下する。
【0047】
次に、業務日報テンプレートがどの工事案件に関するものかを決定する。カレンダーの日付部分を押下すると、内容表示部βに、管理サーバ10に登録済みの工事案件の一覧(図示省略)が表示されるようになっている。その一覧の中から、所望の工事案件を選択する。これにより、業務日報テンプレートがどの工事案件に関連付けされるのかが決定される。ここでは、「特許太郎邸」案件に係る業務日報テンプレートを作成しようとしているため、その工事案件の一覧の中から「特許太郎邸」案件を選択する。これにより、以下の業務日報テンプレートに入力する情報が、「特許太郎邸」案件に関連付けされる。
【0048】
最後に、業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを決定する。登録済み案件の中から所望の工事案件を選択すると、内容表示部βに、図5に示す業務日報テンプレートが現れるようになっている。
【0049】
図5は、業務日報テンプレートの一例を示した図である。この業務日報テンプレートは、内容表示部βの一段目に基本情報表示部510が配され、二段目に日報対象日入力部520が配され、三段目に業務選択部530(左側)及び進捗状況表示部531(右側)が配され、四段目に業務担当者入力部540が配され、最下部に日報作成決定ボタンが配された構成になっている。この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかについては、業務選択部530で選択する項目によって決定される。
【0050】
業務選択部530は、この業務日報テンプレートに係る業務がどの業務フェーズに属するのかを選択する箇所である。業務選択部530では、受注した工事の業務フェーズ(「打合せ」や、「着工前事務」や、「着工」や、「工事中」や、「竣工」等)が列記されており、そのなかの1つ以上の業務フェーズを選択できるようになっている。8月30日に行う予定になっているのは、「着工及び供給管工事における作業C」であるため、「着工」及び「工事中」を選択する。
【0051】
図6は、業務日報テンプレートの業務選択部530で「工事中」を選択した後の画面を示した図である。業務選択部530で「工事中」を選択すると、三段目の業務選択部530と、四段目の業務担当者入力部540との間に、着工後作業選択部580が現れるようになっている。
【0052】
着工後作業選択部580は、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを選択する箇所である。着工後作業選択部580では、案件登録フォーム(図4参照)の工事種類入力部430に入力した工事種類(ここでは、供給管工事)の作業メニューが表示されるようになっている。8月30日に行う予定になっているのは、「着工及び供給管工事における作業C」であるため、作業メニューのなかから「作業C」を選択する。これにより、業務日報テンプレートがどの業務に関するものかが決定される。
【0053】
以下、業務日報テンプレートにおける業務選択部530及び着工後作業選択部580以外の箇所について説明する。基本情報表示部510は、この業務日報テンプレートに係る工事案件の基本情報が表示される箇所である。ここでは、発注元として「ガス供給会社A」が表示され、施工会社として「自社」が表示され、工事案件名として「特許太郎邸供給管工事」が表示され、工事場所として「東京都千代田区霞が関xxx」が表示される。
【0054】
日報対象日入力部520は、この業務日報テンプレートの対象日を入力する箇所である。日報対象日入力部520には、日報開始日入力部521と、日報終了日入力部522とが配されている。日報開始日入力部521には、この業務日報テンプレートの対象日(ここでは、「2022/8/30」)が予め入力されている。また、日報終了日入力部522にも、この業務日報テンプレートの作成対象日が予め入力されている。ただし、この業務日報テンプレートに係る業務が1日で終わりそうにない場合には、日報終了日入力部522に既入力の日付と異なる日付を入力する(後ろにずらす)ことが可能である。日報終了日入力部522に後の日付を入力すると、日報開始日入力部521の日付から日報終了日入力部522の日付までの各日の業務日報テンプレートがコピーされて作成される。
【0055】
進捗状況表示部531は、現時点における本工事案件の進捗状況が表示される箇所である。進捗状況表示部531では、業務及びその詳細と、その業務の実施日と、進捗とが、テーブル状に表示される。進捗の欄には、その業務が既に実施されている場合には「実績」と表示され、未だ実施されていない場合には「予定」と表示されるようになっている。ここでは、既に「特許太郎邸」案件の工事を受注しているため、「受注」の業務が、「2022/8/1」に既に実施された旨の進捗が表示される。
【0056】
業務担当者入力部540は、この業務日報テンプレートに係る業務の担当者を入力する箇所である。業務担当者入力部540の様式(入力形式や、表示される氏名の切り替え態様等)は、案件登録フォーム(図4参照)の工事担当者入力部420と同様とされている。このため、詳しい説明は省略する。
【0057】
業務日報テンプレートに必要事項を入力したら、日報作成決定ボタン550を押下する。これにより、ここで入力した各種の情報(工事関連情報)が、「特許太郎邸」案件に関連付けられて、8月30日分の業務日報テンプレートとして、管理サーバ10に登録される。
【0058】
続いて、8月31日分の業務日報テンプレート(「供給管工事における作業C及び竣工」に係るもの)を作成する。8月31日分の業務日報テンプレートも、8月30日分のものと同様の手順で、作成することができる。すなわち、まず、どの日の業務日報テンプレートを作成するのかを決定する(ここでは、図3に示したカレンダーで「31日」の日付部分を押下する)。次に、この業務日報テンプレートがどの工事案件に関するものかを決定する(登録済み工事案件の一覧から「特許太郎邸」案件を選択する)。最後に、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを決定する。8月31日に行う予定になっているものは、「供給管工事に係る作業C及び竣工」であるため、業務選択部530で、「工事中」及び「竣工」を選択し、着工後作業選択部580で、「作業C」を選択する(図6参照)。その後、日報作成決定ボタン550を押下することで、ここで入力した各種の情報(工事関連情報)を、「特許太郎邸」案件に関連付けて、8月31日分の業務日報テンプレートとして、管理サーバ10に登録することができる。
【0059】
8月31日分の業務日報テンプレートは、8月30日分の業務日報テンプレートを複製して、その複製した業務日報テンプレートの所望の入力箇所を修正することでも作成することができる。具体的には、8月30日分の業務日報テンプレートを作成する際に、前述の日報終了日入力部522に「2022/8/31」と入力する。これにより、8月30日分の業務日報テンプレートと同じ内容のものが、8月31日分の暫定的な業務日報テンプレートとして作成される。業務日報テンプレートは、後掲の図9で説明するように、各種の情報を修正して更新できるようになっているところ、図9における業務選択部730で「工事中」及び「竣工」を選択し、図9における業選択部740で、「作業C」を選択することで、8月31日分の適切な業務日報テンプレート(「供給管工事における作業C及び竣工」に係るもの)を作成することができる。
【0060】
ところで、業務日報テンプレートは、工事に関するものだけでなく、工事に関連する事務についても作成することができる。既に述べたように、道路使用工事を行うにあたっては、警察や自治体による道路使用許可を受ける必要があり、この道路使用許可の状況は本システムで管理するようになっているところ、本実施形態では、この道路使用許可の状況を、その関連事務に係る業務日報テンプレートを基に管理するようにしている。以下、道路使用許可の申請に係る事務の業務日報テンプレートについて説明する。ここでは、8月30の着工に先立って、8月5日に一次掘削申請を行い、8月10日に警察署Dに対して道路使用許可申請を行うものとする。申請の結果、8月15日に道路使用許可の通知を受け、8月20日からの1か月間(9月20日まで)、道路使用工事を行えるようになった(道路使用許可が下された)場合を想定する。
【0061】
まず、8月5日分の業務日報テンプレート(「着工前事務における一次掘削申請」に係るもの)を作成する。8月5日分の業務日報テンプレートも、上述の業務日報テンプレートと同様の手順で、作成することができる。すなわち、まず、どの日の業務日報テンプレートを作成するのかを決定する(ここでは、図3に示したカレンダーで「5日」の日付部分を押下する)。次に、この業務日報テンプレートがどの工事案件に関するものかを決定する(登録済み工事案件の一覧から「特許太郎邸」案件を選択する)。最後に、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを決定する。8月5日に行う予定になっているものは、「着工前事務における一次掘削申請」であるため、業務選択部530で、「着工前事務」を選択する。
【0062】
図7は、業務日報テンプレートの業務選択部530で「着工前事務」を選択した後の画面を示した図である。業務選択部530で「着工前事務」を選択すると、業務日報テンプレート(図5参照)における三段目の業務選択部530と、四段目の業務担当者入力部540との間に、着工前事務選択部590が現れるようになっている。
【0063】
着工前事務選択部590は、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを選択する箇所である。着工前事務選択部590では、「一時掘削申請」と「道路使用許可申請」とが列記された事務メニューが表示され、どちらかを選択できるようになっている。8月5日に行う予定になっているのは、「着工前事務における一次掘削申請」であるため、事務メニューの中から「一時掘削申請」を選択する。その後、日報作成決定ボタン550を押下することで、ここで入力した各種の情報(工事関連情報)を、「特許太郎邸」案件に関連付けて、8月5日分の業務日報テンプレートとして、管理サーバ10に登録することができる。
【0064】
続いて、8月10日分の業務日報テンプレート(「着工前事務における道路使用許可申請」に係るもの)を作成する。8月10日分の業務日報テンプレートも、上述の業務日報テンプレートと同様の手順で、作成することができる。すなわち、まず、どの日の業務日報テンプレートを作成するのかを決定する(ここでは、図3に示したカレンダーで「10日」の日付部分を押下する)。次に、この業務日報テンプレートがどの工事案件に関するものかを決定する(登録済み工事案件の一覧から「特許太郎邸」案件を選択する)。最後に、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを決定する。8月10日に行う予定になっているものは、「着工前事務における道路使用許可申請」であるため、業務選択部530で、「着工前事務」を選択し、着工前事務選択部590で、「道路使用許可申請」を選択する(図7参照)。その後、日報作成決定ボタン550を押下することで、ここで入力した各種の情報(工事関連情報)を、「特許太郎邸」案件に関連付けて、8月10日分の業務日報テンプレートとして、管理サーバ10に登録することができる。
【0065】
ところで、道路使用許可に係る申請態様は、発注元によって決まっていることが多い。例えば、ガス供給会社Aから受注した工事では、一次掘削申請と道路使用許可申請の両方を自社(又はその下請け企業)で行うが、ガス供給会社Aから受注した工事では、一次掘削申請を受注元が行い、道路使用許可申請を自社(又はその下請け企業)で行う、といった態様(役割分担)になっていることがありうる。このような場合には、申請漏れや二重申請等が起きないように、自社が行う申請のみが、着工前事務選択部590に表示されることが好ましい。本実施形態では、受注元が「ガス供給会社A」である場合には、着工前事務選択部590に「一次掘削申請」と「道路使用許可申請」の両方が現れ、受注元が「ガス供給会社A」である場合には、着工前事務選択部590に「道路使用許可申請」のみが現れるようになっている。これにより、申請漏れや二重申請等を防ぐことができる。
【0066】
図8は、「特許太郎邸」案件に係る業務日報テンプレートを作成した後に、項目表示部αの「カレンダー」ボタンBを押下して、内容表示部βにカレンダーを表示させた際の画面を示した図である。管理サーバ10に登録された業務日報テンプレートは、カレンダーに反映されるようになっている。ここでは、「5日」及び「10日」の日付部分の直下に、「ガA,自,特許太郎邸,着工前」の日報タイトルが新たに表示され、「30日」の日付部分の直下に、「ガA,自,特許太郎邸,着工」の日報タイトルが新たに表示され、「31日」の日付部分の直下に、「ガA,自,特許太郎邸,竣工」の日報タイトルが新たに表示される。これにより、他の工事案件の業務日程と併せて、「特許太郎邸」案件に係る業務日程を迅速に把握することができる。
【0067】
2.4 業務日報テンプレートの更新
以下、「特許太郎邸」案件について作成した業務日報テンプレートを更新する(業務日報を完成させる)手順について説明する。業務日報テンプレートの更新は、通常、その業務日報テンプレートに係る業務を実際に行った後に行われる。ここでは、管理権限を有する事務員及び工事責任者が、業務日報テンプレートを更新できるようになっている。
【0068】
まず、8月5日分の業務日報テンプレートを更新して、その業務日報を完成させる。項目表示部αの「カレンダー」ボタンBを押下して、内容表示部βにカレンダーを表示させる(図8参照)。カレンダーに表示されている業務日報テンプレートのタイトルは押下できるようになっているところ、所望の業務日報テンプレートのタイトルを押下する。ここでは、「特許太郎邸」案件における8月5日分の業務日報テンプレートを更新しようとしているため、カレンダーにおける「5日」直下の「ガA,自,特許太郎邸,着工前」を押下する。そうすると、内容表示部βに、図9に示す業務日報テンプレートが現れる。
【0069】
図9は、カレンダーに表示された業務日報テンプレートのタイトルを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。この業務日報テンプレートは、内容表示部βの一段目に基本情報表示部710が配され、二段目に日報対象日表示部720(左側)及び関連資料登録部721(右側)が配され、三段目に業務選択部730(左側)及び登録業務進捗表示部731が配され、四段目に着工前事務選択部740が配され、五段目に道路使用許可状況入力部750が配され、六段目に担当者実働時間入力部760が配され、最下部に日報削除決定ボタン771及び日報更新決定ボタン772が配された構成になっている。
【0070】
基本情報表示部710は、この業務日報テンプレートに係る工事案件の基本情報が表示される箇所である。ここでは、発注元として「ガス供給会社A」が表示され、施工会社として「自社」が表示され、工事案件名として「特許太郎邸供給管工事」が表示され、工事場所として「東京都千代田区霞が関xxx」が表示されるようになっている。
【0071】
日報対象日表示部720は、この業務日報テンプレートの対象日が表示される箇所である。ここでは、「2022/8/5」が表示される。関連資料登録部721は、作業報告書や各種申請書類や施工図面等の電子ファイルを登録する箇所である。
【0072】
業務選択部730は、この業務日報テンプレートに係る業務がどの業務フェーズに属するのかを選択する箇所である。業務選択部730では、業務日報テンプレートを作成する際に、業務選択部530で選択した業務(ここでは、「着工前事務」)が予め選択されている(図7参照)。このため、実際に行った業務に変更がなければ改めて選択を行う必要はない。
【0073】
登録業務進捗表示部731は、この業務日報テンプレートに係る業務の進捗状況が表示される箇所である。この業務日報テンプレートが既に更新されている場合には「実績」が表示され、未だ更新されていない場合には「予定」が表示されるようになっている。ここでは、「着工前事務における一時掘削申請」に係る業務が未だ更新されていない旨が表示されている。
【0074】
着工前事務選択部740は、この業務日報テンプレートがどの業務に関するものかを選択する箇所である。着工前事務選択部740では、業務日報テンプレートを作成する際に、着工前事務選択部590で選択した業務(ここでは、「一時掘削申請」)が予め選択されている。このため、実際に行った業務に変更がなければ改めて選択を行う必要はない。
【0075】
道路使用許可入力部750は、道路使用許可の状況を入力するための箇所である。ここで更新しようとしている業務日報テンプレートは、「着工前事務における一時掘削申請」に係るものであるため、道路使用許可入力部750には何も入力しない。
【0076】
担当者実働時間入力部760は、業務担当者及びその実働時間を入力するための箇所である。担当者実働時間入力部760では、複数の氏名に対応してチェックボックス及びテキストボックスが配されており、チェックボックスにチャックマークが付された氏名の者が業務担当者として入力され、テキストボックスに入力された数字がその業務担当者の実働時間として入力されるようになっている。なお、ここで表示される氏名は、施工会社に応じて切り替わるようになっている。
【0077】
業務日報テンプレートに必要事項を入力したら、日報更新決定ボタン772を押下する。これにより、「特許太郎邸」案件における8月5日の業務日報が、完成したものとして管理サーバ10に登録される。また、ここで入力した各種の情報は、「特許太郎邸」案件の工事関連情報として、管理サーバ10に記憶される。なお、受注した工事の変更等によって、「着工前事務における一時掘削申請」の業務を行う必要がなくなった場合には、日報削除決定ボタン771を押下することによって、この業務日報テンプレートを管理サーバ10から削除することができる。
【0078】
続いて、8月10日分の業務日報テンプレート(「着工前事務における道路使用許可申請」に係るもの)を更新して、その業務日報を完成させる。図8に示したカレンダーにおける「10日」直下の「ガA,自,特許太郎邸,着工前」を押下して、内容表示部βに、8月10日分の業務日報テンプレートを表示させる。ここでは、担当者実働時間入力部760等への入力に加えて、道路使用許可入力部750への入力を行う(図9参照)。道路使用許可入力部750には、申請先警察入力部751と、許可受領日入力部752と、許可開始日入力部753と、許可終了日入力部754とが配されている。
【0079】
申請先警察入力部751は、道路使用工事を行う場所を管轄している(道路使用許可を下す権限を持っている)警察署を入力する箇所である。申請先警察入力部751では、プルダウンメニュー選択形式が採用されている。ここでは、申請先警察入力部751に「警察署D」を入力する。
【0080】
ところで、受注した工事の種類によっては、道路使用許可が不要な場合もありうる。例えば、受注した工事が、上記の内管工事(私有地内でガス管を埋設する工事)や、私道に係る工事等の場合には、道路使用許可を取得しなくても施工することが可能である。このような工事は、道路使用許可に関する管理を行う必要がない。この点、本実施形態では、申請先警察入力部751のプルダウンメニューから「不要」を選択することで、その工事案件を、道路使用許可に関する管理の対象から外せるようになっている。ただし、道路使用許可の要否の指定は、業務日報テンプレートの更新時に限らず、例えば、受注した工事の案件登録時に行うようにしてもよい。具体的には、案件登録フォーム(図4参照)で、工事種類入力部430に内管工事や私道に係る工事等を入力する時に、道路使用許可の要否を指定させることも可能である。
【0081】
許可受領日入力部752は、警察から道路使用許可を受けた日付を入力する箇所である。ここでは、8月15日に道路使用許可の通知を受け、8月20日からの1か月間(9月20日まで)、道路使用工事を行えるようになったことを想定しているところ、許可受領日入力部752に、「2022/8/15」を入力する。
【0082】
許可開始日入力部753及び許可終了日入力部754は、それぞれ、道路使用許可の期間における開始日(始期)及び終了日(終期)を入力するための箇所である。ここでは、許可開始日入力部753に「2022/8/20」を入力し、許可終了日入力部754に「2022/9/20」を入力する。
【0083】
道路使用許可入力部750に所定の情報を入力したら、日報更新決定ボタン772を押下する。これにより、「特許太郎邸」案件における8月10日分の業務日報が、完成したものとして管理サーバ10に登録される。また、ここで入力した各種の情報は、「特許太郎邸」案件の工事関連情報として、管理サーバ10に記憶される。
【0084】
8月30日の業務日報テンプレート(「着工及び供給管工事における作業C」に係るもの)及び8月31日の業務日報テンプレート(「供給管工事における作業C及び竣工」に係るもの)も、上記と同じ手順で更新して、業務日報を完成させることができる。ところで、道路許可工事の施工については、作業報告書や施工図面等を残しておくことが特に重要である。このため、関連資料登録部721にそれらの電子ファイルを登録したうえで、業務日報を完成させることが好ましい。
【0085】
2.5 進捗状況の読み出し
次に、工事案件の進捗状況を読み出す手順について説明する。項目表示部αの案件一覧ボタンBを押下すると、内容表示部βに登録済み工事案件の一覧表(図示省略)が現れるようになっている。その一覧表の中から所望の案件を選択すると、内容表示部βに、図10に示す案件変更フォームが現れるようになっている。
【0086】
図10は、登録済み工事案件の一覧表の中から「特許太郎邸」案件を選択した後に表示される画面の一例を示した図である。この案件変更フォームは、一段目に基本情報入力部810が配され、二段目に受注日表示部821(左側)及び工事開始日表示部822(中央)及び工事完了日表示部823(右側)が配され、三段目に道路使用許可入力部830が配され、四段目に工事種類入力部840が配され、五段目に工事担当者入力部850が配され、六段目に進捗状況表示部860が配され、最下部に登録案件削除ボタン871及び案件変更決定ボタン872が配された構成になっている。本工事案件の進捗状況は、進捗状況表示部860で確認することができる。
【0087】
進捗状況表示部860は、現時点における本工事案件の進捗状況が表示される箇所である。進捗状況表示部860では、業務及びその詳細と、その業務の実施日と、その業務の進捗とが、テーブル状に表示されるようになっている。
【0088】
業務カラムには、「受注」の業務と、作成済みの業務日報テンプレートに係る業務とが列記されるようになっている。ここでは、「受注」に加えて、「着工前事務における一時掘削申請」の業務が「着工前事務」(詳細カラムに「一時掘削申請」と表示されたもの)として表示され、「着工前事務における道路使用許可申請」の業務が「着工前事務」(詳細カラムに「道路使用許可申請」と表示されたもの)として表示され、「着工及び供給管工事における作業C」の業務が「着工,工事中」(詳細カラムに「供給管工事,作業C」と表示されたもの)として表示され、「供給管工事における作業C及び竣工」の業務が「工事中,竣工」(詳細カラムに「供給管工事,作業C」と表示されたもの)として表示される。
【0089】
実施日カラムには、受注日(案件登録フォームの受注日入力部415(図4参照)で入力した日付)と、作成済みの業務日報テンプレートの対象日とが列記されるようになっている。ここでは、業務カラムの「受注」に対応して「2022/8/1」が表示され、「着工前事務」(詳細カラムに「一時掘削申請」と表示されたもの)に対応して「2022/8/5」が表示され、「着工前事務」(詳細カラムに「道路使用許可申請」と表示されたもの)に対応して「2022/8/10」が表示され、「着工,工事中」(詳細カラムに「供給管工事,作業C」と表示されたもの)に対応して「2022/8/30」が表示され、「工事中,竣工」(詳細カラムに「供給管工事,作業C」と表示されたもの)に対応して「2022/8/31」が表示される。
【0090】
進捗カラムには、業務カラムの業務が、既に実施されている場合に「実績」と表示され、未だ実施されていない場合に「予定」と表示されるようになっている。業務カラムの業務が実施されたか否かは、その業務に係る業務日報テンプレートが更新されているか否かによって判定される。すなわち、業務日報テンプレートが作成されているが、更新されていないものに係る業務は未実施と判断され、業務日報テンプレートが作成されているうえに、更新もされているものに係る業務は実施済みと判断されるようになっている。ここでは、業務コラムに列記された業務が全て「実績」とされている(「受注」の業務は、案件登録を行った時点で実施されたものとみなされるため、常に、「実績」が表示される)。
【0091】
進捗状況表示部860を参照することによって、本工事案件の進捗状況を迅速に把握することができる。また、後述するように、同じ画面に、道路使用許可入力部830が配されているため、道路使用許可の状況と突き合わせて、受注した工事及びその関連業務の進捗を把握することができる。
【0092】
以下、案件変更フォームにおける進捗状況表示部860以外の箇所について説明する。基本情報入力部810は、案件変更を行おうとしている受注工事の基本的な情報を入力又は登録する箇所である。基本情報入力部810は、案件登録フォーム(図4参照)の基本情報入力部410と略同じ構成になっている。基本情報入力部810には、案件登録フォーム(図4参照)の基本情報入力部410で入力した情報が予め入力されている。
【0093】
受注日表示部821は、工事を受注した日付(ここでは、2022/8/1)が表示される箇所である。また、工事開始日表示部822は、工事を開始した日付が表示される箇所であり、「着工」に係る業務日報テンプレートの対象日(ここでは、2022/8/30)が表示されるようになっている。さらに、工事完了日表示部823は、工事が完了した日付が表示される箇所であり、「竣工」に係る業務日報テンプレートの対象日(ここでは、2022/8/31)が表示されるようになっている。
【0094】
道路使用許可入力部830は、道路使用許可の状況が表示される箇所である。道路使用許可入力部830は、業務日報テンプレートの道路使用許可入力部750(図9参照)と同じ構成になっている。道路使用許可入力部830には、道路使用許可入力部750で入力した情報が予め入力されている。
【0095】
工事種類入力部840は、受注した工事の種類を入力する箇所である。工事種類入力部840は、案件登録フォーム(図4参照)の工事種類入力部430と略同じ構成になっている。工事種類入力部840には、工事種類入力部430で入力した工事の種類が予め入力されている。
【0096】
工事担当者入力部850は、本工事案件を担当する者の氏名を入力する箇所である。工事担当者入力部850は、案件登録フォーム(図4参照)の工事担当者入力部420と略同じ構成になっている。案件担当者入力部850には、工事担当者入力部420で入力した氏名が予め入力されている。
【0097】
「特許太郎邸」案件に変更がある場合には、該当の入力部に変更情報を入力し、案件更新決定ボタン872を押下する。これにより、管理サーバ10に記憶されている「特許太郎邸」案件の工事関連情報が変更される。なお、受注した工事が中止になった場合等には、登録案件削除ボタン871を押下することによって、当該工事に係る全ての工事関連情報を管理サーバ10から削除することができる。
【0098】
2.6 アラート対象案件の読み出し
図11は、項目表示部αの要確認ボタンBを押下した後に表示される画面の一例を示した図である。要確認ボタンBを押下すると、内容表示部βに、アラート対象案件の一覧表が現れる。本実施形態では、道路使用工事の開始日が迫っているにもかかわらず、取得すべき道路使用許可が取得できていない工事案件が「要取得案件」として表示され、道路使用許可の期間の終了日が迫っているにもかかわらず、道路使用工事が完了していない工事案件が「要更新案件」として表示されるようになっている。この一覧表を参照することで、ユーザは、要取得案件及び要更新案件を前もって把握することができる。このため、着工予定日に間に合うように道路使用許可の取得を急ぐことや、道路使用許可の更新申請を、余裕をもって行うことが可能となる。
【0099】
本実施形態では、アラート対象案件の一覧表以外にも、例えば、カレンダー(図3,8参照)を参照した際にもアラート対象案件が分かるようになっている。具体的には、カレンダーで、アラート対象案件に係る業務日報テンプレートのタイトルが、識別しやすい目立つ色(アラート対象案件以外の案件に係る業務日報テンプレートのタイトルの表示色とは異なる色)で表記されるようになっている。これにより、「要確認」ボタンBを押下したときだけでなく、ログイン画面から各種操作画面に移行した直後や「カレンダー」ボタンBを押下したとき等にも、アラート対象案件を把握することができる。
【0100】
アラート対象案件(要取得案件及び要更新案件)の抽出方法は、特に限定されない。例えば、道路使用工事の着工予定日が現在の日付から所定日数後(例えば、10営業日以内)に迫っているにも関わらず、取得すべき道路使用許可が取得できていない工事案件を、要取得案件として抽出することができる。また、道路使用許可終了日が現在の日付から所定日数後(例えば、10営業日以内)に迫っているにも関わらず、道路使用工事が完了していない工事案件を、要更新案件として抽出することができる。これら要取得案件又は要更新案件の抽出は、[1]現在の日付から10営業日後の日付と、[2]道路使用工事の着工予定日(「着工」に係る業務日報テンプレートの日付)との先後を比較すること、又は、[1]現在の日付から10営業日後の日付と、[3]道路使用許可終了日(図9における許可終了日入力部754に入力した日付)との先後を比較することで行うことができる。
【0101】
しかし、要更新案件の抽出を上記のように行うと、道路使用許可終了日が10営業日後に迫ってきている全ての工事案件が、要更新案件として抽出されることになる。このため、道路使用工事が道路使用許可終了日までに完了するように適切にスケジューリングされた工事案件であっても、道路使用許可終了日が10営業日後に迫ってきていることのみを理由に、要更新案件として抽出されてしまう。このように適切にスケジューリングされた工事案件(道路使用許可の更新申請が不要な工事案件)が紛れていると、道路使用許可の更新申請が本当に必要な工事案件を見落としてしまうおそれがある。このため、適切にスケジューリングされている案件は抽出せずに、道路使用許可の更新申請が本当に必要な工事案件のみが抽出されるようにすることが好ましい。
【0102】
この点、本実施形態において、要更新案件の抽出は、上記のように、[1]現在の日付から10営業日後の日付と、[3]道路使用許可終了日とを比較する方法ではなく、以下の方法により行うようにしている。すなわち、道路使用許可終了日よりも後の日付が完了予定日として指定された工事案件を、要更新案件として抽出するようにしている。この抽出は、[3]道路使用許可終了日と、[4]道路使用工事の竣工予定日(「竣工」に係る業務日報テンプレートの日付)との先後を比較することで行うことができる。この方法で抽出を行うと、道路使用許可の更新申請が不要な案件の抽出を排除することができる。加えて、当初は、道路使用許可終了日よりも前の日付が完了予定日として指定されていたものの、工期の遅延等が生じた結果、事後的に、完了予定日が道路使用許可終了日よりも後にずれこんだ案件も、道路使用許可終了日よりも後の日付が完了予定日として指定された段階で、要更新案件として抽出することができる。
【0103】
ただし、工事案件の中には、竣工予定日がはっきりと決まっていない等の理由で、「竣工」に係る業務日報テンプレートが作成されないものもありうる。このような工事案件は、上記の[3]道路使用許可終了日と、[4]道路使用工事の竣工予定日とを比較する方法では、抽出することができない。とは言え、「竣工」に係る業務日報テンプレートが作成されていない案件でも、「工事中」の業務日報テンプレート自体は、余裕を見た数日分が予め作成されているはずである。このため、本実施形態においては、[3]道路使用許可終了日と、[4]道路使用工事の竣工予定日との先後を比較する方法に加えて、以下のように、「工事中」の業務日報テンプレートの日付を基に、要更新案件の抽出を行うようにしている。すなわち、作成済みの「工事中」の業務日報テンプレートのうち最も遅い日の業務日報テンプレートの日付を[5]「工事中最終日」として取得し、この[5]工事中最終日が、[3]道路使用許可終了日よりも後の日付に指定された案件も、要更新案件として抽出するようにしている。これにより、[4]竣工予定日が指定されていない工事案件も、要更新案件のチェックを行うことが可能になる。
【0104】
さらに、本実施形態においては、上記の[3]道路使用許可終了日と[4]竣工予定日との比較による要更新案件のチェックと、[3]道路使用許可終了日と[5]工事中最終日との比較による要更新案件のチェックとに加えて、さらに以下の方法でも要更新案件をチェックするようにしている。すなわち、[3]道路使用許可終了日よりも後の日付が、[2]道路使用工事の着工予定日として指定された案件も、要更新案件として抽出されるようにしている。これにより、要更新案件の抽出をより高い確度で行うことができる。
【0105】
以上のように、本実施形態では、要更新案件として抽出される案件は、[3]道路使用許可終了日よりも後の日付が[4]竣工予定日として指定されたパターンと、[3]道路使用許可終了日よりも後の日付が[5]工事中最終日として指定されたパターンと、[3]道路使用許可終了日よりも後の日付が、[2]道路使用工事の着工予定日として指定されたパターンとの計3パターンがある。これらのうち、1番目のパターンによって抽出された要更新案件は、「完了申請更新要」に分類し、2番目のパターンによって抽出された要更新案件は、「工事中申請更新要」に分類し、3番目のパターンによって抽出された要更新案件は、「着工申請更新要」に分類するとともに、各分類に応じたエラーメッセージの表示を行うことで、エラーの内容を把握しやすくしている。
【0106】
3.工事管理プログラムの構成
以下、本発明の工事管理プログラムの構成について説明する。本発明の工事管理プログラムは、コンピュータにインストールされ、そのコンピュータを、道路使用工事を管理するための工事管理手段として機能させるためのものである。
【0107】
図12は、本発明の工事管理プログラム11のブロック図である。工事管理プログラム11は、案件登録処理実行部11aと、工事関連情報入力処理実行部11bと、アラート出力処理実行部11cと、操作制限処理実行部11dと、日報カレンダー表示処理実行部11eと、案件一覧表示処理実行部11fとを備えている。
【0108】
3.1 案件登録処理実行部
案件登録処理実行部11aは、コンピュータを、案件登録手段として機能させるためのプログラムコードのまとまり(コードブロックやサブルーチン等と呼ばれることがある。)である。案件登録手段としてのコンピュータは、受注した工事を、その工事を特定するための情報とともに記憶する処理を実行する。本実施形態では、ユーザが、案件登録フォーム(図4参照)の基本情報入力部410に各種の情報を入力し、工事種類入力部430に受注した工事の種類を入力して、案件登録ボタン440を押下すると、それらの情報が管理サーバ10に記憶されるようになっていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10が案件登録処理実行部11aを実行することによって実現される。
【0109】
受注した工事を特定するための情報は、基本情報入力部410に入力した各種の情報に限定されない。受注した工事を特定するための情報は、工事案件名等、基本情報入力部410の中のいずれか1つの情報で構成されていてもよいし、基本情報入力部410で入力する情報以外の情報を含んでいてもよい。
【0110】
3.2 工事関連情報入力処理実行部
工事関連情報入力処理実行部11bは、コンピュータを、工事関連情報入力手段として機能させるためのプログラムコードのまとまりである。工事関連情報入力手段としてのコンピュータは、ユーザが、当該コンピュータに対して、受注した工事ごとにその工事関連情報を入力できるようにする処理を実行する。本実施形態では、ユーザが、案件登録フォーム(図4参照)や、業務日報テンプレート(図5等参照)等で「特許太郎邸」案件に関する種々の情報(工事関連情報)を入力して、管理サーバ10に記憶させるようになっていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10が工事関連情報入力処理実行部11bを実行することによって実現される。
【0111】
3.3 アラート出力処理実行部
アラート出力処理実行部11cは、コンピュータを、アラート出力手段として機能させるためのプログラムコードのまとまりである。アラート出力手段としてのコンピュータは、工事案件の中からアラート対象案件(要更新案件及び要取得案件)を抽出し、所定の態様で出力する処理を実行する。本実施形態では、ユーザが、要確認ボタンBを押下すると、アラート対象案件の一覧表(図11参照)を表示するようになっていた。また、本実施形態では、カレンダー(図3参照)で、アラート対象案件に係る業務日報テンプレートのタイトルが、識別しやすい目立つ色で表記されるようになっていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10がアラート出力処理実行部11cを実行することによって実現される。
【0112】
図13は、要更新案件を抽出する流れの一例を示したフローチャートである。「2.6 アラート対象案件の読み出し」で説明したように、要更新案件は、道路使用許可終了日が現在の日付から10営業日以内に迫っているにも関わらず、道路使用工事が完了していない案件とすることができる。この場合、要更新案件は、図13に示すように、着工済み案件抽出ステップS11と、未竣工案件抽出ステップS12と、要更新案件抽出ステップS13とを実行することで抽出することができる。
【0113】
着工済み案件抽出ステップS11は、工事案件のなかから、現在、工事に取り掛かっている案件を着工済み案件として抽出するステップである。本実施形態では、工事案件の中から、「着工」に係る業務日報テンプレート(図6参照)が作成されているうえに、既に更新されている案件を、着工済み案件として抽出している。
【0114】
未竣工案件抽出ステップS12は、着工済み案件抽出ステップS11で抽出した着工済み案件の中から、工事が完了していない案件を未竣工案件として抽出するステップである。本実施形態では、着工済み案件の中から、「竣工」に係る業務日報テンプレート(図6参照)が作成されているものの、未だ更新されていない案件を、未竣工案件として抽出している。
【0115】
要更新案件抽出ステップS13は、未竣工案件抽出ステップS12で抽出した未竣工案件の中から、道路使用許可の期間の終了日が迫っている案件を要更新案件として抽出するステップである。本実施形態では、未竣工案件の中から、道路使用許可の期間の終了日が10営業日以内に迫っている案件を、要更新案件として抽出している。道路使用許可の期間の終了日が10営業日以内に迫っているか否かは、「着工前事務における道路使用許可」に係る業務日報テンプレートの許可終了日入力部754(図9参照)に入力された日付に基づいて判定している。
【0116】
また、要更新案件は、「完了申請更新要」と、「工事中申請更新要」と、「着工申請更新要」とに分類することも可能である。この場合、「完了申請更新要」に分類される案件は、[3]道路使用許可終了日(図9における許可終了日入力部754に入力した日付)と、[4]道路使用工事の竣工予定日(「竣工」に係る業務日報テンプレートの日付)との先後を比較することで抽出することができる。具体的には、工事案件の中から、[3]道路使用許可終了日よりも、[4]竣工予定日のほうが遅い日付とされたものを、「完了申請更新要」の案件として抽出する。また、「工事中申請更新要」に分類される案件は、[3]道路使用許可終了日と、[5]工事中最終日(作成済みの「工事中」の業務日報テンプレートのうち最も遅い日の業務日報テンプレートの日付)との先後を比較することで抽出することができる。具体的には、工事案件の中から、「竣工」に係る業務日報テンプレートが作成されていない案件を抽出し、さらにその案件の中から、[3]道路使用許可終了日よりも、[5]工事中最終日のほうが遅い日付とされた案件を、「工事中申請更新要」の案件として抽出する。さらに、「着工申請更新要」に分類される案件は、[3]道路使用許可終了日と、[2]道路使用工事の着工予定日(「着工」に係る業務日報テンプレートの日付)との先後を比較することで抽出することができる。具体的には、工事案件の中から、[3]道路使用許可終了日よりも、[2]着工予定日のほうが遅い日付とされた案件を、「着工申請更新要」の案件として抽出する。
【0117】
図14は、要取得案件を抽出する流れの一例を示したフローチャートである。要取得案件は、許可必須案件抽出ステップS21と、未取得案件抽出ステップS22と、要取得案件抽出ステップS23とを実行することで抽出することができる。
【0118】
許可必須案件抽出ステップS21は、工事案件の中から、道路使用許可を取得しなければ工事を実施できない案件を許可必須案件として抽出するステップである。本実施形態では、工事案件の中から、案件登録フォーム(図4参照)の工事種類入力部430で「本支管工事」又は「供給管工事」が入力された案件を、許可必須案件として抽出している。
【0119】
未取得案件抽出ステップS22は、許可必須案件抽出ステップS21で抽出した許可必須案件の中から、道路使用許可を未だ取得していない案件を未取得案件として抽出するステップである。本実施形態では、許可必須案件の中から、「着工前事務における道路使用許可」に係る業務日報テンプレート(図7参照)が作成されていないか、又は、作成されていても、道路使用許可入力部750への入力がなされていない案件を、未取得案件として抽出している。
【0120】
要取得案件抽出ステップS23は、未取得案件抽出ステップS22で抽出した未取得案件の中から、着工予定日が近付いている案件を要取得案件として抽出するステップである。本実施形態では、未取得案件の中から、着工予定日が10営業日以内に迫っている案件を、要取得案件として抽出している。着工予定日が10営業日以内に迫っているか否かは、「着工」に係る業務日報テンプレート(図6参照)の日報開始日入力部521に入力された日付に基づいて判定している。
【0121】
3.4 操作制限処理実行部
操作制限処理実行部11dは、コンピュータを、操作制限手段として機能させるためのプログラムコードのまとまりである。操作制限手段としてのコンピュータは、コンピュータに接続したユーザを識別し、所定のユーザに対しては、当該コンピュータに対して行える操作を制限する処理を実行する。本実施形態では、ログイン画面(図2参照)のユーザ名入力部201に入力されたユーザ名が一般の事務員や作業者のものであった場合に、工事関連情報の読み出しのみ行えるようにしていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10が操作制限処理実行部11dを実行することによって実現される。
【0122】
3.5 日報カレンダー表示処理実行部
日報カレンダー表示処理実行部11eは、コンピュータを、日報カレンダー表示手段として機能させるためのプログラムコードのまとまりである。日報カレンダー表示手段としてのコンピュータは、作成した業務日報テンプレートをカレンダー形式で表示する処理を実行する。本実施形態では、ログイン画面(図2参照)から各種操作画面(図3参照)に移行した直後や、ユーザが「カレンダー」ボタンBを押下した際に、内容表示部βにカレンダーが表示されるとともに、その各日付部分の直下に業務日報テンプレートのタイトルが表示されるようになっていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10が日報カレンダー表示処理実行部11eを実行することによって実現される。
【0123】
3.6 案件一覧表示処理実行部
案件一覧表示処理実行部11fは、コンピュータを、案件一覧表示手段として機能させるためのプログラムコードのまとまりである。案件一覧表示手段としてのコンピュータは、工事案件の一覧表を表示する処理を実行する。本実施形態では、ユーザが「案件一覧」ボタンBを押下した際に、内容表示部βに登録済み工事案件の一覧表が表示されるようになっていた。このような管理サーバ10の動作は、管理サーバ10が案件一覧表示処理実行部11fを実行することによって実現される。
【符号の説明】
【0124】
1 工事管理システム
10 管理サーバ(メインコンピュータ)
11 工事管理プログラム
11a 案件登録処理実行部
11b 工事関連情報入力処理実行部
11c アラート出力処理実行部
11d 操作制限処理実行部
11e 日報カレンダー表示処理実行部
11f 案件一覧表示処理実行部
20 ユーザ端末
21 事務員用端末
22 現場責任者用端末
23 作業者用端末
201 ユーザ名入力部
202 パスワード入力部
203 「ログイン」ボタン
301 「前月」ボタン
302 「当月」ボタン
303 「次月」ボタン
311 発注元別日報抽出部
312 進捗別日報抽出部
410 基本情報入力部
420 工事担当者入力部
430 工事種類入力部
440 案件登録決定ボタン
510 基本情報表示部
520 日報対象日入力部
530 業務選択部
540 業務担当者入力部
550 日報作成決定ボタン
580 着工後作業選択部
590 着工前事務選択部
710 基本情報表示部
720 日報対象日表示部
730 業務選択部
740 着工前事務選択部
750 道路使用許可入力部
751 申請先警察入力部
752 許可受領日入力部
753 許可開始日入力部
754 許可終了日入力部
760 業務担当者入力部
771 日報削除決定ボタン
772 日報更新決定ボタン
810 基本情報入力部
830 道路使用許可入力部
840 工事種類入力部
850 工事担当者入力部
860 進捗状況表示部
871 工事案件削除ボタン
872 案件変更決定ボタン
S11 着工済み案件抽出ステップ
S12 未竣工案件抽出ステップ
S13 要更新案件抽出ステップ
S21 許可必須案件抽出ステップ
S22 未取得案件抽出ステップ
S23 要取得案件抽出ステップ
「カレンダー」ボタン
「案件登録」ボタン
「案件一覧」ボタン
「要確認」ボタン
α 項目表示部
β 内容表示部
【要約】
【課題】
道路使用許可の状況を確認しながら、道路使用工事を管理することができる工事管理プログラムを提供するものである。
【解決手段】
道路使用工事を管理する管理手段として機能させるための工事管理プログラム11を、コンピュータにインストールして、当該コンピュータを、受注した工事を登録する工事登録手段と、工事登録手段で登録された工事の予定期間、進捗状況及び道路使用許可期間を含む工事関連情報を工事ごとに入力する工事関連情報入力手段と、道路使用許可の期間内に工事の予定期間が納まらない工事を抽出して、アラートを出力するアラート出力手段として機能させる。
【選択図】 図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14