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特許7157533壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材
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  • 特許-壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材 図1
  • 特許-壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材 図2
  • 特許-壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材 図3
  • 特許-壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20221013BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20221013BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
E04F13/08 101H
E04B2/56 601G
E04B2/56 601H
E04B1/64 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018033913
(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2019148123
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 俊文
(72)【発明者】
【氏名】大榊 浩史
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-000623(JP,U)
【文献】特開平09-088326(JP,A)
【文献】登録実用新案第3166770(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0155928(US,A1)
【文献】特開2001-073529(JP,A)
【文献】特開2002-201725(JP,A)
【文献】特開昭61-137958(JP,A)
【文献】特開昭58-123951(JP,A)
【文献】特開平10-159299(JP,A)
【文献】特開2009-079403(JP,A)
【文献】特開2019-065543(JP,A)
【文献】特開2017-002615(JP,A)
【文献】特開平05-033449(JP,A)
【文献】特開平07-166677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08
E04B 2/56
E04B 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁下地に複数の壁板がよろい張りされた壁板施工構造であって、
前記壁下地に対して固定され、板状に形成されたスタータと、
前記スタータの外側の面と前記壁下地とに当たって傾斜する壁板と、
前記壁下地と前記スタータとの間に配置されたスタータ補助部材と、
を備え、
前記スタータの外側の面が、下方向に向かうに従って外側に位置するように傾斜し、
前記スタータ補助部材は、前記壁下地と前記スタータの下端部とを離す隙間形成部を有する、
壁板施工構造。
【請求項2】
前記スタータ補助部材は、
前記壁下地に固定される固定部と、
前記固定部に対して固定され、前記スタータを下方から支持する支持部と
を有する、
請求項1の壁板施工構造。
【請求項3】
前記支持部は、前記壁板を下方から支持するように構成されている、
請求項2の壁板施工構造。
【請求項4】
前記スタータ補助部材は、前記固定部と前記支持部とをつなぎ、前記支持部よりも下方に位置する連結部を有し、
前記連結部は少なくとも1つの水抜き孔を含む、
請求項2又は請求項3の壁板施工構造。
【請求項5】
前記壁板は、水平方向に並ぶように複数配置され、
前記スタータ補助部材は、少なくとも1つの前記壁板の水平方向の長さよりも長く形成されている、
請求項1~4のいずれか1つの壁板施工構造。
【請求項6】
壁下地に複数の壁板がよろい張りされた壁板施工構造が備えるスタータ補助部材であって、
前記壁板施工構造は、
前記壁下地に対して固定され、板状に形成されたスタータと、
前記スタータの外側の面と前記壁下地とに当たって傾斜する壁板と、
前記壁下地と前記スタータとの間に配置された前記スタータ補助部材と、
を備え、
前記スタータの外側の面が、下方向に向かうに従って外側に位置するように傾斜し、
前記スタータ補助部材は、
前記壁下地と前記スタータの下端部とを離す隙間形成部と、
前記壁下地に固定される固定部と、
前記固定部に対して固定され、前記スタータを下方から支持する支持部と、
前記固定部と前記支持部とをつなぎ、前記支持部よりも下方に位置する連結部と、
を有し、
前記支持部は、前記固定部に対して直交する平面状に形成されている、
スタータ補助部材。
【請求項7】
前記連結部は少なくとも1つの水抜き孔を含む、
請求項6のスタータ補助部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材に関し、より詳しくは、よろい張りされた壁材を有する壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の壁板施工構造が開示されている。この特許文献1記載の壁構造は、壁下地に鉛直に取り付けられたスターターと、スターターの屋外側に重なるようにして取り付けられた最下段の外壁材と、最下段の外壁材の屋外側の面に重なるように取り付けられた上段の外壁材とを備える。この壁構造は、いわゆるよろい張りの外壁構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-14884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の壁構造では、スターターは壁下地に対して鉛直に取り付けられており、スターターの屋外側の面は鉛直面に沿っている。このため、最下段の外壁材とスターターの屋外側の面との間には、大きな隙間が生じ得る。
【0005】
最下段の外壁材とスターターとの間に大きな隙間があると、最下段の外壁材のみに対して外力が加わりやすく、最下段の外壁材に破損や損傷が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、最下段の壁板に対して、外力が加わっても、破損や損傷が生じにくい壁板施工構造及びこれに用いられるスタータ補助部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の壁板施工構造は、壁下地に複数の壁板がよろい張りされた壁板施工構造である。前記壁板施工構造は、前記壁下地に対して固定されるスタータと、前記スタータの外側の面と前記壁下地とに当たって傾斜する壁板と、を備え、前記スタータの外側の面が、下方向に向かうに従って外側に位置するように傾斜している。
【0008】
本発明に係る一態様のスタータ補助部材は、前記壁板施工構造が備えるスタータ補助部材である。前記スタータ補助部材は、前記壁下地と前記スタータの下端部とを離す隙間形成部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、最下段の壁板に対して、外力が加わっても、破損や損傷が生じにくい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一態様に係る壁板施工構造の断面図である。
図2】同上のスタータ補助部材の斜視図である。
図3】同上の壁板施工構造から壁板を省略した斜視図である。
図4】同上の壁板施工構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)全体構成
本実施形態に係る壁板施工構造1は、よろい張りされた複数の壁板4を有する外壁の構造である。壁板施工構造1は、本実施形態では、いわゆる木造軸組構造であるが、本開示では、木造枠組構造に適用してもよいし、鉄骨造に適用してもよい。
【0012】
ここで、本開示では、壁下地から壁板4に向かう水平方向を「外方向」という場合があり、外方向とは反対方向を「内方向」という場合がある。特に、本実施形態では、壁板4は外壁であるため、「外方向」を「屋外方向」とし、「内方向」を「屋内方向」として説明する。また、本開示では、外方向と内方向との双方向を「内外方向」とし、本実施形態ではこれを「屋内外方向」として定義する。
【0013】
本開示でいう「よろい張り」とは、下段壁板42の屋外方向を向く面(外側の面)の上端部に対し、上段壁板41を重ねた壁構造を意味する。ここでいう下段壁板42とは、上下方向に隣接する2つの壁板4のうちの下側の壁板4を意味し、上段壁板41とは、上下方向に隣接する2つの壁板4のうちの上側の壁板4を意味する。実際は、壁板施工構造1は、上下方向に3つ以上の壁板4を有する。
【0014】
壁板施工構造1は、本実施形態では、壁下地2と、スタータ3と、複数の壁板4としての上段壁板41及び下段壁板42と、スタータ補助部材5と、を備える。なお、図1中の符号6は、水きり材であり、符号7は基礎である。
【0015】
壁下地2は、複数の壁板4の下地となる部分である。壁下地2は、本実施形態では、複数の柱21と、透湿防水シート22と、複数の縦胴縁23と、下地板24と、防水紙25とを備える。ただし、本開示では、複数の柱21と透湿防水シート22との間に、面材(ここでは、構造用面材)が設けられてもよい。また、複数の柱21と透湿防水シート22との間に面材が設けられる場合、面材と透湿防水シート22との間に外張断熱材が設けられてもよい。
【0016】
柱21は、上下方向に延びた構造材である。柱21は、本開示では、間柱又は管柱等を含む。複数の柱21は、基礎7に固定された土台8の上面から立ち上げられている。複数の柱21は、屋内外方向に直交しかつ水平面に沿う方向(左右方向という場合がある)に間隔をおいて配置されている。隣り合う2つの柱21の間には、ロックウール又はグラスウール等からなる断熱材が設けられてもよい。
【0017】
透湿防水シート22は、水の通過は妨げるが、湿気(水蒸気)は通す性質を有するシートである。透湿防水シート22は、本実施形態では、複数の柱21の屋外側の側面に固定される。なお、柱21の屋外側の側面に面材が設けられる場合、透湿防水シート22は、面材に固定される。
【0018】
縦胴縁23は、透湿防水シート22と下地板24との間に通気層を作るための材である。複数の縦胴縁23は、左右方向に間隔を置いて配置されており、各縦胴縁23は上下方向に延びている。複数の縦胴縁23は、複数の柱21に対して、例えば、釘又はビス等の固着具で固定される。
【0019】
下地板24は、複数の壁板4が取り付けられる板材である。下地板24は、本実施形態では、構造用合板であるが、本開示では、例えば、コンクリート型枠用合板,あるいは配光ストランドボード(OSB; Oriented Strand Board)等の木質系のボード材、又は石膏等のボード材等で構成されてもよい。
【0020】
防水紙25は、複数の壁板4の間から浸入した雨水が、屋内側に入るのを防ぐ。防水紙25は、本実施形態では、アスファルトフェルトで構成されるが、本開示ではアスファルトフェルトに限らない。防水紙25は、鉛直面に沿っており、防水紙25の外側の面(屋外側の面)が、本実施形態でいう壁下地2の屋外側の鉛直面である。
【0021】
スタータ3は、よろい張りされた複数の壁板4のうち、最下段の壁板4を、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜させるための部材である。スタータ3は、本実施形態では、板材である。特に、本実施形態では、スタータ3は、壁板4と同じ材料で構成されている。ただし、本開示では、スタータ3の材料は特に限らない。
【0022】
スタータ3は、壁下地2の鉛直面に、釘又はビス等の固着具26で取り付けられ、壁下地2の鉛直面に対して固定される。要するに、スタータ3は、壁下地2に対して固定される。スタータ3の外側の面31は、本実施形態では、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜している。
【0023】
スタータ3の外側の面31(本実施形態では、屋外側の面)の傾斜は、本実施形態では、壁下地2と、スタータ3との間にスタータ補助部材5を挟むことで実現されている。スタータ補助部材5は、後述の「(2)スタータ補助部材5」で詳細に説明する。スタータ3の外側の面31の傾斜は、本開示では、スタータ補助部材5を用いて実現する構造に限らず、例えば、壁下地2とスタータ3との間に、板状,棒状,又はブロック状等のスペーサを挟んでもよい。また、スタータ3の厚みを、下方向に向かうに従って寸法を大きくして、スタータ3の外側の面31を傾斜させてもよい。
【0024】
複数の壁板4は、建物の外壁を構成する。各壁板4は、本実施形態では、板状に形成されており、例えば、上下方向の幅よりも左右方向の長さのほうが長く形成されている(図4参照)。本実施形態において、壁板4の長さは、例えば、910mmである。
【0025】
下段壁板42及び上段壁板41は、鉛直面に対して傾いており、具体的には、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜している。上段壁板41の上端は、壁下地2に当たり、上段壁板41の下端部は下段壁板42の上端部の外側の面(屋外側の面)に重なる。これにより、上段壁板41は、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜する。
【0026】
ここで、本開示でいう「端部」とは、端面から中央部に一定寸法向かった位置までの一定の範囲を有する部分を意味する。これに対し、「上端」又は「下端」とは、端面又は縁を意味する。
【0027】
複数の壁板4のうち、最も下方に位置する下段壁板42(以下の説明において「下段壁板42」とは、最も下方に位置する下段壁板42を意味する)は、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜している。下段壁板42の傾斜は、スタータ3によって実現されている。下段壁板42の上端は、壁下地2の鉛直面に当たり、かつ、下段壁板42の裏面は、下段壁板42の上端よりも下方において、スタータ3に当たる。これにより、下段壁板42は、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜する。
【0028】
下段壁板42は、本実施形態では、スタータ3の上端部の屋外側の面にのみ接触しているが、スタータ3の外側の面31の全面に対して接触してもよい。要するに、下段壁板42の下端部が、スタータ3の少なくとも一部に当たっていればよい。
【0029】
本実施形態では、スタータ3の外側の面31は、上述のように、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜している。このため、下段壁板42の下端部は、スタータ3の下端部に近接する。したがって、下段壁板42の下端部が、他の物体に衝突等しても、破損や損傷の可能性を低減させることができる。
【0030】
ここでいう「近接」とは、スタータ3の下端部と下段壁板42の下端部とが近づいた状態を意味し、スタータ3の下端部と下段壁板42の下端部とが接触していても「近接」の範疇である。ただし、本実施形態では、図1に示すように、スタータ3の下端部と下段壁板42の下端部との間には、僅かな隙間があり、この隙間は、例えば、スタータ3又は壁板4の厚みよりも小さい。
【0031】
(2)スタータ補助部材
スタータ補助部材5は、スタータ3の外側の面31を、下方向に向かうに従って屋外側に位置するように傾斜させるための部材である。スタータ補助部材5は、図2に示すように、固定部51と、連結部52と、支持部53と、を備える。本実施形態では、スタータ補助部材5は、金属板(ここでは鋼板)を曲げ加工で一体に形成される。ただし、スタータ補助部材5は、本開示では、曲げ加工により形成されなくてもよく、アルミダイカスト等のような鋳造品であってもよいし、射出成型や注型成形等で成形した樹脂成型品であってもよい。
【0032】
固定部51は、壁下地2に固定される部分である。固定部51は、本実施形態では、壁下地2にスタータ補助部材5が取り付けられると、壁下地2の鉛直面に沿う。固定部51は、板状部511と、隙間形成部512と、を有する。
【0033】
板状部511は、壁下地2の鉛直面に沿う板状の部分である。板状部511は、本実施形態では、壁下地2の鉛直面に面状に接触する。板状部511には、複数の貫通孔513が形成されており、貫通孔513に固着具(ここでは、ビス又は釘)が通され、固定部51は壁下地2に固定される。板状部511は、本実施形態では、上下方向に離れて一対あり、一対の板状部511の間に隙間形成部512が一体に設けられている。
【0034】
隙間形成部512は、壁下地2とスタータ3の下端部とを屋内外方向に離す部分である。隙間形成部512は、本実施形態では、板状部511よりも屋外方向に突出している。隙間形成部512は、本実施形態では、断面三角形状であるが、本開示では、断面半円状,又は断面四角形状といった多角形状等であってもよい。また、隙間形成部512は、板状部511に対して、リブ状に垂直に立ち上げられた構成であってもよい。要するに、隙間形成部512は、壁下地2とスタータ3の下端部とを屋内外方向に離すことができればよく、形状は特に限らない。
【0035】
連結部52は、固定部51と支持部53とをつなぎ、支持部53よりも下方に位置する。連結部52は、本実施形態では、固定部51の下端(板状部511の下端)から屋内外方向のうちの屋外側に突出している。より詳細には、連結部52は、屋内外方向において屋外側でかつ斜め上方に突出しており、要するに、屋内方向に向かって下り傾斜している。
【0036】
ここで、本開示でいう「(連結部52が)支持部53よりも下方に位置する」とは、連結部52の少なくとも一部が、支持部53よりも下方に位置することを意味する。ただし、本実施形態では、連結部52の全ては、支持部53の上面よりも下方に位置している。
【0037】
連結部52が、支持部53よりも下方に位置していることで、支持部53に付着した水は、連結部52に伝わりやすい。この結果、後述の支持部53で支持されているスタータ3の下端面及び壁板4の下端面に水が付着したままになるのを抑え得る。
【0038】
連結部52は、少なくとも1つの水抜き孔521を含む。水抜き孔521は、本実施形態では、複数形成されている。本実施形態では、水抜き孔521は、支持部53の連結部52側の端部,連結部52,及び板状部511の下端部にわたって形成されている。水抜き孔521は、上下方向に貫通している。したがって、連結部52に伝わった水は、図3に示すように水抜き孔521を通って、水切り材6から屋外に排出される。
【0039】
支持部53は、スタータ3を下方から支持する部分である。支持部53は、連結部52に設けられており、要するに、支持部53は、固定部51に対して固定される。ここでいう「固定」とは、互いに直接係りあって動かないようにしたものだけでなく、間接的に固定されるものの含む。支持部53は、本実施形態では、水平面に沿って形成されている。
【0040】
支持部53は、本実施形態では、水平面に沿って形成されているが、本開示では、連結部52の先端で構成されてもよい。この場合、壁板4を支持する連結部52の先端面又は縁部が支持部53を構成する。要するに、本開示では、支持部53は面状でなくてもよい。
【0041】
また、支持部53は、壁板4を下方から支持する。したがって、本実施形態に係る支持部53は、壁板4とスタータ3との両方を下方から支持する。本実施形態のスタータ補助部材5は、図4に示すように、壁板4の長さ(左右方向の長さ)よりも長く形成されている。特に、本実施形態では、スタータ補助部材5は、3つの壁板4よりも長く形成されている。具体的には、スタータ補助部材5の長さは、およそ3000mmである。
【0042】
このため、本実施形態では、1つのスタータ補助部材5で、複数の壁板4及びスタータ3を支持することができる。この結果、施工時において、スタータ補助部材5を壁下地2に固定した状態で、スタータ3を仮置きし、固着具26を用いて壁下地2に固定することができ、施工を容易にし得る。また、スタータ補助部材5は、長尺であるため、スタータ補助部材5を壁下地2に取り付ける際に、取り付ける数量を少なくできる。
【0043】
本実施形態では、スタータ補助部材5は、外壁の左右方向の略全長にわたって設置される。このため、本実施形態のスタータ補助部材5によれば、壁板4の下端面及びスタータ3の下端面を支持部53で覆うことができる。したがって、壁板4の下端面及びスタータ3の下端面の破損又は損傷を防止し得る。
【0044】
スタータ補助部材5は、本実施形態では、図2に示すように、支持部53及び連結部52の下面に沿って、支持部53から延びた延長部54が折り返され、かつ重ねられている。このため、本実施形態では、スタータ補助部材5は、支持部53及び連結部52が補強されている。
【0045】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0046】
壁板施工構造1は、上記実施形態では、外壁についての構造であったが、本開示では、外壁に限らず、内壁の構造であってもよい。
【0047】
スタータ補助部材5において連結部52は、上記実施形態では、固定部51の下端に設けられたが、本開示では、固定部51の上下方向の中央部であってもよく、固定部51に対する連結部52の位置は特に限らない。ただし、連結部52は、固定部51の下端部に設けられることが好ましく、より好ましくは、上記実施形態のように、固定部51の下端に設けられる。
【0048】
連結部52は、上記実施形態では、支持部53よりも下方に位置したが、本開示では、連結部52は水平面に沿って形成され、かつ支持部53と同じ高さに設けられてもよい。すなわち、連結部52及び支持部53は、固定部51に対し、屋外方向に垂直に突出してもよい。また、連結部52と支持部53との境界は、現れなくてもよい。
【0049】
(4)態様
以上説明したように、第1の態様に係る壁板施工構造1は、壁下地2に複数の壁板4がよろい張りされた壁板施工構造1である。壁板施工構造1は、壁下地2に対して固定されるスタータ3と、スタータ3の外側の面31と壁下地2とに当たって傾斜する壁板4と、を備える。スタータ3の外側の面31が、下方向に向かうに従って外側に位置するように傾斜している。
【0050】
この態様によれば、よろい張りされた壁板施工構造1において、壁板4とスタータ3との間の隙間を極力小さくすることができるため、最下段の壁板4に外力が加わったときに、破損や損傷を抑制することができる。
【0051】
第2の態様に係る壁板施工構造1では、第1の態様において、スタータ3は板状に形成されている。壁板施工構造1は、壁下地2とスタータ3との間に配置されたスタータ補助部材5を更に備える。スタータ補助部材5は、壁下地2とスタータ3の下端部とを離す隙間形成部512を有する。
【0052】
この態様によれば、スタータ補助部材5を壁下地2とスタータ3との間に設置するだけで、壁板4とスタータ3との間の隙間を極力小さくすることができる。
【0053】
第3の態様に係る壁板施工構造1では、第2の態様において、スタータ補助部材5は、壁下地2に固定される固定部51と、支持部53とを有する。支持部53は、固定部51に対して固定されており、スタータ3を下方から支持する。
【0054】
この態様によれば、スタータ3を壁下地2に対して固定する前に、スタータ3を傾けた状態で、支持部53で位置決めすることができる。この結果、壁板施工構造1における施工が容易になり得る。
【0055】
第4の態様に係る壁板施工構造1では、第3の態様において、支持部53は、壁板4を下方から支持するように構成されている。
【0056】
この態様によれば、スタータ3を設置した後、壁板4を壁下地2に対して固定する前に、壁板4の位置決めを行うことができる。
【0057】
第5の態様に係る壁板施工構造1では、第3又は第4の態様において、スタータ補助部材5は、連結部52を有する。連結部52は、固定部51と支持部53とをつなぎ、支持部53よりも下方に位置する。連結部52は少なくとも1つの水抜き孔521を含む。
【0058】
この態様によれば、壁板4やスタータ3の裏側に回り込んだ雨水を、連結部52を伝わせて水抜き孔521から排水でき、水が壁板4やスタータ3の下面近傍に滞留するのを防ぎ得る。
【0059】
第6の態様に係る壁板施工構造1では、第2~第5のいずれか1つの態様において、壁板4は、水平方向に並ぶように複数配置される。スタータ補助部材5は、少なくとも1つの壁板4の水平方向の長さよりも長く形成されている。
【0060】
この態様によれば、1つのスタータ補助部材5で、2つ以上の壁板4を支持することができ、壁板4を壁下地2に固定する前に、1つのスタータ補助部材5で、複数の壁板4の位置決めを行うことができる。
【0061】
第7の態様に係るスタータ補助部材5は、第2~第6のいずれか1つの態様のスタータ補助部材5である。スタータ補助部材5は、壁下地2とスタータ3の下端部とを離す隙間形成部512を備える。
【0062】
この態様によれば、スタータ補助部材5を、壁下地2とスタータ3との間に設置するだけで、壁板4とスタータ3との間の隙間を極力小さくすることができる。
【0063】
第2~第6の態様に係る構成については、壁板施工構造1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0064】
なお、上記態様は、壁板施工構造を外壁に適用した例であったが、これに限定されず、この壁板施工構造を内壁に適用してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 壁板施工構造
2 壁下地
3 スタータ
31 スタータの外側の面
4 壁板
5 スタータ補助部材
51 固定部
512 隙間形成部
52 連結部
521 水抜き孔
53 支持部
図1
図2
図3
図4