(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】スピーカ用フレーム
(51)【国際特許分類】
H04R 9/02 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
H04R9/02 101A
H04R9/02 101B
(21)【出願番号】P 2018085129
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】勝田 天平
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014693(JP,A)
【文献】特開2007-311967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/42- 1/46
H04R 9/00
H04R 9/02- 9/10
H04R 9/18
H04R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカの振動板を支持する振動板支持部と
、前記振動板支持部から突出した突出部と
、を備え
るスピーカ用フレームにおいて、
前記突出部は、
面を有する板部と、
前記面上に位置し、前記振動板支持部に接続されたリブと、
前記面に対して傾斜した傾斜面を有して
当該面及び前記リブに続いている傾斜部と、
を備え
、
前記面と前記傾斜面との為す角度が、前記スピーカ用フレームとして抑制すべき共振周波数及び当該スピーカ用フレームとして求められる強度に基づいて決定されていることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記傾斜部の端部は前記面上に位置していることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記リブは、前記面の端部に位置していることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記面に対して垂直方向に当該面を貫通する開口を備えることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームにおいて、
二つの前記リブが前記面の向かい合う端部にそれぞれ位置しており、
前記傾斜部は、一の前記リブから他の前記リブまで続いていることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項6】
請求項4を引用する請求項5に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記リブは板状であり、
前記振動板支持部が位置する方向とは反対側の当該リブの端部の位置は、前記突出部が前記振動板支持部から突出する方向に沿った前記開口の長さを帯幅とし且つ当該開口を含んで前記リブの延在方向に垂直な方向の帯状領域内にあることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記傾斜面は、前記振動板支持部から離れるほど前記面に近付く方向に傾斜していることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスピーカ用フレームにおいて、
前記傾斜部において、前記振動板支持部が位置する方向とは反対側の端部の形状が、当該振動板支持部が位置する側に凹んだ曲線形状とされていることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【請求項9】
請求項5に記載のスピーカ用フレームにおいて、
二つの前記リブの間で且つ前記振動板支持部と前記傾斜部との間に位置し、当該振動板支持部に接続されたリブを更に備えることを特徴とするスピーカ用フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はスピーカ用フレームの技術分野に属する。より詳細には、スピーカを構成する振動板を支持する振動板支持部を含むスピーカ用フレームの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
スピーカを開発する場合、一般に、その軽量化及び強度の向上並びに音質の向上等がその目的とされる。またこの中で、軽量化や強度を担保しつつ、スピーカの発した音に対してスピーカが共振してしまうことを抑制することも検討される。このようなスピーカのフレーム構造を示す先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載されている技術では、車両のドアなどに取付けられる車載スピーカ装置において、車内の壁面の振動を抑制することを目的として、スピーカの振動板を支持するフレームの外周側に伸びる複数の延在部を設け、この延在部の端部でスピーカユニットをドアに固定するとともに、スピーカユニットと車内の壁面との間に低剛性の環状の遮音材を配置し、更に、スピーカユニットの共振周波数を、振動板の共振周波数よりも低くする構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の高音質化や軽量化の要請は更に高度になりつつあり、従って、更なる共振によるスピーカ振動の抑制やスピーカユニットとしての強度の向上が求められている。
【0005】
そこで本願は、上記の要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、スピーカにおける共振周波数を向上させてスピーカの共振を抑制することができると共に、スピーカとしての強度を向上させることが可能なスピーカ用フレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、スピーカの振動板を支持する振動板支持部と、前記振動板支持部から突出した突出部と、を備えるスピーカ用フレームにおいて、前記突出部は、面を有する板部と、前記面上に位置し、前記振動板支持部に接続されたリブと、前記面に対して傾斜した傾斜面を有して当該面及び前記リブに続いている傾斜部と、を備え、前記面と前記傾斜面との為す角度が、前記スピーカ用フレームとして抑制すべき共振周波数及び当該スピーカ用フレームとして求められる強度に基づいて決定されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態及び実施例のスピーカ用フレームの全体構成を示す上面図等であり、(a)は当該上面図であり、(b)は当該スピーカ用フレームを
図1(a)中A方向から見た側面図であり、(c)は当該スピーカ用フレームを
図1(a)中B方向から見た側面図である。
【
図2】実施例のスピーカ用フレームの裏面図である。
【
図3】実施例の第1突出部の拡大上面図等であり、(a)は
図1(a)に符号αで示す範囲の拡大上面図であり、(b)は当該範囲の拡大裏面図である。
【
図4】実施例の第1突出部の拡大側面図等であり、(a)は
図1(b)に符号ααで示す範囲の拡大側面図であり、(b)は当該第1突出部の拡大外観斜視図であり、(c)は当該第1突出部の
図1(a)及び
図3(a)中a-a’部の拡大断面図である。
【
図5】実施例の第2突出部の拡大上面図等であり、(a)は
図1(a)に符号βで示す範囲の拡大上面図であり、(b)は当該範囲の拡大裏面図である。
【
図6】実施例の第2突出部の拡大側面図等であり、(a)は
図1(c)に符号ββで示す範囲の拡大側面図であり、(b)は当該第2突出部の拡大外観斜視図であり、(c)は当該第2突出部の
図1(a)及び
図5(a)中b-b’部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本願を実施するための形態について、
図1を用いて説明する。なお
図1は、実施形態及び実施例のスピーカ用フレームの全体構成を上面図等である。
【0009】
図1に示すように、実施形態のスピーカ用フレームFは、スピーカSPの振動板DPを支持する振動板支持部HDと、振動板支持部HDから突出した突出部1と、を備え、突出部1は、面3を有する板部2と、面3上に位置し、振動板支持部HDに接続されたリブ4A及びリブ4Bと、面3に対して傾斜した傾斜面5Aを有してリブ4A及びリブ4Bに続いている傾斜部5と、を備える。
【0010】
以上説明したように、実施形態のスピーカ用フレームFの構造によれば、板部2の面3上に位置し、振動板支持部HDに接続されたリブ4A及びリブ4Bと、当該面3に対して傾斜した傾斜面5Aを有してリブ4A及びリブ4Bに続いている傾斜部5と、を備える突出部1を備える。よって、スピーカSPの振動により加わる力を、傾斜部5を含む立体形状により分散させることで、スピーカSPにおける共振周波数を向上させてスピーカSPの共振を抑制することができると共に、突出部1及びスピーカ用フレームFとしての強度も向上させることができる。
【実施例】
【0011】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、上記
図1に加えて
図2乃至
図6を用いて説明する。なお以下に説明する実施例は、車両の例えばドアの内側に取り付けられるスピーカを構成するスピーカ用フレームに対して本願を適用した場合の実施例である。このとき
図2乃至
図6では、
図1に示した実施形態のスピーカ用フレームFにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、実施形態のスピーカ用フレームFにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0012】
初めに、実施例のスピーカ用フレームについて、その全体構造を
図1及び
図2を用いて説明する。なお
図2は、実施例のスピーカ用フレームの裏面図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、実施形態に対応する実施例のスピーカSPは、詳細の図示を省略する駆動部DV及び振動板DPが、実施例のスピーカ用フレームFにより支持されて構成されている。そして実施例のスピーカ用フレームFは、上記振動板DPを支持する振動板支持部HDと、当該振動板支持部HDから突出している第1突出部1、第2突出部10及び第3突出部20と、により構成されている。より具体的に、第1突出部1、第2突出部10及び第3突出部20は、特に振動板支持部HDの外側面100から外側に突出して形成されている。また当該スピーカ用フレームFは、例えば樹脂を材料とした一体成形により形成されている。
【0014】
そして、実施形態に対応する実施例の第1突出部1は、平面3を有し開口6が平面3の中央付近に空けられた板部2と、板部2の両側と振動板支持部HDの外側面100にそれぞれ接続された二つのリブ4A及びリブ4Bと、外側面100に接続されたリブ7に接続され且つ上記平面3に続いている傾斜部5と、を有している。なお以下の説明において、「接続」とは、例えば上記リブ4A及びリブ4Bの場合は、板部2の両側と外側面100との位置関係がずれないように相互に固定されていることをいう。そして、平面3の側から見て板部2の裏側には、
図2に示すように、スピーカ用フレームFとしての軽量化及び樹脂材料の節約のための肉抜きがされた凹部8が複数形成されている。この第1突出部1については、第1実施例としてその構造を後ほど詳述する。この構成において、平面3が実施形態の面3の一例に相当する。
【0015】
一方、実施形態に対応する実施例の第2突出部10は、平面12を有し開口15がその中央付近に空けられた板部11と、板部11の両側と振動板支持部HDの外側面100にそれぞれ接続された二つのリブ13A及びリブ13Bと、リブ16及びリブ17A乃至リブ17Cを介して外側面100に接続され且つ板部11の面12に続いている傾斜部14と、を有している。そして、平面12の側から見て板部11の裏側には、
図2に示すように、上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた凹部18が複数形成されている。この第2突出部10については、第2実施例としてその構造を後ほど詳述する。
【0016】
更に、実施形態に対応する実施例の第3突出部20の構造は第1突出部1と同様であるので、当該構造についての細部の説明は省略する。
【0017】
(I)
第1実施例
次に、第1突出部1の細部構成について、第1実施例として
図3及び
図4を用いて説明する。なお、
図3は実施例の第1突出部の拡大上面図等であり、
図4は当該第1突出部の拡大側面図等である。
【0018】
図3及び
図4に示すように、実施例の第1突出部1の先端部を形成する板部2の表面である平面3には、平面3に垂直な方向に当該平面3を貫通する開口6が設けられている。そして板部2の両側には、側面視三角形状のリブ4A及びリブ4Bがそれぞれ接続されている。この二つのリブ4A及びリブ4Bは、それぞれ、板部2の両側端部に接続されていると共に、振動板支持部HDの外側面100にも接続されている。更に、特に
図3(a)に示すように、上記外側面100と反対側のリブ4Aの端部E1A及びリブ4Bの端部E1Bの位置は、それぞれ、第1突出部1が外側面100から突出する方向に沿った開口6の長さw1を帯幅とし且つ当該開口6を含んでリブ4A及びリブ4Bの延在方向に垂直な方向の帯状領域内にある。
【0019】
次に、二つのリブ4A及びリブ4Bの間には、板部2の平面3に続いている傾斜面5Aを有する傾斜部5が接続されている。このとき、平面3と傾斜面5Aとのなす角度は、例えばスピーカ用フレームFとして求められる強度や抑制すべき共振の周波数等に基づいて最適化される。そして、傾斜面5Aと平面3との境界は、実施例のスピーカSPを例えば上記ドアに取り付ける際に開口6を通るビス等の頭やワッシャ等が上記取り付け時に干渉しないように、外側面100側に凹んだ曲線とされている。また、傾斜部5の外側面100側の端部は、当該外側面100の形状に沿うように曲線形状とされている。
【0020】
一方、特に
図4に示すように、傾斜部5(の裏面)と外側面100とは、リブ7を介して接続されている。そして、一方のリブ4A、傾斜部5、リブ7及び外側面100により囲まれた部分は、上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた有底の凹部30Aとされている。更に、他方のリブ4B、傾斜部5、リブ7及び外側面100により囲まれた部分は、上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた有底の凹部30Bとされている。他方、傾斜部5の裏側も、同様に上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた凹部31A乃至凹部31Dとされており、当該凹部31A乃至凹部31Dは、例えば突出部1としての強度向上を目的として、それぞれリブにより仕切られている。以上の構成により、傾斜部5自体は、その表面が平らな傾斜面5Aとされ、且つ平面3に沿って湾曲した板状となっている。更に、特に
図3(b)及び
図4(c)に示すように、板部2の裏側には複数の上記凹部8が形成されている。
【0021】
(II)
第2実施例
次に、第2突出部10の細部構成について、第2実施例として
図5及び
図6を用いて説明する。なお、
図5は実施例の第2突出部の拡大上面図等であり、
図6は当該第2突出部の拡大側面図等である。
【0022】
図5及び
図6に示すように、実施例の第2突出部10の先端部を形成する板部11の表面である平面12には、平面12に垂直な方向に当該平面12を貫通する開口15が設けられている。そして板部11の両側には、側面視三角形状のリブ13A及びリブ13Bがそれぞれ接続されている。この二つのリブ13A及びリブ13Bは、それぞれ、板部11の両側端部に接続されていると共に、振動板支持部HDの外側面100にも接続されている。更に、特に
図5(a)に示すように、上記外側面100と反対側のリブ13Aの端部E2A及びリブ13Bの端部E2Bの位置は、それぞれ、第2突出部10が外側面100から突出する方向に沿った開口15の長さw2を帯幅とし、且つ当該開口15を含んでリブ13A及びリブ13Bの延在方向に垂直な方向の帯状領域内にある。
【0023】
次に、二つのリブ13A及びリブ13Bの間には、板部11の平面12に続いている傾斜面14Aを有する傾斜部14が接続されている。このとき、平面12と傾斜面14Aとのなす角度は、上記平面3と傾斜面5Aの場合と同様に、例えばスピーカ用フレームFとして求められる強度や抑制すべき共振の周波数等に基づいて最適化される。そして、傾斜面14Aと平面12との境界は、開口15を通る上記ビス等の頭やワッシャ等が上記取り付け時に干渉しないように、傾斜面5Aと同様に外側面100側に凹んだ曲線とされている。
【0024】
一方、傾斜部14の外側面100側に隣接する部分には、各々が傾斜部14Aに続いているリブ17A乃至リブ17Cによりそれぞれ仕切られ、且つ上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた有底の凹部41A乃至凹部41Dが形成されている。即ち、一方のリブ13A、傾斜部14、リブ17A及び梁18により囲まれた部分が上記凹部41Aとされている。また、リブ17A、傾斜部5、リブ17B及び梁18により囲まれた部分が上記凹部41Bとされている。更に、リブ17B、傾斜部5、リブ17C及び梁18により囲まれた部分が上記凹部41Cとされている。更にまた、リブ17C、傾斜部5、他方のリブ13B及び梁18により囲まれた部分が上記凹部41Dとされている。そして、特に
図6に示すように、上記リブ17A乃至リブ17Cは、外側面100に平行に形成された上記梁18及びリブ16を介して外側面100に接続されている。
【0025】
他方、リブ13A、梁18、リブ16及び外側面100により囲まれた部分は、上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた有底の凹部40Aとされている。また、リブ13B、梁18、リブ16及び外側面100により囲まれた部分は、上記軽量化及び上記節約のための肉抜きがされた有底の凹部40Bとされている。以上の構成により、傾斜部14自体は、その表面が平らな傾斜面14Aとされ、且つ平面12及び凹部41A乃至41Dの平面12側の面に沿って湾曲した板状となっている。更に、特に
図5(b)及び
図6(c)に示すように、板部11の裏側には複数の上記凹部18が形成されている。
【0026】
以上それぞれ説明したように、実施例のスピーカ用フレームFの構造によれば、板部2(又は板部11)の平面3(又は平面12)上に位置し、振動板支持部HDに接続されたリブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)と、当該板部2(又は当該板部11)の平面3(又は平面12)に対して傾斜した傾斜面5A(又は傾斜面14A)を有してリブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)に続いている傾斜部5(又は傾斜部14)と、を備える第1突出部1及び第3突出部20(又は第2突出部10)を備える。よって、スピーカSPの振動により加わる力を、傾斜部5(又は傾斜部14)を含む立体形状により分散させることで、スピーカSPにおける共振周波数を向上させてスピーカSPの共振を抑制することができると共に、第1突出部1及び第3突出部20並びに第2突出部10及びスピーカ用フレームFとしての強度も向上させることができる。
【0027】
また、傾斜面5A(又は傾斜面14A)を有する傾斜部5(又は傾斜部14)が板部2(又は板部11)の平面3(又は平面12)並びにリブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)に接続されている。よって、スピーカSPの振動により加わる力を更に分散させることで、スピーカSPの共振を更に抑制することができると共に、第1突出部1及び第3突出部20並びに第2突出部10及びスピーカ用フレームFとしての強度も更に向上させることができる。
【0028】
更に、リブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)が板部2(又は板部11)の平面3(又は平面12)の端部に接続されているので、板部2(又は板部11)として必要とされる面の広さを確保することができる。
【0029】
更にまた、板部2(又は板部11)の平面3(又は平面12)に対して垂直方向に当該面を貫通する開口6(又は開口15)を備える。よって、スピーカSPの共振が外部に伝播することを防止しつつ、例えば当該開口6(又は開口15)を用いてスピーカSPを取り付けることができる。
【0030】
また、二つのリブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)が板部2(又は板部11)の平面3(又は平面12)の向かい合う端部にそれぞれ位置しており、傾斜部5(又は傾斜部14)が、一のリブ4A(又はリブ13A)から他のリブ4B(又はリブ13B)まで続いている。よって、スピーカSPの振動により加わる力を更に分散させることで、当該振動によるスピーカSPの共振を更に抑制することができると共に、第1突出部1及び第3突出部20並びに第2突出部10及びスピーカ用フレームFとしての強度も更に向上させることができる。
【0031】
更に、上記外側面100と反対側のリブ4Aの端部E1A(又はリブ13Aの端部E2A)の位置及びリブ4Bの端部E1B(又はリブ13Bの端部E2B)の位置は、第1突出部1(又は第2突出部10)が外側面100から突出する方向に沿った開口6(又は開口15)の長さw1(又は長さw2)を帯幅とし、且つ当該開口6(又は当該開口15)を含んでリブ4A及びリブ4B(又はリブ13A及びリブ13B)の延在方向に垂直な方向の帯状領域内にある(
図3(a)又は
図5(a)参照)。よって、第1突出部1(又は第2突出部10)を含むスピーカ用フレームFとしての強度を更に高めることができる。
【0032】
更にまた、傾斜部5(又は傾斜部14)の傾斜面5A(又は傾斜面14A)が、上記外側面100から離れるほど平面3(又は平面12)に近付く方向に傾斜している(即ち、平面3(平面12)と傾斜面5A(又は傾斜面14A)とが続いている)。よって、平面3(又は平面12)上に空間を確保できることで、例えば、第1突出部1、第2突出部10及び第3突出部20を使用したスピーカSPの取り付けを容易化することができる。
【0033】
また、外側面100と反対側の傾斜部5(又は傾斜部14)の端部の形状が、当該外側面100側に凹んだ曲線形状とされているので(特に
図3(a)又は
図5(a)参照)、平面3(又は平面12)上に空間を確保できることで、例えば、第1突出部1、第2突出部10及び第3突出部20を使用したスピーカSPの取り付けを容易化することができる。
【0034】
なお上述した実施例の傾斜面5A又は傾斜面14Aは、それらの表面が平滑であるように構成したが、例えば、本願の目的に沿った形状又は密度の凹凸がその表面に形成されていてもよい。
【0035】
また、上述した実施例では、スピーカ用フレームF全体が樹脂を用いて一体成形されるとしたが、これ以外に、部分的に材質を異ならせてもよい。
【0036】
更に、上述した実施例では、開口6及び開口15並びに開口21が共に円形であることとしたが、開口6又は開口15或いは第3突出部20の板部に空けられる開口の形状はこれに限られず、例えば楕円形や三角形以上の多角形、或いはその他の形状でもよい。
【0037】
更にまた、上述した実施例では、第1突出部1、第2突出部10及び第3突出部20が振動板支持部HDの外側面100から外向きに突出していたが、これ以外に、例えば、振動板支持部HDの下面から外向きに突出するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 突出部(第1突出部)
2、11 板部
3 面(平面)
4A、4B、13A、13B リブ
5、14 傾斜部
5A、14A 傾斜面
10 第2突出部
12 平面
20 第3突出部
100 外側面
SP スピーカ
F スピーカ用フレーム
HD 振動板支持部