(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/535 20060101AFI20221013BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20221013BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/53 200
A61F13/534 100
(21)【出願番号】P 2018106730
(22)【出願日】2018-06-04
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104927
【氏名又は名称】和泉 久志
(72)【発明者】
【氏名】柏木 達彦
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-116212(JP,A)
【文献】特開2015-150057(JP,A)
【文献】特開2017-63923(JP,A)
【文献】特開2014-46021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む下層吸収体と、前記下層吸収体の肌側に配置され、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む上層吸収体とからなる吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記上層吸収体が、長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間を空けて間欠的に複数条に亘って配置され、前記上層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率が、前記下層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率より高
くなっており、
前記下層吸収体には着用者の股間部に対応する部分に、両側部をそれぞれ切り欠いた脚周り切欠き部が形成され、
前記上層吸収体は、前記下層吸収体の脚周り切欠き部の間に配置されているとともに、前記脚周り切欠き部を含む前記下層吸収体の両側部において、前記脚周り切欠き部の前側及び後側にそれぞれ離隔して配置されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記上層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率(X)が50~90重量%であり、前記下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率(Y)が5~50重量%であり、前記上層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率と前記下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率との差(X-Y)が10~85である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記上層吸収体が前記下層吸収体の全長に亘って配置され、隣り合う上層吸収体の間に形成される間隙部が前記下層吸収体の全長に亘って連続して設けられている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記脚周り切欠き部の間に配置される上層吸収体は、下層吸収体の幅方向中央部に長手方向に沿って配置されるとともに、その両側にそれぞれ1又は複数条ずつ配置される請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品に係り、詳しくは上層吸収体と下層吸収体とからなり、前記上層吸収体が長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間欠的に複数条に亘って配置されてなる吸収体を備えた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前記吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に、パルプ繊維の繊維間に高吸水性ポリマーを保持させてなる吸収体を介在したものが知られている。
【0003】
前記吸収体としては、排泄された体液を確実に吸収保持できる機能に加えて、近年では、薄型で装着感に優れ、吸液後の逆戻りが少ないものが求められている。
【0004】
このような吸収体を備えた吸収性物品として、下記特許文献1には、少なくとも一方の面に開口を形成する溝部を有する吸収体を備え、前記溝部の吸収体の厚さ方向に直交する面における開口幅を、一方の面から他方の面に向かうにしたがって小さくすることによって、着用者の体型や姿勢の変化に対応して曲がり易くし、フィット性を向上させたものが開示されている。
【0005】
また、下記特許文献2には、排泄部対向部の吸収体幅方向の中央域に、繊維の粗密構造を有し、中央域の左右両側に位置する吸収体幅方向の側方域は、該排泄部対向部において最も密度の低い低密度部を含んでおり、前記繊維の粗密構造は、前記低密度部よりも密度の高い中密度部と、該中密度部よりも密度の高い高密度部とを含んでおり、前記中密度部と前記高密度部とは、それぞれ、吸収体長手方向に延びて形成されており、前記繊維の粗密構造において、複数本の該中密度部と複数本の該高密度部とが、吸収体幅方向に交互に配置されている吸収体を備えることによって、表面シートから吸収体への液の引き込み性を高め、表面シートにおいて液残りを生じ難くし、ナプキンの使用時に高いドライ感が得られるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2010-273842号公報
【文献】特開2011-120698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2に記載された吸収性物品では、吸収体の厚み方向の組成がほぼ均一であるため、充分な吸収量を確保するにはある程度の厚みで形成しなければならず薄型化が図れないとともに、パルプ繊維の液保持力が小さいために吸収体の吸液後に逆戻りを生じるおそれがあった。
【0008】
一般に、パルプ繊維の含有比率を低減し、高吸水性ポリマーの含有比率を高めることによって、吸収体が薄型化でき装着感が向上し、かつ逆戻りが改善できることが知られている。このため、従来の吸収性物品では、吸収体として上層吸収体と下層吸収体の2層構造からなるものを用い、前記上層吸収体のパルプ繊維量を極力低減し、高吸水性ポリマーの含有比率を高めることで、薄型化と逆戻り防止の機能を兼ね備えるようにしていた。
【0009】
ところが、このような構造の吸収性物品では、高吸水性ポリマーの吸収スピードが遅いために、一度に大量の体液が排出されたときなどに体液が表面に溢れて漏れやすくなるという課題があった。特に、繰り返しの排液時に、それまでの排液で高吸水性ポリマーが吸水して膨潤することにより粒子間の間隙が狭まり、液が通過できなくなる、いわゆるゲルブロッキングを生じることによって、著しく吸収スピードが低下し、表面に体液が溢れて漏れが生じやすくなるという課題があった。
【0010】
また、上層吸収体におけるゲルブロッキングの防止のため、上層吸収体の体液排出部に対応する部位に開口を設けることも考えられるが、一度に大量の体液が排出された場合や、開口から外れた位置に体液が排出された場合などにおいては、これを素早く吸収できず、吸収スピードが遅くなるおそれがあった。
【0011】
そこで本発明の主たる課題は、吸収スピードをより確実に速めるとともに、逆戻りを防止し、薄型化による装着感の向上を図った吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む下層吸収体と、前記下層吸収体の肌側に配置され、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む上層吸収体とからなる吸収体を備えた吸収性物品であって、
前記上層吸収体が、長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間を空けて間欠的に複数条に亘って配置され、前記上層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率が、前記下層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率より高くなっており、
前記下層吸収体には着用者の股間部に対応する部分に、両側部をそれぞれ切り欠いた脚周り切欠き部が形成され、
前記上層吸収体は、前記下層吸収体の脚周り切欠き部の間に配置されているとともに、前記脚周り切欠き部を含む前記下層吸収体の両側部において、前記脚周り切欠き部の前側及び後側にそれぞれ離隔して配置されていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
【0013】
上記請求項1記載の発明では、前記上層吸収体が、長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間を空けて間欠的に複数条に亘って配置されているため、隣り合う上層吸収体の間に形成された間隙部を通じて体液が下層吸収体に流れ込みやすくなっている。前記下層吸収体では、高吸水性ポリマーの含有比率が、上層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率よりも低く設定されているので、パルプ繊維の毛管作用により、体液が下層吸収体に吸収されやすいとともに、吸収された体液が下層吸収体の内部を拡散しやすくなっている。このため、体液の吸収スピードを速めることができる。
【0014】
また、上層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率を、下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率より高くすることによって、肌当接面側の保水力を高めているため、下層吸収体に吸収された体液が吸液後に逆戻りするのが防止できるようになる。
【0015】
更に、上層吸収体において高吸水性ポリマーの含有比率が高く、パルプ繊維の含有比率が低いため、吸収体の厚みが薄くなり、装着感を向上することができる。
【0016】
一方で、前記下層吸収体には着用者の股間部に対応する部分に、両側部をそれぞれ切り欠いた脚周り切欠き部が形成され、
前記上層吸収体は、前記下層吸収体の脚周り切欠き部の間に配置されているとともに、前記脚周り切欠き部を含む前記下層吸収体の両側部において、前記脚周り切欠き部の前側及び後側にそれぞれ離隔して配置されている。
【0017】
下層吸収体の両側部に脚周り切欠き部を形成した場合において、前記上層吸収体は、前記下層吸収体の脚周り切欠き部の間に配置されているとともに、前記脚周り切欠き部を含む下層吸収体の両側部において、上層吸収体を脚周り切欠き部の前側及び後側にそれぞれ離隔して配置しているため、この部分の肌当接面側の保水力が高まり、下層吸収体に吸収された体液が吸液後に逆戻りするのが防止できるようになる。
【0018】
請求項2に係る本発明として、前記上層吸収体における前記高吸水性ポリマーの含有比率(X)が50~90重量%であり、前記下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率(Y)が5~50重量%であり、前記上層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率と前記下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率との差(X-Y)が10~85である請求項1記載の吸収性物品が提供される。
【0019】
上記請求項2記載の発明では、上層吸収体及び下層吸収体における高吸水性ポリマーの含有比率をそれぞれ規定するとともに、これらの含有比率の差を規定することによって、吸収スピードの向上と逆戻り防止の効果がバランスよく発揮できるようにしている。
【0020】
請求項3に係る本発明として、前記上層吸収体が前記下層吸収体の全長に亘って配置され、隣り合う上層吸収体の間に形成される間隙部が前記下層吸収体の全長に亘って連続して設けられている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0021】
上記請求項3記載の発明では、前記上層吸収体が下層吸収体の全長に亘って配置され、隣り合う上層吸収体の間に形成される間隙部が前記下層吸収体の全長に亘って連続して設けられているため、着用者の体型や姿勢、吸収性物品の装着位置などによって排泄位置が多少ずれたとしても、隣り合う上層吸収体の間の間隙部を通って体液が下層吸収体に素早く移行しやすく、吸収スピードをより確実に速めることができるようになる。
【0022】
請求項4に係る本発明として、前記脚周り切欠き部の間に配置される上層吸収体は、下層吸収体の幅方向中央部に長手方向に沿って配置されるとともに、その両側にそれぞれ1又は複数条ずつ配置される請求項1~3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
【0023】
上記請求項4記載の発明では、吸収体の幅方向中央部には間隙部が形成されないが、主に幅方向中央部に配置された上層吸収体の両側に形成された間隙部を通って体液が下層吸収体に移行できるようになる。
【発明の効果】
【0024】
以上詳説のとおり本発明によれば、吸収スピードをより確実に速めることができるとともに、逆戻りが防止でき、薄型化による装着感の向上が図れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るパッド1の一部破断展開図である。
【
図10】下層吸収体の連続体10A及び上層吸収体の連続体11Aを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0027】
<パッドの基本構造の一例>
本発明に係るパッド1は、下着や紙おむつ等の肌当接面に取り付けて使用する尿とりパッド等のパッドであり、
図1~
図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる防漏シート2と、肌当接面をなし、尿などを速やかに透過させる表面シート3と、これら両シート2、3間に介装された吸収体4と、パッド1の最外面(非肌当接面)を覆う外装シート5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも着用者の排尿口部を含む前後方向の所定の区間内において肌側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSを形成するサイド不織布6、6とから主に構成され、かつ吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では防漏シート2、表面シート3及び外装シート5の外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している防漏シート2、表面シート3、外装シート5及びサイド不織布6がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合されている。
【0028】
前記防漏シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年ではムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記防漏シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
【0029】
次いで、前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。前記表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、体液が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維の複合繊維を好適に用いることもできる。
【0030】
前記外装シート5は、防漏シート2を覆ってパッド1の外面を布のような外観、肌触りとするものである。外装シート5としては、不織布で形成するのが好ましい。素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法は、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いて製作することができる。但し、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好ましい。
不織布は一枚で使用する他、複数枚を重ねて使用することもでき、複数枚を重ねて使用する場合は、不織布相互をホットメルト等の接着剤を介して固定するのが好ましい。また、不織布を用いる場合は、その繊維目付けは10~50g/m2、特に15~30g/m2が好ましい。
【0031】
前記外装シート5の非使用面側(外面)には1または複数条の仮止め層(図示せず)が形成され、身体への装着時にパッド1を下着や紙おむつ等に固定するようになっている。前記仮止め層としては、機械接合式のフック材を用いてもよいし、粘着剤を用いてもよい。
【0032】
図示例では、外装シート5はポリマーシート4の幅よりも若干幅が広い程度とされ、両側部が防漏シート2及び表面シート3の側縁を巻き込むようにして表面シート3の肌側にまで延在され、表面シート3の幅方向外側は、この肌側に延在する外装シート5の外面側に表面シート3の両側部表面から延在するサイド不織布6、具体的には尿等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたサイド不織布6が配設されている。かかるサイド不織布6としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくはゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、坪量を抑えて通気性を持たせた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13~23g/m2として作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
【0033】
前記サイド不織布6の内方側部分はほぼ二重に折り返されるとともに、この二重シート内部に、その高さ方向中間部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1又は複数本の、図示例では3本の糸状弾性伸縮部材7、7…が両端または長手方向の適宜の位置が固定された状態で配設されている。この二重シート部分は前後端部では
図3に示されるように、外側に1回折り返して積層された状態で吸収体4側に接着されることによって、少なくとも着用者の排尿口部を含む前後方向の所定の区間内において
図2に示されるように、肌側に起立する立体ギャザーBS、BSが左右対で形成されている。
【0034】
<吸収体>
前記防漏シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む下層吸収体10と、前記下層吸収体10の肌側に配置され、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを含む上層吸収体11とから構成された、体液を吸収保持する機能を有するものである。前記吸収体4は、図示例のように不織布又はクレープ紙などからなるコアラップシート8によって囲繞するのが好ましい。
【0035】
前記下層吸収体10は、主にパルプ繊維と高吸水性ポリマーとにより構成され、前記上層吸収体11の非肌当接面側に隣接して配置されている。前記高吸水性ポリマーは下層吸収体10を構成するパルプ繊維中に、例えば粒状粉として混入され、パルプ繊維の繊維間に保持されている。前記パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
【0036】
前記高吸水性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル-酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力と吸水速度の調整が可能である。
【0037】
前記下層吸収体10におけるパルプ繊維の目付は、50~300g/m
2、好ましくは80~220g/m
2とするのがよく、前記高吸水性ポリマーの目付は、30~180g/m
2、好ましくは50~160g/m
2とするのがよい。前記目付は、50×50mmの正方形にカットした試験片の重量を測定し面積で除して算出したものである(以下同様)。これらパルプ繊維及び高吸水性ポリマーの目付は、一定である必要はなく、吸収体の部位によって変化させても良い。例えば、着用者の体液排出部Hに対応する領域においてパルプと高吸水性ポリマーの目付を高くした高吸収部を形成したり、後段で詳述するように隣り合う上層吸収体11、11の間に形成される間隙部13と重なる部分又は上層吸収体11が積層されない部分において、体液の引き込み性を向上させるため、高吸水性ポリマーの目付を低くし、パルプ繊維の目付を高くしてもよい。前記体液排出部Hとは、主に、着用者の排尿口部に対応する部位であり、人体の構造上、男性と女性とではその領域が異なるが、
図1に示されるように、概ね、後段で説明する脚周り切欠き部12が両側に形成された部分の長手方向中央部より前側の幅方向中央部の領域である。
【0038】
また、前記下層吸収体10における高吸水性ポリマーの含有比率(Y)は、5~50重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは10~30重量%とするのがよい。前記含有比率とは、下層吸収体10の総重量に対する下層吸収体10に含まれる高吸水性ポリマーの重量の比率である。したがって、下層吸収体10をパルプ繊維と高吸水性ポリマーとから構成した場合、下層吸収体10における高吸水性ポリマーの含有比率が20重量%では、残りの80重量%はパルプ繊維ということである。下層吸収体10では、高吸水性ポリマーの含有比率を低く抑えることによって、パルプ繊維を多く配合し、パルプ繊維の毛管作用により、体液の吸収初期の吸収スピードを速めるとともに、下層吸収体10の内部での体液の拡散を向上させている。
【0039】
前記下層吸収体10の厚みは、1.5~3.5mm、好ましくは2.0~3.0mmとするのがよい。1.5mmより小さいと体液の吸収容量が小さく、一度に大量の体液が排出された際に表面に溢れるおそれがある。一方、3.5mmより厚いと吸収体4を薄型化できず、装着感が悪化する。前記厚みは、尾崎製作所製の定圧厚み測定器デジタルタイプFFD-7によって測定したものである(以下同様)。
【0040】
また、下層吸収体10の密度(平均密度)は、0.02~0.35g/cm3とするのがよい。0.02g/cm3より小さいと、体液の吸収スピードは向上するが、繊維間空隙が大きいために毛管作用が生じにくく、吸収体内部における液の拡散性が低下する。一方、0.35g/cm3より大きいと、体液の吸収初期の吸収スピードが低くなる。前記密度は、カトーテック株式会社製KES圧縮試験機を用いて、圧力0.5gf/cm2における厚みT0を測定し、目付÷T0から算出したものである(以下同様)。
【0041】
前記下層吸収体10には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド-バイ-サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
【0042】
前記下層吸収体10は、吸収体4のほぼ全面に亘って連続して配置され、平面視で吸収体4のほぼ外縁を構成している。前記下層吸収体10の平面形状は前後方向に長い縦長の形状であれば公知の形状を広く採用できるが、
図4に示されるように、着用者の股間部に対応する部分に、両側部をそれぞれ内側に膨出する円弧状、台形状、三角形状などで切り欠いた左右対の脚周り切欠き部12、12を形成することにより、この脚周り切欠き部12、12において幅方向にくびれた、平面視略砂時計状に形成するのが好ましい。
【0043】
前記下層吸収体10の肌当接面側に隣接して配置される上層吸収体11は、パルプ繊維と高吸水性ポリマーとにより構成されている。前記高吸水性ポリマーは上層吸収体11を構成するパルプ繊維中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプ繊維及び高吸水性ポリマーとしては、前記下層吸収体10の説明で挙げたものを制限無く使用できる。
【0044】
前記上層吸収体11におけるパルプ繊維の目付は、5~150g/m2、好ましくは30~100g/m2とするのがよく、前記高吸水性ポリマーの目付は、50~250g/m2、好ましくは100~200g/m2とするのがよい。
【0045】
また、前記上層吸収体11における高吸水性ポリマーの含有比率(X)は、50~90重量%、好ましくは60~90重量%、より好ましくは70~90重量%とするのがよい。50重量%より小さいと、上層吸収体11の保水能力が小さすぎて下層吸収体10に吸収された体液が肌側に逆戻りするおそれがある。一方、90重量%より大きいと、装着時に高吸水性ポリマーの粒感が肌に感じやすく、装着感が悪くなるとともに、パルプ繊維の繊維間に高吸水性ポリマーが定着しにくく、上層吸収体11の壊れや高吸水性ポリマーの脱落が生じやすくなる。
【0046】
前記上層吸収体11における高吸水性ポリマーの含有比率(X)と、前記下層吸収体10における高吸水性ポリマーの含有比率(Y)との差(X-Y)は、10~85、好ましくは20~80、より好ましくは40~80とするのがよい。これにより、下層吸収体10における体液の吸収スピードと、上層吸収体11における逆戻り防止の効果がバランスよく発揮されるようになる。前記差(X-Y)は、前記上層吸収体11における高吸水性ポリマーの含有比率(X)の数値(単位:重量%)と、前記下層吸収体10における高吸水性ポリマーの含有比率(Y)の数値(単位:重量%)とを単純に引いた値である。
【0047】
前記上層吸収体11の厚みは、0.5~1.5mm、好ましくは0.75~1.25mmとするのがよい。0.5mmより小さいと体液の吸収容量が小さく、下層吸収体10に吸収された体液が肌側に逆戻りするのを防止することができなくなるおそれがある。一方、1.5mmより厚いと吸収体4を薄型化できず、装着感が悪化する。
【0048】
また、前記上層吸収体11の密度(平均密度)は、0.05~1.0g/cm3とするのがよい。
【0049】
前記上層吸収体11は、
図4~
図6に示されるように、前記下層吸収体10の肌側面に、長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間欠的に複数条に亘って配置されている。すなわち、所定幅の上層吸収体11が、前記下層吸収体10の肌側面に所定の間隔を空けて複数配置されることによって、全体として縦縞状に配置されている。
【0050】
隣り合う上層吸収体11、11間には、上層吸収体11が存在しない間隙部13が形成されている。前記間隙部13においては、下層吸収体10の肌側面に上層吸収体11が積層されておらず、下層吸収体10が表面シート3に対向して配置されている。すなわち、前記間隙部13では、肌側に排泄された体液が、上層吸収体11を通過せずに下層吸収体10に吸収できるようになっている。
【0051】
前記上層吸収体11は、下層吸収体10の全長に亘って配置され、隣り合う上層吸収体11、11の間に形成される間隙部13が下層吸収体10の全長に亘って連続して設けられるようにするのが望ましい。すなわち、ほぼ等幅に形成された帯状の上層吸収体11が、下層吸収体10の前側端縁と後側端縁との間に連続して配置されることにより、隣り合う上層吸収体11、11の間に形成されるほぼ等幅の間隙部13が、下層吸収体10の前側端縁と後側端縁との間に連続して形成されている。このように、前記間隙部13が下層吸収体10の全長に亘って連続して設けられているため、体液の排泄位置が前後方向に多少ずれたとしても、体液吸収について常に同じ効果が得られるようになる。また、両側の上層吸収体11、11より窪む前記間隙部13が吸収体4の全長に亘って形成されているため、本パッド1を紙おむつ等のアウターの内面に取り付ける際、手で触って又は目視で、パッド1のセンター位置を簡単に確認することができ、この間隙部13を目安として、パッド1をアウターの幅方向中央部に確実に装着することができるようになる。特に、この間隙部13が吸収体4の前端部及び後端部まで形成されているため、この間隙部13の前端部及び後端部をそれぞれアウターの幅方向中央部に合わせれば、パッド1が全長に亘ってアウターの幅方向中央部に装着できるようになるので、装着時の位置合わせが非常に簡単になる。
【0052】
上層吸収体11の1条当たりの幅Aは、下層吸収体10の脚周り切欠き部12、12間に前記間隙部13を形成しながら複数条で配置できる幅であれば任意であるが、10~40mmとするのが好ましい。また、前記複数条の上層吸収体11…は、全て同じ幅で形成してもよいし、例えば、幅方向中央部に配置される上層吸収体11を幅狭にし、幅方向外側に配置される上層吸収体11を幅広にするなど、場所によって異なる幅寸法で形成してもよい。
【0053】
前記間隙部13の幅Bは、10~30mmとするのがよい。10mmより小さいと、体液が前記間隙部13を通って下層吸収体10に移行しにくく、30mmより大きいと、下層吸収体10に吸収された体液が間隙部13を通って肌側に逆戻りしやすくなる。
【0054】
前記下層吸収体10の両側部にそれぞれ前記脚周り切欠き部12、12を形成した場合の一実施形態例として、前記上層吸収体11は、
図4に示されるように、前記脚周り切欠き部12、12より幅方向内側に配置し、前記脚周り切欠き部12を含む下層吸収体10の両側部には配置しないようにすることができる。すなわち、前記上層吸収体11は、下層吸収体10の脚周り切欠き部12、12間にのみ配置されている。これにより、脚周り切欠き部12より前後の領域の両側部に、肌側に上層吸収体11が積層されない下層吸収体10の部分が設けられるため、前記脚周り切欠き部12より前後の領域において、体液が上層吸収体11の幅方向外側に流れた際、下層吸収体10に素早く吸収され、体液の漏れが防止できるようになる。一方で、股間部の体液が拡散しやすい領域には、下層吸収体10の肌側に上層吸収体11が長手方向に沿って積層されているため、上層吸収体11の保水効果により、一旦下層吸収体10に吸収された体液が肌側に逆戻りするのが防止できる。
【0055】
図4に示される形態例では、前記上層吸収体11が下層吸収体10の幅方向中央部に間を空けて間欠的に2条で配置され、下層吸収体10の幅方向中央部に長手方向の全長に亘って連続して1本の間隙部13が形成されている。幅方向中央部に間隙部13を形成することによって、着用者の体液排出部に近い位置で体液の吸収スピードを速めることができるようになる。
【0056】
前記上層吸収体11は、
図4及び
図5に示されるように、幅方向外側の端縁が、前記脚周り切欠き部12の幅方向内側の端縁とほぼ一致する位置に配置するのが好ましい。これにより、脚周り切欠き部12、12間に配置される上層吸収体11の面積をできる限り大きくすることができ、吸水力が確保できるとともに、下層吸収体10の前記脚周り切欠き部12の近傍に拡散した体液が、その肌側面に配置された上層吸収体11に吸収されるため、脚周り切欠き部12の端縁からの漏れが確実に防止できるようになる。
【0057】
また、前記上層吸収体11は、幅方向外側の外形線が長手方向に沿って延びる直線からなり、この直線状の外形線が、幅方向内側に膨出する円弧状の脚周り切欠き部12の頂部と接するように配置するのが好ましい。すなわち、上層吸収体11の幅方向外側の外形線を脚周り切欠き部12の外形線に沿うように内側に膨出する形状で形成しないことによって、脚周りの吸収体4が変形しやすくなるとともに、パルプ繊維の含有量が多い下層吸収体10が脚周りにフィットしやすくなるため、装着感が良好になる。
【0058】
前記上層吸収体11は、種々のパターンで配置することができる。例えば、
図7~
図9に示されるように、前記脚周り切欠き部12、12の間のみならず、前記脚周り切欠き部12を含む下層吸収体10の両側部にも配置してもよい。このとき、前記脚周り切欠き部12を含む下層吸収体10の両側部において、脚周り切欠き部12の前側及び後側にそれぞれ離隔して配置するのが好ましい。前記脚周り切欠き部12を含む下層吸収体10の両側部にも上層吸収体11を配置することにより、この部分の肌当接面側の保水力を高めることができ、下層吸収体10に吸収された体液が吸液後に逆戻りするのが防止できる。
【0059】
また、脚周り切欠き部12、12の間に配置される上層吸収体11は、下層吸収体10の幅方向中央部に長手方向に沿って配置するとともに、その両側にそれぞれ1又は複数条ずつ配置するようにしてもよい。これにより、吸収体4の幅方向中央部には間隙部13が形成されないが、主に幅方向中央部に配置された上層吸収体11の両側に形成された間隙部13、13を通って体液が下層吸収体10に移行できるようになる。
【0060】
次いで、前記吸収体4の製造方法について説明する。前記吸収体4は、
図10に示されるように、所定の積繊装置を用いて長手方向に連続する下層吸収体の連続体10A及び上層吸収体の連続体11Aをそれぞれ製造した後、これらを積層し、前記下層吸収体の連続体10A及び上層吸収体の連続体11Aを一体的に所定の長さで切断することにより製造される。前記下層吸収体の連続体10Aを製造する積繊装置は、外周面に前記下層吸収体10を長手方向に連続させた形状の吸収体形成用凹部が回転方向に連続して形成された積繊用回転ドラムを備えている。同じく、前記上層吸収体の連続体11Aを製造する積繊装置は、外周面に前記上層吸収体11を長手方向に連続させた形状の吸収体形成用凹部が回転方向に連続して形成された積繊用回転ドラムを備えている。また、前記下層吸収体の連続体10A及び上層吸収体の連続体11Aを積層した状態で、これらを一体的にコアラップシートの連続体で囲繞した後、前記下層吸収体の連続体10A、上層吸収体の連続体11A及びコアラップシートの連続体を一体的に切断するのが好ましい。この切断部からの高吸水性ポリマーのこぼれ落ちは、
図1に示されるように、その後の工程で、吸収体4の上下端縁部で吸収体4より外方側に延出する防漏シート2、表面シート3及び外装シート5の外縁部を接合部Fで接合することにより防止されている。このように、本パッド1では、前記上層吸収体11が下層吸収体10の全長に亘って配置されているため、前記吸収体4の製造において、積繊用回転ドラムの外周面に形成される吸収体形成用凹部を周方向に連続して設けることができ、従来のように所定の間隔を空けて個別的に下層吸収体及び上層吸収体を積繊する場合に比べて、吸収体の製造効率が向上するとともに、間隔を空けた部分に堆積したパルプやポリマーが無駄にならずに歩留まりが向上し、かつ吸引ムラなどがなくなるためパルプ繊維と高吸水性ポリマーの配合が吸収体の全長に亘ってほぼ均一となり吸収体の端部まで同様の体液吸収効果が得られるようになるなどの利点がある。
【0061】
本パッド1では、前記上層吸収体11が、長手方向に沿って延びるとともに幅方向に間を空けて間欠的に複数条に亘って配置されているため、隣り合う上層吸収体11、11の間に形成される間隙部13を通じて体液が下層吸収体に流れ込みやすくなっている。すなわち、吸収体4の肌当接面側に配置された上層吸収体11の肌側面に体液が浸透した際、上層吸収体11は、吸収スピードの遅い高吸水性ポリマーの含有比率が高く、吸収スピードの速いパルプ繊維の含有比率が低いため、上層吸収体11に吸収される体液は少量で、大部分は上層吸収体11の肌側面に溢れ、前記間隙部13を通じて下層吸収体10に移行する。下層吸収体10では、高吸水性ポリマーの含有比率が、上層吸収体11における高吸水性ポリマーの含有比率よりも低くなっており、パルプ繊維の含有比率が高くなっているので、パルプ繊維の毛管作用により、体液が下層吸収体10の内部に吸収されやすいとともに、吸収された体液が下層吸収体10の内部を拡散しやすくなっている。このため、体液の吸収スピードを速めることができる。特に、前記間隙部13が下層吸収体10の全長に亘って連続して設けられているため、着用者の体型や姿勢、パッド1の装着位置などによって排泄位置が前後方向に多少ずれたとしても、前記間隙部13を通って体液が下層吸収体10に素早く移行しやすく、吸収スピードをより確実に速めることができるようになる。下層吸収体10に吸収された体液は、隣接する上層吸収体11にも拡散し、上層吸収体11に含有された高吸水性ポリマーに吸収保持される。
【0062】
また、上層吸収体11における高吸水性ポリマーの含有比率を、下層吸収体10における高吸水性ポリマーの含有比率より高くすることによって、下層吸収体10の肌当接面側の保水力を高めているため、下層吸収体10に吸収された体液が吸液後に肌側に逆戻りするのが防止できる。すなわち、下層吸収体10に吸収された体液が肌側に浸透して上層吸収体11を通過する際、上層吸収体11に含有された高吸水性ポリマーに吸収され保水されるため、上層吸収体11の肌側まで体液が溢れず、逆戻りが防止できる。また、間隙部13に対応する部分において下層吸収体10の肌側に浸透した体液は、その肌当接面側に上層吸収体11が介在しないが、その間隙部13に隣接する上層吸収体11に引き込まれるようにして吸収されるため、この間隙部13を通じて上層吸収体11の肌側にまで体液が溢れるようなことはない。
【0063】
更に、上層吸収体11において高吸水性ポリマーの含有比率が高く、パルプ繊維の含有比率が低いたいめ、吸収体4の厚みが薄くなり、装着感を向上することができるようになる。
【符号の説明】
【0064】
1…パッド、2…防漏シート、3…表面シート、4…吸収体、5…外装シート、6…サイド不織布、7…糸状弾性伸縮部材、8…コアラップシート、10…下層吸収体、11…上層吸収体、12…脚周り切欠き部、13…間隙部