(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】天井枠吊り下げ構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/10 20060101AFI20221013BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
E04B9/10
E04B9/18 M
(21)【出願番号】P 2018132644
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2017175123
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018100016
(32)【優先日】2018-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018123300
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594062260
【氏名又は名称】株式会社佐藤型鋼製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公章
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-262766(JP,A)
【文献】特開2000-096764(JP,A)
【文献】特開2014-109142(JP,A)
【文献】特開2015-183458(JP,A)
【文献】特開2017-040036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井枠が取り付けられる天井下地側に当該建物の天井構造に対応した天井枠吊り下げのための水平材が設けられており、水平材に対して天井枠吊り下げ材を介して野縁および野縁受けよりなる格子状の天井枠を吊り下げる一方、天井下地側水平材および天井枠吊り下げ材をそれぞれ所定の断面形状、所定の外径寸法の形鋼又は鋼管により構成し、所定の取り付け金具を介して天井枠吊り下げ材の上端を天井下地側水平材に交叉する鉛直状態で連結するとともに、所定の連結金具を介して天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を交叉状態で連結するようにした天井枠吊り下げ構造であって、天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を交叉状態で連結する所定の連結金具は、天井枠を連結支持する高さ位置の調節機能を備え、天井枠を連結支持する高さ位置を調節した上で天井枠を連結するようになっており、天井枠吊り下げ材の下端に位置決め固定される第1の金具と、第1の金具を介して天井枠吊り下げ材の下端に上下方向にスライド可能に嵌合される第2の金具とを備え、第2の金具は第1の金具に設けられた高さ位置調節用の長穴を介して上下方向にスライド可能に保持された連結ボルトを介して第1の金具の任意の高さ位置に連結され、第1の金具の任意の高さ位置において天
井枠を連結支持するように構成されていることを特徴とする天井枠吊り下げ構造。
【請求項2】
第1の金具には、天井枠吊り下げ材に対して嵌合される嵌合爪が設けられていることを特徴とする請求項1記載の天
井枠吊り下げ構造。
【請求項3】
天井枠吊り下げ材に対して嵌合される嵌合爪は、第1の金具の上端部両側にあって天井枠吊り下げ材の左右両側に嵌合される第1の嵌合爪と、第1の金具の下端部端面の左右にあって天井枠吊り下げ材の第1の金具取り付け面の下端部端面の左右に当接係合される第2の嵌合爪よりなることを特徴とする請求項2記載の天
井枠吊り下げ構造。
【請求項4】
天井枠吊り下げ材の上端を天井下地側水平材に交叉する状態で取り付ける所定の取り付け金具は、天井下地側水平材に取り付けられる取り付け部が、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部に形成され、また天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け部が、同断面コの字形の嵌合部の上下両端側にあって天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部に形成されていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の天井枠吊り下げ構造。
【請求項5】
天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部と一体に構成されていることを特徴とする請求項4記載の天井枠吊り下げ構造。
【請求項6】
天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部とは別体に構成され、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側に設けられた取り付け縁部に対して溶着されることにより一体化されていることを特徴とする請求項4記載の天井枠吊り下げ構造。
【請求項7】
取り付け金具の天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、断面方形の筒体に形成されていることを特徴とする請求項4,5又は6記載の天井枠吊り下げ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建物の構造体に対して天井枠を吊り下げる天井枠吊り下げ構造に関し、さらに詳しくは、建物の構造体から吊り下げられた所定の天井下地の天井枠取り付け用の水平材に対して形鋼又は鋼管よりなる天井枠吊り下げ材を介して天井枠を吊り下げる天井枠吊り下げ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の構造体(H形鋼など)から吊り下げられた所定の天井下地(鉄骨ぶどう棚など)の天井枠取り付け用の水平材(水平補強材)に対して天井枠吊り下げ材を介して在来型の天井枠を吊り下げる従来の天井枠吊り下げ構造の一例を
図68~
図70に示している。
【0003】
在来型の天井枠は、
図68に示すように、溝形鋼よりなる複数本の野縁7,7・・と該野縁7,7・・が取り付けられる溝形鋼よりなる複数本の野縁受け6,6・・とからなり、それら野縁7,7・・および野縁受け6,6・・を格子状に組み合わせ、同野縁7,7・・および野縁受け6,6・・の上下に交叉する部分を、
図69に示すような連結金具9,9・・で相互に連結することによって一体に構成されている。
【0004】
一方、このような天井枠が吊り下げられる天井下地側の複数本の水平材(
図68の符合3,3・・)は、例えば
図69に示すようなリブ3a,3aを有するリップ溝形鋼により形成されていて、特に図示はしていないが、当該建物の構造体である例えばH形鋼部分から天井の高さに応じた所定の長さの複数本の吊りボルトによって所定の高さ位置に吊り下げられて支持されている。
【0005】
そして、上記天井枠は、その吊り下げ部材として例えば
図69および
図70に示すような複数本の吊りボルト5,5・・を用い、該吊りボルト5,5・・を介して上記複数本の水平材3,3・・部分に吊り下げられている。
【0006】
すなわち、該複数本の吊りボルト5,5・・は各々所定の長さのロッド部材51よりなり、その上端51a部分に水平材3のリブ(リップ)3a部分に係合する鉤状のフック部材52、その下端51b部分に野縁受け6の下部に係合するU状のハンガー部材53が設けられている。そして、それらを利用して、野縁受け6,6・・に当該吊りボルト5,5・・の下端を、また水平材3,3・・に当該吊りボルト5,5・・の上端をそれぞれ係合することにより、
図69および
図70のような状態で水平材3,3・・に吊り下げるようにしていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記のようなロッド軸構造の吊りボルトおよびフック構造およびハンガー構造の取り付け金具を用いて水平材に天井枠を吊り下げる吊り下げ構造の場合、まず吊りボルト自体の強度、水平材と吊りボルトとの連結強度、吊りボルトと野縁受けとの連結強度が低く、天井枠吊り下げ時の耐震性に欠ける欠点がある。
【0009】
例えば地震発生時の加振力には、縦揺れによる上下鉛直方向の振動、横揺れによる水平方向の振動があり、実際には、それらの振動がさらに複雑に組み合わされたものとなる。したがって、上記吊りボルトおよび上下の取り付け金具には、鉛直方向の荷重に加えて、水平方向の荷重も加わることになり、それら両方向の荷重に対して十分な耐震力があることが要求される。
【0010】
しかるに、ロッド軸構造単体の吊り下げボルトやフック構造およびハンガー構造の取り付け金具では、そのような要求に応えることはできず、吊りボルト部分が曲がり、またフック部、ハンガー部の係合が外れるなどの恐れがある。
【0011】
そのため、従来の構成では、上記横揺れに対応するためのブレース材の設置、フック部、ハンガー部の固定対策などが必要とされていた。
【0012】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたもので、天井枠吊り下げ材を所定の断面形状、所定の外径寸法の形鋼又は鋼管により構成することによって断面積を有効に拡大し、鉛直方向の圧縮・引張荷重に対する強度と軸直交方向の剛性、水平方向の強度をそれぞれ向上させるとともに、該所定の断面形状、所定の外径寸法の形鋼又は鋼管よりなる天井枠吊り下げ材の上端側を所定の取り付け金具を介して建物側天井枠取り付け用の水平材に、また下端側を所定の連結金具を介して天井枠にそれぞれ連結することによって、天井枠吊り下げ部の強度、耐震性を大きく向上させ、さらには、所定の連結金具を介して天井枠吊り下げ材の下端側に連結される天井枠の高さを調節できるようにした天井枠吊り下げ構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明の天井枠吊り下げ構造は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0014】
(1)第1の課題解決手段
まず本願発明の第1の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造では、 天井枠が取り付けられる天井下地側に当該建物の天井構造に対応した天井枠吊り下げのための水平材が設けられており、水平材に対して天井枠吊り下げ材を介して野縁および野縁受けよりなる格子状の天井枠を吊り下げる一方、天井下地側水平材および天井枠吊り下げ材をそれぞれ所定の断面形状、所定の外径寸法の形鋼又は鋼管により構成し、所定の取り付け金具を介して天井枠吊り下げ材の上端を天井下地側水平材に交叉する鉛直状態で連結するとともに、所定の連結金具を介して天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を交叉状態で連結するようにした天井枠吊り下げ構造であって、天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を交叉状態で連結する所定の連結金具は、天井枠を連結支持する高さ位置の調節機能を備え、天井枠を連結支持する高さ位置を調節した上で天井枠を連結するようになっており、天井枠吊り下げ材の下端に位置決め固定される第1の金具と、第1の金具を介して天井枠吊り下げ材の下端に上下方向にスライド可能に嵌合される第2の金具とを備え、第2の金具は第1の金具に設けられた高さ位置調節用の長穴を介して上下方向にスライド可能に保持された連結ボルトを介して第1の金具の任意の高さ位置に連結され、第1の金具の任意の高さ位置において天井枠を連結支持するように構成されていることを特徴としている。
【0015】
この発明の課題解決手段の構成では、建物の天井下地側水平材および該天井下地側水平材に対して天井枠を吊り下げる天井枠吊り下げ材が、それぞれ所定の断面形状、所定の外径の形鋼又は鋼管により構成されている。
【0016】
したがって、天井枠吊り下げ材が取り付けられる天井下地側水平材の剛性および強度が高くなるのはもちろん、天井枠吊り下げ材自体の鉛直方向の圧縮・引張荷重に対する強度および軸直交方向の剛性、水平方向の強度が従来のボルト軸の場合に比べて大きく向上する。
【0017】
このため、当該天井枠吊り下げ部に上向きの風圧が作用し、天井枠吊り下げ材に圧縮荷重がかかるケースに対応した耐風圧天井として構成することも可能となる。
【0018】
この場合、天井下地側水平材には、例えば形鋼としてC形鋼、鋼管として角形鋼管が採用される。また、天井枠吊り下げ材には、例えば形鋼としてリップ溝形鋼、溝形鋼、鋼管として角形鋼管、必用に応じて円形鋼管が採用される。
【0019】
しかも、同構成では、その上で、天井下地側水平材に取り付けられる取り付け部および天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け部を一体に備えた単一の取り付け金具を介して、天井下地側水平材に対して天井枠吊り下げ材を鉛直方向に交叉するように取り付けている。
【0020】
その結果、同単一の取り付け金具によって、各々強度が高い天井下地側水平材と天井枠吊り下げ材とが相互に交叉する軸方向に確実に位置決めされて、強固に連結される。
【0021】
したがって、同取り付け金具を用いることにより、連結作業時における天井下地側水平材に対する天井枠吊り下げ材の軸方向位置の調整が不要になり、また、連結部の連結強度も高くなる。
【0022】
これらの結果、天井下地側水平材に対する天井枠吊り下げ部の地震発生時の縦揺れ、横揺れに対する耐震力が有効に向上する。その結果、従来の吊りボルト構造の場合のようなブレース材の設置、係合部の固定対策なども不要になる。
【0023】
また、天井枠は、所定の連結金具を介して上記天井枠吊り下げ材の下端に交叉状態で連結され、確実に支持される。
【0024】
しかも、同天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を連結する所定の連結金具は天井枠を連結支持する高さ位置の調節機能を備え、天井枠を連結支持する高さ位置を調節した上で天井枠を連結するようになっている。
【0025】
すなわち、この所定の連結金具は、天井枠吊り下げ材の下端に位置決め固定される第1の金具と、第1の金具を介して天井枠吊り下げ材の下端に上下方向にスライド可能に嵌合される第2の金具とを備え、第2の金具は、第1の金具に設けられた高さ位置調節用の長穴を介して上下方向にスライド可能に保持された連結ボルトを介して第1の金具の任意の高さ位置に連結され、第1の金具の任意の高さ位置において最終的に天井枠を連結支持するようになっている。
【0026】
上述のようにして、上端部側が天井下地側水平材に取り付けられた天井枠吊り下げ材の下端部に天井枠を取り付ける場合、従来は、野縁及び野縁受けよりなる天井枠の野縁を支持する野縁受け部分を天井枠吊り下げ材の取りつけるべき下端部に交叉状態で位置合わせをしてドリルねじで螺合締結する直結方式が採用されていた。
【0027】
ところが、野縁及び野縁受けよりなる天井枠の野縁を支持する野縁受け部分は、荷重により撓みやすく、水平な状態に維持されているとは限らない。したがって、位置合わせ自体が必ずしも容易ではない。また、ドリルねじの螺合は、位置合わせを行った交叉状態(重ね合わせ状態)を作業者が維持した上で行わなければならず、ドリルねじの螺合時の回転力や振動で位置ずれが生じやすい問題がある。さらに、天井枠吊り下げ材の下端部に野縁受けをドリルねじで直結しただけでは、連結部における荷重の支持強度が十分であるとは言えない。
【0028】
そこで、この発明の課題解決手段では、天井枠吊り下げ材の下端に強度の高い連結金具を介して天井枠(野縁受け)を連結するようにすると共に、同連結金具を天井枠との連結位置の調節機能を有するものに構成し、上記天井枠の取り付けるべき上下方向の高さ位置を調節した上で連結支持することができるようにしている。
【0029】
このようにすると、連結強度が向上し、天井枠吊り下げ材による天井枠の支持強度が向上すると共に、天井枠吊り下げ材に対する天井枠の取り付け位置の調節が可能となり、仮に天井枠側野縁受けに撓み等があったとしても、常に正確な高さ位置に調節した上で取り付けることが可能となる。
【0030】
特に、以上の構成によれば、まず第1の金具を天井枠吊り下げ材の下端部に位置決めした上で固定し、該第1の金具を介して天井枠吊り下げ材に対して天井枠取り付け用の第2の金具を嵌合すると、上下方向に所定の長さを有する長穴を介して上下方向にスライド可能に支持された連結ボルトを介して天井枠取り付け用の第2の金具が第1の金具に対して上下方向にスライド可能な状態で連結可能となる。そこで、同状態において、天井枠取り付け用の第2の金具の高さ調整を行い、正確な取り付け位置を設定する。
【0031】
そして、その上で、天井枠取り付け用の第2の金具の天井枠嵌合部に天井枠(その野縁受け部)を嵌合すれば、最終的に天井枠を適正な位置に取り付けることができる。
【0032】
この場合の天井枠吊り下げ材に対する天井枠取り付け位置の高さ調節スパンは、連結ボルトを支持している第1の金具の長穴の上下方向の長さによって決まる。連結ボルトは、高さ調節時においては天井枠取り付け用の第2の金具の第1の金具に対する仮止め機能を果たすが、高さ調節完了時においては天井枠取り付け用の第2の金具を第1の金具を介して天井枠吊り下げ材に固定する機能を果たす。
【0033】
(2)第2の課題解決手段
次に本願発明の第2の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第1の課題解決手段の構成において、第1の金具には、天井枠吊り下げ材に対して嵌合される嵌合爪が設けられていることを特徴としている。
【0034】
このような構成によると、第1の金具を天井枠吊り下げ材に固定するに際し、第1の金具を天井枠吊り下げ材に確実に位置決めした状態で仮止めすることができ、また作業者が手で支持していなくても確実に位置決め状態に保持され、ドリルねじを螺合しても位置ずれすることなく正確に固定することができる。
【0035】
したがって、第1の金具を天井枠吊り下げ材に固定する際の作業性が良くなることはもちろん、天井枠を嵌合固定する第2の金具の第1の金具を介した天井枠吊り下げ材に対する取り付け位置の調節が容易になり、天井枠吊り下げ材に対する天井枠の取り付け精度も向上する。
【0036】
(3)第3の課題解決手段
次に本願発明の第3の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第2の課題解決手段の構成において、第1の金具の天井枠吊り下げ材に対して嵌合される嵌合爪は、第1の金具の上端部両側にあって天井枠吊り下げ材の左右両側に嵌合される第1の嵌合爪と、第1の金具の下端部端面の左右にあって天井枠吊り下げ材の第1の金具取り付け面下端部端面の左右に当接係合される第2の嵌合爪よりなることを特徴としている。
【0037】
このような構成によると、第1の金具を天井枠吊り下げ材の下端部に固定するに際し、第1の金具の下端部端面の第2の嵌合爪を天井枠吊り下げ材の第1の金具取り付け面の下端部端面に当接係合することによって、上下方向の取り付け位置を決めるとともに、同第1の金具の上端部両側の第1の嵌合爪を天井枠吊り下げ材の両側に嵌合することにより、左右方向の取り付け位置を決めて、その全体を確実に仮止めすることができる。すなわち、同構成によれば、上下左右の各取り付け位置を正確に位置決めした上で確実に仮止め固定し、その上でドリルねじで固定することができる。
【0038】
その結果、作業者が手で支持していなくても確実に位置決め状態に保持され、またドリルねじを螺合しても全く位置ずれすることなく正確に固定することができるようになる。
【0039】
したがって、第1の金具を天井枠吊り下げ材に固定する際の作業性が良くなることはもちろん、天井枠を嵌合固定する第2の金具の第1の金具を介した天井枠吊り下げ材に対する取り付け位置の調節が容易になり、天井枠吊り下げ材に対する天井枠の取り付け精度も向上する。
【0040】
この場合、第1の金具の下端部端面の左右にあって天井枠吊り下げ材の第1の金具取り付け面下端部端面の左右に当接係合される第2の嵌合爪は、単に爪本体の下端部の一部を90度折り曲げたものでも良いし、同90度の折り曲げ片先端を所定の隙間を残して、さらに90度折り曲げてコノ字状に形成し、天井枠吊り下げ材下端部の取り付け面裏側に係合させるようにしたものでも良い。
【0041】
(4)第4の課題解決手段
次に本願発明の第4の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第1,第2又は第3の課題解決手段の構成において、天井枠吊り下げ材の上端を天井下地側水平材に交叉する状態で取り付ける所定の取り付け金具は、天井下地側水平材に取り付けられる取り付け部が、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部に形成され、また天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け部が、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側にあって天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部に形成されていることを特徴としている。
【0042】
このように、形鋼又は鋼管よりなる天井枠吊り下げ材の上端を同じく形鋼又は鋼管よりなる天井下地側の水平材に交叉する状態で連結する取り付け金具の、天井下地側水平材に取り付けられる取り付け部が天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部に形成されており、また天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け部が、当該天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側にあって上記天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部に形成されていると、次のような作用を得ることができる。
【0043】
すなわち、まず天井下地側水平材に対する取り付け部の断面コの字形の嵌合部を天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合させ、水平方向の位置決めを行った上で保持する。
【0044】
次に、同状態において、上記天井下地側水平材の外周に嵌合された断面コの字形の嵌合部の上下両端側にあって、天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部に対して天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合し、上下方向の高さ位置を調整する。
【0045】
そして、最後に、それら各部を対応する水平材、天井枠吊り下げ材に対し、ネジ部材等を用いて締結固定する。
【0046】
この結果、天井枠吊り下げ材が当該強度の高い1個の取り付け金具を介して天井下地側水平材に対して強固に連結一体化された状態で取り付けられる。
【0047】
このように、同構成では、取り付け金具が1個の金属部材よりなり、しかも水平材および天井枠吊り下げ材2つの部材の取り付け一体化、位置決め機能を有している。
【0048】
したがって、すでに述べた吊りボルト構造の場合に比べて、吊り下げ強度、耐震強度が高いだけでなく、その取り付け作業が著しく容易になる。
【0049】
しかも、同構成の場合、天井枠吊り下げ材の取り付け部であり、上記天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌挿する嵌合部は、天井下地側取り付け部であり、上記天井下地側水平材に対してスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側に位置し、所定の距離を置いて2組設けられている。
【0050】
したがって、鉛直方向の位置決め、位置固定が確実になり、また2か所でより強固に固定して取り付けることができる。
【0051】
(5)第5の課題解決手段
次に本願発明の第5の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第4の課題解決手段の構成において、天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部と一体に構成されていることを特徴としている。
【0052】
このような構成の場合、金属板を所定の形状にカットし、所定の形状に曲げ加工することによって、それぞれ3組の嵌合部を比較的容易に形成することができる。
【0053】
(6)第6の課題解決手段
次に本願発明の第6の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第4の課題解決手段の構成において、天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部とは別体に構成され、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側に設けられた取り付け縁部に対して溶着されることにより一体化されていることを特徴としている。
【0054】
上記第5の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造のように、天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部を、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部と一体に構成した場合、1枚の金属板をカット、曲成加工することにより形成することができるが、カットによる金属材料の無駄が生じ、また曲成加工が複雑で、製造効率が
悪く、コストがアップする。
【0055】
そこで、天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部を、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部と別体に構成する一方、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部の上下両端側にそれぞれ取り付け縁部を設け、該取り付け縁部に対して溶着して一体化するようにする。
【0056】
このような構成にすると、天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部を例えば断面ハット形に形成し、その両端側の縁部を天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部の取り付け縁部とすることができる。
【0057】
そして、それら取り付け縁部に対して天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部を溶接により接合して一体化するようにすると、一体のものと同様の構成をより容易に構成することができる。
【0058】
(7)第7の課題解決手段
次に本願発明の第7の課題解決手段における天井枠吊り下げ構造は、上記本願発明の第4、第5又は第6の課題解決手段の構成において、取り付け金具の天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、断面方形の筒体に形成されていることを特徴としている。
【0059】
この発明の課題解決手段の場合、上記取り付け金具の天井枠吊り下げ材をスライド可能に嵌合する上下一対の嵌合部は、全体として閉断面構造の断面方形の筒体に構成されている。
【0060】
このような構成の場合、天井枠吊り下げ材が当該断面方形の筒体内に確実にスライド可能な状態で嵌挿され、同状態に確実に保持される。したがって、天井枠吊り下げ材のスライド操作、上下方向の高さ位置の調整が著しく容易になる。また、取り付け後の保持力も高くなる。
【0061】
そして、このようにした場合、同天井枠吊り下げ材嵌挿用の断面方形の筒体は、上記第5の課題解決手段のような一体形構造の場合には、当然ながら、その閉断面背面壁部分が天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部に一体に連続する形で構成される。
【0062】
他方、上記第6の課題解決手段のような別体形構造の場合には、その閉断面背面壁部分を天井下地側水平材の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形嵌合部の取り付け縁部に対して溶接接合して一体化する構成が採用される。
【発明の効果】
【0063】
以上の結果、本願発明によると、天井枠吊り下げ材および天井下地側水平材各々の強度、剛性のアップに加え、天井枠吊り下げ材取り付け部における天井下地側水平材との結合強度が大きく向上し、天井枠吊り下げ部全体の強度も大きく向上する。
【0064】
その結果、天井下地全体の耐震性も向上することになり、より耐震性の高い天井枠吊り下げ構造を提供することが可能となる。
【0065】
また、水平材に対して天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け金具は、構造的に単一の金属部材でありながら、水平材、天井枠吊り下げ材の各々を取り付ける取り付け部を有し、それぞれを対応する部分にスライド可能に嵌合することによって所定の状態に支持し、それぞれ適切に位置決めした上で、ネジ部材等を利用して容易に取り付けることができるようになっている。
【0066】
そのため、水平材に対して天井枠吊り下げ材を取り付ける取り付け作業も著しく容易になる。
【0067】
一方、本願発明の場合、天井枠吊り下げ材の下端に天井枠を連結する所定の連結金具は、天井枠を連結支持する高さ位置の調節機能を備えており、天井枠を連結支持する高さ位置を調節した上で天井枠を連結するようになっている。
【0068】
その結果、天井枠吊り下げ材に対する天井枠の取り付け位置の調節が可能となり、仮に天井枠側野縁受けに撓み等があったとしても、常に正確な高さ位置に調節した上で取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本願発明の実施の形態1に係る天井枠吊り下げ構造が適用される天井下地構造の一例を示す斜視図である。
【
図2】同天井下地構造において、建物側階床部下面の天井枠吊り下げ用H形鋼に水平補強材を吊り下げる鉛直材の構成の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図3】同天井下地構造における建物側階床部下面の天井枠吊り下げ用H形鋼に対する鉛直材の取り付け部分の構造を示す下方側から見た斜視図である。
【
図4】同天井下地構造において、建物側階床部下面の天井枠吊り下げ用H形鋼に吊り下げられた鉛直材下端部と水平補強材との連結構造の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図5】同水平補強材との連結構造を
図4の背面側から見た一部切り欠き斜視図である。
【
図6】同水平補強材との連結構造を
図4の側面側から見た一部切り欠き側面図である。
【
図7】同
図4~
図6の水平補強材との連結構造における連結金具単体の具体的な構造を示す斜視図である。
【
図8】上記天井下地構造におけるH形鋼に対するブレース材の取り付け構造を示す下方側から見た斜視図である。
【
図9】上記天井下地構造における建物側階床部下面の天井枠吊り下げ用H形鋼に吊り下げられた鉛直材下端部と水平補強材との連結構造の他の連結例および左側ブレース材下端の水平補強材との連結構造の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図10】上記天井下地構造における建物側階床部下面の天井枠吊り下げ用H形鋼に吊り下げられた鉛直材下端部と水平補強材との連結構造の他の連結例および右側ブレース材下端の水平補強材との連結構造の一例を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図11】上記天井下地構造におけるXY両方向の水平補強材のクロス部分を連結する連結金具の連結構造を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図12】上記天井下地構造におけるH形鋼に対する鉛直材取り付け状態の作用と効果を説明する説明用側面図である。
【
図13】
図1~12の構成の天井下地構造を用いてH形鋼に吊り下げられたXY方向の水平補強材に対して天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態1に係る天井枠取り付け構造を示す斜視図である(なお、この
図13では、構成を簡単にするために、
図1の天井下地構造におけるX方向の補強材を省略して示している)。
【
図14】同天井枠吊り下げ構造における天井枠吊り下げ部材の構造、同天井枠吊り下げ部材上端の水平補強材に対する取り付け金具を介した取り付け状態、同天井枠吊り下げ部材下端への野縁受けの取り付け状態、天井枠の野縁受けに対する野縁の取り付け状態を示す要部の拡大斜視図である。
【
図15】同天井枠吊り下げ構造における天井枠吊り下げ部材の水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す拡大斜視図である。
【
図16】同天井枠吊り下げ構造における天井枠吊り下げ部材の水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す拡大側面図である。
【
図17】同天井枠吊り下げ構造における天井枠の野縁受けに対する野縁の取り付け構造を示す要部の拡大斜視図である。
【
図18】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材として、角形鋼管に変えてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態2に係る天井枠吊り下げ構造を示す斜視図である(なお、この図でも、
図13の場合と同じく、
図1の天井下地構造におけるX方向の補強材を省略して示している)。
【
図19】同天井枠吊り下げ構造における天井枠吊り下げ部材の構造、同天井枠吊り下げ部材上端の水平補強材に対する取り付け金具を介した取り付け状態、同天井枠吊り下げ部材下端への野縁受けの取り付け状態、天井枠の野縁受けに対する野縁の取り付け状態を示す要部の拡大斜視図である。
【
図20】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材として、角形鋼管に変えてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態3に係る天井枠吊り下げ構造を示す斜視図である(この図でも、
図13の場合と同じく、
図1の天井下地構造におけるX方向の補強材を省略して示している)。
【
図21】同天井枠吊り下げ構造における天井枠吊り下げ部材の構造、同天井枠吊り下げ部材上端の水平補強材に対する取り付け金具を介した取り付け状態、同天井枠吊り下げ部材下端への野縁受けの取り付け状態、天井枠の野縁受けに対する野縁の取り付け状態を示す要部の拡大斜視図である。
【
図22】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材として角形鋼管を用い、該角形鋼管よりなる水平補強材に対して、リップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態4に係る天井枠取り付け構造を示す要部の拡大斜視図である
【
図23】同天井枠吊り下げ構造におけるリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材の角形鋼管よりなる水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す斜視図である。
【
図24】同天井枠吊り下げ構造におけるリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材の角形鋼管よりなる水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す側面図である。
【
図25】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、同じくリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態5に係る天井枠吊り下げ構造を示す要部の拡大斜視図である。
【
図26】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、同じくリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態6に係る天井枠吊り下げ構造を示す要部の拡大斜視図である。この実施の形態の場合、リップ溝形鋼よりなる水平補強材は、その開放したリブ面と反対側の背面部を、同じくリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材の背面側の壁面に当接する形で取り付け金具により一体化されるようになっている。
【
図27】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材として、角形鋼管を用い、該角形鋼管よりなる水平補強材に対して、溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態7に係る天井枠吊り下げ構造を示す要部の拡大斜視図である
【
図28】同天井枠吊り下げ構造における溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材の角形鋼管よりなる水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す拡大斜視図である。
【
図29】同天井枠吊り下げ構造における溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材の角形鋼管よりなる水平補強材に対する取り付け金具の具体的な構造を示す拡大側面図である。
【
図30】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態8に係る天井枠吊り下げ構造を示す要部の拡大斜視図である。
【
図31】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ部材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態9に係る天井枠吊り下げ構造を示す要部の拡大斜視図である。
【
図32】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、角形鋼菅よりなる天井枠吊り下げ材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造を示す斜視図(天井枠側から見た斜視図)である。
【
図33】同実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造を示す側面図(水平補強材の軸方向から見た側面図)である。
【
図34】同実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造を示す斜視図(天井枠吊り下げ材側から見た斜視図)である。
【
図35】同実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造において使用される取り付け金具の構成を示す斜視図である。
【
図36】同取り付け金具の構成を示す一部切り欠き上面図である。
【
図37】同取り付け金具の構成を示す上下方向中央部の断面図である。
【
図38】同取り付け金具の構成を示す背面図である。
【
図39】同取り付け金具の第3の嵌合部の構成を示す斜視図である。
【
図40】同取り付け金具の第1、第2の嵌合部の構成を示す斜視図である。
【
図41】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、角形鋼菅よりなる天井枠吊り下げ材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態11に係る天井枠の吊り下げ構造において使用される取り付け金具の構成を示す斜視図である。
【
図42】同取り付け金具の構成を示す一部切り欠き上面図である。
【
図43】同取り付け金具の構成を示す上下方向中央部の断面図である。
【
図44】
図1~
図12の構造の天井下地における水平補強材としてリップ溝形鋼を用い、該リップ溝形鋼よりなる水平補強材に対して、角形鋼菅よりなる天井枠吊り下げ材を用いて天井枠を取り付けた本願発明の実施の形態12に係る天井枠の吊り下げ構造において使用される取り付け金具の構成を示す斜視図である。
【
図45】同取り付け金具の構成を示す一部切り欠き上面図である。
【
図46】同取り付け金具の第1、第2の嵌合部の構成を示す斜視図である。
【
図47】天
井枠吊り下げ材の下端に天
井枠の取り付け高さ調節機能を有する連結金具(連結金具ユニット)を介して天
井枠を連結支持するようにした本願発明の実施の形態13に係る天井枠の吊り下げ構造を示す斜視図である。
【
図48】同天井枠の吊り下げ構造を示す正面図である。
【
図49】同天井枠の吊り下げ構造を示す側面図である。
【
図50】
図47の天井枠の吊り下げ構造において、天
井枠の取り付け高さ調節機能を有する連結金具部分の構成を分解して示す同様の斜視図である。
【
図51】
図50の連結金具分解図部分の構成を拡大して示す斜視図である。
【
図52】天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天上枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴上限位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図53】天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天
井枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴中間位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図54】天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天
井枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴下限位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図55】天
井枠吊り下げ材の下端に天
井枠の連結位置調節機能を有する連結金具を介して天
井枠を連結支持するようにした本願発明の実施の形態14に係る天井枠の吊り下げ構造を示す斜視図である。
【
図56】同実施の形態の
図55の天井枠の吊り下げ構造における天
井枠の連結位置調節機能を有する連結金具部分の構成を拡大して示す分解斜視図である。
【
図57】同実施の形態における天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天
井枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴上限位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図58】同実施の形態における天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天
井枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴中間位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図59】同実施の形態における天
井枠連結用の第2の嵌合部を有する第2の金具を天
井枠吊り下げ材側第1の金具の第1の長穴下限位置に連結固定した時の連結金具部分の構成を拡大して示す正面図である。
【
図60】天
井枠吊り下げ材の下端に天
井枠の連結位置調節機能を有する連結金具を介して天
井枠を連結支持するようにした本願発明の実施の形態15に係る天
井枠吊り下げ構造の連結金具における第1の金具部分の構造を示す斜視図である。
【
図61】同実施の形態の天井枠の吊り下げ構造における連結金具の構成を使用して天
井枠取り付け位置の調節を行った場合の下限方向への調節状態を示す連結金具部分の正面図である。
【
図62】天
井枠吊り下げ材の下端に天
井枠の連結位置調節機能を有する連結金具を介して天
井枠を連結支持するようにした本願発明の実施の形態15に係る天
井枠吊り下げ構造の連結金具における第1の金具部分の構造を示す斜視図である。
【
図63】同第1の金具部分の構造を示す正面図である。
【
図64】同第1の金具部分の構造を示す上面図である。
【
図65】同第1の金具部分の構造を示す左側面図(天上吊り下げ材との係合関係を示す左側面図)である。
【
図66】同実施の形態の天井枠の吊り下げ構造における連結金具の第1の金具の変形例の構成を示す斜視図である。
【
図67】同変形例の構成を示す左側面図(天上吊り下げ材との係合関係を示す左側面図)である
【
図68】従来の天井下地構造における天井枠吊り下げ部(水平補強材~天井枠吊り下げボルト~天井枠)の概略的な構造を示す斜視図である。
【
図69】同天井枠吊り下げ部における天井枠吊り下げボルトの構造、同天井枠吊り下げボルト上端の水平補強材に対するフック構造の金具を介した取り付け状態、同天井枠吊り下げ部材下端のハンガー構造の取り付け金具による野縁受け係合状態を示す要部の拡大斜視図である。
【
図70】同天井枠吊り下げボルトによる天井枠吊り下げ状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、添付の図面の
図1~
図67を参照して、本願発明に係る天井枠吊り下げ構造を実施するための幾つかの具体的な形態について詳細に説明する。
【0071】
<本願発明の実施の形態1に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図1~
図9を参照>
まず
図1~
図17は、本願発明の実施の形態1に係る天井枠の吊り下げ構造(天井下地側水平方向の補強材に対する取り付け構造)を示している。
【0072】
(基本となる天井下地構造)
この実施の形態の場合、例えば
図1~
図12に示すように、最終的に
図13のような野縁7および野縁受け6よりなる格子状の天井枠が吊り下げられる建物上階床下面側の構造体として、例えば水平な左右一対の取り付け縁部60a,60aを備えたH形鋼60,60・・が採用されており、該H形鋼60,60・・の上記取り付け縁部60a,60aに対して、所定の外径寸法の角形鋼管よりなる複数本の鉛直材(補強材吊り下げ材)70,70・・を介して所定の外形寸法の角形鋼管よりなるXY方向の複数本の水平補強材(水平方向の補強材)3,3・・、3,3・・を吊り下げ支持することによって、天井枠取り付け用の基本となるぶどう棚構造の天井下地を構成し、この基本となる天井下地の上記XY方向複数本の水平補強材3,3・・、3,3・・に対して、例えば
図13に示すように、所定の外径寸法の角形鋼管よりなる複数本の天井枠吊り下げ部材10,10・・を介して野縁7および野縁受け6よりなる格子状の天井枠が耐震性良く、安定した状態に吊り下げられるようになっている(この水平補強材3,3・・、3,3・・に対する天井枠吊り下げ構造の詳細については、後述する)。
【0073】
なお、
図13の構成では、上記
図1の天井下地の鉛直材(補強材吊り下げ材)70,70・・から上方の天井下地部分を省略して示しており、またXY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・もX方向の水平補強材3,3・・を省略し、Y方向の水平補強材3,3・・のみを示している。
【0074】
上記天井枠取り付け用の水平補強材3,3・・、3,3・・を吊り下げ支持している基本となる天井下地部分の鉛直材(補強材吊り下げ材)70,70・・の長さは、例えば当該建物の天井の深さに応じた寸法に形成され、それらの間には所定の外形寸法の角形鋼管よりなるブレース材80,80・・が左右両側から対角線方向に挿入連結され、上記XY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・の横揺れに対する耐震強度を十分に高いものに構成している。
【0075】
このような耐震強度向上を目的とすると鉛直材70用の角形鋼管としては、種々の構造のものが考えられるが、この実施の形態の場合には、例えば
図2に示すように、所定の板厚の金属板を断面方形又は長方形状に曲げ加工し、その両側縁70a,70b部分を角部の一側A部分で相互にS字形に抱き合わす形で連結し、一方側の側縁の隣接部内側に折り曲げリブ70cを設けることにより抱き合わせ部を固定して、角筒状に一体化したものが採用されている。水平補強材3用の角形鋼管、ブレース材80用の角形鋼管の場合も同様である。
【0076】
また、鉛直材70,70・・の上下何れかの端部(又は両端部)には、必要に応じて方形カップ状の補強金具90Aが設けられる(
図9~
図10参照)。
【0077】
(鉛直材70,70・・上端のH形鋼60,60・・の取り付け縁部60a、60a・・に対する取り付け構造について)
上記鉛直材70,70・・は、その上端側を上記H形鋼60,60・・の取り付け縁部60a、60a・・に対して、例えば
図3および
図12に示すような鉛直材取り付け金具61および補助金具64を用いて強固に取り付けられている。
【0078】
この鉛直材取り付け金具61は、上記断面方形の角形鋼管よりなる鉛直材70上端部の断面積および断面形状に対応して安定した着座状態で当接される底壁面(衝合座面)610を有した方形箱形(前面側の全体が水平方向前方にU状に開口した直方体形状)の取り付け金具本体61aと、該取り付け金具本体61aの前面側(上記H形鋼60の取り付け縁部60a側)に開口された前後方向に所定の深さの断面コ字形の嵌合口61b,61bと、該嵌合口61b,61bの前後方向中央部の上壁面611側に位置して上方側から下方に設けられ、取り付け時において上方側から下方側に向けて挿入螺合され、上記取り付け金具本体61aを上記H形鋼60の取り付け縁部60aに対して上方から固定する締結ボルト61cとから構成されている。
【0079】
上記締結ボルト61cは、例えばスプリングワッシャー61jおよび緩み止めナット61hを介して締結ボルト螺合孔に螺合されるようになっている。
【0080】
上記嵌合口61b,61bは、上記取り付け金具本体61aの前面側開口部左右の両側壁612,612を後方側に所定の深さ切り欠くことによって形成されている。この実施の形態の場合、該嵌合口61b,61bは、取り付け金具本体61aの側面から見た時の略前後方向前半分部分に設けられている。
【0081】
一方、底壁610部分は略全体が上記鉛直材70の上端に当接しており、同当接状態において、底部左右両側に設けた一対の連結ブラケット62a,62aを介してボルト63aにより、鉛直材70,70・・の上端部を強固に連結一体化している。
【0082】
このような構成の場合、上記鉛直材70,70・・が断面方形の角形鋼管よりなっているとともに、上記鉛直材取り付け金具61も方形箱形の形状に構成されており、それらが上下1本の角形材構造に一体に連結されている。そして、その上端側鉛直材取り付け金具61を介してH形鋼10の取り付け縁部10aに対して強固に取り付けられている。
【0083】
すなわち、鉛直材70,70・・を吊り下げるに際しては、上記方形箱形の鉛直材取り付け金具本体61aの上記断面コ字形の嵌合口61b,61bを、
図3、
図12に示すように、H形鋼60の手前側の取り付け縁部60aに対して嵌合し、上記締結ボルト61cを直交方向下方に挿入螺合し、同締結ボルト61cの先端でH形鋼60の取り付け縁部60aの上面側を押さえつけ、同締結ボルト61cの先端を介し、上記嵌合口61b,61bの下部側上面とH形鋼60の取り付け縁部60aの下面とを接合して相互に締結一体化することにより、広い方形面積で確実に固定している。
【0084】
このように、鉛直材取り付け金具本体61aが、前後および左右に所定の幅を有する箱形の構成となっていて、その両側に所定の奥行きを有するコの字形の嵌合口61b,61bを有してH形鋼60の取り付け縁部60aに嵌合固定(接合固定)されるようになっていると、従来のフック構造での係合、ロッド軸での吊り下げ構造の場合に比較して、取り付け部の接合面が遥かに広くなり、鉛直材70,70・・の軸直交方向への変形剛性が高くなり、また垂直荷重に対する支持力も遥かに大きくなる。
【0085】
しかも、この実施の形態の場合、以上の構成に加えて、さらに上記対応するH形鋼60の他方側取り付け縁部60aにも、略同様の構造の補助金具64が設けられている。
【0086】
この補助金具64も、
図3、
図12に示すように、方形箱形(前面側の全体が開口した直方体形状)の補助金具本体64aと、該方形箱形の補助金具本体64aの前面側(上記H形鋼60の取り付け縁部60a側)に開口された前後方向に所定の深さの断面コ字形の嵌合口64b,64bと、該断面コ字形の嵌合口64b,64bの前後方向中央部の上壁面に位置して上方側から下方に設けられ、取り付け時において上方側から下方側に向けて挿入螺合され、上記方形箱形の補助金具本体64aを上記H形鋼60の他方側の取り付け縁部60aに対して固定する締結ボルト64cとから構成されており、上記断面コの字型の嵌合口64b,64bは、上記補助金具本体64aの前面側開口部左右の両側壁を後方側に所定の深さ切り欠くことによって形成されている。
【0087】
そして、上記鉛直材取り付け金具61と上記補助金具64とは、それぞれの嵌合口61b,61bと64b,64bを同一水平面方向に対向させた状態において、相互に左右2本の連結ロッド66、66で強固に引張状態で連結されるようになっている。
【0088】
すなわち、この補助金具64も、実際の取り付け状態においては、上記垂直部材取り付け金具61と同様にしてH型鋼60の他端側の取り付け縁部60aに嵌合固定され、その後両者を相互に2本の連結ロッド66、66で連結固定(引張固定)する。
【0089】
したがって、
図3および
図12の連結固定状態では、水平補強材3,3・・、3,3・・(および天井枠1)を吊り下げる鉛直材70,70・・上端の鉛直材取り付け金具61が上記補助金具64によって確実に嵌合方向に引張固定されるようになり、鉛直材取り付け金具61に非嵌合方向への外力が作用したとしても、外れるようなことが無くなり、さらにH形鋼取り付け縁部60a、60a両端側の2か所で逆方向に嵌合固定されるようになることから、嵌合状態自体も一層強固になる。
【0090】
例えば同構成の場合、
図12に示すように、上記鉛直材70,70・・に対して水平な矢印A1方向の力が作用したとすると、上記鉛直材取り付け金具61の嵌合部を介して、上記H形鋼60の取り付け縁部60aには矢印A2方向の押圧力、連結ロッド66、66部分には矢印A3方向の引張力が作用する。
【0091】
しかし、H形鋼60の取り付け縁部60aは支持剛性が高いため動かず、連結ロッド66、66部分に大きな引張力A3が作用することになる。したがって、もし補助金具64がなく、連結ロッド66、66もないとしたら、上記鉛直材取り付け金具61の嵌合部の嵌合状態が悪化し、ケースによっては嵌合状態が外れるということも考えられる。
【0092】
ところが、以上のように鉛直材取り付け金具61と補助金具64の2組の金具を用いて2か所で嵌合固定し、しかも、左右に所定の幅を置いてそれらを2本の連結ロッド66、66で連結していると、上記大きな引張力A3による嵌合部の変形を補助金具64および連結ロッド66,66が確実に阻止し、より確実な嵌合状態を維持することができるようになる。その結果、鉛直部材70,70・・の上記A1方向への移動も抑制される。
【0093】
他方、これとは逆に上記鉛直材70,70・・に対して水平な矢印B1方向の力が作用したとすると、上記鉛直材取り付け金具61の嵌合部を介して、上記H形鋼60の取り付け縁部60aには矢印B2方向への引張力、連結ロッド66、66部分には矢印B3方向の押圧力が作用する。
【0094】
しかし、H形鋼60の取り付け縁部60aは支持剛性が高いため動かず、連結ロッド66、66部分には大きな押圧力B3が作用することになる。したがって、もし上記補助金具64および連結ロッド66、66がないとしたら、やはり上記鉛直材取り付け金具61の嵌合部の嵌合状態が悪化し、ケースによっては嵌合状態が外れるということも考えられる。
【0095】
ところが、以上のように鉛直材取り付け金具61と補助金具64の2組の金具を用いて2か所で嵌合固定し、しかも、左右に所定の幅を置いてそれらを2本の連結ロッド66、66で連結していると、上記大きな押圧力B3が上記連結ロッド66、66および補助金具64により阻止されるので、同押圧力B3による嵌合部の変形を阻止し、確実な嵌合状態を維持することができるようになる。その結果、鉛直材70の上記B1方向への移動も抑制される。
【0096】
これらの結果、上記複数本の鉛直材70、70・・自体の横揺れが生じにくくなり、天井枠が吊り下げられる天井下地側(水平補強材3,3・・吊り下げ側)の耐震性が大きく向上する。
【0097】
(鉛直材70,70・・下端の水平補強材3,3・・、3,3・・に対する取り付け構造について)
この実施の形態の場合、上記のように複数本の鉛直材70,70・・の上端側は、そのいずれにあっても各々第1の取り付け金具61および補助金具64を用いてH形鋼60の取り付け縁部60a、60aに取り付けられている。しかし、他方、下端側は、X方向の水平補強材3,3・・の所定の間隔ごとに(例えば鉛直材70,70・・の2本置きに)、異なる取り付け構造が採用されている。
【0098】
すなわち、ある個所では、XY方向の相互に交叉する水平補強材3,3・・、3,3・・の内のY方向の水平補強材3,3・・に対して、例えば
図4~
図6に示されるように第2の取り付け金具67を介して取り付けられ、また、その他の個所では、例えば
図9および
図10に示すようにXY方向の相互に交叉する水平補強材3,3・・、3,3・・の当該交叉部に第3の取り付け金具(複数の部品90A、90B、91よりなるために、
図1中では符号を省略)を介して取り付けられている。
【0099】
まず第2の取り付け金具67は、例えば
図7に詳細に示されているように、鉛直方向に吊り下げられた鉛直材3の下端側上部に嵌合する第1の嵌合部(取り付け部)111と、鉛直方向に吊り下げられた鉛直材3の下端側下部に嵌合する第2の嵌合部(取り付け部)112と、それら第1、第2の嵌合部111、112の中間に位置し、上記Y方向の水平補強材3に嵌合する第3の嵌合部(取り付け部)113とからなり、それら各嵌合部(取り付け部)を強度の高い単一の金属板部材で一体に成形(加工)して構成されている。第1、第2の嵌合部111、112は、角形鋼管よりなる鉛直材3の断面形状、外径寸法に対応した断面方形C形構造の短筒体となっており、開口部の左右両側には抱持用のリブ(リップ)111b,111b、112b,112bが設けられている。
【0100】
また、その開口部側を除く3つの壁面部分中央には、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通する挿通孔111c,111c,111cが設けられている。そして、第1、第2の嵌合部111、112には、上記の結合されるべき鉛直材3の下端が例えば
図6のようにスライド可能な状態で嵌挿され、上下方向のレベル合わせを行った後にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通螺合して、例えば
図4、
図5のように締結固定される。
【0101】
次に第3の嵌合部111、112は、取り付けるべき水平補強材3の断面形状、外径寸法に対応した断面コの字形構造の短筒体となっており、開口部側の上下に位置して、上記第1、第2の嵌合部111、112の背面側本体壁111a、112a部分を一体に保持している。そしえ、その開口面を除く上下壁113a,113b中央には、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通する挿通孔113c,113cが設けられている。また、背面側本体壁部分には、上下に所定の間隔をおいて、2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通する挿通孔113c,113cが設けられている。
【0102】
そして、第3の嵌合部113には、上記の取り付けるべき水平補強材
3が例えば
図6のように水平方向(Y方向に)にスライド可能な状態で嵌挿され、水平方向(Y方向)の位置合わせを行った後にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通螺合して、例えば
図4、
図5のように連結固定される。
【0103】
このようにして、鉛直方向に吊り下げられた鉛直材70,70・・の下端側に、Y方向の水平補強材3,3・・が取り付けられる。
【0104】
他方、
図9および
図10に示すXY方向の相互に交叉する水平補強材3,3・・、3,3・・の当該交叉部を取り付けるための第3の取り付け金具は、上部側X方向の水平弊補強材3に当接される上述した鉛直材70下端の補強金具90Aと、下部側Y方向の水平補強材3の下部側に嵌合される形で取り付けられたU状の受け金具90Bと、上記補強金具90Aの内側から下方に突出し、X方向の水平補強材3およびY方向の水平補強材3各々の交叉部および受け金具90Bにそれぞれ上下方向に連通して設けられているボルト挿通孔を貫通して所定長さ下方に突出した連結ボルト91よりなり、連結ボルト91下端側のナット91aを受け金具90Bに対してワッシャーを介して締め付けることによって鉛直材70の下端に交叉状態の補強材3,3・・、3,3・・を取り付けている。
【0105】
補強金具90Aは方形のカップ形構造をなし、鉛直材70の下端部側面に対し、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を介して締結固定されており、また、U状の受け金具90Bも同様にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を介してY方向の水平補強材3に締結固定されている。
【0106】
このようにして連結することにより、XY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・を吊り下げる鉛直材70,70・・とXY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・の連結強度も大きく向上し、連結構造体としての強度、剛性が大きく向上する。
【0107】
(ブレース材80,80・・上端のH形鋼60,60・・の取り付け縁部60a、60a・・に対する取り付け構造について)
この実施の形態の場合、上記のように、H形鋼60,60・・と水平方向の補強材(X方向の補強材)3,3・・との間には、相互の対角線方向にブレース材80,80・・が挿入されている。
【0108】
これらブレース材80,80・・の場合にも、各々その上端側は上記鉛直材70,70・・の場合と同様の第1の取り付け金具61および補助金具64を用いてH形鋼60の取り付け縁部60aに取り付けられている。ただし、これらブレース材80,80・・の場合には、第1の取り付け金具61の連結ブラケット62a,62aに直接上端側を連結するのではなく、例えば
図8に示すような断面コの字形の仲介ブラケット83を介して傾斜角の調節が可能なようにして連結されている。
【0109】
この仲介ブラケット83は、断面コ字形のブラケット本体83bの左右両側壁部分をブレース材80の左右両側壁部分にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を介して締結固定し、その上端側に耳状に延びた連結片83a、83a部分をボルト63aおよびナット63bを介して第1の取り付け金具61の連結ブラケット62a,62aに連結して取り付けられている。
【0110】
他方、その下端側は、例えば
図9および
図10に示されているように、断面コの字形のブラケット本体の左右両側壁部分をブレース材80の左右両側壁部分にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を介して締結固定し、同ブラケット本体の下端側に長く延びた連結片部分を水平方向(X方向)の補強材3の両側壁部分にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を介して締結固定することによって連結している。
【0111】
この場合、同ブレース材下端側の連結個所としては、上述したXY方向の各水平補強材3,3・・、3,3・・が交叉し、かつ鉛直材70,70・・の下端が第3の取り付け金具を介して取り付けられる強度の高い部分が選ばれている。
【0112】
(相互に交叉するXY方向の補強材3,3・・、3,3・・同士の連結構造について)
相互に交叉する上記XY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・は、例えば
図11に示すように、上述した鉛直材70,70・・に対する取り付け部以外でも、必要に応じて締結金具69を用いて相互に連結固定されている。
【0113】
この締結金具69も、取り付け方向は異なるが、上述した鉛直材70とY方向の水平補強材3との取り付け金具67の場合と略同様に、X方向の水平補強材3の両端側に位置してY方向の水平補強材3に嵌合締結される断面コの字形の第1、第2の嵌合部691、692と、X方向の水平補強材3に嵌合される断面コの字形の第3の嵌合部693とから構成され、第1、第2の嵌合部691、692の左右各片691a,691b、692a,692b,第3の嵌合部693の左右各片693a,693b部分を対応する水平補強材3、3の壁面に対し、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・、12,12・・で締結固定して、強固に一体化している。
【0114】
これらの結果、以下に述べる天井枠が取り付けられるXY方向の各水平補強材3,3・・、3,3・・が、上記建物側のH形鋼60,60・・に対して耐震性高く支持されることになる。
【0115】
(XY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・に対する天井枠の取り付け構造について)
本願発明の実施の形態の場合、上記のようにして耐震性高く支持されたXY方向の水平補強材3,3・・、3,3・・の内、一例として
図13に示すように、X方向の水平補強材3,3・・を選択し、かつ天井枠吊り下げ部材10,10・・として角形鋼管を採用して天井枠が取り付けられるようになっている。
【0116】
一方、天井枠は、従来のものと同様に、上部側に位置する複数本の野縁受け6,6・・と、該複数本の野縁受け6,6・・の下部側に取り付けられる複数本の野縁7,7・・とからなり、これら野縁受け6,6・・と野縁7,7・・を相互に格子状に枠組みして構成されている。
【0117】
この実施の形態の場合、野縁受け6,6・・および野縁7,7・・は何れもウエブ部およびウエブ部両端にフランジ部を有する溝形鋼により形成されているが、野縁7,7・・のフランジ部には、例えば
図14および
図17に示すように、それぞれフック構造のリブ(曲成片)7a,7aが設けられている。
【0118】
そして、両者は、例えば野縁受け6がウエブ部を上下方向に立てた状態、野縁7がウエブ部を水平方向に寝かせた状態で直交方向に配置され、その交叉部に設けられた結合金具13によって相互に連結されている。結合金具13は、2枚の同じ形状の板材を拝み状態で重合させており、相互に重合する上端部13a,13aが締結部、野縁受け6を両側から挟む中間部13b,13bが野縁受け固定部、野縁7のリブ7a,7a内にスライド可能に係合して、野縁7を野縁受け6に連結する下端部13c,13cが係合部となっている。
【0119】
そして、それら上端部13a,13aおよび中間部13b,13b部分を、例えばドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12で相互に締結固定することにより、
図14のような交叉状態で相互に連結されている。これにより、
図13のような格子構造の天井枠が形成される。
【0120】
(天井枠吊り下げ材10,10・・を用いた天井枠の天井下地側水平補強材3,3・・に対する取り付けについて)
上記のようにして、野縁受け6に対して野縁7が連結された天井枠は、例えば
図14に示すように、断面方形の角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10を介してH形鋼60に吊り下げられている水平補強材3に吊り下げられる。この天井枠吊り下げ材10を構成している断面方形の角形鋼管は、例えば上記天井下地側の鉛直材70と同様に
図2のような構成の角形鋼管が採用されている。
【0121】
水平補強材3への天井枠の吊り下げ、天井枠吊り下げ材10上端10aの取り付けに際しては、例えば
図15および
図16に示すような天井枠吊り下げ材取り付け金具(以下、単に取り付け金具という)11が使用される。
【0122】
この取り付け金具11は、鉛直方向に延びる天井枠吊り下げ材10の上端10a側上部に嵌合する第1の嵌合部(取り付け部)111と、同鉛直方向に延びる天井枠吊り下げ材10の上端側下部に嵌合する第2の嵌合部(取り付け部)112と、それら第1、第2の嵌合部111、112の中間に位置し、上記X方向の水平補強材3に嵌合する第3の嵌合部(取り付け部)113とからなり、それら各嵌合部111,112,113を単一の強度の高い金属板部材で一体に成形(加工)して構成されている。第1、第2の嵌合部111、112は、天井枠吊り下げ材10の断面形状、外径寸法に対応した断面方形C形構造の短筒体となっており、開口部の左右両側には抱持用のリブ(リップ)111b,111b、112b,112bが設けられている。
【0123】
また、その開口部側を除く3つの壁面部分中央には、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通する挿通孔111c,111c,111cが設けられている。そして、それら第1、第2の嵌合部111、112には、天井枠吊り下げ材10の上端側がスライド可能な状態で嵌挿され(
図6の鉛直材70の場合と同様に)、上下方向の高さ調節(レべル合わせ)を行った後にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通螺合して、例えば
図14のように締結固定される。
【0124】
次に第3の嵌合部113は、取り付けるべき水平補強材3の断面形状、外径寸法に対応した断面コの字形構造の短筒体となっており、開口部側の上下に位置して、上記第1、第2の嵌合部111、112の背面側本体壁111a、112a部分を一体に保持している。そして、その開口面を除く上下壁113a,113b中央には、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通する挿通孔113c,113cが上下方向に対応して設けられている。また、背面側本体壁部分には、上下に所定の間隔をおいて、2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通する挿通孔113c,113cが設けられている(地震発生時のモーメント荷重に対する対応:詳細は後述)。
【0125】
そして、同第3の嵌合部113には、上記取り付けるべき水平補強材3が水平方向(Y方向に)にスライド可能な状態で嵌挿され、水平方向(Y方向)の位置合わせを行った後にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通螺合して締結固定される。
【0126】
この結果、同構成では、角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10の上端10a側が、同じく角形鋼管よりなる上記Y方向の水平補強材3の全周に対して、上記構成の取り付け金具11を介して、確実、かつ強固に取り付けられることになり、水平方向にも上下方向にも移動しにくい耐震性の高い連結構造が実現される。
【0127】
他方、このようにしてX方向の補強材3に対して強固に取り付けられた天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対して、天井枠側の野縁受け6が取り付けられる。この野縁受け6の天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対する取り付けは、野縁受け6のウエブ部背面を天井枠吊り下げ材10の下端部10bの前面に当接させ、該当接部に例えば所定の間隔をあけて2本のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通螺合して連結固定する(地震発生時のモーメント荷重に対する対応:詳細は後述)。
【0128】
(作用と効果)
以上のように、この発明の実施の形態1の構成では、建物の天井下地側水平補強材3,3・・および該天井下地側水平補強材3,3・・に対して天井枠を吊り下げる天井枠吊り下げ材10,10・・が、それぞれ所定の断面形状、所定の外径の角形鋼管により構成されている。
【0129】
したがって、天井枠吊り下げ材10,10・・が取り付けられる天井下地側水平補強材3,3・・の剛性および強度が高くなるのはもちろん、天井枠吊り下げ材10,10・・自体の鉛直方向の圧縮および引張荷重に対する強度および軸直交方向の剛性、水平方向の強度が従来のボルト軸の場合に比べて遥かに大きく向上する。
【0130】
このため、当該天井枠吊り下げ部に上向きの風圧が作用し、天井枠吊り下げ材10,10・・に相当な圧縮荷重がかかるケースに対応した耐風圧構造の吊り天井として構成することも可能となる。
【0131】
この場合、上記天井下地側水平補強材3,3・・には、上記のような角形鋼管以外にも必要に応じてリップ溝形鋼や溝形鋼などの形鋼が採用される。また、上記天井枠吊り下げ材10,10・・には、上記のような角形鋼管以外に、例えば円形鋼管や形鋼としてリップ溝形鋼、溝形鋼などの形鋼も必用に応じて採用される(後述する各種の実施の形態を参考)。
【0132】
しかも、同構成では、その上で、天井下地側水平補強材3,3・・に取り付けられる取り付け部および天井枠吊り下げ材10,10・・を取り付ける取り付け部を一体に備えた単一の取り付け金具11を介して、天井下地側水平補強材3,3・・に対して天井枠吊り下げ材10,10・・が鉛直方向に交叉するように取り付けられるようになってている。
【0133】
その結果、同単一の取り付け金具11によって、各々強度が高い天井下地側水平補強材3,3・・と天井枠吊り下げ材10,10・・とが相互に交叉する軸方向に確実に位置決めされて密接状態で強固に連結される。
【0134】
したがって、同取り付け金具11を用いることにより、連結作業時における天井下地側水平補強材3,3・・に対する天井枠吊り下げ材10,10・・の軸方向位置の調整が不要になり、また、連結部の連結強度も高くなる。
【0135】
これらの結果、天井下地側水平補強材3,3・・に対する天井枠吊り下げ部の地震発生時の縦揺れ、横揺れに対する耐震力が有効に向上する。その結果、従来の吊りボルト構造の場合のようなブレース材も不要になる。
【0136】
次に、以上の構成では、上記天井枠吊り下げ材10,10・・の上端10a,10a・・を天井下地側水平方補強材3,3・・に交叉する状態で取り付ける取り付け金具11は、上記天井下地側水平補強材3,3・・に取り付けられる取り付け部が、上記角形鋼管よりなる天井下地側水平補強材3.3・・の外周に嵌合される断面コの字形の嵌合部(第3の嵌合部)113に形成されており、また上記角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10,10・・を取り付ける取り付け部が、上記角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10,10・・をスライド可能に嵌合する嵌合部(詳細な構成は後述)に形成されている。
【0137】
このように、角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10,10・・の上端10a、10a・・を同じく角形鋼管よりなる天井下地側水平補強材3,3・・に交叉する状態で取り付ける取り付け金具11の、天井下地側水平補強材3,3・・に取り付けられる取り付け部が天井下地側水平補強材3,3・・の外周にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部(第3の嵌合部)113に形成されており、また天井枠吊り下げ材10,10・・を取り付ける取り付け部が当該天井枠吊り下げ材10,10・・をスライド可能に嵌合する嵌合部に形成されていると、次のような有益な作用を得ることができる。
【0138】
すなわち、まず天井下地側水平補強材3,3・・に対する取り付け部の断面コの字形の嵌合部(第3の嵌合部)113を天井下地側水平材10,10・・の外周にスライド可能に嵌合させ、水平方向の位置決めを行った上で保持する。
【0139】
次に、同状態において、天井枠吊り下げ材10,10・・がスライド可能に嵌合される嵌合部よりなる天井枠吊り下げ材10,10・・の取り付け部に天井枠吊り下げ材10,10・・をスライド可能に嵌合し、上下方向の高さ位置を調整する。
【0140】
そして、最後に、それら各部を対応する水平補強材3,3・・、天井枠吊り下げ材10,10・・に対し、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通螺合して締結固定する。
【0141】
この結果、天井枠吊り下げ材10,10・・が当該強度の高い単一の取り付け金具11を介して天井下地側水平補強材3,3・・に対して強固に連結一体化された状態で取り付けられる。
【0142】
このように、同構成では、取り付け金具11が単一の金属部材であり、しかも水平方向の補強材3,3・・および天井枠吊り下げ材10,10・・2つの部材の取り付け一体化、位置決め機能を有している。
【0143】
したがって、すでに述べた吊りボルト構造の場合に比べて、吊り下げ強度、耐震強度が高いだけでなく、その取り付け作業が著しく容易になる。
【0144】
しかも、この実施の形態の構成では、以上に説明しているように、上記天井枠吊り下げ材10、10・・をスライド可能に嵌合する嵌合部が、必要に応じて、例えば天井下地側水平補強材3,3・・にスライド可能に嵌合される断面コの字形の嵌合部(第3の嵌合部)113よりなる天井下地側取り付け部の上下両側部分に位置し、相互に所定の距離を置いて2組設けられた第1、第2の2組の嵌合部111、112により形成されている。
【0145】
したがって、鉛直方向の位置決め、位置固定がより確実になり、天井下地側水平補強材3,3・・を挟む上下2箇所で、より強固に固定して取り付けることができるようになる。
【0146】
さらに、これら第1、第2の嵌合部111、112は、断面方形C字形の短筒体に形成されており、鉛直方向に延びる天井枠吊り下げ材10、10・・を抱持状態で確実に嵌挿するようになっている。
【0147】
このような構成の場合、天井枠吊り下げ材10,10・・が当該断面方形C字形の短筒体内に確実にスライド可能な状態で嵌挿され、同状態に確実に保持される。したがって、天井枠吊り下げ材10,10・・のスライド操作、上下方向の高さ位置の調整が著しく容易になる。また、取り付け後にも確実に保持され、より強固に取り付けられる。
【0148】
さらに、以上の構成では、上記第3の嵌合部113の背面側部分には、上下方向に所定の間隔をおいて2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12の挿通孔113c,113cが設けられ、同上下方向に所定の間隔をおいて2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12が挿通螺合されるようになっている。
【0149】
このように、2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12が相互に所定の間隔を置いて螺合締結されるようにすると、地震時の左右の横揺れにより締結部にモーメント荷重がかかった場合にも有効に対応することができ、天井枠吊り下げ材10を外れにくくすることができる。
【0150】
このことは、上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対する野縁受け6の取り付けの場合にも同様であり、この実施の形態の場合には、左右方向2箇所の2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を相互に所定の間隔離して螺合させるようにしており、同様の作用、効果を得ることができるようにしている。
【0151】
<本願発明の実施の形態2に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図18および
図19を参照>
次に
図18および
図19は、本願発明の実施の形態2に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0152】
この実施の形態の構成は、
図18および
図19から明らかなように、上記実施の形態1の天井枠の吊り下げ構造におけるX方向の水平補強材3を角形鋼管からC形鋼に変更し、その開口部側リブ3a,3a面に対して、上記実施の形態1の構成と全く同一の取り付け金具11(
図15及び
図16)を用いて天井枠吊り下げ材10の上端部10aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0153】
その他の部分の構成は、上記実施の形態1の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0154】
このように、上記実施の形態1の構成の取り付け金具11(
図15及び
図16)を用いると、天井枠吊り下げ材10を取り付けるべき水平補強材3がリップ溝形鋼の場合にあっても、角形鋼管の場合と全く同様に強固に取り付けることができ、取り付け面においてリップ溝形鋼開口部の補強効果を得ることもできる。
【0155】
<本願発明の実施の形態3に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図21を参照>
次に
図21は、本願発明の実施の形態3に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0156】
この実施の形態の構成は、
図21から明らかなように、上記実施の形態1の天井枠の吊り下げ構造におけるX方向の水平補強材3を角形鋼管からリップ溝形鋼に変更し、その背面部(ウエブ部)に対して、上記実施の形態1の構成と全く同一の取り付け金具11(
図15及び
図16)を用いて天井枠吊り下げ材10の上端部10aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0157】
その他の部分の構成は、上記実施の形態1の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0158】
このように、上記実施の形態1の構成の取り付け金具11(
図15及び
図16)を用いると、天井枠吊り下げ材10を取り付けるべき水平補強材3がリップ溝形鋼の場合にあっても、角形鋼管の場合と全く同様に強固に取り付けることができ、取り付け金具11の第3の嵌合部113によってリップ溝形鋼開口部の補強効果を得ることもできる。
【0159】
<本願発明の実施の形態4に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図22~
図24を参照>
次に
図22~
図24は、本願発明の実施の形態4に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0160】
この実施の形態の構成は、例えば
図22~
図24から明らかなように、上記実施の形態1の天井枠の吊り下げ構造における角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10をリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材20に変更し、その背面部(ウエブ部)側を同じく角形鋼管よりなるX方向の水平補強材3に対して、上記実施の形態1の構成とは少し異なる取り付け金具11(第1、第2の嵌合部111,112の構成が相違)を用いて取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0161】
その他の部分の構成は、上記実施の形態1の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0162】
すなわち、この実施の形態の取り付け金具11の場合、水平補強材3に嵌合される第3の嵌合部113部分の構成は、上記実施の形態1の場合と同一であるが、第1、第2の嵌合部111、112部分が断面方形リップ溝形構造の短筒体ではなく、
図23、
図24に示されるような背面側本体部111d,112dと、同背面側本体部111d,112dの左右に設けられたブラケット片111e,111e、112e,112eとからなる断面コの字形構造の半筒体に形成されている。また、その背面側本体部111d,112d部分には、それぞれ左右方向に所定の間隔をおいて2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12の挿通孔111c,111c、112c,112cが設けられている。
【0163】
そして、同構造の第1、第2の嵌合部111、112を、例えば
図22に示すように上記リップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材20上端部20aの背面部(ウエブ部)上下に嵌合し、2本のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12、12,12を螺合して締結固定している。
【0164】
このような構成の場合にも、天井枠吊り下げ材10が当該断面コの字形の半短筒体内にスライド可能な状態で嵌合される。したがって、天井枠吊り下げ材のスライド操作、上下方向の高さ位置の調整が容易になる。
【0165】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0166】
この場合、上記第1、第2の半筒体よりなる嵌合部111、112の背面側111d,112d部分には、左右方向に所定の間隔をおいて2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12の挿通孔111c,111c、112c,112cが設けられ、同左右方向に所定の間隔をおいて2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12が挿通螺合されるようになっている。
【0167】
このように、2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12が相互に所定の間隔を置いて締結されるようにすると、地震時の左右の横揺れにより締結部にモーメント荷重がかかった場合にも有効に対応することができ、外れにくくすることができる。
【0168】
これは、上記第3の嵌合部113背面部の上下方向2箇所の2個のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12の場合にも同様であり、同様の作用、効果を得ることができる。
【0169】
<本願発明の実施の形態5に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図25を参照>
次に
図25は、本願発明の実施の形態5に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0170】
この実施の形態の構成は、
図25から明らかなように、上記実施の形態4の天井枠の取り付け構造におけるX方向の水平補強材3を角形鋼管からリップ溝形鋼に変更し、その開口部側リブ3a,3a面に対して、上記実施の形態4の構成と全く同一の取り付け金具11(
図23および
図24)を用いてリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材20の上端部20aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0171】
その他の部分の構成は、上記実施の形態4の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0172】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0173】
<本願発明の実施の形態6に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図26を参照>
次に
図26は、本願発明の実施の形態6に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0174】
この実施の形態の構成は、
図26から明らかなように、上記実施の形態5の天井枠の取り付け構造におけるリップ溝形鋼よりなるX方向の水平補強材3の配設方向を変更し、その背面部(ウエブ部)に対して、上記実施の形態4,5の構成と全く同一の取り付け金具11(
図23および
図24)を用いて、リップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材20の上端部20aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0175】
その他の部分の構成は、上記実施の形態5の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0176】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0177】
<本願発明の実施の形態7に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図27~
図29を参照>
次に
図27~
図29は、本願発明の実施の形態7に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0178】
この実施の形態の構成は、
図27~
図29から明らかなように、上記実施の形態4の天井枠の取り付け構造(
図22~
図24)における天井枠吊り下げ材をリップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材20から溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材30に変更するとともに、その取り付け金具11の第1、第2の嵌合部111、112部分を当該溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材30上端部30aの背面部(ウエブ面部)に重合される平板部111fとし、それぞれ2本のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を螺合して、
図27のように締結固定したことを特徴とするものである。
【0179】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と略同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0180】
<本願発明の実施の形態8に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図30を参照>
次に
図30は、本願発明の実施の形態8に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0181】
この実施の形態の構成は、例えば
図30から明らかなように、天井枠吊り下げ材30として溝形鋼を採用した上記実施の形態7の天井枠の取り付け構造(
図27)におけるX方向の水平補強材3を角形鋼管からリップ溝形鋼に変更し、その開口部側リップ部3a,3a面に対して、上記実施の形態7の構成と同一の取り付け金具11(
図28および
図29)を用いて、上記溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材30の上端部を30aを強固に取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0182】
その他の部分の構成は、上記実施の形態7の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0183】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と略同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0184】
<本願発明の実施の形態9に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図31を参照>
次に
図31は、本願発明の実施の形態9に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0185】
この実施の形態の構成は、例えば
図31から明らかなように、天井枠吊り下げ材30として溝形鋼、X方向の水平補強材3としてリップ溝形鋼を採用した上記実施の形態8の天井枠の取り付け構造において、上記リップ溝形鋼よりなるX方向の水平補強材3の配置方向を変更し、その背面部(ウエブ面部)に対して、上記実施の形態8の構成と同一の取り付け金具11(
図28および
図29のもの)を用いて、リップ溝形鋼よりなる天井枠吊り下げ材30の上端部30aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0186】
その他の部分の構成は、上記実施の形態8の場合と同一であり、同様の作用効果を生じる。
【0187】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と略同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0188】
<本願発明の実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図32~
図38を参照>
次に
図32~
図38は、本願発明の実施の形態10に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0189】
この実施の形態の構成は、たとえば
図32~
図38から明らかなように、上述した天井枠の取り付け構造におけるX方向の水平補強材3として、実施の形態2と同様のリップ溝形鋼を採用し、その開口部側のリブ3a,3a面に対して、上記実施の形態1,2の構成と類似の取り付け金具11を用いて同様の角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10の上端部10aを取り付けるようにしたことを特徴とするものである。ただし、上記実施の形態1,2の取り付け金具11では、第1、第2、第3の嵌合部111、112、113のそれぞれが1枚の金属部材で一体に成形加工されているのに対し、この実施の形態のものでは、第1、第2の嵌合部111、112が、同一の金属部材ではあるが、それぞれ第3の嵌合部113と別体に構成され、第3の嵌合部113の開口面側上下両端側に上下方向に延びて設けられた取り付け縁部(接合縁部)113d、113eに溶接することによって一体に構成されている。
【0190】
すなわち、この実施の形態における取り付け金具11は、 たとえば
図35~
図38に示されるように、鉛直方向に延びる角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10の上端10a側上部に嵌合する第1の嵌合部(取り付け部)111と、同鉛直方向に延びる天井枠吊り下げ材10の上端10a側下部に嵌合する第2の嵌合部(取り付け部)112と、それら第1、第2の嵌合部111、112の中間に位置し、上記X方向の水平補強材3に嵌合する第3の嵌合部(取り付け部)113とからなり、それら各嵌合部111,112,113を共通する強度の高い金属板部材でそれぞれ別体に形成し、その後、相互に溶着一体化させることにより単一体に構成されている。
【0191】
第3の嵌合部113の上下両端側取り付け縁部113d、113eに溶接される第1、第2の嵌合部111、112は、例えば
図40に示されるように、上記天井枠吊り下げ材10の断面形状、外径寸法に対応した断面方形C形構造の金属製短筒体となっており、開口部の左右両側には抱持用のリブ(リップ)111b,111b、112b,112bが設けられている。また、その開口部側を除く3つの壁面部分中央には、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通する挿通孔(ビス止め穴)111c,111c,111cが設けられている。これら各挿通孔(ビス止め穴)111c,111c,111cには、例えば所定のタップ加工(M5)が施されており、上記角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10を取り付けるに際し、嵌合状態において天井枠吊り下げ材10の上下方向の位置を仮止めするためのボルト(M5)の螺合が可能なようになっている。これにより組み付け時の作業が容易になる。
【0192】
なお、上記第1、第2の嵌合部111、112は、第3の嵌合部113に対する溶接位置(上下)が異なるだけで、その構成は全く同一である。したがって、
図40では、同断面方形C形構造の短筒体よりなる第1、第2の嵌合部111、112の構成を共通のものとして示している。
【0193】
これら第1、第2の嵌合部111、112には、角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10の上端10a側がスライド可能な状態で嵌挿され(前述した
図6の鉛直材70の場合と同様に)、上記タップ加工が施された挿通孔(ビス止め穴)111c,111c,111cを利用してボルトにより所定の上下位置で仮止めされる。その上で他の部分の取り付け作業を行った後、最終的にボルトを抜いて正確に上下方向のレベルを合わせ、ドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を螺合して、
図32~
図34のように締結固定される。
【0194】
これら第1、第2の嵌合部111、112が溶接一体化される第3の嵌合部113は、例えば
図39に示すように、取り付けるべき水平補強材3の断面形状、外径寸法に対応したコ字状部と該コ字状部の開口面側上下両端側に上下方向に延びる一対の取り付け縁部(溶接縁部)113d、113eを備えた断面ハット形の金属板により構成されている。そして、それら上下一対の取り付け縁部113d、113eに対して、上記別個独立に構成された断面方形C形の金属筒体である第1、第2の嵌合部111、112の背面側(閉断面側)本体壁111a、112a部分を溶接して
図35のように一体に保持している。そして、その開口面を除く背面側本体壁(垂直壁)の上下、上下壁(水平壁)113a,113bの中央、取り付け縁部(溶接縁部)113d,113eの中央には、それぞれ上記第1、第2の嵌合部111、112の場合と同様のドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12・・を挿通する挿通孔(ビス止め穴)113c,113c・・が前後および上下方向に貫通して設けられている。取り付け縁部(溶接縁部)113d,113e中央の挿通孔(ビス止め穴)113c,113cは、上記溶接一体化された状態において上記第1、第2の嵌合部111、112の背面側(閉断面側)本体壁111a、112a中央の挿通孔(ビス止め穴)111c,111cと同軸に連通している(
図36および
図37を参照)。
【0195】
そして、同第3の嵌合部113には、
図32~
図34に示すように、上記取り付けるべき水平補強材3が水平方向(Y方向に)にスライド可能な状態で嵌挿され、水平方向(Y方向)の位置合わせを行った後に、上記第1、第2の嵌合部111、112の場合と同様にドリルねじ(又はタッピングねじ)12,12を挿通螺合して締結固定される。
【0196】
この結果、同構成では、角形鋼管よりなる天井枠吊り下げ材10の上端10a側が、リップ溝形鋼よりなる上記Y方向の水平補強材3の全周に対して、上記構成の取り付け金具11を介して、確実、かつ強固に取り付けられることになり、水平方向にも上下方向にも移動しにくい、耐震性の高い連結構造が実現される。
【0197】
他方、このようにしてY方向の補強材3に対して強固に取り付けられた天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対して、上記各実施形態と同様に天井枠側の野縁受け6が取り付けられる。
【0198】
このような構成によっても、上記各実施の形態の場合と同様の耐震性の高い天井枠取り付け構造を実現することができる。
【0199】
しかも、この実施の形態の構成では、上記実施の形態1~9の取り付け金具11のように、第1、第2、第3の嵌合部111、112、113のそれぞれが1枚の金属部材で一体に成形加工されているのではなく、第1、第2の嵌合部111、112が、同一の金属部材ではあるが、それぞれ第3の嵌合部113とは全く別体に構成され、第3の嵌合部113の開口面側上下両端側に上下方向に延びて設けられた取り付け縁部(接合縁部)113d、113eに対して、その非開口部側背面壁111a,112aを重合し、溶接することによって一体に構成されている。
【0200】
したがって、上記実施の形態1~9のように、全体を同一の金属板で成形加工する場合に比べて、個々の構成がシンプルになり、その成形加工が容易で、材料の無駄もなくなる。
【0201】
また、第1~第3の各嵌合部111,112、113の挿通孔(ビス止め穴)111c,112c,113c部分は、例えば所定のタップ加工が施されており、上記角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10を取り付けるに際し、嵌挿状態において天井枠吊り下げ材10の上下方向の位置を仮止めするためのボルトの螺合が可能なようになっている。
【0202】
したがって、天井枠吊り下げ材10の位置決め、仮止めが可能となり、組み付け時の作業が著しく容易になる。
【0203】
<本願発明の実施の形態11に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図41~
図43を参照>
次に
図41~
図43は、本願発明の実施の形態11に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0204】
この実施の形態の構成は、
図41~
図43から明らかなように、上記実施の形態10の天井枠の取り付け構造における第1、第2の嵌合部111、112の第3の嵌合部113側取り付け縁部113d、113eに対する溶接面を180度逆にし、断面方形C形筒体の開口部側左右一対のリブ111b,111b、112,112bを取り付け縁部113d,113eに溶接することにより一体化したことを特徴とするものである。その他の構成は、上記実施の形態10の場合と全く同様である。
【0205】
このような構成にすると、溶接後は第1、第2の嵌合部111、112部分が完全な断面方形の筒体となり、開口部側が変形して嵌合部の内径が変わるようなことがなく、角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10との嵌合状態が確実になる。また、実施の形態10のような抱持リブ111b、112bによる抱持状態に比べて嵌合強度、連結強度も向上する。
【0206】
<本願発明の実施の形態12に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図44~
図46を参照>
次に
図44~
図46は、本願発明の実施の形態12に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0207】
この実施の形態の構成は、
図44~
図46から明らかなように、上記実施の形態11と同様の構成において、第1、第2の嵌合部111、112の開口部側リブ111b,111b、112b,112bの長さを相互に突き合わされるまで長くして、それ自体で完全に連続した断面方形の筒体が形成されるようにしたことを特徴とするものである。その他の部分の構成は、上記実施の形態10の場合と同一である。
【0208】
このような構成によると、取り付け縁部113d、113eとの溶接面積が拡大されて、溶接強度が向上すると共に、角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10との嵌合状態が確実になる。また、実施の形態10のような抱持リブ111b、112bによる抱持状態に比べて、一層嵌合強度、連結強度が向上する。
【0209】
<変形例>
この場合、上記第1、第2の嵌合部111、112の開口部側リブ111b,111b、112b,112bは、上記のように折り曲げ加工によって突き合わせるのではなく、エンドレスに連続一体化したものであってもかまわない。
【0210】
そのようにした場合、どの面を溶接しても良いので、溶接作業が容易になる。
【0211】
<本願発明の実施の形態13に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図47~
図54を参照>
次に
図47~
図54は、本願発明の実施の形態13に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0212】
この実施の形態の構成は、たとえば
図47~
図54に示すように、上述した天井枠の取り付け構造におけるX方向の水平補強材3として上記実施の形態2と同様のリップ溝形鋼を採用し、その開口部側のリブ3a,3a面に対して、上記実施の形態12の構成の取り付け金具11(
図44~
図46参照)を用いて上述した角形鋼よりなる天井枠吊り下げ材10の上端部10aを取り付けるようにするとともに、当該天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対し、天上枠の取り付け高さ位置調節機能を備えた連結金具14・15を用いて天井枠側野縁受け6に取り付けるようにしたことを特徴とするものである。
【0213】
水平補強材3に対する取り付け金具11を用いた天井枠吊り下げ材10上端部10aの取り付け構造は、上述の実施の形態12の場合と同様であるので、同様の構成の部分に同様の符号を付すことによりその説明を省略する。また、天井枠側野縁7の野縁受け6との連結構造も上述した各実施の形態の場合と同様であるので、同様の構成の部分に同様の符号を付すことによりその説明を省略する。
【0214】
この実施の形態における天上枠の取り付け高さ位置調節機能機能を備えた連結金具14・15は、天井枠吊り下げ材10の下端部10bの正面(野縁受け6に取り付けられる面と反対側の面)に取り付けられる第1の金具(第1の連結金具ユニット)14と、この第1の金具14を介して天井枠吊り下げ材10の下端部10bおよび野縁受け6に取り付けられる第2の金具(第2の連結金具ユニット)15と、上記第1の金具14に対して第2の金具15を上下移動可能な高さ調節状態および上下移動不可能な固定状態に連結する連結ボルト16と、上記第1の金具14を天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合固定するドリルねじ12,12と、上記第2の金具15を天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合固定するドリルねじ12,12と、上記第2の金具15を天上枠側野縁受け6に螺合固定するドリルねじ12,12とからなっている。
【0215】
第1の金具14は、上下に長い溝形のボルト装着部14aと、該ボルト装着部14aの中央部に形成された上下方向に延びる長穴(スロット)14cと、上記ボルト装着部14aの両側に一体に形成されたフランジ形の固定部14c,14cと、該フランジ形の固定部14c,14cの中央部に設けられたドリルねじ挿通孔14d,14dとを備えた全体として断面ハット形の金属板からなっている。
【0216】
そして、該第1の金具14には、まず上記溝形のボルト装着部(断面コ字形の溝部)14aに対して、ボルト軸部分が上記長穴14bから手前側に突出し、頭部が溝部内に納まる状態で連結ボルト16を装着支持させる。次に、同連結ボルト16を支持させた状態において、上記フランジ形の固定部14c,14c部分を上記天井枠吊り下げ材10の下端部10b正面(取り付け面)に対して位置合わせ(上下および左右共に)し、その上で、そのドリルねじ挿通孔14d,14d部分を介して上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bにドリルねじ12,12を螺合することによって当該天井枠吊り下げ材10の下端部10bの正面に確実に固定して取り付けられる。
【0217】
この場合、上記フランジ形の固定部14c,14c部分の上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bの正面(取り付け面)に対する位置合わせは、第1の金具14の下端面を天井枠吊り下げ材10の下端面に一致させると共にフランジ形の固定部14c,14cの両側面を天井枠吊り下げ材10の両側面に一致させる形で行なわれる。すなわち、第1の金具14の左右幅寸法は、天井枠吊り下げ材10の左右幅寸法に等しく形成されている。
【0218】
また、上記ボルト装着部14aの溝部は、連結ボルト16のボルト頭部の厚さ寸法よりも少し深く形成されていて、当該第1の金具14の上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対する固定状態においても、ボルト軸を介したボルト16自体の上下スライドが可能となるように構成されている。この点は長穴14bの幅寸法とボルト軸の直径との関係も同様である。
【0219】
他方、第2の金具15は、全体として金属板よりなり、平面視U字形の天上枠吊り下げ材10に対する第1の嵌合部15aと、該第1の嵌合部15aのU状部基端面に形成された第2の長穴(スロット)15bと、上記第1の嵌合部15aの左右両側壁中央部に形成されたドリルねじ挿通孔15c,15cと、該ドリルねじ挿通孔15c,15cに挿通されるドリルねじ12,12と、上記第1の嵌合部15aの左右両側壁先端部の外側に位置して一体に設けられた側面視コ字形の天上枠(その野縁受け6)に対する第2の嵌合部15d,15dと、該第2の嵌合部15d,15dのコ字状部基端面中央に形成されたドリルねじ挿通孔15c,15cと、該ドリルネジ挿通穴15c,15cに挿通されるドリルねじ12,12とからなっている。平面視U字形の第1の嵌合部15aは、上記角形鋼菅よりなる天井枠吊り下げ材10の下端部10bに嵌合するようになっているとともに、側面視コ字形の第2の嵌合部15d,15dは、上記溝形鋼よりなる天上枠の野縁受け6に嵌合するようになっている。
【0220】
第2の金具15の第1の嵌合部15aは、上記角形鋼菅よりなる天井枠吊り下げ材10の下端部10bに嵌合するに際し、上記第1の金具14および上記第1の金具14のボルト装着部14aに装着された連結ボルト16を介して嵌合されるようになっており、嵌合後、連結ボルト16により連結され、ワッシャー16aおよびナット16bを介して最終的に締結固定されるまでの間は、上記第1の金具14の第1の長穴14bおよび第2の金具15の第2の長穴15bを介して上下方向に自由にスライドし、所定の高さ位置に調節することが可能となっている。
【0221】
すなわち、上記のように、第1の金具14のボルト装着部14aの溝部の深さは、連結ボルト16のボルト頭部の厚さ寸法よりも少し深く形成されており、第1の金具14の上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対する固定状態においても、長穴14bの上下方向の長さに応じてボルト軸を用いた連結ボルト16自体の上下スライドが可能となっている。この点は長穴14bの幅寸法とボルト軸の直径との関係も同様であり、左右にスライド可能な隙間を有して連結ボルト16のボルト軸が遊嵌されており、それによって連結ボルト16の上下スライドが可能となっている。
【0222】
そして、天井枠吊り下げ材10の下端部10bを野縁受け6に取り付ける第2の金具15の第1の嵌合部15aは、その取り付けに当たって上記天井枠吊り下げ材10の下端部10bに嵌合される際に、まず先に天井枠吊り下げ材10の下端部10b側に固定されている第1の金具14側に支持され、上記のように上下方向にスライド可能な状態に保持されている連結ボルト16の先端側ボルト軸(長穴14bから突出しているボルト軸部分)がU状部基端面の第2の長穴15bを貫通し、同第2の長穴15bの突出端側で第2の長穴15bの径よりも直径の大きいワッシャー16bを介してナット16cを螺合することにより締結固定される。この場合、第2の取り付け金具15の第1の嵌合部15aの左右両側壁部の長さは、もちろん上記第1の取り付け金具14のボルト装着部14aの高さ寸法を考慮して、第2の嵌合部15d,15dが正確に野縁受け6に嵌合され得る長さに形成されている。また、第1の取り付け金具14側の第1の長穴14bと第2の取り付け金具15側の第2の長穴15bとの長さ関係は、第1の長穴14bの長さの方が遥かに長く形成されており、第2の長穴15bの方の長さは連結ボルト16のボルト軸の直径の2倍程度の短いものに形成されている。これは、基本的に天井枠吊り下げ材10に対する天井枠取り付け時(野縁受け6取り付け時)の高さ調節は第1の長穴14bの方で行うが、第1の長穴14bのみでは調節寸法が不足する時の調節寸法の補充、又は最終的に固定する時の第2の取り付け金具15のみの操作による細かいレベル調整を第2の長穴15bを利用して行うためである。
【0223】
このような構成によると、例えば天井枠取り付け部材である水平補強材3に取り付け金具11を介して強固に取り付けられた鉛直方向の天井枠吊り下げ材(角形鋼管)10の下端部10bに対して天井枠を取り付けるに際して、次のように、第2の金具15を連結ボルト16を介して第1の金具14(すなわち天井枠吊り下げ材10)に対して上下に移動させることにより、第1の長穴14b(および第2の長穴15b)の長さを利用した取り付け高さの調整を行った上で、最終的に天井枠吊り下げ材10の下端部10bに固定され、かつ天井枠の野縁受け6部分を嵌合固定する第2の金具15を適正な取り付け高さ位置に正確に取り付けることができる。この結果、天井枠の野縁受けに荷重による撓み等があっても、それを修正した水平な取り付けが可能となる。
【0224】
なお、この実施の形態における天井枠吊り下げ材10に対する天井枠の取り付けは、たとえば
図47に示されるように、天井枠吊り下げ材10の下端部10bの端部が取り付け位置(基準ライン)として設定されており、まず同端部に対して、上記連結金具ユニットの第1の金具14が正確に取り付けられる。
【0225】
この天井枠吊り下げ材10の下端部10bの端部に対する第1の金具14の取り付けは、たとえば第1の金具14の下端ラインを天井枠吊り下げ材10の下端部10bの下端面ラインに一致させると共に、左右フランジ形の固定部14c、14c両側面のラインを天井枠吊り下げ材10の左右両側面のラインに一致させた状態で、ドリルねじ挿通孔14d,14dを介してドリルねじ12,12を天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合することによって実現される。このように第1の金具14の下端面および左右両側面のラインを天井枠吊り下げ材10の下端部10bの下端面ラインおよび左右両側面ラインに一致させて取り付けると、基本的に第1の金具14の全体が天井枠吊り下げ材10の下端部10bと同軸に取り付けられることになり、上記第1の長穴14も天井枠吊り下げ材10の下端部10bと同軸の鉛直方向に延びることになる。
【0226】
(1)第1の長穴14b上限位置への高さ調整:
図52の状態を参照
上記のようにして天井枠吊り下げ材10の下端部10bに取り付けられた第1の金具14に対し、連結ボルト16を介して第2の金具15が嵌合されている仮止め状態(未だ連結ボルト16がナット16bにより完全には締め付けられておらず、ドリルねじ12,12が天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合されていない状態)において、その時の天井枠の取り付け位置が低すぎる場合には、たとえば
図52に示すように、第2の金具15を上方に持ち上げて連結ボルト16を上記第1の長穴14bの上端側にスライドさせ、上端側位置でナット16bを締める。この状態では、連結ボルト16は、第1の長穴14bの上端に位置し、第2の長穴15bの下端で支持された状態となる。
【0227】
そうすると、天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対して固定されている第1の金具14に対して第2の金具15が位置決めされ、かつ固定される。そこで、同状態において、さらに第1の嵌合部15aの左右両側壁のドリルねじ挿通孔15c、15cを通して天井枠吊り下げ材10の下端部10bにドリルねじ12,12を螺合して固定する。これにより、天井枠を天井枠吊り下げ材10に取り付けるための第2の金具(主金具)15が適正な高さ位置(連結ボルト16が第1の長穴14bの上端に位置し、かつ第2の長穴15bの下端に位置する状態)に固定される。
【0228】
したがって、その後、同第2の金具15の第2の嵌合部15d,15d部分に天井枠側の野縁受け6を嵌合し、ドリルねじ挿通孔15e,15eを通してドリルねじ12,12を螺合すると、天井枠側の野縁受け6が適正な高さ位置に調整されて取り付けられ、天井枠が適正な高さ位置に取り付けられることになる。
【0229】
(2)第1の長穴14b中間位置への高さ調整:
図53の状態を参照
上記と同様にして天井枠吊り下げ材10の下端部10bに取り付けられた第1の金具14に対し、連結ボルト16を介して第2の金具15が嵌合されている仮止め状態(未だ連結ボルト16がナット16bにより完全には締め付けられておらず、ドリルねじ12,12が天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合されていない状態)において、その時の天井枠の取り付け位置が高すぎるか、または低すぎる場合には、たとえば
図53に示すように、第2の金具15を下方側、または上方側に持ち上げて連結ボルト16を上記第1の長穴14bの上下方向中間位置にスライドさせ、同中間部位置でナット16bを締める。この状態では、連結ボルト16は、第1の長穴14bおよび第2の長穴15b各々の上下方向中間に位置して支持された状態となる。
【0230】
そうすると、天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対して固定されている第1の金具14に対して第2の金具15が下方側、または上方側に高さ調整された状態で位置決めされ、かつ固定される。そこで、同状態において、さらに第1の嵌合部15aの左右両側壁のドリルねじ挿通孔15c、15cを通して天井枠吊り下げ材10の下端部10bにドリルねじ12,12を螺合して固定する。これにより、天井枠を天井枠吊り下げ材10に取り付けるための第2の金具(主金具)15が適正な高さ位置(連結ボルト16が第1の長穴14bおよび第2の長穴15b各々の中間に位置する状態)に固定される。
【0231】
したがって、その後、同第2の金具15の第2の嵌合部15d,15d部分に天井枠側の野縁受け6を嵌合し、ドリルねじ挿通孔15e,15eを通してドリルねじ12,12を螺合すると、天井枠側の野縁受け6が適正な高さ位置に調整されて取り付けられ、天井枠が適正な高さ位置に取り付けられる。
【0232】
(3)第1の長穴14b下限位置への調整:
図54の状態
上記と同様にして天井枠吊り下げ材10の下端部10bに取り付けられた第1の金具14に対し、連結ボルト16を介して第2の金具15が嵌合されている仮止め状態(未だ連結ボルト16がナット16bにより完全には締め付けられておらず、ドリルねじ12,12が天井枠吊り下げ材10の下端部10bに螺合されていない状態)において、その時の天井枠の取り付け位置が高すぎる場合には、たとえば
図54に示すように、第2の金具15を下方に下げて連結ボルト16を上記第1の長穴14bの下端側にスライドさせ、同下端位置でナット16bを締める。この状態では、連結ボルト16は第2の長穴15bの上端側に位置し、第1の長穴14bの下端で支持された状態となる。
【0233】
そうすると、天井枠吊り下げ材10の下端部10bに対して固定されている第1の金具14に対して第2の金具15が最終的に位置決めされ、かつ固定される。そこで、同状態において、さらに第1の嵌合部15aの左右両側壁のドリルねじ挿通孔15c、15cを通して天井枠吊り下げ材10の下端部10b壁にドリルねじ12,12を螺合して固定する。これにより、天井枠を天井枠吊り下げ材10に取り付けるための第2の金具(主金具)15が適正な高さ位置(連結ボルト16が第1の長穴14bの下端に位置し、かつ第2の長穴15bの上端に位置する状態)に固定される。
【0234】
したがって、その後、同第2の金具15の第2の嵌合部15d,15d部分に天井枠側の野縁受け6を嵌合し、ドリルねじ挿通孔15e,15eを通して野縁受け6のウエブ壁にドリルねじ12,12を螺合すると、天井枠側の野縁受け6が適正な高さ位置に調整されて取り付けられ、天井枠が適正な高さ位置に取り付けられる。
【0235】
<本願発明の実施の形態14に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図55~
図59を参照>
次に
図55~
図59は、本願発明の実施の形態14に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0236】
この実施の形態の構成は、たとえば
図55~
図59に示すように、上記実施の形態13の構成における第1の金具14の上下方向の長さを上下に所定寸法長くすると共に、その上下両端側左右に天井枠吊り下げ材10に嵌合する所定の長さの嵌合爪(抱持用リブ)14e,14e、14e,14eを設けたことを特徴とするものである。
【0237】
上記実施の形態13の構成では、天井枠吊り下げ材10の下端部10bに基礎となる第1の金具14を取り付けるに際し、第1の金具14の下端ラインを天井枠吊り下げ材10の下端部10bの下端面ラインに一致させ、また左右両側の側面ラインを天井枠吊り下げ材10の左右両側面ラインに一致させて取り付けることにより、第1の金具14の天井枠吊り下げ材10に対する位置決めを行って、第2の金具15を取り付けるようにしている。
【0238】
このようにすると、第1の金具14の全体が天井枠吊り下げ材10の下端部10bと同軸に取り付けられることになり、上記第1の長穴14も天井枠吊り下げ材10の下端部10bと同軸の鉛直方向に延びることになる。
【0239】
しかし、このような取り付け方法の場合、第1の金具14の下端面と天井枠吊り下げ材10の下端部10bの下端面とのラインの一致、第1の金具14の左右両側面と天井枠吊り下げ材10の左右両側面とのラインの一致を作業者が目で見て判断するだけであり、正確な位置決めは難しく、天井枠吊り下げ材10に対して第1の金具14が傾斜した状態で取り付けられ、第1の長穴14bも傾斜した状態で取り付けられる可能性が避けられない。
【0240】
そして、そのように第1の長穴14bが天井枠吊り下げ材10に対して傾斜した状態で取り付けられると、天井枠吊り下げ材10に嵌合された第2の金具15がスムーズに上下方向にスライドせず、適切な高さ調節が行えなくなる問題がある。
【0241】
また、そのように天井枠吊り下げ材10のフラットな壁面に対して第1の金具14のフラットなフランジ形の固定部14c,14cを下端面および側面を合わせて重合し、手で押さえながら正確な位置にドリルねじ12,12で螺合する作業は決して容易ではなく、ドリルねじ螺合時の回転力や振動で位置ずれが生じやすい。
【0242】
この実施の形態は、そのような問題を解決するためになされたものであり、たとえば
図55および
図56に示すように、上記実施の形態13の第1の金具14と同様の構成における第1の金具14の上下方向の長さを所定寸法長くすると共に、その上下両端側左右に天井枠吊り下げ材(角形鋼管)10の左右両側面に嵌合する嵌合爪(抱持用リブ)14e,14e、14e,14eを設けて構成されている。
【0243】
この場合、嵌合爪(抱持リブ)14e,14e、14e,14eは、ボルト装着部14a両側のフランジ形の固定部14c,14cの一部を左右両側に伸ばし、直角に折り曲げることにより形成されているが、出来れば一定の抱持力(バインディング力)を発揮するように90度よりも若干狭く折り曲げるか、又は先端側嵌合面もしくは嵌合面全体に確実な係合力を発揮する小さな突起部を設けることが好ましい。
【0244】
このような構成にすると、天井枠吊り下げ材10に対して第1の金具14を取り付けるに際し、嵌合爪(抱持用リブ)14e,14e、14e,14eの嵌合力を利用して、天井枠吊り下げ材10に対して第1の金具14を嵌合しさえすれば、嵌合爪14e,14e、14e,14eの嵌合により、確実に天井枠吊り下げ材10に沿って取り付けられると共に、同取り付け状態においてその下端面側に何らかの受け面部材を当て、上方側から第1の金具14部分を軽く叩くだけで、簡単、かつ確実に下端面位置を揃えることができる。
【0245】
そして、同嵌合による仮止め状態において、ドリルねじ12,12を螺合すれば良いから、ドリルねじ12,12の螺合作業も容易で、螺合時の位置ずれも生じにくい。
【0246】
したがって、第2の金具15を高さ調節可能に取り付ける基礎となる第1の金具14の正確な位置決め、保持が可能になるだけでなく、上記実施の形態13のように、第1の金具14のフランジ形の固定部14c,14cを下端面を合わせて重合し、手で押さえながらドリルねじ12,12で螺合する場合に比べて遥かに第1の金具14取り付け時の取り付け作業効率が良くなる。
【0247】
また、このような構成の場合、たとえば
図56の構成から明らかなように、上記上下両端側左右一対の嵌合爪14e,14e、14e,14eが第2の金具15を嵌合する時の第1の金具14に対する嵌合部の位置決め及び嵌合ガイド機能を果たすので、第1の金具14に対する第2の金具15の嵌合操作も確実、かつ容易になる。
【0248】
これらの結果、以上の構成の場合、第1の金具14の取り付け時の位置決めおよび取り付けが正確かつ容易になることに加えて、第2の金具15の取り付け時の位置決め、取り付けも正確、かつ容易になり、天井枠のより正確、かつ確実な取り付けが可能となる。
【0249】
そして、その高さ位置の調節については、たとえば
図56に示すように、上記第1の金具14の上下両端側左右一対の嵌合爪(抱持用リブ)14e,14e、14e,14e各々の上下間の間隔(スパン)b,bを上述した実施の形態の
図52~
図54と同様の高さ調節が行えるように第2の金具15の第1、第2の嵌合部15a,15dの上下寸法aに比べて十分に大きくし、また第1の金具14における第1の長穴14bの上下方向の長さを十分に長くし、たとえば
図57~
図59に示すように、上記実施の形態13の上記(1)~(3)の場合と同様に、連結ボルト16を第1の長穴の上限位置、中間位置、下限位置に移動させて固定することにより天
井枠を取り付ける第2の金具15を所望の高さ位置に固定することができる。
【0250】
この場合、上記第1の金具14の上下両端側左右一対の嵌合爪(抱持用リブ)14e,14e、14e,14eの上下幅cは、嵌合時の嵌合力の維持及び強度を考慮して適切な寸法に形成される。また、その折り曲げ角度は、90度よりも少し小さいくらいでも、天井枠吊り下げ材10を構成している角形鋼管の角部には所定の曲率のアール面が形成されているから、その嵌合作業は非常に容易である。
【0251】
<本願発明の実施の形態15に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図60および
図61を参照>
次に
図60および
図61は、本願発明の実施の形態15に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0252】
実施の形態14に係る天井枠の吊り下げ構造における天井枠連結金具(連結金具ユニット)14・15は、その全体を天井枠吊り下げ材10に対して確実に同軸状態で平行に取り付けることができ、位置決めが正確で、取り付け後の安定性も高く、ドリルねじの螺合時にも位置ずれを生じない。そして、その上下方向の長さを長くすれば、十分なスパン長も確保することができる。
【0253】
しかし、同構成の場合、天井枠吊り下げ材10の下限側への調節位置が第1の金具14の下端側左右の嵌合爪14e,14eによって規制されるので、上記実施の形態13における
図54と当該実施の形態14における
図59とを対比すれば分かるように、上記実施の形態13における
図54のような下端側へのフリーな位置調節を行うことができず、調節位置の下限側に限界が生じるとともに、天
井枠吊り下げ材10の下端が下方側に所定寸法突出する難点がある。
【0254】
そこで、この実施の形態は、そのような問題を解決するために、たとえば
図60に示すように、上記連結金具ユニットにおける第1の金具14の下端側左右の嵌合爪14e,14eを無くし、上端側左右の嵌合爪14e,14eのみで天
井枠吊り下げ材10に嵌合させるようにしたことを特徴とするものである。
【0255】
このような構成にすると、上述した天井枠吊り下げ材10の下限側への調節位置が下端側左右の嵌合爪14e,14eによって規制される問題を確実に解消することができ、たとえば
図60に示すように、上記実施の形態13における
図54の場合と同様に天井枠吊り下げ材10の下端よりも低い位置に余裕を持って調節設定することができるようになる。
【0256】
しかも、この実施の形態の場合、第1の金具14は、少なくとも上端側左右両側の嵌合爪14e,14eによって、天上枠吊り下げ材10に対して確実に固定されており、上下両端側左右に嵌合爪14e,14e、14e,14eがある場合と略同様に安定した位置決め、取り付け状態に維持することが出来るので、ドリルねじ12,12を螺合する時にも位置ずれを生じない。
【0257】
この場合、上記嵌合爪14e,14eによる天井枠吊り下げ材10に対する嵌合力、位置決め安定度を大きくするために、必用に応じて当該嵌合爪14e,14eの上下幅cを大きくするなどの構成が採用される。
【0258】
<本願発明の実施の形態16に係る天井枠の吊り下げ構造について:
図62~
図65を参照>
次に
図62~
図65は、本願発明の実施の形態16に係る天井枠の吊り下げ構造を示している。
【0259】
実施の形態15に係る天井枠の吊り下げ構造における天上枠連結金具(連結金具ユニット)の第1の金具14の構成の場合、下端側左右両側の嵌合爪14e,14eがないので、上記実施の形態14に係る天井枠の吊り下げ構造における天
井枠連結金具(連結金具ユニット)の第1の金具14のように、天井枠吊り下げ材10の下限側への調節位置が第1の金具14の下端側左右両側の嵌合爪14e,14eによって規制されることがなく、上記実施の形態13における
図54のような下端側へのフリーな位置調節を行うことができ、天
井枠吊り下げ材10の下端が下方側に突出するようなこともない。
【0260】
しかし、下端側左右両側の嵌合爪14e,14eがなくなった分だけ下端側の位置決めおよび仮止め機能が低下し、ドリルねじ螺合時の位置ずれが生じやすいことは否めない。
【0261】
そこで、この実施の形態では、そのような問題を解決するとともに天井吊り下げ材10下端面との位置合わせをも容易にするために、第1の金具14の下端側にも嵌合爪を設けるが、その爪部を上記実施の形態14のように第1の金具14下端部の左右両側ではなく、下端部端面の左右に設けたことを特徴とするものである。
【0262】
すなわち、この実施の形態では、第1の金具14の金具本体に設けられた天井枠吊り下げ材10に対して嵌合される嵌合爪は、第1の金具14の上端部両側にあって天井枠吊り下げ材10の左右両側に嵌合される第1の嵌合爪14e,14eと、第1の金具14の下端部端面の左右にあって天井枠吊り下げ材10の第1の金具取り付け面下端部端面の左右に当接係合される第2の嵌合爪14f,14fよりなっている。
【0263】
この場合、第1の嵌合爪14e,14eおよび第2の嵌合爪14f,14fは、それぞれ第1の金具14の金具本体の一部を天井枠吊り下げ材10側に90度折り曲げて形成されている。
【0264】
このような構成によると、第1の金具14を天上枠吊り下げ材10の下端部10bに固定するに際し、第1の金具14の下端部端面の第2の嵌合爪14f,14fを天井枠吊り下げ材10の第1の金具取り付け面の下端部端面に当接係合することによって、上下方向の取り付け位置を決めるとともに、同第1の金具14の上端部両側の第1の嵌合爪14e,14eを天井枠吊り下げ材10の両側に嵌合することにより、左右方向の取り付け位置を決めて、その全体を仮止めすることができる。すなわち、同構成によれば、上下左右の各取り付け位置を正確に位置決めした上で確実に仮止め固定し、その上でドリルねじで固定することができる。
【0265】
その結果、作業者が手で支持していなくても確実に位置決め状態に保持され、またドリルねじを螺合しても全く位置ずれすることなく正確に固定することができるようになる。
【0266】
したがって、第1の金具14を天井枠吊り下げ材10に固定する際の作業性が良くなることはもちろん、天井枠を嵌合固定する第2の金具15の第1の金具14を介した天井枠吊り下げ材10に対する取り付け位置の調節が容易になり、天井枠吊り下げ材10に対する天井枠の取り付け精度も向上する。
【0267】
<変形例の構成について>
この場合、上記第1の金具14の下端部端面の左右にあって天井枠吊り下げ材10の第1の金具取り付け面下端部端面の左右に当接される第2の嵌合爪14f,14fは、上記のように、単に第1の金具14のフランジ形の固定部14c,14c下端部の一部を90度折り曲げたものでも良いが、たとえば
図66および
図67に示すように、同90度の折り曲げ片の先端を所定の隙間を残して、さらに90度折り曲げることによって側面視コノ字状に形成し、天井枠吊り下げ材10下端部10bの取り付け面裏側に係合させるようにしたものでも良い。
【0268】
このような構成にすると、第1の金具14の天上枠吊り下げ材10に対する位置決め固定状態がより確実になり、ドリルねじ螺合時にもより位置ずれしにくくなる。
【0269】
【0270】
また、上記実施の形態13~16の天
井枠取り付け位置の調節機能を備えた連結金具14、15の採用は、必ずしも天
井枠吊り下げ材が角形鋼管10である場合のみに限らず、天井枠吊り下げ材がリップ溝形鋼である場合(天井枠吊り下げ材20:
図22、
図25、
図26)、天井枠吊り下げ材が溝形鋼である場合(天井枠吊り下げ材30:
図27、
図30、
図31)においても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0271】
3は、水平補強材(天井下地側の天井枠取り付け部)
6は、野縁受け
7は、野縁
10は、天井枠吊り下げ材(角形鋼管の場合)
11は、取り付け金具(天井枠吊り下げ材を水平補強材に取り付ける金具)
12は、ドリルねじ(又はタッピングねじ)
14は、第1の金具
14bは、第1の長穴
14eは、嵌合爪(第1の嵌合爪)
14fは、第2の嵌合爪
15は、第2の金具
15bは、第2の長穴
16は、連結ボルト
16aは、ワッシャー
16bは、ナット
20は、天井枠吊り下げ材(リップ溝形鋼の場合)
30は、天井枠吊り下げ材(溝形鋼の場合)
60は、H形鋼
60aは、H形鋼の取り付け縁部
70は、鉛直材
80は、ブレース材
111は、第1の嵌合部(天井枠吊り下げ材の取り付け部)
112は、第2の嵌合部(天井枠吊り下げ材の取り付け部)
113は、第3の嵌合部(水平補強材への取り付け部)
113dは、取り付け縁部
113eは、取り付け縁部