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特許7157612加熱処理包装袋、加熱処理包装袋の製造方法及び電子レンジ用食品
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  • 特許-加熱処理包装袋、加熱処理包装袋の製造方法及び電子レンジ用食品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】加熱処理包装袋、加熱処理包装袋の製造方法及び電子レンジ用食品
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20221013BHJP
   B31B 70/81 20170101ALI20221013BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B31B70/81
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018186409
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020055582
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】葉山 知人
(72)【発明者】
【氏名】氏脇 篤司
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/009869(WO,A1)
【文献】特開2004-168429(JP,A)
【文献】特開2007-204129(JP,A)
【文献】特開2017-128391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B31B 70/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過しない素材で形成されるシート部材を重ね、周囲を溶着することで収容物が収容可能な収容部を具備した本体部と、前記本体部の一部に形成され、易剥離性テープを介在することで前記収容部の内圧が高まった際に通蒸させる重合部と、を有する加熱処理包装袋において、
前記易剥離性テープには、長手方向に沿ってマーキングラインが付されており、
前記重合部の縁には、未溶着部を形成して通蒸させる機能を有する切欠きが形成されており、
前記重合部には、前記未溶着部の両側に前記マーキングラインを露出させる孔が形成されていることを特徴とする加熱処理包装袋。
【請求項2】
前記シート部材は、紙素材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の加熱処理包装袋。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の加熱処理包装袋の前記本体部の収容部に、収容物を収容したことを特徴とする電子レンジ用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の食品が収容され、電子レンジ等で加熱調理する際に用いられる加熱処理包装袋、加熱処理包装袋の製造方法及び電子レンジ用食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加熱対象物を加熱処理するための加熱処理包装袋(例えば、電子レンジ用食品)が知られている。そのような加熱処理包装袋は、内部に収容された被加熱対象物(例えば、冷凍された食品)を密封状態のまま電子レンジ等で加熱処理できるとともに、加熱により内部圧力が上昇したときに、所定の位置が開封して圧力を逃がすことで、包装袋の破裂を防止できるようになっている。通常、このような加熱処理包装袋は、耐熱性を有するプラスチック素材によって構成されており、前記圧力を逃す方法として、例えば、特許文献1に開示されているように、袋本体の側面に形成され、易剥離性のテープを介在した合掌部で構成することが知られている。
【0003】
前記合掌部は、袋本体の側面を構成するプラスチックフィルムを2つに分割し、一方のプラスチックフィルムの端部を折り返すと共に、他方のプラスチックフィルムの端部を折り返した部分に重合し、両者の重合部分を溶着する際に易剥離性のテープを介在することで構成されている。上記した加熱処理包装袋を、電子レンジ内に合掌部が上向きとなるように設置することで、内圧が高まった際、蒸気が合掌部の一部(通蒸部)から抜けることができ、包装袋が破裂することなく調理することができる。
【0004】
また、電子レンジに用いる加熱処理包装袋として、例えば、特許文献2に開示されているように、紙製の素材を用いることが知られている。このような紙製の素材についても、上記した特許文献1に開示されているような合掌部を備えた構成にすることで、加熱処理時に内圧が高まった際、通蒸させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-185777号
【文献】特開2004-237994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したような合掌部で通蒸させる構成では、重合部に介在する易剥離性テープの位置を正確に管理する必要がある。通常、プラスチック素材による加熱処理包装袋を製造するに際しては、ロール状に巻回された原反から素材(シート部材)を引き出し、搬送方向に沿ってシート部材を所定の形状に折り曲げて重合部を形成し、その過程において易剥離性テープを介在し、ヒートバーによって熱溶着する製造工程を備えている。
【0007】
この場合、重合部の間に易剥離性テープを介在する工程では、搬送方向に沿って移動する易剥離性テープが搬送方向と直交する方向にぶれることがあり、このようなぶれが生じると、合掌部における通蒸機能に影響を与える可能性があるため、易剥離性のテープに、搬送方向に沿ったマーキングラインを予め形成しておくことが行なわれている。すなわち、透過性を有するプラスチック素材では、重合部における易剥離性テープのマーキングラインの位置を目視することができるため、製造時において易剥離性テープの位置ずれが生じたことを直ちに発見でき、最終製品についても、マーキングラインの位置を確認することで検品作業を容易かつ確実に行なうことが可能となる。
【0008】
ところが、加熱処理包装袋を光を透過しないの素材、例えば、紙製の素材で構成すると、重合部の間に易剥離性テープを介在する工程において、上記したマーキングラインを視認することができなくなくなってしまい、これにより、製造不具合が生じたり、安定した通蒸機能を有する加熱処理包装袋が得られないという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、易剥離性テープが安定した状態で介在されている通蒸部を備えた加熱処理包装袋、加熱処理包装袋の製造方法及び電子レンジ用食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明は、光を透過しない素材で形成されるシート部材を重ね、周囲を溶着することで収容物が収容可能な収容部を具備した本体部と、前記本体部の一部に形成され、易剥離性テープを介在することで前記収容部の内圧が高まった際に通蒸させる重合部と、を有する加熱処理包装袋において、前記シート部材の前記重合部に、重合部に介在される易剥離性テープの一部を露出させる露出部を形成したことを特徴とする。
【0011】
上記した構成の加熱処理包装袋は、電子レンジで加熱処理し、収容部の内圧が高まった際に、易剥離性テープが介在された重合部の部分で通蒸がされる。易剥離性テープの位置が適切でないと、製造不具合が生じたり、安定した通蒸機能を発揮することができなくなるが、重合部に形成した露出部によって、介在されている易剥離性テープの一部を露出させることから、シート部材が光を透過しない素材で形成されていても、易剥離性テープの位置がずれていないかを容易に確認することが可能となる。このため、製造時に不具合が生じる可能性が低減され、安定した通蒸機能を備えた加熱処理包装袋が得られる。
【0012】
また、上記した目的を達成するために、本発明は、光を透過しない素材で形成されるシート部材を重ね、周囲を溶着することで収容物が収容可能な収容部を具備した本体部と、前記本体部の一部に形成され、易剥離性テープを介在することで前記収容部の内圧が高まった際に通蒸させる重合部と、を有する加熱処理包装袋の製造方法において、前記シート部材を巻回した原反からシート部材を引き出しながら一部を折り返して前記重合部を形成する工程と、前記シート部材に形成された前記重合部に易剥離性テープを介在する工程と、前記易剥離性テープが介在された状態の重合部をヒートバーで熱溶着する工程と、を有し、前記熱溶着する工程の前段階で、前記重合部に介在される易剥離性テープの一部を露出させる露出部を前記重合部に形成することを特徴とする。
【0013】
上記した加熱処理包装袋の製造方法では、ヒートバーで重合部を熱溶着する製造工程において、重合部に介在される易剥離性テープの位置がずれていると、その状態を直ちに目視することができるため、易剥離性テープの介在位置を適正な位置に補正することで、製造時に不具合が生じることが抑制できるようになる。また、安定した通蒸機能を発揮する加熱処理包装袋が得られる。
【0014】
また、上記した目的を達成するために、本発明は、収容物が収容された収容部を具備した本体部と、前記本体部の一部に形成され、易剥離性テープを介在することで前記収容部の内圧が高まった際に通蒸させる重合部と、を有し、光を透過しない素材で形成された電子レンジ用食品において、前記重合部に前記易剥離性テープの一部を露出させる露出部を形成したことを特徴とする。
【0015】
このような電子レンジ用食品においても、重合部に介在された易剥離性テープの位置が適切な状態であるかを容易に把握することができ、重合部に形成されている通蒸部から安定して通蒸が成される電子レンジ用食品が得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光を透過しない素材で形成されたシート部材であっても、重合部に介在される易剥離性テープの位置が適切な位置に配設されていることが容易に確認できるため、安定した通蒸機能が発揮される加熱処理包装袋、及び、電子レンジ用食品が得られる。また、本発明は、そのような機能を備えた加熱処理包装袋を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】加熱処理包装袋(電子レンジ用食品)の第1の実施形態を示す斜視図。
図2図1に示す加熱処理包装袋の製造工程の概略を示す図。
図3】(a)は、図2に示す製造工程において、原反から引き出されたシート部材を折り曲げて重合部を形成する状態を示す図、(b)は、重合部に介在される易剥離性テープの構成を示す図。
図4】加熱処理包装袋(電子レンジ用食品)の第2の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る加熱処理包装袋(以下、包装袋と称する)の第1の実施形態を示す図である。
本実施形態の包装袋1は、略矩形状のシート部材3A,3Bを重ね合わせ、両側3a,3b及び底部3c(周囲)を溶着した本体部3を備えており、本体部3は、いわゆる三方体として構成されている。この場合、包装袋1は、後述するように、1枚のシート部材3S(図2図3参照)をロール状の原反から引き出し、適所を折り曲げることで重ね合せ、周囲を溶着することで構成されている。このため、底部3cと対向する上部3dは、1枚のシート部材を折り返すことで閉塞された状態となるため、溶着されることはない(溶着を施しても良い)。
なお、本実施形態の包装袋1は、1枚のシート部材3Sで構成され、一側面側をシート部材3A、他側面側をシート部材3Bとして定義しているが、包装袋1については、別々のシート部材を重ね、周囲を溶着した構成であっても良い。
【0019】
上記したように、重なったシート部材の周囲を溶着(溶着部分については斜線で示されている)することで、収容物が収容される収容部Sが形成される。このような構成の包装袋では、底部3cを未溶着状態にしておき、この部分から収容部S内に食品等を充填した後、底部3cを溶着することによって、電子レンジ用食品とすることが可能である。或いは、底部3cを未溶着状態にしておき、その近傍に封止用のチャック(ファスナ)を設けることで、電子レンジに使用可能な包装袋とすることも可能である。
【0020】
前記シート部材3A,3Bは、光を透過しない素材で形成されている。光を透過しないシート部材としては、例えば、基材を紙(紙基材)とし、その内面にバリア性を備えた非金属バリア層を一体化すると共に、バリア層上に、熱溶着可能な樹脂製の保護層(溶着層)を積層することで構成可能である。保護層は、例えば、ポリエチレン系又はポリプロピレン系の樹脂等をラミネートすることによって形成することが可能であり、収容部S内に収容された食品は、前記保護層及びバリア層によって外側にしみ出ることはなく、前記保護層によって、非金属バリア層の脱落や劣化を防止して、シート本体が保有するバリア性を長期間にわたって維持できると共に、製袋時にシート部材同士を熱溶着させることが可能となる。
【0021】
前記紙基材は、様々な原紙(一般的な植物繊維製のもの等)を用いることができ、非金属バリア層の構成材料としては、バリア性の効果を備えたPVA(ポリビニルアルコール)等の材料を用いることができる。非金属バリア層及び保護層は、紙基材に対して積層して一体化することが可能である。
この場合、上記したような機能が発揮されるシート部材としては、例えば、日本製紙株式会社の「シールドプラス(登録商標)プレミア」を用いることが可能であり、このような素材は、紙基材に被着される非金属バリア層がバリア機能(ガスバリア性、防湿性、保香性など)を発揮することが可能である。また、前記紙基材の外表面側には、水分が浸透できないように、樹脂(ポリエチレン系又はポリプロピレン系の樹脂等)をコーティングした外層を被着(積層)しておくことが好ましい。
【0022】
或いは、光を透過しないシート部材3A,3Bとしては、耐熱性を有し電子レンジで加熱される食品用包装材料として使用されるプラスチック素材(プラスチックフィルム)で構成することも可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂等を基材とし、その基材の内面側に、熱溶着可能な樹脂、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などを積層したシート部材で構成しても良い。また、そのようなシート部材には、各種の印刷を施した印刷層(光を透過しない印刷層)や、上記したようなバリア層を形成しても良く、このような積層構造は、各種公知の手法、例えば、押出機などを用いて、溶融した樹脂を製膜して、積層体状に層形成したり、あらかじめフィルム状に形成したものをドライラミネーション等によるラミネート法を用いて作成することが可能である。
【0023】
前記本体部3の一部には、易剥離性テープ7を介在した重合部(合掌部)4が形成されている。この重合部4は、本体部3の一方の側面の中間部よりやや上方位置で、側面の幅方向に亘って形成されており、側面から突出するように形成されている。この重合部4は、前記シート部材3A,3Bによって構成することが可能であり、収容物が収容された包装袋1が電子レンジで加熱されて、収容部Sの内圧が高まった際、通蒸させる機能を有する。
【0024】
前記重合部に介在される易剥離性テープ7は、一定の圧力が加わった際に重合部が剥離できる機能を備えた樹脂であれば良く、例えば、ポリブデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン/ポリプロピレン混合物、これらの樹脂を含む樹脂混合物などで構成することが可能であり、易剥離性プラスチックとして使用されるものであれば、特定の材料に限定されることはない。易剥離性テープ7は、重合部4に介在された状態で外部から視認可能となっており、視認し易いように、色彩や模様を付すことが好ましい。
本実施形態では、図3(b)に示すように、長手方向に沿って直線状のライン(マーキングライン)7aが付されており、位置ずれが容易に把握できるように構成されている。
【0025】
前記重合部4には、収容部Sの内圧が高まった際に通蒸が円滑に行えるように未溶着部8が形成されている。この未溶着部8は、重合部4の略中央領域で、重合部4の縁4aから略半円形状となるように形成されており、このような未溶着部8を形成することで、収容部Sの縁部11との間での密着距離が短くなり、内圧が高まった際に未溶着部8の収容部側の領域(通蒸部となる)8aで通蒸することが可能となる。このような未溶着部8については、製袋工程で用いられる重合部4を熱溶着するヒートバーに、重合部4の略中間領域で圧接しない半円形状の凹所(非溶着領域)を形成しておくことで作成することが可能である。すなわち、ヒートバーで重合部4を圧着しても、その部分は溶着されることはなく、未溶着部8が形成される。
【0026】
また、前記重合部4には、介在される易剥離性テープ7の一部を露出させる露出部が形成されている。本実施形態の露出部は、重合部4の内、外側(視認側)となる面に形成された孔(開口)10で構成されており、この孔10を介して易剥離性テープ7を露出させている。この場合、形成される孔10の位置、形状、個数については、限定されることはないが、本実施形態では、前記未溶着部8の両側の2箇所に形成されており、上記したように、易剥離性テープ7には、マーキングライン7aが付されていることから、そのマーキングライン7aを露出させるように形成されている。すなわち、易剥離性テープ7に付されるマーキングライン7aの位置に応じて、その露出部(孔10)の位置は、適宜、変更可能である。
【0027】
上記したように、本体部3及び重合部4は、光を透過しない素材で形成されているため、その製袋時、及び、完成した包装袋では、重合部4に介在される易剥離性テープ7が視認できなくなるが、露出部(孔10)を形成したことで、易剥離性テープの位置を確認することができる。このため、製袋時において、重合部の間隙に供給される易剥離性テープ7がぶれても、その状態を把握することができるため、製造時に不具合が生じる可能性が低減され、安定した通蒸機能を備えた包装袋1が得られる。
【0028】
次に、上記した包装袋1の製造方法について図2及び図3を参照して説明する。
なお、本実施形態の包装袋1は、一般的な公知の製袋機を用いて製造することが可能であるため、製袋機の全体構成を図示することなく、製造工程において、主要な特徴部分を図示して説明する。
【0029】
上記した1枚のシート部材3Sは、ロール状(原反)にして製袋機に供給され、引き出し方向D1に沿って順次加工(折り曲げ加工、溶着加工、カット加工等)が施されて、同時に2枚ずつの包装袋1が連続的に製造されるようになっている。
【0030】
図3に示すように、原反から引き出された1枚のシート部材3Sの搬送方向両サイドは、内側に180°、外側に180°、内側に180°と3回折り返される(各折り返し部を符号20,21,22で示す)。この折り返し工程において、下側の折り返し部20は、図1で示す包装袋の上部3dを構成し、上側の折り返し部22によって形成される重なり部分23は、図1で示す包装袋の重合部4を構成する。この場合、上側の折り返し部22は、下側の折り返し部20よりも内側位置で折り返される。
そして、前記折り返し部20,22によって形成される表側の面20a,22aが包装袋の一側面(シート部材3A)を構成し、裏側の平坦面25が包装袋の他側面(シート部材3B)を構成する。また、上記のように折り曲げられたシート部材3Sの両端縁26は、突き合わされ、この端縁部分が図1で示す包装袋の底部3cを構成する。
【0031】
上記した折り返し工程は、シート部材3Sを引き出し方向に搬送しながら、ガイド部材を通過することで行われる。また、この引き出し搬送時において、前記折り返し部22によって形成される重なり部分23の表側の面22aの所定の位置には、上記した孔10が連続的に形成される。また、上記した折り返し工程によって折り返された両側の重なり部分23には、易剥離性テープ7が引き込まれるように搬送される。なお、孔10を形成する工程については、重合部4が熱溶着(縦シール)される前段階で行われていれば良く、そのタイミングについては限定されることはない。例えば、上記した折り返し工程の前後、或いは、原反から予め原反の状態で形成されていても良い。
【0032】
易剥離性テープ7が重なり部分に搬送、介在された後、ヒートバーによって、搬送方向に沿った縦シールと、横シールが行われる。縦シールは、上記した重合部4及び未溶着部8を形成するために行われ、中間領域の未溶着部8の両側に、溶着前に形成された孔10が位置するように行われる。また、横シールは、包装袋の両側3a,3bを形成するために行われる。さらに、上記した縦シールが行われた後、重合部4において、未溶着部8の部分で通蒸が可能となるように、上側の折り返し部22をカットする工程が行われる。このカット工程は、横シールが行われる前段階で行なっても良いし、その後で行っても良い。
【0033】
そして、シート部材3Sの両端縁26に沿って裏側の平坦面25をカットすることによって、搬送方向の両側に2枚の包装袋が同時に製袋される。製造された包装袋1は、底部3cが未溶着状態となっており、この部分から食品、調味料等が充填されて熱溶着が成され、電子レンジ用食品が完成する。
【0034】
上記したように製造される包装袋に収容物を収容し、これを電子レンジで加熱処理して収容部の内圧が高まった際に、易剥離性テープ7が介在された重合部4の未溶着部8の部分で通蒸がされる。この場合、易剥離性テープ7の位置で適切でないと、製造不具合が生じたり、安定した通蒸機能を発揮することができなくなるが、重合部4に形成した露出部(孔10)によって、介在されている易剥離性テープの一部を露出させることから、シート部材が光を透過しない素材で形成されていても、易剥離性テープの位置がずれていないかを容易に確認することが可能となる。このため、製造時に不具合が生じる可能性が低減され、安定した通蒸機能を備えた加熱処理包装袋が得られる。特に、本実施形態では、マーキングライン7aを形成し、これを一定距離離れた2つの孔10で露出させているため、位置ずれを容易に確認することが可能となる。
【0035】
また、上記した製造工程では、ヒートバーで重合部4を熱溶着した際、易剥離性テープ7の位置がずれていると、露出部(孔10)を通じて、その状態が直ちに目視できるため、易剥離性テープ7の介在位置を適正な位置に補正することで、製造時に不具合が生じることが抑制できるようになる。また、完成した包装袋についても、易剥離性テープが適正位置に溶着されているか否かを目視によって確認できるため、検品作業が容易に行なえるようになる。
【0036】
図4は、包装袋の第2の実施形態を示す図である。
上記した第1の実施形態では、易剥離性テープを露出させる露出部を孔で構成したが、図4に示すように、重合部4の縁4aに形成される切欠き10Aで構成することが可能である。切欠き10Aは、易剥離性テープ7を露出させる(好ましくは、マーキングライン7aを露出させる)ものであれば良く、図に示すように、略半円形状に切り欠かれている。このような切欠き10Aは、縁4aのいずれかの位置に形成することが可能であるが、縦シールを施す前記ヒートバーに形成された非溶着領域に対応させて形成することが好ましい。
【0037】
上述したように、ヒートバーの非溶着領域は、熱を加えない領域であり、重合部に未溶着部8(図1参照)を形成することから、この位置に切欠き10Aを形成しておくことで、露出した状態の易剥離性テープ7に熱が加えられることはない。すなわち、縦シール時に、易剥離性テープ7にヒートバーの加熱部が接触することはなく、熱が加わらないことから、露出した部分の易剥離性テープ7に皺が生じたり、溶けるようなことが無く、仕上がりが綺麗になり、位置ずれも確実に把握することが可能となる。また、そのような切欠き10Aは、未溶着部としての機能を発揮することから、第1実施形態と同様、通蒸部8aが形成される。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0039】
上記した構成において、シート部材については、収容する収容物の形態に応じて任意に設定することができる。シート部材は、光を透過しない素材であり、かつ、溶着可能な樹脂が製膜された構造であれば良く、その素材については、上記したものに限定されることはない。例えば、ガスバリア性、機械的強靭性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性などの機能を備えた層を備えた構成であっても良い。この場合、シート部材を、紙を基材として構成することで、環境に優しく加工し易いとともに、多様な原紙を選択して風合いを高めることが可能となる。
【0040】
また、包装袋については、三方体を例示して説明したが、側面にマチが形成されたガゼットタイプにしたり、底壁を備えた自立体にする等、適宜変形することが可能である。さらに、本体部に開封式のチャックを形成する等、ユーザが好みの食品を充填できるような包装袋としても良いし、通蒸が成される重合部については、合掌袋を背貼り部として構成する等、その形成位置については種々変更することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 加熱処理包装袋
3 本体部
3A,3B シート部材
4 重合部
7 易剥離性テープ
7a マーキングライン
10 孔(露出部)
10A 切欠き(露出部)
図1
図2
図3
図4