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  • 特許-車両用充電装置 図1
  • 特許-車両用充電装置 図2
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  • 特許-車両用充電装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221013BHJP
   B60L 53/00 20190101ALI20221013BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
B60L53/00
B60R16/02 610Z
H02J7/00 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018199747
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020068588
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元村 長人
(72)【発明者】
【氏名】青木 武志
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-197095(JP,A)
【文献】特開平11-041822(JP,A)
【文献】特開平11-018307(JP,A)
【文献】特開2018-029418(JP,A)
【文献】特開2011-066951(JP,A)
【文献】特開平09-063391(JP,A)
【文献】特開2014-216143(JP,A)
【文献】特開平3-257433(JP,A)
【文献】実開平6-048349(JP,U)
【文献】特開平7-314580(JP,A)
【文献】特開2002-025386(JP,A)
【文献】実開昭59-182829(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60R 16/02
B60L 50/40
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、該車両の充電池に接続された充電コネクタ(3)と、
上記充電コネクタ(3)を収容するコネクタ用開口(10a)を有する樹脂製のコネクタ収容部(10)と、
上記コネクタ収容部(10)を開閉可能に覆うリッド部(11)と、
上記コネクタ収容部(10)と該コネクタ収容部(10)の周辺部品との間をシールする第1エラストマー部(12)と、
樹脂製のハウジング(4c)を備え、上記コネクタ収容部(10)に取り付けられた電装品(4)とを有する車両用充電装置(1)であって、
上記電装品(4)は、押圧式のスイッチ(4a)を上記ハウジング(4c)内に有し、上記コネクタ収容部(10)における上記リッド部(11)と反対側の面に第2エラストマー部(13)を挟んだ状態で取り付けられ、
上記第1エラストマー部(12)及び上記第2エラストマー部(13)は、上記コネクタ収容部(10)に一体成形されており、
上記コネクタ収容部(10)における上記スイッチ(4a)に対応する部分には、スイッチ用開口部(10b)が形成され、
上記スイッチ用開口部(10b)は、上記第2エラストマー部(13)で全体が覆われており、該第2エラストマー部(13)によって上記スイッチ(4a)がシールされると共に、該第2エラストマー部(13)を介して該スイッチ(4a)が操作されるように構成され、
上記スイッチ用開口部(10b)の周縁が、上記コネクタ収容部(10)及び上記ハウジング(4c)によって上記第2エラストマー部(13)を挟んだ状態となっている
ことを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
請求項に記載の車両用充電装置において、
上記第1エラストマー部(12)は、少なくとも上記コネクタ収容部(10)の外周と上記充電コネクタ(3)が設けられた車両のボディパネル(2)との間をシールしており、
上記スイッチ(4a)は、上記充電コネクタ(3)を介する充電のためのオンオフスイッチである
ことを特徴とする車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる車両用充電装置に関し、特にその充電コネクタ周辺の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1のように、外部電源に接続した差込プラグが接続する通電コネクタ部を備えた壁部材と、この壁部材に設けられ、通電コネクタ部に光を照射する照明部と、この照明部を壁部材に接合及び固定する両面接着テープを有する接合部とを有する充電装置が知られている。この充電装置において、照明部は、光を発する発光部を備えた本体部と、壁部材を貫通するとともに発光部に通電する電気が流れるコネクタ部とを有し、壁部材と照明部の対向面の少なくとも一方が、コネクタ部が壁部材を貫通する貫通孔の外周に、他方に対して離反した段差部を有し、両面接着テープが圧縮した状態で段差部に配されるとともに、壁部材と照明部とが段差部の外周で密着している。これにより、光源と意匠カバーの止水性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-61188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用充電装置では、照明部が差込プラグを抜き差しする外面側に設けられているので、差込プラグ等が接触して壊れやすいという問題がある。
【0005】
また、内部の基板周辺に液体等が流れ込まないように、例えば両面接着テープなどの防水用の別部品を設けて防水する必要がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で、充電コネクタの周辺に設けた電装品とコネクタ収容部との間の振動を抑制すると共に、電装品を保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、コネクタ収容部と周辺部品との間をシールするエラストマー部と、電装品を保護するエラストマー部とをコネクタ収容部に一体成形した。
【0008】
具体的には、第1の発明では、車両に搭載され、該車両の充電池に接続された充電コネクタと、
上記充電コネクタを収容するコネクタ用開口を有する樹脂製のコネクタ収容部と、
上記コネクタ収容部を開閉可能に覆うリッド部と、
上記コネクタ収容部と該コネクタ収容部の周辺部品との間をシールする第1エラストマー部と、
上記コネクタ収容部に取り付けられた電装品とを有する車両用充電装置であって、
上記電装品は、上記コネクタ収容部における上記リッド部と反対側の面に第2エラストマー部を挟んだ状態で取り付けられ、
上記第1エラストマー部及び上記第2エラストマー部は、上記コネクタ収容部に一体成形されている。
【0009】
上記の構成によると、電装品が(閉じた状態の)リッド部と反対側の面に設けられているので、リッド部を開いて差込プラグを充電コネクタに接続する際などに電装品に接触することによる電装品の破損を防止できる。また、電装品を柔軟性の高い第2エラストマー部を介して樹脂製のコネクタ収容部に取り付けているので、車両の走行時などの振動による電装品の故障を防止することができる。さらに、コネクタ収容部と周辺部品との間をシールする第1エラストマー部と、コネクタ収容部と電装品との間に設ける第2エラストマー部とを一体成形できるので、部品点数が減ると共に、製造が容易となる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、
上記電装品には、スイッチが設けられ、
上記コネクタ収容部における上記スイッチに対応する部分には、スイッチ用開口部が形成され、
上記スイッチ用開口部は、上記第2エラストマー部で全体が覆われており、該第2エラストマー部によって上記スイッチがシールされると共に、該第2エラストマー部を介して該スイッチが操作されるように構成されている。
【0011】
上記の構成によると、第1エラストマー部と一体の第2エラストマー部がシール機能を有するので、別体のシール部材を設けてシールをする必要がない。また、第2エラストマー部がスイッチの操作部分(いわゆるスイッチラバー部)を構成するので、スイッチ部の耐久性が高まると共に、スイッチラバー部を別部品で構成する必要がない。
【0012】
第3の発明では、第2の発明において、
上記第1エラストマー部は、少なくとも上記コネクタ収容部の外周と上記充電コネクタが設けられた車両のボディパネルとの間をシールしており、
上記スイッチは、上記充電コネクタを介する充電のためのオンオフスイッチである。
【0013】
上記の構成によると、充電のオンオフスイッチの保護と、ボディパネルとコネクタ収容部との間のシール機能とをコネクタ収容部と一体成形したエラストマー部により確保できる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、コネクタ収容部とこのコネクタ収容部の周辺部品との間をシールする第1エラストマー部及びコネクタ収容部におけるリッド部と反対側の面と電装品との間に介在させる第2エラストマー部を、コネクタ収容部に一体成形したことにより、簡単な構成で、コネクタ収容部に設ける電装品を保護すると共に、コネクタ収容部のシール性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図2のI-I線拡大端面図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用充電装置におけるコネクタ収容部及びその周辺を正面側から見た斜視図である。
図3】電装品が未装着のコネクタ収容部及びその周辺を背面側から見た斜視図である。
図4】電装品を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1図3は、本発明の実施形態の車両用充電装置1(全体の詳細は図示省略)を示し、この車両用充電装置1は、例えば車両(全体は図示省略)側方のボディパネル2(図1にのみ示す)に搭載され、車両の充電池(図示せず)に接続された充電コネクタ3を備えている。充電コネクタ3は、図示しない充電ステーションなどの差込プラグが挿入されて充電池に充電を開始できるようになっている。なお、充電コネクタ3が設けられる位置は、車体のどの部分でもよい。
【0018】
この充電コネクタ3は、コネクタ収容部10の略円形のコネクタ用開口10a内に収容されている。充電コネクタ3は、図2のように1種類の充電コネクタ3のみが設けられていてもよいし、特許文献1のように2種類の充電コネクタ3が並べて設けられていてもよい。
【0019】
コネクタ収容部10のコネクタ用開口10aから所定距離だけ離れた位置には、電装品4が設けられている。この電装品4は、例えば、図1及び図4に拡大して示すように、押圧式のスイッチ4aが設けられた基板4dを内蔵しており、例えば、ポリプロピレン樹脂成形品のアッパーハウジング4cとロアハウジング4eとで覆われている。上記ロアハウジング4eには、上記コネクタ収容部10の裏面側に取り付けるための取付孔4gが形成されている。また、コネクタ収容部10におけるスイッチ4aに対応する部分には、例えば、円形のスイッチ用開口部10bが形成されている。
【0020】
図2に示すように、スイッチ4aは、例えば、充電コネクタ3を介する充電のオンオフスイッチである。
【0021】
電装品4は、さらにLEDライト4bも備えている。例えばこのLEDライト4bは、コネクタ収容部10に設けた略矩形状のLED用開口部10cから露出し、充電コネクタ3及びその周辺を照らすように構成されている。
【0022】
また、電装品4はインジケーター4fも備えており、このインジケーター4fは、コネクタ収容部10に設けた円形のインジケーター用開口部10dから露出し、照射される光の色によって充電状況を確認することができる。
【0023】
コネクタ収容部10は、例えば、ガラス繊維入りのポリプロピレン等の樹脂成形品で成形されている。コネクタ収容部10は、後述するエラストマー部材と二色成形可能な樹脂製であれば、特に材料は限定されない。コネクタ収容部10の一端側には、このコネクタ収容部10を開閉可能に覆うリッド部11(図1に2点鎖線で示す)が、ヒンジ部11aを介して設けられている。
【0024】
そして、このコネクタ収容部10には、コネクタ収容部10と、このコネクタ収容部10の周辺部品であるボディパネル2との間をシールする第1エラストマー部12が一体成形されている。例えば、この第1エラストマー部12は、エチレンプロピレンゴムよりなり、コネクタ収容部10と二色成形されている。コネクタ収容部10は、図1に示すように、第1エラストマー部12を当接させるようにしてボディパネル2の収容部用開口部2aに固定されている。第1エラストマー部12は、コネクタ収容部10の外周と収容部用開口部2aとの間をシールと共に、コネクタ用開口10aの周縁と充電コネクタ3との間をシールするように構成されている。さらに、第1エラストマー部12がリッド部11側に延出してリッド部11裏面に当接することで、ボディパネル2とリッド部11との隙間から侵入した水が内側(充電コネクタ3側)に入らないようにシールする構成となっている。
【0025】
また、コネクタ収容部10の裏面側には上記電装品4を取り付けるための取付ボス10eが形成されている。
【0026】
そして、上記電装品4は、コネクタ収容部10におけるリッド部11と反対側の面(車体の外側面)に第2エラストマー部13を挟んだ状態で上記コネクタ収容部10の取付ボス10eに電装品4の取付孔4gを対応させ、図示しないタッピングスクリューにて固定されている。そして、この第2エラストマー部13は、第1エラストマー部12と共に、コネクタ収容部10に一体成形されている。なお、図1では、見やすいように第1エラストマー部12と第2エラストマー部13とは異なるハッチングで描いているが、同じ一体の素材でできている。また、図2及び図3では、見やすいようにドットパターンを加えている。具体的には、例えば、第1エラストマー注入ゲート14からエチレンプロピレンゴムが注入されて外周の第1エラストマー部12、リッド部11の裏面当接部の第1エラストマー部12及び第2エラストマー部13と共に一体成形される。また、第2エラストマー注入ゲート15からコネクタ用開口10aの周縁の第1エラストマー部12が一体成形される。なお、コネクタ収容部10の一次成形時には、リッド部11の裏面当接部の第1エラストマー部12が背面側から正面側に抜けるような貫通孔10fがリッド部11の裏面当接部の第1エラストマー部12の対応箇所に複数設けられている。
【0027】
本実施形態では、例えば、スイッチ用開口部10bは、第2エラストマー部13で全体が覆われており、この第2エラストマー部13によってスイッチ4aがシールされると共に、第2エラストマー部13を介してスイッチ4aが操作されるように構成されている。また、上記LED用開口部10c及びインジケーター用開口部10dの周辺も第2エラストマー部13で覆われて防水及び防振されている。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、電装品4がリッド部11と反対側の面に設けられているので、リッド部11を開いて差込プラグを充電コネクタ3に接続する際などに電装品4に接触することによる電装品4の破損を防止できる。
【0029】
また、電装品4を柔軟性の高い第2エラストマー部13を介して樹脂製のコネクタ収容部10に取り付けているので、車両の走行時などの振動による電装品4の故障を防止することができる。
【0030】
さらに、コネクタ収容部10と周辺部品との間をシールする第1エラストマー部12と、コネクタ収容部10と電装品4との間に設ける第2エラストマー部13とを一体成形できるので、部品点数が減ると共に、製造が容易となる。
【0031】
また本実施形態では、第1エラストマー部12と一体の第2エラストマー部13がシール機能を有するので、別体のシール部材を設けてシールをする必要がない。
【0032】
また、第2エラストマー部13がスイッチ4aの操作部分(いわゆるスイッチラバー部)を構成するので、スイッチ4a部の耐久性が高まると共に、スイッチラバー部を別部品で構成する必要がない。
【0033】
さらに本実施形態では、充電コネクタ3とコネクタ収容部10との間、ボディパネル2とコネクタ収容部10との間及びコネクタ収容部10とリッド部11裏面との間が第1エラストマー部12により、シール機能が確保される。
【0034】
したがって、本実施形態に係る車両用充電装置1によると、簡単な構成で、コネクタ収容部10に設ける電装品4を保護すると共に、コネクタ収容部10のシール性能を確保することができる。
【0035】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0036】
すなわち、上記実施形態では、第2エラストマー部13は、ボディパネル2とコネクタ収容部10との間及びコネクタ収容部10とリッド部11裏面との間をシールする第1エラストマー部12と連続してコネクタ収容部10に一体成形されているが、周辺部品としての充電コネクタ3との間をシールする第1エラストマー部12と連続してコネクタ収容部10に一体成形されていてもよい。例えば、上記実施形態では、第1エラストマー注入ゲート14と第2エラストマー注入ゲート15の2つのゲートを設けたが、1つの注入ゲートのみを設ける場合には、全領域の第1エラストマー部12及び第2エラストマー部13が1つのゲートで一体成形される。このため、第2エラストマー部13がどの部位の第1エラストマー部12と連続しているかは重要ではない。
【0037】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 車両用充電装置
2 ボディパネル(周辺部品)
2a 収容部用開口部
3 充電コネクタ(周辺部品)
4 電装品
4a スイッチ
4b LEDライト
4c アッパーハウジング
4d 基板
4e ロアハウジング
4f インジケーター
4g 取付孔
10 コネクタ収容部
10a コネクタ用開口
10b スイッチ用開口部
10c LED用開口部
10d インジケーター用開口部
10e 取付ボス
10f 貫通孔
11 リッド部
11a ヒンジ部
12 第1エラストマー部
13 第2エラストマー部
14 第1エラストマー注入ゲート
15 第2エラストマー注入ゲート
図1
図2
図3
図4