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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】筒型リニアモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20221013BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H02K5/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018201763
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020068625
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】柿内 隆司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】金子 慶久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩介
(72)【発明者】
【氏名】袴田 眞一郎
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-210048(JP,A)
【文献】特開2014-167320(JP,A)
【文献】特表2016-515799(JP,A)
【文献】特開2013-029159(JP,A)
【文献】特開2005-210837(JP,A)
【文献】特開2008-252996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
H02K 41/02
H02K 5/22
F16F 15/03
B60G 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッドと、
筒状であって前記ロッドの外周に装着されるコアと、前記コアの外周に設けられたスロットに装着される巻線とを有する電機子と、
前記ロッドの外周を覆うとともに前記ロッドとの間に環状の空隙を形成するカバーと、
筒状であって内方に前記ロッド、前記カバーおよび前記電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、
前記空隙に収容されるとともに一端が前記カバーから外部へ導出されるとともに他端が前記巻線に接続されるリード線とを備え
前記巻線は、U相巻線、V相巻線およびW相巻線を有し、
前記リード線は、前記U相巻線に接続されるU相リード線、前記V相巻線に接続されるV相リード線および前記W相巻線に接続されるW相リード線を有し、
前記カバーは、前記U相リード線、前記V相リード線および前記W相リード線をそれぞれ個別独立して導出する三つの導出孔を有する
ことを特徴とする筒型リニアモータ。
【請求項2】
ロッドと、
筒状であって前記ロッドの外周に装着されるコアと、前記コアの外周に設けられたスロットに装着されるU相巻線、V相巻線およびW相巻線とを有する電機子と、
前記ロッドの外周を覆うとともに前記ロッドとの間に環状の空隙を形成するカバーと、
筒状であって内方に前記ロッド、前記カバーおよび前記電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、
前記空隙に収容されるとともに一端が前記カバーから外部へ導出されるとともに他端が前記U相巻線に接続されるU相リード線と、
前記空隙に収容されるとともに一端が前記カバーから外部へ導出されるとともに他端が前記V相巻線に接続されるV相リード線と、
前記空隙に収容されるとともに一端が前記カバーから外部へ導出されるとともに他端が前記W相巻線に接続されるW相リード線と、
前記空隙内に収容され、前記U相巻線と前記U相リード線とを接続するU相接続部と、前記V相巻線と前記V相リード線とを接続するV相接続部と、前記W相巻線と前記W相リード線とを接続するW相接続部とを有する環状或いは円弧状の中継台を備え、
前記U相接続部、前記V相接続部および前記W相接続部は、互いに前記中継台の周方向に離間した位置に設けられている
ことを特徴とする筒型リニアモータ。
【請求項3】
ロッドと、
筒状であって前記ロッドの外周に装着されるコアと、前記コアの外周に設けられたスロットに装着される巻線とを有する電機子と、
前記ロッドの外周を覆うとともに前記ロッドとの間に環状の空隙を形成するカバーと、
筒状であって内方に前記ロッド、前記カバーおよび前記電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、
前記空隙に収容されるとともに一端が前記カバーから外部へ導出されるとともに他端が前記巻線に接続されるリード線と、
前記ロッドの外周であって前記電機子よりも基端側に設けられるカバー保持部材とを備え、
前記カバーは、前記ロッドの外周に設けた環状のカバーエンドと、筒状であって一端が前記カバーエンドの外周に嵌合されるともに他端が前記カバー保持部材の外周に装着される弾性体に嵌合されるカバー筒とを有する
ことを特徴とする筒型リニアモータ。
【請求項4】
前記ロッドの外周であって前記電機子よりも基端側に設けられるカバー保持部材を備え、
前記カバーは、前記ロッドの外周に設けた環状のカバーエンドと、筒状であって一端がカバーエンドの外周に嵌合されるともに他端が前記カバー保持部材の外周に装着される弾性体に嵌合されるカバー筒とを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の筒型リニアモータ。
【請求項5】
前記界磁の内周に設けた非磁性体のインナーチューブと、
前記ロッドの前記コアの軸方向両側に設けられて前記インナーチューブの内周に摺接する複数の環状のスライダとを有し、
前記スライダのうち前記ロッドの最も基端側に配置されるスライダは、前記ロッドの基端側に外径が小径であって前記弾性体が装着される小径部を有し、
前記小径部を前記カバー保持部材とした
ことを特徴とする請求項3または4に記載の筒型リニアモータ。
【請求項6】
前記カバー筒は、前記空隙と前記インナーチューブ内とを連通する通気孔を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の筒型リニアモータ。
【請求項7】
前記弾性体は、環状であって前記カバー保持部材と前記カバー筒との間をシールするシールリングである
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の筒型リニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒型リニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
筒型リニアモータは、たとえば、外筒の内周に軸方向にS極とN極とが交互に並ぶように収容される複数の永久磁石を有する界磁と、界磁の内周に移動自在に挿入される筒状のロッドとロッドの外周に装着されるU相、V相およびW相の三相の巻線とを有する電機子とを備えるものがある。
【0003】
このように構成された筒型リニアモータでは、巻線は同相同士で直列に接続されており、各相の巻線の一端がそれぞれリード線に接続される。そして、各相巻線にそれぞれ接続された三つのリード線は、電機子とロッドとの間の隙間を介して電機子の上方へ引き出されて外部電源に接続される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-29159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の筒型リニアモータは、狭いロッド内を通してリード線を外部へ引き出す構造を採用しているため、配線作業が非常に難しく組立が面倒であるという問題を有している。
【0006】
そこで、本発明は、配線作業が容易で簡単に組立できる筒型リニアモータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の筒型リニアモータは、ロッドと、筒状であってロッドの外周に装着されるコアとコアの外周に設けられたスロットに装着される巻線とを有する電機子と、ロッドの外周を覆うとともにロッドとの間に環状の空隙を形成するカバーと、筒状であって内方にロッド、カバーおよび電機子が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁と、空隙に収容されるとともに一端がカバーから外部へ導出されるとともに他端が巻線に接続されるリード線とを備えている。このように構成された筒型リニアモータでは、カバーのロッドへの装着前にロッドの外側にて各相のリード線と各相の巻線との接続作業を行え、接続作業の終了後にカバーをロッドに装着できる。
【0008】
また、筒型リニアモータは、巻線がU相巻線、V相巻線およびW相巻線を備え、リード線がU相巻線に接続されるU相リード線、V相巻線に接続されるV相リード線およびW相巻線に接続されるW相リード線を備え、カバーがU相リード線、V相リード線およびW相リード線をそれぞれ個別独立して導出する三つの導出孔を備えてもよい。このように構成された筒型リニアモータでは、U相リード線、V相リード線およびW相リード線をそれぞれ対応する導出孔から独立して外方へ導出させるので、U相リード線、V相リード線およびW相リード線を離間させ得る。よって、このように構成された筒型リニアモータによれば、各相の巻線の相間の良好な絶縁性を実現できる。
【0009】
さらに、筒型リニアモータは、空隙内に収容され、U相巻線とU相リード線とを接続するU相接続部と、V相巻線とV相リード線とを接続するV相接続部と、W相巻線とW相リード線とを接続するW相接続部とを有する環状或いは円弧状の中継台を備え、U相接続部、V相接続部およびW相接続部が互いに中継台の周方向に離間した位置に設けられてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、各相の巻線と各相のリード線を空隙内で互いに離間した位置に配置できるので、各相の巻線の相間の良好な絶縁性を実現できる。
【0010】
また、本実施の形態の筒型リニアモータは、ロッドの外周であって電機子よりも基端側に設けられるカバー保持部材を備え、カバーがロッドの外周に設けた環状のカバーエンドと、筒状であって一端がカバーエンドの外周に嵌合されるともに他端がカバー保持部材の外周に装着される弾性体に嵌合されるカバー筒とを備えている。このように構成された筒型リニアモータによれば、ロッドに対して偏心や傾きが許容されるので、ロッドが撓んでもカバーがヘッドキャップに強く押し付けられることがなく、円滑に伸縮できる。
【0011】
そしてさらに、本実施の形態の筒型リニアモータは、界磁の内周に設けた非磁性体のインナーチューブと、ロッドのコアの軸方向両側に設けられてインナーチューブの内周に摺接する複数の環状のスライダとを有し、スライダのうちロッドの最も基端側に配置されるスライダがロッドの基端側に外径が小径であって弾性体が装着される小径部を有し、小径部をカバー保持部材としてもよい。このように構成された筒型リニアモータによれば、別途カバー保持部材を設けずに済み、部品点数が削減しつつカバーのロッドへの取付を可能とするとともに電機子の界磁に対する偏心を防止できる。
【0012】
また、筒型リニアモータは、カバー筒が空隙とインナーチューブ内とを連通する通気孔を備えてもよい。このように構成された筒型リニアモータよれば、筒型リニアモータの伸縮作動によって拡縮されるインナーチューブ内のスライダよりも左方側の部屋が常に空隙に連通されるので、前記部屋の圧力変動が緩和され筒型リニアモータが円滑に伸縮できる。
【0013】
さらに、筒型リニアモータは、弾性体を環状であってカバー保持部材とカバー筒との間をシールするシールリングとしてもよく、インナーチューブ内あるいは電機子へ水や埃の侵入を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の筒型リニアモータによれば、配線作業が容易で簡単に組立できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態における筒型リニアモータの縦断面図である。
図2】一実施の形態における筒型リニアモータのカバー筒の断面図である。
図3】一実施の形態における筒型リニアモータの中継台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における筒型リニアモータ1は、図1に示すように、ロッド11と、筒状であってロッド11の外周に装着されるコア3と、コア3の外周に設けられたスロット4に装着される巻線5とを有する電機子2と、ロッド11の外周を覆うとともにロッド11との間に環状の空隙Gを形成するカバー17と、筒状であって内方にロッド11、カバー17および電機子2が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、空隙Gに収容されるとともに一端がカバー17外へ導出されるとともに他端が巻線5に接続されるリード線Lとを備えて構成されている。
【0017】
以下、筒型リニアモータ1の各部について詳細に説明する。電機子2は、コア3と巻線5とを備えて構成されている。コア3は、円筒状のコア本体3aと、環状であってコア本体3aの外周に軸方向に間隔を空けて設けられる複数のティース3bとを備えて構成されて可動子とされている。
【0018】
コア3は、前述の通り筒状であって、図1に示すように、コア本体3aの外周に軸方向に等間隔に並べて設けられた10個のティース3bを備えており、ティース3b,3b間には、巻線5が装着される空隙でなるスロット4が形成されている。また、各ティース3bは、環状であって、コア3の両端に配置されたティース3bを除いて、軸方向において内周端の幅より外周端の幅が狭い等脚台形状とされており、軸方向で両側の側面が外周端に対して等角度で傾斜するテーパ面とされている。なお、末端のティース3bは、末端のティース3b以外の他のティース3bをコア3の軸線に直交する面で半分に切り落とした断面形状とされている。このように、各ティース3bの断面形状は、内周端の幅より外周端の幅が狭い台形状とされている。
【0019】
また、本実施の形態では、図1中で隣り合うティース3b,3b同士の間には、空隙でなるスロット4が合計で9個設けられている。そして、このスロット4には、巻線5が巻き回されて装着されている。巻線5は、U相巻線5u、V相巻線5vおよびW相巻線5wの三相の巻線で構成されている。9個のスロット4には、図1中左側から順に、W相巻線5w、W相巻線5w、W相巻線5wおよびV相巻線5v、V相巻線5v、V相巻線5v、V相巻線5vおよびU相巻線5u、U相巻線5u、U相巻線5u、U相巻線5uおよびW相巻線5wが装着されている。そして、U相巻線5u、V相巻線5vおよびW相巻線5wは、それぞれ、相毎に直列に接続されており、各相巻線5u,5v,5wの一端が結線されるとともに、他端はコア3の図1中左方へ引き出されている。
【0020】
リード線Lは、U相リード線Luと、V相リード線Lvと、W相リード線Lwの三つのリード線Lu,Lv,Lwで構成されており、各リード線Lu,Lv,Lwは、それぞれ対応する各相巻線5u,5v,5wの他端に中継台27を介して接続されている。
【0021】
そして、電機子2は、出力軸である非磁性体で形成されたロッド11の先端の外周に装着されている。ロッド11は、筒状の第一ロッド20と、筒状であって外周にコア3が装着されるとともに第一ロッド20の内周に螺合される第二ロッド21とを備えている。
【0022】
第一ロッド20は、筒状であって図1中左端外周と図1中右端内周にそれぞれ螺子部22a,22bを有するロッド本体22と、筒型リニアモータ1を機器へ取り付けるブラケット23aを有してロッド本体22の図1中左端の螺子部22aに螺着されてロッド本体22の左端を閉塞するエンドキャップ23とを備えている。
【0023】
また、ロッド本体22の図1中右端外周には、環状のスライダ25が嵌合されている。スライダ25は、後述するインナーチューブ9の内周に摺接する摺接部25aと、摺接部25aの図1中左方側であるロッド11の基端側に設けられた外径が摺接部25aよりも小径な小径部25bと、小径部25bの外周に周方向に沿って設けられた環状溝25cと、図1中右端内周に設けられたフランジ25dとを備えている。そして、スライダ25の環状溝25cには、弾性体としてのゴム製のシールリング26が装着されている。また、フランジ25dの内径は、ロッド本体22の内径以上であってロッド本体22の外径以下となっており、スライダ25をロッド本体22に嵌合するとフランジ25dがロッド本体22の図1中右端面に当接する。
【0024】
第二ロッド21は、外周にコア3が装着される筒状のコア保持筒21aと、コア保持筒21aの図1中右端となる先端の外周に設けられる環状のスライダ21bとを備えている。また、コア保持筒21aの図1中左端となる基端の外周には、螺子部21cが設けられており、コア保持筒21aの基端側内周には内径が他の部位よりも大きな内径大径部21dが設けられている。そして、コア保持筒21aの基端を第一ロッド20におけるロッド本体22の図1中右端の内周に挿入しつつ螺子部21cを螺子部22bに捩じ込むと、第一ロッド20と第二ロッド21とが連結される。このようにロッド11は、本実施の形態では、第一ロッド20と第二ロッド21とで構成されて筒状とされている。
【0025】
また、第二ロッド21におけるコア保持筒21aの外周には、コア3が嵌合されて装着されている。コア保持筒21aの外径は、第一ロッド20におけるロッド本体22の外径よりも小径となっているので、スライダ25を装着した第一ロッド20に電機子2を装着した第二ロッド21を前記した要領で連結すると、電機子2およびスライダ25が第一ロッド20の図1中右端と第二ロッド21のスライダ21bとで挟み込まれて固定される。このようにロッド11に電機子2を装着すると、コア3がスライダ21bおよびスライダ25に挟まれる格好でロッド11に固定される。なお、本実施の形態では、電機子2は、単一のコア3のみを有して構成されているが、コギング推力の軽減等のために複数のコア3を持つ構成とされてもよい。
【0026】
つづいて、カバー17は、ロッド11の外周を覆って空隙Gを形成している。具体的には、カバー17は、ロッド11の外周に設けた環状のカバーエンド18と、筒状であって一端がカバーエンド18の外周に嵌合されるともに他端がスライダ25の小径部25bの外周に装着される弾性体としてのシールリング26に嵌合されるカバー筒19とを備えている。
【0027】
カバーエンド18は、ロッド11の基端近傍時の外周に固定されており、ロッド本体22の螺子部22aに螺着される筒状のナット部18aと、ナット部18aの図1中左端に設けられたフランジ18bとを備えて構成されている。
【0028】
カバー筒19は、筒状であって、一端である図1中左端に他部よりも肉が厚く内径が小径の嵌合部19aを備えるほか、図2に示すように、嵌合部19aに対して周方向に間隔を空けて設けられて嵌合部19aを貫く三つの導出孔19bとを備えている。なお、三つの導出孔19bは、本実施の形態ではカバー筒19に対して周方向に等間隔で設けられている。また、カバー筒19は、電機子側端である図1中右端に常にインナーチューブ9内に連通される通気孔19cを備えている。
【0029】
そして、カバー筒19の嵌合部19aは、カバーエンド18のナット部18aに嵌合されている。具体的には、嵌合部19aは、ナット部18aにすきまばめにより嵌合されており、カバー筒19のカバーエンド18に対する若干の傾きと径方向へのガタが許容されている。また、カバー筒19の他端である図1中右端は、スライダ25の小径部25bの外周に装着されたシールリング26の外周に嵌合される。カバー筒19は、カバーエンド18とスライダ25によって、挟まれており、軸方向の移動は拘束されているが、カバーエンド18にたいするすきまばめと弾性体であるシールリング26への嵌合によりロッド11に対して偏心や傾きが許容されている。また、スライダ25における小径部25bは、カバー筒19をロッド11に取り付ける際にカバー筒19を保持する役割を担っており、カバー保持部材を構成している。なお、弾性体は、弾性を備えて小径部(カバー保持部材)25bに対するカバー筒19の偏心を許容できればよいのでシールリング26に限られず、カバー筒19と小径部(カバー保持部材)25bとの間のシールの必要がなければ小径部(カバー保持部材)25bの全周を取り囲む環状とされなくともよい。
【0030】
中継台27は、ロッド11の外周であってカバーエンド18とスライダ25との間に装着されており、カバー17とロッド11との間の空隙Gに収容されている。中継台27は、本実施の形態では、環状とされており、図3に示すように、U相接続部27uと、V相接続部27vと、W相接続部27wとを備えている。そして、U相接続部27u、V相接続部27vおよびW相接続部27wは、中継台27に対して、周方向に間隔を空けて設けられている。本実施の形態では、U相接続部27u、V相接続部27vおよびW相接続部27wは、中継台27に対して、周方向に等間隔で設けられている。
【0031】
図1および図3に示すように、コア3のスロット4から引き出されたU相巻線5uの一端には、メガネ端子5u1が設けられており、相手方のU相リード線Luの一端にもメガネ端子Lu1が設けられている。そして、互いに中継台27のU相接続部27uに重ねられたメガネ端子5u1,Lu1内に挿通された螺子27aのU相接続部27uへの螺着によって、U相巻線5uとU相リード線Luとが接続される。V相巻線5vおよびW相巻線5wの一端と、V相リード線LvおよびW相リード線Lwの一端にも、U相巻線5uおよびU相リード線Luと同様にメガネ端子が設けられている。そして、V相巻線5vとV相リード線Lv、W相巻線5vとW相リード線Lwは、U相巻線5uおよびU相リード線Luと同様にしてそれぞれ中継台27のV相接続部27vおよびW相接続部27wに固定されて接続される。
【0032】
各相のリード線Lu,Lv,Lwを各相の巻線5u,5v,5wへの接続は、ロッド11の外側にて行えるとともに、接続作業の終了後に、カバー17をロッド11に装着してリード線Lをカバー17内に収容すればよい。よって、本実施の形態の筒型リニアモータ1の配線作業をロッド11の外側で行えるため、配線作業が非常に簡単となり、筒型リニアモータ1の組立も容易となる。
【0033】
また、中継台27がカバー17とロッド11との間の空隙G内に収容されており、中継台27が環状であって、U相巻線5uとU相リード線Luとを接続するU相接続部27uと、V相巻線5vとV相リード線Lvとを接続するV相接続部27vと、W相巻線5wとW相リード線Lwとを接続するW相接続部27wとが中継台27の周方向の離間した位置にそれぞれ設けられているので、各相の巻線5u,5v,5wの相間の良好な絶縁性を実現できる。なお、中継台27は、環状であると、U相接続部27u、V相接続部27vおよびW相接続部27wを周上に等間隔に配置すれば各接続部27u,27v,27wを互いに最も離間させ得て絶縁性の点で有利となるが、円弧状とされてもよい。
【0034】
U相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwは、ロッド11とカバー17との間の空隙G内に収容されて、これらの他端は、それぞれ一つずつ個別独立して各導出孔19bを通じて外部へ導出されて、図示しない外部の駆動回路に接続される。よって、筒型リニアモータ1は、駆動回路から各相のリード線Lu,Lv,Lwを介して各相の巻線5u,5v,5wに電流供給を受けて駆動される。
【0035】
このように、U相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwは、カバー17に設けられた三つの導出孔19bからそれぞれ個別に独立してカバー17の外へ導出されるので、この点でも、各相の巻線5u,5v,5wの相間の良好な絶縁性を実現できる。
【0036】
つづいて、本実施の形態では、界磁6は、筒状の積層磁石体Mと、積層磁石体Mの外周に装着される円筒状の磁性体で形成されるバックヨーク8とを備えて構成されており、円筒状の非磁性体で形成されるアウターチューブ7と、アウターチューブ7内に挿入される円筒状の非磁性体のインナーチューブ9との間の環状隙間内に収容されている。また、アウターチューブ7の開口端には、ロッド11が内周に挿通される環状のヘッドキャップ15が装着されており、インナーチューブ9がヘッドキャップ15に一体に設けられている。
【0037】
積層磁石体Mは、筒状のバックヨーク8の内周に軸方向に交互に積層されて挿入される複数の環状の主磁極となる永久磁石10aと複数の環状の副磁極となる永久磁石10bとを備えて構成されている。なお、図1中で主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bに記載されている三角の印は、着磁方向を示しており、主磁極の永久磁石10aの着磁方向は径方向となっており、副磁極の永久磁石10bの着磁方向は軸方向となっている。主磁極の永久磁石10aと副磁極の永久磁石10bは、ハルバッハ配列で配置されており、界磁6の内周側では、軸方向にS極とN極が交互に現れるように配置されている。
【0038】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さは、副磁極の永久磁石10bの軸方向長さよりも長くなっている。このように、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さを長くすればコア3との間の主磁極の永久磁石10aとの間の磁気抵抗を小さくできコア3へ作用させる磁界を大きくできるので筒型リニアモータ1の推力を向上できる。
【0039】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、永久磁石10a,10bの外周にバックヨーク8を設けている。バックヨーク8を設けると磁気抵抗の低い磁路を確保できるので副磁極の永久磁石10bの軸方向長さの短縮に起因する磁気抵抗の増大が抑制される。よって、主磁極の永久磁石10aの軸方向長さを副磁極の永久磁石10bの軸方向長さよりも長くするとともに永久磁石10a,10bの外周に筒状のバックヨーク8を設けると筒型リニアモータ1の推力を大きく向上させ得る。バックヨーク8の肉厚は、主磁極の永久磁石10aの外部磁気抵抗の増大を抑制に適する肉厚に設定されればよい。
【0040】
また、界磁6の内周側には、電機子2が軸方向移動自在に挿入されており、界磁6は、コア3に磁界を作用させている。なお、界磁6は、コア3の可動範囲に対して磁界を作用させればよいので、コア3の可動範囲に応じて永久磁石10a,10bの設置範囲を決定すればよい。したがって、アウターチューブ7とインナーチューブ9との環状隙間のうち、コア3に対向し得ない範囲には、永久磁石10a,10bを設置しなくともよい。なお、バックヨーク8の長さは、永久磁石10a,10bを積層した長さと等しい長さとされており、永久磁石10a,10bがコア3のストローク範囲外に磁界を作用させて推力低下を招かないように配慮されている。
【0041】
また、アウターチューブ7は、図1中右端側が縮径されていて底部7aが設けられており、底部7aの右端に筒型リニアモータ1の機器への取り付けを可能とするブラケット7bを備えている。
【0042】
さらに、ヘッドキャップ15とインナーチューブ9とは、図1に示すように、非磁性体であって一体成型されており、ヘッドキャップ15の図1中右端からインナーチューブ9が右方へ突出している。そして、インナーチューブ9の外周に界磁6が軸方向移動不能に装着されている。具体的には、インナーチューブ9の外周には、図1中左から環状のスペーサ40、界磁6、環状のストッパ41が順に嵌合されていて、ヘッドキャップ15をアウターチューブ7に螺子締結すると、スペーサ40、界磁6およびストッパ41がヘッドキャップ15とアウターチューブ7の底部7aとで挟持され、界磁6がインナーチューブ9の外周に固定される。なお、界磁6の外周に装着されるバックヨーク8は、界磁6の磁力によって界磁6に拘束されるのでアウターチューブ7内で移動しない。
【0043】
なお、ヘッドキャップ15の内周には、第一ロッド20の外周を覆うカバー17の外周に摺接する環状のシール部材28が設けられており、筒型リニアモータ1内への塵や水などの侵入が防止されている。
【0044】
そして、インナーチューブ9内には、電機子2が装着されたロッド11が軸方向移動自在に挿入され、インナーチューブ9の内周にスライダ21b,25が摺接して、電機子2の軸方向の移動が案内される。
【0045】
インナーチューブ9は、コア3の外周と各永久磁石10a,10bの内周との間のギャップを形成するとともに、スライダ21b,25と協働してコア3の軸方向移動を案内する役割を果たしている。なお、本実施の形態では、電機子2は、単一のコア3のみを有して構成されているが、複数のコア3を持つ場合、電機子2の軸方向両端だけでなくコア3,3間にもインナーチューブ9の内周に摺接するスライダを設けてもよい。
【0046】
さらに、アウターチューブ7の底部7aの内周には、ガイドロッド16が取り付けられている。ガイドロッド16は、底部7aの内周に固定される基端部16aと、基端部16aからロッド11側へ延びてロッド11内に摺動自在に挿入されるガイド部16bとを備えており、筒型リニアモータ1が伸縮しても常にロッド11の内周に摺接している。より詳細には、ガイドロッド16のガイド部16bは、第二ロッド21の内径大径部21dよりも先端側に摺動自在に挿入されている。
【0047】
このように本実施の形態における筒型リニアモータ1では、ガイドロッド16がロッド11の内周に摺接し、スライダ21b,25がインナーチューブ9に摺接しているので、電機子2はロッド11とともに界磁6に対して偏心せずに軸方向へスムーズに移動できる。
【0048】
また、このように構成された筒型リニアモータ1では、電機子2の軸方向移動をガイドして界磁6に対する電機子2の偏心を防止するインナーチューブ9がヘッドキャップ15と一体構造になっているので、インナーチューブ9とヘッドキャップ15に歪が生じにくくスライダ21b,25がインナーチューブ9の内周を滑らかに摺動でき、スムーズに伸縮できる。
【0049】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、ロッド11内にストロークセンサSを収容している。ストロークセンサSは、本実施の形態では、線形可変差動変圧器とされており、詳しくは図示しないが、プライマリコイルと二つのセカンダリコイルとを収容した筒状のセンサ本体30と、センサ本体30内に軸方向へ移動可能に挿入されるとともに先端に被検出子であるセンサ用コア31を有するプローブ32とを備えて構成されている。なお、線形可変差動変圧器は、プライマリコイルへ交流電圧を印加した際に誘導される二つのセカンダリコイルの誘導電圧の差からセンサ用コア31の位置を検知する。
【0050】
センサ本体30を予め第一ロッド20内に挿入しておき、スライダ25を第一ロッド20の端部に嵌合して、第二ロッド21を第一ロッド20に螺着すると、センサ本体30は、第二ロッド21における内径大径部21dの右端に形成される段部と第一ロッド20のエンドキャップ23とで挟持されて第一ロッド20内に固定される。このように、センサ本体30は、外周に電機子2が装着されない第一ロッド20内に収容されており、ロッド11の径方向で電機子2と対向しない範囲に収容されている。
【0051】
また、ストロークセンサSにおけるプローブ32は、ロッド状であってガイドロッド16におけるガイド部16bの先端に取り付けられている。よって、被検出子としてのセンサ用コア31は、プローブ32、ガイドロッド16およびアウターチューブ7を介して界磁6に対して固定的に連結されている。プローブ32は、前述したとおり、先端にセンサ用コア31を備えていて、先端側をセンサ本体30内に挿入している。よって、電機子2が界磁6に対して軸方向へ移動するのに伴ってプローブ32がセンサ本体30に対して軸方向へ相対移動して、センサ用コア31がセンサ本体30内で移動する。
【0052】
センサ本体30を収容するロッド11内にはプローブ32を保持するガイドロッド16が摺動自在に挿入されているので、センサ本体30に対するセンサ用コア31の径方向への偏心が防止される。なお、センサ本体30のプライマリコイルへの通電用の配線およびセカンダリコイルに接続される配線は、図示はしないがエンドキャップ23に設けた孔から外部へ引き出されて図外のコントローラに接続される。
【0053】
そして、図外のコントローラは、ロッド11の界磁6に対する位置をストロークセンサSで検知し、コア3の界磁6に対する電気角を把握して通電位相切換を行うとともにPWM制御により、各巻線5の電流量を制御して、筒型リニアモータ1における推力と電機子2の移動方向とを制御する。なお、前述のコントローラにおける制御方法は、一例でありこれに限られない。また、電機子2と界磁6とを軸方向に相対変位させる外力が作用する場合、巻線5への通電、あるいは、巻線5に発生する誘導起電力によって、前記相対変位を抑制する推力を発生させて筒型リニアモータ1に前記外力による機器の振動や運動をダンピングさせ得るし、外力から電力を生むエネルギー回生も可能である。
【0054】
以上のように、本発明の筒型リニアモータ1は、ロッド11と、筒状であってロッド11の外周に装着されるコア3とコア3の外周に設けられたスロット4に装着される巻線5とを有する電機子2と、ロッド11の外周を覆うとともにロッド11との間に環状の空隙Gを形成するカバー17と、筒状であって内方にロッド11、カバー17および電機子2が軸方向へ移動自在に挿入されて軸方向にN極とS極とが交互に配置される界磁6と、空隙Gに収容されるとともに一端がカバー17外へ導出されるとともに他端が巻線5に接続されるリード線Lとを備えている。このように構成された筒型リニアモータ1では、カバー17のロッド11への装着前にロッド11の外側にて各相のリード線Lu,Lv,Lwと各相の巻線5u,5v,5wとの接続作業を行え、接続作業の終了後にカバー17をロッド11に装着できる。よって、本実施の形態の筒型リニアモータ1によれば、配線作業をロッド11の外側で行えるため、配線作業が非常に簡単となり、筒型リニアモータ1の組立が容易となる。
【0055】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、巻線5がU相巻線5u、V相巻線5vおよびW相巻線5wを備え、リード線LがU相巻線5uに接続されるU相リード線Lu、V相巻線5vに接続されるV相リード線LvおよびW相巻線5wに接続されるW相リード線Lwを備え、カバー17がU相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwをそれぞれ個別独立して導出する三つの導出孔19bを備えている。このように構成された筒型リニアモータ1では、U相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwをそれぞれ対応する導出孔19bから独立して外方へ導出させるので、U相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwを離間させ得る。よって、このように構成された筒型リニアモータ1によれば、各相の巻線5u,5v,5wの相間の良好な絶縁性を実現できる。なお、導出孔19bは、カバー17の周方向で等間隔に設けられるとU相リード線Lu、V相リード線LvおよびW相リード線Lwを互いに最も離間させ得るので絶縁性が向上する。
【0056】
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、空隙G内に収容され、U相巻線5uとU相リード線Luとを接続するU相接続部27uと、V相巻線5vとV相リード線Lvとを接続するV相接続部27vと、W相巻線5wとW相リード線Lwとを接続するW相接続部27wとを有する環状或いは円弧状の中継台27を備え、U相接続部27u、V相接続部27vおよびW相接続部27wが互いに中継台27の周方向に離間した位置に設けられている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、各相の巻線5u,5v,5wと各相のリード線Lu,Lv,Lwを空隙G内で互いに離間した位置に配置できるので、各相の巻線5u,5v,5wの相間の良好な絶縁性を実現できる。
【0057】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、ロッド11の外周であって電機子2よりも基端側に設けられる小径部(カバー保持部材)25bを備え、カバー17がロッド11の外周に設けた環状のカバーエンド18と、筒状であって一端がカバーエンド18の外周に嵌合されるともに他端が小径部(カバー保持部材)25bの外周に装着されるシールリング(弾性体)26に嵌合されるカバー筒19とを備えている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、ロッド11に対して偏心や傾きが許容されるので、ロッド11が撓んでもカバー17がヘッドキャップ15に強く押し付けられることがなく、円滑に伸縮できる。
【0058】
そしてさらに、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、界磁6の内周に設けた非磁性体のインナーチューブ9と、ロッド11のコア3の軸方向両側に設けられてインナーチューブ9の内周に摺接する複数の環状のスライダ21b,25とを有し、スライダ21b,25のうちロッドの最も基端側に配置されるスライダ25がロッド11の基端側に外径が小径であってシールリング(弾性体)26が装着される小径部25bを有し、小径部25bをカバー保持部材としている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、別途カバー保持部材を設けずに済み、部品点数が削減しつつカバー17のロッド11への取付を可能とするとともに電機子2の界磁6に対する偏心を防止できる。なお、カバー保持部材は、スライダ25とは別個独立して設けられてもよい。
【0059】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、カバー筒19が空隙Gとインナーチューブ9内とを連通する通気孔19cを備えている。通気孔19cは、筒型リニアモータ1が伸縮作動を呈しても常にインナーチューブ9内に臨んでいて、空隙Gをインナーチューブ9内であってスライダ25よりも左方側の部屋に連通する。このように構成された筒型リニアモータ1よれば、筒型リニアモータ1の伸縮作動によって拡縮されるインナーチューブ9内のスライダ25よりも左方側の部屋が常に空隙Gに連通されるので、前記部屋の圧力変動が緩和され筒型リニアモータ1が円滑に伸縮できる。
【0060】
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、弾性体を環状であって小径部(カバー保持部材)25bとカバー筒19との間をシールするシールリング26としているので、カバー17内を通じてのインナーチューブ9内あるいは電機子2へ水や埃の侵入を防止できる。
【0061】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、ロッド11が筒状であって、ロッド11内に挿通されて界磁6に対するロッド11の位置を検知するストロークセンサSとを備え、ストロークセンサSは、界磁6に対して固定されてロッド11内に挿入されるコア(被検出子)31と、ロッド11内に収容されてコア(被検出子)31の位置を検知するセンサ本体30とを有している。このように構成された筒型リニアモータ1では、電機子2を外周に備えるロッド11内にストロークセンサSが収容されており、通電によって発熱する電機子2および磁界を発生する界磁6に対してストロークセンサSが直接曝露されていない。したがって、ストロークセンサSは、電機子2の熱から保護されるとともに、界磁6の磁界にも曝されないので、検知した電機子2の位置を精度よく検知できる。以上より、本発明の筒型リニアモータ1によれば、検知した電機子2の位置の信頼性を向上できる。
【0062】
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータ1では、センサ本体30がロッド11内の電機子2と径方向で対向しない範囲に収容されている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、センサ本体30と電機子2とが筒型リニアモータ1のストローク中に径方向へ重なることが無いので、より、電機子2の熱の影響を受け辛くなり、検知した電機子2の位置の信頼性をより効果的に向上できる。
【0063】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1は、界磁6に連結されてロッド11内に摺動自在に挿入されるガイドロッド16を備え、コア(被検出子)31がガイドロッド16に装着されている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、センサ本体30に対して移動するセンサ用コア(被検出子)31がロッド11の軸方向への移動を案内するガイドロッド16に装着されているので、センサ本体30に対するセンサ用コア(被検出子)31の偏心が防止されて、ストロークセンサSは精度よく電機子2の位置を検知できる。
【0064】
さらに、本実施の形態の筒型リニアモータ1におけるロッド11は、筒状の第一ロッド20と、筒状であって外周にコア3が装着されるとともに第一ロッド20の内周に螺合される第二ロッド21とを有し、センサ本体30が第一ロッド20と第二ロッド21とで挟持されてロッド11内に固定されている。このように構成された筒型リニアモータ1によれば、ストロークセンサSをロッド11内への固定と電機子2のロッド11への装着が非常に容易となるので、良好な組付性が得られる。
【0065】
なお、ストロークセンサSは、線形可変差動変圧器に代えて、磁歪式のストロークセンサとされてもよいし、リニア型のポテンショメーターとされてもよく、いずれにしても、界磁6に固定される被検出子の位置をロッド11側に固定されるセンサ本体で検知するようにすればよい。
【0066】
また、本実施の形態の筒型リニアモータ1にあっては、ティース3bの断面形状は、内周端の幅より外周端の幅が狭い台形状とされているので、ティース3bの断面形状を矩形とする場合に比較して、内周端における磁路断面積が広くなる。よって、このように構成された筒型リニアモータ1では、大きな磁路断面積を確保しやすくなり、巻線5を通電した際の磁気飽和を抑制でき、より大きな磁場を発生できるからより大きな推力を発生できる。なお、推力の向上のためには、ティース3bの断面形状を台形とするとよいが、断面形状を矩形としてもよいし、他の形状としてもよい。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1・・・筒型リニアモータ、2・・・電機子、3・・・コア、4・・・スロット、5・・・巻線、5u・・・U相巻線、5v・・・V相巻線、5w・・・W相巻線、6・・・界磁、9・・・インナーチューブ、11・・・ロッド、17・・・カバー、18・・・カバーエンド、19・・・カバー筒、19b・・・導出孔、19c・・・通気孔、21b,25・・・スライダ、25b・・・小径部(カバー保持部材)、26・・・シールリング(弾性体)、27・・・中継台、27u・・・U相接続部、27v・・・V相接続部、27w・・・W相接続部、G・・・空隙、L・・・リード線、Lu・・・U相リード線、Lv・・・V相リード線、Lw・・・W相リード線
図1
図2
図3