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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20221013BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20221013BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20221013BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20221013BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/30 564C
B05C11/00
B05C11/08
B05C11/10
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018207318
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020072230
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】角間 央章
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/032615(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/027
B05C 11/00
B05C 11/08
B05C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を処理する少なくとも1つの処理ユニットと、
前記処理ユニットの被写領域を含む互いに異なる被写領域を撮像する第1カメラおよび第2カメラと、
前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々で得られた画像を処理することによって、前記被写領域を示す識別情報を生成し、前記被写領域の識別情報各々と前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々の紐付けを示す紐付情報を生成する紐付処理部と、
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1の基板処理装置であって、
前記第1カメラおよび前記第2カメラのデータ転送方式がシリアル通信である、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の基板処理装置であって、
前記被写領域各々のうちの第1被写領域を照明する第1照明具と、
前記被写領域各々のうち、前記第1被写領域とは異なる第2被写領域を照明する第2照明具と、
をさらに備える、基板処理装置。
【請求項4】
請求項3の基板処理装置であって、
前記第1照明具および前記第2照明具の点灯動作および消灯の動作を制御する照明制御部、
をさらに備え
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を、前記画像が示す輝度値に応じて特定する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項4の基板処理装置であって、
前記照明制御部が、前記第1照明具を点灯させて前記第2照明具を消灯させる制御、および前記第1照明具を消灯させて前記第2照明具を点灯させる制御を行う、基板処理装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項の基板処理装置であって、
前記第1照明具および前記第2照明具の照明パターンが互いに異なっており、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記照明パターンに応じて特定する、基板処理装置。
【請求項7】
請求項6の基板処理装置であって、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記画像における輝度値分布に応じて特定する、基板処理装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7の基板処理装置であって、
前記第1照明具および前記第2照明具から出射される光の色が互いに異なっており、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記画像が持つ色情報に応じて特定する、基板処理装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項の基板処理装置であって
標物に対応する前記被写領域を示す参照情報を記憶する記憶部
をさらに備え
前記処理ユニットが前記指標物を含み、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記指標物の像および前記参照情報に基づいて特定する、基板処理装置。
【請求項10】
請求項9の基板処理装置であって、
前記処理ユニットは、前記被写領域内で移動する可動部を含み、
前記指標物が前記可動部を含み、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を、前記可動部の位置に基づいて特定する、基板処理装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10の基板処理装置であって、
前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域をパターンマッチングに基づいて特定する、基板処理装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項の基板処理装置であって、
前記処理ユニットが複数あり、
前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々の被写領域が、前記処理ユニット各々のうちの異なる処理ユニットに設定されている、基板処理装置。
【請求項13】
請求項5の基板処理装置であって、
前記処理ユニットが複数あり、
前記第1被写領域および前記第2被写領域は、前記処理ユニット各々のうち第1処理ユニットおよび第2処理ユニットに設定されており、
前記紐付処理部は、前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々で得られる各画像のうち平均輝度値が大きい方の画像を撮像したカメラを、前記第1被写領域および前記第2被写領域のうち照明されていた前記被写領域に紐付ける、基板処理装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項の基板処理装置であって、
前記第1カメラおよび前記第2カメラは、共通の前記処理ユニットに設定された異なる被写領域を撮像する、基板処理装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項の基板処理装置であって、
前記処理ユニットのうち少なくても1つは、
基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部を鉛直方向に延びる回転軸線まわりに回転させる回転モータと、
前記基板保持部に保持された前記基板に向けて処理液を吐出するノズルと、
前記第1カメラおよび前記第2カメラのうち一方の被写領域内に前記ノズルを移動させるノズル移動部と、
を含む、基板処理装置。
【請求項16】
基板を処理する基板処理方法であって、
a) 処理ユニットにおいて、基板を処理することと、
b) 前記処理ユニットの被写領域を含む被写領域が互いに異なる第1カメラおよび第2カメラで得られる画像各々を紐付処理部が処理することによって、前記被写領域を示す識別情報を生成し、前記被写領域の識別情報各々と前記第1カメラおよび第2カメラ各々とを紐付けることと、
を含む、基板処理方法。
【請求項17】
請求項16の基板処理方法であって、
前記第1カメラおよび前記第2カメラのデータ転送方式がシリアル通信である、基板処理方法。
【請求項18】
請求項16または請求項17の基板処理方法であって、
前記工程b)は、
b-1) 第1被写領域を照明する第1照明具を点灯させるとともに第2被写領域を照明する第2照明具を消灯させた状態で前記第1カメラおよび前記第2カメラで撮像することと、
b-2) 前記工程b-1)で得られる各画像のうち、平均輝度値が大きい画像を撮像した前記第1カメラまたは前記第2カメラのうち一方を前記第1被写領域に紐付けることと、
b-3) 前記第1照明具を消灯させるとともに前記第2照明具を点灯させた状態で、前記第1カメラおよび前記第2カメラで撮像することと、
b-4) 前記工程b-3)で得られる各画像のうち、平均輝度値が大きい画像を撮像した前記第1カメラまたは前記第2カメラのうち他方を前記第2被写領域に紐付けることと、
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置および基板処理方法に関し、特に、基板を処理する処理部をカメラで撮像する技術に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体基板、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置などのFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板、プリント基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体デバイスなどの製造工程においては、基板に対して純水、フォトレジスト液、エッチング液などの種々の処理液を供給して洗浄処理やレジスト塗布処理などの基板処理を行っている。これらの処理液を使用した液処理を行う装置としては、基板を水平姿勢で回転させつつ、その基板の表面にノズルから処理液を吐出する基板処理装置が広く用いられている。この種の基板処理装置は、複数の基板を並行に処理するため、複数の処理ユニットを備えている場合がある。
【0003】
近年では、基板処理装置において、基板を処理する処理ユニットをカメラで撮像し、得られた画像を処理して、基板処理が適切に行われているかどうかを監視することが行われている。例えば特許文献1では、処理液を吐出するノズルを撮像し、それにより得られた画像を処理することによって、ノズルからの処理液の吐出を監視することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-173148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パラレル通信のカメラの場合、カメラ毎に専用の通信線を設ける必要がある。一方、シリアル通信のカメラの場合、通信線を共有できるため、増設が容易であるというメリットを有する。しかしながら、通信線が共有されるため、シリアル通信のカメラがコンピュータに接続されている場合、どのカメラがどの被写領域を撮像しているかを特定するため、予め各カメラと、それらのカメラが撮像する各被写領域とを紐付けする必要がある。
【0006】
従来の紐付けの作業は、作業者の手作業や目視確認に基づいて行われていた。具体的には、作業者は、複数のカメラを設置する際に、各カメラの固有の識別情報(シリアル番号など)と、各カメラの撮像対象となる被写領域の情報(例えば、処理ユニットの番号など)とを予め記録しておき、その記録をコンピュータに入力していた。このため、従来の紐付けの作業は、作業者にとって多大な作業負担となるとともに、人為的ミスが発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、複数のカメラとそれらが撮像する各被写領域との紐付けを適正に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1態様は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を処理する少なくとも1つの処理ユニットと、前記処理ユニットの被写領域を含む互いに異なる被写領域を撮像する第1カメラおよび第2カメラと、前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々で得られた画像を処理することによって、前記被写領域を示す識別情報を生成し、前記被写領域の識別情報各々と前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々の紐付けを示す紐付情報を生成する紐付処理部とを備える。
【0009】
第2態様は、第1態様の基板処理装置であって、前記第1カメラおよび前記第2カメラのデータ転送方式がシリアル通信である。
【0010】
第3態様は、第1態様または第2態様の基板処理装置であって、前記被写領域各々のうちの第1被写領域を照明する第1照明具と、前記被写領域各々のうち、前記第1被写領域とは異なる第2被写領域を照明する第2照明具とをさらに備える。
【0011】
第4態様は、第3態様の基板処理装置であって、前記第1照明具および前記第2照明具の点灯動作および消灯の動作を制御する照明制御部、をさらに備え前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を、前記画像が示す輝度値に応じて特定する。
【0012】
第5態様は、第4態様の基板処理装置であって、前記照明制御部が、前記第1照明具を点灯させて前記第2照明具を消灯させる制御、および前記第1照明具を消灯させて前記第2照明具を点灯させる制御を行う。
【0013】
第6態様は、第3態様から第5態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記第1照明具および前記第2照明具の照明パターンが互いに異なっており、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記照明パターンに応じて特定する。
【0014】
第7態様は、第6態様の基板処理装置であって、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記画像における輝度値分布に応じて特定する。
【0015】
第8態様は、第6態様または第7態様の基板処理装置であって、前記第1照明具および前記第2照明具から出射される光の色が互いに異なっており、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記画像が持つ色情報に応じて特定する。
【0016】
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1つの基板処理装置であって、指標物に対応する前記被写領域を示す参照情報を記憶する記憶部、をさらに備え、前記処理ユニットが前記指標物を含み、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を前記指標物の像および前記参照情報に基づいて特定する。
【0017】
第10態様は、第9態様の基板処理装置であって、前記処理ユニットは、前記被写領域内で移動する可動部を含み、前記指標物が前記可動部を含み、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域を、前記可動部の位置に基づいて特定する。
【0018】
第11態様は、第9態様または第10態様の基板処理装置であって、前記紐付処理部は、前記画像に対応する前記被写領域をパターンマッチングに基づいて特定する。
【0019】
第12態様は、第1態様から第11態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記処理ユニットが複数あり、前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々の被写領域が、前記処理ユニット各々のうちの異なる処理ユニットに設定されている。
【0020】
第13態様は、第5態様の基板処理装置であって、前記処理ユニットが複数あり、前記第1被写領域および前記第2被写領域は、前記処理ユニット各々のうち第1処理ユニットおよび第2処理ユニットに設定されており、前記紐付処理部は、前記第1カメラおよび前記第2カメラ各々で得られる各画像のうち平均輝度値が大きい方の画像を撮像したカメラを、前記第1被写領域および前記第2被写領域のうち照明されていた方の被写領域に紐付ける。
【0021】
第14態様は、第1態様から第13態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記第1カメラおよび前記第2カメラは、共通の前記処理ユニットに設定された異なる被写領域を撮像する。
【0022】
第15態様は、第1態様から第14態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記処理ユニットのうち少なくても1つは、基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部を鉛直方向に延びる回転軸線まわりに回転させる回転モータと、前記基板保持部に保持された前記基板に向けて処理液を吐出するノズルと、前記第1カメラおよび前記第2カメラのうち一方の被写領域内に前記ノズルを移動させるノズル移動部とを含む。
【0023】
第16態様は、基板を処理する基板処理方法であって、a)処理ユニットにおいて、基板を処理することと、b)前記処理ユニットの被写領域を含む被写領域が互いに異なる第1カメラおよび第2カメラで得られる画像各々を紐付処理部が処理することによって、前記被写領域を示す識別情報を生成し、前記被写領域の識別情報各々と前記第1カメラおよび第2カメラ各々とを紐付けることとを含む。
【0024】
第17態様は、第16態様の基板処理方法であって、前記第1カメラおよび前記第2カメラのデータ転送方式がシリアル通信である。
【0025】
第18態様は、第16態様または第17態様の基板処理方法であって、前記工程b)は、b-1)第1被写領域を照明する第1照明具を点灯させるとともに第2被写領域を照明する第2照明具を消灯させた状態で前記第1カメラおよび前記第2カメラで撮像することと、b-2)前記工程b-1)で得られる各画像のうち、平均輝度値が大きい画像を撮像した前記第1カメラまたは前記第2カメラのうち一方を前記第1被写領域に紐付けることと、b-3)前記第1照明具を消灯させるとともに前記第2照明具を点灯させた状態で、前記第1カメラおよび前記第2カメラで撮像することと、b-4)前記工程b-3)で得られる各画像のうち、平均輝度値が大きい画像を撮像した前記第1カメラまたは前記第2カメラのうち他方を前記第2被写領域に紐付けることとを含む。
【発明の効果】
【0026】
第1態様の基板処理装置によると、各カメラで得られた各画像を処理することによって、各画像に対応する被写領域が特定される。これによって、各被写領域と各被写領域に対応する各カメラとを紐付ける処理を自動化できる。したがって、作業者の手作業や目視確認に基づく人為的エラーの発生を抑制できるため、各カメラと各カメラが撮像する各被写領域を適正に紐付けできる。
【0027】
第2態様の基板処理装置によると、各カメラがシリアル通信を行うため、通信線を共有できる。このため、カメラの台数を容易に増やすことができる。
【0028】
第3態様の基板処理装置によると、各被写領域を各照明具で照明することによって、各被写領域を良好に撮像できる。
【0029】
第4態様の基板処理装置によると、照明具の点灯および消灯の動作を制御するによって、各被写領域の照明状況を変更できる。これにより、各カメラの撮像によって得られる画像の輝度値を変動させることができるため、各画像に対応する被写領域を容易に特定できる。このため、各カメラと各カメラが撮像する被写領域とを容易に紐付けできる。
【0030】
第5態様の基板処理装置によると、第1照明具および第2照明具の一方を点灯させることによって、第1被写領域および第2被写領域のうち対応する一方の被写領域が照明される。このため、第1カメラおよび第2カメラのうち、照明されている被写領域を撮像するカメラの画像の輝度値が、照明されていない被写領域を撮像するカメラのものよりも明るくなる。これにより、各カメラに対応する被写領域を適正に紐付けできる。
【0031】
第6態様の基板処理装置によると、照明パターンの相違に応じて、画像から被写領域を容易に特定できる。
【0032】
第7態様の基板処理装置によると、照明パターンの相違によって生じる、明部分および暗部分の位置の相違に応じて、画像から被写領域を特定できる。
【0033】
第8態様の基板処理装置によると、色の相違に応じて、画像から被写領域を容易に特定できる。
【0034】
第9態様の基板処理装置によると、カメラで得られる画像中の指標物および参照情報に基づいて、そのカメラに対応する被写領域を特定できる。
【0035】
第10態様の基板処理装置によると、画像に対応する被写領域を、画像中の可動部の位置に基づいて特定できる。
【0036】
第11態様の基板処理装置によると、各画像に対応する被写領域を、パターンマッチングに基づいて特定できる。
【0037】
第12態様の基板処理装置によると、各カメラの画像から特定の処理ユニットに対応する被写領域が特定されるため、各カメラと各カメラが撮像する処理ユニットとを紐付けできる。
【0038】
第13態様の基板処理装置によると、各カメラの画像から特定の処理ユニットに対応する被写領域が特定されるため、各カメラと各カメラが撮像する各処理ユニットとを紐付けできる。また、照明具を順に点灯させるため、各カメラで得られる画像の中から照明されている画像を容易に特定できる。これにより、各カメラと各カメラが撮像する処理ユニットとを精度良く紐付けできる。
【0039】
第14態様の基板処理装置によると、共通の処理ユニット内において、被写領域各々と各カメラとを紐付けできる。
【0040】
第15態様の基板処理装置によると、液処理を行う処理ユニットを撮像するカメラを、対応する被写領域と適正に紐付けできる。
【0041】
第16態様の基板処理方法によると、各カメラで得られた各画像を処理することによって、各画像に対応する被写領域が特定される。これによって、各被写領域と各被写領域に対応する各カメラとを紐付ける処理を自動化できる。したがって、作業者の手作業や目視確認に基づく人為的エラーの発生を抑制できるため、各カメラと各カメラが撮像する各被写領域を適正に紐付けできる。
【0042】
第17態様の基板処理方法によると、各カメラがシリアル通信を行うため、通信線を共有できる。このため、カメラの台数を容易に増やすことができる。
【0043】
第18態様の基板処理方法によると、各カメラの画像から特定の処理ユニットに対応する被写領域が特定されるため、各カメラと各カメラが撮像する各処理ユニットとを紐付けできる。また、第1照明具および第2照明具を順に点灯させるため、各カメラで得られる画像の中から照明されている画像を容易に特定できる。これにより、各カメラと各カメラが撮像する被写領域とを精度良く紐付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】第1実施形態の基板処理装置100の全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態の洗浄処理ユニット1の概略平面図である。
図3】第1実施形態の洗浄処理ユニット1の概略縦断面図である。
図4】カメラ70と可動部であるノズル30との位置関係を示す図である。
図5】制御部8と各洗浄処理ユニット1の接続関係を示すブロック図である。
図6】第1の紐付処理の流れの一例を示す図である。
図7】第4の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。
図8】第5の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。
図9】第6の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。
図10】第7の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。
図11】第2実施形態の洗浄処理ユニット1Aの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0046】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」等)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」等)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」等)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取り等を有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「~の上」とは、特に断らない限り、2つの要素が接している場合のほか、2つの要素が離れている場合も含む。
【0047】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態の基板処理装置100の全体構成を示す図である。基板処理装置100は、処理対象である基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。基板処理装置100は、円形博板状のシリコン基板である基板Wに対して、薬液およびリンス液(純水など)を用いて洗浄処理を行った後、乾燥処理を行う。薬液としては、例えばSC1(ammonia-hydrogen peroxide mixture:アンモニア過酸化水素水混合液)、SC2(hydrochloric hydrogen peroxide mixed water solution:塩酸過酸化水素水混合水溶液)、DHF(希フッ酸)液などが用いられる。以下の説明では、処理液とは薬液とリンス液を総称して「処理液」とする。なお、基板処理装置100は、洗浄処理ではなく、成膜処理のためのフォトレジスト液などの塗布液、不要な膜を除去するための薬液、エッチングのための薬液を供給して基板を湿式処理するように構成されていてもよい。
【0048】
基板処理装置100は、複数の洗浄処理ユニット1、インデクサ102および主搬送ロボット103を備える。インデクサ102は、装置外から受け取った処理対象の基板Wを装置内に搬送するとともに、洗浄処理が完了した処理済みの基板Wを装置外に搬出する。インデクサ102は、複数のキャリア(図示省略)を載置するとともに移送ロボット(図示省略)を備える。キャリアとしては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(Front Opening Unified Pod)やSMIF(Standard Mecanical InterFace)ポッド、あるいは、基板Wを外気にさらすOC(Open Cassette)を採用してもよい。移送ロボットは、キャリアと主搬送ロボット103との間で基板Wを移送する。
【0049】
洗浄処理ユニット1は、1枚の基板Wに対して液処理および乾燥処理を行う。基板処理装置100には、12個の洗浄処理ユニット1が配置されている。具体的には、各々が鉛直方向に積層された3個の洗浄処理ユニット1を含む4つのタワーが、主搬送ロボット103の周囲を取り囲むようにして配置されている。図1では、3段に重ねられた洗浄処理ユニット1の1つを概念的に示している。なお、基板処理装置100における洗浄処理ユニット1の数量は、12個に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0050】
主搬送ロボット103は、洗浄処理ユニット1を積層した4個のタワーの中央に設置されている。主搬送ロボット103は、インデクサ102から受け取った処理対象の基板Wを各洗浄処理ユニット1に搬入する。また、主搬送ロボット103は、各洗浄処理ユニット1から処理済みの基板Wを搬出してインデクサ102に渡す。
【0051】
<洗浄処理ユニット1>
以下、基板処理装置100に搭載された12個の洗浄処理ユニット1のうちの1つに説明するが、他の洗浄処理ユニット1については、ノズル30,60,65の配置関係が異なる以外、同一の構成を有する。
【0052】
図2は、第1実施形態の洗浄処理ユニット1の概略平面図である。図3は、第1実施形態の洗浄処理ユニット1の概略縦断面図である。図2はスピンチャック20に基板Wが保持されていない状態を示しており、図3はスピンチャック20に基板Wが保持されている状態を示している。
【0053】
洗浄処理ユニット1は、チャンバ10内に、基板Wを水平姿勢(基板Wの表面の法線が鉛直方向に沿う姿勢)に保持するスピンチャック20と、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を供給するための3つのノズル30,60,65と、スピンチャック20の周囲を取り囲む処理カップ40と、スピンチャック20の上方空間を撮像するカメラ70とを備える。また、チャンバ10内における処理カップ40の周囲には、チャンバ10の内側空間を上下に仕切る仕切板15が設けられている。
【0054】
チャンバ10は、鉛直方向に沿うとともに四方を取り囲む側壁11と、側壁11の上側を閉塞する天井壁12、側壁11の下側を閉塞する床壁13を備える。側壁11、天井壁12および床壁13によって囲まれた空間が基板Wの処理空間となる。また、チャンバ10の側壁11の一部には、チャンバ10に対して主搬送ロボット103が基板Wを搬出入するための搬出入口およびその搬出入口(いずれも図示省略)を開閉するシャッターが設けられている。
【0055】
チャンバ10の天井壁12には、基板処理装置100が設置されているクリーンルーム内の空気をさらに清浄化してチャンバ10内の処理空間に供給するためのファンフィルタユニット(FFU)14が取り付けられている。FFU14は、クリーンルーム内の空気を取り込んでチャンバ10内に送り出すためのファンおよびフィルタ(例えばHEPAフィルタ)を備えている。FFU14は、チャンバ10内の処理空間に清浄空気のダウンフローを形成する。FFU14から供給された清浄空気を均一に分散するために、多数の吹出し孔を穿設したパンチングプレートを天井壁12の直下に設けるようにしてもよい。
【0056】
スピンチャック20は、スピンベース21、スピンモータ22、カバー部材23および回転軸24を備える。スピンベース21は、円板形状を有しており、鉛直方向に沿って延びる回転軸24の上端に水平姿勢で固定されている。スピンモータ22は、スピンベース21の下方に設けられており、回転軸24を回転させる。スピンモータ22は、回転軸24を介してスピンベース21を水平面内にて回転させる。カバー部材23は、スピンモータ22および回転軸24の周囲を取り囲む筒状を有する。
【0057】
円板形状のスピンベース21の外径は、スピンチャック20に保持される円形の基板Wの径よりも若干大きい。よって、スピンベース21は、保持すべき基板Wの下面の全面と対向する保持面21aを有する。
【0058】
スピンベース21の保持面21aの周縁部には複数(本実施形態では4本)のチャックピン26が立設されている。各チャックピン26は、円形の基板Wの外周円の外径に対応する円周上に沿って均等な間隔をあけて配置されている。本実施形態では、4個のチャックピン26が90°間隔で設けられている。各チャックピン26は、スピンベース21内に収容された図示省略のリンク機構によって連動して駆動される。スピンチャック20は、各チャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端に当接させて基板Wを把持することにより、当該基板Wをスピンベース21の上方で保持面21aに近接した水平姿勢にて保持する(図3参照)。また、スピンチャック20は、各チャックピン26のそれぞれを基板Wの外周端から離間させることによって、基板Wの把持を解除する。各チャックピン26は、基板Wを水平姿勢で保持する基板保持部である。
【0059】
スピンモータ22を覆うカバー部材23は、その下端がチャンバ10の床壁13に固定され、上端がスピンベース21の直下にまで到達している。カバー部材23の上端部には、カバー部材23から外方へほぼ水平に張り出し、さらに下方に屈曲して延びる鍔状部材25が設けられている。複数のチャックピン26による把持によってスピンチャック20が基板Wを保持した状態にて、スピンモータ22が回転軸24を回転させることにより、基板Wの中心を通る鉛直方向に沿った回転軸線CXまわりに基板Wを回転させることができる。なお、スピンモータ22の駆動は制御部8によって制御される。
【0060】
ノズル30は、ノズルアーム32の先端に吐出ヘッド31を取り付けて構成されている。ノズルアーム32の基端側はノズル基台33に固定して連結されている。ノズル基台33に設けられたモータ332(ノズル移動部)によって鉛直方向に沿った軸のまわりで回動可能とされている。
【0061】
ノズル基台33が回動することにより、図2中の矢印AR34にて示すように、ノズル30は、スピンチャック20の上方の位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で水平方向に沿って円弧状に移動させる。ノズル基台33の回動によって、ノズル30はスピンベース21の保持面21aの上方にて揺動する。詳細には、スピンベース21よりも上方において、水平方向に延びる既定の処理位置TP1に移動する。なお、ノズル30を処理位置TP1移動させるとは、ノズル30の先端部の吐出ヘッド31を処理位置TP1に移動させることと同意である。
【0062】
ノズル30には、複数種の処理液(少なくとも純水を含む)が供給されるように構成されており、吐出ヘッド31から複数種の処理液が吐出可能である。なお、ノズル30の先端に複数の吐出ヘッド31を設けて、それぞれから個別に同一または異なる処理液が吐出されてもよい。ノズル30(詳細には吐出ヘッド31)は、処理位置TP1にて停止して、処理液を吐出する。ノズル30から吐出された処理液は、スピンチャック20に保持された基板Wの上面に着液する。
【0063】
本実施形態の洗浄処理ユニット1には、上記のノズル30に加えてさらに2つのノズル60,65が設けられている。本実施形態のノズル60,65は、上記のノズル30と同一または類似の構成を備える。すなわち、ノズル60は、ノズルアーム62の先端に吐出ヘッドを取り付けて構成され、ノズルアーム62の基端側に連結されたノズル基台63によって、矢印AR64にて示すようにスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で円弧状に移動する。ノズル65は、ノズルアーム67の先端に吐出ヘッドを取り付けて構成され、ノズルアーム67の基端側に連結されたノズル基台68によって、矢印AR69にて示すようにスピンチャック20の上方の処理位置と処理カップ40よりも外側の待機位置との間で円弧状に移動する。
【0064】
ノズル60,65にも、少なくとも純水を含む複数種の処理液が供給されるように構成されており、処理位置にてスピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を吐出する。なお、ノズル60,65の少なくとも一方は、純水などの洗浄液と加圧した気体とを混合して液滴を生成し、その液滴と気体との混合流体を基板Wに噴射する二流体ノズルであってもよい。また、洗浄処理ユニット1に設けられるノズル数は3本に限定されるものではなく、1本以上であればよい。
【0065】
ノズル30,60,65各々を、円弧状に移動させることは必須ではない。例えば、直道駆動部を設けることによって、ノズルを直線移動させてもよい。
【0066】
回転軸24の内側を挿通するようにして鉛直方向に沿って下面処理液ノズル28が設けられている。下面処理液ノズル28の上端開口は、スピンチャック20に保持された基板Wの下面中央に対向する位置に形成されている。下面処理液ノズル28にも複数種の処理液が供給されるように構成されている。下面処理液ノズル28から吐出された処理液はスピンチャック20に保持された基板Wの下面に着液する。
【0067】
スピンチャック20を取り囲む処理カップ40は、互いに独立して昇降可能な内カップ41、中カップ42および外カップ43を備えている。内カップ41は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。この内カップ41は、平面視円環状の底部44と、底部44の内周縁から上方に立ち上がる円筒状の内壁部45と、底部44の外周縁から上方に立ち上がる円筒状の外壁部46と、内壁部45と外壁部46との間から立ち上がり、上端部が滑らかな円弧を描きつつ中心側(スピンチャック20に保持される基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる第1案内部47と、第1案内部47と外壁部46との間から上方に立ち上がる円筒状の中壁部48とを一体的に備えている。
【0068】
内壁部45は、内カップ41が最も上昇した状態で、カバー部材23と鍔状部材25との間に適当な隙間を保って収容される。中壁部48は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中カップ42の後述する第2案内部52と処理液分離壁53との間に適当な隙間を保って収容される。
【0069】
第1案内部47は、滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部47bを有する。また、内壁部45と第1案内部47との間は、使用済みの処理液を集めて廃棄するための廃棄溝49とされている。第1案内部47と中壁部48との間は、使用済みの処理液を集めて回収するための円環状の内側回収溝50とされている。さらに、中壁部48と外壁部46との間は、内側回収溝50とは種類の異なる処理液を集めて回収するための円環状の外側回収溝51とされている。
【0070】
廃棄溝49には、この廃棄溝49に集められた処理液を排出するとともに、廃棄溝49内を強制的に排気するための図示省略の排気液機構が接続されている。排気液機構は、例えば、廃棄溝49の周方向に沿って等間隔で4つ設けられている。また、内側回収溝50および外側回収溝51には、内側回収溝50および外側回収溝51にそれぞれ集められた処理液を基板処理装置100の外部に設けられた回収タンクに回収するための回収機構(いずれも図示省略)が接続されている。なお、内側回収溝50および外側回収溝51の底部は、水平方向に対して微少角度だけ傾斜しており、その最も低くなる位置に回収機構が接続されている。これにより、内側回収溝50および外側回収溝51に流れ込んだ処理液が円滑に回収される。
【0071】
中カップ42は、スピンチャック20の周囲を取り囲み、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。この中カップ42は、第2案内部52と、この第2案内部52に連結された円筒状の処理液分離壁53とを有する。
【0072】
第2案内部52は、内カップ41の第1案内部47の外側において、第1案内部47の下端部と同軸円筒状である下端部52aと、下端部52aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部52bと、上端部52bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部52cとを有する。下端部52aは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47と中壁部48との間に適当な隙間を保って内側回収溝50内に収容される。また、上端部52bは、内カップ41の第1案内部47の上端部47bと上下方向に重なるように設けられ、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、第1案内部47の上端部47bに対してごく微小な間隔を保って近接する。折返し部52cは、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、折返し部52cが第1案内部47の上端部47bの先端と水平方向に重なる。
【0073】
第2案内部52の上端部52bは、下方ほど肉厚が厚くなるように形成されている。処理液分離壁53は、上端部52bの下端外周縁部から下方に延びるように設けられた円筒形状を有する。処理液分離壁53は、内カップ41と中カップ42とが最も近接した状態で、中壁部48と外カップ43との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。
【0074】
外カップ43は、スピンチャック20に保持された基板Wの中心を通る回転軸線CXに対してほぼ回転対称となる形状を有する。外カップ43は、中カップ42の第2案内部52の外側において、スピンチャック20を取り囲む。この外カップ43は、第3案内部としての機能を有する。外カップ43は、第2案内部52の下端部52aと同軸円筒状をなす下端部43aと、下端部43aの上端から滑らかな円弧を描きつつ中心側(基板Wの回転軸線CXに近づく方向)斜め上方に延びる上端部43bと、上端部43bの先端部を下方に折り返して形成される折返し部43cとを有する。
【0075】
下端部43aは、内カップ41と外カップ43とが最も近接した状態で、中カップ42の処理液分離壁53と内カップ41の外壁部46との間に適当な隙間を保って外側回収溝51内に収容される。上端部43bは、中カップ42の第2案内部52と上下方向に重なるように設けられ、中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、第2案内部52の上端部52bに対してごく微小な間隔を保って近接する。中カップ42と外カップ43とが最も近接した状態で、折返し部43cが第2案内部52の折返し部52cと水平方向に重なる。
【0076】
内カップ41、中カップ42および外カップ43は互いに独立して昇降可能とされている。すなわち、内カップ41、中カップ42および外カップ43各々には個別に昇降機構(図示省略)が設けられており、それによって別個独立して昇降される。このような昇降機構としては、例えばボールネジ機構やエアシリンダなどの公知の種々の機構を採用することができる。
【0077】
仕切板15は、処理カップ40の周囲においてチャンバ10の内側空間を上下に仕切るように設けられている。仕切板15は、処理カップ40を取り囲む1枚の板状部材であってもよいし、複数の板状部材をつなぎ合わせたものであってもよい。また、仕切板15には、厚さ方向に貫通する貫通孔や切り欠きが形成されていても良く、本実施形態ではノズル30,60,65のノズル基台33,63,68を支持するための支持軸を通すための貫通穴が形成されている。
【0078】
仕切板15の外周端はチャンバ10の側壁11に連結されている。また、仕切板15の処理カップ40を取り囲む端縁部は外カップ43の外径よりも大きな径の円形状となるように形成されている。よって、仕切板15が外カップ43の昇降の障害となることはない。
【0079】
また、チャンバ10の側壁11の一部であって、床壁13の近傍には排気ダクト18が設けられている。排気ダクト18は図示省略の排気機構に連通接続されている。ファンフィルタユニット14から供給されてチャンバ10内を流下した清浄空気のうち、処理カップ40と仕切板15と間を通過した空気は排気ダクト18から装置外に排出される。
【0080】
図4は、カメラ70と可動部であるノズル30との位置関係を示す図である。カメラ70は、鉛直方向において基板Wよりも鉛直方向上側に設けられている。カメラ70は、例えば固体撮像素子のひとつであるCCDと、電子シャッター、レンズなどの光学系とを備える。カメラ70の撮像方向(すなわち、撮像光学系の光軸方向)は、基板Wの上面を撮像するため、基板W上面の回転中心(またはその近傍)に向かって斜め下向きに設定されている。カメラ70は、スピンチャック20によって保持された基板Wの上面全体をその視野に包含する。例えば、水平方向については、図2において破線で囲まれた範囲(被写領域)がカメラ70の視野に含まれる。
【0081】
カメラ70は、その撮像視野に少なくとも処理位置TP1におけるノズル30の先端が含まれるように、つまり吐出ヘッド31の近傍が含まれる位置に設置されている。本実施形態では、図4に示すように、処理位置TP1におけるノズル30を前方上方から撮像する位置にカメラ70が設置される。よって、カメラ70は、処理位置TP1におけるノズル30の先端を含む被写領域PAを撮像できる。同様に、カメラ70は、ノズル60,65が、スピンチャック20に保持された基板Wに対して処理を行うときの処理位置にあるときの、各先端を含む被写領域PAを撮像する。カメラ70が図2および図4に示す位置に設置されている場合には、ノズル30,60はカメラ70の撮像視野内で横方向に移動するため、各処理位置の各ノズル30,60の先端を適切に撮像できるが、ノズル65についてはカメラ70の視野内で奥行き方向に移動するため、その処理位置近傍での移動を適切に撮像できないおそれもある。この場合、カメラ70とは別にノズル65を撮像するカメラを設けてもよい。
【0082】
ノズル30は、ノズル基台33の駆動によって、スピンチャック20に保持された基板Wの上方の処理位置TP1(図4において破線で示される位置)と処理カップ40よりも外側の待機位置(図4の実線位置)との間で往復移動される。処理位置TP1は、ノズル30からスピンチャック20に保持された基板Wの上面に処理液を吐出して洗浄処理を行う位置である。処理位置TP1は、スピンチャック20に保持された基板Wにおける中心よりも縁部寄りの位置である。待機位置は、ノズル30が洗浄処理を行わないときに処理液の吐出を停止して待機する位置である。待機位置は、スピンベース21の上方から外れた位置であって、水平面内において処理カップ40の外側の位置である。待機位置には、ノズル30の吐出ヘッド31を収容する待機ポッドが設けられていてもよい。
【0083】
処理位置TP1は、基板Wの中心など、任意の位置であってもよく、さらには、処理位置TP1は、基板Wの上方から外れた位置であってもよい。後者の場合、ノズル30から吐出された処理液が、基板Wの外方から基板Wの上面に飛散させるとよい。また、ノズル30を処理位置TP1に停止させた状態で、ノズル30から処理液を吐出させることは必須ではない。例えば、ノズル30から処理液を吐出させながら、処理位置TP1を一方端とし、基板Wの上方において水平方向に延びる既定の処理区間内で、ノズル30を移動させてもよい。
【0084】
図3に示すように、チャンバ10内であって仕切板15よりも上方の位置に、照明具71が設けられている。照明具71は、例えばLEDランプを光源として含む。照明具71は、カメラ70がチャンバ10内を撮像するために必要とされる照明光を処理空間に供給する。各照明具71が対応する被写領域PA各々を照明することによって、各カメラ70が各被写領域PAを良好に撮像できる。各洗浄処理ユニット1間でカメラ70による撮像の条件を一致させるため、各洗浄処理ユニット1に対して同一構成の照明具71がそれぞれ設けられる。
【0085】
図3に示すように、1つのチャンバ10内において、カメラ70と照明具71とがチャンバ10の対角線上に設けられており、カメラ70の撮像方向(レンズの向き)と照明具71の照明方向とが向かい合わせとされている。しかしながら、この位置関係は必須ではない。例えば、カメラ70の近傍に照明具71を配置して、カメラ70の撮像方向と照明具71の照明方向とが同じ向きに設定されてもよい。
【0086】
図5は、制御部8と各洗浄処理ユニット1の接続関係を示すブロック図である。基板処理装置100に設けられた制御部8のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同一である。すなわち、制御部8は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェア(プログラム)やデータなどを記憶しておく磁気ディスクなどを備えている。制御部8のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって、基板処理装置100の各要素の動作が制御部8によって制御され、基板処理装置100における処理が進行する。
【0087】
図5に示す照明制御部812、紐付処理部814、吐出判定部816は、制御部8のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって制御部8内に実現される機能処理部である。
【0088】
照明制御部812は、基板処理装置100に備えられた各照明具71に通信できるように接続されており、各照明具71の点灯および消灯の動作(照明動作)を制御する。照明制御部812は、例えば各照明具71のうち1つを点灯させつつその他を消灯させるなど、各照明具71の照明動作を独立に制御してもよい。
【0089】
紐付処理部814は、画像処理部815を備えている。画像処理部815は、各カメラ70で得られた各画像PHを処理する。そして、紐付処理部814は、画像処理部815の処理結果に基づいて、特定対象の被写領域PAに対応する各画像PH(すなわち各カメラ70)を特定する。紐付処理部814は、例えば各画像PHの輝度値に基づいて被写領域PAを特定することができる。また、紐付処理部814は、後述する各画像PHにおける指標物9の位置を検出することによって、被写領域PAを特定できる。
【0090】
紐付処理部814は、上記の特定結果に応じて、各カメラ70と各被写領域PAとの紐付けを記録した紐付情報832を生成する。紐付情報832は、各カメラ70の固有の識別情報(例えば、シリアル番号)と、各被写領域PAを識別するための識別情報(例えば、各洗浄処理ユニット1の固有の識別情報)とのペア(組合せ)を示す情報である。紐付情報832は、記憶部83に適宜保存される。記憶部83は、紐付情報832を記憶する紐付情報記憶部の一例である。
【0091】
吐出判定部816は、各カメラ70で得られる画像PHを処理することによって、各洗浄処理ユニット1における各ノズル30から処理液が吐出されているかどうかの判定を行う。この判定処理には、例えば特許文献1に記載された技術を適用してもよい。例えば、処理位置TP1に配されたノズル30の吐出ヘッド31と、基板Wとの間に判定領域を設定しておき、その判定領域において、吐出判定部816が基準画像を用いたパターンマッチングを行うことにより、処理液の吐出を判定してもよい。吐出判定部816が各洗浄処理ユニット1におけるノズル30からの処理液の吐出を判定することによって、基板Wの液処理が適正に行う洗浄処理ユニット1、あるいは適正に行わない洗浄処理ユニット1を検出できる。
【0092】
また、ノズル位置を判定するノズル位置判定部を設けてもよい。例えば、カメラ70で得られる画像PH上で、処理位置TP1に対応する位置に判定領域を予め設定しておき、ノズル位置判定部が、当該判定領域内で基準画像を用いたパターンマッチングを行うことによってノズル30の位置を検出してもよい。判定領域におけるノズル30の位置を検出することによって、標準とされる処理位置TP1からのノズル30の位置ズレを検出できる。
【0093】
制御部8は、上記のRAMまたは磁気ディクスを含む記憶部83を備えている。記憶部83は、各カメラ70によって撮像された画像のデータやオペレータの入力値などを記憶する。
【0094】
制御部8には、表示部85および入力部87が接続されている。表示部85は、制御部8からの画像信号に応じて各種情報を表示する。表示部85は、例えば、各カメラ70で得られる画像PHを表示する。入力部87は、キーボードおよびマウスなどの入力デバイスで構成されており、作業者が制御部8に対して行う入力操作を受け付ける。
【0095】
図5に示すように、基板処理装置100は、12個の洗浄処理ユニット1のそれぞれに、カメラ70および照明具71が1つずつ備えられている。すなわち、基板処理装置100は、12個のカメラ70と12個の照明具71とを備えている。そして、各カメラ70は、互いに異なるチャンバ10内の既定の被写領域PAを撮像する。すなわち、各カメラ70の被写領域PAは互いに異なっている。以下、各洗浄処理ユニット1を区別する場合、「洗浄処理ユニット1(n)」(nは1以上12以下の整数)などと称する場合がある。また、各洗浄処理ユニット1(n)に対応するカメラ70および照明具71を、「カメラ70(n)」「照明具71(n)」(nは1以上12以下の整数)などと称する場合がある。さらに、カメラ70(n)の被写領域PAを、「被写領域PA(n)」(nは1以上12以下の整数)などと称する場合がある。また、各カメラ70(n)で得られる画像PHを、「画像PH(n)」(nは1以上12以下の整数)などと称する場合がある。
【0096】
各カメラ70と制御部8とは、シリアルバスケーブル73で接続されている。各カメラ70と制御部8との間のデータ転送方式は、シリアル通信である。なお、各カメラ70(1)-70(12)は、共通のケーブルで制御部8に接続されていてもよいが、各々が専用のケーブルで制御部8に接続されていてもよい。
【0097】
シリアルバスケーブル73は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)であることが好ましい。カメラ70がUSBのようなプラグアンドプレイをサポートするインターフェースを持つ場合、コンピュータである制御部8に接続するだけで制御部8から電源が供給されて使用可能となる。カメラとしての機能を利用する場合は、カメラメーカから提供されるAPI(Application Program Interface)を所定の手順でプログラムから読み出せばよい。一般的には、汎用アプリケーションソフトも提供されており、これらを使って画像を取得すること、および保存することが可能である。
【0098】
各カメラ70がシリアル通信を行う場合、パラレル通信に比べてデータ通信に係る構成(例えば、通信線や同期処理などを行う処理部)を簡略化できるため、カメラの数量を容易に増やすことが比較的容易である。
【0099】
各カメラ70がシリアル通信を行う場合、制御部8は、受信した画像がどのカメラ70から送られてきたかは、その通信パケットに含まれるカメラ70の固有情報から把握可能できる。しかしながら、制御部8は、送信されてくる情報だけでは、そのカメラ70がどの洗浄処理ユニット1の被写領域PAを撮像しているのかは一義的に決まらない。このため、基板処理装置100においては、各カメラ70と、各カメラ70が撮像する被写領域PAを紐付けする紐付処理が必要となる。
【0100】
紐付処理部814が、各カメラ70で得られた画像PHを処理することによって、各カメラ70が撮像する被写領域PAを特定する。そして、紐付処理部814が各カメラ70と各被写領域PAとの紐付けを示す紐付情報832を生成する。以下、紐付情報832を生成するための各紐付処理について説明する。
【0101】
<第1の紐付処理>
図6は、第1の紐付処理の流れの一例を示す図である。図6に示す紐付処理は、特に断らない限り、制御部8の制御下で行われる。図6に示す例では、各被写領域PA(1)-PA(12)について、対応する各カメラ70が1つずつ順に特定される。
【0102】
この紐付処理では、まず、特定対象の被写領域PAとして1つ目の被写領域PA(1)が設定される(ステップS11)。続いて、照明制御部812が、特定対象である被写領域PAを照明する照明具71を点灯させ、他の各照明具71を消灯させる(ステップS12)。最初は、ステップS11において、洗浄処理ユニット1(1)の被写領域PA(1)が特定対象とされるため、ステップS12では、照明制御部812が照明具71(1)を点灯させ、他の照明具71(2)-71(12)を消灯させる。
【0103】
ステップS12の後、全てのカメラ70が撮像を行う(ステップS13)。各カメラ70は、シリアルバスケーブル73を介して、画像データを制御部8に送る。制御部8に送られてくる各画像データには、各カメラ70固有の識別情報が含まれているため、制御部8は、画像データに含まれる固有情報を参照することによって、どのカメラ70で撮像されたかを判別できる。ただし、初期段階では、各カメラ70の撮像視野がどの洗浄処理ユニット1の被写領域PAに対応するかは不明である。
【0104】
各画像データが制御部8に送られてくると、紐付処理部814の画像処理部815は、各画像データが示す画像PHの平均輝度値(全画素の輝度値の平均値)を算出する画像処理を行う。そして、紐付処理部814は、各画像PHの中から、平均輝度値が最大となる画像PHを検出する(ステップS14)。
【0105】
照明された被写領域PAの画像PHは、照明されていない被写領域PAの画像PHよりも相対的に明るくなる。特に、チャンバ10が暗室である場合、照明が行われない被写領域PAの画像PHにおける輝度値が極めて小さくなる。そこで、各画像PHの各平均輝度値を比較することによって、ステップS12にて照明された被写領域PAに対応する画像PHを容易に特定できる。
【0106】
例えば、ステップS12において、被写領域PA(1)が照明具71(1)で照明された場合、その被写領域PA(1)を撮像するカメラ70(1)で得た画像PH(1)が相対的に明るくなり、その他の被写領域PA(2)-PA(12)の画像PH(2)-PH(12)は暗くなる。したがって、平均輝度値を算出することによって、被写領域PA(1)に対応するカメラ70(1)を特定できる。換言すると、カメラ70(1)に対応する被写領域PA(1)を特定できる。
【0107】
なお、画像処理部815は、平均輝度値のほか、中間輝度値(全画素の輝度値の中間値)、輝度値の分散、輝度値の標準偏差などの輝度値の代表値を算出してもよい。そして、紐付処理部814は、この代表値に基づいて、照明された画像に対応する画像PHを検出してもよい。また、画像処理部815は、予め準備された基準画像と、検査対象の画像PHとの間で、輝度値の差分値を取り、その差分値が所定の閾値を超える画像を検出してもよい。
【0108】
ステップS14の後、紐付処理部814は、ステップS13において抽出された画像PHを撮像したカメラ70を、ステップS12において照明された被写領域PAに紐付けする(ステップS15)。この処理は、具体的には、ステップS13において特定された画像PHのカメラ70を示す固有情報と、ステップS12で照明された被写領域PAを示す識別情報との組合せが記述された紐付情報832を生成する処理、およびその紐付情報832を記憶部83に保存する処理を含む。
【0109】
ステップS15の後、制御部8は、全てのカメラ70について、各被写領域PAとの紐付けが完了したかどうかを判定する(ステップS16)。具体的には、制御部8は、12番目までの被写領域PAについての処理が完了したかどうかを判定する。ステップS16において、紐付けが完了していない被写領域PAが存在する場合(NOの場合)、紐付処理部814は、次の被写領域PAを特定対象に設定する(ステップS17)。そして、ステップS12に戻り、以降の処理を繰り返し実行する。ステップS16において、全ての紐付けが完了している場合(YESの場合)、制御部8は、各カメラ70と被写領域PAとの紐付処理を完了する。
【0110】
以上のように、第1の紐付処理では、複数の照明具71を1つずつ順番に点灯することによって、各被写領域PAの照明パターン(照明状態または非照明状態)を異ならせることができる。これによって、各カメラ70で得られる各画像PHのうち、特定対象の被写領域PAに対応する画像PHに、他の画像PHよりも明るい輝度値を持たせることができる。このため、その対応する画像PHを容易に検出できる。したがって、各被写領域PAに対応するカメラ70を適正に特定できる。
【0111】
なお、ステップS12において、特定対象の被写領域PAに対応する照明具71のみを消灯させ、残りの照明具71を点灯させてもよい。この場合、特定対象の被写領域PAのみを暗くできる。このため、ステップS14においては、紐付処理部814が、各カメラ70で得られる各画像PHのうち平均輝度値が最も画像PHを対応するものとして検出するとよい。
【0112】
基板処理装置100によると、各カメラ70と各被写領域PAとの紐付けを自動化できる。このため、作業者が手作業および目視確認で行うことによる作業負担および人為的ミスの発生を抑制できる。このため、紐付けを迅速かつ精度良く行うことができる。
【0113】
<第2の紐付処理>
第1の紐付処理では、1つの照明具71を順番に点灯させることによって、各被写領域PAに異なる照明パターンが適用される。これに対して、第2の紐付処理では、複数の照明具71が同時に点灯され、且つ各被写領域PAに対して異なる照明パターンが適用される。具体的には、各照明具71について、点灯の継続時間を互いに異ならせることによって、各被写領域PAに対して異なる照明パターンが適用される。
【0114】
第2の紐付処理が採用される場合、各カメラ70は連続撮像を行うとよい。連続撮像とは、各カメラ70が対応する被写領域PAを一定間隔で連続して撮像することをいう。また被写領域PA毎に、照明具71の点灯を継続する時間のデータが、参照情報834として記憶部83に予め保存される。紐付処理部814は、連続撮影で得られた各画像データが示す輝度値と参照情報834とに基づいて、各被写領域PAの照明パターンに合致する画像PHを検出するとよい。
【0115】
例えば、被写領域PA(1)については照明具71(1)に1秒間点灯させ、被写領域PA(2)については照明具71(2)に2秒間点灯させる。紐付処理部814は、各カメラ70で得られる各画像データの中から、各照明パターンに適合する画像データを平均輝度値などの輝度値に基づいて取得するとよい。例えば、各画像に照明具71(1)に対応するカメラ70(1)の画像データには、所定閾値を超える平均輝度値を持つ明るい画像フレームが1秒間だけ含まれることになる。また、照明具71(2)に対応するカメラ70(2)からの画像データには、上記明るい画像フレームが2秒間だけ含まれる。このように、点灯時間が異なる照明パターンで各被写領域PAを照明することによっても、対応するカメラ70を特定することができる。
【0116】
第2の紐付処理の場合、全ての被写領域PAを同時に異なる照明パターンで照明することによって、一度に全ての被写領域PAについて各カメラ70と紐付けすることが可能である。ただし、全ての被写領域PAを複数のグループに分けて、グループ単位での紐付処理がグループ順に行われてもよい。
【0117】
照明パターンを異ならせる場合、点灯の継続時間のほか、消灯の継続時間、点灯回数(消灯回数)のうち少なくとも1つを変えることが考えられる。例えば、消灯の継続時間が異なる照明パターンで各被写領域PAを照明するようにしてもよい。この場合、各カメラ70で得られる各画像データは、照明パターンに応じて、平均輝度値が所定閾値よりも小さい平均輝度値を持つ暗い画像フレームが異なる時間だけ含まれることになる。したがって、紐付処理部814は、上記暗い画像フレームの時間を取得することによって、各被写領域PAに対応するカメラ70を特定するとよい。
【0118】
<第3の紐付処理>
第3の紐付処理では、各照明具71が互いに異なる色の光を対応する被写領域PAに照射することによって、各被写領域PAに異なる照明パターンが適用される。各カメラ70は、各色を検出できるように、カラーイメージセンサを備えているとよい。各被写領域PAが異なる色で照明されることによって、各カメラ70で得られる各画像PHが、異なる色情報を持つことになる。各被写領域PAに照射される光の色に関する情報は、参照情報834として記憶部83に予め保存される。そして、紐付処理部814は、画像処理によって各画像PHが持つ色情報を特定するとともに、参照情報834を参照することによって、その色情報に対応する色の光が照射された被写領域PAを特定するとよい。
【0119】
第3の紐付処理の場合、全ての被写領域PAのそれぞれを異なる色で同時に照明することによって、一度に全ての被写領域PAについて各カメラ70と紐付けすることが可能である。ただし、全ての被写領域PAを複数のグループに分けて、グループ単位での紐付処理がグループ順に行われてもよい。
【0120】
<第4の紐付処理>
第4の紐付処理では、各照明具71が各カメラ70で得られる各画像PH間で輝度値分布が異なるように各被写領域PAを照明することによって、各被写領域PAに異なる照明パターンが適用される。
【0121】
図7は、第4の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。各画像PH(1)-PH(4)は、それぞれ1つまたは複数の明領域LA1を含む。明領域LA1は、相対的に明るい(輝度値が所定の閾値よりも大きい)輝度値を持つ画素の集合である。明領域LA1の位置は、各画像PH(1)-PH(4)間で異なっている。例えば、明領域LA1は、画像PH(1)では左上寄りの位置、画像PH(2)では左下寄りの位置に、画像PH(3)では右上寄りの位置、画像PH(4)では左下寄りの位置および右上寄りの位置に、それぞれ存在している。
【0122】
図7に示すように、各画像PH間で明領域LA1の位置を異ならせるためには、例えば、各照明具71間で、被写領域PAに対する相対的な配置位置、または照明方向などを異ならせるとよい。例えば、各照明具71を各チャンバ10内の異なる位置に配された複数の発光体で構成してもよい。そして、照明制御部812が、各照明具71の各発光体を、予め設定された輝度値分布に対応するパターンで発光させるとよい。これによって、各カメラ70で得られる画像PH間で、輝度値分布のパターンを異ならせることができる。
【0123】
第4の紐付処理が採用される場合、各被写領域PA毎に適用される輝度値分布のパターンを示すデータが、参照情報834として記憶部83に予め保存される。そして、画像処理部815が明領域LA1を検出し、紐付処理部814が検出された明領域LA1に応じた輝度値分布パターンに一致する被写領域PAを、参照情報834に基づいて特定するとよい。
【0124】
第4の紐付処理の場合、複数の被写領域PAについて一度に各カメラ70と紐付けすることが可能である。なお、全ての被写領域PAを複数のグループに分けて、グループ単位での紐付処理が順に行われるようにしてもよい。
【0125】
<第5の紐付処理>
第5の紐付処理では、各被写領域PA内の適宜の位置に配される指標物9に基づいて、各カメラ70と各被写領域PAとが紐付けされる。指標物9は、例えば、各洗浄処理ユニット1のチャンバ10内に配置され、且つ各被写領域PAを識別するための固有の識別情報を表示する部材である。
【0126】
図8は、第5の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。各画像PH(1)-PH(4)は、それぞれ1つ指標物9の像を含んでいる。各指標物9は、各指標物9が配置された被写領域PAを識別するための識別情報を表示している。図8に示す各指標物9は、被写領域PAが設定されている洗浄処理ユニット1の識別情報を表示しており、具体的には「MPC1」「MPC2」・・・といったように文字を表示している。各指標物9は、対応する被写領域PAの識別情報を、文字のほか、記号、図形またはこれらの組合せで表示してもよい。
【0127】
第5の紐付処理が採用される場合、各指標物9が表示する識別情報は、参照情報834として記憶部83に予め保存される。画像処理部815がカメラ70で得られた各画像PHを処理することによって、画像PHに含まれる指標物9の像が示す識別情報を検出する。このときに適用される画像処理として、例えばパターン認識を適用してもよい。紐付処理部814は、抽出された識別情報と参照情報834とに基づいて、各画像PHに対応する被写領域PAを特定する。なお、指標物9の像を含む画像PHに対して、機械学習によって得られる学習済みモデルを適用して、その画像PHに対応する被写領域PAを特定するようにしてもよい。
【0128】
第5の紐付処理の場合、各カメラ70で得られる画像PHに含まれる指標物9から直接的に被写領域PAを特定できる。このため、各カメラ70と、各カメラに対応する被写領域PAとを適正紐付けできる。
【0129】
第5の紐付処理の場合、複数の被写領域PAについて一度に各カメラ70と紐付けすることが可能である。なお、全ての被写領域PAを複数のグループに分けて、グループ単位での紐付処理がグループ順に行われてもよい。
【0130】
<第6の紐付処理>
第5の紐付処理では、各被写領域PA内の適宜の位置に配される指標物として、各被写領域PA固有の識別情報を表示するものとしている。第6の紐付処理では、各洗浄処理ユニット1に配置された可動部を指標物とする。可動部は、制御部8によって位置が制御される部材とすることができる。
【0131】
図9は、第6の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。図9に示す例では、可動部の1つであるノズル30が指標物とされており、各被写領域PAのうち特定対象の1つ被写領域PAにおいてノズル30(詳細には、吐出ヘッド31)がスピンベース21の中心付近の位置L11に配され、他の被写領域PAではノズル30がスピンベース21の上方から外れた位置L12に配される。これにより、各画像PHのうち1つの画像PHのみでノズル30が位置L11に配され、他の画像PHではノズル30が位置L12に配される。図9に示す例では、画像PH(1)においてノズル30が位置L11に配されており、他の画像PH(2)-PH(4)ではノズル30の吐出ヘッド31が位置L12に配されている。このため、特定対象の被写領域PAに対応するカメラ70は、カメラ70(1)であることが分かる。このように、各被写領域PAについて順番に可動部を移動させることにより、全ての被写領域PAについて対応するカメラ70を特定できる。
【0132】
<第7の紐付処理>
第6の紐付処理では、可動部を1つずつ移動させることによって、被写領域PAに対応するカメラ70が1つずつ特定される。第7の紐付処理では、各被写領域PAにおいて、各可動部を相対的に異なる位置に移動させる。また、各カメラ70で得られる各画像PHにて可動部の位置が検出されることによって、各被写領域PAに対応するカメラ70が特定される。
【0133】
図10は、第7の紐付処理において、各カメラ70(1)-70(4)で得られる各画像PH(1)-PH(4)を模式的に示す図である。図10では、可動部の1つであるノズル30が指標物とされており、各被写領域PAにおいて各ノズル30を相対的に異なる位置に移動させる。図10に示す例では、各画像PH(1)-PH(4)間において、ノズル30の相対的な位置が異なっている。具体的には、ノズル30の吐出ヘッド31は、画像PH(1)ではスピンベース21上の右縁付近の位置L21に、画像PH(2)ではスピンベース21上から外れた位置L22に、画像PH(3)ではスピンベース21の中心付近の位置L23に、画像PH(4)ではスピンベース21上の左縁付近の位置L24にそれぞれ配されている。
【0134】
第7の紐付処理が採用される場合、各被写領域PAにおいて可動部を配される位置が、参照情報834として記憶部83に予め保存される。また、紐付処理部814は、各カメラ70で得られる各画像PHを処理することによって、各画像PHにおける可動部(例えば、ノズル30の吐出ヘッド31)を検出するとともに、可動部の各画像PHにおける位置を検出する。可動部の検出は、例えば予め準備された基準画像とのパターンマッチングを行うパターン認識を適用できる。また、可動部の位置の取得は、機械学習によって得られた学習済みモデルを利用してもよい。紐付処理部814は、検出された可動部の位置と一致する被写領域PAを、参照情報834を参照することによって特定する。これによって、各カメラ70と各被写領域PAとを適切に紐付けできる。
【0135】
第7の紐付処理の場合、複数の被写領域PAについて同時に各カメラ70と紐付けできる。なお、全ての被写領域PAを複数のグループに分けるとともに、グループ単位での紐付処理がグループ順に行われてもよい。
【0136】
なお、指標物となる可動部はノズル30に限定されない。例えば、ノズル60,65のほか、チャックピン26を指標物とすることも考えられる。また、1つの可動部だけではなく、複数の可動部を移動させてもよい。すなわち、各被写領域PA間で、複数の可動部の配置を変更することによって、各カメラ70で得られる各画像PH間での可動部の位置を異ならせることができる。したがって、各画像PHにおいて複数の可動部の位置を検出することにより、各画像PHについて対応する被写領域PAを適切に特定できる。
【0137】
<2. 第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。なお、以降の説明において、既に説明した要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号またはアルファベット文字を追加した符号を付して、詳細な説明を省略する場合がある。
【0138】
図11は、第2実施形態の洗浄処理ユニット1Aの概略平面図である。洗浄処理ユニット1Aは、2つのカメラ70a,70bを備えている。各カメラ70a,70bの視野は、異なる位置に設定されている。このため、各カメラ70a,70bは、異なる被写領域PAa,PAbを撮像する。また、図示を省略するが、カメラ70a,70bは、撮像によって得られた画像データを制御部8にシリアル通信で送信する。
【0139】
図11に示す例では、カメラ70aは被写領域PAaを撮像対象としており、カメラ70bは被写領域PAbを撮像対象としている。制御部8は、各カメラ70a,70bからシリアル通信で送られる画像データを受信する。その画像データには、各カメラ70a,70bの固有の識別情報(例えば、シリアル番号)が含まれるものの、制御部8は、そのシリアル番号が、カメラ70a,70bのどちらに対応するかどうか、あるいはどの被写領域PAに対応するかは、制御部8の側では特定できない。このため、各被写領域PAa,PAbを監視するためには、各カメラ70a,70bと各被写領域PAa,PAbとの紐付けが必要である。
【0140】
紐付処理部814は、各カメラ70a,70bと、被写領域PAa,PAbとを紐付けする紐付情報832を生成する。紐付処理部814は、画像処理部815による各カメラ70a,70bで得られた各画像PHの処理に基づいて、対応する被写領域PAa,PAbを特定する。
【0141】
カメラ70a,70bは、同じ洗浄処理ユニット1のチャンバ10内を、異なる視野で撮像する。このため、各カメラ70a,70bで得られる各画像PHは、異なる情報をもつ。具体的には、2つの画像PHを比較したときに、各画像PHに共通しない物体の像が含まれる場合のほか、同一の物体の像が相対的に異なる位置に含まれる場合がある。このため、例えば、画像処理部815から識別するための物体(あるいは、その物体の位置)を検出することによって、紐付処理部814が被写領域PAに対応する画像PHを検出するようにしてもよい。この場合、参照情報834として、被写領域PA毎の検出対象となる物体の情報(物体の像の画像、位置情報)を記憶部83に予め保存しておくとよい。
【0142】
被写領域PAa,PAb各々に、固有の指標物を配してもよい。この場合、画像処理部815が、各カメラ70a,70bで得られる各画像PHにおいて、各指標物をパターン認識などの画像処理で検出するとよい。この処理結果に応じて、紐付処理部814が、各画像PHに対応する被写領域PAa,PAbを特定するとよい。
【0143】
指標物は、例えば図8に示す指標物9のように、各被写領域PAa,PAbに設けられ、各被写領域PAa,PAbに固有の識別情報を文字、図形、記号またはこれらの組合せで表示するものとしてもよい。あるいは、図9および図10において説明したように、ノズル30などの可動部を指標物としてもよい。例えば、被写領域PAa,PAbにノズル30を移動させるとよい。
【0144】
なお、基板処理装置100は、複数の洗浄処理ユニット1Aを備えていてもよい。この場合、第1実施形態で説明した処理と、第2実施形態で説明した処理とを適用してもよい。具体的には、上記「第1の紐付処理」で説明したように、各洗浄処理ユニット1Aの各照明具71を1つずつ順に点灯する。これにより、照明された洗浄処理ユニット1Aのカメラ70a,70bで得られた2つの画像PHが相対的に明るくなることから、当該洗浄処理ユニット1Aに配されているカメラ70a,70bを容易に特定できる。その上で、紐付処理部814が本実施形態で説明した紐付処理を行うことによって、カメラ70a,70bとそれぞれが撮像する各被写領域PAa,PAbとを適正に紐付けできる。
【0145】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0146】
100 基板処理装置
1,1A 洗浄処理ユニット
10 チャンバ
20 スピンチャック
21 スピンベース
22 スピンモータ
24 回転軸
26 チャックピン(可動部)
30,60,65 ノズル(可動部)
31 吐出ヘッド
332 モータ(ノズル駆動部)
40 処理カップ
70,70a,70b カメラ
71 照明具
73 シリアルバスケーブル
8 制御部
83 記憶部
85 表示部
87 入力部
812 照明制御部
814 紐付処理部
815 画像処理部
832 紐付情報
834 参照情報
9 指標物
LA1 明領域
PA 被写領域
PAa,PAb 被写領域
PH 画像
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11