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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】バンドの連結構造及びバンドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/10 20060101AFI20221013BHJP
【FI】
A44C5/10 511Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018216275
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020081069
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大越 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸島 功
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 純一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恭
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-135105(JP,A)
【文献】実開昭56-053912(JP,U)
【文献】再公表特許第2015/079859(JP,A1)
【文献】特開2010-269111(JP,A)
【文献】特公昭49-042072(JP,B1)
【文献】特開2006-304956(JP,A)
【文献】特開平11-262403(JP,A)
【文献】米国特許第05197274(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドの幅方向に配列された外駒と中駒とが連結して構成された駒体を、複数、相対的に回転可能に繋いだバンドの連結構造であって、
前記外駒又は前記中駒の一方の駒は、前記一方の駒に一体化された、他方の駒に向けて前記配列方向に突出した突出部材を有し、
前記他方の駒は、前記突出部材が嵌め合わされる嵌合孔を有し、
前記突出部材が前記嵌合孔に圧入されて、前記外駒と前記中駒とが連結し、
前記突出部材が前記嵌合孔に圧入された状態での前記突出部材の外面と前記嵌合孔の内面との圧入方向の摩擦力を、前記突出部材が前記嵌合孔に圧入されただけの状態の前記摩擦力よりも増強させる摩擦力増強部を有し、
前記摩擦力増強部は、前記嵌合孔に圧入された前記突出部材の側面に臨むように、前記嵌合孔の延びた方向に対して交差する方向に延びて形成された交差孔と、前記嵌合孔に圧入された前記突出部材のうち前記交差孔に突入した部分の外面と前記交差孔の内面との間に挟まれた、前記交差孔に挿入された嵌合部材と、を有し、
前記嵌合部材は球体であるバンドの連結構造。
【請求項2】
前記突出部材は、前記一方の駒の一部に一体に形成されている請求項1に記載のバンドの連結構造。
【請求項3】
前記摩擦力増強部は、前記突出部材の外面と前記嵌合孔の内面とが固相接合により固着している部分である請求項1又は2に記載のバンドの連結構造。
【請求項4】
前記嵌合部材の、前記交差孔に直交する面による断面輪郭における最大の直径となる部分が、前記嵌合孔に圧入された前記突出部材の側面のうち前記交差孔の内部に突出した寸法が最大となる前記交差孔の深さ方向における位置よりも深い位置となるように、前記嵌合部材が配置されている請求項1から3のうちいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項5】
前記外駒、前記中駒及び前記突出部材は、いずれもチタンで形成されている請求項1から4のうちいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項6】
前記突出部材を有する前記一方が、前記外駒であり、
前記嵌合孔が形成された前記他方が、前記中駒であり、
前記嵌合孔は前記中駒を貫通して形成されている請求項1から5のうちいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項7】
前記突出部材は、前記幅方向に直交する断面の形状が非円形となるように形成されている請求項1から6のうちいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項8】
前記突出部材は、前記一方の駒の厚さの1/3以上の厚さで形成されている請求項1から7のうちいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項9】
前記駒体を、複数、相対的に回転可能に繋ぐ連結部材は、前記外駒又は前記中駒の一方の駒に設けられ他方の駒に向けて前記配列方向に突出し前記一方の駒に一体に形成された第2の突出部材であり、
前記第2の突出部材は、前記他方の駒に設けられた第2の嵌合孔に挿入されて、前記外駒と前記中駒とを相対的に回転可能に繋ぐ請求項1から8のうちのいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【請求項10】
前記駒体を、複数、相対的に回転可能に繋ぐ連結部材は、前記外駒及び前記中駒のそれぞれに互いに対向して形成された半球状の孔により形成される球状の空間に配置された球状体であり、
前記球状体が前記球状の空間に配置されて、前記外駒と前記中駒とを相対的に回転可能に繋ぐ請求項1から9のうちのいずれか1項に記載のバンドの連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンドの連結構造及びバンドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計を腕に装着するためのバンドとして、手首の周方向に沿って複数の駒体を連結したものがある。このようなバンドの駒体は、バンドの幅方向の両端に配置される外駒と、2つの外駒の間に配置される1つ以上の中駒とを連結して構成されている。
【0003】
外駒と中駒との連結構造としては、いわゆるCリング方式が知られている。Cリング方式は、外駒と中駒とにそれぞれ、バンドの幅方向に延びた細い孔が形成され、外駒と中駒とを並んだ配置とした上で各孔に共通の細い連結ピンを通し、この連結ピンを介して外駒と中駒とを連結した構造である。この連結構造は、連結ピンが孔から脱落するのを防止するために、断面C字状の筒(Cリング)を孔に配置したものである。
【0004】
Cリングは内径が連結ピンの外径より小さく形成されているが、Cリングが弾性によりCリングの内側に連結ピンを通すことができ、Cリングに連結ピンを通した状態では、Cリングと連結ピンとは弾性力による摩擦力で一体化される。
【0005】
一方、Cリングの配置されている孔の部分は、孔の他の部分より径が大きく形成されているため、Cリングの外周面は孔の面に接触しないが、外側に広がったCリングの外径は孔の他の部分の径よりも大きいため、Cリングは孔から脱落しない。これにより、Cリングと一体化した連結ピンが、孔から脱落することなく、孔内に保持される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-28445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、Cリング方式の連結構造で用いられる連結ピンは細く長いため、装着中の手首の動き等によってバンドに過度の荷重が掛ると、連結ピンが曲がったり折れたりすることが起こりうる。そして、連結ピンが折れると、駒同士の連結が解かれて駒が脱落し、手首からバンドが外れて時計を落下させる事態が起こり得る。
【0008】
また、この連結構造は、連結ピンを通すための孔を駒に穿孔する必要があるが、細くて長い孔を低コストで形成するのは難しい。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、連結ピンを削減し、簡単な構造で駒を連結する、バンドの連結構造及びバンドの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、バンドの幅方向に配列された外駒と中駒とが連結して構成された駒体を、複数、相対的に回転可能に繋いだバンドの連結構造であって、前記外駒又は前記中駒の一方の駒は、前記一方の駒に一体化された、他方の駒に向けて前記配列方向に突出した突出部材を有し、前記他方の駒は、前記突出部材が嵌め合わされる嵌合孔を有し、前記突出部材が前記嵌合孔に圧入されて、前記外駒と前記中駒とが連結しているバンドの連結構造である。
【0011】
本発明の第2は、外駒又は中駒の一方の駒に一体成形された突出部材を、他方の駒に形成された嵌合孔に圧入して、前記外駒と前記中駒とをバンドの幅方向に連結し、その後、前記外駒と前記中駒とが連結して形成された駒体の、前記突出部材の外面と前記嵌合孔の内面との、圧入方向の摩擦力を、前記突出部材が前記嵌合孔に圧入されただけの前記摩擦力よりも増強させたバンドの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るバンドの連結構造及び製造方法によれば、連結ピンを削減し、簡単な構造で、駒を連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るバンドの連結構造が適用され、また、本発明に係るバンドの製造方法で製造された一例の腕時計用のバンドをおもて面側から見た斜視図である。
図2】バンドを裏面側から見た斜視図である。
図3図1,2に示したバンドの中駒を示す斜視図である。
図4図1,2に示したバンドの2つの外駒のうち一方の外駒を示す斜視図である。
図5図3に示した中駒とその両隣に配置した図4に示した2つの外駒(図4に示した状態から上下反対にして)を連結した駒体を示す平面図である。
図6図5におけるA-A線に沿った面による断面図である。
図7】断面形状が三角形となる三角柱状のダボを有する駒体を示す図6相当の断面図である。
図8】断面形状が矩形となる矩形柱状のダボを有する駒体を示す図6相当の断面図である。
図9】断面形状が六角形となる六角柱状のダボを有する駒体を示す図6相当の断面図である。
図10】軸に代わる第2のダボが形成された中駒を含む駒体を示す斜視図である。
図11】軸に代わるベアリングが形成された中駒を含む駒体を示す斜視図である。
図12】他の実施形態のバンドをおもて側から見た斜視図である。
図13図10に示した実施形態における駒体において、外駒にダボを形成し、中駒に嵌合孔が形成された別例(その1)を示す図10相当の斜視図である。
図14図11に示した実施形態における駒体において、外駒にダボを形成し、中駒に嵌合孔が形成された別例(その2)を示す図11相当の斜視図である。
図15】本発明に係るバンドの連結構造が適用され、また、本発明に係るバンドの製造方法で製造された他の一例の腕時計用のバンドにおける駒体の、図6相当の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るバンドの連結構造及びバンドの製造法の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
<実施形態1>
図1は本発明に係るバンドの連結構造が適用され、また、本発明に係るバンドの製造方法で製造された一例の腕時計用のバンド1をおもて面側から見た斜視図、図2はバンド1を裏面側から見た斜視図、図3図1,2に示したバンド1の中駒30、図4図1,2に示したバンド1の2つの外駒10,20のうち一方の外駒20を示す斜視図である。
【0016】
なお、外駒10は、幅方向Wにおいて、中駒30を挟んで図4に示した外駒20と対称形状となるため、図4において、外駒20の部位とそれぞれ対応する外駒10の各部位を示す符号を括弧書きで表示した。
【0017】
また、図3の中駒30は図1に示したバンド1と同様に、おもて面31を上方に向け、裏面32を下方に向けた姿勢で表示している。一方、図4の外駒20は図2に示したバンド1と同様に、裏面22を上方に向け、おもて面21を下方に向けた姿勢で表示している。
【0018】
また、図5は、図3に示した中駒30とその両隣に配置した図4に示した2つの外駒10,20(図4に示した状態から上下反対にして)を連結した駒体50を示す平面図、図6は、図5におけるA-A線に沿った面による断面図である。
【0019】
バンド1は、図1,2に示すように、その幅方向Wの両端に外駒10,20が配置され、両外駒10,20の間に1つの中駒30が配置され、これら、幅方向Wに配列された外駒10、中駒30及び外駒20が連結されて、バンド1の長さ方向Lの繰り返し単位となる1つの駒体50(図5参照)を構成している。
【0020】
なお、連結して得られた駒体50は、外駒10のおもて面11、外駒のおもて面21及び中駒30のおもて面31が同一面となるように揃えられている。
【0021】
中駒30は、図3に示すように、幅方向Wの一方の端面33が、図1に示すように,外駒20に隣り合う面であり、幅方向Wの他方の端面34が、図1に示すように,外駒10に隣り合う面である。
【0022】
中駒30には、端面33から幅方向W(配列方向)の外駒20に向けて突出した突起部であるダボ35(突出部材)が形成されている。同様に、中駒30は、端面34から幅方向Wの外駒10に向けて突出した突起部であるダボ36(突出部材)が形成されている。これらのダボ35,36は、中駒30と外駒20,10とを連結する部分である。
【0023】
中駒30は、ダボ35,36が、中駒30の一部分として一体に形成されている。そして、例えば、中駒30が、両ダボ35,36の先端までの幅方向Wの寸法で一様な断面形状の部材として切り出された後に、ダボ35,36の部分を残すようにダボ35,36の周囲を端面33,34まで旋削等の加工で除去することにより、中駒30と一体のダボ35,36を形成することができる。
【0024】
なお、ダボ35,36は、中駒30とは別体の突出部材で形成されて、後に接着や圧着、固相接合等により、中駒30に固着されて中駒30と一体化されていてもよい。
【0025】
ダボ35,36は、幅方向Wに直交する断面による輪郭形状が、中駒30の厚さ方向Tに沿った寸法に比べて長さ方向Lに沿った寸法が長い長円形となる長円柱状に形成されている。なお、ダボ35,36は、その厚さ方向Tに沿った寸法が、中駒30自体の厚さ(厚さ方向Tに沿った寸法)の1/3よりも大きく形成されている。
【0026】
したがって、ダボ35,36は、公知のバンドにおいて中駒と外駒とを連結している連結ピンに比べて、格段に太く、ダボ35,36の軸回りの捩じり剛性が格段に強い。なお、ダボ35,36の厚さは、中駒30自体の厚さの1/3よりも大きくなくてもよい。
【0027】
また、ダボ35,36は、中駒30の長さ方向Lにおける中央ではなく、長さ方向Lの一方に偏った位置に形成されている。この偏った方向は、ダボ35とダボ36とで同じ方向である。さらに、中駒30の長さ方向Lにおいて、ダボ35,36が偏って設けられた方向とは反対側の偏った部分に、幅方向Wに沿って両端面33,34間を貫通する貫通孔37が形成されている。この貫通孔37は、複数の駒体50同士を相対的に回転可能に、長さ方向lに繋ぐ、後述する連結部材の一例である軸42(図5参照)が通される孔である。
【0028】
外駒20は、図4に示すように、幅方向Wの一方の端面23が、図1に示すように,中駒30に隣り合う面である。同様に、外駒10は、図4に示すように、幅方向Wの一方の端面13が、図1に示すように,中駒30に隣り合う面である。
【0029】
なお、前述したように、外駒10は外駒20と、幅方向Wにおいて対称形状であるため、以下、外駒20についての説明は、外駒10についても同様に適用されるものとし、外駒10の説明は括弧書きでのみ示す。
【0030】
外駒20(10)は、端面23(13)に、中駒30から突出したダボ36(35)が嵌め合わされる嵌合孔25(15)が形成されている。嵌合孔25(15)は、ダボ36(35)と同様、幅方向Wに直交する断面による輪郭形状が長円形の長円柱状の空間である。ただし、嵌合孔25(15)の外形はダボ36(35)の外形よりも僅かに小さい。
【0031】
このため、嵌合孔25(15)にダボ36(35)が嵌め合わされる際は、緩い挿入ではなく、きつい挿入となり、工具等を用いることで軸方向に強い荷重を掛けて強制的に挿入する圧入となる。
【0032】
また、嵌合孔25(15)は、幅方向Wの反対側の端面24(14)までは達していない。したがって、嵌合孔25(15)は、端面24(14)に露出しない。
【0033】
嵌合孔25(15)は、外駒20(10)の長さ方向Lにおける中央ではなく、長さ方向Lの一方に偏った位置に形成されている。この偏った方向は、中駒30におけるダボ35,36の偏った方向とは反対の方向である。つまり、中駒30におけるダボ35,36の偏った方向が長さ方向Lの奥側であれば、外駒20(10)における嵌合孔25(15)の偏った方向は長さ方向Lの手前側である。
【0034】
外駒20(10)の長さ方向Lにおいて、嵌合孔25(15)が偏って設けられた方向とは反対側の偏った部分に、幅方向Wに沿って両端面23,24(13,14)間を貫通する貫通孔27(17)が形成されている。この貫通孔27(17)は、後述する軸42が通される孔であり軸42は、長さ方向Lに駒体50同士を連結する。
【0035】
前述したように、外駒20(10)における嵌合孔25(15)の偏った方向と、中駒30におけるダボ35,36の偏った方向とが反対であるため、例えば、奥側に偏って形成されたダボ36と手前側に偏って形成された嵌合孔25とを嵌め合わせたとき、図5に示すように、中駒30と外駒20(10)とが、長さ方向Lにずれた状態で連結され、中駒30の貫通孔37が外駒20(10)からずれた奥側、外駒20(10)の貫通孔27(17)が中駒30からずれた手前側に配置される。
【0036】
この結果、図5に示すように、外駒10、中駒30及び外駒20が連結された1つの駒体50(例えば、実線で表した駒体50)を他の駒体50(例えば二点鎖線で表した駒体50)と、相対的に回転可能に繋いでバンド1を形成する際に、1つの駒体50における外駒20,10の貫通孔27,17と、他の駒体50における中駒30の貫通孔37とを一直線上に配置した状態とすることができる。
【0037】
そして、これら一直線上に並んだ貫通孔27,37,17に、外駒10又は外駒20の幅方向Wの外側から1本の共通の軸42を通した状態で、2つの駒体50,50を長さ方向Lに繋ぐことができる。
【0038】
また、外駒20(10)は、嵌合孔25(15)に圧入されたダボ36(35)の外面36a(35a)の一部である側面36b(35b)に臨むように、すなわち嵌合孔25(15)と連通するように、裏面22(12)から、嵌合孔25(15)の延びた方向(幅方向W)に対して直交する方向(厚さ方向T)に延びた交差孔26(16)が形成されている。交差孔26(16)は外駒20(10)のおもて面21(11)には貫通しない。
【0039】
交差孔26(16)は、外駒20(10)の長さ方向Lにおいて、嵌合孔25(15)が偏って設けられた方向に対して、長さ方向Lの中央側に設けられている。
【0040】
交差孔26(16)には、例えば球体に形成された嵌合部材41が挿入される。嵌合部材41は、交差孔26(16)の延びた方向に直交する面による断面輪郭の直径よりも小さい直径であるため、図5,6に示すように、嵌合部材41は交差孔26(16)に対して緩く挿入される。
【0041】
一方、交差孔26(16)は、嵌合孔25(15)と連通しているため、図6に示すように、嵌合孔25(15)に圧入されたダボ36(35)の一部が交差孔26(16)に突入した状態となっている。そして、交差孔26(16)に突入したダボ36(35)は、交差孔26(16)の一部を塞ぐ。嵌合部材41の直径は、交差孔26(16)の一部をダボ36(35)が塞いだ深さ位置における断面での交差孔26(16)の空間の寸法よりも大きく設定されている。
【0042】
したがって、交差孔26(16)の、ダボ36(35)が塞いだ深さ位置においては、嵌合部材41は通過できない。しかし、嵌合部材41を交差孔26(16)の深さ方向(厚さ方向T)に押圧する荷重を作用させることにより、嵌合部材41が、交差孔26(16)を画成する外駒20(10)の内面(以下、単に交差孔26(16)の内面という。)26a(16a)と突出したダボ36(35)の側面36b(35b)とを押圧し、ダボ36(35)や交差孔26(16)の内面26a(16a)の壁部分や嵌合部材41を縮むように弾性変形させる。
【0043】
これにより、嵌合部材41は、交差孔26(16)の、ダボ36(35)が塞いだ深さ位置を通過することができる。
【0044】
そして、嵌合部材41の、交差孔26(16)に直交する面による断面輪郭における最大の直径となる部分が、交差孔26(16)に突入したダボ36(35)の寸法が最大となる交差孔26(16)の深さ位置よりも深い位置で、嵌合部材41は、交差孔26(16)の底面26b(16b)に接した状態で停止する。
【0045】
停止した状態の嵌合部材41は、交差孔26(16)の底面26b(16b)、交差孔26(16)の内面26a(16a)及びダボ36(35)の側面36b(35b)に接して挟まれた状態となり、嵌合部材41は固定された状態で安定し、交差孔26(16)から脱落することがない。
【0046】
また、嵌合部材41にダボ36(35)の側面36b(35b)が接しているため、ダボ36(35)は嵌合部材41から反作用の荷重を受けて、嵌合孔25(15)の中の、交差孔26(16)が連通している側とは反対側の内面25a(15a)に押し付けられる。
【0047】
この結果、ダボ36(35)が嵌合孔25(15)に圧入された状態でのダボ36(35)の外面36a(35a)と嵌合孔25(15)を画成する中駒30の内面(以下、単に嵌合孔25(15)の内面という。)25a(15a)との、圧入方向(幅方向W)の摩擦力を、ダボ36(35)が嵌合孔25(15)に圧入されただけの摩擦力よりも増強する。
【0048】
したがって、交差孔26(16)と嵌合部材41とは、ダボ36(35)の外面36a(35a)と嵌合孔25(15)の内面25a(15a)との、圧入方向の摩擦力を増強させる摩擦力増強部として機能する。
【0049】
なお、交差孔16,26に挿入されて、嵌合孔15,25に突出したダボ35,36を押圧する機能を発揮する嵌合部材41は、球体に限定されるものではなく、交差孔16,26の深さ方向に沿って延びた柱状であってもよいし、先細りの楔形状であってもよい。
【0050】
上述したバンド1は、中駒30が有するダボ35が外駒10の嵌合孔15に圧入により嵌め合わせ、中駒30が有するダボ36が外駒20の嵌合孔25に圧入により嵌め合わせる。これにより、2つの外駒10,20と中駒30とがバンド1の幅方向Wに連結されて、駒体50を構成する。
【0051】
その後、各外駒10,20の交差孔16,26に嵌合部材41を投入し、嵌合部材41を交差孔16,26の底面16b,26bまで押し込み、駒体50の、ダボ35,36の外面35a,36aと嵌合孔15,25の内面15a,25aとの、圧入方向の摩擦力を、ダボ35,36が嵌合孔15,25に圧入されただけの摩擦力よりも増強させる。
【0052】
以上のように構成されたバンド1の連結構造は、従来用いられていた細くて長い連結ピンよりも格段に太いため剛性が格段に高いダボ35,36と、このダボ35,36に嵌め合わされる嵌合孔15,25とが直接接した圧入によって、外駒10,20と中駒30とを連結している。
【0053】
したがって、この連結構造で連結されているバンド1の駒体50は、従来のバンドの駒体に比べて、連結ピンを削減し、簡単な構造で、駒を連結することができ、しかも、手首から伝わる荷重に対する強度を格段に強くすることができる。
【0054】
また、ダボ35,36は、長円形の断面を有する長円柱状であるため、円形の断面を有する円柱状のダボに比べて、その柱状の軸回りのトルクに対する抵抗するトルクが、円柱状のダボよりも大きい。したがって、外駒10,20と中駒30との間に、そのような軸回りのトルクが掛けられても、外駒10,20と中駒30とが相対的に回転するのを防止又は抑制することができ、その軸回りのトルクを作用させるこじり操作に対する強度を向上することができる。
【0055】
なお、ダボ35,36の断面形状は上述した長円形に限定するものではなく、円形ではない非円形(異形)の断面形状の柱状であってもよい。
【0056】
図7は断面形状が三角形となる三角柱状のダボ36(35)を有する駒体50を示す図6相当の断面図、図8は断面形状が矩形となる矩形柱状のダボ36(35)を有する駒体50を示す図6相当の断面図、図9は断面形状が六角形となる六角柱状のダボ36(35)を有する駒体50を示す図6相当の断面図である。
【0057】
上述した実施形態のバンド1の連結構造において、ダボ35,36を、図7に示した三角形の断面形状を有する三角柱状に形成したり、図8に示した矩形の断面形状を有する矩形柱状に形成したり、図9に示した六角形の断面形状を有する六角柱状に形成したりしてもよい。これら、断面形状が非円形のダボ35,36によれば、上述した実施形態のバンド1の連結構造と同様に、軸回りのトルクを作用させるこじり操作に対する強度を向上することができる。
【0058】
なお、ダボ35,36は例示した形状の他、円形の断面形状を有する円柱状であってもよいが、非円形の断面形状の方がこじり操作に対する抵抗力が大きいので好ましい。また、ダボ35,36は、厚さ方向Tよりも長さ方向Lの寸法が長い形状であることが好ましい。外駒10,20及び中駒30は、厚さ方向Tよりも長さ方向Lの寸法が長いため、ダボ35,36や嵌合孔15,25の配置スペースを確保し易いからである。
【0059】
本実施形態のバンド1の連結構造は、駒体50同士を連結する軸42が、ダボ35,36に比べて細くて長い軸(図5参照)であるが、この駒体50同士を繋ぐ部分も、細くて長い軸42を用いない構造としてもよい。
【0060】
図10は軸42に代わる第2の突出部材となるダボ38a,38aが形成された中駒30を含む駒体50を示す斜視図、図11は軸42に代わるベアリング38b,38bが形成された中駒30を含む駒体50を示す斜視図である。
【0061】
上述した駒体50同士を繋ぐ軸42に代わるものとして、図10に示したダボ38a,38a(第2の突出部材)を連結部材として設けてもよい。すなわち、図3に示した中駒30に、貫通孔37を形成する代わりに、貫通孔37が形成された長さ方向Lの位置に、ダボ35,36と同様の、端面33,34からそれぞれ幅方向Wに突出する第2のダボ38a,38aを形成する。第2のダボ38a,38aは、連結された駒体50,50間での第2のダボ38a,38a回りの回転を確保するために、断面が円形となる円柱状に形成されている。
【0062】
一方、図4に示した外駒10,20に、貫通孔17,27を形成する代わりに、貫通孔17,27が形成された長さ方向Lの位置に、第2のダボ38a,38aを緩く挿入される、幅方向Wに延びた第2の嵌合孔となる遊嵌孔18,28が形成されている。遊嵌孔18,28は、外駒10,20の、幅方向Wの外側の端面まで貫通していない。
【0063】
したがって、外駒10,20の、幅方向Wの外側の端面に、図5に示した駒体50のような、貫通孔17,27の露出が無く、すっきりとした外観を得ることができる。
【0064】
遊嵌孔18,28も第2のダボ38a,38aと同様に、断面が円形の円柱状の空間である。遊嵌孔18,28の直径は、第2のダボ38a,38aの直径よりも僅かに大きい。これにより、第2のダボ38a,38aは遊嵌孔18,28に緩く挿入され、第2のダボ38a,38aは遊嵌孔18,28に挿入された状態で、遊嵌孔18,28に対して軸回りに回転可能となっている。これにより、第2のダボ38a,38aと遊嵌孔18,28とによって駒体50同士を長さ方向Lに繋いでバンド1を構成することができる。
【0065】
また、上述した駒体50同士を繋ぐ軸42に代わるものとして、図11に示したベアリング38b,38bを設けてもよい。すなわち、図10に示した中駒30に、第2のダボ38a,38aを形成する代わりに、第2のダボ38a,38aが形成された長さ方向Lの位置に、半球状の孔38c,38cを形成する。なお、孔38c,38cの形状は半休状に限定されず、また、止め穴であってもよい。
【0066】
一方、図4に示した外駒10,20に、貫通孔17,27を形成する代わりに、貫通孔17,27が形成された長さ方向Lの位置に、孔38c,38cと同様の半球状の孔38d,38dを形成する。そして、中駒30の半球状の孔38cと外駒10,20の半球状の孔38d,38dとが向き合って球状の空間が形成され、この球状の空間に、孔38cや孔38dよりも直径の小さいセラミック製のボール38e(球状体)がそれぞれ配置され、孔38c,38d及びボール38eにより、ベアリング38bが構成される。ボール38eは、連結部材として機能する。
【0067】
ベアリング38b,38bにより、駒体50同士を連結することができ、連結された2つの駒体50,50は、ベアリング38b,38bを結んだ軸回りに、相対的に回転することができる。
【0068】
このように、図10,11に示した実施形態1の駒体50を繋いで得られたバンド1は、細く長い軸42を用いていないため、駒体50同士を繋ぐ強度を向上させることができる。また、第2のダボ38aやボール38eを、外駒10,20、中駒30及びダボ35,36と同一の材料で形成することで、バンド1を単一の材料だけで形成することができる。
【0069】
また、この連結構造は、駒体50同士との繋ぎにも、細くて長い連結ピンを用いていないため、細くて長い連結ピンを通すための細くて長い孔を外駒10,20や中駒30に形成する必要が無く、外駒10,20や中駒30に細くて長い孔を形成するという難しい加工を行う必要が無く、製造コストを低減することができる。
【0070】
また、上述した各実施形態のバンド1の連結構造は、ダボ35,36が嵌合孔15,25に圧入された状態でのダボ35,36の外面35a,36aと嵌合孔15,25の内面15a,25aとの、圧入方向の摩擦力を、交差孔16,26と嵌合部材41とによって、ダボ35,36が嵌合孔15,25に単に圧入されただけの摩擦力よりも増強させている。
【0071】
したがって、仮に、ダボ35,36が嵌合孔15,25に圧入されただけの摩擦力が、嵌合孔15,25からダボ35,36を引き抜くのに抗する摩擦力として十分でない場合であっても、交差孔16,26と嵌合部材41とによって、ダボ35,36の外面35a,36aと嵌合孔15,25の内面15a,25aとの摩擦力を増強させることができ、幅方向Wへのダボ35,36の引き抜きに対する抵抗力を増強させることができる。
【0072】
上述した実施形態のバンド1の連結構造は、外駒10,20に形成された交差孔16,26が、図6に示すように、外駒10,20の裏面12,22から形成されて、おもて面11,21に露出していない構成であるため、嵌合部材41は、図2に示すようにベルトを裏返した状態でのみ視認可能な状態となる。
【0073】
図12は他の実施形態のバンド1をおもて面側から見た斜視図である。本実施形態のバンド1の連結構造においては、嵌合部材41を積極的に視認させるデザインを採用することもできる。すなわち、交差孔16,26を、外駒10,20のおもて面11,21から形成することで、図12に示すように、バンド1のおもて面側に嵌合部材41を視認させることができる。
【0074】
このように、バンド1のおもて面側から嵌合部材41を視認させる構造を採用した場合は、嵌合部材41を、外駒10,20とは異なる色に、めっき等で着色するなどして、美観を生じさせることもできる。例えば、嵌合部材41をガラスなどの透過材料に着色して形成することで、外部から入射した光による反射光がバンド1から出射するため、デザイン性を向上させることができる。また、嵌合部材41をLED等の発光素子にし、その発光素子に電力を供給することで発光させてもよい。
【0075】
図13図10に示した実施形態における駒体50において、中駒30にダボ35,36を形成するのに代えて、外駒10,20に、中駒30に向けて幅方向Wに延びた突出部材であるダボ19,29を形成し、外駒10,20に嵌合孔15,25を形成するのに代えて、中駒30に、ダボ19,29が嵌め合わされる嵌合孔39が形成された別例(その1)を示す図10相当の斜視図である。
【0076】
図14図11に示した実施形態における駒体50において、中駒30にダボ35,36を形成するのに代えて、外駒10,20に、中駒30に向けて幅方向Wに延びた突出部材であるダボ19,29を形成し、外駒10,20に嵌合孔15,25を形成するのに代えて、中駒30に、ダボ19,29が嵌め合わされる嵌合孔39が形成された別例(その2)を示す図11相当の斜視図である。
【0077】
上述した実施形態のバンド1の連結構造は、中駒にダボ35,36が形成され、外駒10,20に嵌合孔15,25が形成されたものであるが、本発明に係るバンドの連結構造、バンドの製造方法は、この形態のものに限定されない。
【0078】
すなわち、例えば、図13,14に示すように、図10,11にそれぞれ示した駒体50における中駒30にダボ35,36を形成するのに代えて、外駒10,20に、中駒30に向けて幅方向Wに延びたダボ19,29を形成し、図10,11にそれぞれ示した駒体50における外駒10,20に嵌合孔15,25を形成するのに代えて、中駒30に、ダボ19,29が嵌め合わされる嵌合孔39が形成してもよい。
【0079】
また、例えば、図5に示した駒体50における中駒30にダボ35,36を形成するのに代えて、外駒10,20に、中駒30に向けて幅方向Wに延びたダボ19,29を形成し、駒体50における外駒10,20に嵌合孔15,25を形成するのに代えて、中駒30に、ダボ19,29が嵌め合わされる嵌合孔39を形成してもよい。この場合は交差孔は中駒30に形成される。
【0080】
ここで、ダボ19,29はダボ35,36と形状等が同じであり、嵌合孔39は、嵌合孔15,25と同様である。ただし、嵌合孔39は、中駒30の両端面33,34間を幅方向Wに貫通して1つの孔として形成されてもよいし、貫通しない2つの孔として形成されてもよい。
【0081】
このように外駒10,20にダボ19,29が形成され、中駒30に嵌合孔39が形成されて、両者が圧入により連結された構造によっても、上述した実施形態の連結構造と同様の作用、効果を得ることができる。
【0082】
なお、嵌合孔39を、両端面33,34間を幅方向Wに貫通して1つの孔として形成したものでは、2つの孔を両端面33,34側からそれぞれ別個に形成する場合に比べて製造を容易にすることができる。
【0083】
<実施形態2>
図15は本発明に係るバンドの連結構造が適用され、また、本発明に係るバンドの製造方法で製造された他の一例の腕時計用のバンド1における駒体50の、図6相当の断面を示す断面図である。
【0084】
図15に示した駒体50は、図1-6に示した駒体50に対して、交差孔16,26が形成されていない点と、交差孔16,26に挿入される嵌合部材41を備えていない点が相違するとともに、交差孔16,26と嵌合部材41とによる摩擦力増強部に代えて、ダボ35,36の外面35a,36aと嵌合孔15,25の内面15a,25aとの間の固相接合により、両者間の摩擦力を増強させている点が相違する。
【0085】
すなわち、図15の駒体50は、外駒10,20の嵌合孔15,25に中駒30のダボ35,36が圧入された状態で、これら駒体50の融点未満の温度(例えば、チタンであればセ氏800[度]、ステンレスであればセ氏1200[度])で加熱する。これにより、嵌合孔15,25の内面15a,25aとダボ35,36の外面35a,36aとが、固相接合される。
【0086】
固相接合は、加熱及び加圧により、接合対象となる2つの部材を溶融させることなく、固体状態のままで接合させるものである。固相接合された嵌合孔15,25の内面15a,25aとダボ35,36の外面35a,36aとは固着し、この固着している部分45は、ダボ35,36を嵌合孔15,25に圧入しただけの圧入方向の摩擦力よりも増強されるため、摩擦力増強部として機能する。
【0087】
このように構成された実施形態2の駒体50を連結して得られたバンド1も、細く長い軸42を用いていないため、実施形態1のバンド1と同様に、駒体50同士に連結の強度を向上させることができ、製造コストを低減することもできる。また、実施形態2のバンド1は、実施形態1で説明したその他の効果も発揮する。
【0088】
さらに、実施形態2のバンド1は、実施形態1のバンド1のような交差孔16,26や嵌合部材41を必要としないため、製造工程を容易にすることができる。
【0089】
なお、実施形態1に示した変形例については、実施形態2においても適用することができる。したがって、ダボの厚さや断面形状についての変形例(図7-9参照)、中駒30の一部であるか又は別部材を一体化したものであるかの別、ダボが中駒30側に存在する(図3参照)か又は外駒10,20側に存在する(図13-14参照)かの別、駒体50同士の連結として、軸42と貫通孔17,27,37との組み合わせとする(図5参照)か又は第2のダボ38a(図10参照)やベアリング38b(図11参照)を適用するか、の別、外駒10,20、中駒30及びダボ35,36と同一の材料で形成するか否かの別などの、実施形態1において説明した種々のバリエーションについて、実施形態2においても同様に適用可能である。
【0090】
なお、各実施形態のバンド1は、外駒10,20、中駒30及びダボ35,36がいずれも同一の素材で形成されていることが好ましい。これにより、バンド1に異種材料が含まれず、異種金属接触腐食を防止することができる。特に、同一の素材としてチタンを適用した場合は、金属アレルギーを誘発することも防止することができる。ただし、本発明は、バンドが同一素材で形成されているものに限定されない。
【0091】
上述した各実施形態のバンド1は、摩擦力増強部を、交差孔と嵌合部材とで構成したものと、固相接合で固着した部分で構成したものであるが、本発明に係るバンドの連結構造は、摩擦力増強部として上述した実施形態のものに限定するものではなく、突出部材が嵌合孔に圧入された状態での突出部材の外面と嵌合孔の内面との、圧入方向の摩擦力を、突出部材が嵌合孔に圧入されただけの摩擦力よりも増強させる機能を発揮するものであれば、例示した以外のいかなるものであっても適用可能である。
【0092】
また、各実施形態は、腕時計のバンドを例示したが、本発明に係るバンドの連結構造及びバンドの製造方法は、腕時計のバンドの連結構造や腕時計のバンドの製造方法に限定されるものではなく、ブレスレット等その他装飾品のバンドの連結構造やそれらバンドの製造法にも適用できる。
【符号の説明】
【0093】
1 バンド
10,20 外駒
15,25 嵌合孔
15a,25a 内面
16,26 交差孔
30 中駒
35,36 ダボ
35a,36a 外面
41 嵌合部材
50 駒体
C 断面
L 長さ方向
T 厚さ方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15