(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】テーブル用ストッパ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/00 20060101AFI20221013BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20221013BHJP
B60R 7/08 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
A47C7/62 Z
B60R7/08 Z
B60N3/00 A
(21)【出願番号】P 2018217098
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131511
【氏名又は名称】株式会社シブタニ
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲 照夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 良彦
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-178680(JP,A)
【文献】特開2015-131074(JP,A)
【文献】実開昭61-061938(JP,U)
【文献】実開昭60-108258(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0187163(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013018447(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/00
A47C 7/62
B60R 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の背凭れの背面側に設けられ、該背面に沿わせて格納する格納状態と、該格納状態より後方に倒して使用する使用状態とに起倒可能なテーブルを、前記格納状態にロックおよびロック解除するためのテーブル用ストッパにおいて、
前記背凭れの背面側に取り付けるベースと、
前記ベースに対して移動可能に支持されたラッチと、
前記ベースに固定されたカバーと、を有してなり、
前記ラッチは、前記ベースに対して、前記テーブルを格納状態にロックする拘束位置と、前記テーブルのロックを解除する解除位置との間を移動可能に支持され、
前記カバーは、前記ベースとは別体であり、複数ある仕様の中から選択されたものが前記ベースに後付けされ
、
前記ラッチは、その移動に伴って前記ベースの一端より出没し、前記テーブルが格納状態にあるときの端縁部の一面に係脱する爪部を備え、
前記カバーは、前記ベースの一端より延出して、前記テーブルが格納状態にあるときの端縁部の他面が当接する受け部を備え、
前記受け部は、前記ラッチが拘束位置にあるとき対向する前記爪部との距離が、前記テーブルの端縁部の厚さ寸法に対応して設けられ、
前記ラッチは、前記拘束位置が原位置とされ、前記解除位置に移動したとき原位置に復帰するように付勢部材により付勢され、
前記爪部の外側に、前記テーブルを使用状態から格納状態に起こすとき、前記テーブルの端縁部を押し付けることで、前記ラッチを前記付勢部材の付勢力に抗して一時的に拘束位置から解除位置に後退させるためのテーパが設けられ、
前記テーブルの端縁部が前記爪部のテーパを越えると、前記ラッチは前記付勢部材の付勢力により元の拘束位置に突出して、前記テーブルの端縁部の一面に係合するように設定されたことを特徴とするテーブル用ストッパ。
【請求項2】
座席の背凭れの背面側に設けられ、該背面に沿わせて格納する格納状態と、該格納状態より後方に倒して使用する使用状態とに起倒可能なテーブルを、前記格納状態にロックおよびロック解除するためのテーブル用ストッパにおいて、
前記背凭れの背面側に取り付けるベースと、
前記ベースに対して移動可能に支持されたラッチと、
前記ベースに固定されたカバーと、を有してなり、
前記ラッチは、前記ベースに対して、前記テーブルを格納状態にロックする拘束位置と、前記テーブルのロックを解除する解除位置との間を移動可能に支持され、
前記カバーは、前記ベースとは別体であり、複数ある仕様の中から選択されたものが前記ベースに後付けされ、
前記ラッチは、その移動に伴って前記ベースの一端より出没し、前記テーブルが格納状態にあるときの端縁部の一面に係脱する爪部を備え、
前記カバーは、前記ベースの一端より延出して、前記テーブルが格納状態にあるときの端縁部の他面が当接する受け部を備え、
前記受け部は、前記ラッチが拘束位置にあるとき対向する前記爪部との距離が、前記テーブルの端縁部の厚さ寸法に対応して設けられ
、
前記ベースは、前記背凭れの背面上に連なる正面部と、該正面部より背凭れ側に凹んで開口し、前記ラッチの一部をスライド移動可能な状態で収納して支持する収納部と、を備え、
前記ラッチは、前記爪部に一体に連なる操作部と、該操作部の裏側より背凭れ側に突出して前記収納部にスライド移動可能に収まる支持部と、を備え、
前記カバーは、前記ラッチの可動範囲を除いて前記ベースの正面部を覆う表面部と、該表面部の一端より背凭れ側に延出し前記支持部が当接することで前記ラッチのスライド移動を規制する底面部と、を備え、
前記受け部は、前記底面部の背凭れ側より延出したことを特徴とす
るテーブル用ストッパ。
【請求項3】
前記カバーの表面部に、前記ラッチの可動範囲に亘って開口部が形成され、該開口部で前記操作部のうち前記爪部と反対側に位置する一端が対向する端縁と、前記操作部の一端とが互いに対向する部位の少なくとも何れか一方に、各部位間の隙間が外側に広がるテーパが設けられたことを特徴とする請求項
2に記載のテーブル用ストッパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席の背凭れの背面側に設けられた起倒可能なテーブルを、背凭れの背面に沿わせて格納する状態にロックおよびロック解除するテーブル用ストッパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両等に装備される乗物用の座席では、背凭れの背面側にテーブルが設けられて、後方座席の着座者がテーブルを使用することができるものが知られている。ここでテーブルは、使用しないときは背凭れの背面に沿わせて格納される一方、使用するときに背凭れの後方へ略水平に倒した状態で、飲食物等を置くことができるように構成されていた。
【0003】
このようなテーブルを格納した状態に保持する手段として、例えば、特許文献1に記載のように、背凭れ10の背面11に沿わせたテーブル20の上向きとなる端縁部に係脱する回転式のロック部材30が知られている。ロック部材30は、背凭れ10の背面11に固定されたベース部材50の表面側に回転可能に支持されており、手動で回転操作するものであった。
【0004】
ロック部材30は、その先端の保持部32が背凭れ10の背面11に沿わせたテーブル20の端縁部に重なる位置に回転させると、テーブル20の端縁部は、保持部32と背凭れ10の背面11との間に挟まれてロックされる。一方、ロック部材30を、保持部32がテーブル20の端縁部に重ならない位置まで回転させれば、ロックは解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載のロック部材30では、ベース部材50が一部品として構成されており、例えばベース部材50の正面側の色や形など一部のみ仕様を変更したい場合であっても、ベース部材50全体を構成し直さなければならない。このように、一部品からなるベース部材50では、ロック部材30を支持する構成の要部であるにも拘わらず、部品の設計上の自由度がなく汎用性に欠けるという問題があった。
【0007】
また、テーブル20を格納するときは、テーブル20の端縁部が背凭れ10の背面11に直接押し当てられるため、背凭れ10の背面11が変形ないし損傷しやすいという問題があった。かかる背面11の変形等に起因して、ロック部材30の保持部32と背凭れ10の背面11との間の寸法が、テーブル20の端縁部の厚さと合わなくなれば、テーブル20の格納時のガタ付きの原因になるという問題も生じる。
【0008】
さらに、ロック部材30の保持部32と背凭れ10の背面11との間の寸法を、事前にテーブル20の端縁部の様々な厚さに合わせて最適な値に設計することも難しいという問題もある。ここでの設計寸法が、ベース部材50やロック部材30の取り付け誤差に起因して、実際のテーブル20の端縁部の厚さと合わなくなれば、前記した背凭れ10の背面11が変形した場合と同様に、テーブル20の格納時のガタ付きの原因になるという問題もあった。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、部品の仕様の変更に容易に対応することが可能であり、テーブルを背凭れの背面に沿わせて格納するときに確実にテーブルを受けることができると共に、様々な厚さのテーブルにも容易に適用することができるテーブル用ストッパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]座席の背凭れ(1)の背面側に設けられ、該背面に沿わせて格納する格納状態と、該格納状態より後方に倒して使用する使用状態とに起倒可能なテーブル(10)を、前記格納状態にロックおよびロック解除するためのテーブル用ストッパ(20)において、
前記背凭れ(1)の背面側に取り付けるベース(21)と、
前記ベース(21)に対して移動可能に支持されたラッチ(30)と、
前記ベース(21)に固定されたカバー(40)と、を有してなり、
前記ラッチ(30)は、前記ベース(21)に対して、前記テーブル(10)を格納状態にロックする拘束位置と、前記テーブル(10)のロックを解除する解除位置との間を移動可能に支持され、
前記カバー(40)は、前記ベース(21)とは別体であり、複数ある仕様の中から選択されたものが前記ベース(21)に後付けされ、
前記ラッチ(30)は、その移動に伴って前記ベース(21)の一端より出没し、前記テーブル(10)が格納状態にあるときの端縁部(12)の一面に係脱する爪部(31)を備え、
前記カバー(40)は、前記ベース(21)の一端より延出して、前記テーブル(10)が格納状態にあるときの端縁部(12)の他面が当接する受け部(43)を備え、
前記受け部(43)は、前記ラッチ(30)が拘束位置にあるとき対向する前記爪部(31)との距離が、前記テーブル(10)の端縁部(12)の厚さ寸法に対応して設けられ、
前記ラッチ(30)は、前記拘束位置が原位置とされ、前記解除位置に移動したとき原位置に復帰するように付勢部材(50)により付勢され、
前記爪部(31)の外側に、前記テーブル(10)を使用状態から格納状態に起こすとき、前記テーブル(10)の端縁部(12)を押し付けることで、前記ラッチ(30)を前記付勢部材(50)の付勢力に抗して一時的に拘束位置から解除位置に後退させるためのテーパ(31b)が設けられ、
前記テーブル(10)の端縁部(12)が前記爪部(31)のテーパ(31b)を越えると、前記ラッチ(30)は前記付勢部材(50)の付勢力により元の拘束位置に突出して、前記テーブル(10)の端縁部(12)の一面に係合するように設定されたことを特徴とするテーブル用ストッパ(20)。
【0011】
[2]座席の背凭れ(1)の背面側に設けられ、該背面に沿わせて格納する格納状態と、該格納状態より後方に倒して使用する使用状態とに起倒可能なテーブル(10)を、前記格納状態にロックおよびロック解除するためのテーブル用ストッパ(20)において、
前記背凭れ(1)の背面側に取り付けるベース(21)と、
前記ベース(21)に対して移動可能に支持されたラッチ(30)と、
前記ベース(21)に固定されたカバー(40)と、を有してなり、
前記ラッチ(30)は、前記ベース(21)に対して、前記テーブル(10)を格納状態にロックする拘束位置と、前記テーブル(10)のロックを解除する解除位置との間を移動可能に支持され、
前記カバー(40)は、前記ベース(21)とは別体であり、複数ある仕様の中から選択されたものが前記ベース(21)に後付けされ、
前記ラッチ(30)は、その移動に伴って前記ベース(21)の一端より出没し、前記テーブル(10)が格納状態にあるときの端縁部(12)の一面に係脱する爪部(31)を備え、
前記カバー(40)は、前記ベース(21)の一端より延出して、前記テーブル(10)が格納状態にあるときの端縁部(12)の他面が当接する受け部(43)を備え、
前記受け部(43)は、前記ラッチ(30)が拘束位置にあるとき対向する前記爪部(31)との距離が、前記テーブル(10)の端縁部(12)の厚さ寸法に対応して設けられ、
前記ベース(21)は、前記背凭れ(1)の背面上に連なる正面部(22)と、該正面部(22)より背凭れ(1)側に凹んで開口し、前記ラッチ(30)の一部をスライド移動可能な状態で収納して支持する収納部(23)と、を備え、
前記ラッチ(30)は、前記爪部(31)に一体に連なる操作部(32)と、該操作部(32)の裏側より背凭れ(1)側に突出して前記収納部(23)にスライド移動可能に収まる支持部(34)と、を備え、
前記カバー(40)は、前記ラッチ(30)の可動範囲を除いて前記ベース(21)の正面部(22)を覆う表面部(41)と、該表面部(41)の一端より背凭れ(1)側に延出し前記支持部(34)が当接することで前記ラッチ(30)のスライド移動を規制する底面部(42)と、を備え、
前記受け部(43)は、前記底面部(42)の背凭れ(1)側より延出したことを特徴とするテーブル用ストッパ(20)。
【0014】
[3]前記カバー(40)の表面部(41)に、前記ラッチ(30)の可動範囲に亘って開口部(44)が形成され、該開口部(44)で前記操作部(32)のうち前記爪部(31)と反対側に位置する一端が対向する端縁(45)と、前記操作部(32)の一端とが互いに対向する部位の少なくとも何れか一方に、各部位間の隙間が外側に広がるテーパ(45a)が設けられたことを特徴とする前記[2]に記載のテーブル用ストッパ(20)。
【0015】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載のテーブル用ストッパ(20)によれば、ベース(21)が背凭れ(1)の背面側に取り付けられ、ベース(21)に対して移動可能に支持されたラッチ(30)によって、テーブル(10)を格納状態にロックおよびロック解除する。ベース(21)とは別体のカバー(40)は、複数ある仕様の中から選択されたものがベース(21)に後付けされる。
【0016】
このように、ベース(21)に対してカバー(40)を後付けするから、カバー(40)の部分のみ仕様を変更したい場合には、ベース(21)は共用部品として変更することなく、カバー(40)のみを変更したい仕様に合わせて組み合わせれば良い。従って、ベース(21)とカバー(40)を一つの部品として構成した場合に比べて、部品自体や設計上の自由度が高くなり、様々なデザインや構成のテーブル用ストッパ(20)を容易に得ることができる。
【0017】
また、カバー(40)は、ベース(21)の一端より延出して、テーブル(10)が格納状態にあるときの端縁部(12)が当接する受け部(43)を備える。従って、テーブル(10)を格納するときに、テーブル(10)の端縁部(12)が背凭れ(1)の背面に直接押し当てられることはなく、受け部(43)によって確実に受け止められる。これにより、背凭れ(1)の背面が変形したり損傷する虞はない。
【0018】
テーブル(10)が格納されると、背凭れ(1)の背面に沿ったテーブル(10)の端縁部(12)は、ベース(21)の一端より延出したカバー(40)の受け部(43)と、ベース(21)の一端より突出したラッチ(30)の爪部(31)とによって、前後の両面から挟み込まれた状態にロックされる。
【0019】
カバー(40)の受け部(43)は、これと対向する爪部(31)との距離が、テーブル(10)の端縁部(12)の厚さ寸法に対応するように設けられており、テーブル(10)が格納時にガタ付くことはない。しかも、ベース(21)やラッチ(30)の仕様は何ら変更することなく、カバー(40)だけ受け部(43)の形状や配置等の仕様を変更するだけで、様々な厚さのテーブル(10)にも容易に適用することができる。
【0020】
さらに、ラッチ(30)の爪部(31)の外側にはテーパ(31b)があり、テーブル(10)を使用状態から格納状態に起こすとき、テーブル(10)の端縁部(12)を爪部(31)のテーパ(31b)に押し付ければ、ラッチ(30)を付勢部材(50)の付勢力に抗して一時的に拘束位置から解除位置に後退させることができる。
【0021】
そして、テーブル(10)の端縁部(12)が爪部(31)のテーパ(31b)を越えると、ラッチ(30)は付勢部材(50)の付勢力により元の拘束位置に突出して、テーブル(10)の端縁部(12)の一面に係合する。このように、テーブル(10)を格納するときは、ラッチ(30)自体を人手で操作することなく、テーブル(10)の動きに合わせて自動的にロックすることができる。
【0022】
以上のようなテーブル用ストッパ(20)は、具体的には例えば、前記[2]に記載したように構成すると良い。すなわち、ベース(21)は、背凭れ(1)の背面上に連なる正面部(22)と、該正面部(22)より背凭れ(1)側に凹んで開口し、ラッチ(30)の一部をスライド移動可能な状態で収納して支持する収納部(23)と、を備える。ここでベース(21)の正面部(22)は、カバー(40)で覆われるため、特にデザインを考慮する必要はない。
【0023】
ラッチ(30)は、その爪部(31)に一体に連なる操作部(32)と、該操作部(32)の裏側より背凭れ(1)側に突出して前記収納部(23)にスライド移動可能に収まる支持部(34)と、を備える。このようにラッチ(30)は、ロック解除するための操作部(32)も一体に兼ねており、円滑な操作が可能となる。また、ラッチ(30)はスライド移動するものであり、その操作時に背凭れ(1)の背面を背凭れ(1)側に押すことはなく、背凭れ(1)に余計な衝撃を加える虞もない。
【0024】
カバー(40)は、ラッチ(30)の可動範囲を除いてベース(21)の正面部(22)を覆う表面部(41)と、該表面部(41)の一端より背凭れ(1)側に延出しラッチ(30)の支持部(34)が当接することで、ラッチ(30)のスライド移動を規制する底面部(42)と、を備え、前記受け部(43)は、底面部(42)の背凭れ(1)側より延出している。このようなカバー(40)は、段状に折り曲げた板状に簡易に構成することができ、その仕様の変更も容易である。しかも、カバー(40)は、ベース(21)においてラッチ(30)の可動範囲を除く正面側を覆うため、テーブル用ストッパ(20)全体のデザインの要となる。
【0025】
このような具体的な構成のテーブル用ストッパ(20)では、さらに前記[3]に記載したように、カバー(40)の表面部(41)に、ラッチ(30)の可動範囲に亘って開口部(44)を形成する。この開口部(44)のうちラッチ(30)の操作部(32)の一端が対向する端縁(45)と、操作部(32)の一端とが互いに対向する部位の少なくとも何れか一方に、各部位間の隙間が外側に広がるテーパ(45a)を設けると良い。これにより、各部位間の隙間に、誤って指が挟まる事態を未然に防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るテーブル用ストッパによれば、部品の仕様の変更に容易に対応することが可能である。また、テーブルを背凭れの背面に沿わせて格納するときに確実にテーブルを受けることができると共に、様々な厚さのテーブルにも容易に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを正面側から見た斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを正面側の別の角度から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを示す側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを両側中心箇所で切断した縦断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを取付ネジ箇所で切断した縦断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るテーブル用ストッパを取り付けた座席の背凭れを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1~
図9は、本発明の一実施の形態を示している。
本実施の形態に係るテーブル用ストッパ20は、座席の背凭れ1の背面側に設けられた起倒可能なテーブル10を、背凭れ1の背面に沿わせた状態にロックおよびロック解除する機構である。なお、座席は、例えば、鉄道車両、航空機、自動車、船舶等の客室内に装備されるものである。
【0029】
<座席とテーブル10の概要>
図9において、座席の一部のみ示したが、座席は、図示省略した座部の後端側に背凭れ1が傾動可能に支持されてなる。背凭れ1の傾動角度は、周知のリクライニング機構により調整することができる。背凭れ1の背面側に、後方座席の着座者が使用することができるテーブル10が設けられている。テーブル10は、背凭れ1の背面に沿わせて格納する格納状態と、該格納状態より後方に倒して使用する使用状態とに起倒可能に、一対のアーム2,2を介して支持されている。
【0030】
各アーム2の先端部間に、テーブル10は一定範囲で回動可能に連結されている。各アーム2の基端部は、図示省略したが、例えば背凭れ1の回転中心と同軸上で座席の前後方向に揺動可能に枢支されている。ここで背凭れ1の回転中心と、アーム2の揺動中心とが同一軸上であれば、テーブル10は、背凭れ1の傾動角度に拘わらず常に一定の使用状態に維持することができる。なお、背凭れ1の背面には、格納状態にあるテーブル10が嵌まり込むように、テーブル10の形状に合わせた凹み1aが形成されている。
【0031】
テーブル10は、例えば硬質の合成樹脂の成形品であり、所定の板厚の略長方形状に形成されている。テーブル10の基端縁部11の両側には、左右一対の切欠13が形成されている。各切欠13に、前述した一対のアーム2,2の先端部がそれぞれ回動可能に連結されている。テーブル10が格納状態にあるとき、テーブル10の基端縁部11は下向きとなる一方、テーブル10の先端縁部12は上向きとなる。
【0032】
テーブル10が格納状態にあるとき、テーブル用ストッパ20によってテーブル10の先端縁部12がロックされる。テーブル用ストッパ20のロックを解除すれば、テーブル10を後方に倒して使用状態にすることができる。テーブル10が使用状態にあるとき、各アーム2の先端部にある周知のロック機構によりテーブル10は略水平に保持され、後方座席の着座者が使用することができる。なお、テーブル10の先端縁部12の裏面で、テーブル用ストッパ20が係脱する箇所には、若干凹むような凹部14を設けても良い。
【0033】
<テーブル用ストッパ20の構成>
図1~
図8の各図に示すように、テーブル用ストッパ20は、背凭れ1(
図9参照)の背面側に取り付けるベース21と、該ベース21に対して上下方向にスライド(移動)可能に支持されたラッチ30と、ベース21に固定されてラッチ30をベース21と共にスライド可能な状態に保持するカバー40と、を有してなる。ベース21、ラッチ30、およびカバー40は、全て合成樹脂の成形品である。
【0034】
特に
図8に示すように、ベース21は、全体的には立方体状に形成され、背凭れ1の背面上に連なる正面部22と、該正面部22より内側(背凭れ1側)に凹んで開口し、ラッチ30の一部をスライド可能な状態で収納して支持する収納部23と、を備えている。正面部22において収納部23の開口の両側には、背凭れ1側に取り付ける取付ビスの取付孔24が背後まで貫通して設けられている。取付孔24は、上下方向に延びる長穴と一体になっている。
図9に示すように、ベース21は背凭れ1の背面において、テーブル10が格納状態にあるとき上向きの先端縁部12の直ぐ上側に配置される。なお、ベース21の正面部22は、カバー40で覆われるため、特にデザインを考慮する必要はない。
【0035】
収納部23は、正面部22の両側中央で上下に延びる凹溝状に設けられ、正面部22に開口している。詳しく言えば収納部23は、ラッチ30の後述する支持部34が収まる奥行きの略立方体状に凹んでおり、その下端側はベース21の底面より下方に開口している。収納部23の上部には、ベース21の正面部22より一段凹んで正面部22と平行な隔壁25が設けられている。隔壁25は、次述するラッチ30の操作部32の上側裏面が摺接する部位となる。収納部23の下半部の両側内壁には、上下方向に延びる一対の凸条26,26が設けられている。
【0036】
ラッチ30は、ベース21に対して、テーブル10を格納状態にロックする拘束位置と、テーブル10のロックを解除する解除位置との間を上下方向にスライド可能に支持されている。ラッチ30は、特に
図8に示すように、全体的には上下方向に長い図示した形状であり、その下端側に、スライドに伴ってベース21の下端(一端)より下方へ出没し、テーブル10が格納状態にあるときの先端縁部12の裏面(一面)に係脱する爪部31を備えている。
【0037】
ラッチ30が下方の拘束位置に移動すると、爪部31はベース21の下端よりも下方に突出する。このときラッチ30の爪部31は、格納状態にあるテーブル10の先端縁部12の裏面に係合するように設定されている。一方、ラッチ30が上方の解除位置に移動すると、爪部31はベース21の下端よりも上方に引っ込む。このときラッチ30の爪部31は、テーブル10の先端縁部12の裏面から離脱するように設定されている。
【0038】
ラッチ30にて爪部31より上方に一体に連なる部位全体は、その正面側を使用者が指で触れて操作する操作部32となっている。操作部32の上端側には、特に指が引っ掛かり易いよう段部33が突設されている。操作部32の中央部分における裏側には、ベース21の収納部23にスライド可能に収まる支持部34が、背凭れ1側に向かって突出するように設けられている。
【0039】
支持部34の両側面には、一対の蟻溝34a,34aが設けられている。蟻溝34aには、前述したベース21の収納部23にある凸条26が摺動可能に嵌合することで、ラッチ30は収納部23内を上下方向に円滑に案内される。また、操作部32の内側(背凭れ1側)で支持部34の手前の位置には、ラッチ30の両側方向に貫通した状態で上下方向に延びるガイド溝35が形成されている。
【0040】
ガイド溝35には、このガイド溝35内を上下方向に相対的な移動可能な取付ピン28が挿通し、取付ピン28の両端は、前記ベース21の収納部23の両側に設けられた一対の止め孔27,27に軸支される。これによりラッチ30は、後述のカバー40をベース21に固定する前でも、ベース21から脱落しない状態に仮止めされる。すなわち、ガイド溝35に対する取付ピン28の挿通と、前述の蟻溝34aと凸条26との嵌合関係により、ラッチ30の支持部34は、ベース21の収納部23から抜け出ることなく上下方向にスライド可能に支持される。
【0041】
ラッチ30は、下方の拘束位置が原位置とされ、上方の解除位置にスライドしたとき原位置に復帰するように付勢部材50により付勢されている。本実施の形態の付勢部材50は、ベース21とラッチ30の間に介装されたコイルバネからなる。
図6に示すように、ラッチ30の支持部34には、ラッチ30のスライド方向である上下方向に延びる底有りの挿入孔36が設けられており、挿入孔36の上端は、支持部34の上端面に開口している。挿入孔36の内径は、付勢部材50の外径より若干大きく設定されており、挿入孔36に、付勢部材50の下半部が嵌入されている。
【0042】
一方、挿入孔36の開口が対向するベース21の収納部23における内側奥の天井面には、挿入孔36に向かって下方に突出する軸部29が設けられている。軸部29の外径は、付勢部材50の内径より若干小さく設定されており、軸部29に、付勢部材50の上半部が外嵌されている。ここで軸部29は、ラッチ30が拘束位置にあるとき、ラッチ30の支持部34にある挿入孔36より上方に出るが、ラッチ30が解除位置に移動すると、挿入孔36に相対的に嵌り込む長さに形成されている。
【0043】
ベース21の軸部29とラッチ30の挿入孔36とに介装された付勢部材50は、ラッチ30が拘束位置にあるとき初期の長さとなり、ラッチ30の解除位置へのスライドに伴って弾発的に縮むものである。よって、付勢部材50の付勢力は、固定されたベース21からスライド可能なラッチ30に対して伝達され、ラッチ30は常に下方の拘束位置に付勢されている。
【0044】
図2に示すように、ラッチ30の爪部31の外側には、テーブル10を使用状態から格納状態に起こすとき、テーブル10の先端縁部12を押し付けることで、ラッチ30を付勢部材50の付勢力に抗して一時的に拘束位置から解除位置に後退させるためのテーパ31bが設けられている。ここでテーパ31bは、爪部31の内側面31aの最下端より外側面に向かって上方へ傾斜するものであり、必ずしも平面的な傾斜に限らず、アール断面に形成されたものでも良い。
【0045】
カバー40は、ベース21とは別体であり、複数ある仕様の中から予め選択されたものがベース21に後付けされる。カバー40は、特に
図8に示すように、全体的には板状の図示した形状であり、ベース21の正面部22に被さる状態に固定される。カバー40は、ベース21の正面部22にある取付孔24に止める取付ビスを隠して意匠性を向上させると共に、背凭れ1のシート生地の端部処理を隠す役目を持ち、次述する受け部43による戸当たりの機能も果たす部品である。
【0046】
カバー40は、ベース21の正面部22を覆う表面部41と、該表面部41の下端(一端)より背凭れ1側に延出する底面部42と、該底面部42の背凭れ1側の奥端より下方へ延出する受け部43と、を備えている。表面部41は、前記ベース21の正面部22全体を覆う大きさの長方形であり、正面部22上のラッチ30の可動範囲を除いて覆う部位である。表面部41の両側中央には、ラッチ30の可動範囲である収納部23の開口に亘って重なる開口部44が形成されている。開口部44は、表面部41の上端側より下端側に亘って連なり、さらに底面部42の途中まで延びている。
【0047】
底面部42は、前記表面部41の下端より背凭れ1側に略直角に延出して、前記ラッチ30の支持部34の下端が当接することで、ラッチ30がベース21から外れる下方へのスライドを規制する部位である。底面部42の奥行きは、背凭れ1の背面にある凹み1aの上端となる段部の奥行き(
図9参照)とほぼ一致している。底面部42の奥行きの略中間まで、前記表面部41の上端側より続く開口部44が延びている。この底面部42における開口部44の下端縁46に、前記ラッチ30における爪部31の内側面31aが当接している。
【0048】
受け部43は、前記底面部42の背凭れ1側の奥端より下方へ延出して、格納状態にあるテーブル10の先端縁部12の表面(他面)を当接させる部位である。よって、受け部43は、ベース21の下端(一端)よりも下方へ延出している。ここで受け部43は、ラッチ30が拘束位置にあるとき対向する爪部31との距離が、テーブル10の先端縁部12の厚さ寸法に対応して設けられている。ここで厚さ寸法に「対応して」とは、受け部43と爪部31との距離が、先端縁部12の厚さ寸法に必ずしも合致する場合に限らず、例えば、テーブル10の先端縁部12が若干薄い場合等も含まれる。なお、先端縁部12の厚さ寸法は、厳密には凹部14の凹みを加味したものであるが、以下、単に先端縁部12の厚さと表現する。
【0049】
図6において、テーブル10の先端縁部12の表面が当接する受け部43の表面43aと、テーブル10の先端縁部12の裏面に係合する爪部31の内側面31aとの距離Lが、テーブル10の先端縁部12の表面と裏面の距離とほぼ同一に設定されている。よって、カバー40の受け部43の表面43aとラッチ30の爪部31の内側面31aとの間には、テーブル10の先端縁部12の厚みとほぼ等しい空間が形成される。
【0050】
言い換えれば、底面部42の途中まである開口部44の下端縁から、底面部42の奥端までの寸法が、受け部43と爪部31との距離Lに相当し、かかる寸法が、テーブル10の先端縁部12の厚さに合致するよう設定される。よって、カバー40は、その前記寸法がテーブル10の種類(先端縁部12の厚さ寸法)に応じて異なる仕様のものが用意される。このようにカバー40は、複数の仕様の中から予め選択されたものがベース21に後付けされる。
【0051】
なお、爪部31の内側面31aと受け部43の表面43aとは、必ずしも厳密に平行に対向するとは限らず、若干の傾斜により上下で距離に多少の差がある場合、テーブル10の先端縁部12が当接する箇所間の距離Lを基準とする。また、前述したように、受け部43と爪部31との距離が、先端縁部12の厚さ寸法に必ずしも合致する場合に限らず、例えば、ラッチ30の動作の確実性を期すために、テーブル10の先端縁部12を若干薄く設定しても良い。
【0052】
また、表面部41における開口部44のうち、ラッチ30の操作部32で爪部31と反対側に位置する上端の段部33が対向する上端縁45と、前記段部33とが互いに対向する部位の少なくとも何れか一方には、各部位間の隙間が外側に広がるテーパを設けると良い。本実施の形態では、開口部44の上端縁45に、開口内側に向かって下方へ傾斜するテーパ45aが設けられているが、段部33にだけテーパを設けてもよく、両方に設けても良い。なお、テーパ45aの下側に連なる前記ベース21の収納部23の上端縁にも、テーパ45aと同一の傾斜面上に連なるテーパが設けられている。
【0053】
このようなカバー40は、ベース21に後付けされるが、詳しく言えば底面部42が、ベース21の下端にブッシュ47を介してネジ48により固定される。なお、ネジ48を外すことにより、カバー40はベース21に対して着脱可能である。底面部42には、ネジ48の取付孔42aが設けられている。また、表面部41の裏側には、開口部44の両側で背凭れ1側に突出する一対の突片49,49が設けられている。突片49は、表面部41をベース21の正面部22に合わせる際に、該正面部22にある取付孔24に嵌入させて位置決めするものである。
【0054】
<テーブル用ストッパ20の作用>
次に、テーブル用ストッパ20の作用について説明する。
図9に示すように、テーブル10が、背凭れ1の背面に沿った通常の格納状態にあるとき、テーブル10の上向きとなる先端縁部12は、テーブル用ストッパ20によって当該位置にロックされている。
【0055】
すなわち、テーブル用ストッパ20のラッチ30は、付勢部材50の付勢力により下方の拘束位置に維持されている。このとき、ラッチ30の爪部31は、ベース21の下端よりも下方に突出して、爪部31の内側面31aが、テーブル10の先端縁部12の裏面に被さるように係合している。ここでテーブル10の先端縁部12の表面は、カバー40における受け部43の表面43aに当接している。
【0056】
このように、テーブル10が格納状態にあるとき、その先端縁部12は、カバー40の受け部43とラッチ30の爪部31の間に挟み込まれた状態でロックされている。ここでテーブル10の先端縁部12の表面が当接する受け部43の表面43aと、テーブル10の先端縁部12の裏面に係合する爪部31の内側面31aとの距離L(
図6参照)は、テーブル10の先端縁部12の厚さ寸法に合致して設けられている。従って、格納状態にロックされているテーブル10がガタ付くことがない。
【0057】
テーブル用ストッパ20のカバー40は、ベース21とは別体であり、複数ある仕様の中から予め選択されたものがベース21に後付けされる。従って、カバー40の部分のみ仕様を変更したい場合には、ベース21やラッチ30は共用部品として何ら変更することなく、カバー40のみを変更したい仕様に合わせて組み合わせれば良い。
【0058】
これにより、ベース21とカバー40を一つの部品として構成した場合に比べて、部品自体や設計上の自由度が高まり、様々なデザインや構成のテーブル用ストッパ20を容易に得ることができる。特にカバー40は、段状に折り曲げた板状であり簡易に構成することができ、その仕様の変更も容易であり、ベース21の正面部22(ラッチ30の可動範囲を除く)を覆うため、テーブル用ストッパ20全体のデザインの要となる。しかも、カバー40をベース21に後付けするネジ48は、カバー40の底面部42に固定される。よってネジ48は、テーブル用ストッパ20の正面側から通常は見えないため、カバー40の見栄えが損なわれることはない。
【0059】
カバー40の具体的な仕様としては、例えば、前述した受け部43と爪部31との距離L、すなわち底面部42における開口部44の下端縁46から底面部42の奥端までの寸法が、テーブル10の先端縁部12の具体的な厚さに応じて設定されたものが該当する。あるいは、表面部41の正面視の形状や色、塗装等による模様が、背凭れ1のデザインに応じて異なるように用意されたもの等も該当する。何れにせよカバー40は、複数ある仕様の中から予め選択されたものがベース21に後付けされる。
【0060】
特にカバー40は、前述した受け部43を備えるため、テーブル10を格納するとき、テーブル10の先端縁部12が背凭れ1の背面に直接押し当てられることはなく、受け部43によって確実に受け止められる。これにより、背凭れ1の背面が変形したり損傷する虞はない。しかも、カバー40は、受け部43の具体的な形状や配置等について、前述したように複数用意した仕様の中から適宜選択できるため、様々な厚さのテーブル10にも容易に適用することが可能となる。
【0061】
次に、テーブル10を後方に倒した使用状態にするには、テーブル用ストッパ20のラッチ30を、付勢部材50の付勢力に抗して上方の解除位置にスライドさせる。ラッチ30が解除位置まで移動すると、爪部31はベース21の下端より上方に引っ込み、爪部31の内側面31aが、テーブル10の先端縁部12の裏面から離脱する。これにより、テーブル10の先端縁部12のロックが解除され、テーブル10を使用状態に倒すことができる。
【0062】
ここでのラッチ30の操作は、その爪部31に一体に連なる操作部32に指を掛けて上方に押せば良い。ラッチ30は、ロック解除するための操作部32も一体に兼ねており、円滑な操作が可能である。また、ラッチ30は上下方向にスライドするものであり、その操作時に背凭れ1の背面を背凭れ1側に押すことはなく、背凭れ1に余計な衝撃を加える虞もない。なお、操作部32の上方に表れる隔壁25には、ラッチ30の操作方向を示す矢印が記されている。
【0063】
着座者がラッチ30を操作するときは、特に操作部32の上端にある段部33に指を掛けやすいが、この段部33と対向する開口部44の上端縁45には、段部33との間の隙間が外側に広がるテーパ45aが設けられている。これにより、操作部32の段部33と開口部44の上端縁45との間の隙間に、誤って指が挟まる事態を未然に防止することができる。
【0064】
また、テーブル10の使用が終了して元の格納状態に戻すには、テーブル10をそのまま上方に向かって起こすように回動させる。これにより、テーブル10が背凭れ1にある凹み1aに格納される。このとき、テーブル10の先端縁部12を、元の拘束位置にある爪部31のテーパ31bに押し付けることで、ラッチ30は、付勢部材50の付勢力に抗して上方の解除位置まで後退する。
【0065】
そして、テーブル10の先端縁部12が爪部31のテーパ31bを越えると、先端縁部12はカバー40の受け部43に当接する。このタイミングで爪部31の先端縁部12に対する係合が解かれるため、ラッチ30は付勢部材50の付勢力により元の拘束位置に突出する。これにより、爪部31の内側面31aが、テーブル10の先端縁部12の裏面に自動的に重なり係合する。従って、テーブル10を格納するときは、ラッチ30自体を人手で操作することなく、テーブル10の動きに合わせて自動的にロックすることができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、テーブル用ストッパ20を適用する座席は、鉄道車両、航空機、自動車、船舶等の客室内に装備される乗物用の座席に限らず、前後に並ぶように設置する様々な座席に広く利用することができる。また、テーブル用ストッパ20を構成するベース21、ラッチ30、カバー40等の構成部品は、図示した形状のものに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明に係るテーブル用ストッパは、特に鉄道車両、航空機、自動車、船舶等の客室内に設置される乗物用の座席の他、前後に並ぶように設置する様々な座席に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…背凭れ
10…テーブル
20…テーブル用ストッパ
21…ベース
22…正面部
23…収納部
30…ラッチ
31…爪部
31a…内側面
31b…テーパ
32…操作部
33…段部
34…支持部
40…カバー
41…表面部
42…底面部
43…受け部
44…開口部
45…上端縁
45a…テーパ