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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】電力変換装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20221013BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20221013BHJP
【FI】
H02M7/12 601
H02M7/12 P
H02M7/12 H
H02M7/48 M
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018222788
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020089146
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小林 尚斗
(72)【発明者】
【氏名】居安 誠二
(72)【発明者】
【氏名】半田 祐一
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-255413(JP,A)
【文献】特開2013-172612(JP,A)
【文献】特開2014-138450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアクトル(13)、駆動スイッチ(SW5)、第1交流側端子(TA1)、第2交流側端子(TA2)、第1直流側端子(TD1)、第2直流側端子(TD2)、及び前記各交流側端子と前記リアクトルとの間に設けられたフルブリッジ回路(12)を有し、前記各交流側端子から入力された交流電源の交流電圧を直流電圧に変換して前記各直流側端子から出力する機能、及び前記各直流側端子から入力された直流電圧を交流電圧に変換して前記各交流側端子から出力する機能のうち、少なくとも一方の機能を有する電力変換装置(100)の制御装置(30)において、
前記フルブリッジ回路は、第1スイッチ(SW1)及び第2スイッチ(SW2)の直列接続体、並びに第3スイッチ(SW3)及び第4スイッチ(SW4)の直列接続体を有し、前記各直列接続体が並列接続されて構成されており、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチそれぞれには、ダイオード(D1~D4)が逆並列に接続されており、
前記第1交流側端子には、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続点が接続されており、
前記第2交流側端子には、前記第3スイッチと前記第4スイッチとの接続点が接続されており、
前記交流電源の電圧値である交流電圧を取得する交流電圧取得部と、
取得された前記交流電圧の極性に基づいて、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組と、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組とを交互にオン操作する操作部(80)と、
前記交流電源に流れる電流が過電流状態であるか否かを判定する過電流判定部(70)と、を備え、
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、前記各交流側端子に流れる電流を低下させるべく、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する電力変換装置の制御装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組と、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組とのうち、オン操作されているスイッチの組をオフ操作に切り替え、残りのスイッチの組をオン操作に切り替える請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定されている期間に渡って、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組と、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組とのうち、オン操作されているスイッチの組のみをオフ操作に切り替える請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定されている期間に渡って、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組と、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組とのうち、オン操作されているスイッチの組のみについて、オン状態を維持しつつゲート電圧を低下させることでオン抵抗を増加させる請求項1に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項5】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定されている期間に渡って、前記駆動スイッチをオフ操作に維持する、又は前記駆動スイッチをオン状態に維持しつつゲート電圧を低下させることで前記駆動スイッチのオン抵抗を増加させる請求項3又は4に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項6】
前記過電流判定部は、前記各交流側端子に流れる電流の絶対値が過電流閾値よりも大きい場合に前記過電流状態であると判定し、その後、前記各交流側端子に流れる電流の絶対値が、前記過電流閾値よりも小さい電流側解除閾値以下になったと判定した場合に、前記過電流状態でないと判定する請求項1~5のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項7】
前記各直流側端子から入力された直流電圧を交流電圧に変換して前記各交流側端子から出力する機能を有する電力変換装置の制御装置において、
前記リアクトルに流れる電流値であるリアクトル電流を取得する電流取得部と、
取得された前記リアクトル電流を、取得された前記交流電圧に基づいて生成された電流指令値に制御すべく、前記駆動スイッチをオンオフ操作する電流制御部(50)と、を備え、
前記過電流判定部は、前記各交流側端子に流れる電流と前記電流指令値との差の絶対値が偏差閾値よりも大きい場合に、前記過電流状態であると判定する請求項1~5のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項8】
前記過電流判定部は、前記過電流状態であると判定し、その後に、前記各交流側端に流れる電流と、前記電流指令値との差の絶対値が前記偏差閾値よりも小さい偏差側解除閾値を下回った場合に、前記過電流状態でないと判定する請求項7に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項9】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、前記リアクトルに流れる電流と前記電流指令値との差の絶対値が所定の電流差閾値よりも小さいことを条件に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する請求項7又は8に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、取得された前記交流電圧がゼロとなるゼロクロスタイミング近傍の期間であることを条件に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する請求項1~9のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項11】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、取得された前記交流電圧の絶対値が所定の電圧閾値よりも小さいことを条件に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する請求項1~10のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項12】
前記操作部は、前記過電流状態であると判定された場合に、前記リアクトルに流れる電流の絶対値が所定のリアクトル電流閾値よりも小さいことを条件に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する請求項1~11のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【請求項13】
前記操作部は、取得された前記交流電圧の極性が正の期間において、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組をオン操作し、かつ、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組をオフ操作し、取得された前記交流電圧の極性が負の期間において、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組をオン操作し、かつ、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組をオフ操作し、
前記過電流判定部は、前記過電流状態として、前記第1交流側端子から前記交流電源を介して前記第2交流側端子へと向かう方向に過電流が流れる正の過電流状態と、前記第2交流側端子から前記交流電源を介して前記第1交流側端子へと向かう方向に過電流が流れる負の過電流状態とを判定し、
前記操作部は、前記正の過電流状態であると判定された場合に、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組がオン操作される期間であることを条件に、又は前記負の過電流状態であると判定された場合に、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組がオン操作される期間であることを条件に、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する請求項1~12のいずれか一項に記載の電力変換装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、AC・DC変換装置のリアクトルに流れるリアクトル電流を電流指令値に制御すべく、周知のピーク電流モード制御により駆動スイッチを操作する制御装置が開示されている。この制御装置は、交流電源の電圧を交流電圧として取得し、取得した交流電圧の位相に応じて変化する電流補正値を電流指令値に加算することで、出力電流の歪みを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-198460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交流電源に接続される交流側端子と、リアクトルとの間にフルブリッジ回路を備える電力変換装置では、交流電源における急な電圧変動や、交流電圧を検出するセンサの検出誤差に起因して、交流側端子に過電流が流れ得る。この場合、電力変換装置を強制的に停止させる必要が生じ、電力変換装置の駆動を継続させることができなくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、フルブリッジ回路を備える電力変換装置の制御装置において、各交流側端子に過電流が流れるのを抑制できる電力変換装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、リアクトル、駆動スイッチ、第1交流側端子、第2交流側端子、第1直流側端子、第2直流側端子、及び前記各交流側端子と前記リアクトルとの間に設けられたフルブリッジ回路を有する電力変換装置に適用され、前記各交流側端子から入力された交流電源の交流電圧を直流電圧に変換して前記各直流側端子から出力する機能、及び前記各直流側端子から入力された直流電圧を交流電圧に変換して前記各交流側端子から出力する機能のうち、少なくとも一方の機能を有する電力変換装置の制御装置に関する。電力変換装置の前記フルブリッジ回路は、第1スイッチ及び第2スイッチの直列接続体、並びに第3スイッチ及び第4スイッチの直列接続体を有し、前記各直列接続体が並列接続されて構成されており、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチそれぞれには、ダイオードが逆並列に接続されている。前記第1交流側端子には、前記第1スイッチと前記第2スイッチとの接続点が接続されており、前記第2交流側端子には、前記第3スイッチと前記第4スイッチとの接続点が接続されている。制御装置は、前記交流電源の電圧値である交流電圧を取得する交流電圧取得部と、取得された前記交流電圧の極性に基づいて、前記第1スイッチ及び前記第4スイッチの組と、前記第2スイッチ及び前記第3スイッチの組とを交互にオン操作する操作部と、前記各交流側端子に流れる電流が過電流状態であるか否かを判定する過電流判定部と、を備えている。前記操作部は、前記過電流判定部により前記過電流状態であると判定された場合に、前記各交流側端子に流れる電流を低下させるべく、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ及び前記第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更する。
【0007】
電力変換装置では、交流電源に供給する電力の力率を高めるために、交流電源における電圧の極性が変化するゼロクロスタイミングに同期させて、各交流側端子から交流電源に流れる電流の極性を変更する必要がある。そのため、制御装置は、取得された交流電圧の極性に基づいて、第1スイッチ及び第4スイッチの組と、第2スイッチ及び第3スイッチの組とを交互にオン操作する。ここで、取得された交流電圧と、交流電源の実際の電圧である実電圧との間の位相がずれる場合があり、第1~第4スイッチのオンオフ操作の切り替えタイミングが、実電圧の極性が切り替わるタイミングからずれる場合がある。このことにより、フルブリッジ回路内において、オンしているスイッチの組と、オフしているスイッチの組に逆並列に接続されたダイオードとを含む短絡回路が形成され、この短絡回路を通じて各交流側端子に過電流が流れる場合がある。
【0008】
本発明では、この点に鑑み、各交流側端子に流れる電流が過電流状態であるか否かが判定される。そして、各交流側端子に流れる電流が過電流状態であると判定された場合に、電流を低下させるべく、第1スイッチ、第2スイッチ、第3スイッチ及び第4スイッチのうち少なくともオン操作されているスイッチの操作態様を変更することとした。これにより、交流電圧と実電圧との間の位相にずれが生じる期間において、フルブリッジ回路内に形成された短絡回路に流れる電流を低下させることができ、各交流側端子に過電流が流れるのが抑制される。その結果、ひいては電力変換装置の駆動を継続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電力変換装置の構成図。
図2】制御装置の機能を説明する機能ブロック図。
図3】電流補正部を説明する図。
図4】電力変換装置の動作を説明するタイミングチャート。
図5】過剰な出力電流が流れる原因を説明する図。
図6】電力変換装置に形成された短絡回路を説明する図。
図7】過電流閾値を説明する図。
図8】交流電圧の位相に応じた補正の許可条件を説明する図。
図9】交流電圧の絶対値に応じた補正の許可条件を説明する図。
図10】リアクトル電流の絶対値に応じた補正の許可条件を説明する図。
図11】第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
図12】制御装置により過電流状態が解消される作用を説明する図。
図13】乖離幅を説明する図。
図14】第2実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
図15】第3実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
図16】第4実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
図17】第5実施形態に係る制御装置の機能を説明する機能ブロック図。
図18】第5実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
図19】第6実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態に係る電力変換装置について説明する。本実施形態では、電力変換装置は、直流側端子を通じて直流電源から供給される直流電力を、交流電力へ変換して交流電源に供給する。
【0011】
図1に示す電力変換装置100の第1,第2直流側端子TD1,TD2には、不図示の直流電源が接続されており、第1,第2交流側端子TA1,TA2には、交流電源200が接続されている。交流電源200は、例えば商用電源であり、直流電源は、例えばバッテリである。
【0012】
電力変換装置100は、コンデンサ16と、ハーフブリッジ回路15と、中間コンデンサ14と、リアクトル13と、フルブリッジ回路12と、第1~第6配線LP1~LP6とを備えている。
【0013】
第1直流側端子TD1には、第1配線LP1の第1端が接続されており、第2直流側端子TD2には第2配線LP2の第1端が接続されている。第1配線LP1と第2配線LP2とは、コンデンサ16により接続されている。
【0014】
第1,第2配線LP1,LP2の第2端には、ハーフブリッジ回路15が接続されている。ハーフブリッジ回路15は、第5スイッチSW5と、第6スイッチSW6とを備えている。第5,第6スイッチSW5,SW6は、電圧駆動型のスイッチであり、本実施形態では、NチャネルMOSFETである。第5スイッチSW5のソースと、第6スイッチSW6のドレインとが接続されている。第5スイッチSW5のドレインが第1配線LP1に接続され、第6スイッチSW6のソースが第2配線LP2に接続されている。本実施形態では、第5スイッチSW5が駆動スイッチに相当する。
【0015】
ハーフブリッジ回路15とフルブリッジ回路12とは、第3配線LP3及び第4配線LP4により接続されている。第3配線LP3の第1端は、第5スイッチSW5のソースと、第6スイッチSW6のドレインとの間の第1接続点K1に接続されている。第3配線LP3には、リアクトル13が設けられている。また、第4配線LP4の第1端は、第6スイッチSW6のソースに接続されている。第3,4配線LP3,LP4それぞれの第2端は、フルブリッジ回路12に接続されている。第3配線LP3と第4配線LP4とは、中間コンデンサ14により接続されている。具体的には、第3配線LP3のうちリアクトル13よりもフルブリッジ回路12側と、第4配線LP4とは、中間コンデンサ14により接続されている。
【0016】
フルブリッジ回路12は、第1~第4スイッチSW1~SW4を備えている。第1~第4スイッチSW1~SW4は、電圧駆動型のスイッチであり、本実施形態では、NチャネルMOSFETである。第1スイッチSW1のソースと、第2スイッチSW2のドレインとが接続されている。第3スイッチSW3のソースと、第4スイッチSW4のドレインとが接続されている。第1,第3スイッチSW1,SW3の各ドレインが第3配線LP3に接続され、第2,第4スイッチSW2,SW4の各ソースが第4配線LP4に接続されている。第1~第4スイッチSW1~SW4それぞれは、逆並列接続された第1~第4ボディーダイオードD1~D4を備えている。
【0017】
第3スイッチSW3のソースと第4スイッチSW4のドレインとの間の第2接続点K2は、第6配線LP6の第1端に接続されており、第6配線LP6の第2端は第2交流側端子TA2に接続されている。第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との第3接続点K3は、第5配線LP5の第1端に接続されており、第5配線LP5の第2端は第1交流側端子TA1に接続されている。
【0018】
電力変換装置100は、直流電圧センサ21と、リアクトル電流センサ22と、交流電圧センサ23とを備えている。直流電圧センサ21は、第1,第2配線LP1,LP2の間に接続されており、第1,第2直流側端子TD1,TD2を通じて入力される電圧を直流電圧Vdcとして検出する。リアクトル電流センサ22は、第4配線LP4に設けられており、リアクトル13に流れる電流をリアクトル電流ILrとして検出する。交流電圧センサ23は、第5,第6配線LP5,LP6の間に接続されており、交流電源200の電圧を交流電圧Vacとして検出する。
【0019】
本実施形態では、交流電圧Vacの極性を次のように定めている。第1交流側端子TA1の電圧が第2交流側端子TA2の電圧よりも大きい状態を、交流電圧Vacが正の極性であるとし、第2交流側端子TA2の電圧が第1交流側端子TA1の電圧よりも大きい状態を、交流電圧Vacが負の極性であるとする。
【0020】
電力変換装置100は、第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる電流を出力電流Iacとして検出する出力電流センサ24を備えている。本実施形態では、出力電流センサ24は、第5配線LP5に設けられている。第1交流側端子TA1から交流電源200を介して第2交流側端子TA2の向きに流れる出力電流Iacを正の極性とし、第2交流側端子TA2から交流電源200を介して第1交流側端子TA1の向きに流れる出力電流Iacを負の極性とする。各センサ21~24の検出値は、電力変換装置100の制御装置30に入力される。
【0021】
制御装置30は、第1~第6スイッチSW1~SW6をオンオフ操作する。なお、制御装置30が提供する各機能は、例えば、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによって提供することができる。
【0022】
制御装置30は、リアクトル電流センサ22により検出されたリアクトル電流ILrを取得し、取得したリアクトル電流ILrを、交流電圧Vacに基づいて算出した指令電流ILa*に制御すべく、第5,第6スイッチSW5,SW6をオンオフ操作する。本実施形態では、制御装置30は、ピーク電流モード制御により、第5,第6スイッチSW5,SW6をオンオフ操作する。
【0023】
制御装置30は、交流電圧Vacの極性に基づいて、第1スイッチSW1及び第4スイッチSW4の組と、第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3の組とを交互にオン操作する。これにより、交流電圧Vacが正の期間では、第1,第2交流側端子TA1,TA2を介して、交流電源200に正の出力電流Iacが流れる。一方、交流電圧Vacが負の期間では、第1,第2交流側端子TA1,TA2を介して、交流電源200に負の出力電流Iacが流れる。
【0024】
次に、図2を用いて、制御装置30の機能を説明する。制御装置30は、位相推定部31、波形生成部32、乗算器33、絶対値算出部34、加算器35、電流補正部40及び電流制御部50を備えている。本実施形態では、制御装置30が、電流取得部と、交流電圧取得部とに相当する。
【0025】
位相推定部31は、交流電圧Vacに基づいて、交流電圧Vacの位相θを推定する。この推定方法の一例について説明すると、位相推定部31は、交流電圧Vacの1周期(360°)をカウントし、カウントした値に基づいて位相θを推定する。本実施形態では、交流電圧Vacのゼロアップクロスタイミングをθ=0°とし、交流電圧Vacのゼロダウンクロスタイミングをθ=180°とする。
【0026】
波形生成部32は、位相推定部31により推定された交流電圧Vacの位相θに基づいて、交流電圧Vacの基準波形sinθを生成する。基準波形sinθは、交流電圧Vacの半周期(T/2)における電圧変化を示す値であり、振幅が1であり、交流電圧Vacと同じ周期で変動する。本実施形態においては、基準波形sinθは、交流電圧Vacと同位相となる。交流電圧Vacが、ゼロクロスタイミングから次のゼロクロスタイミングまで変化する期間が、交流電圧Vacの半周期(T/2)となる。
【0027】
乗算器33は、リアクトル電流ILrの振幅指令値Ia*と基準波形sinθとを乗算する。振幅指令値Ia*は、リアクトル電流ILrの振幅を定める指令値である。絶対値算出部34は、乗算器33からの出力値の絶対値を、補正前指令電流IL*として設定する。
【0028】
電流補正部40は、出力電流Iacの歪みを抑制すべく、補正前指令電流IL*に対する補正に用いる電流補正値Icを設定する。本実施形態に係る電流補正部40の構成について図3を用いて説明する。直流電圧を交流電圧に変換する場合、補正前指令電流IL*と、歪みが生じているリアクトル電流ILrの平均値Iaveとの差を示す乖離幅Δiは、ゼロクロスタイミング付近において最も小さな値となる。ここで、乖離幅Δiは、出力電流Iacの歪みの要因となる。乖離幅Δiは、補正前指令電流IL*からリアクトル電流ILrの平均値Iaveを引いた下記式(1)を用いて演算することができる。
【0029】
【数1】
なお、上記式(1)の導出方法については後述する。
【0030】
上記式(1)により、直流電圧を交流電圧に変換する場合、乖離幅Δiは、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングにおいて最小値を取り、交流電圧Vacのピークタイミングにおいて最大値を取る。そのため、上記式(1)により算出される乖離幅Δiに応じて、電流補正値Icを算出することにより、出力電流Iacの歪みを抑制することができる。
【0031】
図3に示す電流補正部40は、実効値算出部41と、上限値設定部42と、基準補正値算出部43と、最小値選択部44と、を備えている。実効値算出部41は、交流電圧Vacの実効値Vrmsを算出する。
【0032】
上限値設定部42は、実効値Vrmsと、振幅指令値Ia*とに基づいて上限値Idc設定する。振幅指令値Ia*が大きいほど、リアクトル電流ILrの増加分が大きくなるため、上限値設定部42は、振幅指令値Ia*が大きいほど、上限値Idcを大きな値に設定する。また、実効値Vrmsが大きいほど、第5スイッチSW5のオン期間のデューティ比が大きくなり、乖離幅が増加するため、上限値Idcを大きな値に設定する。
【0033】
本実施形態では、上限値設定部42は、実効値Vrms毎に、振幅指令値Ia*と、上限値Idcとの関係を示す直流成分マップを備えている。例えば、各実効値Vrmsは、各国の商用電源の実効値Vrmsに対応している。そのため、上限値設定部42は、実効値Vrms毎の直流成分マップを参照することで、振幅指令値Ia*に応じた上限値Idcを設定することができる。
【0034】
基準補正値算出部43は、実効値Vrmsに基づいて、基準補正値Ihを設定する。本実施形態では、基準補正値算出部43により設定される基準補正値Ihは、交流電圧Vacのゼロクロスタイミング又はその付近において極小値を取り、ピークタイミングにおいて極大値を取る。具体的には、基準補正値Ihは、時間の推移とともに、その値が変化する。また、本実施形態では、基準補正値Ihは、ゼロクロスタイミングにおいてゼロに定められているが、これに限定されず、ゼロクロスタイミングにおいてゼロより大きい値に定められていても良い。
【0035】
基準補正値算出部43は、実効値Vrms毎に、基準補正値Ihを記録した補正値マップを備えている。各補正値マップは、実効値Vrmsが大きいほど、基準補正値Ihが大きな値となるようにその値が定められている。
【0036】
最小値選択部44は、上限値設定部42により設定された上限値Idcと、基準補正値算出部43により設定された基準補正値Ihとのうち、小さい方の値を電流補正値Icに設定する。そのため、基準補正値Ihが上限値Idcより小さい値であれば、基準補正値Ihが電流補正値Icとして設定され、基準補正値Ihが上限値Idc以上の値であれば、上限値Idcが電流補正値Icとして設定される。
【0037】
図2の説明に戻り、加算器35は、補正前指令電流IL*に電流補正値Icを加算し、加算後の値を指令電流ILa*として設定する。本実施形態では、指令電流ILa*が電流指令値に相当する。
【0038】
電流制御部50は、リアクトル電流センサ22により検出されたリアクトル電流ILrと、指令電流ILa*とに基づいて、第5スイッチSW5を操作する第5ゲート信号GS5と、第6スイッチSW6を操作する第6ゲート信号GS6とを生成する。
【0039】
電流制御部50は、DA変換器351と、コンパレータ352と、加算器353と、RSフリップフロップ357と、スロープ補償部60と、を備えている。指令電流ILa*は、DA変換器351に入力される。DA変換器351は、入力された指令電流ILa*をデジタル値からアナログ値に変換する。アナログ値に変換された指令電流ILa*は、コンパレータ352の反転入力端子に入力される。加算器353は、リアクトル電流ILrとスロープ補償部60により設定されたスロープ補償信号Slopeとを加算し、補償したリアクトル電流ILrを出力する。加算器353からの出力は、コンパレータ352の非反転入力端子に入力される。なお、スロープ補償信号Slopeは、リアクトル13に流れる電流の変動に伴う発振を抑制するものである。
【0040】
コンパレータ352は、指令電流ILa*とリアクトル電流ILrとを比較し、リアクトル電流ILrが指令電流ILa*より小さい期間において、ロー状態の信号をRSフリップフロップ357のR端子に入力する。また、コンパレータ352は、リアクトル電流ILrが指令電流ILa*より大きい期間において、ハイ状態の信号をRSフリップフロップ357のR端子に入力する。更に、RSフリップフロップ357のS端子には、クロック信号が入力される。クロック信号の1周期が第5,第6スイッチSW5,SW6の1スイッチング周期Tswとなる。
【0041】
RSフリップフロップ357のQ端子は、第5スイッチSW5のゲートに接続されている。Q端子から第5スイッチSW5のゲートに出力される信号が、第5ゲート信号GS5となる。また、RSフリップフロップ357の出力端子は、反転器358を介して第6スイッチSW6のゲートに接続されている。Q端子から反転器358を介して第6スイッチSW6のゲートに出力される信号が、第6ゲート信号GS6となる。第6ゲート信号GS6は、第5ゲート信号GS5を反転させた値となる。
【0042】
次に、図4を用いて、電力変換装置100の動作を説明する。図4(a)は、交流電圧Vac及び直流電圧Vdcの推移を示している。図4(b)は、第1,第4ゲート信号GS1,GS4の推移を示し、図4(c)は、第2,第3ゲート信号GS2,GS3の推移を示す。図4(d)は、第5ゲート信号GS5と、第6ゲート信号GS6を反転させた信号との推移を示す。図4(e)は、指令電流ILa*の推移を示し、図4(f)は、リアクトル電流ILrの推移を示す。図4(g)は、出力電流Iacの推移を示す。なお、図4において、時刻ta,tc,teは、交流電圧Vacの1周期Tにおいて交流電圧Vacがゼロとなるゼロクロスタイミングである。具体的には、時刻ta,teは交流電圧Vacが負から正に切り替わるゼロアップクロスタイミングであり、時刻tcは交流電圧Vacが正から負に切り替わるゼロダウンクロスタイミングである。また、時刻tbは交流電圧Vacの1周期Tにおける正のピークタイミングであり、時刻tdは交流電圧Vacの1周期Tにおける負のピークタイミングである。
【0043】
制御装置30は、交流電源200に供給する交流電力の力率を改善するために、交流電圧Vacに基づいて、指令電流ILa*を算出する。そのため、指令電流ILa*は、正弦波の正の半波が周期T/2で繰り返される波形となっている。図4では、指令電流ILa*は、交流電圧Vacのゼロクロスタイミングta,tcから交流電圧Vacのピークタイミングtb,tdに推移するに従い電流が増加する。また、指令電流ILa*は、交流電圧Vacのピークタイミングtb,tdからゼロクロスタイミングtc,teに推移するに従い電流が減少する。
【0044】
交流電圧Vacの1周期Tにおいて、交流電圧Vacが正となる第1期間P1では、第1,第4ゲート信号GS1,GS4がハイ状態となり、第2,第3ゲート信号GS2,GS3がロー状態となる。これにより、フルブリッジ回路12では、第1,第4スイッチSW1,SW4がオン状態となり、第2,第3スイッチSW2,SW3がオフ状態となる。この第1期間P1において、制御装置30は、ピーク電流モード制御により、リアクトル電流ILrを指令電流ILa*に制御するべく、第5,第6ゲート信号GS5,GS6の1スイッチング周期Tswでのオン期間の比を示すデューティ比(=Ton/Tsw)を変更する。このとき、1スイッチング周期Tswでのリアクトル電流ILrは、第5スイッチのデューティ比に応じた値となる。そのため、リアクトル電流ILrの平均値Iaveは、指令電流ILa*に近い値となる。
【0045】
交流電圧Vacが負となる第2期間P2では、第1,第4ゲート信号GS1,GS4がロー状態となり、第2,第3ゲート信号GS2,GS3がハイ状態となる。これにより、フルブリッジ回路12では、第1,第4スイッチSW1,SW4がオフ状態となり、第2,第3スイッチSW2,SW3がオン状態となる。この第2期間P2においても、制御装置30は、ピーク電流モード制御により、リアクトル電流ILrを指令電流ILa*に制御するべく、第5,第6ゲート信号GS5,GS6のデューティ比を変更する。
【0046】
ここで、交流電源200の実際の交流電圧である実電圧V1の位相に対して、交流電圧センサ23により検出された交流電圧Vacの位相がずれることにより、フルブリッジ回路12を構成する第1~第4スイッチ素子SW1~SW4のオンオフ操作の切り替えタイミングが、実電圧V1の極性が切り替わるタイミングからずれる場合がある。実電圧V1と交流電圧Vacとの間の位相のずれは、例えば、実電圧V1の急な電圧変動や、交流電圧センサ23の検出誤差により生じる。これらの要因によりフルブリッジ回路12内に短絡回路が生じ、第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れる場合がある。
【0047】
図5図6を用いて、交流電源200の実電圧V1と交流電圧Vacとの間の位相のずれに起因して過電流が流れる場合について説明する。図5(a)は、交流電圧Vac及び実電圧V1の推移を示し、図5(b)は、第1,第4ゲート信号GS1,GS4の推移を示す。図5(c)は、第2,第3ゲート信号GS2,GS3の推移を示し、図5(d)は、出力電流Iacの推移を示す。図6(a)は、図5の期間P11における、フルブリッジ回路12及び交流電源200に流れる電流を説明する図である。図6(b)は、図5の期間P12における、フルブリッジ回路12及び交流電源200に流れる電流を説明する図である。
【0048】
図5(a)で示す交流電圧Vacは、実電圧V1よりも位相が遅れている。これにより、交流電圧Vacが正となる第1期間P1において、第1,第4ゲート信号GS1,GS4の立ち下がりタイミングが、実電圧V1のゼロクロスタイミングよりもΔεだけ遅延している。また、第2,第3ゲート信号GS2,GS3の立ち上がりタイミングが、実電圧V1のゼロクロスタイミングよりもΔεだけ遅延している。更に、期間P11では、実電圧V1が負であるのに対して、交流電圧Vacは正となっている。
【0049】
図6(a)に示すように、期間P11では、第1,第2交流側端子TA1,TA2間に印加される負の実電圧V1により、第3スイッチSW3のボディーダイオードD3と、第1スイッチSW1のドレイン・ソース間とを含む閉回路に、第1交流側端子TA1から交流電源200を介して第2交流側端子TA2の向きに、第1電流I1が流れる。同様に、負の実電圧V1により、第4スイッチSW4のドレイン・ソース間と、第2スイッチSW2のボディーダイオードD2とを含む閉回路に、第1交流側端子TA1から交流電源200を介して第2交流側端子TA2の向きに第2電流I2が流れる。そのため、期間P11での出力電流Iacは、第1電流I1と第2電流I2とが足し合わされた過電流となる。
【0050】
図5に戻り、期間P12では、第1,第4ゲート信号GS1,GS4の立ち上がりタイミングが、実電圧V1のゼロクロスタイミングよりもΔεだけ遅延している。また、期間P12では、第2,第3ゲート信号GS2,GS3の立ち下がりタイミングが、実電圧V1のゼロクロスタイミングよりもΔεだけ遅延している。更に、期間P12では、実電圧V1が正であるのに対して、交流電圧Vacは負となっている。
【0051】
図6(b)に示すように、期間P12では、第1,第2交流側端子AT1,AT2間に印加される正の実電圧V1により、第1スイッチSW1のボディーダイオードD1と、第3スイッチSW3のドレイン・ソース間とを含む閉回路に、第2交流側端子TA2から交流電源200を介して第1交流側端子TA1の向きに、第3電流I3が流れる。同様に、正の実電圧V1により、第2スイッチSW2のドレイン・ソース間と、第4スイッチSW4のボディーダイオードD4とを含む閉回路に、第2交流側端子TA2から交流電源200を介して第1交流側端子TA1の向きに第4電流I4が流れる。そのため、期間P12での出力電流Iacは、第3電流I3と第4電流I4とが足し合わされた過電流となる。
【0052】
第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れると、電力変換装置100が安定して動作できなくなるおそれがある。そこで、制御装置30は、出力電流Iacが過電流状態である場合に、過剰な出力電流Iacを低下させるべく、フルブリッジ回路12を形成する第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させる。詳しくは、図5を参照すると、制御装置30は、期間P11,P12において、第1~第4ゲート信号GS1~GS4のうち、ハイ状態の信号をロー状態に切り換え、ロー状態の信号をハイ状態に切り換える。これにより、交流電圧Vacと実電圧V1との間の位相のずれに起因して第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れるのを抑制することができる。
【0053】
制御装置30は、過電流が流れるのを抑制するための構成として、図2に示すように、極性切替部55、反転器359、過電流判定部70及び操作部80を備えている。
【0054】
極性切替部55は、推定された位相θに応じて、出力信号の論理を反転させる。本実施形態では、交流電圧Vacのゼロアップクロスタイミングの位相θを0とする。極性切替部55は、0°≦θ<180°の期間においてハイ状態の出力信号を出力する。一方、極性切替部55は、180°≦θ<360°の期間においてロー状態の出力信号を出力する。極性切替部55の出力信号は、反転器359にも入力されており、反転器359により、極性切替部55からの出力信号の論理が反転される。本実施形態では、極性切替部55の出力信号を第1出力信号OUT1と称し、反転器359の出力信号を第2出力信号OUT2と称す。
【0055】
過電流判定部70は、出力電流Iacが過電流状態であるか否かを判定する。操作部80は、第1~第4スイッチSW1~SW4を操作するための第1~第4ゲート信号GS1~GS4を生成する。
【0056】
過電流判定部70は、極性切替部55から出力された第1出力信号OUT1の論理に応じて過電流閾値TH1を切り換える閾値設定部71と、過電流閾値TH1と出力電流Iacとの比較結果に応じた過電流判定信号DSを出力するコンパレータ72とを備えている。過電流閾値TH1は、過電流状態での出力電流Iacを定めた値であり、本実施形態では、第1~第4スイッチSW1~SW4の定格電流よりも高い値に定められている。
【0057】
図7は、閾値設定部71により出力される過電流閾値TH1を説明する図である。図7(a),(b)に示すように、第1期間P1では、0°≦θ<180°であるため、極性切替部55からの第1出力信号OUT1がハイ状態となり、第2期間P2では、180°≦θ<360°であるため、極性切替部55からの第1出力信号OUT1がロー状態となる。閾値設定部71は、極性切替部55からの第1出力信号OUT1がハイ状態である場合に、正の過電流閾値TH1を出力し、第1出力信号OUT1がロー状態である場合に、負の過電流閾値TH1を出力する。即ち、閾値設定部71は、位相θに応じて交流電圧Vacの極性が変化することから、その極性に応じて、過電流閾値TH1の符号を切り換えている。なお、本実施形態において、正の過電流閾値TH1と負の過電流閾値TH1は、絶対値が同じ値である。
【0058】
出力電流Iacが過電流状態となった後、下降に転じる際に、出力電流Iacは下降と上昇とを繰り返し、変動が収束するまでには時間を要する。閾値設定部71は、出力電流Iacが過電流状態と判定された後、過電流閾値TH1よりも絶対値が小さな値である解除閾値TH2を設定する。本実施形態では、解除閾値TH2が電流側解除閾値に相当する。出力電流Iacが過電流状態と判定された後、出力電流Iacの絶対値が解除閾値TH2以下になった場合、過電流状態が解除されたと判定される。
【0059】
図2に戻り、コンパレータ72の一方の入力端子には、出力電流センサ24により検出されたリアクトル電流ILrが入力され、他方の入力端子には、閾値設定部71からの過電流閾値TH1又は解除閾値TH2が入力される。コンパレータ72は、出力電流Iacが過電流閾値TH1よりも大きい場合に、ハイ状態の過電流判定信号DSを出力し、出力電流Iacが過電流閾値TH1以下である場合に、ロー状態の過電流判定信号DSを出力する。また、コンパレータ72は、出力電流Iacが過電流状態と判定された後は、出力電流Iacが解除閾値TH2よりも大きい場合に、ハイ状態の過電流判定信号DSを出力し、出力電流Iacが解除閾値TH2以下である場合に、ロー状態の過電流判定信号DSを出力する。
【0060】
操作部80は、補正実行部81と、第1許可判定部82と、第2許可判定部83と、第3許可判定部84と、を備えている。補正実行部81は、極性切替部55から出力される第1出力信号OUT1,及び反転器359から出力される第2出力信号OUT2を補正する。第1~第3許可判定部82~84は、補正実行部81による第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正の可否を判定する。
【0061】
出力電流センサ24により検出された出力電流Iacにノイズが重畳することにより、過電流判定部70が出力電流Iacを過電流状態と誤判定してしまうおそれがある。この場合、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させてしまうと、電力変換装置100の動作に悪影響を及ぼすことが懸念される。ここで、交流電圧Vacのゼロクロスタイミング近傍において、実電圧V1と交流電圧Vacとの位相ずれに起因して第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れやすい。第1許可判定部82は、交流電圧Vacの位相θがゼロクロスタイミングの近傍の期間に含まれる場合に、補正実行部81による第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を許可すべく、ハイ状態の第1許可信号DP1を出力する。一方、第1許可判定部82は、交流電圧Vacの位相θがゼロクロスタイミングの近傍の期間に含まれない場合に、補正実行部81による第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を禁止すべく、ロー状態の第1許可信号DP1を出力する。
【0062】
図8を用いて、第1許可信号DP1について説明する。図8(a)は交流電圧Vacの推移を示し、図8(b)は交流電圧Vacの位相θの推移を示し、図8(c)は第1許可信号DP1を示している。第1許可判定部82は、位相推定部31により推定された位相θを監視しており、交流電圧Vacの位相θが補正許可範囲PP1「θ1-X~θ1+X」に含まれていると判定した場合、現在の制御周期が補正許可期間PP1に含まれると判定し、第1許可信号DP1をハイ状態とする。一方、交流電圧Vacの位相θが補正許可範囲PP1に含まれていないと判定した場合、現在の制御周期が補正許可期間PP1に含まれていないと判定し、第1許可信号DP1をロー状態とする。基準となる位相θ1は、交流電圧Vacの1周期Tにおけるゼロクロスタイミング(θ1=0°,180°,360°)である。
【0063】
図9を用いて、第2許可信号DP2について説明する。図9(a)は交流電圧Vacの推移を示し、図9(b)は第2許可信号DP2を示している。補正許可期間PP2は交流電圧Vacのゼロクロスタイミングを含む期間であるため、交流電圧Vacを用いて、補正許可期間PP2を判定することができる。図9(a)では、補正許可期間PP2は、-TH3≦Vac≦TH3となる期間である。電圧閾値TH3は、交流電圧Vacの振幅よりも小さい値である。第2許可判定部83は、取得された交流電圧Vacの絶対値が電圧閾値TH3以下であると判定した場合に、補正実行部81による第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を許可すべくハイ状態の第2許可信号DP2を出力する。一方、第2許可判定部83は、取得された交流電圧Vacの絶対値が電圧閾値TH3よりも大きいと判定した場合に、補正実行部81による第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を禁止すべくロー状態の第2許可信号DP2を出力する。
【0064】
続いて、第3許可信号DP3について説明する。電力変換装置100において、フルブリッジ回路12よりも第1,第2直流側端子TD1,TD2側で過電流が流れる場合、リアクトル電流ILrが大きくなることにより、第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れることが懸念される。この場合、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させても、出力電流Iacを低減できない可能性が高い。
【0065】
図10(a)は、リアクトル電流ILrの絶対値の推移を示し、図10(b)は第3許可信号DP3の推移を示している。第3許可判定部84は、リアクトル電流ILrの絶対値を監視している。第3許可判定部84は、リアクトル電流ILrの絶対値が所定のリアクトル電流閾値TH4よりも小さいと判定した場合は、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を許可すべくハイ状態の第3許可信号DP3を出力する。一方、第3許可判定部84は、リアクトル電流ILrの絶対値がリアクトル電流閾値TH4以上であると判定した場合に、リアクトル13に過電流が流れていると判定し、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を禁止すべくロー状態の第3許可信号DP3を出力する。
【0066】
図2に戻り、補正実行部81には、極性切替部55からの第1出力信号OUT1、反転器359からの第2出力信号OUT2、過電流判定部70からの過電流判定信号DS、及び第1~第3許可判定部83~85からの第1~第3許可信号DP1~DP3が入力される。補正実行部81の出力部は、第1~第4スイッチSW1~SW4の各ゲートに接続されている。補正実行部81から第1~第4スイッチSW1~SW4の各ゲートに出力される信号が、第1~第4ゲート信号GS1~GS4となる。
【0067】
補正実行部81は、過電流判定信号DSがロー状態であれば、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の論理に応じた第1~第4ゲート信号GS1~GS4を出力する。詳しくは、補正実行部81は、第1出力信号OUT1がハイ状態であれば、ハイ状態の第1,第4ゲート信号GS1,GS4を出力し、第1出力信号OUT1がロー状態であれば、ロー状態の第1,第4ゲート信号GS1,GS4を出力する。また、第2出力信号OUT2がロー状態であれば、ロー状態の第2,第3ゲート信号GS2,GS3を出力し、第2出力信号OUT2がハイ状態であれば、ハイ状態の第2,第3ゲート信号を出力する。
【0068】
本実施形態では、第1~第6ゲート信号GS1~GS6がハイ状態となることにより、第1~第6スイッチSW1~SW6は、フルオン状態となる。なお、フルオン状態は、スイッチのゲート電圧が閾値電圧以上となってスイッチのオン状態が維持されつつ、スイッチのオン抵抗が略ゼロとなる状態である。
【0069】
補正実行部81は、過電流判定信号DSがハイ状態であっても、第1~第3許可信号DP1~DP3の少なくとも1つがロー状態であれば、上述したように、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の論理に応じた第1~第4ゲート信号GS1~GS4を出力する。
【0070】
補正実行部81は、過電流判定信号DSがハイ状態であって、かつ第1~第3許可信号DP1~DP3の全てがハイ状態であれば、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の論理を反転させた値に応じた第1~第4ゲート信号GS1~GS4を出力する。詳しくは、補正実行部81は、第1出力信号OUT1がハイ状態であれば、ロー状態の第1,第4ゲート信号GS1,GS4を出力し、第1出力信号OUT1がロー状態であれば、ハイ状態の第1,第4ゲート信号GS1,GS4を出力する。また、補正実行部81は、第2出力信号OUT2がロー状態であれば、ハイ状態の第2,第3ゲート信号GS2,GS3を出力し、第2出力信号OUT2がハイ状態であれば、ロー状態の第2,第3ゲート信号GS2,GS3を出力する。これにより、出力電流Iacが過電流状態と判定されている期間において、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのオンオフ操作が反転される。
【0071】
次に、本実施形態に係るピーク電流モード制御を用いた第1~第6スイッチSW1~SW6の操作手順を、図11を用いて説明する。図11に示す処理は、制御装置30により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0072】
ステップS11では、補正前指令電流IL*を算出する。ステップS12では、交流電圧Vacに基づいて、電流補正値Icを設定する。ステップS13では、電流補正値Icにより補正前指令電流IL*を補正した値を指令電流ILa*として算出する。
【0073】
ステップS14では、ステップS13で算出した指令電流ILa*を用いたピーク電流モード制御により、第5,第6ゲート信号GS5,GS6を出力する。
【0074】
ステップS15では、交流電圧Vacの極性が正であるか否かを判定する。交流電圧Vacの極性が正であると判定すると、ステップS16に進み、第1出力信号OUT1をハイ状態に設定し、第2出力信号OUT2をロー状態に設定する。一方、交流電圧Vacの極性が負であると判定すると、ステップS17に進み、第1出力信号OUT1をロー状態に設定し、第2出力信号OUT2をハイ状態に設定する。
【0075】
ステップS18では、第1,第2出力信号OUT1,OUT2に対する補正許可判定を行う。具体的には、第1~第3許可信号DP1~DP3の全てがハイ状態であると判定すると、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を許可し、ステップS19に進む。一方、第1~第3許可信号DP1~DP3の少なくとも1つがロー状態であると判定すると、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の補正を禁止し、ステップS25に進む。ステップS25では、第1,第2出力信号OUT1,OUT2を反転させることなく、第1~第4スイッチSW1~SW4に出力する。これにより、交流電圧Vacの極性に応じてステップS16又はステップS17で設定した第1出力信号OUT1の論理に応じた第1,第4ゲート信号GS1,GS4が第1,第4スイッチSW1,SW4に出力され、同様にステップS16又はステップS17で設定した第2出力信号OUT2の論理に応じた第2,第3ゲート信号GS2,GS3が第2,第3スイッチSW2,SW3に出力される。そして、図11の処理を一旦終了する。
【0076】
ステップS19では、出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きいか否かを判定する。出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きいと判定すると、ステップS20に進み、出力電流Iacが過電流状態であることを示す過電流判定フラグFをハイ状態とする。そして、ステップS24に進み、第1出力信号OUT1及び第2出力信号OUT2の論理を反転させる。具体的には、ステップS16において設定した第1出力信号OUT1をロー状態に切り替え、第2出力信号OUT2をハイ状態に切り替える。または、ステップS17において設定した第1出力信号OUT1をハイ状態に切り替え、第2出力信号OUT2をロー状態に切り替える。これにより、第1出力信号OUT1により定まる第1,第4ゲート信号GS1,GS4が反転し、第2出力信号OUT2により定まる第2,第3ゲート信号GS2,GS3が反転する。
【0077】
ステップS19において出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1以下であると判定すると、ステップS21に進み、過電流判定フラグFがハイ状態となっているか否かを判定する。過電流判定フラグFがロー状態であると判定すると、ステップS25に進む。一方、出力電流Iacを過電流状態であると判定している場合、ステップS21において過電流判定フラグFがハイ状態であると判定され、ステップS22に進み、過電流状態が解消したか否かを判定する。具合的には、ステップS22では、出力電流Iacの絶対値が解除閾値TH2以下か否かを判定する。出力電流Iacの絶対値が解除閾値TH2よりも大きいと判定すると、ステップS24に進む。この場合、過電流状態の判定を継続する。出力電流Iacの絶対値が解除閾値TH2以下であると判定すると、ステップS23に進み、過電流判定フラグFをロー状態とする。即ち、過電流状態の判定を解除する。
【0078】
次に、図12を用いて、制御装置30の処理について説明する。図12(a)は実電圧V1及び交流電圧Vacの推移を示し、図12(b)は第1,第4ゲート信号GS1,GS4の推移を示し、図12(c)は第2,第3ゲート信号GS2,GS3の推移を示し、図12(d)は出力電流Iacの推移を示す。
【0079】
実電圧V1と交流電圧Vacとの間で位相のずれが生じることにより、時刻t1以降において実電圧V1が正であるのに交流電圧Vacが負となる期間が生じる。そのため、フルブリッジ回路12内に短絡回路が生じ、第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる負の出力電流Iacが増加する。
【0080】
時刻t2において、出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きくなることにより、第1,第4ゲート信号GS1,GS4がロー状態からハイ状態に切り替えられ、第2,第3ゲート信号GS2,GS3がハイ状態からロー状態に切り替えられる。これにより、負の出力電流Iacの増加が抑制され、第1,第2交流側端子TA1,TA2の過電流状態が解消される。なお、図12(b),(c)では、破線にて、制御装置30により第1~第4ゲート信号GS1~GS4の切り替えが実施されないと想定した場合の第1~第4ゲート信号GS1~GS4を示す。
【0081】
時刻t3では、交流電圧Vacの極性が負から正に変化することにより、交流電圧Vacと実電圧V1との極性が一致する。これにより、フルブリッジ回路12内には短絡回路が生じない。交流電圧Vac及び実電圧V1が正となる期間では、第1,第2交流側端子TA1,TA2に正の出力電流Iacが流れる。
【0082】
時刻t4では、実電圧V1の極性が正から負に変化することにより、交流電圧Vacと実電圧V1との極性が不一致となる。これにより、フルブリッジ回路12に短絡回路が生じ、第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる正の出力電流Iacが増加する。
【0083】
時刻t5で、出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きくなることにより、第1,第4ゲート信号GS1,GS4がハイ状態からロー状態に切り替えられ、第2,第3ゲート信号GS2,GS3がロー状態からハイ状態に切り替えられる。これにより、正の出力電流Iacが低下し、過電流状態が解消される。なお、時刻t6で、交流電圧Vacの極性が正から負に変化することにより、交流電圧Vacと実電圧V1との極性が一致するため、フルブリッジ回路12内に短絡回路が生じなくなる。
【0084】
続いて、先の図3で説明した基準補正値マップの作成方法について図13を用いて説明する。
【0085】
本実施形態では、乖離幅Δiを、補正前指令電流IL*からリアクトル電流ILrの平均値Iaveを引いた値としている。なお、図13において、Dは、第5スイッチSW5におけるオン期間のデューティ比を示す。
【0086】
図13より、乖離幅Δiは、オン期間(=D×Tsw)でのスロープ補償信号Slopeの最大増加分Δslopeに、リアクトル電流ILrの最大増加分ΔILの半分の値(ΔIL/2)を加えたものとみなすことができる。そのため、乖離幅Δiは、下記数式(1)により算出される。
【0087】
Δi=IL*-Iave=Δslope+ΔIL/2 … (2)
また、リアクトル電流ILrの最大増加分ΔILは、リアクトル13の両端に生じる電圧と、リアクトル13のインダクタンスLとを用いて、下記式(3)により算出することができる。
【0088】
【数2】
また、スロープ補償信号Slopeの最大増加分Δslopeは、下記式(4)により算出することができる。
Δslope = ms×D×Tsw … (4)
例えば、乖離幅Δiを算出する際のスロープ補償信号Slopeの傾きmsは、傾きmsの平均値を用いればよい。
【0089】
第5スイッチSW5のオン期間のデューティ比Dは、交流電圧acの実効値Vrmsを用いて、下記式(5)により算出することができる。
【0090】
【数3】
上記式(2)~(5)により乖離幅Δiは上記式(1)として算出される。本実施形態では、上記式(1)で示される乖離幅Δiを用いて、基準補正値Ihを算出する。例えば、乖離幅Δiに算出係数αを乗算した値を、基準補正値Ihとして用いることができる。なお、算出係数αは、0より大きく、1以下の値とすることができる。そして、算出した各基準補正値Ihを、実効値Vrms毎に記録することで、基準補正値マップを作成することができる。
【0091】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
【0092】
・制御装置30は、第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる出力電流Iacが過電流状態であるか否かを判定する。制御装置30は、過電流状態であると判定した場合に、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させる。これにより、交流電源200の急な電圧変動や、交流電圧センサ23の検出誤差に起因して、交流電圧Vacと実電圧V1との間に位相のずれが生じる場合でも、第1,第2交流側端子TA1,TA2に過剰な出力電流Iacが流れるのが抑制される。また、交流電圧Vacと実電圧V1との間の位相のずれが解消した後は、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作の反転が行われなくなることにより、電力変換装置100の動作を継続させることができる。
【0093】
・制御装置30は、過電流状態であると判定した場合に、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのうち、オン操作されているスイッチの組をオフ操作に切り替え、残りのスイッチの組をオン操作に切り替える。これにより、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組との間のオンオフ操作の切り換えタイミングのずれが解消され、第1,第2交流側端子TA1,TA2に過電流が流れるのをいっそう抑制することができる。
【0094】
・制御装置30は、出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きい場合に、過電流状態であると判定する。その後、制御装置30は、出力電流Iacの絶対値が、過電流閾値TH1よりも小さい解除閾値TH2以下であると判定した場合に、出力電流Iacの過電流状態が解消されたと判定する。これにより、出力電流Iacが上昇から下降に転じた際に出力電流Iacの変動により、再度、過電流状態であると判定されることが抑制され、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作が不要に切り換えられるのを防止することができる。
【0095】
・制御装置30は、位相θが、交流電圧Vacのゼロクロスタイミング近傍の期間であることを条件に、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのオンオフ操作を反転させる。これにより、ノイズ等の影響によって過電流状態であることを誤判定した場合でも、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させてしまうのを抑制することができる。
【0096】
・制御装置30は、交流電圧Vacの絶対値が所定の電圧閾値TH3よりも小さいことを条件に、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのオンオフ操作を反転させる。これにより、ノイズ等の影響によって過電流状態であることを誤判定した場合でも、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させてしまうのを抑制することができる。
【0097】
・制御装置30は、リアクトル電流ILrの絶対値がリアクトル電流閾値TH4よりも小さいことを条件に、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのオンオフ操作を反転させる。これにより、交流電源200の急な電圧変動や、交流電圧センサ23の検出誤差に起因する過剰な出力電流のみを抑制することができる。
【0098】
<第1実施形態の変形例1>
制御装置30は、過電流状態であると判定している場合に、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのうち、オン操作されている組のみをオフ操作に切り換えてもよい。例えば、図6(a)で示したフルブリッジ回路12内に形成された短絡回路のうち、第1,第4スイッチSW1,SW4がオン操作からオフ操作に切り替わることにより、第1電流I1が流れる短絡回路が形成されなくなる。これにより、第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる出力電流が減少し、過電流状態が緩和される。
【0099】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した構成は同一の構成を示し、その説明は繰り返さない。
【0100】
ピーク電流モード制御では、指令電流ILa*に応じた出力電流Iacが流れるため、出力電流Iacが過電流状態になっていなければ、出力電流Iacと指令電流ILa*との偏差は相対的に小さくなる。一方、出力電流Iacが過電流状態になっていれば、出力電流Iacと指令電流ILa*との偏差は相対的に大きくなる。
【0101】
本実施形態では、過電流判定部70は、出力電流Iacの絶対値と指令電流ILa*との差の絶対値が偏差閾値TH5よりも大きい場合に、過電流状態であると判定する。図14は、本実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャートである。図14に示す処理は、制御装置30により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0102】
ステップS18において、第1~第3許可信号DP1~DP3の全てがハイ状態であると判定すると、ステップS30に進む。ステップS30では、出力電流Iacの絶対値と指令電流ILa*との差の絶対値が偏差閾値TH5よりも大きいか否かを判定する。ステップS30において肯定判定すると、ステップS20に進み、過電流判定フラグFをハイ状態に設定する。一方、ステップS30において否定判定すると、ステップS21に進む。
【0103】
本実施形態においても、出力電流Iacの絶対値と指令電流ILa*との偏差を用いて、過電流状態であると判定した後に、ヒステリシスを考慮して過電流状態の判定からの解除条件を定めている。具体的には、図14のステップS30で否定判定して、ステップS31に進む場合、出力電流Iacの絶対値と指令電流ILa*との差の絶対値が、偏差閾値TH5よりも小さい値である偏差側解除閾値TH6以下であるか否かを判定する。ステップS31で肯定判定すると、ステップS23に進み、過電流判定フラグFをロー状態に設定する。一方、ステップS31で否定判定すると、ステップS24に進み、過電流状態の判定を継続する。
【0104】
以上説明した本実施形態では、指令電流ILa*を基準として、出力電流Iacが過電流状態であるか否かを判定することができるため、出力電流Iacが低い値である場合でも、出力電流Iacが過電流状態であるか否かを適正に判定することができる。
【0105】
<第3実施形態>
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した構成は同一の構成を示し、その説明は繰り返さない。
【0106】
電力変換装置100では、第1,第4スイッチSW1,SW4の組がオン操作される期間において、正の出力電流Iacが流れ、第2,第3スイッチSW2,SW3の組がオン操作される期間において、負の出力電流Iacが流れる。本実施形態では、制御装置30は、出力電流Iacが正となる正の過電流状態を判定した場合に、第1,第4スイッチSW1,SW4がオン操作される期間であることを条件に、第1~第4スイッチSW1~SW4の操作をオン操作からオフ操作に反転させる。また、制御装置30は、出力電流Iacが負となる負の過電流状態であると判定した場合に、第2,第3スイッチSW2,SW3がオン操作される期間であることを条件に、第2,第3スイッチSW2,SW3の操作をオン操作からオフ操作に反転させる。
【0107】
図15は、本実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャートである。図15に示す処理は、制御装置30により所定の制御周期で繰り返し実施される。図15に示す処理では、先の図11に示した処理のステップS18,S19に代えて、ステップS40~S42が設けられている。
【0108】
ステップS16又はステップS17において、交流電圧Vacの極性に応じて、第1,第2出力信号OUT1,OUT2の論理を切り換えると、ステップS40に進む。ステップS40では、第1,第4スイッチSW1,SW4がオン操作される期間であるか否かを判定する。例えば、第1出力信号OUT1の論理がハイ状態である場合に、第1,第4スイッチSW1,SW4がオン操作される期間であると判定する。ステップS40を肯定判定した場合、ステップS41に進む。
【0109】
ステップS41では、出力電流Iacが正の過電流状態であるか否かを判定する。具体的には、出力電流Iacが過電流閾値TH1よりも大きい場合に、出力電流Iacが正の過電流状態であると判定する。そして、ステップS20に進み、過電流判定フラグFをハイ状態に設定する。一方、出力電流Iacが過電流閾値TH1以下である場合、出力電流Iacが過電流状態でないとして、ステップS21に進む。
【0110】
ステップS40を否定判定した場合、第2,第3スイッチSW2,SW3がオン操作される期間であるため、ステップS42では、出力電流Iacが負の過電流状態であるか否かを判定する。具体的には、出力電流Iacが過電流閾値TH1の符号を負とした値(=-TH1)よりも小さい場合に、出力電流Iacが負の過電流状態であると判定する。そして、ステップS20に進み、過電流判定フラグFをハイ状態に設定する。一方、ステップS42を否定判定する場合、ステップS21に進む。
【0111】
以上説明した第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0112】
<第4実施形態>
第4実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した構成は同一の構成を示し、その説明は繰り返さない。
【0113】
電力変換装置100において、フルブリッジ回路12よりも第1,第2直流側端子TD1,TD2側で過電流が流れる場合、リアクトル電流ILrが大きくなることにより、リアクトル電流ILrと指令電流ILa*との差の絶対値が大きくなる。一方で、交流電圧Vacと実電圧V1との間の位相がずれることにより過剰な出力電流Iacが流れる場合、リアクトル電流ILrと指令電流ILa*との差の絶対値は大きな値とならない。本実施形態では、制御装置30は、リアクトル電流ILrと指令電流ILa*との差の絶対値が所定の電流差閾値TH7よりも小さいことを条件に、第1~第4スイッチSW1~SW4のオンオフ操作を反転させる。
【0114】
図16は、本実施形態に係る第1~第6スイッチの操作手順を説明するフローチャートである。図16に示す処理は、制御装置30により所定の制御周期で繰り返し実施される。
【0115】
ステップS50では、リアクトル電流ILrと指令電流ILa*との差の絶対値が電流差閾値TH7よりも小さいか否かを判定する。ステップS50で肯定判定する場合、フルブリッジ回路12よりも第1,第2直流側端子TD1,TD2側で過電流が流れていないため、ステップS19に進む。一方、ステップS50で否定判定する場合、フルブリッジ回路12よりも第1,第2直流側端子TD1,TD2側で過電流が流れているため、ステップS25に進む。
【0116】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0117】
<第5実施形態>
第5実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号を付した構成は同一の構成を示し、その説明は繰り返さない。
【0118】
本実施形態では、制御装置30は、過電流状態であると判定している期間に渡って、第1~第4スイッチSW1~SW4の全てをオフ操作することにより、過剰な出力電流Iacを低減する。具体的には、制御装置30は、過電流状態であると判定している期間に渡って、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのうち、オン操作されているスイッチの組のみをオフ操作に切り替える。
【0119】
図17に示すように、本実施形態に係る制御装置30では、RSフリップフロップ357のQ端子からの出力及び反転器358からの出力は、操作部80の補正実行部81に入力される。本実施形態では、補正実行部81の出力は、第1~第4スイッチSW1~SW4の各ゲートに加えて、第5,第6スイッチSW5,SW5の各ゲートに接続されている。補正実行部81から第5スイッチSW5のゲートに出力される信号が、第5ゲート信号GS5となり、補正実行部81から第6スイッチSW6のゲートに出力される信号が、第6ゲート信号GS6となる。以下では、RSフリップフロップ357のQ端子から補正実行部81に出力される信号を、第3出力信号OUT3と称し、反転器358から補正実行部81に出力される信号を、第4出力信号OUT4と称する。
【0120】
補正実行部81は、過電流判定信号DSがハイ状態であって、かつ第1~第3許可信号DP1~DP3のすべてがハイ状態であれば、第1,第2出力信号OUT1,OUT2のうち、ハイ状態の出力信号の論理をロー状態に反転させる。この場合、補正実行部81は、第1出力信号OUT1がハイ状態であれば、第1出力信号OUT1の論理を反転させることにより、第1,第4ゲート信号GS1,GS4をロー状態にする。また、補正実行部81は、第2出力信号OUT2がハイ状態であれば、第2出力信号OUT2の論理を反転させることにより、第2,第3ゲート信号GS2,GS3をロー状態にする。これにより、過電流状態であると判定されている期間において、第1~第4ゲート信号GS1~GS4の全てがロー状態に維持される。
【0121】
補正実行部81は、過電流状態でないことが判定されている場合において、第3出力信号OUT3がハイ状態であれば、第5ゲート信号GS5をハイ状態にし、第3出力信号OUT3がロー状態であれば、第5ゲート信号をロー状態にする。補正実行部81は、過電流状態でないことが判定されている場合において、第4出力信号OUT4がハイ状態であれば、第6ゲート信号GS6をハイ状態にし、第4出力信号OUT4がロー状態であれば、第6ゲート信号をロー状態にする。
【0122】
制御装置30により第1~第4スイッチSW1~SW4の全てがオフ操作されている期間において、リアクトル13から中間コンデンサ14に電流が流れ込むことで、中間コンデンサ14が充電される。そして、制御装置30により過電流状態でないことが判定された場合、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのいずれかの組がオン操作される際に、中間コンデンサ14に蓄積された電荷により、オン操作されたスイッチの組に突入電流が流れるおそれがある。
【0123】
本実施形態では、補正実行部81は、過電流状態であることが判定されている期間に渡って、第3,第4出力信号OUT3,OUT4の状態に関わらず、第5,第6ゲート信号GS5,GS6をロー状態に維持する。これにより、第1直流側端子TD1側から第5スイッチSW5を介して中間コンデンサ14に電流が流れ込むことを抑制できる。その結果、リアクトル電流ILrの増加が抑制され、ひいては過電流状態が解消された場合にオン操作されたスイッチの組に突入電流が流れることを防止できる。
【0124】
次に、本実施形態に係るピーク電流モード制御を用いた第1~第6スイッチSW1~SW6の操作手順を、図18を用いて説明する。図18に示す処理は、制御装置30により所定周期で繰り返し実施される。
【0125】
ステップS13において指令電流ILa*を算出した後、ステップS60では、ピーク電流モード制御により、第3,第4出力信号OUT3,OUT4を出力する。その後、ステップS18において、第1~第3許可信号DP1~DP3の全てがハイ状態であると判定すると、ステップS19に進む。
【0126】
ステップS19において、出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1よりも大きいと判定すると、ステップS20を経由してステップS61に進み、第1,第2出力信号OUT1,OUT2のうち、ハイ状態となっている信号の論理を反転させる。これにより、第1~第4ゲート信号GS1~GS4のすべてがロー状態になることで、第1~第4スイッチSW1~SW4の全てがオフ操作される。
【0127】
ステップS62では、第3,第4出力信号OUT3,OUT4のうち、ハイ状態となっている信号の論理を反転させる。これにより、第5,第6スイッチSW5,SW6がロー状態となることにより、リアクトル13から中間コンデンサ14に流れ込む電流が抑制される。
【0128】
ステップS19において出力電流Iacの絶対値が過電流閾値TH1以下であると判定し、その後、ステップS21で否定判定すると、ステップS25を経由してステップS63に進む。ステップS63では、第3,第4出力信号OUT3,OUT4の論理に応じた第5,第6ゲート信号GS5,GS6を出力する。
【0129】
以上説明した本実施形態では以下の効果を奏することができる。
【0130】
・制御装置30は、過電流状態であると判定している期間に渡って、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのうち、オン操作されているスイッチの組をオフ操作に切り替える。これにより、過電流状態では、フルブリッジ回路12がオフ操作されることにより、過剰な出力電流Iacの抑制効果を高めることができる。
【0131】
・制御装置30は、過電流状態であると判定している期間に渡って、第5,第6スイッチSW5,SW6のオフ操作を維持する。これにより、フルブリッジ回路12のオン操作が再開された際に、中間コンデンサ14に蓄積された電荷に起因してフルブリッジ回路12に突入電流が流れるのを抑制することができる。
【0132】
<第6実施形態>
第6実施形態では、第5実施形態と異なる構成を主に説明する。なお、第5実施形態と同一の符号を付した構成は同一の構成を示し、その説明は繰り返さない。
【0133】
本実施形態では、補正実行部81は、過電流状態であると判定されている期間に渡って、第5スイッチSW5を半オン状態とすることにより、リアクトル13から中間コンデンサ14に流れ込む電流を抑制する。第5スイッチSW5の半オン状態は、オン状態が維持されつつ、オン抵抗が第5スイッチSW5のフルオン状態よりも高い値となる状態である。
【0134】
次に、本実施形態に係るピーク電流モード制御を用いた第1~第6スイッチSW1~SW6の操作手順を、図19を用いて説明する。図19に示す処理は、制御装置30により所定周期で繰り返し実施される。
【0135】
ステップS61の処理の完了後、ステップS70に進み、第5,第6スイッチSW5,SW6のうち、オン操作の対象となるスイッチを半オン状態に維持する。具体的には、第3出力信号OUT3がハイ状態となっている場合に、第5ゲート信号GS5の電圧を、第5スイッチSW5が半オン状態となる電圧まで低下させる。また、第4出力信号OUT4がハイ状態となっている場合に、第6ゲート信号GS6の電圧を、第6スイッチSW6が半オン状態となる電圧まで低下させる。
【0136】
以上説明した本実施形態では、第5実施形態の効果に準じた効果を奏することができる。
【0137】
<第6実施形態の変形例>
補正実行部81は、過電流状態であると判定している期間に渡って、第1,第4スイッチSW1,SW4の組と、第2,第3スイッチSW2,SW3の組とのうち、オン操作されているスイッチの組を半オン状態にすることにより、オン抵抗を増加させてもよい。これにより、フルブリッジ回路12から第1,第2交流側端子TA1,TA2に流れる出力電流Iacを抑制することができる。この場合、図18図19のステップS61において、第1出力信号OUT1がハイ状態となっていれば、第1,第4ゲート信号GS1,GS4の電圧を、第1,第4スイッチSW1,SW4が半オン状態となる電圧まで低下させる。一方、第2出力信号OUT2がハイ状態となっていれば、第2,第3ゲート信号GS2,GS3の電圧を、第2,第3スイッチSW2,SW3が半オン状態となる電圧まで低下させる。以上説明した本実施形態では、第6実施形態の効果に準じた効果を奏することができる。
【0138】
<その他の実施形態>
・操作部80は、第1~第3許可判定部82~84のうち、いずれか1つを備えていてもよい。また、操作部80は、第1~第3許可判定部82~84のいずれも備えていなくともよい。この場合、図11図14図16図18図19において、ステップS18の処理を抹消し、ステップS15において、ステップS40の処理を抹消すればよい。
【0139】
・第1~第4スイッチSW1~SW4は、IGBTであってもよい。この場合、第1~第4スイッチSW1~SW4には、ボディーダイオードに代えて、フリーホイールダイオードが逆並列接続されている。
【0140】
・電力変換装置100は、直流電圧を交流電圧に変換するもの以外にも、直流電圧と交流電圧とのうち、入力された一方の電圧を他方の電圧に変換する双方向型の電力変換装置であってもよい。電力変換装置100が交流電圧を直流電圧に変換する場合、第6スイッチSW6が駆動スイッチに相当する。
【0141】
・制御装置30は、ピーク電流モード制御により、第5スイッチSW5を操作するための第5ゲート信号GS5を出力することに代えて、平均電流モード制御により、第5ゲート信号GS5を出力するものであってもよい。
【0142】
・本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0143】
12…フルブリッジ回路、13…リアクトル、30…制御装置、50…電流制御部、70…過電流判定部、80…操作部、100…電力変換装置、200…交流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19