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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】化粧品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20221013BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20221013BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20221013BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20221013BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20221013BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20221013BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20221013BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/02
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/92
A61Q1/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019509769
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012033
(87)【国際公開番号】W WO2018181126
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2017073076
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】西田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 匠
(72)【発明者】
【氏名】木下 恵
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/030841(WO,A1)
【文献】特開2002-284629(JP,A)
【文献】特開2012-047667(JP,A)
【文献】特開2001-002522(JP,A)
【文献】特開2016-124860(JP,A)
【文献】特開2008-194190(JP,A)
【文献】実開平07-043575(JP,U)
【文献】特開2016-220871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に収容され、メッシュ素材を介してり出す化粧品用の増粘組成物であって、
該増粘組成物が、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと、シリカ、ベントナイト、および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1つを含む微粒子粉末と該微粒子粉末以外のその他の粉末成分と、油分とを含有し、
前記メッシュ素材を介して取り出される前の前記増粘組成物を、レオメーターによって、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃の条件下で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定したときの、貯蔵弾性率G’が3000Pa以上8000Pa以下であり、かつ、同条件下での損失弾性率G"/貯蔵弾性率G’として求められる損失正接tanδが0.01以上0.2以下であり、
前記油分は、極性油分、高級アルコール類、植物性油分、シリコーン油、炭化水素油から選択され、前記油分の配合量は35~85質量%であり、
前記微粒子粉末と前記粉末成分を合わせた全粉末成分の含有量が、前記増粘組成物全質量に対し10質量%以上30質量%以下である、増粘組成物。
【請求項2】
前記ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーの含有量が、前記増粘組成物全質量に対し2質量%以上10質量%以下である請求項1記載の増粘組成物。
【請求項3】
前記ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーが、ジメチコンクロスポリマーを含む請求項1または2記載の増粘組成物。
【請求項4】
前記メッシュ素材の目開きが0.1mm以上である請求項1から3いずれか1項記載の増粘組成物。
【請求項5】
前記微粒子粉末の含有量が、前記増粘組成物全質量に対し1質量%以上15質量%以下である請求項1から4いずれか1項記載の増粘組成物。
【請求項6】
前記微粒子粉末の平均一次粒径が1μm以下である請求項1から5いずれか1項記載の増粘組成物。
【請求項7】
前記増粘組成物が水を含む請求項1から6のいずれか1項記載の増粘組成物。
【請求項8】
上方に開口を有する容器本体と、メッシュ素材が張設された中蓋と、前記容器本体を密閉する外蓋とを備えてなる容器、および
前記中蓋の下部であって前記容器本体内に収容された請求項1から7のいずれか1項記載の増粘組成物を有してなり、該増粘組成物が前記メッシュ素材を介して取り出される化粧品。
【請求項9】
前記増粘組成物がパフを用いて取り出される請求項記載の化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増粘組成物および容器と容器内に収容された該組成物とを備える化粧品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、伸縮性のメッシュが張設されたメッシュ付き中蓋を備えた化粧料容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような化粧料容器は、手でメッシュを押圧すると容器本体に収容されている化粧料がメッシュの上面に滲み出るように構成されている。そしてその滲み出た化粧料をパフに写し取って顔等の皮膚に塗布するものである。
【0003】
また、特許文献2には、気泡含有形態のパウダーインオイル(P/O)型ホイップド油性組成物が開示されている。このような組成物は、ホイップ状、スフレ状、マシュマロ状、またはペースト状と言われる形態を呈し、油性成分が多く含まれるにも関わらず、ふわふわとした弾力のある感触や軽い使用感を得ることができるとともに、粉末の分散性および製品の長期保存性にも優れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-220871号公報
【文献】特開2015-20974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような気泡含有形態のパウダーインオイル(P/O)型ホイップド油性組成物(以下、ホイップド油性組成物という)は、ジャー容器またはチューブ容器に収容されて提供される。
しかしながら、ホイップド油性組成物は、泡を含有することから弾性を有しているため、ジャー容器に収容された組成物を手で取る場合、量の調節がしにくい場合がある。また、泡を含有することから、チューブ容器の場合は吐出させる際に組成物が飛び散るという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ホイップド油性組成物のような弾性を有する組成物の取れがよく、肌に塗布した場合に均一に伸び広がり、滑らか、かつ、さらさらとした感触を得ることができる化粧品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の化粧品は、
上方に開口を有する容器本体と、メッシュ素材が張設された中蓋と、容器本体を密閉する外蓋とを備えてなる容器、および中蓋の下部であって容器本体内に収容された増粘組成物、を有してなり、増粘組成物がメッシュ素材を介して取り出される化粧品であって、
増粘組成物が、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと微粒子粉末とを含有し、増粘組成物が、レオメーターによって、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃の条件下で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定したときの、貯蔵弾性率G’が3000Pa以上であり、かつ、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’であらわされる損失正接tanδが0.2以下である。
【0007】
ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーの含有量は、増粘組成物全質量に対し2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
【0008】
ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーは、ジメチコンクロスポリマーであることが好ましい。
【0009】
メッシュ素材の目開きは0.1mm以上であることが好ましい。
【0010】
ここで目開きとは、以下の式によって求められる値である。
A=(25.4/M)-d
なお、Aは目開き(mm)、Mはメッシュ、dは線径(mm)を示す。
メッシュMは、25.4mm(1インチ)間にある線の数、または網目の数をいう。
【0011】
微粒子粉末の含有量は、増粘組成物全質量に対し1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
【0012】
微粒子粉末の平均一次粒径は1μm以下であることが好ましい。
【0013】
微粒子粉末は、シリカ、ベントナイト、および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0014】
増粘組成物は水を含んでもよい。
【0015】
増粘組成物はパフを用いて取り出されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の化粧品によれば、増粘組成物がメッシュ素材を通して採取されるので、弾性を有する増粘組成物を適度に取ることができ、肌に塗布した場合に均一に伸び広がり、滑らか、かつさらさらとした感触を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の化粧品の一実施形態を示す概略斜視図である。
図2図2は、図1におけるA-A’断面図である。
図3図3は、本発明における中蓋の他の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の化粧品について詳細に説明する。図1は本発明の化粧品の一実施形態を示す斜視図である。
【0019】
本発明の化粧品10は、図1に示すように、上方に開口を有する容器本体12と、メッシュ素材23が張設された中蓋13と、容器本体12を密閉する外蓋14とを備えてなる容器11、および中蓋13の下部であって容器本体12内に収容された増粘組成物15、を有してなり、増粘組成物15がメッシュ素材23を介して取り出される化粧品であって、
増粘組成物15が、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと微粒子粉末とを含有し、増粘組成物15が、レオメーターによって、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃の条件下で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定したときの、貯蔵弾性率G’が3000Pa以上であり、かつ、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’であらわされる損失正接tanδが0.2以下である。
【0020】
図2は、図1におけるA-A’断面図である。
図2に示すように、増粘組成物15は、メッシュ素材23の下面24に接しないようにメッシュ素材23から離間して収容される。そして、メッシュ素材23を押圧することによって、メッシュ素材23が増粘組成物15に接触し、増粘組成物15がメッシュ素材23の目を介して滲みだしてくる。
増粘組成物15の表面とメッシュ素材23の下面24との距離は、増粘組成物15の弾性率とメッシュ素材の伸縮性を考慮して適宜決定することができる。
【0021】
[容器]
次に、本発明の化粧品おける容器11について説明する。
本発明における容器11は、上方に開口を有する容器本体12と、メッシュ素材23が張設された中蓋13と、容器本体を密閉する外蓋14とを備えてなるものである。
メッシュ素材23は、図1に示すように、中蓋13の枠体21の下端22に、所定の張力が与えられた状態で固着されていている。メッシュ素材23は枠体21に接着剤で固着してもよいし、枠体21を成形する金型にメッシュ素材を架け渡しながら射出成形し、メッシュ素材23の目に樹脂を入り込ませて固着してもよい。
【0022】
メッシュ素材23は、伸縮性があっても無くてもよいが、伸縮性があるものが好ましい。例えば、繊維を編んだものが好ましい。繊維の材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)ポリウレタン、ポリエステル、ナイロンを挙げることができる。
【0023】
メッシュ素材23の目開きは、0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上がより好ましい。0.2mm以上とすることにより、押圧したときにメッシュの目から増粘組成物を適量取り出すことができる。また、目開きは5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。5mm以下とすることによりメッシュの目から増粘組成物が漏れ出るのを防ぐことができる。
また、メッシュ素材23の線径は、0.2mm以上1mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.5mm以下がより好ましい。なお、線径は、光学顕微鏡等を用いて測定することができる。
【0024】
上記実施形態では、中蓋13は、図3に示すように、内周の底部にメッシュ素材23を張設するための縁部25が設けられていてもよい。また、メッシュ素材に伸縮性がない場合、縁部25の下部にスポンジやばね等の弾性部材を配置した構造とすることで、メッシュを押せば、弾性部材が下方へ縮むことにより、メッシュ素材が増粘組成物に到達し、増粘組成物を取ることができる。
【0025】
[増粘組成物]
本発明における増粘組成物は、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと微粒子粉末とを含有し、レオメーターによって、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃の条件下で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定したときの、貯蔵弾性率G’が3000Pa以上であり、かつ、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’であらわされる損失正接tanδが0.2以下である。
【0026】
貯蔵弾性率G’は8000以下であることが好ましい。貯蔵弾性率G’は、3000Pa以上8000Pa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率G’が3000Pa以上であることにより、滑らかさと伸びの良さを実現することができる。また、8000Pa以下であることにより、増粘組成物の取れが良好であり、肌に均一に塗布することができる。
【0027】
本発明において損失正接tanδは0.2以下である。損失正接tanδは0.01以上であることが好ましく、0.1以上0.2以下がより好ましい。
損失正接tanδが、0.2以下であることにより、さらさら感を得ることができる。また、0.01以上であることにより、滑らかさ、および伸びの良さを得ることができる。
【0028】
なお、損失正接tanδは、損失弾性率G”/貯蔵弾性率G’で表される。増粘組成物の損失弾性率G”は、上記貯蔵弾性率G’と同様に、レオメーターによって、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃の条件下で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定したときの値とする。
増粘組成物の貯蔵弾性率G’、G”および損失正接tanδを測定するレオメーターとしては、アントンパール社製レオメーターMCR301を挙げることができる。
【0029】
(ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマー)
本発明における増粘組成物に用いられるジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマー(以下、ジメチコン部分クロスポリマーと表記することがある)、架橋構造を有していればよく、通常、ジメチコンの部分架橋物であることが望ましい。
上記有機基として、アルキレン基、ポリグリセリル含有基、ポリエーテル含有基、オルガノポリシロキサン含有基を挙げることができる。ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーの具体例として、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ポリグリセリン)クロスポリマー、(ジメチコン/PEG)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーを挙げることができる。なかでも特に、ジメチコンクロスポリマーが好ましい。
【0030】
ジメチコン部分シリコーンクロスポリマーは液状油分に膨潤させて用いることができる。ジメチコン部分クロスポリマーの膨潤物は市販品として入手することも可能である。たとえば、ジメチコンクロスポリマーの膨潤物の市販品としては、「ジメチコンクロスポリマーブレンド9040」(ジメチコンクロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物で架橋物(実分)は12%)、「ジメチコンクロスポリマーブレンド9041」(ジメチコンクロスポリマーとジメチコン5mPa・sとの混合物で架橋物(実分)は16%)、「ジメチコンクロスポリマーブレンド9045」(ジメチコンクロスポリマーとデカメチルシクロペンタシロキサンとの混合物で架橋物(実分)は12.5%)(以上、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社製)等が挙げられる。
【0031】
本発明においてジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーの含有量は、増粘組成物全質量に対して2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、3質量%以上8質量%以下である。
含有量が2質量%以上であると、塗布時の均一さが十分に得られ、使用性も良好である。また、10質量%以下であることにより、さらさら感、滑らかな使用感を得ることができる。
【0032】
(微粒子粉末)
本発明では、平均一次粒径が1μm以下、好ましくは0.1μm以下の微粒子粉末が用いられる。平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡により測定できる。
このような粒径をもつものであれば特に制限されないが、微粒子粉末は、シリカ、ベントナイトなどの微粒子粘土鉱物、および二酸化チタンから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
微粒子粉末の含有量は、増粘組成物全質量に対し1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。2質量%以上10質量%以下がより好ましい。1質量%以上であることにより、ふわふわとした弾力のある感触を得ることができる。また、15質量%以下であることにより、ふわふわとした弾力のある感触を維持しつつ軽い感触を得ることができる。
【0033】
微粒子粉末の粒形は、球状、板状、針状、紡錘状、花びら、不定形であってもよく形は問わず、球状がより好ましい。好適な微粒子粉末として、微粒子シリカ、微粒子二酸化チタン、微粒子粘土鉱物などの無機粉末が挙げられる。無機粉末は本発明の効果を損なわない質的量的範囲であれば、疎水化処理や親水化処理などの表面処理がされていてもよいが、表面処理されていないものの方が好ましい。
【0034】
本発明における増粘組成物は、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーおよび微粒子粉末の他に、油分、その他の粉末成分、または水を含有していてもよい。
【0035】
(油分)
油分としては、好ましくは、例えば流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素油、液状ラノリン、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアレン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル-2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸、アセトグリセライド、パルミチン酸-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸-2-ヘキシルデシル、パルミチン酸-2-ヘキシルデシル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、セバチル酸ジイソプロピル、コハク酸-2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等の極性油分や、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール類、ホホバオイル、オリーブオイル、ナッツ油、ベニバナ油、大豆油、サフラワー油等の植物油等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましくは、流動パラフィンや、ホホバオイル等の植物性油分である。
【0036】
その他、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、シクロペンタシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン等のシリコーン油や、「フォンブリン」シリーズ(AUSIMONT社製)に代表される炭化フッ素油も用いることができる。
【0037】
また、パーム硬化油、硬化ヒマシ油、ワセリン等の半固形状の油性成分や、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリアロウなどの固形油分も用いることができる。
【0038】
特に本発明における増粘組成物の場合、油性成分は、肌上で溶解するように、融点が37℃程度以下の油性成分が好ましいが、少量であればワックスやロウなどの固形油分を配合することもできる。
【0039】
油分の配合量は、本発明の増粘組成物に含まれる他の必須成分、任意添加成分の総配合量の残量分配合することができるが、本発明では、35~85質量%が好ましい。油性成分の配合量が少なすぎると弾性的にはならず、一方、配合量が多すぎると気泡の配合が難しくなる。
【0040】
(その他の粉末成分)
本発明における増粘組成物は、上記記載の微粒子粉末以外の粉末成分を配合してもよい。粉末成分は、通常化粧料に用いられるものであれば特に限定されることなく使用することができ、例えば、タルク、マイカ、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、球状シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウムなど)、窒化ホウ素等の無機粉末;ポリアミド球状樹脂粉末(ナイロン球状粉末)、球状ポリエチレン、架橋型ポリ(メタ)クリル酸メチル球状樹脂粉末、球状ポリエステル、架橋ポリスチレン球状樹脂粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体球状樹脂粉末、ベンゾグアナミン球状樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン球状粉末、球状セルロース等の球状の有機粉末;酸化亜鉛、硫酸バリウム、無水ケイ酸を被覆あるいは複合した酸化亜鉛等の無機白色系顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料; マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料; 雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、カーミン被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成金雲母、ベンガラ・酸化チタン被覆合成金雲母、酸化チタン被覆ガラスフレーク、ベンガラ・酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン被覆シリカフレーク、酸化鉄・シリカ被覆アルミニウム、酸化鉄・シリカ被覆酸化鉄、金属被覆板状粉末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末(色材を含有してもよい)、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末(色材を含有してもよい)、エポキシ樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(色材を含有してもよい)、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(色材を含有してもよい)、ウレタン樹脂被覆アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(色材を含有してもよい)、アクリル樹脂被覆アルミニウム末(色材を含有してもよい)、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、着色酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール剤・ラメ剤などが例示される。
【0041】
その他の粉末成分の増粘組成物全質量に対し、1質量%以上25質量%以下であること好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
また、微粒子粉末と合わせた全粉末成分は、増粘組成物全質量に対し、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。1質量%以上であることにより、べたつきを抑制することができ、40質量%以下であることにより、なめらかな感触を得ることができる。
【0042】
上記その他の粉末成分の中でも、使用性の点からは、球状ポリエチレン、ポリアミド球状樹脂粉末(ナイロン球状粉末)、架橋型ポリ(メタ)クリル酸メチル球状樹脂粉末等の球状粉末や、シリカ、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の体質顔料、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーなどのシリコーン系粉末、金属石鹸などが好ましく用いられる。またパール剤・ラメ剤も好ましく用いられる。
【0043】
なお、その他の粉末成分の形状は、球状、平板状、不定形のいずれでもよい。また、その他の粉末成分としては、粉末をフッ素処理したもの、未処理のもののいずれも用いることができる。フッ素処理の方法としては、粉末に撥水性を付与できる方法であればいかなるものでもよく、公知の疎水化処理方法を用いることができる。
【0044】
(水)
増粘組成物中に水を含有してもよい。水を含有することにより、本発明の増粘組成物を用いた油相と、水相とを乳化して、乳化安定性の良好な乳化物とすることができる。よって、本発明の増粘組成物は特にW/Oタイプの乳化化粧料に用いることができる。
【0045】
本発明における増粘組成物には、さらに、通常化粧料に配合し得る添加成分、例えば、界面活性剤、低級アルコール(エタノール等)、分散剤、保湿剤、冷感剤、制汗剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、増粘剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、ビタミン類、血行促進剤、美白剤、皮膚賦活剤、薬効成分、動植物からの抽出物、色素、香料等を、本発明効果を損なわない範囲において任意に添加し得る。ただしこれら例示に限定されるものでない。
【0046】
(増粘組成物の製造方法)
本発明の増粘組成物の製造方法は、特に限定されるものでないが、好ましくは、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと、微粒子粉末と、所望によりさらにその他の成分とを投入して室温でディスパーにて攪拌混合し、増粘組成物を得ることができる。
ガラス、ホーロー、又はフッ素コートした容器内に、ジメチコンが有機基で架橋された構造を有するシリコーンクロスポリマーと、微粒子粉末と、所望によりさらにその他の成分とを投入して振とう、および混合し、まずは例えば特許第3812733に記載の如き粉末状製剤を調製してよい。
【0047】
振とう、および混合させながら調製する装置としては、例えばニーダー(混練機)ホモジナイザー(ナイフ付きの軸が高速回転することで攪拌)、シェーカー、V型混合機(V字型の容器が回転することで攪拌)、気流攪拌型混合機、水平円筒型混合機、二重円錐型混合機、リボン型混合機、高速流動型混合機等が挙げられる。粉末成分を攪拌しながら油性成分を噴射する装置としては、オイル噴霧式ロッキングミキサー等が挙げられる。
【0048】
なお、サンプルミル、マグネティックスターラー、ディスパー、ホモミキサー、ポリトロン、スリーワンモーター等の開放系の疎水性空間を形成する小型混合機も、少量生産の場合にはもちろん好適に用いることができる。
【0049】
本発明における増粘組成物は、例えば、クリームなどのスキンケア化粧料、ファンデーション、化粧下地、頬紅、アイシャドウなどのメークアップ化粧料、日焼け止め化粧料などであってもよいが、これらに制限されない。
【0050】
本発明における増粘組成物は、ホイップ状、スフレ状、マシュマロ状、またはペースト状を呈する組成物であって、取れがよく、肌に塗布した場合に均一に伸び広がり、滑らか、かつさらさらとした感触を得ることができる。
【実施例
【0051】
以下に本発明の化粧品を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
まず、本発明の実施例および比較例に用いる化粧料について説明する。
【0053】
(実施例1-1)
下記成分を用いて上記増粘組成物の製造方法に従って、増粘組成物(ファンデーション)を調製した。
デカメチルシクロペンタンシロキサン(*6) 43質量%
ジメチコン 16質量%
ジメチコンクロスポリマー(*1) 5質量%
微粒子酸化チタン(*2) 10質量%
シリカ(*3) 4質量%
(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(*4) 4質量%
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(*5) 4質量%
メトキシけい皮エチルヘキシル 3質量%
DPG(ジプロピレングリコール) 適量
サフラワー油 適量
ヒアルロン酸ナトリウム 適量
アルミナ 適量
グリセリン 適量
テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン 適量
ジステアルジモニウムヘクトライト 適量
【0054】
上記製造例1における化合物の詳細を以下に示す。
(*1)東レ・ダウコーニング社製Dow Corning 9045 Silicone Elastomer Blendとして供した。ジメチコンクロスポリマー量は実分量から算出。
(*2)石原産業(株)製Titanium Dioxide(TTO-V-4)(平均一次粒径0.01μm)
(*3)洞海化学工業(株)製 SUNSPHERE L-51S(平均粒径5μm)
(*4)信越化学工業(株)製 KSP-300
(*5)信越化学工業(株)製 KF-56
(*6)Dow Corning 9045として供される分と溶媒として追加した分の合計量
【0055】
得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表1に示す。得られたファンデーションは、弾性的であり、ふわふわしていた。
【0056】
(実施例1-2)
ジメチコンクロスポリマーを4質量%にした以外は、実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表1に示す。得られたファンデーションは、弾性的であり、ふわふわしていた。
【0057】
(実施例1-3)
ジメチコンクロスポリマーを4.5質量%にした以外は、実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表1に示す。得られたファンデーションは、弾性的であり、ふわふわしていた。
【0058】
(実施例1-4)
その他粉末の量を調整して、表1に示す貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、損失正接tanδに変えたこと以外は実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションは、弾性的であり、ふわふわしていた。
【0059】
(実施例1-5)
微粒子酸化チタンを8質量%にした以外は、実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表1に示す。得られたファンデーションは、弾性的であり、ふわふわしていた。
【0060】
(比較例1-1)
微粒子酸化チタンを6質量%にした以外は、実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表2に示す。得られたファンデーションは、実施例1-1~1-5と比較すると若干弾性が弱いものであった。
【0061】
(比較例1-2)
微粒子酸化チタンを4質量%にした以外は、実施例1-1と同様に調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表2に示す。得られたファンデーションは、実施例1-1~1-5と比較すると若干弾性が弱いものであった。
【0062】
(比較例1-3)
下記原材料を用いて油中水型(W/O)ファンデーションを調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表2に示す。得られたファンデーションは、実施例1-1~1-5と比較すると若干弾性が弱いものであった。
水 適量
ブチレングリコール 8質量%
イソヘキサデカン 8質量%
酸化チタン 8質量%
セバシン酸ジイソプロピル 5質量%
オクトクリレン 5質量%
ジメチコン 4質量%
アルコール 4質量%
グリセリン 4質量%
トリエチルヘキサノイン 4質量%
エチルヘキサン酸セチル 4質量%
ミリスチン酸イソプロピル 3質量%
ポリメチルシルセスキオキサン 3質量%
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 3質量%
ポリメタクリル酸メチル 3質量%
ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3質量%
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン 3質量%
ジステアルジモニウムヘクトライト 3質量%
PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル 2質量%
水添ポリデセン 2質量%
セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン 1質量%
セスキイソステアリン酸ソルビタン 1質量%
トレハロース 1質量%
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1質量%
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1質量%
酸化鉄 3質量%
(*その他の粉末成分)
【0063】
(比較例1-4)
下記原材料を用いて液晶水中油型(O/W)ファンデーションを調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表2に示す。得られたファンデーションは、粘性的であった。
水 適量
テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 15質量%
グリセリン 10質量%
ブチレングリコール 8質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 5質量%
ベヘニルアルコール 3質量%
ミリスチン酸ミリスチル 2質量%
トリステアリン酸ソルビタン 1質量%
エリスリトール 1質量%
キシリット 1質量%
トリイソステアリン酸グリセリル 1質量%
ステアリルアルコール 1質量%
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1質量%
自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 0.5質量%
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.5質量%
ポリアクリル酸塩 0.2質量%
クエン酸ナトリウム 0.1質量%
エデト酸三ナトリウム 0.1質量%
クエン酸 0.1質量%
【0064】
(比較例1-5)
下記原材料を用いてαゲル水中油型(O/W)ファンデーションを調製した。得られたファンデーションの貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”および損失正接tanδを表2に示す。得られたファンデーションは、粘性的であった。
水 適量
テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 13質量%
グリセリン 10質量%
ブチレングリコール 8質量%
スクワラン 4質量%
トリイソステアリン酸グリセリル 4質量%
ベヘニルアルコール 3質量%
マルチトール 2質量%
ワセリン 2質量%
ピバリン酸イソデシル 2質量%
タルク 2質量%
メチルポリシロキサン 1質量%
トレハロース 1質量%
重質流動イソパラフィン 1質量%
ステアリルアルコール 1質量%
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 1質量%
ミリスチン酸ミリスチル 0.5質量%
無水ケイ酸 0.5質量%
マイクロクリスタリンワックス 0.5質量%
エデト酸三ナトリウム 0.1質量%
クエン酸ナトリウム 0.1質量%
クエン酸 0.1質量%
【0065】
上記実施例1-1~1~5、および比較例1-1~1-5の化粧料の貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、および損失正接tanδの測定方法は以下の通りである。
【0066】
<貯蔵弾性率G’>
アントンパール社製レオメーターMCR301を用い、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定した。
【0067】
<損失弾性率G”>
アントンパール社製レオメーターMCR301を用い、ギャップ0.5mm、ひずみ振り角0.1%、周波数1Hz、温度25℃で、25mmφコーンプレートで応力を増加させながら測定した。
【0068】
<損失正接tanδ>
アントンパール社製レオメーターMCR301を用い、上記測定されたG’およびG”からG"/G'を算出した。
【0069】
測定結果を表1および表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
次に、本発明の化粧品の実施例および比較例を示す。
【0073】
[実施例2-1~2-2、比較例2-1~2-7]
(実施例2-1)
実施例1-1の化粧料(ファンデーション)と、図1に示すメッシュ素材付き容器(以下、容器と記載する。)と、を用いて化粧品を作製した。まず、実施例1-1のファンデーションを容器本体に充填し、その後、容器本体に中蓋を嵌め込んだ。メッシュ素材を手で押圧することによって、メッシュ素材を通してファンデーションを取り、肌に塗布した。
容器本体の内径:60mmφ
中蓋の内径:57mmφ
メッシュ素材:ナイロン・ポリウレタン(目開き0.5mm、線径0.3mm程度)
【0074】
(実施例2-2)
実施例2-1の化粧品から、パフ(ポリウレタン)を用いてファンデーションを取り、肌に塗布した。
【0075】
(比較例2-1)
実施例1-1のファンデーションをチューブタイプの容器(口径2mmφ)に収容し、チューブの中央部を押圧することによってファンデーションを手に取り、肌に塗布した。
【0076】
(比較例2-2)
実施例1-1のファンデーションをチューブタイプの容器(口径2mmφ)に収容し、チューブの中央部を押圧することによってファンデーションをパフ(ポリウレタン)に取り、肌に塗布した。
【0077】
(比較例2-3)
実施例1-1のファンデーションをジャーに充填して作製した。手でファンデーションを取り、肌に塗布した。ここで、ジャーとは、メッシュ素材が張設された中蓋を備えていない容器をいう。
【0078】
(比較例2-4)
実施例1-1のファンデーションをジャーに充填して作製した。パフ(ポリウレタン)でファンデーションを取り、肌に塗布した。
【0079】
(比較例2-5)
比較例1-3(水中油型(W/O)ファンデーション)のファンデーションをメッシュ中蓋付き容器の容器本体に充填して作製した。メッシュ素材をパフ(ポリウレタン)で押圧することによって、メッシュ素材を通してファンデーションを取り、肌に塗布した。
【0080】
(比較例2-6)
比較例1-4(液晶油中水型(O/W)ファンデーション)のファンデーションをメッシュ中蓋付き容器の容器本体に充填して作製した。メッシュ素材をパフ(ポリウレタン)で押圧することによって、メッシュ素材を通してファンデーションを取り、肌に塗布した。
【0081】
(比較例2-7)
比較例1-5(αゲル水中油型(O/W)ファンデーション)のファンデーションをメッシュ中蓋付き容器の容器本体に充填して作製した。メッシュ素材をパフ(ポリウレタン)で押圧することによって、メッシュ素材を通してファンデーションを取り、肌に塗布した。
【0082】
[評価]
上記実施例および比較例の化粧品について、専門パネラー10人に各サンプルを使用してもらった後に、伸びのよさ、さらさら感、なめらかさ、増粘組成物のとれやすさ、および塗布時の均一さについてアンケートを行い、評点を付けてもらった。
【0083】
(評点)
1:まったくそう思わない
2:そう思わない
3:ややそう思う
4:どちらともいえない
5:ややそう思う
6:そう思う
7:非常にそう思う
【0084】
(評価)
パネラー10人の平均評点を求めて、以下のように評価した。
AA:6点以上
A:5点以上6点未満
B:3点以上5点未満
C:3点未満
【0085】
評価結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
表3に示すように、本発明の化粧品は、全ての項目において、A以上の評価を得ることができた。特に、手で組成物を取るよりパフで取った方が増粘組成物の取りやすさや塗布時に均一さに優れる。
一方、チューブ容器を用いた比較例2-1および2-2、並びに、メッシュ素材を有しないジャー容器を用いた比較例2-3および2-4は、中味の取りやすさ、および塗布時の均一さに劣った。
また、組成物として水中油型(W/O)ファンデーションを用いた比較例2-5、液晶油中水型(O/W)を用いた比較例2-6、αゲルO/Wファンデーションを用いた比較例2-7は、伸びの良さ、さらさら感、滑らかさ、および塗布時の均一さに劣った。
【符号の説明】
【0088】
10 化粧品
11 容器
12 容器本体
13 中蓋
14 外蓋
21 枠体
22 下端
23 メッシュ素材
24 下面
25 縁部
図1
図2
図3