(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】CPR訓練システムおよびCPR訓練間の通信のための方法
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20221013BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
G09B23/28
G09B19/00 Z
(21)【出願番号】P 2019538142
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2018051720
(87)【国際公開番号】W WO2018138143
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-12
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】508268872
【氏名又は名称】レルダル メディカル アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ミッキエブストゥ,ヘルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ビルケネス,トンニャ,スーロス
(72)【発明者】
【氏名】ボールドゥセン,シギュル,
(72)【発明者】
【氏名】オースラン,ペール,ヘルゲ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーシュヴィック,ヘルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルッダール,ダーニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーラン,ソルヴァイ,ハウコス
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066681(WO,A1)
【文献】特開2016-170630(JP,A)
【文献】国際公開第2016/001087(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0220887(US,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第02984108(CA,A1)
【文献】特表2017-527783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/28-23/34
G09B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のCPR訓練人体模型と、少なくとも1つの受信装置とを備えた、CPR訓練システムであって、各人体模型は、
CPR特徴を測定するための少なくとも1つのセンサと、各センサに接続されたマイクロコントローラとを備え、前記マイクロコントローラは、BLE通知(advertising)パッケージ内の前記センサから前記少なくとも1つの受信装置へ
CPRデータを送信するように適合された、Bluetooth(登録商標)送信機に接続されて
おり、前記マイクロコントローラは、圧縮が開始するときを検出するために前記センサからの情報を使用し、圧縮の開始によって測定データを前記Bluetooth送信機へ転送するように適合されている、CPR訓練システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサは、運動センサ、力センサ、加速度センサ、チルトセンサ、圧縮深さセンサ、圧縮速度センサ、換気量センサ、および/または胸部上昇センサの1つまたはそれ以上である、請求項1に記載のCPR訓練システム。
【請求項3】
バッテリのような電源を更に備える、請求項
1又は2に記載のCPR訓練システム。
【請求項4】
前記Bluetooth送信機は、圧縮の開始から圧縮系列における最後に登録された圧縮後の30秒までの時間期間に通知パッケージを送信するように適合されている、請求項1乃至
3のいずれか1つに記載のCPR訓練システム。
【請求項5】
センサを持つ各人体模型、マイクロコントローラ、およびBluetooth送信機は、能動状態と受動状態とを持つ、請求項1乃至
4のいずれか1つに記載のCPR訓練システム。
【請求項6】
各センサは、個別のマイクロコンピュータに接続されている、請求項1乃至
5のいずれか1つに記載のCPR訓練システム。
【請求項7】
1つのマイクロコンピュータは、いくつかのセンサに接続されている、請求項1乃至
6のいずれか1つに記載のCPR訓練システム。
【請求項8】
ユーザインターフェース、および
前記受信装置に接続されたプロセッサを
更に備
え、
前記プロセッサは、前記受信データを解析するように適合され、
前記ユーザインターフェースは、グリッド内に前記解析結果を示すように適合され、各グリッドセルは、それぞれの送信機からの前記
CPRデータを表す、
請求項1乃至7のいずれか1つに記載のCPR訓練システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記CPRデータの値とそれぞれの基準範囲とを比較するように適合され、もし任意の送信機からの値が前記それぞれの基準範囲から逸脱するなら、当該送信機に対応する前記グリッドセルに前記逸脱のしるしを提供する、請求項
8に記載の
CPR訓練システム。
【請求項10】
各グリッドセルは、状態情報を色のついた光として表示する、請求項
8又は
9に記載の
CPR訓練システム。
【請求項11】
各グリッドセルは、状態情報を数又はアイコンとして表示する、請求項
8乃至
10のいずれか1つに記載の
CPR訓練システム。
【請求項12】
それぞれの基準範囲から逸脱した送信機からの1より多い値がある場合、前記プロセッサは、前記逸脱の一連のしるしを表示するように適合されている、請求項
9乃至
11のいずれか1つに記載の
CPR訓練システム。
【請求項13】
前記一連のしるしは、予め規定された優先順位リストに従って優先順位を付けられた順番に表示される、請求項
12に記載の
CPR訓練システム。
【請求項14】
それぞれの基準範囲から逸脱した送信機からの1より多い値がある場合、前記プロセッサは、それぞれのグリッドセルにおいてどの逸脱を表示するかを選択するように適合されている、請求項
9乃至
11のいずれか1つに記載の
CPR訓練システム。
【請求項15】
複数のCPR訓練人体模型と少なくとも1つの受信装置との間の通信のための方法であって、各人体模型は、少なくとも1つのセンサと、各センサに接続されたマイクロコントローラとを備え、前記マイクロコントローラは、Bluetooth(登録商標)送信機に接続されており、前記方法は、
前記少なくとも1つのセンサで圧縮データを測定し、
前記マイクロコントローラにおいて前記圧縮データを処理し、
BLE通知パッケージ内の前記センサからの前記データを、前記少なくとも1つの受信装置へ送信
し、
圧縮の開始を検出し、圧縮の開始によって測定データを前記Bluetooth送信機へ転送する、
方法。
【請求項16】
測定された圧縮データは、運動、力、加速度、チルト、圧縮深さ、圧縮速度および/または換気量および/または換気速度である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
最初の圧縮の開始から一連の圧縮における最後に登録された圧縮後の30秒までの時間期間に通知パッケージデータを送信する、請求項
15又は16に記載の方法。
【請求項18】
各センサ付き人体模型、マイクロコンピュータ、およびBluetooth送信機は、能動状態と受動状態とを持ち、
前記能動状態において、全てのセンサがアクティブとなり、前記マイクロコントローラは全てのセンサに対してデータを処理し、前記処理されたデータは送信され、前記受動状態において、圧縮の存在のみが検出され、処理される、請求項
15乃至
17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
圧縮の検出がある場合に、前記能動状態が起動される、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
BLE通知パッケージは、a)圧縮回数、b)深い圧縮回数、c)リーニング(leaning)を持つ圧縮回数、d)圧縮を開始してからの平均圧縮速度、e)圧縮を開始してからの平均圧縮深さ、f)人工呼吸無しの時間期間、g)スコアパラメータの少なくとも1つを特徴づけるデータから成る、請求項
15乃至
19のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPR訓練システムおよびCPR訓練間の通信のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
数百万の人々が、毎年、応急および心臓肺蘇生術(CPR)を訓練している。ほとんどの訓練は、指導者で先導され、認識学習と精神運動技能訓練とが混ざっている。精神運動訓練を実施するために、ほとんどクラスは、胸部圧縮と救助呼吸のために設計された訓練人体模型を使用する。ある場合において、それらの人体模型は、どのように胸部圧縮がされたかを測定し、かつどのように救助呼吸が訓練を受ける人によってなされたかを測定するための器具が取り付けられている。
【0003】
また、器具が取り付けられた人体模型は、遂行ギャップを狭めるために、訓練を受ける人と指導者とに目標情報を与える、フィードバック装置を持っている。それら人体模型は、まったく複雑で、重く、高価であり、それらは、ほとんど、1つのクラスに数人の生徒の間で共有される。1つのクラスにおいて、指導者は、各人を指導し支援するために居るだろう。生徒は1つの人体模型を共有するので、実施時間は、各参加者に対して制限される。
【0004】
より多くの実施時間を得るために、あるクラスは、訓練を受ける人毎に1つの人体模型を使用する。それら人体模型は、普通は、小さく、軽く、高価ではなく、どのようにして胸部圧縮および/または人工呼吸がなされたかを測定するためのセンサシステムを含んでもよい。その挑戦は、学習のために、それらの人体模型からどのように情報を使用するかである。指導者に対して、歩行して見て回りながら、1クラスが5~20人の訓練を受ける人に対して、各生徒に遂行を従わせることは実用的でないだろう。指導者に対して、モニタ上にクラスの遂行の概観を見せることはより効率がよいだろうし、それによって訓練を受ける人の中で誰が個人的な世話を必要とするかを特定する。
【0005】
今日、複数のセンサからの情報を無線で受信機へ通信するように使用できる技術が存在する。無線通信の一例は、WiFiであり、それは、例えば、SkillPadを持つLaerdal QCPR人体模型において使用されている。WiFiルータが使用されると、6つまでの人体模型が同時に接続され得る。それはまた、Resusci Anne Wireless Skillreporterにおいてのように、6つまでの人体模型をPCに接続するのを可能とする、Bluetooth(登録商標)を使用することができる。しかしながら、この技術は、少数の人体模型に制限され、人体模型と受信機との間で2方向通信をセットアップする必要がある。それはまた、1より多いフィードバック装置がCPR遂行を見るのを防いでいる。使用されるとき、たとえCPRが実行されなくとも接続が常にアクティブであり、今度はバッテリからの不必要な電力を消耗させる。
【0006】
関連技術の他の例は、特許文献1(TWI284466)において見出され、それは、教育用のBluetoothネットワークシステムを記載している。このシステムは、ホスト装置と、少なくとも1つの生徒用授業端末と、Bluetooth送信モジュールとを備えている。このシステムは、CPR訓練用ではないが、上述したのと同様の同じ制限がある。
【0007】
特許文献2(CN20141736977)は、患者に実施される胸部圧縮のための監視システムを記載している。胸部圧縮のためのインピーダンスデータは、監視され、処理され、もし処理されたデータがある基準を満たすなら、移動端末に無線で転送される。
【0008】
特許文献3(NO20110055)は、患者に実施されるCPR遂行を監視するための監視システムを記載している。このシステムは、基準装置と受信装置とを持つ。測定信号は、基準装置から、信号が解析される受信機へ、無線で転送される。
【0009】
特許文献4(WO2012047504)は、多数の訓練マネキン人形を備え、その各々が、少なくとも1つのセンサと、センサに接続されたマイクロコントローラと、例えば、WiFiのような無線リンクまたは物理的接続と、を備える、CPRを訓練するためのシステムを記載している。このシステムは、上述したシステムと同じ不利益を持ち、連続的にアクティブとすることが必要で、可能なユーザの数を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】台湾特許第I284466号公報
【文献】中国特許出願公開第20141736977号明細書
【文献】諾威特許出願公開第20110055号明細書
【文献】国際公開第2012/047504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、LaerdalWPR訓練システムは、Bluetooth通信を使用してもよい。この為、それは、購入しやすく簡単なCPRセンサを開発し、そのセンサは受信機にCPR遂行データを通信するためにBLE(Bluetooth low energy)を使用する。スマートフォンやタブレットのような、受信機に接続されたとき、幾つかの人体模型からのCPRデータは通信され得る。上記システムにおいてのように、各センサは、データを送出するために受信機と対となるか又は接続されなければならず、1つのフィードバック装置のみが使用され得、電力は、接続がアクティブである間、バッテリから消耗する。
【0012】
従って、複数の人体模型センサから指導者によってアクセス可能な受信機へ無線でCPR遂行を通信するための、効率がよく、簡単で、購入しやすい方法が必要である。
【0013】
本発明の目的は、その必要をかなえるシステムおよび方法を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、特許請求の範囲の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施形態において、CPR訓練システムは、複数のCPR訓練人体模型と、少なくとも1つの受信装置とを備える。各人体模型は、少なくとも1つのセンサと、各センサに接続されたマイクロコントローラとを備える。マイクロコントローラは、例えば、Bluetooth Low Energy (BLE)送信機のBluetooth送信機に接続され、その送信機は、BLE通知(advertising)パッケージ内のセンサから少なくとも1つの受信装置へデータを送信するために適合されている。
【0016】
CPR訓練人体模型は、例えば、Laerdal Medical’s Resusci Anne (登録商標)の任意の適当な人体模型であってよい。センサは、胸部圧縮および/または人工呼吸の特徴を測定するのに適した任意の種類のセンサであってよい。例えば、センサは、運動センサ、圧縮の下向きの力を測定する力センサ、加速度センサ、チルトセンサ、圧縮深さセンサ、圧縮速度センサ、換気量センサ、胸部上昇センサ、などであってよい。
【0017】
マイクロコント―ラは、センサからデータを受信し、データを処理し、処理したデータを受信機へ送信するためのBluetooth送信機へ転送することができる、制御装置である。センサからのデータは、瞬間または平均圧縮深さ、圧縮速度、圧縮力、人工呼吸速度、換気量、圧縮の不適当な解放、結合したCPRスコアなどのような、CPR手続きに関連する関連情報を提供するために処理される。
【0018】
各センサに対して1つのマイクロコントローラであってよく、換言すれば、各センサは、それに接続された専用の個別のマイクロコントローラを持ってよい。その代わりに、1つのマイクロコントローラは幾つかのセンサに接続されてもよく、例えば、各訓練人体模型は、その訓練人体模型の幾つかのセンサの各々に接続された1つのマイクロコント―ラを備える。
【0019】
一実施形態において、マイクロコントローラは、圧縮が開始したときを検出するためにセンサからの情報を使用して、圧縮の開始によって測定データをBluetooth送信機へ転送するように適合される。これは、例えば、圧縮の開始を示すセンサからの信号における変化の検出を、センサの1つのみを監視することによってなされてよく、それによって、CPR訓練が開始する。センサ信号が、CPR訓練が継続していることを示すときのみ、例えば、予め決められた回数の圧縮が実施されているときのみ、又は、最初の圧縮の開始で、マイクロコントローラは、BLE通信を起動するように適合され得る。したがって、圧縮が任意の人体模型において実施されないとき、システムはアイドルまたは低電力モードであり、(センサ、マイクロコントローラ、およびBluetooth送信機を持つ)人体模型の各々は、能動状態と受動状態とを持ってよい。能動状態において、全てのセンサがアクティブとなり、マイクロコントローラは全てのセンサに対するデータを処理し、処理されたデータは受信機へ送信されるが、受動状態において、圧縮のたった1つの存在が検出されて処理され、すなわち、受動状態は低電力状態である。一実施形態において、圧縮が検出されたとき、能動状態が開始され、コントローラは、全てのセンサの監視を開始し、CPRデータを計算し、CPRデータをBluetooth送信機を介して送信する。
【0020】
システムは、例えば、バッテリである電源、または幹線電流への接続を備える。上述した低電力/活動停止状態は、バッテリの寿命ができるだけ長くなるのを保証する。
【0021】
Bluetooth通知は、一般に、放送機能/プロトコルである。クラス2におけるBluetooth通知の平均範囲は、たいていのBluetoothを可能にする移動装置に対して15メートルから40メートルである。すべて無線通信であるので、たいていのBluetooth通知への範囲およびアクセス可能性は、送信機電力クラスと、受信装置の独自の運搬(portage)とに依存する。
【0022】
BLE通知パッケージは、a)圧縮回数、b)深い圧縮回数、c)リーニング(leaning)(リーニングは各圧縮間に胸部からの手の解放が足りないことである)を持つ圧縮回数、d)圧縮を開始してからの平均圧縮速度、e)圧縮を開始してからの平均圧縮深さ、f)人工呼吸無しの時間期間、g)スコアパラメータ(例えば、LaerdalQCPRスコア)、の少なくとも1つを特徴づけるデータを有してよい。
【0023】
本発明は、人体模型センサと受信機との間の接続を簡単にし、全体の電力消費を削減し、単一の受信機と通信できる人体模型の数を増加する、方法およびシステムを提供する。
【0024】
一実施形態において、Bluetooth送信機は、圧縮の開始から圧縮系列における最後の登録された圧縮後の30秒までの時間期間に、通知パッケージを送信するように適合される。
【0025】
受信機へ送信されたデータは、例えば、多数CPR監視装置において使用され、それは、受信装置、ユーザインターフェース、およびプロセッサを備える。受信装置は、上述したように複数の送信機からCPRデータを受信するように適合され、データは、BLE通知パッケージ内に送信される。プロセッサは、受信データを解析するように適合され、ユーザインターフェースは、解析結果をグリッドに示すように適合され、各グリッドセルは、それぞれの送信機からのデータを表す。
【0026】
一実施形態において、プロセッサは、受信したCPRデータの値とそれぞれの基準範囲とを比較するように適合され、もし任意の送信機からの値がそれぞれの基準範囲から逸脱しているなら、当該送信機に対応するユーザインターフェースのグリッドセルにその逸脱のしるしを提供する。他の実施形態において、他の種類の情報がグリッドセルに表示/示されてよく、例えば、1つまたはそれ以上のCPR指示の実際の値であってよい。上述の任意の組み合せがまた可能である。
【0027】
逸脱のしるしは、例えば、各グリッドセルが、状態情報を、色のついた光、数、シンボル、または他の適当なしるしとして表示することであってよい。
【0028】
それぞれの基準範囲から逸脱した送信機からの1つより多い値がある場合、プロセッサは、逸脱の一連のしるしを表示するために適合され得る。例えば、もしある生徒が、人体模型の胸部を、あまりに浅くかつ不適切な周波数の両方で圧縮しているなら、2つのしるしが、教師/指導者に、その生徒が両方の要素に注意および指図を必要とすることを知らせるために、ユーザインターフェース上に二者択一的に表示されてよい。
【0029】
一連のしるしは、任意の順番で表示されてよいが、一実施形態において、例えば、生徒のグループの教育レベルや他の関連情報に基づいて、予め規定した優先順位リストに従って優先順位を付けられた順番で表示されてよい。他の実施形態において、プロセッサは、それぞれのグリッドセルにおいてどの逸脱を表示するかを選択するように適合される。
【0030】
一実施形態において、上述したようなシステムの動作は、少なくとも1つのセンサで圧縮データを測定し、マイクロコントローラにおいて圧縮データを処理し、BLE通知パッケージ内のセンサから少なくとも1つの受信装置へデータを送信する、ことによってなされる。
【0031】
前に述べたように、センサからの情報は、圧縮が開始したときを検出し、また連続する圧縮を登録するために使用され、および、Bluetooth送信機によって、圧縮の開始から圧縮系列の最後に登録された圧縮後の30秒までの測定データの転送を開始するために使用される。
【0032】
本発明を、例として、添付図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】一般的なBluetooth Low Energyパケットを示す。
【
図2】本発明の一実施形態の(マイクロコントローラによる)データ処理と(BLEによる)通信との概観を示す。
【
図3】人体模型センサから受信機へ送信されるデータパッケージを図示する。
【
図4】CPR人体模型の各々からの情報を表示するためのユーザインターフェースの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1に示されるように、一般に、Bluetooth Low Energyパケットは、次の構成要素を持つ。
-プリアンブル:内部プロトコル管理の為に使用される。通知パケットは、プリアンブルとして、10101010bを持つ。
-アクセスアドレス:これは、常に、通知パケットに対して、0x8E89BED6(10001110100010011011111011010110b)を持つ。
-PDU(プロトコルデータユニット):2つのPDUフォーマットがあり、1つは通知パケットのためのものであり、1つはデータパケットのためのものである。
-CRC(巡回冗長検査):PDU上で計算された3バイト値
【0035】
(システムがアクティブであるときの)通信プロセスの概観が、
図2に示される。
【0036】
人体模型から送出されるために必要なデータ量が、BLE通知パケットのサイズを超えるので、データセットは、複数のデータパケット(D0~Dn)に分割され、その各々は、BLE通知パケットのサイズに一致する。
【0037】
データセットは、Tsの周期でサンプルされる。Trのランダム遅延の後、最初のデータパケットはTdの存続期間の間繰り返し送出される。通信プロトコル(一方向通信)が本来的にあてにならないので、冗長が必要である。さらに、全てのデータパケットは、成功した受信の機会を増加するために、3つの利用できるBLE通知チャネル全ての上で送出される。各データパケットが(各通知チャネル上で)送出される回数は、通知(advertisement)期間Taと持続時間Tdとに依存し、すなわち、各データパケットが送出される回数は、(Td/Ta)より小さいか等しい最も大きな整数である。
【0038】
TdとTaとは、全てのデータパケットに対して一定であるが、Trは不定である。ランダム遅延Trは、各データセットの開始前に付加され、それは、同時にデータを送信する人体模型の数を減少し、したがって、人体模型によって生成される(BLE周波数範囲における)全体の同時トラフィックを減少する、ことに注意されたい。また、もし(n×Td)+Tr>Tsなら、データセットは、次のTs時間までサンプルされない、ことに注意されたい。
【0039】
データパケット20の一般的な構造と内容は、
図2における第2のデータセットのD
0の下に図示されている。各データパケットは、人体模型IDと、パケットIDと、タイムスタンプとを備える。データパケットの残りは、データフィールドから成り、それは、CPRデータからシステム状態情報までのいずれかに関連する情報から成る。人体模型IDは、受信装置によって、情報を送信する人体模型を識別するために使用される。データパケットIDは、受信機によって、どのデータがデータフィールドに含まれるかを決定するために使用される。特定のデータセット内の全てのデータパケットは、受信機が重複データを識別するのを可能とする同じタイムスタンプを持つ、ことに注意されたい。
【0040】
動作中、受信装置(例えば、アプリケーションを持つ電話やタブレット)は、正しい製造業者、装置情報、および適切な人体模型名を持つ、Bluetooth Low Energyを持つ装置を探す。受信機は、人体模型IDを、どのデータセットを更新するかを決定するため、および、ユーザインターフェースのどの部分を更新するかを決定するために使用するだろう。
【0041】
いくつかの人体模型が同じ名前を持つなら、Received Signal Strength Indication(RSSI)が、最も近い人体模型からの情報を示すために使用され得る。これは、もし2つのCPRクラスが、隣接する部屋またはさもなければ近くに保持されているなら、混雑を避けるだろう。パケットIDは、ユーザインターフェースをどのように更新すべきかおよびデータセット内のどのデータ値を更新するかを決定するために使用されるだろう。
【0042】
重複のデータセットが連続的に送出されるので、タイムスタンプは、受信機によって、重複データを処理して格納するのを避けるための識別として使用される。
【0043】
図3は、最初の圧縮の開始から、圧縮系列における最後に登録された圧縮後30秒までの時間期間における通知データの伝達を図示する。圧縮が最後の圧縮の検出後30秒実施される限りは、
図2に記述されるように、数nのデータパケットが送信される。
【0044】
図4は、複数のCPR訓練人体模型41A~Dと、少なくとも1つの受信装置42とを備える、CPR訓練システム40の一例を図示する。この図は、4つの人体模型を示しているが、人体模型の数は、生徒の数や他の状況に応じて変化してよい。各人体模型41A~Dは、少なくとも1つのセンサと、各センサに接続されたマイクロコントローラとを備え、各マイクロコントローラは、上述したように例として、BLE通知パッケージ44内のセンサから少なくとも1つの受信装置42へのデータを送信するように適合された、Bluetooth送信機に接続されている。
【0045】
センサは、例えば、実際の深さの±15%すなわち3mmの精度で圧縮深さ(それは、0~55mmの範囲内で高さである)を測定する。圧縮センサは、さらに、時間とCPR圧縮データ(圧縮深さ、圧縮速度、リーニング)を測定してもよい。
【0046】
マイクロコントローラは、CPR特性計算を実行し、上述したようにBLE通知パッケージ44を使用して、変数を受信機へ送出する。BLE通知パッケージ。
【0047】
電力を節約するために、センサおよびマイクロコントローラは、最後の検出した圧縮の後30秒にオフまたは低電力/アイドルモードにされる。
【0048】
各センサの目盛りを正す必要があってもよい。特に、各センサが最初に使用される前に深さに対して目盛りを正されることは有利であるだろう。これは、20回の圧縮を実施し、それから、システムが閉鎖するまで(胸部が完全に解放されて)最小で30秒待つことによってなされてよい。
【0049】
受信装置42は、人体模型における送信機からCPRデータ44を受信し、受信データ44を解析し、解析結果をグリッド45内に表示するように適合され、グリッドの各グリッドセル43は、それぞれの送信機、したがってそれぞれの人体模型41A~Dからのデータを表す。図において、人体模型41Aからのデータは、グリッドセル43Aに表示され、人体模型41Bからのデータは、グリッドセル41Bに表示される、など。