(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】表示システム、表示制御装置、表示制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221013BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221013BHJP
G09G 5/377 20060101ALI20221013BHJP
G09G 5/36 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H04N7/18 U
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09G5/00 530M
G09G5/00 550X
G09G5/00 550B
G09G5/36 520L
G09G5/36 520P
(21)【出願番号】P 2020112976
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2020-08-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591139633
【氏名又は名称】東急株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(74)【復代理人】
【識別番号】100187230
【氏名又は名称】佐藤 晶司
(72)【発明者】
【氏名】糸洲 美和
(72)【発明者】
【氏名】松木 健治
(72)【発明者】
【氏名】西川 修平
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-86983(JP,A)
【文献】特開2011-87839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G09G 5/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競技者が競技を行うシーンを撮像動画データとして撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像動画データから、該撮像動画データに含まれる特定ポイントを検知するポイント検知部と、
前記ポイント検知部が検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する仮想動画生成部と、
前記競技を開始するタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記仮想動画生成部が生成した仮想動画データと、前記撮像部が撮像している撮像動画データとを合成する合成部と、
前記合成部が合成した動画データを表示する表示部と
、
記憶部とを有し、
前記合成部は、前記タイミング取得部が取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始
し、
前記仮想動画生成部は、前記記憶部に記憶されている記録に基づいて、前記競技者の競技中の平均速度を算出し、該算出した平均速度で競技している前記競技者を含む仮想動画を生成する表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の表示システムにおいて、
所定の過去動画データをあらかじめ記憶する記憶部を有し、
前記仮想動画生成部は、前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記記憶部に記憶されている過去動画データから前記競技の仮想動画データを生成する表示システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示システムにおいて、
外部からの操作で入力を受け付ける入力部を有し、
前記仮想動画生成部は、前記入力部が受け付けた情報に基づいて、生成する仮想動画データの競技を決定する表示システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の表示システムにおいて、
前記競技は、タイムレースである表示システム。
【請求項5】
請求項
1から4のいずれか1項に記載の表示システムにおいて、
前記仮想動画生成部は、前記記憶部に記憶されている記録に基づいて、投擲競技において投げられた物の軌跡を算出し、該算出した軌跡で投げられた前記物を含む仮想動画を生成する表示システム。
【請求項6】
請求項
1から
5のいずれか1項に記載の表示システムにおいて、
前記仮想動画生成部は、前記記憶部に記憶されている記録に基づいて、前記競技者の跳躍の軌跡を算出し、該算出した軌跡で競技している前記競技者を含む仮想動画を生成する表示システム。
【請求項7】
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、該撮像動画データに含まれる特定ポイントを検知するポイント検知部と、
前記ポイント検知部が検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する仮想動画生成部と、
前記競技を開始するタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記仮想動画生成部が生成した仮想動画データと、前記撮像動画データとを合成する合成部と、
前記合成部が合成した動画データをディスプレイに表示させる表示制御部とを有し、
前記合成部は、前記タイミング取得部が取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始
し、
前記仮想動画生成部は、記憶部に記憶されている記録に基づいて、前記競技者の競技中の平均速度を算出し、該算出した平均速度で競技している前記競技者を含む仮想動画を生成する表示制御装置。
【請求項8】
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、該撮像動画データに含まれる特定ポイントを検知する処理と、
前記検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する処理と、
前記競技を開始するタイミングを取得する処理と、
前記生成した仮想動画データと、前記撮像している撮像動画データとを合成する処理と、
前記合成した動画データをディスプレイに表示させる処理と、
前記取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する処理と
、
記憶部に記憶されている記録に基づいて、前記競技者の競技中の平均速度を算出する処理と、
前記算出した平均速度で競技している前記競技者を含む仮想動画を生成する処理とを行う表示制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、該撮像動画データに含まれる特定ポイントを検知する手順と、
前記検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する手順と、
前記競技を開始するタイミングを取得する手順と、
前記生成した仮想動画データと、前記撮像している撮像動画データとを合成する手順と、
前記合成した動画データをディスプレイに表示させる手順と、
前記取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する手順と
、
記憶部に記憶されている記録に基づいて、前記競技者の競技中の平均速度を算出する手順と、
前記算出した平均速度で競技している前記競技者を含む仮想動画を生成する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システム、表示制御装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競技場等で催されるオリンピック等のスポーツイベントは、テレビ中継が行われることが多い。近年では、複数のカメラを用いてそれぞれ撮影された複数のアングルからの映像の中から表示させたい映像をユーザが選択できるシステムが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
競技の中でもタイムを競うレースにおいては、タイムを上げるために様々な研究がなされている。例えば、その競技者のレースの途中の状況と過去の有力な競技者のレースの途中の状況とを比較することも少なくない。特許文献1に記載されたようなシステムにおいては、そのような解析をすることが困難である。このように、リアルタイムでは競技状況を明確には把握できないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、リアルタイムで競技状況を明確に把握できる表示システム、表示制御装置、表示制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の表示システムは、
競技者が競技を行うシーンを撮像動画データとして撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知するポイント検知部と、
前記ポイント検知部が検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する仮想動画生成部と、
前記競技を開始するタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記仮想動画生成部が生成した仮想動画データと、前記撮像部が撮像している撮像動画データとを合成する合成部と、
前記合成部が合成した動画データを表示する表示部とを有し、
前記合成部は、前記タイミング取得部が取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する。
【0007】
また、本発明の表示制御装置は、
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知するポイント検知部と、
前記ポイント検知部が検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する仮想動画生成部と、
前記競技を開始するタイミングを取得するタイミング取得部と、
前記仮想動画生成部が生成した仮想動画データと、前記撮像動画データとを合成する合成部と、
前記合成部が合成した動画データをディスプレイに表示させる表示制御部とを有し、
前記合成部は、前記タイミング取得部が取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する。
【0008】
また、本発明の表示制御方法は、
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知する処理と、
前記検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する処理と、
前記競技を開始するタイミングを取得する処理と、
前記生成した仮想動画データと、前記撮像している撮像動画データとを合成する処理と、
前記合成した動画データをディスプレイに表示させる処理と、
前記取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
競技者が競技を行うシーンを撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知する手順と、
前記検知した特定ポイントの前記撮像動画データにおける第1の位置と、前記競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、前記競技の仮想動画データを生成する手順と、
前記競技を開始するタイミングを取得する手順と、
前記生成した仮想動画データと、前記撮像している撮像動画データとを合成する手順と、
前記合成した動画データをディスプレイに表示させる手順と、
前記取得したタイミングで前記仮想動画データと前記撮像動画データとの合成を開始する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、リアルタイムで競技状況を明確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の表示システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】競技場に設置された特定ポイントの一部の例を示す図である。
【
図3】
図1に示した撮像部が撮像した撮像動画データの一例を示す図である。
【
図4】
図1に示した仮想動画生成部が生成した仮想動画の一例を示す図である。
【
図5】
図1に示した合成部が合成した動画データの一例を示す図である。
【
図6】
図1に示した表示システムにおける表示制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図1に示した仮想動画生成部が生成した仮想動画の他の例を示す図である。
【
図8】
図1に示した合成部が合成した動画データの他の例を示す図である。
【
図9】本発明の表示システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図10】
図9に示した入力部の外観の一例を示す図である。
【
図11】
図9に示した記憶部が記憶している情報の一例を示す図である。
【
図12】
図9に示した表示システムにおける表示制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】本発明の表示システムの第3の実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0013】
図1は、本発明の表示システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における表示システムは
図1に示すように、撮像部100と、ポイント検知部200と、仮想動画生成部300と、タイミング取得部400と、合成部500と、表示部600とを有する。これらの構成要素は、1つの装置に搭載されているものであっても良いし、任意の組み合わせで分けられて複数の装置に搭載されているものであっても良いし、それぞれが別個の装置に搭載されているものであっても良い。
【0014】
撮像部100は、競技者が競技を行うシーンを第1の動画データとして撮像するカメラである。撮像部100は、競技者が競技を行う、例えば競技場の所定の場所に固定されているものであっても良いし、携帯通信端末やデジタルカメラ等の移動可能なものであっても良い。なお、競技は、例えば、陸上競技場で行われる短距離走等のトラック競技や、ロードレース、競泳等のタイムレースである。
【0015】
ポイント検知部200は、撮像部100が撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知する。この特定ポイントは、例えば、拡張現実(AR:Augmented Reality)の画像認識/空間認識等に用いられるものであって、競技場の特定の位置を示すために、競技場内にあらかじめ設置されているマーカーである。また、特定ポイントは、競技場内に複数設置されており、それぞれがその位置付けを有している。例えば、特定ポイントは、短距離レースのスタートラインを示すものや、フィニッシュラインを示すもの、スタートラインから10メートル地点を示すもの、競技トラックの第1~4コーナーを示すもの、長距離コースのスタートラインから10キロメートル地点を示すもの、砲丸投げのサークルの位置を示すもの等である。また、複数の特定ポイントは、撮像部100によって撮像されたときに、互いに識別可能な画像として認識できるものである。
【0016】
図2は、競技場に設置された特定ポイントの一部の例を示す図である。
図2に示した例では、特定ポイント700,710が短距離レースのある地点に設置されている。例えば、特定ポイント700がスタートラインから50メートルの位置に設置されており、その旨があらかじめ登録されていれば、ポイント検知部200が特定ポイント700を検知した場合、その検知した位置がスタートラインから50メートルの位置であることを認識することができる。また、特定ポイント710がスタートラインから60メートルの位置に設置されており、その旨があらかじめ登録されていれば、ポイント検知部200が特定ポイント710を検知した場合、その検知した位置がスタートラインから60メートルの位置であることを認識することができる。
【0017】
仮想動画生成部300は、ポイント検知部200が検知した特定ポイントの撮像動画データにおける第1の位置と、競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、競技の仮想動画データを生成する。つまり、仮想動画生成部300は、撮像動画データにおける特定ポイントの位置に、その特定ポイントが示す地点を表示する仮想動画を生成する。仮想動画生成部300は、競技場に設置された特定ポイントのそれぞれが何の地点を示すものであるかをあらかじめ記憶しておき、ポイント検知部200が特定ポイントを検知すると、その検知した特定ポイントが何の地点を示すものであるかを判別する。仮想動画生成部300は、判別した地点に対応するように仮想動画を生成する。例えば、ポイント検知部200が検知した特定ポイントが、短距離レースのスタートラインから50メートルの地点を示すものであると仮想動画生成部300が判別した場合、仮想動画生成部300は、撮像動画データの特定ポイントの位置が、短距離レースのスタートラインから50メートルとなるような動画(例えば、仮想の人物が走る動画)を生成する。仮想動画生成部300は、競技の開始から少なくとも競技の終了までの仮想動画を生成する。
【0018】
タイミング取得部400は、競技を開始するタイミングを取得する。タイミング取得部400は、例えば、競技のスケジュールが設定されたプログラムからそれぞれの競技の開始時刻を取得するものであっても良いし、競技のスタートの合図となる信号を競技用の他のシステムから受信して取得するものであっても良い。
【0019】
合成部500は、仮想動画生成部300が生成した仮想動画データと、撮像部100が撮像している撮像動画データとを合成する。このとき、合成部500は、タイミング取得部400が取得したタイミングで仮想動画データと撮像動画データとの合成を開始する。
【0020】
図3は、
図1に示した撮像部100が撮像した撮像動画データの一例を示す図である。
図4は、
図1に示した仮想動画生成部300が生成した仮想動画の一例を示す図である。
図5は、
図1に示した合成部500が合成した動画データの一例を示す図である。
図3に示すような競技者720が競技を行っているシーンを撮像部100が撮像すると、ポイント検知部200がその撮像動画データから特定ポイント700を検知する。検知した特定ポイント700の撮像動画データにおける位置に基づいて、仮想動画生成部300が
図4に示すような仮想画像730が含まれる仮想動画データを生成する。合成部500は、
図3に示した撮像動画データと、
図4に示した仮想動画データとを合成して、
図5に示すような動画データを生成する。
【0021】
表示部600は、合成部500が合成した動画データを表示する。表示部600は、
図5に示したような動画データを表示する。表示部600は、合成部500が合成した動画データが無いタイミングでは、撮像部100が撮像した撮像動画データを表示するものであっても良い。表示部600は、一般的なモニタであっても良いし、携帯通信端末等の情報処理装置に具備されたディスプレイであっても良い。
【0022】
以下に、
図1に示した表示システムにおける表示制御方法について説明する。
図6は、
図1に示した表示システムにおける表示制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0023】
撮像部100が競技の撮像を開始すると(ステップS1)、ポイント検知部200は、撮像部100が撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知する(ステップS2)。すると、仮想動画生成部300が、ポイント検知部200が検知した特定ポイントの撮像動画データにおける第1の位置と、競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、競技の仮想動画データを生成する(ステップS3)。また、タイミング取得部400が、競技を開始するタイミングを取得する(ステップS4)。合成部500は、タイミング取得部400が取得したタイミングになったかどうかを判定し(ステップS5)、タイミング取得部400が取得したタイミングになると仮想動画データと撮像動画データとの合成を開始する(ステップS6)。表示部600は、合成部500が合成した動画データを表示する(ステップS7)。なお、ステップS2にてポイント検知部200が検知した特定ポイントに競技の開始位置が含まれる場合、ステップS3にて仮想動画生成部300が生成した、開始位置にて合成する仮想画像データを、ステップS5の前に合成部500がその開始位置にて撮像動画データと合成するものであっても良い。
【0024】
また、
図4では、仮想動画生成部300が生成する仮想動画に含まれる仮想画像が競技者のような画像である場合を示したが、仮想画像は他の図形であっても良い。
図7は、
図1に示した仮想動画生成部300が生成した仮想動画の他の例を示す図である。
図8は、
図1に示した合成部500が合成した動画データの他の例を示す図である。
図3に示すような競技者720が競技を行っているシーンを撮像部100が撮像すると、ポイント検知部200がその撮像動画データから特定ポイント700を検知する。検知した特定ポイント700の撮像動画データにおける位置に基づいて、仮想動画生成部300が
図7に示すような図形である仮想画像740が含まれる仮想動画データを生成する。合成部500は、
図3に示した撮像動画データと、
図7に示した仮想動画データとを合成して、
図8に示すような動画データを生成する。
【0025】
このように、本形態においては、競技を撮像した撮像データにおける特定ポイントの位置に基づいて仮想動画を生成し、撮像データと仮想動画とを、競技の開始タイミングから合成し、合成した動画データを表示する。そのため、リアルタイムで競技状況を明確に把握できる。
(第2の実施の形態)
【0026】
図9は、本発明の表示システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における表示システムは
図9に示すように、撮像部100と、ポイント検知部200と、仮想動画生成部301と、タイミング取得部400と、合成部500と、表示部600と、記憶部800と、入力部900とを有する。これらの構成要素は、1つの装置に搭載されているものであっても良いし、任意の組み合わせで分けられて複数の装置に搭載されているものであっても良いし、それぞれが別個の装置に搭載されているものであっても良い。撮像部100、ポイント検知部200、タイミング取得部400、合成部500および表示部600は、第1の実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0027】
入力部900は、外部からの操作で入力を受け付ける。なお、表示部600がタッチパネル機能を具備しているディスプレイである場合、表示部600が入力部900の機能も兼ね備えているものであっても良い。また、入力部900が受け付ける入力は、文字入力であっても良いし、音声入力であっても良い。
【0028】
図10は、
図9に示した入力部900の外観の一例を示す図である。
図10には、表示部600が入力部900の機能も兼ね備えているものを例に挙げて示している。
図9に示した入力部900は
図10に示すように、利用者が競技種目を選択するための画面が表示され、その表示にしたがって利用者が入力部900を操作することで、その操作に基づいた入力を受け付ける。例えば、利用者が「一般男子100m」を選択(タッチ)した場合、入力部900は競技種目として「一般男子100m」が選択されたことを入力する。
【0029】
記憶部800は、所定の過去動画データをあらかじめ記憶する。記憶部800は、競技ごとに過去の動画データを記憶する。
【0030】
図11は、
図9に示した記憶部800が記憶している情報の一例を示す図である。
図9に示した記憶部800には
図11に示すように、競技名とレース番号と撮像日と大会名と記録と動画データとが対応付けられて記憶されている。競技名は、その競技の種目を示す情報である。レース番号は、記録されているレースの番号を示す情報である。撮像日は、その動画が撮像された日にちを示す情報である。大会名は、その競技が行われた大会の名称を示す情報である。記録は、記録されているレースの記録タイムを示す情報である。動画データは、記録されている動画そのものである。なお、動画データの項目には、動画データを識別する、例えば、動画ファイル名を記憶しておき、記憶部800とは異なるデータベースに動画ファイル自体を記憶しておくものであっても良い。
【0031】
仮想動画生成部301は、入力部900が受け付けた情報に基づいて、生成する仮想動画データの競技種目を決定する。仮想動画生成部301は、上述した第1の位置と第2の位置とに基づいて、記憶部800に記憶されている過去動画データから、決定した競技種目と対応付けられている動画データを用いて仮想動画データを生成する。このように生成された仮想動画は、過去の動画データに記録されている競技者が競技を行っている様子が、撮像部100が現在撮像している撮像動画データにおける競技場に対する画角や撮像方向、撮像位置等に応じたものとなる。なお、仮想動画生成部301は、記憶部800に記憶されている記録に基づいて、競技の途中の状況を算出して、仮想動画を生成するものであっても良い。つまり、競技種目がタイムレースである場合、仮想動画生成部301は、記憶部800に記憶されている記録に基づいて、競技者の競技中の平均速度を算出して、算出した平均速度で競技している競技者の仮想動画を生成するものであっても良い。また、競技種目が砲丸投げや走高跳等のフィールド競技である場合、仮想動画生成部301は、記憶部800に記憶されている記録に基づいて、その砲丸や競技者の跳躍の軌跡を算出して、算出した軌跡で競技している砲丸や競技者の仮想動画を生成するものであっても良い。円盤上げやハンマー投げ、やり投げ等の投擲競技や、走り幅跳びや棒高跳び等の他の跳躍競技についても同様である。
【0032】
以下に、
図9に示した表示システムにおける表示制御方法について説明する。
図12は、
図9に示した表示システムにおける表示制御方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0033】
撮像部100が競技の撮像を開始すると(ステップS11)、ポイント検知部200は、撮像部100が撮像した撮像動画データから、特定ポイントを検知する(ステップS12)。また、入力部900が、外部からの操作に基づいて入力を受け付け、仮想動画生成部301がその入力にしたがって競技種目を取得する(ステップS13)。すると、仮想動画生成部301が、取得した競技種目と対応付けられている記録や動画データを記憶部800から読み出す(ステップS14)。続いて、仮想動画生成部301が、ポイント検知部200が検知した特定ポイントの撮像動画データにおける第1の位置と、競技を行うフィールドにあらかじめ設置されている特定ポイントの設置位置である第2の位置とに基づいて、記憶部800から読み出した記録や動画データを用いて、競技の仮想動画データを生成する(ステップS15)。また、タイミング取得部400が、競技を開始するタイミングを取得する(ステップS16)。合成部500は、タイミング取得部400が取得したタイミングになったかどうかを判定し(ステップS17)、タイミング取得部400が取得したタイミングになると仮想動画データと撮像動画データとの合成を開始する(ステップS18)。表示部600は、合成部500が合成した動画データを表示する(ステップS19)。
【0034】
なお、仮想動画生成部301は、撮像部100が撮像している撮像画像データについて画像解析を行い、画像解析の結果に基づいて、撮像部100が撮像している競技が何の競技であるかを判定するものであっても良い。その場合、入力部900からの入力(競技種目の選択操作)は不要となる。
【0035】
このように、本形態においては、競技を撮像した撮像データにおける特定ポイントの位置とその競技の過去の競技者のデータとに基づいて仮想動画を生成し、撮像データと仮想動画とを、競技の開始タイミングから合成し、合成した動画データを表示する。そのため、現在の競技者と過去の競技者とが同一のレースで競技しているかのような画像を表示することができ、競技者のレースの状況を他の競技者のレースの状況と正確に比較することができる。
(第3の実施の形態)
【0036】
図13は、本発明の表示システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における表示システムは
図13に示すように、表示制御装置10と、カメラ20と、表示装置30とを有する。表示制御装置10は、ポイント検知部11と、仮想動画生成部12と、タイミング取得部13と、合成部14と、表示制御部15とを有する。ポイント検知部11は、第1の実施の形態におけるポイント検知部200と同じものである。仮想動画生成部12は、第1の実施の形態における仮想動画生成部300と同じものである。タイミング取得部13は、第1の実施の形態におけるタイミング取得部400と同じものである。合成部14は、第1の実施の形態における合成部500と同じものである。表示制御部15は、合成部14が合成した動画データを表示装置30へ送信して、表示装置30における動画データの表示を制御する。カメラ20は、第1の実施の形態における撮像部100と同じものである。表示装置30は、第1の実施の形態における表示部600と同じものであって、表示制御部15からの制御にしたがって、表示制御部15から送信されてきた動画データを表示する。
【0037】
このように、本形態においては、現在の競技を撮像するカメラ20と、仮想動画とカメラ20が撮像している撮像動画とを合成する表示制御装置10と、表示制御装置10が合成した動画を表示する表示装置30とを、互いに別個の装置として設ける。これにより、処理の負荷を複数の装置に分担させることができる。なお、例えば、カメラ20と表示装置30とを携帯通信端末に設け、通信ネットワークを介して表示制御装置10との間で通信を行うものであっても良い。
【0038】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。
【0039】
上述した各構成要素が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を、各構成要素を具備した装置(例えば、表示制御装置10。以下、情報処理装置と称する)にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0040】
10 表示制御装置
11,200 ポイント検知部
12,300,301 仮想動画生成部
13,400 タイミング取得部
14,500 合成部
15 表示制御部
20 カメラ
30 表示装置
100 撮像部
600 表示部
700,710 特定ポイント
720 競技者
730,740 仮想画像
800 記憶部
900 入力部