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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20221013BHJP
   G03F 7/16 20060101ALI20221013BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20221013BHJP
【FI】
H01L21/30 562
G03F7/16 501
G03F7/30 501
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020158355
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052151
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 宏幸
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/115643(WO,A1)
【文献】特開平10-189465(JP,A)
【文献】特開2004-025057(JP,A)
【文献】米国特許第05896294(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/16
G03F 7/20
G03F 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N(Nは2以上の整数)枚の基板を一括して処理可能である同時処理部と、
前記同時処理部にN枚以下の基板を一括して搬送する搬送部と、
前記同時処理部に設けられ、前記同時処理部による処理に関する第1パラメータを測定する第1センサと、
N枚の基板を一括して搬入可能である基板導入部を含み、前記基板導入部から当該基板を順次に搬送しつつ、当該基板に対して順次に処理を行う順次処理部と、
前記順次処理部に設けられ、前記順次処理部による処理に関する第2パラメータを測定する第2センサと、
前記同時処理部に前記搬送部からN枚の基板が搬入された場合、当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、当該N枚の基板に対応付けて、同時収集データとして記憶し、前記同時処理部に前記搬送部からM(Mは1以上N未満の整数)枚の基板が搬入された場合、当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、当該M枚の基板に対応付けて、前記同時収集データとして記憶する制御部と
を備え
前記制御部は、前記順次処理部の処理中に前記第2センサによって検出された前記第2パラメータを、当該基板に個別に対応付けて、当該基板ごとの順次収集データとして記憶し、
前記同時収集データは、N枚の基板をグループ単位としたグループを識別するグループ識別情報と、グループにおける基板構成を示す基板有無情報と、前記第1パラメータを示す第1処理情報とを含み、
前記順次収集データは、対応する基板が属するグループを示す前記グループ識別情報と、対応する基板のグループ内の搬送方向の位置を示す位置情報と、前記第2パラメータを示す第2処理情報とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記搬送部は、N枚の基板を水平方向に並べた状態で保持可能なハンドを含み、
前記同時処理部は、前記N枚の基板を水平方向に並べた状態で保持可能な基板保持部を含む、基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の基板処理装置であって、
カセットが搬入されるロードポートを備え、
前記カセットは、各々が前記N枚の基板を水平方向に並べて収納可能な複数のスロットを有し、
前記スロット内の基板がグループ単位として前記同時処理部または前記順次処理部に搬送される、基板処理装置。
【請求項4】
N(Nは2以上の整数)枚の基板を一括して同時処理部に搬入する工程と、
前記同時処理部が当該N枚の基板に対して一括して処理を行う工程と、
当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に、前記同時処理部による処理に関する第1パラメータを第1センサによって測定する工程と、
前記同時処理部から当該N枚の基板を取り出す工程と、
M(Mは1以上N未満の整数)枚の基板を一括して前記同時処理部に搬入する工程と、
前記同時処理部が当該M枚の基板に対して一括して処理を行う工程と、
当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1パラメータを前記第1センサによって測定する工程と、
前記同時処理部から当該M枚の基板を取り出す工程と、
当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、同時収集データとして、当該N枚の基板に対応付けて記憶し、当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、前記同時収集データとして、当該M枚の基板に対応付けて記憶する工程と
順次処理部が、搬入されたN枚以下の基板を順次に搬送しつつ、当該基板に対して順次に処理を行う工程と、
前記順次処理部の処理中に、前記順次処理部による処理に関する第2パラメータを第2センサによって測定する工程と、
前記順次処理部の処理中に前記第2センサによって検出された前記第2パラメータを、当該基板に個別に対応付けて、当該基板ごとの順次収集データとして記憶する工程と
を備え
前記同時収集データは、N枚の基板をグループ単位としたグループを識別するグループ識別情報と、グループにおける基板構成を示す基板有無情報と、前記第1パラメータを示す第1処理情報とを含み、
前記順次収集データは、対応する基板が属するグループを示す前記グループ識別情報と、対応する基板のグループ内の搬送方向の位置を示す位置情報と、前記第2パラメータを示す第2処理情報とを含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の処理装置を有するコータ/デベロッパ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のコータ/デベロッパ装置では、インデクサ部に載置されたカセットから取り出された複数の基板が順次、洗浄装置に投入され、その後、脱水ベーク装置、レジスト塗布装置、プリベーク装置、露光装置、現像装置、および、ポストベーク装置を順番に経由して、再びカセットに収容される。
【0003】
このコータ/デベロッパ装置には、次の2つのタイプの処理装置が混在する。即ち、順次処理装置と同時処理装置とが混在する。順次処理装置は基板を順次に一方向に搬送して基板に対して1枚ずつ処理を行う。この順次処理装置としては、洗浄装置および現像装置が例示される。同時処理装置には複数枚の基板が一括して搬入される。同時処理装置は、複数枚の基板に対して一括して処理を行う。この同時処理装置としては、例えば脱水ベーク装置が例示される。この脱水ベーク装置では複数の処理部として加熱部および冷却部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-17604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板処理装置における処理が適切に行われているか否かを確認するために、順次処理装置および同時処理装置の各々には、処理に関するパラメータを測定するセンサが設けられ得る。例えば、脱水ベーク装置では、当該パラメータとして、基板の温度を測定する温度センサが設けられ得る。
【0006】
基板処理装置は、各センサによって測定されたパラメータを基板に対応付けて収集し得る。言い換えれば、基板処理装置は、パラメータを基板ごとに収集してもよい。基板処理装置が各基板に対する処理のパラメータを操作者に報知することにより、操作者は各基板に対する処理のパラメータを確認することができる。
【0007】
しかしながら、必ずしもパラメータを基板ごとに収集することが最適であるとは限らない。例えば、測定したパラメータを各基板に個別に対応付けて収集すると、収集データのデータ量が大きくなる。
【0008】
そこで、本願は、より適切にパラメータを収集することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板処理装置の第1の態様は、N(Nは2以上の整数)枚の基板を一括して処理可能である同時処理部と、前記同時処理部にN枚以下の基板を一括して搬送する搬送部と、前記同時処理部に設けられ、前記同時処理部による処理に関する第1パラメータを測定する第1センサと、N枚の基板を一括して搬入可能である基板導入部を含み、前記基板導入部から当該基板を順次に搬送しつつ、当該基板に対して順次に処理を行う順次処理部と、前記順次処理部に設けられ、前記順次処理部による処理に関する第2パラメータを測定する第2センサと、前記同時処理部に前記搬送部からN枚の基板が搬入された場合、当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、当該N枚の基板に対応付けて、同時収集データとして記憶し、前記同時処理部に前記搬送部からM(Mは1以上N未満の整数)枚の基板が搬入された場合、当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、当該M枚の基板に対応付けて、前記同時収集データとして記憶する制御部とを備え、前記制御部は、前記順次処理部の処理中に前記第2センサによって検出された前記第2パラメータを、当該基板に個別に対応付けて、当該基板ごとの順次収集データとして記憶し、前記同時収集データは、N枚の基板をグループ単位としたグループを識別するグループ識別情報と、グループにおける基板構成を示す基板有無情報と、前記第1パラメータを示す第1処理情報とを含み、前記順次収集データは、対応する基板が属するグループを示す前記グループ識別情報と、対応する基板のグループ内の搬送方向の位置を示す位置情報と、前記第2パラメータを示す第2処理情報とを含む
【0010】
基板処理装置の第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記搬送部は、N枚の基板を水平方向に並べた状態で保持可能なハンドを含み、前記同時処理部は、前記N枚の基板を水平方向に並べた状態で保持可能な基板保持部を含む
基板処理装置の第3の態様は、第1または第2の態様にかかる基板処理装置であって、カセットが搬入されるロードポートを備え、前記カセットは、各々が前記N枚の基板を水平方向に並べて収納可能な複数のスロットを有し、前記スロット内の基板がグループ単位として前記同時処理部または前記順次処理部に搬送される
【0011】
基板処理方法は、N(Nは2以上の整数)枚の基板を一括して同時処理部に搬入する工程と、前記同時処理部が当該N枚の基板に対して一括して処理を行う工程と、当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に、前記同時処理部による処理に関する第1パラメータを第1センサによって測定する工程と、前記同時処理部から当該N枚の基板を取り出す工程と、M(Mは1以上N未満の整数)枚の基板を一括して前記同時処理部に搬入する工程と、前記同時処理部が当該M枚の基板に対して一括して処理を行う工程と、当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1パラメータを前記第1センサによって測定する工程と、前記同時処理部から当該M枚の基板を取り出す工程と、当該N枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、同時収集データとして、当該N枚の基板に対応付けて記憶し、当該M枚の基板に対する前記同時処理部の処理中に前記第1センサによって測定された前記第1パラメータを、前記同時収集データとして、当該M枚の基板に対応付けて記憶する工程と、順次処理部が、搬入されたN枚以下の基板を順次に搬送しつつ、当該基板に対して順次に処理を行う工程と、前記順次処理部の処理中に、前記順次処理部による処理に関する第2パラメータを第2センサによって測定する工程と、前記順次処理部の処理中に前記第2センサによって検出された前記第2パラメータを、当該基板に個別に対応付けて、当該基板ごとの順次収集データとして記憶する工程とを備え、前記同時収集データは、N枚の基板をグループ単位としたグループを識別するグループ識別情報と、グループにおける基板構成を示す基板有無情報と、前記第1パラメータを示す第1処理情報とを含み、前記順次収集データは、対応する基板が属するグループを示す前記グループ識別情報と、対応する基板のグループ内の搬送方向の位置を示す位置情報と、前記第2パラメータを示す第2処理情報とを含む
【発明の効果】
【0012】
基板処理装置の第1の態様および基板処理方法によれば、同時処理部はN枚の基板を一括して処理可能である。同時処理部が複数の基板を一括して処理する場合、異なる処理タイミングで基板が処理される場合に比べて、第1パラメータの基板間のばらつきは小さく、例えばほぼ同じである。
【0013】
同時処理部にN枚の基板が搬入されると、第1パラメータがN枚の基板に対応付けて記憶され、同時処理部にM枚の基板が搬入されると、第1パラメータがM枚の基板に対応付けて記憶される。つまり、第1パラメータは各基板に個別に対応付けられずに、同時処理部に搬入された基板のグループに対して対応付けられて記憶される。これによれば、基板の枚数の変動に対応することができつつも、第1パラメータを各基板に個別に対応付けて記憶する場合に比して、より少ないデータ量で適切に第1パラメータを収集することができる。
【0014】
しかも、順次処理部においては基板が順次に搬送しつつ基板に対して順次に処理が行われる。よって、基板には、互いに異なるタイミングで処理が行われる。よって、第2パラメータの基板間のばらつきは比較的に大きい。このような第2パラメータは基板に個別に対応付けて記憶されるので、基板間のばらつきの情報を消失することなく、第2パラメータを収集できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図2】順次処理装置の構成の一例を概略的に示す側面図である。
図3】同時処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図4】制御部の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図5】順次収集データの一例を模式的に示す図である。
図6】順次収集データの一例を模式的に示す図である。
図7】同時収集データの一例を模式的に示す図である。
図8】カセットにおいて複数の基板が収容される態様を模式的に示す図である。
図9】カセットにおいて複数の基板が収容される態様を模式的に示す図である。
図10】同時処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図11】同時収集データの一例を模式的に示す図である。
図12】同時収集データの一例を模式的に示す図である。
図13】同時処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略および構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0017】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0018】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0019】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0020】
<1.基板処理装置の全体構成・全体動作>
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す図である。図1の例では、基板処理装置1はコータ/デベロッパ装置であり、主として、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15、現像装置17およびポストベーク装置18の各処理装置を備える。また、基板処理装置1の一方側には、基板処理装置1に対して基板を搬入、搬出するインデクサ部11が配置される。さらに基板処理装置1の他方側に図示しないインターフェイス部を介して露光装置16が配置される。
【0021】
インデクサ部11から露光装置16までの行きラインには、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14およびプリベーク装置15がこの順で配置される。露光装置16からインデクサ部11までの帰りラインには、現像装置17およびポストベーク装置18がこの順で配置される。
【0022】
インデクサ部11には複数の基板を収納する複数のカセット(図示省略)が載置される。基板は、例えば液晶表示装置に用いられる矩形状のガラス基板である。インデクサ部11には、基板を搬送する搬送部の一例たるインデクサロボット(図示省略)が配置されている。インデクサロボットはカセットから基板を取り出し、この基板を洗浄装置12へと搬送する。洗浄装置12においては、基板に洗浄処理が行われる。洗浄処理が行われた基板は、脱水ベーク装置13に搬送される。脱水ベーク装置13においては、加熱により脱水処理(脱水ベーク処理)が行われる。脱水ベーク処理が行われた基板は、塗布関連装置14に搬送され、レジストの塗布処理を含む各種の処理が行われる。この処理が行われた基板は、プリベーク装置15に搬送され、加熱処理が行われる。加熱処理が行われた基板は、露光装置16に搬送され、露光処理が行われる。
【0023】
これらの処理が行われた基板は、現像装置17に搬送され、現像処理が行われる。現像処理が行われた基板は、ポストベーク装置18に搬送され、加熱処理が行われる。その後、該基板は、インデクサロボットによってインデクサ部11に載置されるカセットに収容される。これらの一連の処理により、基板の表面にはレジストのパターンが形成される。
【0024】
以下では第1の処理が第2の処理に先だって行われるとき、第1の処理を行う装置は第2の処理を行う装置の「上流」にあると説明され、第2の処理を行う装置は第1の処理を行う装置の「下流」にあると説明される。インデクサ部11は洗浄装置12に対して上流にあり、かつポストベーク装置18に対して下流にある。「上流」「下流」という用語は装置や当該装置を構成する諸要素に対してのみならず、搬送される基板の位置関係を説明する場合にも採用される。
【0025】
<2.処理装置のタイプ>
この基板処理装置1では、処理装置のタイプとして次の2つのタイプの処理装置が混在している。すなわち、基板を順次に一方向に搬送しつつ当該基板に対して1枚ずつ処理を行う順次処理装置(平流し処理装置)と、N(2以上の整数)枚の基板に対して一括して同時に処理可能な同時処理装置とが混在する。なお同時処理装置によるN枚の基板の処理期間は完全に一致する必要はなく、各処理期間の少なくとも一部が重なっていればよい。要するに、ここでいう同時とは、各処理期間が全く重ならない状態と対比した意味で用いられる。順次処理装置としては、洗浄装置12および現像装置17が例示され、同時処理装置としては、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15およびポストベーク装置18が例示される。
【0026】
順次処理装置は基板処理装置1の一部分である順次処理部であるとみることができる。同時処理装置は基板処理装置1の一部分である同時処理部であるとみることができる。
【0027】
<2-1.順次処理装置>
図2は、順次処理装置30の構成の一例を概略的に示す図である。順次処理装置30は処理装置本体32と基板導出部33とを備えており、順次処理装置30の直前には、基板導入部(受入部)31が設けられている。基板導入部31は上流の装置から搬送される複数(N枚)の基板Wを一括的に受け入れる。処理装置本体32は基板導入部31から搬送される複数の基板Wを1枚ずつ順次に受け取り、この基板Wを一方向(搬送方向:図2においては左側から右側へ向かう方向)に沿って搬送させつつ、基板Wに対して各種の処理を行う。処理後の基板Wは処理装置本体32から基板導出部33へと搬送される。基板導出部33は処理装置本体32から搬送された複数の基板Wを順次に受け取る。基板導出部33は順次に受け取った基板Wを複数(N枚)保持することができる。複数の基板Wは基板導出部33から一括して取り出されて、下流の装置へと搬送される。なお基板導入部31は順次処理装置30に含まれている、とみなしても構わない。基板導入部31は順次処理装置30の入口部として機能でき、基板導出部33は順次処理装置30の出口部として機能できる。以下ではN=2の場合が例示される。
【0028】
<2-1-1.基板導入部31>
基板導入部31は搬送機構としての複数のローラ311および複数のローラ313と、センサ314,315を有している。ローラ311,313の断面は円形状を有しており、ローラ311,313は、その中心軸が基板Wの搬送方向に略垂直かつ略水平となるように設けられる。ここでいう搬送方向とは、順次処理装置30における基板Wの搬送方向である。複数のローラ311は搬送方向に沿って間隔を空けて並んで設けられる。各ローラ311は自身の中心軸を回転軸として回転することができる。各ローラ311の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。この一対の支持板は搬送方向に沿って延びる板状部材であり、床面に設けられた所定の架台312に固定される。複数のローラ313は搬送方向に沿って間隔を空けて並んで設けられる。ローラ313はローラ311よりも下流側に位置しており、ローラ311と同じ高さに設けられている。各ローラ313は自身の中心軸を回転軸として回転することができる。各ローラ313の中心軸における両端は、それぞれ支持板に回転可能に固定される。
【0029】
複数のローラ311は駆動部(不図示)によって駆動されて、予め定められた同じ方向に略等しい回転速度で回転(同期回転)する。駆動部はモータを有している。複数のローラ311の上には、基板Wが載置される。基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向(図2においては上下方向)に沿うように載置される。この状態で、複数のローラ311が同じ方向に同期回転することにより、基板Wはローラ311の上を搬送方向に沿って処理装置本体32へと移動する。複数のローラ313も駆動部(不図示)によって駆動されて同期回転する。ローラ311,313は互いに異なる駆動部によって駆動されるので、互いに独立して制御される。
【0030】
ローラ311,313の上には、1枚ずつ基板Wが載置される。例えばインデクサ部11から2枚の基板Wがローラ311,313の上に載置されてもよい。この状態でローラ313のみが同期回転することにより、ローラ313上の基板Wを処理装置本体32へと搬送できる。次にローラ311,313の両方が同期回転することにより、ローラ313上の基板Wを処理装置本体32へと搬送できる。
【0031】
センサ314はローラ311上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ315はローラ313上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ314,315は例えば光学式のセンサであって、基板Wからの反射光を受光したときに、基板Wを検出する。センサ314,315の検出結果は制御部60へと出力される。
【0032】
以下では、2枚の基板Wの一方を基板W1とも呼び、他方を基板W2とも呼ぶ。ここでは、基板W1は基板W2よりも上流側に位置するものとする。
【0033】
<2-1-2.基板導出部33>
基板導出部33は、処理装置本体32から順次に搬送される基板Wの複数(N枚)を保持することができる。基板導出部33が保持可能な基板Wの枚数は、次の同時処理装置40(例えば順次処理装置30が洗浄装置12であれば、脱水ベーク装置13)で処理可能な基板Wの枚数と同じである。ここでは、一例として、基板導出部33は2枚の基板Wを保持し、同時処理装置40は2枚の基板Wに対して同時に処理を行うものとする。
【0034】
基板導出部33は、搬送機構としての複数のローラ331および複数のローラ332と、センサ334,335とを備えている。ローラ331,332の断面は円形状を有している。ローラ331は、その中心軸が基板Wの搬送方向に垂直かつ水平となるように搬送方向に沿って間隔を空けて配置される。ローラ332はローラ331よりも下流側に配置される。ローラ332はローラ331と同様の姿勢で搬送方向に沿って間隔を空けて配置される。各ローラ331,332の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。複数のローラ331は駆動部(不図示)によって同期回転し、複数のローラ332は駆動部(不図示)によって同期回転する。ローラ331およびローラ332は互いに異なる駆動部によって駆動されるので、互いに独立して制御可能である。各駆動部は例えばモータを有する。
【0035】
ローラ331,332は、互いに同じ高さに設けられている。基板Wは処理装置本体32からローラ331へと搬送され、適宜にローラ331からローラ332へと搬送される。後に説明するように、ローラ331の上には1枚の基板Wが停止し、ローラ332の上には1枚の基板Wが停止する。これにより、基板導出部33は2枚の基板Wを保持することができる。
【0036】
センサ334はローラ331上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ335はローラ332上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ334,335は例えば光学式のセンサであって、基板Wからの反射光を受光したときに、基板Wを検出する。センサ334,335の検出結果は制御部60へと出力される。
【0037】
基板導出部33は処理装置本体32から2枚の基板Wを順次に受け取り、これらを保持することができる。以下ではまず、簡単のために2枚の基板Wが一括して処理される場合について説明する。N枚の基板Wが一括されずに処理される場合については、後に詳述される。
【0038】
まず1枚目の基板Wはローラ331,332が同期回転することで、ローラ332の上の停止位置まで搬送される。具体的には、センサ334,335の両方が基板Wを検出していないときに、ローラ331,332を同期回転させて、処理装置本体32からの基板Wを基板導出部33へと搬送する。そしてセンサ335が基板Wを検出したときにローラ332の同期回転を停止する。これにより、1枚目の基板W(下流側の基板W2)はローラ332上で停止して支持される。2枚目の基板W(上流側の基板W1)に対しては、ローラ332を回転させず、ローラ331を同期回転させることにより、ローラ331の停止位置まで当該基板Wを搬送する。具体的にはセンサ334が基板Wを検出したときにローラ331の同期回転を停止する。つまり、センサ334,335の両方が基板Wを検出しているときに、ローラ331の同期回転を停止する。これにより、2枚目の基板Wはローラ331上で停止して支持される。このように基板導出部33は2枚の基板Wを保持することができる。
【0039】
<2-1-3.処理装置本体32>
処理装置本体32は搬送機構としての複数のローラ321を有している。複数のローラ321はローラ311と同様の形状を有しており、ローラ311と同様の姿勢で配置される。ローラ321の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。複数のローラ321は搬送方向に沿って間隔を空けて並んでいる。複数のローラ321は基板導入部31のローラ311と同じ高さに設けられており、基板Wはローラ311からローラ313,321,331をこの順に介してローラ332へと移動することができる。
【0040】
処理装置本体32は、ローラ321の上を流れる基板Wに対して、その搬送方向の各位置において適宜に処理を行う。ここでは、順次処理装置30として洗浄装置12を例に挙げて説明する。例えば処理装置本体32は、薬液部34、水洗部35および水切り部36を有している。薬液部34、水洗部35および水切り部36は上流から下流へ向かってこの順で直列に設けられている。また複数のローラ321は薬液部34、水洗部35および水切り部36に亘って設けられている。複数のローラ321は駆動部(不図示)によって駆動されて同期回転する。これにより、基板Wを搬送方向に沿って搬送して、薬液部34、水洗部35および水切り部36をこの順で通過させることができる。
【0041】
薬液部34は、ローラ321上の基板Wへと薬液を供給して基板Wを洗浄する装置である。薬液部34は、薬液を吐出する複数のノズル341と、薬液を貯留する薬液槽342と、薬液槽342およびノズル341を繋ぐ供給管343と、供給管343を経由して薬液をノズル341へ供給するポンプ344とを備えている。ノズル341は鉛直方向において基板Wの両側に設けられており、基板Wの両面へと薬液を供給する。供給管343には流量センサ345が設けられ、供給される薬液の量の制御に寄与する。薬液部34は、基板Wをブラッシングするためのブラシ(不図示)などを有していてもよい。薬液を基板Wに供給しながらブラッシングを行うことにより、洗浄効果を高めることができる。基板Wに供給された薬液は主として基板Wの周縁から落ちて、薬液槽342へと回収される。
【0042】
水洗部35は、基板Wに対して洗浄水を供給することで基板Wに残留した薬液を洗い流す装置である。水洗部35は洗浄水を貯留する第1水槽355および第2水槽356を有している。また水洗部35は上流から下流に向かってこの順で配置される低圧水供給部351、高圧水供給部352、超音波洗浄水供給部353および純水供給部354を有している。各部351~354は薬液部34と同様に、基板Wに液を吐出するノズルと、当該ノズルに連結された供給管と、当該供給管を経由して当該ノズルに液を供給するポンプとを備えている。
【0043】
低圧水供給部351のポンプ35tは低圧ポンプであって、低い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、低圧水供給部351は低圧で洗浄水を基板Wに供給できる。低圧水供給部351にはスリットノズル(液ナイフとも呼ぶ)35aが設けられ、液ナイフ35aからも洗浄水が基板Wに供給される。低圧水供給部351に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ357によって測定される。
【0044】
高圧水供給部352のポンプ35rは高圧ポンプであって、高い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、高圧水供給部352は高圧で洗浄水を基板Wに供給できる。高圧水供給部352に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ358によって測定される。低圧水供給部351および高圧水供給部352によって供給された洗浄水は主として基板Wの周縁から落ちて第1水槽355へと回収される。
【0045】
超音波洗浄水供給部353のノズル35bには、第2水槽356からの洗浄水に超音波振動を付与する超音波振動子が設けられている。ノズル35bは液ナイフとして機能する。超音波洗浄水供給部353のポンプ35sは、第2水槽356から洗浄水を汲み上げてノズル35bに供給する。ノズル35bの超音波振動子が振動することで、超音波洗浄水供給部353はノズル35bから振動状態の洗浄水を基板Wへと供給する。超音波洗浄水供給部353によって供給された洗浄水は主として第2水槽356へ回収される。ノズル35bへ供給される洗浄水の流量は流量センサ359によって測定される。
【0046】
純水供給部354のノズルは、純水供給源365から供給される純水を基板Wに向けて供給する。純水供給源365は例えば工場設備(ユーティリティ)として設けられる。この純水は主として第2水槽356へ回収される。
【0047】
水切り部36は基板Wへと高圧の気流を流すことで基板Wから水を吹き飛ばす装置である。水切り部36は、基板Wに気体を噴射する噴射部(乾燥エアーナイフ)361と、気体を供給する気体供給源362と、噴射部361および気体供給源362を連結する管路363とを有している。管路363には当該気体の流量を測定する流量センサ364が設けられる。気体供給源362は工場設備(ユーティリティ)として設けられた気体源である。
【0048】
以上のように、処理装置本体32において基板Wは搬送方向に沿って搬送されて、各位置において各種の処理が行われる。処理装置本体32によって全ての処理が行われた基板Wは基板導出部33へと搬送される。
【0049】
<3.同時処理装置40>
図3は、同時処理装置40の構成の一例を概略的に示す図である。ここでは同時処理装置40として脱水ベーク装置13を例に挙げて説明する。図3は、脱水ベーク装置13の構成の一例を鉛直下向きに沿って見て示す概略的な図である。
【0050】
<3-1.脱水ベーク装置13>
脱水ベーク装置13は加熱部82および冷却部83を備えている。この脱水ベーク装置13は、(順次処理装置30である)洗浄装置12によって洗浄処理が行われた基板Wを搬送ロボット(搬送部)81から受け取り、受け取った基板Wに対して同時に処理を行う。脱水ベーク装置13は複数枚(N枚)の基板Wについて同時に処理を行うことができる。以下ではまず、簡単のために2枚の基板Wが一括して処理される場合について説明する。N枚の基板Wが一括されずに処理される場合については、後に詳述される。
【0051】
<3-1-1.搬送ロボット81>
搬送ロボット81はハンドH1と移動機構51と昇降機構52と回転機構53とを有している。移動機構51はハンドH1を水平面内で移動させることができる。例えば移動機構51は一対のアーム(不図示)を有している。各アームは長尺状の複数の連結部材を有しており、その連結部材の端部同士が回転可能に連結される。各アームの一端はハンドH1に連結され、他端は昇降機構52に連結される。連結部材の連結角度が制御されることで、ハンドH1を水平面内で移動させることができる。昇降機構52はアームを鉛直方向に沿って昇降させることで、ハンドH1を昇降させる。昇降機構52は例えばボールねじ機構を有している。回転機構53は鉛直方向に沿う回転軸を中心として昇降機構52を回転させることができる。これにより、ハンドH1は周方向に沿って回動する。この回動により、ハンドH1の向きを変えることができる。回転機構53は例えばモータを有している。
【0052】
ハンドH1には、2枚の基板Wが水平な一方向(図3において左右方向)において並んだ状態で載置される。ハンドH1は例えば複数本の指状部材F1と、指状部材F1の基端同士を連結する基端部材P1を有している。この基端部材P1には上述されたアームの一端が連結される。指状部材F1は長尺状の形状を有しており、その上面において基板Wが載置される。この2枚の基板Wは指状部材F1の長手方向(図3において左右方向)に沿って並んで載置される。よって、指状部材F1の長手方向の長さは、基板Wの2枚分の長さと、基板Wの間の間隔とに応じて設定される。
【0053】
搬送ロボット81はハンドH1を適宜に移動および回転させることで、ハンドH1を加熱部82、冷却部83、洗浄装置12の基板導出部33および次工程の塗布関連装置14(図3において不図示)の各々へと移動させることができる。搬送ロボット81は2枚の基板Wを一括して基板導出部33、加熱部82および冷却部83の各々から取り出したり、あるいは、2枚の基板Wを一括して加熱部82、冷却部83および塗布関連装置14の各々へ渡したりすることができる。
【0054】
例えば搬送ロボット81は次のように基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出す。すなわち、搬送ロボット81は、基板導出部33で保持された2枚の基板Wの下方にハンドH1を位置させるべく、ハンドH1を基板導出部33へと移動させる。
【0055】
なおローラ331,332は、搬送ロボット81のハンドH1との衝突を避けるように構成されている。そして搬送ロボット81はハンドH1を鉛直上方へと上昇させることで、2枚の基板WをハンドH1によって持ち上げることができる。これにより、2枚の基板Wはそれぞれローラ331,332から離れる。2枚の基板WはハンドH1の上において、その長手方向に沿って間隔を空けて並んで載置されることになる。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢でハンドH1の上に載置される。
【0056】
2枚の基板WはハンドH1の上において、その横手方向(短手方向)に沿って間隔を空けて並んで載置されてもよい。このような載置は、例えばターンテーブルを設けて基板Wを90度回転させることによって実現される。
【0057】
次に搬送ロボット81はハンドH1を基板導出部33から遠ざけるように移動させることで、基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出す。
【0058】
なお指状部材F1の上面(基板Wが載置される面)には、複数の吸引口が形成されていても構わない。この吸引口は2枚の基板Wと対向する位置に設けられており、当該吸引口から空気が引き抜かれて基板Wを吸引する。これにより、基板Wを保持するための保持力を向上できる。
【0059】
搬送ロボット81は上記動作と同様の動作によって加熱部82および冷却部83の各々から2枚の基板Wを一括して取り出す。一方、搬送ロボット81は上記動作とは逆の手順で、加熱部82、冷却部83および塗布関連装置14の各々(以下、各部と呼ぶ)へと2枚の基板Wを一括して渡す。つまり、搬送ロボット81は2枚の基板Wが載置されたハンドH1を各部の内部へと移動させ、ハンドH1を下降させて各部の基板保持部の上面に2枚の基板Wを一括して載置する。なお、各部の基板保持部は2枚の基板Wの搬出入の際にハンドH1と衝突しないように構成されている。そして搬送ロボット81はハンドH1を各部の内部から外部へと移動させる。これにより、2枚の基板Wが各部に一括して渡される。
【0060】
以上のように、搬送ロボット81は、順次処理装置である洗浄装置12により処理された複数の基板WのうちN枚(2枚)の基板Wを水平な一方向に並べて保持しつつ、このN枚(2枚)の基板Wを一括して同時処理装置である脱水ベーク装置13へ搬送することができる。複数枚の基板Wを一括して搬送することにより、基板Wを1枚ずつ搬送する場合に比べて、搬送動作のスループットを向上することができる。
【0061】
<3-1-2.加熱部82>
加熱部82には、搬送ロボット81から2枚の基板Wが一括して渡される。この加熱部82は、この2枚の基板Wを水平方向に並べて保持する基板保持部91と、この2枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行う加熱手段92とを備えている。換言すれば、加熱部82は、2枚の基板Wに対して同時に加熱処理を行う。
【0062】
基板保持部91は2枚の基板Wの下面を支持する部材を有している。2枚の基板Wはこの部材の上に載置されることによって保持される。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢で載置される。例えば基板保持部91は複数のリフトピン(不図示)を備える。この複数のリフトピンは、基板保持部91の上面より、その先端を突出させた上位置と、上面より下に退避した下位置との間で昇降する。搬送ロボット81は上方に突出した複数のリフトピンに2枚の基板Wを渡した後、加熱部82から退避する。複数のリフトピンは2枚の基板Wを支持した状態で下降し、基板保持部91の上面に2枚の基板Wを載置する。
【0063】
加熱手段92は例えばヒータなどであり、基板保持部91によって保持された2枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行う。この加熱処理により、例えば基板Wに残留した純水を蒸発させることができる(脱水処理)。複数枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行うことにより、基板Wに対して1枚ずつ加熱処理を行う場合に比べて、加熱処理のスループットを向上することができる。
【0064】
加熱手段92は例えば基板保持部91に内蔵されてもよい。また、加熱部82には、複数の加熱手段92が設けられてもよい。複数の加熱手段92は平面視において互いに隣り合って配置され、互いに独立して制御されてもよい。2枚の基板Wは例えば複数の加熱手段92と鉛直方向において向かい合う位置に載置される。この場合、2枚の基板Wの平面視における複数の領域における温度を当該領域ごとに調整することができる。基板Wの平面視のサイズが大きくなると、単一の加熱手段92で均一に基板Wを加熱することは困難であるところ、複数の加熱手段92が設けられることにより、基板Wをより均一に加熱することができる。
【0065】
加熱部82は、基板Wの温度を測定する温度センサ95をさらに含んでいる。加熱部82には、複数の温度センサ95が設けられてもよい。各温度センサ95は平面視において互いに異なる領域の温度を測定する。例えば温度センサ95は加熱手段92と一対一で設けられてもよい。この場合、温度センサ95は、対応する加熱手段92の加熱対象領域の温度を測定する。
【0066】
温度センサ95によって測定された温度は制御部60に出力される。制御部60は、例えば、温度センサ95によって測定された測定温度に基づいて、加熱手段92を制御してもよい。これにより、基板Wの温度をより均一に目標値に近づけることができる。
【0067】
<3-1-3.冷却部83>
冷却部83には、加熱部82によって加熱された2枚の基板Wが搬送ロボット81から一括して渡される。つまり、搬送ロボット81は、順次処理装置たる洗浄装置12によって処理された後に加熱部82によって処理された2枚の基板Wを、水平な一方向に並べて保持しつつ、当該2枚の基板Wを一括して冷却部83へと搬送する。この冷却部83は、この2枚の基板Wを水平方向に並べて保持する基板保持部93と、この2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う冷却手段94とを備えている。換言すれば、冷却部83は、2枚の基板Wに対して同時に冷却処理を行う。
【0068】
この基板保持部93は2枚の基板Wの下面を支持する部材(不図示)を有している。2枚の基板Wはこの部材の上に載置されることによって保持される。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢で載置される。基板保持部93の構造は基板保持部91と同様である。
【0069】
冷却手段94は例えば金属板の内部に形成された液路に冷水を流す冷却板などであり、基板保持部93に保持された2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う。冷却手段94は制御部60によって制御される。この冷却処理により、2枚の基板Wが冷却され、2枚の基板Wの温度を下流側の処理装置(塗布関連装置14)に適した温度とすることができる。2枚の基板Wに対して一括して同時に冷却処理を行うことにより、基板Wに対して1枚ずつ冷却処理を行う場合に比べて、冷却処理のスループットを向上することができる。
【0070】
冷却手段94は例えば基板保持部93に内蔵されてもよい。また、冷却部83には、複数の冷却手段94が設けられてもよい。複数の冷却手段94は平面視において互いに隣り合って配置され、互いに独立して制御されてもよい。2枚の基板Wは例えば複数の冷却手段94と鉛直方向において向かい合う位置に載置される。この場合、基板Wの平面視における複数の領域における温度を当該領域ごとに調整することができる。基板Wの平面視のサイズが大きくなると、単一の冷却手段94で均一に基板Wを加熱することは困難であるところ、複数の冷却手段94が設けられることにより、基板Wをより均一に冷却することができる。
【0071】
冷却部83は、基板Wの温度を測定する温度センサ96をさらに含んでいる。冷却部83には、複数の温度センサ96が設けられてもよい。各温度センサ96は平面視において互いに異なる領域の温度を検出する。例えば温度センサ96は冷却手段94と一対一で設けられてもよい。この場合、温度センサ96は、対応する冷却手段94の冷却象領域の温度を測定する。
【0072】
温度センサ96によって測定された温度は制御部60に出力される。制御部60は、例えば、温度センサ96によって測定された測定温度に基づいて、冷却手段94を制御してもよい。これにより、基板Wの温度をより均一に目標値に近づけることができる。
【0073】
なお冷却部83は自然冷却により2枚の基板Wを冷却してもよい。自然冷却とは、加熱された基板Wに対して動力(電力)を用いた冷却を行わずに、基板Wを放置して冷却することである。この場合、冷却板などの構成としての冷却手段94は不要である。
【0074】
<3-1-4.脱水ベーク装置の一連の処理>
次に脱水ベーク装置13による一連の処理を簡単に説明する。搬送ロボット81は上流側の洗浄装置12の基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出して、この2枚の基板Wを一括して加熱部82へと渡す。この加熱部82でも、2枚の基板Wは水平方向に並んだ状態で保持される。加熱部82はこの2枚の基板Wに対して一括して加熱処理を行う。加熱処理後の2枚の基板Wは搬送ロボット81によって一括して取り出され、冷却部83へと一括して渡される。冷却部83でも、2枚の基板Wは水平方向に並んだ状態で保持される。冷却部83はこの2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う。冷却処理が行われた2枚の基板Wは搬送ロボット81によって一括して取り出されて、塗布関連装置14へと一括して搬送される。
【0075】
<4.制御部>
図1に例示するように、基板処理装置1は、各処理装置での処理および基板の搬送を制御する制御部60を有している。図4は、制御部60の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
【0076】
制御部60は制御回路であって、図4に示されるように、例えば、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63および記憶装置64等が、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。ROM62は基本プログラム等を格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置64は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0077】
また、制御部60では、入力部66、表示部67、通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66は、各種スイッチ、あるいは、タッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置およびランプ等により構成されており、CPU61による制御のもと各種の情報を表示する。通信部68は、LAN(Local Area Network)等を介したデータ通信機能を有する。
【0078】
また、制御部60には、各ロボット(インデクサロボット等の搬送ロボットなど)および上述の各処理装置が制御対象として接続されている。つまり制御部60は基板Wの搬送を制御する搬送制御部として機能できる。
【0079】
制御部60の記憶装置64には、基板処理装置1を構成する各装置を制御するための処理プログラムPが格納されている。制御部60のCPU61が処理プログラムPを実行することによって、基板の搬送動作および処理動作が制御される。また、処理プログラムPは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部60(コンピュータ)に処理プログラムPをインストールすることができる。また制御部60が実行する機能の一部または全部は必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0080】
制御部60は複数階層構造を有していてもよい。例えば、制御部60は、主制御部と、複数の末端制御部とを含んでもよい。末端制御部は、例えば、インデクサ部11、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15、露光装置16、現像装置17およびポストベーク装置18の各処理装置に設けられる。主制御部は基板処理装置1に設けられ、複数の末端制御部と通信する。主制御部は基板処理装置1の全体の動作を管理し、末端制御部は対応する各装置の動作を制御する。
【0081】
複数の末端制御部は相互に通信可能である。例えば、末端制御部の間で、基板Wに関するデータが送受信される。基板Wに関するデータは、例えば、グループ単位での基板Wのデータを示し、基板Wの処理の内容を示す情報が当該データに含まれている。末端制御部は、一つ上流側の末端制御部から受け取った基板Wのデータに基づいて、対応する装置を制御し、基板Wを処理する。例えば、洗浄装置12の末端制御部は、インデクサ部11の末端制御部から基板Wのデータを受け取るとともに、洗浄装置12に基板Wがグループ単位で搬入される。洗浄装置12の末端制御部は、受け取った基板のデータに基づいて洗浄装置12を制御して、搬入された基板Wに対する洗浄処理を行う。そして、基板Wの処理終了後に基板Wがグループ単位で脱水ベーク装置13に搬送されつつ、洗浄装置12の末端制御部から脱水ベーク装置13の末端装置に基板Wのデータが伝達される。以下、同様にして処理が行われる。
【0082】
<5.処理パラメータの収集>
上述のように、基板処理装置1には各種のセンサ(例えば流量センサ345,359,364、圧力センサ357,358および温度センサ95,96)が設けられる。これらのセンサは、処理に関するパラメータを測定するセンサであるといえる。以下では、同時処理装置40(例えば脱水ベーク装置13)に設けられたセンサを第1センサとも呼ぶことがあり、順次処理装置30(例えば洗浄装置12)に設けられたセンサを第2センサと呼ぶことがある。
【0083】
第1センサとしては、温度センサ95,96が例示される。温度センサ95,96は、処理に関するパラメータ(第1パラメータ)として、基板Wの温度を測定する。第2センサとしては、流量センサ345,359,364および圧力センサ357,358が例示される。流量センサ345,359,364は、処理に関するパラメータ(第2パラメータ)として、基板Wに供給する流体の流量を測定する。圧力センサ357,358は、処理に関するパラメータ(第2パラメータ)として、基板Wに供給する流体の圧力を測定する。
【0084】
制御部60は、第1センサおよび第2センサの各々によって測定されたパラメータを、基板Wに対応付けて、不揮発性の記憶媒体(例えば記憶装置64)に記憶する。以下、順次処理装置30と同時処理装置40とに分けてパラメータの収集について説明する。以下では、一例として、2枚の基板Wを含むグループごとに搬送および処理される場合について説明する。
【0085】
<5-1.順次処理装置30におけるパラメータの収集>
上述のように、順次処理装置30の基板導入部31には、一つのグループに属する2枚の基板Wが一括して搬入される。順次処理装置30は、搬入された2枚の基板Wを1枚ずつ順次に搬送しつつ各基板Wに対して順次に処理を行う。具体的には、まず、2枚の基板Wのうち下流側の基板W2が搬送されて、処理装置本体32によって基板W2に対する処理が行われつつ、続けて上流側の基板W1が搬送されて、処理装置本体32によって基板W1に対する処理が行われる。以下では、代表的に基板W2について説明する。
【0086】
薬液部34では、ノズル341から基板W2に薬液が供給される。これにより、基板W2には薬液に応じた処理が行われる。基板W2に供給される薬液の流量は流量センサ345によって測定されて、その測定値を示す測定信号が流量センサ345から制御部60に出力される。
【0087】
次に基板W2は水洗部35に搬送される。水洗部35では、基板W2はまず低圧水供給部351に搬送されて、液ナイフ35aから基板W2に洗浄水が供給される。基板W2に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ357によって測定され、その測定信号が圧力センサ357から制御部60に出力される。
【0088】
次に基板W2は高圧水供給部352に搬送され、高圧水供給部352のノズルから基板W2に洗浄水が供給される。基板W2に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ358によって測定されて、その測定信号が圧力センサ358から制御部60に出力される。
【0089】
次に基板W2は超音波洗浄水供給部353に搬送され、ノズル35bから基板W2に洗浄水が供給される。基板W2に供給される洗浄水の圧力は流量センサ359によって測定されて、その測定信号が流量センサ359から制御部60に出力される。
【0090】
次に基板W2は純水供給部354に搬送され、純水供給部354のノズルから基板W2に純水が供給される。純水供給部354には、基板W2に供給される純水の流量を検出する流量センサが設けられてもよく、この場合、その測定信号が当該流量センサから制御部60に出力される。
【0091】
以上のように、水洗部35では基板W2に洗浄水および純水が順次に供給され、基板W2が洗浄される。
【0092】
次に基板W2は水切り部36に搬送され、水切り部36の噴射部361から基板W2に気体が供給される。これにより、基板W2に付着した液が吹き飛ばされる。基板W2に供給される気体の流量は流量センサ364によって測定され、その測定信号が流量センサ364から制御部60に出力される。
【0093】
制御部60は、流量センサ345,359,364によって測定された流量および圧力センサ357,358によって測定された圧力を基板W2に対応付けて、順次収集データとして例えば記憶装置64に記憶する。つまり、制御部60は、基板W2に対する順次処理装置30の処理中に第2センサによって測定されたパラメータを、基板W2に対応付けて記憶装置64に記憶する。
【0094】
図5は、基板W2についての順次収集データの一例を模式的に示す図である。図5の例では、順次収集データは、グループ識別情報Da1と、位置情報Db1と、処理情報Dd1とを含んでいる。グループ識別情報Da1および位置情報Db1は、基板Wを識別するための情報であり、後に詳述する。処理情報Dd1は、各第2センサによって測定されたパラメータの測定値(いわゆる実測値)を示す情報である。図5の例では、順次収集データには、洗浄装置12における流量センサ345,359,364および圧力センサ357,358に応じて、5つの処理情報Dd1が含まれている。図5の例では、測定値は「****」で模式的に示されている。
【0095】
上述の例では、基板W2について述べたが、基板W1でも同様である。つまり、制御部60は、基板W1に対する順次処理装置30の処理中に第2センサによって測定されたパラメータを、基板W1に対応付けて例えば記憶装置64に記憶する。図6は、基板W1についての順次収集データの一例を模式的に示す図である。図6の例でも、基板W1についての順次収集データは、グループ識別情報Da1と、位置情報Db1と、処理情報Dd1とを含んでいる。
【0096】
グループ識別情報Da1は、基板Wのグループを識別する情報である。グループは例えばN枚(ここでは2枚)の基板W1,W2によって構成される。ここでは基板W1,W2は同一グループに属しているので、基板W1,W2のグループ識別情報Da1は互いに同一である。図5および図6の例では、グループ識別情報Da1として「ペア番号k」が示されている。例えばグループ識別情報Da1は「k」の値が大きくなるほど、グループは上流側にあることを示す。位置情報Db1は、基板Wのグループ内の位置を示す情報である。ここでは、基板W2は基板W1よりも下流側に位置しているので、基板W2の位置情報Db1(図5参照)は「下流」を示しており、基板W1の位置情報Db1(図6参照)は「上流」を示している。グループ識別情報Da1および位置情報Db1によって基板Wを個別に識別することができる。
【0097】
上述の例では、順次処理装置30として洗浄装置12が説明されたが、他の順次処理装置30でも同様である。他の順次処理装置30でも、処理に関するパラメータを測定する第2センサが設けられる。制御部60は、基板W2の処理中に第2センサによって測定されたパラメータを、基板W2に対応付けて例えば記憶装置64に記憶する。具体的には、制御部60は、他の順次処理装置30の第2センサによって測定されたパラメータの測定値を示す処理情報Dd1を、基板W2の順次収集データに付加する。基板W1も同様である。図5および図6では、他の順次処理装置30に対応した処理情報Dd1の存在を、縦方向に並ぶ黒丸で模式的に示している。
【0098】
以上のように、順次処理装置30には、基板Wがグループ単位で搬入されるものの、順次処理装置30は、当該グループに属する基板W1,W2を1枚ずつ搬送し、基板W1,W2を1枚ずつ処理する。つまり、基板W1,W2には互いに異なるタイミングで個別に処理が行われる。例えば基板W2には、基板W1に先立って、薬液部34のノズル341から薬液が供給され、その後、基板W1にノズル341から薬液が供給される。ノズル341から吐出される薬液の流量は時間の経過とともに変動し得るので、基板W1,W2に供給される薬液の流量は互いに相違し得る。つまり、たとえ同一グループに属する基板W1,W2であっても順次処理装置30におけるパラメータは互いに相違し得る。そこで、制御部60は、順次処理装置30において測定されるパラメータを基板W1,W2に個別に対応付けて記憶している。
【0099】
<5-2.同時処理装置40におけるパラメータの収集>
上述のように、同時処理装置40にも、基板Wがグループ単位で一括して搬入される。つまり、一グループに属する2枚の基板W1,W2が一括して同時処理装置40に搬入される。そして、同時処理装置40は、搬入された2枚の基板W1,W2を一括して処理する。
【0100】
例えば加熱部82には、2枚の基板W1,W2が一括して搬入され、加熱部82は2枚の基板W1,W2を一括して加熱する。第1センサの一例である温度センサ95は基板W1,W2の温度を測定し、その測定信号を制御部60に出力する。制御部60は、温度センサ95によって測定された基板W1,W2の温度と、加熱温度の目標値とに基づいて、加熱手段92を制御してもよい。これにより、基板W1,W2の温度を加熱温度の目標値に近づけることができる。基板W1,W2の温度は互いにほぼ同一の値となるように制御される。
【0101】
冷却部83にも、2枚の基板W1,W2が一括して搬入される。冷却部83は2枚の基板W1,W2を一括して冷却する。第1センサの一例である温度センサ96は基板W1,W2の温度を測定し、その測定信号を制御部60に出力する。制御部60は温度センサ96によって測定された基板W1,W2の温度と、冷却温度の目標値とに基づいて、冷却手段94を制御してもよい。これにより、基板W1,W2の温度を冷却温度の目標値に近づけることができる。基板W1,W2の温度は互いにほぼ同一の値となるように制御される。
【0102】
制御部60は、基板W1,W2に対する加熱部82の加熱処理中に温度センサ95によって測定された温度を基板W1,W2のグループに対応付けて、同時収集データとして、例えば記憶装置64に記憶する。同様に、制御部60は、基板W1,W2に対する冷却部83の冷却処理中に温度センサ96によって測定された温度を基板W1,W2のグループに対応付けて、同時収集データとして、例えば記憶装置64に記憶する。
【0103】
図7は、同時収集データの一例を模式的に示す図である。図7の例では、同時収集データは、グループ識別情報Da1と、基板有無情報De1と、目標情報Df1と、処理情報Dd1とを含んでいる。基板有無情報De1は、グループの基板構成を示す情報である。ここでは、基板W1,W2の両方がグループを構成するので、図7の例では、基板有無情報De1は、基板W1,W2の両方を示す「両基板」を示している。
【0104】
目標情報Df1は、処理に関するパラメータについての目標値である。より具体的な一例として、目標情報Df1は、加熱部82における基板Wの目標温度、および、冷却部83における基板Wの目標温度の各々を示す。図7の例では、加熱部82における目標情報Df1および温度センサ95に対する処理情報Dd1は上下に隣接して示されており、冷却部83における目標情報Df1および温度センサ96に対する処理情報Dd1も上下に隣接して示されている。図7の例では、測定値および目標値は「****」で模式的に示されている。
【0105】
上述の例では、同時処理装置40として加熱部82および冷却部83が説明されたが、他の同時処理装置40でも同様である。他の同時処理装置40でも、処理に関するパラメータを測定する第1センサが設けられる。制御部60は、基板W1,W2に対する同時処理装置40の処理中に第1センサによって測定されたパラメータを、基板W1,W2のグループに対応付けて例えば記憶装置64に記憶する。具体的には、制御部60は、他の同時処理装置40の第1センサによって測定されたパラメータの測定値を示す処理情報Dd1を、基板W1,W2の同時収集データに付加する。また、他の同時処理装置40の目標情報Df1も同時収集データに付加してもよい。図7の例では、他の同時処理装置40に対応した処理情報Dd1および目標情報Df1の存在を、縦方向に並ぶ黒丸で模式的に示している。
【0106】
以上のように、同時処理装置40には、基板Wがグループ単位で搬入される。そして、同時処理装置40は基板Wをグループ単位で一括して処理する。ここでは、同時処理装置40は基板W1,W2を一括して処理する。よって、異なるタイミングで処理される順次処理装置30に比べて、同時処理装置40における基板W1,W2のパラメータ(例えば温度)のばらつきは小さく、互いにほぼ同じである。そこで、制御部60は、同時処理装置40において測定されるパラメータを基板W1,W2のグループに個別に対応付けて記憶している。これにより、当該パラメータを基板W1,W2に個別に対応付ける場合に比して、より少ない記憶容量で同時処理装置40におけるパラメータを収集することができる。
【0107】
<6.基板の欠如>
上述の例では、一グループに2枚の基板W1,W2の両方が含まれる場合を説明した。しかしながら、複数のグループの少なくともいずれかにおいて、基板W1,W2の一方が欠如する場合がある。以下では、具体的な一例として、基板処理装置1に搬入されるカセットの内部において、基板W1,W2の一方が欠如している場合について説明する。
【0108】
図8および図9は、カセット10において複数の基板Wがグループごとに収容される態様を模式的に示す図である。このカセット10はインデクサ部11に搬入される。複数の基板Wはカセット10においてグループごとに互いに異なる収容位置(スロット)に収容される。図8および9において異なるスロットは図において上下に位置する。
【0109】
図8の例では、各スロットには、2枚の基板W1,W2が左右方向に並んで格納されている。インデクサ部11のインデクサロボットは、カセット10の各スロットから基板W1,W2を一括して取り出して、洗浄装置12に搬入する。よって、各スロットがグループに対応する。図8の例では、全てのスロットにおいて基板W1,W2が格納されているので、インデクサロボットはいずれのスロットからも2枚の基板W1,W2を一括して取り出す。この場合、全てのグループが2枚の基板W1,W2によって構成される。
【0110】
一方で、図9の例では、2枚の基板Wが格納されたスロットと、1枚の基板Wのみが格納されたスロットが混在している。具体的には、図9の例では、上から2番目のスロットには、左側のみに基板W1が格納されており、上から5番目のスロットには、右側のみに基板W2が格納されている。これら以外のスロットには、2枚の基板W1,W2が左右方向に並んで格納されている。この場合、インデクサロボットによってカセット10から取り出される基板Wの枚数はスロットによって相違する。
【0111】
インデクサロボットは例えば上から順にカセット10のスロットから基板Wを取り出してもよい。この場合、インデクサロボットは、まず1番上のスロットから基板W1,W2を一括して取り出して洗浄装置12に搬送する。このグループは基板W1,W2によって構成される。次に、インデクサロボットは2番目のスロットから1枚の基板W1を取り出して洗浄装置12に搬送する。このグループは基板W1のみによって構成される。以後、同様にして、インデクサロボットはカセット10の各スロットから基板Wを取り出して洗浄装置12に搬送する。なお、インデクサロボットは、N枚(ここでは2枚)以下の基板Wを搬送する搬送部であるといえる。
【0112】
基板W1,W2の両方を取り出した場合には、その一グループは基板W1,W2によって構成される。基板W1のみを取り出した場合、その一グループは基板W1のみによって構成される。つまり、この一グループでは、基板W2が欠如する。また、基板W2のみを取り出した場合、その一グループは基板W2のみによって構成される。つまり、この一グループでは、基板W1が欠如する。
【0113】
インデクサロボットはカセット10の基板Wをスロットごとに順次に取り出し、その都度、洗浄装置12に搬送するので、洗浄装置12には、基板W1,W2が一括して搬入されたり、基板W1のみが搬入されたり、基板W2のみが搬入されたりする。
【0114】
制御部60は、カセット10内の基板Wの格納態様を了知することができる。例えば、カセット10の各スロットの各位置における基板Wの存否を示す格納情報が制御部60に入力される。制御部60は当該格納情報に基づいて、各グループの基板構成を了知することができる。格納情報は、例えば、操作者による入力部66を用いた入力により、制御部60に入力されてもよく、あるいは、基板処理装置1よりも上流側の装置から制御部60に送信されてもよく、あるいは、カセット10における基板Wの存否を検出するセンサが基板処理装置1に設けられてもよい。
【0115】
制御部60は、格納情報により、各グループの基板構成(各基板W1,W2の有無)を了知できるので、格納情報に基づいて基板処理装置1を制御することにより、グループごとに基板Wの搬送および処理を管理することができる。なお、制御部60は、洗浄装置12の基板導入部31のセンサ314,315の検出結果を用いて、グループの基板構成を了知してもよい。あるいは、インデクサロボットのハンドに基板Wの存否を検出するセンサが設けられる場合には、制御部60は当該センサの検出結果に基づいて、グループの基板構成を了知してもよい。
【0116】
基板W1,W2の両方を含むグループに対する搬送および処理は上述の通りである。つまり、洗浄装置12は基板W1,W2を順次に搬送しつつ基板W1,W2に対して順次に処理を行う。そして、搬送ロボット81は、基板W1,W2の両方が基板導出部33に搬送されたときに、基板W1,W2を一括して脱水ベーク装置13に搬送する。脱水ベーク装置13は基板W1,W2を一括して処理する。具体的には、加熱部82は、搬入された基板W1,W2に対して一括して加熱処理を行う。加熱処理が終了すると、基板W1,W2は搬送ロボット81によって冷却部83に一括して搬送される。冷却部83は、搬入された基板W1,W2に対して冷却処理を行う。冷却処理が終了すると、基板W1,W2は搬送ロボット81によって下流側の装置に搬送される。以後、当該グループでは、基板W1,W2が他の同時処理装置40および他の順次処理装置30に搬送されて、他の同時処理装置40および他の順次処理装置30で処理が行われる。
【0117】
一方、例えば基板W2のみを含むグループでは、インデクサロボットは洗浄装置12の基板導入部31に基板W2のみを搬入する。この基板W2は基板導入部31のローラ313上に載置され、センサ315によって検出される。なお、基板導入部31は2枚の基板W1,W2を一括して搬入可能である一方で、1枚の基板Wも搬入可能である。
【0118】
制御部60はローラ313を同期回転させて、基板W2を処理装置本体32に搬送させる。この基板W2は処理装置本体32において各種の処理を受け、基板導出部33のローラ332まで搬送される。基板W2は基板導出部33のセンサ335によって検出される。このグループでは基板W1が欠如しているので、搬送ロボット81は基板導出部33のセンサ334による基板W1の検出を待つことなく、基板導出部33から基板W2を取り出し、基板W2を脱水ベーク装置13(加熱部82)に搬送する。なお、搬送ロボット81も、N枚(ここでは2枚)以下の基板Wを搬送する搬送部であるといえる。
【0119】
図10は、脱水ベーク装置13の構成の一例を概略的に示す平面図である。図10の例では、加熱部82には基板W2のみが搬入されている。加熱部82は、搬入された基板W2のみに対して加熱処理を行う。加熱処理が終了すると、基板W2は搬送ロボット81によって冷却部83に搬送される。冷却部83は、搬入された基板W2のみに対して冷却処理を行う。冷却処理が終了すると、基板W2は搬送ロボット81によって下流側の装置に搬送される。以後、当該グループでは、基板W2のみが他の同時処理装置40および他の順次処理装置30に搬送されて、他の同時処理装置40および他の順次処理装置30で処理が行われる。基板W1のみを含むグループも同様である。
【0120】
<6-1.パラメータの収集>
次に、1枚の基板Wのみを含むグループについてのパラメータの収集について述べる。以下では、代表的に基板W2のみを含むグループについて説明する。
【0121】
上述のように、基板W2のみが洗浄装置12の基板導入部31に搬入されると、洗浄装置12は、搬入された基板W2を搬送しつつ処理を行う。当該処理中において、第2センサ(流量センサ345,359,364および圧力センサ357,358)がパラメータを測定し、その測定信号を制御部60に出力する。制御部60は、第2センサによって測定されたパラメータを基板W2に対応付けて、順次収集データとして例えば記憶装置64に記憶する。基板W2についての順次収集データは図5と同様である。
【0122】
基板W2が基板導出部33に到着すると、つまり、基板導出部33のセンサ335が基板W2を検出すると、搬送ロボット81はこの1枚の基板W2を基板導出部33から取り出し、加熱部82に搬送する。
【0123】
加熱部82は、搬入された1枚の基板W2のみに対して加熱処理を行う(図10参照)。当該処理中において、温度センサ95が基板W2の温度を測定し、その測定信号を制御部60に出力する。この場合、制御部60は、温度センサ95によって測定された温度を1枚の基板W2に対応付けて、同時収集データとして例えば記憶装置64に記憶する。図11は、基板W2のみを含むグループについての同時収集データの一例を模式的に示す図である。図11の例では、基板有無情報De1は、グループにおいて下流側の基板W2のみが存在していることを示す「下流基板」を示している。図11の例でも、加熱温度の目標情報Df1と、温度センサ95によって測定された温度を示す処理情報Dd1とが隣接して示されている。
【0124】
加熱部82の加熱処理が終了すると、搬送ロボット81は加熱部82から1枚の基板W2を取り出して、冷却部83に搬送する。冷却部83は、搬入された1枚の基板W2に対して冷却処理を行う。当該処理中において、第1センサ(温度センサ96)が基板W2の温度を測定し、その測定信号を制御部60に出力する。この場合、制御部60は、温度センサ96によって測定された温度を1枚の基板W2に対応付けて、同時収集データとして例えば記憶装置64に記憶する。図11の例でも、冷却温度の目標情報Df1と、温度センサ96によって測定された温度を示す処理情報Dd1とが隣接して示されている。
【0125】
上述の例では、基板W2のみがグループを構成する場合について述べたものの、基板W1のみがグループを構成する場合についても同様である。すなわち、順次処理装置30(例えば洗浄装置12)において測定されたパラメータは基板W1に対応付けられて、順次収集データとして例えば記憶装置64に記憶される。基板W1についての順次収集データは図6と同様である。
【0126】
同時処理装置40(例えば脱水ベーク装置13)において測定されたパラメータは1枚の基板W1に対応付けられて、同時収集データとして例えば記憶装置64に記憶される。図12は、基板W1のみを含むグループについての同時収集データの一例を模式的に示す図である。図12の例では、基板有無情報De1は、上流側の基板W1のみが存在していることを示す「上流基板」を示している。図12の例でも、加熱温度の目標情報Df1と、温度センサ95によって測定された温度を示す処理情報Dd1とが隣接して示され、冷却温度の目標情報Df1と、温度センサ96によって測定された温度を示す処理情報Dd1とが隣接して示されている。
【0127】
なお、上述の例では、基板Wの欠如として、カセット10内の各スロットに空きがある場合について説明した。しかるに、基板処理装置1における基板Wの処理中に異常が生じた場合に、その異常が生じた基板Wが基板処理装置1から取り除かれる場合もある。当該異常の種類は特に制限されないものの、当該異常として基板Wの割れを例示できる。基板処理装置1は異常が生じたときに動作を中断してもよい。そして、操作者は、異常が生じた基板Wを手動で基板処理装置1から取り除く。このとき、操作者は、どの基板Wを取り除いたのかを示す情報を入力部66に入力する。これにより、制御部60は、どの基板Wが除去されたのかを了知できる。
【0128】
<6-2.フローチャート>
ここで、図9に示されるカセット10において、1番上のスロットの基板W1,W2と、2番目のスロットの基板W1とに対する基板処理装置1の動作を、同時処理装置40に着目して説明する。まず、1番上のスロットの2枚の基板W1,W2が取り出されて処理され、次に2番目のスロットの1枚の基板W1が取り出されて処理される。図13は、同時処理装置40の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、同時処理装置40として脱水ベーク装置13の加熱部82を例に挙げる。
【0129】
カセット10の一番上のスロットに格納されていた基板W1,W2に対する洗浄装置12の処理が終了すると、搬送ロボット81は洗浄装置12の基板導出部33から2枚の基板W1,W2を取り出して、同時処理装置40の一例たる加熱部82に一括して搬入する(ステップS1)。
【0130】
次に、加熱部82が2枚の基板W1,W2を一括して加熱処理する(ステップS2)。この加熱処理と並行して、温度センサ95が基板W1,W2の温度を測定する(ステップS3)。つまり、温度センサ95は2枚の基板W1,W2に対する加熱部82の処理中に基板W1,W2の温度を測定する。加熱処理が終了すると、搬送ロボット81は加熱部82から2枚の基板W1,W2を一括して取り出し、基板W1,W2を冷却部83に搬送する(ステップS4)。
【0131】
次に、カセット10の2番目のスロットに格納されていた基板W1に対する洗浄装置12の処理が終了すると、搬送ロボット81は洗浄装置12の基板導出部33から1枚の基板W1を取り出して、加熱部82に搬入する(ステップS5)。
【0132】
次に、加熱部82が1枚の基板W1を加熱処理する(ステップS6)。この加熱処理と並行して、温度センサ95が基板W1の温度を測定する(ステップS7)。つまり、温度センサ95は1枚の基板W1に対する加熱部82の処理中に基板W1の温度を測定する。加熱処理が終了すると、搬送ロボット81は加熱部82から1枚の基板W1を取り出し、基板W1を冷却部83に搬送する(ステップS8)。
【0133】
次に、制御部60は、ステップS3で測定された第1パラメータをステップS2で処理された2枚の基板W1,W2に対応付けて記憶し、ステップS7で測定された第1パラメータをステップS6で処理された1枚の基板W1に対応付けて記憶する(ステップS9)。なお、制御部60は、ステップS2の加熱処理に終了に応答して、ステップS3で測定された第1パラメータをステップS2で処理された2枚の基板W1,W2に対応付けて記憶してもよい。
【0134】
<7.作用効果>
以上のように、本実施の形態では、同時処理装置40の第1センサによって測定されたパラメータはグループに対応付けられて、制御部60によって記憶される。
【0135】
さて、同時処理装置40では、上述のように、各基板Wに対する処理のタイミングは実質的に同一である。よって、同一グループに属する基板Wについてのパラメータのばらつきは小さく、ほぼ同一である。このようなパラメータを基板Wに個別に対応付けて記憶すると、収集データのデータ量が大きくなり、記憶装置64における記憶容量を大きく消費する。
【0136】
これに対して、本実施の形態では、同時処理装置40の第1センサによって測定されたパラメータはグループに対応付けられて、制御部60によって記憶される。よって、より小さいデータ量でパラメータを収集することができる。
【0137】
しかも、グループを構成する基板Wの枚数が変動する場合、同時処理装置40の第1センサによって測定されたパラメータは、その基板Wの枚数の変動に応じて収集される。具体的には、2枚の基板Wが同時処理装置40に一括して搬入される場合には、制御部60は、第1センサによって測定されたパラメータを2枚の基板Wに対応付けて記憶し(図7参照)、1枚の基板Wが同時処理装置40に一括して搬入される場合には、制御部60は、第1センサによって測定されたパラメータを1枚の基板Wに対応付けて記憶する(図11および図12参照)。
【0138】
より一般的に説明すると、N枚の基板Wが同時処理装置40に一括して搬入される場合には、制御部60は、N枚の基板Wに対する同時処理装置40の処理中に第1センサによって測定されたパラメータを、当該N枚の基板Wのグループに対応付けて記憶し、M(Mは1以上N未満の整数)枚の基板Wが同時処理装置40に一括して搬入される場合には、制御部60は、M枚の基板Wに対する同時処理装置40の処理中に第1センサによって測定されたパラメータを、当該M枚の基板Wのグループに対応付けて記憶する。
【0139】
これによれば、グループを構成する基板Wの枚数が変動しても、その変動後の基板Wの枚数に応じてパラメータが収集される。よって、基板Wの枚数の変動に応じて、適切にパラメータを収集することができる。
【0140】
また上述の例では、順次処理装置30の第2センサによって測定されたパラメータはグループではなく、基板Wに個別に対応付けられて、制御部60によって記憶される。順次処理装置30においては、各基板Wに対する処理のタイミングは互いに相違するので、順次処理装置30の第2センサによって測定されるパラメータは、たとえ同一グループであっても、基板Wごとにばらつく。特に流体を基板Wに供給する洗浄装置12等の順次処理装置30では、その流体の流量および圧力は時間に応じて変動しやすいので、パラメータのばらつきは比較的に大きくなる。
【0141】
上述の例では、順次処理装置30の第2センサによって測定されたパラメータはグループではなく、基板Wに個別に対応付けられて、制御部60によって記憶される。よって、パラメータの基板W間のばらつきについての情報を消失すること無く、パラメータを適切に収集することができる。
【0142】
<8.処理パラメータの報知>
操作者は収集データ(順次収集データおよび同時収集データ)を確認したいときに、入力部66に収集データの報知の指示を入力する。制御部60は当該入力に応答して、例えば記憶装置64に記憶された順次収集データおよび同時収集データを操作者に報知する。例えば制御部60は順次収集データおよび同時収集データを表示部67に表示させる。これにより、操作者は基板Wについての第1パラメータおよび第2パラメータを確認することができ、基板Wの処理の適否を確認することができる。
【0143】
例えば操作者は、基板W1,W2の両方を含むグループについての同時収集データ(図7参照)と、基板W1,W2の一方のみを含むグループについての同時収集データ(図11および図12参照)とを比較することで、これらの差異を確認することができる。例えば、基板W1,W2の一方のみを含むグループについての温度センサ95の測定温度が、基板W1,W2の両方を含むグループについての温度センサ95の測定温度よりも高くなる場合がある。これは、基板Wの枚数が少ないほど、加熱部82において基板Wの温度が上昇しやすいからである。この場合、測定温度がより加熱温度の目標値に近づくように、基板W1,W2の一方のみを処理するときの加熱温度の目標値をより小さい値に更新してもよい。このような更新は、例えば、基板W1,W2の一方のみが処理されるときの新たな目標値を、操作者が入力部66に入力することにより、制御部60に入力してもよい。
【0144】
また、操作者は各基板Wについての順次収集データどうしを比較することで、これらの差異を確認することができる。操作者は、当該差異が許容値よりも大きい場合には、当該差異を、例えば、洗浄装置12の各配管上のバルブ(不図示)の調整要否の判断に用いたり、配管上のフィルタ(不図示)の交換要否の判断に用いたり、ポンプの駆動方式の変更要否の判断に用いたりすることができる。
【0145】
<9.変形例>
上述の例では、制御部60は、処理中に測定されたパラメータを適宜に基板Wに対応付けて収集している。この収集の対象となるパラメータの測定タイミングは特に制限されない。制御部60は処理中に適切なタイミングで測定されたパラメータを記憶すればよい。各基板Wに対する処理開始から測定タイミングまでの期間の長さは、複数の基板Wの間で共通の長さであってもよく、若干の相違があってもよい。また基板Wの処理中にセンサが繰り返しパラメータを測定する場合には、制御部60はパラメータの時間的な統計値(例えば平均値)を算出し、その統計値を基板Wについてのパラメータとして記憶してもよい。
【0146】
また同じパラメータを測定する複数のセンサ(例えば複数の温度センサ95)が設けられる場合には、制御部60は複数のセンサによって測定された複数のパラメータの少なくともいずれか一つを記憶すればよい。あるいは、制御部60は当該複数のパラメータの統計値(例えば平均値)を記憶してもよい。
【0147】
以上、基板処理装置の実施の形態について説明したが、この実施の形態はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。上述した各種の実施の形態および変形例は適宜に組み合わせて実施することができる。
【0148】
例えば、基板W1,W2の大きさは互いに異なっていてもよい。また、制御部60は複数階層構造を有していてもよい。例えば、制御部60は、主制御部と、複数の末端制御部とを含んでもよい。末端制御部は、例えば、インデクサ部11、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15、露光装置16、現像装置17およびポストベーク装置18の各処理装置に設けられる。主制御部は基板処理装置1に設けられ、複数の末端制御部と通信する。複数の基板処理装置1が設けられる場合には、これらの基板処理装置1を集中的に管理する中央制御部が設けられてもよい。中央制御部は複数の基板処理装置1の主制御部と通信する。各装置におけるセンサの測定信号は末端制御部に伝達されて収集される。その収集データは末端制御部から、より上位の主制御部および中央制御部に伝達されるとよい。これにより、中央制御部において、複数の基板処理装置1の収集データを管理することができる。
【符号の説明】
【0149】
1 基板処理装置
30 順次処理部(順次処理装置)
40 同時処理部(同時処理装置)
60 制御部
81 搬送部(搬送ロボット)
95,96 第1センサ(温度センサ)
345,359,364 第2センサ(流量センサ)
357,358 第2センサ(圧力センサ)
W 基板
図1
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