(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】付着物除去装置、及び付着物除去方法
(51)【国際特許分類】
F28G 7/00 20060101AFI20221013BHJP
F28G 1/16 20060101ALI20221013BHJP
F22B 37/48 20060101ALI20221013BHJP
B08B 9/023 20060101ALI20221013BHJP
F23J 3/00 20060101ALN20221013BHJP
【FI】
F28G7/00 A
F28G1/16 Z
F22B37/48 C
B08B9/023
F23J3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021074240
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2020566005の分割
【原出願日】2020-03-18
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2019087680
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019197857
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
(73)【特許権者】
【識別番号】506065725
【氏名又は名称】ヤンマーeスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】田井 宏
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 輝行
(72)【発明者】
【氏名】坂本 修
(72)【発明者】
【氏名】池田 治
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/028264(WO,A2)
【文献】特開2005-172418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0229068(US,A1)
【文献】特表2016-511688(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106475370(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 7/00 - 9/46
F22B 37/48 - 37/54
F28G 1/16
F28G 7/00
F28G 11/00
F23J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に付着した付着物を圧力波を利用して除去する付着物除去装置であって、
開口部を有する容器と、
前記開口部を塞ぐ封止体と、
排ガス流路を構成する側壁に突設された導管に締着され、前記封止体を固定する固定手段と、
を備え、
前記容器内の圧力を高めることで前記封止体を破壊して前記圧力波を発生させるように構成される付着物除去装置。
【請求項2】
前記固定手段を構成する部材が、前記導管の端部に形成されたフランジ部に締結具によって締着される請求項1に記載の付着物除去装置。
【請求項3】
前記容器における前記開口部が設けられる前端部には、容器側フランジ部が外向きに張り出すように形成され、
前記封止体は、前記容器側フランジ部の前面を覆うことができる大きさの円板状に形成され、その厚みが、前記容器側フランジ部の厚みよりも小さく設定される請求項1又は2に記載の付着物除去装置。
【請求項4】
前記封止体は、金属材料又は樹脂材料から構成されている請求項1~3の何れか一項に記載の付着物除去装置。
【請求項5】
対象物に付着した付着物を圧力波を利用して除去する付着物除去方法であって、
請求項1~4の何れか一項に記載の付着物除去装置を前記導管に取り付ける工程と、
前記容器の内部に可燃性ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給する工程と、
前記可燃性ガス及び前記酸化剤ガスの混合ガスを燃焼させる工程と、
を包含する付着物除去方法。
【請求項6】
複数の前記付着物除去装置を予め準備しておき、圧力波を発生させる毎に順次交換する
請求項5に記載の付着物除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に付着した付着物を圧力波を利用して除去する付着物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電設備が併設された廃棄物焼却施設での発電量向上が重要となっている。廃棄物焼却施設での発電は、焼却炉での廃棄物の燃焼に伴い発生する高温の排ガスからボイラにて熱回収を行い、所定の温度、圧力の蒸気を生成してタービン発電機に導入することにより行われている。
【0003】
ボイラは、放射室と対流伝熱室とを有している。放射室には、放射伝熱管が放射伝熱面として配設され、対流伝熱室には、過熱器が対流伝熱面として配設されている。過熱器は、水平方向に伝熱管(過熱管)が複数配設された伝熱管群が高さ方向に複数段配設されて構成されている。
【0004】
焼却炉からの排ガスには、腐食成分や、重金属類等を含むダストが含まれている。このため、運転経過に伴い、ボイラの放射伝熱面や、対流伝熱面に徐々にダストが付着、堆積し、熱回収性能の低下や、ガス流路の閉塞、伝熱管の腐食といった障害を招き、正常な運転の継続が困難な状態に陥ることがある。
【0005】
そこで、運転中にダストを除去することができるダスト除去装置を設置することにより、正常な運転を継続的に行うことを可能としている。
【0006】
従来のダスト除去装置としては、蒸気式スートブロワ装置(例えば、特許文献1を参照)や、ハンマリング装置(例えば、特許文献2を参照)等が挙げられる。
【0007】
特許文献1に係る蒸気式スートブロワ装置は、水蒸気を噴射するための噴射ノズルを備えたスートブロワ管と、このスートブロワ管をボイラの排ガス通路内へと送り込み、又はボイラの排ガス通路内から引き抜くように駆動する駆動装置とを備えて構成されている。この蒸気式スートブロワ装置において、ボイラの伝熱管に付着したダストの除去を行うときには、駆動装置によりスートブロワ管をボイラの排ガス通路内へと送り込み、スートブロワ管に設けた噴射ノズルからボイラの伝熱管に向けて水蒸気を噴射してダストを除去する。一方、ダストの除去を行わないときには、ボイラの排ガス通路内に送り込んだスートブロワ管を駆動装置により引き抜いてボイラの排ガス通路の外側に出しておくことで、スートブロワ管の焼損、腐食を回避するようにしている。
【0008】
特許文献2に係るハンマリング装置は、複数の伝熱管を水平方向に配列しダストを含む排ガスが垂直方向に流れるボイラの熱交換器に装備されるものであって、各伝熱管を連結する連結棒と、この連結棒を打撃するように熱交換器の上部に配設されるハンマとを備えて構成されている。このハンマリング装置においては、ハンマの衝突力を、連結棒を介して伝熱管に伝えて振動を与え、伝熱管に付着したダストの付着力に対抗する剥離力を伝熱管に生じさせることにより、付着ダストを剥離し落下させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実開昭60-196132号公報
【文献】実開昭59-139799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に係る蒸気式スートブロワ装置は、ダストが付着した伝熱管に対して直接的に蒸気を噴射して付着ダストを除去するものであるため、ダスト除去範囲が限定的であり、付着ダストを広範囲で除去することができない。また、ボイラの排ガス通路の外側にスートブロワ管を長時間待機させておいた後に上述した水蒸気噴射動作を行った場合、スートブロワ管内に溜まった蒸気が冷えてドレンとなっているものを噴射する現象(ドレンアタック)により、局部的に伝熱管を減肉させる虞がある。
【0011】
一方、特許文献2に係るハンマリング装置は、ダストが付着した伝熱管を、連結棒を介してハンマで叩くことで発生する振動によって付着ダストを払い落すようにされていることから、付着ダストを広範囲で除去することができるという利点があるものの、ハンマの衝突力を機械的に伝熱管に伝える構成であるため、伝熱管に変形や割れが生じる虞がある。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、付着物が付着した対象物を損傷することなく、付着物を広範囲で除去することができる付着物除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係る付着物除去装置の特徴構成は、
対象物に付着した付着物を圧力波を利用して除去する付着物除去装置であって、
開口部を有する容器と、
前記開口部を塞ぐ封止体と、
前記封止体を前記開口部へと供給する封止体供給機構と、
を備え、
前記容器内の圧力を高めることで前記封止体を破壊して前記圧力波を発生させるように構成されることにある。
【0014】
本構成の付着物除去装置によれば、容器内の圧力を高めることでその容器の開口部を塞ぐ封止体が破壊されると、圧力の急激な開放の結果、圧力波が発生し、圧力波による風圧、振動により、対象物に付着した付着物が剥離して除去される。従って、付着物が付着した対象物を損傷することなく、付着物を広範囲で除去することができる。また、容器の開口部を塞ぐように封止体を封止体供給機構により供給することで、圧力波を容易に繰り返し発生することができ、付着物を継続的に除去することができる。
【0015】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記開口部に対する前記封止体の押付状態と非押付状態とを切り換える切換機構を備えることが好ましい。
【0016】
本構成の付着物除去装置においては、容器の開口部に対する封止体の押付状態と非押付状態とが切換機構によって切り換えられる。容器の開口部に対する封止体の押付状態では、容器内の圧力を高めることで封止体が破壊されるまでその容器の開口部を封止体で確実に塞ぐことができるので、所望の圧力波を確実に発生させることができる。一方、容器の開口部に対する封止体の非押付状態では、封止体を移動させることができるので、例えば、破壊された封止体を破壊されていない新しい封止体に交換したり、封止体の破壊された部分に代えて破壊されていない部分で容器の開口部を塞ぐように封止体を移動させたりすることができる。
【0017】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記切換機構は、前記封止体を挟持する第一挟持部材、及び第二挟持部材と、推力を発生する流体アクチュエータと、前記流体アクチュエータの推力を、前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材を相対移動させる力に変換するトグルリンクとを備えることが好ましい。
【0018】
本構成の付着物除去装置によれば、流体アクチュエータの推力が、トグルリンクを介して第一挟持部材、及び第二挟持部材を相対移動させる力に変換される。この際、流体アクチュエータの推力がトグルリンクで増幅されて第一挟持部材、及び第二挟持部材に伝達される。従って、流体アクチュエータとして小型のものを採用することができ、コストを抑えることができる。また、容器の開口部に対して封止体を押し付けている状態のときの反力の大部分はトグルリンクが受けることになり、流体アクチュエータに作用する反力を低く抑えることができ、流体アクチュエータの負担を軽減することができる。
【0019】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記切換機構は、前記封止体を挟持する第一挟持部材、及び第二挟持部材と、前記第一挟持部材、及び第二挟持部材を相対移動させる流体アクチュエータとを備えることが好ましい。
【0020】
本構成の付着物除去装置によれば、流体アクチュエータによって直接的に第一挟持部材、及び第二挟持部材が相対移動される構成とされるので、流体アクチュエータの推力を第一挟持部材、及び第二挟持部材に伝達するための推力伝達機構を省略することができ、装置構成の簡素化を図ることができるとともに、機械的摩擦損失を低く抑えることができる。特に、非圧縮性流体の作動油の油圧力で推力を発生する流体アクチュエータの場合、容器の開口部に対する封止体の押付状態を確実に保つことができる。
【0021】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記切換機構は、前記封止体を挟持する第一挟持部材、及び第二挟持部材と、前記第二挟持部材に取り付けられる押付機構とを備え、
前記押付機構は、前記第一挟持部材に対して、前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材の配置方向と直交する方向に相対移動可能であるとともに、前記第二挟持部材に対する前記第一挟持部材の押付状態と非押付状態とを切換可能に構成されることが好ましい。
【0022】
本構成の付着物除去装置によれば、第一挟持部材に対して押付機構が相対移動する動作と、第二挟持部材に対する第一挟持部材の押付状態と非押付状態との切換動作とを連携させることにより、容器の開口部に対する封止体の押付状態と非押付状態とが切り換えられる。押付機構は、第一挟持部材に対して第一挟持部材、及び第二挟持部材の配置方向と直交する方向に相対移動可能な構成とされる。このような構成により、切換機構における第一挟持部材、及び第二挟持部材の配置方向の設置スペースを大幅に短縮することができるので、装置のコンパクト化を図ることができる。従って、第一挟持部材、及び第二挟持部材の配置方向と直交する方向には設置スペースの余裕があるが、第一挟持部材、及び第二挟持部材の配置方向には設置スペースの余裕がないような場所に設置するのに適している。
【0023】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記切換機構は、前記封止体を挟持する第一挟持部材、及び第二挟持部材と、前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材を締結する締結具とを備えることが好ましい。
【0024】
本構成の付着物除去装置によれば、締結具の締付操作により、封止体押付状態とし、締結具の締付解除操作により、封止体非押付状態とすることができ、容器の開口部に対する封止体の押付状態と非押付状態とを極めて簡易な構成で切り換えることができる。
【0025】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記切換機構は、前記封止体を挟持する第一挟持部材、及び第二挟持部材と、前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材を近づけるように相対移動させる流体アクチュエータと、前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材を引き離す方向に前記第一挟持部材、及び前記第二挟持部材の何れか一方を付勢する付勢手段とを備えることが好ましい。
【0026】
本構成の付着物除去装置によれば、流体アクチュエータによって第一挟持部材、及び第二挟持部材を近づけるように相対移動させるとともに、第一挟持部材、及び第二挟持部材を引き離す方向に第一挟持部材、及び第二挟持部材の何れか一方を付勢手段によって付勢する構成とされる。このような構成により、流体アクチュエータの推力によって第一挟持部材、及び第二挟持部材を近づけるように相対移動させる際の流体アクチュエータの推力を伝達する機構を省略することができ、装置構成の簡素化を図ることができるとともに、機械的摩擦損失を低く抑えることができる。特に、非圧縮性流体の作動油の油圧力で推力を発生する流体アクチュエータの場合、容器の開口部に対する封止体の押付状態を確実に保つことができる。また、万一、流体アクチュエータの駆動源が途絶えたとしても、付勢手段によって第一挟持部材、及び第二挟持部材が離れる方向に移動され、自動的に、圧力波が発生されない状態である封止体非押付状態とすることができるので、安全管理上、好ましい形態とすることができる。
【0027】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記封止体供給機構は、前記非押付状態のときに、前記封止体の破壊された部分に代えて、破壊されていない部分で前記開口部を塞ぐように前記封止体を供給することが好ましい。
【0028】
本構成の付着物除去装置によれば、切換機構と封止体供給機構との協働により、すなわち容器の開口部に対する封止体の押付状態と非押付状態との切り換え動作と、容器の開口部に対して封止体が非押付状態にあるときに、容器の開口部へと封止体を供給する動作との組み合わせにより、容器内の圧力を高めることによる封止体の破壊と、封止体の破壊された部分に代えて破壊されていない部分で容器の開口部を塞ぐように封止体を移動させたりする動作とを交互に行うことができるので、圧力波を容易に繰り返し発生することができ、付着物を継続的に除去することができる。
【0029】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記容器内で可燃性物質を燃焼させることで前記容器内の圧力が高められることが好ましい。
【0030】
本構成の付着物除去装置によれば、容器内で可燃性物質を燃焼させることで容器内の圧力が高められるので、容器が低容量であっても大きな圧力波を発生させることができ、コンパクトな構成で所望の圧力波を容易に得ることができる。
【0031】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記可燃性物質に点火する点火プラグが複数設けられ、
複数の前記点火プラグのうち、一の点火プラグの点火による燃焼によって生じる圧力波と、他の点火プラグの点火による燃焼によって生じる圧力波とが交差するように、前記一の点火プラグ、及び前記他の点火プラグがそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0032】
本構成の付着物除去装置によれば、複数の点火プラグのうち、一の点火プラグの点火による燃焼によって生じる圧力波と、他の点火プラグの点火による燃焼によって生じる圧力波とが交差するように構成されているので、圧力波が交差する複数箇所において圧力波が増幅され、圧力波の威力を向上することができる。
【0033】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記容器内に圧縮ガスを供給することで前記容器内の圧力が高められることが好ましい。
【0034】
本構成の付着物除去装置によれば、容器内に圧縮ガスを供給することで容器内の圧力が高められる構成であり、着火源とはならないので、伝熱管に可燃性のダストが付着する場合でも、適用可能である。
【0035】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記封止体は、板状体であることが好ましい。
【0036】
本構成の付着物除去装置によれば、封止体が板状体であるので、封止体の板厚方向における装置長さを短縮することができ、装置のコンパクト化を図ることができる。また、封止体の板厚の調整により、封止体が破壊される際の容器内の圧力の大きさを調整することができる。従って、圧力波の威力を封止体の板厚調整によって容易に調整することができる。
【0037】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記開口部に向かって飛来する飛来物をバージするパージ手段を備えることが好ましい。
【0038】
本構成の付着物除去装置によれば、容器の開口部に向かって飛来する飛来物をパージすることができるので、開口部近傍に飛来物が付着・堆積するのを確実に防止することができる。
【0039】
本発明に係る付着物除去装置において、
前記封止体は、金属板からなることが好ましい。
【0040】
本構成の付着物除去装置によれば、封止体は金属板からなり、金属板はその引張強度が樹脂等の他の材料と比べて格段に高いため、板厚が薄くても容器内の昇圧するガスによって破壊されるまでの限界が高く、所望の圧力波を確実に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係る付着物除去装置がボイラに付設されている状態図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の非押付状態図である。
【
図4】
図4は、本発明の第一実施形態の付着物除去装置に装備される送り機構を示す図で、(a)は
図2のX矢視図、(b)は
図3のY矢視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第一実施形態の付着物除去装置による圧力波発生の説明図で、(a)は封止体破壊前状態図、(b)は封止体破壊後状態図である。
【
図6】
図6は、本発明の第一実施形態の付着物除去装置で発生させた圧力波で付着物を除去する様子を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第二実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。
【
図8】
図8は、本発明の第二実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の非押付状態図である。
【
図9】
図9は、本発明の第二実施形態の付着物除去装置による圧力波発生の説明図で、(a)は封止体破壊前状態図、(b)は封止体破壊後状態図である。
【
図10】
図10は、本発明の第二実施形態の付着物除去装置で発生させた圧力波で付着物を除去する様子を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第三実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第三実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第四実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第四実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図15】
図15(a)は第三実施形態の変形例であり、
図15(b)は第四実施形態の変形例である。
【
図16】
図16は、本発明の第五実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第六実施形態の付着物除去装置の要部を示す平面図である。
【
図18】
図18は、本発明の第七実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第八実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図20】
図20は、本発明の第九実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図21】
図21(a)は、本発明の第十実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図、
図21(b)は
図21(a)のA部拡大図である。
【
図22】
図22は、本発明の第十一実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第十二実施形態に係る付着物除去装置がボイラに付設されている状態図である。
【
図25】
図25は、本発明の第十二実施形態に係る付着物除去装置の作動説明図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。
【
図26】
図26は、本発明の第十二実施形態に係る付着物除去装置の作動説明図で、容器の開口部に対する封止体の非押付状態図である。
【
図29】
図29は、本発明の第十三実施形態に係る付着物除去装置を示し、(a)はボイラに付設されている状態図、(b)は正面図、(c)は要部一部破断図である。
【
図30】
図30は、本発明の第十三実施形態の変形例に係る付着物除去装置の要部一部破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明について、
図1~
図30を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態では、廃棄物焼却施設の焼却炉に並設されたボイラに備え付けられる付着物除去装置を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることは意図しない。
【0043】
〔第一実施形態〕
<概略説明>
図1は、本発明の第一実施形態に係る付着物除去装置がボイラに付設されている状態図である。
図1に示される付着物除去装置10Aは、ボイラ1の排ガス流路2を構成する一側の側壁3の外側に配置されている。ボイラ1の排ガス流路2には、水平方向に配列される複数の伝熱管4をボイラ1の上下方向に複数段設けてなる複数の伝熱管群5,6が配設されており(
図1では2つの伝熱管群のみ図示する。)、上側の伝熱管群5と下側の伝熱管群6との間には所定広さの空間が設けられている。この第一実施形態においては、伝熱管4が、付着物が付着した対象物となる。
【0044】
<全体構成>
図2は、第一実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。
図2に示されるように、付着物除去装置10Aは、主として、容器11、ノズル12、封止体13、切換機構14、及び封止体供給機構15を備えている。
【0045】
<容器>
容器11は、ボイラ1の一側の側壁3から張り出された図示されない支持体上に設置された図示されない架台に支持されている。容器11は、ボイラ1の上下方向に延在する側壁3に側方から対峙する円筒状部21を有している。円筒状部21の一端側(後端側)は、端壁部22によって閉鎖されている。端壁部22には、中心電極23a、及び接地電極23bが容器11の内部に配されるように点火プラグ23が装着されている。円筒状部21の他端側(前端側)は、開放されて開口部24が形成されている。円筒状部21の前端部には、開口部24を包含する容器側フランジ部25が外向きに張り出すように形成されている。
【0046】
<ノズル>
ノズル12は、容器11の円筒状部21と軸線(管軸)を一致させるように容器11の開口部24側から側壁3に向かって延在する円筒状のノズル本体部31を有している。ノズル本体部31の後端側には、容器11の開口部24に対応するように、圧力波入口部34が形成されている。ノズル本体部31の前端側には、圧力波を放出するための圧力波放出口部35が形成されている。ノズル本体部31の後端部には、圧力波入口部34を有するノズル側フランジ部36が容器側フランジ部25と対向するように形成されている。ノズル本体部31の前端側は、側壁3に設けられた側壁開口部7を通して排ガス流路2における上側の伝熱管群5と下側の伝熱管群6との間の空間に臨ませるように配されている。側壁開口部7とノズル本体部31との間には、ノズル本体部31をその軸線方向(管軸方向)に摺動可能に支持するノズル受け部材8が介挿されている。
【0047】
<封止体>
封止体13は、例えば、ステンレス系、鉄系、銅系のばね鋼や、アルミニウム等の金属材料、樹脂材料等を帯状に長く成形した板状体からなるものである。このように、封止体13を帯板状に構成することにより、封止体13の板厚方向における装置長さを短縮することができ、切換機構14、及び後述する送り機構60がコンパクトな構成となり、これによって付着物除去装置10A全体のコンパクト化を図ることができる。なお、封止体13としては、金属材料からなる金属板を採用するのが好ましい。金属板はその引張強度が樹脂等の他の材料と比べて格段に高いため、板厚が薄くても容器11内の昇圧するガスによって破壊されるまでの限界が高く、後述する所望の圧力波を確実に発生させることができる。また、封止体13を保持する容器側フランジ部25やノズル側フランジ部36、容器側フランジ部25に連設される円筒状部21や端壁部22等と比べて、封止体13の厚みは格段に小さいため、容器11の内部の圧力を高めることで簡単に封止体13を破壊して圧力波を発生することができる。従って、容器側フランジ部25やノズル側フランジ部36、円筒状部21、端壁部22等の部材に対する影響を小さくすることができ、付着物除去装置10Aを信頼性の高い装置にすることができる。さらに、後述する封止体供給機構15により、封止体13を常に新規のものに入れ替えられるので、後述する圧力波発生動作を繰り返し確実に実行することができるとともに、シール性能も安定的に保つことができる。
【0048】
<切換機構>
切換機構14は、トグルリンク51と、トグルリンク51を駆動するアクチュエータとしてのエアシリンダ52とを備えている。
【0049】
トグルリンク51は、ノズル側フランジ部36と固定部材53との間に配設されている。ここで、固定部材53は、ノズル側フランジ部36と側壁3との間に配設され、図示されない装置フレームに固定状態で取り付けられている。トグルリンク51は、第一リンク54と第二リンク55とにより構成されている。第一リンク54の後端部は、ノズル側フランジ部36に固着されたブラケットに第一連結ピン56を介して連結されている。第二リンク55の前端部は、固定部材53に固着されたブラケットに第二連結ピン57を介して連結されている。第一リンク54の前端部と第二リンク55の後端部とは、第三連結ピン58によって連結されている。
【0050】
エアシリンダ52は、その本体部に対する圧縮空気の給排を切換制御することにより、ノズル本体部31の軸線(管軸)と直交する方向にシリンダロッドが進退作動してエアシリンダ全体が伸縮するように構成されている。エアシリンダ52のシリンダロッド先端部は、第三リンク59、及び第三連結ピン58を介してトグルリンク51(第一リンク54、及び第二リンク55)に連結されている。ここで、第三リンク59における第三連結ピン58が挿通される挿通孔59aは、ノズル本体部31の管軸方向に長い長孔状に形成されている。このような挿通孔59aを設けることにより、エアシリンダ52の伸縮作動によってトグルリンク51が拡縮する際に、第三連結ピン58がノズル本体部31の管軸方向に移動するのを許容してエアシリンダ52にラジアル方向の力が作用するのを防ぎつつ、エアシリンダ52の伸縮力(推力)を第三リンク59、及び第三連結ピン58を介してトグルリンク51に確実に伝達することができる。なお、エアシリンダ52に代えて、油圧シリンダを用いてもよい。なお、管軸方向とは、特に断りのない限り、容器11の管軸(軸線)が延びる方向のことである(後述する第二実施形態乃至第十三実施形態においても同様)。
【0051】
切換機構14においては、エアシリンダ52の推力が、トグルリンク51により、容器側フランジ部25に対しノズル側フランジ部36を相対移動させる力に変換される。この際、エアシリンダ52の推力がトグルリンク51で増幅されて容器側フランジ部25、及びノズル側フランジ部36に伝達される。従って、エアシリンダ52として小型のものを採用することができ、コストを抑えることができる。また、容器11の開口部24に対して封止体13を押し付けている状態のときの反力の大部分はトグルリンク51が受けることになり、エアシリンダ52に作用する反力を低く抑えることができ、エアシリンダ52の負担を軽減することができる。
【0052】
図2に示される切換機構14において、エアシリンダ52が伸長作動すると、第三連結ピン58がノズル本体部31に近づくように押され、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が広がり、トグルリンク51が拡げられる。このとき、エアシリンダ52の伸長力が第一リンク54及び第二リンク55の方向に分散され、より大きな力の拡開力となって固定部材53とノズル側フランジ部36との間に作用する。これにより、容器側フランジ部25とノズル側フランジ部36との間に位置する封止体13が、ノズル側フランジ部36によって容器側フランジ部25へと押され、容器11の開口部24、及びその開口部24の周辺部に対し封止体13が押し付けられる押付状態とされる(以下、この状態を「封止体押付状態」と称する。)。
【0053】
封止体押付状態では、後述するように容器11の内部の圧力を高めることで封止体13が破壊されるまでその容器11の開口部24を封止体13で確実に塞ぐことができるので、所望の圧力波を確実に発生させることができる。
【0054】
図3は、第一実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の非押付状態図である。
図3に示されるように、切換機構14において、エアシリンダ52が収縮作動すると、第三連結ピン58がノズル本体部31から離れるように引かれ、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が縮まり、トグルリンク51が縮められる。このとき、第一リンク54及び第二リンク55の方向に分散されていた力はエアシリンダ52の収縮力よりも大きいため、より大きな力の縮閉力となって固定部材53とノズル側フランジ部36との間に作用する。これにより、容器側フランジ部25から離れるようにノズル側フランジ部36がノズル本体部31の管軸方向に相対移動され、容器11の開口部24、及びその開口部24の周辺部に対し封止体13が押し付けられていない非押付状態とされる(以下、この状態を「封止体非押付状態」と称する。)。
【0055】
封止体非押付状態では、封止体13を移動させることができるので、
図4(a)及び(b)に示されるように、封止体13の破壊された部分(丸孔67)に代えて破壊されていない部分で容器11の開口部24を塞ぐように封止体13を封止体供給機構15によって供給することができる。
【0056】
<封止体供給機構>
図2に示されるように、封止体供給機構15は、コイル41、繰り出しドラム42、及び送り機構60を備えている。
【0057】
コイル41は、帯板状の封止体13を巻き回してなるものであり、容器11の円筒状部21の上方に配される繰り出しドラム42に装着されている。繰り出しドラム42は、円筒状部21の軸線(管軸)を含む平面上に投影したときに直交する関係にある軸線を有する支持軸43を介して図示されない装置フレームに回転可能に取り付けられている。ここで、コイル41から繰り出される封止体13は、その板面を円筒状部21の管軸方向に向けて開口部24を塞ぎながら下方へと向う送りラインに沿って進むように、図示されない装置フレームに対する繰り出しドラム42の取付位置等が定められている。
【0058】
<送り機構>
図4は、第一実施形態の付着物除去装置に装備される送り機構を示す図で、(a)は
図2のX矢視図、(b)は
図3のY矢視図である。
図4(a)及び(b)に示されるように、送り機構60は、封止体13の両側部に対応して配設される一対のチャック機構61と、一対のチャック機構61を支持する取付ベース板62と、取付ベース板62を介して一対のチャック機構61を昇降する昇降機構63とを備えて構成されている。
【0059】
チャック機構61は、帯板状の封止体13の板厚方向に相対移動自在な一組の爪64を備え(
図2参照)、封止体13の側部(
図4(a)及び(b)における丸孔67の両側の外郭余剰部68)に対し一組の爪64を近づけるように相対移動させることで封止体13の側部を一組の爪64で挟んだり、封止体13の側部に対し一組の爪64を離すように相対移動させることで封止体13の側部を解放したりすることができるようになっている。
【0060】
昇降機構63は、エアシリンダ65と直動案内部材66とを組み合わせてなるものである。エアシリンダ65は、その本体部に対する圧縮空気の給排を切換制御することにより、上下方向にシリンダロッド65aが進退作動してエアシリンダ65全体が伸縮するように構成されている。
【0061】
エアシリンダ65のシリンダロッド65aの先端部は、取付ベース板62の中央部に接合されている。直動案内部材66は、エアシリンダ65の本体部の両側部に上下方向に出没自在に差し込まれる軸状部材からなるものである。直動案内部材66の先端部は、取付ベース板62における中央寄りの部位に接合されている。
【0062】
図3に示されるように、封止体非押付状態にあるときに、一対のチャック機構61における一組の爪64で封止体13の両側部を挟むとともに、昇降機構63におけるエアシリンダ65の収縮作動で取付ベース板62を介して一対のチャック機構61を下降させると、封止体13が容器11の容器側フランジ部25に接触しながら下方へと送られる。その後、一対のチャック機構61における一組の爪64を離すように相対移動させることで封止体13の側部を解放するとともに、昇降機構63におけるエアシリンダ65の伸長作動で取付ベース板62を介して一対のチャック機構61を上昇させることにより、上述した封止体13の下方送り動作が実施可能な状態とすることができる。このように、一対のチャック機構61で封止体13の両側部を挟んで一対のチャック機構61を下降させる動作と、封止体13を解放した状態で一対のチャック機構61を上昇させる動作とを繰り返すことにより、封止体13を下方へと所定の送りピッチで順次送ることができる。
【0063】
付着物除去装置10Aにおいては、切換機構14と送り機構60との協働により、すなわち封止体押付状態と封止体非押付状態との切り換え動作と、封止体非押付状態にあるときに封止体13を下方へと送る送り動作との組み合わせにより、後述するように容器11の内部の圧力を高めることによる封止体13の破壊と、封止体13の破壊された部分(丸孔67)に代えて破壊されていない部分で容器11の開口部24を塞ぐように封止体13を移動させる動作とを交互に行うことができる。これにより、圧力波を容易に繰り返し発生することができて、付着物を継続的に除去することができる。
【0064】
図2に示されるように、容器11の内部には、可燃性ガス供給源71から可燃性ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス供給源72から酸化剤ガスが供給されるようになっている。ここで、可燃性ガスは、本発明の「可燃性物質」に相当し、例えば、メタン、水素等が挙げられる(本例ではメタン)。一方、酸化剤ガスとしては、例えば、酸素、空気等が挙げられる(本例では酸素)。
【0065】
可燃性ガス供給源71から容器11へのガス供給管路途中には、可燃性ガス流量調整弁73が介設されている。一方、酸化剤ガス供給源72から容器11へのガス供給管路途中には、酸化剤ガス流量調整弁74が介設されている。可燃性ガス流量調整弁73、及び酸化剤ガス流量調整弁74には、それぞれ第一制御器75、及び第二制御器76が付設されている。第一制御器75、及び第二制御器76は、容器11の内部の圧力を計測する圧力計77の計測信号に基づいて、可燃性ガスと酸化剤ガスとが所定の圧力下で所定の混合比となるように、可燃性ガス流量調整弁73、及び酸化剤ガス流量調整弁74のそれぞれの弁開度を制御する。これにより、所定の圧力下において容器11の内部で可燃性ガスと酸化剤ガスとが所定の混合比で混合される。
【0066】
<圧力波発生の説明>
上述したように構成される付着物除去装置10Aおいて圧力波を発生させる際には、
図2に示されるように、容器11の開口部24を封止体13で塞ぐとともに、封止体押付状態とし、且つ、所定の圧力下の容器11の内部において可燃性ガスと酸化剤ガスとが所定の混合比で混合されている状態で行われる。
【0067】
図5は、第一実施形態の付着物除去装置による圧力波発生の説明図で、(a)は封止体破壊前状態図、(b)は封止体破壊後状態図である。
図5(a)に示されるように、容器11の内部の可燃性ガスと酸化剤ガスとの混合ガスが点火プラグ23によって着火されると、容器11の内部で火炎が急速に伝播するような燃焼・爆発が起こる。容器11の内部の気体は、燃焼によって引き起こされる温度上昇によって一気に膨張しようとする。閉鎖空間である容器11の内部の圧力は、急激に高まり、圧力に耐えきれなくなった封止体13が、
図5(b)に示されるように、粉々に破壊される。封止体13が破壊されると、容器11の開口部24から一気に高圧の気体が噴出することによって圧力が急激に開放される。圧力の急激な開放の結果、圧力波が発生する。発生した圧力波は、ノズル12における圧力波入口部34から圧力波放出口部35へと向かって進む。
【0068】
図6は、第一実施形態の付着物除去装置で発生させた圧力波で付着物を除去する様子を示す図である。
図6に示されるように、ノズル12の圧力波放出口部35から圧力波がボイラ1の排ガス流路2内に放出され、圧力波による風圧、振動により、伝熱管4に付着したダストが剥離して除去される。こうして、ダストが付着した伝熱管4を損傷することなく、伝熱管4に付着したダストを広範囲で除去することができる。なお、粉々に破壊された封止体13の破片13a(
図5(b)参照)は、ボイラ1内に放出され、ボイラ1の下流側に設置される図示されない金属類回収手段によって回収される。
【0069】
ところで、伝熱管4に付着するダストの付着具合は、ボイラ1が設置される施設毎に異なることが多い。そこで、付着物除去装置10Aにおいては、複数のパラメータを変えることにより、すなわち、封止体13の厚みを変えたり、可燃性ガス及び酸化剤ガスの容器11への充填圧力を変えたり、可燃性ガスと酸化剤ガスとの混合比を変えたり、容器11の容積を変えたりすることにより、ダストの付着具合に応じて、圧力波を適切な威力に調整することができる。こうして、ダストの付着具合が異なる複数の施設に幅広く適用することができるようになり、汎用性を高めることができる。
【0070】
付着物除去装置10Aにおいて、封止体13の厚みが小さすぎると、可燃性ガス及び酸化剤ガスの混合ガスの燃焼・爆発があまり進んでいない状態で封止体13が破壊されてしまい、圧力波の威力を十分に高めることができない。そこで、混合ガスの燃焼・爆発が十分に進んだときに封止体13が破壊されるように、封止体13の厚みを設定すれば、圧力波の威力を十分に高めることができる。
【0071】
付着物除去装置10Aにおいて、可燃性ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ複数回に分けて容器11に充填するのが好ましい。また、可燃性ガスと酸化剤ガスとを交互に容器11に充填するのが好ましい。これにより、容器11内において可燃性ガスと酸化剤ガスとをより均一に混合することができる。従って、可燃性ガスと酸化剤ガスとの混合ガスへの着火を確実に行うことができるとともに、良好な燃焼を実現することができ、より効果的に圧力波を発生させることができる。
【0072】
〔第二実施形態〕
図7は、第二実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。また、
図8は、第二実施形態の付着物除去装置の構造を示す縦断面図で、容器の開口部に対する封止体の非押付状態図である。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付すに留めてその詳細な説明を省略することとし、以下においては第二実施形態に特有の部分を中心に説明することとする(後述する第三実施形態及び第四実施形態についても同様)。
【0073】
第一実施形態の付着物除去装置10Aにおいては、容器11の内部に可燃性ガスと酸化剤ガスとが供給され、これらの混合ガスが容器11の内部で急激に燃焼することによって容器11の内部の圧力を高めるようにしたが、第二実施形態の付着物除去装置10Bにおいては、容器11の内部に圧縮ガス(本例では圧縮空気)を供給することで容器11の内部の圧力を高めるようにされている。
【0074】
すなわち、
図7に示されるように、容器11の内部には、圧縮空気供給源81から圧縮空気が供給される。圧縮空気供給源81から容器11への圧縮空気供給管路途中には、圧縮空気流量調整弁82が介設されている。圧縮空気流量調整弁82には、制御器83が付設されている。制御器83は、圧力計77の計測信号に基づいて、容器11の内部の圧力が所定圧力を超えるように、圧縮空気流量調整弁82の弁開度を制御する。
【0075】
<圧力波発生の説明>
図9は、第二実施形態の付着物除去装置による圧力波発生の説明図で、(a)は封止体破壊前状態図、(b)は封止体破壊後状態図である。
図9(a)に示されるように、容器11への圧縮空気の供給に伴って容器11の内部の圧力が上昇すると、封止体13における容器11の開口部24を塞いでいる部分がノズル12の圧力波放出口部35の側へ膨出するように変形する。さらに、容器11の内部の圧力が上昇して所定圧力を超えると、
図9(b)に示されるように、封止体13における開口部24の周縁に対応する部分が破断して封止体13が破壊される。封止体13が破壊されると、容器11の開口部24から一気に高圧の気体が噴出することによって圧力が急激に開放される。圧力の急激な開放の結果、圧力波が発生する。発生した圧力波は、ノズル12における圧力波入口部34から圧力波放出口部35へと向かって進む。
【0076】
図10は、第二実施形態の付着物除去装置で発生させた圧力波で付着物を除去する様子を示す図である。
図10に示されるように、ノズル12の圧力波放出口部35から圧力波がボイラ1の排ガス流路2内に放出され、圧力波による風圧、振動により、伝熱管4に付着したダストが剥離して除去される。こうして、ダストが付着した伝熱管4を損傷することなく、伝熱管4に付着したダストを広範囲で除去することができる。なお、破断した封止体13の破片13a(
図9(b)参照)は、ボイラ1内に放出され、ボイラ1の下流側に設置される図示されない金属類回収手段によって回収される。
【0077】
第二実施形態の付着物除去装置10Bによれば、容器内に圧縮ガスを供給することで容器内の圧力が高められる構成であり、着火源とはならないので、伝熱管4に可燃性のダストが付着する場合でも、適用可能である。
【0078】
〔第三実施形態〕
図11は、第三実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。また、
図12は、第三実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第三実施形態の付着物除去装置10Cについて、主に、
図11及び
図12を用いて以下に説明する。
【0079】
<全体構成>
付着物除去装置10Cは、主として、容器111、ノズル112、封止体13、切換機構114、及び封止体供給機構115を備えている。
【0080】
<容器>
容器111は、側壁3(
図1参照)に向かう方向を「前方」とした場合、側壁3から離れる方向、すなわち後方(
図11及び
図12の左側から右側に向う方向)に向かって順に配される小径円筒状部111a、円錐台筒状部111b、及び大径円筒状部111cを有している。小径円筒状部111a、円錐台筒状部111b、及び大径円筒状部111cは、互いの管軸を一致させた状態で一体的に連設されている。容器111は、小径円筒状部111aが後述するケーシング140の後側板142を貫通した状態で、例えば、側壁3から張り出される支持体(図示省略)上に設置された架台(図示省略)に支持されている。架台には、例えば、ガイドローラ等を含む案内・支持手段が装備され、この案内・支持手段により、容器111が管軸方向にスムーズに移動可能とされている。
【0081】
大径円筒状部111cの一端側(後端側)は、端壁部122によって閉鎖されている。端壁部122には、点火プラグ23が装着されている。小径円筒状部111aの他端側(前端側)は、開放されて開口部124が形成されている。小径円筒状部111aの先端部には、開口部124を包含する容器側フランジ部125が外向きに張り出すように形成されている。容器側フランジ部125の前面(他側板面)には、開口部124を円環状に取り囲むように形成されるOリング溝にOリング126が装着されている。
【0082】
<ノズル>
ノズル112は、容器111と管軸を一致させるように容器111の開口部124側から側壁3に向かって延在する円筒状のノズル本体部131を有している。ノズル本体部131の後端側には、容器111の開口部124に対応するように、圧力波入口部134が形成されている。ノズル本体部131の前端側には、圧力波を放出するための圧力波放出口部135が形成されている。ノズル本体部131の後端部には、圧力波入口部134を包含するノズル側フランジ部136が外向きに張り出すように形成されている。ノズル本体部131の先端側は、側壁3に設けられた側壁開口部7(
図1参照)を通して排ガス流路2における上側の伝熱管群5と下側の伝熱管群6との間の空間に臨ませるように配されている。
【0083】
ノズル112は、圧力波入口部134が、後述する前側板(他側面板)141に設けられた開口部141aを通して容器111の開口部124に対応するように、容器111と管軸を一致させた状態でノズル側フランジ部136が前側板141の前面(他側板面)に当接されている。そして、ノズル112は、ノズル側フランジ部136を貫通して前側板141に螺合する所要のボルト137によって前側板141に締着されている。
【0084】
<切換機構>
図12に示されるように、切換機構114は、ケーシング140と、トグルリンク51と、エアシリンダ52とを備えている。
【0085】
[ケーシング]
ケーシング140は、容器111の管軸方向に所定間隔を存して前後に対向配置される前側板141及び後側板142と、前側板141、及び後側板142の上端同士を連結する上側板(上側面板)143と、前側板141、及び後側板142の下端同士を連結する下側板(下側面板)144とにより構成されている。なお、
図11に示されるように、前側板141と後側板142とは、連結棒145によっても連結されている。
【0086】
ケーシング140には、容器111の小径円筒状部111aが後側板142を貫通した状態で管軸方向に移動可能に差し込まれている。ケーシング140の前側板141は、容器側フランジ部125と対向するように配設されている。前側板141には、容器111の開口部124に対応するように開口部141aが設けられている。
【0087】
ケーシング140の上側板143には、容器111の管軸方向に板面を向けた状態の封止体13が挿通可能なスリット146が設けられている。スリット146は、封止体13が無いと仮定した場合に、前側板141と容器側フランジ部125とが面接触する位置に対応するように上側板143に設けられている。ケーシング140の下側板144にも、上側板143に設けられたスリット146と同様のスリット147が、封止体13が無いと仮定した場合に、前側板141と容器側フランジ部125とが面接触する位置に対応するように下側板144に設けられている。こうして、コイル41から繰り出される封止体13が、上側板143のスリット146を通り、小径円筒状部111aの管軸方向に板面を向けた状態で、前側板141と容器側フランジ部125との間の領域を通り、下側板144のスリット147を通ることができるようになっている。
【0088】
容器側フランジ部125と後側板142との間には、容器111の小径円筒状部111aの両側に位置するようにリニアガイド150(
図11参照)が配設されている。容器111は、リニアガイド150の案内によって管軸方向にスムーズ、且つ正確に移動することができる。
【0089】
[トグルリンク]
図12に示されるように、トグルリンク51は、容器側フランジ部125と後側板142との間において、側面視で小径円筒状部111aを上下方向から挟むように、上下方向に一対配設されている。トグルリンク51は、第一リンク54と第二リンク55とにより構成されている。第一リンク54の後端部は、後側板142に固着されたブラケットに第一連結ピン56を介して連結されている。第二リンク55の前端部は、容器側フランジ部125に固着されたブラケットに第二連結ピン57を介して連結されている。第一リンク54の前端部と第二リンク55の後端部とは、第三連結ピン58によって連結されている。
【0090】
エアシリンダ52は、ケーシング140の上側板143と下側板144との間において、上下方向に配設される一対のトグルリンク51を側面視で上下方向から挟むように、上下方向に一対配設されている。上側に配されるエアシリンダ52は、そのボトム側が上側板143に固定され、下側に配されるエアシリンダ52は、そのボトム側が下側板144に固定されている。エアシリンダ52のシリンダロッド先端部は、第三リンク59、及び第三連結ピン58を介してトグルリンク51(第一リンク54、及び第二リンク55)に連結されている。
【0091】
切換機構114において、エアシリンダ52が伸長作動すると、第三連結ピン58が小径円筒状部111aに近づくように押され、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が広がり、トグルリンク51が拡げられる。これにより、容器側フランジ部125が前側板141に向かって近づくように容器111の全体が移動され、前側板141と容器側フランジ部125との間に位置する封止体13が、容器側フランジ部125と前側板141とによって挟持され、容器111の開口部124、及びその開口部124の周辺の容器側フランジ部125に封止体13が押し付けられる封止体押付状態とされる。この封止体押付状態においては、Oリング126のシール効果により、容器側フランジ部125と封止体13とが気密状態に保たれる。
【0092】
封止体押付状態では、後述するように容器111の内部の圧力を高めることで封止体13が破壊されるまでその容器111の開口部124を封止体13によって気密状態で確実に塞ぐことができるので、所望の圧力波を確実に発生させることができる。
【0093】
切換機構114において、エアシリンダ52が収縮作動すると、第三連結ピン58が小径円筒状部111aから離れるように引かれ、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が縮まり、トグルリンク51が縮められる。これにより、前側板141から容器側フランジ部125が離れるように容器111の全体が移動され、容器111の開口部124、及びその開口部124の周辺の容器側フランジ部125に対し封止体13が押し付けられていない封止体非押付状態とされる。
【0094】
封止体非押付状態では、封止体13を移動させることができるので、封止体13の破壊された部分(丸孔67:
図4(a)及び(b)参照)に代えて破壊されていない部分で容器111の開口部124を塞ぐように封止体13を封止体供給機構115によって供給することができる。
【0095】
<封止体供給機構>
図11に示されるように、封止体供給機構115は、前記封止体供給機構15に、封止体13を回収する回収機構155が付設されてなるものである。回収機構155は、送り機構60によって送られる封止体13を巻き取るための巻取りドラム44と、巻取りドラム44を回転駆動する巻取りモータ45と、繰り出しドラム42から繰り出されて巻取りドラム44で巻き取られる封止体13を案内するために配設される所要のガイドローラ156とを備えている。回収機構155においては、送り機構60の送り動作に連動して巻取りモータ45が作動するようになっている。これにより、送り機構60によって送られる封止体13が巻取りドラム44に巻き取られて回収される。
【0096】
以上に述べたように構成される第三実施形態の付着物除去装置10Cによっても、第一実施形態の付着物除去装置10Aと同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。第一実施形態の付着物除去装置10Aと第三実施形態の付着物除去装置10Cとは、ボイラ1やその周辺の構造等の都合に合わせて使い分ければよい。すなわち、第一実施形態の付着物除去装置10Aでは、切換機構14の切り換え動作の際に、容器11側が停止状態で、ノズル12側が管軸方向に移動する。これに対し、第三実施形態の付着物除去装置10Cでは、切換機構114の切り換え動作の際に、容器111側が管軸方向に移動し、ノズル112側が停止状態である。従って、容器側が停止状態で、ノズル側が管軸方向に移動するのがボイラ1やその周辺の構造等の都合上好ましい場合には、第一実施形態の付着物除去装置10Aを適用し、容器側が管軸方向に移動し、ノズル側が停止状態であるのがボイラ1やその周辺の構造等の都合上好ましい場合には第三実施形態の付着物除去装置10Cを適用するようにすればよい。
【0097】
なお、第三実施形態の付着物除去装置10Cにおいては、可燃性ガスと酸化剤ガスとの混合ガスの燃焼・爆発によって容器111の内部の圧力を高めるようにしたが、第二実施形態の付着物除去装置10Bと同様に、容器111の内部に圧縮ガスを供給することで容器111の内部の圧力を高めるようにする態様もある。
【0098】
〔第四実施形態〕
図13は、第四実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。また、
図14は、第四実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第四実施形態の付着物除去装置10Dについて、主に、
図13及び
図14を用いて以下に説明する。
【0099】
<全体構成>
付着物除去装置10Dは、主として、容器211、ノズル212、封止体13、切換機構214、及び封止体供給機構215を備えている。
【0100】
<容器>
容器211は、側壁3(
図1参照)に向かう方向を「前方」とした場合、側壁3から離れる方向、すなわち後方(
図13及び
図14の左側から右側に向う方向)に向かって順に配される小径円筒状部211a、円錐台筒状部211b、及び大径円筒状部211cを有している。小径円筒状部211a、円錐台筒状部211b、及び大径円筒状部211cは、互いの管軸を一致させた状態で配設されている。
【0101】
容器211において、大径円筒状部211cの一端側(後端側)は、端壁部222によって閉鎖されている。端壁部222には、点火プラグ23が装着されている。円錐台筒状部211bと大径円筒状部211cとは一体的に連設されている。円錐台筒状部211bの他端部(前端部)には、円錐台筒状部211bの他端側(前端側)の開口部216を包含するようにフランジ部217が外向きに張り出すように一体的に形成されている。後述するケーシング240における後側板(一側面板)242には、円錐台筒状部211bの前端側の開口部216と対応するように開口部242aが形成されている。円錐台筒状部211bと大径円筒状部211cとが一体化された部分は、円錐台筒状部211bの前端側の開口部216が、後述する後側板242に設けられた開口部242aに対応するように配されている。そして、円錐台筒状部211bと大径円筒状部211cとが一体化された部分は、円錐台筒状部211bの前端部に設けられたフランジ部217が後側板242の後面に当接された状態でそのフランジ部217を貫通して後側板242に螺合するボルト218の締め付けによって後側板242に締着されている。
【0102】
容器111における小径円筒状部211aの後端部は、当該小径円筒状部211aの後端側の開口部219が、円錐台筒状部211bの前端側の開口部216と対応するように後述する後側板242の開口部242aに嵌合・固着されている。小径円筒状部211aの前端部には、当該小径円筒状部211aの前端側の開口部224を包含する容器側フランジ部225が、小径円筒状部211aの管軸方向に移動可能に外嵌されている。容器側フランジ部225の前側には、小径円筒状部211aの前端側の開口部224と対応するように開口部225aが形成されている。容器側フランジ部225の前面には、開口部225aを円環状に取り囲むように形成されたOリング溝にOリング226が装着されている。
【0103】
<ノズル>
ノズル212は、容器211と管軸を一致させるように容器211の開口部224側から側壁3に向かって延在する円筒状のノズル本体部231を有している。ノズル本体部231の後端側には、容器211の開口部224(225a)に対応するように、圧力波入口部234が形成されている。ノズル本体部231の前端側には、圧力波を放出するための圧力波放出口部235が形成されている。ノズル本体部231の後端部には、圧力波入口部234を包含するノズル側フランジ部236が外向きに張り出すように形成されている。ノズル本体部231の前端側は、側壁3に設けられた側壁開口部7(
図1参照)を通して排ガス流路2における上側の伝熱管群5と下側の伝熱管群6との間の空間に臨ませるように配されている。
【0104】
ノズル212は、圧力波入口部234が、後述する前側板241に設けられた開口部241aを通して容器側フランジ部225の開口部225aに対応するように、容器211の小径円筒状部211aと管軸を一致させた状態でノズル側フランジ部236が前側板241の前面に当接されている。そして、ノズル212は、ノズル側フランジ部236を貫通して前側板241に螺合する所要のボルト237の締め付けによって前側板241に締着されている。
【0105】
<切換機構>
切換機構214は、ケーシング240と、ベローズ継手250と、トグルリンク51と、エアシリンダ52とを備えている。
【0106】
[ケーシング]
ケーシング240は、容器211の管軸方向に所定間隔を存して前後に対向配置される前側板241、及び後側板242と、前側板241、及び後側板242の左右両側部同士を連結する一対の連結板243(
図13及び
図14では右側の連結板243のみ示す。)と、一対の連結板243における前側板241、及び後側板242よりも上方に突出された部分の上端同士を連結する上側板(上側面板)244と、一対の連結板243における前側板241、及び後側板242よりも下方に突出された部分の下端同士を連結する下側板(下側面板)245とにより構成されている。
【0107】
ケーシング240の前側板241は、容器側フランジ部225と対向するように配設されている。ケーシング240の前側板241には、小径円筒状部211aの前端側の開口部224に対応するように開口部241aが設けられている。
【0108】
ケーシング240の前側板241と容器側フランジ部225との間には、後述する封止体非押付状態のときに、コイル41から繰り出される封止体13が小径円筒状部211aの管軸方向に板面を向けた状態で上側から下側に向かって移動可能に配されている。前側板241の上端、及び下端には、それぞれガイドローラ246が付設されている。ガイドローラ246は、後述する封止体非押付状態のときに、前側板241と容器側フランジ部225との間を封止体13が上側から下側に向かって移動する際に、封止体13が前側板241に干渉しないように案内する役目をする。
【0109】
[ベローズ継手]
ベローズ継手250は、小径円筒状部211aを内包し、且つ小径円筒状部211aと同軸を成すように、容器側フランジ部225と後側板242との間に配設されている。ベローズ継手250は、小径円筒状部211aの管軸方向に伸縮可能に構成されており、容器側フランジ部225と後側板242とを、小径円筒状部211aの管軸方向に相対移動可能に接続している。ベローズ継手250は、それ自体が気密構造であるとともに、ベローズ継手250の後端側と後側板242との間、ベローズ継手250の前端側と容器側フランジ部225との間に、それぞれ図示されないガスケットが介在されている。こうして、ベローズ継手250は、容器側フランジ部225と後側板242とを気密状態に接続している。
【0110】
[トグルリンク]
トグルリンク51は、容器側フランジ部225と後側板242との間において、側面視でベローズ継手250を上下方向から挟むように、上下方向に一対配設されている。トグルリンク51は、第一リンク54と第二リンク55とにより構成されている。第一リンク54の後端部は、後側板242に固着されたブラケットに第一連結ピン56を介して連結されている。第二リンク55の前端部は、容器側フランジ部225に固着されたブラケットに第二連結ピン57を介して連結されている。第一リンク54の前端部と第二リンク55の後端部とは、第三連結ピン58によって連結されている。
【0111】
エアシリンダ52は、ケーシング240の上側板244と下側板245との間において、上下方向に配設される一対のトグルリンク51を側面視で上下方向から挟むように、上下方向に一対配設されている。上側に配されるエアシリンダ52は、そのボトム側が上側板244に固定され、下側に配されるエアシリンダ52は、そのボトム側が下側板245に固定されている。エアシリンダ52のシリンダロッド先端部は、第三リンク59、及び第三連結ピン58を介してトグルリンク51(第一リンク54、及び第二リンク55)に連結されている。
【0112】
切換機構214において、エアシリンダ52が伸長作動すると、第三連結ピン58が小径円筒状部211aに近づくように押され、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が広がり、トグルリンク51が拡げられる。これにより、前側板241に向かって近づくように容器側フランジ部225が移動され、前側板241と容器側フランジ部225との間に位置する封止体13が、容器側フランジ部225と前側板241とによって挟持され、容器211の開口部225a、及びその開口部225aの周辺の容器側フランジ部225に封止体13が押し付けられる封止体押付状態とされる。この封止体押付状態においては、Oリング226のシール効果により、容器側フランジ部225と封止体13とが気密状態に保たれる。
【0113】
封止体押付状態では、後述するように容器211の内部の圧力を高めることで封止体13が破壊されるまでその容器211の開口部225aを封止体13によって気密状態で確実に塞ぐことができるので、所望の圧力波を確実に発生させることができる。
【0114】
切換機構214において、エアシリンダ52が収縮作動すると、第三連結ピン58が小径円筒状部211aから離れるように引かれ、これに伴い第一連結ピン56と第二連結ピン57との相対距離が縮まり、トグルリンク51が縮められる。これにより、容器側フランジ部225が前側板241から離れるように移動され、容器211の開口部225a、及びその開口部225aの周辺の容器側フランジ部225に対し封止体13が押し付けられていない封止体非押付状態とされる。
【0115】
封止体非押付状態では、封止体13を移動させることができるので、封止体13の破壊された部分(丸孔67:
図4(a)及び(b)参照)に代えて破壊されていない部分で容器211の開口部225aを塞ぐように封止体13を封止体供給機構215によって供給することができる。
【0116】
<封止体供給機構>
封止体供給機構215は、コイル41、繰り出しドラム42、巻取りドラム44、及び巻取りモータ45、送り量検出手段46を備えている。
【0117】
送り量検出手段46としては、例えば、照射したレーザ光線の反射光により封止体13の破壊された部分(丸孔67:
図4(a)及び(b)参照)と破壊されていない部分とを検出できるレーザセンサ等が挙げられる。封止体供給機構215に付設された図示されない制御装置は、送り量検出手段46の検知結果に基づいて、封止体13の送り量を演算し、算出された送り量に基づいて、巻取りモータ45の回転を制御する。
【0118】
封止体供給機構215は、封止体非押付状態のときに、送り量検出手段46の検出結果に基づいて、制御装置が巻取りモータ45の回転を制御することにより、封止体13の破壊された部分(丸孔67)に代えて破壊されていない部分で容器側フランジ部225の開口部225aを塞ぐように封止体13を供給することができる。
【0119】
以上に述べたように構成される第四実施形態の付着物除去装置10Dによっても、第一実施形態の付着物除去装置10Aと同様の作用効果を得ることができるのは言うまでもない。第四実施形態の付着物除去装置10Dでは、切換機構214の切り換え動作の際に、容器側及びノズル側の何れもが停止状態とされる。従って、第四実施形態の付着物除去装置10Dは、第一実施形態の付着物除去装置10A、及び第三実施形態の付着物除去装置10Cと比べて、ボイラ1やその周辺構造等の都合上の適用の制限を受けにくく、適用範囲が広いという利点がある。また、第四実施形態の付着物除去装置10Dでは、封止体供給機構215の採用により、第三実施形態の付着物除去装置10Cでは必要とされる送り機構60が不要になるので、コンパクト化を図ることができる。
【0120】
なお、第四実施形態の付着物除去装置10Dにおいては、可燃性ガスと酸化剤ガスとの混合ガスの燃焼・爆発によって容器211の内部の圧力を高めるようにしたが、第二実施形態の付着物除去装置10Bと同様に、容器211の内部に圧縮ガスを供給することで容器211の内部の圧力を高めるようにする態様もある。
【0121】
(第三、第四実施形態の変形例)
図15(a)は第三実施形態の変形例、
図15(b)は第四実施形態の変形例である。上記の第三、及び第四実施形態では、トグルリンク51と、エアシリンダ52とを備える切換機構114,214を用いた例を示したが、これに限定されるものではない。
図15(a)及び(b)に示されるように、切換機構114’,214’において、ケーシング140,240における後側板142,242と容器側フランジ部125,225との間に、流体アクチュエータ260(例えば、油圧シリンダ、エアシリンダ等)を配設する態様もある。
図15(a)に示される第三実施形態の変形例では、流体アクチュエータ260の伸長作動により、容器側フランジ部125が前側板141に向かって近づくように容器111の全体が移動されるとともに、流体アクチュエータ260の収縮作動により、前側板141から容器側フランジ部125が離れるように容器111の全体が移動される。こうして、前側板141に対して容器側フランジ部125を相対移動させることにより、封止体押付状態と封止体非押付状態とを切り換えることができる。一方、
図15(b)に示される第四実施形態の変形例では、流体アクチュエータ260の伸長作動により、前側板241に向かって近づくように容器側フランジ部225が移動されるとともに、流体アクチュエータ260の収縮作動により、容器側フランジ部225が前側板241から離れるように移動される。こうして、前側板241に対して容器側フランジ部225を相対移動させることにより、封止体押付状態と封止体非押付状態とを切り換えることができる。なお、流体アクチュエータに代えて、電動アクチュエータ(例えば、電動シリンダ等)を用いてもよい。
【0122】
上記の変形例によれば、流体アクチュエータ260によって直接的に前側板141,241に対し容器側フランジ部125,225が相対移動される構成とされるので、流体アクチュエータ260の推力を容器側フランジ部125,225、及び前側板141,241に伝達するための推力伝達機構(例えば、トグルリンク51等)を省略することができ、装置構成の簡素化を図ることができるとともに、機械的摩擦損失を低く抑えることができる。特に、非圧縮性流体の作動油の油圧力で推力を発生する流体アクチュエータの場合、封止体押付状態を確実に保つことができる。
【0123】
〔第五実施形態〕
図16は、第五実施形態の付着物除去装置の要部を示す側面図である。第五実施形態の付着物除去装置10Eは、第三実施形態の付着物除去装置10Cにおける切換機構114に代えて、
図16に示されるような切換機構314が採用された例である。それ以外については、第三実施形態と同様である。従って、
図16においては、切換機構314以外の構成については図示省略している。
【0124】
図16に示されるように、切換機構314は、主として、容器111の容器側フランジ部125、前側板141、反力受け部材315、エアシリンダ316、及び油圧ジャッキ317を備えている。
【0125】
容器111は、図示されないガイド部材によって管軸方向に移動可能とされている。前側板141は、封止体13(図示省略)を挟持可能に容器111の容器側フランジ部125と対向配置されている。反力受け部材315は、容器111を内包する骨組構造体からなり、前側板141に固定されている。エアシリンダ316は、反力受け部材315に取り付けられている。エアシリンダ316と容器111とは、アーム部材318によって接続されている。油圧ジャッキ317は、容器111の端壁部122と反力受け部材315との間に介設されている。
【0126】
上記の切換機構314においては、エアシリンダ316の伸長作動により、前側板141から容器側フランジ部125が離れるように、容器111が前側板141に対して相対移動される。これにより、封止体非押付状態とされる。油圧ジャッキ317の伸長作動により、容器側フランジ部125が前側板141へと近づくように、容器111が前側板141に対して相対移動される。これにより、封止体押付状態とされる。こうして、エアシリンダ316と油圧ジャッキ317との協働により、封止体押付状態と封止体非押付状態とが切り換えられる。なお、エアシリンダ316や油圧ジャッキ317等の流体アクチュエータに代えて、電動アクチュエータ(例えば、電動シリンダ等)を用いてもよい。
【0127】
〔第六実施形態〕
図17は、第六実施形態の付着物除去装置の要部を示す平面図である。第六実施形態の付着物除去装置10Fは、第三実施形態の付着物除去装置10Cにおける切換機構114に代えて、
図17に示されるような切換機構414が採用された例である。それ以外については、第三実施形態と同様である。従って、
図17においては、切換機構414以外の構成については図示省略している。
【0128】
図17に示されるように、切換機構414は、主として、容器111の容器側フランジ部125、前側板141、反力受け部材415、エアシリンダ416、押付機構417を備えている。
【0129】
容器111は、図示されないガイド部材によって管軸方向に移動可能とされている。前側板141は、封止体13(図示省略)を挟持可能に容器111の容器側フランジ部125と対向配置されている。反力受け部材415は、容器111の端壁部122と対向する反力受け板部418と、前側板141に固定されて反力受け板部418を支持する支持板部419とにより構成されている。エアシリンダ416は、反力受け板部418に取り付けられている。エアシリンダ416のシリンダロッドは、容器111の端壁部122に接続されている。押付機構417は、本体部420、爪部421、及び油圧作動部422を備えている。本体部420は、前側板141における容器側フランジ部125と対向する部分に向かって延びるように前側板141に形成されるT溝(図示省略)に摺動自在に装着されている。爪部421は、前側板141と容器側フランジ部125とが封止体13を挟んだ状態にあるときの容器側フランジ部125の側部に対して押付状態と非押付状態とを切り換え可能に枢支軸423を介して本体部420に取り付けられている。油圧作動部422は、爪部421が前記押付状態とするための枢支軸423回りのトルクを爪部421に作用させる。
【0130】
上記の切換機構414においては、前側板141と容器側フランジ部125とが封止体13を挟んだ状態にあるときに、容器側フランジ部125に近づくように押付機構417が相対移動される。そして、油圧作動部422の作動によって爪部421が容器側フランジ部125を前側板141へと押し付ける。これにより、封止体押付状態とされる。一方、押付機構417における油圧作動部422が作動停止状態とされて爪部421が非押付状態とされた後に、容器側フランジ部125から離れるように押付機構417が相対移動される。これにより、封止体非押付状態とされる。こうして、押付機構417の容器側フランジ部125への相対移動と、爪部421の容器側フランジ部125への押付状態と非押付状態との切り換えとの連携動作により、封止体押付状態と封止体非押付状態とを切り換えることができる。
【0131】
〔第七実施形態〕
図18は、第七実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第七実施形態の付着物除去装置10Gにおいて、切換機構514は、封止体13を挟持する容器側フランジ部125、及びノズル側フランジ部136と、容器側フランジ部125、及びノズル側フランジ部136を締結する締結具500とを備えて構成されている。締結具500としては、例えば、容器側フランジ部125、及びノズル側フランジ部136を封止体13を避けて貫通するボルト501と、ボルト501に螺合するナット502とよりなるものが挙げられる。切換機構514においては、ボルト501及びナット502の締付操作により、封止体押付状態とし、ボルト501及びナット502の締付解除操作により、封止体非押付状態とすることができる。第七実施形態の付着物除去装置10Gによれば、容器111の開口部124に対する封止体13の押付状態と非押付状態とを極めて簡易な構成で切り換えることができる。
【0132】
〔第八実施形態〕
図19は、第八実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第八実施形態の付着物除去装置10Hは、第一、第三、及び第四実施形態における容器11,111,211に装着される点火プラグ23の取付構造に特徴があり、それ以外については、第一、第三、及び第四実施形態と同様である。従って、
図19においては、点火プラグ23の取付構造に関する構成以外の構成については図示省略している。
【0133】
図19に示されるように、容器11,111,211の端壁部22,122,222には、点火プラグ23における中心電極23a、及び接地電極23bが設けられる部分と容器11,111,211の内部とを繋ぐような孔状のガイド600が設けられている。このようなガイド600を設ける構成により、圧力波の点火プラグ23への衝撃がガイド600で緩和されるので、点火プラグ23を圧力波から保護することができ、点火プラグ23の寿命を延ばすことができる。
【0134】
〔第九実施形態〕
図20は、第九実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第九実施形態の付着物除去装置10Iは、第一、第三、及び第四実施形態における容器11,111,211に装着される点火プラグ23の配置に特徴があり、それ以外については、第一、第三、及び第四実施形態と同様である。従って、
図20においては、点火プラグ23の配置の説明に必要な構成以外の構成については図示省略している。
【0135】
図20に示されるように、容器11,111,211には、複数(本例では2個)の点火プラグ23が設けられている。
図20に示される例では、端壁部22,122,222に点火プラグ23が装着されるとともに、円筒状部21,111c,211cに点火プラグ23が装着されている。このような構成により、容器11,111,211内の混合ガスに対して確実に着火することができる。また、
図20に示される例の場合では、端壁部22,122,222に装着された点火プラグ23による燃焼・爆発によって生じた圧力波と、円筒状部21,111c,211cに装着された点火プラグによる燃焼・爆発によって生じた圧力波とが交差する。このように、2つの圧力波が交差する複数箇所では、圧力波が増幅されるので、圧力波の威力を向上することができる。
【0136】
〔第十実施形態〕
図21は、第十実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第十実施形態の付着物除去装置10Jは、第一、第三、及び第四実施形態における容器11,111,211に装着される点火プラグ23にプラグ保護部材が装着されることに特徴があり、それ以外については、第一、第三、及び第四実施形態と同様である。従って、
図21においては、プラグ保護部材610の説明に必要な構成以外の構成については図示省略している。
【0137】
図21に示されるように、容器11,111,211の端壁部22,122,222には、プラグ保護部材610を介して点火プラグ23が取り付けられている。プラグ保護部材610は、点火プラグ23の本体部分を保持するハウジング部611と、点火プラグ23の中心電極23a、及び接地電極23bを覆うカバー部612とを備えている。ハウジング部611は、端壁部22,122,222に螺着されている。ハウジング部611の内部には、点火プラグ23の本体部分が螺着されている。カバー部612は、中心電極23a、及び接地電極23bを側方から覆う円筒状の側部カバー613と、中心電極23a、及び接地電極23bを先方から覆う先端カバー614とにより構成されている。側部カバー613には、混合ガスが通流可能な複数の通気孔615が側部カバー613の周方向に等角度間隔(例えば、90°)で穿設されている。通気孔615は、中心電極23aと接地電極23bとの間のスパークギャップが側方視で当該通気孔615の内部に位置するように配置されている。
【0138】
第十実施形態の付着物除去装置10Jにおいて、容器11,111,211の内部の混合ガスは、複数の通気孔615を通ってカバー部612の内部に流れ込むので、点火プラグ23によって混合ガスに点火することができる。また、混合ガスの燃焼・爆発に伴い生じた圧力波の殆どは、カバー部612によって遮られるので、点火プラグ23の中心電極23a、及び接地電極23bを保護することができ、点火プラグ23の破損を防止して、点火プラグ23の寿命を大幅に延ばすことができる。なお、プラグ保護部材610は、後述するグロープラグ650を保護するために適用することも可能である。
【0139】
〔第十一実施形態〕
図22は、第十一実施形態の付着物除去装置の要部縦断面図である。第十一実施形態の付着物除去装置10Kは、第一、第三、及び第四実施形態における容器11,111,211に装着される点火プラグ23に代えて、グロープラグを用いることに特徴があり、それ以外については、第一、第三、及び第四実施形態と同様である。従って、
図22においては、グロープラグ650に関する説明に必要な構成以外の構成については図示省略している。
【0140】
図22に示されるように、容器11,111,211の端壁部22,122,222には、ヒートコイルパイプ651が容器11,111,211の内部に配されるようにグロープラグ650が装着されている。このように装着されるグロープラグ650に通電することにより、混合ガスの温度を上昇させて発火させることができる。なお、図示による説明は省略するが、点火プラグ23とグロープラグ650とを適宜に組み合わせて使用することもできる。点火プラグ23とグロープラグ650と組み合わせることにより、点火の確実性や再現性を高めることができる。
【0141】
〔第十二実施形態〕
図23は、本発明の第十二実施形態に係る付着物除去装置がボイラに付設されている状態図である。
図23に示されるように、付着物除去装置10Lは、ボイラ1の排ガス流路2に連通状態で側壁3からボイラ1の外側に突設される導管700に、継手部材としての機能も兼ねるノズル712を介して取り付けられている。付着物除去装置10Lは、主として、容器711、封止体13、切換機構714、及び封止体供給機構115を備えている。なお、本実施形態において、先に述べた実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0142】
<容器>
容器711は、側壁3に向かう方向を「前方」とした場合、後方(
図23の左側から右側に向う方向)に向かってこの記載順に配される小径円筒状部711a、円錐台筒状部711b、及び大径円筒状部711cを有している。これら筒状部711a,711b,711cは、互いの管軸を一致させた状態で一体的に連設されている。ここで、大径円筒状部711cの後端側は、端壁部722によって閉鎖されている。一方、小径円筒状部711aの前端側は、開口されている(開口部724:
図24参照)。また、小径円筒状部711aの前端部には、容器側フランジ部725が外向きに張り出すように形成されている。
【0143】
後述するケーシング740の下面側には、容器711の下方に位置するように延設される第一支持部材731が固定されている。容器711は、第一支持部材731に転動可能に取り付けられるガイドローラ735を介して管軸方向に移動可能に第一支持部材731に支持されている。また、第一支持部材731には、第二支持部材732が垂設されている。第二支持部材732には、封止体供給機構115における送り機構60を構成するエアシリンダ65が取り付けられている。
【0144】
<切換機構>
切換機構714は、ケーシング740と、油圧シリンダ760と、付勢手段780とを備えている。
【0145】
[ケーシング]
ケーシング740は、前側板741、後側板742、連結板743、及び上側板744を備えている。前側板741及び後側板742は、容器711の管軸方向に所定間隔を存して前後方向に板面を向けて対向配置されている。連結板743は、前側板741、及び後側板742の左右両側部同士を連結する。上側板744は、前側板741、後側板742、及び連結板743の上端面に固定されている。
【0146】
図24は、
図23のB部を一部破断して示す拡大図である。なお、
図24では、ケーシング740の内部構造を明示する都合上、
図23において描かれている連結板743を図示省略している。
図24に示されるように、ケーシング740には、容器711の小径円筒状部711aが後側板742を貫通した状態で管軸方向に移動可能に差し込まれている。小径円筒状部711aの前端側には、開口部724が形成されている。小径円筒状部711aの前端部に設けられた容器側フランジ部725は、開口部724を包含するように形成されている。容器側フランジ部725の前面には、開口部724を円環状に取り囲むように形成されるOリング溝にOリング726が装着されている。
【0147】
ケーシング740の前側板741には、容器側フランジ部725の開口部724に対応するように開口部741aが設けられている。
【0148】
ケーシング740の上側板744には、スリット746が設けられている。スリット746は、封止体13が無いと仮定した場合に、前側板741と容器側フランジ部725とが面接触する位置に対応するように上側板744に配置されている。スリット746には、容器711の管軸方向に板面を向けた状態の封止体13が挿通される。こうして、コイル41(
図23参照)から繰り出される封止体13が、上側板744のスリット746を通り、容器711の管軸方向に板面を向けた状態で、前側板741と容器側フランジ部725との間の領域を通り、下方へと送り出すことができるようになっている。
【0149】
[油圧シリンダ]
油圧シリンダ760は、容器側フランジ部725及び前側板741を近づけるように相対移動させる流体アクチュエータである。本実施形態の場合は、油圧シリンダ760の伸長作動により、容器側フランジ部725が前側板741に近づくように相対移動される。
【0150】
油圧シリンダ760は、複数(本例では4個)設けられている。複数の油圧シリンダ760は、後側板742に固定状態で組み付けられている。複数の油圧シリンダ760は、容器711の管軸回りに等角度間隔(90°間隔)で配置されている。具体的には、後側板742の前面側から見て、容器711の管軸に原点Oを一致させるようにX-Y直交軸を設定し、X軸の正の向きの軸を基準(0°)として、原点Oを中心に反時計回りを正の回転方向と定めた場合、45°、135°、225°、及び315°のそれぞれの位置に油圧シリンダ760が配置されている。
図23~
図26では、説明の都合上、後側板742の前面側から見て45°、及び315°のそれぞれの位置に配置される油圧シリンダ760のみが図示されている。
【0151】
油圧シリンダ760は、単動形の片ロッドシリンダである。油圧シリンダ760におけるシリンダロッドの先端部には、先端側が半球状に形成された押当部材761が取り付けられている。押当部材761の先端は、容器側フランジ部725の後面に当接されている。油圧シリンダ760において、図示省略されるピストンの復帰は、当該油圧シリンダ760に内蔵された圧縮コイルばね(図示省略)の付勢力や、付勢手段780の付勢力によってなされる。
【0152】
[案内手段]
上述したように、容器側フランジ部725は、油圧シリンダ760の伸長作動により、前側板741に近づくように容器711の管軸方向に相対移動される。また、容器側フランジ部725は、油圧シリンダ760に内蔵された圧縮コイルばねの付勢力や、付勢手段780の付勢力により、前側板741から離れるように容器711の管軸方向に相対移動される。このような、前側板741に対する容器側フランジ部725の相対移動が正確、且つスムーズに行われるようにするために、案内手段750が設けられている。案内手段750は、ガイドピン751と、ガイドブシュ752とにより構成されている。
【0153】
ガイドピン751は、複数(本例では8本)設けられている。複数のガイドピン751は、各ガイドピン751の軸線が容器711の管軸と平行をなすようにして、前側板741の後面側に突出するように前側板741に固定状態で植設されている。複数のガイドピン751は、容器711の管軸回りに等角度間隔(45°間隔)で配置されている。具体的には、前側板741の前面側から見て、容器711の管軸に原点Oを一致させるようにX-Y直交軸を設定し、X軸の正の向きの軸を基準(0°)として、原点Oを中心に反時計回りを正の回転方向と定めた場合、22.5°、67.5°、112.5°、157.5°、202.5、247.5、292.5°、及び337.5°のそれぞれの位置にガイドピン751が配置されている。
図24~
図26では、説明の都合上、前側板741の前面側から見て67.5°、及び292.5°のそれぞれの位置に配置されるガイドピン751のみが図示されている。
【0154】
ガイドブシュ752は、複数のガイドピン751に対応するように、複数(本例では8個)設けられている。複数のガイドブシュ752は、容器側フランジ部725に設けられた取付孔に圧入されて容器側フランジ部725に固定されている。複数のガイドブシュ752は、容器711の管軸回りに等角度間隔(45°間隔)で配置されている。具体的には、容器側フランジ部725の前面側から見て、容器711の管軸に原点Oを一致させるようにX-Y直交軸を設定し、X軸の正の向きの軸を基準(0°)として、原点Oを中心に反時計回りを正の回転方向と定めた場合、22.5°、67.5°、112.5°、157.5°、202.5、247.5、292.5°、及び337.5°のそれぞれの位置にガイドブシュ752が配されている。
図24~
図26では、説明の都合上、容器側フランジ部725の前面側から見て67.5°、及び292.5°のそれぞれの位置に配置されるガイドブシュ752のみが図示されている。
【0155】
案内手段750においては、前側板741の後面側に突出されたガイドピン751の部分がガイドブシュ752の内部に摺動可能に差し込まれている。これにより、前側板741に対し容器側フランジ部725が容器711の管軸方向に相対移動する際に、ガイドピン751に沿ってガイドブシュ752が摺動される。こうして、前側板741に対する容器側フランジ部725の相対移動の際に、容器側フランジ部725が案内手段750によって案内されるようになっている。
【0156】
[付勢手段]
付勢手段780は、引張ロッド781、圧縮コイルばね782、ばね座金783、第一ナット784、及び第二ナット785を備えている。
【0157】
引張ロッド781は、複数(本例では4個)設けられている。複数の引張ロッド781は、各引張ロッド781の軸線が容器711の管軸と平行をなすようにして、容器側フランジ部725の後面側に突出するように容器側フランジ部725に固定状態で植設されている。複数の引張ロッド781は、容器711の管軸回りに等角度間隔(90°間隔)で配置されている。具体的には、容器側フランジ部725の前面側から見て、容器711の管軸に原点Oを一致させるようにX-Y直交軸を設定し、X軸の正の向きの軸を基準(0°)として、原点Oを中心に反時計回りを正の回転方向と定めた場合、0°、90°、180°、及び270°のそれぞれの位置に引張ロッド781が配置されている。
図23~
図26では、説明の都合上、容器側フランジ部725の前面側から見て90°、及び270°のそれぞれの位置に配置される引張ロッド781のみが図示されている。
【0158】
容器側フランジ部725の後面側に突出されている引張ロッド781は、後側板742を貫通し、後側板742の後面側にさらに突出されている。後側板742の後面側に突出されている引張ロッド781の部分には、後側板742の後方に向かってこの記載順に配される圧縮コイルばね782、及びばね座金783がそれぞれ外嵌されている。後側板742の後面側に突出されている引張ロッド781の部分には、当該引張ロッド781の後端から先端に向かう所要の領域に雄螺子部781aが形成されている。この雄螺子部781aには、後方に向かってこの記載順に配される第一ナット784及び第二ナット785がそれぞれ螺合されている。
【0159】
圧縮コイルばね782において、前端側は、後側板742の後面に当接され、後端側は、ばね座金783に当接されている。ばね座金783には、第一ナット784が当接されており、第一ナット784を締め込んだり、緩めたりする操作により、圧縮コイルばね782の初期たわみ量を調整することができるようになっている。そして、第一ナット784の操作による圧縮コイルばね782の初期たわみ量調整後において、第一ナット784に当接状態で第二ナット785を締め付け、その後、第一ナット784を緩める方向に逆回転させることにより、第一ナット784の締め込み状態がダブルナットの効果で保持される。
【0160】
付勢手段780において、圧縮コイルばね782の弾性力は、ばね座金783、ナット784,785を介して引張ロッド781に伝達される。こうして、付勢手段780は、前側板741に対し容器側フランジ部725を引き離す方向(後方)に容器側フランジ部725を付勢する。
【0161】
<油圧駆動手段>
図25は、本発明の第十二実施形態に係る付着物除去装置の作動説明図で、容器の開口部に対する封止体の押付状態図である。
図25に示されるように、切換機構714を油圧シリンダ760により駆動する油圧駆動手段800は、エアハイドロブースタ(以下、単に「ブースタ」と略称する。)801と、方向制御弁802とを備えている。
【0162】
[ブースタ]
ブースタ801は、ブースタ本体811と、ブースタ本体811に内蔵されるピストン体812とを備えている。ピストン体812は、大径ピストン813と小径ピストン814とが連結ロッド815によって連結されてなるものである。ブースタ本体811の一方側(
図25,26において右側)の閉鎖端部と大径ピストン813との間には、第一駆動室821が区画形成されている。大径ピストン813と小径ピストン814とブースタ本体811との間には、第二駆動室822が区画形成されている。ブースタ本体811の他方側(
図25,
図26において左側)の閉鎖端部と小径ピストン814との間には、増圧室823が区画形成されている。増圧室823内には、作動油が充満されている。増圧室823と油圧シリンダ760とは、油圧管路825によって接続されている。
【0163】
[方向制御弁]
方向制御弁802は、例えば、第一出入ポート、第二出入ポート、第一排気ポート、第二排気ポート、及び圧縮エア導入ポートを有する5ポート2位置切換電磁操作式の方向制御弁である。方向制御弁802の第一出入ポートと第一駆動室821とは、エア管路831によって接続されている。方向制御弁802の第二出入ポートと第二駆動室822とは、エア管路832によって接続されている。方向制御弁802の第一排気ポートは、エア管路833を介してサイレンサ836に接続されている。方向制御弁802の第二排気ポートは、エア管路834を介してサイレンサ837に接続されている。方向制御弁802の圧縮エア導入ポートは、エア管路835を介して圧縮空気供給源838に接続されている。
【0164】
<ノズル>
図27は、
図25のC部拡大図である。
図27に示されるように、ノズル712は、円筒状のノズル本体部736を有している。ノズル本体部736は、ケーシング740の前側板741に設けられた開口部741aを通して容器711の開口部724に対応するように開口されている。ノズル本体部736の前端部には、フランジ部737が形成されている。ノズル本体部736の後端部には、フランジ部738が形成されている。
【0165】
ノズル712においては、ノズル本体部736の管軸が、導管700及び容器711のそれぞれの管軸と一致されている。そして、フランジ部737は、導管700の後端部に形成されたフランジ部701に所要のボルト・ナットによって締着されている。また、フランジ部738は、前側板741に所要のボルトによって締着されている。
【0166】
<パージ手段>
図27は、
図25のC部拡大図である。
図27に示されるように、付着物除去装置10Lは、圧力波放出口である容器711の開口部724に向かって飛来するダスト等を含む飛来物をバージするパージ手段をさらに備えている。具体的には、パージ手段は、飛来物を吹き飛ばすためのパージガス(例えば、圧縮空気等)を吹き出す吹出管850である。吹出管850は、ノズル本体部736の管軸と直交する軸方向に延びる円筒状部材から構成されている。吹出管850は、ノズル本体部736の前端と後端との中間部において、当該吹出管850の一端部が、ノズル本体部736の内部に連通状態でノズル本体部736に接合されている。吹出管850の他端部には、図示されないエア配管や、流量制御弁等を介して圧縮空気供給源と接続されている。
【0167】
図28は、
図25のD部拡大図である。
図28に示されるように、容器711の端壁部722には、プラグ保護部材610を介してグロープラグ650が取り付けられている。プラグ保護部材610は、グロープラグ650の本体部分を保持するハウジング部611と、グロープラグ650のヒートコイルパイプ651を覆うカバー部612とを備えている。ハウジング部611は、端壁部722に螺着されている。ハウジング部611の内部には、グロープラグ650が螺着されている。カバー部612は、ヒートコイルパイプ651を側方から覆う円筒状の側部カバー613と、ヒートコイルパイプ651を先方から覆う先端カバー614とにより構成されている。側部カバー613には、混合ガスが通流可能な複数の長孔状の通気孔615が側部カバー613の周方向に等角度間隔(例えば、90°)で穿設されている。
【0168】
このような構成において、容器711の内部の混合ガスは、複数の通気孔615を通ってカバー部612の内部に流れ込むので、グロープラグ650に通電することによって混合ガスを発火させることができる。また、混合ガスの燃焼・爆発に伴い生じた圧力波の殆どは、カバー部612によって遮られるので、ヒートコイルパイプ651を保護することができ、ヒートコイルパイプ651の破損を防止して、グロープラグ650の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0169】
以上に述べたように構成される付着物除去装置10Lの作動について、主に、
図25及び
図26を用いて説明する。
【0170】
図25に示されるように、前側板741と容器側フランジ部725との間に封止体13を位置させた状態において、方向制御弁802の所定の操作により、方向制御弁802の弁位置を第一位置に切り換える。この場合、圧縮空気供給源838からの圧縮空気は、エア管路835、方向制御弁802、エア管路831を介して第一駆動室821に供給される。これと同時に、第二駆動室822内の空気は、エア管路832、方向制御弁802、エア管路834、及びサイレンサ837を介して排気される。
【0171】
これにより、ピストン体812は、
図25において左側に移動され、増圧室823内の作動油が圧縮される。増圧室823内の作動油は、大径ピストン813と小径ピストン814との面積比に応じて増圧される。増圧された作動油(圧油)は、油圧管路825を介して油圧シリンダ760に供給される。これにより、油圧シリンダ760が伸長作動され、容器側フランジ部725が前側板741に近づくように前方へと移動される。これに伴い、容器711が管軸に沿って前方に移動される。容器711は、ガイドローラ735を介して第一支持部材731に支持されているので、容器711の前方への移動がスムーズに行われる。
【0172】
容器側フランジ部725が前方へ移動されると、前側板741と容器側フランジ部725との間に位置する封止体13が、容器側フランジ部725と前側板741とによって挟持される。これにより、開口部724の周辺の容器側フランジ部725に封止体13が押し付けられる封止体押付状態とされる。この封止体押付状態においては、Oリング726(
図24参照)のシール効果により、容器側フランジ部725と封止体13とが気密状態に保たれる。従って、後述するように容器711の内部の圧力を高めることで封止体13が破壊されるまでその容器711の開口部724を封止体13によって気密状態で確実に塞ぐことができるので、所望の圧力波を確実に発生させることができる。
【0173】
また、容器側フランジ部725が前方へと移動されると、容器側フランジ部725と共に引張ロッド781も前方へと移動される。これに伴い、圧縮コイルばね782が引張ロッド781の移動に応じて圧縮され、圧縮量に応じた弾性反発力が付勢手段780において蓄勢される。
【0174】
上記のようにして、封止体押付状態とした後に、容器711の内部に可燃性ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給し、容器711の内部において可燃性ガスと酸化剤ガスとが所定の混合比で混合される状態とする。
【0175】
そして、グロープラグ650に通電することにより、容器711内の混合ガスの温度を上昇させて発火させる。容器711内の混合ガスが発火すると、容器711の内部で火炎が急速に伝播するような燃焼・爆発が起こる。容器711の内部の気体は、燃焼によって引き起こされる温度上昇によって一気に膨張しようとする。閉鎖空間である容器711の内部の圧力は、急激に高まり、圧力に耐えきれなくなった封止体13が、粉々に破壊される(
図5(b)参照)。封止体13が破壊されると、容器711の開口部724から一気に高圧の気体が噴出することによって圧力が急激に開放される。圧力の急激な開放の結果、圧力波が発生する。発生した圧力波は、ノズル712を介してボイラ1の排ガス流路2内に放出される(
図23参照)。このようにして放出された圧力波による風圧、振動により、伝熱管4に付着したダストが剥離して除去される。
【0176】
圧力波を放出した後、次の圧力波放出の準備のため、方向制御弁802の所定の操作により、方向制御弁802の弁位置を
図26に示されるような第二位置に切り換える。
【0177】
図26に示されるように、方向制御弁802の弁位置が第二位置にある場合、圧縮空気供給源838からの圧縮空気は、エア管路835、方向制御弁802、エア管路832を介して第二駆動室822に供給される。これと同時に、第一駆動室821内の空気は、エア管路831、方向制御弁802、エア管路833、及びサイレンサ836を介して排気される。
【0178】
これにより、ピストン体812が、
図26において右側に移動され、増圧室823の作動油受入容積が増加する。そして、油圧シリンダ760に内蔵されたピストン復帰用の圧縮コイルばね(図示省略)の付勢力や、付勢手段780の付勢力の作用により、油圧シリンダ760内の作動油が油圧管路825を介して増圧室823へと送り込まれ、油圧シリンダ760が収縮する。これと同時に、付勢手段780における圧縮コイルばね782の弾性反発力により、引張ロッド781が後方へと引っ張られ、容器側フランジ部725が前側板741から離れるように後方へと移動される。これに伴い、容器711が管軸に沿って後方へと移動される。容器711は、ガイドローラ735を介して第一支持部材731に支持されているので、容器711の後方への移動がスムーズに行われる。
【0179】
容器側フランジ部725が後方へ移動されると、容器側フランジ部725と封止体13の間に隙間が生じ、容器711の開口部724、及びその開口部724の周辺の容器側フランジ部725に対し封止体13が押し付けられていない封止体非押付状態とされる。
【0180】
封止体非押付状態とした後に、送り機構60を作動させて、封止体13を下方へと所定の送りピッチで送る。これにより、封止体13の破壊された部分(丸孔67:
図4(a)及び(b)参照)に代えて破壊されていない部分で容器711の開口部724を塞ぐように、封止体13を位置させることができる。
【0181】
付着物除去装置10Lにおいては、封止体押付状態として混合ガスを充填、発火する動作と、封止体非押付状態として封止体13を送る動作とが繰り返し実行される。これにより、圧力波を繰り返し放出することができ、伝熱管4の付着物を継続的に除去することができる。
【0182】
また、付着物除去装置10Lにおいては、
図25に示されるように、油圧シリンダ760が伸長作動により、前側板741と容器側フランジ部725との間に位置する封止体13を、容器側フランジ部725と前側板741とによって挟持して、封止体押付状態とするように構成されている。このように、非圧縮性流体の作動油を利用した流体アクチュエータである油圧シリンダ760によって封止体押付状態とする構成を採用することにより、封止体押付状態を確実に保つことができるので、付着物除去装置10Lの圧力波出力の増大を容易に図ることができる。
【0183】
また、付着物除去装置10Lにおいては、
図26に示されるように、付勢手段780における圧縮コイルばね782の弾性反発力により、引張ロッド781を介して容器側フランジ部725を前側板741から離れるように後方へと引っ張って、封止体非押付状態とするように構成されている。このような構成により、油圧シリンダ760を収縮させるための油圧回路を省略することができるので、油圧駆動手段800の簡素化を図ることができる。
【0184】
また、付着物除去装置10Lにおいて、切換機構714により封止体押付状態とすべく、
図25に示されるように、方向制御弁802を第一位置に位置させているときに、万一、自然災害等に起因する停電等により、油圧シリンダ760の実質的な駆動源である圧縮空気供給源838からの圧縮空気の供給が途絶えたとしても、油圧シリンダ760に内蔵されたピストン復帰用の圧縮コイルばね(図示省略)の付勢力や、付勢手段780の付勢力の作用により、油圧シリンダ760内の作動油が油圧管路825を介して増圧室823へと送り込まれる。ピストン体812は、第一駆動室821内の空気が圧縮性流体であるので、増圧室823内に送り込まれる作動油の圧力の作用により、第一駆動室821内の空気を圧縮するようにして、
図26において右側に移動する。これにより、増圧室823の作動油受入容積が増加し、油圧シリンダ760が収縮する。これと同時に、付勢手段780における圧縮コイルばね782の弾性反発力により、引張ロッド781が後方へと引っ張られ、容器側フランジ部725が前側板741から離れるように後方へと移動される。容器側フランジ部725が後方へ移動されると、容器側フランジ部725と封止体13の間に隙間が生じ、容器711の開口部724、及びその開口部724の周辺の容器側フランジ部725に対し封止体13が押し付けられていない封止体非押付状態とされる。従って、付着物除去装置10Lによれば、万一、油圧シリンダ760の駆動源が途絶えたとしても、自動的に、圧力波が発生されない状態である封止体非押付状態とすることができるので、安全管理上、好ましい形態とすることができる。
【0185】
さらに、付着物除去装置10Lにおいては、
図27に示されるように、パージガスとしての圧縮空気が、吹出管850からノズル本体部736の内部に吹き込まれる。吹き込まれた圧縮空気の大部分は、吹出管850と対向するノズル本体部736の内壁面に衝突する。衝突した圧縮空気の一部は、ノズル本体部736の前方へと流れ、残部は、ノズル本体部736の後方へと流れる。ノズル本体部736の前方へと流れた圧縮空気は、導管700を介してボイラ1の排ガス流路2に向かって流れる。これにより、排ガス流路2から導管700及びノズル本体部736を通って容器711の開口部724に向かって飛来しようとするダスト等を含む飛来物を排ガス流路2へと追い返すことができる。一方、ノズル本体部736の後方へと流れた圧縮空気は、前側板741の開口部741aを通って封止体13に衝突し、折り返して開口部741a、ノズル本体部736、導管700を介してボイラ1の排ガス流路2に向かって流れる。これにより、万一、吹出管850からノズル本体部736の内部に吹き込まれる圧縮空気によってダスト等を含む飛来物をパージしきれずに、容器側フランジ部725の開口部724の近傍である前側板741の開口部741aの構成壁面にダスト等が付着・堆積しようとしても、このようなダスト等を巻き上げてノズル本体部736、導管700を介してボイラ1の排ガス流路2へと排出することができる。こうして、開口部724の近傍にダスト等が付着・堆積するのを確実に防止することができる。
【0186】
前述したように、付着物除去装置10Lは、側壁3から突設される導管700に、ノズル712を介して取り付けられている。ノズル712は、吹出管850からノズル本体部736の内部に吹き込まれるパージガス(圧縮空気)により冷却される。このため、側壁3が高温であっても、パージガスによるノズル712の冷却により付着物除去装置10Lの温度上昇を防ぐことができる。
【0187】
〔第十三実施形態〕
図29は、本発明の第十三実施形態に係る付着物除去装置を示し、(a)はボイラに付設されている状態図、(b)は正面図、(c)は要部一部破断図である。
図29(a)~(c)に示されるように、付着物除去装置10Mは、開口部924を有する容器911と、開口部924を塞ぐ封止体913と、封止体913を固定する固定手段930とを備えている。付着物除去装置10Mは、固定手段930を構成する部材が、導管700の端部に形成されたフランジ部701に所要のボルト及びナットからなる締結具910によって締着されることにより、導管700を介してボイラ1の側壁3に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態において、先に述べた実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0188】
<容器>
容器711は、後方(
図29(a)の左側から右側に向う方向)に向かってこの記載順に配される小径円筒状部911a、円錐台筒状部911b、及び大径円筒状部911cを有している。これら筒状部911a,911b,911cは、互いの管軸を一致させた状態で一体的に連設されている。ここで、大径円筒状部911cの後端側は、端壁部922によって閉鎖されている。端壁部922には、プラグ保護部材610を介してグロープラグ650が装着されている。一方、小径円筒状部911aの前端側は、開口されている(開口部924:
図29(c)参照)。また、小径円筒状部711aの前端部には、容器側フランジ部925が外向きに張り出すように形成されている。
【0189】
<封止体>
封止体913は、前記封止体13と同様に、例えば、ステンレス系、鉄系、銅系のばね鋼や、アルミニウム等の金属材料、樹脂材料等から構成されている。封止体913は、容器911の開口部924を塞ぐことができるとともに、容器側フランジ部925の前面を覆うことができる大きさの円板状に形成されている。なお、封止体913と容器側フランジ部925との間には、ガスケット915が介挿されている。
【0190】
<固定手段>
固定手段930は、容器側フランジ部925、押え板931及び締結手段としてのキャップボルト932により構成されている。固定手段930において、押え板931は、容器側フランジ部925の開口部924に対応する開口部931aを有し、容器側フランジ部925との間に封止体913及びガスケット915を挟むことができるような円環板状に形成されている。押え板931は、容器側フランジ部925との間に封止体913及びガスケット915を挟んだ状態で、所要(本例では4本)のキャップボルト932によって容器側フランジ部925に締着されている。こうして、固定手段930においては、所要のキャップボルト932を締め付けることにより、封止体913をガスケット915を介して容器側フランジ部925に気密に押付状態で固定することができ、封止体押付状態に保つことができるようになっている。
【0191】
以上に述べたように構成される付着物除去装置10Mでは、
図29(a)に示されるようなボイラ1に付設されている状態において、
図29(b)及び(c)に示される封止体押付状態で、容器911の内部に可燃性ガス及び酸化剤ガスをそれぞれ供給し、容器911の内部において可燃性ガスと酸化剤ガスとが所定の混合比で混合される状態とする。または、付着物除去装置10Mにおける容器911の内部に、可燃性ガス及び酸化剤ガスの所定混合比の混合ガスを予め充填しておき、混合ガス充填済みの付着物除去装置10Mを、導管700の後端部のフランジ部701に締結具910を介して締着し、
図29(a)に示されるように、ボイラ1に付設した状態とする。
【0192】
そして、グロープラグ650に通電することにより、容器911内の混合ガスの温度を上昇させて発火させる。容器911内の混合ガスが発火すると、容器911の内部で火炎が急速に伝播するような燃焼・爆発が起こる。容器911の内部の気体は、燃焼によって引き起こされる温度上昇によって一気に膨張しようとする。閉鎖空間である容器911の内部の圧力は、急激に高まり、圧力に耐えきれなくなった封止体913が、粉々に破壊される(
図5(b)参照)。封止体913が破壊されると、容器911の開口部924から一気に高圧の気体が噴出することによって圧力が急激に開放される。圧力の急激な開放の結果、圧力波が発生する。発生した圧力波は、導管700を介してボイラ1の排ガス流路2内に放出される(
図29(a)参照)。このようにして放出された圧力波による風圧、振動により、伝熱管4に付着したダストが剥離して除去される。
【0193】
本実施形態の付着物除去装置10Mによれば、極めて簡易な構成で圧力波を発生させることができる。ただし、本実施形態の付着物除去装置10Mは、先の実施形態における切換機構14,114,214,314,414,514,714や封止体供給機構15,115,215を備えていないため、一基の付着物除去装置10Mで圧力波を繰り返し発生させることができない。そこで、複数基の付着物除去装置10Mを予め準備しておき、圧力波を発生させる毎に順次交換するようにすれば、圧力波を繰り返し発生させることができ、付着物を継続的に除去することができる。本実施形態の付着物除去装置10Mは、ダスト等の付着物除去を実施する頻度が少なく、設備コストを低く抑えたいという要望が強い、例えば、比較的小規模のごみ焼却処理施設において、ボイラ1の伝熱管4の付着物を除去する用途に適している。
【0194】
〔第十三実施形態の変形例〕
図30は、本発明の第十三実施形態の変形例に係る付着物除去装置の要部一部破断図である。なお、本変形例において、先に述べた第十三実施形態と同一又は同様のものについては図に同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0195】
上記の第十三実施形態では、所要のキャップボルト932を締め付けることにより、封止体913をガスケット915を介して容器側フランジ部925に気密に固定し、固定手段930が、容器側フランジ部925、押え板931及びキャップボルト932で構成される例を示したが、これに限定されるものではない。
図30に示されるように、封止体913を接着剤等により形成される接着層940を介して容器側フランジ部925に気密に固定する態様もある。この場合、接着層940が本発明の「固定手段」に相当する。本変形例の付着物除去装置10M´によっても、第十三実施形態の付着物除去装置10Mと同様の作用効果を得ることができる。
【0196】
(別実施形態1)
上記実施形態では、封止体13と容器側フランジ部125,225,725とのシール構造として、Oリング126,226,726を用いるものを例示したが、これに限定されるものではない。Oリング126,226を用いたシール構造に代えて、容器側フランジ部125,225,725の表面研磨により鏡面仕上げとして気密性を向上するメタルタッチシール構造を採用してもよい。また、Oリング126,226,726に代えて、ガスケットを用いたり、容器側フランジ部125,225,725にグリース等を塗布してシールしたりする態様もある。
【0197】
(別実施形態2)
上記実施形態においては、封止体供給機構15,115,215における、繰り出しドラム42や、送り機構60、巻取りドラム44を上下方向に配置する縦型のものを例示しが、これに限定されるものではなく、それらのものを左右方向に配置する横型のものを採用してもよい。縦型のものは、ボイラ1やその周辺において、横方向にスペースの余裕が無いが、縦方向にスペースの余裕がある場合に好適である。横型のものは、ボイラ1やその周辺において、縦方向にスペースの余裕が無いが、横方向にスペースの余裕がある場合に好適である。このように、ボイラ1やその周辺の状況に合わせて、縦型と横型とを使い分ければよい。
【0198】
以上、本発明の付着物除去装置について、複数の実施形態、及び複数の別実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態、及び上記別実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、上記実施形態、及び上記別実施形態に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明の付着物除去装置は、例えば、焼却炉に並設されるボイラの伝熱管に付着したダストを除去する用途において利用可能である。
【符号の説明】
【0200】
1 ボイラ
4 伝熱管(対象物)
10A~10M 付着物除去装置
11,111,211 容器
711,911 容器
12,112,212 ノズル
712 ノズル
13,913 封止体
14,114,214 切換機構
314,414 切換機構
514,714 切換機構
15,115,215 封止体供給機構
16 送り機構
23 点火プラグ
24,124,225a 開口部
25,125,225 容器側フランジ部(第一挟持部材)
725 容器側フランジ部(第一挟持部材)
36 ノズル側フランジ部(第二挟持部材)
51 トグルリンク
52 エアシリンダ(流体アクチュエータ)
141,241 前側板(第二挟持部材)
741 前側板(第二挟持部材)
260 流体アクチュエータ
317 油圧ジャッキ(流体アクチュエータ)
316 エアシリンダ(流体アクチュエータ)
417 押付機構(流体アクチュエータ)
500 締結具
610 プラグ保護部材
650 グロープラグ
760 油圧シリンダ(流体アクチュエータ)
780 付勢手段
930 固定手段
940 接着層(固定手段)