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特許7157878メディア置換イベント中におけるメディア再生ラウドネスレベルの検出及び対応するオーディオの調整
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-12
(45)【発行日】2022-10-20
(54)【発明の名称】メディア置換イベント中におけるメディア再生ラウドネスレベルの検出及び対応するオーディオの調整
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/458 20110101AFI20221013BHJP
   H04N 21/439 20110101ALI20221013BHJP
【FI】
H04N21/458
H04N21/439
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021527817
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019059882
(87)【国際公開番号】W WO2020101951
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】62/768,596
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/861,474
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/909,676
(32)【優先日】2019-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/673,859
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521212432
【氏名又は名称】ロク インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー マルクス ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マーチャント シャシャンク
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルタカヴィ アニーシュ
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0234728(US,A1)
【文献】特開2003-134419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0254795(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0270526(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生装置が、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、
前記再生装置が、前記第1のメディアコンテンツの置換可能コンテンツセグメントを前記再生装置のローカルキャッシュに記憶された置換コンテンツセグメントに置換するトリガに遭遇することと、
前記再生装置が、前記第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、
前記再生装置が、前記置換コンテンツセグメントの第2のラウドネスレベルを決定することと、
前記再生装置が、前記第1のラウドネスレベルと前記第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、前記第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する置換コンテンツセグメントを生成するように前記置換コンテンツセグメントのラウドネスレベルを調整することと、
前記再生装置が、前記トリガに遭遇したことに応答して、前記置換可能コンテンツセグメントの代わりに前記第3のラウドネスレベルを有する前記置換コンテンツセグメントを提示することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のラウドネスレベルを決定することは、前記再生装置が前記第1のメディアコンテンツを提示している時に前記第1のラウドネスレベルの移動平均を決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
チャンネル変更イベントを検出することと、
前記チャンネル変更イベントの検出時に、前記第1のラウドネスレベルの前記移動平均をリセットすることと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のラウドネスレベルを決定することは、前記置換コンテンツセグメントと共に受け取られた補助情報に基づいて前記第2のラウドネスレベルを決定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のラウドネスレベルと前記第2のラウドネスレベルとの間の前記差分に基づいて前記置換コンテンツセグメントの前記ラウドネスレベルを調整することは、前記第1のラウドネスレベルの方が前記第2のラウドネスレベルよりも高いことに基づいて、前記置換コンテンツセグメントの前記ラウドネスレベルを前記第2のラウドネスレベルから前記第3のラウドネスレベルに高めることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のラウドネスレベルと前記第2のラウドネスレベルとの間の前記差分に基づいて前記置換コンテンツセグメントの前記ラウドネスレベルを調整することは、前記第1のラウドネスレベルの方が前記第2のラウドネスレベルよりも低いことに基づいて、前記置換コンテンツセグメントの前記ラウドネスレベルを前記第2のラウドネスレベルから前記第3のラウドネスレベルに低下させることを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記置換コンテンツセグメントを前記ローカルキャッシュから検索することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記再生装置はテレビを含み、前記第3のラウドネスレベルを有する前記置換コンテンツセグメントを提示することは、メディアプレーヤを使用して前記第3のラウドネスレベルを有する前記置換コンテンツセグメントを提示することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記トリガに遭遇することは、前記置換コンテンツセグメントに置換されるように指定された前記置換可能コンテンツセグメントの直前に生じるセグメントを前記再生装置が提示していると判定することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記置換可能コンテンツセグメントの直前に生じる前記セグメントは第1の広告であり、前記置換可能コンテンツセグメントは第2の広告である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサによる実行時に一連の動作を実行させるプログラム命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記一連の動作は、
第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、
前記第1のメディアコンテンツの置換可能コンテンツセグメントを再生装置のローカルキャッシュに記憶された置換コンテンツセグメントに置換するトリガに遭遇することと、
前記第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、
前記置換コンテンツセグメントの第2のラウドネスレベルを決定することと、
前記第1のラウドネスレベルと前記第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、前記第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する置換コンテンツセグメントを生成するように前記置換コンテンツセグメントのラウドネスレベルを調整することと、
前記トリガに遭遇したことに応答して、前記置換可能コンテンツセグメントの代わりに前記第3のラウドネスレベルを有する前記置換コンテンツセグメントを提示することと、
を含む、ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記第1のラウドネスレベルを決定することは、前記第1のメディアコンテンツを提示している時に前記第1のラウドネスレベルの移動平均を決定することを含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記第2のラウドネスレベルを決定することは、前記置換コンテンツセグメントと共に受け取られた補助情報に基づいて前記第2のラウドネスレベルを決定することを含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記一連の動作は、前記置換コンテンツセグメントを前記ローカルキャッシュから検索することをさらに含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記トリガに遭遇することは、前記置換コンテンツセグメントに置換されるように指定された前記置換可能コンテンツセグメントの直前に生じるセグメントを再生装置が提示していると判定することを含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
コンピュータシステムであって、
1又は2以上のプロセッサと、
前記コンピュータシステムに一連の動作を実行させるように実行可能な命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体と、
を備え、前記一連の動作は、
第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、
前記第1のメディアコンテンツの置換可能コンテンツセグメントを再生装置のローカルキャッシュに記憶された置換コンテンツセグメントに置換するトリガに遭遇することと、
前記第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、
前記置換コンテンツセグメントの第2のラウドネスレベルを決定することと、
前記第1のラウドネスレベルと前記第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、前記第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する置換コンテンツセグメントを生成するように前記置換コンテンツセグメントのラウドネスレベルを調整することと、
前記トリガに遭遇したことに応答して、前記置換可能コンテンツセグメントの代わりに前記第3のラウドネスレベルを有する前記置換コンテンツセグメントを提示することと、
を含む、
ことを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項17】
前記第1のラウドネスレベルを決定することは、前記第1のメディアコンテンツを提示している時に前記第1のラウドネスレベルの移動平均を決定することを含む、
請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記第2のラウドネスレベルを決定することは、前記置換コンテンツセグメントと共に受け取られた補助情報に基づいて前記第2のラウドネスレベルを決定することを含む、
請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記一連の動作は、前記置換コンテンツセグメントを前記ローカルキャッシュから検索することを含む、
請求項16に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
前記トリガに遭遇することは、前記置換コンテンツセグメントに置換されるように指定された前記置換可能コンテンツセグメントの直前に生じるセグメントを再生装置が提示していると判定することを含む、
請求項16に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本開示は、2018年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/768,596号、2019年6月14日に出願された米国仮特許出願第62/861,474号、及び2019年10月2日に出願された米国仮特許出願第62/906,676号に対する優先権を主張するものであり、これらの各文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示では、別途指定していない限り、及び/又は特定の文脈によって明らかに別様に決定付けられない限り、「a又はan(英文不定冠詞)」という用語は少なくとも1つを意味し、「the(英文定冠詞)」という用語も少なくとも1つを意味する。
【0003】
本開示では、「接続機構」という用語は、2又は3以上のコンポーネント、装置、システム又はその他のエンティティ間の通信を容易にする機構を意味する。接続機構は、ケーブル又はシステムバスなどの比較的単純な機構、又はパケットベースの通信ネットワーク(例えば、インターネット)などの比較的複雑な機構とすることができる。いくつかの例では、(例えば、接続が無線である場合には)接続機構が無形媒体を含むこともできる。
【0004】
本開示では、「コンピュータシステム」という用語は、少なくとも1つのコンピュータ装置を含むシステムを意味する。いくつかの例では、コンピュータシステムが1又は2以上の他のコンピュータシステムを含むこともできる。
【背景技術】
【0005】
今後数年間のうちに、メディアコンテンツ内の広告をターゲット広告に置き換えることがますます重要な広告手法になると予想される。一例として、動的広告挿入(DAI:dynamic advertisement insertion)システムでは、コンテンツプロバイダが、ライブコンテンツ又は録画コンテンツなどの一連のメディアコンテンツに割り込むコマーシャル時間(advertisement breaks)に一般広告(generic advertisements)を挿入することができる。各コマーシャル時間は、所定の順序で配置された広告の組を含むことができる。さらに、これらの広告のうちの特定の1つをターゲット広告などの置換メディアコンテンツに置き換えられるように指定又は動的に選択することもできる。
【0006】
この構成では、再生装置が、特定の広告を表示する前に置換メディアコンテンツを取得して、この特定の広告の代わりに置換メディアコンテンツを表示のために提供することができる。例えば、再生装置は、置換すべき特定の広告の直前にコンテンツを再生している、或いはまさにコンテンツを再生しようとしていると判定したことに応答して、データベースからターゲット広告を検索し、適切な時点で特定の広告の代わりにターゲット広告を表示のために提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、方法例を開示する。この方法は、(i)再生装置が、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、(ii)再生装置が、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えるトリガに遭遇することと、(iii)再生装置が、第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、(iv)再生装置が、第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを決定することと、(v)再生装置が、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを調整することと、(vi)再生装置が、トリガに遭遇したことに応答して、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを提示することと、を含む。
【0008】
別の態様では、非一時的コンピュータ可読媒体例を開示する。このコンピュータ可読媒体は、プロセッサによる実行時に、(i)第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、(ii)第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えるトリガに遭遇することと、(iii)第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、(iv)第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを決定することと、(v)第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを調整することと、(vi)トリガに遭遇したことに応答して、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを提示することと、を含む一連の動作を実行させるプログラム命令を記憶している。
【0009】
別の態様では、コンピュータシステム例を開示する。このコンピュータシステムは、(i)第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することと、(ii)第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えるトリガに遭遇することと、(iii)第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することと、(iv)第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを決定することと、(v)第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを調整することと、(vi)トリガに遭遇したことに応答して、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを提示することと、を含む一連の動作を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】コンピュータ装置例の簡略ブロック図である。
図2】動的広告挿入(DAI)システム例の簡略ブロック図である。
図3】ある実施形態例による、基準フィンガープリント生成器、クエリフィンガープリント生成器及びビデオ識別システムのコンポーネントを示す簡略ブロック図である。
図4】ある実施形態例による、再生装置及び置換コンテンツサーバのコンポーネントを示す簡略ブロック図である。
図5】方法例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I.概要
再生装置におけるメディアコンテンツ置換イベント中には、第1のメディアコンテンツの一部の代わりに第2のメディアコンテンツ(すなわち、置換メディアコンテンツ)が提示される。例えば、メディアコンテンツ置換イベント中には、第1のソースから受け取られた第1のメディアコンテンツのセグメントが、第2のソースから受け取られた第2のメディアコンテンツに置換される。この置換を達成するために、再生装置は、第1のソースから受け取られた第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースから受け取られた第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えることができる。
【0012】
いくつかの場合では、再生装置にオーディオ信号を提供する装置によって設定できる第1のソースのいずれかの音量再生情報に再生装置がアクセスできないことがある。この結果、再生装置は、第2のソースからのメディアコンテンツを提示することに切り替えた時に、第1のソースからのコンテンツが提示されているラウドネスレベルに対応しないラウドネスレベルで置換メディアコンテンツを提示することがある。例えば、再生装置は、第1のラウドネスレベルを有する第1のメディアコンテンツを提示することから、第1のラウドネスレベルとは異なる第2のラウドネスレベルを有する第2のメディアコンテンツを提示することに切り替える場合がある。これによって、視聴者のユーザ体験が貧弱又は苛立たしいものになってしまう恐れがある。例えば、ラウドネスが増加すると、視聴者がうるさいと感じることがある。これとは逆に、ラウドネスが低下すると、置換メディアコンテンツが視聴者に聞こえづらく、或いは知覚されなくなってしまうことがある。
【0013】
本明細書では、この及び潜在的にその他の問題に対処する方法及びシステムを開示する。ある方法例では、再生装置が第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することができる。その後、再生装置は、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えるトリガに遭遇することができる。さらに、再生装置は、第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベル及び第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを決定することができる。次に、再生装置は、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように第2のメディアコンテンツのラウドネスを調整することができる。そして、再生装置は、トリガに遭遇したことに応答して、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを提示することができる。有利なことに、第1のラウドネスレベルと第3のラウドネスレベルとの間の差分は、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分よりも小さくすることができ、これによって視聴者体験を改善することができる。
【0014】
本開示の一部は、広告を伴うメディアコンテンツ置換イベントを参照するが、これらの例は限定を意味するものではない。本明細書に開示するシステム及び方法は、1つのソースからのコンテンツストリームの一部である任意のコンテンツセグメントを別のソースからのコンテンツセグメントに置換することにも適用可能である。他のタイプの置換可能コンテンツとしては、気象セグメント、ニュースセグメント、スポーツセグメント、ラジオ広告などを挙げることができる。置換可能コンテンツを含むコンテンツストリームは、インターネット上のサーバ又はURLなどの様々なソースから提供することもできる。従って、以下に示す例は限定を意図するものではない。
【0015】
II.アーキテクチャ例
A.コンピュータ装置
図1は、コンピュータ装置例100の簡略ブロック図である。コンピュータ装置100は、本開示において説明するような様々な動作及び/又は機能を実行することができる。コンピュータ装置100は、プロセッサ102、データストレージユニット104、通信インターフェイス106及び/又はユーザインターフェイス108などの様々なコンポーネントを含むことができる。これらのコンポーネントは、接続機構110を介して互いに(或いは別の装置、システム又はその他のエンティティに)接続することができる。
【0016】
プロセッサ102は、汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)及び/又は専用プロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP))を含むことができる。
【0017】
データストレージユニット104は、磁気ストレージ、光学ストレージ又はフラッシュストレージなどの1又は2以上の揮発性、不揮発性、取り外し可能及び/又は取り外し不可能な記憶要素を含むことができ、及び/又は全体的又は部分的にプロセッサ102と一体化することができる。さらに、データストレージユニット104は、プロセッサ102によって実行された時に本開示において説明するような1又は2以上の動作及び/又は機能をコンピュータ装置100に実行させるプログラム命令(例えば、コンパイラ型又は非コンパイラ型プログラムロジック及び/又は機械コード)を記憶した非一時的コンピュータ可読記憶媒体の形態を取ることができる。従って、コンピュータ装置100は、本開示において説明するような1又は2以上の動作及び/又は機能を実行するように構成することができる。このようなプログラム命令は、離散的ソフトウェアアプリケーション(discrete software application)を定め、及び/又はこのような離散的ソフトウェアアプリケーションの一部とすることができる。いくつかの例では、コンピュータ装置100が、通信インターフェイス106及び/又はユーザインターフェイス108などから入力を受け取ったことに応答してプログラム命令を実行することができる。データストレージユニット104は、本開示において説明するタイプなどの他のタイプのデータを記憶することもできる。
【0018】
通信インターフェイス106は、コンピュータ装置100が1又は2以上のプロトコルに従って別のエンティティと接続及び/又は通信することを可能にすることができる。1つの例では、通信インターフェイス106を、イーサネットインターフェイス又は高解像度シリアルデジタルインターフェイス(HD-SDI)などの有線インターフェイスとすることができる。別の例では、通信インターフェイス106を、セルラ又はWI-FIインターフェイスなどの無線インターフェイスとすることができる。本開示では、接続を直接的接続とすることも、或いはルータ、スイッチャ又はその他のネットワーク装置などの1又は2以上のエンティティを通過及び/又は横断する接続である間接的接続とすることもできる。同様に、本開示では、送信を直接送信又は間接送信とすることができる。
【0019】
ユーザインターフェイス108は、妥当な場合にコンピュータ装置100とコンピュータ装置100のユーザとの間の相互作用を容易にすることができる。従って、ユーザインターフェイス108は、キーボード、キーパッド、マウス、タッチセンサ式パネル、マイク及び/又はカメラなどの入力要素、及び/又は(例えば、タッチセンサ式パネルと組み合わせることができる)ディスプレイ装置、サウンドスピーカ及び/又は触覚フィードバックシステムなどの出力要素を含むことができる。より一般的に言えば、ユーザインターフェイス108は、コンピュータ装置100とコンピュータ装置100のユーザとの間の相互作用を容易にするハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントを含むことができる。
【0020】
コンピュータ装置100は、ワークステーション端末、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、携帯電話機又はテレビなどの様々な形態を取ることができる。
【0021】
B.動的広告挿入(DAI)システム
図2は、DAIシステム例200の簡略ブロック図である。DAIシステム200は、メディアコンテンツ(例えば、オーディオコンテンツ及び/又はビデオコンテンツ)の配信及び/又は提示に関連する様々な動作及び/又は機能を実行することができ、コンピュータシステムとして実装することができる。
【0022】
DAIシステム200は、視聴ステーション(watching station)210、コンテンツソース220、メディア装置230、再生装置240、ビデオ識別システム250及び置換コンテンツサーバ260などの様々なコンポーネントを含むことができ、これらはそれぞれコンピュータシステムとして実装することができる。視聴ステーション210は、放送局、ウェブサーバ又はケーブルテレビ(TV)局などのコンテンツソース220からビデオ及びその他のマルチメディアコンテンツを受け取ることができる。例えば、コンテンツソース220は、テレビチャンネルを介して視聴ステーション210にメディアをストリーミング又は送信するTV局又はTVネットワークなどの放送局、及び/又はネットワーク270を介して視聴ステーション210にメディアをストリーミング又は送信するウェブサイトなどのウェブサービスとすることができる。視聴ステーション210は、コンテンツソース220から受け取られたビデオコンテンツの基準フィンガープリントを生成する基準フィンガープリント生成器212を含む。
【0023】
メディア装置230は、放送チャンネル及び/又はネットワーク270などを介してコンテンツソース220からビデオ及びその他のマルチメディアコンテンツを受け取ることができる。メディア装置230は、コンテンツを再生装置240に送る前に受け取ったコンテンツを修正することができる。メディア装置230は、ビデオコンテンツの入力ストリームを受け取り、入力ストリームを処理することによってビデオコンテンツの出力ストリームを生成するように構成されたチューナを含むことができる。メディア装置230は、多チャンネル映像番組配信事業者が利用する地上波放送、ケーブル及び/又は衛星放送ネットワークなどのビデオコンテンツ配信ネットワークを介してビデオコンテンツにアクセスできるように、チューナ、デコーダ及びその他のハードウェア及び/又はソフトウェアを備えた装置とすることができる。これに加えて又はこれに代えて、メディア装置230は、インターネットビデオストリーミングサービスにアクセスする装置が使用するワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)を通じてビデオコンテンツにアクセスできるように、ネットワークアダプタ、デコーダ及びその他のハードウェア及び/又はソフトウェアを備えた装置とすることもできる。メディア装置230は、再生装置240のスピーカ及びディスプレイがユーザにビデオコンテンツを提示するために使用できる信号(例えば、デジタル又はアナログ信号)を出力することができる。
【0024】
再生装置240は、ビデオ及び/又はその他のマルチメディアコンテンツのストリームを受け取って提示できるいずれかの装置(例えば、TV、ラップトップ又はその他のパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット又はその他のモバイル装置、或いはゲーム機)である。再生装置240は、処理済みのビデオコンテンツストリームを表示するように構成されたディスプレイ又はその他のユーザインターフェイスを含む。ディスプレイは、フラットパネルスクリーン、プラズマスクリーン、発光ダイオード(LED)スクリーン、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)又はプロジェクタとすることができる。再生装置は、1又は2以上のスピーカを含むこともできる。また、再生装置240は、無線放送チャンネルを介してオーディオ及びビデオを受け取るように構成されたアンテナを含むこともできる。
【0025】
ネットワーク270は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワーク(例えば、モバイルネットワーク)などの、装置間の通信を可能にするいずれかのネットワークとすることができる。ネットワーク270は、プライベートネットワーク(例えば、ケーブルテレビネットワーク又は衛星テレビネットワーク)又はパブリックネットワーク(例えば、無線放送チャンネル又はインターネット)を構成する1又は2以上の部分を含むことができる。
【0026】
ビデオ識別システム250は、ネットワーク270を介して視聴ステーション210及び再生装置240と通信することができる。ビデオ識別システム250は、ビデオコンテンツを識別するために、再生装置240のクエリフィンガープリント生成器242がビデオコンテンツから生成したクエリフィンガープリントを受け取り、視聴ステーション210の基準フィンガープリント生成器212が生成した既知のフィンガープリントのインデックスを問い合わせることができる。クエリフィンガープリントは、ビデオコンテンツ内のフレーム又はフレームブロックのフィンガープリントとすることができる。ビデオ識別システムは、クエリフィンガープリントと1又は2以上の基準フィンガープリントとを照合することによってビデオコンテンツを識別することができる。いくつかの例では、ビデオ識別システム250を、再生装置240又はメディア装置230のコンポーネント又はモジュールとすることができる。
【0027】
ビデオ識別システム250は、ビデオコンテンツを識別すると、ビデオコンテンツに関連する置換メディアコンテンツ(例えば、代替番組又は代替コマーシャル)の識別子を再生装置240に戻すことができる。置換メディアコンテンツは、置換コンテンツサーバ260に記憶することができる。再生装置240は、識別子を使用して置換コンテンツサーバ260から置換メディアコンテンツにアクセスし、その後に置換メディアコンテンツを表示のために提供することができる。或いは、置換コンテンツサーバ260又は別のコンピュータシステムは、置換メディアコンテンツを再生装置240又はメディア装置230のローカルキャッシュに記憶されるように前もって(例えば、メディア装置230が置換動作を実行するようにスケジュールされている数秒前、数分前又は数時間前に)再生装置240又はメディア装置230に送信しておくこともできる。この実装では、再生装置240が、ローカルキャッシュから置換メディアコンテンツにアクセスした後に、置換メディアコンテンツを表示のために提供することができる。このローカルキャッシュ技術の採用は、再生装置240が置換動作の実行までに置換メディアコンテンツを受け取ることを確実にするのに役立つことができる。例えば、再生装置240が信頼できない又は予測できないインターネット接続を有している状況では、このことが特に有用となり得る。
【0028】
図2に示す任意の装置には、任意のモジュール、システム及び/又は生成器を配置することができる。例えば、ビデオ識別システム250は、クエリフィンガープリント生成器242を含むことができる。この構成では、ビデオ識別システムが再生装置240からビデオコンテンツのフレームを受け取り、このビデオコンテンツのフレームを使用してクエリフィンガープリントを生成することができる。別の例として、メディア装置230及び再生装置240を単一の装置内で統合することもできる。他の変形例も可能である。
【0029】
本開示のDAIシステム200及び他の部分の説明は、フィンガープリント法を使用したビデオコンテンツの識別を参照するが、この例は限定を意図するものではない。本明細書に開示するシステム及び方法は、透かし法を使用してビデオコンテンツを識別することもできる。例えば、視聴ステーション210は、ビデオコンテンツ内に透かし(例えば、オーディオ透かし又はビデオ透かし)を埋め込むことができる。この方法では、再生装置240がビデオコンテンツ内の透かしを検出して、この透かしをビデオ識別システム250に送信することができる。或いは、再生装置240がビデオコンテンツのフレームをビデオ識別システムに送信し、ビデオ識別システム250がビデオコンテンツのフレーム内の透かしを検出することもできる。ビデオ識別システム250は、透かしを取得した後に、この透かしを使用してビデオコンテンツを識別し、ビデオコンテンツに関連する置換メディアコンテンツの識別子を再生装置240に戻すことができる。
【0030】
図3は、基準フィンガープリント生成器212、クエリフィンガープリント生成器242及びビデオ識別システム250のコンポーネントを示す簡略ブロック図である。図3に示すように、クエリフィンガープリント生成器242は、(例えば、バス、共有メモリ又はスイッチを介して)互いに通信するように構成されたパッチ選択モジュール243及び値計算モジュール244を含む。さらに、ビデオ識別システム250は、インデックスモジュール252、フィンガープリント照合モジュール254及び識別モジュール256を含み、これらは全て互いに通信するように構成される。さらに、基準フィンガープリント生成器212は、互いに通信するように構成されたパッチ選択モジュール214及び値計算モジュール216を含む。
【0031】
図3に示すモジュールのうちの1つ又は2つ以上は、ハードウェア(例えば、機械のプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC))、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実装することができる。さらに、図3に示すモジュールのうちのいずれか2つ又は3つ以上を単一モジュールに組み合わせ、本明細書で説明する単一モジュールの機能を複数のモジュール間で細分割することもできる。
【0032】
上記の説明によれば、クエリフィンガープリント生成器242及び基準フィンガープリント生成器212は、ビデオコンテンツの1又は2以上のフレームのクエリフィンガープリントを生成するように構成することができる。例えば、クエリフィンガープリント生成器242及び基準フィンガープリント生成器212は、ビデオコンテンツ内の1又は2以上のフレームのパッチ(patches)の値を計算することができる。パッチは、フレーム内の異なる位置に存在することができる。クエリフィンガープリント生成器242及び基準フィンガープリント生成器212は、複数のフレームからのクエリフィンガープリントを組み合わせてビデオコンテンツのフレームブロックのクエリフィンガープリントを生成するように構成することができる。
【0033】
一例として、クエリフィンガープリント生成器242のパッチ選択モジュール243は、ビデオコンテンツ内の1又は複数のフレームの1又は2以上の領域に関連するパッチなどのビデオコンテンツの複数のパッチを選択するように構成することができる。同様に、基準フィンガープリント生成器212のパッチ選択モジュール214も、ビデオコンテンツ内の1又は複数のフレームの1又は2以上の領域に関連するパッチなどのビデオコンテンツの複数のパッチを選択するように構成することができる。
【0034】
パッチは、フレームを2×2グリッド、4×3グリッド又は4×4グリッドなどのグリッドに分割し、このグリッドに基づいてパッチを選択することによって定めることができる。例えば、フレームの象限(quadrants)に対応する4つの大パッチと、各象限のサブ象限(sub-quadrants)に対応する4つの小パッチ(すなわち、合計16個の小パッチ)とを含む20個のパッチを選択することができる。いくつかの例では、パッチが重なり合うこともできる。さらに、パッチは、フレーム全体よりも小さく累積的に広がることもできる。
【0035】
クエリフィンガープリント生成器242の値計算モジュール244は、例えば積分画像法(integral image technique)を使用して、選択された複数のパッチの各々の値を計算するように構成することができる。積分画像法は、画素グループの値の総和を生成するエリア総和テーブル(summed area table)又はその他のデータ構造を使用して値を計算することができる。同様に、基準フィンガープリント生成器212の値計算モジュール216も、例えば積分画像法を使用して、選択された複数のパッチの各々の値を計算するように構成することができる。
【0036】
いくつかの例では、値計算モジュール244及び値計算モジュール216が、パッチを含む画素グループの値を合計し、画素グループの値を平均し、又は画素グループの中央値を求めることによってパッチの値を計算することができる。これに加えて又はこれに代えて、値計算モジュール244及び値計算モジュール216は、画素グループの値間の差分を計算し、又は画素グループの値の線形結合を計算することによってパッチの値を計算することもできる。
【0037】
ビデオ識別システム250のインデックスモジュール252は、クエリフィンガープリントに一致する可能性がある基準フィンガープリントを識別するために、視聴ステーション210又はビデオ識別システム250に記憶された既知のフィンガープリントのデータベースなどの、ビデオコンテンツの既知の基準フィンガープリントのデータベースに問い合わせを行うように構成することができる。インデックスモジュール252は、既知の基準フィンガープリントの量子化されたパッチ値のインデックスを問い合わせるように構成することができる。
【0038】
ビデオ識別システムのフィンガープリント照合モジュール254は、クエリフィンガープリントを1又は2以上の既知の基準フィンガープリントと比較して、クエリフィンガープリントが少なくとも1つの既知の基準フィンガープリントに一致すると判定するように構成することができる。例えば、フィンガープリント照合モジュール254は、クエリフィンガープリントと少なくとも1つの既知の基準フィンガープリントとの間の類似性が所定の閾値を満たすと判定することによって、クエリフィンガープリントが少なくとも1つの既知の基準フィンガープリントに一致すると判定することができる。所定の閾値は、谷本距離測定値、マンハッタン距離測定値、又はその他の距離測定値に関連することができる。これに加えて又はこれに代えて、フィンガープリント照合モジュール254は、ユークリッド法、コサイン法、KLダイバージェンス法及び/又は板倉照合法などの他の照合法を使用することもできる。
【0039】
さらに、識別モジュール256は、クエリフィンガープリントが少なくとも1つの基準フィンガープリントに一致するとの判定に基づいてビデオコンテンツを識別するように構成することができる。例えば、識別モジュール256は、ビデオコンテンツの名称又はタイトル、再生装置240が現在提示しているビデオコンテンツ内の位置、及び/又はビデオコンテンツを提供しているチャンネル又は放送局を識別することができる。
【0040】
図4は、再生装置240及び置換メディアサーバ260のコンポーネントを示す簡略ブロック図である。図4に示すように、再生装置240は、クエリフィンガープリント生成器242に加えて、互いに通信するように構成できるオーディオ分析モジュール245及び再生修正モジュール246を含む。さらに、置換コンテンツサーバ260は、ビデオ提供モジュール262を含む。
【0041】
上記の説明によれば、再生装置240は、メディアコンテンツ置換イベントを実行するトリガに遭遇することができる。メディアコンテンツ置換イベントは、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えることを伴うことができる。第1のソースは、第1のコンテンツパイプとすることができ、第2のソースは、第1のコンテンツパイプとは異なる第2のコンテンツパイプとすることができる。例えば、第1のソースは、無線アンテナ又はメディア装置230のいずれかとすることができ、第2のソースは、インターネット又は再生装置240のローカルキャッシュのいずれかとすることができる。特定の例として、第1のメディアコンテンツは、無線アンテナ又はメディア装置230を介して受け取られる第1のマルチメディアセグメントとすることができ、第2のメディアコンテンツは、ネットワーク270を介して置換コンテンツサーバ260から受け取られて再生装置240のローカルキャッシュに記憶される第2のマルチメディアセグメントとすることができる。或いは、第1のソースを無線アンテナとし、第2のソースをメディア装置230とすることもできる。別の例として、第1のソースをネットワーク270とし(例えば、第1のメディアコンテンツをマルチメディアストリームとし)、第2のソースを再生装置240のローカルキャッシュ又はメディア装置230のいずれかとすることもできる。
【0042】
トリガに遭遇することは、置換すべき第2のセグメントの直前に生じる第1のセグメントを再生装置240が提示していると判定することを伴うことができる。再生装置240は、上述したフィンガープリント法又は透かし法のいずれかを使用して、第1のセグメントが提示されていると判定することができる。或いは、トリガに遭遇することは、再生装置240が別の装置から置換コマンドを受け取ることを伴うこともできる。
【0043】
再生装置240は、オーディオ分析モジュール245に、第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定するように命令することができる。オーディオ分析モジュール245は、トリガに遭遇する前に第1のラウドネスレベルを決定することができる。第1のラウドネスレベルは、再生装置240が第1のメディアコンテンツを提示している時にオーディオ分析モジュール245が継続的又は断続的に決定する移動平均とすることができる。1つの例では、オーディオ分析モジュール245が、第1のメディアコンテンツの最近提示された部分(例えば、過去1分、過去30秒など)のラウドネスレベル(例えば、二乗平均平方根(RMS))を固定間隔ベースで計算することができる。第1のラウドネスレベルは、ラウドネスメータを使用して計算することができる。オーディオ分析モジュール245は、時間の経過と共に、第1のメディアコンテンツの複数の部分のラウドネスレベルを共に平均化することができる(例えば、5つの1分部分の平均)。第1のメディアコンテンツの複数の部分は、互いに重なり合った部分又は分離した部分とすることができる。さらに、所望数のラウドネスレベルが取得されると、オーディオ分析モジュール245は、第1のラウドネスレベルの移動平均に達するように、最も古い(最も古くなった)ラウドネスレベルを新たな(直前の)ラウドネスレベルに置換し始めることができる。他の例も可能である。
【0044】
ラウドネスメータは、再生装置240上、及び/又は再生装置240が通信可能に接続されたサーバ装置上で実行されるように構成されたソフトウェアモジュールを含むことができる。ソフトウェアモジュールは、国際電気通信連合によって推奨されるものなどの、第1のラウドネスレベルを決定する様々なフィルタリングアルゴリズムを実行することができる。ソフトウェアモジュールは、オーディオ信号の複数のチャンネルの個々のラウドネスを測定した後に、個々のラウドネス測定値を平均化し、加算してラウドネスレベルを決定することができる。
【0045】
いくつかの例では、第1のメディアコンテンツのラウドネスレベルプロファイル(すなわち、一定期間にわたるラウドネス)をサーバによってストリームとして又はバルクで再生装置240に提供することができる。ラウドネスレベルプロファイルは、第1のメディアコンテンツにおいてラウドネスが時間と共にどのように変化するかを特徴付けることができる。このラウドネスレベルプロファイルは、例えばサーバ側で事前計算して、決定された固定音量値(例えば、平均ラウドネス、又は何らかの目標音量尺度)に関連付けておくことができる。その後、オーディオ分析モジュール245は、このラウドネスレベルプロファイルと、第1のメディアコンテンツから測定されるラウドネス値とを整列させた後に、装置によって観測された第1のメディアコンテンツと(サーバにおいて遠隔的に分析された)基準とのレベル差を第1のラウドネスレベルとして決定することができる。その後、この差分を確実に使用して第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを修正することができる。
【0046】
いくつかの例では、再生装置240がチャンネル変更イベントを検出することができる。再生装置240は、チャンネル変更イベントを検出すると、オーディオ分析モジュール245に第1のラウドネスレベルの移動平均をリセットするように命令することができる。1つの例として、再生装置240は、第1のメディアコンテンツのオーディオ及び/又はビデオフィンガープリンティングを使用してチャンネル変更イベントを検出することができる。別の例として、再生装置240は、第1のメディアコンテンツを提供する装置から、チャンネル変更が発生したことを示す信号(例えば、高精細マルチメディアインターフェイス信号)を受け取ることもできる。従って、再生装置240は、この信号の受信に基づいてチャンネル変更イベントが発生したと判定することができる。別の例として、再生装置240は、テンプレートマッチングを使用して、第1のメディアコンテンツを提供する装置(例えば、図2のメディア装置230)によってチャンネル変更に関連して提示されるチャンネルバーの表示を認識することによってチャンネル変更イベントを検出することもできる。
【0047】
第2のメディアコンテンツの提示が予定されている時点の閾値時間内などのメディアコンテンツ置換イベントの直前にチャンネル変更イベントが発生した場合は、オーディオ分析モジュール245が第1のラウドネスレベルを他の様々な方法で決定することができる。例えば、オーディオ分析モジュール245は、それまでのチャンネルから測定されたラウドネスレベルを第1のラウドネスレベルとして使用することができる。別の例として、オーディオ分析モジュール245は、新たなチャンネルのための以前に決定されたラウドネスレベルを第1のラウドネスレベルとして使用することもできる。さらに別の例として、オーディオ分析モジュール245は、デフォルトラウドネスレベルを第1のラウドネスレベルとして使用することもできる。
【0048】
或いは、第2のメディアコンテンツの提示が予定されている時点の閾値時間内にチャンネル変更イベントが発生した場合、再生装置240がメディアコンテンツ置換イベントの中止を選択することもできる。同様に、第1のラウドネスレベルが非常に低いもの(例えば、-60dBFS未満)として検出された場合、又はオーディオ信号が完全に欠損/無音状態である場合にも、再生装置240がメディアコンテンツ置換イベントを実行しないように決定することができる。同様に、再生装置240の音量設定が小さい/ミュートされている場合にも、再生装置240がメディアコンテンツ置換イベントの実行を行わないことができる。
【0049】
置換コンテンツサーバ260のビデオ提供モジュール262は、再生装置240に第2のメディアコンテンツを提供することができる。例えば、ビデオ識別システム250は、再生装置240が表示しているビデオコンテンツを識別することができ、ビデオ提供モジュール262は、識別されたビデオコンテンツに基づいて、ビデオコンテンツに対応する置換メディアコンテンツを再生装置240に提供することができる。
【0050】
上記の説明によれば、再生装置240は、ネットワーク通信インターフェイスを介して第2のメディアコンテンツを受け取ることができる。例えば、第2のメディアコンテンツは、インターネットを介して再生装置240にストリーミングされた後に再生装置240のローカルキャッシュに記憶された置換メディアコンテンツとすることができる。再生装置240は、第2のメディアコンテンツを一連のメディアコンテンツに挿入するトリガに遭遇すると、ローカルキャッシュから置換メディアコンテンツを検索し、メディアファイルを表示するように構成されたメディアプレーヤを使用して置換メディアコンテンツを表示することができる。再生装置240がメディアプレーヤを使用して置換メディアコンテンツを表示のために提供すると、メディアプレーヤは、メディア装置又はアンテナから受け取られたメディアコンテンツなどの他のメディアコンテンツが表示のために提供される別の層の上位に存在するメディアプレーヤ層に置換メディアコンテンツを提示することができる。
【0051】
いくつかの例では、第2のメディアコンテンツを表示のために提供することが、メディア装置230又はアンテナから受け取られたメディアコンテンツを提供することから、再生装置240のデータベースに記憶された置換メディアコンテンツを提供することに切り替えることを伴うことができる。再生装置240は、フレームバッファを含むシステムオンチップを含むことができる。再生装置240のメディアプレーヤは、置換メディアコンテンツを表示のために提供するために、置換メディアコンテンツをフレームバッファに挿入することができる。システムオンチップは、置換メディアコンテンツをフレームバッファに挿入する前に、メディア装置230から受け取られたメディアコンテンツをフレームバッファに挿入しておくことができる。
【0052】
第2のメディアコンテンツは、置換広告を含むことができる。例えば、第2のメディアコンテンツは、一般広告の代わりとすべきターゲット広告を含むことができる。1つの例として、ターゲット広告は地方広告とすることができ、一般広告は全国広告とすることができる。別の例として、ターゲット広告は、再生装置240のユーザの人口統計データに基づいて選択された広告とすることもできる。
【0053】
再生装置240のオーディオ分析モジュール245は、第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを様々な方法で決定することができる。1つの例として、オーディオ分析モジュール245は、置換コンテンツサーバ260から第2のメディアコンテンツと共に受け取られる補助的情報に基づいて第2のラウドネスレベルを決定することができる。例えば、第2のラウドネスレベルは、第2のメディアコンテンツのヘッダ情報内で指定することができる。別の例として、オーディオ分析モジュール245は、第2のメディアコンテンツに関連するオーディオ信号を処理することによって第2のラウドネスレベルを決定することもできる。さらに別の例として、オーディオ分析モジュール245は、広告が従うように意図されたデフォルトラウドネスレベルを第2のラウドネスレベルとして使用することもできる。
【0054】
いくつかの例では、第1のラウドネスレベル及び第2のラウドネスレベルを絶対尺度で指定することができる。他の例では、第1のラウドネスレベル及び第2のラウドネスレベルをデシベルで指定することができる。第1のラウドネスレベル及び第2のラウドネスレベルは、K-weighting relative to full scale(LKFS)などの知覚的音量重み付けを含むことができる。
【0055】
再生修正モジュール246は、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて第2のメディアコンテンツのラウドネスを調整することができる。例えば、再生修正モジュール246は、第1のラウドネスレベルの方が第2のラウドネスレベルよりも低いと判定すると、第2のメディアコンテンツのラウドネスを低下させることができる。ラウドネスレベルを低下させることは、第2のメディアコンテンツのラウドネスを、第2のラウドネスレベルから第3のラウドネスレベルに低下させることを伴うことができる。第3のラウドネスレベルは、第1のラウドネスレベルにほぼ等しいものとすることができる。或いは、第3のラウドネスレベルは、第2のラウドネスレベルと第1のラウドネスレベルとの間のレベルとすることもできる。
【0056】
一方で、再生修正モジュール246は、第1のラウドネスレベルの方が第2のラウドネスレベルよりも高いと判定すると、第2のメディアコンテンツのラウドネスを高めることができる。例えば、再生修正モジュール246は、第2のメディアコンテンツのラウドネスを、第2のラウドネスレベルから第3のラウドネスレベルに高めることができる。第3のラウドネスレベルは、第1のメディアコンテンツのラウドネスレベルにほぼ等しいものとすることができる。或いは、第3のラウドネスレベルは、第2のラウドネスレベルと第1のラウドネスレベルとの間のレベルとすることもできる。
【0057】
第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを調整することは、オーディオ信号を復号した後に第2のメディアコンテンツのオーディオ信号を調整することを伴うことができる。例えば、再生修正モジュール246は、オーディオ信号を減衰させてラウドネスを低下させ、或いは逆にオーディオ信号を増幅させてラウドネスを高めることができる。再生修正モジュール246は、オーディオ信号のラウドネスを増幅させる場合、圧縮器を使用してオーディオ信号の最低点と最高点との間の差分を低減し、及び/又はリミッタを使用していずれかのピークが閾値を超えるのを防ぐことができる。
【0058】
いくつかの例では、再生修正モジュール246が、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分が閾値条件を満たすと判定し、閾値条件を満たす差分に基づいて第2のメディアコンテンツのラウドネスを調整することができる。これとは逆に、この差分が閾値条件を満たさない場合、再生修正モジュール246は、第2のメディアコンテンツのラウドネスの調整をせず、メディアコンテンツ置換イベント中に第2のメディアコンテンツを提示することができる。この閾値条件は、例えば差分が閾値量よりも大きい状態とすることができる。
【0059】
ある使用事例では、メディアコンテンツ置換イベントの実行前に、再生装置240が映画を提示することができる。メディアコンテンツ置換イベントは、映画内のコマーシャル時間中に実行され、置換可能広告を置換広告の形態の第2のメディアコンテンツに置換することを伴うことができる。さらに、置換可能広告は、置換可能広告に先行する映画の部分よりも高いラウドネスレベルを有することができる。再生装置240は、置換広告の前に提示されている映画の部分のラウドネスレベルに従って置換広告のラウドネスレベルを低下させることによって、より心地良い(例えば、苛立ち又は不快感の少ない)ユーザ体験を提供することができる。
【0060】
III.動作例
図5は、方法例500のフローチャートである。方法500は、再生装置240などの再生装置、又はより一般的にはコンピュータシステムによって実行することができる。方法500は、ブロック502において、再生装置が、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することを含む。方法500は、ブロック504において、再生装置が、第1のソースからの第1のメディアコンテンツを提示することから、第2のソースからの第2のメディアコンテンツを提示することに切り替えるトリガに遭遇することを含む。方法500は、ブロック506において、再生装置が、第1のメディアコンテンツの第1のラウドネスレベルを決定することを含む。方法500は、ブロック508において、再生装置が、第2のメディアコンテンツの第2のラウドネスレベルを決定することを含む。方法500は、ブロック510において、再生装置が、第1のラウドネスレベルと第2のラウドネスレベルとの間の差分に基づいて、第2のラウドネスレベルとは異なる第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを生成するように第2のメディアコンテンツのラウドネスレベルを調整することを含む。方法500は、ブロック512において、再生装置が、トリガに遭遇したことに応答して、第3のラウドネスレベルを有する修正されたメディアコンテンツを提示することを含む。
【0061】
IV.変形例
本開示において説明した動作及び/又は機能のいくつかは、特定のエンティティが実行するものとして説明したが、本開示において説明したエンティティなどのあらゆるエンティティが実行することができる。さらに、これらの動作及び/又は機能は特定の順序で記載しているが、記載した順序で実行する必要はない。しかしながら、いくつかの例では、これらの動作及び/又は機能を記載した順序で実行することが望ましい場合もある。さらに、各動作及び/又は機能は、他の動作及び/又は機能のうちの1つ又は2つ以上に応答して実行することができる。また、本開示に示す利点のうちの1つ又は2つ以上を達成するためにこれらの動作及び/又は機能を全て実行する必要はなく、従って全ての動作及び/又は機能が必要であるとは限らない。
【0062】
本開示の1又は2以上の実施例に関連していくつかの変形例を説明したが、これらの変形例は、本開示の他の全ての実施例に適用することもできる。
【0063】
本開示の選択例について説明したが、当業者にはこれらの例の変更及び置換が明らかであろう。以下の特許請求の範囲に記載する本発明の幅広い態様では、本発明から逸脱することなく他の修正、代用及び/又は変更も可能である。
図1
図2
図3
図4
図5