(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
E03D9/08 F
(21)【出願番号】P 2018153398
(22)【出願日】2018-08-17
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】神 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】持田 真之
(72)【発明者】
【氏名】濱田 純旗
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-283398(JP,A)
【文献】中国実用新案第202755431(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0024123(KR,A)
【文献】中国実用新案第205062962(CN,U)
【文献】中国実用新案第207130845(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0098515(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0284912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部を洗浄する局部洗浄ノズルと、
前記局部洗浄ノズルを収納するケーシングと、
前記局部洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄部と、
前記局部洗浄ノズルに水を供給するチューブと、
を備え、
前記局部洗浄ノズルは、上向きに凸となるように湾曲しており、円弧状の仮想軌道に沿って進退し、前記ケーシングから進出する第1筒部と、前記第1筒部から進出する第2筒部と、を有し、
前記局部洗浄ノズルは、前記局部洗浄ノズルが進出した状態において、前記ノズル洗浄部よりも前方に位置する第1領域を有し、
前記局部洗浄ノズルが前記ケーシングの内部に収納された収納状態において、前記第1領域の後端は、前記仮想軌道の頂点、または、前記頂点よりも前方に位置
し、
前記チューブは、前記局部洗浄ノズルから後方に延び、
前記収納状態において、前記チューブの後端は、前記仮想軌道の頂点、または、前記頂点よりも前方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記収納状態において、前記局部洗浄ノズルの後端は、前記仮想軌道の頂点、または、前記頂点よりも前方に位置することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
腰掛大便器の上に設置され、
前記収納状態において、前記局部洗浄ノズルの前端は、前記腰掛大便器の上面よりも上方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記第2筒部は、吐水口を有し、
前記収納状態において、前記吐水口は、前記第1筒部の内部に収納されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズル洗浄部は、前記局部洗浄ノズルが前記ケーシングの内部に収納されるときに水を吐出することを特徴とする請求項4記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衛生洗浄装置において、従来以上に低シルエットのデザインが求められている。このような状況において、衛生洗浄装置の高さの制約となっているのが、人体局部を洗浄する局部洗浄ノズル(以下、単に「ノズル」とも称する)を有するノズルユニットである。
【0003】
衛生洗浄装置の高さを低くする方法として、腰掛け大便器(以下、単に「便器」とも称する)の後方をえぐり、便器と衛生洗浄装置を一体化することが考えられる。しかし、この方法だと、専用の便器のみでしか衛生洗浄装置を取り付けることができない。そのため、どのような便器にも衛生洗浄装置を取り付けられる、便器の上面に設置されるシートタイプの衛生洗浄装置が好ましい。このようなシートタイプの衛生洗浄装置に搭載されるノズルユニットにおいて、従来の洗浄ポイント、洗浄角度、おしりに干渉しないノズル軌道、便器洗浄時に水没しないノズル伸出ポイント等を守りながら、低シルエット化に対応する手段として、ノズルを上向きに凸の湾曲形状にすることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ノズルを上向きに凸の湾曲形状とすると、局部洗浄時にノズルに付着した汚水や汚物等が、ノズルの収納後にノズルの外表面を伝ってノズルの後方に流れるおそれがある。これにより、例えば、ノズルを収納するケーシングの奥部(ノズルよりも後方の部分)に汚水等が滴下し、奥部に設けられる機能部等の周辺に汚れが溜まってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、上向きに凸の湾曲形状を有する局部洗浄ノズルを設けた際に、ケーシングの奥部に汚れが溜まることを抑制できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、人体局部を洗浄する局部洗浄ノズルと、前記局部洗浄ノズルを収納するケーシングと、前記局部洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄部と、を備え、前記局部洗浄ノズルは、上向きに凸となるように湾曲しており、円弧状の仮想軌道に沿って進退し、前記ケーシングから進出する第1筒部と、前記第1筒部から進出する第2筒部と、を有し、前記局部洗浄ノズルは、前記局部洗浄ノズルが進出した状態において、前記ノズル洗浄部よりも前方に位置する第1領域を有し、前記局部洗浄ノズルが前記ケーシングの内部に収納された収納状態において、前記第1領域の後端は、前記仮想軌道の頂点、または、前記頂点よりも前方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0008】
この衛生洗浄装置によれば、局部洗浄ノズルを、ケーシングから進出する第1筒部と第1筒部から進出する第2筒部とを有する、いわゆる多段ノズルとすることで、ノズルユニットを前後方向に小型化することができる。これにより、ケーシングを前後方向に小型化することができる。また、局部洗浄ノズルを、上向きに凸となるように湾曲した形状とすることで、ノズルユニットを上下方向に小型化することができる。これにより、ケーシングを上下方向に小型化することができる。また、この衛生洗浄装置によれば、局部洗浄時に汚水等が付着する可能性のある第1領域の後端を、収納状態において、仮想軌道の頂点、または、頂点よりも前方に位置するようにすることで、収納状態において、汚水等が第1領域の後端よりも後方に流れることを抑制できる。これにより、ケーシングの奥部に汚水等が滴下することを抑制でき、ケーシングの奥部に汚れが溜まることを抑制できる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記収納状態において、前記局部洗浄ノズルの後端は、前記仮想軌道の頂点、または、前記頂点よりも前方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0010】
この衛生洗浄装置によれば、局部洗浄ノズルの後端を、収納状態において、仮想軌道の頂点、または、頂点よりも前方に位置するようにすることで、収納状態において、汚水等が局部洗浄ノズルの後端よりも後方に流れることを抑制できる。これにより、ケーシングの奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシングの奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、腰掛大便器の上に設置され、前記収納状態において、前記局部洗浄ノズルの前端は、前記腰掛大便器の上面よりも上方に位置することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0012】
この衛生洗浄装置によれば、収納状態において、局部洗浄ノズルの前端を腰掛大便器の上面よりも上方に位置するようにすることで、局部洗浄ノズルの前端を腰掛大便器からできるだけ遠ざけることができる。これにより、ケーシングの奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシングの奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。
【0013】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記第2筒部は、吐水口を有し、前記収納状態において、前記吐水口は、前記第1筒部の内部に収納されることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0014】
この衛生洗浄装置によれば、収納状態において、第2筒部の吐水口を第1筒部の内部に収納されるようにすることで、吐水口周辺に付着した汚水等を収納時に第1筒部によってせきとめることができる。これにより、ケーシングの奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシングの奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、前記ノズル洗浄部は、前記局部洗浄ノズルが前記ケーシングの内部に収納されるときに水を吐出することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0016】
この衛生洗浄装置によれば、局部洗浄ノズルがケーシングの内部に収納されるときにノズル洗浄部から水を吐出することで、ノズルに付着した汚水等を洗い流してからノズルをケーシングの内部に収納することができる。これにより、ケーシングの奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシングの奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。また、ノズル洗浄部から吐出された水によってノズルの滑りがよくなるため、ノズルを収納する際の摺動抵抗をより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の態様によれば、上向きに凸の湾曲形状を有する局部洗浄ノズルを設けた際に、ケーシングの奥部に汚れが溜まることを抑制できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す斜視図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルの各部を模式的に表す分解斜視図である。
【
図5】実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
【
図6】実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
【
図7】実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
【
図8】実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置は、腰掛大便器(便器)800と、その上に設置された衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0020】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。局部洗浄機能部は、例えば、ノズルユニットを含む。また、例えばケーシング400には、使用者の便座200への着座を検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(
図2参照)を操作すると、局部洗浄ノズル(ノズル)473を便器800のボウル801内に進出させたり、ボウル801内から後退させたりすることができる。なお、
図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
【0021】
ノズル473は、人体局部に向けて水(洗浄水)を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cが設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口474aまたはやわらか洗浄吐水口474bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口474cから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0022】
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、「ビデ洗浄」と、を実行することができる。
【0023】
なお、
図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口474cがやわらか洗浄吐水口474bよりもノズル473の先端側に設けられており、やわらか洗浄吐水口474bがおしり洗浄吐水口474aよりもノズル473の先端側に設けられているが、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。また、
図1に表したノズル473では、3つの吐水口が設けられているが、例えば、やわらか洗浄吐水口474bが省略されていてもよいし、4つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
【0024】
実施形態において、おしり洗浄吐水口474aの吐水角度、やわらか洗浄吐水口474bの吐水角度、及びビデ洗浄吐水口474cの吐水角度は、例えば、それぞれ異なる。吐水角度は、例えば、便器800の上面と吐出された水とのなす角度(劣角)である。おしり洗浄吐水口474aの吐水角度は、例えば、43度程度である。やわらか洗浄吐水口474bの吐水角度は、例えば、43度程度である。ビデ洗浄吐水口474cの吐水角度は、例えば、47度程度である。
【0025】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば、以下に説明する電磁弁431、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
【0026】
導水部20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、管路20aを開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
【0027】
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、管路20a内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
【0028】
逆止弁433の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
【0029】
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
【0030】
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
【0031】
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
【0032】
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
【0033】
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
【0034】
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れが無い時に、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
【0035】
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば、管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0036】
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調部454が設けられている。圧力変調部454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のおしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cやノズル洗浄部478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、制御部405に接続されている。圧力変調部454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、管路20a内の水の圧力を変動させる。
【0037】
圧力変調部454の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄部478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471及び流路切替部472は、1つのユニットとして設けてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471及び流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
【0038】
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズル駆動部476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり、ボウル801内から後退したりする。
【0039】
ノズル洗浄部478は、例えば、吐水部から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
【0040】
また、流路切替部472の下流には、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水を、ノズル473に供給するおしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21は、流路切替部472とおしり洗浄吐水口474aとを接続する。やわらか洗浄流路22は、流路切替部472とやわらか洗浄吐水口474bとを接続する。ビデ洗浄流路23は、流路切替部472とビデ洗浄吐水口474cとを接続する。
【0041】
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄部478の吐水部へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
【0042】
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、ビデ洗浄吐水口474c、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
【0043】
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調部454や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズル駆動部476などの動作を制御する。
【0044】
人体検知センサ403は、
図1に表したように、ケーシング400の上面に形成された凹設部409に埋め込まれるように設けられ、便座200に近づいた使用者(人体)を検知する。換言すれば、人体検知センサ403は、衛生洗浄装置100の近傍にいる使用者を検知する。また、便蓋300の後部には透過窓310が設けられている。そのため、便蓋300が閉じた状態において、人体検知センサ403は、透過窓310を介して使用者の存在を検知することができる。制御部405は、例えば、人体検知センサ403による使用者の検知に応答して、便蓋300を自動的に開く。
【0045】
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0046】
図3(a)及び
図3(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す斜視図である。
図3(a)及び
図3(b)に表したように、ノズル473は、第1筒部473aと、第2筒部473bと、を有する。第1筒部473aは、ケーシング400から進出する。第2筒部473bは、第1筒部473aから進出する。この例では、第2筒部473bは、第1筒部473aの内部に収納される。ノズル473は、いわゆる多段ノズルである。このように、ノズル473を多段ノズルとすることで、ノズルユニットを前後方向に小型化することができる。これにより、ケーシング400を前後方向に小型化することができる。
【0047】
また、ノズル473は、上向きに凸となるように湾曲している。このように、ノズル473を上向きに凸となるように湾曲した形状とすることで、ノズルユニットを上下方向に小型化することができる。これにより、ケーシング400を上下方向に小型化することができる。
【0048】
ノズル473は、ノズル473の下方に設けられたノズル支持部480により支持される。ノズル473は、ノズル支持部480の上面の傾斜に沿って移動(摺動)しながら、進出及び後退(進退)する。換言すれば、ノズル支持部480の上面の傾斜は、ノズル473の進退の軌道(後述の仮想軌道VO)に沿う。この例では、ノズル支持部480の上面は、後方から前方に向かって、下方に傾斜している。なお、ノズル支持部480は、例えば、ノズル473を収納する筒状の部材であってもよい。
【0049】
ノズル473を進退させるノズル駆動部476の少なくとも一部は、例えば、ノズル473の下方に設けられる。この例では、ノズル駆動部476の少なくとも一部は、ノズル支持部480の内部に設けられている。このように、ノズル駆動部476の少なくとも一部をノズル473の下方に設けることで、ノズル473の下方の空間をノズル駆動部476の可動域として有効活用することができ、ケーシング400を小型化することができる。
【0050】
ノズル駆動部476は、例えば、モータ、歯車、ケーブルラック(フレキシブルなラックギア)などを有する。ノズル駆動部476は、例えば、モータにより歯車を回転させ、ケーブルラックを動かすことで、ケーブルラックに接続されたノズル473を進退させる。この例では、ケーブルラックは、ノズル473の下方に取りまわされている。換言すれば、ケーブルラックは、ノズル473から後方に延び、下方に湾曲し、さらに前方に湾曲するように設けられている。例えば、ノズル473がケーシング400の内部に収納された収納状態において、ケーブルラックのノズル473と接続されていない側の端部は、ノズル473の下方に位置する。
【0051】
ノズル473には、ノズル473に水を供給するチューブ475が接続されている。チューブ475は、例えば、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、及びビデ洗浄流路23の少なくとも一部を構成する。チューブ475の一端(下流側)は、ノズル473に接続され、チューブ475の他端(上流側)は、チューブ475に水を供給する入水接続部477に接続される。例えば、チューブ475の一部は、ノズル473の内部に位置し、チューブ475の別の一部は、ノズル473の外部に位置している。
【0052】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルの各部を模式的に表す分解斜視図である。
図4(a)は、第1筒部473aを模式的に表す分解斜視図である。
図4(b)は、第2筒部473bを模式的に表す分解斜視図である。
【0053】
図4(a)に表したように、第1筒部473aは、第1胴体部491と、ガイド部492と、を有する。第1胴体部491は、前後方向に連通する中空の筒状であり、内部の空間に第2筒部473bを収納可能である。第1胴体部491の進退方向における断面は、例えば、略真円状である。ガイド部492は、前後方向に連通する中空の筒状であり、第1胴体部491の後端に接続される。ガイド部492は、ノズル駆動部476のケーブルラックがチューブ475と接触しないように、ケーブルラックをガイドする。
【0054】
図4(b)に表したように、第2筒部473bは、第2胴体部493と、ノズルヘッド494と、駆動接続部495と、を有する。第2胴体部493は、後端に開口を有する中空の筒状であり、内部の空間にノズルヘッド494を収納可能である。第2胴体部493の進退方向における断面は、例えば、略真円状である。第2胴体部493の前部上面には、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cが設けられている。ノズルヘッド494は、第2胴体部493の内部であって、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cの下に設けられる。ノズルヘッド494は、チューブ475に接続され、チューブ475から供給された水を、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、またはビデ洗浄吐水口474cから吐出する。ノズルヘッド494に接続されたチューブ475は、駆動接続部495の内部の空間を通って、ノズル473の後方に延びる。駆動接続部495は、前後方向に連通する中空の筒状であり、第2胴体部493の後端に接続される。駆動接続部495は、ノズル駆動部476のケーブルラックと接続される。
【0055】
上述したように、ノズル473は、上向きに凸となるように湾曲している。換言すれば、第1筒部473a及び第2筒部473bは、上向きに凸となるように湾曲している。より具体的には、例えば、第1筒部473aの第1胴体部491及びガイド部492、並びに、第2筒部473bの第2胴体部493及び駆動接続部495は、上向きに凸となるように湾曲している。
【0056】
第1筒部473aの軸心及び第2筒部473bの軸心は、例えば、ノズル473の進退の軌道(後述の仮想軌道VO)に沿う。第1筒部473aの軸心及び第2筒部473bの軸心は、例えば、ノズル473の進退の軌道と同じ曲率半径(後述の第1曲率半径CR1)を有する円弧状である。あるいは、収納状態において、第1筒部473aと第2筒部473bとが重なる部分の軸心は、例えば、ノズル473の進退の軌道に沿う。収納状態において、第1筒部473aと第2筒部473bとが重なる部分の軸心は、例えば、ノズル473の進退の軌道と同じ曲率半径を有する円弧状である。
【0057】
例えば、収納状態において、第2筒部473bに設けられた吐水口(おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474c)は、第1筒部473aの内部に収納される。このように、収納状態において、第2筒部473bの吐水口が第1筒部473aの内部に収納されることで、吐水口周辺に付着した汚水等を収納時に第1筒部473aによってせきとめることができる。これにより、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することを抑制でき、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることを抑制できる。
【0058】
図5~
図7は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
図5~
図7に表したように、衛生洗浄装置100(ケーシング400)は、便器800の上に設置される。ノズル473、チューブ475、入水接続部477、流路切替部472、ノズル支持部480、ノズル洗浄部478、及びノズル駆動部476は、ケーシング400の内部に収納される。ノズル473は、ケーシング400の外部に進出可能である。
【0059】
ノズル473の前方には、ノズル蓋600が設けられている。ノズル蓋600は、ノズル473の前方に設けられた開口に対して開閉可能に設けられる。ノズル蓋600は、ケーシング400の前面に回動可能に軸支されている。ノズル蓋600は、
図5に表したように、ノズル473がケーシング400の内部に収納された収納状態では開口を閉じる閉状態であり、
図6及び
図7に表したように、ノズル473がケーシング400から進出した進出状態では開口を開く開状態である。
【0060】
ノズル洗浄部478は、ノズル支持部480の前端に取り付けられている。ノズル洗浄部478は、洗浄水を吐出する吐水穴が形成された部材(吐水部)478aと、その支持体478bと、を含む。ノズル洗浄部478は、例えば、ノズル473が進退する際に、吐水部478aから機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。なお、この例では、ノズル洗浄部478は、ノズル支持部480と別体で構成されているが、ノズル洗浄部478は、ノズル支持部480と一体で構成されていてもよい。
【0061】
入水接続部477は、流路切替部472に接続される。換言すれば、入水接続部477の一端(下流側)は、チューブ475の上流側に接続され、入水接続部477の他端(上流側)は、流路切替部472に接続される。この例では、入水接続部477の後端は、チューブ475の上流側に接続され、入水接続部477の前端は、流路切替部472に接続されている。
【0062】
入水接続部477及び流路切替部472は、例えば、ノズル473の下方に設けられる。この例では、入水接続部477及び流路切替部472は、ノズル支持部480の内部に設けられている。チューブ475は、ノズル473の下方に取りまわされている。換言すれば、チューブ475は、ノズル473から後方に延び、下方に湾曲し、さらに前方に湾曲して、ノズル473の下方に設けられる入水接続部477に接続されている。
【0063】
なお、本願明細書において、「ノズル473の下方」とは、側面視において仮想軌道VOよりも下方であって、側面視においてノズル473と重ならない位置である。
【0064】
このように、入水接続部477をノズル473の下方に設けることで、チューブ475をノズル473の下方に取りまわすことができる。これにより、ノズル473の下方の空間をチューブ475の可動域として有効活用することができ、ケーシング400を小型化することができる。また、汚水等がチューブ475に付着した場合にも、チューブ475の可動域はノズル473の下方の空間であるため、チューブ475の動きによって周辺の部材やケーシング400の奥部に汚れが拡散することを抑制できる。
【0065】
また、この例では、入水接続部477及び流路切替部472は、ノズル473の真下に設けられている。換言すれば、入水接続部477及び流路切替部472は、ノズル473の下方であって、上面視において、ノズル473と重なる位置に設けられている。このように、入水接続部477をノズル473の真下に設けることで、ノズル473を進退させる際のチューブ475のねじれを抑制できる。これにより、ノズル473及びチューブ475をより安定して動作させることができる。なお、入水接続部477及び流路切替部472は、例えば、ノズル473の下方であって、上面視において、ノズル473と重ならない位置に設けられてもよい。
【0066】
入水接続部477及び流路切替部472の位置は、これに限定されない。入水接続部477及び流路切替部472は、例えば、ノズル473の上方に設けられてもよいし、ノズル473の側方に設けられてもよい。また、チューブ475は、ノズル473の上方に取りまわされてもよいし、ノズル473の側方に取りまわされてもよい。
【0067】
なお、本願明細書において、「ノズル473の上方」とは、側面視において仮想軌道VOよりも上方であって、側面視においてノズル473と重ならない位置である。「ノズル473の側方」とは、側面視においてノズル473と重なる位置である。
【0068】
入水接続部477及び流路切替部472は、ノズル473の真上に設けられてもよい。換言すれば、入水接続部477及び流路切替部472は、ノズル473の上方であって、上面視において、ノズル473と重なる位置に設けられてもよい。このように、入水接続部477をノズル473の真上に設けることで、ノズル473を進退させる際のチューブ475のねじれを抑制できる。これにより、ノズル473及びチューブ475をより安定して動作させることができる。なお、入水接続部477及び流路切替部472は、例えば、ノズル473の上方であって、上面視において、ノズル473と重ならない位置に設けられてもよい。
【0069】
以下、ノズルの動作について説明する。
図5に表したように、ノズルが使用されていない状態では、ノズル473の全体がケーシング400の内部に収納されている。ノズル473によって局部洗浄が行われる際には、まず、
図6に表したように、第2筒部473bが第1筒部473aから前下方に進出する。このとき、第2筒部473bは、仮想軌道VOに沿って移動する。第2筒部473bが前下方に移動すると、第2筒部473bがノズル洗浄部478に接触し、ノズル洗浄部478の吐水部478a及びノズル蓋600が上方に押し上げられる。例えば、第2筒部473bが所定の位置に到達するまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、第2筒部473bが洗浄される。
【0070】
第2筒部473bが所定の位置に到達すると、
図7に表したように、ノズル支持部480に沿って、第1筒部473aが前下方に移動する。このとき、第1筒部473aは、第2筒部473bが第1筒部473aから前方に延びた状態で、第2筒部473bとともに、仮想軌道VOに沿って移動する。例えば、第1筒部473aが所定の位置に到達するまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、第1筒部473a及び第2筒部473bが洗浄される。
【0071】
図7に表したように、第1筒部473aが所定の位置に到達すると、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、またはビデ洗浄吐水口474cから使用者の局部に向けて水が吐出され、洗浄が行われる。
【0072】
局部洗浄が完了すると、ノズル473は、ケーシング400の内部に向けて後上方に移動する。ノズル473が後退する際には、まず、
図6に表したように、第1筒部473aが、所定の位置まで後退する。このとき、第1筒部473aは、第2筒部473bが第1筒部473aから前方に延びた状態で、第2筒部473bとともに、仮想軌道VOに沿って移動する。例えば、第1筒部473aが所定の位置に到達するまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、第1筒部473a及び第2筒部473bが洗浄される。
【0073】
第1筒部473aが所定の位置に到達すると、
図5に表したように、第2筒部473bが後上方に後退し、第1筒部473aに収納される。このとき、第2筒部473bは、仮想軌道VOに沿って移動する。第2筒部473bが第1筒部473aに収納されると、ノズル473の全体がケーシング400の内部に収納される。例えば、第2筒部473bが所定の位置に到達するまでの間に、吐水部478aからの吐水によって、第2筒部473bが洗浄される。
【0074】
このように、ノズル473がケーシング400の内部に収納されるときにノズル洗浄部478から水を吐出することで、ノズル473に付着した汚水等を洗い流してからノズル473をケーシング400の内部に収納することができる。これにより、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することを抑制でき、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることを抑制できる。また、ノズル洗浄部478から吐出された水によってノズル473の滑りがよくなるため、ノズル473を収納する際の摺動抵抗をより小さくすることができる。
【0075】
また、第2筒部473bが第1筒部473aに収納された状態で、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、またはビデ洗浄吐水口474cから吐水することで、第2筒部473bの表面及び第1筒部473aの内部を洗浄(セルフクリーニング)してもよい。
【0076】
図7に表したように、ノズル473は、ノズル473が進出した状態(例えば、第1筒部473a及び第2筒部473bが進出した状態)において、ノズル洗浄部478よりも前方に位置する第1領域R1を有する。第1領域R1は、例えば、第1筒部473aの第1胴体部491及び第2筒部473bの第2胴体部493を含む。第1領域R1の少なくとも一部は、ケーシング400の外部に露出する。つまり、第1領域R1は、局部洗浄時に汚水等が付着する可能性のある領域である。
【0077】
図8は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す側面図である。
図8に表したように、ノズル473がケーシング400の内部に収納された収納状態において、第1領域R1の後端は、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置する。換言すれば、収納状態において、第1領域R1の後端は、前後方向において、仮想軌道VOの頂点VTを超えない。頂点VTは、仮想軌道VOの曲率中心CTの直上に位置する。
【0078】
仮想軌道VOは、ノズル473の進退の軌道である。ノズル473の軸心は、仮想軌道VOに沿う。仮想軌道VOは、例えば、第1曲率半径CR1を有する円弧状である。第1曲率半径CR1は、例えば、100mm以上800mm以下であり、好ましくは500mm程度である。
【0079】
例えば、局部洗浄時に汚水等が付着する可能性のある第1領域R1の後端が、収納状態において、仮想軌道VOの頂点VTよりも後方に位置すると、第1領域R1に付着した汚水等が、ノズル473を伝って第1領域R1の後端よりも後方に流れてしまう。そして、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下し、ケーシング400の奥部に汚れが溜まってしまう。
【0080】
これに対し、実施形態によれば、第1領域R1の後端を、収納状態において、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置するようにする。これにより、第1領域R1に付着した汚水等が、ノズル473を伝って第1領域R1の後端よりも後方に流れることを抑制できる。したがって、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することを抑制でき、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることを抑制できる。
【0081】
また、
図8に表したように、例えば、収納状態において、ノズル473の後端は、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置する。換言すれば、収納状態において、ノズル473の後端は、前後方向において、仮想軌道VOの頂点VTを超えない。ノズル473の後端は、例えば、第1筒部473aの後端である。ノズル473の後端は、例えば、第1筒部473aのガイド部492の後端である。ノズル473の後端は、例えば、第1筒部473aの第1胴体部491の後端であってもよい。
【0082】
このように、ノズル473の後端を、収納状態において、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置するようにすることで、収納状態において、汚水等がノズル473の後端よりも後方に流れることを抑制できる。したがって、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。
【0083】
また、
図8に表したように、例えば、収納状態において、チューブ475の後端は、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置する。換言すれば、例えば、収納状態において、チューブ475の後端は、前後方向において、仮想軌道VOの頂点VTを超えない。これにより、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することをより確実に抑制できる。
【0084】
また、
図8に表したように、例えば、ケーシング400の後端は、仮想軌道VOの頂点VT、または、頂点VTよりも前方に位置する。換言すれば、例えば、ケーシング400の後端は、前後方向において、仮想軌道VOの頂点VTを超えない。これにより、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することをさらに確実に抑制できる。
【0085】
また、
図8に表したように、例えば、入水接続部477の後端は、仮想軌道VOの頂点VTよりも前方に位置する。このように、入水接続部477の後端を、仮想軌道VOの頂点VTよりも前方に位置するようにすることで、チューブ475の長さを確保することができるとともに、チューブ475の折れ曲がりを抑制することができる。
【0086】
また、
図8に表したように、例えば、入水接続部477の後端は、ノズル473の後端よりも前方に位置する。このように、入水接続部477の後端を、ノズル473の後端よりも前方に位置するようにすることで、チューブ475の長さをより確実に確保することができるとともに、チューブ475の折れ曲がりをさらに抑制することができる。
【0087】
また、
図8に表したように、収納状態において、ノズル473の前端は、便器800の上面よりも上方に位置する。便器800の上面は、例えば、便座200と接する面である。便器800の上面は、例えば、便器800に設けられたリムの上面である。このように、収納状態において、ノズル473の前端を便器800の上面よりも上方に位置するようにすることで、ノズル473の前端を便器800からできるだけ遠ざけることができる。これにより、ケーシング400の奥部に汚水等が滴下することをさらに抑制でき、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることをさらに抑制できる。
【0088】
以上説明したように、実施形態によれば、上向きに凸の湾曲形状を有するノズル473を設けた際に、ケーシング400の奥部に汚れが溜まることを抑制できる。
【0089】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0090】
10 給水源、 20 導水部、 21 おしり洗浄流路、 22 やわらか洗浄流路、 23 ビデ洗浄流路、 24 表面洗浄流路、 25 噴霧用流路、 100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 310 透過窓、 400 ケーシング、 401 電源回路、 403 人体検知センサ、 404 着座検知センサ、 405 制御部、 407 排気口、 408 排出口、 409 凹設部、 431 電磁弁、 432 調圧弁、 433 逆止弁、 440 熱交換器ユニット、 442 流量センサ、 450 電解槽ユニット、 452 バキュームブレーカ、 454 圧力変調部、 471 流量調整部、 472 流路切替部、 473 ノズル、 473a 第1筒部、 473b 第2筒部、 474a おしり洗浄吐水口、 474b やわらか洗浄吐水口、 474c ビデ洗浄吐水口、 475 チューブ、 476 ノズル駆動部、 477 入水接続部、 478 ノズル洗浄部、 478a 吐水部、 478b 支持体、 479 噴霧ノズル、 480 ノズル支持部、 491 第1胴体部、 492 ガイド部、 493 第2胴体部、 494 ノズルヘッド、 495 駆動接続部、 500 操作部、 600 ノズル蓋、 800 便器、 801 ボウル、 CT 曲率中心、 CR1 第1曲率半径、 R1 第1領域、 VO 仮想軌道、 VT 頂点