(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
F24H9/02 301A
(21)【出願番号】P 2018084911
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】江田 秋人
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130343(JP,A)
【文献】実開昭60-188134(JP,U)
【文献】特開2015-045425(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/00 - 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁部を有する上面開口状の外装ケース本体、およびこの外装ケース本体の上部に取付けられ、かつ前記外装ケース本体の上面開口部を塞ぐための天板部を有する蓋部材が組み合われた外装ケースと、
この外装ケース内の上部寄り領域に配され、かつ凝縮熱交換器の少なくとも一部分を覆う断熱部材と、
を備えており、
前記蓋部材は、前記天板部の前部から下向きに突出して前記前壁部の上部の前側に重なった配置とされる前側下向き突出片部を、備えている、ヒートポンプ装置であって、
前記断熱部材は、前記前壁部の上部が前記前側下向き突出片部から離間する方向に変形または変位することを阻止するように、前記前壁部に当接する当接部を備えて
おり、
前記断熱部材の前面部には、前記外装ケースの前方に向けて部分的に突出する少なくとも1つの前側凸状部が設けられており、
この前側凸状部の先端部が、前記当接部である
ことを特徴とする、ヒートポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のヒートポンプ装置であって、
前記断熱部材は、前記凝縮熱交換器を載置支持可能な断熱ケース本体と、この断熱ケース本体上に取付けられて前記凝縮熱交換器の上面側を覆う断熱ケース蓋とが組み合わされた断熱ケースであり、
前記断熱ケース本体および断熱ケース蓋の少なくとも一方に、前記当接部が設けられている、ヒートポンプ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヒートポンプ装置であって、
前記外装ケース内に設けられ、かつ前記断熱部材が載置支持される略水平状の載置板を、さらに備えており、
前記前側凸状部は、前記載置板の前端部よりも前記外装ケースの前方側に突出している
、ヒートポンプ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のヒートポンプ装置であって、
前記載置板に起立して設けられており、かつ前記断熱部材に設けられている下部開口状の孔部または凹部に進入することによって前記断熱部材が前記外装ケースの後方側に変位することを規制する位置決め固定用のストッパ部を、さらに備えている
、ヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば給湯装置における湯水加熱用の熱源として用いられるヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートポンプ装置の一例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載のヒートポンプ装置においては、冷凍サイクルを構成する冷媒の蒸発器(蒸発熱交換器)、圧縮機、凝縮熱交換器、および膨張手段が、外装ケース内に収容されている。凝縮熱交換器は、断熱部材(断熱ケース)内に収容された状態とされている。一方、前記外装ケースは、上面開口状の略直方体状であり、その上部には、蓋部材が取付けられている。蓋部材は、外装ケースの上面開口部を覆う天板部と、この天板部の外周縁から下向きに突出する略角筒状の下向き突出片部とを備えており、この下向き突出片部が外装ケースの上部に外嵌するようにして、外装ケースへの取付けが図られている。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、外装ケースの上部に蓋部材を固定させる場合には、蓋部材の略角筒状の下向き突出片部を、外装ケースにビス止めする手段がよく採用される。ただし、このような手段を採用する場合、蓋部材の前部に位置する前側下向き突出片部を、外装ケースの前壁部にビス止めしたのでは、このビス止め部分が目立ち、ヒートポンプ装置の見栄えが悪くなる虞がある。このため、かかる不具合を回避する手段として、蓋部材の左右両側に位置する左側および右側の下向き突出片部など、蓋部材のうちの前側下向き突出片部を除く適所を、外装ケースにビス止めする手段が採用される場合が多い。
ところが、このような手段を採用したのでは、蓋部材の前側下向き突出片部と外装ケースの前壁部との相互間に隙間が生じる虞がある。これでは、外装ケースの防雨・防塵性能などが損なわれてしまう。
これを解消する手段としては、蓋部材の前側下向き突出片部と外装ケースの前壁部との相互間に、シール用パッキンを介装させる手段があるが、このような手段によれば、シール用パッキンの部品コスト、およびその貼付作業のコストが発生し、ヒートポンプ装置の製造コストがその分だけ高価となる不利を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、外観体裁が悪化するなどの不具合を生じさせることなく、簡易な構成により、外装ケースと蓋部材との相互間に不当な隙間が生じないようにすることが可能なヒートポンプ装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供されるヒートポンプ装置は、前壁部を有する上面開口状の外装ケース本体、およびこの外装ケース本体の上部に取付けられ、かつ前記外装ケース本体の上面開口部を塞ぐための天板部を有する蓋部材が組み合われた外装ケースと、この外装ケース内の上部寄り領域に配され、かつ凝縮熱交換器の少なくとも一部分を覆う断熱部材と、を備えており、前記蓋部材は、前記天板部の前部から下向きに突出して前記前壁部の上部の前側に重なった配置とされる前側下向き突出片部を、備えている、ヒートポンプ装置であって、前記断熱部材は、前記前壁部の上部が前記前側下向き突出片部から離間する方向に変形または変位することを阻止するように、前記前壁部に当接する当接部を備えており、前記断熱部材の前面部には、前記外装ケースの前方に向けて部分的に突出する少なくとも1つの前側凸状部が設けられており、この前側凸状部の先端部が、前記当接部であることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、凝縮熱交換器の少なくとも一部分を囲む断熱部材の当接部が、外装ケースの前壁部の上部に当接することにより、前壁部の上部が蓋部材の前側下向き突出片部から離間する方向に変形または変位することは阻止され、前記両者間に不当な隙間が生じることを防止することが可能である。したがって、外装ケースと蓋部材との相互間のシール性をよくし、防雨・防塵性能を良好なものとすることが可能である。
第2に、前記したように、シール性をよくすれば、外装ケースの前壁部と蓋部材の前側下向き突出片部との間に、シール用パッキンを介在させる必要を無くすことができる。その一方、前記したシール性の向上は、凝縮熱交換器用の断熱部材を利用して図られており、専用部品を別途用いる必要もない。このため、ヒートポンプ装置の製造コストを低減することが可能である。
第3に、シール性の向上を図るための断熱部材の当接部は、外部から見えるようなことはなく、また外装ケースの前壁部と蓋部材の前側下向き突出片部とをビス止めする必要もなくすことができる。したがって、ヒートポンプ装置の外観体裁を良好なものとすることも可能である。
第4に、断熱部材の全体のボリュームを無駄に大きくすることなく、前側凸状部の突出高さを適度な高さとすることにより、断熱部材の当接部を、外装ケースの前壁部の上部に適切に当接させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記断熱部材は、前記凝縮熱交換器を載置支持可能な断熱ケース本体と、この断熱ケース本体上に取付けられて前記凝縮熱交換器の上面側を覆う断熱ケース蓋とが組み合わされた断熱ケースであり、前記断熱ケース本体および断熱ケース蓋の少なくとも一方に、前記当接部が設けられている。
【0011】
このような構成によれば、断熱ケースにより凝縮熱交換器の断熱性をよくし、熱交換効率をよくすることが可能であるが、前記当接部は、断熱ケース本体および断熱ケース蓋のいずれに設けられていてもよく、融通性に優れる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記外装ケース内に設けられ、かつ前記断熱部材が載置支持される略水平状の載置板を、さらに備えており、前記前側凸状部は、前記載置板の前端部よりも前記外装ケースの前方側に突出している。
【0015】
このような構成によれば、載置板上に、断熱部材および凝縮熱交換器を載置支持させることが可能であるが、たとえば外装ケースの前壁部が変形して載置板の前部に当接するといったことも、断熱部材の前側凸状部によって防止することが可能である。外装ケースの前壁部が載置板に当接すると、たとえば、金属板どうしの衝突音などの異音が発生する虞
があるが、前記構成によれば、そのような虞をなくすことが可能である。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記載置板に起立して設けられており、かつ前記断熱部材に設けられている下部開口状の孔部または凹部に進入することによって前記断熱部材が前記外装ケースの後方側に変位することを規制する位置決め固定用のストッパ部を、さらに備えている。
【0017】
このような構成によれば、簡易な構造により、断熱部材の位置決め固定を適切に図ることができる。たとえば、断熱部材が外装ケースの前壁部によって外装ケースの後方側に押された際に、不当に位置ずれするといったことを防止する上で、好ましいものとなる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るヒートポンプ装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すヒートポンプ装置の一部省略分解斜視図である。
【
図5】
図1に示すヒートポンプ装置で用いられている断熱ケース本体の一例を示す要部斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1および
図2に示すヒートポンプ装置Aは、たとえばCO
2などを冷媒とする冷凍サイクルを構成する機器として、ファン10を利用して取り込まれる空気から熱を吸収する蒸発熱交換器1(蒸発器)、圧縮機2、湯水加熱用の凝縮熱交換器3、および膨張弁4を備えており、これらが外装ケースC内に配された構成である。凝縮熱交換器3は、断熱ケース5内に収容されている。
【0022】
外装ケースCは、上面開口状の略直方体に形成された外装ケース本体6と、この外装ケース本体6の上面開口部60を塞ぐ蓋部材7とを組み合わせて構成されている。外装ケース本体6は、前壁部61、後壁部62、左右一対の側壁部63(
図2では、右側の側壁部63を省略)、および底壁部64に加え、縦仕切り板65、および略水平状の載置板66をさらに備えている。前壁部61は、たとえば左右両側縁部に上下高さ方向に延びる屈曲片部61aを有し、かつこの屈曲片部61aが、側壁部63の前縁部にビス90を用いて締結されている。このことにより、ビス90が、外装ケースCの正面側から不体裁に見え難くなっている。ただし、本発明はこれに限定されず、前壁部61が側壁部63に一体的に繋がった構成とすることもできる。
【0023】
蓋部材7は、天板部70と、この天板部70の外周縁から下向きに延びた下向き突出片部71とを有しており、この下向き突出片部71が、外装ケース本体6の上部に外嵌するようにして、外装ケース本体6への蓋部材7の取付けが図られている。下向き突出片部71のうち、左右一対の横側下向き突出片部71(71c)は、側壁部63の上部にビス91を用いて締結されている。このビス91も、外装ケースCの正面側からは不体裁に見え難くなっている。
【0024】
載置板66は、外装ケースC内の上部寄り領域に位置し、外装ケースC内を上下に区画
するように設けられている。載置板66の上側は、凝縮熱交換器3の配置領域である。外装ケースC内のうち、載置板66よりも下方領域は、縦仕切り板65によってさらに左右2つの室R1,R2に仕切られており、一方の室R1には、ファン10および蒸発熱交換器1が配され、かつ他方の室R2には、圧縮機2や膨張弁4がカバー部材99内に収容された状態で配されている。
【0025】
図4に示すように、凝縮熱交換器3は、全体の概略形状が渦巻き状の管体として構成されている。この凝縮熱交換器3は、たとえば
図3の断面図で示すように、冷媒が流通する冷媒管30と、加熱対象の湯水が流通する水管31とが二重管構造とされたものであり、
図4に示すように、平面視略矩形状または長円状の渦巻き状に形成されている。凝縮熱交換器3は上下2段の管体構造となっており、上段部は、一端部32aを始点として、外周部から内周部に向かう渦巻き状である。この上段部の終端部は、下段部の始端部と繋がっており、かつ下段部は、上段部とは逆に、内周部から外周部に向かう渦巻き状とされ、他端部32bが終点となっている。凝縮熱交換器3は、断熱ケース5内に収容された状態で載置板66上に載設されている。
【0026】
凝縮熱交換器3の両端部32a,32bには、冷媒管30への冷媒の流入出を行なわせるための冷媒流入用および流出用の配管部30a,30b、ならびに水管31への湯水の流入出を行なわせるための湯水流入用および流出用の配管部31a,31bが接続されている。外装ケースCの側部には、入水口69aおよび出湯口69bが設けられており、入水口69aに供給された湯水は、凝縮熱交換器3に送り込まれて冷媒により加熱された後に出湯口69bに到達するように構成されている。図示説明は省略するが、本実施形態のヒートポンプ装置Aは、たとえば貯湯タンク式給湯装置の熱源として用いられるものであり、貯湯タンクから入水口69aへの湯水供給がなされ、また加熱された湯水は出湯口69bから貯湯タンクに戻される。
【0027】
断熱ケース5は、凝縮熱交換器3からの放熱を抑制し、熱交換効率を高めるための部材である。この断熱ケース5は、凝縮熱交換器3を載置支持可能な断熱ケース本体5aと、この断熱ケース本体5a上に取付けられて凝縮熱交換器3の上面側を覆う断熱ケース蓋5bとを組み合わせて構成されており、これらは、たとえば発泡スチロールなどの断熱性に優れた樹脂製である。
【0028】
図5に示すように、断熱ケース本体5aには、前側凸状部55、凝縮熱交換器3用の固定部50、および周壁部51が一体成形されている。また、孔部52も形成されている。
【0029】
前側凸状部55は、断熱ケース本体5aの前面部からその前方側に突出する部位であり、前記前面部に少なくとも1箇所設けられている。この前側凸状部55の先端部は、外装ケースCの前壁部61の上部に当接する当接部55aである。外装ケースCの蓋部材7の下向き突出片部71のうち、蓋部材7の前部に位置する前側下向き突出片部71(71a)は、前壁部61の上部の前面側に重なっている。前側凸状部55は、前壁部61の上部が外装ケースCの後方に変形または変位することを阻止する役割を果たす。このことにより、前側下向き突出片部71aと前壁部61との間に不当な隙間を生じないようにすることが可能である。また、前側凸状部55は、載置板66の前端部に設けられている上向き屈曲片66cよりも外装ケースCの前方側に突出している。このことにより、前壁部61が上向き屈曲片66cに不当に当接し、金属どうしの衝突音が発生することも防止することが可能である。
【0030】
好ましくは、断熱ケース本体5aの後面部には、外装ケースCの後方側に向けて突出し、かつ先端部が後壁部62の上部に当接する当接部56aとされた後側凸状部56が設けられている。この後側凸状部56は、後壁部62の上部が外装ケースCの前方側に変形ま
たは変位することを阻止し、後壁部62の上部と後側下向き突出片部71bとの間に隙間が発生することを阻止する役割を果たす。
【0031】
孔部52は、断熱ケース本体5aの中央部またはその近傍に位置し、かつ上下高さ方向に貫通した孔部である。この孔部52には、載置板66に設けられた起立片状のストッパ部66bが嵌入・係合しており、このことにより断熱ケース5の載置板66に対する正確な位置決め固定が図られ、断熱ケース本体5aが前壁部61から押圧力を受けた際に、断熱ケース本体5aが容易に位置ずれしないようになっている。ストッパ部66bは、たとえば載置板66に切り起こし加工を施して形成された切り起こし片である。なお、本発明においては、上下高さ方向に貫通した孔部52に代えて、下部開口状の凹部を断熱ケース本体5aに形成し、この凹部にストッパ部66bを嵌入・係合させた構成とすることも可能である。また、断熱ケース5の固定は、断熱ケース5の各部を外装ケースCの内面に当接させることや、載置板66の外周縁部の上向き屈曲片66cに当接させることによっても図ることができる。
【0032】
固定部50は、凝縮熱交換器3を固定させるための部位であり、平面視中空矩形状または中空長円状の上向き突出段部50aと、その外周側面に設けられた縦リブ状の複数の当接用凸部50bとを備えて構成されている。上向き突出段部50aは、断熱ケース本体5aの上面部から上向きに突出しており、凝縮熱交換器3の最内周管体部によって囲まれた空間部39に、その下方から進入している。複数の当接用凸部50bは、上向き突出段部50aの外周側面から水平方向外方に向けて突出していることにより、凝縮熱交換器3の最内周管体部の複数箇所に当接し、凝縮熱交換器3が水平方向に変位することを阻止している。このことにより、凝縮熱交換器3は、固定部50を介して断熱ケース本体5aに的確かつ安定的に位置決め固定されている。好ましくは、各当接用凸部50bと凝縮熱交換器3との当接は、圧接状態である。
【0033】
断熱ケース本体5aの周壁部51は、凝縮熱交換器3の周囲を囲み、断熱性をよくするための部位であり、断熱ケース本体5aの外周部において上向きに起立している。断熱ケース本体5aへの断熱ケース蓋5bの取付けは、周壁部51に断熱ケース蓋5bを外嵌することにより図られる。好ましくは、凝縮熱交換器3の外周部の略全域は、周壁部51には非接触状態とされている。凝縮熱交換器3は、冷媒流入用配管部30aを介して圧縮機2と接続されているため、この圧縮機2の振動を受ける場合がある。凝縮熱交換器3の外周部が周壁部51と非接触であれば、凝縮熱交換器3の振動を断熱ケース5に伝達し難くし、断熱ケース5の振動に起因して異音が発生するといった不具合を抑制することが可能である。
【0034】
次に、前記したヒートポンプ装置Aの作用について説明する。
【0035】
図3を参照して説明したように、断熱ケース5の前側凸状部55が、外装ケース本体6の前壁部61の上部に当接しており、この前壁部61と蓋部材7の前側下向き突出片部71aとの相互間に不当な隙間が生じないようにすることができる。断熱ケース本体5aは、ストッパ部66bが孔部52に嵌入・係合して位置決め固定されているため、前壁部61を外装ケースCの後方側に押す強い力が作用したとしても、前壁部61と同方向に容易には変形しないこととなる。このようなことから、前壁部61と前側下向き突出片部71aとの相互間のシール性をよくすることが可能である。
【0036】
このようなことから、前壁部61と前側下向き突出片部71aとの相互間のシール性をよくするための手段として、シール用パッキンを用いる必要はない。また、前壁部61と前側下向き突出片部71aとをビス止めする必要もない。したがって、ヒートポンプ装置Aの製造コストを廉価にすることが可能である。また、外装ケースCの前面部におけるビ
ス止めを回避することができるため、ビス止め箇所が外装ケースCの正面側から不体裁に見えるといった不具合を生じないようにし、外装ケースCの外観体裁を良好にすることも可能である。また、既述したように、前側凸状部55は、前壁部61が載置板66の上向き屈曲片66cに当接することをも防止し、それらの衝突音が発生することも回避されるため、より好ましいものとなる。
【0037】
図6は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0038】
図6に示す実施形態においては、断熱ケース本体5aの前側凸状部55の先端部に、載置板66の前端部に設けられた上向き屈曲片66cの前面部を覆うカバー部55bが設けられている。
このような構成によれば、前壁部61が上向き屈曲片66cに当接することを、より確実に防止することが可能である。
【0039】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るヒートポンプ装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0040】
当接部は、断熱ケース本体に代えて、または加えて、断熱ケース蓋に設けた構成とすることもできる。
【0041】
断熱部材は、凝縮熱交換器の全体を収容する断熱ケースであることが好ましいものの、これに限定されず、たとえば凝縮熱交換器の一部分のみを覆うように構成された断熱部材であってもよい。
凝縮熱交換器は、冷媒管と水管との二重管構造とされた渦巻き状のものに代えて、たとえば蛇行状などの形態とすることも可能であり、さらには冷媒管と水管とを重ね合わせた構造のものとすることも可能であり、その具体的な構成は問わない。
【符号の説明】
【0042】
A ヒートポンプ装置
C 外装ケース
3 凝縮熱交換器
5 断熱ケース(断熱部材)
5a 断熱ケース本体
5b 断熱ケース蓋
52 孔部
55 前側凸状部
55a 当接部
6 外装ケース本体
66b ストッパ部
7 蓋部材(外装ケースの)
71a 前側下向き突出片部