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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】車両の燃料タンク取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/067 20060101AFI20221014BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B60K15/067
F02M37/00 301D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019180193
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054292
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】大木 雅道
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-81392(JP,A)
【文献】特開2006-35891(JP,A)
【文献】特開平11-78552(JP,A)
【文献】特開2006-15798(JP,A)
【文献】特開2017-100515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/067
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車幅方向の一側で前後方向に延びるサイドメンバに対して燃料タンクを取り付ける車両の燃料タンク取付構造であって、
前記サイドメンバに固定されるサイドメンバ固定部と、前記サイドメンバ固定部から車幅方向外側へ延びて前記燃料タンクを下方から支持するタンク支持部とをそれぞれ有し、互いに前後に離間して配置される前後のタンク支持ブラケットと、
前記燃料タンクよりも車幅方向外側で上下方向に延びて下端側が前記タンク支持ブラケットの前記タンク支持部の車幅方向外端部に対して固定される外骨部と、前記外骨部の上端側から前記燃料タンクの上方を車幅方向内側へ延びて車幅方向内端側が前記タンク支持ブラケットの前記サイドメンバ固定部に対して固定される上骨部とをそれぞれ有する前後の補強支持部材と、
前記前後の補強支持部材の前記外骨部に支持されて前記燃料タンクよりも車幅方向外側で前後方向に延びる第1カバー補強部材と、
前記車両の前記一側の外端部で前後方向に沿って起立して、前記燃料タンクを車幅方向外側から覆うカバー外板部を有し、前記サイドメンバに対して固定されるタンクカバーと、を備え、
前記第1カバー補強部材は、前記カバー外板部の車幅方向内側面に沿って前後方向に延びて前記カバー外板部を補強する
ことを特徴とする車両の燃料タンク取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の燃料タンク取付構造であって、
前記前後のタンク支持ブラケットの前記タンク支持部の車幅方向外端部に固定されて前後方向に延びる第2カバー補強部材を備え、
前記第2カバー補強部材は、前記カバー外板部の車幅方向内側面に沿って前後方向に延びて前記カバー外板部を補強し、
前記第1カバー補強部材は、前記第2カバー補強部材から上方へ離間した位置に配置される
ことを特徴とする車両の燃料タンク取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両の燃料タンク取付構造であって、
前後方向と交叉する状態で前記燃料タンクの前後方向の両側に配置されて前記前後のタンク支持ブラケットに対して固定され、前記前後のタンク支持ブラケットに対する前記燃料タンクの前後方向の移動を規制する前後の移動規制部材を備え、
前記第1カバー補強部材の前後の両端側は、前記前後の移動規制部材に固定される
ことを特徴とする車両の燃料タンク取付構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の車両の燃料タンク取付構造であって、
前記第1カバー補強部材は、前記第1カバー補強部材の前後方向の少なくとも一部の領域から車幅方向内側の前記燃料タンクの外面に向かって突出する突出部を有する
ことを特徴とする車両の燃料タンク取付構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両の燃料タンク取付構造であって、
前記第1カバー補強部材の前記突出部の先端は、前記燃料タンクの前記外面に近接又は接触する
ことを特徴とする車両の燃料タンク取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の燃料タンク取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の燃料タンク取付構造が記載されている。車両は、天然ガスを燃料としてエンジンを駆動する天然ガス車両であって、梯子状の車体フレームを有する大型のトラックである。車体フレームの前端部の上方には、キャブが搭載される。車体フレームの左側のサイドメンバには、燃料タンクユニットが固定される。燃料タンクユニットは、第1燃料タンクと、第2燃料タンクと、前後1対のタンク支持ブラケットと、前側の移動規制部材と、後側の移動規制部材とを備える。前後のタンク支持ブラケットは、略L字状の部材であり、サイドメンバの車幅方向外側に配置されてサイドメンバに固定される。第1燃料タンクのタンク胴部は、第1固定ベルトによって前後のタンク支持ブラケットに結束され、第2燃料タンクのタンク胴部は、第2固定ベルトによって前後のタンク支持ブラケットに結束される。なお、同公報には、燃料タンクを覆うタンクカバーが燃料タンクユニットに取り付けられた状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-100515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トラック等のキャブオーバ型の車両では、右左折時等に歩行者や自転車(以下、「歩行者等」という。)の巻き込みを防止するために、キャブの後方の車幅方向外端部にサイドガードを設ける場合がある。しかし、特許文献1に記載の車両のように、キャブの後方の車幅方向外側に燃料タンクユニットが設けられた車両では、燃料タンクユニットの車幅方向の大きさによっては、燃料タンクユニットの車幅方向外側にサイドガードを設けることができない可能性がある。また、燃料タンクユニットに設けられるタンクカバーは、歩行者等の巻き込みを防止するためのものではないので、歩行者等と当接した際に変形してしまう可能性があり、タンクカバーでは歩行者等の巻き込みを防止することができないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、歩行者等の巻き込みを防止することが可能な車両の燃料タンク取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、車両の車幅方向の一側で前後方向に延びるサイドメンバに対して燃料タンクを取り付ける車両の燃料タンク取付構造であって、前後のタンク支持ブラケットと前後の補強支持部材と第1カバー補強部材とタンクカバーとを備える。前後のタンク支持ブラケットは、サイドメンバに固定されるサイドメンバ固定部と、サイドメンバ固定部から車幅方向外側へ延びて燃料タンクを下方から支持するタンク支持部とをそれぞれ有し、互いに前後に離間して配置される。前後の補強支持部材は、燃料タンクよりも車幅方向外側で上下方向に延びて下端側がタンク支持ブラケットのタンク支持部の車幅方向外端部に対して固定される外骨部と、外骨部の上端側から燃料タンクの上方を車幅方向内側へ延びて車幅方向内端側がタンク支持ブラケットのサイドメンバ固定部に対して固定される上骨部とをそれぞれ有する。第1カバー補強部材は、前後の補強支持部材の外骨部に支持されて燃料タンクよりも車幅方向外側で前後方向に延びる。タンクカバーは、車両の上記一側の外端部で前後方向に沿って起立して、燃料タンクを車幅方向外側から覆うカバー外板部を有し、サイドメンバに対して固定される。第1カバー補強部材は、カバー外板部の車幅方向内側面に沿って前後方向に延びてカバー外板部を補強する。
【0007】
上記構成では、タンクカバーのカバー外板部が、車両の一側の外端部で前後方向に沿って起立し、第1カバー補強部材が、カバー外板部の車幅方向内側面に沿って前後方向に延びてカバー外板部を補強する。このため、車両の右左折時等に歩行者等がタンクカバーのカバー外板部に接触した際に、カバー外板部の変形を第1カバー補強部材によって抑えることができるので、歩行者等の巻き込みを防止するためのサイドガードを車両の一側の外端部に設けることができない場合であっても、タンクカバーを車両のサイドガードとして機能させることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0008】
また、第1カバー補強部材は、前後の補強支持部材に支持される。前後の補強支持部材の外骨部の下端側がタンク支持ブラケットのタンク支持部の車幅方向外端部に対して固定され、上骨部の車幅方向内端側がタンク支持ブラケットのサイドメンバ固定部に対して固定される。すなわち、前後の補強支持部材の両端部は、前後のタンク支持ブラケットに固定される。このため、歩行者等がタンクカバーのカバー外板部に接触した際に、歩行者側からの荷重は、カバー外板部から第1カバー補強部材、前後の補強支持部材、及び前後のタンク支持ブラケットを介して車幅方向内側のサイドメンバ側に入力する。このように、歩行者側からカバー外板部に入力する荷重をサイドメンバ側へ伝達することができるので、応力の集中を防止してカバー外板部の変形を抑えることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の車両の燃料タンク取付構造であって、第2カバー補強部材を備える。第2カバー補強部材は、前後のタンク支持ブラケットのタンク支持部の車幅方向外端部に固定されて前後方向に延びる。第2カバー補強部材は、カバー外板部の車幅方向内側面に沿って前後方向に延びてカバー外板部を補強する。第1カバー補強部材は、第2カバー補強部材から上方へ離間した位置に配置される。
【0010】
上記構成では、カバー外板部は、第1カバー補強部材と第2カバー補強部材とによって補強されるので、歩行者等がタンクカバーのカバー外板部に接触した際に、第1カバー補強部材に加えて第2カバー補強部材によってもカバー外板部の変形を抑えることができる。このため、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0011】
また、第2カバー補強部材が、前後のタンク支持ブラケットのタンク支持部の車幅方向外端部に固定されて前後方向に延び、第1カバー補強部材が、第2カバー補強部材から上方へ離間した位置に配置される。このように、互いに上下に離間する2つのカバー補強部材によってタンクカバーのカバー外板部を補強するので、タンクカバーのカバー外板部の上下方向の広範囲(第1カバー補強部材と第2カバー補強部材との間の範囲)を車両のサイドガードとして機能させて、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様または上記第2の態様の車両の燃料タンク取付構造であって、前後の移動規制部材を備える。前後の移動規制部材は、前後方向と交叉する状態で燃料タンクの前後方向の両側に配置されて前後のタンク支持ブラケットに対して固定され、前後のタンク支持ブラケットに対する燃料タンクの前後方向の移動を規制する。第1カバー補強部材の前後の両端側は、前後の移動規制部材に固定される。
【0013】
上記構成では、前後の移動規制部材が前後のタンク支持ブラケットに対する燃料タンクの前後方向の移動を規制するので、前後のタンク支持ブラケットから前方又は後方への燃料タンクの脱落を防止することができる。
【0014】
また、前後の移動規制部材が、燃料タンクの前後方向の両側に配置されて前後のタンク支持ブラケットに対して固定され、第1カバー補強部材の前後の両端側が、前後の移動規制部材に固定される。すなわち、第1カバー補強部材は、燃料タンクの前後に亘って延び、前後の両端側が前後の移動規制部材に支持され、前後の中間部分が前後の補強支持部材に支持される。このように、前後の補強支持部材に加え、前後の移動規制部材によっても第1カバー補強部材を支持するので、第1カバー補強部材によるタンクカバーのカバー外板部の支持剛性を確保することができ、カバー外板部の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様~上記第3の態様のいずれかの車両の燃料タンク取付構造であって、第1カバー補強部材は、第1カバー補強部材の前後方向の少なくとも一部の領域から車幅方向内側の燃料タンクの外面に向かって突出する突出部を有する。
【0016】
上記構成では、第1カバー補強部材は、第1カバー補強部材の前後方向の少なくとも一部の領域から車幅方向内側の燃料タンクの外面に向かって突出する突出部を有するので、歩行者等がタンクカバーのカバー外板部に接触した際に、仮にカバー外板部が車幅方向内側へ変形したとしても、第1カバー補強部材の突出部を燃料タンクの外面に当接させることができるので、カバー外板部の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、上記第4の態様の車両の燃料タンク取付構造であって、第1カバー補強部材の突出部の先端は、燃料タンクの外面に近接又は接触する。
【0018】
上記構成では、第1カバー補強部材の突出部の先端が、燃料タンクの外面に近接又は接触するので、歩行者等がタンクカバーのカバー外板部に接触した際に、仮にカバー外板部が車幅方向内側へ変形したとしても、第1カバー補強部材の突出部を早期に燃料タンクの外面に当接させることができるので、カバー外板部の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る燃料タンク取付構造を適用した車両の平面図である。
図2図1の要部の平面図である。
図3図2の燃料タンクユニットの側面図である。
図4】タンクカバー及びカバー骨組を取り外した状態の燃料タンクユニットの斜視図である。
図5図4にカバー骨組を取り付けた状態の燃料タンクユニットの斜視図である。
図6】タンクカバーの斜視図である。
図7図2のVII-VII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る燃料タンク取付構造が適用される車両1は、液化石油ガス、天然ガス、或いは水素ガス等の気体燃料を燃料としてエンジン(図示省略)を駆動する大型のトラックであって、梯子状の車体フレーム2を有する。車体フレーム2の前端部の上方には、キャブ3が搭載される。車両1は、キャブ3の左右両側の下方に配置される前輪(図示省略)と、キャブ3よりも後方の車体フレーム2の左右両側に配置される後前輪4及び後後輪5とを有する。
【0023】
車体フレーム2は、車幅方向両側で車両1の前後に亘って延びる左右一対のサイドメンバ6と、左右のサイドメンバ6間で車幅方向に延びて左右のサイドメンバ6を連結する複数のクロスメンバ7とによって梯子状に形成される。左右のサイドメンバ6には、複数(本実施形態では、5つ)の燃料タンクユニットが固定される。右側のサイドメンバ6には、前輪と後前輪4との間に1つと、後後輪5の後方に1つの計2つの燃料タンクユニット8,9が固定される。左側(一側)のサイドメンバ6には、前輪と後前輪4との間に2つと、後後輪5の後方に1つの計3つの燃料タンクユニット10,11,12が固定される。後前輪4よりも前方の3つの燃料タンクユニット8,10,11はそれぞれ2本の燃料タンクを備え、後前輪4よりも後方の2つの燃料タンクユニット9,12はそれぞれ1本の燃料タンクを備える。以下では、左側のサイドメンバ6に固定される最前方の燃料タンクユニット10の固定構造について説明する。なお、2本の燃料タンクを備える他の2つの燃料タンクユニット8,11は、燃料タンクユニット10と略同様の構造を有する。
【0024】
図2及び図3に示すように、燃料タンクユニット10は、第1燃料タンク(燃料タンク)13と、第2燃料タンク(燃料タンク)14と、前後一対のタンク支持ブラケット15F,15Rと、前後の移動規制部材16と、カバー骨組17と、タンクカバー18とを備える。
【0025】
第1燃料タンク13は、金属製タンク、金属ライナーを繊維強化プラスチックで補強した金属ライナー製複合タンク、或いはプラスチックライナーを繊維強化プラスチックで補強したプラスチックライナー製複合タンク(オールコンポジット製タンク)等であって、前後方向に延びる軸を中心とした円形状断面を有する円筒状のタンク胴部13aと、タンク胴部13aの両端から湾曲状に膨出してタンク胴部13aの両端を塞ぐ半球状の前後一対のタンク端部13b,13cとを一体的に有する。第1燃料タンク13は、タンク胴部13aが左側のサイドメンバ6(以下、単に「サイドメンバ6」という。)の車幅方向外側で前後方向に延びる状態で前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに固定される。
【0026】
第2燃料タンク14は、金属製タンク、金属ライナーを繊維強化プラスチックで補強した金属ライナー製複合タンク、或いはプラスチックライナーを繊維強化プラスチックで補強したプラスチックライナー製複合タンク(オールコンポジット製タンク)等であって、前後方向に延びる軸を中心とした円形状断面を有する円筒状のタンク胴部14aと、タンク胴部14aの両端から湾曲状に膨出してタンク胴部14aの両端を塞ぐ半球状の前後1対のタンク端部14b,14cとを一体的に有する。第2燃料タンク14は、タンク胴部14aが第1燃料タンク13の車幅方向外側の斜め下方で前後方向に延びる状態で前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに固定される。第2燃料タンク14の全長(前後方向の長さ)は、第1燃料タンク13の全長と略等しく形成されている。
【0027】
図2図5に示すように、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rは、上下方向に延びる固定部(サイドメンバ固定部)15aと、車幅方向に延びる支持部(タンク支持部)15bと、前後の型板部15cと、第1支持板部15dと、第2支持板部15eとを一体的にそれぞれ有する略L字状の部材であり、第1燃料タンク13のタンク胴部13a及び第2燃料タンク14のタンク胴部14aの前後方向の長さよりも短い間隔で相互に前後に離間してサイドメンバ6の車幅方向外側に配置されてサイドメンバ6に固定される。
【0028】
固定部15aは、サイドメンバ6の車幅方向外側面6aに沿って、サイドメンバ6の上端近傍からサイドメンバ6よりも下方まで上下方向に延びて、サイドメンバ6の車幅方向外側面6aに固定される。固定部15aの上端部42には、カバー骨組17を固定するための骨組固定部54が設けられる。支持部15bは、固定部15aの下端部から略水平に車幅方向外側へ延び、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14を下方から支持する。支持部15bの車幅方向外端部43には、カバー骨組17を固定するための骨組固定部55が設けられる。
【0029】
前後の型板部15cは、前後方向に離間して相対向する板体であり、前側の型板部15cは、固定部15aの前面と支持部15bの前面とに固定され、後側の型板部15cは、固定部15aの後面と支持部15bの後面とに固定される(図4及び図5には、後側の型板部15cのみが図示されている。)。前後の型板部15cは、固定部15aの上端部42の車幅方向外側から支持部15bの車幅方向外側の上方に亘って延びる湾曲端縁部19をそれぞれ有する。湾曲端縁部19は、上円弧部19aと下円弧部19bとが上下に並ぶW状に形成されている。
【0030】
第1支持板部15dは、第1燃料タンク13のタンク胴部13aの外面に沿った略円弧状の湾曲板であり。第2支持板部15eは、第2燃料タンク14のタンク胴部14aの外面に沿った略円弧状の湾曲板である。第1支持板部15dの前後の端縁は、前後の上円弧部19aにそれぞれ固定され、第2支持板部15eの前後の端縁は、前後の下円弧部19bにそれぞれ固定される。第1支持板部15dは、第1燃料タンク13のタンク胴部13aを支持し、第2支持板部15eは、第1燃料タンク13の車幅方向外側斜め下方で第2燃料タンク14のタンク胴部14aを支持する。
【0031】
第1燃料タンク13のタンク胴部13aは、第1支持板部15dに載置された状態で、第1固定ベルト20によって前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに結束される。第1燃料タンク13が前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに固定された状態で、第1燃料タンク13の前端は、前側のタンク支持ブラケット15Fよりも前方に配置され、第1燃料タンク13の後端は、後側のタンク支持ブラケット15Rよりも後方に配置される。
【0032】
第2燃料タンク14のタンク胴部14aは、第2支持板部15eに載置された状態で、第2固定ベルト21によって前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに結束される。第2燃料タンク14が前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに固定された状態で、第2燃料タンク14の前端は、前側のタンク支持ブラケット15Fよりも前方に配置され、第2燃料タンク14の後端は、後側のタンク支持ブラケット15Rよりも後方に配置される。
【0033】
前後の移動規制部材16は、多角形の板状に形成され、前後方向と交叉する(本実施形態では略直交する)状態で第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14の前後両側に配置され、3つの連結部材22a,22b,22cを介して前後のタンク支持ブラケット15F,15Rにそれぞれ固定される。前後の移動規制部材16には、前後方向に貫通する第1係合孔23と第2係合孔24とがそれぞれ形成される。第1係合孔23は、第1燃料タンク13のタンク胴部13aよりも小径な円形状であり、第2係合孔24は、第2燃料タンク14のタンク胴部14aよりも小径な円形状である。第1係合孔23は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに載置された第1燃料タンク13の前後のタンク端部13b,13cに前方または後方から係合可能な位置に形成される。第2係合孔24は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに載置された第2燃料タンク14の前後のタンク端部14b,14cに前方または後方から係合可能な位置に形成される。なお、3つの連結部材22a,22b,22cは、前後の移動規制部材16に対し、前後に対称的に設けられ、略同様の構成を有するため、以下では前側の移動規制部材16の3つの連結部材22a,22b,22cについて説明し、後側の説明を省略する。
【0034】
連結部材22aは、前側のタンク支持ブラケット15Fの固定部15aの上端部42に固定されて前方へ延び、その前端部が前側の移動規制部材16の車幅方向内側上端部の後面に固定される。連結部材22bは、前側のタンク支持ブラケット15Fの支持部15bの車幅方向外端部43に固定されて前方へ延び、その前端部が前側の移動規制部材16の車幅方向外側下端部の後面に固定される。連結部材22cは、略S状に曲折する板状体であり、前側のタンク支持ブラケット15Fの前側の型板部15cに固定されて前方へ延び、その前端部が前側の移動規制部材16の後面の第1係合孔23と第2係合孔24との間に固定される。前側の移動規制部材16を連結部材22a,22b,22cに固定することによって、前側の移動規制部材16は、前側のタンク支持ブラケット15Fから所定距離だけ前方へ離間した状態で前側のタンク支持ブラケット15Fに対して固定される。
【0035】
第1燃料タンク13は、前後のタンク端部13b,13cが前後の移動規制部材16の第1係合孔23に係合することによって、前後方向の位置決めが行われるとともに、前後方向への移動が前後の移動規制部材16までに規制される。また、第2燃料タンク14は、前後のタンク端部14b,14cが前後の移動規制部材16の第2係合孔24に係合することによって、前後方向の位置決めが行われるとともに、前後方向への移動が前後の移動規制部材16までに規制される。
【0036】
図2図3、及び図5に示すように、カバー骨組17は、前後の補強支持部材25F,25Rと、第1カバー補強部材26~第3カバー補強部材28とを有する。
【0037】
前後の補強支持部材25F,25Rは、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの固定部15aの上端部42側から支持部15bの車幅方向外端部43側まで連続して延びる長尺の部材であって、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの間の前後位置に、互いに前後に離間した状態で配置される。前側の補強支持部材25Fは、前側のタンク支持ブラケット15Fの後方に隣接する位置に配置され、後側の補強支持部材25Rは、後側のタンク支持ブラケット15Rの前方に隣接する位置に配置される。前後の補強支持部材25F,25Rは、下端部29から略鉛直方向に沿って上下方向に延びる外骨部30と、外骨部30の上端から車幅方向内側の上方へ延び、第1燃料タンク13よりも上方の高さ位置で曲折して車幅方向内側へ延びて車幅方向内端部31へ連続する上骨部32とを有する。外骨部30の下端部29は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43の骨組固定部55に対して固定される。上骨部32の車幅方向内端部31は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの固定部15aの上端部42の骨組固定部54に固定される。外骨部30は、第2燃料タンク14よりも車幅方向外側に配置される。上骨部32は、外骨部30の上端から車幅方向内側の上方へ延びる傾斜部32aと、傾斜部32aの上端から車幅方向内端部31まで略水平に延びる水平部32bとを有し、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14よりも上方で車幅方向に延びる。前後の補強支持部材25F,25Rは、第1カバー補強部材26~第3カバー補強部材28を支持する。
【0038】
第1カバー補強部材26は、前後の補強支持部材25F,25Rの外骨部30の上端部の高さ位置で前後方向に延びる断面山形の長尺の部材であって、外骨部30の車幅方向外側面に沿って延びる外板部26aと、上骨部32の傾斜部32aの車幅方向外端部の上面に沿って外板部26aの上端から曲折して車幅方向内側の上方へ延びる上板部26bとを一体的に有する。すなわち、第1カバー補強部材26は、前後の補強支持部材25F,25Rの外骨部30に車幅方向内側から支持されて、第2燃料タンク14よりも車幅方向外側で前後方向に延びる。上板部26bは、前後の補強支持部材25F,25Rの傾斜部32aに対して固定される。第1カバー補強部材26の前後の両端38,39側は、前後の移動規制部材16に固定される。第1カバー補強部材26は、タンクカバー18の後述するカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強する。
【0039】
図2図5、及び図7に示すように、第1カバー補強部材26には、車幅方向内側の第2燃料タンク14の外面34に向かって突出する複数(本実施形態では、3箇所)の突出部33が設けられる。複数の突出部33は、第1カバー補強部材26のうち、前側の移動規制部材16と前側の補強支持部材25Fとの間の領域35と、前後の補強支持部材25F,25R間の領域36と、後側の補強支持部材25Rと後側の移動規制部材16との間の領域37とに設けられる。複数の突出部33は、第1カバー補強部材26の外板部26aの車幅方向内側面および上板部26bの下面から車幅方向内側の下方へ延びる前後のアーム部40と、前後のアーム部40の先端に固定される湾曲板部41とをそれぞれ有する。前後のアーム部40は、前後方向と交叉する板状に形成されて前後に互いに離間する。湾曲板部41は、第2燃料タンク14の外面34に近接する位置で前記外面34に対向するように湾曲する内側面41aを有する。
【0040】
図3及び図5に示すように、第2カバー補強部材27は、第1カバー補強部材26の鉛直下方に配置され、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43間で前後方向に延びる。第2カバー補強部材27の前後の両端部44,45は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43の骨組固定部55に固定される。また、第2カバー補強部材27の前後の両端部44,45には、前後の補強支持部材25F,25Rの下端部29が固定される。すなわち、前後の補強支持部材25F,25Rの下端部29は、第2カバー補強部材27を介して前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43の骨組固定部55に固定される。第2カバー補強部材27は、タンクカバー18の後述するカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強する。
【0041】
図2及び図5に示すように、第3カバー補強部材28は、前後の補強支持部材25F,25Rの上骨部32の傾斜部32aと水平部32bとの曲折部分の高さ位置で前後方向に延びる。第3カバー補強部材28の前後の両端部46,47は、前後の移動規制部材16に固定される。第3カバー補強部材28の両端部46,47間の領域は、前後の補強支持部材25F,25Rの上骨部32に対して固定される。第3カバー補強部材28は、タンクカバー18の後述するカバー傾斜板部51またはカバー上板部52に上方から荷重が入力した際に、カバー傾斜板部51またはカバー上板部52を下方から支持することによってカバー傾斜板部51またはカバー上板部52を補強する。
【0042】
図2図3、及び図6に示すように、タンクカバー18は、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14を下方から覆うカバー下板部53と、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14を前方から覆うカバー前板部48と、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14を後方から覆うカバー後板部49と、第2燃料タンク14を車幅方向外側から覆うカバー外板部50と、第2燃料タンク14を上方から覆うカバー傾斜板部51と、第1燃料タンク13の車幅方向外端部を上方から覆うカバー上板部52とを有する。タンクカバー18は、前後のタンク支持ブラケット15F,15R、前後の移動規制部材16、及びカバー骨組17等を介してサイドメンバ6に対して固定される。なお、図3には、カバー下板部53とカバー前板部48とカバー後板部49とが図示されており、カバー外板部50とカバー傾斜板部51とカバー上板部52との図示を省略している。
【0043】
カバー下板部53は、上下方向と交叉する板状に形成され、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの下方に配置されて、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに対して固定される。
【0044】
カバー前板部48は、前側の移動規制部材16よりも前方に配置されて、カバー下板部53の前端部に沿って起立する。カバー前板部48の下端部は、カバー下板部53の前端部に固定される。
【0045】
カバー後板部49は、後側の移動規制部材16よりも後方に配置され、カバー下板部53の後端部に沿って起立する。カバー後板部49の下端部は、カバー下板部53の後端部に固定される。
【0046】
カバー外板部50は、車両1の車幅方向外端部(キャブ3の後方に荷箱等の架装がある場合には、架装の車幅方向外端面と略同じ車幅位置)に配置され、カバー下板部53の車幅方向外端部に沿って前後方向に延びる状態で略鉛直方向に起立する。カバー外板部50の下端部は、カバー下板部53の車幅方向外端部に固定され、カバー外板部50の前端部は、カバー前板部48の車幅方向外端部に固定され、カバー外板部50の後端部は、カバー後板部49の車幅方向外端部に固定される。カバー外板部50の車幅方向内側には、第1カバー補強部材26及び第2カバー補強部材27が配置される。第2カバー補強部材27は、カバー外板部50の車幅方向内側面50a(図7参照)の下端部に沿って前後方向に延びる。カバー外板部50の下端部は、第2カバー補強部材27に対して固定される。第2カバー補強部材27の前後には、前後の連結部材22bが配置され、カバー外板部50の車幅方向内側面50aの近傍で前後方向に延びる。前後の連結部材22bは、カバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強可能である。第1カバー補強部材26は、カバー外板部50の車幅方向内側面50aの上端部に沿って前後方向に延びる。カバー外板部50の上端部は、第1カバー補強部材26に対して固定される。
【0047】
カバー傾斜板部51は、カバー外板部50の上端部から曲折して車幅方向内側の上方へ第3カバー補強部材28まで延びる。カバー傾斜板部51の前端部は、カバー前板部48に固定され、カバー傾斜板部51の後端部は、カバー後板部49に固定される。
【0048】
カバー上板部52は、カバー傾斜板部51の上端部から曲折して車幅方向内側へ延びる。カバー上板部52の前端部は、カバー前板部48の上端部に固定され、カバー上板部52の後端部は、カバー後板部49の上端部に固定される。カバー上板部52の下方には、第3カバー補強部材28が配置される。第3カバー補強部材28は、カバー上板部52の下面に沿って前後方向に延びる。カバー上板部52は、第3カバー補強部材28に対して固定される。
【0049】
上記のように構成された燃料タンクユニット10では、タンクカバー18のカバー外板部50が、車両1の車幅方向外端部で前後方向に沿って起立するので、車両1の右左折時(本実施形態では左折時)等に車両1の内輪差によって歩行者等が車両1の後前輪4に巻き込まれそうになった際に、歩行者はタンクカバー18のカバー外板部50に接触する。
【0050】
また、第1カバー補強部材26は、タンクカバー18のカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強する。このため、タンクカバー18のカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、車幅方向内側へのカバー外板部50の変形を第1カバー補強部材26によって防止することができるので、歩行者等の巻き込みを防止するためのサイドガードを車両1の車幅方向外端部に設けることができない場合であっても、タンクカバー18を車両1のサイドガードとして機能させることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0051】
また、第2カバー補強部材27は、タンクカバー18のカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強する。このため、タンクカバー18のカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、車幅方向内側へのカバー外板部50の変形を、第1カバー補強部材26に加え、第2カバー補強部材27によっても防止することができるので、歩行者等の巻き込みを防止するためのサイドガードを車両1の車幅方向外端部に設けることができない場合であっても、タンクカバー18を車両1のサイドガードとして機能させることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0052】
また、前後の連結部材22bは、カバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を車幅方向内側から支持することによってカバー外板部50を補強可能である。このため、タンクカバー18のカバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、車幅方向内側へのカバー外板部50の変形を、第1カバー補強部材26及び第2カバー補強部材27に加え、前後の連結部材22bによっても防止することができるので、歩行者等の巻き込みを防止するためのサイドガードを車両1の車幅方向外端部に設けることができない場合であっても、タンクカバー18を車両1のサイドガードとして機能させることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0053】
また、第1カバー補強部材26及び第2カバー補強部材27は、前後の補強支持部材25F,25Rに支持されるので、歩行者等がタンクカバー18のカバー外板部50に接触した際に、歩行者側からの荷重は、カバー外板部50から第1カバー補強部材26及び第2カバー補強部材27を介して前後の補強支持部材25F,25Rに入力する。前後の補強支持部材25F,25Rは、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの固定部15aの上端部42に固定される車幅方向内端部31から、支持部15bの車幅方向外端部43に固定される下端部29まで連続して延びる。このため、歩行者等がタンクカバー18のカバー外板部50に接触した際に、歩行者側から前後の補強支持部材25F,25Rに入力した荷重は、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rを介してサイドメンバ6側に伝達される。このように、歩行者側からカバー外板部50に入力する荷重をサイドメンバ6側へ伝達することができるので、応力の集中を防止してカバー外板部50の変形を抑えることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0054】
また、前後の連結部材22bは、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに支持されるので、歩行者等がタンクカバー18のカバー外板部50に接触した際に、歩行者側からの荷重は、カバー外板部50から前後の連結部材22bを介して前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに入力し、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rからサイドメンバ6側に伝達される。このように、歩行者側からカバー外板部50に入力する荷重をサイドメンバ6側へ伝達することができるので、応力の集中を防止してカバー外板部50の変形を抑えることができ、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0055】
また、第1カバー補強部材26は、カバー外板部50の車幅方向内側面50aの上端部に沿って前後方向に延び、第2カバー補強部材27は、カバー外板部50の車幅方向内側面50aの下端部に沿って前後方向に延びる。このように、互いに上下に離間する2つのカバー補強部材(第1カバー補強部材26及び第2カバー補強部材27)によってタンクカバー18のカバー外板部50を補強するので、カバー外板部50の上下方向の広範囲(第1カバー補強部材26と第2カバー補強部材27との間の範囲)を車両1のサイドガードとして機能させて、歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0056】
また、第1カバー補強部材26の前後の両端38,39側は、前後の移動規制部材16に固定され、前後の移動規制部材16が連結部材22a,22b,22cを介して前後のタンク支持ブラケット15F,15Rに対して固定される。このように、第1カバー補強部材26は、前後の補強支持部材25F,25Rに加え、前後の移動規制部材16によっても支持されるので、第1カバー補強部材26によるタンクカバー18のカバー外板部50の支持剛性を確保することができ、カバー外板部50の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0057】
また、第1カバー補強部材26は、車幅方向内側の第2燃料タンク14の外面34に向かって突出する複数(本実施形態では、3箇所)の突出部33を有する。このため、歩行者等がタンクカバー18のカバー外板部50に接触した際に、仮にカバー外板部50が車幅方向内側へ変形したとしても、第1カバー補強部材26の突出部33を第2燃料タンク14の外面34に当接させることができるので、カバー外板部50の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0058】
また、第1カバー補強部材26の複数の突出部33の湾曲板部41は、第2燃料タンク14の外面34に近接する内側面41aを有するので、歩行者等がタンクカバー18のカバー外板部50に接触した際に、仮にカバー外板部50が車幅方向内側へ変形したとしても、第1カバー補強部材26の突出部33を早期に第2燃料タンク14の外面34に当接させることができるので、カバー外板部50の変形を抑えて歩行者等の巻き込みを防止することができる。
【0059】
また、前後の移動規制部材16が第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14の前後に配置され、第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14の前後方向への移動が前後の移動規制部材16までに規制される。このため、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rから前方又は後方への第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14の脱落を防止することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、タンクカバー18を、カバー下板部53とカバー前板部48とカバー後板部49とカバー外板部50とカバー傾斜板部51とカバー上板部52とによって構成したが、これに限定されるものではなく、タンクカバー18は、少なくともカバー外板部50を有していればよい。
【0061】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26を外板部26aと上板部26bとによって構成したが、これに限定されるものではなく、タンクカバー18のカバー外板部50を車幅方向内側から補強可能な形状であれば、他の形状(例えば、前後方向に延びる筒状)であってもよい。
【0062】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26の突出部33を、前後のアーム部40と湾曲板部41とによって構成したが、突出部33の形状はこれに限定されるものではなく、様々な形状を適用することができる。
【0063】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26の突出部33の先端を、第2燃料タンク14の外面34に近接させたが、これに限定されるものではなく、突出部33の先端を第2燃料タンク14の外面34に対して接触させてもよい。この場合、突出部33の先端に弾性部材等を設けて、音の発生を抑えてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26に複数の突出部33を設けたが、少なくとも一つの突出部33を設けていればよい。例えば、第1カバー補強部材26の前後方向の略全域から車幅方向内側の第2燃料タンク14の外面34に向かって突出する一つの突出部33を設けてもよい。或いは、第1カバー補強部材26に突出部33を設けなくてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26の前後の両端38,39側を、前後の移動規制部材16に固定したが、前後の移動規制部材16に固定しなくてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、第1カバー補強部材26をカバー外板部50に固定したが、カバー外板部50に固定しなくてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、第2カバー補強部材27を、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43間に配置したが、これに限定されるものではなく、第2カバー補強部材27を、前側のタンク支持ブラケット15Fよりも前方から、後側のタンク支持ブラケット15Rよりも後方まで前後方向に延ばしてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、第2カバー補強部材27をカバー外板部50に固定したが、カバー外板部50に固定しなくてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、第3カバー補強部材28を設けたが、第3カバー補強部材28を設けなくてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、前後の連結部材22bを、カバー外板部50の車幅方向内側の近傍に配置し、カバー外板部50に車幅方向外側から荷重が入力した際に、カバー外板部50を前後の連結部材22bによって車幅方向内側から補強可能としたが、これに限定されるものではない。
【0071】
また、本実施形態では、前後の補強支持部材25F,25Rの外骨部30の下端部29を第2カバー補強部材27に固定したが、第2カバー補強部材27に固定することなく、前後のタンク支持ブラケット15F,15Rの支持部15bの車幅方向外端部43に対して固定してもよい。
【0072】
また、本実施形態では、前後の補強支持部材25F,25Rの上骨部32を、傾斜部32aと水平部32bとによって構成したが、これに限定されるものではなく、上骨部32は、外骨部30の上端から第1燃料タンク13及び第2燃料タンク14よりも上方を車幅方向内側へ延びていればよい。
【0073】
また、本実施形態では、本開示に係る燃料タンク取付構造を、2つの燃料タンク13,14を取り付ける構造に適用したが、これに限定されるものではなく、1つの燃料タンク、或いは3つ以上の燃料タンクを取り付ける構造に適用してもよい。
【0074】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0075】
例えば、本開示に係る燃料タンク取付構造が適用される車両は、大型のトラックに限定されず、中型または小型のトラック、バス、トラクタ等の他の車両であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示に係る燃料タンク取付構造は、サイドメンバに対して燃料タンクを取り付ける車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1:車両
6:サイドメンバ
13:第1燃料タンク(燃料タンク)
14:第2燃料タンク(燃料タンク)
15F,15R:前後のタンク支持ブラケット
15a:固定部(サイドメンバ固定部)
15b:支持部(タンク支持部)
16:前後の移動規制部材
18:タンクカバー
25F,25R:前後の補強支持部材
26:第1カバー補強部材
27:第2カバー補強部材
30:外骨部
32:上骨部
33:突出部
34:第2燃料タンクの外面
50:カバー外板部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7