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特許7157969単価推定装置、単価推定方法、及び単価推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】単価推定装置、単価推定方法、及び単価推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20120101AFI20221014BHJP
【FI】
G06Q50/16
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019112172
(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公開番号】P2020204899
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-03-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516186968
【氏名又は名称】株式会社コラビット
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷口 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】浅海 剛
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-102672(JP,A)
【文献】特開2003-345884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持する記憶部と、
前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定する単価推定部と、
前記推定した単価に基づき、当該推定された単価が評価対象地域の推定された単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する地域判定部と、
前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成するモデル生成部と、
を備える単価推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の単価推定装置であって、
前記モデル式に、前記評価対象地域における前記中古マンションの新築想定の前記単価を適用し、当該評価対象地域における算出対象の新築マンションの単価を算出し、当該算出結果を所定装置にて表示する表示処理部をさらに備える、単価推定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の単価推定装置であって、
前記表示処理部は、新築マンションの専有面積と単価又は総額とで規定する座標平面において、前記同一需給圏および前記評価対象地域での前記新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの単価又は総額をプロットする処理と、当該座標平面に、前記算出した前記新築マンションの単価の情報を描画処理する処理をさらに実行する、単価推定装置。
【請求項4】
情報処理装置が、
各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持し、
前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定し、
前記推定した単価に基づき、当該推定された単価が所定の評価対象地域の推定された単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定し、
前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する、
ことを特徴とする単価推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の単価推定方法であって、
前記情報処理装置が、前記モデル式に、前記評価対象地域における前記中古マンションの新築想定の前記単価を適用し、当該評価対象地域における算出対象の新築マンションの単価を算出し、当該算出結果を所定装置にて表示する、ことを特徴とする単価推定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の単価推定方法であって、
前記情報処理装置が、新築マンションの専有面積と単価又は総額とで規定する座標平面において、前記同一需給圏および前記評価対象地域での前記新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの単価又は総額をプロットする処理と、当該座標平面に、前記算出した前記新築マンションの単価の情報を描画処理する処理をさらに実行する、ことを特徴とする単価推定方法。
【請求項7】
各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持する情報処理装置に、
前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定する処理と、
前記推定した単価に基づき、当該推定された単価が所定の評価対象地域の推定された単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する処理と、
前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する処理と、
を実行させる単価推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、単価推定装置、単価推定方法、及び単価推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるマンションデベロッパーは、開発用地を仕入れるにあたり、当該地域におけるマンションの相場感として坪単価や平米単価といった単価を認識する必要がある。例えば、当該地域における坪単価にマンション各部屋の面積(坪数)を乗算し集計すれば、当該マンションの販売総額が概ね推定できる。そして、この販売総額から、各種コストや留保すべき利益を差し引いた額が、開発用地の仕入れ金額上限となる。したがって、マンションの坪単価は、マンション開発において非常に重要なファクターとなっている。
【0003】
そうしたマンションの価格情報の推定等に関連する従来技術としては、たとえば、共同住宅の供給機関が管理するサーバコンピュータ及び中古住宅の取引業者のコンピュータを備え、該コンピュータを用いて前記取引業者が、中古共同住宅の住戸の売却価格を査定する中古共同住宅価格査定システムであって、前記サーバコンピュータは、前記供給機関が供給した前記共同住宅の共用部分の維持管理状況の評価を示す値が格納された自社物件管理状況参照ファイルを備え、前記取引業者のコンピュータは、査定対象の前記物件に条件が類似する過去の売買成約物件を比較対象物件とし、該比較対象物件の単位面積当りの成約価格単価に、複数の特定項目について前記査定対象の物件を前記比較対象物件と比較して得た比率、及び前記査定対象の物件の専有面積を積算して得た一次査定価格を、前記査定対象の物件の初期評価額として入力する入力手段と、前記査定対象の物件が前記供給機関が供給した前記物件である場合に、前記共用部分の維持管理状況の評価を示す値を前記供給機関側から受信する受信手段と、前記共用部分の維持管理状況の評価を示す値を前記初期評価額に反映させた最終査定価格を算出する演算手段と、を有することを特徴とする中古共同住宅価格査定システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0004】
また他にも、送電線設置に必要な土地に関する所有者との交渉の用地交渉支援システムであって、外部装置からの情報を受信する入力部は、送電線路の始点と終点の地名情報、および所定のしきい値価格が設定された設置費用情報とを土地価格評価装置に出力し、前記土地価格評価装置は、地図情報データベースから前記始点から前記終点に至るまでの関連する土地の地図情報を入力して、土地所有権利者毎に区域分けされた区域分け土地図を作成し、さらに公開情報データベースから前記区域分け土地図に対応する土地価格データを入力するとともに、前記公開情報データベースに土地価格が公開されてない前記区域分け土地に対しては、逆距離加算法によって土地価格データを算出して、前記区域分け土地図上に前記土地価格データを表示し、さらに加えて土地情報データベースから入力する取引価格情報に基づいて、土地価格補正データを作成して前記土地価格データを補正するものであり、前記土地価格補正データおよび前記設置費用情報を入力する経路選択装置によって、前記始点から前記終点に至る土地価格が前記所定のしきい値価格以下の設置費用であって最小価格となる経路を選択して経路図を作成するとともに、外部の土地価格提示装置に前記経路図を出力することを特徴とする用地交渉支援システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【0005】
またさらに、物件の情報を格納する格納手段から対象物件を含む複数の物件の価値を示す価値指標値を取得し、前記複数の物件の価値指標値の幅を算出する指標値幅算出手段と、前記複数の物件のそれぞれの、複数の評価項目について評価された評価点を取得し、前記評価点の幅を算出する評価手段と、前記評価点の幅と前記価値指標値の幅とを対応付け、前記対象物件の評価点に応じた価値指標値を算出する指標値算出手段と、として機能させるための情報処理プログラム(特許文献3参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-128728号公報
【文献】特開2016-14955号公報
【文献】特開2014-127117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、中古マンションに関する価格情報は各地域で多数蓄積されており、そのデータの収集、利用も比較的容易である。そこで、中古マンションの価格情報に、例えばヘドニック・アプローチ等の既存手法を適用し分析を行うことで、その地域の中古マンションの新築販売の売り出し価格や坪単価等を推定することは既に知られている。
【0008】
しかしながら、そうした推定で得られる値は、あくまでも中古マンションの価格情報から数学的に推定したものであり、現実の新築マンションの坪単価等とは乖離するケースも多い。新築マンション価格は、駅からの距離、階数、向き、グレードといった一般的な要因のみならず、その土地ならではの固有事情、販売会社の財務上の都合、競合他社の類似マンションとの価格競争、など他の様々な要因にも影響されうる。
【0009】
一方、新築マンションの価格情報に対して同様の分析を行おうとしても、そもそも中古マンションと比べて情報が大幅に少ないこともあり、地域によってはデータの数が限定的となりがちで、有効な分析を行うことが難しい。
【0010】
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、新築マンションの単価を精度良好に推定可能とする技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本開示に係る単価推定装置は、各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持する記憶部と、前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定する単価推定部と、前記推定した単価に基づき、当該単価が評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する地域判定部と、前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成するモデル生成部と、を備える。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る単価推定方法は、情報処理装置が、各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持し、前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定し、前記推定した単価に基づき、当該単価が所定の評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定し、前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する、ことを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る単価推定プログラムは、各地域の中古マンションおよび新築マンションの価格情報を保持する情報処理装置に、前記中古マンションの価格情報に所定アルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を、前記中古マンションごとに推定する処理と、前記推定した単価に基づき、当該単価が所定の評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する処理と、前記同一需給圏における前記新築マンションの価格情報に基づく単価と、前記所定アルゴリズムに基づく当該新築マンションの地点の新築想定の単価との相関関係を分析し、前記同一需給圏における前記新築マンションの単価と前記新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、新築マンションの単価を精度良好に推定可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の単価推定システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態の単価推定装置の構成例を示す図である。
図3】本実施形態の端末の構成例を示す図である。
図4】本実施形態の情報配信サーバの構成例を示す図である。
図5】本実施形態の単価推定方法のフロー例を示す図である。
図6】本実施形態の中古価格情報DBの構成例を示す図である。
図7】本実施形態の同一需給圏を含む色分けマップの一例を示す図である。
図8】本実施形態の地域データDBの構成例を示す図である。
図9】本実施形態の新築価格情報DBの構成例を示す図である。
図10】本実施形態の表示処理の一例を示す図である。
図11】本実施形態の表示処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。
【0017】
<実施形態>
(実施形態の概要)
既に述べたように、マンションの開発、販売に先立ち、いわゆるマンションデベロッパーらは、開発用地の仕入れ額上限を判断すべく、当該マンションの単価を推定する必要がある。この単価の精度の良し悪しは、開発用地の仕入れ結果やそれによる新築マンションの販売動向に影響を与えやすい。なお、単価とは、坪単価や平米単価などマンションの価格に関連する種々の単価の概念を含みうるものとする。
【0018】
そこで精度良く新築マンションの単価を推定することが求められるが、基本的な前提として、ある地域で1年間に販売される新築マンション数は限定的であり、地域によっては数年間に亘って新築物件無しという状況が継続する。したがって、数年分を遡って価格情報を収集し、ヘドニック・アプローチ等で従来どおり単価を推定するとしても、その精度はさほど期待出来ない。
【0019】
一方、本発明の単価推定方法においては、豊富に蓄積された中古マンションの価格情報(例:売り出し価格と成約価格の少なくともいずれか。以下同様)に基づく、当該中古マンションの新築想定の単価と、当該同一需給圏で(数は少ないながら)販売された新築マンションの価格情報に基づく単価との間に関して、例えば、重回帰分析等の分析手法を適用することで、当該同一需給圏における、新築想定の単価と実際の新築マンションの単価との間の関係性を規定するモデル式(回帰式)を生成し、単価推定に用いる。
【0020】
こうした本発明によれば、各地域にて数多く存在する中古マンションの価格情報に基づき、地域を跨がった網羅的な分析で各中古マンションの単価(新築想定)を推定するとともに、そうした新築想定の単価と、数が少ないながらも存在する新築マンションの価格情報に基づく単価との関係性を推定することで、精度良く新築マンションの単価を推定可能となる。
【0021】
本発明により得られた新築マンションの単価を活用することで、マンションデベロッパーらは、開発用地の仕入れ額上限を良好な精度で認識し、適宜な確信を持って仕入れ業務を遂行し、ひいては良好な仕入れ結果につなげやすくなる。また、そうして仕入れた開発用地に建築、販売される新築マンションも、その売り出し価格が該当地域の相場感を適宜踏まえた適切なものとなりやすく、販売動向にも好影響が生じやすい。
【0022】
(単価推定システム1の構成)
図1は、単価推定システム1の構成図である。図1を参照して、実施形態1に係る単価推定システム1の構成について説明する。
【0023】
単価推定システム1は、単価推定装置100と、端末200-1,200-2,…,200-N(Nは自然数)と、情報配信サーバ300とを備え、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。
【0024】
ネットワークNWは、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等から構成される。なお、以下の説明では、端末200-1,200-2,…,200-Nは、特に区別する必要のない限り、端末200と記載する。
【0025】
単価推定装置100は、本実施形態に係る単価推定方法に対応したサービスをネットワークNW上で提供するサーバ装置である。この単価推定装置100は、例えば、ネットワークNWを介してアクセスしてきた端末200に対する、所定の評価対象地域での新築マンションの単価推定要求の受付から、これに応じた単価推定の処理および当該処理結果の配信等の処理を行う。
【0026】
一方、端末200は、上述したように単価推定装置100から配信される単価推定結果を受信し、これをディスプレイ等の表示装置に出力する情報処理端末である。
【0027】
また、情報配信サーバ300は、各地域における中古マンションの価格情報すなわち中古価格情報、及び新築マンションの価格情報すなわち新築価格情報、の各情報を保持し、これを要求に応じて又は所定時間毎に、単価推定装置100に提供するサーバ装置である。この情報配信サーバ300は、新築/中古のマンションの価格情報について、所定の手法で情報収集可能な事業者が管理、運営するものとする。
【0028】
(単価推定装置100の機能構成)
図2は、単価推定装置100の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態の単価推定装置100は、図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0029】
単価推定装置100は、情報処理装置であって、通信部105と、記憶部110と、処理部120と、を備える。
【0030】
このうち通信部105は、端末200及び情報配信サーバ300と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものである。その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0031】
また、記憶部110は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置である。この記憶部110は、中古価格情報DB111、新築価格情報DB112および地域データDB113を含む。
【0032】
中古価格情報DB111は、本実施形態に係る中古マンションの価格情報を、情報配信サーバ300から得て、これを蓄積したデータベースである。この中古価格情報DB111で保持する情報は、例えば、過去に、各地域で販売された中古マンションの、所在地、価格(売り出し価格、成約価格)、坪単価、専有面積、間取り、築年数、最寄駅、徒歩、階数、及び方位、などの情報である。なお、記憶部110は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。
【0033】
また、新築価格情報DB112は、本実施形態に係る新築マンションの価格情報を、情報配信サーバ300から得て、これを蓄積したデータベースである。この新築価格情報DB112で保持する情報は、例えば、過去に、各地域で販売された新築マンションの、物件名、事業主、所在地、平均価格(売り出し価格、成約価格。以下同様)、坪単価、平均面積、最高価格、最低価格、分譲開始、最終分譲期、販売終了、階数、総戸数、最寄駅、及び徒歩、などの情報である。
【0034】
また、地域データDB113は、上述の中古価格情報DB111や新築価格情報DB112に格納されている各マンションの所在地に対応した地域の属性が格納されたデータベースである。この地域データDB113で蓄積する情報は、例えば、地域ごとの、コード、都道府県、区または市、町名、及び丁目といった情報である。
【0035】
また、処理部120は、単価推定装置100において実行される各種の情報処理を実行する。処理部120は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを有し、CPUがメモリを用いて、記憶部110に記憶された情報処理プログラムを実行することによって各種の情報処理が実行される。
【0036】
処理部120は、単価推定部121と、地域判定部122と、モデル生成部123と、表示処理部124とを含む。
【0037】
このうち単価推定部121は、中古価格情報DB111から得た各地域の中古価格情報にヘドニック・アプローチ等に対応したアルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を推定する。
【0038】
このヘドニック・アプローチとは、例えば、マンションの単価をそのマンションのさまざまな属性(例:所在地、最寄駅、(最寄駅からの)徒歩、階数、向きなど)の価値に関する集合体(属性の束)とみなし、回帰分析を利用してそれぞれの属性価格を推定する手法である。
【0039】
より具体的には、いわゆるマンション比準価格モデルに基づき、属性のうち築年数について「1年」に遡及させた単価を推定することとなる。こうした手法自体は既存技術を適宜に採用すればよい。
【0040】
また、地域判定部122は、上述の単価推定部121が推定した、各地域における各中古マンションの新築想定の単価に基づき、その各地域のうち、当該単価が評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する。なお、上述の同一需給圏として特定する地域は、評価対象地域から、予め定めた距離範囲内(後述する、3km圏内など)に存在する地域であるとする。
【0041】
評価対象地域とは、ユーザが新築マンションの単価について知りたいと考えて指定した地域であり、上述の地域データDB113で規定している、都道府県、区または市、町名、及び丁目といった行政区域のいずれかの粒度で指定したものとなる。当然ながら、地域判定部122が、そうしたユーザの端末200から、当該指定を処理に先だって受けているものとする。
【0042】
こうした地域判定部122は、まず、評価対象地域を基準地域として、その単価を基準値とする。また地域判定部122は、その基準値に対して、基準地域以外の各地域の単価を比較値とし、誤差率を算定する。ただし、比較値を得る地域は、基準地域から例えば半径3km以内、などと対象範囲を予め定めて適用するものとする。また、上述の誤差率は、(比較値-基準値)/基準値、の算定式で得られる。
【0043】
地域判定部122は、上述のように算定した各地域の誤差率について、例えば、誤差率がマイナスの場合、基準地域が割安であり、プラスの場合は基準地域が割高、と判定する。また、地域判定部122は、例えば、誤差率がマイナス10%からプラス10%の間にある地域を同一需給圏と判定する。
【0044】
また、モデル生成部123は、上述の同一需給圏における新築マンションの価格情報に基づく単価と、単価推定部121が算定した新築想定の単価との相関関係を分析し、同一需給圏における新築マンションの単価と、中古マンションの新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する。
【0045】
この場合、モデル生成部123は、新築価格情報DB112から、上述の評価対象地域を含む同一需給圏における新築マンション事例の単価を抽出し、当該単価を時点修正することで、新築マンションの現在単価に換算する。この場合に用いる時点修正率は、地域ごとに例えば直近数年間の各年における時点修正率となる(時点修正率の求め方自体は既存手法を採用)。また、モデル生成部123は、新築マンションの現在単価を、現在単価=新築マンション事例の単価/その時点の時点修正率、の算定式で算出する。
【0046】
また、モデル生成部123は、上述の同一需給圏における新築マンションの単価と、中古マンションの新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成するに際し、例えば、モデル式として新築マンションの単価Y=a×中古マンションの新築想定の単価X+b、といった式を生成するため、同一需給圏における各マンションに関して得られる、現在単価と新築想定の単価との各組み合わせについて回帰分析を実行して、回帰式を算出し、これをモデル式とする。
【0047】
また、その他にも、モデル生成部123は、新築マンションの現在単価(新築価格情報からのアプローチ)と新築想定の単価(中古価格情報からのアプローチ)との関係を、を誤差率として算定する手法も採用できる。その場合、事例ごとに新築想定の単価との誤差率を計算し、その平均を算定する。新築想定の単価は、下記の条件で求めるものとする。
【0048】
また、モデル生成部123は、誤差率平均値(=1/n Σ (現在単価-新築想定の単価)/新築想定の単価、の平均値を用いる(nはマンション事例の件数)。ここで、誤差率平均値が、+の場合は該当地域は、新築相場が割高で、マイナスの場合は新築相場が割安という見方になる。
【0049】
また、モデル生成部123は、上述のように得た誤差率を、当該地点の新築想定の単価に反映する。その場合、モデル生成部123は、マンションモデルでの該当地点の推定値×(1+誤差率平均値)、の算定式で新築マンションの単価として算定する。
【0050】
また、表示処理部124は、上述のモデル生成部123が生成したモデル式に、評価対象地域における新築想定の単価を適用し、当該評価対象地域における新築マンションの単価を算出し、当該算出結果を端末200にて表示させる。
【0051】
なお、表示処理部124は、新築マンションの専有面積と単価又は総額とで規定する座標平面において、上述の同一需給圏および評価対象地域での新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの単価又は総額をプロットするとしてもよい。その場合、表示処理部124は、当該座標平面に、上述のように算出した新築マンションの単価の情報を描画処理する。
【0052】
なお、本実施形態では、「サーバ」とは、1つの情報処理装置(すなわち、サーバ装置)を指す他、サーバが複数のサーバ装置によって構成される場合にはサーバ装置群(すなわち、サーバシステム)全体を指す意味である。また、本実施形態においては、単価推定装置100を一体的な構成として説明するが、単価推定装置100は、機能および/または役割に応じて分けられた複数のサーバ装置を含む構成であってもよい。
【0053】
(端末200の機能構成)
図3は、端末200の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態の端末200は、図3の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0054】
端末200は、ユーザが所持する端末に相当する情報処理装置であり、本実施形態においては、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯ゲーム機、据置ゲーム機、ヘッドマウントディスプレイ等のウェアラブル端末、又は、情報処理機能を備えた多機能型テレビジョン受像機(スマートテレビ)等のデバイスである。
【0055】
すなわち、端末200は、一般的なデバイスが有する各種の機能(例えば、入力機能、出力(表示)機能、情報処理機能、ネットワーク通信機能、センサ機能、通話機能、カメラ機能等)を必要に応じて有している。なお、ネットワーク通信機能は、インターネット等を介した通信機能、および/または、モバイル通信網を介した通信機能である。
【0056】
端末200は、通信部210と、入力部220と、出力部230と、位置情報取得部235と、記憶部240と、処理部250と、を備える。
【0057】
通信部210は、単価推定装置100と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0058】
入力部220は、ユーザからの入力を受け付けるためのインターフェイスであり、ユーザの入力を処理部250に送る。入力部220は、例えば、タッチパネルやボタン、コントローラ等である。
【0059】
出力部230は、例えば、ディスプレイ等の表示装置やスピーカなどのオーディオ出力装置であり、入力部220に対する入力に応じて端末200において生成される各種の画像や音声を表示、出力したり、単価推定装置100から受信されたデータに基づく各種の画像や音声を表示、出力したりする。
【0060】
こうした出力部230は、人工知能搭載型スピーカ(スマートスピーカ)を含む。また、出力部230は、端末200を振動させるバイブレータや、発光するライトを含んでもよい。
【0061】
位置情報取得部235は、端末200すなわちユーザの位置情報を、例えば評価対象地域の属性情報の一つとして取得する。この位置情報取得部235は、例えば、GPS(Global Positioning System)センサ(例えば、GPSモジュール)であり、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いて位置を検出する。ただし、こうした位置情報取得部235は、端末200において必須の構成ではない。
【0062】
なお、位置情報取得部235における位置情報取得方法は任意であり、位置情報取得部235は、例えば、ビーコンを用いて位置情報を取得してもよい。また、位置情報取得部235は、例えば、端末200が特定のアクセスポイントと通信を行う際に、アクセスポイントから取得可能な位置情報を検出してもよい。
【0063】
また、位置情報取得部235は、端末200がインターネットに接続された際の識別情報(IPアドレス等)に基づいて、端末200が所在すると推定される位置を検出してもよい。
【0064】
位置情報取得部235は、取得した位置情報を評価対象地域に関する属性情報として処理部250に送ってもよい。また、位置情報取得部235は、気圧センサの検出結果に基づいて高度の変化を算出することで、ユーザの高度を示す情報(例えばビルの何階にいるかを示す情報)を算出してもよい。この情報も評価対象地域に関する属性情報となりうる。
【0065】
記憶部240は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置である。この記憶部240は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。
【0066】
また、処理部250は、端末200において実行される各種の情報処理を実行する。処理部250は、CPUおよびメモリを有する。端末200においては、CPUがメモリを用いて、記憶部240に記憶されたプログラムを実行することによって必要な処理が実行される。また、端末200がデバイスとして動作する場合、処理部250は、各機能を実現するための情報処理を実行する。
【0067】
処理部250は、データ送信部251と、データ受信部252と、出力制御部253と、を含む。このうちデータ送信部251は、通信部210に対し、入力部220が受け付けたユーザの入力に関するデータを単価推定装置100に送信するよう制御する。
【0068】
また、データ送信部251は、通信部210に対し、位置情報取得部235が取得した位置情報をユーザの属性情報として単価推定装置100に送信するよう制御してもよい。
【0069】
一方、データ受信部252は、通信部210を介して、単価推定装置100から配信された新築マンションの単価に関する各種情報等を受け付ける。
【0070】
また、出力制御部253は、データ受信部252が受け付けたデータに基づき、所定の画面において、画像(動画および静止画の概念を含む。)や音声、振動等を出力するよう出力部230を制御する。
【0071】
(情報配信サーバ300の機能構成)
図4は、情報配信サーバ300の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。なお、本実施形態の情報配信サーバ300、図4の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0072】
情報配信サーバ300は、新築/中古のマンションの価格情報を管理する事業者が管理、運営するサーバ装置である。この情報配信サーバ300は、通信部310と、記憶部320と、処理部330と、を備える。
【0073】
通信部310は、単価推定装置100と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0074】
また、記憶部320は、コンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するための記憶装置である。この記憶部320は、一時的な記憶領域や、ストレージを含んでもよい。また、記憶部320には、単価推定装置100に配信する、中古価格情報321、及び新築価格情報322が格納されている。これら中古価格情報321、及び新築価格情報322が、中古価格情報DB111及び新築価格情報DB112のデータリソースとなる。
【0075】
また、処理部330は、情報配信サーバ300において実行される各種の情報処理を実行する。処理部330は、CPUおよびメモリを有する。情報配信サーバ300においては、CPUがメモリを用いて、記憶部320に記憶されたプログラムを実行することによって必要な処理が実行される。
【0076】
処理部330は、情報配信部331を含む。この情報配信部331は、通信部310に対し、記憶部320が保持する中古価格情報321及び新築価格情報322を、単価推定装置100に送信するよう制御する。
【0077】
なお、上述のように、本実施形態に係る単価推定システム1では、単価推定装置100が主たる処理に関する制御を行うが、同様の機能を備えた端末200が行うとしてもよい。具体的には、単価推定装置100が有する機能部の少なくとも一部を、単価推定装置100の処理部120に設けない構成にする一方で、端末200の処理部250に設ける構成にしてもよい。
【0078】
(単価推定装置100における処理)
図5は、単価推定装置100における処理の一例を示すフローチャートである。図5を参照して、単価推定装置100における処理の一例について説明する。
【0079】
ステップS101において、単価推定装置100の単価推定部121は、中古価格情報DB111から得た各地域の中古価格情報の情報に、ヘドニック・アプローチ等に対応したアルゴリズムを適用し、当該中古マンションの新築想定の単価を推定する。
【0080】
このヘドニック・アプローチとは、例えば、マンションの単価をそのマンションのさまざまな属性(例:所在地、最寄駅、(最寄駅からの)徒歩、階数、向きなど)の価値に関する集合体(属性の束)とみなし、回帰分析を利用してそれぞれの属性価格を推定する手法である。
【0081】
より具体的には、いわゆるマンション比準価格モデルに基づき、属性のうち築年数について「1年」に遡及させた単価を推定することとなる。こうした手法自体は既存技術を適宜に採用すればよい。
【0082】
図6は、中古価格情報DB111の一例を示す図である。図6において、中古価格情報DB111における各レコードは、過去に、各地域で販売された中古マンションの、所在地、価格、坪単価、専有面積、間取り、築年数、最寄駅、徒歩、階数、及び方位を項目として含む。
【0083】
ステップS102において、地域判定部122は、上述の単価推定部121が推定した、各地域における各中古マンションの新築想定の単価に基づき、その各地域のうち、当該単価が評価対象地域の単価と所定範囲で近しい地域を同一需給圏として特定する。単価の近しさで同一需給圏とその他の地域を色分けしたマップ700のイメージは、図7に示すものを想定できる。
【0084】
なお、評価対象地域とは、ユーザが新築マンションの単価について知りたいと考えて指定した地域であり、上述の地域データDB113で規定している、都道府県、区または市、町名、及び丁目といった行政区域のいずれかの粒度で指定したものとなる。当然ながら、地域判定部122が、そうしたユーザの端末200から、当該指定を処理に先だって受けているものとする。
【0085】
上述の行政区域に関する情報は、地域データDB113にて保持し、これを上述の指定や同一需給圏の判定に際し適宜活用する。図8に地域データDB113の一例を示す。図8に示す地域データDB113の各レコードは、地域ごとの、コード、都道府県、区または市、町名、及び丁目を項目として含む。
【0086】
こうした地域判定部122は、まず、評価対象地域を基準地域として、その単価を基準値(図7のマップ700における「100」)とする。また地域判定部122は、その基準値に対して、基準地域以外の各地域の中古マンションの単価を比較値とし、誤差率を算定する。ただし、比較値を得る中古マンションの所在地域は、基準地域から例えば半径3km以内、などと対象範囲を予め定めて適用するものとする。また、上述の誤差率は、(比較値-基準値)/基準値、の算定式で得られる。
【0087】
地域判定部122は、上述のように算定した各地域の誤差率について、例えば、誤差率がマイナスの場合、基準地域が割安であり、プラスの場合は基準地域が割高、と判定する。また、地域判定部122は、例えば、誤差率がマイナス10%からプラス10%の間にある地域を同一需給圏と判定する。
【0088】
ステップS103において、モデル生成部123は、上述の同一需給圏における新築マンションの価格情報に基づく単価と、単価推定部121が中古マンションに関して算定した新築想定の単価との相関関係を分析し、同一需給圏における新築マンションの単価と中古マンションの新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成する。
【0089】
図9は、新築価格情報DB112の一例を示す図である。図9において、新築価格情報DB112における各レコードは、過去に、各地域で販売された新築マンションの、物件名、事業主、所在地、平均価格、坪単価、平均面積、最高価格、最低価格、分譲開始、最終分譲期、販売終了、階数、総戸数、最寄駅、及び徒歩を項目として含む。
【0090】
この場合、モデル生成部123は、新築価格情報DB112から、上述の評価対象地域を含む同一需給圏における新築マンション事例の単価を抽出し、当該単価を時点修正することで、新築マンションの現在単価に換算する。この場合に用いる時点修正率は、地域ごとに例えば直近数年間の各年における時点修正率となる(時点修正率の求め方自体は既存手法を採用)。また、モデル生成部123は、新築マンションの現在単価を、現在単価=新築マンション事例の単価/その時点の時点修正率、の算定式で算出する。
【0091】
また、モデル生成部123は、上述の同一需給圏における新築マンションの単価と中古マンションの新築想定の単価との関係を規定するモデル式を生成するに際し、例えば、モデル式として新築マンションの単価Y=a×中古マンションの新築想定の単価X+b、といった式を生成するため、同一需給圏における各マンションに関して得られる、現在単価と新築想定の単価との各組み合わせについて回帰分析を実行して、回帰式を算出し、これをモデル式とする。
【0092】
また、その他にも、モデル生成部123は、新築マンションの現在単価(新築価格情報からのアプローチ)と新築想定の単価(中古価格情報からのアプローチ)との関係を、を誤差率として算定する手法も採用できる。その場合、事例ごとに新築想定の単価との誤差率を計算し、その平均を算定する。
【0093】
また、モデル生成部123は、誤差率平均値(=1/n Σ (現在単価-新築想定の単価)/新築想定の単価、の平均値を用いる(nはマンション事例の件数)。ここで、誤差率平均値が、+の場合は該当地域は、新築相場が割高で、マイナスの場合は新築相場が割安という見方になる。
【0094】
また、モデル生成部123は、上述のように得た誤差率を、当該地点の新築想定の単価に反映する。その場合、モデル生成部123は、マンションモデルでの該当地点の推定値×(1+誤差率平均値)、の算定式で新築マンションの単価として算定する。
【0095】
ステップS104において、表示処理部124は、上述のモデル生成部123が生成したモデル式に、評価対象地域における新築想定の単価を適用し、当該評価対象地域における新築マンションの単価を算出する。
【0096】
また、ステップS105において、表示処理部124は、当該算出結果を端末200にて表示させ、処理を終了する。
【0097】
なお本実施形態では、表示処理部124が、新築マンションの専有面積と単価又は総額とで規定する座標平面において、上述の同一需給圏および評価対象地域での新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの単価又は総額をプロットする形態を例示する。その場合、表示処理部124は、当該座標平面に、上述のように算出した新築マンションの単価の情報を描画処理する。
【0098】
図10の画面1000において、新築マンションの専有面積と単価とで規定する座標平面1001において、上述の同一需給圏および評価対象地域での新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの単価1002をプロットする形態を例示する。
【0099】
また、上述の座標平面1001には、上述のように算出した新築マンションの単価の情報1005を描画処理している。
【0100】
また、図11の画面1100において、新築マンションの専有面積と総額とで規定する座標平面1101において、上述の同一需給圏および評価対象地域での新築マンションの価格情報に基づく、各新築マンションの総額1102をプロットする形態を例示する。
【0101】
また、上述の座標平面1101には、上述のように算出した新築マンションの単価の情報1105を描画処理している。
【0102】
(効果の説明)
上述したように、本実施形態では、各地域にて数多くの存在する中古マンションの価格情報に基づき、地域を跨がった網羅的な分析で各地域の中古マンションの単価(新築想定)を推定するとともに、そうした新築想定の単価と、数が少ないながらも存在する新築マンションの価格情報に基づく単価との関係性を推定することで、精度良く新築マンションの単価を推定可能となる。
【0103】
本発明により得られた新築マンションの単価を活用することで、マンションデベロッパーらは、開発用地の仕入れ額上限を良好な精度で認識し、適宜な確信を持って仕入れ業務を遂行し、ひいては良好な仕入れ結果につなげやすくなる。また、そうして仕入れた開発用地に建築、販売される新築マンションも、その売り出し価格が該当地域の相場感を適宜踏まえた適切なものとなりやすく、販売動向にも好影響が生じやすい。
【0104】
上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0105】
また、上記実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。
【0106】
本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【符号の説明】
【0107】
1 単価推定システム
100 単価推定装置
105 通信部
110 記憶部
111 中古価格情報DB
112 新築価格情報DB
113 地域データDB
120 処理部
121 単価推定部
122 地域判定部
123 モデル生成部
124 表示処理部
200 端末
210 通信部
220 入力部
230 出力部
235 位置情報取得部
240 記憶部
250 処理部
251 データ送信部
252 データ受信部
253 出力制御部
300 情報配信サーバ
310 通信部
320 記憶部
321 中古価格情報
322 新築価格情報
330 処理部
331 情報配信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11