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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】抗ヌクレオリン抗体
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221014BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221014BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20221014BHJP
   C07K 14/535 20060101ALI20221014BHJP
   C12N 15/117 20100101ALI20221014BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 15/14 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20221014BHJP
   A61K 31/704 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/5517 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/409 20060101ALI20221014BHJP
   A61K 31/4152 20060101ALI20221014BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12P21/08
C12N1/21
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/10
C07K19/00
C07K14/55
C07K14/535
C12N15/117 Z
C07K16/30
A61P35/00
A61P35/02
A61P15/14
A61P13/08
A61P11/00
A61P17/00
A61P1/16
A61P1/04
A61P13/12
A61P25/28
A61P1/18
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61K38/00
A61K47/68
A61K31/704
A61K31/7036
A61K38/05
A61K31/537
A61K31/4745
A61K31/5517
A61K31/519
A61K38/20
A61K31/407
A61K38/12
A61K31/409
A61K31/4152
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61P43/00 105
A61P37/04
【請求項の数】 100
(21)【出願番号】P 2018547926
(86)(22)【出願日】2017-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-23
(86)【国際出願番号】 US2017021203
(87)【国際公開番号】W WO2017156032
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-05
(31)【優先権主張番号】62/304,742
(32)【優先日】2016-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/323,159
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/414,316
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518316918
【氏名又は名称】チャールストンファーマ, エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】509011835
【氏名又は名称】エムユーエスシー ファウンデーション フォー リサーチ ディベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ストコウスキー, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ホール, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ルビンチク, セミヨン
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-242566(JP,A)
【文献】特表2013-511260(JP,A)
【文献】Dario Palmieri,PNAS,112(30),2015年,9418-9423
【文献】Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1997年,Vol.94, No.8,pp.3605-3610
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項2】
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号38のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号47のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号53のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号59のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項3】
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号26のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
YISのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号39のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号48のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号60のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項4】
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号32のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項5】
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、および配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項6】
前記少なくとも90%の配列同一性が、少なくとも95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、請求項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項7】
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号12のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項8】
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項9】
配列番号2のアミノ酸配列が、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされる、請求項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項10】
配列番号11のアミノ酸配列が、配列番号10のヌクレオチド配列によりコードされる、請求項8または9に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項11】
前記少なくとも90%の配列同一性が、少なくとも95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、請求項8~10のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項12】
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項13】
前記少なくとも90%の配列同一性が、少なくとも95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、請求項12に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項14】
配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項15】
配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
【請求項16】
前記ヌクレオリンが、細胞表面ヌクレオリンである、請求項1~15のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項17】
ヒトであるかまたはヒト化されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項18】
IgG抗体である、請求項1~17のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項19】
IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体である、請求項1~18のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項20】
Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、単鎖抗体、または抗体断片から形成される多特異性抗体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項21】
抗原結合領域を含む断片である、請求項1~20のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項22】
正常細胞または組織に無毒性である、請求項1~21のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項23】
腫瘍またはがん細胞に細胞傷害性である、請求項1~22のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項24】
ある期間にわたって腫瘍またはがん細胞の集団と共にインキュベートすると、前記腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも10%を死滅させる、請求項1~23のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項25】
前記腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%、または約100%を死滅させる、請求項24に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項26】
前記インキュベーションが、ヒト血清の存在下で行われる、請求項24または25に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項27】
前記期間が、約48~96時間である、請求項24~26のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項28】
前記腫瘍またはがん細胞が、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がん細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む、請求項23~27のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項29】
前記腫瘍またはがん細胞が、A549、A375、MCF-7、Hep3B、HCT-116、NCI-H358、786-0、DU-145、MDA-MB-231、MV4-11、U251、CG-EMT、MIA-PaCa2、およびPANC-1細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項30】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、乳がん細胞を含む、請求項24~29のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項31】
前記乳がん細胞が、MCF-7またはMDA-MB-231細胞である、請求項30に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項32】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、急性骨髄性白血病(AML)細胞を含む、請求項24~31のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項33】
前記AML細胞が、MV4-11細胞である、請求項32に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項34】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、前立腺がん細胞を含む、請求項24~33のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項35】
前記前立腺がん細胞が、DU-145細胞である、請求項34に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項36】
前記前立腺がん細胞が、CG-EMT細胞である、請求項34に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項37】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、肺がん細胞を含む、請求項24~36のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項38】
前記肺がん細胞が、A549またはNCI-H358細胞である、請求項37に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項39】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、皮膚悪性黒色腫細胞を含む、請求項24~38のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項40】
前記皮膚悪性黒色腫細胞が、A375細胞である、請求項39に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項41】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、肝細胞癌細胞を含む、請求項24~40のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項42】
前記肝細胞癌細胞が、Hep3B細胞である、請求項41に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項43】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、結腸がん細胞を含む、請求項24~42のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項44】
前記結腸がん細胞が、HCT-116細胞である、請求項43に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項45】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、腎がん細胞を含む、請求項24~44のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項46】
前記腎がん細胞が、786-0細胞である、請求項45に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項47】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、脳腫瘍細胞を含む、請求項24~46のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項48】
前記脳腫瘍細胞が、U251細胞である、請求項47に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項49】
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、膵臓がん細胞を含む、請求項24~48のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項50】
前記膵臓がん細胞が、MIA-Paca2またはPANC-1細胞である、請求項49に記載の単離された抗体またはその断片。
【請求項51】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を産生する組換え細胞。
【請求項52】
請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片をコードする単離された核酸。
【請求項53】
請求項52に記載の核酸を含むベクター。
【請求項54】
請求項52に記載の核酸または請求項53に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項55】
抗体またはその断片を産生する方法であって、請求項54に記載の宿主細胞を培養することを含み、それにより前記抗体またはその断片が産生される方法。
【請求項56】
有効量の請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項57】
前記単離された抗体またはその断片がモノクローナル抗体である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記単離された抗体またはその断片がポリクローナル抗体である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
がんを治療するための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む医薬組成物。
【請求項60】
前記組成物が注射によって投与されることを特徴とする、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記組成物が静脈内または皮下注射によって投与されることを特徴とする、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記組成物が1週当たり1~3回投与されることを特徴とする、請求項59~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記対象において腫瘍のサイズを、少なくとも25%、50%、75%、または95%低減する、請求項59~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記腫瘍が固形腫瘍である、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
前記医薬組成物が、前記対象の体重1kg当たり0.15mgから3mgまで投薬される、請求項59~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
用量が、前記対象の体重1kg当たり0.5mgから2mgまでである、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記対象が哺乳動物である、請求項59~66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
前記対象がヒトである、請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記がんが、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む、請求項59~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
がん細胞を死滅させるための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む組成物であって、前記組成物が、前記がん細胞と接触させられることを特徴とする、組成物。
【請求項71】
医薬の製造における、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片の使用。
【請求項72】
前記医薬が、がんを治療するためのものである、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
前記医薬が、がん細胞を死滅させるためのものである、請求項71に記載の使用。
【請求項74】
配列番号1の第1の核酸配列および配列番号10の第2の核酸配列を含む1つまたは複数の細胞を含む組換え哺乳動物細胞系。
【請求項75】
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、同じ構築物中にある、請求項74に記載の組換え哺乳動物細胞系。
【請求項76】
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、組換え的にまたは合成的に産生され、発現ベクターにクローニングされている、請求項74または75に記載の組換え哺乳動物細胞系。
【請求項77】
前記発現ベクターが、pTT5発現ベクターである、請求項76に記載の組換え哺乳動物細胞系。
【請求項78】
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、前記1つまたは複数の細胞にトランスフェクトされている、請求項74~77のいずれか一項に記載の組換え哺乳動物細胞系。
【請求項79】
ヒト対象において免疫系を活性化させるための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む組成物。
【請求項80】
ヒト対象において形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)を阻害することによりがんを治療するための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む組成物。
【請求項81】
前記TGFβが、TGFβ1、TGFβ2、またはTGFβ3である、請求項80に記載の組成物。
【請求項82】
ヒト対象において発癌性mRNAの安定化を防止することによりがんを治療するための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む組成物。
【請求項83】
前記発癌性mRNAが、腫瘍タンパク質p53 mRNA、B細胞リンパ腫超大型(Bcl-XL)mRNA、(B細胞リンパ腫2)Bcl-2 mRNA、ガストリンmRNA、(増殖停止およびDNA損傷誘導性アルファ)Gadd45αmRNA、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)mRNA、Arabidopsis thalianaキネシン(Atk1)mRNA、サイクリン1 mRNA、インターロイキン-2(IL-2)mRNA、プロスタグランジンHシンターゼ-1(Pghs-1)mRNA、またはそれらの任意の組合せである、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
ヒト対象において発癌性タンパク質の発現レベルを低減することによりがんを治療するための、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む組成物。
【請求項85】
前記発癌性タンパク質が、腫瘍タンパク質p53、Bcl-xL、Bcl-2、ガストリン、Gadd45α、MMP9、Atk1、サイクリン1、IL-2、Pghs-1、またはそれらの任意の組合せである、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
前記がんが、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む、請求項80~85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
治療剤と連結されている抗原結合剤を含み、前記抗原結合剤が、請求項1~50のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む、イムノコンジュゲート。
【請求項88】
前記イムノコンジュゲートが融合タンパク質であり、前記治療剤がポリペプチドである、請求項87に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項89】
前記抗原結合剤が二重特異性抗体である、請求項87に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項90】
前記抗原結合剤がプロボディである、請求項87に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項91】
前記プロボディが、腫瘍細胞により活性化される抗原結合領域を含む、請求項90に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項92】
前記抗原結合領域が、プロテアーゼで切断可能なリンカーを介して軽鎖のN末端に連結されているペプチドを含む、請求項91に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項93】
前記抗原結合剤が、共有結合的に、非共有結合的に、または組換え的に前記治療剤と連結されている、請求項87~92のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項94】
前記治療剤が細胞傷害剤である、請求項87~93のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項95】
前記細胞傷害剤が、ドキソルビシン、カリケアマイシン、オーリスタチン、マイタンシノイド、ブレンツキシマブベドチン、チューブリシン、デュオカルマイシン、カンプトテシン、SN-38、ピロロベンゾジアゼピン、メトトレキセート、α-アマニチン、アンサマイトシン、またはそれらの任意の組合せである、請求項94に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項96】
前記治療剤が免疫刺激剤である、請求項87~93のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項97】
前記治療剤が、インターロイキン-2(IL-2)、免疫刺激性核酸分子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、レシキモド、ガルジキモド、フィコシアノビリン、ロミプロスチム、エルトロンボパグ、またはそれらの任意の組合せである、請求項96に記載のイムノコンジュゲート。
【請求項98】
請求項87~97のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項99】
がんを治療するための、請求項87~97のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物。
【請求項100】
がんを治療するための医薬の製造における、請求項87~97のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年3月7日に出願された米国仮出願番号第62/304,742号、2016年4月15日に出願された米国仮出願番号第62/323,159号、2016年10月28日に出願された米国仮出願番号第62/414,316号の利益を主張しており、これら仮出願のすべては、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
連邦政府によって支援された研究に関する陳述
本発明は、国立がん研究所、米国国立衛生研究所によって授与された認可番号NCI CA109254-04S1、および米国陸軍医学研究・物資軍団によって授与された認可番号W81XWH-12-1-0241およびW81XWH-12-1-0242の下、政府支援でなされた。政府は本発明において特定の権利を有する。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。前記ASCIIコピーは、2017年3月7日に作成され、39723-709_601_SL.txtと名前が付けられており、サイズは60,062バイトである。
【0004】
参照による組み込み
本明細書で開示されている全ての刊行物、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的におよび個々に示されて参照により組み込まれるのと同じ程度に参照により組み込まれる。本明細書で開示されている用語と組み込まれている参考文献中の用語が矛盾する場合、本明細書の用語が優先される。
【背景技術】
【0005】
背景
抗体は、「生物学的製剤」として知られている種類の作用物質である。抗体の供給源は、ヒトもしくはウマ血清など、ポリクローナル供給であってもよく、またはモノクローナル供給源(単一細胞クローン)に由来していてもよい。モノクローナル抗体は、特異的な抗原結合を制御および選択することが技術的に可能になったため、劇的な治療的利益をもたらしている。しかしながら、ある特定の標的に対して特異的抗体を生成することが困難であるため、その成功は限定的であり、治療剤としての可能性は、大部分が依然として未開発のままである。
【0006】
ヒト治療用のモノクローナル抗体の開発の1つの障害は、一般的にはマウス、ラット、およびウサギで作られるこのような抗体を「ヒト化する」必要があるということである。ヒト化定常領域を有していないこのような抗体をヒト患者に投与すると、ヒト患者は、「血清病」に罹患する場合があり、これは、レシピエントが、非ヒト抗体配列に対する内因性免疫応答を開始させたことを意味する。研究動物で産生されたモノクローナル抗体をヒト化することにより、この問題を回避することができる。しかしながら、抗体をヒト化するための時間および費用のコストは、かなり大きくなる場合がある。
【0007】
ヌクレオリンは、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞、急性骨髄白血病(AML)細胞、いくつかの形態の乳癌、ならびに他の腫瘍の細胞表面に発現される。そのため、ヌクレオリンは、抗体を含む治療薬が標的とするための有望な腫瘍抗原となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単な要旨
多くの態様の一部では、本開示は、ヌクレオリンを、免疫学的に認識、結合、および/または不活化する特異的抗体を対象とする。また、本明細書では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を調製するために直接使用しても、または異なる所望の抗体バックグラウンドに組み込むことができる特異的配列エレメント(例えば、CDR配列)を提供するために使用してもいずれでもよい抗ヌクレオリン抗体の軽鎖配列および重鎖配列が提供される。本明細書で開示されている配列を含む抗体は、ヌクレオリンを無力化することに向けられる広範な療法に使用することができる。
【0009】
一部の場合では、本明細書では、ヒトヌクレオリンに結合し、配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、アミノ酸配列YISと少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、アミノ酸配列DMと少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0010】
一部の場合では、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号42を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、YISを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、DMを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号65を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号54を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号66を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0011】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号24~26からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、YISおよび配列番号30~32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、配列番号37~39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、配列番号46~48からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、配列番号52~54からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および配列番号58~61からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0012】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0013】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号38のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号47のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号53のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号59のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0014】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号26のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、YISのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号39のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号48のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号60のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0015】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号32のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号61のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0016】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、および配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0017】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号12のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0018】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、配列番号2のアミノ酸配列は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされる。一部の実施形態では、配列番号11のアミノ酸配列は、配列番号10のヌクレオチド配列によりコードされる。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0019】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0020】
一部の場合には、本明細書では、配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の場合には、本明細書では、配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0021】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、DYFのアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、ARまたは配列番号77のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、NVSのアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0022】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、DYFを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号74を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、ARまたは配列番号77を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号84を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、NVSを含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号91を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0023】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号69または配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、配列番号73または配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、AR、配列番号77、または配列番号78のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、配列番号83または配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、NVSまたは配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および配列番号90または配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0024】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号69のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号83のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号90のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0025】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号70のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号74のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号84のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、NVSのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号90のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0026】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号70のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号74のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、ARのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、配列番号84のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、NVSのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および配列番号91のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0027】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するVH、および配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、配列番号17のアミノ酸配列は、配列番号16のヌクレオチド配列によりコードされる。一部の実施形態では、配列番号19のアミノ酸配列は、配列番号18のヌクレオチド配列によりコードされる。一部の実施形態では、少なくとも60%の配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である。
【0028】
一部の場合には、本明細書では、ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号17のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号19のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0029】
一部の場合では、本明細書では、本明細書で開示されている重鎖CDR、VH、またはそれらの断片、および本明細書で開示されている軽鎖CDR、VL、またはそれらの断片の任意の組合せを含む、単離された抗体またはその断片が提供される。
【0030】
一部の場合には、本明細書では、配列番号21のアミノ酸配列と結合する単離された抗ヌクレオリン抗体またはその断片が提供される。一部の場合には、本明細書では、配列番号20のアミノ酸配列の残基G300~E466内のエピトープと結合する単離された抗ヌクレオリン抗体またはその断片が提供される。一部の実施形態では、エピトープは、E453、R457、D455、K348、K427、G426、K403、Y402、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、E453、R457、またはそれらの組合せと結合する軽鎖CDR1を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、D455と結合する軽鎖CDR2を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、K348と結合する軽鎖CDR3を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、K427と結合する重鎖CDR1を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、K427、G426、またはそれらの組合せと結合する重鎖CDR2を含む。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、K403、Y402、またはそれらの組合せと結合する重鎖CDR3を含む。一部の実施形態では、ヌクレオリンは、細胞表面ヌクレオリンである。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、ヒトであるかまたはヒト化されている。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、IgG抗体である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、単鎖抗体、または抗体断片から形成される多特異性抗体である断片である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、抗原結合領域を含む断片である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、正常な細胞または組織に対して非毒性である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、例えば腫瘍またはがん細胞に対して細胞傷害性である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、ヒト血清の存在下で細胞傷害性である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、ある期間にわたって腫瘍またはがん細胞の集団と共にインキュベートすると、腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも10%を死滅させる。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%、または約100%を死滅させる。一部の実施形態では、インキュベーションは、ヒト血清の存在下で行われる。一部の実施形態では、期間は、約48~96時間である。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞は、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がん細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞は、A549、A375、MCF-7、Hep3B、HCT-116、NCI-H358、786-0、DU-145、MDA-MB-231、MV4-11、U251、CG-EMT、MIA-PaCa2、およびPANC-1細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、乳がん細胞、例えばMCF-7またはMDA-MB-231細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、急性骨髄性白血病(AML)細胞、例えばMV4-11細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、前立腺がん細胞、例えばDU-145細胞またはCG-EMT細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、肺がん細胞、例えばA549またはNCI-H358細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、皮膚悪性黒色腫細胞、例えばA375細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、肝細胞癌細胞、例えばHep3B細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、結腸がん細胞、例えばHCT-116細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、腎がん細胞、例えば786-0細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、脳腫瘍細胞、例えばU251細胞を含む。一部の実施形態では、腫瘍またはがん細胞の集団は、膵臓癌細胞、例えばMIA-Paca2またはPANC-1細胞を含む。
【0031】
一部の場合には、本明細書では、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を産生する組換え細胞が提供される。一部の場合には、本明細書では、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片をコードする単離された核酸が提供される。一部の場合には、本明細書では、本明細書で開示されている核酸を含むベクターが提供される。一部の場合には、本明細書では、本明細書で開示されている核酸または本明細書で開示されているベクターを含む宿主細胞が提供される。一部の場合には、本明細書では、抗体またはその断片を産生する方法であって、抗体またはその断片が産生されるように、本明細書で開示されている宿主細胞を培養することを含む方法が提供される。
【0032】
一部の場合には、本明細書では、有効量の本明細書で開示されている単離された抗体または断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、単離された抗体またはその断片は、ポリクローナル抗体である。
【0033】
一部の場合には、本明細書では、がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。一部の実施形態では、投与は注射である。一部の実施形態では、投与は、静脈内または皮下注射である。一部の実施形態では、投与は、1週当たり1~3回行う。一部の実施形態では、方法は、対象において腫瘍のサイズを、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または98%低減させる。一部の実施形態では、腫瘍は、固形腫瘍である。一部の実施形態では、医薬組成物は、対象の体重1kg当たり0.15mgから3mgまで、例えば、対象の体重1kg当たり0.5mg~2mg投薬される。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えばヒトである。一部の実施形態では、がんは、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む。
【0034】
一部の場合には、本明細書では、がん細胞を死滅させる方法であって、がん細胞と、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を接触させることを含む方法が提供される。一部の場合には、本明細書では、がんを治療するまたはがん細胞を死滅させるための、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片の使用が提供される。
【0035】
一部の場合には、本明細書では、医薬の製造における、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片の使用が提供される。一部の実施形態では、医薬は、がんを治療するためである。一部の実施形態では、医薬は、がん細胞を死滅させるためである。
【0036】
一部の場合には、本明細書では、配列番号1の第1の核酸配列および配列番号10の第2の核酸配列を含む1つまたは複数の細胞を含む組換え哺乳動物細胞系が提供される。一部の実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、同じ構築物中にある。一部の実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、組換え的にまたは合成的に産生され、発現ベクターにクローニングされる。一部の実施形態では、発現ベクターは、pTT5発現ベクターである。一部の実施形態では、第1の核酸配列および第2の核酸配列は、1つまたは複数の細胞にトランスフェクトされる。
【0037】
一部の場合には、本明細書では、ヒト対象において免疫系を活性化する方法であって、対象に本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を投与することを含む方法が提供される。一部の場合には、本明細書では、ヒト対象において形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)を阻害することによりがんを治療する方法であって、対象に本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それによりTGFβが阻害され、がんが治療される方法が提供される。一部の実施形態では、TGFβは、TGFβ1、TGFβ2、またはTGFβ3である。
【0038】
一部の場合には、本明細書では、ヒト対象において発癌性mRNAの安定化を防止することによりがんを治療する方法であって、対象に本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それにより発癌性mRNAが不安定化され、がんが治療される方法が提供される。一部の実施形態では、発癌性mRNAは、腫瘍タンパク質p53 mRNA、B細胞リンパ腫超大型(Bcl-XL)mRNA、(B細胞リンパ腫2)Bcl-2 mRNA、ガストリンmRNA、(増殖停止およびDNA損傷誘導性アルファ)Gadd45αmRNA、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)mRNA、Arabidopsis thalianaキネシン(Atk1)mRNA、サイクリン1 mRNA、インターロイキン-2(IL-2)mRNA、プロスタグランジンHシンターゼ-1(Pghs-1)mRNA、またはそれらの任意の組合せである。一部の場合には、本明細書では、ヒト対象において発癌性タンパク質の発現レベルを低減することによりがんを治療する方法であって、対象に本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それにより発癌性タンパク質の発現レベルが不安定化され、がんが治療される方法が提供される。一部の実施形態では、発癌性タンパク質は、腫瘍タンパク質p53、Bcl-xL、Bcl-2、ガストリン、Gadd45α、MMP9、Atk1、サイクリン1、IL-2、Pghs-1、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、がんは、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む。
【0039】
一部の場合には、本明細書では、治療剤と連結されている抗原結合剤を含み、抗原結合剤が、本明細書で開示されている単離された抗体またはその断片を含む、イムノコンジュゲートが提供される。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、融合タンパク質であり、治療剤は、ポリペプチドである。一部の実施形態では、抗原結合剤は、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、抗原結合剤は、プロボディ(probody)である。一部の実施形態では、プロボディは、腫瘍細胞により活性化される抗原結合領域を含む。一部の実施形態では、抗原結合領域は、プロテアーゼで切断可能なリンカーを介して軽鎖のN末端に連結されているペプチドを含む。一部の実施形態では、抗原結合剤は、共有結合的に、非共有結合的に、または組換え的に治療剤と連結されている。一部の実施形態では、治療剤は、細胞傷害剤である。一部の実施形態では、細胞傷害剤は、ドキソルビシン、カリケアマイシン、オーリスタチン、マイタンシノイド、ブレンツキシマブベドチン、チューブリシン、デュオカルマイシン、カンプトテシン、SN-38、ピロロベンゾジアゼピン、メトトレキセート、α-アマニチン、アンサマイトシン、またはそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、治療剤は、免疫刺激剤である。一部の実施形態では、治療剤は、インターロイキン-2(IL-2)、免疫刺激性核酸分子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、レシキモド、ガルジキモド、フィコシアノビリン、ロミプロスチム、エルトロンボパグ、またはそれらの任意の組合せである。
【0040】
一部の場合には、本明細書では、本明細書で開示されているイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。一部の場合には、本明細書では、がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に本明細書で開示されているイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法が提供される。一部の場合には、本明細書では、がんを治療するための、本明細書で開示されているイムノコンジュゲートの使用が提供される。一部の場合には、本明細書では、がんを治療するための医薬の製造における、本明細書で開示されているイムノコンジュゲートの使用が提供される。
【0041】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示のある特定の態様をさらに実証するために含まれる。本開示は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書において示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて参照することによって、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、抗体CP1ならびにIgGおよびIgM標準のSDS PAGEゲルを示す画像である。SDS PAGEゲルのクマシーブルー染色は、β-メルカプトエタノールの非存在下では(レーン10)、完全長の抗体CP1が約150KDaの分子量を有することを示す。β-メルカプトエタノールでCP1を還元すると(レーン11)、抗体が、それぞれ約50KDaおよび26KDaの重鎖および軽鎖を有するクラスIgGのものであることが明らかになる。
【0043】
図2図2は、MabSelectの1.0mlプロテインAカラムを使用して精製されたCP1のSDS PAGEゲルを示す画像である。
【0044】
図3図3は、CP1のウェスタンブロット分析を示す画像である。SDS PAGEは、既知の量の抗体CP1をIgG1およびIgM標準と共に用いて、還元条件下で行った。転移膜を2つの切片に切断し、一方の切片を、ヒトIgG1に特異的なHRPコンジュゲート型の二次抗体でプローブし(レーン1~7)、一方、第2の切片は、ヒトIgMに特異的なHRPコンジュゲート型の二次抗体でプローブした。示されていないが、CP1の重鎖および軽鎖のcDNAの配列決定によって、抗体がサブクラスIgG1カッパのものであることが明らかになった。
【0045】
図4図4は、ヒト組換えヌクレオリンへのCP1の結合を示す棒グラフである。様々な量のヒト組換えヌクレオリンを、96ウェルプレートに結合させた。プレートをブロッキング緩衝液で洗浄し、次いで、様々な量の抗体CP1またはヒトIgG対照抗体をウェルに添加した。ウェルをブロッキング緩衝液で洗浄して未結合の抗体を除去し、次いで、ヒトIgG1に特異的なHRPコンジュゲート型の二次抗体とインキュベートした。
【0046】
図5図5は、腫瘍細胞および正常細胞の生存能力に対するCP1の細胞傷害効果を示す折れ線グラフである。様々な充実性腫瘍型およびAML(MV4-11)および正常な乳房上皮細胞を、96ウェルプレート内で24時間、10%ヒト血清を含有するRPMI1640培地内でインキュベートした。24時間後、細胞を、ヒトIgG1抗体(対照)または様々な濃度の抗体CP1と共に、96時間インキュベートした。細胞を次いでトリパンブルーで染色し、NEXCELOM Cellometer Auto T4 Plusカウンターで計数した。IC50の結果は、三重の判定の平均+S.D.である。
【0047】
図6図6は、様々なヒト細胞系に対するCP1(B細胞または組換え細胞に由来する)の効果を示す棒グラフである。CP1は、in vitroで血液腫瘍細胞および充実性腫瘍細胞の両方に対して強力で広範な抗がん活性を有するが、正常細胞に対してはわずかな毒性しか有さない。
【0048】
図7図7は、MCF7乳がん細胞およびMCF10A正常乳房上皮細胞の生存能力に対するCP1の効果を示す折れ線グラフである。
【0049】
図8図8は、患者の前立腺がんCG-EMT細胞の生存能力に対するCP1のex vivoでの効果を示す折れ線グラフである。CG-EMT細胞は、ホルモン不応性前立腺がんを有する患者から単離された原発性のがん細胞である。
【0050】
図9図9は、がん細胞へのCP1の、細胞表面および原形質膜での結合を示す一組の画像である。透過処理されていないMCF-7細胞を、1時間、室温で、FITC標識されたアイソタイプ対照抗体またはCP1とインキュベートした。原形質膜内へのCP1の組み込みを、CP1およびFITCコンジュゲート型の二次Abを使用して間接免疫蛍光によって判定した。核をヨウ化プロピジウムで対比染色した。ヌクレオリンの点状の出現は、ヌクレオリンが原形質膜内の脂質ラフト内に組み込まれたことを示唆する。
【0051】
図10図10は、96時間目のMCF7の細胞数に対する、精製された(上部の線)および部分的に精製された(下部の線)CP2の効果を示す、一組の折れ線グラフである。
【0052】
図11図11は、実施例2におけるタンパク質/抗体の発現を検証する、一組のSDS-PAGE画像である。
【0053】
図12図12は、MV4-11細胞の生存能力に対するCP1組換えカッパ軽鎖の効果を示す折れ線グラフである。
【0054】
図13図13は、ヒトMCF-7乳がん細胞の生存能力に対するアプタマーAS1411およびCP1の効果の比較を示す折れ線グラフである。
【0055】
図14図14は、ヌードマウスを用いたMV411ヒト白血病異種移植モデルにおける、30%長期生存マウスに対するCP1の効果を示す、カプラン・マイヤープロットである。
【0056】
図15図15Aは、群1(10頭のマウス):対照(10mg/kg、iv、1、4、7、10、13、16日目)のマウスにおける腫瘍容積の変化を示す折れ線チャートである。図15Bは、群2(10頭のマウス):CP1(10mg/kg、iv、1、4、7、10、13、16日目)のマウスにおける腫瘍容積の変化を示す折れ線チャートである。
【0057】
図16図16は、ヒトヌクレオリンへの抗体CP1の結合の分子モデルの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
本開示は、抗ヌクレオリン抗体およびその使用方法を提供する。これらの抗体は、がん、自己免疫障害、およびウイルス性障害に関与する細胞など、原形質膜においてヌクレオリンを発現する細胞に対して細胞傷害性を示す。したがって、抗体は、がん、過剰増殖性および新生血管性障害、ならびに自己免疫疾患のある特定の形態に対して治療的可能性を有する。
【0059】
参照ポリペプチド配列に対する配列同一性パーセント(%)は、最大の配列同一性パーセントを達成するために、配列をアラインし、必要に応じてギャップを導入した後で、参照ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一であり、配列同一性の一部としていかなる保存的置換も考慮されない、候補配列のアミノ酸残基のパーセンテージである。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当技術分野の技術内にある種々の方法で達成することができる。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列をアラインさせるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書の目的では、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.により作成された。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定され、変化しない。
【0060】
アミノ酸配列比較にALIGN-2が使用される場合、所与のアミノ酸配列Bと、それとのまたはそれに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bと、それとのまたはそれに対して、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aと表現することができる)は、以下の通り、比X/Yに100をかけることにより算出され、式中、Xは、AおよびBのプログラムのアラインメントにおいてその配列アラインメントプログラムALIGN-2により完全一致であるとスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bのアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAのアミノ酸配列同一性%は、Aに対するBのアミノ酸配列同一性%と等しくはならないことが認識されるであろう。具体的にそうではないと記載されていない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、直上の段落に記載のように得られる。
【0061】
用語「約」は、参照されている数値表記が、その参照されている数値表記のプラスまたはマイナス15%であることを意味する。
【0062】
一部の態様では、本開示は、ヌクレオリンに結合し、不活化するIgG抗体を発現する不死化B細胞、例えばヒトB細胞を提供する。これらの不死化集団は、1つよりも多くの抗体配列を発現することが見出されたが、抗体配列決定技術を使用することにより、基本的な抗体の同一性およびアミノ酸配列が決定され、今や、免疫学的療法試薬の構築における使用に提供することができる。また、細胞培養を使用して、個々の抗体を単離した。その後、各単離された抗体を、効力および細胞表面ヌクレオリンへの結合について試験した。
【0063】
本明細書では、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVH CDRと少なくとも60%の配列同一性を各々が有する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含んでいてもよい重鎖可変領域(VH)を含む、ヌクレオリンに結合することができる単離された抗体またはその断片が提供される。VHは、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVH CDRと少なくとも60%の配列同一性を有する1つのCDRを含んでいてもよい。一部の場合では、対応するVH CDRは、CDR H1であってもよい。一部の場合では、対応するVH CDRは、CDR H2であってもよい。一部の場合では、対応するVH CDRは、CDR H3であってもよい。一部の態様では、VHは、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVH CDRと少なくとも60%の配列同一性を各々が有する2つのCDRを含んでいてもよい。一部の態様では、2つの対応するVH CDRは、CDR H1およびCDR H2であってもよい。一部の場合では、2つの対応するVH CDRは、CDR H1およびCDR H3であってもよい。一部の場合では、2つの対応するVH CDRは、CDR H2およびCDR H3であってもよい。
【0064】
また、本明細書では、VHが、表7中の1つまたは複数の対応するCDR H1、CDR H2、またはCDR H3と少なくとも60%の配列同一性を各々が有する3つのCDRを含んでいてもよい抗体またはその断片が提供される。一部の場合では、VHが、表8中の対応するCDR H1、CDR H2、およびCDR H3と少なくとも60%の配列同一性を有する3つのCDRを含んでいてもよい抗体またはその断片。一部の場合では、抗体またはその断片は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または100%であってもよいアミノ酸配列同一性を含んでいてもよい。
【0065】
また、本明細書では、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVL CDRと少なくとも60%の配列同一性を有する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片が提供される。一部の場合では、VLは、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVL CDRと少なくとも60%の配列同一性を有する1つのCDRを含んでいてもよい。一部の場合では、対応するVL CDRは、CDR L1であってもよい。一部の場合では、対応するVL CDRは、CDR L2であってもよい。一部の場合では、対応するVL CDRは、CDR L3であってもよい。
【0066】
一部の場合では、VLは、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVL CDRと少なくとも60%の配列同一性を各々が有する2つのCDRを含んでいてもよい。一部の場合では、2つの対応するVL CDRは、CDR L1およびCDR L2であってもよい。一部の場合では、2つの対応するVL CDRは、CDR L1およびCDR L3であってもよい。一部の場合では、2つの対応するVL CDRは、CDR L2およびCDR L3であってもよい。一部の態様では、VLは、表7中の対応するCDR L1、CDR L2、またはCDR L3と少なくとも60%の配列同一性を各々が有する3つのCDRを含んでいてもよい。一部の場合では、VLは、表8中の対応するCDR L1、CDR L2、またはCDR L3と少なくとも60%の配列同一性を各々が有する3つのCDRを含んでいてもよい。一部の態様では、アミノ酸配列同一性は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または100%であってもよい。
【0067】
また、本明細書では、表7または表8中の1つまたは複数の対応するVH CDRと少なくとも60%の配列同一性を各々が有する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む重鎖可変領域(VH)、および表7または表8中の1つまたは複数の対応するVL CDRと少なくとも60%の配列同一性を有する1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域(VL)を含み、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片が提供される。一部の場合では、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片は、表7中のVHと少なくとも60%の配列同一性を有するVHを含んでいてもよい。一部の場合では、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片は、表7中のVLと少なくとも60%の配列同一性を有するVLを含んでいてもよい。一部の場合では、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片は、表8中のVHと少なくとも60%の配列同一性を有するVHを含んでいてもよい。いくつかの点に関して、ヌクレオリンと結合する単離された抗体またはその断片は、表8中のVLと少なくとも60%の配列同一性を有するVLを含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、1つまたは複数のCDRの任意の組合せを含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または100%であってもよい、あるいは少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、または100%あってもよいアミノ酸配列同一性を有していてもよい。
【0068】
一部の場合では、本明細書で開示されている抗体またはその断片は、表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR H1、表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR H2、および/または表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR H3を含む。一部の場合では、本明細書で開示されている抗体またはその断片は、表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR L1、表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR L2、および/または表7もしくは表8中のアミノ酸配列を含むCDR L3を含む。
【0069】
一部の場合では、本明細書で開示されているヌクレオリンは、細胞表面ヌクレオリンであってもよい。一部の場合では、本明細書で開示されているヌクレオリンは、ヌクレオリン断片を意味してもよい。一部の場合では、本明細書で開示されているヌクレオリンは、ヒトヌクレオリンである。
【0070】
また、本明細書では、ヒトであってもよくまたはヒト化されていてもよい抗体またはその断片が提供される。抗体またはその断片は、IgG抗体であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、モノクローナル抗体であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、無毒性である。一部の場合では、抗体またはその断片は、細胞傷害性であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞に対して細胞傷害性であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、ヒト血清の存在下で細胞傷害性であってもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞に対して、補体依存性細胞傷害性を示すまたは誘導することができる。一部の場合では、抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞に対して、補体非依存性細胞傷害性を示すまたは誘導することができる。
【0071】
一部の場合では、抗体またはその断片は、ある期間にわたって細胞と共にインキュベートすると、腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも10%を死滅させることができる。一部の場合では、抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%を死滅させることができる。一部の場合では、抗体またはその断片は、腫瘍またはがん細胞の集団の約100%を死滅させることができる。一部の場合では、抗体またはその断片は、約48~96時間である期間を有することができる。一部の場合では、期間は、約96時間であってもよい。一部の場合では、細胞は、乳がん細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、MCF-7であってもよい。一部の場合では、細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、HCT-116、NCI-H358、DU-145、MDA-MB-231、MV4-11、MIA-PaCa2、またはPANC-1細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、前立腺がん細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、ホルモン不応性前立腺がん細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、CG-EMT細胞であってもよい。一部の場合では、単離されたモノクローナル細胞傷害性抗体またはその断片は、ヌクレオリン配列番号20の残基#300~#466内のエピトープに結合することができる。一部の実施形態では、エピトープは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、または80個のアミノ酸を有する/に及ぶ。一部の場合では、単離されたモノクローナル細胞傷害性抗体またはその断片は、E453、R457、D455、K348、K427、G426、K403、およびY402からなる群から選択される1つまたは複数のアミノ酸を含むエピトープに結合することができる。一部の場合では、抗体またはその断片は、E453、R457、またはそれらの組合せに結合する、表7中のVL CDR1を含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、D455に結合することができる、表7中のVL CDR2を含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、K348に結合することができる、表7中のVL CDR3を含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、K427に結合することができる、表7中のVH CDR1を含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、K427、G426、またはそれらの組合せに結合することができる、表7中のVH CDR2を含んでいてもよい。一部の場合では、抗体またはその断片は、K403、Y402、またはそれらの組合せに結合する、表7中のVH CDR3を含んでいてもよい。
【0072】
一部の場合では、本明細書で開示されている抗ヌクレオリン剤は、ヌクレオリンまたはその断片、例えばアミノ酸#300~#466(配列番号21)またはその内にあるエピトープに対して、約10μM、1μM、0.1μM、0.05μM、10nM、5nM、2.5nM、1nM、またはそれ未満のKdを有する。一部の実施形態では、Kdは、約2.5nMまたはそれ未満である。
【0073】
一部の場合では、抗体またはその断片は、IgG抗体であってもよい。一部の場合では、その断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、またはFv断片;ダイアボディ(diabodie);直鎖抗体;単鎖抗体;または抗体断片から形成される多特異性抗体であってもよい。一部の場合では、その断片は、その抗原結合領域を含んでいてもよい。
【0074】
また、本明細書では、抗体またはその断片を産生することができる組換え細胞が提供される。一部の場合では、細胞は、B細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、ヒトB細胞であってもよい。一部の場合では、細胞は、ハイブリドーマであってもよい。
【0075】
また、本明細書では、本明細書で開示されている抗体またはその断片をコードする単離された核酸が提供される。一部の場合では、ベクターは、本明細書で開示されている核酸を含んでいてもよい。一部の場合では、宿主細胞は、本明細書で開示されているベクターを含んでいてもよい。
【0076】
また、本明細書では、抗体またはその断片を産生する方法であって、抗体またはその断片が産生され得るように宿主細胞を培養することを含む方法が提供される。
【0077】
また、本明細書では、抗体またはその断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。一部の場合では、抗体またはその断片は、医薬として使用することができる。
【0078】
また、本明細書では、抗体またはその断片を用いてがんを治療する方法が提供される。また、本明細書では、抗体またはその断片を用いてがん細胞を死滅させる方法を提供することができる。また、本明細書では、がんを治療するための抗体またはその断片の使用を提供することができる。一部の場合では、抗体またはその断片の使用は、がん細胞を死滅させるために使用することができる。一部の場合では、抗体またはその断片の使用は、医薬を製造するためであってもよい。医薬は、がんを治療するためであってもよい。医薬は、がん細胞を死滅させるためであってもよい。
【0079】
また、本明細書では、抗がん抗体またはその断片を作製するための方法であって、ベクターによりコードされているポリペプチドの発現および抗体またはその断片の構築を可能にする条件下で培地中にて細胞を培養すること;ならびに培養細胞または細胞の培地から抗体または断片を精製することを含む方法が開示される。
【0080】
一部の場合では、組換え哺乳動物細胞系に、本明細書で開示されている第1の構築物ガンマ重鎖および本明細書で開示されている第2の構築物カッパ軽鎖によりコードされる抗体構築物をトランスフェクトしてもよい。一部の場合では、組換え哺乳動物細胞系に、本明細書で開示されている第1の構築物ガンマ重鎖および本明細書で開示されている第2の構築物ラムダ軽鎖によりコードされる抗体構築物をトランスフェクトしてもよい。一部の場合では、前記重鎖および前記軽鎖は、同じ構築物中にある。一部の場合では、抗体構築物は、合成的に生成し、発現ベクターpTT5にクローニングしてもよい。一部の場合では、細胞は、(0.25~5)×10細胞/mLの密度で維持してもよい。
【0081】
一部の場合では、抗体またはその断片により治療されるがんは、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの型を含む。
【0082】
一部の場合では、抗体またはその断片により死滅されるがん細胞は、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がん細胞からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの型を含む。一部の実施形態では、がん細胞は、A549、A375、MCF-7、Hep3B、HCT-116、NCI-H358、786-0、DU-145、MDA-MB-231、MV4-11、U251、CG-EMT、MIA-PaCa2、およびPANC-1細胞からなる群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くの型を含む。
1.ヌクレオリン
1A.一般
【0083】
ヌクレオリンは、DNA、RNA、および原形質膜の外部表面と結合する多機能性タンパク質である。細胞内で数多くの多様な機能を果たすヌクレオリンの能力は、タンパク質内の複数の構造ドメインに関連する。その負に荷電されているN-末端ドメインは、核小体クロマチン脱凝縮を誘導することによりrDNA転写を調節し(Srivastavaら、1989年)、中央球状ドメインは、4つのRNA結合ドメイン(RBD)を含む(Serinら、1997年)。ヌクレオリンは、そのRBDおよびそのRGGを多く含むC末端ドメインがプレリボソームRNAと結合することにより、正しく折り畳まれたrRNAと、rRNA成熟およびリボソーム構築に必要な他の成分とを共に一緒にすることにより構築因子として機能する(Ginistyら、2001年)ことが提案されている。また、ヌクレオリンは、核細胞質間を行き来しつつ、リボソームの細胞質への搬出に関与する場合がある(SrivastavaおよびPollard、1999年)。ヌクレオリン遺伝子コードおよびタンパク質配列は、受託番号NM_005381、XM_002342275、NP_005372、およびXP_002342316でアクセスすることができる。ヌクレオリンは、C23、FLJ45706、FLJ59041、およびNCLとしても公知である。
【0084】
ヒトNCL遺伝子は、13個のイントロンを有する14個のエクソンで構成され、およそ11kbに及ぶ。ヌクレオリンタンパク質は、その機能を媒介するいくつかの機能的ドメインを含む。N末端部分は、複数のリン酸化部位を含み、酸性アミノ酸を多く含む。ヌクレオリンの中央部分は、4つのRNA結合ドメイン(RBD)を含み、C末端部分は、グリシンおよびアルギニンを多く含むドメイン(RGGまたはGARドメインと呼ばれる)を含む。(Farinら、2009年)
【0085】
かなり多くの証拠がmRNA安定化におけるヌクレオリンの役割を支持している。ヌクレオリンは、アミロイド前駆タンパク質mRNAの3’-非翻訳領域(3’-UTR)に結合し、このmRNAを安定化する(WestmarkおよびMalter、2001年)。また、ヌクレオリンは、T細胞活性化中に生じるIL-2 mRNAの安定化に必要である(Chenら、2000年)。
【0086】
ヌクレオリンは、膜貫通ドメインまたはシグナル配列を欠如するにも関わらず(Srivastavaら、1989年;Lapeyreら、1987年)、種々の型の腫瘍細胞の外部表面に存在する(Otakeら、2007年;Soundararajanら、2008年;Chenら、2008年;Hovanessianら、2000年;SinclairおよびO'Brien、2002年)。結果は、ヌクレオリンが、MV4-11細胞からもK-562細胞からも組織培養培地へと分泌されないことを示している(Soundararajanら、2009年)。これは、細胞表面におけるヌクレオリンの存在が、巨大分子により分泌ヌクレオリンが腫瘍細胞の細胞表面に吸着した結果ではないことを示唆する。しかしながら、ヌクレオリンは、広範な翻訳後修飾を受ける(Srivastavaら、1989年;Lapeyreら、1987年)。ヌクレオリンは、種々の型の増殖細胞の表面から糖リンタンパク質として単離されている(Hovanessianら、2000年;PfeifleおよびAnderer、1983年)。また、ヌクレオリンのパルミトイル化、プレニル化、またはミリストイル化が、このタンパク質のこれらの疎水性領域の原形質膜への挿入または係留を可能にし得ることも考えられることである。ヌクレオリンは、核原形質膜間の輸送タンパク質として機能すると考えられている(Hovanessianら、2000年)。増殖中の腫瘍細胞では、ヌクレオリンは、原形質膜から陥入するエンドサイトーシス小胞に付随することが多い(Hovanessianら、2000年)。また、これらの小胞内でヌクレオリンと結合したリガンドは、温度依存性プロセスで内部移行されるため、ヌクレオリンは、種々のリガンドの細胞表面受容体として作用する。例えば、原形質膜ヌクレオリンは、E.coliのインチミン-γ(SinclairおよびO'Brien、2002年)、抗HIV剤ミッドカイン(Saidら、2002年)、ラミニン-1(Kibbeyら、1995年)、DNAナノ粒子(Chenら、2008年)、および抗血管新生擬似ペプチドHB-19(Destouchesら、2008年)の受容体として機能することが報告されている。ヌクレオリンは、指数関数的に増殖する真核細胞でのリボソーム生合成および成熟に関与する、核小体内の重要なタンパク質である。この点で、ヌクレオリンの1つの重要な機能は、RNAプロセシングおよび他の細胞生物学的プロセスに関与する、核細胞質間の輸送タンパク質としてである。ヌクレオリンは、正常な細胞生理学であれば、主に核小体および細胞質に局地化されるが、ある特定の条件下では、特に種々の疾患状態では、リン酸化形態で細胞表面に存在することも示されている。この点で、細胞膜中のヌクレオリンは、細胞増殖、分化、接着、有糸分裂誘発、および血管新生を駆動する様々なリガンドの結合タンパク質としての役目を果たす。
1B.がんにおけるヌクレオリン
【0087】
いくつかの証拠は、ヌクレオリンが、抗体に基づく免疫療法のための優れた腫瘍抗原であることを示唆している。ヌクレオリンは、ヒト慢性リンパ球性白血病(CLL)(Otakeら、2007年)、急性骨髄性白血病(AML)(Soundararajanら、2008年)、および乳がん細胞(Soundararajanら、2008年)を含む様々なヒト腫瘍の原形質膜および細胞質で過剰発現されるが、正常なCD19+ B細胞(Otakeら、2007年)でも、CD33+ 骨髄性細胞(Gattoni-Celliら、2009年)でも、正常な乳房上皮細胞(Soundararajanら、2008年)でも過剰発現されない。NOD/SCIDマウスに移植した患者由来のAML芽球細胞は、原形質膜および細胞質で強いヌクレオリン染色を示すが、正常なマウス骨髄細胞および脾臓リンパ球は、ヌクレオリンに陰性であったことは興味深い(Gattoni-Celliら、2009年)。正常なヒト骨髄性細胞では、ヌクレオリン染色は核小体に集中するが、患者AML-1細胞では、核および細胞質/細胞表面で、広範なヌクレオリン染色(ヌクレオリンの異常発現)が観察された。
【0088】
ヌクレオリン標的指向性アプタマー、AS1411は、ヌクレオリンを標的とする。最近、原形質膜ヌクレオリンは、ヒトMV4-11白血病細胞においてAS1411の受容体であることが報告された(Soundararajanら、2009年)。
【0089】
AS1411は、腫瘍細胞の外部表面で過剰表現されるヌクレオリンと結合し、ヌクレオリンが原形質膜から細胞質および核へと輸送される際に細胞内アクセスを得る。AS1411は、ヌクレオリンを過剰発現する広範なセットのがん細胞系において抗増殖活性を発揮することが示されている(表1)。
【表1】
【0090】
また、抗ヌクレオリン抗体は、原形質膜ヌクレオリンの輸送機能を利用し、細胞表面ヌクレオリンと結合した後、内部移行することができる。これは、抗ヌクレオリン抗体が、細胞内機序ならびに/または抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞性細胞傷害(CDCC)により、抗腫瘍効果を誘発することができることを示唆する。
1C.抗体またはその断片
【0091】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法はいずれも、抗ヌクレオリン抗体またはその断片を用いて実施することができる。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、その表面にヌクレオリンを発現する細胞を検出するために使用される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、その表面にヌクレオリンを発現する細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、新生物疾患(例えば、がん)、自己免疫疾患、炎症性疾患または状態、呼吸器疾患、ウイルス感染症、または黄斑変性症を治療または予防するために使用される。
【0092】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、毒素、化学療法薬、免疫刺激性核酸配列(例えば、CpG配列)、放射性核種、または免疫療法薬にコンジュゲート、連結、または融合される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、放射性核種、フルオロフォア、化学発光(chemilluminescent)化合物、蛍光化合物、または酵素にコンジュゲート、連結、または融合される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、その表面にヌクレオリンを発現する細胞との接触に使用される。一部の実施形態では、細胞は、前がん細胞、がん細胞、または免疫細胞である。
【0093】
一部の実施形態では、その抗ヌクレオリン抗体断片は、ヒト抗ヌクレオリン抗体または断片である。一部の実施形態では、その抗ヌクレオリン抗体断片は、その非ヒト抗ヌクレオリン抗体断片である。一部の実施形態では、その抗ヌクレオリン抗体断片は、そのキメラ抗ヌクレオリン抗体断片である。一部の実施形態では、その抗ヌクレオリン抗体断片は、そのヒト化抗ヌクレオリン抗体断片である。
【0094】
一部の実施形態では、その抗ヌクレオリン抗体断片は、抗ヌクレオリン抗体から生成される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体断片は、親抗体と同じヌクレオリンとの結合特異性を有する。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体断片は、親抗体と比較して向上したヌクレオリンとの結合特異性を有する。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体断片は、親抗体と同じヌクレオリンとの結合親和性を有する。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体断片は、親抗体と比較して向上したヌクレオリンとの親和性を有する。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体またはその断片は、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)断片である。
【0095】
「抗体断片」は、完全な抗体の部分またはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多特異性抗体が挙げられる。
【0096】
抗体をパパイン消化すると、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一抗原結合断片、およびその名称が容易に結晶化するその能力を反映している残留「Fc」断片が産生される。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、依然として抗原と架橋可能であるF(ab’)断片を産出する。
【0097】
「Fv」は、完全な抗原結合部位を含む最小抗体断片である。一部の実施形態では、二本鎖Fv種は、非共有結合で強固に結合している1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域の二量体で構成される。一本鎖Fv(scFv)種では、軽鎖および重鎖が二本鎖Fv種と同様の「二量体」構造に結合することができるように、1つの重鎖可変領域および1つの軽鎖可変領域が、可撓性ペプチドリンカーを介して共有結合で連結されていてもよい。この立体配置にあれば、各可変領域の3つのHVRが相互作用して、VH-VL二量体の表面に抗原結合部位が画定される。6つのHVRは、総体として、抗体に対して抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変領域でさえ(または抗原に特異的な3つのHVRのみを含むFvの半分)、結合部位全体よりも親和性は低いものの、抗原を認識し結合する能力を有する。
【0098】
Fab断片は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に少数の残基が付加されていることが、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、本明細書では、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’を指す。F(ab’)抗体断片は、元々は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学カップリングも公知である。
【0099】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、これらドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによりscFvは、抗原結合に望ましい構造を形成することが可能になる。scFvについての総説は、例えば、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編(Springer-Verlag、New York、1994年)のPluckthun、269~315頁を参照されたい。
【0100】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指し、これら断片は、軽鎖可変領域(VL)に接続されている重鎖可変領域(VH)を同じポリペプチド鎖に含む(VH-VL)。短すぎて同じ鎖では2つのドメイン間の対合が可能ではないリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を生成することが強いられる。ダイアボディは、二価性または二重特異性であってもよい。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat. Med.、9巻:129~134頁(2003年);およびHollingerら、PNAS USA 90巻:6444~6448頁(1993年)に、より詳細に記載されている。また、トリアボディおよびテトラボディが、Hudsonら、Nat. Med.、9巻:129~134頁(2003年)に記載されている。
【0101】
用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で使用される場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、わずかな量で存在し得る考え得る突然変異、例えば天然に生じる突然変異を除いて同一である。したがって、修飾語「モノクローナル」は、異なる抗体の混合物ではない抗体の特徴を示す。ある特定の実施形態では、そのようなモノクローナル抗体は、典型的には、標的に結合するポリペプチド配列を含む抗体を含み、標的結合ポリペプチド配列は、複数のポリペプチド配列から単一の標的結合ポリペプチド配列を選択することを含むプロセスにより得られたものである。例えば、選択プロセスは、B細胞もしくはハイブリドーマクローン、ファージクローン、または組換えDNAクローンのプールなどの複数のクローンから固有クローンを選択することであってもよい。選択された標的結合配列は、例えば、標的に対する親和性を向上させるため、標的結合配列をヒト化するため、細胞培養でのその産生を向上させるため、in vivoでのその免疫原性を低減させるため、多特異性抗体を生成するなどのために、さらに変更することができること、および変更された標的結合配列を含む抗体も、モノクローナル抗体であり得ることが理解されるべきである。典型的には異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物中の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対するものである。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体調製物は、典型的には、他の免疫グロブリンが夾雑していないという点で有利であり得る。
【0102】
修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法により抗体を産生することが必要であると解釈すべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマまたはB細胞法(例えば、KohlerおよびMilstein、Nature、256巻:495~97頁(1975年);Hongoら、Hybridoma、14巻(3号):253~260頁(1995年)、Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual、(Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988年);Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas、563~681頁(Elsevier、N.Y.、1981年))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら、Nature、352巻:624~628頁(1991年);Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581~597頁(1992年);Sidhuら、J. Mol. Biol.、338巻(2号):299~310頁(2004年);Leeら、J. Mol. Biol.、340巻(5号):1073~1093頁(2004年);Fellouse、PNAS USA、101巻(34号):12467~12472頁(2004年);およびLeeら、J. Immunol. Methods、284巻(1~2号):119~132頁(2004年)を参照)、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部または全てを有するヒトまたはヒト様抗体を動物中で産生するための技術(例えば、WO1998/24893;WO1996/34096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovitsら、PNAS USA、90巻:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362巻:255~258頁(1993年);Bruggemannら、Year in Immunol.、7巻:33頁(1993年);米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;および第5,661,016号;Marksら、Bio/Technology、10巻:779~783頁(1992年);Lonbergら、Nature、368巻:856~859頁(1994年);Morrison、Nature、368巻:812~813頁(1994年);Fishwildら、Nature Biotechnol.、14巻:845~851頁(1996年);Neuberger、Nature Biotechnol.、14巻:826頁(1996年);ならびにLonbergおよびHuszar、Intern. Rev. Immunol.、13巻:65~93頁(1995年)を参照)を含む様々な技法により作製することができる。
【0103】
修飾語「ポリクローナル」は、不均質な抗体集団の供給源から得られる抗体の特徴を示す。ポリクローナル抗体は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10種の抗体など、1種よりも多くの抗体を含む。
【0104】
本明細書のモノクローナル抗体としては、ヒト、非ヒト、ヒト化、および「キメラ」抗体が挙げられる。「キメラ」抗体は、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同性であるが、残りの鎖が、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一または相同性であり、また、それらが所望の生物学的活性を示す限り、そのような抗体の断片である(米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら、PNAS USA、81巻:6851~6855頁(1984年))。キメラ抗体としては、抗体の抗原結合領域が、例えばマカクザルを目的の抗原で免疫することにより産生される抗体に由来するPRIMATIZED(登録商標)抗体が挙げられる。
【0105】
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリン由来の配列が最小限しか含まれていないキメラ抗体である。ヒト化抗体は、ほとんどの場合、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域に由来する残基により置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見出されない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに洗練するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つの、典型的には2つの可変領域の実質的に全てを含む。また、ヒト化抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)の、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。さらに詳しくは、Jonesら、Nature、321巻:522~525頁(1986年);Riechmannら、Nature、332巻:323~329頁(1988年);およびPresta、Curr. Op. Struct. Biol.、2巻:593~596頁(1992年)を参照されたい。また、以下の総説論文およびそこに引用されている参考文献を参照されたい:VaswaniおよびHamilton、Ann. Allergy, Asthma & Immunol.、1巻:105~115頁(1998年);Harris、Biochem. Soc. Transactions、23巻:1035~1038頁(1995年);HurleおよびGross、Curr. Op. Biotech.、5巻:428~433頁(1994年)。
【0106】
「ヒト抗体」は、ヒトにより産生された、および/または本明細書で開示されているヒト抗体を作製するための技法のいずれかを使用して作製された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリーを含む、当技術分野で公知の種々の技法を使用して産生することができる。HoogenboomおよびWinter、J. Mol. Biol.、227巻:381頁(1991年);Marksら、J. Mol. Biol.、222巻:581頁(1991年)。また、ヒトモノクローナル抗体の調製には、Coleら、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss、77頁(1985年);Boernerら、J. Immunol.、147巻(1号):86~95頁(1991年)に記載されている方法が利用可能である。また、van Dijkおよびvan de Winkel、Curr. Opin. Pharmacol.、5巻:368~74頁(2001年)を参照されたい。ヒト抗体は、抗原負荷に応答してそのような抗体を産生するように修飾されているが、その内因性遺伝子座が無効にされているトランスジェニック動物に抗原を投与することにより、例えば、免疫したxenomiceにより調製することができる(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号および第6,150,584号を参照)。また、例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体に関しては、Liら、PNAS USA、103巻:3557~3562頁(2006年)を参照されたい。
2. Ig軽鎖および重鎖のクローニングおよび発現
【0107】
免疫グロブリン軽鎖および重鎖配列のクローニングおよび発現には、種々の方法を使用することができる。参照により本明細書に組み込まれるWeltschofら(1995年)には、ここでの方法が詳細に記載されている。可変領域、または可変+定常領域をクローニングすることができる。
【0108】
一部の実施形態では、これらの抗体は、WO2011/062997(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている技法により調製することができる。この技法により、扁桃腺細胞などのヒト免疫細胞を使用して調製された不死化抗体産生細胞に由来するヒト抗ヌクレオリン抗体を、例えばアミノ酸配列の点で、直接的に特定、単離、および特徴付けることが可能である。
【0109】
Takekoshiら(2001年)により記載されているものなどのいくつかの技法も有用である。この参考文献では、市販キット(RNeasyミニキット、Qiagen)を使用して、ペレット細胞から全細胞RNAが単離された。ランダム9量体ヌクレオチドおよび逆転写酵素(タカラ、RNA-PCRキット、大津市)を使用してcDNAが合成され、免疫グロブリン(Ig)に特異的な重鎖および軽鎖プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅された。「タッチダウン」PCRプロトコール、すなわち、各々95℃で1分間の変性、1分間のアニーリング、および72℃で2分間の伸長の3サイクルが合計で11サイクル使用された。アニーリング温度は、65から55℃まで1℃ずつ変化された。タッチダウンサイクル後、55℃のアニーリング温度を使用して25回のサイクルが行われた。得られたPCR産物は、アガロースでゲル精製され、QIAquickスピンカラム(Qiagen)を使用して抽出された。次いで、軽鎖および重鎖Fc遺伝子が、発現ベクターpFab1-His2のNheI/AscIおよびSfiI/NotI部位にクローニングされた。軽鎖(κおよびλ)およびFc重鎖遺伝子(γおよびμ)を有するライゲーションされたpFab1-His2ベクターが、コンピテントE.coli JM109細胞(東洋紡、大阪)に導入された。形質転換後、E.coli細胞は、ルリア-ベルターニ(LB)/アンピシリン(50μg/ml)プレートに播種された。単離された細菌コロニーは、アンピシリン(50μg/ml)およびMgCl(1.5mM)を有する2mlのスーパーブロス(SB)中で30℃にてインキュベートされた。イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を使用して、Fabタンパク質の産生が誘導された。細菌培養に由来する細胞がペレット化され、プロテアーゼ阻害剤カクテル(完全、Boehringer Mannheim)を有する0.3mlのB-PER(Pierce)に再懸濁され、室温で5分間振とうされた。細胞溶解物は、15,000Gで10分間遠心分離され、Fab抗体部分を含む得られた上清が回収された。
【0110】
一部の実施形態では、重鎖および軽鎖は、同じクローニング構築物中に存在していてもよい。一部の実施形態では、重鎖および軽鎖は、異なるクローニング構築物中に見出される。重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子、またはそれらの任意の組合せの配列を含む構築物を、同時にクローニングしてもよい。同時クローニングは、重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子を両方とも含むベクターを含んでいてもよく、各々が重鎖または軽鎖のいずれかを含む、同時導入される2つの別個のベクターを含んでいてもよい。一部の実施形態では、重鎖遺伝子、軽鎖遺伝子、またはそれらの任意の組合せの配列を含む構築物は、順次クローニングしてもよい。順次クローニングは、重鎖遺伝子を含むベクターを導入し、その後軽鎖遺伝子を含む第2のベクターを導入することを含んでいてもよい。例えば、重鎖および軽鎖の両方の遺伝子配列を含むベクターで、細胞を遺伝子改変してもよい。
3.抗体産生
【0111】
クローニングしたら、軽鎖および重鎖の核酸を、適切な発現ベクターに挿入し、抗体の産生を支援する宿主細胞(例えば、抗体産生細胞)に移入してもよい。産生用の例示的な細胞系は、293細胞、CHO細胞、COS細胞、またはあるものはIgGを欠如する種々の形態の骨髄腫細胞である。これらの細胞は、2つの基本的な様式で、抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)産生に活用することができる。第1には、骨髄腫または不死化細胞を、最初の融合体用の体細胞および骨髄腫細胞を提供するために使用された型の組織適合性動物(例えば、同系マウス)に、または非適合細胞を注射するための免疫不全動物に注射(多くの場合は腹膜腔に)してもよい。任意選択で、注射前に、炭化水素、特に、プリスタン(テトラメチルペンタデカン)などの油状物で動物を初回抗原刺激する。注射した動物は、トランスフェクトされた骨髄腫により産生される特異的モノクローナル抗体を分泌する腫瘍を発生させる。次いで、血清または腹水などの動物の体液を穿刺して、高濃度の抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を得ることができる。第2には、個々の細胞系を、in vitroで培養してもよく、その場合、抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、培養培地へと自然と分泌され、そこから高濃度で容易に得ることができる。
【0112】
いずれの手段で産生された抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)であっても、所望の場合は、限外濾過、遠心分離、およびHPLC、親和性クロマトグラフィー、またはイオン交換クロマトグラフィーなどの種々のクロマトグラフィー法を使用して、さらに精製することができる。本開示のモノクローナル抗体の断片は、ペプシンもしくはパパインなどの酵素で消化することを含む方法により、および/または化学的還元によりジスルフィド結合を切断することによりそのように産生されるモノクローナル抗体から得ることができる。
【0113】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、不死化B細胞(例えば、ヒトB細胞)から産生される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2008/072124または米国特許出願第12/671,936号に示されているものなどの方法を使用して産生される。
【0114】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)のcDNAは、抗体相同体を産生するハイブリドーマ細胞(特異的抗体産生B細胞を骨髄腫と融合させることによる)に由来する抗ヌクレオリン抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするcDNAまたはゲノムDNAをクローニングすることにより産生することができる。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により産生される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)から単離された、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)をコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド配列を、細胞にトランスフェクトする。ポリペプチドをコードするcDNAまたはゲノムDNAを、両遺伝子がそれらの転写および翻訳の発現制御配列に作動可能に連結されるように発現ベクターに挿入してもよい。次いで、発現ベクターおよび発現制御配列を、使用される発現宿主細胞と適合するように選択することができる。一部の実施形態では、重鎖および軽鎖抗体鎖に別々の発現ベクターが使用される。
【0115】
原核細胞または真核細胞を発現宿主として使用することができる。真核宿主細胞での発現は、そのような細胞が、原核細胞よりも正しく折り畳まれた免疫学的に活性な抗体を構築および分泌する可能性が高いため、好適であり得る。しかしながら、誤って折り畳まれたことにより不活性なあらゆる産生された抗体は、周知の方法により復元することができる(KimおよびBaldwin、1982年)。宿主細胞は、軽鎖二量体または重鎖二量体などの、完全な抗体の部分を産生することが可能である。それらも本開示による抗体相同体である。
【0116】
上記手順の変型は、本開示の範囲内であることが理解されるであろう。一部の実施形態では、宿主細胞は、抗体相同体の軽鎖または重鎖のいずれか(しかしながら、両方ではない)をコードするDNAで形質転換される。また、組換えDNA技術を使用して、ヌクレオリン結合に必要とされない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部または全てを取り除いてもよい。そのようなトランケートされたDNA分子から発現される分子は、抗体相同体である。一部の実施形態では、一方の重鎖および一方の軽鎖が、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)の相同体であり、他方の重鎖および軽鎖が、ヌクレオリン以外の抗原またはヌクレオリンの別のエピトープに特異的である二機能性抗体が産生される。
【0117】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)をコードするDNAを、「生産的」または商業的な量で発現させるための哺乳動物細胞系に移入する。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)は、組換えまたは非内因的DNAの優れた発現媒体となることが昔から認識されている。米国特許第4,816,567号を参照されたい。米国特許第5,981,214号に示されているように、特定のタンパク質またはDNA配列をコードする挿入DNAの増幅を可能にする、一連のDHFR欠損CHO細胞株が開発されている。「生産的」または商業的な量で発現させるためのさらなる哺乳動物細胞系の例としては、これらに限定されないが、293HEK細胞、HeLa細胞、COS細胞、NIH3T3細胞、ジャーカット細胞、NSO細胞、およびHUVEC細胞が挙げられる。組換えタンパク質の発現に好適な他の哺乳動物細胞系は、文献に特定されており、本出願の本開示での使用に等しく好適であり得る。
4.抗体の修飾
【0118】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体のアミノ酸配列変異体が企図される。変異体は、典型的には、1つまたは複数の置換、欠失、付加、および/または挿入が、本明細書で具体的に開示されているポリペプチドと異なる。そのような変異体は、天然に生じてもよく、あるいは例えば、上記ポリペプチド配列の1つもしくは複数を修飾し、本明細書に記載のポリペプチドの1つもしくは複数の生物学的活性を評価すること、および/または当技術分野で周知のいくつかの技法のいずれかを使用することにより合成的に生成してもよい。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を向上させることが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な修飾を導入することにより、またはペプチド合成により調製することができる。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれへの挿入、および/またはその置換が挙げられる。最終構築物が所望の特徴、例えば抗原結合および/または効力を有する限り、欠失、挿入、および置換の任意の組合せを行って、最終構築物に到着することができる。
【0119】
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換による突然変異誘発の目的部位としては、CDRおよびフレームワーク(FR)が挙げられる。アミノ酸置換を目的の抗体に導入し、産物を、所望の活性、例えば抗原結合の保持/向上、免疫原性の減少、またはADCCもしくはCDCの向上についてスクリーニングしてもよい。アミノ酸置換の非限定的な例は、表2に示されている。
【表2】
【0120】
疎水性アミノ酸としては、ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、およびIleが挙げられる。中性親水性アミノ酸としては、Cys、Ser、Thr、Asn、およびGlnが挙げられる。酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。塩基性アミノ酸としては、His、Lys、およびArgが挙げられる。鎖配向性に影響を及ぼす残基を有するアミノ酸としては、GlyおよびProが挙げられる。芳香族アミノ酸としては、Trp、Tyr、およびPheが挙げられる。
【0121】
一部の実施形態では、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸による置換、挿入、または欠失が、定常領域または1つもしくは複数のCDR内に生じてもよく、その場合、置換、挿入、または欠失は、抗原に対する抗体結合を実質的に低減しない。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的置換が、CDRになされてもよい。そのような変更は、CDR「ホットスポット」またはSDRの外側であってもよい。変異体VおよびV配列の一部の実施形態では、各CDRは、変更されていないか、または1、2、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を含むかのいずれかである。
【0122】
抗体親和性を向上させるために、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸による変更(例えば、置換)をCDRになしてもよい。体細胞性成熟中に高い突然変異率を有するコドン(例えば、Chowdhury、Methods Mol. Biol.、207巻:179~196頁(2008年)を参照)をコードするCDRにそのような変更をなして、得られた変異体を結合親和性に関して試験してもよい。親和性成熟を使用して(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、CDRのランダム化、またはオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発を使用して)、抗体親和性を向上させてもよい(例えば、Hoogenboomら、Methods in Molecular Biology、178巻:1~37頁(2001年)を参照)。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して具体的に特定することができる(例えば、CunninghamおよびWells、Science、244巻:1081~1085頁(1989年)を参照)。CDR-H3およびCDR-L3が標的とされることが多い。一部の実施形態では、抗原-抗体複合体の結晶構造を使用して、抗体と抗原との接触点を特定する。そのような接触残基および隣接残基を、置換の候補として標的にしてもよく、または除去してもよい。変異体をスクリーニングして、それらが所望の特性を含むか否かを決定してもよい。
【0123】
アミノ酸配列挿入および欠失としては、1個の残基から100個またはそれよりも多くの残基を含むポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一のまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入および欠失が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異体としては、抗体の血清半減期を増加させる酵素(例えば、ADEPTの場合)またはポリペプチドに抗体のN末端またはC末端を融合させることが挙げられる。抗体分子の配列内挿入変異体の例としては、軽鎖への3個のアミノ酸の挿入が挙げられる。末端欠失の例としては、軽鎖の末端に7個またはそれ未満のアミノ酸の欠失を有する抗体が挙げられる。
【0124】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体は、免疫リポソームとして製剤化することができる。抗体を含むリポソームは、Epsteinら(1985年);Hwangら(1980年);ならびに米国特許第4,485,045号および第4,544,545号に記載されているものなどの、当技術分野で公知の方法により調製される。米国特許第5,013,556号には、循環時間が増強されたリポソームが開示されている。
【0125】
有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成を用いた逆相蒸発法により生成することができる。リポソームを規定の孔径のフィルターから押し出して、所望の直径を有するリポソームが得られる。本開示の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応により、Martinら(1982年)に記載のようにリポソームとコンジュゲートすることができる。リポソーム内には、任意選択で化学療法剤(ドキソルビシンなど)が収納されている。Gabizonら(1989年)を参照されたい。
【0126】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体は、プロドラッグ(例えば、ペプチジル化学療法剤、WO81/01145を参照)を活性薬物に変換するプロドラッグ活性化酵素に抗体をコンジュゲートさせることによるADEPTで使用される。例えば、WO88/07378および米国特許第4,975,278号を参照されたい。ADEPTに有用なイムノコンジュゲートの酵素成分としては、プロドラッグを所望の生物学的特性を発揮する、より活性な形態に変換するような様式でプロドラッグに作用することが可能なあらゆる酵素が挙げられる。
【0127】
有用であり得る酵素としては、これらに限定されないが、リン酸エステル含有プロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸エステル含有プロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;無毒性5-フルオロシトシンを抗がん薬である5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、およびカテプシン(カテプシンBおよびLなど)などのプロテアーゼ;D-アミノ酸置換基を含むプロドラッグを変換するのに有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離型薬物に変換するのに有用な、β-ガラクトシダーゼおよびノイラミニダーゼなどの糖切断酵素;β-ラクタムで誘導体化されている薬物を遊離型薬物に変換するのに有用なβ-ラクタマーゼ;ならびにアミン窒素がそれぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基で誘導体化されている薬物を、遊離型薬物に変換するのに有用な、ペニシリンVアミダーゼまたはペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられる。一部の実施形態では、当技術分野では「アブザイム」としても公知である、酵素活性を有する抗体を使用して、本開示のプロドラッグを遊離型活性薬物に変換してもよい(例えば、Massey、1987年を参照)。アブザイムを所望の細胞集団に送達するための抗体-アブザイムコンジュゲートは、本明細書に記載のように調製することができる。
【0128】
酵素は、上記で考察されているヘテロ二機能性架橋試薬の使用などの当技術分野で周知の技法により、抗ヌクレオリン抗体に共有結合で結合させることができる。一部の実施形態では、本開示の酵素の少なくとも機能的活性部分に連結されている本開示の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質を、当技術分野で周知の組換えDNA技術を使用して構築することができる(例えば、Neubergerら、1984年を参照)。
【0129】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体は、完全な抗体ではなく、抗体断片を含む。この場合、抗体断片は、その血清半減期を増加させるために修飾されていてもよい。これは、例えば、サルベージ受容体結合エピトープを抗体断片に組み込むことにより(例えば、抗体断片の適切な領域を突然変異させることより、またはエピトープをペプチドタグに組み込み、次いでそれを、例えば、DNAまたはペプチド合成により抗体断片の末端または内部のいずれかに融合させることにより)達成することができる。1996年10月17日に公開されたWO96/32478を参照されたい。
【0130】
サルベージ受容体結合エピトープは、一般的に、Fcドメインの1つまたは2つのループに由来する任意の1つまたは複数のアミノ酸残基が、抗体断片の類似位置に移入されている領域を構成する。例えば、Fcドメインの1つまたは2つのループに由来する3つまたはそれよりも多くの残基が移入される。例えば、エピトープは、Fc領域(例えば、IgGの)のCH2ドメインから取り出され、抗体のCH1、CH3、もしくはV領域、または1つよりも多くのそのような領域に移入される。例えば、エピトープは、Fc領域のCH2ドメインから取り出され、抗体断片のC領域もしくはV領域またはその両方に移入される。
【0131】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体は、共有結合により修飾される。共有結合としては、これらに限定されないが、化学合成、または抗体の酵素的もしくは化学的切断によるものが挙げられ得る。抗体の他の型の共有結合修飾は、選択された側鎖またはN末端もしくはC末端残基と反応することが可能な有機誘導体化剤と、抗体の標的アミノ酸残基を反応させることにより、分子に導入される。ポリペプチドの例示的な共有結合修飾は、参照により具体的に本明細書に組み込まれる米国特許第5,534,615号に記載されている。抗体の1つの型の共有結合修飾は、抗体を、様々な非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリオキシアルキレンの1つに、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号、または第4,179,337号に示されている方法で連結することを含む。
【0132】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(ヒト抗体など)は、別の異種性ポリペプチドまたはアミノ酸配列とコンジュゲートすることにより修飾される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(ヒト抗体など)は、腫瘍または病原体に対する自然免疫応答および適応免疫応答の効果的な誘発を可能にする標的化イムノコンジュゲート部分を含むように修飾される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、腫瘍または病原体に対する自然免疫応答および適応免疫応答の効果的な誘発を可能にする標的化イムノコンジュゲート部分を含むように修飾される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により産生された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、腫瘍または病原体に対する自然免疫応答および適応免疫応答の効果的な誘発を可能にする標的化イムノコンジュゲート部分を含むように修飾される。イムノコンジュゲートは、標的とする腫瘍または病原体に対する効果的な抗体媒介性および/または細胞媒介性免疫応答を開始させるための複数の重要な要件を同時に満たすことが可能であってもよく、そのような要件としては、これらに限定されないが、(i)抗原提示細胞(APC)/樹状細胞(DC)による、腫瘍抗原もしくは病原体抗原または抗原決定基の取り込みおよび交差提示を誘導または増強すること;(ii)標的細胞環境での樹状細胞(DC)の成熟を促進すること;(iii)CD4+ T細胞支援を提供して、腫瘍または病原体に対するCD8+ T細胞メモリーおよび抗体を生成すること;(iv)標的腫瘍細胞を、抗体依存性細胞傷害(ADCC)およびT細胞媒介性死滅に対して感受性にすることが挙げられる。そのようなイムノコンジュゲート抗体は、新生物疾患、感染性疾患、および他の障害の標的化免疫療法または免疫予防に使用することができる。例えば、Toll様受容体などのパターン認識受容体(PRR)は、多様な感染性微生物(細菌、真菌、原生動物、ウイルス)により発現される病原体関連分子パターン(PAMP)および損傷した宿主組織により放出される分子(損傷関連分子パターン/アラーミン)を認識する。単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)にコンジュゲートされたPAMPの追加は、PRRにより認識される核酸またはタンパク質を含む部分を提供し、最終的に、それに結合されている抗ヌクレオリン抗体を有する標的細胞を除去する免疫応答に結び付く。抗ヌクレオリン抗体にコンジュゲートすることができるPAMPの例としては、これらに限定されないが、ポリイノシン-ポリシチジル酸、リポポリサッカリド(LPS)、リピドA、フラジェリン、GUを多く含む短い一本鎖RNA、非メチル化CpGオリゴデオキシヌクレオチドなどの既知のウイルス性および病原性エピトープが挙げられる。
【0133】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(ヒト抗体など)は、別の異種性ポリペプチドまたはアミノ酸配列と融合またはコンジュゲートすることにより修飾される。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(ヒト抗体など)は、抗タグ抗体が選択的に結合することができるエピトープを提供するタグポリペプチドと融合またはコンジュゲートされる。エピトープタグは、抗ヌクレオリン抗体のアミノ末端またはカルボキシル末端に配置することができる。そのようなエピトープタグ化型の抗ヌクレオリン抗体の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出することができる。また、エピトープタグを提供することにより、抗ヌクレオリン抗体を、抗タグ抗体を使用した親和性精製、またはエピトープタグに結合する別の型の親和性マトリックスにより容易に精製することが可能になる。種々のタグポリペプチドおよびそれらの対応する抗体は、当技術分野で周知である。例としては、ポリヒスチジン(poly-his)またはポリ-ヒスチジン-グリシン(poly-his-gly)タグ;インフルエンザHAタグおよびその抗体12CA5(Fieldら、1988年);c-mycタグならびにそれに対する8F9、3C7、6E10、G4、B7、および9E10抗体(Evanら、1985年);ならびに単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)タグおよびその抗体(Paborskyら、1990年)が挙げられる。他のタグポリペプチドとしては、Flag-ペプチド(Hoppら、1988年);KT3エピトープペプチド(Martinら、1992年);α-チューブリンエピトープペプチド(Skinnerら、1991年);およびT7遺伝子10タンパク質ペプチドタグ(Lutz-Freyermuthら、1990年)が挙げられる。
【0134】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)または断片は、ナノ粒子に連結されている。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、ナノ粒子に連結されている。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により産生された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、ナノ粒子に連結されている。細胞表面ヌクレオリンは、ペグ化ポリリシンおよびDNAで構成されるDNAナノ粒子の受容体としての役目を果たすことが報告されている(Chenら、2008年)。一部の実施形態では、抗体-ナノ粒子コンジュゲートは、その表面にヌクレオリンを発現する細胞に、非コンジュゲート抗体よりも迅速および広範に侵入することができる。一部の実施形態では、細胞は、がん細胞、腫瘍細胞、ウイルス感染細胞、リンパ球、または活性化リンパ球である。
5.治療的使用
5.1.抗ヌクレオリン抗体
【0135】
一部の実施形態では、がん細胞を阻害または死滅させるために使用することができる抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。一部の実施形態では、がん細胞を阻害または死滅させるために使用することができる単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。一部の実施形態では、がん細胞を阻害または死滅させるために使用することができる、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。一部の実施形態では、がん細胞は、その表面にまたはその細胞質内にヌクレオリンを発現する。抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)により阻害または死滅させることができるがん細胞の例は、下記に記載されている。
【0136】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象試料中のがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象試料中のがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により産生された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が準備され、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象試料中のがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。
【0137】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象においてがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象においてがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により産生された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が準備され、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に曝露させない細胞と比較して、対象においてがん細胞の細胞生存率を30~80%低減するために使用される。
【0138】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、1つまたは複数の形態のがんを有するヒト対象に投与される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、1つまたは複数の形態のがんを有するヒト対象に投与される。一部の実施形態では、がんの形態の少なくとも1つは、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)により阻害または死滅される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、がんが他のがん治療に耐性であるヒト対象に投与される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)から産生された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供され、がんが他のがん治療に耐性であるヒト対象に投与される。例えば、がんは、放射線療法、化学療法、または生物学的療法に耐性であってもよい。一部の実施形態では、ヒト対象の免疫系は、単離された非抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)よりも、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に対して、耐容性である。一部の実施形態では、ヒト対象の免疫系は、単離されたヒト化抗ヌクレオリン抗体よりも、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に対して、耐容性である。一部の実施形態では、ヒト対象の免疫系は、単離されたキメラ抗ヌクレオリン抗体よりも、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)に対して、耐容性である。
【0139】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、補助療法の一部として、細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、補助療法の一部として、細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が準備され、補助療法の一部として使用される。補助療法としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的化療法、または生物学的療法を挙げることができる。補助療法は、本明細書で使用される場合、がんが再発するリスクを低くするための、一次治療後に施される治療を指す。
【0140】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、補助療法と組み合わせて、細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、補助療法と組み合わせて、細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、補助療法の一部として提供される。補助療法としては、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、標的化療法、または生物学的療法を挙げることができる。
【0141】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、ヌクレオリンが細胞表面または細胞質に発現される非悪性細胞増殖性障害の細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、ヌクレオリンが細胞表面または細胞質に発現される非悪性細胞増殖性障害の細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現される。例えば、抗ヌクレオリン抗体で治療または阻害することができる非悪性細胞増殖性障害の具体的で非限定的な例としては、これらに限定されないが、疣贅、良性前立腺過形成、懸垂線維腫、および非悪性腫瘍が挙げられる。例えば、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、除去しようとするそのような状態を特徴付ける望ましくない細胞を標的とすることにより、良性前立腺過形成または望まれない性器疣贅などの細胞増殖性障害を決定するために使用することができる。腫瘍の内皮細胞の細胞表面でヌクレオリンが発現されることは、腫瘍血管新生の固有マーカーであることが示されている(Christianら、2003年)。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、血管新生腫瘍を含む細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、血管新生腫瘍を含む細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、血管新生腫瘍を含む細胞を対象において阻害または死滅させることができる、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。血管新生腫瘍は、本明細書で使用される場合、がん性増殖物に侵入して、栄養素および酸素を供給し老廃物を取り除く血管のネットワークが増殖する腫瘍細胞である。
【0142】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、腫瘍低酸素の状態下にある腫瘍細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、腫瘍低酸素の状態下にある腫瘍細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、腫瘍低酸素の状態下にある腫瘍細胞を対象において阻害または死滅させることができる、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。腫瘍低酸素は、腫瘍細胞が酸素を欠乏している状況で生じる。腫瘍低酸素は、腫瘍組織で細胞が高度に増殖し、細胞密度がより高くなるため、局所的酸素供給に負担をかける結果として起こる場合がある。
【0143】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、その表面にヌクレオリンを発現するリンパ球細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、その表面にヌクレオリンを発現するリンパ球細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、その表面にヌクレオリンを発現するリンパ球細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。一部の実施形態では、リンパ球細胞は、B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞を含む。一部の実施形態では、リンパ球細胞は、CD4陽性またはCD8陽性細胞を含む。
【0144】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、その表面にヌクレオリンを発現する活性化リンパ球またはメモリー細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、その表面にヌクレオリンを発現する活性化リンパ球またはメモリー細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、その表面にヌクレオリンを発現する活性化リンパ球細胞またはメモリー細胞を対象において阻害または死滅させるために使用される、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供される。さらなる実施形態では、活性化リンパ球は、活性化B細胞、T細胞、またはナチュラルキラー細胞を含む。一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、自己免疫障害を有する対象において細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、自己免疫障害を有する対象において細胞を阻害または死滅させるために使用される。一部の実施形態では、自己免疫障害を有する対象において細胞を阻害または死滅させるために使用される、B細胞(例えば、ヒトB細胞)により発現された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)が提供され、自己免疫障害としては、これらに限定されないが、円形脱毛症(alopecia greata)、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、喘息、副腎の自己免疫性疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円盤状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、糖尿病、1型真性糖尿病、糖尿病性網膜症、好酸球性筋膜炎(eosinophilic fascites)、線維筋痛-線維筋炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー、橋本甲状腺炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性肺線維症、特発性/自己免疫性血小板減少症紫斑病(ITP)、IgAニューロパシー、若年性関節炎、扁平苔癬、紅斑性狼瘡(lupus erthematosus)、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、1型または免疫媒介性真性糖尿病、重症筋無力症、天疱瘡関連障害(例えば、尋常性天疱瘡)、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎(polychrondritis)、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、硬皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性エリトマトーデス(SLE)、スイート症候群、スティル病、紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、疱疹状皮膚炎脈管炎などの脈管炎、白斑、ならびにヴェグナー肉芽腫症が挙げられる。炎症性障害の例としては、これらに限定されないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血症性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節障害、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解症、移植片対宿主病、じんましん、フォークト・小柳・原田症候群(Vogt-Koyanagi-Hareda syndrome)、慢性炎症性肺炎、および慢性ウイルス性または細菌性感染症に起因する慢性炎症が挙げられる。
【0145】
一部の実施形態では、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)または断片は、ウイルスに感染した対象において細胞を阻害または死滅させるために使用され、そうした細胞としては、これらに限定されないが、Retroviridae(例えば、HIV-1(HTLV-III、LAVもしくはHTLV-III/LAV、またはHIV-IIIとも呼ばれる);およびHIV-LPなどの他の分離株などのヒト免疫不全ウイルス);Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例えば、胃腸炎を引き起こす株);Togaviridae(例えば、馬脳炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス);Coronoviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviradae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、おたふくかぜウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス);Bungaviridae(例えば、ハンタンウイルス、ブンガウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス);Arenaviridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス(orbiviurs)、およびロタウイルス);Bimaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvovirida(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(ほとんどのアデノウイルス);Herpesviridae(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ラウス肉腫ウイルス(RSV)、トリ白血病ウイルス(ALV)、およびトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)、およびC型グループB(C-type group B)(ネコ白血病ウイルス(FeLV)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)、脾臓壊死ウイルス(SNV)、細網内皮症ウイルス(RV)、およびサル肉腫ウイルス(SSV)を含む)、マソン・ファイザーサルウイルス(MPMV)およびサルレトロウイルス1型(SRV-1)を含むD型レトロウイルス、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルス、およびフォーミーウイルスの亜群を含む複合レトロウイルス、HIV-1、HIV-2、SIV、ビスナウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、およびウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、サルT細胞白血病ウイルス(STLV)、およびウシ白血病ウイルス(BLV)を含むレンチウイルス、ヒト泡沫状ウイルス(HFV)、サル泡沫状ウイルス(SFV)、およびウシ泡沫状ウイルス(BFV)を含む泡沫状ウイルス、Poxyiridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);ならびにIridoviridae(例えば、アフリカブタ熱ウイルス);ならびに分類不能ウイルス(例えば、海綿状脳症の病原因子、デルタ肝炎(B型肝炎ウイルスの欠損型サテライトであると考えられる)の因子、非A型、非B型肝炎(クラス1=内部感染;クラス2=非経口感染(すなわち、C型肝炎))の因子;ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)、Mycobacterium(Mycobacterium tuberculosis)、M.bovis、M.avium-intracellulare、M.leprae)、Pneumococcus、Streptococcus、Staphylcococcus、ジフテリア、Listeria、Erysipelothrix、炭疽菌、破傷風、Clostridium、混合嫌気性菌、Neisseria、Salmonella、Shigella、Hemophilus、Escherichia coli、Klebsiella、Enterobacter、Serratia、Pseudomonas、Bordatella、Francisella tularensis、Yersinia、Vibrio cholerae、Bartonella、Legionella、Spirochaete(Treponema、Leptospira、Borrelia)、真菌、Actinomyces、Rickettsia、Mycoplasma、Chlamydia、原生動物(Entamoeba、Plasmodium、Leishmania、Trypanosoma、Toxoplasma、Pneumocystis、Babasia、Giardia、Cryptosporidium、Trichomonas)、蠕虫(Trichinella、Wucheraria、Onchocerca、Schistosoma)、線虫、条虫、吸虫)、ならびにウイルス性肺炎に感染した細胞が挙げられる。米国特許出願公開第2007/0066554号で開示されているものなど、本開示の組成物の標的とすることができる抗原のさらなる例は公知である。さらなる態様では、コンジュゲートは、標的部分および免疫刺激性核酸分子に加えて、本明細書に記載のような抗原または細胞成分を含んでいてもよい。
5.2.抗体コンジュゲート
【0146】
一部の実施形態では、本開示は、少なくとも1つの治療剤と連結されて抗体コンジュゲートを形成する単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を提供する。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、分子または部分などの少なくとも1つの治療剤に連結されているか、共有結合で結合されているか、または複合体化されている。治療剤は、所望の活性、例えば細胞傷害活性を有する分子を含む。一部の実施形態では、抗体に付着させることができる治療剤としては、これらに限定されないが、毒素(タンパク質合成の伸長ステップを触媒的に阻害するペプチド免疫毒素など)、抗腫瘍剤、治療用酵素、放射性核種、抗ウイルス剤、本明細書に記載のようなキレート剤、サイトカイン、増殖因子、またはオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドが挙げられる。
【0147】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、酵素的に活性な毒素またはその断片にコンジュゲートされる。酵素的に活性な毒素およびその断片の例としては、これらに限定されないが、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、菌体外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosaに由来する)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデッシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ポークウィード抗ウイルスタンパク質、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、カリケアマイシン、またはトリコテシン(tricothecene)が挙げられる。
【0148】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、放射性核種にコンジュゲートされている。好適な放射性核種の例としては、これらに限定されないが、124アンチモン、125アンチモン、74ヒ素、211アスタチン、103バリウム、140バリウム、ベリリウム、206ビスマス、207ビスマス、212Bi、109カドミウム、115カドミウム、45カルシウム、14炭素、139セリウム、141セリウム、144セリウム、137セシウム、51クロム、36塩素、56コバルト、57コバルト、58コバルト、60コバルト、67銅、169エルビウム、152ユーロピウム(eurpium)、67ガリウム、153ガドリニウム、195金、199金、175ハフニウム、175+181ハフニウム、181ハフニウム、水素、123ヨウ素、125ヨウ素、131ヨウ素、111インジウム、131In、192イリジウム、55鉄、59鉄、85クリプトン、210鉛、177ルテチウム、54マンガン、197水銀、203水銀、99モリブデン、147ネオジム(neodynium)、237ネプツニウム、63ニッケル、95ニオブ、185+191オスミウム、103パラジウム、32リン、184白金、143プラセオジム、147プロメチウム、233プロトアクチニウム、226ラジウム、レニウム186188レニウム、86ルビジウム、130ルテニウム、106ルテニウム、44スカンジウム、46スカンジウム、45セレン、75セレン、110m銀、111銀、22ナトリウム、85ストロンチウム、89ストロンチウム、90ストロンチウム、35硫黄、182タンタル、99mテクネチウム(technicium)、125mテルル、132テルル、160テルビウム、204タリウム、228トリウム、232トリウム、170ツリウム(thullium)、113スズ、44チタン、185タングステン、48バナジウム(vanadlum)、49バナジウム、88イットリウム、90イットリウム、91イットリウム、169イッテルビウム、65亜鉛、および/または95ジルコニウムが挙げられる。
【0149】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジプイミデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トリレン2,6-ジイソシアネート(tolyene 2,6-diisocyanate)など)、およびビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質カップリング剤を使用して作製することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら(1987年)に記載のように調製することができる。炭素14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドを抗体にコンジュゲーションするための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。
【0150】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、サイトカインにコンジュゲートされている。用語「サイトカイン」は、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用する、1つの細胞集団により放出されるタンパク質の一般的名称である。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝臓増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-αおよび-β;ミューラ管阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-βなどの神経成長因子;血小板増殖因子;TGF-αおよびTGF-βなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導性因子;インターフェロン-α、-β、および-γなどのインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球マクロファージ-CSF(GM-CSF);および顆粒球-CSF(G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1a、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-11、IL-12などのインターロイキン(IL);ならびにLIFおよびkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「サイトカイン」は、天然供給源に由来するかまたは組換え細胞培養に由来するタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。
【0151】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、化学療法剤にコンジュゲートされている。「化学療法剤」とも記載される様々な化学的化合物は、DNA損傷を誘導するように機能する。単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)とのコンジュゲーションに好適な化学療法剤の範疇には、これらに限定されないが、アルキル化剤、アントラサイクリン、細胞骨格破壊剤、エポチロン、トポイソメラーゼIの阻害剤、トポイソメラーゼIIの阻害剤、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体および前駆類似体、ペプチド抗生物質、白金系作用物質、レチノイド、またはビンカアルカロイドおよび誘導体が含まれる。これらのグループ内の具体的な化学療法剤としては、これらに限定されないが、アクチノマイシン-D、全トランス型レチノイン酸アザシチジン、アドリアマイシンアザチオプリン、ブレオマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、5-フルオロウラシル(5FU)、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、過酸化水素、イダルビシン、イマチニブ、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンが挙げられる。また、本開示は、X線とシスプラチンとの併用またはシスプラチンとエトポシドとの併用など、放射線に基づくかまたは実際の化合物であるかに関わらず、1つまたは複数のDNA損傷作用因子の組合せの使用を包含する。
【0152】
一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、抗ウイルス剤にコンジュゲートされている。単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)と共に使用することができる抗ウイルス剤の例としては、これらに限定されないが、ウイルス感染細胞を著しく損なうか、衰弱させるか、そうでなければ破壊する基質および基質類似体、阻害剤、ならびに他の作用物質が挙げられる。基質類似体としては、アミノ酸およびヌクレオシド類似体が挙げられる。基質は、毒素または他の殺ウイルス性物質とコンジュゲートされていてもよい。阻害剤としては、インテグラーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、および逆転写酵素阻害剤などの転写酵素阻害剤が挙げられる。
5.3.医薬組成物および投与
【0153】
それを必要とする対象に投与する場合、抗体は、宿主への投与に好適な組成物に懸濁されることになることが起想される。一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、モノクローナル抗体は、抗ヌクレオリン抗体である。一部の実施形態では、モノクローナル抗ヌクレオリン抗体は、ヒトモノクローナル抗ヌクレオリン抗体である。本開示の水性組成物は、薬学的に許容される組成物および/または水性媒体中に分散されている有効量の抗体を含む。語句「薬学的および/または薬理学的に許容される」は、動物、および特にヒトに適切に投与した際に、有害、アレルギー性、および/または他の予期せぬ反応をもたらさない組成物を指す。
【0154】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、任意の溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および/または抗真菌剤、等張剤および/または吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質用のそのような媒体または作用物質の使用は、当技術分野で周知である。また、補助活性成分を組成物に組み込んでもよい。ヒトに投与する場合、調製物は、FDA Office of Biologics standardsが要求する、無菌性、発熱性、一般的安全性、および/または純度基準を満たさなければならない。
【0155】
一部の実施形態では、本開示の抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、および水を含むが、これらに限定されない任意の無菌生体適合性医薬担体で投与することができる。これらの分子はいずれも、好適な賦形剤、アジュバント、および/または薬学的に許容される担体と混合されている医薬組成物中に、単独で、または他の作用物質、薬物、もしくはホルモンと組み合わせて患者に投与することができる。本開示の一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、薬学的に不活性である。
【0156】
医薬組成物の投与は、経口的にまたは非経口的に達成される。非経口送達の方法としては、局所、動脈内(例えば、腫瘍に直接的に)、筋肉内、皮下、髄内、髄腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、または鼻腔内投与が挙げられる。これらの医薬組成物は、活性成分に加えて、賦形剤、および薬学的に使用することができる調製物への活性化合物のプロセシングを促進する他の化合物を含む好適な薬学的に許容される担体を含むことができる。製剤技法および投与技法についてのさらなる詳細は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」(Maack Publishing Co、Easton、Pa.)の最新版に見出すことができる。抗体組成物は、凍結乾燥することができる。抗体組成物は、抗体水溶液であってもよい。in vivo投与に使用される組成物は、一般的に無菌である(例えば、濾過滅菌膜による濾過により)。
一部の組成物は、対象の脳または髄液への標的送達に好適であってもよい。組成物は、保存剤を実質的に含んでいなくてもよい。一部の組成物は、少なくとも約12か月間、少なくとも約18か月間、少なくとも約24か月間、または少なくとも約30か月間、安定している。一部の組成物は、約-80℃~約-50℃または約2℃~約8℃など、約-80℃~約-40℃、約0℃~約25℃、約0℃~約10℃で安定している。
【0157】
経口投与用の医薬組成物は、当技術分野で周知の薬学的に許容される担体を使用して、経口投与に好適な投与量に製剤化することができる。そのような担体により、医薬組成物を、患者による摂取に好適な、錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして製剤化することが可能になる。PCT公開WO93/23572を参照されたい。
【0158】
経口使用用の医薬調製物は、活性化合物を固形賦形剤と組み合わせ、任意選択で得られた混合物を粉砕し、必要に応じて好適なさらなる化合物を添加した後で顆粒の混合物を加工して錠剤または糖剤コアを得ることにより、得ることができる。好適な賦形剤は、炭水化物またはタンパク質充填剤であり、これらに限定されないが、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ、または他の植物に由来するデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはナトリウムカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;ならびにアラビアおよびトラガントを含むゴム;ならびにゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質が挙げられる。必要に応じて、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの、崩壊剤または可溶化剤を添加してもよい。
【0159】
糖剤コアには、濃縮糖溶液などの好適なコーティングを施してもよく、濃縮糖溶液は、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、carbopolゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物も含んでいてもよい。製品を識別するためにまたは活性化合物の量(すなわち、投与量)を特徴付けるために、染料または色素を、錠剤または糖剤コーティングに添加してもよい。
【0160】
経口で使用することができる医薬調製物としては、ゼラチン製の圧入嵌合型カプセル、ならびにゼラチン製の軟質密閉カプセルおよびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティングが挙げられる。圧入嵌合カプセルは、ラクトースまたはデンプンなどの充填剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意選択で安定化剤と混合された活性成分を含有していてもよい。軟質カプセルの場合、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの、安定化剤を含むかまたは含まない好適な液体に溶解または懸濁されていてもよい。
【0161】
非経口投与用の医薬組成物としては、活性化合物の水溶液が挙げられる。注射の場合、本開示の医薬組成物は、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的緩衝生理食塩水などの、生理学的に適合する緩衝液など、水溶液で製剤化してもよい。水性注射用懸濁液は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなど、懸濁液の粘性を増加させる物質を含んでいてもよい。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油状注射用懸濁液として調製してもよい。好適な親油性溶媒または媒体としては、ゴマ油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルなどの脂肪油、あるいはリポソームが挙げられる。また、懸濁液は、任意選択で、好適な安定化剤、または化合物の溶解度を増加させて、高度に濃縮された溶液の調製を可能にする作用物質を含んでいてもよい。
【0162】
局所または経鼻投与の場合、組成物中には、浸透すべき特定の障壁に適切な浸透剤が使用される。そのような浸透剤は、当技術分野で一般的に知られている。
【0163】
本開示の医薬組成物は、当技術分野で公知の様式と同様の様式で製造することができる(例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖剤作製、研和、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスにより)。
【0164】
医薬組成物は、塩として提供されてもよく、これらに限定されないが、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するものなどの陰イオンで形成されているもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するものなどの陽イオンで形成されているものを含む、多くの酸を用いて形成することができる。塩は、対応する遊離塩基形態である水性または他のプロトン性溶媒により可溶性である傾向がある。一部の実施形態では、調製物は、1mM~50mMヒスチジン、0.1%~2%スクロース、2%~7%マンニトール中の、使用前に緩衝液と組み合わせると4.5~5.5のpH範囲になる凍結乾燥粉末であってもよい。
【0165】
また、担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することにより、分散系の場合は、必要とされる粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤を使用することにより維持することができる。微生物作用の防止は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが好適であり得る。注射可能組成物の持続吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中に使用することによりもたらすことができる。
【0166】
本開示での使用に好適な医薬組成物としては、活性成分が、意図されている目的を達成するのに有効な量で含まれている組成物が挙げられる。「治療有効量」または「薬理学的有効量」は、十分に認識されている語句であり、意図されている薬理学的結果をもたらすのに有効な作用物質の量を指す。したがって、治療有効量は、治療されている疾患の症状を改善するのに十分な量である。所与の応用のための有効量(例えば、治療有効量)の確認において有用な1つのアッセイは、細胞生存に対する効果を測定することである。実際に投与される量は、治療が施される個体に依存することになり、恐らくは、著しい副作用を起こさずに所望の効果が達成されるように最適化された量であろう。
【0167】
任意の化合物について、治療有効用量は、細胞培養アッセイまたは任意の適切な動物モデルのいずれかで、初期評価することができる。また、動物モデルを使用して、望ましい濃度範囲および投与経路を得る。次いで、そのような情報を使用して、ヒトに投与するための有用な用量および経路を決定することができる。
【0168】
動物では、「治療有効量」は、治療しない場合の典型的な臨床転帰と比較して、治療の結果として臨床転帰の改善をもたらす化合物の量である。「臨床転帰の改善」は、例えば、治療の結果として、平均余命が延長されること、合併症がより少なくなること、症状がより少なくなること、身体的不快感がより少なくなること、および/または入院がより少なくなることを指す。臨床転帰の改善は、投与を受け、ある期間にわたって疾患状態の改善を示す対象のある特定のパーセントとして定量化することができる。投与を受け、疾患状態の改善を示す対象のある特定のパーセントは、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%であってもよい。投与を受け、疾患状態の改善を示す対象のある特定のパーセントは、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または85%であってもよい。投与を受け、疾患状態の改善を示す対象のある特定のパーセントは、約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であってもよい。臨床転帰の改善を測定するためのある期間は、1、2、3、4、5、6、または7日間であってもよい。臨床転帰の改善を測定するためのある期間は、1、2、3、または4週間であってもよい。臨床転帰の改善を測定するためのある期間は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10年間、またはそれよりも長くてもよい。
【0169】
がんに関して、「臨床転帰の改善」は、平均余命の延長を含む。また、「臨床転帰の改善」は、腫瘍の増殖速度を遅延または停止させ、腫瘍サイズの収縮を引き起こすこと、転移の速度を低下させること、または生活の質を向上させること(例えば、身体的不快感を減少させること、または可動性を増加させること)を含んでいてもよい。
【0170】
免疫系の調節に関して、「臨床転帰の改善」は、個体が免疫抑制を伴う疾患を有する場合、個体の免疫応答の規模を増加させることを指す。また、免疫系が抑制された個体の「臨床転帰の改善」は、感染性疾患に対する感受性を少なくすることを指す場合がある。免疫系の過活動を伴う疾患の場合、「臨床転帰の改善」は、免疫応答の規模を減少させることを指す場合がある。両方の場合において、臨床転帰の改善は、上記のように生活の質の向上を伴う場合もある。
【0171】
正確な投与量は、治療しようとする患者に照らして個々の医師により選択される。投与量および投与は、十分なレベルの活性部分が提供されるように、または所望の効果が維持されるように調整される。考慮することができるさらなる要因としては、疾患状態の重症度が挙げられる(例えば、腫瘍のサイズおよび位置;患者の年齢、体重、および性別;食事、投与の時間および頻度、薬物の組合せ、反応感受性、ならびに療法に対する耐容性/応答性)。投与は、毎日、隔日、毎週、隔週、毎月、隔月、またはそれらの任意の変型であってもよい。抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を含む剤形の投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間であってもよい。抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を含む剤形の投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10週間であってもよい。抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を含む剤形の投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12か月間であってもよい。抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を含む剤形の投与は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12年間であってもよい。1つまたは複数の作用物質(例えば、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)および別の作用物質)の投与は、断続的であってもよく、例えば、投与は、2日に1回、3日に1回、5日に1回、1週間に1回、1か月に1回または2回などであってもよい。長期作用性医薬組成物は、特定の組成物の半減期およびクリアランス速度に応じて、3~4日毎、毎週、または2週間に1回投与してもよい。特定の投与量および送達方法の指針は、文献に提供されている(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,657,760号;第5,206,344号;および第5,225,212号を参照)。一部の実施形態では、患者に投与される、抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)を含む組成物の投与量は、患者の体重の約0.1mg/kg~500mg/kgである。異なる投与時点における量、形態、および/または異なる形態の量は、様々であってもよい。
【0172】
本明細書で開示されている抗体または組成物(および任意のさらなる治療剤)は、非経口、肺内、および鼻腔内、ならびに必要に応じて局所治療、病巣内投与を含む、任意の好適な手段により投与することができる。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が挙げられる。投薬は、任意の好適な経路により行うことができる。例えば、投薬は、注射(例えば、静脈内または皮下注射)により行うことができる。本明細書では、これらに限定されないが、種々の時点にわたる単回または複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入を含む種々の投薬スケジュールが企図される。
【0173】
本明細書で開示されている抗体は、良好な医療業務に準拠した様式で製剤化し、用量を定め、投与することができる。この状況で考慮される要因としては、治療されている特定の障害、治療されている特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医療従事者に知られている他の要因が挙げられる。抗体は、問題となっている障害を予防または治療するために現在使用されている1つまたは複数の作用物質と共に製剤化される必要はないが、任意選択で共に製剤化される。他のそのような作用物質の有効量は、組成物中に存在する抗体の量、障害または治療の型、および上記で考察されている他の要因に依存する。これらは、一般的には、本明細書に記載されているものと同じ投与量および投与経路で、または本明細書に記載されている投与量の約1から99%までもしくは任意の投与量で、経験的に/臨床的に適切であることが判明している任意の経路により使用される。
【0174】
疾患を予防または治療する場合、本明細書で開示されている抗体の適切な投与量は(単独でまたは1つもしくは複数の他のさらなる治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療しようとする疾患の型、抗体の型、疾患の重症度および経過、抗体が予防目的で投与されるかまたは治療目的で投与されるか、以前の療法、患者の臨床履歴および抗体に対する応答性、ならびに主治医の判断に依存するであろう。抗体は、一度にまたは一連の治療にわたって患者に適切に投与される。約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者に投与される初期の候補投与量であってもよい(例えば、1つもしくは複数回の別々の投与により、または持続注入により)。1日投与量は、約1μg/kgから100mg/kgまでの範囲であってもよく、またはそれよりも多くてもよい。数日間またはそれよりも長い期間にわたって反復投与する場合、治療は、一般的には、感染または疾患の症状の所望の抑制が生じるまで持続されるであろう。抗体の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kgから約10mg/kgまでの範囲にあるだろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはそれらの任意の組合せ)の1つまたは複数の用量が、患者に投与される場合がある。そのような用量は、断続的に(例えば、毎週または3週毎に)投与される場合がある。初期はより高い負荷用量を投与し、その後1つまたは複数のより低い用量を投与してもよい。
【0175】
本明細書に記載のような抗体の医薬組成物は、所望の程度の純度を有するそのような抗体を、1つまたは複数の任意選択の薬学的に許容される担体(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第16版、Osol, A.編(1980年)を参照)と混合することにより、凍結乾燥組成物または水溶液の形態に調製される。薬学的に許容される担体は、一般的には、使用される投与量および濃度では、レシピエントに対して無毒性である。例示的な薬学的に許容される担体としては、緩衝剤(例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸およびメチオニン);保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム);塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン(例えば、メチルまたはプロピルパラベン);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン);単糖、二糖、および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、またはデキストリン);キレート剤(例えば、EDTA);糖(例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン性界面活性剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG))が挙げられる。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体としては、間質内(insterstitial)薬物分散剤(例えば、可溶性中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP))がさらに挙げられる。一態様では、sHASEGPは、1つまたは複数のさらなるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わされる。
【0176】
活性成分は、マイクロカプセル(例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセル、およびポリ-(メチルメタクリレート(methylmethacylate))に封入されていてもよい。活性成分は、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンでマイクロカプセルに封入されていてもよい。持続放出調製物を調製してもよい。持続放出調製物の好適な例としては、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、マトリックスは、成形品(例えば、フィルムまたはマイクロカプセル)の形態である。
【0177】
一部の液体組成物では、抗体の濃度は、約0.1mg/ml~約60mg/ml、約40mg/ml~約60mg/ml、約17mg/ml~約23mg/ml、約50mg/ml、約30mg/ml、約17mg/ml~約23mg/ml、約20mg/ml、約17mg/ml、約10mg/ml、約5mg/ml、約2mg/ml、または約1mg/mlである。一部の組成物では、少なくとも1つの等張化剤(例えば、D-マンニトール)は、約1%w/v~約10%w/v、約2%w/v~約6%w/v、または約4%w/vの濃度で存在する。一部の組成物では、少なくとも1つの緩衝化剤(例えば、ヒスチジン、コハク酸塩)は、約0.1mM~約25mM、約5mM~約15mM、約5mM、または約10mMの濃度で存在する。一部の組成物では、抗酸化剤(例えば、メチオニン)は、約0.1mM~約25mM、約5mM~約15mM、または約10mMの濃度で存在する。一部の組成物では、安定化剤(例えば、ポリソルベート80)は、約0.001%w/v~約0.01%w/v、約0.005%w/v~約0.01%w/v、または約0.005%w/vの濃度で存在する。本明細書で開示されている組成物は、約4~約8、約4.5~約7.5、約5~約7、約5.5~約6.5、約6.0~約6.5、約6.2、約6.0、または約5.5のpHを有していてもよい。
【0178】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている抗体は、約0.1mg/mlから約100mg/mlまで、約0.1mg/mlから約75mg/mlまで、約0.1mg/mlから約50mg/mlまで、約0.1mg/mlから約40mg/mlまで、約0.1mg/mlから約30mg/mlまで、約10mg/mlから約20mg/mlまで、約12mg/ml~約17mg/ml、約17mg/ml~約23mg/ml、約20mg/mlから30mg/mlまで、またはそれよりも多く、例えば、約100mg/mlまで、約200mg/mlまで、約500mg/mlまで、または約1000mg/mlまで、またはそれよりも多く組成物中に存在する。種々の実施形態では、抗体は、約1、2、5、10、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または30mg/mlで存在する。上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。
【0179】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、凍結、凍結乾燥、および/または再構成に対して安定的である。さらに、例示的な実施形態は、長期間にわたって安定である。例えば、組成物は、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30か月間にわたって安定である。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも約12か月間、少なくとも約18か月間、少なくとも約24か月間、または少なくとも約30か月間にわたって安定である。一部の実施形態では、組成物は、約-80℃から約40℃まで、約0℃から約25℃まで、約0℃から約15℃まで、または約0℃から約10℃まで、例えば約2℃から約8℃までの温度で保管することができる。種々の実施形態では、組成物は、約0℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃で保管することができる。一部の実施形態では、組成物は、約5℃で保管される。一般的には、組成物は、これらの範囲で安定しており、生物学的活性を保持する。上述の温度の中間範囲、例えば約2℃から約17℃までも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。
【0180】
投与量
【0181】
組成物の有効用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるかまたは動物であるか、投与される他の医薬、および治療が予防的であるかまたは治療的であるかを含む、多くの様々な要因に応じて変わる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物も治療することができる。治療投与量は、安全性および効力を最適化するように滴定される必要がある。
【0182】
抗体による受動免疫の場合、例示的な投与量は、宿主体重の約0.0001mg/kgから約100mg/kgまで、約0.01mg/kg~約5mg/kg、約0.15mg/kg~約3mg/kg、0.5mg/kg~約2mg/kg、例えば、約1mg/kg~約2mg/kgである。一部の例示的な実施形態では、投与量は、約0.5、0.6、0.7、0.75、0.8、0.9、1.0、1.2、1.25、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.75、1.8、1.9、または2.0mg/kgであってもよい。受動免疫のための他の例示的な投与量は、約1mg/kgから約20mg/kgまでである。一部の例示的な実施形態では、投与量は、約5、10、15、または20mg/kgであってもよい。対象には、そのような用量を、毎日、隔日、毎週、または経験的分析により決定される任意の他のスケジュールに従って投与することができる。例示的な治療は、例えば、少なくとも6か月間の長期間にわたる複数投与量での投与を伴う。さらなる例示的な治療レジメンは、2週間毎に1回、または月1回、または3~6か月毎に1回の投与を伴う。例示的な投与スケジュールとしては、連日1~10mg/kgまたは15mg/kg、隔日30mg/kg、または毎週60mg/kgが挙げられる。一部の方法では、異なる結合特異性を有する2つまたはそれよりも多くのモノクローナル抗体が同時投与され、その場合、投与される各抗体の投与量は、示された範囲内に入る。
【0183】
抗体は、通常、複数の時点で投与される。単回投与間の間隔は、1週間であってもよく、1か月であってもよく、または1年であってもよい。また、間隔は、患者の血中抗体レベルを測定することにより指示されるような、不定期であってもよい。一部の方法では、投与量は、1~1000μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整され、一部の方法では、25~300μg/mlを達成するように調整される。一部の実施形態では、抗体は、持続放出組成物として投与することができ、その場合、それほど頻繁な投与は必要とされない。投与量および頻度は、患者における抗体の半減期に応じて変わる。一般的に、ヒト抗体は、最も長い半減期を示し、ヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体がそれに続く。
【0184】
投与の投与量および頻度は、治療が予防的かまたは治療的かに応じて変わる場合がある。予防的な応用では、本抗体またはそのカクテルを含む組成物は、患者の耐性を増強するために、まだ疾患状態にはない患者に投与される。そのような量は、「予防有効用量」と定義される。この使用において、正確な量は、この場合も、患者の健康状態および全身免疫に依存するが、一般的に、1用量当たり0.1から25mgまで、特に1用量当たり0.5~2.5mgの範囲である。比較的低い投与量が、比較的頻繁でない間隔で長期間にわたって投与される。一部の患者は、残りの生涯にわたって治療を受け続ける。
【0185】
一部の治療的応用では、疾患の進行が低減または終結するまで、例えば患者が、疾患の症状の部分的または完全な寛解を示すまで、比較的短い間隔で比較的高い投与量(例えば、1用量当たり約0.5または1から約200mg/kgまでの抗体(例えば、0.5、1、1.5、2、5、10、20、25、50、または100mg/kg)、より一般的には5から25mg/kgまでの投与量が使用される)が必要とされることがある。その後、本特許を、予防的レジメンで投与してもよい。
【0186】
投与のし易さおよび投与量の均一性のためには、単位剤形の組成物を提供することが特に有利である。組成物は、カプセル、アンプル、凍結乾燥形態、または複数用量容器で提供してもよい。用語「容器」は、例えば、物体または液体を入れるまたは含有させることができる何か、例えば保管用のホルダー、入れ物、または器物を指す。単位剤形は、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤などの製剤用作用物質と共に活性成分の懸濁液、溶液、またはエマルジョンを含む、本明細書に記載の任意の組成物を含んでいてもよい。例示的な実施形態では、例えば静脈注入により患者に投与する前に、医薬投与量単位形態を、好適な希釈剤、例えば滅菌発熱性物質除去蒸留水または生理食塩溶液を用いて、点滴バッグ(例えば、50ml、100ml、または250ml、または500mlの点滴バッグ)に添加してもよい。一部の医薬単位剤形は、例えば凍結乾燥の形態であり、点滴バッグに添加する前に、好適な希釈剤で再構成する必要があってもよい。例示的な実施形態では、医薬単位剤形は、本明細書に記載の組成物を含む容器である。例えば、容器は、10mLガラスI型チューブバイアルであってもよい。一般的に、容器は、組成物の無菌性および安定性を維持しなければならない。例えば、バイアルは、血清ストッパーで密閉されていてもよい。さらに、種々の実施形態では、容器は、約100mgの組成物または活性成分を取り出す(例えば、単回使用のために)ことが可能になるように設計されるべきである。一部の実施形態では、容器は、より多量の、例えば約10mgから約5000mgまで、約100mgから約1000mgまで、および約100mgから約500mgまで、約40mg~約250mg、約60mg~約80mg、約80mg~約120mg、約120mg~約160mg、またはそれらの範囲もしくは間隔、例えば約100mg~約200mgの組成物または活性成分に好適であってもよい。上述の量の中間範囲、例えば約25mgから約195mgまでも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。一部の実施形態では、組成物は、単位剤形の液体として供給されることが多い。
【0187】
一部の態様では、本開示は、医薬投与量単位形態(例えば、本明細書で開示されている組成物を有する容器)および使用説明書を含むキットを提供する。したがって、容器およびキットは、複数回の使用に十分な組成物を提供するように設計されていてもよい。種々の実施形態では、キットは、希釈剤をさらに含んでいてもよい。希釈剤は、別々のまたは組み合わされている賦形剤を含んでいてもよい。例えば、希釈剤は、マンニトールなどの等張性調節剤、ヒスチジンなどの緩衝化剤、ポリソルベート80などの安定化剤、メチオニンなどの抗酸化剤、および/またはそれらの組合せを含んでいてもよい。希釈剤は、当業者により必要であるとみなされる他の賦形剤、例えば凍結乾燥保護剤を含んでいてもよい。
【0188】
賦形剤
【0189】
種々の実施形態では、本開示は、これらに限定されないが、緩衝剤、抗酸化剤、等張化剤、および安定化剤を含む種々の賦形剤を含んでいてもよい組成物を提供する。加えて、組成物は、pH調整のためのさらなる作用物質(例えば、HCl)および希釈剤(例えば、水)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、異なる形態のヒスチジンをpH調整に使用することができる。部分的には、賦形剤は、抗体の安定性および生物学的活性を維持する役目(例えば、タンパク質の正しいコンフォメーションを維持することにより)、および/またはpHを維持する役目を果たす。
【0190】
緩衝化剤
【0191】
種々の態様では、組成物は、緩衝化剤(緩衝剤)を含む。緩衝剤は、生理学的に好適なpHを維持する役目を果たす。加えて、緩衝剤は、組成物の等張性および化学的安定性を増強する役目を果たすことができる。一般的に、組成物は、生理学的に好適なpHを有するべきである。種々の実施形態では、組成物は、約5~約7、約5.5~約6.5、例えば、約6.0~約6.5のpHを有する。一部の実施形態では、組成物は、約6のpHを有する。上述のpHレベルの中間範囲、例えば約pH5.2~約pH6.3、例えばpH6.0またはpH6.2も、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。当技術分野で公知の技法により、必要に応じてpHを調整することができる。例えば、必要に応じてHClを添加して、pHを所望のレベルに調整してもよく、または異なる形態のヒスチジンを使用して、pHを所望のレベルに調整してもよい。
【0192】
緩衝剤としては、これらに限定されないが、コハク酸塩(ナトリウムまたはリン酸塩)、ヒスチジン、リン酸塩(ナトリウムまたはカリウム)、Tris(tris(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、ジエタノールアミン、クエン酸塩、他の有機酸、およびそれらの混合物を挙げることができる。一部の実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン(例えば、L-ヒスチジン)である。一部の実施形態では、緩衝剤は、コハク酸塩である。一部の実施形態では、組成物は、組成物を生理学的に好適なpHに維持するのに十分な量で存在するヒスチジンなどのアミノ酸を含む。ヒスチジンは、生理学的なpH範囲で緩衝能力を有する例示的なアミノ酸である。ヒスチジンは、そのイミダゾール基部分にまたがるその緩衝能力を導き出す。1つの例示的な実施形態では、緩衝剤は、L-ヒスチジン(塩基性)(例えば、C、FW:155.15)である。一部の実施形態では、緩衝剤は、L-ヒスチジン一塩酸塩一水和物(例えば、C.HCl.HO、FW:209.63)である。一部の実施形態では、緩衝剤は、L-ヒスチジン(塩基性)およびL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物の混合物である。
【0193】
一部の実施形態では、緩衝剤(例えば、L-ヒスチジンまたはコハク酸塩)濃度は、約0.1mMから約50mMまで、約0.1mMから約40mMまで、約0.1mMから約30mMまで、約0.1mMから約25mMまで、約0.1mMから約20mMまで、または約5mMから約15mMまで、例えば5mMまたは10mMで存在する。種々の実施形態では、緩衝剤は、約6mM、7mM、8mM、9mM、11mM、12mM、13mM、14mM、または15mMで存在してもよい。一部の実施形態では、緩衝剤は、約10mMで存在する。上述の濃度の中間範囲、例えば約12mM~約17mMも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、生理学的に好適なpHを維持するのに十分な量で存在する。
【0194】
等張化剤
【0195】
種々の態様では、組成物は、等張化剤を含む。部分的には、等張化剤は、組成物の等張性の維持およびタンパク質レベルの維持に寄与する。部分的には、等張化剤は、組成物中に存在する治療的に活性なポリペプチドのレベル、比、または割合を保存することに寄与する。本明細書で使用される場合、用語「等張性」は、液体環境または溶液中での生物学的成分の挙動を指す。等張性溶液は、血漿と同じ浸透圧を有し、したがって、対象の血漿の浸透圧を変更せずに対象に静脈内注入することができる。一部の実施形態では、等張化剤は、組成物を静脈注入に好適なものにするのに十分な量で存在する。多くの場合、等張化剤は、同様に増量剤としての役目も果たす。したがって、この作用物質は、タンパク質が、凍結および剪断などの種々のストレスを克服することを可能にすることができる。
【0196】
等張化剤としては、これらに限定されないが、CaCl、NaCl、MgCl、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、ラフィノース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、グリシン、およびそれらの混合物を挙げることができる。一部の実施形態では、等張化剤は、マンニトールである(例えば、D-マンニトール、例えばC14、FW:182.17)。
【0197】
一部の実施形態では、等張化剤は、約2%~約6%w/v、または約3%~約5%w/vで存在する。一部の実施形態では、等張化剤は、約3.5%~約4.5%w/vで存在する。一部の実施形態では、等張化剤は、約20mg/ml~約60mg/ml、約30mg/ml~約50mg/ml、または約35mg/ml~約45mg/mlでのパーセントである。例えば、等張化剤は、約4%w/vまたは約40mg/mlで存在する。一部の実施形態では、等張化剤は、約6%w/vで存在する。一部の実施形態では、等張化剤は、約10%w/vで存在する。
【0198】
上述の濃度の中間範囲、例えば約3.2%~約4.3%w/vまたは約32~約43mg/mlも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。等張化剤は、組成物の等張性を維持するのに十分な量で存在すべきである。
【0199】
抗酸化剤
【0200】
種々の態様では、組成物は、部分的には組成物を保存するように(例えば、酸化を防止することにより)抗酸化剤を含む。抗酸化剤としては、これらに限定されないが、GLA(ガンマ-リノレン酸)-リポ酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)-リポ酸、GLA-トコフェロール、ジ-GLA-3,3’-チオジプロピオン酸、および一般的には、例えば、GLA、DGLA(ジホモ-ガンマ-リノレン酸)、AA(アラキドン酸)、SA(サリチル酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、またはDHA(ドコサヘキサエン酸)のいずれかを、化学的に連結することができる任意の天然または合成抗酸化剤と組み合わせたものを挙げることができる。これらの抗酸化剤としては、フェノール抗酸化剤(例えば、オイゲノール、カルノシン酸、コーヒー酸、BHT(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸、トコフェロール、トコトリエノール、およびフラボノイド(flavenoid)抗酸化剤(ミリセチンおよびフィセチンなど))、ポリエン(例えば、レチノイン酸)、不飽和ステロール(例えば、Δ-アベナステロール(avenosterol))、有機硫黄化合物(例えば、アリシン)、テルペン(例えば、ゲラニオール、アビエチン酸)、ならびにアミノ酸抗酸化剤(例えば、メチオニン、システイン、カルノシン)が挙げられる。一部の実施形態では、抗酸化剤は、アスコルビン酸である。抗酸化剤は、メチオニン、またはその類似体、例えば、セレノメチオニン、ヒドロキシメチルブタン酸、エチオニン、もしくはトリフルオロメチオニンである。
【0201】
一部の実施形態では、抗酸化剤(例えば、L-メチオニン、例えばCHSCHCHCH(NH)COH、FW=149.21などのメチオニン)は、約0.1mMから約50mMまで、約0.1mMから約40mMまで、約0.1mMから約30mMまで、約0.1mMから約20mMまで、または約5mMから約15mMまで存在する。種々の実施形態では、抗酸化剤は、約5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、または15mMで存在してもよい。例えば、抗酸化剤は、約10mMで存在する。一部の実施形態では、抗酸化剤は、約15mMで存在する。上述の濃度の中間範囲、例えば約12mM~約17mMも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、部分的には酸化を防止することにより組成物を保存するのに十分な量で存在すべきである。
【0202】
安定化剤
【0203】
種々の態様では、組成物は、界面活性剤としても知られている安定化剤を含む。安定化剤は、組成物中の生物学分子および/または一般医薬賦形剤と相互作用し、安定させる特定の化学的化合物である。ある特定の実施形態では、安定化剤は、より低い温度での保管と併用して使用してもよい。安定化剤は、一般的に、そうでなければタンパク質凝集をもたらす場合がある空気/溶液界面で誘導されるストレスおよび溶液/表面で誘導されるストレスからタンパク質を保護する。安定化剤としては、これらに限定されないが、グリセリン、ポリソルベート80などのポリソルベート、ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、フタル酸、およびそれらの組合せを挙げることができる。一部の実施形態では、安定化剤は、ポリソルベート80である。
【0204】
一部の実施形態では、安定化剤(例えば、ポリソルベート80)濃度は、約0.001%w/v~約0.01%w/v、約0.001%w/v~約0.009%w/v、または約0.003%w/v~約0.007%w/vである。例えば、安定化剤濃度は、約0.005%w/vである。一部の実施形態では、安定化剤は、約0.01%w/vで存在する。上述の濃度の中間範囲、例えば約0.002%w/v~約0.006%w/vも、本発明の一部であることが意図されている。例えば、上述の値のいずれかの組合せを上限および/または下限として使用した値の範囲が含まれることが意図されている。
【0205】
一部の実施形態では、組成物は、保存剤を実質的に含んでいない。一部の実施形態では、保存剤を、必要に応じて添加してもよい。例えば、組成物が凍結乾燥される場合、例えば、凍結保護剤または凍結乾燥保護剤が含まれていてもよい。
5.4.ヌクレオリン発現がんおよび非悪性細胞
【0206】
一部の実施形態では、本開示により産生された単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、がん性および非がん性細胞の両方を含む様々な細胞の治療に使用される。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)は、ポリクローナル抗体である。用語「がん」は、本明細書で既に説明されている。単離された抗ヌクレオリン抗体(例えば、ヒトおよび/またはモノクローナル)で阻害または治療することができるがんの型の例としては、これらに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病;骨髄性白血病;急性骨髄性白血病;慢性骨髄性白血病;副腎皮質癌副腎皮質癌;AIDS関連がん;AIDS関連リンパ腫;肛門がん;小児小脳星細胞腫;小児大脳星細胞腫;基底細胞癌;肝外胆管がん;膀胱がん;膀胱がん;骨がん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫;脳腫瘍;脳腫瘍、脳幹神経膠腫;脳腫瘍、小脳星細胞腫;脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫;脳腫瘍、脳室上衣細胞腫;脳腫瘍、髄芽細胞腫;脳腫瘍、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視路および視床下部神経膠腫;乳がん、女性;乳がん、男性;気管支腺腫/カルチノイド;バーキットリンパ腫;カルチノイド腫瘍;中枢神経系リンパ腫;小脳星細胞腫;大脳星細胞腫/悪性神経膠腫;子宮頸がん;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性障害;結腸がん;結腸直腸がん;皮膚T細胞リンパ腫;B細胞リンパ腫子宮内膜がん;脳室上衣細胞腫;食道がん;食道がん;ユーイング腫瘍ファミリー;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管がん;眼がん、眼球内黒色腫;眼がん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃(gastric)(胃(stomach))がん;消化管カルチノイド腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍;神経膠腫;小児脳幹神経膠腫;神経膠腫、小児大脳星細胞腫;小児視路および視床下部神経膠腫;毛様細胞白血病;頭頸部がん;成人(原発性)肝細胞(肝臓)がん;小児(原発性)肝細胞(肝臓)がん;ホジキンリンパ腫;妊娠中のホジキンリンパ腫;下咽頭がん;視床下部および視路神経膠腫;眼球内黒色腫;島細胞癌(内分泌膵);カポジ肉腫;腎臓(腎細胞)がん;腎臓がん;喉頭がん;急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病;慢性リンパ球性白血病;白血病;慢性骨髄性;唇および口腔がん;成人(原発性)肝臓がん;小児(原発性)肝臓がん;非小細胞肺がん;小細胞肺がん;AIDS関連リンパ腫;バーキットリンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫およびセザリー症候群を参照;ホジキンリンパ腫;妊娠中のホジキンリンパ腫;非ホジキンリンパ腫;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽細胞腫;黒色腫;眼球内(眼)黒色腫;メルケル細胞癌;成人悪性中皮腫;中皮腫;原発不明の転移性扁平頸部がん;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍菌状息肉腫;骨髄異形成症候群;骨髄異形成/脊髄増殖性疾患;慢性骨髄性白血病;成人急性骨髄性白血病;小児急性骨髄性白血病;多発性骨髄腫;慢性骨髄増殖性障害;鼻腔および副鼻腔がん;鼻咽腔がん;神経芽細胞腫;非ホジキンリンパ腫;妊娠中の非ホジキンリンパ腫;口腔がん;唇および口腔がん;口腔咽頭がん;骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫;卵巣がん;卵巣上皮がん;卵巣胚細胞腫瘍;低悪性度卵巣腫瘍;膵臓がん;膵臓がん;膵島細胞がん;副甲状腺がん;陰茎がん;褐色細胞腫;松果体芽細胞腫およびテント上未分化神経外胚葉性腫瘍;下垂体部腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠および乳がん;妊娠およびホジキンリンパ腫;妊娠および非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺がん;直腸がん;腎細胞(腎臓)がん;腎細胞(腎臓)がん;腎盂および尿管移行上皮がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;唾液腺がん;唾液腺がん;ユーイング腫瘍ファミリー肉腫;カポジ肉腫;軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;子宮肉腫;セザリー症候群;皮膚がん(非黒色腫);皮膚がん;皮膚がん(黒色腫);メルケル細胞皮膚癌;小細胞肺がん;小腸がん;軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;扁平上皮癌、皮膚がん(非黒色腫)を参照;原発不明の転移性扁平頸部がん;胃(stomach)(胃(gastric))がん;胃(stomach)(胃(gastric))がん;テント上未分化神経外胚葉性腫瘍;皮膚T細胞リンパ腫、菌状息肉腫およびセザリー症候群を参照;精巣がん;胸腺腫;胸腺腫および胸腺癌;甲状腺がん;甲状腺がん;腎盂および尿管の移行上皮がん;妊娠性絨毛性腫瘍;尿管および腎盂移行上皮がん;尿道がん;子宮内膜子宮がん;子宮肉腫;膣がん;視路および視床下部神経膠腫;外陰がん;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。
【0207】
ヌクレオリンを発現することが知られているがん細胞としては、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、乳がん、前立腺がん、結腸がん、膵臓がん、腎細胞癌、卵巣がん、白血病(例えば、AML、CLL)、黒色腫、膠芽腫、神経芽細胞腫、肉腫、および胃がんが挙げられる。加えて、ヌクレオリンを発現する非がん細胞としては、樹状細胞、末梢血単核球、マクロファージ、およびグリア細胞などの免疫細胞、ならびに血管平滑筋細胞および内皮細胞が挙げられる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、過免疫および過血管新生疾患を有する対象の治療に使用され、後者は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0191244号に記載されている。
6.ある特定の抗体特性
6.1.突然変異頻度
【0208】
本明細書で開示されている抗体は、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%、またはそれよりも高い、生殖系列配列からの突然変異頻度を有する重鎖配列を含んでいてもよい。抗体は、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%、またはそれよりも高い、生殖系列配列からの突然変異頻度を有する軽鎖配列であるCDR3領域を含んでいてもよい。抗体は、少なくとも約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、もしくは20%、またはそれよりも高い、生殖系列配列からの突然変異頻度を有する重鎖および軽鎖配列を含んでいてもよい。抗体は、Vファミリー4~59のいずれか1つからなる群から選択されるVファミリーに由来するV領域を含んでいてもよい。
6.2.重鎖および軽鎖の長さ
【0209】
本明細書で開示されている抗体は、長さが少なくとも約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個アミノ酸の長さであるCDR3領域を含んでいてもよい。抗体は、長さが少なくとも約18個アミノ酸であるCDR3領域を含んでいてもよい。
【0210】
本明細書で開示されている抗体は、軽鎖の末端に欠失を含んでいてもよい。抗体は、軽鎖の末端に3つまたはそれよりも多くのアミノ酸の欠失を含んでいてもよい。抗体は、軽鎖の末端に7つまたはそれ未満のアミノ酸の欠失を含んでいてもよい。抗体は、軽鎖の末端に3、4、5、6、または7つのアミノ酸の欠失を含んでいてもよい。
【0211】
本明細書で開示されている抗体は、軽鎖に挿入を含んでいてもよい。抗体は、軽鎖に1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10個、またはそれよりも多くのアミノ酸の挿入を含んでいてもよい。抗体は、軽鎖に3つのアミノ酸の挿入を含んでいてもよい。
6.3.親和性
【0212】
親和性は、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との非共有結合相互作用の総合的な強さである。別様の指示がない限り、「結合親和性」は、本明細書で使用される場合、結合対(例えば、抗体および抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を指す。分子XとそのパートナーYとの親和性は、一般的に、解離定数(k)により表わすことができる。親和性は、本明細書に記載されているものを含む、当技術分野で公知の一般的方法により測定することができる。結合親和性を測定するための特定の説明的で例示的な実施形態は、下記に記載されている。
【0213】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている抗体は、ヒトヌクレオリンに対して約1μM、100nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.5nM、0.1nM、0.05nM、0.01nM、もしくは0.001nM、またはそれ未満の解離定数(K)を有する(例えば、10-8Mまたはそれ未満、例えば、10-8Mから10-13Mまで、例えば、10-9Mから10-13Mまで)。親和性成熟抗体は、1つまたは複数の超可変領域(HVR)に1つまたは複数の変更を有する抗体であり、そのような変更は、そのような変更を有していない親抗体と比較して、抗体の抗原に対する親和性の向上をもたらす。これらの抗体は、約5×10-9M、2×10-9M、1×10-9M、5×10-10M、2×10-9M、1×10-10M、5×10-11M、1×10-11M、5×10-12M、1×10-12M、またはそれ未満のKでヒトヌクレオリンと結合することができる。
【0214】
は、任意の好適なアッセイにより測定することができる。例えば、Kは、放射性標識抗原結合アッセイ(RIA)により測定することができる(例えば、Chenら、J. Mol. Biol.、293巻:865~881頁(1999年);Prestaら、Cancer Res.、57巻:4593~4599頁(1997年)を参照)。例えば、Kは、表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定することができる(例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000を使用して)。
6.4.システイン操作抗体変異体
【0215】
一部の実施形態では、システイン操作抗体、例えば、抗体の1つまたは複数の残基がシステイン残基で置換されている「thioMAb」を生成することが望ましい場合がある。一部の実施形態では、置換残基は、抗体の接近可能部位に生じる。反応性チオール基を、薬物部分またはリンカー-薬物部分などの他の部分にコンジュゲーションして、イムノコンジュゲートを生成するための部位に配置することができる。一部の実施形態では、以下の残基のいずれか1つまたは複数を、システインで置換してもよい:軽鎖のV205(カバット式付番);重鎖のA118(EU式付番);および重鎖Fc領域のS400(EU式付番)。システイン操作抗体は、記載のように生成することができる(例えば、米国特許第7,521,541号を参照)。
6.5.抗体誘導体
【0216】
一部の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当技術分野で公知であり、容易に利用可能であるさらなる非タンパク質性部分を含むようにさらに修飾することができる。抗体の誘導体化に好適な部分としては、これに限定されないが、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/マレイン無水物コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中で安定であるため、製造が有利であり得る。
【0217】
ポリマーは、任意の分子量であってもよく、および分岐していてもよく、または非分岐であってもよい。抗体に付着させるポリマーの数は様々であってよく、2つまたはそれよりも多くのポリマーを付着させる場合、それらは同じ分子であってもよく、または異なる分子であってもよい。
【0218】
一部の実施形態では、抗体と、放射線に曝すと選択的に加熱することができる非タンパク質性部分とのコンジュゲートが提供される。一部の実施形態では、非タンパク質性部分は、カーボンナノチューブである(例えば、Kamら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、102巻:11600~11605頁(2005年)を参照)。放射線は、任意の波長であってもよく、これらに限定されないが、正常な細胞を傷つけないが、抗体-非タンパク質性部分の近位にある細胞を死滅させる温度に非タンパク質性部分を加熱する波長を含む。
7.組換え法および組成物
【0219】
抗体は、組換え法および組成物を使用して産生され得る(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)。一部の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオリン抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVを含むアミノ酸配列および/またはVを含むアミノ酸配列をコードしていてもよい。さらなる実施形態では、そのような核酸を含む1つまたは複数のベクターが提供される。ベクターは、それが連結されている別の核酸を増幅させることが可能な核酸分子である。この用語は、自己複製性核酸構造としてのベクター、ならびに導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターを含む。ある特定のベクターは、作動可能に連結した核酸の発現を指図することが可能である。
【0220】
一部の実施形態では、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。宿主細胞は、外因性核酸が導入されている細胞であり、そのような細胞の子孫が含まれる。宿主細胞は、「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、一次形質転換細胞、および継代の回数に関わらずそれらから派生した子孫を含む。子孫は、親細胞と核酸の内容が完全には同一でなくてもよく、突然変異を含んでいる場合がある。本明細書には、元の形質転換細胞でスクリーニングまたは選択された同じ機能または生物学的活性を有する突然変異子孫が含まれる。1つのそのような実施形態では、宿主細胞は、抗体のVを含むアミノ酸配列および抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター;または抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクターおよび抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それで形質転換されている)。一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ球細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一部の実施形態では、ヌクレオリン抗体を作製する方法であって、上記で提供されている抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体を発現させ、任意選択で抗体を宿主細胞または宿主細胞培養培地から回収するのに好適な条件下で培養することを含む方法が提供される。
【0221】
ヌクレオリン抗体の組換え産生の場合、例えば上記に記載の抗体をコードする単離された核酸を、さらにクローニングし、および/または宿主細胞で発現させるために、1つまたは複数のベクターに挿入する。そのような核酸は、従来の手順を使用して、容易に単離および配列決定することができる。
【0222】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞としては、本明細書に記載の原核細胞または真核細胞が挙げられる。例えば、抗体は、例えばグリコシル化およびFcエフェクター機能が必要でない場合、細菌中で産生してもよい(例えば、米国特許第5,648,237号、第5,789,199号、および第5,840,523号;Charlton、Methods in Molecular Biology、248巻、245~254頁(2003年)を参照)。発現させた後、抗体は、可溶性画分の細菌細胞ペーストから単離することができ、さらに精製することができる。
【0223】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物が、抗体をコードするベクターの好適なクローニングまたは発現宿主である(例えば、Gerngross、Nat. Biotech.、22巻:1409~1414頁(2004年)およびLiら、Nat. Biotech.、24巻:210~215頁(2006年)を参照)。また、グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、無脊椎動物および脊椎動物を含む多細胞生物に由来する。無脊椎動物の例としては、植物および昆虫細胞が挙げられる(例えば、米国特許第5,959,177号、第6,040,498号、第6,420,548号、第7,125,978号、および第6,417,429号を参照)。脊椎動物細胞の例としては、哺乳動物細胞系、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS-7);ヒト胚腎臓系(例えば、Grahamら、J. Gen Virol.、36巻:59頁(1977年)に記載の293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT060562);TR1細胞;MRC5細胞;FS4細胞;DHFRCHO細胞を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;およびY0、NS0、およびSp2/0などの骨髄腫細胞系(例えば、YazakiおよびWu、Methods in Molecular Biology、248巻、255~268頁(2003年)を参照)が挙げられる。
【実施例
【0224】
8.実施例
(実施例1)
ヒトB細胞からの抗体CP1(CP1)のサブクローニングおよび精製
各親B細胞系由来の細胞を解凍し、増殖させた。細胞を、10%FBSを補充した通常の成長培地(RPMI)内で培養した。培養物を、96ウェルプレートに3つの異なる密度(ウェル当たり2個の細胞、1個の細胞、および0.5個の細胞)で播種することによって、サブクローニングした。クローンの成長を、少なくとも2週間の時間枠にわたりモニタリングした。抗原特異的ELISA(「ヌクレオリンELISA」)を使用して、抗ヌクレオリン抗体を検出し、単細胞クローンをスクリーニングした。陽性のウェルを、抗ヒトIgG ELISAを使用して対比スクリーニングして、陽性のウェルにおける抗体力価を推定した。親B細胞系当たり最大10個の陽性のサブクローンを増殖させ、それぞれ少なくとも20個のバイアルのバンク内で冷凍保存した。細胞を、5%DMSOを含有するRPMI内で凍結させた。TRIZOL抽出物を、バンクに入れる時点で、上記の凍結された各サブクローンの1×10個の細胞から調製した。RNAおよびオリゴ-dTをプライムしたcDNAを、各試料から調製した。各TRIZOL抽出物のcDNAをポリアデニル化し、3’特異的な重鎖および軽鎖の定常領域プライマーならびに5’プライマーとしてのオリゴ-dTを使用するPCR反応において、鋳型として使用し、それによって、発現した抗体の可変領域を増幅させた。500bpのインサートをゲル単離し、pBluescript内にライゲーションした。インサートセットのそれぞれについて、6つのVインサートおよび6つのVインサートを配列決定し、アラインした。
【0225】
凍結した培養物を解凍し、増殖させた。B細胞上清調製物:細胞を、28×T225フラスコ(A)(それぞれ75ml、全量2100ml)および10×T75フラスコ(B)(それぞれ40ml、全量400ml)内で、全量2500mlの75:25のAIM培地:RPMI(1%抗生物質)に、約[0.8×10細胞/ml]で播種した。細胞が総容積約4,400ml(36×T225フラスコ)に達すると、上清CP1を、Centricon遠心分離で採取した。細胞数:平均細胞数=8.8×10細胞/ml、平均細胞生存能力=70.5%、遠心分離濾過:Centricon Plus-70遠心分離フィルター装置、100K。IgGのメロンゲル精製:メロンゲルIgG精製200ml樹脂(または総容積1L)、Thermo Scientific(カタログ番号PI-45214)。全部で1Lのゲル溶液(20%ビーズスラリーを含有する、200ml)。400mlの使用したゲル溶液+600mlの未使用のゲル溶液の組合せ、全量約1L。
(実施例2)
組換え細胞(CP1(RC))からの抗体CP1の産生
【0226】
0.1%プルロニックF-68、4mMのGlutaMAXを補充したF17の培養培地内の、最初の密度が2.1×10細胞/mLのCHO3E7(チャイニーズハムスター卵巣)細胞に、CP1ガンマ重鎖/カッパ軽鎖またはCP1ガンマ重鎖/ラムダ軽鎖のいずれかをトランスフェクトした。コードするcDNAを、哺乳動物細胞発現のためのコドン最適化を用いて合成的に産生し、標準的な方法によって、示した制限部位で、発現ベクターpTT5内にクローニングした。125mLの振とうフラスコ内のCHO3E7細胞の30mLの培養物2つに、PolyPlus直鎖状Q-PEIを使用して、1:4(w/v)のDNA:PEI比で、培養物1L当たり1mgのプラスミドDNAをトランスフェクトした。培養物に、トランスフェクションの24時間後に、4.5mLのCD Efficient Feed B(Life Technologies)を補充した。培養物パラメータを、ViCell XRを使用して、密度および生存能力についてモニタリングした。
【0227】
培養上清を、トランスフェクションの10日(第2のトランスフェクションでは6日)後に、1000×gで5分の遠心分離を介して採取した。馴化培養上清(CCS)を、9100×gで30分の遠心分離によって澄明化させ、0.2μmのPESフィルター系を用いてフィルター滅菌し、4℃で保存した。
【0228】
タンパク質発現を、還元および非還元SDS-PAGEを介して分析した。図11を参照されたい。発現の検証はSDS-PAGEで行った。40マイクロリットルの馴化培養上清(CCS)試料を、4~20%Tris-グリシンTGXゲル(Bio-Rad)上での還元(左側のパネル)および非還元(右側のパネル)SDS-PAGEを介して評価し、Instant Blueゲル染色で染色した。
【0229】
CP1(RC)は、ヒト組換えヌクレオリン(Kd=2.6±0.7nM、SEM.)およびヒト腫瘍細胞の原形質膜ヌクレオリンに堅く結合した。37℃でCP1(RC)と共にインキュベートしたPanc-1およびDU-145腫瘍細胞の共焦点顕微鏡法によって、これらの細胞の原形質膜における抗体の点状の局在化、および細胞質内への抗体の内在化が明らかになった。原形質膜内の焦点内での抗体の局在化は、抗体が、原形質膜内の脂質ラフト内に組み込まれたヌクレオリンに結合していたことを示唆した。
【0230】
プラスミドの単離および6Lの培養スケールでのCHO3E7細胞内での一過性発現。目的は、CP1ガンマ重鎖をコードする、エンドトキシンを有さない発現プラスミドDNAを単離することであった。6LのCHO3E7細胞に、直鎖状PEIを使用して、ガンマ重鎖およびカッパ軽鎖のプラスミドDNAを一時的にトランスフェクトした。培養物パラメータをモニタリングし、生存能力が約85~90%(目標は90%)に低下したら、馴化培養上清(CCS)を採取した。トランスフェクションの3~4日後に生存能力標的にヒットすることが予想された。CCS内のタンパク質発現を、還元および非還元SDS-PAGEによって分析した。澄明化したCCSを滅菌濾過し、4℃で保存した。
(実施例3)
ELISAアッセイによる組換えヌクレオリンへの結合
【0231】
試薬:非特異的IgG対照として、Santa Cruzによって産生されたヤギ抗ヒトIgG Ab-HRP抗体。nanodrop(Yoko Otake)およびフェムト-ELISA-HRPキットによる組換えヌクレオリンの定量。
【0232】
調製物:100μlの結合緩衝液(対照)または組換えヌクレオリン(200、400、または800ngを含有する)を、Immuno96ウェルプレート内の指定されたウェルに添加した。プレートを1時間、100rpmのオービタルシェーカーで、室温でインキュベートした。1時間のインキュベーションの後、プレートを慎重に反転させて空にし、残りの液体を優しく叩いて出した。200μlの希釈した1×NAPブロッカーを各ウェルに添加し、プレートを15分、100rpmのオービタルシェーカーでインキュベートする。インキュベーションの後、プレートを慎重に反転させて空にし、残りの液体を優しく叩いて出す。
【0233】
一次抗体のインキュベーション:ブロッキング緩衝液中の100μlの連続希釈した上清溶液を、1時間、室温で、100rpmのオービタルシェーカーでインキュベートした。インキュベーションの後、プレートを慎重に反転させて空にし、残りの液体を優しく叩いて出した。抗体を洗い出すために、各ウェルに1×フェムト-TBST(200μl)を満たし、30秒待ち、次いで、プレートを反転させて叩き、各ウェルから残りの液体を出して空にした。
【0234】
二次抗体のインキュベーション:100μlの1→500倍希釈した2°の抗ヒトIgG Ab-HRPストックを、室温で1時間、100rpmのオービタルシェーカーでインキュベートした。抗体を洗い出すために、各ウェルに1×フェムト-TBST(200μl)を満たし、30秒待ち、次いで、プレートを反転させて叩き、各ウェルから残りの液体を出して空にした。
【0235】
読み取りのための準備:100μlのフェムト-ELISA-HRP基質を各ウェルに添加した。可溶性の青色が発色し、これをブランクとしての基質を使用して620nmで読み取る。モニタリングを10分毎に1時間行った。
【0236】
結果:N末端が欠失し(Δ1~283)、6×-Hisを有する、トランケートされたヒト組換えヌクレオリン(配列番号94)への抗体CP1の結合のELISA分析によって、2.6±0.7nM S.E.M.の平衡解離定数、N=4を得た。図4を参照されたい。
(実施例4)
活性/効力試験
【0237】
96時間目の細胞計数/TBEによる、MCF-7およびMCF-10A細胞上の、メロンゲル精製された抗体。抗体を、メロンゲル(CP expt 407)、IgG濃度[533.26μg/ml](CP expt 409)、約2.0ml、100mMのアルギニンを有する1×PBS緩衝液によって、スピンカラム精製した。MCF7細胞およびMCF10A細胞を、[1×10細胞/ml](またはウェル当たり2×10細胞/200μl)で播種した。MCF-7およびMCF-10A細胞を、96ウェルプレート内に[1×10細胞/ml]1×(またはウェル当たり2×10細胞/200μl)で設定した(MCF7細胞A~D、MCF10A細胞E~H)。[1×10細胞/ml]1×で25mlでは、2.5×10細胞を回収する。96ウェルのウェル当たり200μlの細胞溶液を播種し、各細胞系は以下に示す通りである。一晩インキュベートした。翌日、コンフルエンシーを確認した:MCF7細胞では約30%のコンフルエンシー、MCF10A細胞では約10%のコンフルエンシー。
【0238】
96時間の薬物治療を、以下のプロトコールを使用して行った。MCF7細胞の1/2プレートのために、20%ヒト血清(AB型)を有する5mlの培地を、適切な培地(1%抗生物質を有するRPMI)または1mlのヒト血清、およびMCF7細胞では4mlのRPMI培地またはMCF10A細胞ではHuMEC完全培地を使用して作製する。様々な濃度のCP1M4.2を、0、0.1、0.25、0.5、1、2、および4μg/mlのIgGで、3連で試験する。まず、CP1のストック溶液を、[4μg/ml]1×(または[8μg/ml]2×)(0.7ml)で、MCF7細胞ではRPMI培地-1%抗生物質内で、またはMCF10A細胞ではHuMEC完全培地内で作製する。IgG対照では、まず、CP1M4試料のストック溶液と同一濃度[53.26μg/ml]のストック溶液を、同一溶液内で、すなわち、100mMのアルギニンを有する1×PBS緩衝液内で作製する。次いで、CP1M4.2と正確に同一の連続希釈物を、各細胞系について調製する(ステップ4を参照されたい)。薬物治療を開始する。ピペッティングによって全ての溶液(200μl)を廃棄する。20%ヒト血清を有する100μlの培地を各ウェルに添加する(3回)。ヒト血清を有さない100μlの通常培地(例えば、RPMI/1%抗生物質)、IgG対照、または以下に示す上清を、作った試料内に添加する。インキュベーター内に戻す。96時間目(火曜日)に、細胞数を計数し、TBEアッセイを行って、抗体CP1および対照IgG抗体の効果を判定する。
【0239】
細胞傷害性:時間=96時間目。以下のプロトコールを使用して、細胞傷害性をアッセイした。96時間目に、顕微鏡下で簡単に細胞形態を確認する。試料群を同時に作業し(例えば、IgG対照)、上清を除去する。30μlのトリプシンを各ウェルに添加し、15分間インキュベートする。170μlのPBSを添加する(総容積200μl)。細胞溶液を0.5mlの試験管に移し、よくピペッティングして細胞を破壊する。別の0.5ml内に、PBS中の10μlの0.2%トリパンブルー(濾過されたもの)を添加する。2つの試料で作業し、20μlの細胞溶液内に、10μlの0.2%トリパンブルーを添加する。よく混合し、チャンバにロードし、次いで、1分間インキュベートし、その後、生存能力および生細胞数をセロメーターで計数する(例えば、試料当たり20μl)。
【0240】
結果を図7に示す。IgG対照と比較して、CP1はMCF7乳がん細胞に対する強力な死滅活性を有するが、正常乳房細胞に対してはわずかな毒性しか有さない。
アプタマーAS1411との比較
【0241】
MCF-7細胞を、96時間、以下に示す濃度の、アプタマーAS1411(A)または現在の特許請求の範囲と一致する抗ヌクレオリン抗体(B)と共に、インキュベートした。細胞の生存能力を、テトラゾリウム化合物[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウムの生存細胞による生物学的還元を伴う色素生成アッセイ(またはMTSアッセイ)(A)を使用して、またはトリパンブルー排除アッセイ(B)によって、測定した。結果は、6つの実験(A)または3つの実験(B)の平均±S.E.M.(平均の標準誤差)である。
【0242】
結果として、図13に示すように、MCF-7細胞の生存能力を50%まで低減させるために必要なAS1411の濃度(IC50)は、約7μMであり、一方、MCF-7細胞に対する特許請求される抗体のIC50値は、約0.8nMまたは0.0008μMと低かった。したがって、特許請求される抗体は、MCF-7細胞の死滅において、AS1411よりも約9000倍強力であった。
(実施例5)
ヌードマウスにおけるMV411ヒト白血病異種移植モデルに対する抗体の効果
【0243】
メスNCr nu/nuマウス(8~12週齢、n=40)の脇腹に、50%(v/v)マトリゲル内の1×10個のMV411腫瘍細胞を皮下注射した。腫瘍が100~150mmの平均サイズに達すると、ペアマッチを行って、マウスを各群10頭の2つの群に振り分けた。マウスを次いで、IgGアイソタイプ対照抗体(群1)またはCP1などの特許請求される抗体(群2)で治療した。各群は、10頭のメスCRL nnu/nuマウスを有しており、1、4、7、10、13、16日目に、0.1mlの注射容積で10mg/kgの投与量を静脈内投与された。動物を個別にモニタリングした。体重の測定を最初の1週間は毎日行い、その後は隔週で行った。腫瘍サイズのキャリパー測定を隔週で行った。研究のエンドポイントは、2000mmの腫瘍容積または76日間の、先に到達した方であった。エンドポイントに達したら、動物を安楽死させた。
【0244】
CP1は、平均体重が16%一時的に減るという有害事象のみで、良好な耐容性を示した。CBCは正常であった。全ての主要な器官の剖検の結果は正常であった。
【0245】
このMV4-11ヒト異種移植マウスモデルでは、CP1治療によって、マウスに対するいかなる重篤な毒性も誘発することなく、30%長期の生存マウスが得られた(0.22~0.29のハザード比)。これは、アイソタイプ対照抗体と比較して、器官または血液に対する著しい毒性を伴わない、CP1で治療されたヌードマウスの生存における統計的に有意な増大であった。単一の作用物質として、このモデルにおいて生存利益を示す他の生物学的製剤は公知ではない。図14は、群2において、30%のマウスが80日間生存したことを示す。さらに驚くべきことに、20%のマウスが約40日目までに完全な腫瘍退縮を示した(データは示していない)。それとは著しく対照的に、対照群(群1)の全てのマウスは、エンドポイント容積である2000mmまでの迅速な腫瘍の成長を示し、約40日目に安楽死させなくてはならなかった。
【0246】
図15Aおよび図15Bは、腫瘍容積の変化の観点から群1および群2を比較する別の手段である。驚くべきことに、10頭の治療マウス(群2)のうち3頭は、少なくとも76日間生存し、さらに驚くべきことに、生存したマウスのうち2頭は、約40日目までに完全な腫瘍退縮を示した。それとは著しく対照的に、対照群(群1)の10頭のマウスの全ては、迅速な腫瘍の成長を示し、約40日目に安楽死させなくてはならなかった。図15Aは、群1の全てのマウスが、IgG対照抗体での治療の後に迅速な腫瘍の成長を示したことを示す。逆に、図15Bは、群2のマウス#1および#3の腫瘍容積が、特許請求される抗体での治療の後、約40日目までに、検出不可能なレベルまで低下したことを示す。マウス#10もまた生存し、その腫瘍容積は、約60日目から全体的に一定となった。
(実施例6)
CDRを予測する方法
【0247】
フレームワークおよび相補性決定領域(CDR)に基づくアミノ酸の番号付けを、以下の1つによって規定する。
【0248】
Rosie Rosetta。参照:Lyskov S.ら、「Serverification of Molecular Modeling Applications: The Rosetta Online Server That Includes Everyone (ROSIE)」. PLoS One. 2013年5月22日;8巻(5号):e63906頁、doi: 10.1371/journal.pone.0063906、2013年印刷。RosettaAntibody3プログラムに対するROSIEアプリケーションインターフェスを使用して、抗体CP1の超可変領域の3D構造をもモデリングし、6つのCDRを同定した。第1の段階では、以下に記載するChothiaの定義および最低エネルギー構造に基づく、正準的な鋳型の選択および組み立てを利用する。これらを、Rosettaプロトコールを使用して組み立て、粗構造を得る。第2の段階では、CDR-H3をde novoで再モデリングする。パラトープ側鎖およびループ骨格を、以下に記載するParatomeの方法に基づいて同時に精密化した。CDR-H3は、10未満のアミノ酸を含有しており、このことは、平均平方根偏差がおよそ1.5オングストロームであり、このモデルが非常に正確であることを示す。
【0249】
Paratome.参照:Kunik V.ら、(2012年)、Paratome: An online tool for systematic identification of antigen binding regions in antibodies based on sequence or structure. Nucleic Acids Res. 2012年7月、40巻(ウェブサーバ号):W521~4頁、doi: 10.1093/nar/gks480、Epub 2012年6月6日。Paratomeのウェブサーバ(http://www.ofranlab.org/paratome/)を使用して、抗体CP1の超可変領域内の6つの抗体結合領域(ABR)を同定した。ABRはCDRに類似しているが、CDRの傍にアミノ酸側鎖も含有し、このことは、抗原への抗体の結合にも寄与する。抗体CP1の一次構造から、Paratomeのウェブサーバは、全ての抗体抗原複合体の非冗長なセットの複数構造アラインメント内の構造的コンセンサス領域と比較することによって、抗体のABRを同定することができた。
【0250】
P.I.G.S.(免疫グロブリン構造の予測)番号付け系。参照:Marcatili P.ら、PIGS: automatic prediction of antibody structures. Bioinformatics、2008年、24巻:1953頁。
【0251】
Chothiaの定義。参照:Chothia C.ら、Conformations of immunoglobulin hypervariable regions. Nature、1989年、342巻:887頁。Chothiaの定義は、抗体の超可変領域のアミノ酸残基、ならびに超可変領域内の6つの相補的領域(CDR)のそれぞれの開始点および終点の番号付けのためのスキームである。このスキームは、多くの抗体の正準的な構造の分析に基づく。Chothiaの定義を使用して、本発明者らは、抗体CP1の一時構造と比較することによって、6つのCDRの開始点および終点のアミノ酸の位置、ならびにCDR内の残りのアミノ酸を同定することができた。
【0252】
Kabat。参照:Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1991年)。
【0253】
イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのDr.Andrew C.R.Martin’s Bioinformatics Groupによって公開された、または以下の、一組のルールに従って、CDRを同定した。
【0254】
CDR-L1(L24~L34)
開始 およそ残基24
前の残基 常にCys
後ろの残基 常にTrp。典型的にはTrp-Tyr-Glnであるが、Trp-Leu-Gln、Trp-Phe-Gln、Trp-Tyr-Leuでもある
長さ 10から17残基
【0255】
CDR-L2(L50~L56)
開始 常に、L1の終点の16残基後ろ
前の残基 一般的にはIle-Tyrであるが、Val-Tyr、Ile-Lys、Ile-Pheでもある
長さ 常に7残基(この領域が欠失しているNEW(7FAB)を除く)
【0256】
CDR-L3(L89~L97)
開始 常に、L2の終点の33残基後ろ(CDR-L2の終点が欠失しているNEW(7FAB)を除く)
前の残基 常にCys
後ろの残基 常にPhe-Gly-XXX-Gly
長さ 7から11残基
【0257】
CDR-H1(H31~H35B)
開始 およそ残基31
前の残基 常にCys-XXX-XXX-XXX
後ろの残基 常にTrp。典型的にはTrp-Valであるが、Trp-Ile、Trp-Alaでもある。
長さ 10から12残基[AbMの定義]、Chothiaの定義は最後の4残基を除く
【0258】
CDR-H2(H50~H65)
開始 常に、CDR-H1の終点の15残基後ろ
前の残基 典型的にはLeu-Glu-Trp-Ile-Gly(配列番号95)であるが、いくつかの変型がある
後ろの残基 Lys/Arg-Leu/Ile/Val/Phe/Thr/Ala-Thr/Ser/Ile/Ala
長さ Kabatの定義では16から19残基、AbM(および最近のChothia)の定義では7残基手前で終わる
【0259】
CDR-H3(H95~H102)
開始 常に、CDR-H2の終点の33残基後ろ(常にCysの2つ後ろ)
前の残基 常にCys-XXX-XXX(典型的にはCys-Ala-Arg)
後ろの残基 常にTrp-Gly-XXX-Gly
長さ 3から25残基
【0260】
IMGT(ImMunoGeneTics)。IMGTの以下のルールに従って、CDRを同定する。参照:Lefranc, M.-P.、The Immunologist、第7巻、132~136頁(1999年))。
【表3】
(実施例7)
ヌクレオリンへの抗ヌクレオリン抗体の結合をコンピュータモデリングする方法
【0261】
ClusPro 2.0タンパク質間ドッキングソフトウェア(http://cluspro.bu.eduで入手可能である)を利用して、Rosetta ROSIEで予測した抗体CP1(RC)の構造と、ヒトヌクレオリンのRNA結合ドメイン(RBD)1および2の溶液構造との間の相互作用を予測した。「2KRR」としても公知である、ヒトヌクレオリンRBD1および2の溶液構造は、Research Collaboratory for Structural Bioinformatics Protein Data Bank(RCSB PDB)を介して、公的に利用可能である。
【0262】
ClusPro 2.0におけるドッキングを開始するために、Rosetta ROSIEで予測した抗体の構造を含む.pdbファイルを「Receptor」として割り当て、2KRR構造を含む.pdbファイルを「Ligand」として割り当てた。「Advanced Options」の下で、「Use Antibody Mode」を選択した。Antibody Modeでは、ClusPro 2.0は、抗体および抗原の対のドッキングのために非対称ポテンシャルを使用する。この非対称ポテンシャルは、抗体-抗原相互作用が酵素-基質相互作用におけるほどには高度な表面相補性を示さないという発見の後に得られた。むしろ、抗体-抗原相互作用は、ほとんどが平らの、あまり疎水性でない界面を示す。最後に、抗体はその相補性決定領域(CDR)を介してその抗原と相互作用するため、「Automatically Mask non-CDR Regions」に対するオプションを選択した。
【0263】
ドッキングを実行するために、ClusPro 2.0は、タンパク質間ドッキングプログラムPIPER、すなわち、構造に基づくペアワイズポテンシャルをそのエネルギー関数の1成分として使用するFFT(高速フーリエ変換)に基づくドッキングプログラムを利用する。Antibody Modeでは、非対称ポテンシャルを使用する。抗体は三次元グリッド上の適切な位置に保たれるが、リガンドは5°ごとに1.0Åずつ回転され、その結果、全部で70,000回転となる。各回転につき、リガンドは、グリッド上の受容体に対してx、y、z方向で読み取られる。PIPERでの1000の構造/読み取りの組合せの最低のスコアリングを、次いで、ClusPro 2.0にエクスポートし、ここでこれらを、9オングストロームのC-アルファrmsd半径内でクラスター化する。これは、ClusPro 2.0が、リガンドの位置を、9オングストローム内のほとんどの「隣接物」と共に見出し、このリガンドがクラスター中心となり、その隣接物がそのクラスターのメンバーとなることを意味する。これらを次いで、そのセットおよびClusPro 2.0から除去し、次いで、第2のクラスター中心を探したりする。ドッキングの予測は、クラスターサイズによってランク付けされ得る。最も多くのクラスターメンバーを有するものが、より少ないメンバーを有するものよりも良好にスコアリングされた。最も多くのクラスターメンバーを有するモデルを、作業モデルとして選択した。
【0264】
CP1およびCP1(RC)は細胞表面ヌクレオリンに結合し、そして複合体は、細胞侵入のために、脂質ラフト介在性のエンドサイトーシスを利用すると考えられる。細胞質内において、CP1およびCP1(RC)は、ヒトヌクレオリンのRNA結合ドメイン1および2に結合する。
【0265】
図16は、ヒトヌクレオリンへの抗体CP1(RC)の結合の分子モデルの画像であり、図中、ヌクレオリンと接触しているCDRにラベル付けされている。ClusPro 2.0タンパク質間ドッキングソフトウェアを抗体モードで利用して、CP1(RC)の超可変領域と、Protein Data Bank(PDB)における様々なヌクレオリン断片の構造との間の相互作用を予測した。示されるモデルは、CP1(RC)(そのCDR予測は、Rosie Rosettaで行う)とヒトヌクレオリンのRNA結合ドメイン1および2(RBD1および2)(PDB 2krr、配列番号20の残基300~466のアミノ酸配列)との結合で得られた。抗体CDRの残基とヌクレオリン(NCL)の残基との間の最も近い距離の一部を表4に列挙する。
【表4】
(実施例8)
腫瘍細胞および正常細胞の生存能力に対するCP1の効果
【0266】
CP1は、in vitroでの腫瘍細胞の生存能力の強力な阻害剤である。図5および図6は、1μg/ml未満のIC50値が、広範な腫瘍細胞に対するCP1で得られたことを示す。例えば、ヒトMV4-11 AML細胞に対するCP1のIC50は、0.4μg/mlである。逆に、正常なヒトB細胞、骨髄細胞、乳房上皮細胞、および肺線維芽細胞に対するCP1のIC50濃度は、10μg/mlより大きかった。腫瘍細胞と異なり、これらの正常細胞は、原形質膜においても細胞質においても、検出可能なレベルのヌクレオリンを発現しなかった。対応する正常細胞とは対照的な、ヒト腫瘍細胞における多機能タンパク質であるヌクレオリンの広範かつ異常な発現は、抗体CP1の広範囲の抗がん活性および腫瘍選択性の両方を説明する。
【0267】
患者由来のCG-EMT前立腺がん細胞は、サウスカロライナ医科大学のHollings Cancer CenterのMichael B.Lilly医学博士から譲り受けた。細胞を、10%加熱不活化ウシ胎児血清および1%抗生物質を添加したRPMI培地において、細胞の成長が着実になるまで、32回継代培養した。CG-EMT細胞の死滅における精製CP1の効力を試験するために、細胞を、96ウェルプレート上に、ウェル当たり6000個の細胞の密度で播種した。翌日、細胞を、0から8μg/mlのCP1、または0から8μg/mlのアイソタイプ対照ヒトIgGのいずれかと、10%ヒトA/B型血清の存在下で3連でインキュベートした。96時間後、細胞の生存能力を、トリパンブルー排除を使用してアッセイし、細胞の計数をNEXCELOMセロメーターで行った。結果を図8に示す。
(実施例9)
腫瘍細胞の生存能力に対するCP1(RC)の効果
例示的なIC50値の決定
【0268】
ヒト腫瘍細胞系に対するCP1(RC)の抗増殖活性を、Promega社のCell Titer-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viabilityアッセイを用いて調べた。
【表5】
【0269】
ヒト腫瘍細胞を、総容積が90μL/ウェルの、澄明なポリスチレン製の96ウェルミクロ培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)96ウェル平底プレート、カタログ番号3997)内に播種した。5%CO2および95%空気を有する37℃の加湿されたインキュベーター内での24時間のインキュベーション後、成長培地内の10μLの10倍連続希釈した試験作用物質を各ウェルに添加し、それを2組行った(10ptの用量応答、最高濃度8μg/mL)。5%COおよび95%空気の雰囲気中の37℃の加湿されたインキュベーター内での72時間の培養後、平板培養された細胞およびCell Titer-Glo(登録商標)(Promega G7571)試薬を室温にして、30分平衡させた。エンドポイントでのコンフルエンシーを示すために、対照ウェルの写真を撮影した。100μLのCell Titer-Glo(登録商標)試薬を各ウェルに添加した。プレートを2分振とうし、次いで、平衡させるために10分放置した。培地/Cell Titer-Glo(登録商標)試薬を、白いポリスチレン製の96ウェルミクロ培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)96ウェル平底プレート、カタログ番号3917)に移し、その後、BioTek Synergy IIマイクロプレートリーダーで発光を読み取った。試験作用物質のIC50値を、化合物濃度(Log μM)対%Cをプロットすること、および4パラメータロジスティック方程式を非線形回帰によって、正規化されたデータに適合させることによって、Graph Pad Prism 7.0を使用して推定した。
【表6】
9. CP1(RC)、CP1、CP2、ヌクレオリンの配列
9.1. CP1(RC)
CP1(RC)ガンマ重鎖、ヌクレオチド配列 配列番号1
【化1-1】
【化1-2】
CP1(RC)ガンマ重鎖、アミノ酸配列 配列番号2
【化2】
R234、E376、M378は、CP1抗体の配列決定を他のヒト抗体における公知のアロタイプ配列と比較することによって同定された、アロタイプ残基である。
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基Q20からA137:可変領域、アミノ酸配列 配列番号3
【化3】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基A138からK467:定常領域、アミノ酸配列 配列番号4
【化4】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基M1からS19:天然シグナルペプチド(リーダー)、アミノ酸配列 配列番号5
【化5】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基A138からV235:ヒトCH1、アミノ酸配列 配列番号6
【化6】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基E236からP250:ヒトG1ヒンジ、アミノ酸配列 配列番号7
【化7】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基A251からG361:ヒトCH2、アミノ酸配列 配列番号8
【化8】
CP1(RC)ガンマ重鎖の残基Q362からK467:ヒトCH3、アミノ酸配列 配列番号9
【化9】
CP1(RC)カッパ軽鎖、ヌクレオチド配列 配列番号10
【化10】
CP1(RC)カッパ軽鎖、アミノ酸配列 配列番号11
【化11】
A175およびV213は、CP1抗体の配列決定を他のヒト抗体における公知のアロタイプ配列と比較することによって同定された、アロタイプ残基である。
残基M1からC22は、天然シグナルペプチド(リーダー)である。
CP1(RC)カッパ軽鎖の残基D23からK129:可変領域、アミノ酸配列 配列番号12
【化12】
CP1(RC)カッパ軽鎖の残基R130からC236:定常領域、アミノ酸配列 配列番号13
【化13】
9.2. CP1
CP1重鎖、アミノ酸配列 配列番号14
【化14】
CP1重鎖の残基20~137:可変領域、アミノ酸配列 配列番号3
【化15】
CP1重鎖の残基138~467:定常領域、アミノ酸配列 配列番号15
【化16】
CP1軽鎖、アミノ酸配列 配列番号11
【化17】
CP1軽鎖の残基D23からK129:可変領域、アミノ酸配列 配列番号12
【化18】
CP1軽鎖の残基R130からC236:定常領域、アミノ酸配列 配列番号13
【化19】
9.3.抗体CP2
CP2重鎖可変領域、ヌクレオチド配列 配列番号16
【化20】
CP2重鎖可変領域、アミノ酸配列 配列番号17
【化21】
CP2軽鎖可変領域、ヌクレオチド配列 配列番号18
【化22-1】
【化22-2】
CP2軽鎖可変領域、アミノ酸配列 配列番号19
【化23】
9.4.ヌクレオリン
ヌクレオリン、アミノ酸配列 配列番号20
【化24】
ヌクレオリンの残基G300からE466、アミノ酸配列 配列番号21
【化25】
【表7-1】
【表7-2】
【表8-1】
【表8-2】
【0270】
本明細書において開示された、および特許請求される組成物および/または方法の全ては、本開示に照らして、過度の実験を行うことなく作製および実行することができる。当業者には、変形が、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書において記載される、組成物および/または方法に、かつ方法のステップにおいてまたはステップの順序において適用され得ることが明らかとなろう。さらに具体的には、化学的にかつ生理学的に関連するある特定の作用物質を、本明細書において記載される作用物質の代わりに用いることができ、それでも同一のまたは類似の結果が達成されることが明らかとなろう。当業者に明らかな全てのこのような類似の置換および修飾は、添付の特許請求の範囲によって規定される通りの本発明の趣旨、範囲、および概念の範囲内にあると見なされる。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号42のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、
アミノ酸配列YISと少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、
アミノ酸配列DMと少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
配列番号65のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、
配列番号54のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および
配列番号66のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目2)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目1に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目3)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号42を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
YISを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
DMを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号65を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号54を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号66を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目4)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号24~26からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、
YISおよび配列番号30~32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、
配列番号37~39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
配列番号46~48からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、
配列番号52~54からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および
配列番号58~61からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目5)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目4に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目6)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号30のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号58のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目7)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号25のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号31のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号38のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号47のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号53のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号59のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目8)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号26のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
YISのアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号39のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号48のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号60のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目9)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号24のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号32のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号37のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号46のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号52のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号61のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目10)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖可変領域(VH)、および配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(VL)を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目11)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目10に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目12)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号3のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号12のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片。
(項目13)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目14)
配列番号2のアミノ酸配列が、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされる、項目13に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目15)
配列番号11のアミノ酸配列が、配列番号10のヌクレオチド配列によりコードされる、項目13または14に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目16)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目13~15のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目17)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも60%の同一性を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目18)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目17に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目19)
配列番号2のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目20)
配列番号14のアミノ酸配列を有する重鎖、および配列番号11のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目21)
ヒトヌクレオリンと結合し、
アミノ酸配列DYFと少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、
配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、
アミノ酸配列ARまたは配列番号77と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、
アミノ酸配列NVSと少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および
配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目22)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目21に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目23)
ヒトヌクレオリンと結合し、
DYFを含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号74を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
ARまたは配列番号77を含むアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号84を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
NVSを含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号91を含むアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目24)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号69または配列番号70のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR1、
配列番号73または配列番号74のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR2、
アミノ酸配列AR、配列番号77、または配列番号78と少なくとも60%の配列同一性を有する重鎖CDR3、
配列番号83または配列番号84のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR1、
アミノ酸配列NVSまたは配列番号87と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR2、および
配列番号90または配列番号91のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目25)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目24に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目26)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号69のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号73のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号77のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号83のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
配列番号87のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号90のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目27)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号70のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号74のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
配列番号78のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号84のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
NVSのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号90のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目28)
ヒトヌクレオリンと結合し、
配列番号70のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、
配列番号74のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、
ARのアミノ酸配列を有する重鎖CDR3、
配列番号84のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、
NVSのアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2、および
配列番号91のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3
を含む、単離された抗体またはその断片。
(項目29)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するVH、および配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片。
(項目30)
配列番号17のアミノ酸配列が、配列番号16のヌクレオチド配列によりコードされる、項目29に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目31)
配列番号19のアミノ酸配列が、配列番号18のヌクレオチド配列によりコードされる、項目29または30に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目32)
前記少なくとも60%の配列同一性が、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、もしくは98%、または100%の配列同一性である、項目29~31のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目33)
ヒトヌクレオリンと結合し、配列番号17のアミノ酸配列を有するVH、配列番号19のアミノ酸配列を有するVLを含む、単離された抗体またはその断片。
(項目34)
前記項目のいずれかに記載の重鎖CDR、VH、またはそれらの断片および前記項目のいずれかに記載の軽鎖CDR、VL、またはそれらの断片の任意の組合せを含む、単離された抗体またはその断片。
(項目35)
配列番号21のアミノ酸配列と結合する、単離された抗ヌクレオリン抗体またはその断片。
(項目36)
配列番号20のアミノ酸配列の残基G300~E466内のエピトープと結合する、単離された抗ヌクレオリン抗体またはその断片。
(項目37)
前記エピトープが、E453、R457、D455、K348、K427、G426、K403、Y402、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択されるアミノ酸を含む、項目36に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目38)
E453、R457、またはそれらの組合せと結合する軽鎖CDR1を含む、項目36または37に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目39)
D455と結合する軽鎖CDR2を含む、項目36~38のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目40)
K348と結合する軽鎖CDR3を含む、項目36~39のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目41)
K427と結合する重鎖CDR1を含む、項目36~40のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目42)
K427、G426、またはそれらの組合せと結合する重鎖CDR2を含む、項目36~41のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目43)
K403、Y402、またはそれらの組合せと結合する重鎖CDR3を含む、項目36~42のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目44)
前記ヌクレオリンが、細胞表面ヌクレオリンである、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目45)
ヒトであるかまたはヒト化されている、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目46)
IgG抗体である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目47)
IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4抗体である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目48)
Fab断片、Fab’断片、F(ab’) 断片、Fv断片、ダイアボディ、直鎖抗体、単鎖抗体、または抗体断片から形成される多特異性抗体である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目49)
抗原結合領域を含む断片である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目50)
正常細胞または組織に無毒性である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目51)
腫瘍またはがん細胞に細胞傷害性である、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目52)
ある期間にわたって腫瘍またはがん細胞の集団と共にインキュベートすると、前記腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも10%を死滅させる、前記項目のいずれかに記載の単離された抗体またはその断片。
(項目53)
前記腫瘍またはがん細胞の集団の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、もしくは90%、または約100%を死滅させる、項目52に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目54)
前記インキュベーションが、ヒト血清の存在下で行われる、項目52または53に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目55)
前記期間が、約48~96時間である、項目52~54のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目56)
前記腫瘍またはがん細胞が、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がん細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む、項目51~55のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目57)
前記腫瘍またはがん細胞が、A549、A375、MCF-7、Hep3B、HCT-116、NCI-H358、786-0、DU-145、MDA-MB-231、MV4-11、U251、CG-EMT、MIA-PaCa2、およびPANC-1細胞からなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがん細胞を含む、項目51~56のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目58)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、乳がん細胞を含む、項目52~57のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目59)
前記乳がん細胞が、MCF-7またはMDA-MB-231細胞である、項目58に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目60)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、急性骨髄性白血病(AML)細胞を含む、項目52~59のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目61)
前記AML細胞が、MV4-11細胞である、項目60に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目62)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、前立腺がん細胞を含む、項目52~61のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目63)
前記前立腺がん細胞が、DU-145細胞である、項目62に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目64)
前記前立腺がん細胞が、CG-EMT細胞である、項目62に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目65)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、肺がん細胞を含む、項目52~64のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目66)
前記肺がん細胞が、A549またはNCI-H358細胞である、項目65に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目67)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、皮膚悪性黒色腫細胞を含む、項目52~66のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目68)
前記皮膚悪性黒色腫細胞が、A375細胞である、項目67に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目69)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、肝細胞癌細胞を含む、項目52~68のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目70)
前記肝細胞癌細胞が、Hep3B細胞である、項目69に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目71)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、結腸がん細胞を含む、項目52~70のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目72)
前記結腸がん細胞が、HCT-116細胞である、項目71に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目73)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、腎がん細胞を含む、項目52~72のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目74)
前記腎がん細胞が、786-0細胞である、項目73に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目75)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、脳腫瘍細胞を含む、項目52~74のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目76)
前記脳腫瘍細胞が、U251細胞である、項目75に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目77)
前記腫瘍またはがん細胞の集団が、膵臓がん細胞を含む、項目52~76のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目78)
前記膵臓がん細胞が、MIA-Paca2またはPANC-1細胞である、項目77に記載の単離された抗体またはその断片。
(項目79)
項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を産生する組換え細胞。
(項目80)
項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片をコードする単離された核酸。
(項目81)
項目80に記載の核酸を含むベクター。
(項目82)
項目80に記載の核酸または項目81に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目83)
抗体またはその断片を産生する方法であって、項目82に記載の宿主細胞を培養することを含み、それにより前記抗体またはその断片が産生される方法。
(項目84)
有効量の項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目85)
前記単離された抗体またはその断片がモノクローナル抗体である、項目84に記載の医薬組成物。
(項目86)
前記単離された抗体またはその断片がポリクローナル抗体である、項目84に記載の医薬組成物。
(項目87)
がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む医薬組成物を投与することを含む方法。
(項目88)
前記投与が注射である、項目87に記載の方法。
(項目89)
前記投与が、静脈内または皮下注射である、項目88に記載の方法。
(項目90)
前記投与を、1週当たり1~3回行う、項目87~89のいずれか一項に記載の方法。
(項目91)
前記対象において腫瘍のサイズを、少なくとも25%、50%、75%、または95%低減する、項目87~90のいずれか一項に記載の方法。
(項目92)
前記腫瘍が固形腫瘍である、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記医薬組成物が、前記対象の体重1kg当たり0.15mgから3mgまで投薬される、項目87~92のいずれか一項に記載の方法。
(項目94)
用量が、前記対象の体重1kg当たり0.5mgから2mgまでである、項目93に記載の方法。
(項目95)
前記対象が哺乳動物である、項目87~94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
前記対象がヒトである、項目95に記載の方法。
(項目97)
前記がんが、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む、項目87~96のいずれか一項に記載の方法。
(項目98)
がん細胞を死滅させる方法であって、前記がん細胞と、項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を接触させることを含む方法。
(項目99)
がんを治療するまたはがん細胞を死滅させるための、項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片の使用。
(項目100)
医薬の製造における、項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片の使用。
(項目101)
前記医薬が、がんを治療するためである、項目100に記載の使用。
(項目102)
前記医薬が、がん細胞を死滅させるためである、項目100に記載の使用。
(項目103)
配列番号1の第1の核酸配列および配列番号10の第2の核酸配列を含む1つまたは複数の細胞を含む組換え哺乳動物細胞系。
(項目104)
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、同じ構築物中にある、項目103に記載の組換え哺乳動物細胞系。
(項目105)
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、組換え的にまたは合成的に産生され、発現ベクターにクローニングされている、項目103または104に記載の組換え哺乳動物細胞系。
(項目106)
前記発現ベクターが、pTT5発現ベクターである、項目105に記載の組換え哺乳動物細胞系。
(項目107)
前記第1の核酸配列および前記第2の核酸配列が、前記1つまたは複数の細胞にトランスフェクトされている、項目103~106のいずれか一項に記載の組換え哺乳動物細胞系。
(項目108)
ヒト対象において免疫系を活性化させる方法であって、前記対象に項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を投与することを含む方法。
(項目109)
ヒト対象において形質転換増殖因子ベータ(TGFβ)を阻害することによりがんを治療する方法であって、前記対象に項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それにより前記TGFβが阻害され、前記がんが治療される方法。
(項目110)
前記TGFβが、TGFβ1、TGFβ2、またはTGFβ3である、項目109に記載の方法。
(項目111)
ヒト対象において発癌性mRNAの安定化を防止することによりがんを治療する方法であって、前記対象に項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それにより前記発癌性mRNAが不安定化され、前記がんが治療される方法。
(項目112)
前記発癌性mRNAが、腫瘍タンパク質p53 mRNA、B細胞リンパ腫超大型(Bcl-XL)mRNA、(B細胞リンパ腫2)Bcl-2 mRNA、ガストリンmRNA、(増殖停止およびDNA損傷誘導性アルファ)Gadd45αmRNA、マトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)mRNA、Arabidopsis thalianaキネシン(Atk1)mRNA、サイクリン1 mRNA、インターロイキン-2(IL-2)mRNA、プロスタグランジンHシンターゼ-1(Pghs-1)mRNA、またはそれらの任意の組合せである、項目111に記載の方法。
(項目113)
ヒト対象において発癌性タンパク質の発現レベルを低減することによりがんを治療する方法であって、前記対象に項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を投与することを含み、それにより前記発癌性タンパク質の前記発現レベルが不安定化され、前記がんが治療される方法。
(項目114)
前記発癌性タンパク質が、腫瘍タンパク質p53、Bcl-xL、Bcl-2、ガストリン、Gadd45α、MMP9、Atk1、サイクリン1、IL-2、Pghs-1、またはそれらの任意の組合せである、項目113に記載の方法。
(項目115)
前記がんが、ヒト肺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、肺がん、腎臓がん、前立腺がん、白血病、脳がん、および膵臟がんからなる群から選択される1つ、2つ、またはそれよりも多くの型のがんを含む、項目109~114のいずれか一項に記載の方法。
(項目116)
治療剤と連結されている抗原結合剤を含み、前記抗原結合剤が、項目1~78のいずれか一項に記載の単離された抗体またはその断片を含む、イムノコンジュゲート。
(項目117)
前記イムノコンジュゲートが融合タンパク質であり、前記治療剤がポリペプチドである、項目116に記載のイムノコンジュゲート。
(項目118)
前記抗原結合剤が二重特異性抗体である、項目116に記載のイムノコンジュゲート。
(項目119)
前記抗原結合剤がプロボディである、項目116に記載のイムノコンジュゲート。
(項目120)
前記プロボディが、腫瘍細胞により活性化される抗原結合領域を含む、項目119に記載のイムノコンジュゲート。
(項目121)
前記抗原結合領域が、プロテアーゼで切断可能なリンカーを介して軽鎖のN末端に連結されているペプチドを含む、項目120に記載のイムノコンジュゲート。
(項目122)
前記抗原結合剤が、共有結合的に、非共有結合的に、または組換え的に前記治療剤と連結されている、項目116~121のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目123)
前記治療剤が細胞傷害剤である、項目116~122のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目124)
前記細胞傷害剤が、ドキソルビシン、カリケアマイシン、オーリスタチン、マイタンシノイド、ブレンツキシマブベドチン、チューブリシン、デュオカルマイシン、カンプトテシン、SN-38、ピロロベンゾジアゼピン、メトトレキセート、α-アマニチン、アンサマイトシン、またはそれらの任意の組合せである、項目123に記載のイムノコンジュゲート。
(項目125)
前記治療剤が免疫刺激剤である、項目116~122のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲート。
(項目126)
前記治療剤が、インターロイキン-2(IL-2)、免疫刺激性核酸分子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、レシキモド、ガルジキモド、フィコシアノビリン、ロミプロスチム、エルトロンボパグ、またはそれらの任意の組合せである、項目125に記載のイムノコンジュゲート。
(項目127)
項目116~126のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(項目128)
がんを治療する方法であって、それを必要とする対象に項目116~126のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
(項目129)
がんを治療するための、項目116~126のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートの使用。
(項目130)
がんを治療するための医薬の製造における、項目116~126のいずれか一項に記載のイムノコンジュゲートの使用。
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【配列表】
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