(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
B65D51/22 110
(21)【出願番号】P 2018193004
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
(72)【発明者】
【氏名】前田 達大
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄嗣
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126402(JP,A)
【文献】米国特許第5863145(US,A)
【文献】特開2016-8058(JP,A)
【文献】特開2018-193088(JP,A)
【文献】特開2008-56334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44 - 35/54
B65D 39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在な上蓋と、この上蓋に嵌合した状態で被せられて一体的に回転可能なオーバーキャップと、を備え、
中栓は、中栓本体部と、弱化部を介して中栓本体部から離脱可能に設けられた離脱部とを有し、
上蓋に、上蓋が回転された際に中栓の離脱部に係合して離脱部を中栓本体部から離脱させる回転係合部が設けられているキャップであって、
上蓋とオーバーキャップとには、互いに嵌合可能な被嵌合部と嵌合部とが設けられ、
前記被嵌合部は、上蓋の外周またはオーバーキャップの内周に、周方向に対して所定の角度毎に凹凸形状に形成され、
前記嵌合部は、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部と、この案
内嵌合部に対する周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて前記被嵌合部に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部と、を有する
ことを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記被嵌合部は上蓋に形成され、
前記嵌合部はオーバーキャップに形成され、
オーバーキャップの天面部が上方に向くように配置した状態で、前記案内嵌合部の下端部が、前記変形嵌合部の下端部よりも下方の位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記嵌合部および前記被嵌合部は、上蓋およびオーバーキャップにおいて周方向に直交する直線方向に沿って延びる形状に形成され、
前記変形嵌合部の先端部に、先端ほど周方向寸法が小さくなるように傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
オーバーキャップに、上蓋に被せる覆い部と、この覆い部から下方に延びて径方向に弾性変形して、上蓋を保持可能な保持用足部が設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記請求項1~4の何れか1項に記載のキャップの、上蓋に対してオーバーキャップを組み付けるキャップの組付け方法であって、
オーバーキャップを上蓋に対して周方向に直交する軸心方向に沿って打栓させることにより組み付け、
打栓時に、案内嵌合部が被嵌合部に嵌合した後に、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合するように構成されていることを特徴とするキャップの組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器の口部に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとして、容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在な上蓋とを備え、中栓に、周囲が破断可能な薄肉ラインの弱化部で囲まれた除去領域を有しており、上蓋を中栓に装着して回転することにより、弱化部を破断させて、除去領域を上蓋に嵌り込ませ、中栓に注出口を形成するものがある。このキャップによれば、未使用時には、容器の口部に取り付けられる中栓が密閉状態を維持できるので衛生的である。
【0003】
しかし、上蓋と中栓とが、平面視した場合の大きさがあまり変わらず(例えば両方とも略円形(上蓋は略円筒形状)であり、その直径があまり変わらず)、除去領域を切断する切断寸法が比較的大きい場合には、上蓋を回転させて中栓の除去領域を離脱させる際に、比較的大きな力(大きなトルク)を上蓋に作用させなければならない。
【0004】
この切断する際の力を軽減する方法としては、例えば、特許文献1に開示されているように、上蓋より大きな直径のオーバーキャップを上蓋に嵌合させて被せることが考えられる。つまり、オーバーキャップと上蓋とに、互いに径方向に一体的に回転できるような嵌合部や被嵌合部を設け、開封時にオーバーキャップを回転して、内側の上蓋も一体的に回転させて、除去領域を切断するようにする。これにより、開封時におけるオーバーキャップを回転する力(トルク)を小さくて済ませることができ、作業性が良好となる。なお、オーバーキャップと上蓋とに設けられている嵌合部や被嵌合部は、平面視して周方向に対して所定の同じ角度毎に凹凸形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたようなオーバーキャップを上蓋に嵌合させて被せる構成において、オーバーキャップと上蓋との互いに径方向に係止する摩擦力によって、上蓋がオーバーキャップ内に保持されているものの、小さな衝撃などを受けた場合に、オーバーキャップから上蓋が下方に脱落してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するもので、開封時に必要な回転力を比較的小さく済ませることができ、かつ、小さな衝撃などを受けた場合でもオーバーキャップから上蓋が脱落することを防止できるキャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、容器の口部に取り付けられる中栓と、回転することにより中栓に着脱自在な上蓋と、この上蓋に嵌合した状態で被せられて一体的に回転可能なオーバーキャップと、を備え、中栓は、中栓本体部と、弱化部を介して中栓本体部から離脱可能に設けられた離脱部とを有し、上蓋に、上蓋が回転された際に中栓の離脱部に係合して離脱部を中栓本体部から離脱させる回転係合部が設けられているキャップであって、上蓋とオーバーキャップとには、互いに嵌合可能な被嵌合部と嵌合部とが設けられ、前記被嵌合部は、上蓋の外周またはオーバーキャップの内周に、周方向に対して所定の角度毎に凹凸形状に形成され、前記嵌合部は、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部と、この案内嵌合部に対する周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて前記被嵌合部に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部と、を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、被嵌合部に嵌合する嵌合部に、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部を設けただけでなく、この案内用嵌合部に対する周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて前記被嵌合部に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部を設けたので、上蓋にオーバーキャップを嵌合させて被せると、変形嵌合部が周方向に弾性変形しながら嵌合する。これにより、比較的小さな衝撃を受けた場合でも、オーバーキャップから上蓋が下方に脱落してしまうことを防止できて、オーバーキャップにより上蓋を脱落しない状態で保持できる。そして、この状態で、オーバーキャップを回転させて上蓋も一体回転させることで、中栓の弱化部を切断させて離脱部を離脱させることができて、中栓に注出口を形成できる。この際、オーバーキャップを回転させるので、弱化部の切断時に必要な回転力を比較的小さく済ませることができる。
【0010】
また、本発明は、前記被嵌合部が上蓋に形成され、前記嵌合部はオーバーキャップに形成され、オーバーキャップの天面が上方に向くように配置した状態で、前記案内嵌合部の下端部が、前記変形嵌合部の下端部よりも下方の位置に形成されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、オーバーキャップの天面部が上方に向くように配置した状態で、前記案内嵌合部の下端部が、前記変形嵌合部の下端部よりも下方の位置に形成されているので、上蓋に対してオーバーキャップを周方向に直交する方向に沿って打栓させるなどして組み付ける場合に、まず、オーバーキャップの案内嵌合部が上蓋の被嵌合部に嵌合し、この後に、オーバーキャップの変形嵌合部が上蓋の被嵌合部に嵌合する。すなわち、上蓋に対してオーバーキャップを打栓させるなどして組み付ける際には、第1段階では、互いに隣り合う案内嵌合部間の周方向の離間角度が、被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている案内嵌合部だけが被嵌合部に嵌合するので、比較的小さな力で打栓できる。また、オーバーキャップの変形嵌合部は、案内用嵌合部に対する離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられているが、この変形嵌合部が上蓋の被嵌合部に嵌合する際には、既に案内嵌合部が被嵌合部に嵌合してオーバーキャップと上蓋とが互いに周方向に移動できない状態に保持されている(位置決めされている)ので、打栓力の増加を最小限に抑えた状態でも、上蓋の被嵌合部に変形嵌合部を変形させながら嵌め込むことができて、打栓時に必要な力を低めに抑えることが可能となる。また、オーバーキャップの変形嵌合部は上蓋の被嵌合部に変形して比較的大きな力で噛み込んだ状態で嵌合しているので、オーバーキャップにより上蓋を脱落しない状態で良好に保持できる。
【0012】
また、前記嵌合部および前記被嵌合部が、上蓋およびオーバーキャップにおいて周方向に直交する直線方向に沿って延びる形状に形成され、前記変形嵌合部の先端部に、先端ほど周方向寸法が小さくなるように傾斜面が形成されていると好適である。この構成によれば、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合し始める際に、前記変形嵌合部の先端部に形成されている傾斜面が被嵌合部に摺接しながら滑らかに嵌合でき、これによっても、オーバーキャップを上蓋に打栓させるなどして組み付ける場合に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【0013】
また、オーバーキャップに、上蓋に被せる覆い部と、この覆い部から下方に延びて径方向に弾性変形して、上蓋を保持可能な保持用足部が設けられていると好適である。この構成によれば、オーバーキャップに上蓋に被せることで、保持用足部によっても上蓋を保持することができ、より確実にオーバーキャップによって上蓋を保持することができる。
【0014】
また、本発明は、前記キャップの、上蓋に対してオーバーキャップを組み付けるキャップの組付け方法であって、オーバーキャップを上蓋に対して周方向に直交する軸心方向に沿って打栓させることにより組み付け、打栓時に、案内嵌合部が被嵌合部に嵌合した後に、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合するように構成されていることを特徴とする。この方法により、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合する際には、すでに案内嵌合部が被嵌合部に嵌合しているので、打栓時に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のキャップによれば、被嵌合部に嵌合する嵌合部に、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部を設けただけでなく、この案内用嵌合部に対する周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて前記被嵌合部に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部を設けることにより、比較的小さな衝撃を受けた場合でも、オーバーキャップから上蓋が下方に脱落してしまうことを防止できて、オーバーキャップにより上蓋を脱落しない状態で保持でき、ひいてはキャップの信頼性を向上させることができる。
【0016】
また、前記被嵌合部を上蓋に形成し、前記嵌合部をオーバーキャップに形成し、オーバーキャップの天面部が上方に向くように配置した状態で、前記案内嵌合部の下端部が、前記変形嵌合部の下端部よりも下方の位置に形成されていることにより、上蓋に対してオーバーキャップを打栓させて組み付ける場合に、打栓時に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【0017】
また、前記嵌合部および前記被嵌合部を、上蓋およびオーバーキャップにおいて周方向に直交する直線方向に沿って延びる形状に形成し、前記変形嵌合部の先端部に、先端ほど周方向寸法が小さくなるように傾斜面を形成することによっても、オーバーキャップを上蓋に打栓させるなどして組み付ける場合に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【0018】
また、前記キャップの、上蓋に対してオーバーキャップを組み付けるキャップの組付け方法として、打栓時に、案内嵌合部が被嵌合部に嵌合した後に、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合するよう構成することにより、変形嵌合部が被嵌合部に嵌合する際には、すでに案内嵌合部が被嵌合部に嵌合しているので、打栓時に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係るキャップの部分切欠正面図である。
【
図7】同キャップにおけるオーバーキャップの部分切欠正面図である。
【
図8】同キャップのオーバーキャップの底面図である。
【
図9】同オーバーキャップの案内用嵌合部およびその近傍箇所の縦断面図である。
【
図10】同オーバーキャップの案内用嵌合部をオーバーキャップの軸心位置より矢視した矢視図である。
【
図11】同オーバーキャップの変形嵌合部およびその近傍箇所の縦断面図である。
【
図12】同オーバーキャップの変形嵌合部をオーバーキャップの軸心位置より矢視した矢視図である。
【
図13】同キャップにおける中栓に上蓋を被せる状態を示す部分切欠正面図である。
【
図14】同キャップにおける上蓋にオーバーキャップを被せる状態を示す部分切欠正面図である。
【
図15】同キャップにおける上蓋にオーバーキャップを被せる状態を示す部分切欠斜視図である。
【
図16】同キャップにおける上蓋にオーバーキャップを被せる状態を示す部分切欠斜視図であり、案内用嵌合部が外周凹凸条部に嵌合し始めている状態を示す。
【
図17】同キャップにおける上蓋にオーバーキャップを被せる状態を示す部分切欠斜視図であり、変形嵌合部が外周凹凸条部に嵌合し始めている状態を示す。
【
図18】同キャップにおける上蓋にオーバーキャップを被せた状態を示す断面図であり、案内用嵌合部および変形嵌合部が外周凹凸条部に嵌合した状態を示す。
【
図19】同キャップにおける上蓋およびオーバーキャップにより、中栓の離脱部を取り外した状態を示す断面図である。
【
図20】同キャップにおけるオーバーキャップの案内嵌合部や変形嵌合部が上蓋の外周凹凸条部(被嵌合部)に嵌り込む状態を概念的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態のキャップを、図面に基づき説明する。
図1などにおいて、1は、内部に内容物(内容液)が収容されている容器2に取付けられるキャップである。キャップ1は、容器2の口部3に取り付けられる中栓4と、回転することにより中栓4に着脱自在な上蓋5と、この上蓋5に嵌合した状態で被せられて、周方向に回転した際に上蓋5に係合して一体的に回転可能なオーバーキャップ6と、を備えている。中栓4と上蓋5とオーバーキャップ6とはそれぞれ、例えば合成樹脂により射出成形されるなどして製造され、弾性変形可能な性質を有する。
【0021】
図2、
図3などに示すように、中栓4は、容器2の口部3に取り付けられる中栓本体部10と、弱化部11を介して中栓本体部10から離脱可能に設けられた離脱部12とを有している。中栓本体部10は、中央(弱化部11の外周)から上方に突出するノズル部16と、その下部が容器2の口部3に外側から嵌り込む円筒状の外筒部13と、外筒部13の内周に隙間を有する状態で設けられてその下部が容器2の口部3に内側から嵌り込む円筒状の内筒部14と、外筒部13および内筒部14のそれぞれ上端部箇所で径方向内側に延びて外筒部13と内筒部14などを繋ぐ上面部15と、上面部15の内周端より上方に段付きの筒形状に突出するとともに内周側部分でノズル部16の高さ方向略中央箇所に全周で接続されている段部17などが形成されている。
【0022】
外筒部13の下方には、薄肉部19Aを介して下方に延びるとともに径方向外側および内周側にも突出する鍔状部18が全周に形成され、容器2の使用後などに、鍔状部18の1か所に形成された縦薄肉溝部19Bおよび薄肉部19Aから鍔状部18を切断することで、容器2から中栓4などを外し易くなるよう図られている。また、中栓本体部10の段部17の外周には、上蓋5に形成された後述するねじ部31(
図1、
図6など参照)に螺合するねじ部20が形成されている。また、中栓本体部10の上面部15には、徐々に盛り上がって、上蓋5に形成された規制リブ44(
図6参照)に当接可能とされて上蓋5の回転閉鎖位置を認識させるストッパ部27や、上方に突出して、上蓋5に形成された撥音用突起47(
図5、
図6参照)に当接可能とされて上蓋5が閉鎖直前状態まで回転した際に手応えと音を発生させる撥音用突部28が複数箇所(この実施の形態では2箇所)に設けられている。
【0023】
中栓4の離脱部12は弱化部11の内側を少し中央側が若干下方に窪んだ状態で閉鎖する底面壁部21と、底面壁部21の外周寄り箇所(弱化部11よりも少し内周側箇所)から上方に筒状に延びる離脱筒状部22と、を有する。
【0024】
離脱筒状部22には、径方向内側に突出する状態で上下に延びる離脱内側突条リブ25と、径方向外側に突出する状態で上下に延びる離脱外側突条リブ24とが、それぞれ周方向所定角度毎に複数形成されている。なお、この実施の形態では、離脱内側突条リブ25および離脱外側突条リブ24が、それぞれ周方向60度毎に形成されているが、これに限るものではなく、離脱内側突条リブ25と離脱外側突条リブ24とは、それぞれ互いに異なる角度毎に形成されていてもよい。離脱内側突条リブ25は、上蓋5の離脱用内筒部32の外周に周方向所定角度毎(この実施の形態では周方向60度毎)に複数形成された離脱用内筒突条リブ33(
図5、
図6参照)に、上蓋5が中栓4に対して所定の周方向(例えば、平面視して時計回り)に回転された際に係合可能とされている。また、離脱外側突条リブ24は、上蓋5の離脱用外筒部34の内周に周方向所定角度毎(この実施の形態では周方向60度毎)に複数形成された離脱用外筒突条リブ35(
図5、
図6参照)に、上蓋5が中栓4に対して所定の周方向(例えば、平面視して時計回り)に回転された際に係合可能とされている。
【0025】
また、
図3に示すように、中栓4の離脱筒状部22の先端部外周には径方向内側に窪む凹状部26が形成されているとともに、これに対応して、
図5に示すように、上蓋5の離脱用外筒部34の基部内周には径方向内側に突出する凸状部36が形成され、中栓4に対して上蓋5が所定位置までねじ込まれると、中栓4の凹状部26が上蓋5の凸状部36が嵌り込むように構成されている。
【0026】
図4~
図6などに示すように、上蓋5は、略円板形状の天板部37と、この天板部37の外周縁から斜め下方に傾斜する第1傾斜面38aを介してこの第1傾斜面部38aの外周縁から垂下する上側壁面部38と、この上側面部38から段状に窪むとともに径方向外側に拡がる段部39と、段部39の外周縁から斜め下方に傾斜する第2傾斜面部40と、第2傾斜面部40の外周縁から垂下する筒状の下側壁面部41と、段部39の窪んだ部分(すなわち、下側壁面部41よりも内側箇所)から下方に垂下する筒状の上蓋円筒部42と、上蓋円筒部42よりもさらに内周側に形成されて天板部37から垂下して中栓4のノズル部16の先端部内周に接触して密閉するノズル密閉用筒部43と、ノズル密閉用筒部43よりもさらに天板部37の内周側箇所から垂下する離脱用外筒部34と、離脱用外筒部34よりもさらに天板部37の内周側箇所から垂下する離脱用内筒部32などを有する。
【0027】
上蓋円筒部42の下端は、上蓋5を中栓4に被せた際に中栓4の上面部15に上方から当接可能とされ、上蓋円筒部42の内周には、中栓4のねじ部20に螺合するねじ部31が形成されている。ノズル密閉用筒部43は、上蓋5を中栓4に被せた際に中栓4のノズル部16に内周側から密接して、上蓋5を装着した際に容器5内の内容物が洩れ出さないよう密閉する。
【0028】
上蓋5の離脱用外筒部34には、上述したように、内周に周方向所定角度毎(上述したように、この実施の形態では周方向60度毎)に回転係合部としての離脱用外筒突条リブ35が複数形成されているとともに、上蓋5の離脱用外筒突条リブ35の基部に内周側に突出する凸状部36が形成されている。また、上蓋5の離脱用内筒部32には、上述したように、内周に周方向所定角度毎(上述したように、この実施の形態では周方向60度毎)に回転係合部としての離脱用内筒突条リブ33が複数形成されている。そして、上蓋5を中栓4に被せると、中栓4の離脱部12の離脱筒状部22に、上蓋5の離脱用外筒突条リブ35が径方向外側から嵌合し、また、上蓋5の離脱用内筒突条リブ33が径方向内側から嵌合するとともに、中栓4の離脱部12に形成された凹状部26に上蓋5の離脱用外筒突条リブ35の基部に形成された凸状部36が嵌合する。
【0029】
また、上蓋5における下側壁面部41の内周には、中栓4に対して上蓋5を閉め終わる際に、中栓4のストッパ部27に対して当接可能な規制リブ44が周方向複数箇所(この実施の形態では2箇所)に設けられている。また、上蓋5における上蓋円筒部42の外周には、中栓4に対して上蓋5を閉め終わる際に、中栓4の撥音用突部28に当接して変形するとともに音を発する撥音用突起47が周方向複数箇所(この実施の形態では2箇所)に設けられている。
【0030】
図4、
図5などに示すように、上蓋5の下側壁面部41には、径方向外側に突出する(この実施の形態では、平面視して鋸刃形状となるように径方向外側に突出する)被嵌合部としての外周凹凸条部(いわゆるローレット)45が周方向に対して複数連続して形成されているとともに、下側壁面部41の下端部に、外側に鍔状に広がるフランジ部46が形成されている。また、この実施の形態では、フランジ部46の上部には、下側壁面部41から下方ほど徐々に径方向外側(径方向外側)に広がる傾斜面46aが形成されている。
【0031】
ここで、上蓋5の下側壁面部41に形成されている被嵌合部としての外周凹凸条部45は、周方向に一定角度で凹凸となるように形成され、外周凹凸条部45の1つの凹凸部が周方向に所定の角度、例えば8度の角度で凹凸状(谷部と山部)となるように連続して形成されている(いわゆる8度のピッチで形成されている)。また、外周凹凸条部45は、オーバーキャップ6に設けられた後述する嵌合部54に嵌合する(嵌り込む)。
【0032】
図1および
図7、
図8などに示すように、オーバーキャップ6は、上蓋5に被せられる覆い部51と、この覆い部51の上部内側から下方に筒状に延びる中筒部52と、この中筒部52からさらに下方に延びて(つまり、中筒部52を介して覆い部51から下方に延びて)弾性変形して上蓋5を保持可能な複数の保持用足部53と、中筒部52から径方向内側に突出して上蓋5の外側凸条部41に嵌合する複数の嵌合部54と、覆い部51の上部内側における中筒部52よりも内周側の箇所から下方に筒状に延びてオーバーキャップ6が上蓋5に被せられた際に、上蓋5の上側壁面部38に外周から嵌合するとともに段部39に上方から当接する内筒部55などが形成されている。なお、この実施の形態では、覆い部51が、平面円板状の天面部51Aと、天面部51Aの外周縁から下方に筒状に延びる外周面部51Bとから構成されており、外周面部51Bの直径が上蓋5や中栓4の直径より大きくなっているが、覆い部51がこのような形状に限られるものではなく、天面部51Aと外周面部51Bとが傾斜面や湾曲面を介してなだらかに接続される形状であってもよい。
【0033】
また、中筒部52より下方の領域で、周方向の適当角度毎に切欠溝部55が設けられて、これらの切欠溝部55間の部分が保持用足部53とされている。そして、隣り合う保持用足部53同士の間に、切欠溝部55が設けられていることで、保持用足部53は、平面視した状態で径方向に対して弾性変形可能とされている。また、
図7、
図9、
図11などに示すように、保持用足部53の下端部には、径方向内側に突出し、上蓋5に対して下方に移動された際に径方向外側に変形して上蓋5のフランジ部46を乗り越え可能で、フランジ部46を乗り越えるとこのフランジ部46を下方から係止する内側突出部53aが形成されている。
【0034】
ここで、オーバーキャップ6の嵌合部54は、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部としての外周凹凸条部45が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部54Aと、この案内用嵌合部54Aに対する周方向の離間角度が、外周凹凸条部45が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて外周凹凸条部45に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部54Bと、から構成されている。
【0035】
この実施の形態では、
図8に示すように、下方から見て(および上方から平面視して)、案内嵌合部54Aと変形嵌合部54Bとが周方向に60度間隔で交互に設けられている。したがって、互いに隣り合う案内嵌合部54Aの周方向の離間角度(この実施の形態では、120度)が、互いに隣り合う外周凹凸条部45が設けられている角度(この実施の形態では、8度)の整数倍(この実施の形態では、15倍)の角度で設けられている。一方、変形嵌合部54Bは隣り合う案内嵌合部54Aの周方向の離間角度が60度であり、外周凹凸条部45が設けられている角度(この実施の形態では、8度)の整数倍の角度とは異なる角度(この実施の形態では、7.5倍の角度)で設けられている。
【0036】
また、
図7、
図9、
図11、
図14~
図19などに示すように、オーバーキャップ6の天面部51Aが上方に向くように配置した状態で、案内嵌合部54Aの下端部が、変形嵌合部54Bの下端部よりも下方の位置に形成されている。この実施の形態では、案内嵌合部54Aおよび変形嵌合部54Bの何れもオーバーキャップ6の天面部51Aの下面から中筒部52の内壁面に沿って下方にリブ状に延びるように形成されているが、案内嵌合部54Aは、中筒部52から保持用足部53にかけて上下に延びるように形成されている一方、変形嵌合部54Bは、保持用足部53には形成されず、中筒部52が設けられている上下範囲において上下に延びるように形成されている。なお、案内嵌合部54Aの下端部が、変形嵌合部54Bの下端部よりも下方の位置に形成されていれば、必ずしも、案内嵌合部54Aだけが中筒部52から保持用足部53に形成されていなくてもよい。すなわち、案内嵌合部54Aの下端部が、変形嵌合部54Bの下端部よりも下方の位置に形成されていればよく、案内嵌合部54Aだけでなく変形嵌合部54Bも中筒部52から保持用足部53に形成されていたり、案内嵌合部54Aおよび変形嵌合部54Bの何れも保持用足部53には形成されずに中筒部52のみに形成されていたりしてもよい。また、
図12に示すように、変形嵌合部54Bの先端部(下端部)には、先端(下端)ほど周方向に対する厚みが薄くなるように傾斜面56Bが形成されている。また、この実施の形態では、
図10に示すように、案内嵌合部54Aの先端部(下端部)にも、先端(下端)ほど周方向に対する厚みが薄くなるように傾斜面56Aが形成されている。なお、傾斜面56A、56Bと先端部との接続部分や、傾斜面56A、56Bと案内嵌合部54Aや変形嵌合部54Bの直線部(傾斜面56A、56Bよりも上方の直線部)との接続部分は、なるべく曲率半径が大きい湾曲形状に形成して滑らかに接続するようにすると好適であるが、これに限るものではない。
【0037】
また、上蓋5にオーバーキャップ6を組み付ける際には、オーバーキャップ6を上蓋5に対して周方向に直交する軸心方向X(
図14参照)に沿って打栓させる(例えば、上蓋5の上方からオーバーキャップ6を移動させて打栓させる)ことにより組み付けるが、この打栓時に、オーバーキャップ6の案内嵌合部54Aが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に嵌合した(
図15参照)後に、変形嵌合部54Bが被嵌合部に嵌合する(
図16、
図17参照)ように構成されている。
【0038】
次に、上記構成における、キャップ1における中栓4と上蓋5とオーバーキャップ6との組み付け手順などを含む作用を説明する。
まず、キャップ1における中栓4と上蓋5との組み付け手順について説明する。中栓4と上蓋5とを個別に製作した後、離脱部12が中栓本体部10に設けられている未使用状態において、
図13に示すように、中栓4に対して上蓋5を下方に移動して(すなわち、キャップ1の軸心方向Xに沿って互いに組み合わせる方向に移動して)、中栓4に上蓋5を取り付ける。なお、この際には、中栓4の内部に治具(図示省略)を嵌め込み、上蓋5を中栓4の上方から下向きに打栓する(打ち込む)。
【0039】
これにより、
図14の下方領域において、中栓4と上蓋5とを組み付けた状態を示すように(但し、
図14は、これより後のオーバーキャップ6の組み付け状態を示す)、上蓋5のノズル密閉用筒部43が中栓4のノズル部16における上部内側に挿入されるとともに、上蓋5の天板部37が離脱部12の上端面(離脱筒状部22の上端部)に当接する。また、上蓋5のねじ部31が中栓4のねじ部20を乗り越えるとともに、離脱筒状部22が上蓋5の離脱用内筒部32と離脱用外筒部34との間に入り込んで離脱部12が保持され、離脱筒状部22の先端部に設けられた凹状部26に上蓋5の離脱用外筒部34の基部に設けられた凸状部36が嵌め込まれる。また、上蓋5の離脱用内筒突条リブ33が中栓4の離脱内側突条リブ25間に挿入されるとともに、上蓋5の離脱用外筒突条リブ35が中栓4の離脱外側突条リブ24間に挿入され、このような状態で、上蓋5が中栓4に取り付けられる。
【0040】
なお、この際には、
図1や
図14の下方領域に示すように、上蓋5の天板部36が離脱部12の上端面に当接し、また、上蓋円筒部42の下端部が中栓4の上面部15に当接するため、上蓋5の離脱用内筒突条リブ33が中栓4の離脱内側突条リブ25間に過剰に挿入されたり、上蓋5の離脱用外筒突条リブ35が中栓4の離脱外側突条リブ24間に過剰に挿入されたりすることはなく、離脱用内筒突条リブ33や離脱用外筒突条リブ35の先端が弱化部11に当接して破断させてしまうことはない。
【0041】
次に、上蓋5が取り付けられた中栓4を打栓して容器2の口部3に取り付けた後、
図14に示すように、中栓4が組み付けられている上蓋5に対してオーバーキャップ6を下方に移動して(すなわち、キャップ1の軸心方向Xに沿って上蓋5とオーバーキャップ6とを互いに組み合わせる方向に移動して)、上蓋5にオーバーキャップ6を取り付ける。なお、この際には、オーバーキャップ6を上蓋5の上方から下向きに打栓する(打ち込む)。
【0042】
これにより、
図15に示すように、まず、オーバーキャップ6の案内嵌合部54Aの先端部に形成された傾斜面56Aが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に接触するなどして、上蓋5とオーバーキャップ6との互いの周方向の相対位置が決められながら(案内されながら)、オーバーキャップ6の案内嵌合部54Aが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45間に挿入されながら嵌合する。また、オーバーキャップ6を上蓋5の上方から下向きにさらに打栓する(打ち込む)と、
図16に示すように、オーバーキャップ6の変形嵌合部54Bの先端部に形成された傾斜面56Bが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に接触するなどしながら、オーバーキャップ6の変形嵌合部54Bが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45間に挿入されながら嵌合する。そして、オーバーキャップ6を上蓋5の上方から下向きにさらに打栓する(打ち込む)と、
図17、
図18に示すように、オーバーキャップ6の保持用足部53に形成した内側突出部53aが上蓋5のフランジ部46を乗り越え、フランジ部46を下方から係止する。
【0043】
すなわち、
図14、
図15に示すように、上蓋5に対してオーバーキャップ6を打栓させて組み付ける際、第1段階では、互いに隣り合う案内嵌合部54A間の周方向の離間角度(いわゆる周方向ピッチ)が、被嵌合部である外周凹凸条部45が設けられている角度(外周凹凸条部45の周方向ピッチ)の整数倍の角度で設けられている案内嵌合部54Aだけが外周凹凸条部(被嵌合部)45に嵌り込む(
図20参照)ので、この際の摩擦力を最小限に抑えることができて比較的小さな力で打栓できる。
【0044】
また、オーバーキャップ6の変形嵌合部54Bは、案内用嵌合部54Aに対する離間角度が、被嵌合部である外周凹凸条部45が設けられている角度(外周凹凸条部45の周方向ピッチ)の整数倍の角度とは異なる角度で設けられているが、この変形嵌合部54Bが上蓋5の被嵌合部である外周凹凸条部45に嵌合する際には、既に案内嵌合部54Aが外周凹凸条部45に嵌合してオーバーキャップ6と上蓋5とが互いに周方向に移動できない状態に保持されている(位置決めされている)ので、打栓力の増加を最小限に抑えた状態でも、上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に変形嵌合部54Bをキャップ1の周方向に変形させながら嵌め込むことができて(
図16、
図17、
図20参照)、打栓時に必要な力を低めに抑えることが可能となる。また、オーバーキャップ6の変形嵌合部54Bは上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に弾性変形して比較的大きな力で噛み込んだ状態で嵌合しているので、オーバーキャップ6により上蓋5を脱落しない状態で良好に保持できる。
【0045】
また、最終的には、オーバーキャップ6の保持用足部53に形成した内側突出部53aが上蓋5のフランジ部46を乗り越え、フランジ部46を下方から係止するので、オーバーキャップ6の保持用足部53によっても上蓋5を脱落しない良好な状態で保持できる。なお、この実施の形態では、上蓋5のフランジ部46に傾斜面46aが形成されているとともに、オーバーキャップ6の内側突出部53aの下部に傾斜面が形成されており、これによっても、オーバーキャップ6の内側突出部53aが上蓋5のフランジ部46を良好に乗り越えることができるよう図られている。
【0046】
そして、この状態で、オーバーキャップ6を軸心周りに回転させる(この実施の形態では、平面視して上蓋5に対してオーバーキャップ6を反時計回りに回転させる)と、オーバーキャップ6の嵌合部54である案内用嵌合部54Aおよび変形嵌合部54Bが上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45に当接して、オーバーキャップ6とともに上蓋5も一体回転され、また、上蓋5の離脱用内筒突条リブ33および離脱用外筒突条リブ35が中栓4の離脱内側突条リブ25および離脱外側突条リブ24に当接して、上蓋5とともに中栓4の離脱部12も一体回転される。これにより、中栓4の弱化部11を切断させて中栓本体部10から離脱部12を離脱させることができて、中栓4に注出口29(
図19参照)を形成できる。この際、直径の大きなオーバーキャップ6を回転させるので、開封時に必要な回転力を小さく済ませることができる。すなわち、弱化部11の切断距離、ひいては注出口29(
図19参照)の開口面積が比較的大きい場合でも、大きな力を加えなくても切断することができて便利である。
【0047】
また、上記構成においては、変形嵌合部54Bの先端部に、先端ほど周方向寸法が小さくなるように傾斜面56Bが形成されているので、これにより、打栓時に変形嵌合部54Bを比較的なめらかに、上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45間に周方向に弾性変形させながら挿入させる(嵌り込ませる)ことができ、これによっても、オーバーキャップ6を上蓋5に打栓させるなどして組み付ける場合に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【0048】
また、上記構成においては、案内用嵌合部54Aの先端部にも、先端ほど周方向寸法が小さくなるように傾斜面56Aが形成されているので、これにより、打栓時に案内用嵌合部54Aをなめらかに上蓋5の外周凹凸条部(被嵌合部)45間に挿入させる(嵌り込ませる)ことができ、これによっても、オーバーキャップ6を上蓋5に打栓させるなどして組み付ける場合に必要な力を低めに抑えることが可能となる。
【0049】
このように、打栓する際の力を最小限に抑えても、良好に上蓋5を保持できるので、打栓工程での信頼性を向上させることができる。
【0050】
また、上記実施の形態においては、覆い部51から下方に延びて径方向に弾性変形して、上蓋5を保持可能な保持用足部53が設けられている。したがって、オーバーキャップ6を上蓋5に被せることで、保持用足部53によっても上蓋5を保持することができ、より確実にオーバーキャップ6によって上蓋5を保持することができ、キャップ1としての信頼性をさらに向上させることができる。
【0051】
なお、上記実施の形態では、被嵌合部としての外周凹凸条部45が周方向に8度毎に設けられ、案内用嵌合部54Aと変形嵌合部54Bとが互いに周方向に60度毎に設けられている場合を述べたが、これに限るものではなく、被嵌合部としての外周凹凸条部45が周方向に8度よりも小さい角度や大きい角度毎に設けられ、嵌合部54が、互いに隣り合う周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度で設けられている複数の案内嵌合部54Aと、この案内用嵌合部54Aに対する周方向の離間角度が、前記被嵌合部が設けられている角度の整数倍の角度とは異なる角度で設けられて被嵌合部としての外周凹凸条部45に対して周方向に弾性変形しながら嵌合する変形嵌合部54Bと、を有する構成であればよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、オーバーキャップ6の覆い部51に上面部分が平坦な天面部51Aが設けられているため、当該キャップ1を開けて上蓋5およびオーバーキャップ6を容器2から取り外した際に、オーバーキャップ6を安定してテーブルなどに置くことができる利点がある。しかしながら、これに限るものではなく、覆い部51の上面部分を半球形状に形成するなどしても差し支えない。
【0053】
また、上記実施の形態では、中筒部52および保持用足部53が設けられている箇所に案内用嵌合部54Aや変形嵌合部54Bが設けられている場合を示したが、これに限るものではなく、中筒部52や、保持用足部53や案内用嵌合部54A、変形嵌合部54Bを別個に設けるように構成してもよい。
【0054】
また、上記実施の形態では、上蓋5に被嵌合部としての外周凹凸条部45を設け、オーバーキャップ6に嵌合部としての案内用嵌合部54Aや変形嵌合部54Bを設けた場合を述べたが、これとは逆に、オーバーキャップ6に被嵌合部としての凹凸条部を設け、上蓋5に嵌合部としての案内用嵌合部や変形嵌合部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 キャップ
2 容器
3 口部
4 中栓
5 上蓋
6 オーバーキャップ
10 中栓本体部
11 弱化部
12 離脱部
16 ノズル部
20、31 ねじ部
33 離脱用内筒突条リブ(回転係合部)
35 離脱用外筒突条リブ(回転係合部)
45 外周凹凸条部(被嵌合部)
51 覆い部
53 保持用足部
54 嵌合部
54A 案内嵌合部
54B 変形嵌合部
56A、56B 傾斜面