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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】頭部載置具および椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/00 20060101AFI20221014BHJP
   A47C 1/10 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
A61G15/00
A47C1/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019127408
(22)【出願日】2019-07-09
(62)【分割の表示】P 2014044484の分割
【原出願日】2014-03-07
(65)【公開番号】P2019162555
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2019-07-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】南谷 雄一郎
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】出口 昌哉
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-526970(JP,A)
【文献】特開2015-167699(JP,A)
【文献】実公昭48-36396(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/00 - 15/18
A47C 7/38
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置される後頭部の中心に当たらない幅の間隔の空間を空けて対面して配置され、互いに離れる方向に傾斜し、後頭部が載置される内側立ち上がり部と、
前記内側立ち上がり部が対面する側の反対側に配置され、前記内側立ち上がり部の先端部が連接されると共に下側において前記内側立ち上がり部から離れた外側立ち上がり部と、を有し、
一方の前記内側立ち上がり部、および一方の前記外側立ち上がり部を有する第一載置具と、他方の前記内側立ち上がり部、および他方の前記外側立ち上がり部を有する第二載置具とが、後頭部が載置されるものであって前記間隔の空間を空けて個別に備えられ、
前記内側立ち上がり部が、頭部が載置される側から視して、凹弧状に湾曲して形成され、前記先端部が、頭部の側方から視して凹弧状に湾曲しており、
前記内側立ち上がり部および前記外側立ち上がり部が弾性体であり、
頭部が載置されると、後頭部の中心が、前記間隔の空間によって、何れにも接触せず、前記内側立ち上がり部が、この内側立ち上がり部毎に撓んで沈み込む、
ことを特徴とする頭部載置具。
【請求項2】
前記内側立ち上がり部と前記外側立ち上がり部とが対面する内側が中空である、
ことを特徴とする請求項1に記載された頭部載置具。
【請求項3】
前記間隔を調節する調節機構が備えられた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載された頭部載置具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された頭部載置具が備えられた、
ことを特徴とする椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の頭部が載置される頭部載置具および椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の頭部が載置される枕は、例えば医療施設や理容施設などで用いられる仰臥台に取り付けられ、またはヘッドレストとして椅子に取り付けられている。このような枕やヘッドレストを用いて頭部の位置を安定させるための技術として、例えば下記特許文献1に記載された眼科用枕がある。
【0003】
この眼科用枕は、ほぼ柱状の側枕が間隔を空けて平行に配置されて構成されている。各側枕は、対面する側のそれぞれの面が長さ方向において平坦に形成され、芯材がポリウレタンフォームなどの硬質弾性材であり、芯材を覆う被覆材が木綿などの軟質弾性材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭48-36396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した眼科用枕は、側枕のうち、対面する側のそれぞれの面が長さ方向において平坦に形成されているため、載置された頭部と、点で接触する。そのため、頭部の拘束力が弱く、頭部の安定性に欠ける。また、上記した眼科用枕は、芯材がポリウレタンフォームなどの硬質弾性材であり、芯材を覆う被覆材が木綿などの軟質弾性材であるため、それぞれ素材が異なる。そのため、接着することが困難であり、それに伴って長期の製造時間、および高額の製造費用を要する場合がある。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。すなわち、頭部の拘束を安定させることができ、短時間で安価に製造することができる頭部載置具および椅子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る頭部載置具は、載置される後頭部の中心に当たらない幅の間隔の空間を空けて対面して配置され、互いに離れる方向に傾斜した内側立ち上がり部と、前記内側立ち上がり部が対面する側の反対側に配置され、前記内側立ち上がり部の先端部が連接されると共に下側において前記内側立ち上がり部から離れた外側立ち上がり部と、を有し、一方の前記内側立ち上がり部、および一方の前記外側立ち上がり部を有する第一載置具と、他方の前記内側立ち上がり部、および他方の前記外側立ち上がり部を有する第二載置具とが、前記間隔の空間を空けて個別に備えられ、前記内側立ち上がり部が、頭部が載置される側から視して、凹弧状に湾曲して形成され、前記先端部が、頭部の側方から視して凹弧状に湾曲しており、前記内側立ち上がり部および前記外側立ち上がり部が弾性体であり、頭部が載置されると、後頭部の中心が、前記間隔の空間によって、何れにも接触せず、前記内側立ち上がり部が、この内側立ち上がり部毎に撓んで沈み込む、ことを特徴とする。
なお、頭部載置具は、間隔を空けて対面して配置され、互いに離れる方向に傾斜した一対の内側立ち上がり部と、それぞれの前記内側立ち上がり部が対面する側の反対側に配置され、前記内側立ち上がり部の先端部が連接された外側立ち上がり部と、が備えられ、それぞれの前記内側立ち上がり部が、この内側立ち上がり部が立ち上がった方向から視して、凹弧状に湾曲して形成され、それぞれの前記内側立ち上がり部および前記外側立ち上がり部が弾性体である、ことを特徴としてもよい。
【0008】
本発明に係る頭部載置具は、前記内側立ち上がり部と前記外側立ち上がり部とが対面する内側が中空である、ことを特徴とする。
【0009】
部載置具は、前記内側立ち上がり部の厚みよりも、前記外側立ち上がり部の厚みが厚く形成された、ことを特徴としてもよい。
【0010】
本発明に係る頭部載置具は、前記間隔を調節する調節機構が備えられた、ことを特徴とする。
【0011】
なお、頭部載置具は、一方の前記内側立ち上がり部、および一方の前記外側立ち上がり部が備えられた第一載置具と、他方の前記内側立ち上がり部、および他方の前記外側立ち上がり部が備えられた第二載置具と、前記第一載置具および前記第二載置具が備えられたベース部材と、前記ベース部材に備えられて前記第一載置具と前記第二載置具との間隔を調節する調節機構と、が備えられた、ことを特徴としてもよい。
【0012】
本発明に係る椅子は、頭部載置具が備えられた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る頭部載置具は上記した構成である。この構成により、内側立ち上がり部に人体の頭部が載置される際、凹弧状に湾曲した形状と、ほぼ球形の頭部とが、ほぼ面で接触すると共に、頭部に作用する重力によって弾性体の各部が撓む。頭部は、内側立ち上がり部によって面で覆われると共に弾性体の反発力によって支持される。したがって、頭部の拘束を安定させることができる。また、先端部が、頭部の側方から視して凹弧状に湾曲しているため、凹弧状に湾曲した形状と、ほぼ球形の頭部とが、ほぼ面で接触し、内側立ち上がり部によって面で覆われる。したがって、頭部の拘束を安定させることができる。
【0014】
本発明に係る頭部載置具は、内側立ち上がり部と外側立ち上がり部とが対面する内側が中空である。この構成により、各立ち上がり部が撓む際の抵抗が中空部によって緩和され、各立ち上がり部が頭部に沿って適度に撓む。したがって、頭部の拘束を安定させることができる。また、芯部材を要しない分、短時間で安価に製造することができる。
【0015】
本発明に係る頭部載置具は、上記した構成により、内側立ち上がり部、および外側立ち上がり部が一様な弾性体である。したがって、異なる素材同士を接着させることを要しない分、短時間で安価に製造することができる。
【0016】
お、内側立ち上がり部の厚みよりも、外側立ち上がり部の厚みが厚く形成されていれば、内側立ち上がり部が撓み易く、外側立ち上がり部が撓み難い。そのため、頭部が載置される際、内側立ち上がり部は撓む程度が多く、後頭部の全体に沿って変形する。一方、外側立ち上がり部は撓む程度が少なく、内側立ち上がり部が撓む方向の逆方向から内側立ち上がり部を支持する。したがって、型崩れせずに後頭部全体に適合させることができ、頭部の拘束を安定させることができる。
【0017】
本発明に係る頭部載置具は、間隔を調節する調節機構が備えられている。この構成により、頭部の大きさの個体差に応じて間隔が調節される。したがって、頭部の拘束を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る頭部載置具の斜視図であり、(a)が外観斜視図、(b)が透し斜視図、(c)が横断面斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る頭部載置具の斜視図であり、(a)が高さ方向の上方側から視した平面斜視図、(b)が高さ方向の下方側から視した底面斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る頭部載置具の斜視図であり、(a)が長さ方向の後方側から視した斜視図であり、(b)が横断面斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る頭部載置具を示す図であり、(a)が長さ方向の前方側から視した前面図、(b)が高さ方向の上方側から視した平面図、(c)が幅方向から視した側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る頭部載置具の第一載置具を示す図であり、(a)が平面図、(b)A-A縦断面側面図、(c)が側面図、(d)が長さ方向から視した後面図、(e)がB-B横断面後面図、(f)がC-C横断面後面図である。
図6】本発明の実施形態に係る頭部載置具の第一載置具の斜視図であり、(a)が高さ方向の上方側から視した平面斜視図、(b)が高さ方向の下方側から視した底面斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る頭部載置具の使用状態を示し、(a)が頭部が載置される前の状態を説明する断面説明図、(b)が頭部が載置された後の状態を説明する断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態に係る頭部載置具を図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る頭部載置具1の外観斜視図が示され、図2は本実施形態に係る頭部載置具1を高さ方向の上方側および下方側から視した斜視図が示され、図3は本実施形態に係る頭部載置具1を長さ方向の後面側から視した斜視図が示され、図4は本実施形態に係る頭部載置具1が前方、上方、側方から示されている。
【0020】
なお、本実施形態を理解しやすくするため、各載置具のうち、各立ち上がり部が立ち上がった方向である高さ方向の先端部側を上方、麓側を下方とし、各立ち上がり部が対面する方向である幅方向を側方とし、各立ち上がり部のうち、高さ方向および幅方向と交差する方向である長さ方向の奥側を前方、手前側を後方とする。
【0021】
図1から図4に示されているとおり、頭部載置具1は、間隔25を空けてほぼ平行に並べて配置された第一載置具10および第二載置具20、これら一対の各載置具10,20が取り付けられたベース部材2、このベース部材2に取り付けられて各載置具10,20同士の間隔25を調節する調節機構5、から構成されている(図2参照)。
【0022】
第一載置具10および第二載置具20は、間隔25を空けて対面して配置され、互いに離れる方向に傾斜した各内側立ち上がり部11,21、この各内側立ち上がり部11,21が対面する側の反対側に配置され、各内側立ち上がり部11,21の高さ方向(上方向)の先端部13,23が連接された各外側立ち上がり部12,22、各立ち上がり部11,12,21,22の長さ方向(前後方向)の端に配置されて互いに対面し、各立ち上がり部11,12,21,22の長さ方向(前後方向)の端が連接された端部連接部14,24、から構成されている。各部11,12,13,14,21,22,23,24は、例えばウレタンなどの弾性体である。なお、第二載置具20は間隔25を基準として第一載置具10と対称であるため、以下では、第一載置具10の説明のみがなされ、第二載置具20の説明が省略されている。
【0023】
次に、第一載置具10を図面に基づいて説明する。図5および図6は、本実施形態に係る頭部載置具1の第一載置具10が示されている。
【0024】
図5および図6に示されているとおり、第一載置具10は、ほぼ五面体であり、長さ方向(前後方向)において縦長に形成されている。五面体のうち、側方の面は、一方(図4のうち左側)の内側立ち上がり部11と一方(図4のうち左側)の外側立ち上がり部12とが対面して配置されたことで形成されている。円弧状に形成された内側立ち上がり部11と、平坦に形成された外側立ち上がり部12とが、先端部13で連接されている。前後の面は、一方(図4のうち左側)の各端部連接部14が各立ち上がり部11,12の長さ方向(前後方向)の端に連接されて形成されている。内側立ち上がり部11と外側立ち上がり部12とが対面する内側は、中空部15が形成されている。下方は、ほぼ長方形の板状である支持部材16が取り付けられている。
【0025】
図5に示されているとおり、第一載置具10の高さは、幅方向(側方)から視して、長さ方向(前後方向)の端部連接部14側が、中央側の先端部13よりも高く形成されると共に、前方の端部連接部14側が後方の端部連接部14側よりも僅かに高く形成されている。すなわち、第一載置具10は、幅方向(側方)から視して、ほぼ台形に形成され、先端部13が、端部連接部14側から中央に向けて凹弧状に湾曲して形成されている。
【0026】
第一載置具10は、長さ方向(前後方向)から視して、端部連接部14および横断面が、ほぼ扇形に形成されている。すなわち、第一載置具10は長さ方向(前後方向)から視して、内側立ち上がり部11が、先端部13にわたって(第二載置具20の内側立ち上がり部21と対面する側に向けて)凸弧状に湾曲して形成されている。
【0027】
第一載置具10は、高さ方向(上方向)から視して、内側立ち上がり部11および先端部13が、下方に向けて凹弧状に湾曲して形成されている。
【0028】
第一載置具10は、内側立ち上がり部11の厚みよりも、外側立ち上がり部12の厚みが厚く形成されている。外側立ち上がり部12は、高さ方向(上下方向)において、下方の厚みよりも上方の厚みが厚く形成されている。
【0029】
次に、ベース部材2を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1および図2に示されているとおり、ベース部材2は、ほぼ四角形の板状に形成されたベース本体部3、このベース本体部3に取り付けられたベースカバー部4から構成されている。ベース本体部3の表側(上方向)は、第一載置具10および第二載置具20が間隔25を空けてほぼ平行に並べて配置され、取り付けられている。ベース本体部3の裏側(下方向)は、調節機構5が取り付けられ、この調節機構5がベースカバー部4によって覆われている(図1参照)。
【0031】
調節機構5は、ベース本体部3を高さ方向(上下方向)に貫通して支持部材16に接続された可動部(図示省略)、この可動部を操作する操作部6、可動部を稼働させる連動部(図示省略)、から構成されている。操作部6はベース本体部3の外側に配置され、軸部(図示省略)を介して連動部および可動部に接続されている。操作部6が操作されることにより、可動部と連動して第一載置具10および第二載置具20が互いに接近し、または離反し、第一載置具10と第二載置具20との間隔25が調節される。
【0032】
上記のとおり、頭部載置具1が形成されている。
【0033】
次に、頭部載置具1の作用を図面に基づいて説明する。図7は本実施形態に係る頭部載置具1の使用状態が示されている。
【0034】
図7に示されているとおり、頭部載置具1の長さ方向(前後方向)に沿って人体の頭部30を配置し、第一載置具10および第二載置具20に頭部30を載置する。各内側立ち上がり部11,21に後頭部の全体が接触する。各内側立ち上がり部11,21に頭部30が載置される際、高さ方向(上方向)から視して、下方に向けて凹弧状に湾曲した各内側立ち上がり部11,21および先端部13,23の形状と、ほぼ球形の頭部30とが、ほぼ面で接触すると共に、頭部30に作用する重力によって弾性体の各内側立ち上がり部11,21が下方に撓む(符号31の矢印参照)。頭部30は、各内側立ち上がり部11,21によって面で覆われると共に弾性体の反発力によって支持される。
【0035】
同時に、各外側立ち上がり部12,22より厚みが薄い各内側立ち上がり部11,21は撓み易く、撓む程度が多いため、長さ方向(前後方向)から視して、先端部13にわたって(第二載置具20の内側立ち上がり部21と対面する側に向けて)凸弧状に湾曲した各内側立ち上がり部11,21の形状が、頭部30の形状に沿って凹弧状に変形する。一方、各内側立ち上がり部11,21より厚みが厚い各外側立ち上がり部12,22は撓み難く、撓む程度が少ないため、立ち上がった形状のまま幅方向(側方)にやや傾斜すると共に、各内側立ち上がり部11,21が撓む方向31の逆方向から各内側立ち上がり部11,21を支持する。第一載置具10および第二載置具20は型崩れすることなく頭部30にフィットして頭部30の拘束が安定する。
【0036】
調節機構5を稼働し、頭部30の大きさの個体差に応じて第一載置具10と第二載置具20との間隔25を調節する。
【0037】
次に、頭部載置具1の効果を説明する。
【0038】
上記したとおり、本実施形態に係る頭部載置具1は、高さ方向(上方向)から視して、各内側立ち上がり部11,21および先端部13,23が、下方に向けて凹弧状に湾曲して形成されている。この構成により、各内側立ち上がり部11,21に頭部30が載置される際、各内側立ち上がり部11,21および先端部13,23の形状と、ほぼ球形の頭部30とが、ほぼ面で接触すると共に、頭部30に作用する重力によって弾性体の各内側立ち上がり部11,21が下方に撓む(符号31の矢印参照)。頭部30は、各内側立ち上がり部11,21によって面で覆われると共に弾性体の反発力によって支持される。したがって、頭部30の拘束を安定させることができる。
【0039】
本実施形態に係る頭部載置具1は、各載置具10,20の内側立ち上がり部11,21と外側立ち上がり部12,22とが対面する内側に中空部15がそれぞれ形成されている。この構成により、各立ち上がり部11,12,21,22が撓む際の抵抗が中空部15によって緩和され、各立ち上がり部11,12,21,22が頭部30に沿って適度に撓む。したがって、頭部30の拘束を安定させることができる。また、芯部材を要しない分、短時間で安価に製造することができる。
【0040】
本実施形態に係る頭部載置具1は、各内側立ち上がり部11,21、各外側立ち上がり部12,22、各先端部13,23、各端部連接部14,24は弾性体である。したがって、異なる素材同士を接着させることを要しない分、短時間で安価に製造することができる。
【0041】
本実施形態に係る頭部載置具1は、各内側立ち上がり部11,21の厚みよりも、各外側立ち上がり部12,22の厚みが厚く形成されている。各外側立ち上がり部12,22より厚みが薄い各内側立ち上がり部11,21は撓み易く、撓む程度が多いため、長さ方向(前後方向)から視して、先端部13,23にわたって(各内側立ち上がり部12,21と対面する側に向けて)凸弧状に湾曲した各内側立ち上がり部11,21の形状が、頭部30の形状に沿って凹弧状に変形する。一方、各内側立ち上がり部11,21より厚みが厚い各外側立ち上がり部12,22は撓み難く、撓む程度が少ないため、立ち上がった形状のまま幅方向(側方)にやや傾斜すると共に、各内側立ち上がり部11,21が撓む方向31の逆方向から各内側立ち上がり部11,21を支持する。したがって、型崩れすることなく後頭部全体に適合させることができ、頭部30の拘束を安定させることができる。
【0042】
本実施形態に係る頭部載置具1は、間隔25を調節する調節機構5が備えられている。この構成により、頭部30の大きさの個体差に応じて間隔25が調節される。したがって、頭部30の拘束を安定させることができる。
【0043】
なお、上記した実施形態の他の実施形態では、各載置具は中空部が形成されず、弾性体で一様に埋められていてもよい。この場合、各立ち上がり部が撓む際の抵抗を、中空部によって緩和する場合と同程度に緩和することができる材質の弾性体が用いられる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。頭部載置具は、椅子の背もたれの上端部等に取り付けられ、ヘッドレストとして用いられる。
【符号の説明】
【0045】
1 頭部載置具
2 ベース部材
3 ベース本体部
4 ベースカバー部
5 調節機構
6 操作部
10 第一載置具
11 内側立ち上がり部
12 外側立ち上がり部
13 先端部
14 端部連接部
15 中空部
16 支持部材
20 第二載置具
21 内側立ち上がり部
22 外側立ち上がり部
23 先端部
24 端部連接部
25 間隔
30 頭部
31 撓む方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7