(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】積載装置
(51)【国際特許分類】
A47F 7/22 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
A47F7/22
(21)【出願番号】P 2020002851
(22)【出願日】2020-01-10
【審査請求日】2022-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591055919
【氏名又は名称】株式会社玉俊工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】友齊 信幸
(72)【発明者】
【氏名】小杉 健二
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201734200(CN,U)
【文献】特開2010-142521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0284291(US,A1)
【文献】登録実用新案第3099678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00~ 7/30
A47B 57/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された複数の扁平物の中から任意の一つを引出し可能に積載するための積載装置であって、
支持部材と複数個の積載部材とを備え、
前記支持部材は、平面に静置される底板と、前記底板から起立する起立部と、前記起立部に設けられた上下方向に連続する案内部とを有するものであり、
前記積載部材は、一端に前記支持部材の案内部に昇降可能に係合する係合部と、その係合部から他端方向に延びる積載部とを有
し、
前記支持部材は、底板とその底板の一端から起立する板状の前記起立部とを有し、
前記起立部は前後方向及び上方に開放された開口を有するとともに、その開口の左右対向辺により前記案内部が形成され、
前記積載部材の前記積載部は平板で構成され、
前記係合部は前記平板の一端側に形成された切欠きにより構成され、その切欠きが前記起立部の開口の左右対向辺に昇降可能に係合し、
前記積載部材は、前記平板の係合部から離れた位置に、積載される扁平物の後方傾斜を抑制する突起又は突出物を備えていることを特徴とする積載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の積載装置において、
前記支持部材は、前記底板と前記起立部とで折り畳み可能に構成されていることを特徴とする積載装置。
【請求項3】
請求項
1または請求項2に記載の積載装置において、
前記突起
又は前記突出物は、前記平板に起伏可能に設けられていることを特徴とする積載装置。
【請求項4】
請求項1に記載の積載装置において、
前記積載部材の係合部は、前記平板の後方に延長され、その延長部の左右両端に複数対の係合溝が形成されていて、前記案内部が係合される係合溝の位置を変えることにより、積載部の起立部からの突出長さが変更可能とされていることを特徴とする積載装置。
【請求項5】
請求項1に記載の積載装置において、
前記積載部材は、前記積載部の表面摩擦が小さい材質で形成されていることを特徴とする積載装置。
【請求項6】
請求項1に記載の積載装置において、
前記積載部材は、少なくとも前記積載部が透明な材質で構成されていることを特徴とする積載装置。
【請求項7】
請求項1に記載の積載装置において、
前記係合部が前記支持部材の案内部に係合している状態で可及的に水平状態を維持し得る材質で形成されていることを特徴とする積載装置。
【請求項8】
積載された複数の扁平物の中から任意の一つを引出し可能に積載するための積載装置であって、
支持部材と複数個の積載部材とを備え、
前記支持部材は、平面に静置される底板と、前記底板から起立する起立部と、前記起立部に設けられた上下方向に連続する案内部と、を有するものであり、
前記積載部材は、一端に前記支持部材の案内部に昇降可能に係合する係合部と、その係合部から他端方向に延びる積載部と、を有するものであり、
前記支持部材の底部と起立部は分離して構成され、
前記底部は棚の端部に固定される固定部を有するとともに、その固定部から前方に延びて前記棚の上面に載置される平板を有し、その平板に前後方向に間隔を置いて嵌合溝が設けられており、
前記起立部は前記棚の上面に載置される底板とその底板から直立する起立板とを有し、
前記底板に前記底部の嵌合溝に前後不動に嵌合し得る突起を有し、
前記起立板は左右対向辺に前記案内部を有する開口を有し、その開口に前記積載部材の左右に複数対の係合部を有する頭部を昇降可能に嵌合することができる
ことを特徴とする積載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の扁平物を積載する積載装置であって、とくに積載された複数の扁平物の中から任意の一つを取出し可能に積載するための積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、衣料品店では、洋服などの扁平に折り畳んだ商品または扁平な商品(この明細書ではこれを扁平物という場合がある。)を棚などに複数個積載して販売することが行われている。倉庫でも、同様な平扁物を棚などに複数個積載して保管することが行われている。
【0003】
従来は、複数個の同様な商品を積載する場合、上下の商品を互いに密着させた状態で積み重ねて積載している。そのため、その中の任意の一つを積載位置から引き出すと、引き出される商品ばかりでなく、残留した商品までも、形が崩れたり、引き出される商品の上下の商品も共に引き出されてしまい積載状態が乱れたりすることがある。
【0004】
顧客は、形が崩れた商品や積載状態が乱れた商品は手に取って見ることを嫌がることが多いので、店員は商品の積載状態を頻繁に監視し、必要な場合はその積載状態を補整する必要がある。営業中に補整作業をすると顧客の商品探しの邪魔になるので、閉店後に店員が店内の全商品の補整作業を行うのが通例であるが、残業代など人件コストが増加する問題があった。
【0005】
商品が、たとえば襟付きシャツやタートルネック付き上着のように、折り畳まれた商品である場合は、シャツは襟またはタートルネックを棚の奥側に向け、折り曲げ部を手前側に向けて積載されるのが通例であるが、襟またはタートルネックの厚みよりも折り曲げ部側の厚みが大きいため、商品は奥側が低くなるように傾斜する傾向がある。したがって、積載数が増えるにつれて、上側の商品ほど、商品の傾斜度が大きくなる。そのため、中間の商品を引き出す際は、一層、その上下の商品まで引き出されてしまう虞があり、顧客は商品を手に取って見ることを止めてしまう場合が少なくない。
【0006】
積載された商品の中から一つの商品を引き出す際の型崩れや友連れを防ぐために、各商品を透明なパッケージなどに収容して、そのパッケージを棚に積載することも行われている。しかし、この場合、パッケージは、一定不変の容積を有するため、店舗に非常に大きな積載空間が必要になるので、店舗空間の利用効率が低減されるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-69126号公報
【文献】特開2019-43778号公報
【0008】
特許文献1には、積み重ねられる刷本を揃えることができる刷本集積装置が記載され、特許文献2には、荷崩れを防止しながらシートを積載可能な積載装置が記載されているが、いずれの装置も、構成が複雑で製作が容易でないばかりでなく、積載された上記扁平物の中から任意の一つを、荷崩れをさせることなく積載位置から引き出すことに利用することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、積載されている複数の商品の中の任意の一つを積載位置から取出す際に、取出される商品、残留した商品のいずれも形が崩れたり、取出される商品の上下の商品も共に引き出されたりして積載状態が乱れることを抑制し得る積載装置を提供することを目的とする。また、積載空間の利用効率の向上が期待される積載装置を提供することも目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の積載装置は、積載された複数の商品の中から任意の一つを取出し可能に積載するための積載装置であって、一側面において、支持部材と複数個の積載部材とを備え、支持部材は、平面に静置される底部と、底部から起立する起立部と、起立部に設けられた上下方向に連続する案内部とを有するものであり、積載部材は、一端に支持部材の案内部に昇降可能に係合する係合部と、その係合部から他端方向に延びる積載部とを有するものであることを特徴とする。
【0011】
本発明は、他側面において、支持部材の起立部は、底部から起立する板状物であり、板状物のほぼ中央に少なくとも前後方向に開放された開口を有し、その開口の左右対向辺により案内部が形成され、積載部材の積載部は平板で構成され、係合部はその平板の一端側に形成された切欠きにより構成され、その切欠きが起立部の開口の左右対向辺に昇降可能に係合するものとしても良い。
【0012】
また、支持部材は、底部と起立部とで折り畳み可能に構成されていることが好ましい。
積載部材は、平板の係合部から離れた位置に、積載部に積載される扁平物の後方傾斜を補正する突起を備えていることが望ましい。
【0013】
本発明は、さらに他側面において、積載部材の係合部は、平板の後方に延長され、その延長部の左右両端に複数対の係合溝が形成されていて、案内部が係合される係合溝の位置を変えることにより、積載部の起立部からの突出長さが変更可能とされていることが望ましい。
【0014】
積載部材は、積載部の表面摩擦が小さい材質で形成されていることが望ましい。
また、積載部材は、少なくとも積載部が透明な材質で構成されていることが望ましい。
前記係合部が前記支持部材の案内部に係合している状態で可及的に水平状態を維持し得る材質で形成されていることが望ましい。
【0015】
本発明は、さらに他側面において、支持部材の底部と起立部とが分離して構成され、底部は棚の端部に固定される固定部を有するとともに、その固定部から前方に延びて棚の上面に載置される平板を有し、その平板に前後方向に間隔を置いて嵌合溝が設けられており、起立部は棚の上面に載置される底板とその底板から直立する起立板とを有し、底板に底部の嵌合溝に前後不動に嵌合し得る突起を有し、起立板は左右対向辺に案内部を有する開口を有し、その開口に積載部材の左右に複数対の係合部を有する頭部を昇降可能に嵌合することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、積載されている複数の商品の中の任意の一つを積載位置から取出す際に、取出される商品、残留した商品のいずれも形が崩れたり、取出される商品の上下の商品も共に引き出されたりして積載状態が乱れることを抑制し得る積載装置を提供することができる。また、積載空間の利用効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一の実施の形態を示す積載装置の斜視図である。
【
図2】
図1の積載装置の支持部材のみを示す斜視図である。
【
図3】
図1の支持部材の他の例を示す斜視図である。
【
図4】
図1の積載装置の積載部材の一つを示す平面図である。
【
図5】本発明の他の実施の形態に係る積載装置の斜視図である。
【
図6】
図5の積載装置の支持部材のみを示す斜視図である。
【
図7】
図5の積載装置の積載部材の一つを示す斜視図である。
【
図8】
図5の積載装置の支持部材と一つの積載部材との組み合わせ状態の一例を示す斜視図である。
【
図9】本発明のさらに他の実施の形態に係る積載装置の分解斜視図である。
【
図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る積載装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
本発明に係る積載装置は、複数の商品(扁平物)をその任意の一つを取出すことができるように、また、積載されている商品の間に他の商品を容易に挿入できるように積載するものである。商品はパッケージに収容されてない状態で上下の積載板に積載されるものであり、たとえば、サイズがほぼ同一のYシャツ、ズボン等の衣服であり、あるいは、衣服以外のサイズがほぼ同一の物品などである。
【0020】
本発明の一実施の形態においては、
図1に例示するように、積載装置A1は、支持部材10と複数個の積載部材20とを有する。
【0021】
支持部材10は、
図2に例示するように、底部11と、その底部11の一端側に設けられた起立部12とを有する。底部11は平面に静置できれば、その形状は限定されず、コスト的には図示の例のように平板で形成されることが好ましいが、穴あきの平板、格子状またはフォーク状のものであってもよい。
【0022】
起立部12は、底部11の一端側から垂直に起立する起立板12aを有する。その起立板12aの幅方向中央に、前後と上方に開放された開口12bが形成され、その開口12bの対向する内側縁部により積載部材20を昇降可能に案内する案内部13が形成されている。
【0023】
支持部材10に装着される積載部材20および積載部材20に積載される商品(図示省略)から加わる重量に関わらず支持部材10の起立安定性を高めるため、底部11の一端に起立板12aよりも底部の他端と反対方向に延びる延長部14aが設けられている。
【0024】
支持部材10の底部11の形状や大きさは、支持部材10の起立安定性を確保することができればよいので、
図3に例示するように、底部11は比較的幅の狭い平板11aと、起立板12aの裏側に延びる延長部14bとで平面T字形に形成されたものでも良い。
このような形状とした場合は、一枚の矩形平板の一端から他端方向に延びる2本の平行線に沿って切断し、各切断線の末端から左右両端まで伸びる折曲線に沿って直角に折曲加工をすることにより、
図3に示される支持部材10を容易に作ることができるとともに、材料の無駄が発生しない利点がある。
【0025】
積載部材20は、
図4に例示するように、ほぼ矩形状の平板からなる積載部21を有するとともに、その積載部21の一端側(奥側)に係合部22を有する。積載部材20は、全体が厚手の紙製または薄手の樹脂製のシートまたは板など、軽量で表面摩擦が少ない材料で形成されている。積載部材20の材質は、多少硬くてもよいが、左右両側を把持して中央部分が凹むように力を加えると、多少湾曲して左右の係合部22間の距離を縮めることができる程度の柔軟性を有するものが好ましい。
【0026】
積載部21は、支持部材10の起立部12の開口12bの幅よりも大きい幅を有する。
積載部21の幅と積載部に積載される商品の幅との関係は、特に問わない。積載部21の幅が商品の幅より狭い場合または同じ場合は、商品が積載されたときに、積載部21が商品に隠されて見えなくなる。また、積載部21の幅が商品の幅より広い場合は、積載されている商品が積載部21から不要に落下されることを抑制することができる。また、積載部材20、少なくとも積載部21は、透明な材質で構成されていると、商品のディスプレイ目的の場合、被積載物を積載していない積載部の下側の積載部に積載されている被積載物が見えるので良い。
【0027】
図5、7に例示するように、積載部21の幅方向両端部に上向きのカール部21aを備えることが好ましい。カール部21aがあると、たとえば、折り畳まれたYシャツやセーターなどの袖が積載部21から自重で滑り落ちることを抑制することができる。
【0028】
図4に戻って、係合部22は、積載部21の後端から後方に突出する頭部22aと、その頭部22aの首に相当する位置に両側に開口する切欠き22bとで構成されている。両側の切欠き22bの底部間の距離は、支持部材10の両側の案内部13の先端間距離よりもわずかに小さい。そのため、積載部材20の切欠き22bに支持部材10の案内部13を係合することができる。
【0029】
積載部材20が適度の柔軟性を有する場合は、両側の切欠き22bの底部間の距離を、支持部材10の両側の案内部13の先端間距離と等しくしても、積載部21の中央が縦線に沿って凹むように湾曲することにより、積載部材20の切欠き22bに支持部材10の案内部13を容易に係合することができる。
こうして、支持部材10には、
図1に示されているように、複数個の積載部材20が昇降可能に装着されている。
【0030】
いずれの積載部材20にも商品が積載されていない場合は、各積載部材20が自重により案内部13に沿って降下し、互いに上下に接触する状態で支持部材10に保持される。
図1には、明瞭化のため、各積載部材20を等距離ずつ離間して示されている。
【0031】
図1の各積載部材20の積載部21の上面には、ほぼ同じ大きさの商品(扁平物)、またはほぼ同じ大きさに畳まれた商品が積載される。まず、一つの商品を積載する場合の動作を説明する。積載したい高さ位置にある積載部材20(i)の上側の積載部材20(i+1)を引き上げて、片手でその上側の積載部材20(i+1)を保持し、下側の積載部材20(i)と上側の積載部材20(i+1)との間を積載しようとする商品の厚みよりも大きく開けて空間を設ける。その空間にもう一方の片手で商品を挿入して下側の積載部材20(i)の上面に載せ、そのまま商品を起立部12の方向(後方)に押して滑らせる。商品の押し込みを適切な載積位置で止めて、上側の積載部材20(i+1)を引き上げていた手を放す。手を放すと、支えられていた上側の積載部材20(i+1)及びその上側の積載部材20(i+n)が商品とともに、上側の積載部材20(i+1)の底面がその下側の商品に当るまで降下し、安定した状態で止まる。
【0032】
上述のように、商品を任意の位置の積載部21に積載するときは、積載部21の上面が開けられ、商品は摩擦の少ない積載部21の上面を滑り込まれるので、積載される商品は形崩れをしないばかりでなく、上下の既に積載されている商品の形崩れや積載状態の乱れを誘発することもない。したがつて、店員は従来と異なり、頻繁に積載状態の監視や補整作業を行う必要から解放される。また、積載状態の乱れが激減するので、顧客が商品探しを躊躇することも減ることが期待できる。
【0033】
上記の実施の形態において、支持部材10の両側の案内部13は、上下方向に連続するものに代えて、上下方向に間隔を置いて形成された切欠きを有するものとしても良い。この場合は、その切欠きの底部間距離を積載部材20の両側の切欠き22bの底部間距離とほぼ等しくすれば、積載部材20をその中央が縦線に沿って凹むように湾曲させた状態で係合部22を起立部12の開口12bに挿入し、案内部13のいずれかの切欠きに嵌合することにより、積載部材20を支持部材10の所望の高さ位置に止めることができる。
【0034】
本発明の他の実施の形態について、
図5~
図8に基づいて説明する。
この実施の形態における積載装置A2は、比較的簡素な構成の支持部材10Aと、機能が付加された複数個の積載部材20Aとを有する。
【0035】
支持部材10Aは、
図6に示すように、平板で形成された底部11’と、逆U字形の棒材で形成された起立部12’とで、折り畳み可能に構成されている。起立部12’は、逆U字形でなく、矩形であっても良い。起立部12’は、棒材の間に開口12cを有する。起立部12’は、既知の角度規制技術、一例として、底部11’の一端部に形成された既知のナックル(不図示)に、起立部12’の先端部に設けられたピン(不図示)を所定角度内で回転可能に挿入してなる枢軸により、
図6(a)に示すように起立部12’が底部11’に当接する位置から
図6(b)に示すように底部11’から直角に直立する角度まで、起伏可能に底部11’に接続されている。
【0036】
支持部材10Aは、折り畳み可能であることは必要条件ではないが、折り畳み可能であると、積載装置の運搬時の容積を小さくすることができるという利点がある。
【0037】
棒材で形成された起立部12’は、先の実施の形態の起立部12と案内部13とを兼ね備えている。すなわち、逆U字形又は矩形の棒材の全体が起立部12を構成し、両側の縦辺が案内部13を構成している。
【0038】
積載部材20Aは、
図7に示すように、積載部21の左右両側に商品の落下防止のためのカール部21aを有するほか、先の実施の形態と異なる機能を備えるため、係合部22Aは、積載部21の後方に延長された頭部22aの左右両側に、複数対の切欠き22bが後方に間隔を置いて設けられている。
【0039】
図8に示すように、積載部材20Aを支持部材10Aの底部11’に載せ、少し斜めにした状態で、積載部材20Aの係合部22Aを支持部材10Aの起立部12’の開口12cに挿入し、いずれかの切欠き22bが起立部12’(案内部13でもある。)と合致したとき、積載部材20Aを水平状態に戻すと、その切欠き22bに起立部12(案内部13)が係合する。したがって、積載部材20Aの切欠き22bと支持部材10Aの起立部12’との係合位置を変えることにより、積載部21の起立部12’からの突出長さを、商品の長さに適合するように調整することができる。また、この場合も積載部材20Aは支持部材10Aに昇降可能に保持される。
【0040】
図5~
図8には、本発明のもう一つの実施の形態が併せて示されている。すなわち、この実施の形態においては、積載部材20Aの積載部21の後方側の、係合部22Aから手前側に離れた位置に、積載される商品の後方傾斜を補正する突起または突出物(以下、突起等という。)23が設けられている。この突起等23は、積載部21の下面に突出している。積載部材20Aの積載部21に皿状の切り線と折り線を設け、その折り線に沿って下側に折り曲げて突出させてもよい。突起等23は、積載部材20Aとは別部材で枕状などに形成したものを付加しても良い。このように突起等23を下面に突出させることにより、積載部21を、全体的に後方側を高くすることができるので、積載する際に後方側に下り傾斜する傾向のある商品も後方に傾斜することなく積載することができる。
【0041】
突起等23は、積載部21に起伏可能に設けられていることが望ましい。起伏可能な突起等23を設ける場合は、一つの積載部材20Aを後方側に下り傾斜する傾向のある商品を積載するときにも、また、後方側に下り傾斜する傾向のない商品を積載するときにも使用することができる。すなわち、後方側に下り傾斜する傾向のある商品を積載するときには、その突起等23を起立させて使用すれば、商品の後方傾斜を抑制することができ、そうでないときは、突起等23を倒伏すれば、後方側に下り傾斜する傾向のない商品を安定した水平状態で積載することができる。
なお、突起等23は、積載部21の上面に突出させてもよい。この場合は、下面に突出する場合のように積載部21を後方側が高くなるように傾斜させることはできないが、後方側に下り傾斜する傾向のある商品を水平状態で積載することができる。
【0042】
図9は、本発明のさらに他の実施の形態に係る積載装置A3を示す。この積載装置A3においては、支持部材10Bは、矩形の平板の中央の部分をU字形の切り線に沿って切起こして起立部12’’を形成するとともに、外側の残された矩形状の部分により底部11’’を形成している。そして、起立部12’’の左右両辺で案内部13を形成している。一方、積載部材20Bは、積載部21の後端部から後方に延長された頭部22aを設け、その頭部22aに支持部材10Bの案内部13を挿通可能な複数の細い孔22cを形成してなる係合部22Bが設けられている。
【0043】
この実施の形態は、支持部材10Bの案内部13と、積載部材20Bの係合部22Bの形状が先の実施の形態と若干異なるだけで、基本的に同じ要領で支持部材10Bに複数個の積載部材20Bを装着可能であり、商品の長さに応じて積載部21の起立部12’’からの突出長さを変えることができる。
【0044】
先の実施の形態では、当該積載部材のみを移動して積載部の起立部からの突出長さを変えることができるが、この実施の形態の場合は、突出長さを変えたい積載部材20Bから上側のすべての積載部材20Bを一旦支持部材10Bから取り外して、再度装着する必要がある。しかし、一つの積載装置A3に、ほぼ同じ長さの商品を積載する場合は、すべての積載部材20Bの突出長さを等しくすることとなるので、不都合はない。
【0045】
図10~
図12は、本発明の第5の実施の形態を示す。この実施の形態の積載装置A4においては、支持部材10Cが、分離された底部11と起立部12とで構成されている。底部11は棚Sの上面に載置される平板11aの後端部に棚Sの後端部に固定される固定部11bを有するとともに、平板11aに前後方向に間隔を置いて嵌合溝11cが設けられている。起立部12は棚Sの上面に載置される底板12dとその底板から直立する起立板12aとを有し、底板12dに底部11の嵌合溝11cに前後不動に嵌合する突起12eを有する。起立板12aは左右対向辺に案内部13を有する開口12cを有し、その開口12cに、
図5に示された積載部材20Aと同様に、積載部材20Aの左右に複数対の係合部22bを有する頭部22aを昇降可能に嵌合することができる。
【0046】
上記の構成により、棚Sの上面に載置され、固定部11bにより棚Sの所定の位置に載置されている底部11の平板11aを起立部12の開口12cと位置合わせをし、平板11aの先端と棚Sの上面との間に起立部12の底板12dを挿入し、起立部12の突起12eを底部11の平板11aのいずれかの嵌合溝11cに嵌合することにより、
図11に示すように、起立部12の起立板12aの棚Sの端部からの距離を嵌合溝11cの数の段階の中で設定することができる。そして、積載部材20Aの頭部22aをやや傾けて起立部12の開口12cに挿入し、いずれかの係合部22bに案内部13を位置合わせして積載部材20Aを水平状態に戻すと、係合部22bと案内部13との接触摩擦によりその水平状態が維持される。しかし、積載部材20Aの積載部21に手でわずかの力を加えれば、積載部21を上下方向に移動させることができる。
【0047】
図12は、上下の棚S1,S2の内、下側の棚S1に、本実施の形態に係る積載装置A4を3個備えた例を示す。各装置の積載部材20Aは、それぞれ被積載物の長さなどにより起立部12からの突出量を任意に変え、いずれの被積載物の正面の位置を揃えて、見栄えを良くすることができる。
【符号の説明】
【0048】
A1,A2,A3,A4 積載装置
10,10A,10B 支持部材
11,11’,11’’ 底部
12,12’,12’’ 起立部
12b,12c 開口
13 案内部
20,20A,20B 積載部材
21 積載部
22A,22B 係合部
22b 切欠き
23 突起等