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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】波動膜流体循環装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20221014BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
F04B43/02 B
F04B43/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020525986
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080749
(87)【国際公開番号】W WO2019092175
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】1760583
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518357656
【氏名又は名称】コルウェーブ エスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドゥルヴェ, ジャン-バプティスト
(72)【発明者】
【氏名】ギユマン, アロルド
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許発明第00355700(FR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0330383(US,A1)
【文献】欧州特許第00412856(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/00-47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動膜流体循環装置であって、前記波動膜流体循環装置は、少なくとも1つの取水ポート(3)と、推進チャンバ(5)の境界を定めるポンプ筐体(4)と、少なくとも1つの放水ポート(6)と、膜(2)とを備え、前記膜(2)は、その上流縁(8)と下流縁(9)との間に前記膜(2)の波動移動を発生させるための駆動手段(13)と対にされ記膜(2)は、流体を前記放水ポート(6)に向かって移動させることが可能であ
前記循環装置が、前記膜(2)の縁(8、9)のうちの一方の近傍にある流体推進チャンバ(5)の中に配置された前記流体を誘導し、かつ、流体流を前記膜(2)に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にするための、第1の誘導手段(7a)を備えること
を特徴とし、
前記循環装置は、前記第1の誘導手段(7a)が延在する平面に対して垂直の平面内に配置される相補的誘導手段(11)をさらに備える、流体循環装置。
【請求項2】
前記第1の誘導手段(7a)は、前記膜(2)の上流縁(8)の近傍に配置され、第2の誘導手段(7b)は、前記膜(2)の下流縁(9)の近傍に配置される、請求項1に記載の流体循環装置。
【請求項3】
前記第1の誘導手段(7a)は、少なくとも1つのバッフル(10)を備える、請求項1または2のいずれかに記載の流体循環装置。
【請求項4】
前記第2の誘導手段(7b)は、少なくとも1つのバッフル(10)を備える、請求項2に記載の流体循環装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバッフル(10)は、前記流体の推進を助長するように可撓性である、請求項3または請求項4に記載の流体循環装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバッフル(10)は、前記膜(2)に沿った前記波の変位に対して略平行に配置される、請求項3または請求項4に記載の流体循環装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバッフルは、主要流体流を上下に重なって流動する複数の流動の中に導くことを可能にする上下に重なって設置される少なくとも2つのバッフル(10)を備える、請求項3に記載の流体循環装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバッフル(10)は、前記ポンプ筐体(4)に固着される、請求項からのいずれかに記載の流体循環装置。
【請求項9】
前記第1の誘導手段(7a)は、前記膜(2)の上流縁(8)または下流縁から、前記上流縁(8)および下流縁(9)を分離する長さの50分の1未満の距離を空けて配置される、請求項1からのいずれかに記載の流体循環装置。
【請求項10】
前記相補的誘導手段(11)は、前記第1の誘導手段(7a)に締結される、請求項1から9のいずれかに記載の流体循環装置。
【請求項11】
波動膜流体循環装置であって、前記波動膜流体循環装置は、少なくとも1つの取水ポート(3)と、推進チャンバ(5)の境界を定めるポンプ筐体(4)と、少なくとも1つの放水ポート(6)と、膜(2)とを備え、前記膜(2)は、その上流縁(8)と下流縁(9)との間に前記膜(2)の波動移動を発生させるための駆動手段(13)と対にされ、前記膜(2)は、流体を前記放水ポート(6)に向かって移動させることが可能であり、
前記循環装置が、前記膜(2)の縁(8、9)のうちの一方の近傍にある流体推進チャンバ(5)の中に配置された前記流体を誘導し、かつ、流体流を前記膜(2)に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にするための、第1の誘導手段(7a)を備えること
を特徴とし、
前記第1の誘導手段(7a)は、前記流体の温度を変動させることが可能である熱伝達要素を備える流体循環装置。
【請求項12】
波動膜流体循環装置であって、前記波動膜流体循環装置は、少なくとも1つの取水ポート(3)と、推進チャンバ(5)の境界を定めるポンプ筐体(4)と、少なくとも1つの放水ポート(6)と、膜(2)とを備え、前記膜(2)は、その上流縁(8)と下流縁(9)との間に前記膜(2)の波動移動を発生させるための駆動手段(13)と対にされ、前記膜(2)は、流体を前記放水ポート(6)に向かって移動させることが可能であり、
前記循環装置が、前記膜(2)の縁(8、9)のうちの一方の近傍にある流体推進チャンバ(5)の中に配置された前記流体を誘導し、かつ、流体流を前記膜(2)に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にするための、第1の誘導手段(7a)を備えること
を特徴とし、
前記第1の誘導手段(7a)は、前記第1の誘導手段が、前記駆動手段(13)の可動部分(14)に対して弾性的に変形可能な様式で誘導されるように、ばね荷重された接続部を介して前記可動部分(14)に接続される流体循環装置。
【請求項13】
前記第1の誘導手段(7a)は、可撓性接続部(16a)を介して前記膜(2)の上流縁(8)または第1の下流縁(9)に接続され、前記第1の誘導手段(7a)は、前記膜(2)および前記可撓性接続部(16)とともに、前記膜(2)によって相互から分離された前記推進チャンバ(5)の2つの異なる空間の間に緊密なバリアを形成する、請求項1に記載の流体循環装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波動膜流体循環装置に関する。
【0002】
本発明は、有利なこととして、例えば、医療または食品分野において、感受性流体の輸送のために使用されることができる。しかしながら、特に、そのような用途に関して意図されるが、循環装置はまた、他の産業または家庭用途においても使用され得る。
【背景技術】
【0003】
特許第FR2 744 769号は、波動膜流体循環装置の原理を開示し、循環装置は、例えば、ポンプ、ファン、圧縮器、または推進ユニットの形態をとることが可能である。
【0004】
本タイプの循環装置は、ポンプ筐体内で波動するように作製される、膜を備える。ポンプ筐体は、取水ポートと放水ポートとの間で搬送されるべき流体のための推進チャンバの境界を定める。膜は、膜に接続されるアクチュエータ等の駆動手段によってアクティブ化される。膜のアクティブ化は、それを波動させ、ひいては、その推進を確実にするように、機械エネルギーを流体に伝達する。
【0005】
本タイプの循環装置は、他のポンプ技術に優る多数の利点、例えば、交互サイクル容積ポンプまたは蠕動容積ポンプを有する。特に、本タイプの循環装置は、感受性流体を輸送するために好適であり、より少ない空間を要求する。
【0006】
しかしながら、本出願人には、出願第FR2 744 769号における構造は、流体の膜の上流および下流への移動を考慮すると、最適ではなく、膜の上流および下流縁における推進の有効性が、低減され、その結果、循環装置の油圧動力を限定すると考えられた。
【0007】
より具体的には、本出願人は、膜に沿った波の変位に対する横方向への流体の移動の存在に着目している。膜の縁におけるこれらの横方向の移動は、膜の上方に位置する空間と下方に位置する空間との間の推進チャンバ内に存在する、圧力差を低減させ、結果として、膜の上流および下流縁の推進力を低減させる。
【0008】
本発明の目的は、先行技術において説明される波動膜流体循環装置への改良を提案することである。
本発明の目的
【0009】
したがって、本発明の目的は、空間の同一の量を要求しながら、その構造が膜の縁における有意な圧力差を維持することを可能にし、循環装置のための増加された油圧動力を確実にする、循環装置を提案することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】仏国特許発明第2744769号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本目標を達成するために、本発明は、少なくとも1つの取水ポートと、推進チャンバの境界を定めるポンプ筐体と、少なくとも1つの放水ポートと、その上流縁と下流縁との間での膜の波動移動を発生させるための駆動手段と対にされる、変形可能膜であって(この場合、該波動移動は、上流縁から下流縁に伝搬する)、波動膜は、流体を放水ポートに向かって移動させることが可能である、変形可能膜とを有する、波動膜流体循環装置に関する。
【0012】
本発明によると、循環装置は、流体を誘導するための第1の手段であって、該手段は、波動膜の縁のうちの一方の近傍にある、流体推進チャンバの中に配置され、流体流を膜に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にする、第1の手段を備える。
【0013】
本発明を明確にする目的のために、「波動膜の縁のうちの一方の近傍にある」という表現は、「膜の他方の上流縁または下流縁より、膜の一方の上流縁または下流縁に対して近傍にある」ことを意味する。
【0014】
したがって、流体を誘導するための第1の手段は、膜の縁のうちの一方、すなわち、この場合、下流縁より、上流縁に対して近傍にある。
【0015】
本発明による循環装置の構造は、したがって、膜の少なくとも1つの縁において、膜に沿った波の変位に対して横方向の流体の流動を排除する、または少なくともそれを限定することを可能にする。
【0016】
理想的には、バッフルは、膜と接触し得る、または好ましくは、該膜からある距離を空けている、膜と別個の構成要素である。また、該バッフルは、好ましくは、ポンプ筐体に固着される。
【0017】
1つの好ましい実施形態によると、第1の誘導手段は、波動膜の上流縁の近傍に配置され、第2の誘導手段は、波動膜の下流縁の近傍に配置される。
【0018】
このように、膜の上方に位置する空間と下方に位置する空間との間の圧力差は、膜の表面全体にわたって高いレベルに維持され、したがって、前述のデバイスと比較して、該膜のために増加された油圧動力を確実にする。
【0019】
好ましくは、第1の誘導手段は、上流縁に沿って延在しながら、該上流縁に面し、それからある距離を空けている。
【0020】
好ましくは、第2の誘導手段は、下流縁に沿って延在しながら、該下流縁に面し、それからある距離を空けている。
【0021】
第1の誘導手段は、堅性であり、可撓性かつ変形可能である膜と比較して、比較的に変形可能ではない。
【0022】
その堅性のため、第1の誘導手段は、誘導手段の両側の層流を膜の上流縁に近接する領域まで助長し、これは、上流縁における乱流を低減させ、波動膜の流体推進有効性を改良する。
【0023】
同様に、第2の誘導手段は、堅性であり、可撓性かつ変形可能である膜と比較して、比較的に変形可能ではない。
【0024】
その堅性のため、第2の誘導手段は、誘導手段の両側の層流を助長し、該層流は、したがって、膜の下流縁の近傍に助長される。これは、下流縁における乱流を低減させ、波動膜の流体推進有効性を改良する。
【0025】
また、第1の誘導手段が、可撓性接続部を介して膜の上流縁に接続されることも、可能性として考えられ、該第1の誘導手段は、膜および可撓性接続部とともに、膜によって相互から分離された推進チャンバの2つの異なる空間の間に、緊密なバリアを形成する。
【0026】
該可撓性接続部は、流体が第1の誘導手段と膜の上流縁との間で流動することを防止し、これはさらに、流動内の乱流源を限定する。本解決策は、ある場合では、循環装置の有効性を改良し得る。
【0027】
同様に、また、第2の誘導手段が、可撓性接続部を介して膜の下流縁に接続されることも、可能性として考えられ、該第2の誘導手段は、膜および該可撓性接続部とともに、膜および第2の誘導手段によって相互から分離された推進チャンバの2つの異なる空間の間に、緊密なバリアを形成する。
【0028】
該可撓性接続部は、流体が第2の誘導手段と膜の下流縁との間で流動することを防止し、これはさらに、流動内の乱流源を限定する。本解決策は、ある場合では、循環装置の有効性を改良し得る。
【0029】
好ましくは、第1の誘導手段は、好ましくは、膜が、膜に沿った波の変位に対して略平行である流動方向に対して垂直の視認方向で視認されると、膜の上流縁に沿って、かつ膜と直線上に延在する、少なくとも1つのバッフルを備える。
【0030】
好ましくは、第2の誘導手段は、好ましくは、膜が、膜に沿った波の変位に対して略平行である流動方向に対して垂直の視認方向で視認されると、膜の下流縁に沿って、かつ膜と直線上に延在する、少なくとも1つのバッフルを備える。
【0031】
したがって、選択された膜が膜平面内に延在するような傾向を有する場合では、上流バッフルおよび/または下流バッフルもまた、膜平面に対して平行な平面内に延在する(図1から3および5から8の実施例参照)。逆に、選択された膜が、その環状の上流縁と下流縁と間に延在する、管を形成する場合では、環状の上流バッフルおよび/または環状の下流バッフルが、提供される(図4の実施例参照)。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
波動膜流体循環装置であって、前記波動膜流体循環装置は、少なくとも1つの取水ポート(3)と、推進チャンバ(5)の境界を定めるポンプ筐体(4)と、少なくとも1つの放水ポート(6)と、その上流縁(8)と下流縁(9)との間に前記膜(2)の波動移動を発生させるための駆動手段(13)と対にされる変形可能膜(2)であって、前記波動膜(2)は、流体を前記放水ポート(6)に向かって移動させることが可能である、変形可能膜(2)とを備え、
前記循環装置が、前記波動膜(2)の縁(8、9)のうちの一方の近傍にある流体推進チャンバ(5)の中に配置された前記流体を誘導し、かつ、流体流を前記膜(2)に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にするための、第1の手段(7a)を備えること
を特徴とする、流体循環装置。
(項目2)
前記第1の誘導手段(7a)は、前記波動膜(2)の上流縁(8)の近傍に配置され、第2の誘導手段(7b)は、前記波動膜(2)の下流縁(9)の近傍に配置される、項目1に記載の流体循環装置。
(項目3)
前記第1の誘導手段(7a)は、少なくとも1つのバッフル(10)を備える、項目1または2のいずれかに記載の流体循環装置。
(項目4)
前記第2の誘導手段(7b)は、少なくとも1つのバッフル(10)を備える、項目2に記載の流体循環装置。
(項目5)
前記バッフル(10)は、前記流体の推進を助長するように可撓性である、項目3または項目4に記載の流体循環装置。
(項目6)
前記バッフル(10)は、前記膜(2)に沿った前記波の変位に対して略平行に配置される、項目3または項目4に記載の流体循環装置。
(項目7)
主要流体流を上下に重なって流動する複数の流動の中に導くことを可能にする上下に重なって設置される少なくとも2つのバッフル(10)を備える、項目3に記載の流体循環装置。
(項目8)
前記第1の誘導手段(7a)は、前記流体の温度を変動させることが可能である熱伝達要素を備える、項目1から6のいずれかに記載の流体循環装置。
(項目9)
前記第1の誘導手段(7a)は、前記膜(2)の上流縁(8)または下流縁から、前記上流縁(8)および下流縁(9)を分離する長さの50分の1未満の距離を空けて配置される、項目1から7のいずれかに記載の流体循環装置。
(項目10)
前記第1の誘導手段(7a)が延在する平面に対して垂直の平面内に配置される相補的誘導手段(11)を備える、項目1から9のいずれかに記載の流体循環装置。
(項目11)
前記相補的誘導手段(11)は、前記第1の誘導手段(7a)に締結される、項目10に記載の流体循環装置。
(項目12)
前記第1の誘導手段(7a)は、前記第1の誘導手段が、可動部分(14)に対して弾性的に変形可能な様式で誘導されるように、ばね荷重された接続部を介して前記駆動手段(13)の可動部分(14)に接続される、項目1から11のいずれかに記載の流体循環装置。
(項目13)
前記第1の誘導手段(7a)は、可撓性接続部(16a)を介して前記膜(2)の上流縁(8)または第1の下流縁(9)に接続され、前記第1の誘導手段(7a)は、前記膜(2)および前記可撓性接続部(16)とともに、前記膜(2)によって相互から分離された前記推進チャンバ(5)の2つの異なる空間の間に緊密なバリアを形成する、項目1に記載の流体循環装置。
(項目14)
前記バッフル(10)は、前記ポンプ筐体(4)に固着される、項目1から13のいずれかに記載の流体循環装置。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、非限定的な実施例として提供される添付の図面を参照して、詳述される例示的実施形態の説明を熟読することによって、より深く理解されるであろう。
【0033】
図1図1は、本発明による第1の実施例による、流体循環装置の例示的実施形態の、側面断面図(この場合、長手方向)における略図である。
図2図2は、本発明による、流体循環装置の第2の例示的実施形態の、部分的な直径断面(この場合、円形)における略図である。
図3図3は、本発明による、流体循環装置の第3の例示的実施形態の、部分的断面図(この場合、長手方向)における略図である。
図4図4は、本発明による、流体循環装置の第4の例示的実施形態の、側面断面図(この場合、円筒形)における略図である。
図5図5は、本発明のある要素の第1の代替実施形態の斜視図である。
図6図6は、本発明のある要素の第2の代替実施形態の斜視図である。
図7図7は、流体循環装置の第5の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
主に図1を参照すると、長手方向の細片の形態にある、変形可能な波動膜2と、流体取水ポート3と、推進チャンバ5の境界を定めるポンプ筐体4と、放水ポート6とを有する、循環装置1が、部分的に示される。
【0035】
波動膜2は、その上流縁8と下流縁9との間での膜2の波動移動を可能にする、駆動手段と対にされ、該駆動手段および膜への接続のための要素は、出願第FR2 744 769号の中で取り上げられており、それをより解釈し易くするために添付の図1から6には示されていない。駆動手段は、有利なこととして、膜2の上流縁に直接、または接続要素を介してそれに接続される、アクチュエータから成る。
【0036】
膜2を作動させることによって、膜2の上流縁8から下流縁9に向かって伝搬する波動が、作成されることができる。流体は、取水ポート3を介して推進チャンバ5の中に導入され、次いで、膜2の波動を用いて放水ポート6に向かって移動される。
【0037】
放水ポート6に向かった本移送を改良するために、本発明に従って、循環装置1は、流体を誘導するための手段7を装備する。図1は、波動膜2の上流の推進チャンバ5の中に配置される、誘導手段7を示す。
【0038】
該誘導手段7は、流体流を膜2に沿った波の変位に対して略平行な方向に導くことを可能にする。
【0039】
膜2の上流に到達する流体は、誘導手段7によって、波の変位に対して横方向に移動することを防止され、その結果、流体は、その波動に応じて、膜2の上方または下方に流動することができなくなる。このように、波動によって作成される圧力差は、文書FR 2 744 769に説明される循環装置の場合におけるように、もはや流体の横方向の移送によって補償されない。
【0040】
したがって、維持される圧力差は、上流縁8の近傍にある膜の一部による流体の良好な推進を確実にし、これは、したがって、効果的になる。したがって、循環装置1によって発生される油圧動力が、増加される。
【0041】
本発明の有利な特徴に従って、誘導手段7もまた、膜2の下流縁9に近接する膜2の下流に提供される。
【0042】
下流に配置される誘導手段7の機能は、膜2の上流に位置するもののものと同一であり、すなわち、膜2から出る流体流を指向することによって、圧力差を維持することを可能にし、したがって、下流縁9による流体の良好な推進を確実にする。このように、膜2全体が、効果的に使用され、循環装置1の油圧動力が、増加される。
【0043】
添付の図に示される好ましい実施形態では、誘導手段7は、少なくとも1つのバッフル10を備える。
【0044】
バッフル10は、有利なこととして、これが、流体を誘導するだけではなく、その推進も助長するように、可撓性材料から作製される。有利なこととして、可撓性バッフルを刺激するための手段が、提供され、それによって、バッフル10および膜の刺激が、相互に位相対立する。
【0045】
しかしながら、堅性バッフルが、他の実施形態において使用されてもよい。
【0046】
膜に対する流体の分布を最適化させるために、バッフルまたは複数のバッフル10が、膜2に沿った波の変位に対して平行に配置される。
【0047】
しかしながら、バッフル10はまた、流体を、膜2の上方に位置する空間と下方に位置する空間との間で異なるように分散させるために、または流体取水ポート3または放水ポート6の位置に対応するために、わずかに傾斜されてもよい。
【0048】
本発明の特徴に従って、バッフル10は、ポンプ筐体4に直接、または接続要素を介してそれに固着される。有利なこととして、バッフル10およびポンプ筐体は、一体的に形成される。
【0049】
図2を参照すると、円形の流体循環装置1が、示され、本タイプの循環装置は、ポンプ筐体4と、波動膜2とを備え、該膜は、ディスク形状である。本例示的実施形態では、その上流縁8において膜2を囲繞するリングの形態にある第1のバッフル10、および、放水ポート6と膜の下流縁9との間に配置される第2のバッフル10が、見られ得る。バッフル10は、図1に示される長手方向の細片の形態にある、膜2のために提供されるものと同一の様式で動作する。
【0050】
他の実施形態では、上下に重なって設置される、少なくとも2つのバッフル10が、膜2の上流および/または下流に提供されることに留意されたい。実施例として、図3を参照すると、上下に重なって設置される、3つのバッフルが、示される。上下に重なって設置される、複数のバッフル10の使用は、層流を得るために、主要流動を、上下に重なって流動する、複数の第2の流体流の中に分離し、該流動のそれぞれを、改良された様式で導くことを可能にする。本有利な特徴は、特に、推進チャンバ5の断面が、バッフルの領域内で大きい場合、好適である。
【0051】
図4を参照すると、循環装置1の第3のタイプ、すなわち、波動膜2が管状である、円筒形の循環装置が、示される。本タイプの循環装置では、膜2の上流および下流に配置される円筒形のバッフル10の形態にある、誘導手段7もまた、提供される。
【0052】
上流のバッフル10と波動膜2の上流縁8との間、および下流のバッフル10と波動膜2の下流縁9との間での流体の移送を防止するために、バッフル10は、波動膜2の縁から、またはそれをアクチュエータに接続する、その支持部から、有利なこととして、波動膜2の上流縁8および下流縁9を分離する長さの50分の1未満の短い距離を空けて配置される。言い換えると、第1の誘導手段7aは、膜2の上流縁8から、上流縁8および下流縁9を分離する長さの50分の1未満の距離を空けて配置される。同様に、第2の誘導手段7bは、膜2の下流縁9から、上流縁8および下流縁9を分離する長さの50分の1未満の距離を空けて配置されてもよい。
【0053】
しかしながら、他の実施形態では、波動膜2の縁からより遠いバッフルが、使用されてもよい。
【0054】
図5を参照すると、循環装置1の代替実施形態が、示される。本変形例は、相補的誘導手段11を備え、該相補的誘導手段11は、第1の誘導手段7aが延在する平面に対して垂直の平面内に配置され、取水ポート3と波動膜2との間での流体の円形運動を防止することを可能にする。
【0055】
別の実施形態(図示せず)では、相補的誘導手段11はまた、第2の誘導手段7bが延在する平面に対して垂直の平面内に配置されることができ、それらはまた、放水ポートと波動膜2との間での流体の円形運動を防止することを可能にすることができる。
【0056】
誘導手段7a、7bの場合におけるように、相補的誘導手段11は、循環装置1の油圧動力を増加させることを可能にする。
【0057】
特定の特徴に従って、相補的誘導手段11は、図5に示されるように、第1の誘導手段7aに締結され、有利なこととして、第1の誘導手段7aおよび相補的誘導手段11は、一体的に形成される。
【0058】
本発明の他の特徴もまた、下記の請求項内に定義される、本発明の範囲から逸脱することなく、想起され得る。
【0059】
したがって、実施例として、本説明に含まれる異なる実施例において、誘導手段7a、7bはそれぞれ、バッフル10から成るが、他の実施形態では、異なるデバイスが、特に、それぞれが、膜の上方または下方の空間に向かって配向される、2つの別個の流動入口を提供することによって、流動を誘導するために使用され得る。
【0060】
別の実施形態では、誘導手段7aおよび/または7bは、圧送されるべき流体の流動性および/またはその温度を変動させることを可能にする、熱伝達要素を備える。誘導手段の本実施形態は、加熱要素12が、第1の誘導手段によって支持される、図6に示される。本実施例はまた、それらが、加熱要素12を支持する誘導手段から延在するため、また、熱拡散器の機能も実施する、相補的誘導手段11を特徴とする。当然ながら、この場合、誘導手段7aによって支持される、熱伝達要素は、加熱手段12を備えるが、それらはまた、冷却手段および/または冷却回路を備えてもよい。
【0061】
図7に示される別の実施形態では、誘導手段7は、ポンプ筐体4に接続されていないが、膜の駆動手段13と膜2自体との間に固着される。故に、第1の誘導手段7aは、第1の誘導手段が、可動部分14に対して弾性的に変形可能な様式で誘導されるように、ばね荷重された接続部を介して駆動手段13の可動部分14に接続される。
【0062】
誘導手段7aまたは7bを、ばね荷重された接続部を介して、駆動手段13に、より具体的には、駆動手段13の可動部分14に接続することによって、可動部分14は、流体中に浸漬される、誘導手段7aまたは7bによって誘導されることと、衝撃が緩和されることとの両方が行われる。これを行うために、第1の誘導手段7aは、クラウンの形態にあり、かつ接続部にばねの効果を与えるように、可動部分14への接続部の領域内にカットアウト15を備える、バッフル10から成る。
【0063】
図8に示される別の実施形態では、第1の誘導手段7aは、可撓性接続部16aを介して膜2の上流縁8に接続されてもよく、該第1の誘導手段7aは、膜2および可撓性接続部16とともに、推進チャンバ5の2つの異なる空間の間に緊密なバリアを形成する。
【0064】
図8に示される別の実施形態では、第2の誘導手段7bもまた、第2の可撓性接続部16bを介して膜2の下流縁9に接続されてもよく、該第2の誘導手段7bは、膜2および第2の可撓性接続部16bとともに、膜2によって相互から分離される、推進チャンバ5の2つの異なる空間の間に緊密なバリアを形成する。
【0065】
言い換えると、図8に示される実施形態では、誘導手段7a、7bおよび膜の上流縁8および下流縁9は、それぞれ、第1および第2の可撓性接続部16a、16bによって相互に接続され、膜の上方に位置する推進チャンバの一部と下方に位置する一部との間にシールを形成することを可能にする。このように、チャンバの該2つの部分/空間の間の流体の横方向の流動が、膜2に沿った波の変位の間に防止される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8