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  • 特許-ロッドクランプ及びロッド取扱装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ロッドクランプ及びロッド取扱装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 19/18 20060101AFI20221014BHJP
【FI】
E21B19/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021070173
(22)【出願日】2021-04-19
(62)【分割の表示】P 2019214059の分割
【原出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2021102921
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505040051
【氏名又は名称】株式会社エムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(74)【代理人】
【識別番号】100112416
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 定信
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和典
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆寛
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-263580(JP,A)
【文献】実公昭62-035757(JP,Y2)
【文献】特開平07-238774(JP,A)
【文献】特開平07-238773(JP,A)
【文献】特開平07-238772(JP,A)
【文献】特開2017-048639(JP,A)
【文献】特開平09-287377(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321501(US,A1)
【文献】特開平08-296388(JP,A)
【文献】特開2013-043734(JP,A)
【文献】特許第2899265(JP,B1)
【文献】特開平02-232470(JP,A)
【文献】特開昭61-102992(JP,A)
【文献】特開昭51-106601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプハウジングと、該クランプハウジングに支持され、同時に閉方向に駆動される一対のクランプ片と、を備え、二重管ロッドにおけるインナロッドとアウタロッドを区別なく常に同一軸線上に把持可能なロッドクランプであって、前記一対のクランプ片のそれぞれは、前記インナロッド又は前記アウタロッドに接触するくの字状のロッド把持面を備える、ロッドクランプ。
【請求項2】
前記一対のクランプ片のそれぞれが、前記クランプハウジングにクランプ軸で回動自在に支持され、前記一対のクランプ片を同時に開閉駆動するクランプアクチュエータを備える、請求項1に記載のロッドクランプ。
【請求項3】
前記各クランプ軸を中心とする円弧状の案内溝が前記クランプハウジングに形成され、前記各案内溝に係合する被案内部材が前記各クランプ片の反ロッド把持側端部に配設され、前記各被案内部材が前記クランプアクチュエータにより同時に駆動される、請求項2に記載のロッドクランプ。
【請求項4】
クランプハウジングと、該クランプハウジングに支持されて同時に開閉駆動される一対のクランプ片であって、径の異なるロッドを常に同一軸線上に把持可能な一対のクランプ片と、前記一対のクランプ片を同時に開閉駆動するクランプアクチュエータと、を備えるロッドクランプであって、前記一対のクランプ片のそれぞれが前記クランプハウジングにクランプ軸で回動自在に支持され、該各クランプ軸を中心とする円弧状の案内溝が前記クランプハウジングに形成され、前記各案内溝に係合する被案内部材が前記各クランプ片の反ロッド把持側端部に配設され、前記各被案内部材が前記クランプアクチュエータにより同時に駆動される、ロッドクランプ。
【請求項5】
三次元的に動作可能なアームに対して連結可能なベース部材を備え、該ベース部材によって請求項1から4のいずれか一項に記載のロッドクランプが支持される、ロッド取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッドを把持するロッドクランプに関するものである。本発明はまた、前記ロッドクランプを備えるロッド取扱装置に関するものである。本発明のロッドクランプとロッド取扱装置は、例えば、掘削機(穿孔機)に対して掘削用の二重管ロッドを供給したり、掘削機から二重管ロッドを回収したりするための二重管ロッド取扱装置の構成要素として用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すような土木作業用の掘削機(穿孔機)で地盤に深孔を形成する際には、インナロッドとアウタロッドで構成される掘削用の二重管ロッドを順次継ぎ足しながら削孔する場合がある。従来、掘削機への二重管ロッドの供給及び掘削機からの二重管ロッドの回収は、人手で行うか、あるいはクレーン等を用いて行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-23551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人手での作業は不能率であり、危険でもある。また、クレーンを用いる場合でも、クレーンの巻き上げワイヤへ二重管ロッドを連結する作業や、掘削機における二重管ロッドセット位置への二重管ロッドの芯合わせ作業には人手が必要であるので、それらの作業には手間がかかり、また危険でもある。掘削機からの二重管ロッドの回収時にも同様の問題がある。そこで、掘削機に対する二重管ロッドの供給及び回収を能率的且つ安全に実施できる二重管ロッド取扱装置が求められている。
【0005】
本発明は、前記二重管ロッド取扱装置の開発過程で得られたロッドクランプとロッド取扱装置とを特許の対象として提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロッドクランプは、クランプハウジングと、該クランプハウジングに支持され、同時に閉方向に駆動される一対のクランプ片と、を備え、二重管ロッドにおけるインナロッドとアウタロッドを区別なく常に同一軸線上に把持可能なロッドクランプであって、前記一対のクランプ片のそれぞれは、前記インナロッド又は前記アウタロッドに接触するくの字状のロッド把持面を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0007】
実施の一形態として、前記一対のクランプ片のそれぞれが、前記クランプハウジングにクランプ軸で回動自在に支持され、前記一対のクランプ片を同時に開閉駆動するクランプアクチュエータを備える態様としてもよい(請求項2)。
【0008】
実施の一形態として、前記各クランプ軸を中心とする円弧状の案内溝が前記クランプハウジングに形成され、前記各案内溝に係合する被案内部材が前記各クランプ片の反ロッド把持側端部に配設され、前記各被案内部材が前記クランプアクチュエータにより同時に駆動される態様としてもよい(請求項3)。
【0009】
実施の一形態として、クランプハウジングと、該クランプハウジングに支持されて同時に開閉駆動される一対のクランプ片であって、径の異なるロッドを常に同一軸線上に把持可能な一対のクランプ片と、前記一対のクランプ片を同時に開閉駆動するクランプアクチュエータと、を備えるロッドクランプであって、前記一対のクランプ片のそれぞれが前記クランプハウジングにクランプ軸で回動自在に支持され、該各クランプ軸を中心とする円弧状の案内溝が前記クランプハウジングに形成され、前記各案内溝に係合する被案内部材が前記各クランプ片の反ロッド把持側端部に配設され、前記各被案内部材が前記クランプアクチュエータにより同時に駆動される態様としてもよい(請求項4)。
【0010】
また、本発明に係るロッド取扱装置は、三次元的に動作可能なアームに対して連結可能なベース部材を備え、該ベース部材によって前記ロッドクランプが支持されることを特徴とする(請求項5)。なお、前記アームの動作は作業員の運転によるものであってもよいし、コンピュータによる自動制御であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の一形態に係るロッドクランプ及びロッド取扱装置を備える二重管ロッド取扱装置を油圧ショベルのアームに連結した状態の側面図である。
図2図1を左側から図示した正面図である。
図3図1における二重管ロッド取扱装置の斜視図である。但し、二つのクランプの、縦軸を中心とする回動位置が、図1のものに対して90度変更された状態である。
図4図1における二重管ロッド取扱装置の拡大図である。
図5図2における二重管ロッド取扱装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図面に示す二重管ロッド取扱装置は、本発明の実施の一形態に係るロッドクランプ及びロッド取扱装置を備えている。図示の二重管ロッド取扱装置は、インナロッドとアウタロッドで構成される掘削用の二重管ロッドを掘削機(穿孔機)へと供給したり掘削機から回収したりする装置である。掘削機は、ガイド部材に沿って進退可能なドリルヘッドに二重管ロッドを取り付け、この二重管ロッドに例えば回転と給進と打撃を与えて地盤に穴開けを行うものである。掘削機の構成は、例えば特開2005-23551号公報等に記載されているように従来公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0014】
図1及び図2に示すように、二重管ロッド取扱装置1は、三次元的に動作可能なアーム2に連結して使用される。図1では、アームの一例として、土木作業用の油圧ショベル3のアーム2が示されている。通常の油圧ショベル3のアーム2からバケット(図示せず)を取り外し、バケットの代わりに二重管ロッド取扱装置1が連結される。なお、以下の説明において、前後左右の方向は、油圧ショベル3の運転席4の運転者から見た場合の方向である。
【0015】
アーム2は、油圧ショベル3の機体5に対して前後揺動自在に連結されており、元側油圧シリンダ6の作動によって、水平な元側枢支軸7を中心として前後に揺動する。油圧ショベル3の機体5は、クローラ式等の走行装置8上で縦軸X1を中心として旋回自在である。機体5には運転席4があり、この運転席4から作業員がレバー式等の各種の操作部材9を操作して油圧ショベル3を運転する。
【0016】
アーム2は、元側アーム部材10と先側アーム部材11とを備え、これらのアーム部材10,11が水平な中間枢支軸12によって相対回動自在に連結されている。元側アーム部材10の元部10aは、元側枢支軸7によって機体5の前部に連結される。元側アーム部材10は、くの字状に曲がっている。元側アーム部材10の前方に元側油圧シリンダ6が配置される。そして、元側油圧シリンダ6の伸縮ロッド6aが、元側アーム部材10の屈曲部10bの内側に、相対回動自在に連結される。元側油圧シリンダ6の下端6bは、機体5に対して相対回動自在に連結される。
【0017】
元側アーム部材10の屈曲部10bの外側には、中間油圧シリンダ13の元部13aが相対回動自在に連結される。中間油圧シリンダ13の伸縮ロッド13bは、中間枢支軸12よりも上方で、先側アーム部材11に相対回動自在に連結される。中間油圧シリンダ13が作動することで、中間枢支軸12を中心として先側アーム部材11の先端側が前後に揺動する。
【0018】
先側アーム部材11の元部11aには、先側油圧シリンダ14の元部14aが相対回動自在に連結される。先側油圧シリンダ14の伸縮ロッド14bは、先側アーム部材11の先端側に配設される四節回転機構(特に、てこクランク機構15)に連結される。また、先側アーム部材11の先端側には、てこクランク機構15を介して二重管ロッド取扱装置1が連結される。先側油圧シリンダ14が作動することで、てこクランク機構15を構成するクランク15aが回転駆動され、連接棒15bを介して、先側アーム部材11の先端側の一部を固定リンク15cとするてこクランク機構15が駆動される。これにより、二重管ロッド取扱装置1が前後方向に揺動する。
【0019】
アーム2は、油圧ショベル3のアームに限定されないことは勿論である。図1のアーム2は単なる一例であり、三次元的に動作可能なものであればどのような態様であってもよい。例えば、油圧ショベル3のアーム2と同様の機能を有する小型のアームであっても良いし、産業用の多関節ロボットのアームであっても良い。アームの駆動形式も油圧式には限定されず、電動式であっても良い。また、アームの動作は作業員の運転によるものであってもよいし、コンピュータによる自動制御であってもよい。さらに、アームは、定置式であっても移動式であってもよい。
【0020】
なお、回動の方向が異なる回動部(関節部)を多く備えたアームであるほど、アームに連結される二重管ロッド取扱装置1に多様な姿勢変更の動作をさせることができる。
【0021】
次に、図3図5を参照して、二重管ロッド取扱装置1について詳細に説明する。
【0022】
二重管ロッド取扱装置1は、三次元的に動作可能なアーム2に対して連結可能なベース部材16と、二重管ロッド17のインナロッド17iとアウタロッド17oとを区別なく同心に把持可能な少なくとも二つのクランプ18,18と、を備える。そして、少なくとも二つのクランプ18,18がベース部材16に支持される。図示例は、最もシンプルな態様として二つのクランプ18,18を備えた例である。各クランプ18が、本発明の実施の一形態に係るロッドクランプであり、このロッドクランプは、インナロッド17iとアウタロッド17oのような互いに径の異なるロッドを常に同一軸線上に把持可能なものである。
【0023】
ベース部材16は、アーム2への連結部(以下、アーム連結部という)19と、アーム連結部19の下面に固着された台座部20と、を備える。アーム連結部19は、上向き開口コの字状の部材であり、アーム2と二重管ロッド取扱装置1との間に介在するてこクランク機構15(図1参照)の「てこ」15dを構成する。アーム連結部19には、上下に位置する左右一対のピン受孔19a,19bが形成される。
【0024】
図1に示すように、アーム連結部19の上側の左右二つのピン受孔19a,19aに挿通されるピン21aによって、アーム連結部19が先側アーム部材11の先端に連結される。下側の左右二つのピン受孔19b,19bに挿通されるピン21bによって、てこクランク機構15の連接棒15bにアーム連結部19が連結される。そして、先側油圧シリンダ14が作動することで、連接棒15bを介して二重管ロッド取扱装置1が前後に揺動する。
【0025】
再び図3図5を参照して、ベース部材16を構成する台座部20には、スイングフレーム22が左右揺動可能に連結される。スイングフレーム22は、上向き開口コの字状の部材であり、台座部20の下方に配置されて、スイング軸23を介して台座部20に連結される。スイングフレーム22は、スイング用アクチュエータ24で揺動駆動される。図示例のスイング用アクチュエータ24は油圧シリンダであり、シリンダ部24aが枢支軸25によって台座部20に回動可能に支持され、伸縮ロッド24bがスイングフレーム22に回動可能に連結される。スイング用アクチュエータ24は、油圧ショベル3の油圧回路に接続され、運転者によって制御される。
【0026】
スイング軸23の軸線X2は、図1及び図2に示す状態において、機体5の前後方向に延びる。スイングフレーム22は、一例として図2に示すように、スイング軸23の軸線X2を中心として105°の角度範囲内で左右方向にスイング可能である。
【0027】
図3図5に示すように、スイングフレーム22の下面には、ロータリアクチュエータ26を介して、ロータリフレーム27が連結される。ロータリアクチュエータ26は、ロータリフレーム27の長さ方向の中間部に直接連結される。図示例のロータリアクチュエータ26は油圧式のものであり、油圧ショベル3の油圧回路に接続され、運転者によって制御される。ロータリアクチュエータ26の作動により、ロータリフレーム27が、ロータリアクチュエータ26の回動軸線X3を中心として180℃の角度範囲内で旋回する。
【0028】
ロータリフレーム27の両端には、二つのクランプ18,18が下向きに支持される。二つのクランプ18,18は互いに同一の構成であり、二重管ロッド17の互いに径の異なるインナロッド17iとアウタロッド17oとを区別なく同心に把持可能である(図5参照)。したがって、いずれのクランプでいずれのロッドを把持してもよい。二つのクランプ18,18の相対位置は常に一定不変である。
【0029】
図3に示すように、各クランプ18は、クランプハウジング28と、一対のクランプ片29,29と、クランプアクチュエータ30と、を備える。クランプハウジング28はロータリフレーム27に固着される。各クランプ片29は、クランプハウジング28にクランプ軸31で回動自在に支持される。クランプアクチュエータ30は、クランプハウジング28上で一対のクランプ片29,29を同時に開閉駆動する。これにより、一対のクランプ片29,29が、二重管ロッド17のインナロッド17iとアウタロッド17oとを区別なく常に同一軸線上に把持する(図4参照)。図示例のクランプアクチュエータ30は油圧式のものであり、油圧ショベル3の油圧回路に接続され、運転者によって制御される。
【0030】
各クランプ片29の内側には、クランプブロック32が固着される。クランプブロック32は、横置きされた二重管ロッド17をそのまま上から把持可能な形状である。このため、地面やトラックの荷台等の支持面上に横置きされる二重管ロッド17をそのままの状態で把持できる。したがって作業効率が向上する。図4に示すように、各クランプブロック32は、把持すべき二重管ロッド17(17i,17o)に接触するくの字状のロッド把持面32aを備える。このロッド把持面32aにより、二重管ロッド17のインナロッド17iとアウタロッド17oとが、区別なく常に同一軸線上に把持される。図4の例では、クランプハウジング28の湾曲した下面28aは、二重管ロッド17のアウタロッド17oを把持する際に、アウタロッド17oの外周面に当接する。
【0031】
図4に示すように、各クランプ軸31を中心とする円弧状の案内溝33がクランプハウジング28に形成され、各案内溝33に係合する被案内部材34が各クランプ片29の反ロッド把持側端部(ロッド17を把持する側とは反対側の端部)に配設され、各被案内部材34がクランプアクチュエータ30により同時に駆動される。
【0032】
二つのクランプ18,18は、別々に開閉操作可能である。したがって、一方のクランプ18で二重管ロッド17のアウタ、インナいずれか一方のロッド(例えば17i)を把持し、一方のロッド(17i)のみを動かして他方のロッド(17o)からの延び出し量を調整することができる。
【0033】
以上のように構成される本実施の形態の二重管ロッド取扱装置1は、アーム2に連結して使用することで、次のような種々の作用効果が得られる。
【0034】
(1)二重管ロッド取扱装置1は、ベース部材16をアーム2に対して連結して使用されるので、掘削機自体の改造・改変は不要であり、どのようなタイプの掘削機にも対応できる。
【0035】
(2)二つのクランプ18,18は二重管ロッド17のインナロッド17iとアウタロッド17oとを区別なく同心に把持可能であるので、いずれのクランプでいずれのロッドを把持してもよい。よって、二重管ロッド17の具体的な構成や掘削作業現場の様々な状況に柔軟に対応できる。例えば、二重管ロッド17におけるインナロッド17iの外出方向がアウタロッド17oのどちら側である場合でも、区別なく二重管ロッド17を把持することができる。このため、二重管ロッド17の向きに関わらず、そのまま把持することができる。
【0036】
(3)アーム2の三次元的な動作により、二つのクランプ18,18の位置や方向が自在に変更できるので、把持すべき二重管ロッド17の位置や向きに自在に対応でき、且つ、把持した二重管ロッド17の位置や向きを三次元的に自在に制御できる。よって、掘削機に対する二重管ロッド17の供給及び回収を能率的且つ安全に実施できる。
【0037】
(4)アーム2の三次元的な動作に加えて、二重管ロッド取扱装置1自体も二つの軸線X2,X3を中心として回動できるので、二つのクランプ18,18による、より一層複雑な三次元的な動作が可能となる。
【0038】
すなわち、ベース部材16と二つのクランプ18,18との間に、二つの回動部が配設されている。一つはスイング軸23の軸線X2を中心として左右に回動するスイングフレーム22であり、もう一つは、ロータリアクチュエータ26の回動軸線X3を中心として回動するロータリフレーム27である。したがって、ベース部材16に対して、二つの軸線X2,X3のそれぞれを中心として、二つのクランプ18,18が同時に回動できる。このため、アーム2の三次元的な動作に二つのクランプ18,18の二つの回動動作を加えることで、二つのクランプ18,18が前後方向及び左右方向に揺動でき、且つ、面内で旋回できる。これにより、二つのクランプによる、より一層複雑な三次元的な動作が可能となり、掘削機の様々な掘削角度への対応性が一層向上する。
【0039】
(5)二つのクランプ18,18が、横置きされた二重管ロッド17を上から把持可能な構成であるので、地面やトラックの荷台等の支持面上に横置きされる二重管ロッド17をそのままの状態で把持できる。よって、作業効率が一層向上する。
【0040】
(6)二つのクランプ18,18が別々に動作可能であるので、どちらのクランプでどちらのロッドを把持してもよいだけでなく、一方のクランプでいずれか一方のロッドを把持し、一方のロッドのみを動かして他方のロッドからの延び出し量を調整することができる。
【0041】
他の実施の一形態として、二つのクランプ18,18を同時に回動させる回動部の配設数は一つであってもよく、三つ以上であってもよい。図示例では、スイング軸23の軸線X2とロータリアクチュエータ26の回動軸線X3とが互いに直交する位置関係となっているが、二つの回動軸線X2,X3は、平行であっても、あるいは互いに平行でなくても良い。なお、二重管ロッド取扱装置1に備わっている二つの回動部が既にアーム2に備わっている場合には、二重管ロッド取扱装置1から二つの回動部を省略することもできる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
2 アーム
17 二重管ロッド(ロッド)
17i インナロッド(ロッド)
17o アウタロッド(ロッド)
16 ベース部材
18 クランプ(ロッドクランプ)
28 クランプハウジング
29,29 一対のクランプ片
30 クランプアクチュエータ
31 クランプ軸
32a ロッド把持面
33 案内溝
34 被案内部材
図1
図2
図3
図4
図5