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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-13
(45)【発行日】2022-10-21
(54)【発明の名称】ガス吸着分離装置およびその応用
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/08 20060101AFI20221014BHJP
   B01D 53/44 20060101ALI20221014BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20221014BHJP
【FI】
B01D53/08 ZAB
B01D53/44
B01D53/83
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021521874
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 CN2019095230
(87)【国際公開番号】W WO2020011156
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】201810794980.5
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811144414.6
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521009267
【氏名又は名称】上海深城環保設備工程有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 傳忠
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-178711(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103894040(CN,A)
【文献】特開2001-137646(JP,A)
【文献】特開昭62-091224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02-53/12、
53/34-53/85、
53/92、53/96
C07B 63/00
D06F 43/08
D06B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス吸着分離装置であって、吸着機能モジュールと、その他の機能モジュールとを含み、前記吸着機能モジュールの主な機能部分は、2つ以上の順次配列された吸着ユニットで構成される吸着シリーズであり、吸着シリーズは先端部及び末端部を含み、分離すべきガスは先端部から末端部への方向に沿って前記吸着シリーズを通過し、先端部に位置する吸着ユニットの、吸着質ガスに対する吸着飽和度が所定の程度に達すると、前記吸着シリーズから離脱して脱着装置を含むその他の機能モジュールに入り、脱着処理を含むその他のプロセス処理を完了した後に末端部から改めて順に前記吸着シリーズに入り、前記吸着ユニットは、吸着剤及び機械支持構造で構成され、適宜な機械的強度及び良好な透過性を有する吸着固定床であり、飽和吸着を完了した前記吸着ユニットは飽和吸着ユニットと称され、脱着再生を完了した前記吸着ユニットは再生吸着ユニットと称され
使用される吸脱着方式は温度スイング吸着、圧力スイング吸着及び温度圧力スイング吸着のうちのいずれか一つであり、
使用される吸脱着方式は温度スイング吸着であり、前記脱着装置の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された飽和吸着ユニットで構成される脱着シリーズであり、飽和端部及び再生端部を含み、高温脱着ガスは再生端部から飽和端部への方向に沿って前記脱着シリーズを通過しかつ濃縮吸着質ガスを生成し、飽和吸着ユニットが脱着再生を完了した後に前記脱着シリーズから離脱する
ことを特徴とするガス吸着分離装置。
【請求項2】
前記その他の機能モジュールは熱再生装置をさらに含み、前記熱再生装置は、脱着再生を完了した、高温状態にある再生吸着ユニットに含まれる熱量を脱着ガスに伝達することを特徴とする請求項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項3】
前記熱再生装置の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された高温再生吸着ユニットで構成される熱再生シリーズであり、高温端及び低温端を含み、脱着を完了した高温熱再生吸着ユニットは高温端から前記熱再生シリーズに加えられ、熱再生ガスは低温端から高温端への方向に沿って前記熱再生シリーズを通過し、加熱された後に前記高温脱着ガスを生成しかつ前記脱着装置に入り、熱交換を完了した低温再生吸着ユニットは低温端において前記熱再生シリーズから離脱することを特徴とする請求項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項4】
各機能モジュールの間における前記吸着ユニットの伝達及び変換は、吸着ユニットを各機能モジュールの間において転移させることができるユニット移動装置によって実行されることを特徴とする請求項1、及びのいずれか一項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項5】
使用される吸脱着方式は温度スイング吸着であり、吸着装置と、脱着装置と、熱再生装置との間における吸着ユニットの変換はパイプラインバルブの開閉及び切り替えによって実現されることを特徴とする請求項1、及びのいずれか一項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項6】
前記吸着ユニットと、再生装置と、熱回収装置とを構成する吸着ユニットは、グループ化または単独の方式で動力の駆動下で1つの閉じたレールに沿って一方向間欠的運動を行い、吸着床と、再生装置と、熱回収装置とはそれぞれ1つのグループを構成し、グループの変更によって、吸着床と、再生装置と、熱回収装置との間における吸着セグメントの変換を完了することを特徴とする請求項1、及びのいずれか一項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項7】
前記閉じたレールは円形、長円形または角丸三角形のうちのいずれか一つの形状を有することを特徴とする請求項に記載のガス吸着分離装置
【請求項8】
パイプラインバルブの開閉及び切り替えは、一連の逆止弁及び1組の切り替え弁を含むパイプライン切り替え円盤によって実現されることを特徴とする請求項に記載のガス吸着分離装置。
【請求項9】
使用される吸脱着方式は温度圧力スイング吸着であり、前記その他の機能モジュールは循環風加熱装置及び真空脱着装置を含み、吸着装置と、循環風加熱装置と、真空脱着装置との間における吸着ユニットの変換は、一連の逆止弁及び1組の切り替え弁を含むパイプライン切り替え円盤によって実現され、飽和吸着を完了した吸着ユニットは循環風加熱装置及び真空脱着装置による二重作用で脱着を完了することを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離装置。
【請求項10】
前記その他の機能モジュールは、1つの吸着ユニット貯蔵供給装置及び1つの吸着ユニット回収装置をさらに含み、吸着機能モジュールの動作過程において、吸着ユニット貯蔵供給装置は吸着シリーズの末端部から吸着ユニットを1つずつ加え、吸着ユニット回収装置は吸着シリーズの先端部から飽和吸着ユニットを1つずつ回収して、回収した飽和吸着ユニットを密封貯蔵し、密封貯蔵された飽和吸着ユニットが脱着装置を含むその他の機能モジュール内において脱着処理を含むプロセス処理を完了した後に生成された再生吸着ユニットは、吸着ユニット貯蔵供給装置により収納貯蔵されることを特徴とする請求項1に記載のガス吸着分離装置。
【請求項11】
請求項1に記載のガス吸着分離装置を用いた高分子コロイド状物を含む煙の処理方法であって、
使用される煙処理装置は、ガスを処理するための吸着床と、吸着剤を再生させるための再生装置とを含み、吸着床を煙の通過する経路に沿って複数の吸着セグメントに分割し、各吸着セグメントは順に連通して、順序に応じて吸着床と再生装置との間では伝達または変換することができ、煙導入部にある吸着セグメントは開始セグメントであり、煙排出部にある吸着セグメントは終了セグメントであり、吸着床の煙導入端部は開始端部であり、吸着床の煙排出端部は終了端部であるAと、
高分子コロイド状物を含む煙を連続的に吸着床に通過させ、吸着浄化過程を完了した後、煙処理装置から排出させるBと、
開始セグメントの吸着剤の表面が高分子コロイド状物によってある程度被覆されている場合、該吸着セグメントを吸着装置から離脱させて、再生装置に移行させて脱着処理を行い、それと同時に吸着床の終了端部に、新たな、または再生処理された吸着セグメントを補充するCと、
通常の温度で、吸着を完了して脱着装置に移行した吸着セグメントを脱着処理し、通常の温度での脱着処理の上に、必要な頻度で炭化再生及び灰化再生を付加して行うDと、
以上の再生処理を完了した吸着セグメントを改めて吸着床に入れるEと、の条件およびステップを含むことを特徴とする吸着濃縮法による高分子コロイド状物を含む煙の処理方法。
【請求項12】
ステップDととの間にステップを増加させ、具体的には、再生ガスを、再生を完了した、高温状態にある吸着セグメントを先に通過させ、その後、ガス加熱装置によって、ガスの温度をステップDで用いた処理温度まで上昇させて、再生装置に入らせることを特徴とする請求項11に記載の吸着濃縮法による高分子コロイド状物を含む煙の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年7月9日に提出された、中国特許出願第201810794980.5号と、2018年9月20日に提出された、中国特許出願第201811144414.6号の優先権を主張し、これらの先行出願は、参照によって本明細書に組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ガス吸着分離装置に関し、具体的には、吸着法によって有機排ガスの汚染物質を濃縮する装置およびその具体的な応用に関する。
【背景技術】
【0003】
吸着法によるガス濃縮技術は、大気中の揮発性有機化合物(VOC、本明細書では、有機汚染物質と略称される)の汚染管理の分野において益々幅広く応用されている。一般的なガス吸着分離装置はローター吸着器と再生式固定床吸着器を含む。これらのガス吸着分離装置の設計の最終的な目的は、有機汚染物質の排ガスを可能な限り濃縮して、処理された後に排出された排ガスにおける有機汚染物質の排出濃度が政府により規定されている基準排出濃度以下になるようにすることである。換言すれば、これらの装置の設計目標は、高濃縮比と低排出濃度の二つを含む。
【0004】
濃縮比を向上させるという観点からは、吸着分離装置ができるだけ多くの有機汚染物質を吸着すべきであり、極端な場合は、全ての吸着剤を飽和吸着に達させることであり、その結果、処理後の排ガスの排出濃度が必然的に基準を大幅に超えてしまい、最悪の場合は、ある領域(ローラ吸着器)またはある時間帯(再生式固定床吸着器)に処理した後の排ガスの濃度は導入された排ガスの濃度と同じである。高濃縮比を追求することの意義は、高濃縮比の有機汚染物質に対してガス濃縮をした後にさらに処理することであり、例えば、酸化破壊のとき、添加せずにこのような低濃度のガスを安定的に燃焼させることができ、直接燃焼、触媒燃焼、蓄熱式燃焼または触媒蓄熱式燃焼を含むがそれらに限定されない。または、液化捕集回収時に、処理すべきガスの容量を減少させることができ、それによって、相当な費用を節約することができる。
【0005】
排出濃度抑制の観点からは、有機汚染物質を、吸着床を貫通させる前に脱着に移行させ、脱着過程において、できるだけ吸着床を可能な限り完全に脱着させるべきであり、極端な場合は、吸着床における全ての吸着剤を完全に脱着させ、その結果、濃縮比を必然的に大幅に低下させて、濃縮作用が完全になくなるまで至り、ひいては希釈過程となってしまう。脱着過程は、熱力学原理から見ると、吸着質の濃度が指数的に低減する希釈過程であるため、脱着用の有機汚染物質濃度がゼロの清浄空気も汚染空気になる。
【0006】
実際な使用において、全ての設計スキームは具体的な応用の実際パラメータに基づいて、二つの極端条件の間で折衷し、濃縮比と排出濃度という2つの対立の目標の間では受け入れられる処理結果を実現する。図1はロータ吸着器の機能区画の概略図であり、吸着領域におけるAからBまでの円弧線と、脱着領域におけるCからDまでの円弧線に沿って吸着床の気流方向において断面の有機汚染物質の濃度の分布をほぼ図2に示す。ロータ吸着器は回転して吸着領域から出る時に、気流の流出側では大部分が飽和に達することができず、脱着領域において、大部分の脱着ガスが通過する領域の飽和度が非常に低い。同様に、再生式固定床吸着器の有機汚染物質は、理想状態で、気流方向と垂直な横断面空間における濃度分布が均一であり、その縦断面において、気流方向と一致する線状領域ごとの時間軸での有機汚染物質の濃度変化の法則も図2に示される法則に従う。
【0007】
本明細書において、用語「脱着」は業界において脱離とも称され、これらの意味は完全に同じである。
【0008】
多くの応用場合において、上記ガス吸着分離装置が強く求められている。
【0009】
例えば、VOC排ガス処理分野において、金属鋳造における樹脂モールド鋳込み過程に発生する煙は特殊性を有し、その主な悪影響は、工場内の作業者や周囲環境への悪臭被害である。従来のVOCまたは通常の有機悪臭ガスに対する一般的な処理プロセスにおいて、光触媒、低温プラズマによる除去効率が低く、効果に劣る。悪臭を発生するガス成分は複雑であるため、ロータ吸着器または再生式固定床吸着器の吸着効果がよくない。吸着効果を保証するために、非常に長い吸着過程を採用せざるを得ず、装置の吸着と脱着のコストを顕著に増加させ、また、高分子コロイド状物で被覆されることによって吸着剤が迅速に失効するという問題も存在する。
【0010】
低温触媒燃焼は高分子コロイド状物を除去しにくく、しかも被覆されて失効しやすく、一方、直接燃焼、蓄熱燃焼法または触媒燃焼を用いる場合、空気の流量が非常に大きく、煙自体に含まれる可燃性ガスの発熱量が非常に低いため、燃料消費は経済的に負担しにくい。また、煙収集パイプラインにおいて燃えやすい凝集物がたまり、高温鋳造体に滴下して突発的な火災を引き起こしやすいなどの問題がさらに存在する。
【0011】
業界内では、従来の解決方法として、消防を確保する上で燃えやすい凝集物を定期的に燃やして焼却除去することであり、これは、作業中止が必要であり、しかも準備段階で換気装置を除去し、実施時、社会消防人員や装備を用意して予防する必要がある。焼却過程において、不完全燃焼により大量の煙や塵、有機排ガスが発生してしまい、顕著な空気汚染過程となる。
【0012】
そのため、当業者にとって、上記様々な適用シーンに応用される、高濃縮比と低排出濃度を両立させることができるガス吸着分離装置を開発することが急務になる。
【発明の概要】
【0013】
本発明により開示されるガス吸着分離装置は、上記2つの目標を追求する矛盾を根本的に解決し、これによってガス吸着分離装置は高濃縮比と低排出濃度を両立させることができる。
【0014】
本発明の第1態様は、ガス吸着分離装置に関し、吸着機能モジュールと、その他の機能モジュールとを含み、吸着機能モジュールの主な機能部分は、2つ以上の順次配列された吸着ユニットで構成される吸着シリーズであり、吸着シリーズは先端部及び末端部を含み、分離すべきガスは、先端部から末端部への方向に沿って吸着シリーズを通過し、先端部に位置する吸着ユニットの吸着質ガスに対する吸着飽和度が所定の程度に達すると、吸着シリーズから離脱し、脱着装置を含むその他の機能モジュールに入り、脱着処理を含むその他のプロセス処理を完了した後に末端部から改めて順に吸着シリーズに入り、吸着ユニットは、吸着剤及び機械支持構造で構成され、適切な機械的強度及び良好な透過性を有する吸着固定床であり、飽和吸着を完了した吸着ユニットは飽和吸着ユニットとなり、脱着再生を完了した吸着ユニットは再生吸着ユニットとなる。
【0015】
上記技術的解決手段において、使用される吸脱着方式は温度スイング吸着、圧力スイング吸着及び温度圧力スイング吸着のうちのいずれか一つである。
【0016】
一つの好ましい実施例において、使用される吸脱着方式は温度スイング吸着であり、脱着装置の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された飽和吸着ユニットで構成される脱着シリーズであり、飽和端部及び再生端部を含み、高温脱着ガスは再生端部から飽和端部への方向に沿って脱着シリーズを通過しかつ濃縮吸着質ガスを生成し、飽和吸着ユニットが脱着再生を完了した後に脱着シリーズから離脱する。
【0017】
さらに好ましくは、その他の機能モジュールは熱再生装置をさらに含み、熱再生装置は、脱着再生を完了した、高温状態にある再生吸着ユニットに含まれる熱量を脱着ガスに伝達する。
【0018】
具体的には、熱再生装置の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された高温再生吸着ユニットで構成される熱再生シリーズであり、高温端及び低温端を含み、脱着を完了した高温熱再生吸着ユニットは高温端から熱再生シリーズに加えられ、熱再生ガスは低温端から高温端への方向に沿って熱再生シリーズを通過し、加熱された後に高温脱着ガスを生成しかつ脱着装置に入り、熱交換を完了した低温再生吸着ユニットは低温端において熱再生シリーズから離脱する。
【0019】
好ましくは、各機能モジュールの間における吸着ユニットの伝達及び変換は、吸着ユニットを各機能モジュールの間において転移させることができるユニット移動装置によって実行される。
【0020】
また、使用される吸脱着方式は温度スイング吸着であり、吸着ユニットの吸着装置と、脱着装置と、熱再生装置との間における変換はパイプラインバルブの開閉及び切り替えによって実現される。このような場合、パイプラインバルブの開閉及び切り替えは、一連の逆止弁及び1組の切り替え弁を含むパイプライン切り替え円盤によって実現される。
【0021】
他の好ましい実施例において、吸着装置と、再生装置と、熱回収装置とを構成する吸着ユニットは、グループ化または単独方式で動力の駆動下で1つの閉じたレールに沿って一方向間欠運動を行い、吸着床と、再生装置と、熱回収装置とはそれぞれ1つのグループを構成し、グループの変更によって、吸着セグメントの吸着床と、再生装置と、熱回収装置との間における変換を完了する。
【0022】
好ましくは、閉じたレールは円形、長円形または角丸三角形のうちのいずれか一つの形状を有する。
【0023】
他の好ましい実施例において、使用される吸脱着方式は温度圧力スイング吸着であり、その他の機能モジュールは循環風加熱装置と、真空脱着装置とを含み、吸着ユニットの吸着装置と、循環風加熱装置と、真空脱着装置との間における変換は、一連の逆止弁及び1組の切り替え弁を含むパイプライン切り替え円盤によって実現され、飽和吸着を完了した吸着ユニットは循環風加熱装置と真空脱着装置による二重作用で脱着を完了する。
【0024】
他の好ましい実施例において、その他の機能モジュールは、吸着ユニット貯蔵供給装置及び吸着ユニット回収装置をさらに含み、吸着機能モジュールの動作過程において、吸着ユニット貯蔵供給装置は吸着シリーズの末端部から吸着ユニットを1つずつ加え、吸着ユニット回収装置は吸着シリーズの先端部から飽和吸着ユニットを1つずつ回収して、回収した飽和吸着ユニットを密封貯蔵し、密封貯蔵された飽和吸着ユニットが脱着装置を含むその他の機能モジュール内において脱着処理を含むプロセス処理を完了した後に生成された再生吸着ユニットは、吸着ユニット貯蔵供給装置により収納貯蔵される。
【0025】
本発明の第2態様は、吸着濃縮法を利用して高分子コロイド状物を含む煙を処理する浄化装置に関し、ガスを処理するための吸着床と、吸着剤を再生させるための再生装置とを含み、吸着床を煙の通過する経路に沿って複数の吸着セグメントに分割し、各吸着セグメントは順に連通し、順序に応じて吸着床と再生装置との間では伝達または変換することができ、煙導入部にある吸着セグメントは開始セグメントであり、煙排出部にある吸着セグメントは終了セグメントであり、吸着床の煙導入端部は開始端部であり、吸着床の煙排出端部は終了端部である。
【0026】
また、本発明は、さらに、吸着濃縮法による高分子コロイド状物を含む煙の処理方法に関し、使用される煙処理装置は、ガスを処理するための吸着床と、吸着剤を再生させるための再生装置とを含み、吸着床を煙の通過する経路に沿って複数の吸着セグメントに分割し、各吸着セグメントは順に連通して、順序に応じて吸着床と再生装置の間では伝達または変換することができ、煙導入部にある吸着セグメントは開始セグメントであり、煙排出部にある吸着セグメントは終了セグメントであり、吸着床の煙導入端部は開始端部であり、吸着床の煙排出部は終了端部であるAと、
高分子コロイド状物を含む煙を連続的に吸着床に通過させ、吸着浄化過程を完了した後、煙処理装置から排出させるBと、
開始セグメントの吸着剤の表面が高分子コロイド状物で、ある程度被覆されている場合、当該吸着セグメントを吸着装置から離脱させて、再生装置に移行させて脱着処理を行い、それと同時に吸着床の終了端部に、新たな、または再生処理された吸着セグメントを補充するCと、
通常の温度で、吸着を完了して脱着装置に移行した吸着セグメントを脱着処理し、通常の温度での脱着処理の上に、必要な頻度で炭化再生と灰化再生を付加して行うDと、
以上の再生処理を完了した吸着セグメントを改めて吸着床に入れるEとの条件およびステップを含む。
【0027】
上記方法において、ステップDとFの間にステップEを増加させ、具体的には、再生ガスを再生を完了した、高温状態にある吸着セグメントを先に通過させ、その後、ガス加熱装置によって、ガスの温度をステップDで用いた処理温度まで上昇させて、再生装置に入らせる。
【0028】
本発明に基づくガス吸着分離装置は、吸着過程と、脱着過程と、降温と熱再生過程を含む装置の全運転過程において、吸着剤と作動ガスの間の相対運動は、いずれも化学工業分野と熱工学分野において常に用いられた、連続的かつ完全逆流の物質伝達・熱伝達過程を実現する。脱着ガスの低容量と有機汚染物質の高濃度は、さらに、それに対する火力による破壊や凝集法による回収の時のエネルギー消費を低減する。熱再生過程の完全逆流の物質伝達・熱伝達により、吸着剤の熱再生過程に消費しなければならない熱エネルギーを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ロータ吸着器の構成を示す概略図である。
図2】ロータ吸着器および再生式固定床吸着器の動作過程における吸着質の濃度分布または濃度変化を示す概略図である。
図3】本発明によるガス吸着分離装置の基本構造を示す概略図である。
図4】脱着シリーズが設置されたガス吸着分離装置の基本構造を示す概略図である。
図5】脱着シリーズと熱再生装置が設置されたガス吸着分離装置の基本構造を示す概略図である。
図6】脱着シリーズと熱再生シリーズが設置されたガス吸着分離装置の基本構造を示す概略図である。
図7】蓄熱燃焼破壊装置が設置されて機能モジュールの間の位置移動によって実現されるガス吸着分離装置の構成を示す概略図である。
図8図7に示されるガス吸着分離装置において、吸着ユニットの機能モジュールの間で移動することを実現するユニット移動装置の機能構成を示す概略図である。
図9】吸着ユニット貯蔵供給装置、飽和吸着ユニット回収装置および減圧脱着装置が設置されたガス吸着分離装置の構成を示す概略図である。
図10】昇温脱着を集中的に処理するガス吸着分離装置の構造および運転モードを示す概略図である。
図11】熱再生装置が設置されたガス吸着分離装置の構造を示す概略図である。
図12図11にされる装置において、熱再生シリーズを熱再生装置とすることを示す。
図13】パイプライン切り替え円盤によって実現されるガス吸着分離装置の構成を示す概略図であり、ここで、温度スイング吸着方式を用いる。
図14】パイプライン切り替え円盤によって実現されるガス吸着分離装置の構成を示す概略図であり、ここで、温度圧力スイング吸着方式を用いる。
図15】本発明による鋳造による煙の段階的吸着分離装置の構成を示す概略図である。
図16図15に示される吸着セグメントが吸着床と脱着装置の間で変換する時に可動連通管路コネクタとの連携動作を示す。
図17】熱量回収装置が設置された鋳造による煙の段階的吸着分離装置の構造を示す概略図である。
図18図17に示される装置の別の形態である。
図19図17に示される装置の別の形態である。
図20】鋳造による煙処理装置の全流れの装置パイプラインを示す概略図図である。
図21】鋳造による煙処理の通常の吸着作業状態での関連装置パイプラインの運転を示す概略図である。
図22】濾過凝集表面吸着器の再生作業状態での関連装置パイプラインの運転を示す概略図である。
図23】鋳造による煙収集輸送パイプラインの再生作業状態での関連装置パイプラインの運転を示す概略図である。
図24】濾過凝集表面吸着器の取付け態様および使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図3に示すように、本発明の第1態様に基づくガス吸着分離装置の基本構造は吸着機能モジュール01とその他の機能モジュール02を含む。その他の機能モジュール02は脱着装置021を含む。吸着機能モジュール01の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された吸着ユニット09で構成される吸着シリーズ011である。吸着シリーズ011は先端部0111と末端部0112を含み、処理すべきガス081は先端部0111から末端部0112への方向から前記吸着シリーズ011を通過する。先端部0111に位置する吸着ユニットは、吸着質ガスに対する飽和吸着を完了した後に前記吸着シリーズ011から離脱し、脱着装置021に入り、脱着処理を完了した後に末端部0112から改めて吸着シリーズ011に順に入る。吸着ユニットは、吸着剤と機械支持構造によって構成され、適切な機械的強度と良好な透過性を有する吸着固定床である。飽和吸着を完了した吸着ユニットは飽和吸着ユニット091と称され、脱着再生を完了した吸着ユニットは再生吸着ユニット092と称される。
【0031】
具体的な応用の相違に基づいて、本発明のガス吸着分離装置が異なる吸脱着方式を用いてよく、主に温度スイング吸着、圧力スイング吸着または温度圧力スイング吸着を含む。さらに幾つかのあまり一般的ではない方式を含んでもよく、主に脱着上に異なり、例えば、マイクロ波脱着、置換脱着、抽出脱着。温度スイング吸着とは、異なる温度で吸着質に対する吸着剤の吸着能力が異なることを利用して吸着質に対する濃縮または分離を実現することを意味し、一般的に低温吸着、高温脱着である。圧力スイング吸着とは、異なる大気分圧で吸着質に対する吸着剤の吸着能力が異なることを利用して吸着質に対する濃縮または分離を実現することを意味し、一般的に高圧吸着、低圧脱着である。温度圧力スイング吸着とは、上記の両者の組み合わせを指し、一般的に低温高圧吸着、高温低圧脱着である。
【0032】
図4に示すように、温度スイング吸着という吸脱着方式を用いる時、脱着装置021の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された飽和吸着ユニット091で構成される脱着シリーズ0211であり、飽和端部02111と再生端部02112を含む。高温脱着ガス082は再生端部02112から飽和端部02111への方向から脱着シリーズ0211を通過し、濃縮吸着質ガス0821を生成する。飽和吸着ユニット091が脱着再生を完了した後、生成された再生吸着ユニット092は前記脱着シリーズ0211から離脱する。このように、高温脱着ガス082は脱着シリーズ0211を通過する時に、それに持たれている熱量を次第に吸着床の吸着剤に伝達し、吸着剤の温度が徐々に上昇し、吸着質が溢れて脱着を完了する。
【0033】
図5~6に示すように、脱着を完了した再生吸着ユニット092は高温状態にあり、吸着状態への復帰には、低温状態まで降温する必要がある。本発明のガス吸着分離装置において、その他の機能モジュール02に熱再生装置022を設置することができ、熱再生装置022の役割は、高温状態にある再生吸着ユニット092に含まれる熱量を脱着ガス082の源ガスに伝達し、源ガスが解熱してから脱着ガス082を生成することである。実際の応用において、熱再生装置022の主な機能部分は、2つ以上の順次配列された高温再生吸着ユニット092で構成される熱再生シリーズ0221であり、高温端02211と低温端02212を含む。脱着を完了した、高温熱再生吸着ユニット092は高温端02211から熱再生シリーズ0221に加えられ、熱再生ガス083は低温端02212から高温端02211への方向から熱再生シリーズ0221を通過し、定温加熱後、高温脱着ガス082を生成し、前記脱着装置021に入る。熱交換を完了した再生吸着ユニット092は、低温端02212より熱再生シリーズ0221から離脱し、改めて吸着機能モジュール01の吸着シリーズ011に入る。熱再生装置022は、1つの再生吸着ユニットのみで構成される(図5を参照)ように設置される場合、実現可能でもあるが、冷却効果が低く、熱再生効率が低い。
【0034】
以上の温度スイング吸着原理を利用する技術的解決手段において、吸着過程と、脱着過程と、降温と熱再生過を含む装置の全運転過程において、吸着剤と作動ガスの間の相対運動は、いずれも化学工業分野と熱工学分野において常に用いられた、連続的かつ完全逆流の物質伝達・熱伝達過程を実現する。ここでの作動ガスは汚染空気と脱着ガスを含む。吸着過程の完全逆流の物質伝達は本発明の核となる技術ポイントであり、吸着を完了して脱着過程に入る吸着ユニットがこの作動条件下(主に粒子状吸着剤の粒度または固体成形吸着剤のチャネル間隔肉厚、吸着質の濃度、気流速度と温度などを含む)での飽和吸着状態にあるように確保する。ここで、「飽和」とは、一般的に動的飽和を指し、すなわち、特定の作動条件において作業効率と経済性を保証するという条件下で達成できる静的飽和に接近する相対飽和状態である。これは、主として脱着ガスの最高濃度を決定する。脱着過程の完全逆流の物質伝達・熱伝達によって脱着を完了し、まもなく改めて吸着過程に入る再生吸着ユニットがこの作動条件下(主に吸着剤の粒度またはチャネル間隔肉厚、脱着ガス気流速度と温度を含む)での十分な脱着状態にあるように確保し、それは、主に処理される汚染空気の最低排出濃度を決定する。脱着ガスの低容量と有機汚染物質の高濃度により、さらに、それによる火力による破壊や凝集法による回収時のエネルギー消費を低減する。熱再生過程の完全逆流の熱伝達により、吸着剤の熱再生過程で消費しなければならない熱エネルギーを低減する。
【0035】
以下に具体的な実施例に合わせて本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
【0036】
図7~8はユニット移動式ガス吸着分離装置を示す。
【0037】
図7に示すように、この装置は、吸着装置11と、脱着装置12と、飽和遷移キャビティ13と、再生遷移キャビティ14とを含む。吸着装置11は吸着キャビティ111と吸着キャビティ内に収容される吸着シリーズ112を含み、吸着シリーズ112は、先端部1121と、末端部1122と、2つ以上の吸着ユニット1113を含み、先端部1121にある、飽和吸着を完了したユニットは飽和吸着ユニット11131である。
【0038】
脱着装置12は脱着キャビティ121と脱着キャビティ内に収容される脱着シリーズ122を含み、脱着シリーズ122は飽和端部1221、再生端部1222および2つ以上の脱着ユニット1223を含み、再生端部1222にある、脱着を完了したユニットは再生吸着ユニット12231である。
【0039】
吸着キャビティ111と脱着キャビティ121の両端の間は、それぞれ飽和遷移キャビティ13と再生遷移キャビティ14により連通し、これらの間の接続部にはそれぞれ吸着ユニットが通過可能なバルブを設置し、これらはそれぞれ151、152、153、154により示される。飽和遷移キャビティ13と再生遷移キャビティ14の役割は、吸着装置11、脱着装置12が連続的に作動させている状態で、2つのキャビティの間における吸着ユニットの輸送を完了しかつ異なる処理状態の汚染ガスが2つのキャビティの間で混ざり合うことを避けることである。断続的動作モードを用いる場合、すなわち、吸着ユニットを輸送する時、汚染ガスの処理を中止する場合、2つの遷移キャビティを取り消すことができる。
【0040】
この実施例の吸着と脱着は、温度スイング吸着の方式を用いる。
【0041】
このガス吸着分離装置が動作する時、吸着キャビティ111と脱着キャビティ121にはいずれも吸着ユニットで満たされ、大流量の処理すべきガスは吸着シリーズ112の先端部1121から末端部1122まで吸着キャビティ111の内部に位置する吸着シリーズ112を貫通する。先端部1121に位置する吸着ユニットは飽和吸着に達すると、吸着キャビティ111と飽和遷移キャビティ13の間に位置するバルブ151が開き、機械装置はこの飽和吸着ユニット11131を飽和遷移キャビティ13に押し込む。そして、バルブ151が閉じ、機械装置は吸着シリーズ全体を先端部に押す。脱着キャビティ121と再生遷移キャビティ14との間のバルブ153が開き、機械装置は再生端部1222に位置する再生吸着ユニット12231を再生遷移キャビティ14に押し込む。すると、バルブ153が閉じ、機械装置は脱着キャビティ121における脱着シリーズ122を再生端部1222に押し、脱着キャビティ121の飽和端部に場所を空ける。飽和遷移キャビティ13と脱着キャビティ121の間のバルブ152が開き、機械装置はこの飽和吸着ユニット11131を脱着キャビティ121に引き込む。飽和遷移キャビティ13と吸着キャビティ111の間のバルブ154が開き、機械装置は再生遷移キャビティ14における再生吸着ユニット12231を吸着キャビティ111に引き込む。以上の順で、吸着ユニットは4つのキャビティ内において循環して移動する。
【0042】
全過程において、小流量の高温脱着ガスは、連続的に飽和端部から再生端部まで脱着キャビティ121の内部に位置する脱着シリーズ122を通過する。このガス吸着分離装置において、処理すべきガスと高温脱着ガスの流量比は10:1-50:1以上となることができる。高温脱着ガスに含まれる有機汚染物質は燃焼に適しておりかつ回収価値が高くない成分であれば、通常、燃焼破壊装置に送られて破壊される。例えば、図7において蓄熱式燃焼器18の構造を示す。脱着ガスの発熱量と有機物可燃性性によっては、燃焼破壊装置はさらに、直接燃焼器、触媒燃焼器または蓄熱式触媒燃焼器であってもよい。脱着ガスの発熱量が十分に高い場合、有機汚染物質の燃焼破壊過程は、さらに脱着ガスを加熱するための熱量を供給することができる。これは本発明による技術的改良の最終的な目的の1つでもある。
【0043】
吸着ユニットの4つのキャビティ間における輸送は一連の常用の動力機械装置を介して自動的に完成できる。図8に示すように、この実施例において、4つの油圧または空気圧式のプッシュロッドを用いてよく、ここで、吸着ユニットを吸着キャビティまたは脱着キャビティの内部において運動させるように押すためのプッシュロッドはそれぞれ181-1と181-2である。吸着ユニットを吸着キャビティ、脱着キャビティ、飽和遷移キャビティと再生遷移キャビティの間で運動させるように押したり、引っ張ったりするプッシュプルロットはそれぞれ182-1、182-2、182-3と182-4である。
【0044】
図8において遷移キャビティと吸着キャビティ、脱着キャビティの間のバルブは両開きの回転ドアで模式的に示し、本実施例において、実際に応用されるものは油圧または空気圧式のゲートバルブであり、図中、151-1、152-1、153-1と154-1で示される。
<実施例2>
【0045】
図9~10はユニット供給および回収式ガス吸着分離装置を示す。
【0046】
実施例2に示されるガス吸着分離装置に対応する具体的な応用の重要な条件の1つは、処理すべき排ガスの流量と有機汚染物質の濃度が基本的に安定的であことであり、その理由としては、熱脱着は排ガス中の有機汚染物質を発熱燃料として利用して、基本的に安定的な高温環境を保持しなければならないためである。排ガスが断続的に排出される場合、または流量、濃度の変動が非常に大きい場合、脱着過程に悪影響を与え、それで、一般的に、追加の燃料を添加して補充する必要がある。実施例2に開示されるユニット供給および回収式ガス吸着分離装置は見事にこのような状況に適することができる。
【0047】
ユニット供給および回収式ガス吸着分離装置の具体的な解決手段として、ガス吸着分離装置の吸着装置11と脱着装置12を二つの独立の部分に分け、吸着ユニット供給装置161と吸着ユニット回収装置162を含む吸着ユニットリサイクル装置16を追加し、吸着ユニットリサイクル装置16の機械構造は、連続射撃可能な銃器のマガジン構造を参照してよい。吸着装置11における、吸着シリーズの先端部に位置して既に飽和吸着を完了した飽和吸着ユニット191を、機械装置を用いて、バルブを介して吸着キャビティに接続される、密閉された吸着ユニット回収装置162に移行させ、バルブを介して吸着キャビティに接続される吸着ユニット供給装置161から吸着キャビティに新たな、または再生を完了した吸着ユニット192を補充する。吸着ユニット回収装置には飽和吸着ユニットで満たされた後、単独の脱着装置12に移行して飽和吸着ユニットに対して脱着処理を行う。図9に示すように、脱着装置は、分離された有機汚染物質を回収するために、真空ポンプ194、圧縮凝析装置195と貯蔵装置196に接続されてよい。図10に示すように、複数のガス吸着装置で発生した、飽和吸着ユニットで満たされた吸着ユニット回収装置を1つの脱着装置に集中してもよく、熱脱着方式で連続脱着処理を行う。要するに、脱着装置は熱脱着、減圧脱着、熱減圧脱着と置換脱着などの任意の適切な脱着方式を用いてよい。
<実施例3>
【0048】
図11~12は熱再生ガス吸着分離装置を示す。
【0049】
実施例1に示されるガス吸着分離装置において、脱着を完了した再生吸着ユニットは遷移キャビティを介して再生キャビティに入って吸着シリーズに加えられる時に依然として高温状態にある。既にほぼ吸着を完了した大流量の汚染空気がその熱量を迅速に持ち去りかつ吸着過程に対して大きな影響を与えることがないが、システムの熱エネルギーの損失を引き起こし、これは、この装置を発明する目的の1つであるエネルギー消費の低減に一定の悪影響を与える。
【0050】
図10に示すように、この技術欠陥を解決する技術的解決手段は、熱再生装置17で実施例1における再生遷移キャビティ14を代替し、高温再生吸着ユニットに含まれる熱量を再生ガスで運んで吸着シリーズに伝達することである。具体的には、遷移キャビティの左右の両側にそれぞれ吸気口172と排気口173を設置し、空気フィルター174によって濾過された空気は、熱再生装置17の内部に位置する再生吸着ユニットを貫通し、さらにファン175によって加圧され、熱交換器176によって加熱され、脱着キャビティ121に入る。
【0051】
図11に示すように、熱再生装置の熱再生効率をさらに向上させるために、熱再生装置内には熱再生シリーズ171が設置されてよい。熱再生シリーズ171は2つ以上の再生吸着ユニットを含み、高温端1711と低温端1712を含む。高温端1711はバルブを介して脱着キャビティ121の再生端部1212に連通する。低温端1712はバルブを介して吸着キャビティ111の末端部1112に連通する。
【0052】
吸着ユニットの運動伝達方式は実施例1を参照してよい。
<実施例4>
【0053】
図12は回転盤式温度スイング吸着によるガス吸着分離装置を示す。
【0054】
本実施例は、1つのパイプライン切り替え円盤と一連の逆止弁で実施例3の吸着ユニット輸送機械装置を代替し、同様に空気汚染物質の飽和吸着と、吸着シリーズと、解吸着シリーズを実現することができ、必要に応じて熱再生シリーズを含んでもよく、その中の吸着剤と作動ガスの間は完全逆流の物質伝達と熱伝達過程である。
【0055】
この装置は、動力駆動下で断続的に回転可能な回転ベース21を含み、回転方向は時計回りであり、円盤上のある点に対し、その時計回りの方向に位置する他の点を順側、反時計回りの方向の他の点を逆側とする。6つの固定床吸着器22-1、22-2、22-3、22-4、22-5と22-6は中心対称に回転ベース21に固定され、パイプラインを介して連通して閉じたリングとなり、固定床吸着器に接続されるパイプラインの各部分の間に開閉を自動制御可能な逆止弁23が設置され、各固定床吸着器において順側と逆側の両端にそれぞれ回転ベース21の外周につながる切り替え管24を設置し、合計12本があり、切り替え管24の外端部に切り替え逆止弁の回転部251を設置する。回転ベース21以外に地面に固定される6つの切り替え逆止弁の固定部252を設置する。回転部251と固定部252で構成される完全な切り替え逆止弁25は、回転切り替えと逆止開放という2つの機能を有し、回転ベースに設置された独立の逆止弁とそれぞれ回転ベースと地面に設置された2つの部分で構成される切り替え弁で代替してもよい。回転弁の構造は市販の回転四方向ステアリングバルブを参照してよく、差異は4つの通路の間の切り替えから複数の通路の切り替えに変換されることであり、回転部はそれに対応する固定部がなくなるように回転すると、固定部に相当する位置にも一つの閉塞装置でそれを密閉する。
【0056】
6つの固定床吸着器は3組に分割され、ここで、22-1、22-2と22-3は吸着組であり、22-4と22-5は脱着組であり、22-6は熱再生組である。切り替え逆止弁の固定部252の番号は固定床吸着器の番号に対応し、順側は252-XAとし、逆側は252-XBとし、Xは固定床吸着器の順序番号である。汚染空気供給管261は切り替え逆止弁の固定部252-3Aに連通し、処理された汚染空気排出管262は切り替え逆止弁の固定部252-1Bに連通し、再生空気供給管263は切り替え逆止弁の固定部252-6Aに連通し、脱着空気加熱管の抽出、導入の両端264、265はそれぞれ切り替え逆止弁の固定部252-6Bと、切り替え逆止弁の固定部252-5Aに連通し、脱着ガス排出管266は切り替え逆止弁の固定部252-4Bに連通する。吸着組の3つの固定床吸着器の間と脱着組の2つの固定床吸着器の間において、合計3つの逆止弁が開き、他の各組の間の3つの逆止弁が閉じる。脱着ガス排出管は蓄熱燃焼炉27の吸気管271に連通し、蓄熱燃焼炉27の煙排出管272は処理された汚染空気排出管262と共流して煙突(図示せず)に連通する。
【0057】
動作時、汚染空気は汚染空気供給管261から入り、3つの吸着組の固定床吸着器22-3、22-2と22-1を順次通過し、処理を経た後、汚染空気排出管262から排出される。再生空気は再生空気供給管263から入り、熱再生組の固定床吸着器22-6を通過し、蓄熱燃焼炉27によって加熱され、さらに脱着組の固定床吸着器22-5と22-4を通過し、脱着ガス排出管266から排出され、蓄熱燃焼炉27に導入され、その中に含まれる有機汚染物質を燃焼破壊し、煙排出管272を経由して処理された汚染空気と共流して煙突によって高空の大気中に排出される。運転中に、一定の作動時間を経過することまたはこの装置が一定の量の有機汚染物質を受け入れることで、固定床吸着器22-3の吸着能力は飽和に達し、回転ベース21は60°回転し、吸着器は改めてグルーピングする。
【0058】
1つの固定床吸着器は6ステップの変換によって全体の処理サイクルを完了し、隣接する2回の変換動作ごとの間の時間は1つの処理区間と称される。
【0059】
固定床吸着器が吸着シリーズに入った後、2つの処理区間を経て2回の変換により吸着シリーズの末端部から先端部に移動し、続いて1つの処理区間を経て飽和吸着を完了し、3回目の変換後、昇温脱着シリーズの飽和端部に入り、1つの処理区間を経た後、4回目に変換されて、昇温脱着シリーズの再生端部に入り、さらに1つの処理区間を経た後、5回目に変換されて、熱再生区間に移動し、熱再生区間は1つのみがあり、完了後、再び変換されて次の循環に入る。
<実施例5>
【0060】
図12は回転盤式温度圧力スイング吸着によるガス吸着分離装置を示す。
【0061】
実施例4に示される回転盤式温度スイング吸着によるガス吸着分離装置は、下記2種類の具体的な応用に対応する場合、以下の制限性を有する。
【0062】
一つ目に、汚染空気中に燃焼法による破壊に適しない有機汚染ガスが含まれ、例えば、硫黄、リン、ハロゲン元素が多く含まれ、またはベンゼン核と塩素元素が同時に含まれる場合、これらのガスを燃焼させた後、二次汚染物質を生成する。
【0063】
二つ目に、汚染物質中に十分な量の高価値の有機汚染ガスが含まれ、回収価値を有する。
【0064】
本実施例は、温度圧力スイング吸着法を利用して空気汚染を除去し、同時に有機汚染物質を回収するガス吸着回収装置を開示する。
【0065】
この装置の汚染空気吸着組は、実施例4に示される装置に類似し、1つの処理区間のみを追加し、装置の主な差異は、熱再生組の除去と、脱着領域の地面固定装置の機能設定の変更である。この装置の脱着組は循環風加熱区間と真空脱着区間という2つの処理区間を含む。循環風加熱区間に対応する装置は、熱風炉291と、ファン292と、減圧弁293を含む。真空脱着区間に対応する地面固定装置は、絞り弁297と、真空ポンプ294と、コンデンサ2951と、液体貯蔵タンク296である。
【0066】
熱風炉291と、ファン292とが直列された後、両端はそれぞれ切り替え逆止弁25を介して循環風加熱区間の固定床吸着器22の両端の切り替え管24に連通する。真空ポンプ294と絞り弁297はそれぞれ切り替え逆止弁25を介して真空脱着区間の固定床吸着器22の両端の切り替え管24に連通する。減圧弁293は循環風加熱区間と真空脱着区間の間のパイプラインに連通する。真空ポンプの後ろには順にコンデンサ295と液体貯蔵タンク296が接続される。コンデンサ295の液体排出口は液体貯蔵タンク296に接続され、凝縮ガス排出口は汚染空気供給管261に連通する。
【0067】
固定床吸着器は飽和吸着を完了した後、循環風加熱区間に回転し、熱風炉とファンによって加熱されて、吸着床の温度が徐々に上昇し、吸着剤から放出された有機汚染物質ガスとガスの熱膨張と共に、パイプライン内の気圧を上昇させる傾向があり、ガスは減圧弁によって減圧された後、真空脱着区間の固定床吸着器によって排出されたガスと共に真空ポンプに入る。固定床吸着器は循環風加熱を完了した後、真空脱着区間まで回転し、真空ポンプによる低気圧で引き続き有機汚染物質ガスを放出し、真空脱着がほぼ完了する時に絞り弁で制御されながら少しの空気が導入され、さらに残された有機汚染物質ガスがフラッシングされる。真空ポンプから排出された、有機汚染物質ガス含有の混合ガスは、コンデンサによって、有機汚染物質液体を分離して、液体貯蔵タンクに流入し、収集と貯蔵を完了する。コンデンサから排出された凝縮ガス内は少しの有機汚染物質を含む可能性があり、その場合、それを汚染空気注入管に導入し、循環して吸着浄化する。
【0068】
本発明を利用する具体的な応用は、吸着濃縮法を用いて本発明に基づくガス吸着分離装置を利用し、高分子コロイド状物を含む煙を処理することである。
【0069】
吸着濃縮法は段階的吸着床を用いる。使用される煙処理装置は、ガスを処理するための吸着床と、吸着剤を再生させるための再生装置を含み、吸着床を煙の通過する経路に沿って複数の吸着セグメントに分割し、各吸着セグメントは順に連通し、順序に応じて吸着床と再生装置の間では伝達または変換が可能であり、煙導入部にある吸着セグメントは開始セグメントであり、煙排出部にある吸着セグメントは終了セグメントであり、吸着床の煙導入端部は開始端部であり、吸着床の煙排出端部は終了端部である。
【0070】
開始セグメントの吸着剤表面が高分子コロイド状物によってある程度被覆されている場合、吸着セグメントを吸着装置から離脱し、脱着装置に移行して脱着処理を行い、同時に吸着床の終了端部に、新たな、または再生処理された吸着セグメントを補充する。
【0071】
通常の温度で、吸着を完了して脱着装置に移行した吸着セグメントを脱着処理し、通常の温度での脱着処理の上、必要な頻度で炭化再生と灰化再生を付加する。
【0072】
煙が吸着床に入る前に、濾過凝集表面吸着器で前処理を行う。濾過凝集表面吸着器は煙収集パイプラインの入口部に設置されてよい。濾過凝集表面吸着器は耐高温材料を用いる。煙収集パイプラインには耐高温断熱材料ライニングが設置されてよい。煙収集パイプラインはループ状パイプラインを形成することができる構造に設置される。
【0073】
濾過凝集表面吸着器と、煙収集パイプラインと、吸着床は、一般的な高温脱着法と被制御炭化灰化法を組み合わせて、凝集吸着した高分子コロイド状物を除去するように処理を行う。
【0074】
被制御炭化灰化法の技術的意味のポイントは、処理過程において、局所の高温が発生して濾過凝集表面吸着器、煙収集パイプラインと吸着床を破壊することを回避することである。具体的なやり方として、、緩慢昇温の熱空気加熱または急速な不活性ガス加温と被制御酸化ガスの緩慢遅延導入との組み合わせを用いてもよい。
【0075】
以下に処理方法を詳細に説明する。
【0076】
吸着濃縮法は、現在、排ガス処理分野において、低濃度、大風量のVOC排ガスを処理する常用の方法であり、動作原理に基づいて、圧力スイング吸着、温度スイング吸着および両者の組み合わせに分けられてよい。本発明は、主にそのうちの温度スイング吸着の原理を利用する。作用過程は吸着過程と脱着過程を含み、吸着過程には、吸着剤は排ガスにおけるVOC成分を選択的に吸収し、一部の水蒸気成分と少しその他のガス成分をさらに含む可能性があり、ここで、排ガスにおけるその他の主成分は浄化後のクリーン排ガスとして大気中に排出される。
【0077】
脱着過程において、加熱(一般的に熱蒸気、熱空気または熱い不活性ガスを用いる)によって吸着剤の温度を上昇させ、吸着過程に吸収したVOC成分を放出する。一般的に脱着で生成された濃縮排ガスのVOC濃度は源となる排ガスの10倍から30倍である。
【0078】
本発明で処理すべき鋳造による煙と類似する工業排ガスには、高分子かつ高沸点の有機物成分が含まれ、上記吸着過程において、コロイド状物の形で吸着剤粒子の表面または大きな隙間内に堆積するので、吸着剤による排ガス中の低分子の悪臭ガス分子に対する吸着を阻止する。常温の脱着過程において、これらの高分子かつ高沸点の有機物は完全に揮発して除去されない。より高い脱着温度、例えば、炭化温度となる400~500℃の場合、これらの高分子かつ高沸点の有機物の一部はさらに、一層耐高温のコーキングまたはカーボンデポジットを生成し、幾つかの吸脱着の循環を経た後、これらのコーキングまたはカーボンデポジット成分の堆積も吸着剤表面を被覆して吸着剤の孔を閉塞し、吸着剤の吸着能力が深刻に低下することを引き起こす。
【0079】
より高い灰化温度でコーキングまたはカーボンデポジットを処理してよいが、従来の一般的な吸着濃縮装置は、より高温度の運転をサポートしない。しぶしぶ従来の構造に基づいて、より高いレベルの耐高温材料を使用して装置を改造しても、装置の製造コストとランニングコストは商業的に受け入れられない。
【0080】
本発明の鋳造による煙の処理方法および対応する装置は、これらの問題に対して比較的完璧な解決策を提供する。
【0081】
ガスを処理する吸着床をガスの通過する経路に沿って複数の吸着セグメントに分割し、各吸着セグメントは吸着床と脱着装置の間で伝達または変換することができ、煙導入部にある吸着セグメントは開始セグメントであり、煙排出部にある吸着セグメントは終了セグメントであり、吸着床の煙導入端部は開始端部であり、吸着床の煙排出端部は終了端部である。
【0082】
開始セグメントの吸着剤表面が高分子コロイド状物によってある程度被覆されている場合、この部分の吸着床を吸着床から離脱させ、脱着装置に移行して脱着処理を行い、同時に吸着床の終了端部に、新たなまたは再生処理された吸着セグメントを補充する。
【0083】
本明細書において、用語「ある程度」の意味は、具体的な応用において、吸着装置に入った煙中に高分子コロイド状物の含有量が高く、低分子の悪臭成分の含有量が少ない場合、「ある程度」は、高分子コロイド状物が開始セグメントの吸着剤表面を被覆する程度がより深刻であることを意味する。逆に、低分子の悪臭成分の含有量が多く、吸着装置を通過する時に全体の吸着床を貫通しやすくなり、「ある程度」とは、高分子コロイド状物が開始セグメントの吸着剤表面を被覆する程度が軽微な程度に抑えることを意味する。
【0084】
脱着処理は、通常温度脱着と、その上で付加される炭化再生と灰化再生を含む。
【0085】
用語「付加」の意味は、通常温度脱着を完了した後、温度を炭化温度または灰化温度まで上昇させて必要な時間保持することである。通常温度で脱着した後に吸着剤がコーキングする程度で一回或いは数回の通常温度下の脱着ごとに一回の炭化再生を付加することができる。同様に、炭化再生後の吸着剤のカーボンデポジットの程度に基づいて、一回または数回の炭化再生ごとに1回の灰化再生を付加する。炭化再生は、酸化雰囲気中で行ってよく、不活性ガス雰囲気中で行ってもよく。灰化再生は、酸化雰囲気中でしか行われない。
【0086】
用語「不活性ガス」は、窒素ガス、二酸化炭素などの、高分子有機物と酸化反応して燃焼することのない非助燃ガスであり、これらは化学上でのヘリウムなどのゼロ族元素ガスの概念と異なる。本明細書では、炭化温度350~550℃、灰化温度550~825℃と定義される。吸着床に用いた吸着剤と関連するパイプライン装置は上記の温度に耐えられる必要がある。操作過程において、吸着床の温度は、吸着剤と関連するパイプライン装置の耐容温度以下に抑えるべきである。
【0087】
脱着時に吸着床の全床層にして全体的に脱着を行う従来のロータ吸着器または再生式固定床吸着器に比べ、段階的高温脱着方法および対応する装置の利点は、多くの高分子有機物が蓄積された吸着床の開始セグメントのみに対する高温脱着と高温再生を行い、処理装置の耐高温の部分の体積を減少させ、装置の製造コストを低減させ、燃料消費を減少させることができ、さらに吸着剤を高温に加熱する回数を減少させ、吸着剤の耐用年数を比較的延ばすことができることである。これは、高分子有機物が吸着床に堆積される部位は主に段階的吸着床の開始セグメントに集中し、しかも、主に吸着剤の表面に堆積されるためである。吸着セグメントは、吸着床の終了端部から開始端部に向かって移動する過程に、ます、吸着剤によって吸着されにくい悪臭ガスの成分を吸着し、最後にその表面によって高分子有機物を吸着し、このように、吸着剤の煙中の異なる悪臭ガスの成分に対する吸着能力を十分に利用している。
【0088】
吸着装置に入る高分子有機物を減少させるために、煙収集パイプラインに濾過凝集表面吸着器を設置してよい。
【0089】
さらに、濾過凝集表面吸着器を、煙収集パイプラインの各煙が発生する鋳込み作業箇所および鋳物冷却伝送通路に対して設置された入口部に設置してもよい。このように、高分子コロイド状物が滴下して火災を引き起こすという問題を解決することができる。濾過凝集表面吸着器は2層設置されてよく、その意味は後述で説明する。
【0090】
耐高温の無機濾過材料および支持フレームで濾過凝集表面吸着器を製造することができ、濾過物は具体的に、ステンレス鋼線、ガラス繊維、セラミック繊維およびこれらの組み合わせを用いてよい。このような材料を使用する利点は、高分子有機物を吸収した後に着火されにくいことと、被制御炭化灰化法で処理して凝集吸着された高分子コロイド状物を除去できることを含む。
【0091】
具体的な方法は、濾過凝集表面吸着器を耐高温の密閉空間に置き、不活性高温ガスでそれを加熱することによって、その中に吸着された高分子有機物を揮発させ、気流によって燃焼装置に運んで破壊することである。揮発しにくい部分は高温で炭化し、その後、引き続き不活性高温ガスの温度を上昇し、その中に制御下で酸素ガス成分を加えることで、濾過物におけるコーキングまたは炭化した高分子有機物の残り成分を除去する。
【0092】
理論上、以上の過程において空気を用いてもよいが、昇温過程の制御が容易ではなく、局所的に昇温し速すぎ、局所のホットスポットを形成し、高分子蓄積物の自燃を引き起こし、濾過凝集表面吸着器と輸送パイプラインおよび装置を破壊するなどの問題を引き起こす。
【0093】
濾過凝集表面吸着器の再生炉の積極的な意義は、濾過凝集表面吸着器のフィラーの交換コストと環境に対する二次汚染を回避することができることである。
【0094】
濾過凝集表面吸着器による高分子コロイド状物の濾過と凝集は容易に理解できる。高分子有機物が金型鋳込みの高温環境から離れた後、大部分は空気中で迅速に液状に冷却され、そのうち一部が目で見えられる煙のような液滴に凝集され、これらの煙のような液滴が濾過物を通過する時に比較的捕獲されやすく、そのほかは目で見られない微小液滴または分散分子として存在し、このとき、非常に濾過物を通過やすい。濾過物がこの部分の高分子有機物を捕獲するために、濾過物表面とこれらの高分子有機物との親和能力が必要であり、このような親和能力は実際に表面吸着能力である。濾過物の材料表面の化学的特性はこれらの高分子有機物に類似すれば類似するほど、表面吸着能力が強い。ただし、濾過物の再生能力を考慮に入れると、濾過物は高温に弱い有機材料を用いてはならない。代替の方法として、煙が濾過物を通過する時に濾過材料表面にゆっくり堆積することによって、濾過物の材料表面を被覆するように堆積すると、優れた吸着表面になる。しかし、高分子有機物が過剰に堆積する場合、濾過物の閉塞を引き起こし、火災も引き起こしやすい。
【0095】
分離可能な2層以上の濾過装置を設置する目的は、過剰に堆積された高分子有機物の表面層濾過装置のみを除去し、既存の適量に堆積された深層濾過装置のみを保留し、これらを表面層に置き換えて、新たな、または再生された濾過装置を深層の濾過位置に取り付けることを可能にすることである。
【0096】
煙収集パイプラインには濾過凝集表面吸着器が設置されるが、依然として一部の高分子有機物が透過してパイプラインに蓄積される。それが過剰に蓄積されることを防ぐために、煙収集パイプラインをループ状パイプラインを形成できる構造にし、管腔内に耐高温の断熱材料ライニングを設置することができ、濾過凝集表面吸着器の処理に類似する方法でパイプライン内における高分子コロイド状物を除去する。
【0097】
以下に実施例を通して上記応用をさらに説明する。
【0098】
<実施例6>:鋳造による煙の段階的吸着分離装置
【0099】
図15に示すように、この装置は吸着床Cと再生装置Dを含む。吸着床Cは開始端部C1と終了端部C2を含む。吸着床Cは複数の分離可能な吸着セグメントXに分割され、開始端部に位置する吸着セグメントは開始セグメントCX1と称され、終了端部に位置する吸着セグメントは終了セグメントCX2と称される。
【0100】
再生装置Dは再生端部D1と濃縮側D2を含む。吸着床Cの再生装置Dは2つの切り欠き付きの環状構造を形成し、吸着床Cの開始端部C1は再生装置Dの濃縮側D2に隣接する。この環状構造を構成する各吸着セグメントXは、動力駆動下で、中空の円弧状の矢印による指示方向に沿って環状レールで順次間欠的に運動し、グループを変えることで吸着床Cと再生装置Dとの間における変換を完了する。
【0101】
図16に示すように、吸着床Cと再生装置Dにそれぞれ連通管路可動コネクタHを設置する。吸着セグメントはグループを変える場合、これらの可動コネクタHは接続される吸着床Cと再生装置Dから離脱してレール位置を離れ、吸着セグメントはグループ化を完了した後、元の接続に復帰する。
【0102】
グルーピングの概念は列車運転の操作モードを転用するものである。
【0103】
図15~16に示すように、この装置が動作する時、VOCを含む煙は開始端部C1から入って終了端部C2から排出され、高温脱着ガスは再生端部D1から入って濃縮側D2から排出される。この装置に接続される周辺装置は、源となる汚染空気輸送パイプラインWGと、ファンP1と、VOC熱破壊装置TOと、ガス加熱装置P2と、脱着ガス供給装置P3と、煙排出用煙突P4を含み、これは一般的な温度スイング吸着VOC濃縮装置と同じである。
【0104】
<実施例7>:熱回収装置が設けられた鋳造による煙の段階的吸着分離装置。
【0105】
図17~19に示すように、実施例6の基礎に、吸着床Cの終了端部と再生装置Dの再生端部の間に1つの熱回収装置Eを追加し、吸着床Cの終了端部C2に隣接する低温端E1と、再生装置Dの再生端部D1に隣接する高温端E2とを含み、同様に複数の吸着セグメントXを含む。脱着ガスは低温端E1から熱回収装置Eに入って高温端E2から排出され、ガス加熱装置P2によって脱着温度に加熱された後、再生装置Dに入る。改良後、吸着セグメントの運動とグルーピング変更方式は実施例6に類似する。
【0106】
実施例7の積極的効果は、脱着を完了した、高温状態にある吸着剤に含まれる熱量を回収し、降温過程において残存する有機汚染物質ガスをさらにフラッシングすることができる。
【0107】
図17は円環状のレールを用いる様子を示し、その利点は、構造が簡単であり、吸着セグメントがグループを変える時、移動距離が小さいことである。その欠点は、装置全体の占用面積が大きくかつ調整不可であることである。
【0108】
図18は長円形レールを用いる様子を示し、その利点は、装置が長方形であり、面積を節約しかつ調整しやすく、吸着セグメントは円筒型であり、作動ガス流を均一に保持しやすいことである。その欠点は、吸着セグメントがグループを変える時、移動距離が大きいことである。
【0109】
図19は角丸三角形レールを用いる様子を示す。プロセスに応じて、吸着床Cと、脱着装置Dと、熱回収装置Eはほぼ同じ吸着セグメントの数を用いる必要がある場合、このようなレール態様を用いてよい。
【0110】
<実施例8>:鋳造による煙処理装置の全流れシステム配置
【0111】
図20に示すように、鋳造工場で樹脂モールド鋳込みで発生する煙を処理するための現場モデルに基づいて設置される鋳造による煙処理装置全流れシステムを示し、このシステムは、A領域である処理装置配置領域と、B領域である収集パイプラインおよび濾過凝集表面吸着器配置領域を含む。
【0112】
システムをさらに簡単にするために、鋳造による煙処理装置は実施例6の簡単な構造を用い、実際に実施例7の構造を用いるとさらに実用的である。当該技術分野において、これらの間の変換は当業者にとって容易なものである。
【0113】
図中、パイプラインにおいて輸送パイプラインP6を示す実線と重なる実線の矢印は、煙処理過程におけるガスの流動方向を示し、実線に平行な中空矢印は、濾過凝集表面吸着器P5と汚染ガス収集輸送パイプラインP6における高分子有機物蓄積物を除去する高温再生過程に高温ガスの流動方向を示す。
【0114】
濾過凝集表面吸着器P5は、鋳込み工場の各ワークステーションに分散しまたは集中し、これらと輸送パイプラインP6の間には異なる部位における気流を均一に制御するための絞り弁P7が設置される。
【0115】
図21に示すように、輸送パイプラインP6はダブルパイプのループ状に設計され、汚染ガスの通常の収集と処理作業を行う時、パイプラインはダブルパイプループによる平行輸送となっている。
【0116】
図22に示すように、輸送パイプラインの高温再生時、各絞り弁P7と、輸送パイプラインと吸着濃縮装置の間の逆止弁P9を閉じ、輸送パイプラインは環状通路を形成する。再生作業を開始する時、逆止弁P10と、空気源逆止弁P11と、酸素源逆止弁P12を閉じ、窒素ガス源逆止弁P13を開き、窒素ガスがパイプラインに入って排管路内の空気を排出する。逆止弁P10を開き、ガス加熱装置P2を起動し、輸送パイプライン全体を加熱する。
【0117】
その間、パイプライン内に窒素ガスを連続的に補充し、絞り弁P8とパイプライン圧力を制御し、余分なガスが蓄熱酸化焼却炉RTOによって処理された後、煙突P4によって排出される。
【0118】
パイプラインにおいて適切な温度、例えば、450~650℃に上昇する場合、排出されたガスの発熱量は安全数値まで低下し、例えば、RTO自立燃焼を維持することができない時、酸素源逆止弁P12を開き、パイプ内に酸素ガスをゆっくり注入し、高温下で酸化によってパイプにおけるコーキングとカーボンデポジットを除去し、最後に窒素ガス、酸素源とガス加熱炉を閉じ、空気源逆止弁P11を開き、空気を導入することによってパイプラインを冷却し、輸送パイプラインの高温再生過程を終了することができる。
【0119】
図23に示すように、P14は濾過凝集表面吸着器再生炉を示す。再生炉P14は耐熱保温キャビティであり、両端はガス加熱装置P2を含む高温再生の輸送パイプラインに接続され、高分子有機物が蓄積された濾過凝集表面吸着器をキャビティの内部に置き、輸送パイプラインの高温再生に類似する流れを用いて濾過凝集表面吸着器の高温再生を行うことができる。
【0120】
図24に示すように、濾過凝集表面吸着器P5が濾過吸着位置と再生炉P14の間に循環して回す過程を示し、この図中、P7は絞り弁で、P16はガス捕集フードで、P6は煙輸送管である。
図1
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